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2012年6月30日 (土)

ごくせんのすべて・・・無茶しやがって・・・ずいぶん派手にやってくれたじゃねーか・・・夕日に向かって走る(仲間由紀恵)

谷間です。仲間なので胸の谷間は勘弁してください。

このブログにおける仲間といえば・・・山内一豊の妻である。戦国時代ものなのに戦をスルーする悪い前例を作った大河ドラマである。世界三大山仲間と言えば・・・この他にトリックの山田がある。山田から十をマイナスして山口になったのが「ごくせん」だ。しかし・・・「ごくせん」のヤンクミもそれなりに人気者である。

他にも仲間由紀恵は様々な映画やドラマに出ているが・・・トリックで一部人気者となり、ごくせんで大衆化し、「功名が辻」で国民的スターになったといえるだろう。

それからの仲間をどう考えるかはいろいろと困難だなあ。

とにかく・・・なんだかんだで・・・仲間由紀恵は素晴らしい女優だし・・・好ましい。

だから・・・映画として素晴らしかったかと言えば断言できないが・・・それなりの成功を収めたコレについてメモしておくのはよいだろう。

で、『金曜ロードSHOW! ごくせん THE MOVIE(2009年公開東宝作品)』(日本テレビ20120630PM9~)原作・森本梢子、脚本・江頭美智留・松田裕子、監督・佐藤東弥を見た。2002年から始ったごくせんシリーズの完結編である。パート1では22歳だった仲間由紀恵も今や三十路越えである。時は流れるよね~。トリック・シリーズもそうだが・・・パート1を見ると仲間の初々しさが格別で・・・それだけでじんわりと落涙である。しかし・・・若さを失っても円熟して行くわけで・・・それなりに味わいがあるのだな。

そして、フィクションなので・・・加齢によるパワーダウンはまったくなく・・・山口久美子先生の暴力沙汰はエスカレートするばかりなのです。

さて・・・「ごくせん」といえば・・・イケメン教え子たちである。

パート1からは熊井輝夫(脇知弘)が登場している・・・イケメンじゃないだろう。松本潤とか小栗旬とか上地雄輔とか松山ケンイチとか塚本高史とかは大人の事情で登場しないらしい。でてるな~。

パート2からは赤西仁が不参加だが・・・小田切竜(亀梨和也)が教育実習生としてもう一人の主役出演を果たしている。小池徹平や小出恵介も出るが、水嶋ヒロは出ない。そして速水もこみちは結構重要な役・・・「ルパン三世カリオストロの城」の銭形刑事の役回りである・・・で出演する。

パート3からは赤胴高校の直接の先輩役として風間廉(三浦春馬)などが登場するわけである。

これだけ出ていると・・・劇場版の教え子リーダーの高杉怜太(玉森裕太)とか・・・かなり存在感薄いですなーーーっ。

物語は前半では・・・暴走族にからまれた教え子をヤンクミが救出・・・教育実習生・小田切が救援という流れ。この時点ではまだ・・・ヤンクミは教え子と缶けりをしてもらえないのである。

ただし、一人では夕日に向かって走る。

小田切「変な先生だろ・・・第一、夕日じゃないし・・・」

後半では、卒業生の風間が覚醒剤密売のとりひきに巻き込まれてしまう。

黒幕となるのが・・・昔、ヤンクミが恋した刑事にそっくりなIT企業社長・黒瀬健太郎(沢村一樹)なのだ。

黒瀬に対峙する仲間を教育実習生、卒業生、現役教え子たちが支援して・・・黒瀬の正体を暴露するのである。

「ヤンクミがおったから今の俺らがおるんや」

「お前ら・・・幸せだな・・・いい先生と出会えて・・・」

と集大成なのである。

「私の教え子に手を出したら・・・勘弁しない」・・・ヤンクミは見事に生徒たちを守る。

「私は一生、死ぬまでお前たちの先生だ」・・・ある意味、呪いである。

こうして・・・ヤンクミはまた缶けり仲間を増やし、夕日に向かって駆けだすのだった。

小田切「ふっ、夕日じゃないし・・・」

まあ・・・なんだかんだで・・・仲間由紀恵のヤンクミ時代は終了したのだが・・・本当かどうかは・・・神様だけが知っています。

関連するキッドのブログ→ごくせん 卒業スペシャル'09

Eri001 ごっこガーデン。いつもの倉庫までバイクで二人乗りセット。エリぐふふふ・・・まこちゃんだけに爆走を独占させるわけにはいかないのでスー。小田切先輩のような先生が教育実習で来たら大変なことになりますね~。もう、女子の不登校ゼロでスー。どうせなら・・・赤西先輩も、山P先輩もみんな教育実習生でくればいいのでスー。「教師SEN-PAYS物語」・・・これは大ヒット間違いなしなのでス~!」

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2012年6月29日 (金)

ごまかし、まやかし、おためごかし・・・生まれ出づるあやかし・・・その他大勢の役ひとつ(谷村美月)

最初に・・・あえて言っておく。警官が配置された立てこもり事件の現場にたとえ、犯人の家族といえども出入り自由なわけがなく・・・もう、そこでこの絵空事が完全に絵空事化するわけである。

視聴者にいきなり「深夜で予算もなく脚本も演出もグダグダですからそこは割り引いてご鑑賞モード」を強要する姿勢はなんとかならないかな・・・。

まさか・・・そういうのが「お笑い」だと思っているのかな。

断言するが・・・それは絶対に違うからな。

ふざける時でもまじめにやろうよ・・・まあ・・・指名手配犯が出頭してきても追い払う警察という現実があるからな・・・マジです・・・と言われればそれまでだけどな~。

もう・・・ギリギリ許しちゃうか~。

で、『たぶらかし-代行女優業・マキ-・最終回(全13話)』(日本テレビ20120628PM2358~)原作・安田依央、脚本・森下直、演出・遠藤光貴を見た。散々苦労させられた困った愛人でも・・・いざ別れるとなると名残惜しいのが人情である。そのたとえは・・・どうかな。もちろん・・・大好きな女優がとんでもないドラマに出ちゃってるという状態が解消されるのは望ましいことだが・・・なにしろ、地上波では「キャットストリート」以来の連続ドラマ主演である・・・毎週、谷村美月を鑑賞できるというのは・・・やはり素晴らしいことだったのだ。

だから・・・まあ・・・今回は・・・少し感傷的な気分で・・・書いてみます。

おそらく雑居ビルにあるのだろう。冬堂マキ(谷村美月)の所属する代行女優派遣業を営むORコーポレーションの事務所。そこに、マキが借金をしている三流金融会社の社長・南原満(菅田俊)がやってくる。事務所にいたのは13話もあったのによくわからない立場の水鳥モンゾウ(山本耕史)、そしてやはりよくわからない立場の藤ミネコ(白羽ゆり)とマキだった。

南原はいかにも極道関係の人である。そのかなり安い感じの親分が言うことには・・・。

「顧客の一人、藤田敦夫(村田雄浩)がたまたま居合わせた俺の娘・麻美(松本花奈「鈴木先生」の生徒役からここ)を人質にして立てこもりやがって・・・20年前に別れた藤田の娘の綾音に会わせろって要求してやがるんだ・・・そんなこと言われたってこっちは奴の娘の顔も知らないんだ・・・どうしようもねえやな・・・で思いついたんだ・・・奴だって別れて20年もたちゃ・・・娘の顔なんて知らねえんじゃねえかってよ・・・だから・・・マキ、あんたが奴の娘になってくれ・・・俺の娘が無事解放されたら・・・借金チャラにしてやるぜ」

「えーっ、そんなの無理」

「うるせえ・・・こっちは切羽詰まってんだ・・・」

と南原は本性むき出しでドスを抜くのだった。

ミネコを人質に第2の立てこもりである。誘拐横町かっ。

「わかりました・・・さっそく、マキを派遣します」とまるで社長のような水鳥である。

「だって、演ずるためには情報が不足しすぎじゃない・・・」

「それは・・・俺が調べてやる・・・お前はそれまで・・・アドリブでつなげ・・・」

借金棒引き・・・それはマキにとって夢のような条件だったので早速「いかにもお嬢様」に変身するのだった。「テクマクマヤコンテクマクマヤコン・・・20年前に別れたお嬢様になあれ」である。吉田里琴-綾瀬はるかの映画「ひみつのアッコちゃん」楽しみです。

一方、水鳥はコスプレ・モード・チェンジで「探偵物語」の工藤俊作(松田優作)に変身する。もちろん、工藤になる意味は一切ありません。

ま、一部愛好家向けサービスか・・・。

すでに、警官により包囲された南原金融のある雑居ビル。

「報道を聞いてやってきました・・・娘の綾音です」

「犯人に告ぐ・・・要求通り・・・娘さんをお連れしたぞ」

「お父さん・・・綾音ですーっ」

ビルの高い窓から顔を出した藤田は綾音と直接話すことを要求する。

「そんなことができるか・・・」と刑事は難色を示すが、マキは警官の制止をふりきって特攻するのだった。

南原金融で藤田と対峙するマキ。

「お父さん・・・どうしてこんなことをしたの・・・」

「綾音・・・今日が何の日か知ってるかい・・・」

「・・・」

「バカだな・・・お前の誕生日じゃないか・・・」

「ああ・・・そうか・・・バイトが忙しくて・・・すっかり忘れてた・・・」

「バイトしてるのかい・・・」

「うん」

「そうか・・・学校は・・・」

「短大に通っている」

「そうか・・・短大生になったのか・・・ボーイフレンドとかいるのかい」

「そんなのいないわよ」

「そうか・・・いないのか・・・」

うっとりと遠くを見つめる藤田。

「じゃ・・・朋美はどうしてる・・・」

「朋美って・・・」

「バカだな・・・お前のお母さんだよ・・・」

「あ・・・ママのこと・・・」

「そうだよ・・・朋美はどうしてる・・・」

「まあまあ元気にしてるよ・・・」

「そうなのか・・・元気なのか・・・朋美がな・・・」

すると南原は警官隊に向かって新たな要求を突き付ける。

「妻の・・・妻の朋美を連れてこい」

マキを通じてモニタリングしているORコーポレーションの事務所の水鳥は・・・。

「今、新たな人質を用意するから・・・ミネコを解放してくれ・・・」

「いや・・・いくらなんでも奥さんの顔は分かるでしょう・・・」

「クレオパトラな女たちの時代だぜ・・・女なんて三日もあれば別人だろう・・・某暗殺教団の逃亡者を例に出すまでもなくな~」

「なんで・・・匿名なの」

「実名だすと変なゴミトラバがついて削除が面倒なんだよ~」

こうして・・・新たな人質としてあまりの作品の出来の悪さにフェイド・アウトしたのかと思った松平社長(段田安則)が召喚される。

「どこにいってたんです」

「河原で「女優」を歌ってました」

「どんな歌?」

下積みも女優の稼業

恋に疲れた役どころ

セリフ回しもないほどに

ヘイ・ヘイ・ホー

「ああ・・・ハラボーの・・・」

「いや、ケイちゃんの・・・」

今度はミネコが警官隊の阻止線を突破する。

「ようし・・・今度は特上のすきやき用意しろ・・・」

「いい加減にしろ~」

「うるさい・・・」

藤田はダイナマイト腹巻きを披露するのだった。

お約束でどよめく警官隊・・・安いコントだなあ・・・。まあ、そういうのがやりたいんだな、きっと。

「久しぶりだなあ・・・お前が朋美か・・・変われば変わるもんだなあ・・・」

「女なんてそんなものよ・・・あなたは元気だった・・・」

「元気でもないさ・・・こんなことやってるんだもの」

「そう・・・」

おそらく・・・近所の割烹から調達したのであろう・・・「特上」のすき焼きセット到着である。

ようやく・・・藤田は麻美に声をかける。

「もう・・・帰っていいよ・・・」

しかし・・・それまで大人しくしていた南原の娘はすき焼きの匂いにつられるのだった。

「帰るって・・・ここが家だし・・・」

「そうなんだ・・・じゃ、せっかくだから・・・すき焼き食っていくか」

「睡眠薬入りだったりして・・・」

「いや、人質が食べるかもしれないから・・・それはないだろう・・・」

「お父さん、これ食べたら・・・自首してよ・・・」

「いや・・・それはできない。父さんはお前たちと別れてから・・・いいことなんかひとつもなかったんだ。それでも・・・なんとか生きて来た。でもな・・・仕事もうまくいかなくて・・・借金もして・・・昨日・・・一人ですき焼きしたら・・・すごく不味かったんだ・・・そしたら・・・もう、なんだか・・・生きているのが・・・イヤになっちゃった・・・お譲さん・・・若いあんたにはこんな気持ち分からないだろうな・・・」

「そんなことない・・・パパとママがケンカして・・・ママが家出しちゃって・・・パパは迎えに行こうともしない・・・男のメンツがどうとかこうとか・・・もう、それが男らしくないっつーの」

「ハハハ・・・そうか・・・」

娘の本心を聞いた南原は涙目である。

「くそ・・・ワシはお前のために・・・こんなに頑張ってるのに・・・」

すると、人質として縛られた松平が南原を諭す。

「親の心、子知らずや・・・しかしな・・・時には親も子供の前ですべてをさらすことも必要やで」

「なんで・・・急に関西弁・・・」

「演技指導はワシにまかしとくんなはれ」

その頃・・・水鳥探偵は・・・藤田の身辺調査を終えていた。

一方、すき焼きを食べ終えた四人。

「ごちそうさま」

「おいしかったね」

「こんなにうまいのひさしぶり」

「さすが特上よね」

「せっかくだからうなぎでもよかったよね」

「俺は満足だ・・・もうみんな出て行ってくれ・・・死ぬのは俺一人でいい・・・」

「そんな・・・お父さん」

「もう、いいんだ・・・さすがに女房の顔忘れる男はいない・・・あんただって・・・まあ、一目でニセモノだとわかったよ・・・でも・・・最後にいい夢みさせてもらった・・・みんなで食べたすき焼き・・・おいしかったよ・・・」

何故か後ろ髪を引かれる思いのするマキであった。

しかし・・・本来の目的を忘れるわけにはいかない・・・。

藤田を残し・・・三人の女は解放される。

そこに待ち構える・・・南原。

「パパ・・・」

「麻美・・・ワシが悪かった・・・これからママを迎えに行こう・・・ワシは土下座しても・・・ママに許してもらう・・・」

和解する南原父娘だった。

それを見守るマキに水鳥が囁く。

「藤田の娘な・・・出産時のアクシデントで母子ともに死亡してた。20年前な・・・綾音の誕生日は綾音の命日でもあったんだ・・・」

「そんな・・・」

「このままだと・・・藤田・・・自殺するか・・・警官隊に射殺されるかだな・・・」

マキのお人よし女優魂に着火である。マキには世直し大明神でも憑依してんのか・・・。

再び、警官隊の阻止線を突破するマキ。いちおう、くりかえしのギャクである。

世の中のはじこに漂う

よたり女がいきる道

夢に見た晴れ姿を

その他大勢の役ひとつ

ヘイ・ヘイ・ホー

「お父さん・・・あけて」

「やめてくれ・・・お前は俺の娘じゃない・・・」

「私は・・・代行女優です・・・今までもいろいろな人を演じてきました・・・世の中には他人にとってどうでもいい人があふれています・・・でも・・・一人一人が誰かにとってはとても大切な人だったんですよ・・・私は一瞬でもあなたをお父さんと心から呼びました・・・だから・・・あなたは私にとって・・・お父さんです」

「頭おかしいだろう・・・そんなのおためごかしだよ・・・娘は生まれると一声泣いて死んだんだ・・・俺には最初から娘なんていなかった・・・俺はたぶらかされない」

「そんなことない・・・一瞬でも娘さんはこの世で生きた・・・奥さんだって命がけで娘さんを生んだ・・・奥さんも娘さんもきっと言いますよ・・・あなた・・・私たちの分まで生きてって・・・お父さん・・・頑張って生き続けてって・・・」

「・・・」

マキの優しい言葉に・・・心をほどかれた藤田はついに泣き崩れる。

こうして・・・マキは借金苦から解放された。

しかし・・・新たな劇団旗揚げのために代行女優業は続行である。

とにかく・・・だからといって・・・続編だけは勘弁してもらいたい。

関連するキッドのブログ→第12話のレビュー

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2012年6月28日 (木)

ATARUを幸いなぎ倒すりすりすりすりするのは栗山千明(中居正広)

さて・・・谷間なのであるが・・・ここは相棒からの二人の刺客のかたわれに敬意を表したい。

春ドラマは盛況だったが・・・この二人がいなければ・・・こうももりあがらなかっただろう。

それほどまでに・・・相棒で蓄積された捨てネタは多く・・・相棒で蓄積されたストレスからの解放は大きかったのだなあ。

それにしてもミステリ三昧だった春ドラマに対して・・・夏ドラマは・・・ま、いいか。

とにかく、ニセ当麻、小太りすぎるだろう。

で、『ATARU・第10~最終回(全11話)』(TBSテレビ20120617PM9~)脚本・櫻井武晴、演出・木村ひさしを見た。人は概ね、意識を持っている。しかし、それぞれの人がどのような意識を持っているか知る人は一人もいない。たとえば・・・盲目の人の意識。たとえば・・・聾唖者の意識。たとえば・・・霊能者の意識。あるいはサイキックの意識。人々は誰もが自分と同じような意識を持っているのだと希望的観測をする。しかし、あくまで・・・それは希望に過ぎないのである。

ケージの中でATARUは過去の扉を開く。

巨大な鉄パイプの城でおとこともだちはつぶやく。「シャボン玉をもっととばせよ」

おんなともだちはストローからシャボン玉をはなつ。「チョコザイくんは本当にシャボン玉が好きね」

ATARUは塔の上に立ち、叫ぶ。「遠足でおにぎりを食べます」

おとこともだちは拳をふりあげる。「そうだ、そうだ、遠足でおにぎりを食べよう」

おんなともだちは歓声をあげる。「おにぎりー、えんそくー、チョコザイくーん」

ATARUはしあわせを感じる。

ママ【原日出子】のおにぎり。踊る。ママのおにぎり。踊る。ママのおにぎり。踊りだす。

ママの涙の味。「おにぎりを食べたら・・・遠足よ」

おにぎりはえんそくだ。えんそくはおにぎりだ。

ATARUの影がささやく。

「ちゅー、ちゅー、それはちゅー」

ATARUは影からネズミの尻尾をつまみだす。

「わかってるさ・・・そんなこと・・・だってボクはもう大人なんだから」

ママのような人【栗山千明】が言う。

「その車は一緒です」

パパのような人【北村一輝】が言う。

「チョコザイくんに捜査させるなよ」

ネズミは囁く。

「チュー、チュー、チュー」

ATARUは答える。

「もちろん、捜査をするさ・・・だってミッションがボクのビジネスだから」

巨大な城壁が起動する。複雑な幾何学模様を描きながら構造体をつなぐ鉄パイプが軌道を描いて展開していく。

シャボン玉は関係情報を蓄積し始める。

シャボンの容器からはストローを通じて関連情報が検索されていく。

ネズミたちはそれぞれがストローを咥え、シャボン玉を飛ばす。

【車種】【道路地図】【日本における道交法】【鑑識技術】【ブレーキ痕】【事件性の有無についてのチェックポイント】【燃料】【自動車火災の類型】【現場検証の留意点】【ドライバーの特徴】【遺体の損傷度】【安全設計の新技術】【未確認事項検索】・・・。

ATARUは覚醒モードに移行する。

ママに似た人と・・・パパに似た人に・・・手を差し伸べよう。

彼らはものを知らないから。道を示してあげなければならない。

迷子にならないように。

正しい道を示すのだ。

アップデートした事故鑑定人【平岡祐太】がデータを蓄積している。

事故死した小暮桃香【なっち】に事故鑑定人はちゅーである。

【訂正】小暮桃香の双子の姉の綾香【安倍なつみ】に事故鑑定人は特別な思いを寄せている。

【訂正】【事故との関連性】【抹消】重要な事実認定がある。

【事故車両の安全設計】【車内の延焼防止機能】【特殊なスペック】

【被害者は車内で焼死】【矛盾発生】【インプット】

「この車は燃えません」

「なんだって」

「燃えません」

【捕捉】【スペック】【ブレーキ痕の残らない車種】【現場検証】【新情報】【タイヤ痕】【特徴的】【燃焼物】【バースト】【薬品】【クロロホルム】【爆発燃焼】

「燃えます」

「なんだって」

「タイヤが燃えます」

事故鑑定人は推察する。

「タイヤに可燃物を注入すれば・・・故意にパンクをさせることができます」

「なんだって・・・」

「あっはん、妹は自殺なんてしません」

「燃えません」

「なんだと」

「車の中は燃えません」

「この車は父が設計した車です」

「なるほど・・・安全設計か・・・」

「どういうこと」

「・・・実験してみましょう」

「金に糸目をつけない気か・・・」

「メーカーに特別なコネクションがあります・・・安全性を確認することはメーカーにとって利益になりますから」

「燃えないぞ・・・」

「車内が燃えない」

「じゃ・・・なぜ、被害者は車内で焼死したんだ」

「誰かが・・・焼き殺したんですよ」

「他殺か・・・他殺なのか・・・」

【捜査終了】【確認】【】【】【ママのような人のママ】【真理子】【奥貫薫】【不審死】【事故】【自殺】【その他の可能性】【新情報】【家族】【再捜査】【捜査開始】

「後部座席から違う種類のガソリンが出ました~」【鑑識】【光宗薫】【AKB48研究生】

「小暮桃香の別れた恋人の新しい恋人【広澤草】の車のガソリンと一致しました~」

「指輪を忘れて行ったのよ・・・みえみえじゃない・・・だから事故を起こして焼き殺してやったのよ・・・」

「なんでそんなことを・・・」

「昔、酔ったおっさんに聞いたのよ・・・事故じゃないかもしれないのに事故になったって」

「同じ車だったのか」

「だから・・・私も事故扱いになるかと思ってたのに・・・」

「ステヤマがステヤマを生んでるのかよ」【標準語】【関西地方方言】【標準語】

「アタルを連れて帰る」【ラリー井上】【村上弘明】

「チョコザイくんを両親に帰してやってくれ」

「アタルを障害者としてではなく・・・天才として生かしたいのだ」

「天才とか障害者とか線引きする必要はないじゃないか」

「科学とは分割することなのだ・・・そして・・・薬指が心臓とつながった特別の指ではないことを証明する。薬指で混ぜても人さし指で混ぜても毒が毒であることを理解する必要があるのだから。天才の人生と障害者の人生のどちらが幸せが選択するチャンスを与えることが悪いことかね」

「本人が選ぶのであれば・・・」

「アタルはけして・・・愛玩動物ではない・・・意志を持った人間なのだ」

「チョコザイくん、チョコザイくん」

すりすりすりすりすりすり・・・。

「カレースープください」

「在・・・おにぎりたくさんつくってきたよ」

「ありがとうございます」

「どうして母のことを知っているんですか」

「あの事故は・・・俺が機捜にいた頃の最初の事件だった・・・俺がステヤマにしてしまったんだ」

「骨がありません」

「私【利重剛】が殺したんだ・・・私が真理子を殺した」

「なんですって・・・」

「夫婦げんかしたんだ・・・前の日に・・・」

「そんな・・・」

「骨がありません」

「自殺の理由はあったんだよ・・・」

「自殺じゃありません」

「・・・」

「骨がありません・・・」

「・・・」

「血がついてます・・・」

「そうなのね・・・特殊撮影すれば血痕が見える技術の進歩なのね・・・真理子さんは脳内出血してたのね・・・病死の可能性があるのね・・・あるいは発病による事故の可能性があるのね」

「中指がありません」

「窓があいてます」

「中指があります」

「窓が閉まってます」

【脳内出血】【痙攣】【麻痺】【右手だけが動く】【ブレーキが踏めない】【助けて】【誰か助けて】【窓をあける】【対向車】【衝突】【切断】【宙を舞うブレスレット】

【恐怖】【激痛】【失神もできない全身麻痺】

【暗転】

「お母さんは・・・自殺じゃなかった・・・」

「捜そう・・・ブレスレットを捜そう」

【特別ゲスト】【アクセサリー店主】【タモリ】

「その人は・・・ファミリーリングを注文していかれました・・・」

【捜査員一同】【嗚咽】【落涙】

「前を向くときは泣いてはいけません・・・今は泣いてもいいとも」

「ありがとう・・・チョコザイくん・・・ありがとう・・・」

「いいえ・・・これがボクのビジネスですから・・・礼にはおよびません・・・」

影がささやく。

「愛しているんだろう」

「愛・・・愛はいつもあります」

「ちゅー、ちゅー、ちゅー」

【捜査終了】

「お前・・・警察やめて・・・どうするんだ・・・」

「やるべきことをやるのです」

「秘密かよ・・・」

「でも・・・チョコザイくんがいなくなったら・・・泣いちゃう」

【別れの儀式】

「大丈夫・・・いつも一緒・・・」

影はささやく・・・。

「なんだよ・・・俺をプレゼントかよ・・・ちゅー」

「大丈夫・・・」【高視聴率】【続編決定確実】【再会】

空港のゲートが開く。空いっぱいにシャボン玉がはじけてとんだ。

関連するキッドのブログ→第1話のレビュー

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2012年6月27日 (水)

最後まで正義が勝てないなんてはずありえませんって・・・敗訴・・・ハイ、そうですか(新垣結衣)

なんでダジャレなんだよっ・・・敬意です。

いやあ・・・最後の最後まで面白かったなあ・・・そして、最後の最後までガッキーかわいいよ、ガッキーだった。

ついに・・・奇跡の2012年春ドラマのフィナーレである。・・・まだ「たぶらかし」があるじゃないか・・・まあ、あるっていえばあるし、ないっていえばないだろう。いや、もちろん、貴重な谷村美月は最後まで鑑賞するけどね。

なにしろ、今季ナンバーワン・バストだからな。

長澤まさみは上半身より下半身を売りにしていたからな。しかし、ノースリーブの花嫁衣装の時は上も下もどうぞだったけどな。

そして、日曜日はゴージャスに栗山千明のカレーうどん一気食いを堪能し、月曜日は軽く比嘉愛未刑事を楽しんでから戸田恵梨香の超カマトト・ヴァージョンを吟味、他にも、長澤まさみにひけを取らない脚線美サービスの土曜日の大政絢の妹っぷりとか・・・ドラマについては一切記憶にないがな・・・そして深夜でも東京ローカルの有村架純の一人二役とか、しょうもない脚本でも元気いっぱいの川口春奈とかもう、毎日がお気に入り女優の日みたいな・・・毎朝、堀北真希だしな・・・空前絶後のシーズンだったことは間違いない。

反動で・・・夏ドラマは憂鬱にならないか心配だ。

そういう意味でも・・・今季最後のガッキー、かわいいよガッキーはゆっくり味わいたいものだ。

とっとと本題に入らんかっ。

で、『リーガル・ハイ・最終回(全11話)』(フジテレビ20120417PM9~)脚本・古沢良太、演出・石川淳一を見た。多くの庶民にとって法とはシンプルなほどいいものだ。人を殺してはいけない。人を貶めてはいけない。人を傷つけてはいけない。人を辱めてはいけない。人を歩道橋からつきおとしてはいけない・・・このぐらいで充分である・・・なわけないだろうっ・・・って最後のはなんだよ。

まあ、とにかく・・・複雑すぎる法の専門家の職業ドラマとなると山ほどあるわけだが、コメディーともなればそう多くないわけである。もちろん・・・コメディーもどきはそこそこある。弁護士が主役で笑えるドラマとなると・・・「ドラゴン桜」までさかのぼってしまう・・・しかも「ドラゴン桜」は弁護士ドラマではなかった・・・だが・・・新垣結衣はすでにガッキー、かわいいよガッキーだったわけである。あの時のガッキーは・・・山Pを巡る長澤まさみとの三角関係を越えて東大受験に成功したのだった。

あのガッキーがこのガッキーのような気がしてしかたないわけである。

まあ、多次元世界では、医者になったガッキーとかもいるわけですが・・・。

とにかく、このガッキーが代表的ガッキーの一人であることは間違いないですな。

振り返ってみれば・・・新米弁護士・黛(新垣結衣)が通勤電車の中で古美門(堺雅人)と出会ってから・・・今日まで二人は一体愛し合っているんだかいないんだか・・・まったく不明なのである。

しかし・・・二人の間にはなにやら運命の赤い糸が結ばれているようである。

その糸は「トリック」における上田と山田を結ぶ糸のようなもので・・・ドラマにおける最高の恋愛モードを暗示しているのである。

まあ、それを感じないと・・・このドラマの魅力は半減するんだな、これが。

とにかく・・・「勝ったものが正義」そして「金払いのいいものだけが勝者となれる」という古美門と・・・「弱い人を守るのが法」そして「真実こそが正義」という黛。

まさに二律背反の二人が・・・愛と青春と正義と勝利とおいしいごはんのために妥協する。

これはやはり・・・コメディーと言わざるをえない。

リーガル・ハイは・・・リーガル天才・秀才だったと言っても過言ではないな・・・なんじゃ、そりゃーーーーー・・・オチを先に言うなよ。

黛が古美門にひどい仕打ちをされて家出して一年。

黛は独立して個人で仕事をしていたが・・・仙羽化学の公害訴訟の案件で自社に不利な内部告発をしたため、解雇された科学者・八木沼佳奈(田畑智子)から依頼を受けて・・・古美門に協力を願い出る。

八木沼は仙波化学のライバル社であるフロンティアケミカルラボに雇用されたのだが・・・実は仙波化学とフロンティアは社長同士が交友があり・・・八木沼は移籍後、飼い殺し状態にされたあげく、解雇されてしまったのである。最初から計画された報復人事であった疑いが濃厚なのである。そこで・・・八木沼は不当解雇について仙波化学、フロンティアの両社に対して訴訟を起こすというのだ。

黛を笑顔で迎えた古美門であったが・・・黛の要求は拒絶する。

「彼女は私たちの勝訴のために犠牲になってくれたんですよ」

「それはちがう。彼女は正義のために自己を犠牲にしたわけではない、正義のために犠牲になることに満足したのだ・・・ただそれだけのこと・・・」

「先生はまったく成長してませんね」

「成長していないのはお前だ」

交渉決裂と言う名の痴話喧嘩である。

はたして・・・タイトル通りにガッキーの六法全書スラッガーは炸裂するのかっ?

「いくら金持ちだって貧乏人だって人間でしょう」

「そりゃ、そうだ」

仙波化学の顧問弁護士は三木(生瀬勝久)である、美人秘書のくのいち沢地君江(小池栄子)もいるし、戦力外だが黛に勝訴したことがある井手孝雄(矢野聖人)も控えている。黛にとっては手強い相手である。そこへ・・・古美門がかけつける。

喜ぶ黛だが・・・古美門がやってきたのはフロンティアの弁護を引き受けるためだった。

黛は三木と古美門のダブル元上司と対決することになったのだった。

思わず唇かみしめる展開である。

「ひどい・・・先生は私の味方だと思っていたのに・・・」

「何を言う・・・いつも私は君を助けてやっただろう」

「私だって先生を助けました」

「なんだって・・・すべて私の実力の勝利だよ」

「あのときだってあのときだってあのときだって・・・ムキーッ」

裁判長「あの・・・裁判初めて・・・よろしいですか・・・」

「いくら金持ちだって巨費を投じた新築の屋敷を一夜で使い捨てにするでしょうか?」

「そりゃ、しないだろう」

黛は八木原と交換されるような形でフロンティアから仙波化学にトレードされた研究者を召喚する。

彼は八木原と同じように仙波化学で疎外され孤立してしまったと証言する。

しかし、三木は・・・証言者の個人的嗜好を暴露する。

「あなたには・・・秘めた部分がありますね・・・そして、それをときおり、解放したくなる」

「・・・」

「今、ここでそれを解放してみませんか」

「・・・いや・・・それは」

「どうしました・・・それこそが本当のあなたでしょう」

「・・・」

「それを会社でも時には解放するのでしょう。何も隠すことはありません。本当のあなたを私にお見せください」

「わかりました・・・」

どよめく法廷。

彼には女装癖があり、それを他人に見てもらいたくてたまらない時があるのだった。

変態の女神の証言者は所詮、変態なのである。

「これでは孤立もやむなしではないでしょうか・・・裁判長」

唯一の決め手を失い・・・敗色濃厚の黛である。

「いくら金持ちでも結婚したばかりの妻をたった一晩で捨てるでしょうか」

「そりゃ、しないだろう」

和解を勧めるために・・・黛を呼び出した古美門。

実は・・・黛には使えない禁じ手があったのだ。

仙波化学の社長と・・・八木沼は不倫関係にあったのである。

それを暴露すれば裁判を有利に運べるが・・・八木沼や社長の家族を巻き込むことになる。それは・・・黛にはできないのだった。

その点を煽る古美門だが・・・黛はやはり・・・その手にはのれない。

そんな黛に超事務員の服部(里見浩太朗)が囁く。

「古美門先生は黛先生を案じておられるのです」

「それはわかっています・・・わかっていますけど」

「しかし・・・黛先生はかってこうおっしゃいました・・・古美門先生にはなれない弁護士になってみせると・・・黛先生はまっすぐにその道を進めばよろしいのでは・・・黛先生のひたむきな瞳はきっと人の心を動かすことができますよ・・・古美門先生が北風なら、黛先生は太陽でよろしいのでは?」

服部に甘い言葉に励まされ・・・黛は得意の可哀相な私をお願い助けて作戦に転ずるのである。

確かにガッキー、かわいいよガッキーにしか使えない手である。

こうして・・・かっての敵対者たちが・・・黛に智恵を授けてくれるのである。

人権派弁護士として名高い大貫善三(大和田伸也)を居酒屋接待する黛である。

赤いよ、ガッキー赤過ぎるよも見おさめだ。

「ゴジラとガメラを一度に敵にまわしたらだめだよ。ゴジラは東宝だし、ガメラは大映なんだから敵対させれぱいい・・・東宝一社ならゴジラ対モスラとか、ゴジラ対キングコングとか、・・・それにしてもゴジラ対ガメラか・・・見たいな・・・」

こうして・・・ガッキーは三木弁護士との和解に着手するのだった。

裁判の犠牲となった三歳の女の子沙織の怨みを晴らすために古美門に反旗を翻す三木だった。

自動ドアの開かない検察官・杉浦(正名僕蔵)は「手持ちのカードがないなら・・・相手のカードを使えばいい・・・敵が理をとなえれば情に訴えるんだ」

そこで・・・ガッキーは古美門の用意した証人を検証するのである。

さらに・・・古美門の草の者であるイケメン忍者・加賀蘭丸(田口淳之介)をおだて役者の道に専念させることにも成功するのだった。

古美門の父(中村敦夫)からは「君は息子の手の内を知り尽くしている・・・後は若さでぶつかれ・・・ドスは腰を低くして身体ごと相手に預ける要領で心の臓ではなく腹を」とアドバスイされ・・・古美門の元妻(鈴木京香)からは「知るか」と一蹴されるのだった。

そして・・・古美門の用意した研究成功者には・・・「あなたは成功した・・・しかし、かってのあなたも八木沼さんのように不遇な時代もあったでしょう・・・すべての研究の成果はそうして冷遇に耐えた研究者の努力の結果ではないのでしょうか・・・あそこにすわっているあの人はかってのあなた自身ではないのでしょうか・・・」と訴えて・・・不利な証言を有利な証言に変換することに成功したのである。

そして・・・決定的な証言を・・・くのいち沢地から引き出すのである。

「私は仙波化学の池辺社長(神保悟志)が報復人事の指示を出すのをこの耳で聞きました」

これに反対尋問を試みる古美門。

「あなたの記憶違いではありませんか・・・」

「いいえ、私の記憶は確かです・・・たとえば先生が職場の同僚だった頃、私に言い寄った回数なども記憶しております」

「な、なにを・・・」

「当時、奥様がいらっしゃったにもかかわらず古美門先生が私に出したメールも保存してありますし」

「えーっ・・・」

「お読みします・・・恋しい恋しいきみえちゃん。君の胸に一度でいいから顔をうずめてやすらぎのひとときを・・・」

「もう、やめて~」

ついに古美門が法廷で泣いた日である。

そして・・・黛は勝利を確信したのである。

「いくら金持ちだからといって、一度使った爪楊枝を捨てるでしょうか」

「そりゃ・・・いや・・・それは捨てるだろうがっ」

勝利を決定付けるために・・・池辺社長自身を証言台に立たせる黛。

「あなたは確かに・・・フロンティア社長(東幹久)に対して報復人事を依頼しましたね」

「いや・・・してません」

「そうでしょう・・・えーっ」

「まったく記憶にありません・・・」

「そんな・・・」

池辺社長こそが古美門の仕掛けたトラップだったのだ。

黛は自ら墓穴を掘ってしまったのである。

「ひどい、ひどい、古美門先生の意地悪~」

「太陽なら相手を焼死させるほど完全燃焼しなければな」

「むきーっ」

裁判長「あの・・・判決読んでいいかな・・・」

もう、おわかりでしょうね。これは法廷闘争と言う名の痴話喧嘩なのです。

とにかく・・・黛より古美門がやはり一枚上手だったのである。

その後、三木の写真の正体が案の定、訴訟で問題となった新薬の実験台の小動物だったことが判明し・・・男たちは涙で殴り合い、男たちのケンカが好きな沢地は歓喜し・・・黛は古美門事務所を閉め切って世界の中心でなんじゃそりゃあを叫ぶのだった。

そして・・・再び黛の古美門事務所での修行の日々が再開するのである。

だって・・・二人は相思相愛なのですから・・・。

お互いを指差し確認するほどに・・・。

ああ・・・最後の最後までまったく隙のない展開。また二人に会える日が楽しみでございますねえ。

ああ・・・春が終わっていく・・・。

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2012年6月26日 (火)

ニュートンのゆりかごと臨時収入と真犯人(玉木宏)と私(戸田恵梨香)と彼(大野智)

ぶっちゃけた話だが・・・原作的には密室トリック解明おタク・・・榎本は泥棒である。

つまり、窃盗犯なのだが・・・重要参考人でも容疑者でもなく取り調べられたこともない。

だから・・・犯罪者として彼を認知しているのは彼だけなのである。

あくまでフィクションなので彼が殺人鬼であろうと窃盗の常習犯であろうと違いはないわけだが・・・お茶の間に供する娯楽としてのドラマでは公共性の問題がある。

あまり・・・犯罪者をヒーローのように描くのは好ましいものではないという不文律が働くわけである。

悪魔としてはちゃんちゃらおかしいし、虚構に対する冒涜だと思うが未熟な人間というものが存在すると考える未熟な人間がいる以上・・・自主規制というものは常に安全策の一つとして成立するのだな。

だから・・・このドラマでは榎本の正体をギリギリ曖昧にして幕を閉じるわけである。

すべてはお茶の間の想像におまかせします・・・ということだ。

ま・・・そういうことなのです。

で、『のかかった部屋・最終回(全11話)』(フジテレビ20120625PM9~)原作・貴志祐介、脚本・相沢友子、演出・松山博昭を見た。もはや、弁護士というよりも探偵となった新米弁護士・青砥純子(戸田恵梨香)はすべてを捧げた彼が何者かも知らないガードの甘い女なのである。まあ、そういうことはよくあります。

なぜなら・・・誰もが・・・交際相手の私生活や経歴を即座に調査する機関を持っているとは限らないからです・・・普通、みんなそうだろう・・・そうなんだ。

しかし、闇の世界に生きるものにとっては・・・それらは生きる基本であり、欠かせない生活の知恵なのですな。

通りすがりの窓ふき職人・佐藤学(玉木宏)は実は闇の世界に生きていてターゲットの周辺情報の収集には余念がないのだった。

彼は介護サービス会社ベイリーフの穎原昭造社長(佐々木勝彦)のすべてを知っていたのである。

そのために・・・東京総合セキュリティの解錠職人にして密室トリック解明おタク・・・榎本径(大野智)と昭造社長の関係を知り・・・密室を破る技術とみせかけの動機がある榎本を濡れ衣を着せるために密告するのである。

しかし・・・最初の容疑者・久永専務(中丸新将)が過酷な取り調べによって自暴自棄になり虚偽の自白をしたために榎本は釈放されてしまうのである。

榎本と対峙した佐藤は「あんたも・・・こっち側の人間なんだろう」と問いかける。

しかし、榎本は無言である。

この場合、佐藤は犯罪者として榎本に共感を求めたわけである。

しかし・・・榎本を密告した時点で・・・佐藤はその資格を失っているわけである。真の犯罪者であれば・・・事件後に周辺にうかつに介入しないものなのだ。真の犯罪者である榎本は佐藤とは違い用心深くけして尻尾をつかませない。そういう意味で・・・佐藤は・・・どちらかと言えば青砥や芹沢弁護士(佐藤浩市)の側にいる人間であり、実はダーティー・ヒーローであり、今のところ完全犯罪者であり、真の悪人である榎本とは違う側にいるわけである。

ただし、榎本はゴルゴ13とは一線を画しているらしい。

つまり、「盗み」はするが「殺し」はしないのである。

まあ・・・人の命を奪うのも一種の泥棒なんですけどね。

結局・・・佐藤の動機は・・・復讐だった。

その本筋解明の前に・・・この複雑な事件の被害者・昭造社長の犯罪を・・・青砥が解明する。

昭造社長は会社の金を着服して・・・時価六億円相当のダイヤに換え社長室の秘密の保管庫に隠匿していたのである。

ベイリーフの介護ロボットはその保管庫を持ち上げるためのシステムだったのである。

そして・・・保管庫のダイヤは消えていた。

さて、佐藤の動機の解明は・・・またしても青砥が解明する。

佐藤の本籍地を入手した青砥は佐藤の過去を調べ上げる。しかし・・・佐藤は実は佐藤の同級生・椎名章であり、椎名の両親は昭造社長にそそのかされて投資に失敗、自殺していたのである。

しかし・・・復讐を果たした佐藤は己の罪に悩む善人に過ぎなかった。

その心理を読みとった真の悪人である榎本は佐藤を心理的にコントロールするのだった。

「結局、最後のガラスを破って・・・傷だらけになってしまったのでしょう。あなたは人を憎めても罪を愛することはできない善人です。どうしますか・・・私が通報しましょうか。それとも自首しますか・・・。刑に服し・・・罪を償えば・・・あなたの心は自由を取り戻せるでしょう」

「・・・自首します」

真の悪人である榎本は悪の機会を逃がさない。

すでに・・・佐藤が強奪したダイヤのうち、1億円分はダミーにすり替え換金していたのである。

榎本にとって盗みこそ本業だからである。

うかつにも・・・名探偵・青砥は恋人である榎本の正体には全く気がつかない。

「どこへ行っていたんです?・・・彼女の私がこんなに心配しているのに」

「連絡が遅れてすみません・・・旅支度に忙しかったものですから」

「旅ってどこへ行くんです?」

「さあ?」

「いつまで・・・?」

「さあ?」

ガラスの向こう側の青砥を残し、榎本は臨時収入で一人バカンスに旅立つ。

善良で憐れな愛人にそれを告げる榎本はもちろん・・・魔王の微笑みを残すのである。

取り残された青砥に芹沢は問う。

「なんだって?」

「さあ・・・?」

ちなみに・・・榎本がビリヤードにたとえて語る昭造社長の頭蓋骨・窓ガラスのハンマー・ボーリングの凶器は運動量保存則と力学的エネルギー保存の法則の実演のために作られたニュートンのゆりかご(カチカチ玉)と呼ばれる装置に象徴されるものである。

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○    ○○○○

・・・こういう奴です。

さすがに・・・唯一の帝国タイトルを確保した魔王様である。

悪の微笑みに痺れたぜ。

ニュートンのゆりかごの反対側の鉄球のように・・・心をゆらされるモラリストたちの受けただろう衝撃がうふふ・・・でございましたね。この脚本家ならでは・・・でしたな。

まあ・・・旅先でリゾートスタイルに変身した青砥が榎本に合流するという大どんでん返しはさすがにありませんでしたけど~。

その場合は知らぬは芹沢ばかりなりで多重人格一同爆笑でしたけど~。

今回、芹沢が正解らしきものにたどり着いた時の夜の世界を連想させる青砥のヨイショぶりに・・・そういう予感を感じさせる戸田恵梨香のパフォーマンスもさすがでしたな。

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2012年6月25日 (月)

転げ落ちていくよ・・・何処までも・・・何も変わらない・・・それなのに(松山ケンイチ)

平成日本では・・・たとえば選挙である。

もう・・・どれほど・・・くりかえしただろう。

それなのに何も変わらない気がしてしまう。

リーダーをチェンジして・・・またチェンジして。

失言をして、失敗をして、失墜してやりなおし。

かわったふりをして・・・同じあやまちをくりかえす。

そして・・・かわらないどころじゃなくなっていく。

転げ落ちて行く。どこまでも。どこまでも。

それでも信念を持って生きて行く人々はいる。

新しい何かを見つけるために。

そして、また悲劇の幕はあく・・・。

それでいいのだ。それが世界なのだ。それが人間なのである。

なにしろ万物は流転するのだから。

で、『平清盛・第25回』(NHK総合20120624PM8~)脚本・藤本有紀、演出・柴田岳志を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はイラスト描き下ろしはお休みですが・・・源氏の女として気概をみせつけて儚い一生を閉じた由良御前の再登場・・・そして次なる波乱の主役・藤原のブー頼ふたたびでお得でございます。そろそろ常盤御前が来るかな~とか、平滋子はまだかな~とか贅沢は申しませんのでマイペースでお願いします・・・だからおねだりはコメント欄でしろと・・・。

Tairakiyomori23時は流れて行く。保元の改革ともいうべき信西入道の日本再生計画は着々と実を結んでいく。当然、既得権益者の不平不満はエスカレートしていくのである。結局、内政は税制改革であるし、外交は貿易振興である。私的財産(荘園)を没収し、公的所有物(国有化)として再分配していくとなれば「もてるもの」はたまったものではない。また国家が貿易に介入すれば密貿易者のうまみはなくなってしまう。さらに実力主義を展開すれば、非力なものは怨むのである。信西は藤原頼長よりも国力を高めたが・・・権力者たちの怨嗟の声はさらに高まっていく。それを鎮めているのはただ圧倒的な軍事力を持つ平家一族がバックについている・・・それだけである。二条天皇誕生によって・・・王家には再び、上皇派と天皇派の派閥争いが生じて行く。恐ろしいことに・・・信西は両方の派閥から標的となっていくのである。一方、平清盛は血縁関係でより安定を図ろうと試みる。天皇派の黒幕である美福門院と縁の深い藤原成親の娘を長男・平重盛の妻とし、信西の子息や藤原信頼の子息には娘を嫁がせる。いわば・・・全方位外交である。もちろん、平家としては安泰を求めて当然の行動であるが・・・結局、そのことが信西入道の危機を深めることになるのである。つまり・・・平家が信西を守るとは限らないということを他の勢力に暗示しているのも同然だからだ。一方、源義朝は王家との唯一のパイプとも言える正妻・藤原由良を保元四年(1159年)二月に失い・・・追い詰められていく。そして・・・運命は・・・信西を強く憎む藤原信頼を後白河院厩別当につけ・・・源義朝が左馬頭だったことから・・・馬を通じて陰謀を芽吹かせることになるのである。

信西暗殺の機運は・・・二条帝即位によって改元された平治元年(1959年)の末には充分盛り上がっていた。

出雲国には天皇の忍びである大伴半蔵こと西行と波音の指揮する平家伊賀忍びが潜入してはや・・・四年の歳月が過ぎようとしている。

その後、時代は大きく動いたが上西門院と名を変えた統子内親王から命じられた「最後の妲己の封印」探索は難航し・・・忍びたちはこの国に足止めされていた。

波音の配下には刑死した平忠正の一族に縁深いものもあり、一時は激しい動揺もあったのである。

また、信西の改革により、地方豪族と官人との間の摩擦も高まっていた。古くより大国であった出雲には八百万の神々があり、権力構造も複雑化している。何より、ヤマトノオオキミになびかぬアマテラス直系を自称するアマコノタミさえ現存するのである。

妲己の封印は古き神々の伝承に埋もれ、なかなかその正体を明かさなかった。

都より源出雲守光保(みつやす)が出雲国府に出張してきたのは秋風が吹く季節だった。

光保はすでに正四位下という清盛と同じ位まで昇った摂津源氏の棟梁であるが、北面武士であり、かって佐藤宗清と呼ばれた頃の西行の後輩であり・・・そして天皇の忍びであった。

「大伴半蔵様・・・上西門院様よりの伝言がございます」

「なに・・・」

国府の館で密会した西行は思わず言葉を乱した。

「すると・・・やはり・・・斐の川の上流に封印があるのだな」

「はい。おそらく・・・八岐大蛇の塚に二重になっているだろうと申しておられました・・・」

「そうか・・・八岐大蛇の封印を一度解き、その下に封印を忍ばせて・・・また八岐大蛇を封印したのか・・・」

「妲己の封印を解くためには八岐大蛇の封印を解かねばならず・・・それでは手不足であろうと摂津源氏、美濃源氏、近江源氏の忍び武者どもを引き連れて参ったのでございます」

「さもありなん・・・」

西行は行く手に待ち構える妖しの戦に暗澹とした気持を感じる。

そこから気をそらせるために・・・口調は軽くなる。

「光保殿は大層な出世でおめでとうござる」

「いや・・・影の棟梁にそう言われてはお恥ずかしい限りでございます・・・」

「都の趨勢はいかがか・・・」

「なんとも・・・信西様は辣腕をふるっておいでですが・・・都雀の怨嗟の声は高まるばかりですな」

「ピーチクパーチクうるさかろう・・・」

「信西様暗殺の気配もございまする・・・」

「清盛殿がおる限り・・・それはあるまいて・・・」

「しかし・・・源氏の中では・・・あらぬ噂が飛び交っておりまする。源義朝に後白河院より密命が下ったなどと言うものもあり・・・」

「義朝か・・・しかし・・・上西門院様が由良御前を通じておいさめするだろう」

「・・・由良御前は亡くなりました・・・」

「何・・・」

「おそらく・・・妲己のあやかしの力が働いている・・・と統子女将・・・上西門院様は申されておりました」

「またも都は乱れるか・・・」

「一刻も早く任を成し遂げねばなりませぬ・・・」

「・・・」

翌朝、忍びの一群は根の国に通じるとされる斐の川を遡上し・・・ヤマタノオロチとの決戦に踏み切った。

すべての戦いが終わった時・・・生き残ったのは西行と波音そして源出雲の三人だけであったという。

それでも・・・封印は完全には解けなかったのである。

最後の封印から取り出されたのは最後の最後の封印の解呪の鍵であった。

波音は傷ついた顔から流れる血をぬぐいながらその鍵を茫然と眺めた。

「きりがないではないですか・・・」

西行も源出雲も精魂尽き果て・・・無言だった。

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2012年6月24日 (日)

最悪の夏を待ちながら(キッド)

予定では・・・今日は「カエルの王女さま」の記事で谷間を埋める予定だったのだが・・・。

なんていうか・・・最終回の出来の悪さに唖然としてしまい・・・とてもじゃないが・・・恐ろしい記事を書きそうなので・・・やめることにした。

で・・・ついでに・・・すぐに始る夏ドラマについて・・・ひょっとしたら「カエルの女王さま」だらけの夏になるのでは・・・という予感に震えたので書いておくことにする。

なにしろ・・・ロンドン五輪の夏なのである。

気分的には・・・「ロンドン五輪を待ちながら・・・」と書けばものすごくテンションあがるわけである。

逆に・・・連続ドラマ陣営は恐慌に襲われているといってよいだろう。

ロンドン・オリンピックは7月27日から8月12日までのおよそ二週間。つまり・・・筋書きのないドラマが本当のドラマを駆逐するのだなーーーっ。

つまり・・・春ドラマが奇跡の良作ぞろい・・・豪華なスター集合体だった理由がここにあります。

で、キッドのブログ的に絶対安心なのが・・・(日)「平清盛」である。もう一年やってるわけだから・・・問題ないよね。

で(日)には・・・豪華スター共演の・・・二本がある。

一本目は豊川悦司と芦田愛菜の「ビューティフルレイン」(フジテレビ)である。

俳優ナンバーワンと子役ナンバーワンで父娘難病もの・・・これは手堅い。

TBSVSフジの日9戦争は結構激戦と化している。

TBSとしては唯一の良作ゾーンを死守と言う感じ?

しかし・・・今回はTBSはう、うたないで~の人が脚本なのだ・・・ものすごいチャレンジだな~。

だが・・・主演は「ゲゲゲの向井理」と「カーネーション尾野真千子」なのである。

これで僻地医療もの「サマーレスキュー~天空の診療所」である。

「Mother」的には実の娘と実の母が雌雄を決するわけである。

まあ・・・脚本的には・・・う、うたないで~の人がせっかく築き上げた向井と尾野のステータスを崩壊させる危険をはらんでいるわけであるが・・・それはそれで面白いのだな。

だから・・・。

(日)平清盛

(月)ビューティフルレイン

(火)サマーレスキュー

というラインナップはありえる。

おい・・・月9とか、火9、火10はどうした。

いやあ、小栗旬と石原さとみと相武紗季の三角関係とか・・・。

武井咲と江口洋介の無国籍ラブとか・・・。

EXILEのGTOとか・・・どうでもいいわ~。

「息もできない夏」は「エンディング・プランナー」であれだけ応援した渡辺千穂脚本なのだが・・・。だから・・・応援はなでしこジャパンとかにしたいわけで・・・。

どうせなら多部未華子の「浪花少年探偵団」ね。でも月8なんだよなあ。

(水)は一応「トッカン 特別国税徴収官」・・・井上真央、木南晴夏で。だけど税金ものは「マルサの女」と「窓際さん」以上のものは難しいんだよな、結局。

(木)はオムニバスだが・・・長澤まさみ、戸田恵梨香の回がある以上、木10「東野圭吾ミステリーズ」(フジテレビ)で。

ただし、あのワクに飯田譲治がオカルトものでくるから・・・一応、留意。まあ、「CONTROL~犯罪心理捜査~」は今ひとつだったわけだが・・・オカルトならね。まあ、正義の味方(姉)というのが微妙ですけれど~。そういう意味で・・・。

(金)「Vision-殺しが見える女-」(日本テレビ深夜)と「黒の女教師」(TBS金10)はペンディングで。大野いとの出番次第で・・・。お前・・・ハスキーなふにゃふにゃ・・・好きだな。

ついでに(土)も「ゴーストママ」と「マジすか学園3」のペンディングで・・・。

おいっ・・・。だって仲間+志田と・・・48人の勝負なんだぜ・・・。

というわけで・・・ドラマファンの皆さん、恐怖の夏が近づいていることがおわかりになりましたでしょうか。

逆境の中から素晴らしいドラマが生まれてくることを神に祈りましょう。

もちろん、キッドは祈りません・・・悪魔ですからな。

見て面白ければ一生懸命書く、つまらなければそれなりに書く。

そういう感じ。

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2012年6月23日 (土)

もう一人と俺と君と、サイドカー(竹野内豊)

このドラマをこよなく愛する皆様なら・・・ラスト・シーンで第一回のあのシーンを思い出したことでしょう。

くも膜下出血で倒れ、緊急手術に向かう可南子と波留の・・・ある意味、別れの会話です。

「サイドカーもいいかもしれないな・・・」

「なにそれ・・・」

「二人でバイクもいいけど・・・サイドカーもいいかな・・・と思って」

「ふふふ・・・早くしないと年をとっちゃうよ・・・」

「いいじゃないか・・・じいちゃんとばあちゃんでバイクとサイドカー」

そして・・・可南子は一度死んでしまう。

生まれ変わった可南子は波留を忘れていたわけです。

それから・・・二人がどのような紆余曲折を経て三人になったか・・・。

そんな愛すべき夫婦の愛の物語を楽しめて・・・今季は本当に幸せでしたねえ。

まあ、ちょっと途中はハラハラ、ドキドキさせられましたが・・・それがドラマというものですからな。

で、『もう一度君に、プロポーズ・最終回(全10話)』(20120622PM10~)脚本・桐野世樹、演出・村上正典を見た。波留をこよなく愛し、守り、育てた養父の太助(小野寺昭)は逝去した。可南子が記憶を失わなかったら・・・その最後の過ごし方は違ったものになっていただろう。しかし、どのような危機が巡って来ようとも・・・太助は全身全霊で波留の幸せを願うのである。最後の最後まで波留の幸せのための努力を忘れない・・・偉大な義父だった。

太助の去った世界に一人残された波留(竹野内豊)・・・しかし、太助のお膳立てにより・・・そこには可南子(和久井映見)がかけつける。可南子は波留の背中を見つめ・・・家族としてふるまうことを決意する。それが・・・太助の最後の願いだったから。

可南子はすでに実父の葬儀を経験している。茫然自失の波留を支えて・・・葬儀の段取りをつけるのである。その過程で波留は父の遺言を発見する。

「もしもの時に連絡してもらいたい人のリスト」である。

波留はリストに乗った人々に電話をかけ、同じ言葉を繰り返すことで・・・喪失感を埋める。

「宮本波留と申します。宮本太助の息子です。本日、父は他界しました。生前、お世話になった方々にご連絡申し上げております。葬儀は・・・」

リストのすべての人々に電話をかけていく波留を可南子は家族として見守るのだった。

「こんな・・・リストまで用意して・・・頼りない息子だよな・・・俺って」

「いい・・・お父さんでした・・・」

「・・・ありがとう」

「いいえ・・・」

「遅くまで付きあわせて悪かったね・・・送っていくよ」

「いえ・・・」

「どうせ、家に一度帰らないといけないし・・・喪服とか・・・」

「それなら・・・私が・・・とりにいきますよ・・・」

「そんな」

「でも・・・どなたからか・・・電話があるかもしれないし・・・」

「・・・それじゃ・・・お願いします」

「はい」

・・・もうすでに、もう一度、プロポーズ完成じゃないか・・・。

しかし・・・可南子の帰りを待つ波留が天国の父親とキャッチ・ボールをすると・・・転がったボールは太助からの最後の贈り物にたどり着く。一通の封筒。

そこには少年時代の波留と若き太助の写真が一枚。手紙はその写真を送り返してきた人のものであった。

波留は瞬時に・・・その人が実の母親・晶子(朝加真由美)だと悟るのだった。

波留を幸せにするために巧妙に仕掛けられた太助の罠は次々と炸裂していく。

すべての父親の魂に栄光あれ・・・なのだ。

幸せへと続く最後のパラパラ・タイトルである。

あ~、もう、終っちゃうのかよ・・・とお茶の間のざわめきが聞こえました。

さあ、二人を乗せたバイクが走り出した~。

・・・と思ったら葬儀である。

しかし、波留と可南子は喪服の似合うお似合いの夫婦にしか見えないのだ。

告別式ではミズシマオート社員一同・・・奮励努力なのである。

刻々と過ぎて行く太助の死後の時間。そして・・・波留と可南子は最初の共同作業を粛々と続けて行くのだった。

その姿を見て・・・悪夢からさめたにみえる・・・実はそうではないことがこの後、わかります・・・愚弟・裕樹(山本裕典)が語りだす。

「波留さんって大人だなあ」

香典の受付を手伝いながら桂(倉科カナ)は鼻で笑う。

「年の差でしょう」

「だって・・・俺なんか・・・父親が死んだ時、ワンワン泣いて・・・今、思い出すとみっともなかった・・・」

「子供だったからでしょう・・・いいんじゃない・・・その方が・・・素直で」

「そうかな・・・とにかく・・・あの時は・・・親父がいなくなって一人取り残されたみたいな気がして・・・母さんや・・・姉さんはいたけど男は俺一人なんだって・・・」

「あなたって・・・結局、ものすごい男尊女卑なんじゃない・・・」

「そ、そうかな・・・」

「それに・・・みてごらんなさいよ・・・波留さんは・・・一人じゃないもの・・・可南子さんがいるもの」

「・・・なんだ・・・もうすっかり敗北者なんだ・・・」

「最初から・・・勝負にならなかったって思い知ったわけ・・・」

「ふ~ん」

もう、このパートはどう改変してもなんの問題もないほど、別次元だな。そういう意味でも不思議なドラマでございました。

こうして・・・太助は空に帰っていきました。

すべての儀式が終わり・・・波留と可南子は二人寄り添う。

「なんだか・・・あっという間だったな・・・後は役所に行って・・・銀行に行って・・・家の始末もつけないと・・・その前に遺品整理か・・・」

「大丈夫ですか・・・無理していませんか・・・」

「いや・・・そんなことないよ・・・いろいろとありがとう・・・」

「少し、休まないと・・・」

「大丈夫・・・一度、家に戻るし・・・」

「だったら・・・私も一緒に行っていいですか・・・」

「・・・え・・・」

もう一度、君にプロポーズその二である。

可南子はおかずと味噌汁そしてごはんを波留に用意する。

宮本家のふつうの日々が突然、戻ってきたのだった。

「うん、うまい」

「よかった・・・」

可南子の優しさに波留はとまどう。とまどいつつ・・・その優しさに包まれていく。

食後のコーヒーは波留が入れる。

可南子は・・・なつかしい折り紙を発見する。

たまたま宮本家にやってきた子供のために可南子が作ったものだ。

それを捨てずにとっておいた波留の気持ちが可南子にはうれしかった。

「これ・・・まだとっておいたんですね」

「うん・・・なんとなくね・・・」

折り紙は波留の心にひっかかっていた可南子への謝罪の言葉を呼び出す。

「可南子の日記を読んでしまって・・・一つだけ・・・可南子にあやまりたいことがあったんだ」

「・・・」

「可南子、子供好きだろう」

「・・・」

「結婚して・・・しばらくして・・・可南子が子供のことについて話したことがあったんだ」

「・・・」

「でも・・・俺は・・・なんとなく・・・はぐらかして・・・そして、可南子にいやな思いをさせてしまったらしい・・・」

「・・・」

「今更、あやまられてもなんのこっちゃだろうけど・・・とにかくごめんなさい」

「いえ・・・」

「可南子にとっての一番の幸せを考えて離婚を決めたつもりだったんだけど・・・本当は・・・何が一番なのか・・・今はわからなくなっちゃった・・・」

「私も・・・私もです。私にもわかりませんよお」

もう一度、君にプロポーズその三である。

何回、プロポーズする気だっ。

葬儀疲れでついにソファで眠ってしまう波留。可南子は離婚のための荷物からそっと自分の日記を取り出す。

波留に毛布をかけ・・・その寝顔を見つめる可南子である。

翌朝・・・可南子はおにぎりを作ると宮本家から出勤するのだった。

「あの・・・日記を持って行っていいですか」

「もちろん・・・いいよ」

波留は可南子の決意を感じる。しかし・・・まだ確信にはいたらないのだった。

ここが・・・最後の運命の分岐点だったな・・・。

後は・・・太助の仕掛けた最後の爆弾の破裂を待つばかりなのだ。

もう、ニヤニヤがとまらないわけである。

折り紙・・・可南子の日記・・・赤い車・・・鯛焼き・・・ツバメ時計。

このドラマのアイテムの使い方は絶妙だが・・・脇役のセリフによる暗示力も抜群である。

ここからは・・・本当のもう一度君に、プロポーズに向けて波留と可南子の周囲に福音が満ちて行く。

ミズシマオートでは葬儀の世話の礼を波留が述べ、日常が戻ってくる。

そこへ新規の仕事がやってきて、桂が積極的に志願をする。

波留は修理が完了した赤い車の去った空白を眺めて感慨にふける。

「娘を嫁に送り出した気分ですか?・・・治っちゃって寂しいとか・・・」

「そんなことはないよ・・・みんなで一緒に修理して絆も深まったし、それなりのスキル・アップもあっただろう・・・そしてクルマは無事に持ち主のところへ戻っていった・・・親父を最後のドライブに連れていけたし・・・いいことばかりさ・・・」

「なるほど・・・」

「お前こそ・・・いやにやる気だしてるじゃないか」

「私も赤い車を治して・・・なんだか・・・自分の可能性に賭けてみたくなったんですよ。レストアだけでなくて、波留さんや社長に学んだことをもっともっと発展させて、チューンナップに挑戦したりして、コンピューターでアクセル開度調整したり、空燃費補正したりして、点火いじったり、排気温度安定させたりで馬力アップで走り屋仕様のベストセッティングもバッチリみたいな・・・」

「湾岸MIDNIGHTの読みすぎなんだよ・・・」

図書館では館長(杉本哲太)の恥ずかしいデビュー記事が発見される。

「イエイ、今度、館長になった大橋だぜ、カモンベイビイ、読書魂命でかっとぶんでそこんとこヨロシク」

「ははは、私も若かったですね」

「もっと恥ずかしがってくださいよ~」

「いや・・・こういう未熟な自分もかわいいじゃないですか。人はどんどん変わっていくものですが・・・昔の自分も自分だし・・・そういう昔の自分があってこそ・・・今の自分があるわけですから」

この一言で可南子は忘れ去られた自分に向き合う覚悟がついに定まったのである。

ミズシマオートでは仲間たちの家族のような暖かさを実感した波留が社長に後継問題についての返事をする。

「俺でよかったら・・・この会社を継がせてください」

「そうか・・・決心してくれたか・・・よかったな・・・もっともまだ当分はこのイスは渡せんがな・・・そうか・・・この会社を継いでくれるか・・・うれしいな・・・後に続くものがいるって本当にうれしいことなんだな・・・」

波留は太助のことを思う。

波留がいることで・・・義父はうれしかったんだろうか。

そうだとすれば・・・それは・・・心が休まることなのだった。

そうした・・・心が触れ合う人々がいる一方・・・暴走機関車・裕樹は最後の脱線を開始するのだった。

志乃(市川由衣)を呼び出したのである。謝罪の言葉を期待したお茶の間はのけぞることになります。

「きてくれてありがとう・・・」

「どこにいこうか」

「いや・・・今日は話だけ」

「・・・」

「やはり、俺たち別れた方がいいと思うんだ」

「なぜ・・・」

「結局・・・俺は君の事が好きになれないらしい」

「まあ・・・びっくり」

「話はそれだけだ・・・納得いかなかったら・・・何度でも説明するよ」

「あなたって・・・最低・・・」

「どうもそうらしいよ・・・俺って最低みたいなんだ・・・はははは」

「・・・」

まあ、本筋とは完全に無関係なのでここは早送りしてもまったく問題ないですねえ。

キッドは編集作業で最終回の弟のシーンはバッサリ行っちゃってます。

だって・・・不必要なんだもの・・・なんだろう・・・脚本協力者の失恋の思い出コーナーみたいなものなのかな・・・これって。

この後は・・・ミズシマオートの人々が裕樹を交えて和気藹々とするわけですが・・・波留が登場しているとはいえ・・・ここもまったく本筋とは関係ないわけで・・・ねえ。

ある意味、もう一度君に、プロボーズ・・・最大の汚点ですよね。だってどう考えても・・・分析不可能ですから・・・最後の弟と波留の会話なんて・・・会話として成立してません。

「別れ話してきたんです」

「あれ、恋人いないんじゃなかったっけ」

「いえ、波留さんのおかげなんです」

「おいおい、俺のせいで失恋しちゃったの?」

「ちがいますよ・・・波留さんのおかげで好きじゃない人に好きじゃないって言うことができたんです」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

・・・もういいだろう。

まあ、百歩譲って若さというものが未熟なものである以上・・・そのシンボルである裕樹は未熟を極めているということですかな~。譲ったな~。

結果として不条理恋愛コント、唯我独尊くんみたいなことになってます。

優しすぎて、好きでもない子に好きと言われてつい付き合った男の我慢の限界の果ての告白みたいなことになってますが・・・もう少し、情にほだされるとか、だんだん好きになるとか、妥協するとか、姉のことはあきらめるとか、・・・まあ、いいか。

その頃・・・可南子はついに・・・日記を通じて失われた可南子にご対面である。

可南子が日記に登場する可南子の物語に酔いしれたことは言うまでもありません。

かってお茶の間がときめいたように・・・ようやく本人もときめく時をむかえたのです。

「いつまでも波留さんと・・・幸せな毎日を過ごせるように・・・がんばって努力しないとダメなのだ・・・小さな幸せを迎えに行くのだ・・・」

今、可南子は可南子'とほぼ一体化したのである。

記憶は・・・つまり・・・内に秘められているものとは限らないということである。

一方、波留は義父の残した実母への鍵を見つめて決断を迫られています。

「自分は・・・子供を持つことに・・・そんなにこだわりがあったのかな・・・」と波留は思う。

可南子が波留と一緒に見たかった映画の約束をすっぽかしたのは・・・近所の子供のラジコンカーの修理につい熱中したからだった。

波留は自分も子供が嫌いではないことを改めて考える。

そんな自分が自分の子供について・・・考えようとしないのは・・・やはりわだかまりがあるからなのかもしれない。

そのわだかまりは・・・見知らぬ実の母の存在と関係あるのだろう。

逢わなければ・・・逢ってみなければ・・・。

ついに決意した波留は晶子に連絡するのだった・・・。

波留の実家に弔問に訪れた晶子。

実の母子は40年ぶりに再開する。

波留と晶子の胸には様々な思いが交錯する。

「結婚されているんですね・・・お子さんは・・・」

「おりません」

「・・・うちもなんです・・・」

途切れがちな会話である。

そこでツバメ時計が時を告げる。

「この時計・・・まだあったんですね・・・」

「・・・」

「生まれたばかりのあなたはよく泣く子だったんです・・・」

「・・・」

「でも・・・なぜかこのハト時計の声を聴くと・・・どんなにぐずっていも不思議と泣きやんで・・・だから・・・宮本さんにあなたを託す時に・・・一緒にお渡ししたんです・・・」

「そうだったんですか・・・」

「私は15歳でした。未熟過ぎて・・・あなたのために何もできないと思ってました。だから・・・あなたを託した時、もう二度と会うまいと決めたんです。でも・・・勝手なことを言うと思われるでしょうけど・・・その日からこれまで・・・あなたが幸せであるようにと願わない日は一日もありませんでした」

「・・・」

「・・・」

波留は涙をこらえて言う。

「ちょっと外にでましょうか。父とよく行った神社があるんです・・・」

波留は泣きたい気持ちをこらえているのである。

わだかまりはもうなかった。波留の心の中の15歳の母はただただ可憐だった。

どんな相手が父親で・・・どんなことがあって自分を生むようになったのか。

そんなことはどうでもよかった。

養父も養母も自分を充分に愛してくれたし・・・実の母も自分を思っていてくれたのだ。

何も言うことはない。

「ここで・・・父とはよく話をしました・・・本当の母親がいることを教えてもらったのもこの場所です。・・・冗談ばかり言っていたけど・・・嘘はつかない人でした」

「・・・」

「奇跡だと思ったんですよ・・・あんなに優しい父に育てられたことは・・・でも、違っていた・・・父はあなたの意志を受け継いで努力に努力を重ねていたんですね・・・俺は・・・ずっとずっと幸せでしたから・・・」

「・・・」

「この写真(波留の幼い頃のアイテム)はあなたがもらってくれませんか・・・そして・・・時々は逢いにきてください・・・いつでも待ってますから・・・」

「・・・」

「いつか父のような父親になりたいと思っています」

そっとさしだした波留の手をおずおずと握る晶子・・・。

「・・・大きな手」・・・晶子はこらえていた涙を流す。

いま、波留にかかっていた呪いは解けたのである。

谷村家の食卓にはサクランボが乗っていた。

可南子は母(真野響子)に問う。

「夫婦が長続きする秘訣をそろそろ教えてください」

「そりゃ・・・どちらかが先立つことでしょう・・・でもね・・・まあ、やはり・・・家族を信じるってことかな」

「家族を?」

「そう・・・どんなに困難でくじけそうな時でも・・・家族だけは自分の味方だと信じること・・・そうすれば愛は勝つのよ」

「そうか・・・私も信じてみるか・・・」

「やまだかってないテレビを・・・?」

「家族をですよ・・・」

さあ・・・クライマックスです。

波留は決意を固めて秘匿していた結婚指輪を取り出します。

そして、可南子の家へ・・・。

バイクですから・・・いつ事故るんだと最後のドキドキハラハラポイント。

「可南子はでかけましたよ・・・スタート地点に戻ってみるとか言って」

ふたたび・・・波留は可南子との出会いの場所へ。

残念・・・桜は散って・・・若葉の季節ですからねえ。

そこではない・・・二人のスタート地点ですからね・・・そこじゃないんだな。

そうとなれば・・・波留は・・・区役所経由で・・・教会に向かうのである。

風を切って走れ 

明日こそお前を幸せにしてやる 

突っ走る愛にブレーキはないぜ

教会に・・・可南子の姿はない・・・と思ったら寝てました。

昨日、徹夜で日記を読んだからなのだ。

「捜しちゃったよ・・・」

「携帯に電話してくれれば・・・」

「あ・・・忘れてた」

「・・・日記を読んだんです・・・日記の中の私は幸せそうでした」

「・・・」

「小さな不平不満はあって・・・100点満点の旦那さんじゃなかったみたいですけど・・・」

「ごめんなさい・・・そして・・・ありがとう・・・」

「・・・」

「・・・いたらない夫だから・・・可南子を不幸せにしていたかもと思っていた・・・でもそんな俺なのに幸せを感じてくれた可南子に感謝している」

「・・・」

「なんでもない毎日に・・・小さな幸せをみつけてくれる・・・そんな可南子が俺は大好きです」

「・・・」

「だから・・・五年後も・・・十年後も・・・その先もずっとずっと・・・妻として俺の傍にいてください」

「・・・・・・・・・・・・・・・はい」

一部熱狂的宮本家復興応援団狂喜乱舞である。

白いバラの花びらを散らし

愛の明日を占う

お前を二度とは悲しませない

結婚指輪は可南子の指に戻った。

「・・・なんだか・・・照れますね」

「ひとつ、お願いがあるんだけど・・・敬語はやめてくれないか」

「・・・急にはちょっと・・・」

「じゃ・・・名前で呼んでくれ」

「はるさん・・・」

「さん付もいらないから」

「は・・・る・・・いやん、照れますよ」

そんな可南子を抱きしめる波留。

可南子は驚くが・・・微笑んで・・・そっと抱き返すのだった。

一部熱狂的宮本家復興応援団狂喜乱舞大歓喜落涙である。

こうして・・・宮本家に日常が戻ったのだった。

あわただしい朝食風景。遅刻しそうな可南子は波留に頼みこむ。

「今日はバイクで送ってくれませんか」

のんびりしている波留を可南子が急かす。

「ほら・・・急いで~」

そんな二人を微笑んだ太助が見守っている。

街を疾走するアラフォー爆走族である。

いってらっしゃい、いってきます

いってきます、いってらっしゃい

二人はラブラブなのだ。だって新婚さんだから・・・。

一哉(袴田吉彦)「で、結局どうなったの・・・」

裕樹「姉さんよりいい女が現れない限り恋はしないって決めたんです」

一哉「そうなんだ・・・まあ・・・その方がいいかもな・・・いろんな意味で」

裕樹「そうでしょう・・・やはり一哉さんは僕の気持ち分かってくれると思いました」

一哉「いや・・・俺はただドロドロが苦手なだけなの・・・しかし、可南子はどんだけ弟にとって魅力的な女だったんだ・・・早く、呪い解いてやってくれ・・・」

そして・・・六年後。

宮本家の愛車はサイドカーに。

宮本夫婦は愛児をクルクル回すのが大好きな三人家族になりました・・・めでたし、めでたし。

三人のいる芝生は世界で一番青いのです。

そして、また新しい人生が始まるのです。

その人の幸せはすぐそこにそしてずっと遠くにあります。

二死満塁からのサヨナラ逆転満塁ホームランは奇跡ではなくて・・・努力して努力して努力してつないでつないでつないで放つものですから・・・。

関連するキッドのブログ→第9話のレビュー

Mako010ごっこガーデン。幸せの青いツバメセット。まこぼぎゃああああん。ときめいてときめいてキュン死にしまくった最終回・・・波留と可南子のハッピーエンドに乾杯でしゅ~、だが、しかし・・・まこも波留にクルクル回してほしいのでしゅ~、ちーずしゃん、代わって代わって~くだしゃああああい~ちーずクルクルまわっていま~す。最新記事アップまで最終回直前でお楽しみくださ~いmari文句なしのハッピーエンドでしたね~。人間の幸せはけして一人では手に入れられないもの・・・ということでしょうねえ

天使テンメイ様による最終回視聴率分析

もう一度君に、プロポーズ(全10話)

  • もう一人と俺と君と、サイドカー(竹野内豊) (キッドのブログinココログ)
  • 赤い車と青い空、潮騒と流木と初夏の海風と過ぎ去っていく時間の歌(竹野内豊) (キッドのブログinココログ)
  • まごころをきみに、愛と言う名の終着駅で(竹野内豊) (キッドのブログinココログ)
  • うすい金色の雲は永遠の命、永遠だけど崩れて消えるね(竹野内豊) (キッドのブログinココログ)
  • (元気を出して)誓います!(竹野内豊)、(さらに元気を出して)誓います!!(和久井映見) (キッドのブログinココログ)
  • ハト時計はカッコー時計、そしてツバメ時計(竹野内豊) (キッドのブログinココログ)
  • 時の過ぎゆくままに、たとえ時が流れたとしても(竹野内豊) (キッドのブログinココログ)
  • ツバメはうまくビルを縫ってゆく、ペアルックの二人を見る(竹野内豊) (キッドのブログinココログ)
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  • もう一度君に、プロポーズできるかな?(竹野内豊) (キッドのブログinココログ
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    2012年6月22日 (金)

    あまやかし・・・こんな女(木南晴夏)に誰がした?(谷村美月)

    クレオパトラな女たちの早期終結の余韻もさめないまま、顔面美容整形手術ものである。

    「鬘」を笑う趣向と同様に、「整形」を笑うことは下司の極みだと思う。

    それは・・・第二次大戦後に世にあふれたパンパン(米軍人相手の娼婦)を笑うのと同様に酷である。

    やるからには命がけでとりくまねばならない。

    刺されても文句が言えないジャンルなのである。

    もちろん、例外はあるもので・・・整形手術そのものを心の病ととらえるポップな感覚はないことはない。

    「今よりもっと美しくなりたい」という心を笑うことは・・・「ふつうの顔になりたい」という心を笑うこととは違うのである。

    しかし・・・それを考えたか、考えなかったかは・・・たちまち、色に出る。

    もちろん・・・この作品はそういう一線にさえ届いていないことは言うまでもない。

    ただし、女優の中の女優が演じてしまったので・・・単なる変態の物語としてはそこそこ見られるものになっている。

    そうでなかったら・・・触れるのもおぞましい部類の出来になっただろう。

    で、『たぶらかし-代行女優業・マキ-・第12回』(日本テレビ20120621PM2358~)原作・安田依央、脚本・ブラジリィー・アン・山田、演出・遠藤光貴を見た。なんていうか・・・スタッフ一同、一回、病院に行ってみてもらった方がいいな。

    幼児の時に義母に捨てられたトラウマから殺人鬼と化してしまった建築デザイナー秋山光博(金子貴俊)を愛してしまった地味めな女・畑中友子(木南晴夏)・・・。友子は自分が醜女だと思い込んでおり、秋山に愛されるために秋山好みの顔に整形し、偽名を使い、ついに秋山の恋人になることに成功する。しかし、秋山は愛した女の顔を破壊しなければ気が済まない超絶変態野郎だったのである。自動車事故にみせかけて秋山によって顔を壊された友子は・・・それでも秋山を愛し、壊れた顔を見たい一心の秋山を遠ざけるために・・・マキに秋山の誘惑を依頼する。

    なぜ・・・秋山は女の顔を壊そうとするのか。

    水鳥(山本耕史)は秋山の過去を探り・・・秋山自身が母親に似た顔に整形していることを突き止める。

    秋山は母に代表される女といものをを愛しつつ憎み・・・愛した女の顔を壊すことで女と対等な存在になろうとしていたのだった・・・仕方なく推察してみました。

    オペラ座の怪人友子とサイコな秋山との異常な恋愛にまきこまれたマキである。

    ついには、秋山によって東京スカイツリーの頂上から突き落とされてしまう。

    しかし、間一髪、水鳥が落下するマキをキャッチャー・ミットで受け止めるのだった。

    ・・・少し誇張していますが事実です。

    ついに秋山の正体を暴くマキ。しかし・・・友子はそんな秋山の変態性を含めて愛していると告白し・・・二人は心身ともに結ばれるのである。

    明らかに秋山が殺人未遂犯なので水鳥か誰かが通報して秋山は逮捕されます。

    ・・・まあ、もう、いちいち、まともに対応していられないレベルの脚本ですな。

    こんな話をそこそこ、見せるものにしている美月と晴夏・・・天才だなあ。

    最後はミネコ(白羽ゆり)とマキが入院中の水鳥にダブルミニスカナースでサービス、サービス~・・・・・・・・。

    あれ・・・社長(段田安則)・・・ついに脱落したのか。

    来週、最終回か・・・こんなにうれしいことはないよ。

    泣けて涙も 涸れ果てた

    こんな視聴者に誰がした

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    2012年6月21日 (木)

    Wの悲劇で時の河を渡る舟にもがきあがき届かない私をあなたが見つめる(武井咲)

    まぜたな・・・。

    まぜました。

    まあ、平井堅の歌がすべてとも言えるドラマだったからなあ・・・。

    それにしても二時間ドラマを連続ドラマでやるとこうなります・・・という試行錯誤はかなり面白かった。

    ある意味、「もう一度君に、プロポーズ」に準じるよな。

    武井咲はちょっと攻めすぎだよな。顔に疲れが滲み出てきてるぞ~。

    もう少し、軽い役で温めておいた方がいいのにな。

    スターにしたいならそうするべきだよな。

    映画「愛と誠」(監督・三池崇史、主演・妻夫木聡)に絞ればよかったのに・・・しかし、脚本が宅間孝行だからな・・・。大河ドラマの藤本有紀とか、「GOLD」の野島伸司クラスのできる脚本家でもう少し、アイドリングするべきなんだよな。逸材だものな。逸材なんだからなあ。二流の脚本家をあてるとたちまち輝かないところが素晴らしいとも言えるけどな。美少女なんだよな。美少女を使いこなせないのは二流の証明なんだよな。

    そういう意味では今回は・・・もう少しで一流になれたのになあ。

    まあ、一条春生(松下由樹)の設定ミスですべてぶちこわしだったけどな。

    しかし、踊り子さんたちは絶対必要だったんだろう・・・タレント行政的に・・・。

    まあねえ。

    で、『Wの悲劇・第1~最終回(全8回)』(テレビ朝日20120426PM9~)原作・夏樹静子、脚本・寺田敏雄・旺季志ずか、演出・片山修(他)を見た。とにかく・・・武井咲が一人二役をする双子の姉妹の・・・捨てられた方・・・倉沢さつき(幼少期:石井萌々果)が生活する場所「Show Pub マスカレード」が無理矢理だし、そのオーナーの一条春生のキャラクター設定が浮世離れしすぎなのである。

    かたや・・・資産2000憶円の和辻家の令嬢・和辻摩子(幼少期:石井萌々果・・・大切なことなので2回記しました)なのである。こちらがすでに虚構度高き世界なのだから・・・もっとドス黒い性風俗店でよかっただろう。

    一条も金に汚い因業婆にしないと。

    しかし、そうはしないで・・・立花綺羅々(福田沙紀)、御堂沙耶香(剛力彩芽)、レイラ ( 森田彩華) なんていう・・・いかにもなキャスティングでダンサーたちをフィーチャーしていくという展開が鼻につきすぎなのである。ここでもう、うんざりしちゃった人が多いはずだ。

    まあ・・・とにかく・・・摩子とさつき・・・二人にかかった嫌疑を弓坂(桐谷健太)と中里(津川雅彦)という二人の刑事が晴らしていくという趣向などなかなか、そそるものがある。そういう点では一条は謎解きのキーポイントを担うわけだが・・・それだけに浮きまくったキャラクター設定が残念な感じである。

    二人の母である和辻淑枝(若村麻由美)こそが・・・本当のヒロインなのであるが・・・その「女」としての愚劣さと・・・「女」ゆえの可愛さは見事に表現できたと言えるだろう。

    紆余曲折あってさつきになりきった摩子が淑枝を責める。

    私はあなたに無慈悲に捨てられた娘です。ただ・・・最初に抱かれなかったという理由で、養女に出され、そこで虐待されて、不自由な身体にされ、施設を転々として、盗みもしたし、身体を売りもした・・・そうしなければ生きていけなかった人間です。ただの一度も母親に抱かれたことのない・・・名前さえも与えられなかった・・・あなたのもう一人の娘。そんな娘にあなたは母親だと名乗るのですか

    心を乱しながら淑枝は摩子になりすましているさつきを抱きしめる。

    「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・あなたをこうして抱きしめなかった私を・・・許して」

    淑枝がどんなに愚かな女であっても求めていた母の温もりを与えられ・・・すべてを水に流すさつき。

    莫大な財産に目が眩んだものにしか与えられなかった淑枝は初めて無償の愛というものを知るのである。

    ここはもう・・・名作の名に値する名場面である。

    その後・・・本当の真犯人登場のツイストなども含めて・・・最終幕はそれなりに鮮やかに幕を閉じるのである。

    もう一年ほど・・・もう少し緩やかなスケジュールで武井咲が清純な少女を演じ続け、その後だったら抜群な一人二役に仕上がったと考えます。まあ、これも踏み台と考えればステップアップはしているわけですが。

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    ライアーゲーム

    オトメン(乙男)

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    2012年6月20日 (水)

    腹がへった弁護士ですから。(新垣結衣)

    滝川クリステルでない場合、長澤まさみだったらよかったのかぁぁぁぁぁっ。

    もう、なんでもありだな。

    ところで・・・最終回まで引っ張る三木弁護士の写真に写っているのは・・・。

    1、犬

    2、猫

    3、人間以外の生物

    ・・・のような気がします。カシオミニを賭けてもいいですが、パタリロではないので賭けません。

    で、『・第10回』(フジテレビ20120619PM9~)脚本・古沢良太、演出・城宝秀則を見た。旗が翻っていた。七人の旗が・・・。七人とは・・・長澤まさみより蟹股の新人弁護士・黛真知子(新垣結衣)、常勝無敗の天才弁護士・古美門(堺雅人)、古の忍者・服部(里見浩太朗)、イケメン忍者・加賀蘭丸(田口淳之介)、おそらくペットの復讐に燃える三木長一郎(生瀬勝久)、権力大好きなくのいち沢地君江(小池栄子)、そしていてもいなくてもいいがいないとちょっとさびしい井手孝雄(矢野聖人)である。敵味方混在じゃないか・・・という方もいるだろうが・・・これはのぶせり(野武士)のような国策大企業・・・主に東電など・・・と略奪されるしかない憐れな農民のような南モンブラン市の愚民たちの代理戦争の暗喩なのである。

    画面には放射能のように目には見えない雨が降っているのである。

    これは見えない雨に打たれて汚染された土壌で泥まみれになり、血反吐を吐きながら闘う・・・勇者たちの物語なのである。

    そして・・・元をただせば愚民であり・・・お里が知れる純情可憐な女侍・黛の討ち死にの物語なのである。

    「菊千代ーーーっ、菊千代ーーーっ」

    戦いの最中に落命した黛の名を叫ぶ、古美門の叫び声が聞こえてくるのだ。

    ・・・映画「七人の侍」見てなきゃ、わからない話はそれまでだ。

    ついに開始された仙羽化学と南モンブラン市の老人たちの有害物質ヘルムート38による土壌汚染とそれに基づく健康被害に対する損害賠償訴訟。

    被害者側の要求は「五億円と安全性が確認されるまでの操業停止」である。

    第一ラウンドは・・・ヘルムート38の日本における権威による有害性の証明だった。

    大学教授は有害性を断言する。

    しかし、その助手は無害と反論する。

    助手がセクハラで首になったと古美門が追求すれば、三木はセクハラ被害者が助手に好意を持っており、教授が被害者に好意を寄せていたために過剰に反応した痴話喧嘩だったと暴露・・・まさに醜聞的泥試合そのものである。

    お互いの手を知りつくした古美門と三木は一歩も譲らぬ汚れっぷりである。

    もう、こういう状態だと・・・三木が携える遺影が人間である可能性はまったくないな。

    だって、マジで復讐ものの様相じゃないもの~。

    古美門は私有財産を抵当に入れ、汚染土壌の調査のため、地主から土地を即金で購入して背水の陣を引く。

    そしてついに・・・土壌からはヘルムート38が大量に検出されるのである。

    しかし、三木はヘルムート38の発見者であるヘルムート博士を招聘し、ヘルムート38が有害だとする根拠はないと証言させるのだった。

    有害物質と健康被害の因果関係の証明・・・それはたとえば・・・フクシマにおけるガンの発生と原発事故との因果関係を立証しようとすれば軽く半世紀を要する長丁場である・・・というような困難さを伴う。

    それまで・・・古美門の経済力がもたないのは明らかだった。

    しかし・・・黛には秘策があったのである。

    黛は汚染された農作物と水を摂取して・・・自らが健康被害を受ける覚悟だったのだ。

    そんな折、仙羽化学の研究員・八木沼佳奈(田畑智子)の存在がクローズアップされる。孤高の科学者である八木沼が何か重大な秘密を握っていると・・・黛は野生の勘で見抜くのである。何よりも黛は八木沼に自分と同じ鈍くささを感じていたのだった。

    「彼女はがにまたです・・・そして、きっと・・・拾った百円玉を届けたいと思っているのです」

    追い詰められた古美門は・・・黛にすべてを託した。

    しかし・・・八木沼は頑なに証言を拒否する。

    だが・・・ついに・・・黛は身体の不調を感じ・・・八木沼の前で失神してしまうのだった。

    「冗談はやめてよ・・・」

    「冗談ではない・・・正真正銘のバカなのです・・・なにしろ・・・人体実験で・・・ヘルムート38の毒性を実証しようとする愚か者ですからな・・・」

    「そんな・・・」

    「彼女はガンです」

    「・・・」

    「大丈夫ですよ・・・私・・・若いから・・・」

    「若いと進行が早い場合もある・・・」

    「・・・」

    死を決意する黛の心に・・・ついに陥落する八木沼。

    禁断の内部文書・・・仙羽化学社員の健康被害の事実・・・を漏えいするのである。

    まあ、単純に統計上のガンの発生率では現場の関係者がダントツになるのは間違いないですからな。なにしろ汚染源に一番近いわけですから~。いや、あくまで妄想の話ですからご注意ください。

    なにひとつ科学的根拠のない戯言ですぞ~。

    じゃ、言うなよ。

    必殺の武器を手にいれた古美門は・・・三木を恫喝。

    ついに勝利を手にするのだった。

    服部「勝ち戦ですな・・・」

    古美門「いや、勝ったのはあの百姓たちじゃ・・・」

    死を覚悟し、古美門の胸に顔をうずめて泣きじゃくるかわいいよ、ガッキーかわいいよである。

    し・か・し・・・すべては古美門の策略だった。

    医師に謝礼を渡し、そこはかとなく誤診してもらったのである。

    黛は単なる食べ過ぎだった。

    その時・・・黛の中で・・・何かが壊れたのである。

    「古美門先生、どんな手を使っても勝つという先生の教え・・・ありがとうございました。でも・・・私は私の道を行きます。私は先生には絶対なれない弁護士を目指すのです・・・」

    「お行きなさい」

    古美門は旅立つ黛の後ろ姿を、そのO脚を胸に刻む・・・。

    そして・・・最終回へ・・・。八木沼佳奈(田畑智子)の転職後の人生を巡る争いが始まるらしい・・・。もう・・・ガッキーのかわいい弁護士姿の見おさめなのですかーーーっ。歴代敵弁護士全員集合で東映オールスター時代劇ですかーーーっ。たまらんなっ。

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    2012年6月19日 (火)

    窓の外の変な男と怪しい男たちと二人の秘書と二人の刑事と私(戸田恵梨香)と彼(大野智)

    チーム榎本よ、お前もかっ・・・。

    で、つづくである。

    今回、密室事件が二つあった・・・というのが、ポイントである。

    誰もが、密室と思わなかった狙撃事件を密室事件だと東京総合セキュリティの解錠職人にして密室トリック解明おタク・・・榎本径(大野智)だけが思っていた・・・というのが軽いボケになっているのである。

    だから・・・謎が解けた・・・と榎本が言ったのは・・・狙撃事件が密室事件だったという展開で・・・誰かが・・・。

    そっちかよっ。

    とツッコミを入れるのが正解です。

    ・・・どんなクイズ番組をお前は見ているんだ。

    で、『のかかった部屋・第10回』(フジテレビ20120617PM9~)原作・貴志祐介、脚本・相沢友子、演出・加藤裕将を見た。介護の時代である。おそらく、ここからが本当の地獄だろう。団塊の介護ほど恐ろしいものがこの世にあるだろうか・・・ないと思う。少子化の子供たちの時代、介護はおそらく洗練されたものになっているだろう。悪魔としては介護不要時代の到来を望みたい。保健所でOKみたいな。

    しかし、多く(64%くらい)の人間にとって原発事故で生まれた犠牲者の悲劇は所詮、他人事だし、介護もまた多くの若者にとっては遠い未来の出来事に過ぎないのである。

    介護サービス会社・ベイリーフでは次世代介護の主力サービスを「介護ロボット」にするか「介護ザル」にするかで社内対立が高まっていた。

    そんな折、ベイリーフの社長・昭造(佐々木勝彦)が何者かによって狙撃されるという事件が発生する。

    経営を巡って意見が対立していた・・・副社長で社長の親族である雅樹(鈴木一真)、運転手あがりで社長に罵倒され続けた専務・久永(中丸新将)、その秘書の忍(本田翼)、介護ロボット開発課長の岩切(菅原大吉)、介護ザル研究課長の安養寺(小須田康人)、そして、社長秘書の寛美(西山繭子)まで・・・ズラリと並んだ怪しい男女のキャスティングである。

    犯人はお前ら全員だっ・・・と言いたくなるよな。

    もちろん・・・本命は雅樹ですけれどもーーーっ。

    しかし、そんな折に・・・社長が頭頂部に軽い打撃を受けて死亡である。

    現場はセキュリティーが榎本によって強化されている途中だった。

    しかも・・・現場は密室で・・・犯行が可能なのは隣室で爆睡していた久永専務だけだった。

    捜査に乗り出した警視庁捜査一課の満田刑事(丸山智己)は犯人を久永と断定するのだが・・・キッドとしては・・・満田が犯人でもまったくおかしくないと思う。

    このようにキャスティング的には煙幕抜群なのであるが・・・何故か・・・さらに運動靴の男が忍びよるのである。

    もう・・・この時点で「つづく」の予感がいっぱいでしたーーーっ。

    今回の見どころは・・・新米弁護士・青砥純子(戸田恵梨香)と榎本の謎解き前にちょっと一服のかけあいである。

    「いきましょう」

    「どこに行くんですか~」

    「いきましょう」

    「どこに行くんですか~」

    「いきましょう」

    「どこに行くんですか~」

    「いきましょう」

    「どこに行くんですか~」

    「いきましょう」

    「どこに行くんですか~」

    「いきましょう」

    「どこに行くんですか~」

    ・・・である。ちょっとそこまでイクイクなのかっ。二人の仲はそこまで進展か。

    芹沢弁護士(佐藤浩市)は「サルが犯人じゃないか」とか「ロボットが犯人じゃないのか」とか「美人秘書が犯人じゃないのか」とか「もう誰でもいいや」とか可能性を一つずつつぶす消去法に協力である。

    榎本はすべてを否定し、「毛布を自分でかけるのは難しい」とあらぬ推理も披露するのであった。

    口を使えば毛布は簡単に・・・まあ、いいか。

    いつもより、巨大になった犯行現場の社長室・再現模型の出来栄えが良かったので社長室に模型を持ち込み披露する榎本だった。

    彼が証明したのは・・・狙撃事件は社長の自作自演だった・・・ということである。

    自分で窓ガラスに槍を叩きこみ、覚醒ヒロイズムで空気銃をドアに叩き込んだのだった。

    最後の ガラスをぶち破れ

    見慣れた景色を蹴り出して

    世界が逆に回転する

    ・・・おいっ。ビョーキかっ。

    社長の動機は・・・防犯の強化の承認だったらしい。

    そこへ・・・もう一人の捜査一課の刑事・鴻野(宇梶剛士)が再登場である。

    「犯人は・・・榎本さん・・・あなたですね・・・あなたはかって社長の自宅のセキュリティーを担当した時に、窃盗の容疑をかけられた・・・実際は社長の愛人の犯行でとんだ濡れ衣だったが・・・そのためにあなたは大変つらい思いをした・・・そして・・・この密室状態もあなたにとっては・・・どのようにでも細工できるでしょう。防犯カメラもなにもかも・・・あなたが用意したものなのだから」

    「いえ・・・そんなことはありません・・・だってミステリとしてそんなの反則中の反則(禁じ手第一条・探偵が犯人)ですから~」

    「とにかく・・・署まで同行願いましょうか・・・」

    「いいでしょう」

    とあっさり、任意同行に応じる榎本である。

    ・・・と思っていると・・・窓の外ではこれみよがしに・・・下から運動靴をはいたビルの窓拭きスタッフ(玉木宏)が上へと通りすがるのだった。

           \  さいごのガラスをぶち破れ~   /
              \見慣れた景色を蹴り出して~  /
         ( \/ /_∧   <./|   /|       /\___
         ヽ/ /Д`/⌒ヽ  / .| / /     /    //
          / /\/ ,ヘ  i   ̄ > \_/   /____//
          し' \_/    i  />      ̄ ̄ ̄ ̄
             i⌒ヽ  ./   ̄>__         .|| |::
         /⌒ヽ i  i  \(    .|/  / /\    .|| |::
         i    | /ヽ   ヽ  ∠__/   ̄       .|| |::
         ヽ ヽ| |、 \_ノ  >   <>       || |::
           \|  )  ̄  ./V       ___    ..|| |::

    ・・・かと思ったよ・・・ノイローゼかっ。

    まあ・・・五年も待ったんだから・・・許してやってくれ。

    じゃあ・・・お前が犯人かよっ・・・でつづくである。

    関連するキッドのブログ→第9話のレビュー

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    2012年6月18日 (月)

    結婚式に出たんだ、2つの顔を持って(松山ケンイチ)

    叔父とその子ら四人を斬った平播磨守清盛は別人と化した。

    阿修羅となったのである。

    もはや、保元の乱後の清盛ではない。もちろん、その準備は着々と出来ていたのである。

    物心つく前に生母は実父に殺害された。父と思い、母と思った人は他人であった。しかし、父と慕い、母と敬った。

    海賊と戦い、父が討った盗賊の子を助命した。

    愛する女を失った。子の親となった。

    叡山の賊徒に矢を放った。義弟のために曼荼羅を描いた。

    義父を失い、棟梁となった。天下分け目の戦いに勝利した。

    そして、義父の弟(叔父)を斬ったのだ。さらに従兄弟たちを斬ったのである。

    その瞳には赤い血が宿り、その鼻には血の匂いが香り、その両手には肉の重みが残っている。

    で、『平清盛・第24回』(NHK総合20120616PM8~)脚本・藤本有紀、演出・佐々木善治を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに大人となった平清盛が嫡男・正五位下平左衛門佐重盛の描き下ろしイラスト大公開でお得です。逝去して去っていくだけでなく、剃髪するものあり、元服するものあり、皇位につくものあり、次々と姿を変える登場人物たち・・・。御苦労様です。あくまでマイペースでお願いします。また、過去イラストの勝手なる改竄の数々、どうかお許しくださいますように。・・・だから謝罪は直接しろよっ。

    Tairakiyomori22_2 保元の乱の終結の翌年、保元二年(1157年)十月、およそ一年の歳月をかけ、後白河天皇の信任をうけた信西は大内裏を修復した。火災などによって使用不能だった殿中が復興し、天皇は長く仮住まいしていた里内裏(貴族の屋敷などを仮の御所としたもの)を出て、本来の皇居に戻ったのである。その功により、公家も武家も昇進を遂げている。平家宿願の公卿は達成できなかったが、清盛の正四位下に続き、嫡男・重盛は正五位下に出世した。この時、源義朝も正五位下となった。平家の御曹司は源氏の棟梁と同格なのである。この時、11歳の清盛・三男・宗盛は従五位下に任じられている。基本的には官位も世襲の色濃い時代である。義朝も破格の出世を遂げているのだが、平氏一門に対して源氏が下風にあたっているのは間違いない。清盛は嫡男・重盛の正室に藤原成親の妹・経子を迎えている。この時、成親は従四位上で、清盛より官位は低いが、成親の父で、清盛の母・池禅尼の従兄弟である藤原家成は正二位まで上がっており、成親は順当に行けばそこまで昇進が約束されているわけである。清盛の父・忠盛は正四位上までだったので、平家よりも藤原家成家の方が家格は高い・・・ということになるのだった。清盛は亡き弟・家盛の娘・宗子(仮名)を重盛の養女として、大宰府大監・原田種直(事実上の九州王)に嫁がせる。ちなみに原田氏は大蔵氏の裔で、大蔵氏は東漢氏、東漢氏は後漢の献帝の末裔と称している。それはさておき、清盛の大胆不敵な深謀遠慮が目覚めはじめていた。もちろん、その指南役は信西であったのだろう。

    伊勢から近畿を抜け、播磨、安芸と瀬戸内海を巡る島々はすでに父・忠盛の代から実質上、平家の支配下にあった。清盛が播磨守に任じられたことで今や、名実ともに瀬戸内海は平家の海である。

    平安時代には国はほぼ、四等級に分けられていた。大国、上国、中国、下国であり、基本的には年貢の多寡や、京までの距離などによる等級である。清盛の播磨国(兵庫県)は大国であり、義朝の下野国(栃木県)は下国だった。

    義朝は関東では覇者であったが、所詮は寄り合い所帯である。坂東武者の独立心は旺盛なのである。

    一方、清盛の制した土地は文化度も高く、清盛が武力による警察権を行使することにより、京にいる名目上の支配者と、現地の管理者の間に入り、提携することも比較的容易だった。平家一族は一種の軍事官僚機構を形成し、各地の連携を容易にしたのである。

    この経済力を持って平家一族は大内裏の修復をほとんど一手に引き受けた。

    そのために、帝のおぼえめでたく、またもや一族そろっての大出世をしたのだった。

    父親の身分を考えれば、義朝も格段の出世を遂げているのだが・・・清盛との落差は大きい。「あの戦は・・・俺が・・・勝たせた・・・その上・・・父上を・・・」・・・義朝が鬱にならななかったと言えば嘘になる状況だったのである。

    清盛を義兄とも友とも慕う義朝の中に暗黒への傾斜が角度を増していく。

    もちろん・・・それもまた妖魔のなせる術と言える。

    それはさておき、平家一族の次なる目的は鎮西(九州)と定まっていた。

    崇徳の流された四国は死国と呼ばれた暗黒の土地である。空の国(外国)に近い、九州はどちらかといえば先進国、四国は東北なみに後進国・・・あるいは未開の地・・・あるいは鬼の棲む場所だったのだ。

    その瀬戸内海側は一応、平家の領分である。そうなれば、その先、西海には九州があり、その先には宋国との貿易が待っている。

    清盛は瀬戸内の海賊勢と近畿の精鋭を引き連れて、大軍団で・・・大宰府に乗り込んだ。

    その軍容の巨大さに肝を抜かれた大宰府の官人たちは唯々諾々と清盛の支配に入ったのである。

    「うちの若いものは血の気が多くて、あかんのですわ・・・おかみにさからうあほなもんがおるちゅうだけで、もうおさえがききまへん。血の雨がふりまっせえ」

    「こら・・・清盛殿、なんばしようとかいな・・・わかっとっとね・・・血と汗と涙でよごれた鎮西の歴史がわからんか・・・ああ、米ば黙って持っていきようが・・・ああ、ああ、もってけ、なにもかももっていきなさい・・・ほんなこと・・・」

    清盛は九州を武力で支配下に置くと、懐柔策として九州王原田氏との婚姻関係を結んだのであった。

    清盛はすでに鬼の顔と仏の顔を持つ両面宿禰となっていた。

    そうした古代神の魂を呼び、勇者たちに降らしているのは前斎宮統子親王である。

    宮に巣食う異国の妖魔を封じるための対応策であったが・・・統子にはそれが正しい道であったのかどうか・・・疑わしくなっていた。

    それは弟、後白河天皇の変容に端を発していた。

    妖魔である美福門院の押さえとして帝には愛宕山の天狗を憑依なさしめたのだが・・・帝はよほど大天狗と相性がよかったのか・・・天狗そのものと化し始めていたのである。

    なにしろ・・・時々、鼻がにゅっとのびるのだった。

    そして・・・おそろしいことに・・・美福門院と密会を交わした帝はその鼻で・・・。

    美福門院と快楽の限りを尽くしているという。

    処女巫女である統子には想像もつかないが・・・なにやら・・・よからぬ方向に話は進んでいるのである。

    出雲国に派遣した西行からは・・・最後の封印についての情報も滞っていた。

    「少し・・・間に合わないかもしれない・・・」

    統子は悪寒に襲われる。

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    2012年6月17日 (日)

    Z(終り)までいったらあとはA(始り)があるだけ・・・(キッド)

    ふう・・・修羅場が終わったわけだが・・・身も心もボロボロである。

    やはり・・・老骨に鞭打つのは大変だなあ。

    しかし、愛しているものについて考えて考えて考え抜くことはそれなりに快感を伴う。

    いわば、妄想の果てなわけである。

    自分が好きなものとみんなの好きなものの差異とか。

    それを埋める心の彷徨とか。

    同じものを感じてどう思うかとか。

    分かちあえることとけして解けあえぬことの境界線とか・・・。

    様々な軌跡は残る。

    それでも・・・新たな発見に心が震えればそれでいいのだ。

    すべてはうつろうもの。

    すべては秘されるもの。

    そしてすべてはつかのまなのだから。

    さて、そういうわけで、恒例のラジオ番組特別編である。

    で、『今日は一日“アニソン”三昧Z』(NHK-FM20120615AM9~20120616AM1)を聴いた。キャスト&スタッフ、そしてリスナーの皆さん、お疲れ様である。で、昨日の記事も仮記事なので、今回も選曲レポートを記録しておくことにする。考察更新はよほど時間があったらします・・・。

    実は、このシリーズは今回、五回目である。それでも夜空の星ほどにもあるアニソンの・・・さすがにそんなにはないぞ・・・ごく一部しか・・・登場していない。そこで、今回は初登場の曲はで・・・それに対して何度もくりかえし登場している曲はで示すことにする。

    001 マジンガーZ(LIVE) /水木一郎  (「マジンガーZ」OP)

    002 ボルテスVのうた/堀江美都子、こおろぎ'73、コロムビアゆりかご会  (「超電磁マシーン ボルテスV 」OP)

    003 行くぞ! ゴーダム/水木一郎 ヤングフレッシュ (「ゴワッパー5ゴーダム 」OP)

    004 LAST TRAIN -新しい朝-/knotlump (「遊戯王5D's 」OP)

    005 星のシルエット (和也のテーマ)/芹澤廣明 (「タッチ」 挿入歌)

    006 愛がひとりぼっち/岩崎良美  (「タッチ」 OP)

    007 風のメッセージ(達也のテーマ)/芹澤廣明 (「タッチ」 挿入歌)

    008 10 YEARS AFTER/米倉千尋  (「機動戦士ガンダム 第08MS小隊 」ED)

    009 JUST COMMUNICATION/TWO-MIX (「新機動戦記ガンダムW」 OP)

    010 resolution/ROMANTIC MODE (「機動新世紀ガンダムX」 OP)

    011 君は僕に似ている/See-Saw (「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」 ED)

    012 いくつもの愛を重ねて/岩崎元是 (「機動戦士Vガンダム」 挿入歌)

    013 夢をかなえてドラえもん/maoコーラス:ひまわりキッズ (「ドラえもん」(わさび版) OP)

    014 はじめてのチュウ/あんしんパパ (「キテレツ大百科」 OP)

    015 ムーンライト伝説/DALI  (「美少女戦士セーラームーン」 OP)

    016 乙女のポリシー/石田燿子 (「美少女戦士セーラームーンR」 ED)

    017 タキシード・ミラージュ/三石琴乃、久川綾、富沢美智恵、篠原恵美、深見梨加 (「美少女戦士セーラームーンS」 ED)

    018 ひみつのアッコちゃん/堀江美都子、タイム・ファイブ(「ひみつのアッコちゃん」 OP)

    019 花の子ルンルン/堀江美都子、ザ・チャープス (「花の子ルンルン」 OP)

    020 ラブラブミンキーモモ/ 小山茉美 (「魔法のプリンセスミンキーモモ」 OP)

    021 デリケートに好きして/太田貴子 (「魔法の天使クリーミィマミ」 OP)

    022 Catch You Catch Me/ グミ (「カードキャプターさくら」 OP)

    023 狼少年ケン/西六郷少年合唱団 (「狼少年ケン」 主題歌)

    024 黄金バットの歌/ボーカル・ショップ (「黄金バット」 OP)

    025 スーパージェッター/上高田少年合唱団、ナレーター市川治 (「スーパージェッター」 主題歌)

    026 キューティーハニー/前川陽子  (「キューティーハニー」 OP)

    027 魔法使いサリーのうた/スリー・グレイセス  (「魔法使いサリー」 OP)

    028 そばかすプッチー/フジ・ジュニア合唱団 (「そばかすプッチー」 主題歌)

    029 王者 侍ジャイアンツ/ロイヤルナイツ (「侍ジャイアンツ」 OP)

    030 ズッコのうた/山田康雄、ヤング・フレッシュ (「アンデルセン物語」 ED)

    031 ぼくはカリメロ/山崎リナ (「カリメロ」 OP)

    032 異次元ストーリー/ (「ウィングマン」 OP)

    033 陽だまり/村下考蔵 (「めぞん一刻」 OP)

    034 ニルスのふしぎな旅/加橋かつみ (「ニルスのふしぎな旅」 OP)

    035 天才バカボン/アイドル・フォー (「天才バカボン」 OP)

    036 Happy Girl /喜多村英梨 (「パパのいうことを聞きなさい」 OP)

    037 君をのせて / 井上あずみ(「天空の城ラピュタ」挿入歌)

    038 花のささやき / 下成佐登子(「小公女セーラ」OP)

    039 裸足のフローネ / 潘恵子(「家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ」OP)

    040 My Soul, Your Beats / Lia(「Angel Beats!」OP)

    041 鳥の詩(LIVE) / Lia

    042 時を刻む唄 / Lia(「CLANNAD」OP)

    043 ミラクル・ガール / 永井真理子(「YAWARA!」OP)

    044 アタックNo.1 / 大杉久美子(「アタックNo.1」OP)

    045 しゃにむにシェイクシェイク / SWITCH(「行け!稲中卓球部」OP)

    046 キラキラ キセキ / REDIEAN;MODE(「ガンバリスト! 駿」OP)

    047 立ち上がリーヨ / T-Pistonz(「イナズマイレブン」OP)

    048 DAN DAN 心魅かれてく / FIELD OF VIEW(「ドラゴンボールGT」OP)

    049 君に贈るララバイ / WELCOME(「特装機兵ドルバック」ED)

    050 BON BON / Hey! Say! 7(「ラブ★コンED)

    051 君がいない未来 / Do As Infinity(「犬夜叉・完結編」OP)

    052 Tattoo Kiss / r.o.r/s(「カレイドスター」OP)

    053 CAT'S EYE / ANIMETAL USA(「CAT'S♥EYE」OPカヴァー)

    054 SCARLET KNIGHT / 水樹奈々(「DOG DAYS」OP)

    055 純潔パラドックス / 水樹奈々(「BLOOD-C」ED)

    056 逆光のフリューゲル / ツヴァイウィング《風鳴翼(CV:水樹奈々)、天羽奏(CV:高山みなみ)》(「戦姫絶唱シンフォギア」劇中歌)

    057 Go!Go!MANIAC / 放課後ティータイム(平沢唯・秋山澪・田井中律・琴吹紬・中野梓(CV:豊崎愛生、日笠陽子、佐藤聡美、寿美菜子、竹澤彩奈))(「けいおん!!」OP)

    058 ごはんはおかず / 放課後ティータイム(「けいおん!!」劇中歌)

    059 U&I / 放課後ティータイム(平沢唯・秋山澪・田井中律・琴吹紬・中野梓(CV:豊崎愛生、日笠陽子、佐藤聡美、寿美菜子、竹澤彩奈(「けいおん!!」劇中歌)

    060 Singing! / 放課後ティータイム(平沢唯・秋山澪・田井中律・琴吹紬・中野梓(CV:豊崎愛生、日笠陽子、佐藤聡美、寿美菜子、竹澤彩奈))(映画「けいおん!!」ED)

    061 ゲキテイ(檄!帝国華撃団) / 横山智佐(真宮寺さくら)+帝国歌劇団(「サクラ大戦」OP)

    062 ウィーアー! / きただに ひろし(「ONE PIECE 」OP)

    063 勇者王誕生! / 遠藤正明(「勇者王ガオガイガー」OP)

    064 エイトマン / 克美しげる(「エイトマン」OP)

    065 摩訶不思議アドベンチャー / 高橋洋樹(「ドラゴンボール」OP)

    066 プラチナ / 坂本真綾(「カードキャプターさくら」OP)

    067 DangDang気になる / 中村由真(「美味しんば」OP)

    068 NIGHT OF SUMMERSIDE / 池田政典(「きまぐれオレンジロード」OP)

    069 まっ白なリングへ / 堀欣也(「がんばれ元気」OP)

    070 マクロス / 藤原誠(「超時空要塞マクロス」OP)

    071 ランナー(リン・ミンメイver.) / 飯島真理(「超時空要塞マクロス」)

    072 SEVENTH MOON / FIREBOMBER(「マクロス7」OP)

    073 VOICES / 新居昭乃(「マクロスプラス」OP)

    074 トライアングラー / 坂本真綾(「マクロスF」OP)

    075 娘々FINAL ATTACK フロンティア グレイテスト☆ヒッツ! / シェリル・ノーム starring May'nランカ・リー=中島愛(劇場版「マクロスF~サヨナラノツバサ」挿入歌)

    076 oblivious / Kalafina(劇場版アニメ「空の境界 第一章 俯瞰風景」)

    077 Magia / Kalafina(「魔法少女まどか☆マギカ」ED)

    078 to the beginning / Kalafina(「Fate/Zero」OP)

    079 カントリー・ロード / 本名陽子(映画「耳をすませば」主題歌)

    080 Share The World / 東方神起(「ONE PIECE」ED)

    081 ゆずれない願い / 田村直美(「魔法騎士レイアース」OP)

    082 ポプラ通りの家 / ピーカブー(「キャプテン・フューチャー」ED)

    083 夢ノート / AZUSA(「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」OP)

    084 ゲッターロボ! / ささきいさお(「ゲッターロボ!」OP)

    085 勇者ライディーン / 子門真人、コロムビアゆりかご会(「勇者ライディーン」OP)

    086 コン・バトラーVのテーマ / 水木一郎、ザ・ブレッスン・フォー(「超電磁ロボ コン・バトラーV」OP)

    087 ドリーム・シフト / SILK(「絶対無敵ライジンオー」OP)

    088 Shangri-La / angela(「蒼穹のファフナー」OP)

    089 KinKiのやる気まんまんソング / Kinki Kids(「ちびまる子ちゃん」OP)

    090 勇気100% / Sexy Zone(「忍たま乱太郎」OP)

    091 Sunshine / MONKEY MAJIK(「ぬらりひょんの孫」OP)

    092 コールドフィンガーガール / 栗山千明(「レベルE」OP)

    093 READY!! / 765PRO ALLSTARS(「THE IDOLM @ STER」OP)

    094 CHANGE!!!! / 765PRO ALLSTA(「THE IDOLM @ STER」OP)

    095 君が好きだと叫びたい / BAAD(「スラムダンク」OP)

    096 1/3の純情な感情 / SIAM SHADE(「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」ED)

    097 YOU GET TO BURNING / 松澤由美(「機動戦艦ナデシコ」OP)

    098 ギリギリchop / B'z(「名探偵コナン」OP)

    099 コンディション・グリーン ~緊急発進~ / 笠原弘子(「機動警察パトレイバー」)

    100 only my railgun / fripSide(「とある科学の超電磁砲」OP)

    101 YOU / YURIA(「SHUFFLE!」OP)

    102 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 / ももいろクローバーZ(「モーレツ宇宙海賊」OP)

    103 われらの旅立ち / 水木一郎(「宇宙海賊キャプテンハーロック」ED)

    104 サイボーグ009 / マイスタージンガー(「サイボーグ009」OP)

    105 疾風ザブングル / 串田アキラ(「戦闘メカ ザブングル」OP)

    106 わが友マジンガーZ / 水木一郎(「マジンガーZ」挿入歌)

    107 空飛ぶマジンガーZ / 水木一郎、コロムビアゆりかご会(「マジンガーZ」挿入歌)

    108 ルパン三世 愛のテーマ / 水木一郎(「ルパン三世」ED)

    109 バビル2世 / 水木一郎、コロムビアゆりかご会(「バビル2世」OP)

    110 ペガサス幻想(ファンタジー) / MAKE-UP(「聖闘士星矢」OP)

    111 晴れてハレルヤ / 奥井亜紀(「魔法陣グルグル」OP)

    112 それでも明日はやってくる / 鈴木結女(「NINKU -忍空-」ED)

    113 Butter-Fly / 和田光司(「デジモンアドベンチャー」OP)

    114 心絵 / ロードオブメジャー(「メジャー」OP)

    115 Reckless fire / 井出泰彰(「スクライド」OP)

    116 燃えてヒーロー / 沖田浩之・小粥よう子(「キャプテン翼」OP)

    117 ゆけゆけ飛雄馬 / アンサンブル・ボッカ(「巨人の星」OP)

    118 がんばれドカベン / こおろぎ‘73(「ドカベン」OP)

    119 夢を勝ちとろう / 水木一郎、セリフ:頓宮恭子(「プロゴルファー猿」OP)

    120 翔べ!ガンダム / 池田鴻(「機動戦士ガンダム」OP)

    121 空色デイズ / 中川翔子(「天元突破グレンラガン」OP)

    122 マジLOVE1000% / ST☆RISH(「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%」メインテーマ)

    123 星彩のRipieno / 佐咲紗花(「戦う司書 The Book of Bantorra」OP)

    124 わぴこ元気予報! / 内田順子(「きんぎょ注意報!」OP)

    125 もってけ!セーラーふく / 泉こなた(平野綾)、柊かがみ(加藤英美里)、柊つかさ(福原香織)、高良みゆき(遠藤綾)(「らき☆すた」OP)

    126 Agape / メロキュア(「円盤皇女ワるきゅーレ」劇中歌)

    127 宇宙戦艦ヤマト / ささきいさお(「宇宙戦艦ヤマト」OP)

    128 Alright!ハートキャッチプリキュア! / 池田彩(「ハートキャッチプリキュア!」OP)

    129 サクラサク / 林原めぐみ(「ラブひな」OP)

    130 ブルー・ウォーター / 森川美穂(「ふしぎの海のナディア」OP)

    131 輪舞-revolution / 奥井雅美(「少女革命ウテナ」OP)

    132 路地裏の宇宙少年 / ザ・コブラツイスターズ(「地球防衛企業ダイ・ガード」OP)

    133 覚醒ヒロイズム~THE HERO WITHOUT A "NAME"~ / アンティック-珈琲店-(「DARKER THAN BLACK -黒の契約者-」OP)

    134 緋色の空 / 川田まみ(「灼眼のシャナ」OP)

    135 モノクロのキス / シド(「黒執事」OP)

    136 ハレ晴レユカイ / 平野綾、茅原実里、後藤邑子(「涼宮ハルヒの憂鬱」ED)

    137 COLORS / FLOW(「コードギアス 反逆のルルーシュ」OP)

    138 コネクト / ClariS(「魔法少女まどか☆マギカ」OP)

    139 Zzz / 佐咲紗花(「日常」ED)

    140 残酷な天使のテーゼ / 高橋洋子(「新世紀エヴァンゲリオン」OP)

    141 アンバランスなkissをして / 高橋ひろ(「幽☆遊☆白書」ED)

    142 My Heart 言い出せない、Your Heart 確かめたい / GODDESS FAMILY CLUB (「ああっ女神さまっ」)

    143 恋愛サーキュレーション / 千石撫子(CV:花澤香菜)(「化物語」OP)

    144 もどかしい世界の上で / 牧野由依(「N・H・Kにようこそ!」ED)

    145 リトルグッバイ / ROCKY CHACK(「ゼーガペイン」ED)

    146 七転八起☆至上主義!/ KOTOKO(「ハヤテのごとく!」OP)

    147 オリオンをなぞる / UNISON SQUARE GARDEN(「TIGER & BUNNY」OP)

    148 君の知らない物語 / supercell(「化物語」)

    149 裏切りの夕焼け / THEATRE BROOK(「デュラララ!!」OP)

    150 おれはグレートマジンガー(LIVE) / 水木一郎(「グレートマジンガー」OP)

    151 グランプリの鷹 / 水木一郎(「アローエンブレムグランプリの鷹」OP)

    152 サバンナを越えて / 水木一郎(「ジャングル大帝」OP )

    153 ムーへ飛べ / 水木一郎(「ムーの白鯨」OP)

    154 キャプテンハーロック / 水木一郎(「宇宙海賊キャプテンハーロック」OP)

    155 oath sign / LiSA(「Fate/Zero」OP)

    156 不完全燃焼 / 石川智晶 (「神様ドォルズ」OP)

    157 Break Out / JAM Project(「スーパーロボット大戦OG -ディバイン・ウォーズ-」OP)

    158 正解はひとつ!じゃない!! / シャーロック・シェリンフォード(CV:三森すずこ)、譲崎ネロ(CV:徳井青空)、エルキュール・バートン(CV:佐々木未来)、コーデリア・グラウカ(CV:橘田いずみ)(「探偵オペラ ミルキィホームズ」OP)

    159 ゆりゆららららゆるゆり大事件/七森中☆ごらく部(「ゆるゆり」OP)

    160 侵略ノススメ☆/ ULTRA-PRISM with イカ娘(金元寿子)(「侵略!イカ娘」OP)

    161 キングゲイナー・オーバー!/福山芳樹(「OVERMANキングゲイナー」OP)

    162 ヴィーナスとジーザス/やくしまるえつこ(「荒川アンダー ザ ブリッジ」OP)

    163 ハッピー☆マテリアル/魔法先生ネギま!中等部2-A(「魔法先生ネギま!」OP)

    164 おしえてA to Z/田村ゆかり (「B型H系」OP)

    165 Morning Arch/河野マリナ (「Aチャンネル」OP)

    ※今回は新曲多めで・・・定番控えめが一目瞭然であるな。それでも・・・あなたの好きな曲がかからない・・・それがアニソン三昧の醍醐味だと思います。

    関連するキッドのブログ→今日は一日“帰ってきたアニソン”三昧

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    2012年6月16日 (土)

    赤い車と青い空、潮騒と流木と初夏の海風と過ぎ去っていく時間の歌(竹野内豊)

    美しいドラマなのである。

    神も愛するほどの美しいドラマ。

    今は初夏。三人以外は誰もいない海。

    そして・・・おそろしいほどに青くすんだ空。

    言葉がいらないのである。

    息子を慈しんだ父はただ見守る。

    問題を抱えた夫婦は微笑み合う。

    親孝行したい時には親はなし・・・だったらよかったのになあ・・・。

    などというブラックジョークは一瞬で消去される抜群のロケーションなのだ。

    いい日に、ロケができて・・・スケジュールにも愛されているのだ。

    充分だ・・・充分報われている・・・誰も彼もが・・・なにもかもが・・・いついかなる時も・・・。

    で、『もう一度君に、プロポーズ・第9回』(TBSテレビ20120615PM10~)脚本・桐野世樹、演出・木下高男を見た。失われてしまった記憶は戻らない。・・・というより、記憶は誰もが失っていくものなのだ。昨日のことすら・・・鮮明には思い出せない。確かに覚えていると思っていることが錯覚に過ぎなかったなんてことはよくあることだ。愛の記憶も、憎しみの記憶も・・・穏やかにそっと歩み去る時間と言う奴がすべて攫っていくのである。誰よりも素敵な思い出を持っていたとしても・・・あっという間に消えて行くのである。そういう人が本来持っているもの哀しさを淡々と描いていくこのドラマ。大傑作である。

    善人とか悪人とかも関係ない。幸福な人とか不幸な人とかも関係ない。愛されている人も憎まれている人も関係ない。

    ただただ、時が何もかもを押し流していく。

    それがこのドラマの本質にあります。

    つまり、「ブレードランナー」でレプリカントが言うあのセリフですな。

    「私はお前が見たこともない宇宙の果ての光景を見た。しかし、その記憶もいつか消えてしまう・・・路上を濡らす雨も・・・頬を流れる涙も・・・いつか乾いてしまう如くに・・・」

    そのことをたまに思い出すことは・・・生きる上で大切なことだとキッドは思います。

    消えてしまうからこそ・・・宝石のような束の間が・・・人生にはあるからです。

    行かないで、どんなに叫んでも

    優しい手にすがる子供の心を

    燃えさかる車輪は振り払い進む

    思い出を焼き尽くして進む大地に

    車輪は廻るよ

    ・・・なのである。

    もう、抱きしめてやれよ・・・とお茶の間絶叫だが、抱きしめない・・・それがこのドラマなのだ。

    それにしてもたたみかけるのではなくて・・・たたみまくるな・・・何って・・・邪悪な弟・裕樹(山本裕典)のぬらぬらした触覚を・・・である。

    なんだ・・・突然、雷に打たれて正気に返ったのか・・・というぐらい人格チェンジしちゃってます。まあ、尊敬する一哉(袴田吉彦)に諭され、同じことを波留(竹野内豊)に言われて・・・青天の霹靂だったのでしょうね・・・なんて、ごまかされるかってーの。

    まあ・・・これまでの姉に対する支配欲が・・・父の代行をしようとする背伸びに過ぎなかったと悟ったということなのでしょう。和久井映見(41)で山本裕典(24)という実年齢。17歳の年の差姉弟というのが・・・かなり無理目だったんですよねえ。

    交尾するタイヤキは神社に堕ちた。

    不吉な前兆である。

    もちろん・・・生者にとって死者は不吉そのものであろう。しかし、死にゆくものにとってそうではない。

    自我が肥大した世界では・・・なかなか理解しがたいことなのだが親は子のために生きるのである。

    親である以上、人は何のために生きるのか・・・という不毛の問いかけは必要ない。

    子のために生きるのである。

    そうではないと自明の理を拒否すれば生き地獄なのである。

    それはたとえば子に依存するのとは違う。子がいなければ生きていけないというのであればそれは子のために生きているとは言えない。

    自分よりも子供の幸せを優先してこそ・・・子のために生きていると信じることができる。

    病室のベッドで・・・波留の心配を察して養父の太助(小野寺昭)は告げる。

    「俺のことよりお前が心配だ・・・」

    「そんな・・・自分の心配しろよ・・・」

    「だから・・・お前が心配なんだろう・・・」

    「・・・」

    「それに・・・俺が心配しているのはお前の事だけじゃないぞ・・・お前と可南子さんのことも心配だ・・・」

    そう言われてようやく・・・波留は可南子を自宅で待たせていることを思い出す。

    その頃・・・可南子は・・・「失われた可南子」の日記と対面し・・・「変な男のこと」を発見する。

    そして・・・恐怖を感じるのだった。

    そこには・・・もう一人の波留を幸せにしていた可南子(和久井映見)が存在するのである。

    可南子は可南子'から逃げるように宮本家を退出する。

    そこに波留からの電話が届くのである。

    「ごめん・・・おやじがなかなか・・・帰してくれなくて・・・」

    「いえ・・・私ももう帰り道ですから・・・」

    「そうか・・・今度・・・あらためて時間をつくるから・・・」

    「はい・・・」

    その頃、可南子の弟の裕樹はようやく・・・自分の立ち位置を社内で発見する。

    どんなに優秀でも・・・経験には勝てないこともあるという事実を認知したのである。

    そうなれば・・・先輩の意見にも素直に耳を傾けることができるのだ。

    たたむなあ・・・。

    ふと、気がつけば・・・一体、自分はなぜ・・・あんなにも恋人の志乃(市川由衣)を邪険にしたのだろうか。本気で姉と結ばれると妄想していたのか・・・今、思えば悪い夢を見ていたような気分である。

    そうか・・・俺は悪夢の中にいたんだなあ・・・。

    そこまでたたむかっ。

    太助は退院した。

    「残された日々を・・・日常的にすごしたい・・・」

    太助の望みに波留は逆らえない。

    そこで・・・ミズシマオートに事情を話し、休暇をとろうとする波留。

    「馬鹿だなあ・・・昼間から・・・お前がいたら俺の日常にはならないんだよ・・・」

    この世の天国のようなミズシマオートでは社員一同、波留の仕事を肩代わりする覚悟なのだが・・・波留は太助の命ずるままに・・・職場へ向かうのだった。

    親に心配させないように努力するのが子の務めだからである。

    そういう波留を育てた太助は満足だった。

    もちろん・・・その満たされた気持ちの中にはこみあげてくる寂寥感がある。

    だから・・・それは美しい物語なのである。

    話を聴くだけ内科で可南子は「失われた過去について他人から話を聴くことには慣れたのですが・・・日記を読むのはこわいんです。だって・・・自分じゃない自分の存在を認めることになるから・・・」

    用もないのに電話をしてくる一哉は「本当に向き合う必要があるのなら・・・向き合うべきじゃないのかな・・・こわくてしかたないなら・・・誰かと一緒に・・・あ、俺はダメだよ・・・可南子のことなんか・・・基本的にはどうでもいいんだから・・・」

    可南子に失われた可南子と向き合うことを推奨するのだった。

    なぜ・・・可南子はそれほどに過去の可南子が恐ろしいのだろうかとお茶の間は思うかもしれない。

    可南子にとって失われた可南子は・・・いわば死んだ女なのである。

    可南子にとって失われた可南子は幽霊のようなものなのである。

    自分自身の幽霊だってこわいものはこわいのです。

    可南子は自分の日記にチャレンジしてみることにした。

    可南子の記憶にある日記。

    1989年1月1日・・・今日から日記を書いてみる。とりあえず、あけましておめでとうございます。

    十代だった自分。その幼さに可南子はなつかしくもうれしはずかし気分になる。

    やがて・・・可南子は成人し・・・十年は一昔の歳月が流れ・・・。

    2000年7月12日・・・入院中の父のお見舞い。持って行った花束のユリの花粉がお気に入りの服についてしまう・・・。

    父親の死とともに・・・日記は途絶えていた。

    記録することがつらい出来事があったからなのだ。

    日記を再開したのは幽霊の可南子であり・・・だから・・・可南子は日記の存在すら知らなかったのだ。

    可南子は想像する。

    日記を・・・再開したのは・・・きっと・・・変な男に会ったからなのだ。

    可南子の中で想像上の失われた可南子と今の可南子が鬩ぎ合う。

    「私はあなたなのよ」

    「そんなこと言われましてもね~」

    「本当に私って面倒くさい女だわ~」

    「あなたに言われたくないわ~」

    「ふふふ」

    「へへへ」

    波留は父親に薬を飲ませる。

    「おまえ・・・毎晩、泊るのか」

    「そのつもりだけど・・・」

    「俺が死ぬまでか・・・」

    「奇跡的に治るかもしれないじゃないか・・・」

    「俺にそんなこと期待するなよ」

    「・・・」

    「俺は助からない病気から助かっちゃうようなミラクル・ガールじゃないんだから」

    「おやじ・・・男だろ・・・」

    たわいのない会話がたまらなく愛おしくせつないドラマだった。

    ・・・じゃ、せめてありのままを書けよ。緒方孝市の1997年9月11日対阪神戦の9回裏2死からの漫画みたいな逆点サヨナラ満塁ホームランの話はどうした。

    阪神ファンの気持ちに配慮しました。緒方は現在、プロ野球の広島東洋カープの守備・走塁コーチです。

    その頃、ツバメの霊が憑依した裕樹の上司は裕樹に現場リサーチの仕事を命じていた。

    「女性と一緒に店舗を利用して感想レポート」である。

    志乃(市川由衣)は耳をそばだてているが・・・裕樹は社外の人間ということで桂(倉科カナ)を誘うのである。

    すべては裕樹を伝令に仕立てるための神の計画であったかのように話はスムーズに進んでいく。

    ついでに桂と裕樹の邪悪コンビを志乃が目撃しちゃったりします。

    もう・・・このグルーブはある意味、別の誰かの夢の残滓のようですな。

    「波留さんのことはもういいのかよ」

    「色恋じゃなくて・・・波留さんは職場で一番弟子って認めてくれたの・・・私、それで充分なのよ。女としてじゃなくて・・・人として認められたんだから・・・」

    「そういうものなのか・・・俺も姉さんに男として認められようとする前に・・・いい弟にならなくちゃどうしようもないな・・・って悟ったんだよ」

    「変態は変態で大変ね~」

    「なんだよ・・・それ・・・」

    「とにかく・・・波留さんは・・・今、大変な時だし・・・

    「なんだよ・・・姉さんのことかい」

    「違うわよ・・・お父さんのこと・・聞いてないの・・・」

    急速に・・・いい弟化した裕樹はダッシュで帰宅するのだった。

    「姉ちゃん・・・大変だよお、波留さんのお父さん、具合悪いんだって・・・お見舞いに行った方がいいよ・・・」

    母・万里子(真野響子)は息子の変容を微笑ましく感じるのだった。

    可南子は右脳と左脳を激しく働かせ目をキョロキョロさせながら決断するのだった。

    いかなくちゃ・・・

    波留さんのお父さんのお見舞いに行かなくちゃ

    行けば波留さんに会えるから

    いかなくちゃ

    お見舞いに行かなくちゃ

    波留さんに会いにいかなくちゃ・・・

    その頃、職場では桂が波留と可南子の思い出の赤い車の修理にチャレンジしていた。

    すると波留の先輩も後輩も・・・社長までもが参戦する。みんな波留のためなら死ねる男たちなのだった。波留はこの世界の早乙女愛なのか・・・そのたとえはどうかな。

    1970年代にシフトしすぎ~・・・ちょっと修羅場の影響残ってるな。

    そして・・・陽の長くなった季節の夕暮れ。

    可南子は波留の実家に夕飯を作りにやってきた。

    「なんか手伝うよ・・・」

    「じゃ、ニンジンお願いします」

    「えーと、ピーラーはどこかなあ」

    「包丁じゃできないんですかあ」

    「できますよ」

    「あ、やっぱりいいです」

    「できますってば・・・あ・・・痛・・・」

    「ほらあ・・・」

    新婚夫婦のような波留と可南子の仲睦まじさを太助はむさぼるように見聞きするのだった。

    ああ・・・もう・・・そんなことしたら・・・太助が死んじゃいます。

    つまみ食いの父子共演だった。

    食後、可南子を送る波留。

    「来てくれてありがとう・・・親父・・・すごくうれしかったと思う」

    「おしかけてしまって・・・すみません」

    「そんなことないよ」

    「ありがとうございます」

    「あの・・・離婚のことだけど・・・まだ離婚届け書いてないんだ・・・」

    「あの・・・このままじゃダメですか・・・」

    「・・・」

    「お父さんのこともあるし・・・今はこのままで・・・」

    「うん・・・このままで・・・」

    もはや、いちやいちゃ状態に突入である。

    本当に美しい物語なのだが・・・今回はもちろん、この程度ではすみません。

    さて、人格が変わってしまった裕樹はどうやら志乃に対する態度を改めようと思った。

    もちろん、桂が好きになってしまった気配がないではないが・・・そんなことをしたらもうすべてが台無しである。

    ここは・・・志乃に謝罪してやり直すという展開が望ましい。ところが・・・志乃は別れ話をされると思って警戒するというのがお約束である。

    志乃の態度の変化に怪訝な感じがする裕樹だが・・・それが分かるようになっただけでも儲けものではないだろうか。

    まあ・・・志乃が覚悟を決めて裕樹を嫌いになってしまうのもひとつの結末ではあるよな。

    女心ってそういうところありますよね。

    だが・・・まあ・・・それはこのドラマにとって・・・どうでもいいこと・・・ではないでしょうか。

    ミズシマオート一同の奮励努力によって・・・ついに赤い車の修理は終了。

    オーナーの不味い蕎麦屋の主人は・・・「せっかくだから・・・奥さんと久しぶりにドライブに行ってくれば・・・」と波留の背中を押すのである。

    もちろん・・・それだけでは不十分なので天使・太助がダメ押しである。

    「退屈だな~」「可南子さんに会いたいな~」「今度いつ来るのかなあ~」である。

    すでに・・・死後の段取りについての手配も終り・・・波留の実の母親と波留が再会できるシステムも整えた。

    太助の望みは・・・ただ波留の幸せあるのみ。

    「お前が生きていれば・・・それが一番の親孝行だ」

    などと泣かせるセリフの連打である。

    さすがの波留も可南子に電話するのだった。

    「あの・・・明日・・・仕事休みだったら・・・ドライブしませんか・・・」

    六月である。梅雨直前の先取りの夏。

    赤い車を運転するのは波留。助手席には可南子。そして・・・リアシートには太助が笑っている。

    「どこへ行こうか」

    「決めてないんですか」

    「そういう時のために・・・海があるんだろう」

    「ふふ・・・今、思いついたんですか~」

    「ふふふ」

    突然、晴れ渡る青い空。

    神が与えたもうた三人のための海である。

    波留が上着を取りに行っている間に流木のベンチで可南子に遺言を告げる太助。

    「誤解しないで聞いてくださいよ・・・離婚をやめてほしいとか・・・そういうことじゃあないんです。ただ・・・いってきたいことがあるんです」

    「・・・」

    「波留と家族になってくれて・・・ありがとう・・・」

    「そんな・・・私は・・・」

    「いいんです・・・その時の可南子さんが今はいなくても・・・だって可南子さんは可南子さんなんだから・・・」

    「・・・」

    そこへ戻ってくる波留。

    「何の話をしてるんだい」

    「お前が神社で立ちションしたから・・・御利益がなくなっちゃったって言う話」

    「さすがに・・・もう時効じゃないか」

    さりげなく車に戻る太助である。

    「私・・・日記を書いていたんですね・・・」

    「・・・ごめん・・・俺・・・可南子の日記・・・読んでしまいました・・・」

    「まあ・・・変なこと書いてなかったですか・・・私・・・こわくてまだ読んでないんです」

    「昔・・・父から勧められて書きはじめたんです。私・・・口が重いので・・・」

    「・・・」

    「だから言いたいことを書いてみろって・・・」

    「・・・」

    「でも・・・父が死んで・・・書くのをやめてたんです・・・だけど・・・あなたと出会ってまた書きはじめたんですね」

    「よほど・・・不満があったのかな」

    「そんなこと・・・書いてありました・・・?」

    「いや・・・」

    「いつか・・・あなたとの五年間の積み重ねを読んでみたいと思います」

    「・・・」

    「でも・・・今はまだ・・・勇気がでなくて・・・」

    「・・・」

    微笑み合う二人。そんな二人を太助も微笑んで眺めていた。

    陽はのぼり、風は吹き、そして寄せては返す潮騒。

    太助は永遠というやつを感じていたにちがいない。

    翌日・・・波留はミズシマオートの社長に呼ばれる。

    「この店・・・お前に継いでほしいんだ・・・俺の代で閉めるつもりだったけど・・・最近のお前たちを見ていたら・・・残したいと思えてきてな」

    「俺で・・・いいんですか」

    「お前じゃなきゃダメだろ」

    その日、可南子は宣伝に力をいれた朗読会の本番を迎えていた。

    努力の成果で・・・たくさんの子供たちが集まっていた。

    図書館は活気にあふれている。

    「ハーメルンの笛吹き男」

    いまから七百年も昔のこと。魔法使いがハーメルンの街にやってきました。

    ハーメルンの街で害を為すネズミを駆除してみせるというのです。

    ハーメルンの街の人々は魔法使いに報酬を約束しました。

    すると魔法使いは一本の笛を取り出しました。

    たちまち怪しい笛の音が街に響きます。

    やがて街中のネズミが笛の音に魅かれて集まってきました。

    魔法使いは笛を吹きながらヴェーザー川に向かって歩き出します。

    するとネズミたちもぞろぞろと後をついていくのです。

    やがて、魔法使いはするすると川の水面を歩きはじめました。

    後を追うネズミたちは次々と川の流れに沈み、溺れてしまいます。

    こうして・・・ハーメルンの街からネズミが一匹もいなくなってしまいました。

    魔法使いは「さあ、報酬をいただきたい」と告げましたが、街の人々は魔法使いを悪魔に違いないと決めつけて、武器をとって悪魔払いをしようとしたのです。

    村一番の力持ちが斧で魔法使いを真っ二つにしようとしましたが・・・残されたのは衣装だけで魔法使いの姿は消えてしまいました。

    すると・・・どこからともなく声がします。

    「善行に悪行で応えるものに災いあれ」

    それは魔法使いの恐ろしい呪いの声でした。

    その夜、人々が寝静まった頃。

    ハーメルンの街に笛の音が響きました。

    するとハーメルンの子供たちは一斉に立ちあがり、闇の中を歩き出しました。

    朝になり・・・ハーメルンの大人たちが目を覚ますと・・・街には一人の子供も残っていませんでした。

    人々は後悔しましたが・・・後の祭りです。

    それ以来・・・今にいたるまで子供たちがどうなったのか・・・誰一人として知りません。

    朗読会に参加した子供たちはみな・・・恐怖で顔を歪めていた。

    館長「可南子さん・・・これは物語の選択ミスですね」

    可南子「甘い結末は子供たちのためにならないと思いまして・・・」

    ・・・おいっ。まあ、この話には・・・人々が魔法使いに謝罪して子供たちが無事に帰ってくるヴァージョンもございます。しかし、キッドの知るところによれば笛吹き魔に連れ去られた子供たちは・・・いや、それは言わぬが花というものですな。悪魔にも悪魔の儀礼というものがございますしね。

    皆さんも契約不履行には充分に注意なされませ。

    ともかく、朗読会は大成功して・・・その話を夫とその父に聞かせようと可南子は花を買って波留の実家に向かう。

    波留は社長の申し出を父に伝える。

    「お前なんかに会社を譲るなんて、社長さんも怖いもの知らずだな」

    「見る目があるのさ・・・」

    「それじゃ・・・お前を野球選手にしようとした俺には見る目がなかったのかよ」

    「・・・」

    「昔はいつも俺の後ろにお前がいたのに・・・今じゃ、お前は一人で歩いていくんだなあ」

    「・・・」

    「久しぶりにキャッチボールでもするか」

    「それじゃ、グローブとボール捜してこなくちゃ・・・」

    だめ~、捜しに行っちゃだめ~というお茶の間の絶叫も虚しく・・・。

    残照が一人きりの太助を照らすと・・・。

    時の過ぎゆくままにこの身をまかせ

    窓の景色もかわってゆく

    関連するキッドのブログ→第8話レビュー

    Mako009 ごっこガーデン。誰もいない海セット。まこたしゅけ~~~。たしゅけはどこでしゅか~~~。かくれんぼしてないででてきてくだしゃあぁぁぁいっ。ツバメと一緒にサヨナラでしゅか~~~。誰か、太助を助けて~。この期に及んでだじゃれとはまこは根っからのギャグ体質~~~mari惜しい人を亡くしましたね~。誰も知らない無名のでも素晴らしい人がどこかで生きて・・・そして去ってゆく・・・それが人生かもしれませんが・・・ちょっとさみしいですね」じいや「お嬢様~ピンクのツバメ号は一人乗りですぞ~、ロイドと二人乗りは危険が危のうございます~」

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    2012年6月15日 (金)

    すっぽかし・・・約束を忘れちゃいました・・・誰が朝ドラの話をしろと・・・。(谷村美月)

    すっぽかされるのは・・・嫌なんだよなあ。

    忘れたとすれば・・・自分が忘れ去られるような存在だと思っちゃうし、わざとだとすれば・・・嫌われているんだと思っちゃうし、やむにやまれぬ事情があると運が悪いと思っちゃう・・・人間として最低の行為だよな。

    人をすっぽかし続けたその口で言うか。

    だって、悪魔だもん。

    それにしても修羅場を外して来週、木南晴夏ゲストだよ~。さすがだよ~。間がいいよね~。

    で、『たぶらかし-代行女優業・マキ-・第11回』(日本テレビ20120614PM2358~)原作・安田依央、脚本・児玉頼子、演出・白川士を見た。今回は新人女流である。がめつく貯金をしている老人(石倉三郎)のためこんだ3000万円を狙い、息子(徳井優)の娘を演じるマキ(谷村美月)である。凄いのは実のおば(大沢逸美)がマキの正体にまったく気がつかないこと。どんだけ疎遠なんだよ。

    やがて・・・石倉に米のとぎ方を教わったマキはすっかり情にほだされ、使命を忘れるのだった。

    なんていうか、回を追うごとにマキの仕事に対する熱意がなくなっていく感じ。このドラマの根本的な失敗点だな。

    ビジネスより人情という展開が死ぬほど安易なんだよな~。

    みどころ・・・おじいさんにお尻をさわられるマキと実の孫娘(宮地真緒)と太もも丸出しでとっくみあいをするマキ。

    後は石倉三郎劇場である。

    しかも、二回連続ゲストの死んだふりオチである・・・なんじゃ、こりゃあ。

    関連するキッドのブログ→第10話のレビュー

    シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→mana様のたぶらかし

    (仮記事ではありません)

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    2012年6月14日 (木)

    てめえ、はったおすぞぉっ!(本田望結)なぁにいっ!(鈴木福)

    いや、それはイノさん(青木勁)が、「マイコのくそまずい焼きそばじゃダメなんですっ」って言ったからだし・・・。

    って・・・「コドモ警察」かよっ。

    いや、もうアレにどっぷりひたって一週間ですわ・・・。アレのない世界に行きたいの~。

    それにしてもイノさんのセリフ言いたい放題だよな。

    「いきものかがり」について「あんまりきれいじゃない女の人が歌っているグループじゃなくて、本当に生き物係なんです」とかな。

    今回なんて「ももいろクローバーZって全員顔が微妙なアイドル・グループです・・・リーダーのももたはまあまあか?・・・ももか?・・・一番微妙だな・・・」だぜ~。

    ももクロの話はやめて・・・アレを連想するから~。

    さて・・・修羅場も大詰めだな・・・。

    このブログでも一、二を争う短い記事になりましたな。

    ラクダのハンチョウとデカ長のエールの交換は書かなくていいのかな。

    あ・・・忘れてた。

    関連するキッドのブログ→第2回のレビュー

    (仮記事ではありません)

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    2012年6月13日 (水)

    のぶせりのような悪徳大企業とぺったん娘(新垣結衣)

    そのタイトルはどうかな。

    まあ・・・修羅場のために心に余裕がないのです。

    それにしても犯罪者の子孫の国を相手にしているんだから、内田はもう少し用心しないとな。

    ・・・なんの話だよっ。

    犯罪者の子孫の国には罪はない。悪いのは石油わんさかの主審だろう。

    ・・・もう、これ以上、外国人を敵に回すなよっ。

    まあ、ダッシュ、ダッシュ、ダッシュだな。

    そろそろ、本題に入りなさい。

    で、『リーガル・ハイ第9回』(フジテレビ20120612PM9~)脚本・古沢良太、演出・石川淳一を見た。タイトルのガッキーにエールを送ろう。砂塵にまみれた脚だけだとしてもガッキー、かわいいよガッキー。がんばれ、ガッキー。

    モンブランより美しいと言われた南モンブラン市(旧・絹美村)にはまだ日本の美しい田園風景が幽かに残っていた。しかし、そびえたつ仙波電力原子力発電所は老朽化が進み、周囲に放射性物質を撒き散らしていたのである。放射能汚染され、次々と倒れる村人たち。彼らを救うためには遥かイスカンダルへの・・・。

    ・・・おいっ。

    国策を左右する超巨大企業仙波グループに属する仙波化学の工場からは有害物質・ヘルムート38(フィクション)が垂れ流され、村人たちは深刻な健康被害に見舞われていた。

    余命いくばくもない村長夫人は村人たちを叱咤する。

    「おめえら・・・このままでええんか」

    「だども、おっかねえ大企業相手に、おらたちに何ができる・・・」

    「元はといえばあんたの亭主・・・村長が承諾した工場建設じゃねえか」

    「だから・・・バチさあたって・・・最初におっちんだべ」

    「とにかく、こんなじじばばがなにしたって、喧嘩にならねえ・・・」

    「腹の減った侍・・・いや、金に目がない弁護士やとうだよ・・・」

    「おらたちの頼みなんか、引受けてもらえないべ」

    「賠償金じゃ・・・賠償金で釣るのじゃ・・・」

    その頃、古美門研介(堺雅人)は女性霊媒師(千葉雅子)の弁護をしていた。

    黛真知子(新垣結衣)は女性霊媒師に合計500万円近くも支払ったにもかかわらず、見合いは失敗続きで恋人ができないと訴える原告の浜村(古澤裕介)がどのように除霊されたかを身を持って示し、腰は打たれるは、塩まみれになるはで散々な目に会うが、裁判は勝利する。

    上京した村人たちは・・・土下座して「村をお助け下さい」と懇願するのだった。

    もちろん、古美門は断じて田舎には出張しないと心に決めていたのだが、天使の黛には憐れな村人を見捨てることなどできるはずもない。

    そんな黛に古の忍者・服部(里見浩太朗)は優しくアドバイスする。

    「一本の矢は折れても・・・」・・・それは先々週やっただろう。

    黒沢映画「七人の侍」のテーマに乗って・・・仲間の女弁護士を集める黛。

    二人目はほぼ同期の新米弁護士・青砥(戸田恵梨香)である。ギャル仲間なので二つ返事で引き受ける青砥である。青砥の紹介で「BOSS」の科捜研仲間であり、青砥を監禁したこともある弁護士・藤堂真紀(釈由美子)「七人の女弁護士」を引き入れる。とにかく、藤堂は青砥と黛にないものを持っている。そういう意味では同じ新米弁護士でも堂本灯(上戸彩)「ホカベン」はかなりのものを持っており、確実に揺らしてくるのだった。もう少し、大人のメンバーも必要だということで、積木珠子(菅野美穂)「わたしたちの教科書」に声をかける。なんといっても名作である。しかし、確実な勝利をものにしたい彼女たちは朝ドラのヒロイン・南田のぞみ(松嶋菜々子)「ひまわり」を説得するのである。ここまでくれば後はちょっとたよりない楓由子(ミムラ)「ビギナー」でもいいかということになるのであった。

    まとめてみよう。

    黛(ガッキー)

    青砥(戸田恵梨香)

    藤堂(釈由美子)

    堂本(上戸彩)

    積木(菅野美穂)

    南田(松嶋菜々子)

    楓(ミムラ)

    ・・・ううん。かなり、いい感じの七人の女弁護士が・・・いい加減にしておけよ・・・修羅場なんだから。

    単身、南モンブラン市にのりこんだ黛だったが、仙波化学の顧問弁護士は・・・三木(生瀬勝久)なのである。そもそも・・・老人たちをけしかけたのも三木弁護士で・・・いよいよ・・・古美門と直接対決をし・・・三年前の謎の案件で負った傷心を胸に・・・古美門の弁護士生命抹殺計画の罠に引き込もうとしているのである。

    老人たちが物見遊山気分で・・・裁判に臨もうとしているのを知り、黛に不安がよぎる。

    しかし・・・調査によって汚染物質の存在が明らかになるのである。

    勝算が生じたためについに重い腰をあげる古美門。

    村人の切り崩しをはかる三木陣営の行動をくのいち沢地君江(小池栄子)のリークによって知らされた古美門は忍者・加賀蘭丸(田口淳之介)によって切り崩しを阻止する。しかし、それさえも・・・三木にとって想定内だったらしい。

    結局・・・「村の絆」のために和解金2000万円で手を打とうとする村人たち。

    そんな村人たちを「いいでしょう。奴隷は奴隷のままで一生を終えるがいい・・・クソムシにはクソムシの生き方があるでしょう。放射能汚染され、前途に絶望して、自ら死を選ぶことがあっても、けして原発をダイナマイトで爆破して、死なばもろとも怨みはらさでおくものかと復讐しないのが我が国の国民の持つ美しい魂の証なのでしょうから・・・下層民には下層民たる理由がなるほどあるものです」

    激昂した村人の一人、譲二(丹古母鬼馬二)に殴打される古美門。

    そこに・・・村長夫人の訃報が届く。

    「苦しい時には一番頼りになりそうな婆だったのに・・・」

    「これからが・・・一番苦しいんですよね」

    しかし、古来、一人の仲間の死は民衆を熱狂に追いやる導火線なのである。

    えんやこーら、どっこいしょ

    村人の心が今、ひとつになりました。

    そして・・・つづくのか、お前もやっぱりつづくのか。

    まあ、七人の侍は長い映画なので仕方なかろう。

    関連するキッドのブログ→第8話のレビュー

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    2012年6月12日 (火)

    水鉄砲と小さな依頼者(畠山彩奈)と私(戸田恵梨香)と彼(大野智)

    もはや、せちがらい世の中である。

    どのくらいせちがらいかというと80年代くらいである。

    しかし、80年代には希望があった。

    スティーブン・キングは20世紀の最後の1/4は「開かれた社会という建前が恐ろしい不信を生みだした25年間」と推定している。

    まだ開かれていなかった社会で人々は充分に世知辛い人生を送っていたのだ。

    それから・・・30年以上の時が流れて、希望の果てのバブルははじけ、経済水準は坂を転げ落ちて絶望だけが残っている。

    しかも、人々はすっかり、甘めに仕上がっているのである。

    世知辛い世の中に甘い人々・・・この組み合わせはいかにも甘美な地獄を思わせる。

    普通の人々にも息苦しい世界で・・・前科者はどんなに息苦しいことか。

    ・・・かと思えば、大量殺人者は逃亡を続けている。

    そして、昔の看板をおろし堅気になった面々は・・・どこか嘘寒い顔をしている。

    そんな世界で、健気に笑顔を見せる小さな依頼者のうつむいた日々はこれからが本番なのだ・・・。

    で、『かかった部屋・第9回』(フジテレビ20120604PM9~)原作・貴志祐介、脚本・仁志光佑、演出・松山博昭を見た。東京総合セキュリティの解錠職人にして密室トリック解明おタク・・・榎本径(大野智)が芹沢弁護士(佐藤浩市)に紹介した企業は元組織暴力団関係と断定できる黒光り感があるのだった。

    社長・富樫(岩松了)、取締役・野々垣(哀川翔)、若頭代行・・・いや、専務・坂口(高杉亘)、チンピラいや新入社員・八田(鈴木亮平)である。濃いぞ。

    しかも、若頭・・・いや副社長が拳銃によって死亡したばかりの会社なのである。

    企業法務の仕事を引き受けると命の危険を感じる芹沢だった。

    しかし、昔はどうあれ今は堅気の会社である。芹沢に同行した新米弁護士・青砥純子(戸田恵梨香)は八田の小学生の娘・美沙(畠山彩奈)が父親の会社に遊びに来る姿に和むのだった。

    しかし・・・八田はその後、密室で不審な拳銃自殺をしてしまう。

    「事件を解決してください」・・・美沙の依頼に応えるべく立ち上がるチーム榎本。

    しかし、その前には今も現役バリバリに思えるアニキが立ちはだかるのである。

    はいたツバはのめねえぞ。

    調子にのってるんじゃねえ。

    これ以上、首をつっこむな。

    これは脅しじゃねえ・・・マジだ。

    震えるチーム榎本だった。

    しかし・・・もちろん、副社長は裏の仕事に復帰したことを悟られたアニキが射殺。目撃者となった八田はアニキに口封じをされたのである。

    ヒントは改造水鉄砲と幻の日本酒・・・。

    お前がひろってきた可愛い子分じゃないか・・・それでも男かっ。

    親分・・・いや、富樫社長の声が空しく響くのだった。

    公園で父親の形見を見つめる美沙に笑顔をむける青砥。

    21世紀の悲惨な昼下がりである。

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    (仮記事ではありません)

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    2012年6月11日 (月)

    悪たれ小僧が自分の影につばをはいた、命がちぎれてとんでった(松山ケンイチ)

    何度も書いているが、フリとオチは構成の基本である。

    初心と言ってもいい。

    そもそも構成とは全体を分割することなのだ。

    たとえば・・・現在というのはすべての過去をフリとするオチなのである。

    起承転結というのはフリフリフリオチと考えてもいいし、フリオチフリオチと考えてもいい。

    もちろん、フリオチオチオチの場合もある。

    序破急はフリフリオチかフリオチオチになる。フリオチフリや、オチフリオチはもはや序破急とは言えない。

    そういう意味で・・・常に甘かった清盛が、常に苦かった義朝と・・・立場を変える今回は壮大なオチなのである。

    フリフリフリフリフリフリフリフリフリフリオチぐらいな感じ?

    清盛は斬りたくない人を斬り・・・義朝は斬れずに終わる。

    誰が主役なのかよく分かっている脚本なのである。

    清盛はモンスターになり、義朝はただの人になったのだ。

    そして・・・怪物を演じる限り、松山ケンイチは無双なのである。

    とにかく・・・素晴らしい脚本だと思う。キッドは絶賛を惜しまない。

    で、『平清盛・第23回』(NHK総合20120610PM8~)脚本・藤本有紀、演出・渡辺一貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は藤原通憲として生まれ、高階家に養子に行き、出家して信西と名乗った後白河天皇の乳父にして保元の乱の実質的指導者・苦悩の改革者の出家後のお姿イラスト描き下ろし大公開でございます。剃髪後、登場まで長かったのですが、病床からの発表、感じ入ります。マイペースでお願いします。

    Tairakiyomori21 国家が治安を維持する場合、基本的には法治が理想である。しかし、教育制度がここまで浸透した現代においても武装した警察官の存在や、その実(武)力に基づいた執行がなければ刑法は機能しないのである。発展途上国である平安日本においては、開拓される新しき領土と、それを管理する者の自治権の問題が胎動し始めている。その対立構造がついに支配構造の頂点まで逆流してきたのが、保元の乱なのである。悪左府もまた、理想の法治国家を目指して厳罰主義を貫いたのであるが、それはあくまで摂関政治の復権を目指したものであった。これに対し、合戦して悪左府を死に至らしめた信西は、さらに死刑制度を復活し、恐怖による法の支配を目指したのである。死を賜ることを導入し、法治の権威を高めることに成功した信西。いわば、それは政治行為の責任の所在を明らかにすることに他ならない。当然、その瞬間から、信西は己の死を覚悟したであろう。これ以後、信西は公領と私領(荘園)の抜本的整理に乗り出す。もちろん、抵抗勢力はたちまち、牙をむき出すのである。そうした政治的背景を元に・・・反乱者として・・・平氏の平忠正とその子息たち、源氏の源為義とその子息たちは・・・それぞれの氏の頭領によって斬首の刑に処せられるのだった・・・。

    藤原頼長に矢を的中させたのは近江源氏の矢島重貞である。父・重実の代に罪を犯したが、名誉挽回のために兄・重成とともに天皇方に参陣し、実質上の賊の長を射ぬく手柄をたてたのである。

    上皇方、敗北の後、謀反者の追討が天皇から命じられ、武者たちは追手として落ち武者狩りに向かう。

    矢島重貞も検非違使として・・・本拠地である近江矢島方面に向かった。

    矢島武者は比叡山忍びの流れを組む僧兵である。

    源氏・平氏の大物たちが捕縛される中、消息を絶っていた鎮西八郎こと源為朝の所在を確認したのは・・・そうした忍びの一人、守山の佐渡である。

    「殿・・・大物がみつかりましたぞ・・・」

    「もはや・・・大物など残っておるまい」

    「いやいや・・・上皇方で一人、南門を守った荒武者・鎮西八郎がおりまする・・・」

    「なに・・・」

    「近江の北の坂田の里に隠れ潜んでおりました」

    「・・・」

    「すでに・・・忍びに結界をはらしておりまする」

    「・・・参る」

    重定は矢島源氏所有の白い船で琵琶湖を北上する。

    「手負いとはいえ・・・相手は名だたるもの・・・一矢でしとめねばならぬ・・・」

    重定は狙った的を外したことがないと言われる弓矢の名手である。

    「里のものに命じて秘湯をすすめさせておりまする。くのいちを手配して・・・獲物を裸にいたしまする」

    「弓矢が一番うまくあつかえるのは吾じゃ・・・そこまでせずとも・・・」

    「殿、油断は禁物でござる。これは戦なのですぞ・・・」

    「・・・殺さぬように・・・動けなくしてみせる」

    裸の為朝のかかとを重貞の北斗七星の矢は一撃で貫いた。

    「かかれ」

    忍びのものたちは為朝に襲いかかった。

    「やらせはせぬ・・・やらせはせぬぞ~」

    しかし、矢に塗られた痺れ薬が為朝の身体を麻痺させていた。

    為朝は捕縛され・・・この手柄で重貞は右衛門少尉に任じられるのである。

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    2012年6月10日 (日)

    セイヨウオダマキの花言葉は勝利の女神、守護者(溝端淳平)と危険を察知する女(長澤まさみ)

    ついに明らかにされなかった・・・神隠しの謎・・・ということは・・・月子(長澤まさみ)は帰ってくるのだな。

    ハルキくん(オダギリジョー)とともに・・・。

    鑑識・勝浦(溝端淳平)とは三角関係か・・・。

    修羅場の途中で最終回とは・・・都市伝説の女・・・さすがだな。

    で、『都市伝説の・最終回』(テレビ朝日20120413PM2315~)脚本・後藤法子、演出・秋山純を見た。女神アテネは自由奔放で勝手気ままなふるまいをするとされている。月子のモデルがアテネであることは明らかだろう。・・・どこがじゃっ。

    小栗上野介は慶応四年(1868年)に官軍により斬首されたとされている徳川幕府末期の勘定奉行である。いわば、徳川幕府の金庫番であり、ものすごい重要人物である。それをせっかく無傷で捕縛しておいて斬首すること自体が・・・ものすごくありえないのだが・・・そこは修羅場だったということで処理されている。

    修羅場ともなれば一国の総理が「撤退」と言ったり、原子力発電所の最高責任者が「退避」と言ったりしたかどうかも「どうしても記憶がもどらない」事態だったりするのである。

    イエス・キリステならこうおっしゃるだろう。「絶対な安全なんてないが、危険を切り捨てなければ虎児は得られないのだ再稼働、いざとなったら泣くのは庶民でよろしかろう」と。

    おい、一部、電波が混入しているぞ。

    そこで・・・徳川埋蔵金は幕府と朝廷の綱引きの末、歴史の闇に紛れ込んでいく。

    かごめかごめ

    籠の中の鳥は

    いついつ出やる 

    夜明けの晩に

    鶴と亀と滑った

    後ろの正面だあれ?

    ・・・が埋蔵金隠匿場所の暗号を含んでいるわけはないのだが、そこはロマンである。

    一週間ほど、体調が崩れるのは女性にはよくあることだが、男性にだってないとは言い切れない。

    月子は着信察知能力まで低下してしまい、危険も察知しにくくなるのだが、それはもちろん、守護者である勝浦が身を女神に捧げるために必要なお約束なのだった。

    徳川埋蔵金探しの同好の士であった・・・つる(葛山信吾)とかめ(ノゾエ征爾)とかごめ(山田まりや)はロマンを忘れ・・・残酷な現実に飲み込まれていく。かごめはホストにいれあげ勤務先の信用金庫の金を横領。かめはかごめを恐喝。つるは金回りの良くなったかめの金を奪おうと殺害・・・である。

    結局、鶴(日光東照宮)、亀(江戸城)のライン上の後ろの正面である桜田門(警視庁)で徳川埋蔵金を発見した月子は・・・ご褒美としてFBIへ研修生留学することになりました。

    まあ、ラインを越えたわけですな。

    「キターッ」をキーワードにしたの間違いではないが意識的なバリエーションの作り方が不足だったかな。

    第一話「いきなりキター」で始り、「ミナミちゃんキターッ」などをはさんで「そろそろキターッ」とか「キチャッタノカ、コレ」とか崩して・・・最後は「ついにキターッ」でしめるみたいな工夫があるとよかったね。「もげっ」は越えられないにしても。

    おっと・・・忘れてはいけない・・・。

    「ニューヨークの下水道にはワニが棲んでいる」(ハルキ)

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    (仮記事ではありません)

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    2012年6月 9日 (土)

    まごころをきみに、愛と言う名の終着駅で(竹野内豊)

    今回、言えるのはダミーというかミスリード・パートの回収と修正である。

    一哉(袴田吉彦)はともかく、裕樹(山本裕典)はかなり遠くまでいっちゃったからなあ・・・連れ戻すのはかなり荒業だな。布石としては志乃(市川由衣)の妊娠かあ。可南子が妊娠しないまま終わるとなるとこちらがその手にくるかな。

    とにかく、今回、明確にされたのは・・・波留(竹野内豊)が過去の心の傷から「父親になることをためらう男」であることと裕樹が「父親になりたかった男」であるということ。

    そして、二人が似ているということだ。

    なぜなら、裕樹は自分自身の父親になりたかっただけで、つまり、母親を妻とし、姉を娘とするという倒錯した願望のために・・・人の子の親になるつもりがないということだし、波留は自分と同じように他人を傷つけることを恐怖して・・・人の親になることに躊躇するということなのである。

    情報化社会によって、人間の意識は明らかに改造されている。

    たとえば、我が国における少子化という事態は・・・ある意味、精神汚染が進行していると言っても過言ではない。

    それは・・・自分の親の存在を根本的に否定する場合もあるし、親と比較して自分が不完全であると自己否定する場合もあるが・・・ようするに「自分が親になるべきではない」という発想に到達する点で同じなのである。

    もちろん、汚染は局所的なもので・・・人類百万年の流れにのって、生れ、愛し合い、子をなし、死ぬ人々はまだまだ多数派である。

    問題は少数派が自分たちがそうだと自覚できないほど増殖していることにあるのだな・・・。

    これは自分の子供を持てなかった男・太助(小野寺昭)が自分の子供を持とうとしない男・波留に伝えたい「愛の話」なのである。

    そして・・・可南子(和久井映見)は・・・もう一人の自分と暗闘しながら・・・波留の目覚めを待っているのである。

    で、『もう一度君に、プロポーズ ・第8回』(TBSテレビ20120608PM1055~)脚本・桐野世樹、演出・村上正典を見た。本題に入る前に・・・ついに我慢できず・・・前回のボーリングで反応してしまったわけだが・・・のじましんじくんじゃ・・・ないのか?・・・なぜ覆面を・・・まあ、いいか。まあ、少なくとも、リスペクトは入ってるよね。童話の挿入、近親相姦的キャラ、そこはかとないホワイトカラーブルーカラー対立、 よどみない会話力、結構アイディアのあるエピソード、赤い傘ではないが赤い車、竹野内に和久井。ものすごく・・・さししめしているな・・・。しんじくんなら・・・わらえばいいと思うよ。

    さて・・・前回、あそこまでやっておいて・・・波留と桂(倉科カナ)のアヴァンチュール(恋の火遊び)は消化器噴霧でスルーである。ま、当然と言えば当然だが・・・これはそんな話じゃないもんな。そういうことでドラマが面白かった時代はもう去ったような気がします。いや、そういうことの方が大切だという意見もありますけどね。このドラマの場合は・・・微妙な心の動きが面白いのであって・・・それはやはり、主人公とヒロインで充分なのですな。

    で、今回は・・・やはり死すべき運命にあった波留の養父・太助の・・・真心の物語でございます。その波留への純朴で可憐で献身的な愛情・・・心に沁みますな・・・。

    もちろん・・・特別に死ぬのではありません。親たるもの・・・いつか必ず死ぬのですからねえ。

    遅いか、早いかの違いがあるだけです。

    ここで、小話を思いついたのでひとつ・・・。

    親孝行したいときには親はなし・・・なんて申しますな。・・・ああ、よかったあ。

    おあとがよろしいようで・・・おいっ・・・まあ、どうして人は親にならなければ幸せになれないのでしょうねえ。そんなことはない・・・と言う人は・・・本当の幸せを知らないってことになるんでしょうか。親になれなかったものには永遠の謎でございますな。もちろん、親になったからって答えが分かるとは限りませんがね。

    人を殺めちゃいけねえよ・・・と同じくらい、所帯を持って子供を儲けないと幸せにはなれない・・・は当たり前のことなのですが・・・この当たり前が当たり前でなくなっているところに・・・豊かな国家というものの限界が見えてくるのですねえ。

    さて・・・本題に入りますか。

    今回は、終盤にむけて・・・人間関係を整理したものと言える。

    可南子にとっての最大の恋仇が記憶を失う前の可南子だったことが明らかになった以上、桂の片思いをこれ以上、描いてしまうと違うドラマになってしまうため・・・桂の一人相撲は逆あすなろ抱きの一夜をいい思い出にして終了である。本人は気まずい思いを抱えているわけだが、波留はまったくのポーカーフェイスだし、ミズシマオートの従業員一同は知っているのに知らぬふりなのか、最初から最後までまったく気付かない態である。桂も・・・どうやら・・・心を沈めたらしい。

    「応援はできないけど・・・一緒んがんばりたい」は意味深な言葉だが・・・まあ、恋の敗北宣言でもあるのだろう。表情がそれまでとは違い、晴れ晴れとしているからである。表情の陰翳で語れるのが倉科カナの凄いところ。

    さて、問題は・・・裕樹であるな。

    一哉との密会は・・・もちろん、何の発展もなく・・・一哉は「可南子と別れたことは後悔してないけど、元嫁との結婚についてはいろいろ後悔がある・・・恋人同士と夫婦の違いは別れてみないとわからない・・・」と意味不明のことを言うが・・・可南子と縁りを戻す気がまったくないことを宣言しているともとれる。

    で、その一哉を使って「お前は優しすぎる・・・視野を広げるともっといい」と「波留さんは優しい人だ・・・可南子さんには彼がついている」と裕樹の棘を抜きにかかるわけである。

    それでも、意地を張る裕樹に波留自身が食事に誘ってフォロー。

    「君は僕に似ている・・・不器用なところが・・・」そして「ひとつのことしかできなくてもひとつずつ問題にとりくめばなんとかなるもんだ・・・」とアニキとしてアドバイスである。

    もちろん・・・裕樹はそう簡単に「ふつうの義理の弟」には戻れないわけだが・・・「ようするに家族を思うあまりにいきすぎたのであって・・・けして変態ではない」ことを波留が説明したわけである。御苦労さまでした。

    裕樹に引きずられる形でやや、難解だった谷村万里子には太助が謝罪に赴く形で、フォローに入る。「波留と万里子の離婚」に心から賛成しているわけではなく・・・「離婚した後も波留を息子だと思っていいですか・・・」と波留の味方宣言である。

    ここですでに・・・老い先短い太助が過剰に喜ぶことと・・・その太助の様子に不審を感じるところまで細やかな演出があります。

    そして、これまで・・・どこか、抜けたところのあったミズシマオート社長が・・・「修理は死者の復活ではなく、新しい生命の誕生だ」とこのドラマのテーマを語りだすのである。

    死にゆくものである太助は精一杯のまごころを養子である波留に注ぎ続ける。

    病院に担ぎ込まれても・・・即座に退院。

    波留と一夜を共にすると・・・「本当のお母さんに会いたいか・・・」と問う。

    「今更・・・」と実の母と同じ答えをする波留に・・・「もう遅いということはないぞ・・・生きている間は・・・」と「希望」について言及するのである。

    その言葉を受け止めた波留は明らかに「離婚」を思いとどまろうとするのである。

    可南子は館長とともに朗読会のポスターを幼稚園に張りに行き、幼い子供たちの魅力を告げられる。

    「成長していくものを見るのは・・・つまり、生きているということなのです」

    可南子が五年間でたどり着きつつあった答え・・・それは今、失われている・・・を可南子は学びなおしている。

    弟は明らかに死んだ父親なら、波留と可南子の結婚には反対しただろうと思い込んでいるのだが、万里子は可南子に「きっと・・・お父さんは喜んだと思う・・・波留さんは結婚する前に・・・お父さんのお墓参りに行ってくれたの・・・そういうまじめな人が・・・お父さんは好きだから・・・」

    可南子が思い立って墓参りに行くと・・・そこには波留がやってきた気配があったのである。

    万里子は「思い出だけで生きて行くことはできない・・・思い出を糧にして生きて行く」と二人の臆病な姉弟を諭す。

    「波留さんと・・・このまま・・・一生会わずにいられるの・・・」

    「・・・逢いたいよ・・・」

    ついに可南子の思いが言葉になってあふれるのである。

    そして・・・波留に自ら連絡を取る可南子。

    午後に会う約束をする波留と可南子。

    その日・・・波留はまごころのたいやきを父からもらい・・・そして。

    父との別れの日が近いことを知らされるのだった。

    その頃・・・可南子は・・・もう一人の可南子の記録と遭遇していた・・・。

    もう、解説不要の面白さ・・・。

    今日まで二人は 親子という名の

    旅をしていたと 言えるあなたは

    年上の男 優し過ぎる

    何気無さそうに 別れましょうと

    あなたは言うけど

    僕には出来ない まだ愛してる

    関連するキッドのブログ→第7話のレビュー

    Mako008 ごっこガーデン。煩悩の自動車整備場セット。まこむふふ・・・今日のツナギはボヨヨン機能内蔵なのでしゅが・・・なにやらギャラリーが多すぎて、スイッチ・オンができましぇ~ん。まこは恥ずかしがり屋さんだ~か~ら~。こっぱずかしいんだもんっ。上司と不倫で愛人コースなのに・・・なぜか、純情可憐な桂しゃん。小悪魔的な持ち味があるだけに・・・どっちなのかさっぱりじゃけん、困っちゃうの~。波留は記憶が戻らなくても新しくなった可南子を愛することができるのかな~。赤い車が生まれ変わるように・・・宮本家も新生しますように・・・mariおやおや、じいやは出張ですか~。可南子ママと波留パパが本当に親の鑑ですね~。でも、いい親からいい子が育つとは限らないかもですよ

     

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    2012年6月 8日 (金)

    まやかし・・・心がポキッと折れる音が聞こえました(谷村美月)

    さて・・・野暮用が本格的な修羅場に突入している。

    これから、およそ10日間は多重人格一同スクランブル態勢なのである。

    そのためにレビューはしばらく仮記事態勢になりますのでご了承ください。

    また、例によって・・・仮記事です・・・の後に順次更新します・・・がない場合、仮記事は永遠に不滅ですっ。

    ご注意くださるようお願いいたします。

    で、『たぶらかし-代行女優業・マキ-・第10回』(日本テレビ20120608AM0008~)原作・安田依央、脚本・森下直、演出・遠藤光貴を見た。水鳥モンゾウ(山本耕史)地獄編の後編である。幼い頃・・・離婚沙汰に揺れる水鳥家で・・・モンゾウは父と母、そして幼い弟を刺殺しているのだった。子供の泣き声が弟の泣き声と重なる時・・・モンゾウはフラッシュバックを起こし、冷酷な殺人者と変心するのだった。

    両親の離婚の危機に駄々をこねる南川隆久(伊澤柾樹)にうんざりしたモンゾウはファミレスのトイレで隆久の首をきゅっとひとひねりするのだった。

    喪服姿で現れたマキは「冥府より・・・御子息の声をお届けにあがりました」と隆久の父親であるイラストレーターの南川トシオ(宅間孝行)と母親の南川英子(小沢真珠)に告げる。

    「大切なものは失って初めて気づくと申しますが・・・我が子に限って言えばそれは許されざること・・・」

    「・・・」

    「しかし・・・すべてを夢だったとすることはできます・・・」

    「夢・・・」

    「夢オチです・・・」

    「料金は?」

    「実費で結構です」

    「・・・払うわ」

    「では・・・蘇れ・・・冥府へ続く道を歩むものよ・・・」

    子はカスがいいオチである。

    モンゾウの独白がウソか本当かはやはりわからなかったな。

    記憶に残るのはマキの谷間と太ももばかりなりは例のごとし。

    関連するキッドのブログ→第9回のレビュー

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    (仮記事ではありません)

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    2012年6月 7日 (木)

    みけねこホームズとボク(あいばまさき)

    ボクはけいじだ。

    けいじというのはわるいひとをつかまえるのがしごとです。

    でも、ボクはけいじというしごとにはむいていないとおもう。

    わるいひとはときどき、ひとをころしたりする。

    ひとはころされると、しんでしまう。

    しんでしまうとひとはしたいになります。

    ボクはしたいがにがてです。

    したいはこわい。したいはすごくこわい。

    ボクはこわくてこわくてきがとおくなる。

    そして、きぜつしてしまいます。

    したいをみるたびにきぜつするのではんにんがそばにいたら、いつかころされてしまうとおもう。

    でも、ボクはがんばって、いいけいじになりたいとおもっています。

    そんなボクをおにいちゃんやいもうとやみけねこホームズがおうえんしてくれるのです。

    だから、ボクはたかいところや、おんなのひとや、おばけがこわいのをがまんしてはたらきます。

    こんなボクのドラマをみてくれてるひとはほんとうにいいひとだとおもう。

    ほんとうにほんとうにほんとうにいいひとです。

    で、『ホームズの推・第1~8話』(日本テレビ20120414~)原作・赤川次郎、脚本・大宮エリー(他)、演出・南雲聖一(他)を見た。・・・もう作文調はいいのか。・・・だってあれはあれでくたびれるんですよ。とにかくここまで最高15.9%(初回)、最低10.2%(第7回)の視聴率を獲得しているので平均視聴率11.9%のこの枠前番組「理想の息子」と比べて遜色ないわけである。しかし、かなり、頭が悪い感じの番組に仕上がってることは間違いないだろう。少なくともキッドが面白いと思えたのは第4話でヒロインの晴美(大政絢)が監禁プレーを楽しんだシーンだけである。変態かっ。そーでーすっ。

    もう、後はただただ・・・いつか・・・面白くなるかもしれないと苦行の日々である。マゾかっ。そーでーすっ。

    だってさ、藤木直人、相葉雅紀、大政絢の三兄弟でミステリなんだぜ・・・最低限の面白さはあるだろう。

    まあ・・・この脚本家のドラマが面白かったのは後にも先にも「おじいさん先生」(2007年日本テレビ)だけで・・・それも深夜ならではのさいはての面白さだからな・・・。

    今回も女子大学で薬物汚染が広がっているという大事件なのに・・・麻薬の恐ろしさを描く場面は一切なしである。

    かといって・・・コメディーでもないのだな。だって一回も笑えなかったし。

    いや・・・もちろん、三毛猫ホームズが実はマツコ・デラックスだったというのはふっと笑いましたけど・・・。

    それから・・・ミステリにありがちな・・・上司として・・・今回の根元係長(尾美としのり)のキャラは秀逸だと思う。ただし、クドカンの作り上げたキャラのなぞりである。

    そして、よくわからない主人公を演じる相葉雅紀の思い切りの良さも捨てがたい。

    もう・・・いいかな。

    第8話には今をときめく・・・有村架純が登場する。しかし、今回はメイン・ゲストではない。

    メイン・ゲストと呼べるのは重要参考人・友美を演じる岡本玲である。「フリーター、家を買う。」(2010年フジテレビ)の星野あかり役はなかなかよかったが・・・学園の女王にはまったく見えない。最近では「最高の人生の終り方~エンディング・プランナー」(2012年TBSテレビ)での女子大生キャバ嬢もはまっていた。まあまあの女優なのである。やはり、キャスティング・ミスだろう。

    最初の犠牲者である聖清女子大学文学部2年の牧子(梶原ひかり)とあまり変わらない顔立ちなのである。・・・それはお前がそう見えるだけじゃないのか・・・。

    梶原ひかりといえば・・・「女王の教室」の志田未来の親友役なのであるな。

    1992年度組である。

    ちなみに志田未来は1993年組で、もう一人の親友役の福田麻由子は1994年組だ。

    子役としての二人の突出力がよくわかるな。

    さて・・・1992年度組には・・・成海璃子がいて、石橋杏奈がいて、桜庭ななみがいて、岡本あずさがいて、忽那汐里がいて、剛力彩芽がいる・・・そして何よりも有村架純がいるのである。

    梶原ひかりが冒頭、死体となって吊るされちゃうのは仕方ないことなのだな。

    ちなみに・・・岡本玲は1991年組である。

    そういうことを考えている方がドラマのフィクションより楽しい・・・というのは困ったことだと思います。しかも・・・時々、前後篇・・・。やるなら二時間ドラマでやれや~。あ・・・日本テレビだった。

    関連するキッドのブログ→最後の約束

    マイガール

    天才!志村どうぶつ園

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    2012年6月 6日 (水)

    サンタなんていないのよ(吉田里琴)いますよお・・・(新垣結衣)

    何月だと思ってんだっ。

    六月だっていうのにサンタ・クロース問題で・・・頭を悩ますのか・・・。

    基本的に「サンタなんていない、お化けなんていない」組のようなタイプの人間は大好きなのだが・・・。

    キッドはもちろん、サンタクロースとは古くからのダチである。

    何度も言っているようだが・・・「良い子」はサンタクロースのプレゼントをいつだってもらうものだ。

    もしも、あなたがもらえなかったとしたら・・・それは単にあなたが「良い子」でないからなのだ。

    そして、もちろん、悪魔の友人は常に悪魔なので・・・サンタクロースは・・・なのである。

    だって、泥棒の神様であり、玩具で子供の欲望をかきたてるなんて・・・に決まってるじゃん。

    で、『・第8回』(フジテレビ20120605PM9~)脚本・古沢良太、演出・城宝秀則を見た。『醤油一族の陰謀』↗14.2%である。おそるべし醤油一族・・・。そして・・・松元環季(早生まれ)、大橋のぞみ、佐々木麻緒、大森絢音を生んだ1999年より吉田里琴降臨である。大橋のぞみ引退の後、この世代のトップ・スターはやはり彼女だったのか・・・。

    それにしても・・・子役スター役である・・・あえて、言おう・・・そのまんまじゃねえかっ。

    天才子役・安永メイ(吉田里琴)は12才にして、男友達(大学生など)を家に連れ込み、飲酒の果てに急性アルコール中毒で入院である。

    テレビドラマ「大空襲~母子純情」(架空)においての安永メイの名演技に涙する新人弁護士・黛真知子(新垣結衣)だったのだが・・・古美門(堺雅人)は「子役には二通りしかない・・・親の奴隷の哀れなガキか、世間をなめたクソガキか・・・だ」と断言するのだった。

    ・・・と言ってるそばからメイ本人より弁護依頼の電話である。

    人気絶頂の超売れっ子子役 安永メイ 無期限休養・・・!

    タバコ臭い私服の数々!?

    地に落ちた・・・ドラマ「ひとつ屋根の下では」の天才子役安永メイ(12)

    澄んだ瞳と澄んだ笑顔のウラ・・・酒もタバコも小学生で!?

    リーガルハイ世界の週刊誌に子供の人権はないのか・・・。

    メイが古美門に依頼したのは2011年の通常国会に提出され成立した「親権の停止という制度を新設する改正案」に基づく、子本人を請求権者とする親権喪失の審判の請求である。

    ・・・つまり、メイの母親である留美子(小沢真珠)のメイに対する親権をメイ自身が停止請求するということである。

    すなわち、メイによる親捨て宣言なのだった。

    親との絆を一度も疑ったことがないらしい黛は・・・「そんなことはだめです・・・お母さんともっとよく話し合えば・・・」

    しかし、メイは「物心つく前から働かされ、酒と薬で身体はボロボロ・・・こんな風にした母親と何を話せというの・・・」と黛を黙らせる。

    「難しい裁判だから・・・」とそろばんを弾く古美門にメイは以心伝心で「2000万円でどう・・・CM一本分で・・・」と告げるのだった。契約成立である。

    金儲けのために一切の自由を奪われた・・・

    酷使される子役の現実!

    母親の私利私欲で働かされる奴隷・・・

    学校も行けない、友達もできない・・・

    憐れな「檻の中」の子役・・・安永メイ・・・まさに虐待!

    たちまち、古美門の先制攻撃開始である。

    仕方なく留美子は三木長一郎(生瀬勝久)と沢地君江(小池栄子)、そして井手孝雄(矢野聖人)の三木事務所トリオを頼るのだった。

    三木が用意した今回の刺客は・・・木枯らし紋次郎じゃなかった古美門元検事(中村敦夫)・・・古美門の実の父親であった。

    サンタクロースの実在を巡って確執のある父と息子だった。

    そこには絶対に相容れぬ魂があるらしい。要するに屁理屈のスパルタ教育を受けたゆえに現在の古美門があるわけだが・・・。キッドも父なる魔王から地獄の氷壁とか地獄の火口に突き落とされたのでよくわかります。

    こうして・・・子役と母親の対決は・・・息子と父親の代理戦争へと発展していくのである。

    もう・・・どこまで笑わせてくれるんだか・・・タイトルはガッキーの蟹股キックがあっさりかわされ、ぼぎゃあああん・・・である。

    未成年者であるために、古美門事務所の預かりとなったメイ。実の父親は離婚後、新しい家庭を営んでいるのだった。

    ここで古美門事務所の忍者・加賀蘭丸(田口淳之介)の職業が明らかになる。

    なんと・・・蘭丸は・・・俳優・・・しかもシェイクスピア役者だった。

    さっそく先輩のメイの指導を受ける蘭丸。

    シャイロック「さすがは公明正大な裁判官様だ。証文にある通りにアントーニオの胸の肉一ポンド、確かに引き取らせてもらいますぜ・・・イッヒッヒ」

    メイ「なんじゃ・・・そりゃ・・・シャイロックって言えば悪人って発想が陳腐すぎる・・・いい、ユダヤの金貸しなんだから差別されてるけど・・・シャイロックだって人間なのよ・・・」

    古美門「さすがだ・・・それじゃ・・・服部さん」

    服部(里見浩太朗)「ユダヤ人、ユダヤ人と馬鹿にするな、ユダヤ人だって人間だよ、同じ飯食ってどこ違う!」

    ・・・いい加減にしておけよ。・・・拍手喝采である。

    母親の留美子はマネージャーの梶原(おかやまはじめ)とともに三木事務所で対策を練る。

    「お小遣いアップと自由な男女交際を求めてるなんて・・・単なる反抗期ですね・・・」

    「そうです・・・30代のスタイリストと交際なんて・・・認めることができますか・・・」

    ・・・と一般論を語る依頼者に・・・三木は・・・「相手は一筋縄ではいかない男です・・・しかし、こちらには奥の手がありますから・・・ご心配なく・・・」と例によって自信ありなのである。・・・その根拠は刺客である古美門元検事が鬼とおそれられた男だからなのだった。

    第一ラウンド 「サンタクロースなんていない」

    若き日の古美門ジュニアは小学校の教室でサンタクロースの存在を否定する。そのために夢多きクラスメートの心を傷つける。クラスメートの親からクレームをつけられた古美門父は「なぜ、サンタクロースはいないと言ったのか?」と古美門に問う。「いないからです」と答える古美門に「では、それを証明しなさい」と詰め寄る古美門父である。「非存在の証明」は「存在の証明」と同様の困難さを伴う。ここは「それでは存在を証明してください」と問い返し、引き分けに持ち込むべきなのであるが、幼い古美門は返答に窮してしまう。

    メイが子供なのに過酷な労働を強いられていると母親の親権の停止を「第一回審問」で訴える古美門ジュニア。

    しかし、母親は「子役卒業」をあっさりと認める・

    「それでは、問題ないですな」と古美門父。

    「いや・・・メイさんは母親に洗脳されており、やめろと言われることが苦痛なのです」

    「洗脳・・・?・・・洗脳とはなんですか?」

    「世間一般の常識とは異なる考え方を刷り込むことです」

    「黛さん・・・あなたの家には家風のようなものがありますか」

    「え・・・そうですねえ、私の家では誕生日を迎えた人の頬にキスを習慣があり・・・誕生日のクラスメートにキスしようとしてドン引きされたことが・・・ウフフ」

    ・・・とうろたえてありのままの恥をさらす黛である。

    「黛さんは楽しい家庭におそだちのようだ・・・このようにそれぞれの家にそれぞれの家の個性があるのはごく自然なことです・・・古美門(ジュニア)先生、あなたは言葉を知らないようだ。洗脳とは中国共産党が捕虜の思想改造のために薬物や拷問などで捕虜を虐待することで、まるで脳みそをジャブジャブ洗うような暴力的行為のニュアンスを伴うものです、ご家庭での教育やしつけであれば・・・マインド・コントロールと呼ぶべきですな」

    「・・・」

    古美門ジュニアは昔みたいに父親にやり込められて言葉に詰まるのである。もちろん、マインド・コントロールされているからである。

    「なによ・・・だらしないわね・・・それでも最高の弁護士なのっ」

    雇用主のメイに叱責される古美門ジュニアだった。

    「私はこれで・・・」と東京を去ろうとする古美門父を引き止める三木弁護士。

    「御子息はあなたが生み、私が育てた怪物です・・・二人で息の根を止めるべきです」

    実の子についてそこまで言われた古美門父は古美門ジュニアを訪ねる。

    「お前は自分が成功したと思っているのか・・・」

    「・・・」

    「私にはお前がスーツを見たドブネズミみたいに見える」

    「お帰りください」

    一人になった古美門は歌う。

    ドブねずみみたいに美しくなりたい

    ・・・歌わないだろう・・・。

    「先生とお父様の間には・・・一体何が・・・」

    「お父様っていうなっ。お前は俺の嫁かっ。黛くん・・・君はいつまでサンタクロースを信じていた?」

    「サンタクロース・・・今でも信じてますけど・・・なにか」

    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

    「私は一度も信じてないよ・・・」とメイ。

    「絶対に勝とう」とメイの戦友気分の古美門であった。

    古美門はメイ母子を傍で見て来たマネージャーの証言を得ようとするが・・・例によって母親を通じてマネージャーを抱き込みにかかる三木陣営。

    第二ラウンド 「それでもサンタクロースなんていない」

    父親に論破された幼き日の古美門ジュニアはカステラを買ってクラスメートに謝罪するように命じられる。しかし、古美門ジュニアはその金でカステラを買い自分で食べてしまう。その姿を発見した父親は「なぜ、君がカステラを食べているのか」を問う。「嫌いなので持ち帰りなさいと言われたからです」と虚言を弄する古美門ジュニア。しかし、父は「クラスメートがカステラを好きなのは調査済みだ。そんなことも思い浮かばないとは君は頭も悪いようだ。家名に傷をつけないようにどこか遠くへ行ってしまいなさい」と命ずるのだった。

    色仕掛けで籠絡されたマネージャーは第二回審問で「母親はいい母親です」と証言。

    しかし、古美門はホストとして潜入させた蘭丸によって母親の日常について決定的なビデオを入手していた。

    「さあ、今日は祝杯をあげるわよ・・・バカなマネージャーを騙して裁判はこっちのものなの、私に抱かれたい人、この指とまれ~」

    古美門は三木を叱咤する。

    「姑息な手をつかうから、墓穴を掘るのです」

    「いや・・・あなたは今の古美門を知らない・・・どんな手を使っても勝つ必要があります」

    最後の審問のために三木はシナリオを用意して泣き落しに訴え、裁判官の心証を得ようと画策する。

    しかし・・・追い詰められた母親は手首を切って自殺未遂をはかるのだった。

    病院で三木は「しっかり、シナリオを覚えなさい」とさらに詰め寄る。

    しかし、古美門は「天才子役に演技で勝てるはずがない・・・ありのままの心でわが子に対しなさい」とアドバイスするのだった。

    一方、黛はあくまで素朴に「お母様が自殺未遂したのよ・・・すぐにお見舞いに行くべきです」とメイに訴える。

    しかし、メイは「お母様って言うな・・・いつ二人が姉妹の盃をかわしたってーの。いつものことで、心配するだけ無駄なのよ・・・」

    古美門は黛に「子が親を捨てようとしているのだ・・・そこにどんな苦悩があるか・・・思い描けないうちは安易な発言をするでない」と教育的指導である。

    しかし、服部は重要な事実を見逃さない。

    「メイ様は・・・まるでかって見たことがあったようなことをおっしゃいましたね・・・」

    「!」

    第三ラウンド 「いや、ここにいます」(サンタクロース)

    親子の縁を切って、歳月は流れた。その後、一家は離散したという。二人の弁護士として対峙する父と子の愛と宿命の裁判所である。

    最終審問の場で・・・すでに演技の準備を終えたメイに古美門ジュニアは・・・「敵は本音で来る・・・演技では負ける可能性がある・・・君も本音で行きたまえ・・・大丈夫だ・・・なぜなら君は正しいから」

    しかし、審問の場で言葉を口に出せないメイ。

    「私が代わって申しましょう。メイさんと母親は危険なほどに一心同体なのです。メイさんが人気絶頂の頃、人気者がとにかく嫌いなアンチが沸き起こり、誹謗中傷の嵐が吹きまくった・・・その時、傷付いた我が子を見て、メイさんの母親は自殺未遂をしました。メイさんの作った子役ブームに乗って芦田愛菜ちゃんなど次の世代が人気を得て、メイさんの仕事が激減し、世代交代などと叫ばれた時にも母親は自殺しています。つまり、母親はメイさんに病的に癒着しているのです。その結果が自傷行為のリフレインです。つまり、メイさんの母親は病んでいる。そして・・・メイさんはアルコール依存症になるまで追いつめられている・・・つまり、メイさんも病んでいるのです。このまま、二人が親子関係を続けることは大変危険だといえるでしょう」

    「母と子が手をとりあって・・・治療に励むことはできないのかね」と問う古美門父。

    「愛し合っており、いたわり合っているからこそ・・・危険なのです。今はただ、親子関係を一度断ち切ることが肝要なのだと申し上げている」

    ここで、メイが口を開く。

    「それでも・・・いつか・・・またママと一緒に暮らしたい・・・だってママは宇宙にたった一人だから・・・」

    裁判官は母親に意見を求める。

    「ありません・・・」

    こうして・・・メイの母親の親権は停止された。

    メイは芸能界を引退し、父親の姉の住む英国に留学する。

    「視聴者の皆さん、今まで応援してくれてありがとう」

    とカメラ目線で明るく爽やかに語るメイ。

    「・・・なんてね・・・子役の賞味期限は短いからね・・・なにしろ、いつまでも子供じゃいられないから・・・特殊な例外をのぞいては・・・」

    「それ以上・・・言わんでよろしい・・・しかし・・・君の役者魂は不滅だろう・・・シェイクスピアのふるさとでみっちり修業して・・・いい女優になるのだな・・・」

    「いってきま~す」

    その頃、古美門父の元には古き忍びのものから定期連絡が入る。

    もちろん、それは忍者服部である。

    「なに・・・俺がうれしかっただろうって・・・馬鹿を言うな」とまんざらでもない古美門父だった。

    つまり、古美門父は古美門ジュニアを溺愛しているのである。

    「やめたきゃ・・・いつでもやめたまえ」

    「いえいえ・・・おぼっちゃまに仕えることは私の人生そのものでございますから」

    もちろん・・・古美門ジュニアは知らぬが仏だった。

    黛は正攻法で言い募る。「初代サンタクロースは義賊だったんです。そして恵まれない子供たちに幸せくばったんです。だから親が子にプレゼントをするのだってサンタクロースの魂が宿っているんですよ。善意のネットワークですよ」

    「うざすぎる詭弁だな」

    「いえいえ・・・古美門先生にもサンタクロースからの素晴らしいプレゼントが届いているかもしれませんよ」と服部・・・もちろん、父がサンタで服部こそが贈り物なのだが・・・。

    「ええーっ、私ですかーっ」と最後はかわいいよ、ガッキーかわいいよを忘れない黛だった。

    「誰がじゃっ」・・・古美門弁護士事務所は今日もいちゃいちやモードです。

    どこからかあの歌が聞こえてくる。

    どこかで誰かがきっと待っていてくれる

    きっとおまえは風の中で待っている

    関連するキッドのブログ→第7話のレビュー

    シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様のリーガル・ハイ

    Clubrico003 平成財閥・東京スパークリング・ヒルズ・CLUBRICOフェスティバル会場へCLUBRICO専用飛行船からダイビング。シャブリ高まりすぎる~

    次回は・・・ドラマチック・サンデー『ビューティフルレイン』でお会いしましょう。芦田プロ・吉田プロ激突です。

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    2012年6月 5日 (火)

    女(志田未来)と女(岩佐真悠子)と女(MEGUMI)と私(戸田恵梨香)と彼(大野智)

    これでもかと・・・キャスティングで押してくるこのドラマ。まるで月9のようだが・・・あっ・・・月9だった。

    MEGUMIは「都市伝説の女」に続くメイン・ゲストである。

    髪形もメイクも変えて、一瞬だれだか分からない女として登場である。本質的にそうなのにさらにそうするってある意味、おのれを知っているんだよなあ。凄いぞ、MEGUMI。

    そして・・・キッドのブログ登場回数ではMEGUMIを遥かに上回る岩佐真悠子・・・。

    前回は「ドン★キホーテ」をチェックしているわけだが・・・休眠中にもチェックしているほど、キッドは好きなんだな・・・。サディスティックな役柄ばかりだが・・・このままだと・・・代表作が「トラブルマン」になってしまいそうだ・・・。今夏の久しぶりの主演映画「女優」・・・どうなんだ。もう、日中国交正常化40周年記念作品という時点でダメなんじゃないか・・・。林丹丹とW主演というのも物悲しいぞ。

    そして、軽く通りすがりのお手伝いゲストといった趣きの志田未来。大物なのかっ。前回は春のつなぎスペシャル「ブラックボード」の第二夜に登場である。本来は志田未来が犯人であるべき話であるが・・・まあ、そこまでがめつく必要はない・・・ということなのだろう。もちろん・・・最後はもっていくわけである。夏ドラマは日本テレビで「ゴーストママ捜査線 〜僕とママの不思議な100日〜」(主演・仲間由紀恵)である。志田未来はともかく日本テレビ、どこへいこうとしているのか・・・。ま、夏だから、いいか。

    で、『かかった部屋・第8回』(フジテレビ20120604PM9~)原作・貴志祐介、脚本・岡田道尚、演出・松山博昭を見た。脚本はフジテレビヤングシナリオ大賞出身者である。原作ありとはいえ、ほぼオリジナル・ストーリーで、ひねりもそれなりに効いていてなかなかがんばったんじゃないの・・・と妄想します。まあ、セリフまわしとか・・・特に終盤ね・・・修練が必要ですが・・・将来性は感じます。・・・何様なんだよ・・・キッド様ですが、なにか。

    犬に人間と同じような感情があるかどうかは別として・・・一般的に餌をくれる人に対する尻尾の振り方は尋常ではありません。その点は人間そのものといっても過言ではありますまい。

    密室事件を解明し続けたことでついに「めざましテレビ」のような番組のコメンテーターに起用された芹沢弁護士(佐藤浩市)は共演したアイドル・タレント中田友香(志田未来)から番組中に「死亡した姉の事件の解明」についてもちかけられ、安易に引受けてしまうのだった。

    その事件とは・・・。友香の叔母で漫画家の中田文恵(渡辺めぐみ)が自宅で頭部損傷のために死に至ったものである。当時、自宅が密室状態であったために・・・酒に酔った文恵が躓いて棚に衝突、棚の上から落ちた置き時計に頭を強打された事故として処理されようとしていたのだが・・・姪の友香には姉がそこまで間抜けだとは思えなかったのだった。

    「姉のお気に入りの時計が止まっていたんです・・・姉が霊界から私に何かを伝えようとしている気がするんです・・・」

    念のために言っておきますが・・・このレビューはほぼ妄想です。

    芹沢弁護士は早速、新米弁護士・青砥純子(戸田恵梨香)に東京総合セキュリティの解錠職人にして密室トリック解明おタク・・・榎本径(大野智)の召喚を命ずるのだった。

    絶対に密室事件として解明したい芹沢と・・・いつになく「これは事故だったのかもしれませんね」を連発して天然上司いたぶりを展開する青砥。コメディー要素の挿入ぶりがトレビアンでございました・・・。

    事件現場の私的実況見分に赴いたチーム榎本。

    「おかしいですよ・・・コンビニのレシート・・・同じビールがお中元として届いたばかりなのに・・・」

    「単に冷やし忘れたんじゃないか」

    「それもそうですね」

    死体の第一発見者は・・・死んだ文恵の第一アシスタントの理佳子(MEGUMI)だった。訪問した理佳子は在宅しているはずの文恵の応答がないために不審に思い窓から覗いたところ・・・遺体を発見してしまったのだった。

    ただちに通報したところ・・・救急隊が到着、同時にかけつけた第二アシスタントの麻美(岩佐真悠子)の合鍵によって入室し、文恵の死亡が確認されたのである。

    「合鍵?」

    「アシスタントの皆さんは合鍵をお持ちでした」と姪の友香。

    「では・・・密室じゃないじゃないか・・・」

    「いえ・・・密室と言ったのは・・・犬のためなんです・・・。吠えるんですよ・・・もう誰かれかまわず・・・吠えられないのは叔母だけでした」

    「つまり・・・犯行時間には・・・犬は吠えなかったと近所の人が証言しているわけですか」

    「そうです・・・少し、無理があるのはわかります」

    「それにしても・・・どうして第一アシスタントの理佳子さんは・・・合鍵を使わなかったんでしょうか」

    「それは・・・おそらくうっかりでしょう」

    「なるほど・・・ふれてはいけない点だったんですね」

    その時・・・二人のアシスタントがやってくる。一人目の麻美は犬に吠えられず、二人目の理佳子は犬に吠えられる。しかも、犬が苦手な理佳子は犬撃退用の圧電エミッターによる超音波発振機を携帯しているのだった。

    そして・・・それが事件解明の手掛かりになったのだった。

    「それにしてもそんな証拠物・・・彼女はどうして捨てなかったのでしょうか」

    「さあ・・・わかりません・・・犯人に興味はありませんから」

    「もしかしたら・・・罪を悔いて誰かに発見してもらいたかったからかも・・・」

    「そういう発想は少なくとも脚本的にはなかったようですね」

    二人のアシスタントには確執があった。

    新人アシスタント麻美には才能があった。十年もアシスタントを勤めた理佳子が一度もまかされたことのないキャラクター・デザインをまかされるほどだったのだ。理佳子は麻美に激しく嫉妬した。

    しかし、理佳子には文恵との十年に渡る信頼関係があった。文恵のファンであり、文恵を深く愛する麻美は二人の親密な関係に嫉妬していた。

    他人をうらやましがり、ねたむ。その心が・・・愛する対象を死に導いてしまったのである。

    麻美は内向的な性格の理佳子を嘘で追い詰めていたのである。

    「先生・・・あなたには才能がないっていつも私に言うの」

    「先生・・・あなたをお払い箱にしたいみたい」

    「先生・・・あなたの替わりはいくらでもいるって・・・」

    やがて理佳子の中で愛は反転して憎しみに変わったのである。

    そして、理佳子を追い払おうと目論んでいた麻美は・・・愛する文恵をこの世から追い出してしまったのである。

    犬は餌をくれるアシスタントの二人、どちらにも吠えなくなっていた。

    理佳子は犬除けの超音波発振機で・・・文恵を殺害し、合鍵で玄関の鍵を閉め、通報した後で・・・犬が吠えるように仕向けたのである。

    「私がそれをしたって誰が証明するの・・・」

    「止まった時計です・・・あなたがそれを使ったためにクォーツが共振して破壊されてしまったのです」

    「犬が吠えるから・・・使ったのよ」

    「あなたが・・・通報した時の通話は録音されているのです・・・わかりますか・・・この時点では犬は吠えていないのです」

    「犬が吠えだすのは・・・通報した後で・・・犬に吠えさせるためにあなたが犬除けの超音波発振機を使ったからなのです・・・それができたのは・・・あなただけなのです」

    「・・・ちょっと無理があるけど・・・ま、いいか・・・私は・・・私は・・・先生を殺したいほど嫌いになった・・・それだけです」

    「・・・」

    こうして・・・事件は解明されたわけだが・・・。

    テレビで「犬のみぞ知る・・・犬のみそ汁ではありませんよ・・・ハハハ」と失言する芹沢。

    友香は「それって・・・まさかみそ汁の具が犬ってことですか・・・愛犬協会が黙っちゃいませんよ」と失言を重ねる。

    三宅正治アナ「いや、友香ちゃん・・・そうじゃないよ・・・犬用の味噌汁ってことですよね。ねえ、先生・・・だじゃれを言うのはだあれじゃあ・・・なんちって・・・CMです」

    一方・・・私と彼は「やはりいざというときには頼りになりますねえ」「・・・」「犬って・・・」「・・・」とそこはかとなく、いちゃいちゃするのだった。これは脚本家の願望ストレートだな。

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    2012年6月 4日 (月)

    闇を切り裂き、俺は燃えよう、俺は滅び去る者(山本耕史)

    「台記」の作者である悪左府こと宇治左大臣藤原頼長が実在したことを疑うものはいないだろう。

    「台記」が悪左府の日記であることを疑うものも少ないだろう。

    たとえ、自筆原本が失われて存在しないとしてもである。

    それほどに「台記」は人々に愛されてきたわけである。

    だが・・・悪左府の日記である以上、それはフィクションに過ぎないのである。

    しかし・・・悪左府が憤死して856年が過ぎ去った今、その真偽はどうでもいいという考え方もある。

    ただ・・・死ぬ直前まで20年近く虚実とりまぜてあれやこれや書き残した悪左府が・・・そのすべてを何千、何万、何十万人に愛読されてしまうことになるとは・・・想像していなかったのではないか・・・と想像することはできる。

    それは・・・ものすごく恥ずかしいことなのか、そこそこ誇らしいことなのか・・・よくわからない。

    ただし・・・悪左府はもはや何も感じないので・・・心配することもないのだな。

    彼はとっくに滅び去ったのだから。

    で、『平清盛・第22回』(NHK総合20120603PM8~)脚本・藤本有紀、演出・柴田岳志を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は宇治にて敗残の悪左府との対面を拒否・・・溺愛した息子を悶死させた藤原摂関家の長老・藤原忠実の号泣、遊びをせんとや生まれけり54才にして処刑された側近の妻(丹後局)を孕ませた大天狗の帝・後白河天皇の即位後のお姿、保元の乱の敗戦の将として身柄を清盛に託した平忠正近影の三大イラスト描き下ろし・・・まさに三者三様の喜怒哀楽三昧でございます。それにつけても松田翔太の雅びやかなこと・・・うっとりですな。

    Tairakiyomori20祇園精舎の鐘声、諸行無常の響あり、沙羅双樹の花色、盛者必衰の理を顕す。奢れる者も久からず、春の夜の夢の如し。猛心も終には亡ぬ、風前の塵に同じ。保元元年七月十一日未明、鴨川を挟んで対峙した天皇方、上皇方の軍勢であったが、南北から天皇方の軍勢が渡河に成功し、上皇方の本陣となっている白河北殿に攻め込んだために夜が明ける頃には決着していた。天皇方は周辺の法勝寺、円覚寺などにも放火し、鴨川東岸は火の手に包まれた。敗北を悟った上皇方は包囲の薄い東側から次々と脱出し、総崩れとなった。崇徳上皇は近臣とともに大内裏の北を輿に乗って逃走。平安京西部の仁和寺の異父弟・覚性入道親王を頼った。しかし、覚性は上皇の所在を天皇方に通報し、美濃源氏・源重成が十三日に上皇の身柄を拘束した。悪左府こと左大臣藤原頼長は脱出時に火矢を受け、重傷を負う。家司で従兄の藤原少納言成隆に抱えられ鴨川西岸に脱出、洛内を彷徨し、嵐山から桂川に出て、舟で宇治へ向かう。父であり、黒幕でもあった藤原忠実の元へ向かう。しかし、すでに忠実は大和国(奈良)方面に逃走しており、再会を果たせぬまま、無念の気持ちを抱いて十四日に失血死した。頼長に同行していた四人の男子は天皇方に投降し、全員が流罪となる。崇徳上皇と悪左府に従った武士たちはそれぞれの本拠地(任地)を頼って都落ちをする。源為義は敵対した長男・義朝の妻の実家、尾張を目指す。戦勝者である息子の情に縋ったのである。また、平忠正は一族とともに伊勢路をたどったが、忠正の長男・新院蔵人長盛が伊賀に僅かな領地をもっていたためにそこでしばらく潜伏する。武勇を誇った鎮西八郎為朝は乱戦のうちに郎党をすべて討たれ、自らも深手を負ったために騎馬にて近江国(滋賀県)へと逃げ去った。かくて・・・保元の乱は後白河天皇方の圧勝となったのである。

    武士の警護を受けるために一時、北側に隣接する摂関家の屋敷・東三条殿に移っていた帝(後白河天皇)とその腹心・信西入道は再び御所である高松殿に戻っていた。臨時の最高会議として陣定(非公式の国会)が召集されており、高松殿の広間には主だった公卿が詰めている。東の控えの間には関白・藤原忠通が呼び出しをまっていた。西の仮御所には帝と信西が籠り、密議を続けている。信西は天皇の忍びと藤原の忍びさらに源平両氏の忍びを実質支配しており、情報はたえまなく届けられている。

    帝が親王だった頃から寵愛を受けている二人の貴族は常に同席を許されていた。藤原北家経輔流の藤原武蔵守信頼は24才。父は鳥羽院の側近であった従三位藤原忠隆である。信頼は公卿の子でありながら武芸を好み、帝の警護役として任じられている。帝好みの肥満した体型からは想像もできない体術を習得していた。もう一人は平家と関係深い藤原中納言家成の三男・藤原左少将成親で19才である。二人の貴族は蔵人として帝と公卿たちの連絡役を務めている。

    藤原の忍びの報告で悪左府の死を知った四人の男たちはそれぞれに心を揺らせる。

    帝は勝利を確信した。信西は親友とも言える政敵の死を悼んだ。信頼は理が勝ちすぎた悪左府の武運拙きを憐れんだ。そして成親は最初の男である悪左府と過ごした甘い日々を思った。成親は帝の寵を受けながら、同時に悪左府にも愛でられていたのである。

    (頼長様・・・)成親は悪左府の細やかな愛撫を思い返しつつ、冥福を祈る。

    「死んだか・・・」と帝は率直につぶやいた。「祝言(のりと)せねばならぬな」

    「まずは・・・関白どのにお悔やみ申し上げましょう・・・さて・・・後は前の関白忠実殿の処遇・・・」

    「もはや・・・ただの隠居であろう・・・」

    「しかし、藤原の長者の財はあなどれませぬ・・・ここは罪人として処断することが・・・肝心・・・」

    「ほほう・・・藤原の財を関白に継がせぬのか・・・」

    「さすがは帝・・・この際・・・摂関家は解体してしまうのがよろしかろう・・・もはや・・・無用の長物・・・」

    「ふふふ・・・武者どもに配る恩賞も必要だしのう・・・」

    「手順をふまえて、有無を言わせぬように即断即決が肝要でおじゃりまする」

    「して・・・仁和寺の兄上はいかがする・・・」

    「この際、島流しなどいかがでございましょう・・・」

    「上皇を・・・遠島にか・・・面白いのう・・・」

    「謀反した公家のものたちもそれなりに処断せねばなりますまい・・・さらに・・・上皇方についた武家にはさらなる・・・厳罰がふさわしかろうと・・・」

    「どうするのじゃ・・・」

    「三百年絶えていた死罪を申しつけまする」

    「死罪とな・・・ハハハハハハハ・・・それはほんに・・・ほんに・・・面白きことよ・・・まさか・・・死罪とは思いもよらぬことであろう・・・その驚き呆れる様・・・思うだけで受ける~アッハハハハハ・・・信西・・・我が乳父殿・・・汝はなるほど面白きものよな」

    そこに奥から知らせがあり、帝は座を立つと、一人御所の奥の間に入った。

    奥には忍びの間があり・・・隠し道を通じて前斎宮・統子親王が訪れていた。

    「これは・・・姉上・・・」帝は笑いを収めて神妙な顔になった。統子は美しく聡明であり、しかも遊び心がある・・・帝にとって姉であり、母であり、友でもある特別な女性だった。

    「なにをさように浮かれておいでじゃ・・・」統子は微笑んで言った。

    「なに・・・つまらぬまつりごとのことでごじゃりまする」帝は用心深く言葉を選ぶ。気の合う姉だが殺生に関しては帝とは趣が違うことを気遣ったのである。

    「都を焼くなど・・・愚かなことじゃが・・・これも定めであろうな・・・いよいよ・・・魔物が本性を現したということじゃ・・・」

    「それは・・・美しき我らが継母のことでおじゃりまするか」

    「他に誰があろう・・・我らが父がこれまで押さえしものの・・・箍がはずれしことよ」

    「しかし・・・その魔物のおかげで・・・朕はこのように帝になりましたぞ・・・」

    「・・・雅仁殿・・・いや帝・・・それは名目上のこと・・・今や、父上の財も・・・権門もすべては美福門院の方の思い通りになること必定でございます」

    「・・・それは・・・」帝は一瞬で心が覚める。

    「いつかは対決しなければならぬ相手なれど・・・今はまだ準備が整いませぬ・・・最後の封印の解除に戸惑う卦が出ておりますゆえ・・・」

    「そうなのでおじゃるか・・・では・・・朕はどうすれば・・・」

    「父上様の霊力を呼び込み・・・大天狗の法を施すしかありませぬ・・・」

    「大天狗の法・・・」

    「父があの魔物を抑えていたのも愛宕山神、鞍馬山神の守護を得ていたからなのです・・・」

    「なんと・・・そのような秘事があろうとは・・・」

    「さあ・・・これを一服なさいませ・・・」

    「なんですか・・・苦いのでは・・・」

    「ふふふ・・・わが愛弟(いろこ)よ・・・かわりませぬなあ・・・さあ、おのみなされ」

    促され・・・帝は秘薬を飲む。たちまち・・・帝の魂が消えうせる。

    これこそ没我の境地にいたる皇家伝来の生薬だった。

    すでに統子は霊移しのための古き真言を唱え始めている。古の卑弥呼女王から伝わる秘儀である。

    やがて・・・霊的現象が物質化して具現しはじめる。

    奥の間に統子の放つ七色の霊光が揺らぐのだった。ついにその光輝が帝を包む。

    その時、帝は叫んだ。

    「天狗じゃ・・・天狗・・・朕は大いなる天狗になりけりーーーーっ」

    倒れ伏した帝の髪をそっと撫でる統子親王。

    「これで・・・しばらくは時が稼げるであろう・・・」

    統子は立ち上がると・・・音もなく高松殿御所奥の間から忍び去る。

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    2012年6月 3日 (日)

    満月と狼男と魔法陣とベラドンナの花言葉は裸の私をお見せします(長澤まさみ)

    ああ、見たいものだ・・・欲望丸出しかよっ。

    魔法陣の月子(長澤まさみ)にあぶなく召喚されるところだったからな。

    悪魔として腰が軽いにもほどがあるだろう。

    なに・・・本物の悪魔だなんて思う人はおるまいて・・・。

    いやあ・・・世の中にはルナティックな方は掃いて捨てるほどいるからな・・・。

    それにしても・・・未だにクソみたいなスパムを送ってくるヤツってどうなの・・・。

    まあ・・・行く手には地獄が待っているのみじゃから・・・どうということもあるまいて・・・。

    ただ一つ言えることはオカルトな物語があろうとなかろうと・・・詐欺の被害はだます人とだまされる人がいる限り絶滅困難だと言うことです。

    そんな・・・ミもフタもない事を・・・今更。

    ま、保険ですよ、保険。

    で、『・第8回』(テレビ朝日20120601PM2315~)脚本・後藤法子、演出・塚本連平を見た。朔も満月も月・太陽・地球が直列した状態であるので、潮汐の高低差は大きくなる。いわゆる大潮である。血液型が科学的に差異のあるものと定義付けられる以上、その差異が人格の差異になって表出される可能性を否定できないのと同程度に引力の差が人体に影響を与えないとは断定できないわけである。まあ、一緒だと思えば一緒だと言う話である。

    人間には超人願望が潜んでいる。あるものはそれを荒唐無稽と一笑にふしながら・・・心のどこかで・・・もしも自分がそうであったなら・・・と夢想するのである。そういう人間はある日太った詐欺師にちょっとした手品を見せられただけで最後には地下鉄でサリンをまくようになるわけである。実に愉快な話である。あるいは哀しい話と言ってもいい。悪魔にとってはそれは同じ意味だからだ。だれだって笑える話で時には泣き、泣ける話で笑ったりするものだ。

    だから・・・この物語の主人公としてのヒロインである音無月子巡査(長澤まさみ)がすでに超人の域に達していたとしても・・・茫然とする必要はないわけである。だってこれはフィクションなのだから。

    だって長澤まさみのようなスラリと伸びた長い脚で整った顔立ちの美人刑事が聡明で直観力に優れているとしたら、それはもはや超人的というよりは・・・奇跡なのである。

    で、今回は「スマイル」(2009年TBSテレビ)を途中降板して以来、脚本家としては影を潜めている宅間孝行演ずる郷原主任刑事のフィーチャー回である。精神衛生上、このまま役者に専念した方が望ましいな。なんてったってそこそこ二枚目なわけだし、「スマイル」のような恐ろしい番組は二度とこの世に現れてはいけないと思うからである。・・・おいっ。

    ゲストは西原亜希演じる占い師・合田千尋。占い師連続殺人事件の第四の被害者である。ただし、彼女だけは襲撃されたものの命に別状はなかったのだった。当然、犯人である。

    オカルト事情にくわしいということで郷原班に合流した月子だったが、もちろん本人としては「私が興味を持っているのは事件の裏に都市伝説が関係していることを証明することだけです」とオカルト通を否定するのである。

    まあ、お茶の間には迷信も魔術もオカルトも都市伝説も同じようなものなのでその点に深く言及するのはさけたいと考えます。大人気ないですからなっ。

    たとえば田舎で起きた噂でも・・・東京で一度でも噂されれば立派な都市伝説なのですから。どういう根拠だよ。

    捜査に乗り出した月子は霊によって・・・いや、例によって一瞬で事件の真相を見抜くのだが・・・いろいろと証拠を捏造・・・いや発見するためにあれやこれやするのである。

    今回、重要参考人1号は現場に必ず姿を見せる老人・小栗龍太郎(宇津井健)なのである。細江真由(小林優美) ・板倉由希美 (篠原真衣)の交通課婦人警官コンビにもその老人とは思えない超人的な体力の発現を目撃されているのだ。

    しかし、武重治警視庁副総監(伊武雅刀)とも特殊な関係にあるらしい小栗老人はそもそも犯人ではありえないのだった。その正体は最終回まで秘密だからである。

    やがて・・・捜査線上には殺された占い師に騙された被害者の会の会長でタクシー運転手の的場(おかやまはじめ)が浮かび上がる。なにしろ、武道の達人で筋トレにも熱心なのである。

    しかし、月子は・・・「事件は満月の夜に起きています・・・犯人は狼男である可能性が高く、狼男に筋トレは似合わないので彼はホンボシではありません」なのだった。

    まあ、ここだけの話、筋トレ好きの狼男は何人か実在します。

    さて、それはそれとして、今回、月子自宅の捜査会議にお呼ばれされるのは郷原主任刑事。

    「家へきてください」で鼻の下を長くした郷原は「汗かいたのでシャワーあびちゃいました」で顎を廊下に落下させるわけだが、例によって、妹の都子(秋月成美)、鑑識の勝浦(溝端淳平)の出迎えを受けて意気消沈である。

    勝浦は現場に残されていた獣の毛はミンクだと告げ・・・ついに怪奇ミンク男の話が始る・・・わけもなく、次の満月の夜に月子が囮になることが決定する。

    捜査員たちは万一にそなえて銀の弾丸で対狼男装備を整えるのだった。

    予算の都合で一発、三千円の銀メッキ弾だった。

    まあ、狼男にもアレルギー体質の者がいて銀のスプーンでカレーを食べて舌が麻痺してしまった例もありますからな・・・それ以上はやめとけよ。

    魔法陣に入り怪しげな呪文を唱える月子。

    なるほど・・・長澤まさみの黒井ミサもちょっと見たいな。

    やがて・・・現れた犯人は被害者の会の副会長で合田千尋の支援者であるビル・オーナーの戸崎(小松和重)であった。

    合田千尋は・・・三人の占い師に両親を自殺に追いやられた被害者遺族であり、復讐のためにスペックの催眠暗示を用いて戸崎を狼男に仕立て上げたのだった。

    おい・・・スペックってなんだよ。

    人間の潜在力を引き出し、怪力男にするほどの暗示力はスペックと呼ぶ他はあるまい。

    いや、単に昔ながらの超能力でいいじゃないですか・・・。

    いやいや・・・この場合は魔女力だろう。

    つまり・・・この話は狼男というよりは魔女の話だったのである。

    暗示を施す場面の盗聴テープという証拠のようなものを突き付けられた千尋は正直に罪を告白するのだった。

    「まあ・・・復讐は無事終わったし・・・そのために・・・罪もない人に罪を犯させたのだから・・・それなりの罰は受けます・・・憎しみの対象としたものと同じようなことをしたのは反省に値することですから」・・・謙虚な魔女だった。

    都市伝説の女を讃えてベラドンナ(和名・オオカミナスビ)の花が咲き誇るのだった。

    しかし・・・千尋は最後に次回予告を残していく。

    「ここだけの話・・・月子さんの命はあと一週間です」

    顔色を変える捜査員一同だった。すべての謎は来週・・・最終回に明かされる・・・のかもしれない。

    おっと・・・忘れてはいけない。

    「満月に向かってサイフを振ったら金運アップ」(月子)

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    2012年6月 2日 (土)

    うすい金色の雲は永遠の命、永遠だけど崩れて消えるね(竹野内豊)

    「うん。うすい金色だね。永遠の生命を思わせるね。」は宮沢賢治の「蛙のゴム靴」のセリフである。

    カエルたちは月見や花見のように「雲」を見るのだが・・・雲の峰が平たくなって黄昏の光を受ける頃がカエルたちのお気に入りということになっている。

    黄昏に永遠を見るというのが・・・賢治の詩人の魂というものなのでしょう。

    まあ、悪魔には高尚すぎる感性と言えますな。

    流行のゴム長を手に入れた一匹のカエルが・・・そのゴム長の魅力で美しいカエルの乙女のハートを射とめるのですが・・・仲間のカエルたちは・・・嫉妬して二人の結婚式に横槍をいれるのです。

    結局、ゴム長を失ったカエルは他のカエルと区別がつかなくなって・・・まあ・・・お話の顛末はいつか・・・各自でお確かめください。

    ここで重要なのは・・・幸せな結婚には必ず邪魔が入るという教訓ですから。

    しかし、まあ、他人の幸福を祝福するということが結局、幸福なことだということに人間というものはなかなか気がつかなかったりするものですからな。

    ま、そこが悪魔の付け入る隙なのでございますけれど・・・。

    で、『もう一度君に、ーズ第7回』(TBSテレビ20120601PM10~)脚本・山上ちはる・桐野世樹、演出・木下高男を見た。ふふふ・・・この脚本体制なんとかなりませんでしたかーーーっ。と絶叫したいところだが・・・もういいか。結局、どうしても・・・若者たちは一人相撲というか、自分を抑えきれない。もう、若くない二人は相手のことを思いつつ、自分を捨てきれない・・・そして、老いたものだけが・・・無私の気遣いを見せるという世代別色分けが残るばかりである。まあ・・・気がつけばあっという間の一時間だから・・・これはこれでよしとしなければならないのだろう。でも・・・できれば「波留と可南子の愛の苦闘」だけをもう少ししっとりと味わいたいのだよなあ・・・それは贅沢なことなのでしょうかね・・・そういう名作はあってはいけない時代なんですかねえ。

    今回は・・・波留(竹野内豊)が「何を求めているのか・・・自分でもわからなくなった」状態をじっくり描く必要があったと思うのだが・・・例によって可南子(和久井映見)の暴走する弟・裕樹(山本裕典)や結局、波留の女になりたい一心の桂(倉科カナ)にシフトしすぎて・・・肝心の主人公の気持ちが読み取りにくくなっているのである。

    もう・・・今回もある程度妄想で補完していくしかないのだよな。

    「可南子のウエディング・ドレス姿・・・凄く綺麗だった・・・」

    「・・・」

    「可南子・・・離婚しよう・・・」

    「・・・」

    「俺が間違ってた・・・俺の気持ちばかり押し付けても駄目なんだよな・・・だって夫婦って二人でなるものだもの・・・」

    「・・・」

    「だから・・・離婚しよう」

    「・・・」

    「俺も・・・すべてを忘れるから・・・」

    「・・・わかりました・・・わかりました」

    ・・・可南子は何がわかったんだろう・・・わからない。

    しかし・・・おそらく・・・それは波留にとって悩んだ末の決断だったので尊重したいということだったのだろう。

    現在のところ・・・実は可南子はすでに波留を愛していると思われる。

    記憶喪失後の何度かのデートを通じて・・・波留という男性が可南子の理想に合致したことは疑いようがない。

    しかし、それは可南子の一方的な愛であって・・・可南子の中では相思相愛ではないのである。

    なぜなら・・・すでに可南子は波留が求めているのが・・・記憶を失っていない自分であると察しているからである。もちろん、記憶を失った可南子と記憶を失う前の可南子は客観的には同一人物であるが・・・可南子にとってそれは見知らぬ別の女なのである。

    可南子の愛の深刻さは・・・波留が別の女を愛していることに気がついてしまったことだ。

    可南子はどうしようもなく面倒くさい女なのだが・・・それは記憶を失う前の自分を受け入れることができないという点で・・・しかし・・・他の女を愛している男を愛する難しさは確かにある。そして・・・自分そっくりな女に・・・可南子は勝てる気がしないのである。

    さすがに・・・可南子のそうした複雑な女心は波留の理解を越えていると思われる。

    さらに言えば、この複雑な心情を読みとれるお茶の間は・・・皆無なのではないか。

    なにしろ、キッド自身が説明していてなんだかよくわからなくなるほどの複雑さなのだから・・・。

    まさに・・・黄昏の雲はうすい金色。そしてうすい金色は永遠の生命・・・なのだな。

    で、黄昏の国のよくわからない時間の流れの中、波留は宮本家へ、可南子は実家である谷村家への帰路につく。

    その頃、谷村家ではおしかけ恋人の増山志乃(市川由衣)が恋人の母親・谷村万里子(真野響子)と和気藹々でビーフ・シチューを作り、帰宅した裕樹とともに遅めのランチだか、早めのディナーだかを食べて、万里子は恋人たちを送りだしたりしている。

    異常なレベルで溺愛している姉が出戻っているために、ただのセックス・フレンドである志乃がうとましくて仕方のない裕樹は姉と志乃が遭遇せずに済んでホッとしているのだが、志乃には変態の恋人の安堵までは分からない。しきりに別れを匂わす裕樹にただただとりすがるばかりなのであるが・・・まあ、そこは本当にどうでもいいのだな。

    一方で、昼間っから二次会に突入したリッキー(三浦力)の結婚式出席者一同。

    「波留はどうした・・・」

    「チャペルで可南子さんと話し込んでいましたけど・・・」

    という仲間たちの話を聴き・・・波留と可南子が二人きりという状況だけで青い嫉妬の炎を燃やし、それを露骨に表情に出す吉城桂(倉科カナ)である。なにしろ・・・強気というか、邪気が滲み出て、それだけでこういう役どころをふられる女優の上に芸達者で・・・わかりやすいポジションなのである。唯一・・・誰もが分かるキャラクターなので説明するのも恥ずかしい。

    そうしたノイズを挟みながら・・・それぞれの「家」へ帰宅する「波留」と「記憶喪失の可南子」である。

    クローン人間のスペアを扱った萩尾望都のコミック『A-A'』(1981年)に習えば、記憶喪失の可南子は実は可南子'なのである。このドラマには実は可南子と可南子'が同時存在しているわけで・・・お茶の間的に一番、難解な部分なのではないだろうか。

    つまり、可南子は単純に記憶を喪失しているわけではなく・・・現在は存在しない可南子と、記憶喪失後の可南子'に分離しているわけである。周囲の人間はみな、可南子を認知しているが・・・ただ一人、可南子'だけが可南子を知らないという異常な状況なのだなあ。

    この前提を理解しないと・・・可南子の気持ちはわかりません。

    ただし、あくまで記憶障害が心因性ではないことが前提である。ドラマ内の心療内科医はさかんに心因性に言及するが・・・これは外科手術の後遺症としての機能障害を関連付けさせないようにしているとキッドは断定しています・・・そうなのかよっ。

    本来、宮本夫妻のスィート・ホームである借家に戻った波留は一人でいることの寂寥感に苛まれる。しかし・・・彼が求めているのは・・・可南子'ではなく、可南子なのである。

    家路につく可南子'が悲しみをこらえているのはすでに波留を愛しているからであり、そして波留が愛しているのが可南子'ではなく可南子であると認識しているからなのである。

    つまり、この作品が名作の可能性を秘めているのは可南子の悲しみが単なる悲しみではなくセンス・オブ・ワンダー(不思議な感じ)がその悲しみの源にあるからなのだねえ。少なくとも、キッドにとっては。

    母親の万里子(真野響子)は「息子の恋人」が家庭訪問したことにやや、興奮気味である。しかし、可南子の沈んだ気持ちをたちまち見抜く。波留が離婚を切り出した裏には万里子も一役買っている。万里子は女手で子供二人を育てた女である。本来の性格もそうであるかもしれないが、基本的に前向きなのである。娘夫婦の関係が停滞していることが生理的に我慢できないため・・・「前進」を娘にも娘婿にも促しているわけで・・・悪意はない。

    「私・・・離婚することにした」という娘の発言を笑顔で受け止めるのはそのためである。

    しかし「彼が離婚しようといいので・・・わかりましたって答えたの」という娘の説明にたちまち、顔を曇らせる。自分の促した「前進」が娘に傷心を与えていることに気がついたのである。なんという・・・賢い母親なのだろう。

    つまり・・・母親は記憶を失った娘が・・・記憶が戻らないままで・・・すでに夫である波留を愛し始めていると悟ったのである。

    (急がせすぎたか・・・)と万里子は考えるが・・・後悔はしない。前へ進んでいれば必ず道は開けると考えるタイプだからである。ただし、一層の気遣いが必要だと自分を戒めるのだろう。

    可南子'は愛し始めた男の現在の妻である可南子について思いを巡らせる。

    しかし、それが自分自身であることがどうしても受け入れられないのだった。

    なぜなら可南子'は可南子ではなく可南子'なのだから・・・。

    煩悶する可南子と同じように波留も寝付けない。

    正しい選択をしたはずなのに心がすっきりしないのだった。

    波留は気持ちを奮い立たせようと結婚指輪をはずしてみた。

    翌朝・・・リッキーの結婚式の引き出物らしき愛のマグカップでコーヒーを飲むミズシマオートの新人整備士・進藤(松下洸平)が「結婚に対する不毛な片思いだな」と先輩たちに冷かされるのに敏感に反応する桂。もはや煩悩の塊である。

    水島社長(光石研)は知人を通じて取り寄せた「思い出の赤い車」の整備マニュアルを波留に渡す。波留の決断に対して「それでいいのか?」の軽いジャブである。

    昨日の可南子との密談をひやかされる波留。たちまち苦悶する桂。

    しかし・・・波留は「離婚することにしました・・・」と一同の軽い気持ちを重くする。

    もちろん、桂だけは喜びに顔を輝かせるのである。・・・だめだな・・・それじゃ。落ち着け、桂。

    「気持ちの整理をつけるための・・・前向きの選択です・・・」と勤めて明るく振る舞う波留である。しかし・・・その視線は宙を彷徨うのだった。

    赤い車を修理するのは・・・可南子との結婚生活の修復と重ね合わせ行為だったのだが・・・今や、それは空しいものになりつつあるということが・・・気持の中でうまくおさまらないのだった。

    そうした・・・やりきれなさを漂わせつつ・・・タイトルでは二人がバイクで二人乗りである。

    本当に・・・ここに落ち着くのか・・・お茶の間の心を揺らします。

    早速、空いた席に座りこもうとする桂だった。

    昼飯の買い出しに出かけ、公園のベンチでピクニックとしゃれこむのである。

    恋愛マニュアル通りに「一緒に食事を共にすることで親密度アップ」しようというわけだ。もちろん、お茶の間の波留・可南子応援団は盛大なブーイングの嵐だが・・・もはや自分の恋の成就にまっしぐらの桂は我関せずなのである。

    「私、わかります・・・波留さんの気持ち・・・」

    「何がわかるんだよ・・・」

    という波留の言葉に激しく同意のお茶の間だが・・・桂のわかりたい波留の気持ちは(ひとりぼっちでさびしい)・・・ということであるらしい。そりゃ・・・お前のことだろう・・・なのである。

    「そういう時は部屋の掃除をするといいですよ・・・今まで積もったものを掃き出してさっぱりするんです・・・そうして生きて行けばいいんです・・・それが人生ですよ・・・」

    説教であり、桂の願望である。

    桂としては(そして新しい恋をしましょう)と続けたいわけだが・・・さすがにそれは口にだせないのだった。

    神妙に聞いている波留だが・・・もちろん、桂の望む方向とは別方向に心は向いている。

    離婚を言い出したことを後悔し始めているのである。

    しかし・・・桂は前途有望な感じに包まれ波留の気持ちはまったくわからない。

    そして、波留はカップラーメンを世界で一番かっこよく食べるのだった。

    五月の朗読会である。

    可南子は読み手として復帰して宮沢賢治の『蛙のゴム靴』を子供たちに読み聞かせる。

    やっと「ギッギッ」と二声ばかり鳴きました。そして草原をペタペタ歩いて畑にやって参りました、それから声をうんと細くして、

    「野鼠さん、野鼠さん。もおし、もおし。」と呼びました。

    「ツン。」と野鼠は返事をして、ひょこりと蛙の前に出て来ました。
    そのうすぐろい顔も、もう見えないくらゐ暗いのです。

    カエルのカン蛙が桔梗色の夕暗の中でかって恩をほどこした野鼠に「ゴム長靴」を発注する場面である。人間の世界で流行中のゴム長をなんとか手にいれようとカン蛙は考えるのだった。

    この後、結婚をめぐる物語としてはかなりハードな展開が待っている・・・なにしろ新郎は友人たちとともに半死半生の目に遭うのであるが・・・あくまで暗喩である。

    集まった子供たちは目を輝かして聞きいる。

    しかし、会の後で後輩の佐伯(橋本真実)は「参加者が減少している」と不安を口にする。

    しばらく考えていた可南子は「ポスターを作って関係各所に呼びかけたらどうでしょう」と提案する。

    傍で聞いていた館長・大橋(杉本哲太)は「さすがは・・・宮本さん・・・」と賛同の意を表すのだった。大橋の役割は可南子を指導する天使のようなものだが、その基本は「宮本さん」という呼びかけに集約される。

    可南子'は自分は(谷村可南子)だと思っているのである。

    可南子の名である(宮本可南子)と呼びかけられることはかなりショッキングなことなのである。

    大橋は優しい声をかけながら・・・可南子'の魂を揺さぶっているのだ。

    「宮本さんは自分でどんどん、やるべきことをみつけてがんばってくれるので・・・安心して仕事をまかせられるんです・・・宮本さんは回りにとってもいいお手本でした。でも、無理は禁物ですよ、宮本さん」

    可南子'は可南子を褒められてとまどうのである。

    可南子'は可南子の身を案じられて面映ゆいのである。

    それにしても・・・杉本哲太は本当にいい役者になったなあ・・・。桃太郎と二人、「青春とはちがーうーーーっ」などと叫んでいた頃から二十年以上も経つのだから・・・当然か。

    可南子が仕事に打ち込むと同時に波留は複雑な思いを抱えつつ、「思い出の赤い車」の修復に再び挑む。仲人である水島社長の温情が心に沁みるのである。

    そういう大人たちの思いとは別次元で桂は波留が深い意図もなくくれたコンビニのクーポン券を宝物を見る特別な気持ちで見つめる。

    この喜びを誰かに伝えたい・・・そう思った桂は・・・「波留と可南子の結婚生活を破壊する会」の同志に呼び出しをかけるのだった。

    職場で裕樹を見かけ声をかけようとした志乃は裕樹への桂からの電話によって出鼻をくじかれる。誠に不毛なトライアングルである。

    さて・・・ひょっとすると単なる姉思いの弟だったかもしれない裕樹はもはや一線を越えてしまっている。キッドの中では単なる異常人格者である。

    スティーブン・キングの小説「ランゴリアーズ」でいえばエリート銀行員でありながら発狂しているクレイグ・トゥーミーのようなキャラクターである。彼はちょっとでも自分の意にそぐわないことがあれば暗い部屋で一人、雑誌のページをやぶるとそれをピリピリピリと細かくちぎり始め、一冊丸ごとを素手で裁断して紙くずの山を作るようなタイプなのだ。

    「やあ、君か」

    (なんだ・・・またクソ女か・・・女整備士なんて、社会の底辺の底辺のくせしやがって、気安く国立大学卒業で大手食品会社勤務のエリートの中のエリートの俺様に電話なんかしやがって・・・何様のつもりだ)

    「いいよ、今夜会おう」

    (胸糞悪い女だが、一回や二回なら関係しても一興だ・・・それに麗しい姉さんのあのクソ結婚相手にしてクソ肉体労働者を貶める貴重な情報を入手できる可能性もあるからな。派遣社員のくせに俺様と対等に付き合おうとするあのバカ女の相手をするよりよほど有意義というものだ)

    姉の可南子も母の万里子もまったく気がついていないのだが・・・裕樹はいつ無差別殺人を犯してもおかしくないほどに発狂しているのである・・・おいおい。

    その裕樹が親愛なる姉の結婚相手としてふさわしいと認めるのは自分と同じエリート社員で裕樹が一度くらいは抱かれてもいいと思えるほどの貴公子である可南子の昔の恋人・一哉(袴田吉彦)である。

    今のところ、一哉は裕樹の歪んだ妄想上のキャラクターとは違い、いたって真摯な可南子の幼馴染である。

    しかし、可南子の女友達を通じて人妻に盛んにちょっかいをかけてくるところが・・・実に油断ならないのである。つまり遠慮がないキャラクターなのだな。

    で、今回はボーリング大会である。はっきり言おう、いい大人が同窓会しすぎである。

    まあ、しかし、異世代間交流や多方面交流が苦手で地元の同世代の人間関係を大切にすることに異議をとなえているわけではないので念のため。都会ではともかく田舎では普通のことでしょうから。

    可南子'にとっても谷村可南子として接することができる同級生たちは気の休まる仲間である。

    しかし・・・同級生たちが・・・驚くほどストライクを連発する可南子'だった。

    ここは・・・可南子が波留とともに結構、ボーリングにはまった過去があったことを暗示しているわけだが・・・もちろん、可南子'にとっては意外にボーリングが上手い自分に驚くばかりなのであった。

    そして・・・そんな可南子をちょっと怪しい目で見つめる一哉。

    できれば・・・一線を越えてもらいたくないのだが・・・一哉もやりたいさかりのバツイチ独身の身の上であるかっての恋人で今や人妻の可南子の肉体に興味をひかれてもあまり責めることはできないのだな。

    その頃、宮本家では波留が心に迷いを抱えながら可南子の荷物の荷づくりを進めている。

    そこへ、波留の守護天使・養父・宮本太助(小野寺昭)から命綱の着信である。

    離婚の話を聞くなり、太助は激怒である。

    「お前も馬鹿なことを思いついたもんだなっ」と一喝。

    「・・・」

    「どうするつもりなんだっ」とさらに一喝である。

    「ゼロからはじめようと思って・・・」

    「ゼロになにかけたってゼロなんだよっ」

    「じゃ・・・どうすればいいんだよ・・・」ついに甘える波留。

    「・・・可南子さんの気持ちは確かめたのか・・・」

    「・・・」・・・はっと目が覚める波留。

    「お前の勝手な思い込みで話をすすめたらだめだぞ・・・」

    「・・・わかってるよ・・・」

    「・・・」息子可愛さで仕方なく気を沈める太助だった。

    「悪かったな・・・親父・・・がっかりさせて・・・」

    「まったくだ・・・」

    「・・・」(父ちゃん)

    「・・・」(息子よ)

    お茶の間一同が背番号1前田(広島東洋カープ)になりかわって激しく太助万歳を三唱である。

    父親の心が響いて、可南子のときめき日記を荷づくりする前に・・・可南子の声を聴こうとする波留。

    しかし、パーフェクトゲームを達成中の可南子の電話は応答しないのであった。

    その頃、邪悪な会合開催中の裕樹と桂。

    「一体どうしたんです」

    (さかりのついたメスブタが・・・とっとと偏差値の低い肉体労働者同士でさかりあえばいいのに・・・)

    「もう・・・私・・・どうしていいのか・・・わからなくなっちゃって・・・不毛な片思いでいいのかって・・・あなたに言われてから・・・いいのか病になっちゃったんです・・・」

    (だって完全に悪者でしょ・・・このままじゃ私、恋愛泥棒でしょでしょ)

    「・・・」

    (だから下層階級のくせに何、モラルがあるようなことほざいてんだ、とっとと関係持ってあいつを姉さんの前に出られない身体にしてきやがれ)

    「それに波留さんは離婚するって言うし・・・それじゃ、私は火事場泥棒みたいだし」

    「なにっ」

    (って俺はコドモ警察の福ちゃんか・・・いや・・・離婚だと・・・姉さんの離婚・・・おうおう、なんて甘美な響きなんだ・・・まるでとらわれの美女が下種な悪魔たちから解放されるような・・・ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ)

    「え・・・知らなかったんですか」

    (あああ、どうしよう・・・私、波留さんの不幸せに手を貸すような真似をして・・・恥知らず、恥知らずな女だわ・・・もう堕ちるところまで堕ちるしかないのだわ)

    「あの・・・今のは聞かなかったことにしてくださいって・・・ああ、できるわけないか・・・私って私って・・・バカな女だわ・・・」

    しかし、すでに桂の言葉は裕樹の耳には届いていなかった。裕樹は姉が栄光に包まれて自分の元へ帰還する幻想で頭がいっぱいになっていたからである・・・裕樹にとって世界は暗い薔薇色に輝いていたのだった・・・いい加減にしておけよ。

    一瞬の茫然自失から我に返った裕樹はダメ押しをしておくことにした。

    「しかし、自分の気持ちには素直に従った方がいいよ」

    「でも・・・うざい女に言い寄られてもうざいだけでしょ・・・」

    「いや・・・そんなことはない・・まあ、俺のように恋愛沙汰よりも家族の世話で手が一杯なら別だけど・・・」

    「へえ・・・意外と真面目なんだ・・・いい人ね」(世界三大とってつけたセリフに認定してもいい)

    「そうかな・・・とにかく・・・気持は貫いた方がいいよ」

    (クソムシ女とクソムシ男がくっつけば決定的だからな・・・)

    だから・・・言っただろう・・・もういい人ルートなんて消滅してるんだって・・・。お前的にはなっ。

    東京タワーの下。一哉は常套手段である「なんかあったか・・・」攻撃である。

    何にもなくてもなんかあったかと心配されると人間は場合によってよろめくものなのだ。

    「ボーリングはハイスコアだし・・・歩くのは早いし・・・」

    「おみそれしました・・・」

    「意味がわからんっ」・・・お前は古美門弁護士か。しかも二夜連続かっ。

    とにかく・・・可南子は「離婚」について一哉に打ち明ける。

    「じゃ・・・俺たちバツイチ仲間だな・・・」とさりげなく二人の距離感を縮めようとする一哉だが・・・可南子の頭は「可南子-可南子'」問題でいっぱいなのである。

    本来、可南子の同級生サイドは可南子'側として図書館サイドの可南子側と一対を為すものなのだが・・・一哉登場の不倫もどきモードがノイズとして紛れ込み、機能しなくなっているのだな。この辺が・・・構成としてはものすごく残念なところである。まあ、一部よろめきファンもいるからな・・・ある程度は大目に見るが二兎を追う者一兎も得ずにならぬよう注意してもらいたいのでございます。

    「俺は可南子のことなんでもお見通しだもん」

    いやあ・・・可南子-可南子'問題は見通せてないだろう。

    「万が一、なにかあったら相談にのるよ」は「万が一、夜の相手が欲しくなったらいつでもお相手するよ」にしか聞こえないわけだが・・・。

    「バツイチの先輩としてね」とここは軽く受け流す可南子である。

    まあ・・・この二人のシーンはまったく緊迫感がなくていいくつろぎタイムだな。

    だってさすがに波留と一哉じゃ・・・基本的に勝負が成立しないじゃないですか・・・。

    どうしても三角関係がやりたいなら・・・ここは反町隆史(一哉)をキャスティングだもんねえ。

    ・・・ビーチボーイズかよ。

    帰宅後、波留の伝言を発見する可南子・・・緊張して一言一句に耳を傾ける可南子'なのである。

    「波留です・・・また電話します・・・あの・・・この間のこと・・・細かいことを決めなきゃと思うので・・・一度、話しましょう」

    可南子にとってもはや愛しい男の声である。しかし、彼は他の女の夫なのである。

    でも・・・それは本当は自分自身なのだ。

    可南子の心はかき乱れる。

    翌朝、食卓では裕樹の発狂ぶりが乱高下である。

    「姉さん・・・離婚するんだって」

    「なぜ・・・あなたが・・・」

    可南子は万里子を見る。

    (母さん・・・話した・・・)

    (いいえ・・・子供にそんなこと話したって)

    以心伝心である。

    「波留さんの職場の人に聞いたんだ・・・なんで隠してたんだ」

    (隠す必要ないじやないか・・・この俺様が支えている谷村家なのに・・・秘密にするなんて本当は許されないことだぜ)

    「ああ、そうなの」

    (だって・・・子供にそんなこといったってわからないでしょう)

    「正しい、決断だったと思うよ・・・よかった」

    (子供のくせに何言ってるの・・・事の善悪もわからないくせに・・・背伸びしてみせてかわいいわね)

    可南子も万里子も誤解しているのだった。裕樹は幼稚なのではなく・・・発狂しているのである。刺されるぞっ・・・おいっ。

    とにかく・・・可南子の心は波留のことでいっぱいで・・・裕樹のことははっきりいってどうでもいいのである。それが女というものだからだ。

    姉に無視されて裕樹は母にあたる。

    「どうして隠していたのさ」

    「可南子には可南子のタイミングというものがあるからよ」

    そんなこと言われても裕樹には理解不能である。ここでわざとらしく・・・裕樹名義の貯金通帳をおとしてみせる万里子だった。

    「なんじゃ・・・こりゃあああああ」

    「せっかく、あなたが稼いだお金だもの・・・いつか結婚資金にでもすればいいと思って・・・親心よ」

    「ええええええ・・・・俺の金、俺が家族のために稼いでやった金、それを銀行預金なんかしていたのですかぁぁぁぁ、母さんはああああ」

    万里子、早く逃げて~。刺されちゃうよ~。まあ、基本、裕樹パートはおまけホラーみたいなもんだよな。妄想的には・・・。

    とにかく、谷村家朝食後の惨劇は免れたようである。ふう~。

    その頃、ミズシマオートでは離婚宣言を腫れものにさわるように接する社長以下従業員一同である。ただひとり、裕樹にネジをまかれた桂は波留の道具を磨きぬいて整理整頓したりして甲斐甲斐しさをアピールするのだが・・・可南子から着信があると軽く桂のことがまったく目に入らなくなる波留である。毎回、三回は玉砕しないと気がすまない桂なのね。

    波留と可南子は今夜、宮本夫妻宅で今後について話し合う約束をするのだった。

    その頃・・・守護天使・太助は・・・。

    波留の実母(朝加真由美)と密会である・・・。朝加真由美(56)で、竹野内豊(41)なので実年齢的には15才の時の子供だ・・・そりゃ・・・育てるのは大変だっただろう。夫の篠塚勝(53)だしな・・・12才の父親だもんな・・・誰が俳優夫婦の実年齢の話をしろと・・・。

    「波留に会え・・・というのですか」

    「いま・・・あいつは女房を失うかどうかの瀬戸際なんです・・・」

    「でも・・・今更・・・あの子にあっても・・・何をいっていいか・・・」

    「・・・」

    「宮本さんにあの子を託した時に・・・あの子はもういないと自分に言い聞かせて生きてきたんです・・・」

    「実は・・・私・・・もう長くないみたいなんです・・・それを波留に伝える前に・・・あいつに心のよりどころみたいなものを作ってやりたかったんですが・・・少し、考えが甘かったかな・・・」

    「・・・」

    はっとして・・・太助を見つめる波留の実の母親だった。

    予想はしていたが・・・太助死亡フラグ確定の一幕である。

    太助ーっ、死ぬなーっ。

    波留はバイクで北区役所にやってきた。

    結婚式に続き、日記抜きで波留が回想できる思い出深い場所。

    波留と可南子の入籍の地である。

    「行きますか・・・」

    「うん」

    ・・・と区役所の扉をくぐったあの日の二人。提出書類に不備はない。なにしろ、図書館司書が作成しているのである。

    しかし・・・あっさり受理されたことに不満な可南子。

    担当者に「おめでとう・・・って言ってもらいたかった」のである。

    そんな記憶の中の可南子がかわいくてかわいくて・・・泣きそうになる波留だったが・・・ぐっとこらえて離婚届けを取得するのだった。

    「明日からよろしくおねがいします」

    「はい」

    あの日の二人は・・・もういないのか・・・。波留はまだそのことが信じられないのだ。

    宮本家に可南子'がやってきた。

    すでに可南子'の記憶にある本箱が空になっていてショックを感じる可南子'である。

    「可南子の荷物はまとめておいたよ・・・」

    波留の言葉が可南子'に追い打ちをかける。可南子≠可南子'である以上、この状況はいかんともしがたいのである。

    「離婚届けもらってきたよ」

    一日の終りを告げる金色の光が波留と可南子を包みはじめる。

    「可南子はどう・・・思っているの・・・ちゃんと聞けてなかったから・・・」

    「私も・・・それが正しい選択だと思います・・・」

    「そうか・・・可南子・・・いや・・・そうか」

    波留の動揺に可南子'の波留への思いがあふれる。

    「あなたが・・・すべて忘れるといったのは・・・私のためを思ってのことですよね」

    「・・・」

    「でも忘れるっていうのは・・・忘れられないってことですよね」

    「・・・」

    「あなたを・・・幸せにできるのは・・・あなたと一緒にすごしてきた私だから・・・」

    「・・・」

    「でも・・・私は・・・まだ思い出せないままだから・・・」

    可南子≠可南子'だから・・・涙がとまりません。

    波留はようやく・・・可南子'の本当の苦しみの片鱗に触れるのだった。

    ここでつづくでいいと思うのだが・・・離婚届けが白紙のままなのか、記入済みなのかも伏せたまま・・・可南子は宮本家から歩み去る。

    いつしか・・・金色は消えて・・・桔梗色も過ぎて夜の闇がおちる。

    壁際に寝がえりうって

    背中できいている

    やっぱりお前は出て行くんだな

    しかし・・・様々な事情なのだろう・・・どうでもいい引き追加である。

    ストーカーのように可南子をフォローする一哉は泣きたい気持ちの可南子の前にストーカーのように登場。

    もはや完全なるストーカーの桂はネギしょって宮本家強襲である。

    余韻だいなしである。

    しかし・・・桂は離婚届けを発見。

    「これを出したら・・・一件落着」とおどけてみせる波留。

    「波留さんは・・・きっと・・・あの赤い車をなおせますよ」と精一杯の嘘である。

    ここで・・・波留はようやく心をのぞかせる。解説タイムである。

    「俺は・・・ゼロにしようとか・・・やり直すとか言って・・・結局、なにもかも元通りにしたいだけだったんだ・・・そして・・・それができない・・・今の可南子に怒りをぶつけていたんだ・・・挙句の果てに・・・可南子を傷つけて・・・俺はいったい何やってんだろう・・・」

    そんな波留に桂は必至の逆あすなろ抱きアタックである。

    「そんなに・・・自分ばかり責めないで・・・可南子さんのために頑張らないで・・・波留さんだって傷付いているじゃないですか・・・私、もう応援するなんて言いません」

    桂のどさくさにまぎれて告白である。

    もちろん・・・波留には何のことだかわからないのだが・・・。

    まあ・・・ここは本当に来週でよかったんじゃあ・・・?

    それにしても・・・ここでボーリングか・・・。

    関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

    カエルのゴム靴のプロトタイプカエルの消滅についてはコチラへ→天使テンメイ様の宮沢賢治『蛙のゴム靴』と、『もう一度君に、プロポーズ』第7話

    Mako007_2 ごっこガーデン。どこでも入籍セット。まこきゃっほーーーーっ。とにかく入籍してしまえばこっちのもんでしゅ~。どこぞのカップルと違ってウチにはじいやがおるもんね~。書類一式はちゃっちゃっとあつらえてもらってウチらは提出だけでオッケーなんよ~。役人たちもみんな買収してあるから、おめでとうの大合唱、さあ、みんなも祝福してみんさい、御祝儀ばらまきまくるけんね~。可南子はもう過去のことは忘れてゼロから波留とつきあっちゃえばいいのに~。まこだったらずぇったいそうするんだから~。ムフフ・・・っていうか、じいや、来週は桂ごっこもヨロシクね~、ガッツリ、ボヨヨンアタックもかますのでしゅ~mariふふふ・・・ついにじいやの更新を追い抜かしましたよ~。波留と可南子の愛は暗礁にのりあげてますね~・・・どうやったらハッピーエンドになるのか・・・楽しみです

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    2012年6月 1日 (金)

    いつわり・・・そろそろリタイヤされちゃいますかね?(谷村美月)

    いやあ・・・本当にリタイヤしたい気分ですな。

    しかし、まあ、女優しりとりは続いているかな・・・長澤まさみ→ザシキワラシ→戸田恵梨香→田舎めぐり→新垣結衣→遺産相続→川口春奈→どうしようもない脚色→谷村美月・・・後半の二人、かわいそうだな。

    二人に共通しているのはクズな脚本にクソな演出なのに懐中電灯とか、拘束具で監禁とか、キスシーンだとか、濡れた衣装とか、そういう女の部分を安売りさせられていることだな。

    まあ・・・それもまた試練だよな。

    まともなスタッフにめぐり逢えたら天国に感じるに違いないもの。

    で、『たぶらかし-代行女優業・マキ-・第9回』(日本テレビ20120531PM2358~)原作・安田依央、脚本・森下直、演出・遠藤光貴を見た。基本的にはわからない話ではない。実の親子よりも他人の方が親子らしく振る舞えることができるという・・・ある意味、使い古された話である。で、それにそって代行女優は演技をするわけだが・・・脚本が破綻しているために・・・ガッカリな展開になっていくのである。

    今回の話は原作にあるプロットのアレンジなのであるが・・・マキ(谷村美月)が南川英子(原作では景子=小沢真珠)の代役を務めるのは南川隆久(伊澤柾樹)の小学校受験の際の面接から・・・というのが原作の設定である。そうでなければ無理が生じるに決まっているのだな。

    つまり・・・リアルでなくなってしまうのである。

    その一番の原因は伊澤柾樹という子役の起用である。実年齢11歳で・・・小学校の高学年に見えるわけである。

    今回のシナリオだといかにも発達障害の子供に見えるわけだ。

    なにしろ・・・本来は小学校一年生の役回りなのである。

    もちろん・・・人には個人差があるが・・・小学校一年生と小学校五年生では子供と大人ほどの差があると考えた方が一般的だ。

    その一般性を外したらフィクションは成立しないのだな。

    小学生の学校生活にかかわる親としての役割を放棄するゴールド化粧品の女社長・南川英子の異常さや理不尽さはそれゆえに高まるのである。

    一方・・・隆久が小学校一年生だからこそ・・・その言いようのない淋しさをマキが素直に感じることができるのだ。

    もしも、あくまで、このキャスティングにこだわるなら・・・なぜ、小学校五年生から親が変わっても問題ないのか・・・をそれなりに説明しなければならない。

    基本的には・・・海外からの帰国とか・・・関西からの転居とか・・・なんだっていいじゃないか。

    この一点を脚色化できない以上、どれだけベテランでどれだけ実績があろうと・・・クズ脚本家であることは間違いない。

    つまり、小学校一年生と五年生の違いが分からないということだからだ。

    で・・・とにかく・・・妄想でその点は補正したとしよう。

    今回は・・・ウソか本当かはわからないが・・・子供の頃に一家離散・・・しかも離婚しようとした両親を殺傷しているらしい・・・水鳥モンゾウ(山本耕史)がアシスタント(綾瀬れん)と浮気旅行をしている英子の夫で隆久の父親であるイラストレーターの南川トシオ(SPECからここへ美月と一緒に転移か・・・宅間孝行)にかわって父親役を演ずることになる。

    マキとモンゾウは隆久が小学校を卒業するまで、両親の代役を務めると言う設定である。

    ドラマ的には最初の仕事が・・・学校でクラスメートにバケツの水をかけた隆久のために相手の親に謝罪することなのであった。

    その後は誕生日に両親不在のため・・・ORコーポレーション社員一同が誕生会を催したりして・・・隆久との絆を深めて行く。

    そこで・・・学校での父兄参観の行事が発生する。

    ここで脚本的には「偽物の母親ではなくて・・・本物の母親に来てもらいたかった隆久が招待状を母親に見せようとして結局、見せられない」という苦渋を描くわけである。

    しかし・・・その日に行事があることはマキも知っているのである。

    だが・・・何故か、マキはその日は別件の仕事をしているのだ。

    ・・・おかしいだろうっ。

    当然、その日をどうするかは・・・打ち合わせをしなければならない。なにしろ、代行女優なのだ。

    その上・・・結局、誰も来てくれなかった教室で・・・当然のことであるのに・・・隆久は暴れ始めるのである。

    ・・・もう、意味不明である。

    みんな・・・うかつすぎるのだ。

    もちろん・・・わかってはいても、親がこないことで・・・急にさびしくなって・・・異常行動がとることはあるかもしれないが・・・ものすごく・・・しっくりこないのである。

    ここだって・・・いくらだってやりようはあるはずだ。

    マキがエレベーターに閉じ込められてしまうとか・・・もう、なんでもいいじゃないか。

    「忘れてました」ですむ問題じゃないからな。

    なんだろう・・・脚本家・・・認知症発症なのか。

    それなのに・・・モンゾウとマキの学校の廊下で熱烈キス挿入である。

    意味がわからんっ。・・・お前は古美門弁護士かっ。

    で・・・ついに・・・マキが「私が本物の母親になります」宣言である。

    「あなたは母親失格・・・子供の笑顔をいつご覧になりました?・・・子供の泣き顔をいつご覧になったのです・・・私は隆久の笑い声も涙もしっかりとこの耳でこの目で拝見しておりますのよ」

    「そんな・・・隆久の母親は・・・私だけ」と英子。

    で・・・隆久は「お母様・・・」と英子の元に戻る。

    任務終了である・・・と思ったら、実の父親トシオが「あいつらはニセモノだ」となんとなく発言。

    これに応じてモンゾウが「あんたは本物の父親として・・・何をした」とはじめてきれる。

    すると英子が「そうよ・・・あんたなんて・・・父親として何もしていない・・・離婚よ」である。

    おいおい・・・と思っているとなんだか・・・携帯電話を調べたり、会社を調べたりして割り込んでくる名もなき小学校の担任教師・・・名乗ってるだろう・・・弓田(山田キヌヲ)。アポイントメントは・・・学校の先生はフリーパスなのか。警備は何やってんだ。業界2位の大企業じゃないのかよっ。女社員A(林摩耶)「困ります~」

    一同・・・茫然で・・・つづくである。

    ・・・・・・・・・・・・つ、つづくのかいっ。

    ああ・・・谷村美月主演でなかったら・・・誰が見るんだこのドラマ。

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