水鉄砲と小さな依頼者(畠山彩奈)と私(戸田恵梨香)と彼(大野智)
もはや、せちがらい世の中である。
どのくらいせちがらいかというと80年代くらいである。
しかし、80年代には希望があった。
スティーブン・キングは20世紀の最後の1/4は「開かれた社会という建前が恐ろしい不信を生みだした25年間」と推定している。
まだ開かれていなかった社会で人々は充分に世知辛い人生を送っていたのだ。
それから・・・30年以上の時が流れて、希望の果てのバブルははじけ、経済水準は坂を転げ落ちて絶望だけが残っている。
しかも、人々はすっかり、甘めに仕上がっているのである。
世知辛い世の中に甘い人々・・・この組み合わせはいかにも甘美な地獄を思わせる。
普通の人々にも息苦しい世界で・・・前科者はどんなに息苦しいことか。
・・・かと思えば、大量殺人者は逃亡を続けている。
そして、昔の看板をおろし堅気になった面々は・・・どこか嘘寒い顔をしている。
そんな世界で、健気に笑顔を見せる小さな依頼者のうつむいた日々はこれからが本番なのだ・・・。
で、『鍵のかかった部屋・第9回』(フジテレビ20120604PM9~)原作・貴志祐介、脚本・仁志光佑、演出・松山博昭を見た。東京総合セキュリティの解錠職人にして密室トリック解明おタク・・・榎本径(大野智)が芹沢弁護士(佐藤浩市)に紹介した企業は元組織暴力団関係と断定できる黒光り感があるのだった。
社長・富樫(岩松了)、取締役・野々垣(哀川翔)、若頭代行・・・いや、専務・坂口(高杉亘)、チンピラいや新入社員・八田(鈴木亮平)である。濃いぞ。
しかも、若頭・・・いや副社長が拳銃によって死亡したばかりの会社なのである。
企業法務の仕事を引き受けると命の危険を感じる芹沢だった。
しかし、昔はどうあれ今は堅気の会社である。芹沢に同行した新米弁護士・青砥純子(戸田恵梨香)は八田の小学生の娘・美沙(畠山彩奈)が父親の会社に遊びに来る姿に和むのだった。
しかし・・・八田はその後、密室で不審な拳銃自殺をしてしまう。
「事件を解決してください」・・・美沙の依頼に応えるべく立ち上がるチーム榎本。
しかし、その前には今も現役バリバリに思えるアニキが立ちはだかるのである。
はいたツバはのめねえぞ。
調子にのってるんじゃねえ。
これ以上、首をつっこむな。
これは脅しじゃねえ・・・マジだ。
震えるチーム榎本だった。
しかし・・・もちろん、副社長は裏の仕事に復帰したことを悟られたアニキが射殺。目撃者となった八田はアニキに口封じをされたのである。
ヒントは改造水鉄砲と幻の日本酒・・・。
お前がひろってきた可愛い子分じゃないか・・・それでも男かっ。
親分・・・いや、富樫社長の声が空しく響くのだった。
公園で父親の形見を見つめる美沙に笑顔をむける青砥。
21世紀の悲惨な昼下がりである。
関連するキッドのブログ→第8話のレビュー
シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→mari様の鍵のかかった部屋
(仮記事ではありません)
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コメント
こんにちは〜おひさしぶりです(^-^)ゆきみきです。
ここ3年くらい大野くんのファンになってます(魔王はまだ見てません〜)
キッドさんがレビューを再開しているのに気付いたのが最近で。。。
先々週くらいからチョコチョコ来ています。
鍵部屋は、最初から犯人の分かっているパターンなので〜
わたし的には、径と純子の距離の縮まり方や、芹沢さんのヘタレポイントを探しつつ見ています。
今回は、純子の「モテモテですね!」にひっかかりました。
1人の女子から「ステキ」と言われたところで「モテモテ」とは、あまりに言いませんよね(独断)
純子は「私とか彼女とか、榎本さんがタイプな女子がいてモテモテですね」って、暗に告っている訳ですよね〜
先週は、手も握ってますし〜
1話から見直して、純子と径のストーリーを検証したいと思います。
レビュー楽しみにしています〜ではでは。。。
投稿: ゆきみき | 2012年6月12日 (火) 12時55分
ふふふ、ただ今、修羅場突入中で
短期仮記事態勢になっておりまする。
来週、月曜日6/18には平常業務に戻る予定です。
ファンである以上、「魔王」はごらんになるとよろしいですな。
まさに開眼と言う感じですからねえ。
「魔王」あっての「怪物くん」ですしね。
今回はその中間点みたいな感じですし。
チーム榎本というか、密室トリオは
それぞれの持ち味が見所ですね。
径はポーカーフェイスからの微妙な表情の変化。
純子は緊張と緩和がすまし顔でも笑顔でも表現できる。
つまり、緊張した笑顔とか、すまして緩和するのもありです。
そして、芹沢さんの饒舌と建前と本音ですな。
芹沢「ただで鍵かえてくれ」
榎本「無理です」
青砥「・・・」
こういう何気ないやりとりの三者三様の表情の演技が
また奥深いのですねえ。
基本的には「鍵」のレビューは
「○○と私と彼」になっています。
二人の微妙な距離が縮まるのかどうか・・・楽しみですね。
キッド的にはもう○○みたいなことをやってると確信しています・・・おいっ。
今回は小さなライバル出現に
余裕で対応する純子の態度がその証拠です・・・どこがじゃ。
投稿: キッド | 2012年6月12日 (火) 14時56分