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2012年7月31日 (火)

思い出をたくさん作ろう・・・みんな忘れちゃうんだけどね(芦田愛菜)

ついに金玉キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!ってドラマの話かよ。

ついに金メダルもキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!・・・やはりそこかよっ。

崇徳帝もエヴァンゲリオン初号機もまっ青の剥きだしの闘志・松本薫・・・万歳っ。

そして・・・まさに死闘に敗北した中矢力。見応えあったな~。

胸のつかえがおりたよ。

感謝だよ。

しかし・・・睡眠不足で・・・東へ西へ。

がんばれ、みんな、がんばれ。

もう・・・頭、日曜だな。

で、『ューティフルレ・第5回』(フジテレビ20120729PM9~)脚本・羽原大介、演出・水田成英を見た。アルツハイマー病には家族性というジャンルがある。奥歯にものがはさまったような言い方だが・・・要するに遺伝的要素である。これは恐ろしい。アルツハイマー病の遺伝子があるとすれば・・・様々な波紋が生じるのである。しかし、キッドの弟なんかは「家系だよね・・・」とつぶやくのだった。家人に認知症が一人いて、この余裕の発言である。そうなんだよなあ・・・思えば・・・忘れ物しちゃう家系なんだよな。今だから言えるがキッドは何度も「本番」があることを忘れてしまった過去があるのだ。前の日があまりに楽しかったからだ。・・・いや、それはちょっと違うんじゃないのか・・・なんでもかんでも病気のせいにするなよ。

今でも・・・時々、包丁を冷蔵庫にしまおうとしてハッとすることがあります。

さて・・・今回も素晴らしい展開だったのだが・・・スケジュール的にいつものボリュームの記事が書けないのである。

そこでいくつかのポイントをメモしておく。

美雨(芦田愛菜)が「ママちゃん(死者)パワー」で伊豆大島一泊ツアーを当てる。

もう・・・絶対にイケナイなあ・・・と思わせる展開。

案の定・・・チケット紛失事件が起きるのだが・・・ここで・・・犯人がうっかりしていた美雨だったというひねりがある。この単なるもの忘れと若年性アルツハイマーの壁みたいな描き方が効くのである。家族性のことを考えれば・・・美雨の発症という含みさえある恐ろしさである。

伊豆大島でできなかった花火によって・・・みんなが知っていて「美雨」だけがまだ知らない「病気の正体」のコントラストが見事に映像化されていたよね。

そして・・・限りなく鬱な展開の中で「迷惑はお互い様」という不変のルールを主張する社長夫婦が・・・裏切るのではないか・・・リストラに踏み切るのではないかと・・・ミスリードしておいて・・・下町の人情をなめるな展開である。

いいなあ・・・視聴率もいいといいなあ。

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2012年7月30日 (月)

オン・パーピーヤス・ソワカ・オン・バサラ・ダトバン・オン・アビラ・ウンケン(井浦新)

さすがに・・・スケジュール的に苦しかったのか・・・身体が重かったサムライ・イレブン。

そっちかよ。

しかし・・・ついに永井が走って決めた。決勝トーナメント進出決定である。

メダルは次々と獲得しているのだが・・・金メダルはまだですか~。

さて・・・ついにもののけが描写されてしまった「平清盛」・・・もう。本編と妄想の判別が困難になってまいりました~。

で、『平清盛・第30回』(NHK総合20120729PM1002~)脚本・藤本有紀、演出・中島由貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は平安末期の二大歌人豪華共演。恋にやつれた漂泊の詩人・西行と・・・高貴なる怨霊・革命魔王・讃岐上皇・崇徳院の真言合戦開幕。魂と魂の激突に黙祷でございます。

Tairakiyomori28 永暦二年(1161年)九月に天然痘が流行し、応保元年に改元。応保三年(1163年)三月に疱瘡が流行し、長寛元年に改元である。都を次々と疫病が襲っているのだった。平清盛の次男・越前守基盛は応保二年に齢二十四にて病没している。おそらく天然痘にやられたのであろう。前摂政関白太政大臣・藤原忠通は長寛二年二月、第七夫人の浮気現場を目撃してショック死した。享年六十八であった。四男の近衛基実の正室に清盛の娘・盛子が迎えられたのはその直後だったと言われる。そして・・・長寛二年八月、第75代天皇であった崇徳院は配流の地・讃岐国で生涯を閉じる。配流の地で一男一女をもうけ穏やかに暮らしたとも、鬼のような姿になり生きながら魔王になったとも・・・後白河院の放った刺客によって暗殺されたとも言われる。平将門や織田信長のような武将でもないのに・・・大魔王として怨霊となられたことには・・・深い教養と悲哀と不運が関係していることは間違いないだろう。呪って呪って呪いまくってもおかしくない生涯だったのである。御年四十六の崩御であった。そして死国の守護神となられたのである。Tairakiyomoriss5

上西門院の新しい御所は内裏と白河院の中間に造営された。平家の財力を投じて・・・陰陽道の術式に則った屋敷と庭が整えられている。設計者は上西門院自身である。聖徳太子の再来と噂された姫皇子は優れた陰陽術士でもあった。その奥の院に平清盛は西行とともに招かれていた。美福門院崩御の後、皇室の実質の権力者は上西門院である。大陸伝来の妖魔の王室汚染事件で退魔戦争の指揮をとったのも上西門院だった。妖魔追討には成功したがその傷跡も深い。また・・・妖魔がこの世のものではない以上、その影を完全に払拭することは不可能でもあった。妖魔と対抗するために大和の古き神々の封印を解いたためにその再封印も急務であった。なにしろ、上西門院の兄である崇徳院には魔王天狗が憑依し、弟の後白河法皇には愛宕山大天狗が憑依したままなのである。天狐の一族である妖狐を封じるためにはそれが必要だったのだが・・・天狗もまた・・・一種の妖魔なのである。人の世にどのような災いをもたらすか・・・分からないのだった。しかし、西行に憑依した牛頭天王と清盛に憑依した両面宿禰は二人のたぐいまれな資質により・・・人の制御化にあった。清盛は後白河院に上西門院の元で修行を積んだ平滋子を嫁がせ、後白河院のダークサイドに楔を打ち込んでいる。同時に自身が妻・平時子とともに二条天皇の守護者となっているのである。上西門院はその両者をつなぐ影の女帝なのである。

「妖魔の霊は分化し、邪悪な獣魂は東に逃げた。しかし・・・源頼朝を核とする・・・新田・足利諸子の東国源氏のものどもが那須の地でついに封印に成功したそうじゃ」

「それは・・・吉報」と西行。

「残った御霊は稲荷大神が眷属である狐神に引き受けさせた・・・しばらくは安泰であろう」

「・・・」清盛は無言で・・・上西門院の哀しみを含んだ声を聞く。

「・・・憐れな兄は・・・ついに魔王の理に堕ちてしまった・・・」

「・・・」

「そこで死国にいまし・・・クビラ(鰐)の神の生贄にする他なかったのじゃ・・・」

「心中お察し申し上げる」

清盛の声に・・・西行は在りし日の崇徳の憂いを含んだ顔を思い浮かべる。

「西行よ・・・」

「は・・・」

「死国に渡り・・・金比羅神社に残りし、兄の骸を弔ってもらいたい・・・」

「御意にござりまする」

伏せた西行の目に光るものがある。

この時代・・・忍びはまだ泣くことが許されていた。

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2012年7月29日 (日)

女子高校生の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られててぃひっ!(志田未来)

勝負の世界である。なでしこ・・・サムライ・・・火の鳥と順調に勝ちを刻んできたが・・・新・ヤワラちゃんは一瞬の隙を突かれて敗北。敗者がいてこその勝利の喜び。へい、フクミ、気にするな。敗北を受け入れるんだ。クールに振る舞う必要はない。天は自らを救うものを救うんだ。へい、フクミ、落ち込むな。すべてを受け入れた時、新しい何かが始るんだ。へい、フクミ。勝つと思うな思えば負けよなのだ。

ジュードとヤワラを混ぜるなよ。

さてさて・・・ついに五輪に本格突入である。

なるべく、記事更新を続ける予定だが・・・プライベートも立て込んでいて・・・いろいろアレなのである。

しかし・・・前回と今回の記事はなかなかに書けてると思う。

ただし、ジェンダーの問題を含むため・・・トラックバックの発信は自粛しています。ただしトラバ返しはいたします。

で、『ゴーストママ捜査線〜僕とママの不思議な100日〜・第4回』(日本テレビ20120728PM9~)原作・佐藤智一、脚本・梅田みか、演出・大谷太郎を見た。連夜の女子高校生恋愛白書である。ハードでもソフトでもやってることは同じだという話になるので【熱帯夜のために一部妄想が変態的な場合があります。ご使用の際はご注意ください】ということでよろしくお願いします。

一学期の通知表の様相から選択の範囲がかなり狭い偏差値の上原葵(志田未来)なのであるが・・・夏休みは猛勉強で遅れを取り戻す覚悟だけはある。しかし・・・受験勉強場所であるファミレスのアルバイト店員・・・就職活動中の年上の人・良太(戸塚祥太)に一目惚れをしてしまう。

話はとんとん拍子で進み・・・ひと夏の体験に向けてまずは由緒正しい映画デートである。

映画なんかほとんど見ないで「彼」にうっとりの葵なのだが・・・恐ろしい偶然で・・・せまい街だからな・・・父親の航平(沢村一樹)に目撃されてしまう。

自分以外の男に娘が処女を捧げると想像しただけで大魔神となる航平は良太に暴言を吐き、娘にはお仕置きである。

しかし、我に帰れば・・・ひどいことをしてしまったと反省する航平。

そして、売り言葉に買い言葉で義母の悪口を言ってしまう葵だった。

お互いに相手を思いながら・・・不器用な父と娘だった。

航平は蝶子(仲間由紀恵)は義理の娘にも我が子のように接してくれる女性と信じたから愛したのだった。

・・・彼女をベッドの端に座らせる。そしてゆっくりと仰向けになってもらう。着衣はあってもなくてもよい。できれば昼下がりの陽光が木漏れ日とレースのカーテンが明るく恥丘を照らし出すライティングが望ましい。彼女の膝小僧に両手をあてがいゆっくりと跪く。彼女が自ら両足を開いても構わないが、優しく開いていくのがいいだろう。彼女は恥じらいを感じるだろう。同時にその淫らな状態を慄いて受け入れる。開かれた秘部はすでに湿り気を帯びているだろう。個人差はあるが概ね美しいと感じる光景である。いつまでもいつまでも眺めていたい景色である。ただ見るだけで見られている彼女が高まりを感じるくらいが良好な関係である。彼女はついに耐えきれず身じろぎをする。静かに一番敏感な部分に口づけをしよう。そして舌先をとがらせて愛撫を始める。永遠を感じる長さで修道士のような敬虔さで彼女が何度も痙攣するまで行為に没頭する。彼女は鳴くだろう。彼女は吐息をもらすだろう。彼女は絶頂に達するだろう。その快楽に自らを委ねる時・・・誰に罪があるというのだろう。そんなことを言うのは嫉妬深い神だけだ。彼女も私も生きている喜びに恍惚となる。そんな歓喜の瞬間の共有を誰が罰することができようか。少なくとも悪魔はニヤニヤするだけなのでございます。やがて彼女はすべてを受け入れたくて受け入れたくてたまらなくなるのだから。

そして、とんぼ(君野夢真)が生まれたのである。・・・お前の官能の宴は一種類しかないのかよ。

とにかく・・・「彼」と変なことになってしまった義理の娘のために・・・ゴーストママは犬のメリーちゃんを使って誘導を試みるのだった。

良太のファミレスにやってきた葵・・・しかし、そこには航平が先に来て・・・非礼を詫びていたのだった。

「すまない・・・父親はバカだが・・・娘はいい子なのでよろしくおつきあいください」

「・・・お父さん・・・」

「葵・・・」

「変なお父さんでごめんなさい」

「・・・いいお父さんじゃないか」

天使のような良太だった。

その後、就職が決まって大阪に旅立つ良太と葵は思い出の昼下がりを過ごすのである。

・・・彼女をベッドの端に座らせる。そしてゆっくりと仰向けになってもらう。着衣はあってもなくてもよい。できれば昼下がりの陽光が木漏れ日とレースのカーテンが明るく恥丘を照らし出すライティングが望ましい。彼女の膝小僧に両手をあてがいゆっくりと跪く。彼女が自ら両足を開いても構わないが、優しく開いていくのがいいだろう。彼女は恥じらいを感じるだろう。同時にその淫らな状態を慄いて受け入れる。開かれた秘部はすでに湿り気を帯びているだろう。個人差はあるが概ね美しいと感じる光景である。いつまでもいつまでも眺めていたい景色である。ただ見るだけで見られている彼女が高まりを感じるくらいが良好な関係である。彼女はついに耐えきれず身じろぎをする。静かに一番敏感な部分に口づけをしよう。そして舌先をとがらせて愛撫を始める。永遠を感じる長さで修道士のような敬虔さで彼女が何度も痙攣するまで行為に没頭する。彼女は鳴くだろう。彼女は吐息をもらすだろう。彼女は絶頂に達するだろう。その快楽に自らを委ねる時・・・誰に罪があるというのだろう。そんなことを言うのは嫉妬深い神だけだ。彼女も私も生きている喜びに恍惚となる。そんな歓喜の瞬間の共有を誰が罰することができようか。少なくとも悪魔はニヤニヤするだけなのでございます。やがて彼女はすべてを受け入れたくて受け入れたくてたまらなくなるのだから。

・・・だと思ったよ。

ひと夏の思い出の余韻を感じるけだるい早朝ラジオ体操。

素晴らしい朝が来た・・・希望の朝だ。

すべての女子高校生がそれなりに楽しい思い出が作れる夏休みでありますように。

そして元気に新学期が迎えられますように。

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2012年7月28日 (土)

自分。をプロデュース(柏原収史)、放課後ラブホテル純情派(大野いと)

大野いとと言えば・・・昨日、黒い天使を演じたばかりなのである。二夜連続、「私はここにいる」宣言である。ちょっと太めの声とややハスキーでビブラートのかかった声の両輪で独特の存在感を醸し出している。いやあ・・・やらないと思うが・・・テレビ東京で来年・・・「エコエコアザラク2013」をやってもらって歴代黒井ミサにその名を連ねてもらいたいな。

なにより・・・凄いのは「最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜・第6回」で教師と交際してたのに・・・ここでもまた教師と禁断の関係である。

一年に二人の教師と関係する女生徒なんて・・・ドラマ史上でも稀なのではないか・・・どんな記録だよ。

教師と生徒が不適切な関係になることを悪魔は格別どうとも思わないが・・・倫理的には・・・教育と言うものがお互いの信頼関係で成立するものである以上、恋愛という不信によって成立するゲームとの相性が悪いのだと言う他はないのである。

まあ・・・禁じられないと感じないという性癖のあるものにとってはいたしかたないこととは言えますが~。

破滅したい人の暴走は止められないですからな~。

で、『黒の女教師・第2回』(TBSテレビ20120727~)脚本・吉澤智子、演出・岡本伸吾を見た。今回は熱帯夜のために一部妄想が変態的な場合があります。ご使用の際はご注意ください。

・・・彼女をベッドの端に座らせる。そしてゆっくりと仰向けになってもらう。着衣はあってもなくてもよい。できれば昼下がりの陽光が木漏れ日とレースのカーテンが明るく恥丘を照らし出すライティングが望ましい。彼女の膝小僧に両手をあてがいゆっくりと跪く。彼女が自ら両足を開いても構わないが、優しく開いていくのがいいだろう。彼女は恥じらいを感じるだろう。同時にその淫らな状態を慄いて受け入れる。開かれた秘部はすでに湿り気を帯びているだろう。個人差はあるが概ね美しいと感じる光景である。いつまでもいつまでも眺めていたい景色である。ただ見るだけで見られている彼女が高まりを感じるくらいが良好な関係である。彼女はついに耐えきれず身じろぎをする。静かに一番敏感な部分に口づけをしよう。そして舌先をとがらせて愛撫を始める。永遠を感じる長さで修道士のような敬虔さで彼女が何度も痙攣するまで行為に没頭する。彼女は鳴くだろう。彼女は吐息をもらすだろう。彼女は絶頂に達するだろう。その快楽に自らを委ねる時・・・誰に罪があるというのだろう。そんなことを言うのは嫉妬深い神だけだ。彼女も私も生きている喜びに恍惚となる。そんな歓喜の瞬間の共有を誰が罰することができようか。少なくとも悪魔はニヤニヤするだけなのでございます。やがて彼女はすべてを受け入れたくて受け入れたくてたまらなくなるのだから。

高校教師・及川 (柏原収史)は自分の欲望に忠実な男である。野心家であり、用心深い性格だが・・・自我を肥大させすぎて自分を見失う典型的な愚か者でもある。

独自の教育理論を持ち、他人の心理操作の技術を獲得したと思い込んでしまうのであるが・・・精神という荒野ではどんな人間も憐れな殉教者に過ぎないという事実を認識し損なうのだった。

コントロールしているはずの女子高校生・明日香(大野いと)が暴走を始めると・・・たちまち手に余ってしまうのであった。

「リセットしなければ・・・」と及川は女子高校生明日香をストーカーに仕立て上げ自殺に追い込もうとするのだが・・・その甘い理論はたちまち破綻するのである。人間の口を封じるためには完全な消去が必要だと言う単純なシステムを見逃すのである。しかし、彼は青春学園ものの登場人物であって、ミステリの登場人物的役割を期待するのは最初から無理があるというものなのだ。

そして・・・何よりも恐ろしい事に彼がいる学園は・・・超管理された学園なのである。

彼の一挙一動はすべて監視され・・・すべて記録されていることに彼は気付かない。

まさに・・・自分への恋は盲目なのだなあ。

残忍な計画で・・・とるにたらない高校生を葬るはずの目論見はくずれ・・・彼には社会からの抹殺という恐ろしい末路が待っていたのだった。

公開授業は公開処刑の場と化すのだった。

彼は大手学習塾経営者の令嬢でフィアンセの長見香奈(原田夏希)の見守る中・・・教え子をもてあそび、ブタのように屠殺しようとしたことを告発されるのだった。

「なんだよ・・・あれは愛じゃないのかよ」

「愚か者」

黒の女教師の鉄槌は無慈悲に下される。

明日香は「乙女の純情ふみにじりやがって・・・タダより高いものはねえんだよ」と叫ぶ。

彼は想起する。

あの快楽の高み。暗き茂みより見つめた彼女の鼻腔。その奥の暗闇に光はなかった。

温もりもなかった。

ただ・・・めくるめく快感の記憶だけが虚しくただよっている。

彼は聴く。悪魔の哄笑を。そして夕闇はゆっくりと暮れて行く。

「まあ・・・やることやったんだし・・・いいかな」

彼は人としての精一杯の自尊心でつぶやく。

負け惜しみは自己愛のもっとも低俗な表現なのである。

超管理学園である都立国文館高校では監督不行き届きの罪で副校長(光石研)が校長(南果歩)によって完全防音のお仕置き部屋へ連れ込まれる。

その阿鼻叫喚を聴く者は一人もいないのだった。

聴く者がない限り、それは存在しないのと同じなのである。

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2012年7月27日 (金)

悪魔っ子としてのレイコと玲子(大野いと)と魔女的ダークサイドの貞子(佐藤寛子)

NHKの解説者が「ひょっとしたら勝ち点1を取ることも夢ではない・・・」と強調した五輪男子サッカー日本VSスペイン。

終ってみれば勝ち点3ゲットだぜ。

値千金ゴールの大津・・・前の試合から「何か」が完全に憑依しているな。

で・・・憑依と無関係でないのが多重人格的発想である。

本人ではない誰かが本人という・・・何を言ってるか不明の状況を生み出すのが・・・フィクションというものだ。

ちなみに・・・解離性人格障害という怪しげな病名はさておき・・・多重人格には人々を魅了する何かがあるのだろう。

さて・・・多重人格についてあまり詳しくない方に説明するが・・・キッドの多重人格は同時性多重人格である。

あくまで、たとえであるが・・・ドラマを書いている時の脚本家の頭の中を想像してもらいたい。そこでは登場人物たちが次々とセリフを言ったりしているわけである。

キッドの場合はこれが日常茶飯事的に展開されているわけで・・・時には日常生活に支障をきたすのである。

一方、多くの脚本家の書くドラマに登場するのはほとんどが交替性多重人格である。ジギル博士がいる時にはハイド氏はいないのである。キツネに憑依されればコーンと鳴くのである。悪魔に占領されればブリッジで歩行します。

多重人格は大きく分けて・・・この二種類があります。

まあ・・・同時性多重人格は病気ではないという考え方もあります。インターフェイスを失えば統合失調症みたいになるけどな。

で、『東野圭吾ミステリーズ・第4回・レイコと玲子』(フジテレビ20120726PM10~)脚本・山本健介(他)、演出・川村泰祐を見た。脚本・演出ともに原作への読み込みや多重人格への理解が浅く・・・やや・・・不明瞭な展開になっているのが残念だが・・・レイコ(大野いと)がものすごくいい感じなので・・・それなりにミステリアスでした。

ある雨の夜。中年の男が刺殺された。

目撃者の証言から、「赤い傘をさした長い髪の少女」が容疑者として浮上する。

その夜、少年犯罪の案件を多く手がける弁護士・浅野葉子(観月ありさ)は記憶を喪失した少女レイコ(大野いと)を保護する。

浅野の知人である心理カウンセラー・藤川(吉田栄作)はストレス性の記憶障害ではないかとアドバイスする。

その頃、中年男の妻が不倫中であることをつかんだ今西刑事(平田満)は・・・その男が勤務する学習塾に張りこむ・・・違うんじゃないか・・・そのくらいシンプルにした方がいい。

主人公がかなり複雑だからな・・・・ちなみに浅野は虐待経験を乗り越えて性善説を信じる弁護士で、今西刑事は職業的に性悪説にたっている。

弁護士は人を信じるのが仕事・・・刑事は人を疑うのが仕事だが・・・本当は刑事だって人を信じたいなどと甘いことを叫ぶのである。

もう、このあたりからオチは見えているのである。

そして、核心は「殺人というタブーは絶対的な法則ではなく、単にタブーにすぎない」という精神の存在である。

やがて・・・浅野弁護士はレイコと出会った場所で赤い傘と凶器を発見する。

同時に、藤川と二人きりになったレイコは豹変し・・・男性を嫌悪し、殺害しようとする凶暴なキャラクターとなる。

ここで刑事たちも合流し、二人のレイコと対峙することになる。

父親からの暴行を受けたことで異常な人格となったレイコ。

健全な人々は記憶を失ったレイコこそが本来の山下玲子であり、凶暴なレイコを第二の人格と考え・・・レイコと玲子の多重人格を受け入れてしまう。

レイコは保護者的な女性に接近する男性を排除しようとする傾向があり・・・被害者の妻はこれを利用して・・・夫を玲子に殺害させようとした・・・という計画が妻の愛人から告白されるのである。

レイコは心神喪失のために責任能力なしと判定され、罪科を逃れることになる。

善意の勝利と見えた瞬間、凶暴なレイコこそが玲子の本質であることが本人の口から語られ・・・健全な人々は苦い味に顔をしかめるのだった。

「あっははは・・・悪が悪いことだなんて・・・ただの言葉の問題じゃないの・・・私はただ私。殺したい男を殺すだけ・・・」

大野いと、抜群でございました。

関連するキッドのブログ→第3話のレビュー

で、『VISION-殺しが見える女-・第3回』(日本テレビ20120726PM1158~)脚本・原案・脚本:飯田譲治、演出・植田尚を見た。第三の殺人者である高級秘密クラブのエスコートガール・水島貞子(佐藤寛子)はクリスティーナの「秘密」を玲奈(山田優)に開示する。

クリスティーナは玲奈のダークサイドである・・・と。

一方でどこぞの口の重たい准教授(野間口徹)が登場。玲奈が二重人格である可能性を示唆する。

う~ん。時間も局も違うのに二重人格の女の夜である。

しかし・・・玲奈は単なる二重人格ではなく・・・ダークサイドの魔女であるモンスターが人間の皮をまとっているに過ぎないという展開である。

この場合は・・・「ヨハネの黙示録」に見られる・・・神と悪魔の対立の図式を考慮しなければならない。

悪意の源は・・・もちろん・・・悪魔の棲む世界にあるのである。

魔女クリスティーナは・・・人間の中に潜む悪への傾斜に働きかけ・・・「悪の花」を開花させる怪物なのである。

玲奈は自分の中に恐ろしいものが潜んでいることを察知する。

そして・・・一般人にはもちろん・・・為す術はないのである。

人間たちは使い魔としての殺人鬼と化すか、ただあわてふためくだけなのだな。

もちろん・・・玲奈には天使も宿っていることは確実である。

天使の玲奈がクリスティーナを封じることができるかどうか・・・ハルマゲドンが始ったのだ。

さて、クリスティーナの第三使徒・貞子を演じる佐藤寛子は家族八景第2話に登場した桐生綾子もなかなかの存在感だったが・・・ホラーブームだった2005年の秀作「いちばん暗いのは夜明け前」(テレビ東京)の第五話主役である。あの頃のソニンはかわいかったな。熊田曜子とか、安田美沙子とか、安めぐみとか、かでなれおんとか・・・みんな若かったのね~。

刑事も追いつけないスピードで逃走し、最後は破滅のために追跡する覆面パトカーに特攻・・・。素晴らしい体当たりの演技である。ま、そのままですが。

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2012年7月26日 (木)

AKIRA(30)のGTO(25)今週も陰謀失敗かよっ(川口春奈)おしおきだべえ(瀧本美織)

誰がドロンジョなんだよ・・・。っていうか、誰がドクロベエなんだよっ。

それにしても・・・「GTO」視聴率の推移。15.1%↘13.4%↘12.3%↗13.9%・・・。

「はつ恋」が終わって・・・よかったな。

谷間だが・・・いよいよ・・・オリンピック突入である。

なでしこJAPANの試合開始までにちゃっちゃと書きあげるぞ~・

で、『GTO・第4話』(フジテレビ20120724PM10~)原作・藤沢とおる、脚本・田中眞一、演出・大塚徹を見た。赤西仁版も見たかったわけだが・・・ないものねだりをしても始らないしな。なんとなく・・・柳葉敏郎を想起させるAKIRAに一番足りないのは若さかもしれない。まあ、赤西仁(28)だからどちらにしろなんちゃって(25)だったわけだが。ちなみに反町隆史は当時(24)だったのである。実年齢をとやかくいってもしょうがないが・・・青春ドラマであり、熱血新人教師である以上・・・見るからに若さが満ち溢れることは欠かせない要素だと思う。

さて・・・少年マガジン原作よりもやや・・・リアルな設定になっていた反町GTOに対し、やや、原作よりになったと思われるAKIRAGTOなのだが・・・ここまで冬月先生(瀧本美織)が松嶋菜々子に比べて可哀相なくらい存在感薄しになってしまっている。

同じことは生徒ヒロインの相沢雅(川口春奈)にも言えるのだが・・・ほぼデビュー作だった中村愛美とはここに至るキャリアが違うのでなんとも言えないのだな。特に中村の強烈なダークで危ういセクシーさは・・・ここまでまったく感じられない。まあ、それはよしあしのあることですがね。

そういう中で・・・野村朋子(黒田美樹→宮崎香蓮)のエピソードは・・・原作→反町版→AKIRA版と鉄板の展開なのである。

「野ブタ。をプロデュース」の原点とも言える「トロ子。をプロデュース」だからな。

彼女の実家はラーメン屋ミンメイ・・・たちこめるマクロス臭にたじろぎながら・・・女子高校生の永遠の夢・・・できたらアイドルになっちゃいたいの世界へ・・・お茶の間は招かれるのだった。

なでしこVSカナダ、前半終了2-0、東洋の魔女復活・・・っていうか魔女っ子なでしこちゃんだよね~。

さて・・・とある理由によって・・・担任教師を憎悪する病にかかっている困ったちゃん、相沢雅が・・・今回、ジャブとして仕掛けるのは女子高校生からのラブ・レターでゴキブリ教師ホイホイである。しかし、ターゲットの鬼塚(AKIRA)は捕獲できず、音楽の橋本(高知東生)が罠にかかってしまったのだった。

それというのも相沢の幼馴染・トロ子こと野村朋子が・・・ドジッ子でロッカーを間違えてしまったからである。

不安定なキャラクターである雅は手下のクラスメートと朋子を女子トイレでお仕置きである。

完全にいじめられているわけだが・・・朋子は明るくスルーである。いじめられていることに気付かないほど・・・天使だからだ。

「あんたにはガッカリだわ」

「ガッカリさせてごめんなさい」

・・・なのである。

初戦勝ち点3ゲットだぜ。魔女っ子オオノちゃんからカワスミちゃん、サメシマちゃんからミヤマちゃんで2点。アンドウちゃんにも1点とらせてあげたかったのね~。

さて・・・鬼塚の進路指導・・・「やりたいことがあるやつはいないのか」と叫ぶのだが・・・「公務員になりたい」だって立派にやりたいこと・・・「トッカン」なんてその方向性でやってるからな。などと・・・少年マガジン原作に言ってもしょうがない・・・子供のくせにマンガなんか読んでる奴のためのエンターティメントなんだから。

で、鬼塚が気に入った進路が・・・おいしいものが作りたい調理師志望の藤吉(山田裕貴)とアイドル歌手になりたい朋子なのである。

基本・・・バカですから。

そんな・・・藤吉と弱みを握られた橋本を道具に使い、雅が仕掛けるのが「林間学校の費用99万円を鬼塚に使い込ませちゃえ大作戦」である。

今回は・・・まんまとキャバクラ嬢相手に全額使い込み、丸裸になる鬼塚である。

しかし・・・鬼塚は朋子にアイドル・オーディションを受けさせ賞金100万円をゲットするという奥の手があったのだ。

朋子に対して複雑な思いを持つ雅は・・・伴奏を流させないという妨害工作を敢行する。

しかし・・・朋子はアカペラで必殺の天使の歌声を披露するのだった。

「雅ちゃんに・・・昔・・・歌がうまいって言われてほめられてうれしかったから・・・」

「でもトロ子・・・結局、ダメだったじゃんか・・・」

念を押しておく・・・雅はトロ子に複雑な感情をもっているのである。

あえて言えば・・・それは・・・トロ子、かわいいよトロ子なのだ。

惜しくも賞金ゲットはならなかった朋子だが・・・音楽プロデューサーの目にとまり、アイドルへの第一歩を踏み出すのである。

99万円の損失なんて・・・どうでもいいのだ。

なにしろ・・・GTOとは朋子のシンデレラ・ストーリーなのである。

もし・・・私の・・・願い事が・・・叶うならば

翼をください

・・・なのである。

つまり・・・今回さえ見れば・・・後は見なくてもいいのです。

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バッテリー

バッテリー(尺八の巻)

※そうなんだよな・・・菊池は豪(高田翔)じゃなくて・・・巧(中山優馬)なんじゃないのかな?

宮崎香蓮が尺八だっただけに・・・。バッテリー見てない人には分からない話はそこまでだっ。

ハングリー!

そして・・・なでしこの花言葉は・・・勇敢。

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2012年7月25日 (水)

高所恐怖症の男は飛び降り自殺をするか?(多部未華子)痛っ(木村文乃)

大人しく夏休みに入るものもあれば季節なんて知った事かいっ・・・のドラマもある。

大路小学校は「球技大会」である。

もうなんていうか・・・我が道を行ってるね。

時々、多部未華子が薄着になって・・・無理矢理の胸元サービスやら、太ももサービスをするわけだが・・・春のお色気祭りの名残である。

今回の本筋にあたる原作小説の初出は1990年(「しのぶセンセは勉強中」)である。

時代が変わっても不変のものもあるが・・・かなり変わってしまうこともある。

22年も経てば・・・事情はかなり変わるものだよなあ。

中小企業の販売部長が・・・パソコンにさわったことがなく・・・パソコン教室に通っている・・・ものすごくピンと来ませんな・・・きっと。

企業の経営理念なんかも・・・「人材」という点ではもう少し、複雑化しているだろうなあ。

推理ものとしての骨子は実にしっかりしているので・・・脚色するものは・・・もう少し・・・アレンジャーとしての「仕事」をしてもらいたいもんだ。

そうじゃなかったら・・・最初から・・・これは「世界がこれほど混沌としていなかった20世紀の頃の話です」という展開にするべきだろう。

で、『浪花少年探偵団・第4回』(TBSテレビ20120723PM8~)原作・東野圭吾、脚本・江頭美智留、演出・清弘誠を見た。・・・とは言うものの・・・かなりアレンジはされているのである。ただ・・・それが凄く面白いかというと・・・微妙なんだよなあ・・・ただし、これは好みの問題もある。たとえば・・・「野球はチームワーク」であると言いながら刺激を求めてイチローはマリナーズからヤンキースに移籍する。そこでヒットを放ち、盗塁を決める。そういう世界では「与えられたポジションでできることをすればいい」という理屈は基本的には通用しないだろう。そのあたりのジレンマをドラマは描いて欲しいよね。だって・・・人が死んでるんだから。

球技大会では6年2組の陣頭指揮にあたるしのぶセンセ(多部未華子)である。

ここから話は三点に分岐していく。

第一点・・・児童たちの話。学級委員の土屋芙美(八木優希)の面倒見の良さを示す回である。面倒を見られるのは中西雄太(吉岡竜輝)で・・・「カーネーション」でヒロインの幼馴染・勘助を演じている子役で・・・八木優希は「おひさま」ヒロインの子役であるから・・・微妙にずれているのである。ちなみに「カーネーション」ヒロインの子役の二宮星が同級生の上原を演じていて、雄太の破れたズボンから見えているパンツをガン見しているわけであるから・・・ややこしい。いや、別に一般人はややこしく感じないぞ。

とにかく・・・一年前の球技大会で自分がエラーしたことでクラスの敗北を招いた雄太は「消極的な男」になっているのである。そんな雄太のやぶれたスボンを縫ってやり、お守りを渡したりする芙美・・・。いや・・・ひょっとして・・・これは初恋なのか。相手に不足ありじゃないのか。

ともかく・・・もうすぐ転校する雄太にクラスメイトたちは「いい思い出」をプレゼントしようと一致団結するのであった。・・・という話にはなっているが・・・ボリュームが不足しているので取ってつけた感じがものすごくいたします。たとえば・・・パンツを縫うのは上原で、お守り渡すのは芙美のように役割分担させれば・・・「友情」という点では些少違うレベルになっただろう。恋に持って行くのならば・・・次回に展開すれば・・・フリとして認めますけど。転校話があるわけですからな。

第二点・・・しのぶのライバル教師・榛名美佳(木村文乃)はしのぶの打球をあびておでこにたんこぶをつくる。ファール・ボールに注意しなければならない恐ろしい小学校である。このあたりの笑えるんだか笑えないんだか微妙なコントは・・・まあ、脚本家の得意分野なのだろう。いつか・・・美佳先生の回があればいいと思うのだが・・・しのぶに思いを寄せる本間(山本耕史)に思いを寄せるというあくまで三枚目な展開。しかし、おでこを赤く内出血で染めて街でチンピラにからまれているところ本間に助けてもらったり、本間のラフマニノフの話に対応できたり、本間がしのぶのために用意した花束を略奪したりと・・・運命的な勘違いの階段を昇らせられていることは確実である。このあたり・・・トータルでストーリーが組まれているといいなあ。一話でスルーでなくて・・・。

第三点・・・そんなしのぶの活動を覗き見る怪しい老人。実は西丸商店会長・西丸仙兵衛(蟹江敬三)であり・・・本間から噂を聞いてしのぶを正社員としてスカウトしようとやってきたのだった。この点、原作では仙兵衛がしのぶと知りあう描写がもっとスムーズであり、いろいろとアレンジするうちに本質を見失った感じがする。なんで・・・しのぶをヘッドハンティングしようと仙兵衛が決意したのか・・・最後まで不可解だったものな。

ともかく・・・ミステリとしては第三点から事件が発生し・・・しのぶセンセがからんでいくわけである。

で・・・一応・・・事件の背景に・・・「あるべき企業の姿」とそれに沿った人材の「教育」の話が横たわるわけだが・・・その主張がものすごくピンとこないわけである。

経営の合理化と・・・ゆとり社会は相容れないもんな・・・基本的に。

まあ・・・作者が本当にそう考えているなら・・・それはそれでおめでたいことだと言う他はないのである。

「スカウト」の話をするために「しゃぶしゃぶ」でしのぶを釣り上げた仙兵衛が・・・室内懐中電灯生活の自宅で本題に入ろうとすると・・・叫び声と衝突音が響き・・・本社ビルから西丸商店販売部長の米岡(牧村泉三郎)が転落死する事件が発生する。

仙兵衛は瀕死の米岡の傍にしのぶを残し、社内の様子を見に行く。

間もなく・・・漆崎刑事(段田安則)と新藤刑事(小池徹平)のコンビが現場に到着。例によってしのぶは事件に介入していくのである。

仙兵衛は米岡が転落したと思われる部屋は密室だったことを強調し、自殺と決めつける。

もちろん、しのぶはさして理由もなく他殺を疑うのだった。

刑事コンビは現場に残されたヒモつきの脚立や、曲がったカーテンレール、不自然なファイルの陳列などから自殺と事故の両面を疑って捜査を開始するのだった。

そこへ・・・西丸商店社長で仙兵衛の息子の昭一(梶原善)が到着する。

「役に立たない上に・・・こんな不祥事を起こして・・・しょうもない社員をもったもんや」

昭一の心ない言動に・・・しのぶは驚愕する。

そして仙兵衛は複雑な感情を浮かべるのだった。

しのぶは会長・社長父子の間にある確執が事件の核心なのではないかと直感し・・・独自の捜査を開始するのである。

その結果・・・ものすごくケチな会長に育てられた社長がものすごく心のまずしい男になってしまったことを知るのである。

「経営合理化」一点張りの社長に対して「ケチだけど家族的経営」を目指す会長は危機感を覚えていたのだった。

しのぶを社員として雇用しようとしたのは・・・社長の冷たさがしのぶのホットさで解凍するのではないかと期待したためらしい。

捜査の結果・・・事故を社長が自殺に偽装したことが判明する。

「息子の経営方針ではいつか自殺者が出る・・・そのことを息子に示したかった・・・」と親バカをさらけ出す会長だった。

「まったく・・・バカなことをしたもんだ」と呆れる社長。

しかし・・・しのぶは・・・「これはただの事故やあらへんで・・・」と真相を解き明かすのだった。

米岡は社長の席の背後で首つり自殺をしようとして・・・誤って転落死してしまったのである。

「事故やけど・・・自殺なんや・・・あんたが部下を死においやったんや・・・」

「・・・」

「あの米岡はな・・・若い頃のお前のミスを必死にかばった男やで・・・」と会長。

「・・・」

ようやく・・・社長の心にも何か感じるものがあったようだが・・・キッドの心は地獄の氷のように冷たいのでそのあたりのことはよくわかりませんでした。

まあ・・・こうなる前に会長が社長を解任しておくべきだったのでしょうな。

しかし・・・まあ・・・すべて結果論ですから~。

とにかく・・・死のうとした人間が、結果死ねて良かったと言うしかないのでございます。

なにしろ・・・モラトリアムな学校世界と現実社会の企業世界とでは世界が違うわけですから。

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2012年7月24日 (火)

私は食べられる菜っ葉(吉田里琴)私はお天気雨(芦田愛菜)私は単にアカネ(中谷美紀)

名前も忘れてしまうのだな。

あなたには好きな歌手がいるだろうか。

その歌手の名前が思い出せない自分を想像できるだろうか。

顔も思い浮かぶし、もちろん、歌声も頭に浮かぶ。

しかし、名前が思い出せない。

名前だけが・・・記憶から消えてしまうなんてことが・・・ど忘れレベルなら意外と多くの人が経験あったりして。

では・・・自分の名前はどうだろう。

自分の名前が思い出せないこと。

困りますよ。本当に困るんですよ。

この物語はそういう話ですから。

たとえば認知症と診断されたとする。

告知をしない医者が家族にそれを先に告げたとする。

告知をする家族なのですぐに本人に告知する。

次の日・・・「認知症のことなんだけどさ・・・」

「え、誰か認知症になったの?」

「いや・・・あなたが・・・」

「え・・・私が・・・」

「そう・・・あなたが・・・」

「いやだなあ・・・冗談でもそういうこと言われるのって・・・」

「・・・」

記憶が失われてしまう病気というものは本当におそろしいものなのです。

で、『ーティ・第4話』(フジテレビ20120722PM9~)脚本・羽原大介、演出・小林義則を見た。木下圭介(豊川悦司)は若年性アルツハイマー病を発症する。幼い娘の美雨(芦田愛菜)には「もの忘れ病」と嘘をつき、「薬を飲めば治る」と嘘をつき、「他の人には秘密だぞ」と約束させる。本人としては何をどうすれば正しいのか、分からない混乱状態と言っていいだろう。これは当事者ならずとも混乱する問題だ。周囲の善意を信じれば認知症について理解を求めて告知するのが筋だが・・・世界は悪意に満ちているという考え方もある。実際に認知症であることにつけこまれ、精神的、肉体的、経済的に様々な被害にあうことは充分、予想できるのである。

なぜ、もっと率直にカミングアウトしないのか・・・そう感じるお茶の間も多いだろうが・・・これこそが記憶障害の抱える根本的なジレンマだとご理解いただきたい。

信用できる人は誰か・・・信用できない人は誰か・・・忘れてしまうのだ。

さらにいえば・・・人を信じることも忘れます。

そして・・・誰も信用できないと思ったことさえ・・・忘れるのです。

そういう・・・圭介の底知れない悩みとは別に夏休みは容赦なくやってくるのだった。

忘れない人々に囲まれて過ごす時間が減り、忘れてしまう父親と過ごす時間が増えるのである。

「明日から、夏休みだけど早起きするんだぞ」

「はい」

「なにしろ・・・ラジオ体操があるんだからな」

「はい・・・」

「早起きしなさい」

「・・・はい」

「ラジオ体操があるから・・・な」

「・・・」

「早起きしないとだめだぞ・・・」

「父ちゃん、それもう聞いたから」

「そうだったっけ・・・」

父親として・・・娘の美雨に・・・充実した夏休みを過ごしてもらいたい一心の圭介だったが・・・自分がすでに暗礁に乗り上げた難破船のようなものだという自覚は不足しているのだった。

「ちゃんとクスリを飲んでね」

「うん」

「飲まないともの忘れ病がなおりませんよ」

「ふふふ・・・美雨はまるでママちゃんみたいだな・・・」

「そうなの?」

「うん・・・ママちゃんみたいだ」

生後二週間で病気のために急逝した母親・妙子(石橋けい)の記憶は美雨にはまったくない。美雨は自分に似ているという母親を写真の中に見出そうとする。

しかし・・・そこにはいつもの亡き母の笑顔があるだけだった。

信じてすごしていたんだわ

ずっといっしょに歩いてゆけるって

終業式の学校では悪友の小料理屋「はるこ」の女将・春子(国生さゆり)の一人息子・小太郎(高木星来)は例によって、怪しい情報で美雨の心を揺らすのだった。

「これは魔法の葉っぱで・・・四つ葉のクローバーっていうんだぜ。これを四つ集めたらどんな願い事も叶うんだ」

「そんな・・・ガンダーラみたいなこと・・・あるわけないじゃん」

・・・と口ではクールに決める美雨だが・・・ひょっとしたら・・・父親の病気が治るかもしれないと淡い希望を抱くのだった。

一方、圭介の務める金属加工工場「中村産業」では工作機械の新規導入の件で盛り上がっていた。

しかし・・・そのことをたちまち失念してしまう圭介は職場の人々と話がかみ合わない。

「さあ・・・やりましょうか」

「やるって・・・なにを」

「機械が入る場所を整理するって・・・圭介さんがさっき言ってたじゃないですか」

「あ・・・そうか」

「しっかりしてくださいよ」

あわてて・・・胸ポケットの手帳を開く圭介。

工作機械の納入

確かに予定は書き込まれていた。しかし・・・それがどんな機械なのか・・・圭介は想起できなかった。

夏休み初日である。

美雨は朝から・・・四つ葉のクローバー捜しの旅に出る決意を決めていた。

「でかけるなら・・・帽子を忘れるなよ」

「はい・・・」

「熱中症になったら大変だからな・・・」

「はい・・・」

「出かけるときは帽子を必ず被るんだぞ」

「熱中症になったら大変だ・か・ら・・・」

「父ちゃんが言おうと思ったのに・・・」

「だってくどいんだもん」

圭介は通院のために仕事を遅刻する。いいわけは腹痛である。

「そんなことで仕事を休むなんて・・・珍しい」

「ねえ・・・」

最近の圭介の言動に不審を感じる中村社長(蟹江敬三)と社長夫人の千恵子(丘みつ子)は眉をひそめるのだった。

圭介の主治医・古賀(安田顕)は今日も冷たいほどに穏やかな声で圭介にアドバイスをする。

「仕事ですか・・・仕事も続けられる間は続けた方がいいですね・・・しかし、そのためには周囲の方々の理解と協力が不可欠です」

「秘密にしていてはだめですか」

「まだ、ご自身で病状を語れるうちに少なくとも経営者の了解をとりつけた方がいいでしょう」

「・・・」

「そのうちに自分がなぜ忘れてしまうのか忘れることもあるでしょうから・・・」

「・・・」

「メモを取るのはとても大切なことですが・・・あなたの病気の場合・・・メモがあることを忘れてしまうことがあるのです。だから・・・大切なことは周囲の人と情報を共有することなのです」

「大切なことって・・・」

「そうですねえ・・・印鑑の場所とか、銀行の口座番号とか、重要書類の保管場所とか・・・あなたの心にしまっていること全般です」

「それじゃあ・・・秘密が・・・」

「そうです・・・あなたが忘れたら・・・すべては永遠の秘密になってしまうのです」

「・・・」

「そういう病気なのですよ」

圭介には大切な情報を共有してくれる人が想起できなかった。妻は他界し・・・娘は小学二年生なのだ。

何度目だろう・・・この絶望感を感じたのは・・・圭介は考える。

しかし・・・記憶力には全く自信がないのだった。

圭介の病気について唯一知っている他人は事前に連絡もせず、突然実家に戻って来た社長の娘・アカネ(中谷美紀)だけだった。

アカネは何故か、若年性アルツハイマー病の症状に詳しく、何故か、大阪にいる夫の西脇拓哉(山中聡)と距離を置いているのだった。

この物語における唯一のミステリーだが・・・西脇家の離婚沙汰に誰かのアルツハイマー病が関連していることは間違いないのだろう。

そうとは知らない社長は突然、アカネの夫から電話で「アカネと離婚するつもりがないことを伝えてください」と言われ面食らうのである。

夫の浮気か・・・と早合点する社長だったが・・・おそらく身に覚えがあるのだろう。

白い坂道が 空まで続いていた

ゆらゆらかげろうが あの子を包む

美雨の旅は商店街から始っていた。

美雨の頼りになるアドバイザーは八百屋の菜子ちゃん(吉田里琴)なのだ。

「菜子、出かける前に品出し手伝ってくれよ」

「やだ・・・友達とプールにいくんだもん」

「菜っ葉の菜子ちゃん、お願いだよう」

などと会話をしている八百屋の親子だった。

「菜っ葉の菜子ちゃん?」

「私の名前・・・八百屋だから菜っ葉の菜子ちゃんて・・・ひどいでしょ」

返答に屈する美雨だった。

「美雨ちゃんは・・・どうして美雨ちゃんなの?」

「う~ん。知らない」

「そうなんだ・・・ところで、なんか用かしら・・・」

「私・・・四つ葉のクローバーを捜してるんだけど・・・」

「ははは・・・さすがにそれは家にはないよ・・・でも生えていそうなとこ、教えてあ・げ・る」

「ありがとう・・・菜子ちゃん」

菜子は美雨を河川敷の野原に案内するのだった。

「私、昔、ここで見つけたことあるよ」

「すごい」

「一緒に捜してあげたいけど・・・友達と約束しちゃってるから・・・」

「うん、大丈夫、自分で探すから」

照りつける太陽の下・・・美雨の四つ葉のクローバー捜しが始るのだった。

もちろん、そばにはひでりがみが一本の足でニヤニヤしながら立っているのである。

そこに通りかかるアカネ。

「何してるの?」

「四つ葉のクローバーを捜してるの」

「そうなんだ・・・じゃ、私も手伝っちゃおう」

ひでりがみはちょっと顔をしかめるのだった。

するとアカネの携帯電話が鳴りだした。

アカネの夫から話を聞いたアカネの父親が立腹して電話をかけて来たのだった。

「私、お父さんから呼び出されちゃった・・・美雨ちゃん・・・一緒に帰ろう」

「私・・・もう少し・・・一人で捜す」

「そう・・・でもね・・・お昼までには必ず帰ってきてね・・・午後になったらまた一緒に来てあげるから・・・」

「うん」

美雨はもう夢中なのである。アカネが後ろ髪をひかれながら土手から去っていくとひでりがみはニヤリと笑う。

一本しかない手をのばすと美雨の帽子を掴んで投げ上げる。

帽子は天高くどこまでも舞い上がる。

見上げた美雨は身体を揺らして野原に倒れ伏すのだった。

誰も気づかず ただひとり

あの子は 昇っていく

そして舞い上がる

・・・おいおい、殺すなよ。

アカネのストーカーである立花健太巡査(君嶋麻耶)が美雨を発見し、救助するのだった。

ひでりがみは舌うちをした。

病院から戻った圭介は・・・意を決して病状を伝えようとするが・・・社長の頭は娘のことで一杯だった。

続いてアカネが帰宅して・・・父親が「離婚って一体なんなんだ」と爆発したために圭介は告白の機会を失ってしまうのだった。

「今後の事をじっくり一人で考えてみたいの・・・それだけよ」

とアカネは父親もお茶の間も納得できない煙幕を展開するのだった。

そうめんをゆでる鍋もふきこぼれる夏の昼食時である。

騒然とする中村産業だったが・・・立花巡査からの一報で静まりかえるのだった。

下町でも往診してくれる開業医は少なくなった。梅ちゃん先生の時代は遠く去ったのだ。

意識不明なのだから病院に搬送するべきだが・・・下町の人々はそういうことには恐ろしいほどに楽観的なのである。

「寝かせておけば大丈夫・・・」と断言する社長夫人だった。

目を覚ました美雨は圭介に訊く。

「私はどうして美雨って名前なの・・・」

「もう少し・・・大人になってから話そうと思ったんだけどな」

「もったいぶらないでよ・・・」

「美雨が生まれた時な・・・」

「・・・」

「今日みたいに夏の陽ざしがふりそそぐ・・・いいお天気だったんだ・・・で、ママちゃんと二人で生まれたばかりの赤ちゃんを見ていると・・・突然、ザーっと雨が降り出したんだ。窓の外は青空が広がっているのにさ・・・」

「お天気雨ね・・・」

「そうだ・・・雨粒が太陽の光で宝石みたいに輝いて・・・すごくきれいな雨だった。そしたら・・・ママちゃんがさ・・・美しい雨って書いて・・・美雨ってどうかしらって言ったんだ。それがお前の名前になったんだよ」

「じゃあ・・・私の名前って・・・ママちゃんがつけてくれたの」

「そうだよ・・・美雨」

それから二週間後・・・美雨の母親は急逝する。

「あなた・・・あなたと結婚してとても幸せでした・・・」

「・・・」

「心残りは・・・美雨のことだけ・・・約束してね・・・美雨とずっと一緒にいてくれるって・・・」

「もちろんだよ・・・美雨のことはまかせておいて・・・そして・・・君も・・・」

「・・・」

「・・・」

ずっとその約束を守って生きて来た圭介である。

しかし・・・その成就は風前の灯になっている。

(神様・・・神様・・・神様・・・なんとかしてください)

圭介は念ずるが答えるものはいない。

工作機械が納入され・・・中古品であることが判明する。

圭介は「冷却装置がかなり損耗しているので・・・油を常に切らさないように注意してください」と説明する。

そして・・・さっそく・・・油を切らして試運転を始める圭介だった。

「おい・・・油・・・」

「あ・・・」

「どうしたんだ・・・圭介さん・・・おかしいだろう」

社長は思わず声が大きくなる。

その声を聞きつけた美雨は思わず飛び出してきた。

「父ちゃんを許してください・・・父ちゃんは・・・ただ・・・ちょっと・・・疲れてるだけなんです」

気勢をそがれる社長である。

気配を察したアカネが美雨をその場から連れ出す・・・。

社長夫人が口をはさむ。

「水臭いよ・・・何か・・・悩み事があるなら言いなさいよ」

「そうだよ・・・圭さん」

「すみません・・・社長・・・実は・・・俺・・・若年性アルツハイマー病なんです」

「え・・・」

絶句する社長夫妻だった。

圭介は美雨の様子を見に行く。

「ごめんね・・・父ちゃん・・・」

「なんで、お前があやまるんだ・・・悪いのは父ちゃんだよ」

「だって・・・四つ葉のクローバーがみっつしか集められなくて・・・父ちゃんの病気を治してあげられなかったんだもの・・・」

「・・・美雨」

父ちゃんの病気を早くなおしてください

幼い娘の幼い願い事。

しかし・・・残酷な現実は・・・その幼さを粉砕するだろう・・・なすすべもなく・・・美雨を抱きしめる圭介。

低い雲間に天気雨

みるみる煙る水平線

夏の始めの通り雨

ついてないのは 誰のせい?

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2012年7月23日 (月)

光輝く上皇よ、 あなたの未来の為にと私はつぶやいて(成海璃子)

そ、そこにきましたかーーーっ。

だって、待ちに待った滋子の巻だからな。

夏の子役祭りは大河ドラマにまで押し寄せてきたのだ。

成海璃子といえば「トリック」の山田奈緒子(少女時代)から12年である。1992年組なのでもうすぐ20歳なんだな。

よくぞ・・・ここまで無事に育ってきたよ。ウエイト・コントロールのピンチをのりこえてなーーーっ。

一方で、厳島社の巫女で宋人・桃李を演ずるのは、柊瑠美である。

「すずらん」(1999年)の萌(少女時代)から13年である。「千と千尋の神隠し」で千尋(声)、「野プタ。をプロデュース」(2005年)の蒼井かすみなど強烈な印象を残しつつもうすぐ25歳なのだ。

時は流れるよね~。

で、『平清盛・第29回』(NHK総合20120722PM8~)脚本・藤本有紀、演出・中島由貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はさらば・・・帝の妻になろうとして上皇の后になってしまった王家の女帝・美福門院、ようこそ・・・帝の妻にさせられそうだったけど自ら望んで上皇の妃になっちゃった平滋子の二大美女描き下ろしイラスト大公開で大変お得でございます。すげえーーー女性が苦手とおっしゃる画伯が二枚とも女で勝負とはーーーっ。素晴らしい出来栄えでございましたが、あくまでマイペースでお願いします。

Tairakiyomori27 ついに永暦元年(1160年)夏・・・平清盛は正三位参議となり、公卿の席についた。朝廷のまつりごとへの発言権を得たのである。祖父・正盛、父・忠盛の成し遂げられなかった夢が実現したのだった。清盛は数えて43歳になっていた。養母である池禅尼の従妹にあたる美福門院は永暦元年十一月に逝去する。美福門院は清盛より一つ年上だった。清盛自身が白河法皇の落胤とされるわけだが朝廷と平家の繋がりは藤原宗子(池禅尼)と藤原得子(美福門院)の従姉妹関係がかなりものを言っているのである。皇室(王家)の継承は、藤原氏と密接な関わりをもっているが、同時に王家内部の相続問題もからんでいる。白河法皇は一種の独裁体制で王家の私財を独占したわけだが・・・紆余曲折を経て、それは一旦、鳥羽法皇が継承することになる。鳥羽法皇治世以後では、待賢門院の子である崇徳、美福門院の子である近衛、待賢門院の子である後白河、その子二条と帝位が継承されるが・・・実質、王家を支配していたのは美福門院だったと言われる。なぜなら、白河法皇、鳥羽法皇の残した財産を継いだのは美福門院だったからである。追放された崇徳も後白河上皇も実質、貧乏な帝だったのである。しかし、美福門院は待賢門院系の人々が不満を抱かぬように門閥を形勢していた気配がある。まず、後白河の子である二条を継承者として、わが娘の八条院をその母として定めている。次に八条院の妹の姝子内親王を二条の中宮としている。そして姝子内親王の養母を後白河の同母姉である上西門院と定めたのである。二条天皇の立場を補強するために平安京最大の実力者・平清盛の室である平時子を乳母とする周到ぶりである。平時子の異母妹である平滋子はこの年、後白河上皇の妃となるわけだが・・・まさに最後の一手と言えるだろう。美福門院は王家の安泰のために打つべき手はすべて打って身罷ったのである。しかし・・・歴史は人の願いを無残に打ち砕いていくものだ。そして・・・驚くべき悪名を貞女に冠したりもするのである。

風は山から降りてくる

うちは比叡おろしですねん

あんさんの胸を雪にしてしまいますえ

京の都に木枯らしが吹きぬける。鬼神を信じない平家一門のものどもがまつりごとに口出しするようになって凋落の気配を感じている安倍晴明一門の傍流である安倍泰親は平安京の東に武神の気配を感じていた。衰えたりといえども血が騒ぐのである。京の都を覆う闇に異変が生じる。それは陰陽道の秘法を用いるまでもなく明らかであった。

陰陽師たちは闇の噂で宮中に玉藻前(たまものまえ)と称される大陸渡来の妖怪が生息していることを知っていた。噂によればその妖怪は大陸の古代王朝殷を滅ぼした伝説の后・妲己の正体である白面金毛九尾の狐であるらしい。八世紀に来日し、以来200年以上も大和の国にあだなして来たと言う。

そして、今は王家のやんごとなき女性に化けて内裏で瘴気を放っているのだという。保元、平治と続いた戦乱もすべてその化性の為せる仕業だと評判なのである。

安倍泰親は夜が更けるとともに冷たさを増す風の気配におそろしげなものを感じている。

都の東、六波羅の平家館には兵(つわもの)たちが打ち揃っていた。

総大将は平清盛である。そして先鋒を勤めるのは霊能力者・高階明子の血を引く長男・重盛である。その他、平家の御曹司、名だたる郎党たちがこれに従っている。ただし、平時子率いる二条帝警護の一隊が内裏に、平滋子率いる後白河院警護の一隊が白河御所に分派されている。

同時に内裏・白河御所・六波羅にはそれぞれ、王家の巫女である姝子内親王、上西門院、八条院が祭壇を整え、祈祷を続けているのである。

美福門院こと妖狐玉藻前の動きを封じるためであった。今や、平安京は張り巡らされた結界により、巨大な魔法陣と化しているのだ。

「敵は八条院にあり・・・」清盛は宋剣を南西の方角に向けた。

「参る」と重盛が戦闘を切って馬駆けさせる。その手には父親から譲られた破魔の弓矢が握られていた。

一族郎党は遅れじと六波羅屋敷の門を出、賀茂川にかかる橋を渡り、大路に足を踏み入れる。

京の人々は突然の馬蹄の響きに跳び起きた。

「何事ぞ・・・」

「謀反か・・・」

「戦か・・・」

八条殿では寝処で美福門院が覚醒する。

「夕刻から妙に眠気に誘われたは・・・大和の呪法であったか・・・小癪な・・・妾に逆らうなどどれほど身の程知らずか・・・思いしることになろうぞ」

美福門院はしかし、周囲に人の気配がないことに驚愕する。

「これは・・・いつのまに・・・これほどの結界を・・・」

美福門院は寝衣のまま、八条院の広間に出る。

「おのれ・・・」

美福門院であったものは顔色を変えた。美福門院が手なずけた貴族や武士たちが一人もいないのである。怒髪天をついたとき・・・美福門院の人の顔は狐面に変じていた。背後には巨大な九本の尾が現れる。

「おうおう・・・妾の変化の封印が破られたのか」

妖狐は驚愕すると同時に、久しぶりの高揚感を味わっていた。

「なるほどの・・・平家の小童め・・・なかなかやりおる・・・王家の姫巫女たちも・・・なかなかどうしてたいしたものじゃ・・・しかし・・・妾の真の実力をあなどるなかれ・・・参じよ」

妖狐が一声命ずると・・・院の庭には地響きが起きた。庭木が音を立てて倒壊すると・・・地中からは人影が現れる妖弧の使い魔である石兵軍団だった。

およそ、百体ほどの石の武将たちはそれぞれの鉄の武具をもって整列する。

「大和の戎どもの目にものみせてやろうぞ」

おりしも、八条院に平家の武将たちが到着したところであった。

その前に屋敷から飛び出した石兵たちが立ちふさがる。

「これは・・・」

「面妖な・・・」

松明に照らしだされた石兵たちの奇怪さに怖気を感じる平氏の武者たち。

「ひるむな・・・」

平重盛は一声叫ぶと破魔矢を放つ。第一矢は戦闘の石兵に命中する。

電光を放ち、石兵は砕け散った。

「それ、ものども、かかれ」

重盛の声に励まされ、武者たちは獲物を手になだれ込む。

しかし、相手は石である。一撃で刀を折られるもの、組みついて下敷きになるもの、鉄の剣で真っ二つにされるもの・・・周囲には叫びと血の匂いが充満する。

武者と石兵が激闘を繰り広げる間を縫って二人の忍び武者が八条院の境界を乗り越える。

平清盛と大伴の忍び西行だった。

二人は院へと続く廊下に足をかけ・・・お互いに目配せをする。

「ついにこの時がきたな・・・」

「長い歳月でしたな・・・」

「西行・・・ぬかるな・・・」

「清盛殿も御用心あれ」

二人は一気に院の奥へと跳躍した。

凄まじい殺気が襲ってきて、清盛は思わずのけぞった。

その鼻先を青龍偃月刀がかすめて行く。

院の広間に狐面の女がおり、その左右にはひときわ巨大な石の武将が立っている。

「ふふふ・・・小童どもめ・・・よくぞ、まいった。褒美に名高い英雄との勝負を授けよう。石の関羽、石の張飛、大和の猿の首、うちまいらせよ」

清盛の前に青龍偃月刀を構えた石武将が進み出る。

西行は一丈八尺の蛇矛を抱えた石武将と対峙する。

「こいつは・・・たまげた」と西行はさして驚いた風もなくつぶやくと・・・忍び装束の懐から布を取り出す。

そこには「蘇民将来」と墨で記されている。

「波」と西行が叫ぶと上西門院が霊ふらせた鬼神が西行を変化させる。

西行に憑依しているのは牛頭天皇である。石張飛の繰り出した蛇矛の一撃を両腕で受け止めた時、西行の頭は黒い牛のものになっている。

「ぐもっ」と鼻息を荒くした牛頭西行は蛇矛の両端をつかみ、石張飛と力比べを始めた。

その姿を背面の顔でとらえる平清盛もすでに二面宿禰に変身を遂げていた。

石関羽の繰り出す青龍偃月刀の突きを宋剣で払いながら、懐に飛び込むチャンスを伺う清盛であった。

「くらえ円月剣」

清盛はターンをしながら青龍偃月刀の間合いをはずし、必殺の回し切りを放つ。

石関羽の首が切断されて吹き飛んだ。

一方、牛頭西行は怪力で石張飛を抱えあげると残された石関羽の身体めがけて投げ飛ばす。

石の英雄は衝突して砕け散った。

「たわいもないわ・・・大和の神をなめるなよ」

清盛は両面の口をそろえて叫ぶ。

「おのれ・・・化け物ども・・・」

「お前に言われる筋合いはない」

すでに・・・妖狐は完全に獣の姿になっている。熊よりも巨大な狐の姿である。

「清盛・・・お前の栄誉・・・立身出世・・・すべては妾のおかげではないか」

「何を言う・・・人の心を惑わしおって・・・わが友の道を誤らせたもののけが・・・」

「妾が惑わせたわけではない・・・みな・・・己の欲に目がくらんだのじゃ・・・」

「だまれ・・・女狐・・・本当の藤原得子様をどうした」

「それは・・・妾が食ろうてやったわ・・・」

「悪鬼退散」

清盛は怒気を含んだ宋剣を妖狐に突きだす。

しかし、妖弧は素早く身を交わすと、院の天井を突き破った。

「おぼえておれ・・・平清盛・・・我が恨み・・・やがて汝の一族郎党を悉く滅ぼしてくれるわ」

「逃がすか」

清盛は妖弧の開けた穴に飛びあがる。穴は屋根まで突きぬけて行く。

「くらえ」

清盛は宋剣から念の炎を噴出させ、妖弧を狙い撃ちにする。

たちまち燃えあがる妖狐の身体。

「くちおしや・・・」

次の瞬間、鋭い音を立てて妖狐の身体が虚空に舞い上がった。

それは火の玉となって東の空へ飛び去る。

「くそ・・・逃したか・・・」

「・・・案ずるな・・・」

下から凛とした声が響く。

「上西門院様・・・」

いつの間にか、現れた上西門院が庭先に佇んでいる。

「もはや・・・封印はすべて解かれ・・・あれは大和の神の呪縛にかかっておる。後は東国の兵がなんとかしよう・・・」

「しかし・・・」

「案ずるな・・・あれは自分で逃げたつもりでおるが・・・罠にかかっているのだ・・・」

清盛は人身に戻りつつ剣を収めた。聡明な姫巫女である上西門院が何かを仕掛けているのは間違いないのであろう。・・・清盛は納得する。

「清盛・・・西行・・・長き働き・・・大義だった・・・」

「ぐも・・・」

清盛は古いつきあいの元・北面の武士を見て微笑んだ。西行は一度変身すると・・・なかなか生身に戻れないのだった。

これからどうなるのか・・・清盛は確信が持てなかった。ただ一つ言えること・・・それは美福門院が今夜をもってこの世から姿を消したということだけだった。

「お・・・雪じゃ・・・」

京の街にいつもより早い雪が舞い降りていた。

京における死闘は終結したのだ。

関連するキッドのブログ→第28話のレビュー

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2012年7月22日 (日)

絡み辛いので死んだのか(生瀬勝久)お通夜の帰りに(志田未来)1リットルの涙から七年(真田佑馬)

またゴーストママ(仲間由紀恵)ととんぼ(君野夢真)抜きのタイトルかいっ。

それにしても大津のボレーシュートは見事だったな。

男子U23はメキシコに2-1で勝利して五輪入りである。

もう、負けても勝ってもドキドキワクワクでございますな。

「1リットルの涙」で沢尻エリカの弟役でサッカー少年だった真田佑馬も19歳である。

志田未来より一学年上の1992年生まれなので今年成人してしまうのだ。

時は流れるよねえ。2006年生れきっての美少年・君野夢真もあっという間に大人になるんだよな。きっと。

で、『ゴーストママ捜査線〜僕とママの不思議な100日〜・第3回』(日本テレビ20120721PM9~)原作・佐藤智一、脚本・梅田みか・阿相クミコ、演出・大谷太郎を見た。由緒正しいカレンダー展開で夏休みに突入である。とんぼのはじめての通知表はオール「よくできました」だが・・・クラス全員がそうなのであった。最初はグーなのだな。そして競争なのだが・・・そうでない世の中がいつか来ると信じている人はある意味、死後の世界を生きているのだな。そして、学歴競争の最終段階にさしかかっている葵(志田未来)はかなり厳しめの成績を達成してしまっているのだった。

「こりゃ、やべえ」のだった。だが、所詮、義理の娘である・・・リアクションうすめの義母蝶子(仲間由紀恵)だった。

蝶子が気になるのは葵のクラスの悪童たちである。

警視庁桜田署管内にある桜田東高校の不良生徒たちは蝶子のお気に入りの取り締まり対象だったのだ。

その一人、長谷川淳也(真田佑馬)は葵に告げる。

「お前の母ちゃん・・・亡くなったんだってな・・・俺たち・・・随分、世話になってたんだ」

「そうなんだ」

「残念だったな・・・」

「・・・」

男子生徒にお悔やみを言われて快感を感じる蝶子・・・ごくせん魂である。

しかし、その夜、管内でひったくり事件が発生。偶然、通りかかった淳也は生活安全課課長の三船(生瀬勝久)に誤認逮捕されてしまうのである。

淳也は無実を主張するが・・・三船も呼び出された担任教師も淳也に疑惑のまなざしをそそぐ。

すべてを目撃していた蝶子は三船の無念に歯ぎしり状態である。

もう・・・ここまでごくせんだと・・・後は言わずもがなである。

翌朝、愛犬メリーちゃんと散歩中、心筋梗塞で三船はゴースト化するのだった。

死体を発見したのは・・・上原航平(沢村一樹)・とんぼ(君野夢真)の父子だった。

そして、お約束でメガネをかけたとんぼにはゴースト課長も見えるのだった。

通夜である。三船夫人を演じるのは大島さと子で、「幽霊ママ(ゴーストママ)」(TBSテレビ1998年)の主役である。

妻や娘に話しかけても無反応でゴースト課長は幽霊の悲哀を感じる。後釜を狙う藤田係長(ミスターちん)の笑顔に茫然自失なのである。

「しかし・・・なんで・・・課長は・・・成仏できないのかしら・・・」

「それは・・・家族のことが気がかりで・・・」とお茶を濁すゴースト課長。しかし、仲たがいをしたまま消息不明の長男のことが気になっているらしい。

とにかく・・・仲間・生瀬の漫才コンビ再々結成なのだった。トリック→ごくせん→ゴーストママである。

「そういえば・・・課長は生前とんでもないことしているんです・・・」

「なんだって」

「誤認逮捕ですよ」

「そんなばかな」

ゴーストママは不良がやさぐれる歩道橋に課長を案内するのだった。

そこにはうなだれて夏の夜風に吹かれる淳也がいた。

「ほら・・・あんなに深刻なことに・・・自殺でもしちゃったらどう責任とるんですか」

「それは自己責任で・・・なんとかね」

「・・・おいっ」

そこへ偶然通りかかる通夜帰りの葵だった。

「退学になりそうなんだって・・・」

「うん・・・おれ・・・本当に何もやってないのに・・・」

「真犯人が捕まるといいね」

「・・・」

淳也に自分の息子の姿を見出すゴースト課長である。

「こりゃ・・・なんとかしないと・・・」

「捜査開始ですね」

二人は東京とは思えないせまさの街を彷徨い、たちまち真犯人の広沢直人(蕨野友也)を発見するのだった。

さっそく、とんぼの出番である。

死の直前に・・・課長から聞いた話として・・・「真犯人の情報」を高倉巡査(塚地武雅)に伝えるとんぼ・・・今回はさすがに息子直接巻き込まないゴーストママだった。

広沢の犯行現場を抑えようと尾行を開始する。

広沢はふたたびひったくりを実行するが・・・高倉は・・・逮捕に失敗するのだった。

犯人の逃げ足の方が速かったからである。

その頃、せまい町で夕食の買い物をするとんぼと父親。

とんぼは三畳一間ほどのせまい町なので犯人を追撃するゴーストママを発見。つい追いかけてしまうのだった。

そして、マッチ箱のようにせまい町なので逃走中の犯人に遭遇してしまうのだった。

もうせまい町なのはわかったよ。

すかさず転倒して絶体絶命のとんぼ。

強奪した自転車で逃走中の犯人が迫る。

そこで何はなくても母の愛が炸裂である。

死んで初めて物質との接触に成功するゴーストママ。

ゴミ箱を犯人にぶつけて撃破に成功するのだった。

怪奇現象発生だが・・・犯人をはじめ・・・周辺人物たちはスルーである。

駆けつけた高倉巡査は見事に犯人逮捕に成功する。

こうして・・・淳也の濡れ衣は晴れ、ど田舎のようにせまい町には平和が戻ったのだった。

メリーちゃんも何故か、とんぼの家に預けられることになり、葵は美脚を披露しつつ、「来週は私のフィーチャー回なのでお見逃しなく」アピールである。

まあ、すべての夏休みを楽しむ子供たちに幸あれでございます。

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

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2012年7月21日 (土)

やっぱりキスが好きな女子高校生(竹富聖花)と黒の女教師(榮倉奈々)

ものすごいアニメ臭だったが・・・由緒正しい学園青春ドラマでしたな。

敵役(早乙女太一)の小物臭も半端なかったけどな・・・。

まあ、薄汚い悪役ぐらいが処理の限界なんじゃね・・・。

あとは・・・学園ぐるみかどうか・・・ね。

芹沢校長(南果歩)が・・・お頭か。

都立高校だからな・・・私立なら・・・それもありだけどな。

まあ・・・限りなくスケバン刑事でケータイ刑事に近い世界観なんだろうな。

ともかく・・・二代目GTOと比較して・・・こちらをレビュー対象にすることでよろしいか?

異議なし。

異議なし。

異議なし。

松嶋菜々子的に異議なし。

木村文乃的に異議なし。

過半数賛成により多重人格編成委員会で「黒の女教師」レビューが承認されました。

で、『黒の女教師・第1回』(TBSテレビ20120720~)脚本・山下友弘・大林利江子・吉澤智子(何人がかりだよ)、演出・岡本伸吾を見た。変な役ばかりやり続けたために純情可憐な新人女教師のヒロイン役を演じてもどこか怪しい木村文乃だったな。全校生徒の前で挨拶のトーンをベースにすればいいと思うよ。なにしろ・・・闇を照らす光の天使なんだからな。

丸太のような競泳水着スタイルを披露した主人公の涙の理由もかなりのキーポイントだが・・・シーズン終了後にスペシャルやる気じゃないだろうな・・・「女王の教室」みたいにか。禁句モードが発令されました。「黒の女王教師」禁止です。了解。

謎の転校生・戸田トシオ(松村北斗)は山Pと劇中妄想キス兄弟になったのだな。・・・「エンプラ」では実際にはキス・シーンはなかったわけだが。あくまで妄想の話だよ。

ものすごく・・・「セクシーボイスアンドロボ」の「プッチーニ」を連想させる黒の女教師トリオなのだが、実際は小林聡美が重複しているだけ。結局、もたいまさことともさかりえの存在感は榮倉奈々と市川実日子で置換できるのか。・・・おい、榮倉奈々=もたいまさこみたいな記述はやめなさい。もたいまさこに失礼だからか。・・・ち、ちがーうっ。

トーストを咥えた新人教師・青柳遥(木村文乃)は希望に胸をふくらませ、都立国文館高校の門をくぐる。

その門には・・・この門をくぐるものは一切の希望を捨てよ・・・と書いてあったようだ。

その証拠にいきなり黒の美術教師・藤井彩(小林聡美)は散水巻き添え攻撃で白いブラウス透け透けサービスを青柳に強要するのだった。しかし、後においしいおにぎりを半分もらって心許す青柳だった。

そのおいしいおにぎりを販売するのが購買部の福子(トリンドル玲奈)である。ただし、おにぎりは福子の祖母がにぎっているらしい。

校長の芹沢(南果歩)は「我校の校風は文武両道」

教頭の堀田(光石研)は「チャイム・トウ・チャイム」

と青柳にアドバイスをくれる。

青柳の担任する3年D組の副担任・高倉夕子(榮倉奈々)は「始業のチャイムと終業のチャイムの間が教師の仕事をするべき時間なのです」と無料で親切に解説してくれる。タダよりこわいものはない的サービスなのである。なぜなら・・・青柳はこの後、初任給17万5千円まるごと注ぎ込む破目になります。

こうして・・・青柳の教師生活は始ったのだが・・・転校生の戸田を紹介するとと同時に受け持ち生徒3名が戸田の密告で「答案メモリの窃盗」容疑で摘発されてしまう。

その後、生徒の悪事は事前に発覚する流れであり、校内には盗聴・盗撮の監視ネットワークが張り巡らされていることが暗示される。

もちろん・・・黒の女教師たちは常に生徒の同行を注視しているのであるが・・・それだけでは説明できない部分があります。

理科教師である高倉は「人間は弱肉強食をさらに進化させた抑止力による平和共存を実現させた凶悪な生き物です」と語り、その未成人タイプは管理・保護されるべきであるという理念を語る。

文系である青柳はなんとなく「愛と自由と平等」を説くのだった。

永遠不滅の性悪説と性善説的対立軸がここにあります。

始業式から・・・大学生で企業家で司法試験合格者の自称エリート・須藤達也と車内で軽~い熱烈キスをするのは青柳のクラスの生徒・山岸リオ(竹富聖花・・・「妄想捜査~桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」のたらちね国際女子大学学生ミステリー研究会の自称・魔法の国から修行に来た魔法使い早田 梨花役からここ・・・桐谷美玲ではありません・・・区別つかないのはお前だけだぞ)が今回の課外授業ターゲットである。

須藤は尋常でない勤労意欲で都内の女子高校生を「ビジネスパートナー」として勧誘しまくっているのである。数十人の女子高生の恋人きどりを達成するにはものすごい体力を使うと推定できるのだが・・・精力絶倫というか・・・若いんだなあ。

リオも達也の恋人気分を満喫するのだが、その実態は「脱法ハーブ」の勧誘要員にすぎないのだった。

この場合の脱法ハーブは吸引すれば廃人化する恐れもある麻薬系薬物なのだが禁止指定を逃れている薬品という設定である。

達也はそれを「お香」と称して売り、売却後の使用方法については自己責任という論法で供給ルートの末端に位置している。強烈な自己顕示欲と他者支配欲に精神を支配されており、どこかで悪魔に魂を売ったのであろう。

他者との距離感をつかみあぐねるリオは「愛がなければ生きていけない」タイプなので達也に溺れているのである。

しかし、クラスメイトの下村明日香(大野いと)や松本栞(土屋太鳳)らのガードは固く、リオの営業成績はまったく振るわない。仕方なく、リオは幼馴染である野間薫(杉咲花・・・「妖怪人間ベム」の夏目優以役からここの14歳のなんちゃって高校生・・・まさに浮いてます)への直接勧誘にふみきり、たちまち下心を見抜かれてしまう。

「私にそれを売りつけるために・・・おひるをさそったの・・・」

「・・・」

「・・・だと思ったよ」

授業にはついていけるが交友関係についていけない薫は深く傷ついた。

リオが校内に脱法ハーブを持ち込んだことはたちまち教師の監視システムに察知されるが・・・謎の転校生・戸田も独自のルートでそれを知る・・・ひょっとすると超能力者なのかもしれない。ラノベ風というか深夜アニメのりなので充分許容範囲である。

青柳は・・・成り行きで・・・あるいは戸田に仕組まれた形で・・・リオの校則違反を庇う立場に追い込まれる。

黒の女教師・高倉は青柳に教育的指導をするのだった。

「あなたが野放しにしたことであの子は不幸になる」

しかし青柳は感情的に反発する。

「生徒を守るのが教師の仕事です」

青柳は校内に司法が介入することは好ましくないと「なんとなく」感じるタイプのヒロインだからである。

しかし・・・おそらく屈折した友情の発露として脱法ハーブを吸引した薫のために・・・隠蔽が仇となって青柳は窮地に陥るのだった。

青柳は高倉に救いを求める。

「いいですよ・・・料金はあなたの初任給全額です」

「料金って・・・」

「課外授業は別料金です・・・前払いでお願いします」

「信じられない・・・もう頼みません」

ヒロイン・青柳は単身・・・小悪党の巣窟である「Cafe&Bar BLACK berry」に向かう。

すでに正体を現した達也はリオを軟禁し、脱法ハーブの吸引を強要しようとしていた。

青柳もたちまち拉致されてしまう。

「私の生徒を解放しなさい」

「それなら・・・先生が代わりに吸引してくださいよ」

リオを残し、単身、裸足で脱出する青柳だった。

黒の女教師たちは深夜アニメのりの哲学的トークを展開中である。

ネタフリは下世話な「源氏物語」をこよなく愛する黒の古典教師・内田(市川実日子)だ。

「ガチャガチャで・・・ドクロのキーホルダー狙いだったんだけど3500円つっこんでとれなかった青春時代があったのね」

「・・・」

「でも、一回でとれた子がいたのよ・・・人生って不公平よね」

「でもさ・・・35回ワクワクできたんでしょう」

「その子は一回もワクワクできなかったかもよ」

「ワクワクにもお金がかかるってことなのね」

「そういうことこんぷがちゃ」

「そろそろ・・・時間みたいね」

銀行経由で料金を引き出したボロボロのヒロインはお金を投げ付ける。

「お行儀悪いわね」

「お金を粗末にしちゃダメよ」

「汚れたお金も綺麗なお金もお金はお金だけどね」

黒の女教師たちはすでに内偵を勧めていたのだろう。

警察官・野口(駿河太郎)を小遣い銭で利用する組織力もあるらしい。

悪のアジトに潜入すると・・・達也の恋人たちに真相暴露メールを一斉送信するのだった。

そして・・・高級クラブ経営者を装った高倉は達也に高額取引を持ちかけ、商品の試飲を達也に実行させる。

やがて・・・おそろいの達也によるプレゼントのアクセサリーを身に付けた女子高校生たちが集結。つるし上げである。

その中には達也の実の妹・夏美(未来穂香)もいたのだった。夏美はすでに脱法ドラックにより精神に異常をきたしていた。

逆上する達也を一喝する黒の女教師。

決めセリフは「愚か者!」だった。

高倉に蹴りあげられた達也は即死である。・・・死んでないぞ。

こうして・・・なまぬるい仕置きを終えた黒の女教師たちは現場を去っていくのだった。

もちろん・・・それでも青柳にとっては想定外の出来事だったことは言うまでもない。

とにかく自腹を切ったヒロインは生徒に感謝されることもなく・・・踏んだり蹴ったりなのである。

そして・・・一部始終を監視する謎の転校生・戸田・・・宇宙人でもおかしくないな。

深夜アニメ風熱血学園ドラマはじまりました。待ちくたびれたけどな。

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ダメジン

セクシーボイスアンドロボ

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2012年7月20日 (金)

大阪恐怖症の女のエンドレス・ナイト(松下奈緒)

なでしこジャパンの五輪直前、対仏戦のために「VISION-殺しが見える女」一回休みである。

いいねえ・・・最終調整試合で0-2で敗北のなでしこジャパン・・・ドキドキ感半端なしだな。

はたして、ちびっこ岩渕はワールドカップより一皮剥けたのか、どうか。

いや、一皮剥けたら、ますます、小さくなっちゃうのか~。

丸山もみたかったけどな~。

川澄に代わって岩渕ってある意味、投了って感じがするよね~。

ロンドン・・・テロがないといいなあ。

なでしこジャパン・オリンピック初戦のカナダ戦は7/25水曜深夜、明けて7/26木曜AM0020~テレビ朝日である。

で、『東野圭吾ミステリーズ・第3回・エンドレス・ナイト』(フジテレビ20120719PM10~)脚本・田辺満、演出・河野圭太を見た。「明けない夜はない」に対して「明けない夜」とはつまり、「死」である。もちろん、太陽が爆発して消滅すれば・・・永遠の夜は続くわけだが・・・人類もまた永遠の眠りについているので意味は同じである。つまり、「明けない夜はある」のである。

「明けない夜」・・・その哀しみは結構、胸に堪えるものだが・・・本人はすでに死んでいるので何も感じないと思えば気が楽である。

終りなき夜はむしろ・・・愛しいものを失った残されたものの心の問題だろう。

本編の犯人としての主人公は・・・終りなき夜の闇を抱えている。その闇をそっと照らす探偵としての相手役は・・・暗い光で仄かに闇を照らすのである。

大阪の街でアパレル店を経営する田村洋一(田中幸太朗)が刺殺体となって発見される。

妻の田村厚子(松下奈緒)は別居中で東京在住である。

大阪府警からの連絡を受け、遺体確認に出向いた厚子は捜査中の刑事・番場十三と同行し、夫の生前の足取りを追う。

番場は最初から・・・遺体に残された香水の匂いを厚子から嗅ぎ取っていて重要参考人として接しているが・・・それは犯人の自白まで明かされないというスタイルである。

「なぜ・・・別居されていたのですか・・・」

「大阪が嫌いなんです」

「大阪のどこがお嫌いなんですか」

「なにもかも・・・特にお金に汚いこと」

「商人の街ですからねえ・・・」

「私は・・・夫が大阪で事業を始めるのは反対だったんです」

「・・・」

「大阪ではお金によって人が殺されるから」

「・・・」

遺体を見ても泣かなかった厚子だが・・・夫の部屋で夫の作った肉じゃがを見て泣き崩れる。夫の孤独が・・・胸に沁みたのだろう。

その夜、亡き夫の部屋に泊った厚子は・・・ナイフを持った男に襲われる。人相風体から闇金の取り立て屋が浮かび上がるが・・・その男はすでに死んでいた。

番場刑事の妻は・・・番場の逮捕した前科者のストーカーによって追い詰められ自殺していた。番場は妻と同じ哀しい狂気を厚子に見出していく。

「奥さんは・・・いつまで大阪に住んでいたんですか」

「子供の頃・・・父が事業に失敗して自殺するまでです」

「闇金の取り立て屋に会いましたか?」

「恐ろしい男でした・・・」

「奥さんを襲った男は・・・その男じゃ・・・なかったですか」

「・・・」

「奥さんのアリバイを聞いていませんでしたね・・・まあ・・・奥さんがそれを覚えているのかどうか・・・自信がないんですけどね・・・」

「アリバイはあります・・・その夜は・・・夫と一緒でしたから・・・」

「そうですか・・・」

「夫は東京のマンションを担保に闇金から借金をすると言いました・・・そんなことをしたら・・・もう何もかもおしまいです・・・私は自殺しようとして・・・夫に止められ・・・もみあううちに夫を刺殺していたのです」

「・・・」

「いつから・・・わかっていたのですか」

「御主人から・・・あなたの香水の香りがしました・・・あなたは御主人の遺体を抱きしめていたのでしょう・・・おそらく・・・夜が明けるまで」

「・・・」

「私は逃げていたのです・・・恐ろしい大阪の街から・・・でも・・・逃げ切れませんでした」

「そうですな・・・呪われた町ですからね」

「・・・」

「それでも・・・人は朝を迎えるしかないのです」

「・・・息のあるうちはね」

「大阪の海は・・・」

「・・・悲しい色やね」

そして、通天閣の見えるホテルで妻を殺した刑事と夫を殺した犯人は朝までお互いの孤独を慰め合うのだった。

やがて夜は終る。

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2012年7月19日 (木)

天空の城ラ・・・じゃなくてサマーレスキュー〜天空の診療所〜なのね(本田望結)

ジブリのアニメだと思った人が間違えてみることを狙ったあざといタイトルである。

そういう、さもしさがにじみ出ているドラマだと言えよう。

どういうドラマだよ・・・。

キッドは槍ヶ岳山頂で結婚式をした過去があるので・・・けして山をなめていないということを最初に申し上げておく。

山頂結婚式は一種の神前婚である。

誓約するのは山の神である。

当然、それは由緒正しい山岳信仰と密着しています。

昔から、人は山に神秘を見出しているのである。

さて・・・話は転じて、「やまい」の話となる。

「やまい」の語源には諸説ある。単純に「死に至る病」を考えれば「息が止む」わけであり、「止む」が「病む」となったというのがわかりやすいだろう。

しかし、一方で「山に居ること」すなわち「山居」が「病」に転じたという考え方もある。

高山病という実際の病があるが、これは標高2400メートル以上の高地における酸欠状態がもたらす症状の総称であり、呼吸器・循環器系の病の一種である。山に入れば病になるのである。

また、憑依の発想から「山の神がとりついた」状態を「やまい」と称したという説もある。

この場合は「山の神」は祟り神なのである。

このように山と病は無関係ではない。

だから・・・山を巡る病の話はけして悪くない題材なのだと思う。

しかし、どんな材料も料理する人によって・・・う、撃たないで~。

で、『サマーレスキュー〜天空の診療所〜・第1~2回』(TBSテレビ20120708PM9~)脚本・秦建日子、演出・日比野朗を見た。脚本家の「ドラゴン桜」以外の駄作の山についてはこれ以上語ることはしないが・・・今回もまた山が高くなっていることは言うまでもないだろう。今のところ、最大の犠牲者は頭のおかしな元看護師・小山遥を演じる尾野真千子であることは言うまでもない。ノイローゼでヒステリックなアラサー女性なんて・・・誰が演じても魅力的なキャラクターになるはずがないのである。

さらに・・・いつもの通り、脚本家の作る現実世界に対する認識の甘さが露呈する虚構世界のグダグダさがすべてのキャラクターを殺していくのだな。

たとえば・・・登山愛好家の医師であり、架空の山である稜ヶ岳の山の上の診療所(標高2514メートルに設置)の主催者である倉木教授(時任三郎)の「患者は医療機器に会いにくるわけではない、医者に会いに来るんだ」と言うセリフ。患者は「治療をしにもらいに来る」に決まっているじゃないか。

基本的にサッカー好きな教授が学生一同を草サッカーチームに所属させ、競技における負傷や病気の治療に専念させるという発想である。誰もついていけないぞ。

元より、研究機関としての大学医学部が「高山における病理の研究」を名目に研究施設として診療所を設置することにはそれなりの大義がある。しかし、基本は「山が好きな人たち」のサークル活動の一環なのである。美辞麗句で語るほどのことはないのである。

無理矢理、「医療における算術と仁術のかねあい」という古典的なテーマにもっていこうとするわけだが、それならば地域経済の活性化を狙った観光資本としての「登山」という問題に触れる必要があるだろう。

「安心で安全な登山というレジャー」のための設備の充実である。

だが・・・きっとそれは「山をなめている態度」と限りなく相似して行くわけなのだな。

「登山」はスポーツの側面も持っている。また、人間修養の側面も持っている。

スポーツとしての登山は本来、人と人が競わないための手段としての山入りを冒涜する競技であることは言うまでもない。また人間修養は苛烈なものであり、生死を賭けて極限を目指すものである。けして娯楽であってはならないものだ。

ある意味、登山は人間の営みに背を向ける行為なのである。そして、そこが何よりも魅力的なのだな。

それなのに・・・「山には医者が必要なんです」・・・ってなんだよ。

「山に医者はいらないんです」の間違いじゃないのか。

ともかく・・・登山とは「準備」「訓練」「計画」「実行」という「挑戦」なのである。

戦争をする以上、犠牲者はつきもので・・・それに余人が介入すること自体が余計なお世話なんだよな。

無謀な登山行為で滑落して瀕死になったり、不健康な身体で登攀して発病したりしたら、放置すればいいじゃないか・・・。それが温情というものじゃないのか・・・。

まあ・・・そういうおバカな死屍累々が登山道に放置されると美観をそこねるので清掃しなければならない・・・という考え方ならまだ同意できるのだが・・・。

狂女(尾野真千子)「山には医者がいるんだから・・・いてよ」

発達障害医師(向井理)「どうしても下山しなければならない」

狂女「ひとでなしっ」

発達障害医師「すまない」

・・・「母が危篤なんだ」の一言で済む話だろう。

まあ・・・ちょっとしたスリルとサスペンスを求めて・・・わけありの看護士の母(小池栄子)に無理矢理、高山生活を強制されている娘・桃花(本田望結)六歳が虐待されている・・・だって同世代のおともだち一人もいない生活なんだぜ・・・と感じない人ならそこそこ楽しめる夏山ドラマと言えるでしょう。

・・・そうか、設定的に冬山遭難がないから・・・お前、敵意満々なのか・・・。

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ホタルノヒカリ2

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2012年7月18日 (水)

見合い相手(山本耕史)は容疑者、銭湯仲間(小池徹平)は刑事、ウチは豹柄ヤンキー娘(多部未華子)

いきなり、妙子(松坂慶子)としのぶ(多部未華子)で母娘入浴サービス・ショーである。

でもって、中盤はしのぶと新藤刑事(小池徹平)が女湯男湯壁越しトークである。

捜査情報を銭湯で・・・とかツッコミ無用です・・・だって舞台は大阪なんだもん。

おそらく、日本国憲法ではなく・・・浪花節によっておさめられている土地柄なんだな。

そんなサービス・シーンの舞台は銭湯・梅の湯。しのぶの教え子・畑中(高橋晃)の実家である。そして畑中の母・美枝子を演じるのは・・・斉藤こず恵である。「鳩子の海」(NHK総合1974年)の鳩子である。夏の子役祭り・・・どこまでも続くな・・・。

クラスの女子全員としのぶが銭湯ツアーに行く回を妄想中・・・ないない。

変態はそこまでだっ。

で、『浪花少年探偵団・第3回』(TBSテレビ20120716PM8~)原作・東野圭吾、脚本・江頭美智留、演出・池澤辰也を見た。東京は風が強くて送り火焚くのが大変だったのである。・・・関係ないじゃんか・・・それより、浪速のやすはどうした。結構、しんどいので休養中でございます。やや、散漫な印象の第三話・・・盛り込みすぎでございます。しかし、まあ、じっくりと味わえば味の沁み出る関東炊き(おでん)ですな。夏なのにかっ。

ちくわとちくわぶ

恒例の夫婦喧嘩でしのぶの家に居候中の妙子。

母娘で仲良く銭湯通いである。

「新藤刑事とはその後どうなん?」

「どうもこうもないわ・・・なんにもあらへん」

「まったく・・・この子は・・・奥手やなあ・・・」

「ほっといて!」

さつまあげ、烏賊巻き、こぼうまき、しゅうまい揚げ、ボール、うずらなど各種。

校庭では体育の時間である。

6年2組のマドンナ・朝倉奈々(浜辺美波)の誕生日パーティーが近く・・・何故か一枠しかない男子児童の招待席を巡って・・・愛と青春の熾烈な戦いが繰り広げられている。

戦いに勝利したのは当然の如く、田中鉄平(濱田龍臣)である。

そりゃ・・・原田兄(前田航基)には高根の花すぎるだろうがっ。

「6年になっても好きな子おらへんなんてありえへんで」

などとブイブイいわしてる美奈子(二宮星)だが、調子にのってるとタイムスリップしたりなんかして。

ま・・・女子全員→田中鉄平で男子全員→朝倉奈々なわけだが、「勝ったら奈々が誕生日会呼んでくれるで」などと男子をけしかける学級委員長・土屋芙美(八木優希)はあきらかに鉄平狙いで邪魔者排除を狙ってますな・・・女はこわいですなあ。

「優勝した子には先生がチューしたる」

照れる児童一同だった。もらっとけ、もらっとけ。

つみれ

中田教頭(小日向文世)がしのぶにお見合い話を持ってくる。

教頭の回想シーンに登場する幼少時代のしのぶを演ずるのは畠山紬である。最近では「ラッキー7」で松潤とデートしていた少女役でしたな。2003年組である。2004年組が派手なので地味なのである。

お見合い写真を見るなり積極的になるしのぶだった。

こんにゃく

しのびのお見合い話を聞きこんだ浪花少年探偵団はさっそく新藤刑事に御注進である。

犯人逮捕の途中で小学生の呼び出しに応じる新藤だった。

「なに・・・なにわ製油の幹部候補生で東京者でエリートで身長180センチ・・・」

恋仇の登場に燃えあがる新藤の恋の炎だった。

なにやってんだ・・・。

はんぺん

しのぶのお見合い相手は本間義彦(山本耕史)、前髪やや薄めのイケメン33歳である。

タイガースファンしのぶとジャイアンツファンの義彦の話はまったくかみあわないが・・・しのぶはおしとやかモードを貫くのだった。

偵察に来た浪花少年探偵団も呆れる猫かぶりである。

しかし・・・予想外にもここで殺人事件が発生・・・。

被害者は本間の勤める会社「なにわ製油」の社長だった。

しらたき、こんぶ、ウインナ、スジ、厚揚げなど各種

容疑者は多数いるが・・・全員に一応のアリバイがある。

だが・・・凶器の指紋をぬぐった布が・・・本間の机から発見され、「雨のふりはじめについて」・・・しのぶに嘘をついた本間は窮地に立たされる。

大根

しかし・・・漆崎刑事(段田安則)はいぶし銀の味わいで・・・「まあ・・・さすがに不自然やな」と工作を見抜くのである。

じゃがいもとゲソ揚げとギョーザ揚げとなると

ゲスト的には充分怪しい下請けの戸村加工店社長(志賀廣太郎)だったが、真犯人は経理のゆり子(町田マリー)と組んで会社の金を使い込んでいた工場長(正名僕蔵)だった。専務の武夫(相島一之)は単なるバカボンだった。

「くすねる金が会社にあるんやったらちょっとは取り引き先の人らに回したらどないやねん」と犯人に説教するしのぶに一同はいろいろな意味で沈黙するのだった。

つゆとからし

こうして・・・浪速の街に平和が戻った。

しかし、せっかくのお誕生会を抜け出して「男の友情」をとった鉄平は女子たちに精神攻撃を受けるのだった。

そして・・・ドサクサにまぎれて・・・渋谷淳一(橋本一輝)に意地悪をする芹沢勤(吉井一肇)・・・。

6年2組にもおそるべき「いじめ」の影が忍びよっていたのである。

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

Hc2012003 ごっこガーデン・休憩室。くう浪花少年探偵団も面白いけど~、・・・奈々ちゃんのお母さん(笛木優子)は絶対犯罪に巻き込まれそう・・・だけどツッコミ上等といえば「息もできない夏」だよねーっまこしょうなのでしゅ、区役所までは遠かった~なのでしゅ。それはそれとしてドロンジョごっこを誘いにきたのになにやら・・・うらやましいごっこが始っていましゅ。じいや~まこにも竹ピーちゃんつくって~エリいろいろあって・・・2話レビュー遅れ目でスー。それはそれとして山Pちゃん最高☆でスーアンナいや~ん。やっぱPちゃんが一番だぴょん。じいや・・・ディナーにはきゅうりとワカメのすのものよろしくぴょ~ん

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2012年7月17日 (火)

不幸せなのは忘れかけた男(豊川悦司)と忘れられる女(芦田愛菜)です。(中谷美紀)

メモか・・・メモすればなんとかなると思うんだよな。

記憶喪失の素人は・・・。

もちろん、若年性アルツハイマー病に限らず、記憶喪失にまつわる病は様々な症例の個人差がある。

なにしろ、健康な人間の記憶機能そのものが様々な個人差によって構成されているわけだしねえ。

たとえば・・・暗記が苦手な人や得意な人というものがある。

キッドは十代の頃は一度聞いたことは忘れないスペックを持っていたので、授業中にノートを取ったことは一度もない。しかも、別の作業をやりながら耳を傾けていても聴取録音可能の性能である。ところが・・・成人した頃に突然、その能力が失われてしまい、愕然としたものだ。

で、ノートを取り始めたのだが・・・不慣れなので大変難儀したものだ。

しかし、たとえば「ソクラ」と書けば・・・即座に「古代ギリシャの哲学者、ソクラテスの無知の知についての論理学的アプローチ」と言った講義の内容は再生されるわけである。

ところが・・・聴取から一週間くらいでそうした再生機能が働くなってしまう。「ソクラ」では「サクラ」を連想するだけになってしまうのだ。もちろん・・・「ソクラテス」くらいは想起できるが・・・具体的な講義内容となるとかなり曖昧な雑音入りのものになってしまう。

結局、記憶にとどめるためには・・・再生可能なうちに仔細を書きとめなくてはならなくなってしまった。

ある意味、「二十歳すぎればただの人」という奴である。

これはおそらく記憶の容量あるいは処理能力の劣化に関係しているのだろう。

さて・・・ノートというのはメモの一種である。このようにメモとは・・・忘れていることでも思い出すきっかけになる便利なものだ。

で、たとえば「山田さんから電話があり仕事の件で明日会いたいとのこと」との伝言の用件があったとする。

で、「山田さんから電話あり」とメモを書けば・・・用件を思い出せるのが健康な人だとしよう。

ところが・・・認知症的な病の人は・・・思い出せないのである。

そして・・・メモを書いている時にはそれでは思い出せないということを思い出せないのである。

場合によっては「電話あり」だったりするのである。もう誰から電話がかかってきたかも思い出せない。

さらに言えば、メモを書いたことも忘れてしまうのである。

さらにさらに言えばメモを書かかねば忘れてしまうということを忘れてしまうのである。

さらにさらにさらに言えば忘れてしまう病気だということも忘れてしまうのである。

そうなのだ・・・やがて「メモ」という手法さえ忘れてしまう場合もある。

それほど忘れてしまうのに・・・自分では忘れているのに気がつかないというのが何よりもおそろしいところなのだな。

そして・・・いやでも忘れない周囲のものは・・・そういう病気だから仕方ないとはなかなか思えないものなのだ。

なんでそんなことを忘れてしまうのか・・・基本的には理解できないからである。

こういう感じだ。

「せんたくものを干し忘れてますよ」

「せんたくものなんてあったっけ」

「洗濯機に入れたままです」

「あら・・・変ねえ。二回目をしたのかしら」

「一回目ですよ」

「じゃ、どうして干してないの」

「干し忘れたからですよ」

「洗濯物はすぐ干さないとだめでしょ」

「だから干してください」

「なんですって?」

「洗濯物を干してください」

「そんなのとっくに干したわよ」

「干すの忘れてますよ」

「そんなこと忘れるわけないでしょ・・・」

「洗濯機の中をみてください」

「あらあら・・・だめじゃない・・・洗濯したらすぐに干さないと」

「干し忘れたでしょう」

「そんなこと忘れるわけないでしょう」

もうどこまでも会話が終わらないのである。

記憶を失いつつある人の恐ろしさはまだまだ・・・こんなものじゃありませんよ・・・。まだまだ・・・これからですよ。

どうせなら全部忘れてしまってくれと思わず呪詛する日がやってきますよ。

そして患者も周囲の人も鬱になるのです。

それを微笑ましく描いていくこのドラマ・・・実にエレガントですな。

で、『ビューティルレイ・第3回』(フジテレビ20120715PM9~)脚本・羽原大介、演出・小林義則を見た。ほとんどの人は記憶を失うことに不慣れである。ドラマで見慣れ、実生活で認知症患者に相対していても実際に記憶を失うとなると思いもかけない状況に追い込まれる。認知症患者はよく激怒するのだが・・・それは記憶を失っていることを指摘した時などに顕著である。なにしろ・・・本人は記憶を失っているという自覚がないのである。で・・・記憶を失っていることについて説明され・・・どうやら本当に記憶を失っているらしいと本人が思い出すと、今度はつい今しがた激怒していたことを忘れていたりするのである。その点を指摘するとまた激怒するのである。人によってはこの間隔がどんどん短縮化され・・・意識がある間はずっと激怒していたりする場合も生じる。穏やかな性格だった人が一日中激怒し続ける悪夢である。

喫煙による認知症発症のリスクの増大は何の科学的根拠もないが、統計的医療研究ではリスクが倍増するというデータもある。そのために消極的治療方法として禁煙は気休め程度にはなるらしい。喫煙によるストレスと禁煙によるストレスは数量化が困難であり、結局・・・どちらがストレスを感じないかと言う問題になるだろう。ストレスもまた統計的医療研究ではリスクを倍増させるからである。

食習慣ではEPA・DHAなどの脂肪酸、ビタミンE・ビタミンC・βカロテン、さらにはポリフェノールなどの摂取が発祥のリスクを軽減させると言われる。

そのために・・・木下圭介(豊川悦司)は禁煙を決意し、βカロテン含有量が高いと言われるカボチャを食べ始めることにしたのである。

基本的に気休めです。

ちなみに・・・アルツハイマー病の原因物質としてのアミロイドベータ の脳内蓄積は睡眠不足により増量されることが確認されている。

今回・・・禁煙でストレスプラスマイナスゼロ、嫌いなカボチャを食べるでプラスマイナスゼロ。睡眠不足でプラスと病気を確実に進行させている圭介が笑いどころであることは言うまでもないだろう。

脳内の神経伝達物質のアセチルコリンを活性化させるためのコリンエステラーゼ阻害薬が投薬の基本である。おそらくアリセプトを服用することにしたのだろう。一定期間、症状の進行を遅くする効果が期待できるのである。しかし・・・失われつつある機能を回復するまでには至らないと考えられる。

こうして・・・圭介の孤独な闘病生活が始まるのだが・・・ガンなどの告知と違い、発病初期に重要なのは患者周辺の関係者への周知の徹底である。

しかし・・・やがて認知症を発するものが周囲にそれを知らせることはかなりのリスクを伴う。

どんな悪意が潜んでいるか・・・分かったものではないからだ。

つまり・・・すべては周囲に善良な人々がいるかいないかにかかってくるのである。

その点・・・これまでのところ・・・圭介の周囲の人々はミラクルに善良である。

圭介は・・・「神様は不公平だ」と嘆くが・・・ものすごく、圭介有利の人材配置がなされていると言う点で不公平なのである・・・それは本人の気持ちとは真逆だろうがっ。

そうした圭介の素人丸出しの自宅療養ぶりに・・・女の直感で不自然さを嗅ぎつける美雨(芦田愛菜)だった。

「また、禁煙とか言って・・・どういう風のふきまわし・・・」

「お前・・・何時代の人間だ」

「それにカボチャ嫌いだったでしょう」

「健康にいいんだって・・・」

「じゃ・・・不健康なの・・・」

「だから不健康にならないためだよ」

「明日の授業参観大丈夫?」

「もちろん・・・ちゃんと手帳に書いてある」

「手帳?」

「手帳さ・・・」

「なんで急に・・・手帳なんて」

「万が一にも忘れないためにだよ」

「あのさ・・・お父ちゃん・・・昨日・・・難しい本を読んでたでしょう」

「本って」

「ハイムさんだかタイマーさんだかの本」

「・・・」

「あれは何の本」

「し、仕事の難しい本だよ」

「・・・」

圭介の挙動不審ぶりに不安を感じる美雨だった。

その日・・・美雨には作文の宿題が出た。授業参観の時に発表するためのものである。

お題は「わたしのたからもの」である。ジェンダーの問題があるが・・・小学生低学年だと「ぼくのたからもの・わたしのたからもの」という出題だった可能性もある。

ちなみに美雨の担任は柏原崇と離婚し鈴木啓太と再婚した畑野ひろ子演ずる小柴先生です。

美雨はバレエ教室で松山青果店の看板娘で成長著しい中学生・菜子先輩(吉田里琴)に質問するのだった。

「菜子ちゃんのたからものってなにかな~」

「わたしだったら・・・お母さんが縫ってくれた浴衣かな・・・」

普通の女の子の菜子先輩、母子家庭の後輩に対する気遣い一切なしのストレートな回答である。しかし・・・美雨はアドバイスを素直に受け止めるいい娘だった。

「そっかあ・・・うちだったら父ちゃんのことかけばいいのかあ」

一部愛好家の至福タイム終了である。

その頃、圭介の務める金属加工工場「中村産業」には「急ぎの仕事」が入っていた。

明日の朝までに納入しなければならない特注品である。

中村社長(蟹江敬三)の陣頭指揮で突貫作業に入り・・・なんとか夕刻までに作業を完了することができた。

その間に大阪の嫁ぎ先から出戻っている一人娘のアカネ(中谷美紀)には夫からの郵送物が届く。

その中には・・・何故か「アルツハイマー病」の解説本が封入されている。

もしも・・・アカネも発病なら「アルミニウム病因説」に有力な症例となる。何しろ・・・金属加工業で二名連続発症である。

ともかく・・・アカネの帰郷にも「アルツハイマー病」が関わっているのだろう。おそらく老人介護の問題ではないのか。

そして・・・若年性アルツハイマー病発症中の圭介は症状のひとつである注意力散漫という認知障害により・・・担当していた加工のサイズを間違ってしまうのだった。

それに気がついた圭介は周囲には黙って徹夜で修正作業に挑む。

そこへ・・・アカネがやってくる。

「大変じゃない・・・どうしてみんなに言わないの」

「俺のミスだから・・・」

「じゃ・・・私が手伝う」

「そんな無理だよ」

「何言ってんの・・・私は中村産業の一人娘なのよ・・・基本はできてるの」

アカネは圭介の症状について明らかに何かを悟っている。

翌日は美雨の授業参観である。

スーツで行くと予告していた圭介を徹夜で書き上げた作文を持って教室で待つ美雨。

前座として・・・小料理屋「はるこ」の女将・春子(国生さゆり)の一人息子・小太郎(高木星来)は作文「貯金通帳こそわがいのち」を発表する。

結局、社長や出勤してきた同僚たちも手伝ってなんとか作業を終了する圭介。

作業服のまま、教室に乱入し・・・たったまま居眠りする不始末である。

怒り心頭に達した美雨は作文発表を拒否するのだった。

二週連続、娘に叱咤される父だった。

アカネはついに圭介にそれとなく忠告する。

「病気なら・・・一番大切な人には伝えないと」

「・・・」

「若年性アルツハイマー病なんでしょう?」

「・・・」

そして・・・娘の追及は鋭さを増していくのだった。

「お父さん・・・病気なんでしょ?」

「そうだ・・・」

「どんな病気?」

「忘れん坊になっちゃう病気」

「まじめにこたえてよ」

「本当だよ・・・だから父ちゃん・・・忘れることが多いだろう・・・そういう病気なんだ」

「なおるの?」

「・・・なおるさ・・・そのために薬を飲んでるんだもの」

「そうなんだ・・・よかった」

「・・・」

あなたから私へと

さしのべられた 腕に身を委ねて

こみあげる哀しみに

この魂を激しくゆさぶるの

圭介は眠りについた美雨の本当は完成していた作文を読む。

お父さんは私のたからもの。

私にはお母さんがいないので

お父さんは二倍大変です。

朝、ごはんをつくってくれます。

昼間は仕事をしてお金を稼ぎます。

夕ご飯もつくってくれます。

夜は眠るまでお話をしてくれます。

お父さんがいなかったら私は生きていけません。

だから、早く大きくなって、お父さんのお手伝いをしてあげたい。

ずっとずっと大切にしたい。

お父さんは私のたからものだから。

圭介は泣いた。

そして、神を呪うのだった。

ひとすじのキャンドルが

瞳の中で燃えつきてゆくのを

見つめ合い照らし合う

この耐えがたい心の暗闇を

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

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2012年7月16日 (月)

何事もなかったみたいだ、あれほど深かった傷跡も消して(松山ケンイチ)

「浮気な時間はいつだって勝手に流れを変えちまう」(武井咲) でも良かったのだが・・・言わば・・・「平清盛」前篇の終りとも言える回なのでここは主役で・・・。

ここからは・・・2005年の大河ドラマ「義経」に重複していく世界である。

たとえば・・・牛若こと源義経の正室である郷御前は仁安三年(1168年)に生まれる。「義経」では今をときめく尾野真千子が演じていたのだった。

平清盛は渡哲也が演じ、常盤御前は稲盛いずみである。

この時、幼少の義経を演じた神木隆之介が今回は成長した義経を演じるらしい。現実世界に七年の歳月が流れたのである。秋からの登場が楽しみだなあ。

源頼朝は中井貴一だったのである。

清盛と常盤の子とされる伝説の廊御方は後藤真希だったなあ。

後白河院は平幹二朗で平時子は松坂慶子である。

いわば、今回はヤング版なのである。フレッシュだが似ているという気もするよね。

源頼政の丹波哲郎→宇梶剛士なんてかなり・・・わかる感じである。

そう言えば藤原経子は森口瑤子→高橋愛で・・・モー娘。枠が健在なのか・・・。

とにかく、滋子(中江有里→成海璃子)いよいよ、次回、本格参入なのだな。

そして、後半の開始・・・誰が現れ、誰が現れないのか・・・実に楽しみである。

で、『平清盛・第28回』(NHK総合20120715PM8~)脚本・藤本有紀、演出・柴田岳志を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は・・・源頼朝捕縛の大功を得た伊勢平氏貞季系の平宗清、宗清を家人とする平忠盛が五男・後の池大納言平頼盛、その母にして退場間近い池禅尼、源義朝の一の郎党にして生死を共にする鎌田正清、そしてついに完成の源平をまたにかけた愛妾・常盤御前・・・怒涛のイラスト描き下ろし一挙大公開・・・ノリノリでございますなーーーっ。お疲れ様でございました・・・あくまでマイペースでお願いします。

Tairakiyomori26 さて、改元である。平治は二年(1160年)一月十日に永暦元年となる。平治の乱が改元の理由であることは言うまでもない。尾張国で自害した源義朝と鎌田正清の首が京にて晒されたのは一月九日のことであったから・・・これを持って乱の終了と考えたのであろう。義朝の長男・義平は永暦元年一月二十一日に六条河原で斬首となる。頼朝は美濃国まで逃亡するが二月九日に捕縛される。八百年以上も前のことである頼朝助命の理由については諸説あるが、由良御前の後ろ盾となった上西門院に頼朝自身が仕えていた関係からなんらかの政治的取引があったと推察できる。三月十一日、頼朝は伊豆に配流となる。常盤御前は大和国に身を隠していたが、おそらく頼朝配流の噂を聞き、都に戻ったのであろう。頼朝を助命した以上、その弟たちを処刑する理由はなく・・・常盤御前は平清盛の庇護下に入るのである。牛若丸の生年月日は明らかではないが、この時、数え年二歳の乳飲み子であったことは間違いない。常盤はまもなく一条家の継室となり、一条長成の嫡男・能成を生んでいる。元号は永暦二年(1161年)九月四日に応保に改元。応保三年(1163年)三月二十九日に長寛に改元されるが、常盤が一条能成を出産するのは長寛二年のこととされている。一方で戦後のどさくさにまぎれて清盛と常盤の子と認知される廊御方は応保元年に生まれたのである。清盛が素早く常盤を抱いたとされるのはこのようなスケジュールの問題があるからなのだ。いや、確実にぐぐいっと挿入してましたな。凄いな、この大河。そもそも常盤は身分低き美貌の女である。そこには哀しい女の一生があったことは想像に難くない。

大内裏の奥の祠に出現した異界門の前で清盛は立ちすくんでいた。

「案ずるな・・・清盛、妾も同道いたす」

少女の面影を残す上西門院はそう告げると先に闇の中へ進んだ。

清盛はあわてて後を追う。闇の中には坂があった。

「黄泉平坂(よもつひらさか)じゃ・・・」

闇の中に上西門院の白衣だけが浮かんでいる。

覚悟を決めた清盛は上西門院に追いすがるとその御前に出る。

奇妙なことにどこからか琵琶の音が聞こえる気がした。

すると目の前に突然、女の姿が現れた。

「・・・明子」

それは死別した前の妻の在りし日の姿であった。

「殿・・・よもや・・・黄泉路を参られるか・・・」

「いや・・・我は死んではおらぬ・・・」

突然、上西門院の声がする。

「清盛、亡者の声を聞いてはならぬ・・・」

「しかし・・・妻がそこにいるのです」

「それは・・・お前の妻ではない・・・いや・・・そうかも知れぬが亡者なのじゃ・・・」

「あ・・・父上・・・あ・・・叔父上・・・おお・・・信西殿・・・」

「清盛・・・気をしっかりもて・・・すべてはまぼろしじゃ・・・」

「き・・・よ・・・も・・り・・・」

その時、一人の落ち武者が現れた。源義朝である。

「義朝・・・」

「・・・用心・・・せよ・・・犬がおるぞ・・・」

「犬・・・」

「お・・・そろし・・・や」

熱気が渦巻いた。眼前に巨大な獣がいた。内裏の門ほどの高さのところに巨大な頭部がある。犬のような首が二つ並んでいた。巨大な双頭の犬であった。

「かしこみかしこみ・・・」

背後で上西門院が真言を唱える。

清盛は無意識に剣を抜いていた。

巨大な犬は真っ赤な口を開く。その口から炎が噴き出した。

清盛は咄嗟に剣で炎を切り裂く。つぎの瞬間、清盛は虚空を飛んでいた。

目の前に巨大な犬の目玉がある。その目を清盛は愛剣で突いた。

「殿・・・なりませぬ・・・」

「明子」

犬は剣先を交わして後ずさる。

清盛が坂に降りると再び琵琶の音が響く。

その音色に魅かれるように・・・犬は遠のいていく。

義朝が闇の中の一点を指差していた。

そこに白く輝く宝玉があった。

清盛はその宝玉を無造作に掴む。

「でかしたぞ・・・清盛・・・それをはなすな・・・」

清盛の手に・・・上西門院のたおやかな手が重なる。

その手がぐいと引かれる・・・。

はっと気がつくと・・・清盛は内裏の奥に佇んでいた。

「痛いぞ・・・清盛・・・もう・・・手を放してもよい」

清盛は上西門院の小柄な体を抱いていることに気がつき狼狽しつつ畏まる。

ふと見ると清盛の右手には宝玉が握られていた。

「ねのくにのそこつねのくにのたまやたまやねのかたすくにのたまや」

真言を唱えているのは八条院だった。

「熱っ」

清盛は強烈な熱気を感じ、本能的に宝玉を手放す。

宝玉は青白い光を発し、霧散した。

「解けたぞ・・・すべての結界が解けた」

「一体・・・これは・・・」

「あのあやかしは・・・黄泉の国に封印の印を隠して居ったのじゃ・・・」

「・・・」

「お前の縁者たちは・・・皆・・・王家の血を引くもの・・・力を貸してくれたのだろう・・・」

「するとあれは・・・本当に・・・」

「幻じゃが・・・御魂じゃ・・・皆・・・お前を慕っておったな・・・」

上西門院は何事もなかったようにつぶやいた・・・。

「さあ・・・これからが本当の戦じゃ・・・」

「・・・」

「もののふたちをよびあつめ・・・大陸渡来のもののけを退治するのじゃ・・・」

しかし・・・清盛は夢見心地で身体を揺らせていた。

「ふふふ・・・無理もないの・・・黄泉道を遡上したのじゃからのう・・・」

上西門院も身体を揺らした。その背を八条院はそっと支えた。

平安京に夜明けが訪れていた。

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2012年7月15日 (日)

女子大生(山下リオ)と幸せの白いハンカチとチェリーボーイ(賀来賢人)とその母(藤吉久美子)

おい・・・主役たちはっ?

いや・・・今回、親族もタレント・ゲスト大会なのかと思って・・・。

そっちかよ・・・。

一応・・・紹介しておこう。

大学の校章入りハンカチを愛用する可憐な女子大生の花帆を演じる山下リオは・・・東宝「シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞し、グランプリ受賞の長澤まさみとコンビを組んで映画「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」などで小美人役を務めた大塚ちひろ改め大塚千弘の妹である。

おそらく童貞のまま、あの世へ旅立つゴースト・タケルを演じる賀来賢人は・・・女優・賀来千香子の甥である。

そして・・・タケルの母を演じる藤吉久美子は・・・「Lui-Lui」でおなじみの太川陽介の妻である。

いや・・・だから・・・なんだということはないが・・・キッドには三点セットだと触れずにはいられない習性があるのだった。

で、『ゴーストママ捜査線〜僕とママの不思議な100日〜・第2回』(日本テレビ20120714PM9~)原作・佐藤智一、脚本・梅田みか、演出・佐藤東弥を見た。死後の世界に存在する「それ」はゾッとする場合もあるが・・・ほのぼのとする場合もある。東京も猛暑が襲来中で・・・どちらかと言えばゾッとしたいのだが・・・こちらはほのぼの路線である。

前者を「耳なし法一」などの怨霊の登場する怪談系とすれば・・・後者は「座敷わらし」などの妖怪伝承系と言えるだろう。

前回にも触れたが、霊的存在となった上原蝶子(仲間由紀恵)はかなり恐ろしいことをしているのだが・・・ドジっ子キャラでそれを感じさせない方向に無理矢理誘導しているわけである。ある意味、何をやってもハッピーにしかならない梅ちゃん先生と同じなのだな。

たとえば・・・初恋の人に再会したタケルはあっさりと謎の天国からのお迎えに応じて光となって昇天してしまうのだが・・・初恋の人の入浴シーンとか堪能してからでも遅くないのではないのか・・・いや・・・なんなら上原葵(志田未来)の入浴シーンでも・・・煩悩多き生者っていうか悪魔の妄想はそこまでだっ。

霊媒小学生となった上原とんぼ(君野夢真)は魔法のメガネによってゴーストママと対話する日々である。父の航平(沢村一樹)や姉の葵は・・・母親の逝去によって心身に異常をきたしたのではないかと心配もするが・・・結局、様子を見るしかないのだった。

一方、蝶子の生前の上司・桜田署生活安全課の三船課長(生瀬勝久)は上原家に蝶子の恥ずかしい写真を持参したりして傷心の家族を慰めるのである。

なかなか始らない「黒の女教師」は予告編に主演女優の競泳用水着姿をアップして釣る気満々なのだが・・・こちらではとんぼのクラス担任・吉沢先生(芹那)の水着姿でエロ男爵とエロ近衛大将(塚地武雅)を釣りあげるのだった。妻の死後の夫の性の問題も重要な問題だが・・・けしてこのドラマはそちらへは踏み込まない姿勢である。

そんな平穏な死後の日々を過ごすゴーストママ。

そこへ・・・現実世界の質量に霊的接触ができるスペックを持つタケルがやってくる。

死してなお好奇心を失わないゴーストママは生前のタケルの過去へ積極的な介入を試みるのである。

なお・・・母との絆により・・・とんぼだけがゴーストママを見ることができる設定なのに・・・とんぼのメガネは無関係なゴースト・タケルも見ることができるようになっている・・・ふふふ・・・便利なことだなあ・・・まあ、この脚本家にそういう辻褄を求めても無駄なので・・・今後は一切、そういうツッコミはしないことにします。

タケルは死後一ヶ月・・・かなり思い残したことがあるらしい。

それは・・・知り合ったばかりの女の子にデートを申し込んでOKをもらったのにデート当日、事故で死亡するという悲惨な出来事によるものだった。

しかも・・・タケルは女の子のバイト先とおそらくネーム・プレートにあった名前しか知らないのである。まあ、たとえばバイトをやめていてもバイト先には履歴書くらいは残っているだろうし、物質に触れることのできるタケルにはそれを読むことは可能なわけだが・・・ツッコミ禁止の誓いはどうしたっ。

しかし、ゴーストママは生活安全課の婦人警官である。捜査のイロハはそこそこ心得ているのだ。

タケル自身が気付いていない遺留品にヒントがあるかもしれないと日曜日のとんぼに霊能捜査を命じるのだった。

ゲーム好きのお兄ちゃんに遊んでもらっていた近所の子供になりきったとんぼはタケルの家を訪問するのだった。

一ヶ月前に息子を失ったばかりのタケルの母は気丈に振る舞う。実生活では高齢出産のためにタケルよりもとんぼに近い年齢の長男を持つ女優である。だからといってとんぼを見る目の演技が実感こもっているように感じるのはうがった見方というものだろう。

とにかく・・・とんぼにタケルの幼い日を重ねる母親なのである。

「手作りドーナツめしあがれ」

「おいしいです」

「タケルもね・・・ドーナツが大好物だったの・・・」

思わず涙の母であった。なすすべもないゴーストタケル。ゴーストママはもらい泣きである。

先立つ不孝をお許しくださいの図である。

しかし・・・タケルの所有物から・・・タケルが「彼女」から借りたハンカチが見つかる。特徴的な紋章入りの白いハンカチだった。

「どこかで・・・見たことあるなあ・・・」

ゴーストママは記憶を探るが・・・実在の脳がないので記憶が定かではないのである。

しかし・・・葵の進学問題が・・・話を進展させるのだった。

航平が葵に推奨するお嬢様大学の校章が「彼女」のハンカチの紋章と一致したのだった。

早速、彼女の名前を頼りに霊感探偵とんぼは大学の学生課を訪ねるのだった。

まあ・・・ここも・・勝手にアクセスすれば・・・。

・・・ともかく・・・「彼女」のプロフィールをゲットするゴーストママだった。

早速、「彼女」にとんぼを通じてタケルとコンタクトさせようとするゴーストママ。

しかし・・・「彼女」はデートに現れなかったタケルの件ではひどく傷心していて、聞く耳を持たないのだった。

「彼女」・・・花帆(山下リオ)はそれほどまでにタケルに好意を持っていたのだった。

「おにいちゃんは・・・あやまりたいって・・・」

「それなら・・・どうして・・・本人がこないの・・・」

「おにいちゃん・・・死んじゃったから・・・」

「意味がわからない・・・」

「ぼくは・・・ゴーストが見えるの・・・お兄ちゃん・・・ここにいる」

「うそ・・・」

その時・・・思い出の白いハンカチは空中を漂い・・・花帆の手に戻る。

「えーっ・・・・」

「おにいちゃん・・・デートにいけなくて・・・本当にごめんなさいって・・・」

「・・・私こそ・・・ごめんなさい・・・信じることができなくて・・・好きだったのに・・・」

「おにいちゃんも大好きだって・・・」

その時・・・、花帆には聞こえていた。

タケルの声が・・・。

「おにいちゃん・・・天国から迎えがきたみたい・・・」

「・・・いってきます」

花帆は空を見上げる・・・空には光が満ちていた。

花帆は思わず手を振って叫んだ。

「いってらっしゃい」

・・・おい、逆じゃなかったか・・・少し自分好みに妄想しました。・・・まあ、いいか。

こうして・・・ゴーストママはタケルの昇天に手を貸したのだった。

「ねえ・・・ママもいつか・・・逝くの・・・」

「私はまだまだ・・・逝かない・・・だってとんぼはまだまだ頼りないんだもの・・・」

「じゃ、ぼく・・・一生、頼りないままでいるよ」

「・・・とんぼ」

思わず、とんぼを抱きしめようとするゴーストママだったが・・・それはできないのだった。

来週、課長もゴースト化するらしい。やはり・・・ゴーストママ・・・実は祟っている恐ろしい存在なんじゃ・・・。

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2012年7月14日 (土)

残酷な神が支配する世界でロリータ(草刈麻有)は主に泣いてます(中丸雄一)

美人であるがゆえに不幸である・・・というのは金持ちであるがゆえに不幸であるのと同じである。

いや・・・そうでもないと思うが・・・。

モテモテであるがゆえに不幸である・・・というのはエリートであるがゆえに不幸であるのと同じである。

うーん、まだまだ・・・。

幸福であるがゆえに不幸である・・・というのは・・・もう意味不明の領域になるな。

優れて美しいものというものは嫉妬の対象である。

そのために・・・迫害を受ける・・・。

性的対象としての美は同性の悪意を誘いやすい。

しかし、場合によっては憧れの対象ともなる。

つまり・・・美しさと・・・幸せや不幸せは無関係なのだ・・・いやあ・・・それはどうだろう。

かくて・・・この主題は実に難解だし・・・もう、ケース・バイ・ケースで見るしかないのだな。

まあ・・・端的に言ってあまり美しくない人が見る悪夢の一種なのでございましょう。

で、『主に泣いてます・第1回』(フジテレビ20120707PM2310~)原作・東村アキコ、脚本・野木亜紀子、演出・葉山裕記を見た。久しぶりに「いじめ」がブームである。特に自殺に追い込まれたという立場に立つと、一種の殺人なのである。「生きているより死んだ方がいい」と死んだわけなのでその気持ちを尊重すればいいのにと思うがそれを口にするといじめられるおそれがあるのでいわない。・・・言ってるぞ。愛するものに自殺されてしまったものはなんとか責任を転嫁したいのだが・・・結局、死んだのは本人の責任ではないのだろうか。まあ、とにかく・・・言いたいことは言ったのでこれ以上の言及はさけたいと思う。いじめられるのがいやだったら、いじめる相手を殺すのも一つの選択だと思う。・・・もう、やめとけよ。

結局、弱肉強食と平和共存の闘争も世界が果てるまで続くと断言しておくにとどめよう。

さて・・・超美人であるがゆえに男に惚れられ、女には妬まれる紺野泉(菜々緒)は就職もままならない。就職のために面接を受ければ面接官が全員、泉の虜となり、独占欲のためにその場で殺し合いが始まるからである。もう、一種の超常現象だな。

つまり、魔性の女なのである。

これを実写で展開できると考えるプロデューサーは一種の狂人である。

だが・・・結局、泉は妻帯者の画家で大学教授の青山仁(風間トオル)の愛人に過ぎない。

妻の由紀子(安達祐実)には劣る美しさしかもっていないのだ。

もう・・・この時点で企画倒れだが・・・所詮、フィクションだから辻褄のあわないまま・・・話は展開する。

この作品の原点の一つはウラジミール・ナボコフの「ロリータ」であろう。12歳の少女・ロリータに恋した大学教授は彼女の母親と結婚するわけである。

母親にとって愛娘ロリータは圧倒的な恋仇ということである。いや・・・そもそも母親は対象外なのである。

本来・・・超絶的な美とは一種の変態的妄想の中にのみ存在することが物語られるのだ。

「ロリータ」の発展形として萩尾望都の「残酷な神が支配する」が登場する。こちらは美しい息子を手に入れるためにサドでゲイの男が美しい息子の母親と結婚するのである。その屈折した愛は少年に深い傷痕を残し、さらに次世代の愛を傷つけて行く。素晴らしくロマンチックなのである。

そうした珠玉の作品に比べれば・・・この作品は哀しいほどに亜流である。

しかし・・・その辺境性もまた・・・愛すべき存在の要因となりうるのが・・・変態の世界なのである。

泉の不幸を愛する・・・女子中学生・緑川つね(草刈麻有・・・実年齢19歳のなんちゃって中学生)はその経済力にものを言わせ、泉をペット化するのだった。

エサを与え、手作りコスプレ衣装を作るのである。

結局、水木しげるマニアの女子中学生とペットの捨て美人の話なのだな。

多重人格一同・・・協議の結果、菜々緒の美人度は*6.6%であった。奇しくも初回の視聴率と同じだな。

残念ながら草刈麻有が*7.7%で・・・菜々緒より・・・キッドの世界では美人度が高いのである。それは基本、おまえがロリコンだからだろう。

失礼な貧乳も好きだが、爆乳も好きだぞ~。

審議のランプが点灯しているので深層心理トークはそこまでだっ。

ともかく・・・そんな超時空に彷徨いこんだのが普通の大学生である赤松啓介(中丸雄一)なのである。

なぜか・・・彼は・・・ゲイという暗黙の了解で・・・泉の素顔を垣間見る栄光に浴するのであるが・・・そこそこ恋に陥ちそうになるものの・・・一般人とは違う体質なのか・・・抑制が効くのである。まあ・・・いわゆるひとつのご都合主義てんこもりですなあ。

まあ・・・そういうことで・・・他人の悪夢に興味のある人は一度覗いてみるといいと思う。

もちろん・・・レビューは今回限りです。

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2012年7月13日 (金)

犯人のいない殺人の夜の死体(八木のぞみ)と身代わり(関めぐみ)のVISION(山田優)

やっぱり二本立てなのかよ・・・。

いやあ・・・二本とも甲乙つけがたい出来なのでございまして・・・チョイスできかねます。

でも・・・絶対中途半端な記事になるだろう・・・。

まあ、よろしいではございませんか・・・所詮、中途半端な記事なのですから・・・。

じいや・・・最近、慇懃無礼が極まってきたな。

そうでございましょうか・・・執事たるもの懇切丁寧をモットーとしておりますが・・・。

っていうか・・・タイトルに坂口憲二入れるべきだろう。

あまりに冷酷な殺人者が板についていて・・・恐ろしかったものですから・・・。

まあ、天才心臓外科医(「医龍 -Team Medical Dragon-」の朝田龍太郎)なんて・・・冷酷な殺人者と紙一重の存在だからな。

ごもっともでございます。

で、『東野圭吾ミステリーズ・第2回・犯人のいない殺人の夜』(フジテレビ20120712PM10~)脚本・ひかわかよ、演出・澤田鎌作を見た。犯人がなんらかの罪を犯し探偵に追及される。ミステリの基本の一つである。探偵が刑事であるのは非常にオーソドックスである。前回の鈴木刑事(西岡徳馬)に続いて今回の高野刑事(中原丈雄)も際どい落とし方をしていて・・・犯人の気分しだいで法廷は修羅場となるな・・・ガムも決定的証拠とは言えないし・・・とにかく否認できるもんな~。それはさておき・・・ミステリの基本の一つに「ひねり」がある。まあ、ミステリに限らず「ひねり」はエンターティメントの基本である。ビートルズがカヴァーしてヒットした「ツイスト・アンド・シャウト」なんてさらに「叫び」も加味してるからな。

前回は「被害者の真意」がひねりのポイントだったが・・・今回は「意外な犯人」というひねりである。

もちろん・・・そこに至るまでにも別の「ひねり」が加わり、ダンスとしてのツイストが完成していくのである。

その手際は実に鮮やかだ。

あー、あー、あー、あー、あああああああああっと言う感じなのである。

社会的な地位と名声を築いた男・岸田創介(白井晃)の邸宅で殺人事件が発生する。

被害者は英語の家庭教師・八木由紀子(八木のぞみ)である。

「鈴子の恋 ミヤコ蝶々女の一代記」(2012年フジテレビ)で南都雄二の浮気相手を演じたり、現在の月9で秘書役を務めている八木のぞみは木村文乃と同じ事務所。殺されもただでは死なない感じの役柄が将来を期待させる。

加害者は岸田創介の次男・岸田隆夫(吉田憲祐)で、後妻の岸田時枝(雛形あきこ)の子供である。

その夜、岸田家には岸田夫妻と先妻の子供の長男・岸田正樹(八神蓮)・・・そして理数系の家庭教師の佐藤拓也(坂口憲二)がいた。

隆夫はリンゴの皮を剥くことについて八木にからかわれ衝動的に果物ナイフで刺殺したらしい。

警察に通報しようとする佐藤を創介が制止する・・・「岸田家から犯罪者を出すわけにはいかない・・・なかったことにしてくれ」と哀願である。

そして、口止め料として2000万円が提示される。

殺人事件の証人が・・・一転して死体遺棄の共犯者に変ずる。(第一のひねり)

死体は佐藤と長男の正樹によって山中に埋葬される。

佐藤は単に事件に巻き込まれただけのように見えたが・・・被害者の部屋に証拠隠滅に出向く。しかし・・・室内には佐藤と被害者のスナップ写真が飾られている。

無関係の第三者は一転してなんらかの関係者である。(第二のひねり)

同時に被害者は偽名を使っていて・・・岸田家とは因縁深い安藤家の人間であることがわかる。(第三のひねり)

そして、岸田家には安藤の兄を名乗る男(柳憂怜)が妹の消息を求めて訪ねてくるのである。

犯行の発覚の恐れが生じ・・・口止め料は1000万円上乗せされるのだった。

すでに・・・佐藤は別の顔を見せ始める。(第四のひねり)

やがて・・・集中豪雨によって被害者の死体が流出する。おりしも・・・現実の関東地方でも大雨注意報のテロップが・・・想像を越えた大雨が降る時代らしい。なんらかの事情によって死体を山に埋めている人々は眠れぬ夜を過ごしていたに違いない・・・そうなのかっ。

被害者のダミーとして佐藤の恋人の河合雅美(関めぐみ)が関わるが・・・どうやら・・・佐藤は複数の愛人と交際していたらしい。

そして・・・岸田家に恨みを持っていた被害者を利用した佐藤のおそるべき計画殺人が高野刑事によって解明されていくのである。(最後のひねり)

まあ・・・二枚の写真を使ったトリックはあまりにも見え透いた手口で・・・まんまと佐藤がひっかかるのは奇妙と言えるが・・・まあ・・・自信過剰の人間にはありがちな落とし穴としてスルーしておくことにする。

これは・・・ヴェテラン演出家の自信過剰が招いた穴なのだろう。

ともかく・・・坂口憲二のダーティー・ヒーローぶりはなかなかに見応えがある。

今回は逮捕されずに後、10人くらいは殺して殺して殺しまくってもらいたいほどである。

「殺人鬼と呼ばれた男・佐藤」シリーズが見たいぞ。

すべてのツイスト終了後・・・高野刑事は問う。

「殺さなくってもよかったんじゃないか・・・」

「あの女・・・結婚したいなんて言うもんだから・・・死体になっちゃったんですよ」

「だじゃれかっ」

・・・妄想はそこまでだ。

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で、『VISION-殺しが見える女-・第2回』(日本テレビ20120712PM1158~)脚本・原案・脚本:飯田譲治、演出・星野和成を見た。なるほど・・・そうきたか・・・という第二回だった。やはり・・・殺人鬼を招く女クリスティーナはレギュラーだったのだな。

二流と三流の間における微妙な立場にいるモデル・来栖玲奈(山田優)と奇妙な関わりをもった謹慎中の刑事・浅野和馬(金子ノブアキ)に明らかにキャラクター造形が失敗しかかっている崎坂刑事(矢柴俊博)が新たなる展開を告げに来る。

トイレから始る物語は別にあってもいいが・・・特に必要ないとも言える。

ま・・・好みの問題であるかもしれないが・・・もう少し、無味無臭で始った方が純粋にオカルトを楽しめると思うが・・・いかがかな。

根っからのいじめられっ子体質で・・・社会に出ても同僚からいじめを受ける立原(中村倫也)は来栖玲奈のプロフィール写真を一目見るなり「クリスティーナ現象」に支配されるのである。

そして・・・いじめを続ける同僚をあっさりと刺殺するのだった。

現場には「クリスティーナ」という書き置きが残され・・・崎坂刑事は来栖玲奈が事件となんらかの関わりがあるのではないかと疑い・・・謹慎刑事に来栖の監視を依頼するのである。

おりしも・・・来栖は立原を幻視するのだった。

それにしても来栖のルームメイト・朝倉マリア(コトウロレナ)・・・トランシルバニア出身かよっ、高見雪乃(麻倉みな)は南アフリカからの帰国子女だし・・・そんなところで国際色出してどうするんだ・・・。

まあ・・・そういう趣味も含めて・・・作品の個性だから・・・しょうがないな。

クリスティーナ・・・君のために・・・あと二人殺すよ・・・

二代目・幻の男・立原に宣言されて・・・引き籠る来栖。

尋ねて来た謹慎刑事は・・・立原の写真を見せて確認する。

「この男よ・・・」

「・・・」

「信じないんでしょ・・・」

「・・・」

だが・・・来栖の証言を裏付けるように立原は高校時代の同級生でいじめっ子だった自動車整備工を撲殺するのだった。

クリスティーナ、君のために悪賢い奴を殺してあげる

来栖の謎を解明するために呼び出された心理学者・田口(酒井敏也)は「あなたは混乱している・・・すべては幻想です」と全く超常現象を認めないのだった。

だが、ふたたび、来栖の前に現れた幻の立原は立っているのに側頭部から真横に血をしたたらせる。ある意味、超物理現象である。

謹慎刑事が「なんとなく真相を解明する」スペックを開花し始める。

「すると・・・犯人はどこからか落下して・・・頭部を損傷するのかもしれない。横向きに倒れたところで・・・こう・・・血がダラダラと・・・」

「やめてよ・・・」

「悪賢い奴か・・・あいつか」

簡単に言えば直感によって・・・来栖のマネージャー・清末(勝村政信)が第三の被害者であると想定する謹慎刑事。

その推測通りに・・・清末は立原に襲撃されていた。

間一髪、命拾いをする清末。

クリスティーナ、すべて、君のためだ

謎の言葉を残して逃走する立原は非常階段を転げ落ち・・・幻視した通りの顔で死亡するのだった。

茫然と立ちすくむ謹慎刑事と来栖だった。

来栖は単なる霊的目撃者ではなく・・・何らかの霊的発信者であるらしい。

つまり・・・殺人鬼→来栖ではなく・・・来栖→殺人鬼なのだ。

クリスティーナ現象の謎の解明は今、始ったばかりなのである。

ちなみに・・・「犯人のいない殺人の夜」の坂口憲二といえば「池袋ウエストゲートパーク」のドーベルマン山井であるが・・・金子ノブアキといえば「池袋ウエストゲートパーク・スープの回」のRIZEのドラマーである。

なんとなく「池袋ウエストゲートパーク」な夜だった。

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2012年7月12日 (木)

ある情事の事情から発生した息もできない夏さっ(原幹恵)

・・・おいっ。誰が愛の戦士キューティー・ハニーの話をしろと・・・。

だってさ・・・今世紀最高の特撮ヒロインを演じた原幹恵にお菓子屋さんでヒロインにこれみよがしに嫉妬する脇役は似合わないじゃないか。

臥薪嘗胆だよ。下積みも女優の稼業だよ。そのうち・・・お菓子屋さんの社員旅行で温泉に行くかもしれないじゃないか。そしたらさ・・・悩殺攻撃される機会も・・・。

そんな戯言にごまかされるかっ。

まあ・・・子供が生まれるからには愛(情事)があったわけで・・・そこにはなんらかの愛(事情)があるわけで・・・。

いや・・・この脚本家のことだから・・・ものすごくしょうもない理由だと思うぞ。

まあ・・・玲ちゃん(武井咲)ママ(木村佳乃)がお茶の間から総後ろ指差されるダメ人間であることは明らかだよな。

そして、この脚本家はそれをかなり開き直って正当化してくるよな。

そこまで・・・わかっていながら・・・事情を知りたい心理・・・人間ってバカだよな。

で・・・それに最後まで付き合うのかよ・・・いや・・・ここはあくまで谷間で・・・。

で、『息もできない夏・第一回』(フジテレビ20120710PM9~)脚本・渡辺千穂、演出・河野圭太を見た。「最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜」で真冬の幽霊譚をやりきった脚本家が古巣に戻って釣り師としての絶好調ぶりを披露である。もう・・・玲ちゃんママの理不尽ぶりにお茶の間釣られまくりの阿鼻叫喚である。しかし、元新聞記者で自分の記事が原因で一家の主を失った家庭に入り込み・・・墓場で主を歯がみさせているにちがいない主人公・樹山(江口洋介)で釣り、玲ちゃんと樹山の怪しい関係で釣り、正体不明の草野(中村蒼)、夏目(北大路欣也)、鮎川(要潤)で釣りまくるのである。容赦なく釣るよね。

さて・・・まず、国籍と戸籍の問題から軽く述べておこう。

たとえば・・・某国から日本に亡命してきた避難民がいる。夫婦である。この二人には某国に国籍がある。そして二人に子供が生まれる。日本の国籍を取得することが可能であるが・・・某国民としてプライドがある夫婦はそれをしない。しかし・・・母国に戻って出生届をだせないから・・・当然の結果として・・・子供は無国籍になる。無国籍であるからパスポートを取得できず・・・日本人でもないのに日本から一歩も出られない正体不明の人間が誕生してしまう。理不尽であるが・・・夫婦には夫婦の譲れない事情があるわけである。しかし、客観的に見れば最初から様々な可能性を奪われた子供は非常に憐れである。その喪失部分を埋めるのは親子の絆だが・・・そんなもの・・・ある意味、なくたって生きていけるもの。

一方、たとえば米国には戸籍というものはない。国籍があるばかりで・・・それは出生届けと住民登録で処理される。つまり・・・国籍を持つ個人の集合体が国民となる。

で、実は戸籍というものは中国に端を発するアジア的国籍処理のシステムなのである。

つまり・・・血族集団の一員と認められ・・・戸籍に入れば・・・戸籍の所属する国家の国民になるというシステムなのである。

戸籍があるために・・・相続の問題がかなり簡略化されることは明解なのである。

そうでない国家で弁護士の仕事が増えるのは明らかだろう。

だから日本では・・・無戸籍者は限りなく無国籍者であるとも言えるのだ。

そうなってしまうには様々なケースがあるわけだが・・・ここでは民法772条「「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定することを規定する。また妊娠中の期間を想定して婚姻の成立の日から200日を経過した後、婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定する」が要因となるらしい。つまり・・・離婚後の再婚で二人の男性と情事を持った可能性のある女性が離婚後300日で出生した子供は前夫の子供として認定されるわけである。ふたまたはいろいろと法的にさしさわりがあるという一つの実例である。どんな事情があろうともそういうことをしないでいる理性がなかったと糾弾される可能性があるのですな・・・当の本人はーーーっ。

ま、情事の事情だからな・・・昔から女はそれを我慢できないと言われているわけです。

・・・それは違うんじゃないか。

まあ・・・そういうわけで・・・玲ちゃんママは困ったちゃんで間違いないと思う。そして問題は困ったちゃんの何の罪もない子供がものすごく困ることになる現実があるということなのである。

なんだかんだで・・・このドラマの本質はそういう話だと考えます。

パティシエールを目指す玲は洋菓子店でアルバイトをする18歳の女の子である。生れてから一度も健康保険のお世話になったことがなく・・・とにかく義務教育を終えてすぐに洋菓子店で働きだしたらしい。その働きぶりに洋菓子店「パティスリー・シャルロット」の店長・安倍川(橋本麗香)は注目し・・・ついに玲を本採用することにする。さらにパティシエールとしてのパリ留学制度へのエントリーも推奨するのである。

こうした店長の玲に対する高評価に・・・社員である井川さつき(原幹恵)は激しい嫉妬を感じるのだった。そして想像を絶するいじめを開始するのである。愛の戦士キューティーハニーがそんな邪悪なふるまいをするとは・・・想像するだけでおぞましいのだった。・・・想像しすぎだろう・・・。

正社員になるために住民票があるという 証明書である「住民票記載事項証明書」が必要となる玲だった。

そして謎の23区である南区役所の出張所を訪ねる。

そこには・・・わけありで南区役所臨時職員となっている樹山(江口洋介)がいて・・・どうやら二人は運命的に出会ったらしい。

こっそりと生活保護費受給申請にきていた草野も同時に運命的な出会いをします。

簡単な行政サービスを実行しようとする樹山だったが・・・できないのだった。

なぜなら・・・玲には住民登録そのものがなかったのである。

その住所には玲の母である介護士の葉子(木村佳乃)と玲の妹であり、武井咲の妹を決める「ガールズオーディション2011」でグランプリを受賞した小芝風花が演じる麻央しか住民登録されていなかったのである。

それどころか・・・玲には戸籍そのものがないのであった。

戸籍がなければ・・・住民票もなく、住民票がなければ住民票記載事項証明書は発行できない。だから・・・玲は正社員になるための書類を完備することができないのである。

「それだけじゃない・・・君は健康保険証もないし・・・結婚もできない・・・子供を産んでも出生届けが出せない・・・つまり・・・君はこの世に存在していないんだ」

と断言する樹山。

同僚一同・・・何もそんな言い方しなくても状態だった。

あまりのことに呼吸が止まる玲。それからずっと酸欠状態に陥るのだった。

「でも・・・戸籍を作る方法はある・・・一度、母親と相談してください・・・」

玲は・・・とにかく・・・母親に相談するのだが・・・。

母親は「戸籍なんてなくたって・・・今まで幸せだったじゃない」という態度をとるのだった。

なんじゃそりゃあああああっと玲とお茶の間一同が呼吸困難になるのだった。

そして・・・ついに・・・酸欠で道に倒れる玲。

「おい・・・女の子がたおれてる」

「たいへん」

「だいじょうぶ」

「救急車を呼べ」

薄れゆく意識の中で玲はつぶやく。

「だめよ・・・わたし・・・健康保険証がないの・・・」

つづく・・・である。

それではみなさん、気分を出してもう一度・・・。

なんじゃそりゃああああああああああああああああああっ。

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Wの悲劇

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2012年7月11日 (水)

デカとワンコとスケバン刑事と浪花の恋は花盛り(多部未華子)

激しいつばぜり合いだったが・・・。

この枠は「浪花少年探偵団」が死守である。相手は「息もできない夏」である。それは明日の記事になります。

こちらはコントの積み重ねでヒントを出していくスタイルになっているのだが・・・本当はもう少し、じっくりと責めたい部分もあるが・・・予算とスケジュールの関係でこれがギリギリという事情はわかります。

たとえば犬のクソ部分の解明が少し曖昧になっていたわけだが・・・まあ・・・シーンを重ね過ぎてふっとんだのだろう。

基本はローカルな都市だからこそ・・・気にならない・・・官民癒着の義理人情による・・・緩いルールの解釈。

型にはめるというのは・・・その筋の人間が因縁つけて追い込んでおとしまえをつけさせる過程という意味を含んでいるわけで・・・このドラマは浪花版「ごくせん」の要素も含んでいるのである。

ただし、倉庫はないし・・・暴力的解決もない。

けれど・・・今回は主人公が暴走するので・・・それなりにスラップスティック・コメディ要素は加味されている。

実は・・・それを表現しきれないところが・・・この国のドラマ制作の現状なのであり、それを確認してしまうのは物悲しかったりいたします。

つまり、「ごくせん」も「浪花少年探偵団」もドタバタの要素を含んでいるのに真剣にそれを表現しようとはしないのである。・・・まあ、そんなことをお茶の間が望んでいないという意見もありますがーーーっ。

で、『浪花少年探偵団・第2回』(TBSテレビ20120709PM8~)原作・東野圭吾、脚本・吉田紀子、演出・池澤辰也を見たで。ワシか、ワシはな。多重人格の浪速のやすや・・・。夏やさかい・・・たまにはええやろっちゅうことや。ほな、いくで。

まあ・・・結局、修(前田旺志郎)が兄貴の郁夫(前田航基)の教室に入り浸ってる不自然さは勘弁したる。大人の事情や。兄貴の金魚のフンみたいな弟分はかわいいもんやさかいな。

今回は原田兄弟のアホな母ちゃんの話や。大阪のおばんの話やからしょうもないで。

そやけど、そこがミソや。クソやないんやで。人間なんて基本、しょうもないもんや・・・そないなことが東野先生の隠し味やからな。

で、原田の母ちゃんの日出子はん(斉藤由貴)かて、昔はスケバン刑事や、ごっついアイドルやったんやで。今となってはちょっとアホなおばはんにしか見えんけどな。これが歳月ちゅうもんや。あんたにも今にわかるわ。

しのぶセンセ(多部未華子)の教習所通いは続いてて、大阪グリーン自動車教習所の教官(六角精児)は鑑識はんの無駄使いやけどな。

ところが一緒に通う日出子はんの教官・若本(姜暢雄)がえげつないほどの男っぷり。日出子はんはたちまちホの字や。こうなるとダンナ(温水洋一)や子供のことなんか、頭から消え去って・・・女房でもおかんでもないうちはただのおんなやで~てなもんや。

「冬ソナ」にのぼせたことのある日出子はんには「運命」を感じさせたわけやけど・・・もちろん、そんな甘い話やおまへんで・・・盗人たちの描いた絵にのって・・・型にはめられそうになっとたんや。

盗人な・・・個人宅から一億三千万円相当の現金やら貴金属やら油絵やらをあんじょう窃盗したわけやけど・・・それを・・・日出子はんに目撃されてたんやで。

で・・・目撃者を消せってわけや。

あ、犯人の一人は若本教官で二人組の相方は教習所受付の小林(マギー)なんや。ネタバレって・・・そないなことこのブログでは日常茶飯事やんか。あんた初心者かいな。

で・・・若本が色仕掛けで日出子はんを誘い出し、事故にみせかけて殺す算段や。

ところがアホなことに「無料の個人レッスン」なんて口実考えるさかい・・・しのぶセンセに嗅ぎつけられてしまうのや。鼻が利くのは十八番やで。

で・・・しのぶセンセが同伴するので・・・犯人たちは手出しができずに辛抱たまらんことに・・・。

そこで・・・思いついたのが犬のババ作戦や。

個人レッスンの度にしのぶセンセの家の前に犬糞を置いておいて、センセが「クソ犬の飼い主どつきたおしてしばいたるで」と張り込むように仕向けたわけや。

で・・・日出子さんの命は風前の灯。ところが・・・悪い事はできないもんで・・・大怪我したのは若本やった。しかも・・・若本は事故にみせかけて相方も殺そうとしてたらしいのや。しょうもない奴やで。

まあ・・・しのぶセンセにそんなことしたのがウンのツキやったんやけどね。

すぐさま・・・新藤刑事(小池徹平)が呼び出され、浪花少年探偵団とそうさ会議の開始や。ほんま・・・新藤刑事何してんのや。

しかし、センセのおかんの妙子(松坂慶子)はんは・・・いくつになっても別嬪やな。メロメロになってまう漆崎刑事(段田安則)の気持ちもわかるわ。

そんなわけで今回は浪花の恋の花盛りのキミたちへ・・・なんやね。

さて・・・どうやら・・・お手柄やったのは・・・田中鉄平(濱田龍臣)目当ての朝倉奈々(浜辺美波)、土屋芙美(八木優希)、上原美奈子(二宮星)の女子衆。別のところに捨てられた犬糞を見事に発見したわけや。で・・・その場所に捨てられなかったのが・・・センセの家に捨てられた日付と一致・・・つまり、犬の糞は故意に移動させられたっちゅうことや。

これが事件解決の糸口なんやから・・・ほんまにしょうもない事件・・・おっと口がすべってもうた。

ま・・・最後はスクリーンプロセスなんちゅう古典的技法でセンセの見せ場もあってスッとしましたわ。

しょうもないといえば美佳センセ(木村文乃)も出番確保に必死やし・・・一回くらいフィーチャーしてもらいたいねん。ほやけど来週はようやっと、本間義彦(山本耕史)の出番や。見逃すと損するで~。ほな、さいなら。

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2012年7月10日 (火)

父ちゃん(豊川悦司)たち大人の独身男性は寂しいと死んじゃうらしい(芦田愛菜)

・・・独身男女だろう・・・それに寂しくて死んじゃいそうになるのは小太郎の母親の新井春子(国生さゆり)だろう。

いや、だから、子供の心なんてこんなもんだろう・・という比喩的表現だってばさ。

誕生日のプレゼントに顕微鏡を買って・・・なんていうから・・・天才的向学心に燃えたのかと思い、贈ってみると「バイキンマン」が見えないと言って不満をもらす小学3年生女児の実例があるからな。

娘もバカなら父親も親バカを極めるな・・・。

まあ・・・子供時代の心の成長ぶりを自分自身で観察、記録、考察している人間なんて・・・クラスに一人いるか、いないかだからな・・・いや、学校に一人いるか、いないかだろう・・・いや、歴代卒業生に一人いるか、いないかだろう。

・・・統計資料のないことに推量で適当なことを言いだすと収拾つかなくなるからおやめなさい。

まあ・・・この記事を読んで・・・「私がそうです」という方は自己申告してください。

とにかく・・・子供の心も大人の心も人それぞれということ。

それを思い出させてくれるドラマは名作の資格があります。

はじめての愛、はじめてのあまさ、はじめてのにがみ、はじめてのよろこび、はじめてのかなしみ、はじめての激情、はじめての嫉妬、はじめての独占欲・・・それぞれが思い出深く・・・愛しい記憶である。

で、『ビューティフルレイン・第2回』(フジテレビ20120701PM9~)脚本・羽原大介、演出・水田成英を見た。演出の水田といえば・・・日本テレビ系の水田伸生(「ぼくの魔法使い」「mother」など)と、フジテレビ系の水田成英(「ランチの女王」「名前をなくした女神」など)がいるわけだが・・・今回は成英の方が冴えている。脚本家との相性で出来が左右されるようじゃダメだぞ。基本は「大胆な脚本は繊細に演出」「繊細な脚本は大胆に演出」なのである。

黒沢明は「天使のように大胆に、悪魔のように細心に」と遺言しているじゃないか。

たとえば・・・朝から・・・ため息をつく父ちゃんこと木下圭介(豊川)の演技はもちろん、お茶の間向けなのだが、同時に自分の知らないところでそれを見ている娘の美雨(芦田愛菜)に見られるための演技でもある。それをさらにお茶の間に見せるわけである。

その演技プランは「やや、わざとらしいため息」となっている。これを是とする演出が冴えているわけである。

やや、ユーモラスなため息のために・・・「男女間の問題で悩んでいる」ようにも見え、同時に「生死にかかわる深刻な問題」をそんなため息で表現してしまう・・・圭介の好ましい人柄を示すことも兼ねている。

他人はどうだか知らないが・・・このため息一つでグイグイひきつけられるわけである。谷間候補となった「トッカン」にも、う、撃たないで脚本家の作品のために最初から谷間の「サマーレスキュー」にもそういう魅力は今のところ、皆無だし、初回になかったものが今後、突然現れる可能性は非常に少ないと考える。

「最近・・・父ちゃん、変なんだ」と小学二年生の美雨は親友の小料理屋「はるこ」の子息である小太郎(高木星来)に相談をもちかける。

「変って・・・?」

「やたら・・・ため息ばかりついちやってさ・・・」

「ああ、そりゃあ、恋だな?」

「恋?」

「独身の大人は・・・お相手を求めて右往左往して・・・最後はため息をつくのさ・・・」

「そういうものなの・・・」

「うちの母ちゃんなんか・・・お相手に電話で・・・さびしくて死んじゃう・・・とかなんとか言って、そりゃ、必死なもんさ・・・」

「・・・」

美雨はあんたんとこの母ちゃんとうちの父ちゃんでは大分違うのでは・・・と思わないわけではなかったが・・・尋ねたのは自分だし・・・参考意見として胸にとどめることにしたのだった。

問題の圭介は・・・城都大学医学部付属病院脳神経内科の古賀医師(安田顕)から「若年性アルツハイマー病」の発症をクールに告知され・・・心理的な防衛機制から、「否認」「攻撃」から・・・「昇華」のための「合理化」にむけて「苦悩中」である。

問題点は二つ・・・「記憶障害であるために・・・自分が自分でなくなっていくことがおそろしい」そして「そうなった場合、残された目の中に入れても痛くない娘の行く末」である。

さらに・・・今のところ、娘には「自分の病気」を秘密にしているという負い目も生じている。

しかし、親として・・・娘を悲しませるようなことはしたくないのである。

だが、そうやって苦悩している間も病状は悪化して行くわけである。

圭介としてはため息をつくしかないのだった。

そうした圭介の苦悩はまだ誰も知らない。

溺れるものは藁をつかむというたとえの如く、圭介は金属加工工場「中村産業」の未熟な職人に勝田(三浦翔平)にまで相談してしまう始末である。

「おまえ・・・もし・・・突然、なにもかもわすれちまったらどうする・・・?」

「えー、いいじゃないですか・・・いやなこと、全部忘れられて・・・失敗してどなられたこととか・・・みんな忘れちゃうわけでしょう・・・」

「・・・もういい・・・バカに聞いた俺がバカだった・・・」

「えーっ」

先輩職人の宗田(でんでん)は落語みたいな二人のやりとりに苦笑するのだった。

「バカだね・・・どうも」

この後、なんだかんだあって・・・ひなびた温泉旅館のわけありの番頭さんになるような雰囲気の宗田だった。

そこへ、中村産業の社長夫人である千恵子(丘みつ子)がやってくる。

「美雨ちゃんのバースデー・ケーキ予約しといたわよ」

「ありがとうございます」

「さすがは圭介さん、娘さんの誕生日を忘れないなんて・・・すごいですね」

「バカ野郎・・・俺が美雨の誕生日忘れるわけがないだろう・・・」

・・・そこで・・・圭介は忘れていたかった現実を思い出す。

忘れるのである。やがて・・・娘の誕生日を。そう決まっていることなのだ。

圭介は暗澹とするのだった。

そうした不安を抱えた父と娘の朝食時だった。

「父ちゃん・・・女ができたの・・・」

「ぶほっ・・・なんだそれ・・・」

「小太郎が言ってた」

「あの・・・ガキ・・・父ちゃんに限ってそんなことはないぞ・・・」

「どうして・・・」

「だって・・・父ちゃんには・・・天国の母ちゃんと美雨って宝物があるからな」

「・・・」

疑わしい眼差しを圭介にそそぐ美雨。女には男の嘘を見抜く本能が標準配備されているのだ。

「本当だって」

「じゃ・・・どうしてため息ばかりついてるの・・・いつもなんだかぼんやりしてるし」

うろたえる圭介は適当な嘘さえ思いつけない。

「いや・・・父ちゃんも年だからな・・・ちょっと疲れがたまってるんだ・・・」

疑わしさの中に・・・父を案ずる気配を生じさせる美雨。

(うわあ・・・結局、娘に心配かけてるじゃねえか)・・・ますますうろたえる圭介である。

「でも・・・大したことないから・・・心配するな・・・」

「本当・・・」

「本当さ・・・信用しないと・・・こうだぞ~」

といつものくすぐり攻撃でごまかしにかかる圭介。・・・その手が通じるのも・・・年齢的にもう残りわずかだが・・・まだ大丈夫だったらしい。

なんとか・・・結論の先延ばしに成功する圭介だった。

しかし・・・そんなことでは何の根本的解決にもならないのだ。

そのことは圭介が世界の誰よりも承知しているのである。

でも・・・あとちょっと・・・あとちょっとだけ。神様、もう少しだけ・・・と圭介は祈るような気持ちで・・・執行猶予を願うのだった。

守ってあげたい

あなたを苦しめる全てのことから

娘を案ずる気持はわかる。ふと、昼間の出来事が思い出される。

中村産業の社長・富美夫(蟹江敬三)は嫁ぎ先から突然出戻って理由も告げない娘のアカネ(中谷美紀)を案じて・・・思いあぐねていた。

「なんか・・・聞いてないか・・・」

「いえ・・・」

(自分で聞け)とは言えない圭介だった。

答えのない問題に挑む哲学者のような苦悶を浮かべた娘の寝顔を見て、いたたまれなくなった圭介は喫煙に逃避する。

中村産業の母屋に面した圭介父娘の住む離れのベランダはアカネの部屋の向いである。

夜更けに二人は顔を合わす。

「あら・・・なにしてるの・・・」

「見ての通りだよ・・・一服してるのさ」

「・・・」

「そういえば・・・どうして・・・急にかえってきたんだ」

「なんでもないわ・・・それより・・・昼間・・・妙な本を買ってたでしょう・・・」

「あれは・・・人に頼まれて・・・」

「人って誰よ・・・」

「誰だっていいだろう・・・おやすみ」

「・・・」

アカネに見つかったのは・・・「アルツハイマー病」の素人向けの解説書を購入したところだった。

思わず・・・それを手にとって読みはじめる。

医師に言われたことがそのまま書いてある。

病気は悪化していく。

何もかも忘れてしまう。

根本的な治療薬はない。

圭介はぐぐってみた。

世界には100万人の患者が・・・。

さらにぐぐってみた。

ケアされる年老いた人の姿が目に焼きつく。

守ってあげたい

あなたを苦しめる全てのことから

もうすぐ介護される自分。

娘のために何もしてやれなくなる自分。

ああ時の河を渡る船に

オールはない 流されてく

圭介はどうしたらいいのか・・・本当にわからなかった。

圭介の仕事は金属加工作業である。

作業が終わっているのに機械の前で佇む圭介。

「圭介さん・・・何してるんですか・・・終ってますよ」

ハッとする圭介。

「まったく・・・ボケちゃったんですかっ」

狼狽して、勝田の胸倉をつかむ圭介。

勝田は驚く。その表情に我に帰る圭介。

「どうしちゃったんですか・・・」

そこへ・・・社長がやってくる。

「どうしたんだ・・・今日、得意先と打ち合わせだろう・・・」

約束の時間は過ぎていた。

「申し訳ありませんでした。今後二度とこのようなことがないよう・・・」

得意先で謝罪する圭介。

路上にでると圭介のため息時代は終わっていた。

圭介はしゃがみこんだ。

アルツハイマー病です。

徐々に悪化します。

最後は介護が必要となります。

圭介は「それ」がどうにもならないことを思い知った。

「それ」に向き合うしか道はないのだった。

圭介はアルツハイマー病を含む認知症患者の介護施設を訪問して見た。

いきなり・・・そこか・・・。

美人の案内人が・・・営業モード全開で圭介を招き入れる。

「御入所をご検討なされているのはお父様ですか、お母様ですか?」

「・・・」

そこへ・・・老婦人がやってくる。

「まあ、久しぶりね・・・受験勉強はかどってる?」

見知らぬ人だった。

「よく似ていらっしゃるけど・・・この方はお孫さんではないですよ・・・すみません」

圭介に手慣れた態度で謝罪した職員に付き添われ退場する近未来の「自分」を圭介は強張った微笑みで見送るしかない。

圭介は再び我を失うのだった。

その日は美雨の誕生日だった。

美雨はアカネに相談する。

「あのね・・・父ちゃん・・・女が出来たみたいなの・・・」

「ええ・・・」

そこへ・・・アカネのことなら周辺の人間関係を含めなんでも知っている下町の警官・立花(君嶋麻耶)が通りかかる。

「美雨ちゃん、誕生日おめでとう」

・・・そこまでかっ。

ショックで堀船五丁目(フィクション・・・北区にあるのは堀船四丁目まで)で気絶していた圭介を勝田が発見する。

「なにしてるんです・・・もうすぐ・・・誕生日会始りますよ」

「・・・」

「プレゼント買っておかなきゃって言ってたでしょう・・・」

「・・・」

あわてふためいて・・・区界を越え荒川区町屋に自転車でショッピングにでかける圭介。

誕生日の「ローラーシューズ」は覚えていた・・・しかし・・・。

「お譲さんの足のサイズはいくつですか」という罠が発動する。

その頃・・・帰宅した美雨は小太郎とともに・・・圭介が隠している「大人の本」を捜索していた。

「アルツハイマー病がよくわかる本」にもう少しで手が届く・・・小太郎だったが・・・届きませんでした。大人の本への期待で性的興奮を覚える小太郎である。

どうして どうして僕たちは

そこは・・・そんなに共感しなくてもいいだろう。

堀船-町屋は自転車で十分の距離である。

すでに誕生日の準備は整っている。父親の帰りを待つ美雨とゆかいな仲間たち。

しかし・・・圭介は帰り路を見失っていた。

暮れかかる都会の空を

想い出はさすらってゆくの

自転車を漕げども漕げども・・・見知らぬ風景である。

あの角を曲がったら、きっと知った道に出るはずだ・・・。

そう思いながら何度角を曲がっただろう。

迷走する圭介。五丁目は遠いのだった。

携帯電話が鳴る。

社長夫人から圭介を案じる呼び出しだった。

「どうしたの・・・」

「すぐに帰りますから・・・先に始めていてください・・・」

蝋燭を吹き消す暗闇の中で沈み込む美雨の表情。

誕生会の主役としてなんとか・・・気をとりなおそうとするが不安が顔に出る。

アカネはそんな美雨の表情を見逃さない。

勝田はつい口にする。

「本当に圭介さん、最近おかしいですよ」

ゆかいな仲間たちは一斉に美雨を気遣うのだった。

その気迫に失態を悟る勝田だった。

ついに誕生日会はお開きになった。

圭介は見知らぬ街の交番に飛び込んでいた。

「堀北五丁目の中村産業・・・どう行けばいいんですか・・・」

「はいはい・・・今日も暑かったねえ」

「娘が・・・娘の誕生日会があるんです」

「・・・あんた・・・自分の家への帰り路が・・・わからないのかい」

「なんだっていいから・・・早く」

ようやく・・・旅を終えた圭介。ゆかいな仲間たちはホッとするが・・・美雨は安堵と不安と父への義憤で爆発寸前である。

「美雨・・・ごめん・・・」

「許さない・・・」固い表情で退出する美雨だった。

「皆さん・・・すみません・・・」

「どうしたのよ・・・こんな時間まで・・・」

「それが・・・知りあいにあって・・・」

「知りあいって・・・」

「・・・」

何事かを察したアカネがプレゼントを手にとって助け舟を出す。

「とにかく・・・美雨ちゃんに許してもらわなくちゃ・・・」

「そうだよ」

「皆さん・・・本当にすみません」

「俺たちのことはいいからよ・・・」

退出する圭介をアカネが追いかける。

「何か・・・困ったことがあるのなら・・・言ってね」

「・・・」

美雨は自室で泣き寝入りのポーズである。

「美雨・・・ごめん・・・」

「みんな・・・待っててくれたんだから・・・集まってくれて・・・」

「悪かった。父ちゃんがわるかった」

「・・・」

「プレゼント買って来たんだ・・・欲しかっただろう・・・ローラーシューズ、ほら履いてみろ」

美雨は休戦協定に応じて笑顔を見せることにした。

しかし・・・シューズはサイズ違いだった。

「なんで・・・なんで・・・19センチなの・・・美雨は一年前から・・・20センチなのに・・・」

「え・・・」

「この間、上履き買った時も・・・20センチだったでしょう」

「・・・」

「なんで・・・美雨のことを一番大切だとか言って・・・靴のサイズもおぼえていないの・・・誕生日会に・・・美雨より大切な人と逢ってるの・・・女なの?」

「そんなことない・・・そんなことないよ・・・」

「こんなものいらない」ついに爆発し、靴を投げ捨てる美雨。

瞬間的に親としての教育的指導モードのスイッチが入る圭介。

「美雨・・・あやまりなさい・・・」

「いやだ」

「あやまりなさい・・・」

「・・・いやだ」

美雨の目に溜まった涙が・・・圭介の気を挫く。

「・・・」

「おかしいよ・・・父ちゃんおかしいよ・・・忘れてばかりでおかしいよ」

「父ちゃんだって・・・いろいろあるんだ・・・何にも知らないくせに・・・父ちゃんばかり責めるなよ」

ついに泣きが入る圭介だった。

「うえ・・・うえ・・・」親に泣かれて、号泣手前でアイドリングの美雨である。

たちまち・・・自分の愚かさに恥いる圭介である。

「ごめん・・・みんな父ちゃんが悪い・・・美雨は何にも悪くない」

「うえ・・・うえ・・・」

「ごめん」

もはや・・・美雨を抱きしめるしかない圭介だった。

「うえ・・・うええ・・・」

「父ちゃんをゆるしてくれえ・・・・」

「うえ・・・うええ・・・うえ・・・うえ・・・うえええ・・・うえ・・・うえ・・・」

やはり・・・十年に一人・・・いや・・・ひょっとしたら100年に一人の逸材だな。

不完全燃焼のまま、泣き寝入りした美雨。

圭介は古いアルバムを見た。

あの人は優しい目をしてた

圭介は立ち直った。

古賀医師は圭介の主治医として認定された。

「あきらめたくないんです・・・病気に負けたくない。できるだけのことはしたいんです」

「娘さん・・・小学二年生でしたね・・・可愛いでしょう。私のところは息子ですが・・・あなたの気持ちは痛いほど分かります・・・」

「・・・」

「病気の進行を遅らせる薬はあります・・・新薬も開発されているし・・・なにより・・・病気とのつきあい方を・・・知ることが大切です」

圭介は・・・メモを取ることを覚えた。

ローラーシューズのサイズを交換してもらった。

八百屋でカボチャを買った。

八百屋の看板娘・菜子(吉田里琴)はギリギリで出番を確保した。

「カボチャ嫌いじゃなかったっけ?」

「今日から好きになるんだ・・・」

美雨は正座して待っていた。

「お父さん、ごめんなさい」

「悪いのは俺だ・・・美雨は何も悪くない・・・ごめんな・・・」

「ああ・・・よかった・・・」

「ほら・・・サイズとりかえてきたぞ・・・」

父と娘は和解した・・・。

「父ちゃん、大好きだよ、父ちゃん」

「父ちゃんも・・・美雨が大好きだ」

「ずっと・・・ずっと一緒にいてね・・・」

「・・・うん」

その夜・・・圭介は煙草を吸いにベランダに出たが・・・闘病のために禁煙を決意する。

その頃・・・何事かを感じていたアカネは・・・「若年性アルツハイマー病」をぐぐっていた。

そして・・・トイレに起きた美雨は・・・父の机の上に「大人の本」を発見してしまう。

幼い胸に「現実」を抱えて虚空を睨む美雨・・・日本一である。

何も知らず・・・圭介は消灯する。

してあげたくて ああできないことが

たくさん まだあるのに

ふりむけば すっかり青い夜

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2012年7月 9日 (月)

ころげまわって掴んだ、この野郎と殴って、恥をさらしつづけた(松山ケンイチ)

因縁の対決・・・そして決着である。

その前座として・・・。

ケータイ捜査官7バディのケイタ(窪田正孝)VSライオン丸G(波岡一喜)があります。

ともに特撮ヒーローものの主人公出身ながら・・・かたやNHKの時代劇で主演も務めた平重盛と・・・かたやチンピラ街道をひたすら歩んでここにきた悪源太義平・・・。

いや・・・ライオン丸・・・よくがんばったと健闘を讃えたい気分である。

・・・っていうかこのブログも思えば遠くに来たもんだ。

一方、平清盛と源義朝の事実上の最終決戦・・・。大陸渡来の宋剣と源氏伝来の髭切・・・共に父より譲り受けた獲物で雌雄を決する一騎打ちである。

もう、なんていうか・・・脚本万歳だな。

大河史上最高のノリノリと言っていいだろう。

さらば、為義-義朝、さらば、忠盛-清盛である。

そして・・・ついに公卿・平清盛が誕生するのである。

武家でありながら公家となった清盛・・・それは革命の成功なのか・・・失敗なのか・・・微妙なところだよねえ。

で、『平清盛・第27回』(NHK総合20120708PM8~)脚本・藤本有紀、演出・渡辺一貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は怒涛の描き下ろし・新作・源義朝・最後の雄姿、そして平家の覇者・平清盛の武者姿に感涙でございます。ついでに藤原経宗、藤原惟方の二条天皇側近公卿のぞんざい付録付きでお得になっています。ついに開幕紅白源平戦合戦記念ですな・・・戦かぶってるだろうっ。赤勝て、白勝てでございますねえ。ちなみに・・・悪魔は・・・平家と藤原氏のハーフなので・・・源氏には冷淡なところがあるかもしれないのでご注意ください。まあ、千年近くたてば血脈なんて混じりに混じってますけどねえ。

Tairakiyomori25 平治元年(1960年)十二月十七日、平清盛は六波羅平家屋敷に帰還する。すでに、伊勢や伊賀、播磨などから一族郎党が終結し、京における兵力は平氏がクーデター側を上回る情勢になっていた。十八日、清盛は婿として六波羅に在住していた藤原信頼の子息・信親を内裏に護送し、クーデター政権に恭順の意を示す。しかし、すでに無政府状態となった内裏周辺では藤原信頼の独裁に対する危惧が高まっていた。実質上の王家の長である美福門院は従兄弟の三条公教(藤原北家閑院流)、関白・近衞基実(藤原忠通の嫡男)などを通じてカウンター・クーデターの準備に入っていた。そもそも・・・信西排除は・・・後白河院政派の内部抗争であり、二条天皇親政派にとっては目的が達成された今、藤原信頼が排除すべき目標となったのである。本来、美福門院寄りの源出雲守や源伊豆守らも加わり・・・二条天皇の内裏脱出計画が実行に移される。二十五日、この計画は後白河院の知るところとなるが・・・後白河は信頼を見捨ていち早く弟のいる仁和寺に脱出する。明けて二十六日未明、二条天皇は計画通りに内裏を脱出し、六波羅に行幸した。これにより形勢は完全に二条天皇親政派と平氏一門の圧倒的優位となる。二条天皇は直ちに反乱軍の鎮圧を命ずるのだった。二十六日、早朝。内裏にこもる反乱軍の手勢は八百。対する官軍は三千騎に達していた。しかも、陽明門を守備する源出雲守三百はすでに官軍に恭順の意を示している。決戦を前にして藤原信頼に味方するものは五百騎に過ぎなかったのである。

「なぜじゃ・・・なぜ・・・院も帝も麻呂をお見捨てなさったのじゃ・・・」

名ばかりの近衛大将・藤原信頼は唯一の味方であり・・・家臣とも言える源義朝に訴える。

そのうろたえぶりを半ばあきれながら・・・義朝は自分と自分の一族が窮地に陥ったことを悟った。

(結局・・・朝廷は・・・あのあやかしの玩具にすぎないということか・・・)

もう・・・長い年月をその戦いに費やしてきたのである。

最後には・・・父や兄弟まで斬る破目になってしまった。

何がそうさせたのか・・・今となってはわからない。すべては魔に操られたものの哀しい末路という他にはない。

あやかしと戦っていたはずの自分が・・・いつ・・・あやかしの駒となってしまったのか。

源義朝は・・・魔というものの巧妙さを改めて感じていた。

誰もが・・・奇妙と思う筈なのである。そのものは・・・数十年を経て・・・全く容色の衰えをみせない。まさに化け物であった。しかし、魅入られればその呪縛からは逃れられないのである。

もはや・・・平清盛を殲滅しなければ・・・自分の生きる道はなかった。なぜ、そうなのかはあわてふためく信頼と同様にわからない。しかし、そうしなければならないと・・・心の奥底で蠢くもの・・・魔が命ずるのである。

「由良御前・・・我はどうすればよいのだ・・・」

亡妻の面影に問いかける。しかし・・・由良は無言である。

遺児の頼朝の顔が浮かぶ。長男の義平が・・・次男の朝長が・・・義朝の胸に去来する。

一族の繁栄のために・・・亡き父のため・・・亡き兄弟たちのために・・・闘わねばならぬ。

常盤御前の腹の子のためにも・・・戦って勝利するしか道はないのだ。

平氏の軍勢が盛んに内裏周辺に出没していた。

「父上・・・」と義平が呼びかける。

「申せ」

「平氏の軍勢はおよそ・・・十倍と見受けられまする」

「そうか・・・」

「もはや、一点を突破して・・・六波羅に奇襲をかけるしかありませぬ・・・」

「さもありなん」

「我が坂東武者どもを先頭に立て、内裏からうって出、賀茂の流れを越えて六波羅をつくのでござる」

「時を移さずかかれ・・・」

こうして・・・源義朝の一族郎党は平氏の包囲網の一角を切り崩そうと突撃を開始する。

だが・・・清盛の作った陣形は義朝の騎馬隊をたちまちに矢の雨で飲みこんでいく。

名のある武者たちが次々と倒れて行った。

「南無三・・・」

賀茂川河原にたどり着いた時には源氏勢はすでに百騎足らずになっていた。対岸には平氏が鉄壁の布陣を敷いている。

「もはや・・・これまでじゃ」

「殿・・・落ちのびなされよ・・・武蔵にて再起をはかりなされ・・・」

関東で義朝の傘下に入ったもののふたちは・・・義理堅く、義朝に忠誠を示す。

「さあ・・・いかれませい」

あるものは血路を開き、あるものは後衛をつとめ・・・義朝の一族は進路を北東に帰る。

一昼夜続いた源平合戦は終焉を迎えようとしていた。

二十七日の夕刻・・・落ち武者となった源氏の騎馬武者たちは東海道を敗走していく。

あるものは脱落し・・・あるものは息絶える。官軍の追及の手は衰えることを知らなかった。

平清盛は内裏に入った。

そこには上西門院が待っていた。

源氏がうってでたために大内裏には目立った被害はなかった。乱暴狼藉の沙汰が起こらぬように平氏一門が要所を警戒している。

王城の各所ではすでに戦勝気分があふれだしていた。潜んでいた官吏や女官たちが後始末を始めている。

そのざわめきを縫って上西門院と清盛は御所の奥へと進む。

内裏には篝火がたかれていたが・・・夕闇も迫っていた。

そこは王家の宝庫に通じる道であった。暗がりに灯りがともる。そこに一人の姫御子がいた。

「異母妹の八条院じゃ・・・」

「では・・・美福門院様の・・・」

上西門院よりも十歳ほど若い八条院は噂にたがわぬ美姫だった。だが・・・母親の美福門院はそれ以上の美貌と若さを持っていた。

「母に化けたあやかしは・・・今、妾の八条殿で休んでおりまする・・・」

八条院は澄んだ声で言った。

清盛は思わず跪く。

「清盛・・・熊野玉をこれへ・・・」

清盛は熊野の最後の封印を解除して得た・・・宝玉を差し出した。

すでに上西門院は真言祝言を唱えている。

「いざやいざやいざなみのくまのくまのはやたまの・・・」

すると庭の暗がりに小さな祠が出現した。

八条院は清盛の手から宝玉を取ると・・・それを祠にかざす。

周辺に霊気が満ち始める。

清盛は背筋が凍るような圧力を感じていた。

突然・・・祠の周囲に暗がりが出現した。

いや・・・それは祠が穴に変じたのだった。目の前に地下通路が出現したのである。

「これは・・・」

「黄泉路に通じる穴じゃ・・・」

清盛は思わず穴を覗きこんだ・・・そこには闇よりも濃い闇がどこまでも広がっている。

「いけ・・・清盛」

清盛は思わず「えーっ」と叫びそうになった。

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2012年7月 8日 (日)

義理の娘(志田未来)には憑依しないゴーストママ捜査線(仲間由紀恵)

幽霊体質の家族である。夫の沢村一樹は「雨と夢のあとに」で幽霊になっているし、義理の娘の志田未来は死んだ母親に憑依されてとんでもない「秘密」の夜をすごしたりしているわけである。そして妻なんかリングの貞子である。

というわけで・・・誰が死んでゴースト化してもおかしくないのだが・・・今回は仲間由紀恵が主演なので「ゴーストママ」なのである。

とにかく・・・相変わらず・・・脚本家が・・・ものすごく上達していないことだけはわかったな・・・。

原作コミックがあって・・・このセリフまわしのたどたどしさ・・・なんだか・・・かわいそうになってくるなあ。

「CAとお呼びっ!」で観月ありさが、「美丘」で吉高由里子で、「美咲ナンバーワン」で香里奈がこの脚本家のセリフ回しでつぶされているわけだが・・・流石は仲間由紀恵と志田未来である。苦しいところをスルーしてムードでなんとかこなしている・・・。

それにしても・・・プロデューサーがそういう読解力がないのが・・・残念なことなんだよな。少し、指導して手直ししてやれよ・・・。

で、『ゴーストママ捜査線〜僕とママの不思議な100日〜・第1回』(日本テレビ20120707PM9~)原作・佐藤智一、脚本・梅田みか、演出・佐藤東弥を見た。原作ありきなのだが・・・個人的にはなじめない点がいくつもある・・・設定である。たとえば小学生にもなっておねしょしちゃう子供とか・・・子供にとんぼって名付けちゃう母親とか・・・主人公が幼い子供がいるのに火事場で死地に飛び込む無責任さも気になるところだし・・・なにしろ最後は無思慮に子供を死地に追いやるわけである。本当はこのあたりの「葛藤」やら「親子そろって遺伝的におっちょこちょい」とかをもう少し丁寧に構成してから台本書くといいのだが・・・この脚本家にはそれは期待できないのだな。いや・・・入学式の「息子の名前」をめぐるとんぼ(君野夢真)と蝶子(仲間由紀恵)の件なんか・・・よくできてるじゃないか・・・しかし、名前がそもそも「あくま」とほとんどかわらない「とんぼ」だからな・・・それのフォローにはなってないんだよお。・・・まあな。

で・・・まあ・・・さまざまなポイントで「うーっ」となっちゃう脚本なのであるが・・・そこは仲間由紀恵と志田未来なのである。もう・・・強引にエンターティメントの領域まで引っ張り上げました~。

世の中にはさまざまな名前の子供がいるが「パンダ」とか「満子」とか・・・親の趣味でいきなりハンデを背負わせられる子供には同情したい。まあ・・・世の中がどんどん白痴化していけば「ばとる」でも「えきべん」でも「ぱいおつひめ」でも「なんでもありこ」でもどうってことのない時代がくるかもしれませんがーーーっ。

で・・・とにかく・・・とんぼは入学式で「虫」とか「メガヌロン」とか「羽根をとったらあぶらむし」とか・・・いつの時代だよ・・・からかいの対象となることが宿命づけられたのである。

母親の蝶子は婦人警官で逃走中のひったくり犯人を一撃で撃破するほどの豪快な性格である。息子のそういう傷心などにはまったく思いがおよばない。

当然、息子としては「ママなんか嫌い」と言うしかないのである。

そして・・・その日、火事場に遭遇した蝶子は消防士でもないのに炎上中の家屋に浸入、人命救助の果てに焼死するのだった。

つまり・・・これは「正義」の物語なのである。なにしろ・・・職務とはいえ・・・幼い息子のいる母親の責任ある態度とは言えないのだからな。

そういう個人的事情よりも「正義」を尊重するのは・・・つまり・・・超人ヒーローの世界なのだな。

遺体に対面する・・・夫の航平(沢村)、航平の連れ子で・・・実の母親の消息は不明・・・高校生の葵・・・演ずるのは志田未来(19)・・・志田未来がついになんちゃって高校生か・・・春にはなんちゃって中学生やってたのに・・・っていうか今でも小学生もいけそうだな・・・葵の説明長すぎ・・・そしてとんぼ。

愕然とする夫。義理の娘の葵は・・・実の息子のとんぼを気遣う・・・表情を見せる。そして・・・それを霊体となった蝶子は見ていた。お茶の間は神の目を与えられて・・・天上世界に吸収されかかる蝶子だったものの逡巡を観測する。

蝶子は遺した児への執着から残留思念集合体と化すのである。所謂一つのゴーストである。

さあ・・・皆さん・・・おわかりですね・・・ファンタジーです。

そこについこの間までクローバーの好きな不良だったような幽霊(賀来賢人)が現れる。

どこか・・・暗くてクールな表情を見せながら・・・仲間に先輩としてアドバイスをする役まわりなのである。

「私・・・幽霊になっちゃったのかな・・・」

「まあ・・・自分でそう思うんならそうなんじゃねえの」

「あなたも・・・幽霊なのかな・・・」

「・・・」

自分が死んだことを自覚する幽霊はそれなりに珍しい存在らしい。

まして、かって蝶子だったことを認識し続ける霊体はそれがすでに奇跡に近いとも言える。

結局、蝶子はとんぼという生者にとりついた死者であると言える。

生者も霊体であるゆえ・・・死者の霊体が衝突・流入すれば「気配」を感じることがある。繊細な霊体であればそれが障害となることもあるだろう。このような話をしていると娘の身体から悪霊を除去すると称して水攻めプレイで虐待死させてしまうような親を生む可能性もあるわけだが、原爆も原子炉も同じ原理であるように悪魔としては知ったことじゃない姿勢で記述しています。

知らず知らずに息子の精神を変調させているわけだが・・・怨霊と化した母の霊に何を言っても無駄なのである。

ひょっとしたら・・・おねしょとか算数の赤点とかも・・・それが理由なのかもしれない・・・なんでも霊のせいにするなよ。

やがて・・・霊障害で視力が低下するとんぼ・・・。

そこで・・・ついに蝶子の霊は・・・とんぼとのコンタクトに成功する。魔法のメガネ化した遺品をとんぼが装着すると・・・蝶子の霊が見えるのである。

いわば・・・とんぼの霊体と蝶子の霊が「遺品」によって接続するわけである。

「私・・・いつでも・・・とんぼと一緒だよ・・・」

「いつもはやめてください・・・ぼくにもプライベートがあるので」

すでにとんぼは個人主義の壁を築いているのだった。

蝶子の霊は衝撃を受ける。息子は母親を全肯定するべきだと思っていたからである。

そのために・・・しばらく霊体として拡散せざるを得ないのだった。

そこへクールな霊がやってくる。

「私・・・息子に触れない」

「そもそも・・・死者が生者に触れることは・・・有害なんだが・・・どうしても必要であれば・・・その気になればなんでもできるんだ・・・」

クールな霊は転がってきたボールを成層圏の彼方にまで蹴りあげるのだった。

「どうやるの・・・」

「・・・」

やがて・・・蝶子は自分を死に追いやったともいえる放火犯(袴田吉彦)の存在を感知する。

生前の人格に基づいた盲目的な「正義感」が燃えあがる。

それは思慮や配慮の欠如した純然たる意志である。

そのために息子に危険が及ぶことなどには一切頓着しないのだ。

かっての上司三船課長(生瀬勝久)に息子の口を通じてタレコミをさせる蝶子の霊。

しかし・・・そんなことが通用するはずはない。

だが・・・とんぼは犯人の情報を入手したのである。そして・・・母の仇討ちにのりだすのだった。

そして・・・犯人のことに執着する蝶子の霊は息子のことは一瞬で忘却するのである。

やがて・・・制服以外でもそれなりに可愛いことをアピールするための葵の弟を捜すシーン挿入があって・・・ようやく・・・婦人警官から母親に戻る蝶子の霊。

すでに・・・とんぼは犯人との接触を果たしていた。

母親ゆずりというよりは子供だから後先は考えないのである。

「かわいそうだが・・・死んでもらうよ・・・」

絶体絶命である。もはや・・・お約束に頼るしか手はないのである。

「霊は犬に吠えられる」という手である。

三船課長の愛犬メリーと生前から交流のあった蝶子の霊は・・・メリーを使い魔として操ることが可能だったのである。

メリーで三船を誘導して・・・絞殺されかかるとんぼを発見させるのだった。

三船課長は武闘派だった。

こうして・・・とんぼは正義感の強い悪霊に憑依された小学生というダーク・ヒーローと化したのである。

いろいろと・・・問題はのこっているがこの脚本家にはそういうものを整理する力量はない。

だから・・・「このことはあなたとママの秘密よ」ととんぼに断言してつづくである。

ま・・・まあまあかな。

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2012年7月 7日 (土)

時のない世界で妹(二宮星)とぼくの夏休み(綾部守人)

昼ドラマでタイムスリップといえば「がきんちょ~リターン・キッズ」(2006年TBSテレビ)があるわけだが・・・今回は今のところ、時間旅行をしているのかどうかは謎である。

なんといっても主人公とヒロインが現代から運ばれた異世界が本当に過去なのか、不明だからである。

まあ、「がきんちょ」も時代考証は結構、いい加減だったから・・・これも一種のタイムスリップものと考えてもいいのかもしれない。

昼ドラマでジュブナイルなのだが・・・メロドラマ要素もかなり激しく濃厚で・・・これは夏休み前までにやることはやっておこうという姿勢なのかもしれない。

っていうか・・・あまり深く考えてないのかもしれないなあ・・・。

ま、ともかく・・・ファンタジーではあるだろう。

そのために・・・序盤を軽くさわっておきたい。

で、『ぼくの夏休み・第1~5回』(フジテレビ20120702PM0130~)脚本・樫田正剛、演出・松田秀知を見た。平成24年の夏。青山浩二(中原裕也)と詩緒里(高岡早紀)夫妻の不仲は決定的なものとなり、離婚をめぐる修羅場がちょうど夏休みと重なったので小学六年生の長男・和也(綾部)と小学四年生の長女・はる菜(二宮)の兄妹は詩緒里の父母が住む茨城県に預けられることになった。

詩緒里は和也に一万円を渡し・・・常磐線のような鉄道で・・・兄妹を田舎に旅立たせる。

兄は鬱屈した思いをもてあまし、能天気に振る舞う妹に辛く当り・・・車内では携帯ゲームに熱中である。

「死ね、死ね、死ね・・・」

その言葉を聞き咎めた老婆(森康子)が・・・和也に呪いをかけるためにやってくる。

「昔の若者はみんな・・・戦争で生きたくても死んでいった・・・」

「だから・・・なんだよ・・・」

「死ねなんて・・・言ったら呪われるよ」

「関係ないだろう・・・」

すると老婆は諸肌脱ぎとなり、醜い火傷の傷痕をみせつける。

「私だって空襲に焼かれたんだ・・・」

「うえ、頭おかしいよ・・・この人・・・」

あまりの恐ろしさに途中下車する兄妹である。

老婆はこの路線を日本鉄道・海岸線(私鉄)だと口にするが・・・戦時中はとっくに国有化されています。

そして・・・二人は常磐線にも日本鉄道・海岸線にもない「うしくがわ」という駅で次の列車を待つが・・・やってきたのは蒸気機関車だった。

不審に思う兄妹だったが、二人とも鉄オタではなかったので・・・それほど違和感なく・・・その怪しい汽車に乗り込むのである。

だが・・・車内の人々はすでに・・・どう見ても平成の人々ではなかった。

そして・・二人が到着したのは「土浦北駅」という実在しない駅である。

そこには木造の駅舎が建っており・・・二人が依然に訪れた祖父母の住む街とは様相が違っていた。

やがて・・・和也はそこが昭和19年と知り・・・愕然とする。

「ぼくたち・・・時をかける兄妹になっちゃった・・・」

「なに・・・それ・・・」

「千と千尋の神隠しみたいなことだよ」

「えーっ、あたし、千なの~。おにいちゃん、ブタになっちゃうの・・・」

「なるかよっ」

土気色をした街でパステルカラーの兄妹は極端に目立つのだった。

現実を受け入れない兄は・・・圏外になった携帯の電波を捜しまくる。

妹にはなにがなにやら意味不明の状態である。

「お前たち・・・東京から疎開にきたのか・・・」

大人たちに問われ・・・逃げ出す二人だった。

「私たちのおじいちゃんちはどこですか」

「よせ・・・そんなのいないんだよ」

「どうして・・・」

「俺たちは平成の前の昭和にいるんだよ」

「しょうわ・・・?」

「ずーっと昔に来ちゃったんだ」

「どのくらい前なの・・・」

「すごく前だよ」

「昭和の前はなんなの?」

「江戸だよ」

哀しいくらいに教養のない小学生である。

田舎の子供たちにいじめられ・・・空家に住み着いた兄妹。

平成からもってきたお菓子も底をつき・・・和也は畑から食料を盗むことで餓えをしのぐ。

盗んだ鋏で髪を切り、盗んだ着物で変装するほど悪賢いのである。そこそこの適応力があるのはゲームで鍛えているからであろう。

しかし・・・幼いはる菜には心身ともにきつい昭和十九年だった。

「ママにあいたいよ」

駄々をこねるはる菜を連れて原点である「うしくがわ」駅を目指し線路を歩く和也。

しかし・・・そこにあったのはさかえ駅←うしくがわ駅→かねはら駅の表示ではなく・・・

えかさ←わがくしう→らはねか・・・だった。

・・・こういう遊びも現在の縦書き←(向かって右から左へ)読み、横書き→(向かって左から右へ)読みが戦前は縦書き←読みで、横書きも←読みだったということが「常識」でないとなれば通じなかったりするわけである。

。るあでのため読くな由自不何をれこは人の昔

昔の人はこれを何不自由なく読めたのである。

そして・・・トンネルの手前で線路は途切れていたのだった。

「この駅じゃない・・・」

絶望に襲われる和也だった。

昭和19年の土浦北には詩緒里そっくりの女がいた。

商人宿を営む上条旅館の後妻である上条佐代である。

義母で女将のマツ(うつみ宮土理)は「他人には優しくするもんだ」というヒューマニストだったが・・・夫の大五郎(升毅)は臆病で身勝手で乱暴者という悪辣な男だった。先妻の子で長男の耕作(崎本大海)が傷痍軍人として帰郷してから発狂し、あらぬことを口走るために「非国民」のレッテルを張られてしまったためにもともと歪んでいた性格がさらに歪んでいるらしい。最近は佐代の妊娠をいいことに住み込みの女中・文子(土谷春陽)に手を出している。家には先妻の残した次男勇作(森永悠希)や、妾の子である三男栄次郎(西山潤)も住んでいる。

お地蔵さんに供えられた牡丹餅を妹にあたえて食中毒を発症させた和也は・・・優しい娘(水野絵梨奈)の導きで開業医の五十嵐医院になんとか入院させることができた。

しかし、もちろん・・・支払いのための金はない。

途方にくれた和也は・・・空腹に耐えかね・・・上条旅館に盗みに入る。

そこで母にそっくりな女・・・佐代に出会うのだった。

昭和19年夏に・・・爆撃機の大編隊が茨城県上空を通過するなどありえない過去(九州を除く本土空襲は年末になってから)で・・・幼い兄妹ははたして生き延びられるのか・・・。

ぼくの夏休みは始ったばかり・・・そして八月末まで続くらしい。

ル~ルルル~・・・。

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2012年7月 6日 (金)

「さよならコーチ(唐沢寿明)」と死体(田中麗奈)が挨拶する夜のVISION(山田優)

結局、二本立てかよ~。

まあ、ミステリとオカルトだし、死体が語って語って語りまくるからな・・・。

とにかく・・・「東野圭吾ミステリーズ」はオムニバスだし、「VISION」は連続ドラマ色の強い展開・・・その日の気分で濃淡変更が可能である。

夏ドラマは意外にというか、やはりというか、取捨選択の難しい展開になっているので・・・ここは二本を消化しておきたい・・・。もう、金曜日と土曜日しか残っていないのである。

(日)平清盛

(月)ビューティフルレイン

(火)浪花少年探偵団

(水)谷間

(木)「東ミ」「V」

(金)おそらく「黒の女教師」

(土)おそらく「ゴーストママ」

・・・こういう感じで・・・。まあ、明日は明日の風が吹くけどな。

で、『東野圭吾ミステリーズ・第1回・さよならコーチ』(フジテレビ20120705PM10~)脚本・坂口理子・高橋幹子、演出・河毛俊作を見た。オムニバス形式だが、案内役の登場するコントが前後につく。案内人はミステリー雑誌編集長・倉敷(中井貴一)ですでに死んでいるがが、死体の傍らの幽霊として語るのである。

「私はすでに死んでいます・・・もうすぐ第一発見者が来るでしょう・・・ちなみに彼女は私の不倫相手でして・・・いろいろとややこしいことになりますな・・・」・・・云々である。

さて、初回ゲストは・・・唐沢寿明である。

なんていうか・・・ガリレオみたいですな。

死体が語るという趣向で一番、ストレートなのは・・・幽霊が語るという手なのであるが、現代では様々な記録媒体があり・・・そういう意味では遺言としてのビデオ・レターはもはや懐かしい手口になるだろう。

さらに五輪シーズンに対して・・・マイナー競技ながら・・・アーチェリー女子の栄光の影の悲劇を題材にしており・・・そういう怨みがましさもそこはかとなく漂ってよろしいですな。

睡眠薬を飲んでタイマーによる電撃で自殺。廃部のきまった水木エレクトロニクス・アーチェリー部の元スター選手・望月直美(田中麗奈)が石上純一コーチ(唐沢)へのビデオレターを残して部室で遺体となって発見される。第一発見者は石上である。

石上には妊娠中の妻・陽子(戸田菜穂)がいるが・・・指導する選手である望月直美ともただならぬ関係があった。

他人の不倫関係を嗅ぎつけるスペックを持つ鈴木和真刑事(西岡徳馬)は直ちに石上を容疑者としてマークする。

やがて・・・自分のストーカーさえも手駒として使う蜘蛛女・直美の恐ろしい計画無理心中の全貌が明らかになる。

コーチ。コーチ。コーチ。コーチ。コーチ。

トップに昇り詰められないスポーツ選手にありがちな思い込みの激しい性格の直美である。それは自分をコントロールできないということなのだ。しかし、集中力は半端ないのである。

死にたい。死にたい、死にたい。死にたい。死にたい。

二人三脚で五輪を目指したコーチに横恋慕、夢やぶれた後はコーチとの甘い生活だけが直美のすべてなのだ。

コーチに発見されることを予測して狂言自殺をはかった直美はすかさずコーチを押し倒すのだった。

好き。好き。好き。好き。好き。

しかし、コーチはあくまで妻を愛する男だった。

殺したい。殺したい。殺したい。殺したい。殺したい。

妻への殺気をみなぎらせ、コーチを追い込んでいく直美。

やがて・・・コーチは自殺未遂時のビデオレターを利用した完全犯罪遂行に追い込まれていく。

殺して。殺して。殺して。殺して。殺して。

もちろん・・・コーチは「指のテーピングがないのは・・・おそらく・・・死ぬ前にはずしたのでしょう」とでもなんとでも言い逃れできたわけだが・・・状況証拠で有罪になる場合もあるからな。

何よりも・・・もはや狂気の蜘蛛女の呪いで正常な判断力を失っていたと思われる。

さよならコーチ。さよならコーチ。さよならコーチ。

魔性の女を演じさせると田中麗奈はいい味だすな。やはり一重まぶたの魅力と言える。

とにかく・・・出だし好調である。毎週、このくらいのミステリを味わうことができれば夏ドラマ的には充分だと言えます。

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で、『VISION-殺しが見える女-・第1回』(日本テレビ20120705PM1158~)脚本・原案・脚本:飯田譲治、演出・星野和成を見た。「秘密情報員エリカ」で栗山千明、「都市伝説の女」で長澤まさみと美人を美しく演出する演出家である。仏頂面で些少難のある山田優もそれなりに美しく演出しており・・・流石である。

人間は五感というセンサーで現実を認識していると錯覚している生物である。

本当の世界などというものは実在しているかどうかも定かではないのだが・・・少なくとも多くの人間が本物だと信じている世界が実は本当の世界ではないことは明らか・・・そういう立場にたったいつもの飯田譲治の世界が展開し、ファンには待望の一作と言えるだろう。

二流と三流の間で微妙な立場にいるモデル・来栖玲奈(山田優)と・・・謹慎中にも関わらず詐欺グループの一味と接触、情報を買収しようとしていた悪徳刑事・浅野和馬(金子ノブアキ)は奇妙な因縁で出会うのだった。

マネージャーの清末(勝村政信)から夜の接待付きの仕事をふられごねる玲奈。同じ店内に犯罪者の北川(鈴木浩介)と交渉中の浅野刑事が居合わせる。

ところが・・・玲奈を一目見た北川は我を忘れたように「クリスティーナ・・・こんなところにいたのか・・・」とつぶやくのだった。

突然、見知らぬ男に言い寄られ茫然とする玲奈。

この時から・・・玲奈は異次元との境界を彷徨いだすのである。

それは夏ドラマ子役戦線で見かけないと思っていた谷花音が「宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」の世界に迷い込んでいるようなものなのだ。

そもそも・・・人間が霊的存在を感知できないのは肉体に縛られているからであり、過去に戻れず未来を覗けないのも肉体に縛られているからである。

五感に異常が生じ、狂い出せばたちまち・・・人は見てはいけないものを見て、時間感覚を失ってしまうのだ。

それが嘘か本当かは一度、死んでみればわかります。

やがて・・・玲奈の前に額に血穴を穿たれた北川が出現する。

俺は寒い場所にいる・・・俺を捜しに来てくれよ・・・クリスティーナ

しかし、その存在は五感が正常な人間には検出できないことは言うまでもない。

北川を追う浅野刑事は玲奈をマークするうちに・・・「自分でも信じられない話を他人にする」玲奈の苦悩に遭遇するのだった。

やがて・・・北川の霊に導かれた二人は生きている北川に遭遇する。

北川は・・・読んでいた小説の登場人物・クリスティーナを玲奈に見出していたらしい。

あいたかったよ・・・クリスティーナ

だが・・・直後に北川は射殺される。その額にはぽっかりと銃創による穴が開いていた。

「私はこの死体に導かれてここにきたの・・・そんなの信じられない・・・一体どうなってるのよ」

「知るかよ・・・」

茫然とする二人。禍々しい夏の夜の夢の開幕である。いい感じだ・・・。脇役のセリフがちょっとくどいことを除いてはだが・・・少し抑えめにした方がいいよなあ。特に崎坂刑事(矢柴俊博)な。脚本家も俳優ももう少し、肩の力を抜いてください。

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2012年7月 5日 (木)

トッカン(北村有起哉)だろうがナサケ(木南晴夏)だろうが・・・ざけんなよ、私はサシオサエの女(井上真央)

ふふふ・・・やっと谷間が来たな。どうなることかと思ったよ。

子役の夏の谷間にふさわしい子役あがりの井上真央の谷間である。

それにしても井上真央と木南晴夏をそろえて谷間にするとは・・・流石はライトノベル原作だな・・・・

かるっ。

なにしろ・・・TOKYO MXでは「闇金ウシジマくん」再放送中なのである。

同じ・・・金の取り立て話なら・・・こっちの方がはるかに刺激的なんだぜ・・・。

それにしても「リーガルハイ」ゲストの時の木南晴夏の演技・・・これの井上真央のパロディーじゃないのか・・・。

いや・・・さすがに・・・まさかな。

単に・・・内気な女の子のスタンダードなんだよな。

で、こっちの木南はたて板に水ヴァージョンでした。

で、『トッカン 特別国税徴収官・第1回』(日本テレビ20120704PM10~)原作・高殿円、脚本・いずみ吉紘、演出・水田伸生を見た。国税専門官には次の三種類がある。「税務調査官・窓際太郎の事件簿」の窓際太郎(小林稔侍)はタイトル通りの国税調査官、「マルサの女」の板倉亮子(宮本信子)は国税査察官、そして本作の主人公の鈴宮深樹(井上真央)は国税徴収官である。ちなみに南部千紗(木南晴夏)は査察官の情報部門に属するために松平松子(米倉涼子)と同様に「ナサケの女」なのだった。

で、「黄金の豚 - 会計検査庁 特別調査課 - 」の篠原涼子は国税庁とは無関係である。

さらに特別国税徴収官は幹部職であり鏡雅愛(北村有起哉)を指している。

つまり・・・鈴宮はトッカンではないのである。タイトルがすでに詐欺的だ。

で、政府転覆を企てているのに税金なんか払えるか・・・というタイプはさておき・・・税金滞納者には払えるのに払わない人と払いたいのに払えない人がいるらしい。・・・そこは憶測でなくてもいいだろう。

その前者である愛犬大好き・皆川真利子(佐藤仁美)は愛犬を差し押さえられて、即金払いである。

だが・・・後者は・・・。

私は泣いています 

工場の隅で

私は泣いています

工場の隅で

と歌わんばかりの赤字零細企業・大島プラスチックの社長夫人・史子(りりィ)と・・・。

誰が呼ぶ声に応えるものかと

望む気持ちとうらはら

今はただ すきま風を手でおさえ

今日の生き恥をかく

と歌わんばかりの社長・照夫(泉谷しげる)である。

かって和菓子屋を経営する父親が差し押さえにあった過去を持つ鈴宮はなかなか差し押さえにふみきれないのである。

そのうちに子供のいない大島夫妻も鈴宮に我が子の幻影を見る。

そして・・・照夫は父親の形見の時計を質に入れ・・・滞納金の一部を収めるのだった。

ようするに一時預かりの金を回転資金につぎ込んでしまったので立派な使いこみなのであるから・・・まるで悪いことをしてない顔はできないのだった。

つい出来心だろうと何だろうと社会人としてやってはいけないことをしていることは間違いないのだ。

だから、払って当然だし、一部じゃ困るのである。

しかし・・・激しい胸騒ぎに襲われた鈴宮は街を走るのだった。

揺れ動く思いが 風に吹かれて

群青色の夕闇に溶け

すべてが思い通りに ならぬことくらいは

知っているつもり

耳をつんざく轟音とともに激しく巨大な黒煙が立ち上り、爆発炎上する大島プラスチック。

立ちすくむ鈴宮。

「ざけんなよ・・・死ぬなら税金払ってからにしやがれ」

こらえにこらえてきた鈴宮である。ついに鬱屈した感情を爆発させ叫ぶのだった。・・・おいっ。

いやあ・・・どうせただ差し押さえるだけのドラマなんだから・・・淡々とやってもらいたいよね。

差し押さえて差し押さえて差し押さえて死人の山を築くみたいな・・・できるかよっ。

・・・・間一髪、夫婦の心中を差し押さえる鈴宮。

「死なせてくれ・・・」

「邪魔しないでよ・・・」

「だめです・・・国民あっての国税庁なんですから・・・生きてください・・・そして税金払いましょうよ・・・ね」

「・・・」

「・・・」

空しい・・・こんな空しいドラマ・・・久しぶりだなあ。

今日も見果てぬ夢が

迷いを消してくれるなら

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国税庁の一社提供みたいな番組・・・誰が見るんだ。

あ・・・税金の滞納者かぁぁぁぁぁぁぁっ。

ワーキングプア

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2012年7月 4日 (水)

大阪で生まれた女の子たちと浪花少年探偵団って東京都出身やさかい(多部未華子)

昔だったらなあ・・・。

日曜日に大河ドラマと二本立てで「ビューティフルレイン」を消化。

月曜日は「浪花少年団」と「ぼくの夏休み」の二本立て。

火曜日は「逃走中」の鬼の娘が石井萌々果だったことに激しく触れつつ、「GTO」に突入だったのだが・・・。

そんなことをやっていたら身がもたないのである。

そんなことをしたら・・・日曜日は「平清盛」「ビューティフルレイン」「サマーレスキュー」の三本立てになり、芦田愛菜VS本田望結なので谷花音はどうしたっと叫ぶのである。スルーしている大河の子役たち・・・にも触れはじめ・・・男の子ばっかりで平安時代には女児はいないのかよ・・・と。

まあ・・・だから・・・のほほんと進めてまいります。

だけど曜日がどんどん・・・ずれていくことになりそうだなあ・・・。

やはり・・・最悪の夏だったのだなあ。皆さんの想像とは別の意味で・・・。

で、『浪花少年探偵団・第1回』(TBSテレビ20120702PM7~)原作・東野圭吾、脚本・吉田紀子、演出・清弘誠を見た。「ハンチョウ」最終回11.2%から↘*7.8%のスタートである。まあ、午後7時スタートの2時間スペシャルというセンスのない編成の責任も大きいが・・・問題は脚本だな・・・。「浪花少年探偵団」にこだわりすぎて・・・子役に頼りすぎである。キッドは子役としてのまえだまえだの兄弟をまったく買わないが・・・いくら・・・芸達者とはいえ・・・前田旺志郎のナレーションを2時間聴き続けたら・・・うんざりするのである。まして・・・ドラマは大阪が舞台である以上、基本全編、関西弁だ。せっかく・・・東京から引っ越してきた設定の濱田龍臣がいるのだから、子供のナレーションが使いたかったらもう少し控え目にして・・・標準語ベースにするべきなのである。そのくらいの配慮ができないから・・・この脚本家は「ハタチの恋人」で痛い目を見るのである。

ついでに言えばいくら芸達者とはいえ・・・犯人の息子役伊澤柾樹に母親が父親に殺されかけたことを含めて長々と語らせて・・・どうする。しかも・・・息子はその場にいないのである。見て来たように語る小学六年生に講釈師かっとツッコミいれたくさせてどうする・・・。

せっかくだから・・・浪花少年少女探偵団にして・・・濱田龍臣を主軸にして・・・八木優希・浜辺美波・佐々木麻緒・二宮星で再構築するべきだろう。そうすれば*8%越えは確実だったはずだ・・・たいしてかわらないぜーっ。

まあ・・・そういうような企画上のミスはさておき・・・多部未華子のなりきり大阪人劇場は圧巻、圧巻、また圧巻でしたぞ~。

さて・・・長澤まさみクラスにまでは育てたい・・・東宝の秘蔵っ娘・浜辺美波のお披露目である。

学級委員長の土屋を演ずる八木優希を向こうに回して堂々の美少女ぶりである。

どちらも・・・大阪人ではないが・・・八木は東京生まれ・・・浜辺は石川県である・・・六年二組は土屋芙美VS朝倉奈々(浜辺)でまわしていくべきだな。どうしても大阪弁にこだわるなら、ナレーションを大阪出身の二宮星にやらせてもよい。とにかく・・・まえだまえだ色を薄めない限り、視聴率向上は望めないことを断言しておきます。・・・もうその件はいいだろう。

大阪市立大路小学校6年2組の新しい担任は・・・竹内しのぶ(多部未華子)・・・学生時代はソフトボール部のエースとしてならし・・・プロからも誘いが来るほどの腕前だったが・・・ものすごい短気な性格が災いして・・・教員試験に落第し続けているのである。そんな常勤講師にお受験迫る六年生を担当させる・・・大路小学校の教頭・中田(小日向文世)はしのぶのかっての恩師だったらしい。これが噂に名高い大阪府の情実体質である。・・・おい、誰に喧嘩売ってんだよ・・・。

それはさておき・・・中田からは「余計なことに首をつっこまない」と念を押され、母親の妙子(松坂慶子)からは「短気は損気よ・・・猫かぶってなさい」と諭されるしのぶ・・・なんとか・・・お嬢様路線で始業式をクリアするのだった。

しかし・・・いざ、初授業と意気込むや・・・受け持ちの生徒・福島友宏(伊澤柾樹・・・「たぶらかし」ゲストからここ)の父親が他殺死体となって発見される一報が届くのであった。

なにしろ・・・原作は東野圭吾なのである。

この調子で・・・毎回、学級関係者が殺されていったら・・・もはや「呪われた学級」と言ってもいいだろう。

この後は、ゲストの久本雅美がゲンナリするほど饒舌で実際ゲンナリします。

ゲストでよかったーっ。

残念なことに原田兄弟(まえだまえだ)の親は父(温水洋一)、母(斉藤由貴)とまずまずです。

そして、福島の両親は被害者(木村祐一)で加害者(富田靖子)。

最近は異常人格者役のはまる富田靖子だけに・・・もう少し遊んでもよかったと思うが・・・そのあたりの・・・工夫が脚本家には不足気味である。

さて・・・素人探偵ものにはつきものの・・・現職刑事コンビが・・・ヴェテラン漆崎(段田安則・・・「たぶらかし」レギュラーからここ・・・ついでに今回、ほとんど出番のなかったしのぶの恋愛対象の一人となる本間(山本耕史)も「たぶらかし」からここである・・・なんだ「たぶらかし」の呪いなのか・・・)、そして新米で早くもしのぶに悩殺されている新藤修平(小池徹平)である。

変な恰好で新藤に追われて逃げるしのぶが・・・今回屈指の見せ場でしたな。

オチは・・・アリバイくずしで・・・小学生がすでに死んでいる父親の替わりにトラックを運転して母親のアリバイ工作をしたという・・・大阪でしか成立しないトリックなのであった。

しかも福島の妹(吉沢海音)が「父ちゃん、お金もっていかないで~」と叫び、周辺の住人が「金」という言葉につられて全員、目撃者となるという・・・実に・・・もういいだろう。

まあ・・・とにかく・・・多部未華子を楽しむと言う点では充分に水準に達している作品と言えます。褒めてたのか・・・。

なにはともあれ・・・関西色を意識して薄めること・・・視聴率獲得に関してはそこが運命の分岐点になるでしょう。まあ・・・今更アドバイスしても手遅れですけどね~。

なんやねんっ。

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鹿男あをによし

山田太郎ものがたり

ヤスコとケンジ

つばさ

西遊記

不毛地帯

Mako011 club Rico同窓会会場。じいや「お嬢様~、ごっこガーデンの浪花少年探偵団教室セットはおとなりです~」まこぼぎゃああああん。きこりさんちのラーメンゲットやで~。うちにかくれてラーメンパーティーとか百億年早いのでしゅ~。さあ、この後は朝までソフトボール大会じゃけんね~、そしてそのままGTOごっこに突入するのでしゅ~シャブリうわーっ・・・何気に夏は席順の季節なのを忘れてました~。ここで小学生、あそこで高校生、あっちも高校生か・・・金八がなくて・・・よかったと言えるのでした~。じいやに代わって申しましょう・・・殺す気かっくういやあ・・・2時間スペシャルはいらなかったねえ・・・でも、思ったよりはるかにいいドラマになりそうだ・・・来週に期待するよ~

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2012年7月 3日 (火)

ビューティフルレイン美雨(芦田愛菜)小さな頃は神様がいて(豊川悦司)

不思議に夢をかなえてくれたのである。

社会問題にもなった「家族のうた」最終回視聴率↘*3.4%の枠である。

「家族のうた」打ち切りのために・・・つなぎ番組として「早海さんと呼ばれる日スペシャル」が導入され、前篇↗*6.3%、後編↗*7.8%ときて・・・「ビューティフルレイン」初回↗12.9%である。

ものすごく高いわけではないが・・・心が穏やかになる数字であることはまちがいない。

「家族のうた」弟4話ゲストで↘*3.1%を食らった吉田里琴も・・・「ビューティフルレイン」レギュラー出演者としてホッと胸を撫でおろしただろう。いや・・・そこまで心配してないのじゃないか・・・何を言う・・・プロとして絶対に小さな胸を痛めてるに決まってる。

まあ・・・記録的な「あまりお茶の間に受けない番組」を作ってしまうのは・・・様々な要素があると思うが・・・基本的にプロデューサーがダメなのである。そうならないように保険をかけていないからだ・・・。まあ・・・日曜9時にドラマを激突させようという編成にも問題あるよね。

さて、キャスティング的には申し分ない・・・裏番組は来週スタート、脚本家以外には死角がないようだが・・・日9仁義なき戦いはまだまだ続くのである。

まあ・・・トヨエツとマナちゃんという最終兵器投入のフジは背水の陣と言えるけどなあ。

裏番組のオノマチが視聴率的にマナちゃんをいじめるというのは・・・虚構的には微笑ましい光景である。

で、『ビューティフルレイン・第1回』(フジテレビ20120701PM9~)脚本・羽原大介、演出・水田成英を見た。ビューティフルレイン(美しい雨)とは・・・ヒロインの名前・美雨(みう)である・・・どんだけストレートなんだよ・・・。主人公の木下圭介(豊川悦司)の一人娘であり・・・圭介にとっては目に入れても痛くない存在である。圭介と美雨(芦田愛菜)は父一人娘一人の二人暮らし・・・母親の妙子(石橋けい)は美雨が幼い頃に死去している。キャスティング的には実はまだ生きていたという展開はまずない・・・な。

脚本家は・・・苦労人のヴェテランだがつい最近、「ランナウェイ〜愛する君のために」(2011年TBSテレビ)というとんでもないドラマを仕上げた過去があるため、戦々恐々である。しかし・・・初回はまずまず無難な立ち上がりで安堵した・・・。

はっきりいって・・・この題材でこのキャスティングなら・・・ひたすら丁寧に作っていくだけで・・・名作になるはずです。そこんところ・・・よろしく。

というわけで・・・夏ドラマはじまり、はじまり~。

カーテンを開いて 

静かな木漏れ陽の

やさしさに包まれたなら

目に写る全てのことは

都電荒川線の走る下町の五丁目。

圭介は台所で目を覚ます。台所が圭介の寝床だ。

大手建設会社の社員だった圭介が金属加工工場「中村産業」の職人となり、工場の二階の一室に間借りしているのは・・・おそらく、妻に先立たれ・・・幼い娘を一人で育て上げる決意をしたからだろう。

圭介は手早く、洗面をすませると朝食の支度にとりかかる。ごはんに味噌汁に納豆。妻の遺影に手をあわせ・・・そして彼の宝物を起こしにかかるのである。

小さいながらもベッドと机そしてかわいいものに囲まれたお姫様は眠ったふりをしている。

もうすぐ八歳になる小学二年生の美雨は父親が大好きである。そして父親に起こされるのも大好きなのだ。

「美雨、おきなさい・・・朝だよ」

「・・・」

「いい天気だよ」

「・・・今、何時?」

「起きる時間だよ」

「後・・・五分・・・お願い・・・ね・・・」

「そんなこといってると・・・たいへんなことになるぞ」

そういうと圭介は美雨をくすぐりにかかる。

きゃはははは

「おきなさい」

「じゃ、もうちょっとしてよ~」

「だめ・・・おしまい」

どんなプレイなんだよ・・・。父と幼い娘にだけ許された至福のプレイである。

とにかく・・・父一人娘一人・・・つつましく幸せに生きているのだ・・・とりあえずその週末までは・・・。

中村産業は小さな町工場である。

社長の富美夫(蟹江敬三)とその妻・千恵子(丘みつ子)。先輩職人の宗田(でんでん)、後輩職人の勝田(三浦翔平)そして圭介というメンバー。すでに圭介は腕のいい職人として富美夫に信頼されているらしい。千恵子は美雨の祖母代わりを演じているらしい。

「社長・・・」

「どうした」

「娘がなわとび・・・忘れたんで届けに行っていいですか」

「娘に大甘だな」

「・・・」

小料理屋「はるこ」の女将は春子(国生さゆり)である。こちらは女手一つで息子を育てている。一人息子の新井小太郎(高木星来)は美雨の同級生で一番の仲良しだ。

「どうしたの・・・」

「なわとび・・・忘れちゃった」

「しょうがないな・・・あ」

「あ、お父さん」

美雨は「なわとび」を手に入れた。

もう・・・いいじゃないか。このままで・・・なにもおきない・・・幸せな日々をつづけようよ。

しかし・・・勝田が金属の部品を圭介の背後に危なっかしく積み上げて悲劇の幕が開くのである。

落下した部品で後頭部を強打した・・・圭介は失神する。

目覚めたのは病院のベッドである。外傷はたいしたことはないが・・・大事をとって精密検査を受ける圭介だった・・・。

近所の松山青果店の看板娘が中学一年生の菜子(吉田里琴)である。菜子はなんとアリスバレエ教室で美雨の先輩なのである。里琴・愛菜のバレエ姉妹・・・「舞姫 テレプシコーラ」(山岸凉子)幻想が駆け巡る・・・えー、じゃ千花(吉田里琴)ちゃん・・・死んじゃうのか・・・妄想はそこまでだ。レオタードに惑わされるなっ。

「最近・・・お父さん・・・忘れっぽくて」

「うちだってそうだよ・・・あっ」

病院を出て、その足でバレエ教室にやってきた圭介だった。

「お父さん・・・どうしたの・・・その頭」

美雨は圭介の頭の包帯を指す。

「ああ・・・これ・・・なんでもないのに大袈裟なことになっちゃって」

「大丈夫なの?」

「だじょうぶいっ」

とVサインを作る圭介・・・仮面の忍者かっ。

二人は夕飯の買い物に松山青果店にたちよる。

「えーと・・・」

「どうしたの・・・」

「・・・なんだっけ?」

「カレーでしょ・・・」

「そうだ・・・じゃがいもとたまねぎ・・・それからにんじんも・・・」

「ちぇっ」

美雨はにんじんが苦手だった。

夜。圭介は美雨の枕元でお話を聞かせる。

「なにかがちかづいてくる・・・ズシーン、ズシーン」

「えー、何がきたの?」

「つづきはまたあした~」

「え~」

お絵かき遠足である。圭介は「ピンクの水筒」を買う約束をしていたのだった。

「水筒は?」

「水筒?」

え~、買ってくれるって約束したのに」

「そ、そうだったか・・・?」

早朝の街を圭介は走った。金物屋はたたきおこされた。美雨は「ピンクの水筒」を手に入れた。

五丁目の警察官・立花(君嶋麻耶)は西脇アカネ(中谷美紀)を発見する。

富美夫と千恵子の娘である君島家に嫁いでいるのだが・・・突然実家に帰ってきたのである。携帯電話には夫らしき人物から連続着信しているが・・・無視である。

圭介の娘に対する甘さを冷かした富美夫だが・・・自分の娘には大甘で・・・突然の里帰りの理由を聞き出せないのだった。

アカネと美雨は昔・・・遊園地でメリーゴーランドに乗った仲であるらしい。

その頃、美雨は遠足のバスの中で小太郎から恐ろしい都市伝説を聞かされていた。

「森林公園には口裂け男がいるらしい・・・こんにちはと挨拶されてこんにちはと返事をするとマスクをはずした口裂け男に食べられちゃうんだって」

「あんた、子供ねえ・・・」

といいつつ・・・小太郎と探検に出かける美雨である。

林の中からマスクをした公園の管理職員らしき男があらわれて「きゃーっ」である。

美雨は「ピンクの水筒」を落とした。

帰宅してから水筒を紛失したことに気付いた美雨だったが・・・お父さんせっかく買ってくれた水筒をなくしたと言えずに嘘をついてしまう。

父と娘の約束である「嘘をつかない誓い」をやぶり気持ちが沈む美雨である。

土曜日は・・・少年野球のコーチをしている圭介だった。

小太郎と話をした・・・美雨は水筒を森林公園でなくしたことに気がつく。

一人で探検に出かけた美雨だったがまたしても口裂け男に遭遇。手に入れたのは「ひのきのぼう」だけだったのである。

一方、精密検査の結果を聞きにいった圭介は「恐ろしい未来」を手に入れるのである。

説明を担当するのは脳神経内科医の古賀医師(安田顕)だった。

「私は別に病を処方する医師ではありません・・・念のため・・・」

「それは他局の話でしょう・・・」

「そうでしたね・・・」

「それで・・・」

「説明する前にいくつかテストさせてください・・・」

「テスト・・・」

「次の三つの言葉を覚えてください。チキンラーメン、うさぎドロップ、うっかりさん」

「なんですか・・・」

「今は何月ですか・・・」

「七月・・・」

「さっきの三つ言葉を思い出してください・・・」

「えー・・・」

テストの結果はおもわしくなかった。

「昔から・・・テストは苦手なんです」

「この間の画像診断の結果を見てください・・・木下さんの脳には委縮が進行しています」

「なんですって」

「木下さんは若年性アルツハイマー病を発症していると考えられます。第一段階では・・・最近のことが覚えられない・・・第二段階では・・・携帯電話の使い方がわからなくなる・・・第三段階では自分が誰かもわからなくなり日常生活に支障をきたします・・・治す薬はまだ開発されていませんが・・・病状の進行を遅らせる薬はあります」

「そんなバカな」

「自覚症状もあるはずです・・・」

「あんたに・・・何がわかる・・・娘はまだ七歳なんだぞ・・・もうすぐ誕生日で八歳になるんだ・・・俺がそんなことになったら・・・娘は生きていけないじゃないかっ」

「・・・」

それぞれが・・・街を彷徨う父と娘だった・・・。

やがて・・・社長夫婦から・・・美雨が行方不明と知らされる圭介。

必死に街を捜すのである。

冷たい雨にうたれて 

街をさまよったの

時はいつの日にも

親切な友達

アカネが橋に佇む美雨を発見したのだった。

「どうしたんだ・・・」

「・・・お父さんとの約束やぶったの・・・水筒を失くしたのに・・・嘘をついたの」

必殺、ツイン・ドロップス・涙の滝である。

トヨエツも噂に訊く神童の神業に本気モードで対応するのだった。

「もう・・・いいんだよ・・・美雨は・・・嘘なんてついてない・・・だって今、お父さんに正直に話してくれたじゃないか・・・水筒なんてまた新しいのを買ってあげるから」

うえーん

美雨を優しく抱く圭介だった。

「だいじょうVだよ」

「だいじょうVなの」

たちまち笑顔になる父と娘だった。

「そういえば・・・お父さん・・・検査の結果・・・どうだったの?」

「・・・なんともなかったよ」

「だいじょうVなのね」

「しょうゆうこと」

娘に嘘をついた・・・父だった。

容赦なく主題歌「雨に願いを」を歌う美雨だった。

やはり・・・レベルが違いすぎるな・・・。

子を持つ親は・・・穏やかな気持ちでいられなかったりして・・・。

もう少し、子供らしくていいんじゃないか・・・とか言われたりして。

でもって、子供らしく歌が下手だと歌が下手だ・・・とか言われたりして。

まあ・・・そういうすべてと・・・天才は闘わないとね。

関連するキッドのブログ→Mother

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2012年7月 2日 (月)

教えて新しい時代を、聴かせて君の詩を、君よ君こそが反逆の天使(阿部サダヲ)

まさか・・・彼が大河ドラマのタイトルを飾る日がこようとは・・・。

出世したなぁぁぁぁぁぁぁぁっ。猫田のくせにぃぃぃぃぃぃっ。

しかし・・・信西は見事なまでの存在感。

かくて藤原頼長とともに急進的な改革者が時代の悪魔に葬られるシンボルとなったのである。

日本という国家が地方分権と中央集権の間を揺れ動きながら・・・形成されていく過程は今もなお続いている。

それは常に6:4の多数決で示される。

そして四を選択すれば常に敗北者となるのである。

しかし、六を選んでいたはずなのにいつの間にか四ということはありがちなのである。

時にはあえて四を選び死中に活を目指すものもいる。

まあ、この大河ではいつもピンロクの半ですがね。

で、『平清盛・第26回』(NHK総合20120701PM8~)脚本・藤本有紀、演出・渡辺一貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は、武士たるもの常に戦場に在りの精神で標準武装携帯常備の大手柄、平家一の郎党・平筑後守家貞の老境・描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。家貞・・・この年齢78・・・達者だなあ・・・でございますねえ~。いや・・・ある意味、化け物ですぞ~。足腰丈夫すぎ~、う、うらやましい・・・。

Tairakiyomori24 さあ、やってきました。このブログ愛読者ならおなじみ・・・西暦と元号のズレ問題発生です。キッドは今回の脚本は大絶賛なので・・・ツッコミたくはなかったのですが・・・そうせずにはいられないのですな。さて、西暦も様々あるのですが、基本は太陽暦、それに対し元号は太陰暦です。そのためにどうしても一年がぴったりかさなりません。で保元四年四月二十日に平治元年に改元された時は西暦(ユリウス歴)1159年5月9日なのですが・・・平治の乱勃発の平治元年十二月九日は・・・西暦1160年1月19日となっています。つまり・・・平治の乱が起きたのは平治元年(1159年)ではなくて・・・平治元年(1160年)なのです・・・あしからず。その日、反信西の名の下に後白河院の側近、源信頼を中心に、二条天皇親政派の藤原惟方を巻き込んだクーデター軍は後白河上皇とその妹・上西門院、そして二条天皇を内裏に軟禁すると・・・信西入道宅とそれに連なる後白河院の御所・三条殿を源義朝ら源氏武者に襲撃させる。狙いは信西入道の首である。信西を確実に殺害するために源氏武者には皆殺しの命令が下されていた。三条殿には平忠康ら北面の武士が警護していたが多勢に無勢である。火攻めが行われ、女官や童子までが惨殺され、三条殿の井戸は死体であふれたという。しかし・・・肝心の信西はすでに脱出していた。藤原信頼はただちに源氏武者に探索を命じる。熊野参詣のために紀伊の国にあった平清盛は急報を聞き直ちに京を目指す。

信西は息子たちをそれぞれ別方向に逃がすことで追手をかわす算段だった。その間に清盛が帰還すればカウンター・クーデターが可能となる。六波羅の平家に逃げ込むことを避けたのは万が一にも源氏が六波羅を急襲することを恐れたためである。しかし、翌日の10日には主な息子たちは捕縛され、大和路、近江路は封鎖されてしまう。南に向かっていた信西は伊賀に向かうために東に方向を変え、田原の山野に潜伏する。

55歳になる信西は疲れていた。郎党であり弟子でもある藤原師光はさらに逃げるように勧めるが・・・信西は拒絶する。

「このまま、東に抜ければ朝宮です、さすれば大津への道も開けます、あるいは南に進み伊賀へ・・・」

「いや・・・京から遠く離れすぎては時を逃す恐れがある・・・それに・・・我はもう動けぬ」

「この師光が背負うて参ります・・・」

「無理なことを言うな・・・それより・・・おそらく・・・伊賀より清盛配下の忍びのものが・・・京に向かっておるはずじゃ・・・汝はこれを迎えに出よ・・・」

「殿・・・」

「よい・・・いざとなれば我には土遁の術があるわ・・・」

「・・・」

師光が去ると、信西は自ら穴を掘りはじめる。信西自身も藤原の忍びである。しかし、入道となって以来、術の鍛錬からは遠ざかっていた。

(ふふふ・・・この年で土竜の術を使うことになるとはな・・・)

若き日に宋国への旅を夢見た信西は遁行の術も渡来のものを研究していた。

土竜の術の道具も自ら工夫している。

鉄匙で土を掘るのである。やがて、熱中した。

その時・・・背後に気配を感じた。

(清盛は・・・熊野の仕事を終えるまでは動けまい・・・早くて五日・・・遅ければ七日はかかるかもしれん)

清盛の熊野入りは妲己の封印の解除のためである。

それがなければ・・・三日で京に戻ってくる。

しかし・・・と信西は考える。藤原信頼は・・・人を苛むことに喜びを見出す変態であった。捕縛されれば・・・拷問されるであろう。

(あのブタ野郎にいたぶられるのは・・・いやじゃのう・・・)

信西は信頼を罵倒したことを後悔する。しかし・・・ブタにブタと言って何が悪い・・・と思いなおす。

気配は馬蹄の響きとなって迫ってきていた。

信西はあわてた。そして気を乱した。

「しまった」と叫んだ時には遅かった。心の臓が発作を起こしたのだ。

「ううむ・・・これはしくじった・・・」信西の姿はすでに半分、土に埋もれている。

「これが・・・天命というものか・・・」

土中で信西の手から鉄匙が滑り落ちる。

追手は・・・源出雲守である。彼は清盛から・・・事あれば信西を保護するように依頼されている。だからこそ・・・的確に信西の痕跡をたどってきたのである。

しかし・・・出雲守が信西発見した時・・・すでに土から半身を出した信西はこときれていた。

「憐れな・・・」

出雲守は仕方なく・・・信西の首をはねた。

それは平治元年十二月十三日の未明だった。

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2012年7月 1日 (日)

一休さん。(鈴木福)

・・・おいっ。

ものすごく、手を抜きましたが・・・なにか?

ま、ひとやすみだから・・・いいか。

まあ、みんな知っていると思うが・・・実在の一休が大徳寺の華叟宗曇から一休の道号を授かるのは20代前半と推定されている。だから・・・小坊主の一休さんなんていないのである。

だが・・・死後200年ほどで・・・一休さん伝説は完成し、室町幕府を批判した天皇家のご落胤という背景から・・・下々のものに愛されて・・・21世紀に至るのである。

ま、いつの世にも屁理屈野郎を愛する人々がいるのである。

そして・・・手垢のついたキャラクターでドラマを作るのはお手軽なんだな。

まさに「有ろじより 無ろじへ帰る 一休み 雨ふらば降れ 風ふかば吹け」的な話でございます。

で、『土曜プレミアム・一休さん』(フジテレビ20120630PM9~)脚本・高橋ナツコ、演出・樹下直美を見た。一休こと千菊丸は後小松天皇が官女に手をつけて産ませた子供である。さすがにナウシカ・ガール安田成美のような美人の伊予の局ならご寵愛もされるわけである。伊予の局は一節によれば南北朝の英雄楠木正成の孫娘とも、孫の娘ともされるが基本的には身分低き女のために・・・一休は親王にはなれなかったのである。

しかし、母の美貌を受け継ぎ、ものすごい美童であったために・・・男色家の名僧たちに愛されまくり・・・出生の秘密もあって・・・神秘的な存在となっていくのである。なにしろ・・・千の菊を持つ男の子だったのだ。・・・もう、やめとけ。

まあ・・・そういう生い立ちから・・・やがて、詩人として素晴らしい才能を発揮する。

つまり、美形の天才キャラなのである。有薗芳記みたいな肖像画からは連想が難しいのでご注意ください。

とにかく・・・誰もが抱きしめたくなる鈴木福と誰もが抱きたかった千菊丸では些少のニュアンスの違いが生じてるわけだが・・・それが一休さんと一休宗純の差異そのものであると言えるだろう。

今回、一休は「コドモ警察」の落としのナベさん(鏑木海智)こと黙然たち、小坊主仲間と友情を育んだり、庶民のさよちゃん(小林星蘭)やニセ一休(二宮星)と浮き名を流したり、蜷川新右衛門親当(成宮寛貴)や三代将軍足利義満(東山紀之)に可愛がられたり、母を訪ねて善光寺参りします。

この後、鈴木福は24時間テレビのお涙頂戴ドラマまでお休みなのか・・・。

ニセ一休こと「カーネーション」の幼少糸子でおなじみ、二宮星は昼ドラ「ぼくの夏休み」で主演である。夏休みのジュブナイル路線・・・今回は幼い兄妹が戦国時代・・・第二次世界大戦中だろうがっ・・・にタイムスリップである。そこそこ面白いといいなあ。まあ、「ひと夏のパパへ」の脚本家だからなあ。二宮星は「浪花探偵団」にも出演。ここには八木優希や、佐々木麻緒も集っていて・・・キャスティング的には本当にあなどれない。「ハタチの恋人」の脚本家もがらむが・・・原作ありきだし・・・ひょっとしたら・・・面白くなるかもしれん・・・。

おい、一休さんは・・・。

いまわの言葉が「死にたくねえよ」だった生臭坊主の少年時代を美化した話についてはもういいだろう。

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