悪魔っ子としてのレイコと玲子(大野いと)と魔女的ダークサイドの貞子(佐藤寛子)
NHKの解説者が「ひょっとしたら勝ち点1を取ることも夢ではない・・・」と強調した五輪男子サッカー日本VSスペイン。
終ってみれば勝ち点3ゲットだぜ。
値千金ゴールの大津・・・前の試合から「何か」が完全に憑依しているな。
で・・・憑依と無関係でないのが多重人格的発想である。
本人ではない誰かが本人という・・・何を言ってるか不明の状況を生み出すのが・・・フィクションというものだ。
ちなみに・・・解離性人格障害という怪しげな病名はさておき・・・多重人格には人々を魅了する何かがあるのだろう。
さて・・・多重人格についてあまり詳しくない方に説明するが・・・キッドの多重人格は同時性多重人格である。
あくまで、たとえであるが・・・ドラマを書いている時の脚本家の頭の中を想像してもらいたい。そこでは登場人物たちが次々とセリフを言ったりしているわけである。
キッドの場合はこれが日常茶飯事的に展開されているわけで・・・時には日常生活に支障をきたすのである。
一方、多くの脚本家の書くドラマに登場するのはほとんどが交替性多重人格である。ジギル博士がいる時にはハイド氏はいないのである。キツネに憑依されればコーンと鳴くのである。悪魔に占領されればブリッジで歩行します。
多重人格は大きく分けて・・・この二種類があります。
まあ・・・同時性多重人格は病気ではないという考え方もあります。インターフェイスを失えば統合失調症みたいになるけどな。
で、『東野圭吾ミステリーズ・第4回・レイコと玲子』(フジテレビ20120726PM10~)脚本・山本健介(他)、演出・川村泰祐を見た。脚本・演出ともに原作への読み込みや多重人格への理解が浅く・・・やや・・・不明瞭な展開になっているのが残念だが・・・レイコ(大野いと)がものすごくいい感じなので・・・それなりにミステリアスでした。
ある雨の夜。中年の男が刺殺された。
目撃者の証言から、「赤い傘をさした長い髪の少女」が容疑者として浮上する。
その夜、少年犯罪の案件を多く手がける弁護士・浅野葉子(観月ありさ)は記憶を喪失した少女レイコ(大野いと)を保護する。
浅野の知人である心理カウンセラー・藤川(吉田栄作)はストレス性の記憶障害ではないかとアドバイスする。
その頃、中年男の妻が不倫中であることをつかんだ今西刑事(平田満)は・・・その男が勤務する学習塾に張りこむ・・・違うんじゃないか・・・そのくらいシンプルにした方がいい。
主人公がかなり複雑だからな・・・・ちなみに浅野は虐待経験を乗り越えて性善説を信じる弁護士で、今西刑事は職業的に性悪説にたっている。
弁護士は人を信じるのが仕事・・・刑事は人を疑うのが仕事だが・・・本当は刑事だって人を信じたいなどと甘いことを叫ぶのである。
もう、このあたりからオチは見えているのである。
そして、核心は「殺人というタブーは絶対的な法則ではなく、単にタブーにすぎない」という精神の存在である。
やがて・・・浅野弁護士はレイコと出会った場所で赤い傘と凶器を発見する。
同時に、藤川と二人きりになったレイコは豹変し・・・男性を嫌悪し、殺害しようとする凶暴なキャラクターとなる。
ここで刑事たちも合流し、二人のレイコと対峙することになる。
父親からの暴行を受けたことで異常な人格となったレイコ。
健全な人々は記憶を失ったレイコこそが本来の山下玲子であり、凶暴なレイコを第二の人格と考え・・・レイコと玲子の多重人格を受け入れてしまう。
レイコは保護者的な女性に接近する男性を排除しようとする傾向があり・・・被害者の妻はこれを利用して・・・夫を玲子に殺害させようとした・・・という計画が妻の愛人から告白されるのである。
レイコは心神喪失のために責任能力なしと判定され、罪科を逃れることになる。
善意の勝利と見えた瞬間、凶暴なレイコこそが玲子の本質であることが本人の口から語られ・・・健全な人々は苦い味に顔をしかめるのだった。
「あっははは・・・悪が悪いことだなんて・・・ただの言葉の問題じゃないの・・・私はただ私。殺したい男を殺すだけ・・・」
大野いと、抜群でございました。
関連するキッドのブログ→第3話のレビュー
で、『VISION-殺しが見える女-・第3回』(日本テレビ20120726PM1158~)脚本・原案・脚本:飯田譲治、演出・植田尚を見た。第三の殺人者である高級秘密クラブのエスコートガール・水島貞子(佐藤寛子)はクリスティーナの「秘密」を玲奈(山田優)に開示する。
クリスティーナは玲奈のダークサイドである・・・と。
一方でどこぞの口の重たい准教授(野間口徹)が登場。玲奈が二重人格である可能性を示唆する。
う~ん。時間も局も違うのに二重人格の女の夜である。
しかし・・・玲奈は単なる二重人格ではなく・・・ダークサイドの魔女であるモンスターが人間の皮をまとっているに過ぎないという展開である。
この場合は・・・「ヨハネの黙示録」に見られる・・・神と悪魔の対立の図式を考慮しなければならない。
悪意の源は・・・もちろん・・・悪魔の棲む世界にあるのである。
魔女クリスティーナは・・・人間の中に潜む悪への傾斜に働きかけ・・・「悪の花」を開花させる怪物なのである。
玲奈は自分の中に恐ろしいものが潜んでいることを察知する。
そして・・・一般人にはもちろん・・・為す術はないのである。
人間たちは使い魔としての殺人鬼と化すか、ただあわてふためくだけなのだな。
もちろん・・・玲奈には天使も宿っていることは確実である。
天使の玲奈がクリスティーナを封じることができるかどうか・・・ハルマゲドンが始ったのだ。
さて、クリスティーナの第三使徒・貞子を演じる佐藤寛子は家族八景第2話に登場した桐生綾子もなかなかの存在感だったが・・・ホラーブームだった2005年の秀作「いちばん暗いのは夜明け前」(テレビ東京)の第五話主役である。あの頃のソニンはかわいかったな。熊田曜子とか、安田美沙子とか、安めぐみとか、かでなれおんとか・・・みんな若かったのね~。
刑事も追いつけないスピードで逃走し、最後は破滅のために追跡する覆面パトカーに特攻・・・。素晴らしい体当たりの演技である。ま、そのままですが。
関連するキッドのブログ→第2話のレビュー
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