高所恐怖症の男は飛び降り自殺をするか?(多部未華子)痛っ(木村文乃)
大人しく夏休みに入るものもあれば季節なんて知った事かいっ・・・のドラマもある。
大路小学校は「球技大会」である。
もうなんていうか・・・我が道を行ってるね。
時々、多部未華子が薄着になって・・・無理矢理の胸元サービスやら、太ももサービスをするわけだが・・・春のお色気祭りの名残である。
今回の本筋にあたる原作小説の初出は1990年(「しのぶセンセは勉強中」)である。
時代が変わっても不変のものもあるが・・・かなり変わってしまうこともある。
22年も経てば・・・事情はかなり変わるものだよなあ。
中小企業の販売部長が・・・パソコンにさわったことがなく・・・パソコン教室に通っている・・・ものすごくピンと来ませんな・・・きっと。
企業の経営理念なんかも・・・「人材」という点ではもう少し、複雑化しているだろうなあ。
推理ものとしての骨子は実にしっかりしているので・・・脚色するものは・・・もう少し・・・アレンジャーとしての「仕事」をしてもらいたいもんだ。
そうじゃなかったら・・・最初から・・・これは「世界がこれほど混沌としていなかった20世紀の頃の話です」という展開にするべきだろう。
で、『浪花少年探偵団・第4回』(TBSテレビ20120723PM8~)原作・東野圭吾、脚本・江頭美智留、演出・清弘誠を見た。・・・とは言うものの・・・かなりアレンジはされているのである。ただ・・・それが凄く面白いかというと・・・微妙なんだよなあ・・・ただし、これは好みの問題もある。たとえば・・・「野球はチームワーク」であると言いながら刺激を求めてイチローはマリナーズからヤンキースに移籍する。そこでヒットを放ち、盗塁を決める。そういう世界では「与えられたポジションでできることをすればいい」という理屈は基本的には通用しないだろう。そのあたりのジレンマをドラマは描いて欲しいよね。だって・・・人が死んでるんだから。
球技大会では6年2組の陣頭指揮にあたるしのぶセンセ(多部未華子)である。
ここから話は三点に分岐していく。
第一点・・・児童たちの話。学級委員の土屋芙美(八木優希)の面倒見の良さを示す回である。面倒を見られるのは中西雄太(吉岡竜輝)で・・・「カーネーション」でヒロインの幼馴染・勘助を演じている子役で・・・八木優希は「おひさま」ヒロインの子役であるから・・・微妙にずれているのである。ちなみに「カーネーション」ヒロインの子役の二宮星が同級生の上原を演じていて、雄太の破れたズボンから見えているパンツをガン見しているわけであるから・・・ややこしい。いや、別に一般人はややこしく感じないぞ。
とにかく・・・一年前の球技大会で自分がエラーしたことでクラスの敗北を招いた雄太は「消極的な男」になっているのである。そんな雄太のやぶれたスボンを縫ってやり、お守りを渡したりする芙美・・・。いや・・・ひょっとして・・・これは初恋なのか。相手に不足ありじゃないのか。
ともかく・・・もうすぐ転校する雄太にクラスメイトたちは「いい思い出」をプレゼントしようと一致団結するのであった。・・・という話にはなっているが・・・ボリュームが不足しているので取ってつけた感じがものすごくいたします。たとえば・・・パンツを縫うのは上原で、お守り渡すのは芙美のように役割分担させれば・・・「友情」という点では些少違うレベルになっただろう。恋に持って行くのならば・・・次回に展開すれば・・・フリとして認めますけど。転校話があるわけですからな。
第二点・・・しのぶのライバル教師・榛名美佳(木村文乃)はしのぶの打球をあびておでこにたんこぶをつくる。ファール・ボールに注意しなければならない恐ろしい小学校である。このあたりの笑えるんだか笑えないんだか微妙なコントは・・・まあ、脚本家の得意分野なのだろう。いつか・・・美佳先生の回があればいいと思うのだが・・・しのぶに思いを寄せる本間(山本耕史)に思いを寄せるというあくまで三枚目な展開。しかし、おでこを赤く内出血で染めて街でチンピラにからまれているところ本間に助けてもらったり、本間のラフマニノフの話に対応できたり、本間がしのぶのために用意した花束を略奪したりと・・・運命的な勘違いの階段を昇らせられていることは確実である。このあたり・・・トータルでストーリーが組まれているといいなあ。一話でスルーでなくて・・・。
第三点・・・そんなしのぶの活動を覗き見る怪しい老人。実は西丸商店会長・西丸仙兵衛(蟹江敬三)であり・・・本間から噂を聞いてしのぶを正社員としてスカウトしようとやってきたのだった。この点、原作では仙兵衛がしのぶと知りあう描写がもっとスムーズであり、いろいろとアレンジするうちに本質を見失った感じがする。なんで・・・しのぶをヘッドハンティングしようと仙兵衛が決意したのか・・・最後まで不可解だったものな。
ともかく・・・ミステリとしては第三点から事件が発生し・・・しのぶセンセがからんでいくわけである。
で・・・一応・・・事件の背景に・・・「あるべき企業の姿」とそれに沿った人材の「教育」の話が横たわるわけだが・・・その主張がものすごくピンとこないわけである。
経営の合理化と・・・ゆとり社会は相容れないもんな・・・基本的に。
まあ・・・作者が本当にそう考えているなら・・・それはそれでおめでたいことだと言う他はないのである。
「スカウト」の話をするために「しゃぶしゃぶ」でしのぶを釣り上げた仙兵衛が・・・室内懐中電灯生活の自宅で本題に入ろうとすると・・・叫び声と衝突音が響き・・・本社ビルから西丸商店販売部長の米岡(牧村泉三郎)が転落死する事件が発生する。
仙兵衛は瀕死の米岡の傍にしのぶを残し、社内の様子を見に行く。
間もなく・・・漆崎刑事(段田安則)と新藤刑事(小池徹平)のコンビが現場に到着。例によってしのぶは事件に介入していくのである。
仙兵衛は米岡が転落したと思われる部屋は密室だったことを強調し、自殺と決めつける。
もちろん、しのぶはさして理由もなく他殺を疑うのだった。
刑事コンビは現場に残されたヒモつきの脚立や、曲がったカーテンレール、不自然なファイルの陳列などから自殺と事故の両面を疑って捜査を開始するのだった。
そこへ・・・西丸商店社長で仙兵衛の息子の昭一(梶原善)が到着する。
「役に立たない上に・・・こんな不祥事を起こして・・・しょうもない社員をもったもんや」
昭一の心ない言動に・・・しのぶは驚愕する。
そして仙兵衛は複雑な感情を浮かべるのだった。
しのぶは会長・社長父子の間にある確執が事件の核心なのではないかと直感し・・・独自の捜査を開始するのである。
その結果・・・ものすごくケチな会長に育てられた社長がものすごく心のまずしい男になってしまったことを知るのである。
「経営合理化」一点張りの社長に対して「ケチだけど家族的経営」を目指す会長は危機感を覚えていたのだった。
しのぶを社員として雇用しようとしたのは・・・社長の冷たさがしのぶのホットさで解凍するのではないかと期待したためらしい。
捜査の結果・・・事故を社長が自殺に偽装したことが判明する。
「息子の経営方針ではいつか自殺者が出る・・・そのことを息子に示したかった・・・」と親バカをさらけ出す会長だった。
「まったく・・・バカなことをしたもんだ」と呆れる社長。
しかし・・・しのぶは・・・「これはただの事故やあらへんで・・・」と真相を解き明かすのだった。
米岡は社長の席の背後で首つり自殺をしようとして・・・誤って転落死してしまったのである。
「事故やけど・・・自殺なんや・・・あんたが部下を死においやったんや・・・」
「・・・」
「あの米岡はな・・・若い頃のお前のミスを必死にかばった男やで・・・」と会長。
「・・・」
ようやく・・・社長の心にも何か感じるものがあったようだが・・・キッドの心は地獄の氷のように冷たいのでそのあたりのことはよくわかりませんでした。
まあ・・・こうなる前に会長が社長を解任しておくべきだったのでしょうな。
しかし・・・まあ・・・すべて結果論ですから~。
とにかく・・・死のうとした人間が、結果死ねて良かったと言うしかないのでございます。
なにしろ・・・モラトリアムな学校世界と現実社会の企業世界とでは世界が違うわけですから。
関連するキッドのブログ→第3話のレビュー
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コメント
おおーーーそう言えば今時パソコン教室かいな。
とか、パソコンできへん事務員ってホンマ雇っといて平気なん?とか、
色々とツッコみましたわ。
でも、最終的にはなぜか「ま、えっか」と思ってしまうのです。
なんか変な魔法にでも掛かってるんでしょうか?
鬼塚の「ダチダチ」はウザくてついに離脱してしまいましたが、
しのぶセンセに「みんな友達やろ」と言われると、そーやね、うんうん…と…
そんな気持ちになってしまうんですわ。
まぁ、生徒の年齢も違うわけですが^^;
そんなこんなでこの甘いドラマを結構楽しんでいる私は
やはり今の朝ドラを見続けているおかげで目が甘くなっているのでしょう…^^;
それでも、多部ちゃんと子供たちは可愛いのでした。
投稿: くう | 2012年7月25日 (水) 02時32分
まあ、キッドもツイッターにまで手がのびない
過去の人材なのでございます。
とにかく・・・携帯電話を肩にかけていた時代の
原作ですからな・・・もう少し気をつかったもらいたいですな。
まあ・・・脚本家が原稿用紙に書いてるタイプなのかも
しれませんけれど~。
「ま、えっか」と思えるのは
やはり・・・配役の豪華さでしょうな。
なにしろ・・・近所のしょうもないおばさんをスケバン刑事が・・・。
しょうもないオカンを松坂慶子が・・・。
しょうもない刑事を小池くんが・・・。
しょうもないお見合い相手を頼長様が・・・。
しょうもない校長先生を喜び多い男が・・・。
しょうもない子供たちを豪華子役陣が・・・・
そして何よりしょうもないヒロインを超絶妄想姫が
演じておりますからな。
まさにしょうもない世界の決定版みたいな重厚さがございまする。
しのぶセンセのきれいごとは
きれいごとだか
単にしょうもないのか判別不能ですからなーーーっ。
もう、納得しないと失礼だもんなというレベルです。
何があっても子供たちには幸せになってもらいたい・・・
それはすべての大人たちの基本でございますし・・・。
しのぶセンセのパワーが及ぶ限り
子供たちはなんとかなる・・・そういう安心感は捨てがたいですからな。
もう「万歳」するしかございませんよね。
小学校で幸せな味を覚えておけば・・・
いつだってそれを思い出して
ある程度の「強さ」を得ることができる。
戦後の日本人が到達した一つの「教え」が・・・
きっとここにはあるのでございますよ。
くう様がかかっているのは
そういう「魔法」なのではないでしょうかな。
投稿: キッド | 2012年7月25日 (水) 03時08分