犯人のいない殺人の夜の死体(八木のぞみ)と身代わり(関めぐみ)のVISION(山田優)
やっぱり二本立てなのかよ・・・。
いやあ・・・二本とも甲乙つけがたい出来なのでございまして・・・チョイスできかねます。
でも・・・絶対中途半端な記事になるだろう・・・。
まあ、よろしいではございませんか・・・所詮、中途半端な記事なのですから・・・。
じいや・・・最近、慇懃無礼が極まってきたな。
そうでございましょうか・・・執事たるもの懇切丁寧をモットーとしておりますが・・・。
っていうか・・・タイトルに坂口憲二入れるべきだろう。
あまりに冷酷な殺人者が板についていて・・・恐ろしかったものですから・・・。
まあ、天才心臓外科医(「医龍 -Team Medical Dragon-」の朝田龍太郎)なんて・・・冷酷な殺人者と紙一重の存在だからな。
ごもっともでございます。
で、『東野圭吾ミステリーズ・第2回・犯人のいない殺人の夜』(フジテレビ20120712PM10~)脚本・ひかわかよ、演出・澤田鎌作を見た。犯人がなんらかの罪を犯し探偵に追及される。ミステリの基本の一つである。探偵が刑事であるのは非常にオーソドックスである。前回の鈴木刑事(西岡徳馬)に続いて今回の高野刑事(中原丈雄)も際どい落とし方をしていて・・・犯人の気分しだいで法廷は修羅場となるな・・・ガムも決定的証拠とは言えないし・・・とにかく否認できるもんな~。それはさておき・・・ミステリの基本の一つに「ひねり」がある。まあ、ミステリに限らず「ひねり」はエンターティメントの基本である。ビートルズがカヴァーしてヒットした「ツイスト・アンド・シャウト」なんてさらに「叫び」も加味してるからな。
前回は「被害者の真意」がひねりのポイントだったが・・・今回は「意外な犯人」というひねりである。
もちろん・・・そこに至るまでにも別の「ひねり」が加わり、ダンスとしてのツイストが完成していくのである。
その手際は実に鮮やかだ。
あー、あー、あー、あー、あああああああああっと言う感じなのである。
社会的な地位と名声を築いた男・岸田創介(白井晃)の邸宅で殺人事件が発生する。
被害者は英語の家庭教師・八木由紀子(八木のぞみ)である。
「鈴子の恋 ミヤコ蝶々女の一代記」(2012年フジテレビ)で南都雄二の浮気相手を演じたり、現在の月9で秘書役を務めている八木のぞみは木村文乃と同じ事務所。殺されもただでは死なない感じの役柄が将来を期待させる。
加害者は岸田創介の次男・岸田隆夫(吉田憲祐)で、後妻の岸田時枝(雛形あきこ)の子供である。
その夜、岸田家には岸田夫妻と先妻の子供の長男・岸田正樹(八神蓮)・・・そして理数系の家庭教師の佐藤拓也(坂口憲二)がいた。
隆夫はリンゴの皮を剥くことについて八木にからかわれ衝動的に果物ナイフで刺殺したらしい。
警察に通報しようとする佐藤を創介が制止する・・・「岸田家から犯罪者を出すわけにはいかない・・・なかったことにしてくれ」と哀願である。
そして、口止め料として2000万円が提示される。
殺人事件の証人が・・・一転して死体遺棄の共犯者に変ずる。(第一のひねり)
死体は佐藤と長男の正樹によって山中に埋葬される。
佐藤は単に事件に巻き込まれただけのように見えたが・・・被害者の部屋に証拠隠滅に出向く。しかし・・・室内には佐藤と被害者のスナップ写真が飾られている。
無関係の第三者は一転してなんらかの関係者である。(第二のひねり)
同時に被害者は偽名を使っていて・・・岸田家とは因縁深い安藤家の人間であることがわかる。(第三のひねり)
そして、岸田家には安藤の兄を名乗る男(柳憂怜)が妹の消息を求めて訪ねてくるのである。
犯行の発覚の恐れが生じ・・・口止め料は1000万円上乗せされるのだった。
すでに・・・佐藤は別の顔を見せ始める。(第四のひねり)
やがて・・・集中豪雨によって被害者の死体が流出する。おりしも・・・現実の関東地方でも大雨注意報のテロップが・・・想像を越えた大雨が降る時代らしい。なんらかの事情によって死体を山に埋めている人々は眠れぬ夜を過ごしていたに違いない・・・そうなのかっ。
被害者のダミーとして佐藤の恋人の河合雅美(関めぐみ)が関わるが・・・どうやら・・・佐藤は複数の愛人と交際していたらしい。
そして・・・岸田家に恨みを持っていた被害者を利用した佐藤のおそるべき計画殺人が高野刑事によって解明されていくのである。(最後のひねり)
まあ・・・二枚の写真を使ったトリックはあまりにも見え透いた手口で・・・まんまと佐藤がひっかかるのは奇妙と言えるが・・・まあ・・・自信過剰の人間にはありがちな落とし穴としてスルーしておくことにする。
これは・・・ヴェテラン演出家の自信過剰が招いた穴なのだろう。
ともかく・・・坂口憲二のダーティー・ヒーローぶりはなかなかに見応えがある。
今回は逮捕されずに後、10人くらいは殺して殺して殺しまくってもらいたいほどである。
「殺人鬼と呼ばれた男・佐藤」シリーズが見たいぞ。
すべてのツイスト終了後・・・高野刑事は問う。
「殺さなくってもよかったんじゃないか・・・」
「あの女・・・結婚したいなんて言うもんだから・・・死体になっちゃったんですよ」
「だじゃれかっ」
・・・妄想はそこまでだ。
関連するキッドのブログ→第一話のレビュー
で、『VISION-殺しが見える女-・第2回』(日本テレビ20120712PM1158~)脚本・原案・脚本:飯田譲治、演出・星野和成を見た。なるほど・・・そうきたか・・・という第二回だった。やはり・・・殺人鬼を招く女クリスティーナはレギュラーだったのだな。
二流と三流の間における微妙な立場にいるモデル・来栖玲奈(山田優)と奇妙な関わりをもった謹慎中の刑事・浅野和馬(金子ノブアキ)に明らかにキャラクター造形が失敗しかかっている崎坂刑事(矢柴俊博)が新たなる展開を告げに来る。
トイレから始る物語は別にあってもいいが・・・特に必要ないとも言える。
ま・・・好みの問題であるかもしれないが・・・もう少し、無味無臭で始った方が純粋にオカルトを楽しめると思うが・・・いかがかな。
根っからのいじめられっ子体質で・・・社会に出ても同僚からいじめを受ける立原(中村倫也)は来栖玲奈のプロフィール写真を一目見るなり「クリスティーナ現象」に支配されるのである。
そして・・・いじめを続ける同僚をあっさりと刺殺するのだった。
現場には「クリスティーナ」という書き置きが残され・・・崎坂刑事は来栖玲奈が事件となんらかの関わりがあるのではないかと疑い・・・謹慎刑事に来栖の監視を依頼するのである。
おりしも・・・来栖は立原を幻視するのだった。
それにしても来栖のルームメイト・朝倉マリア(コトウロレナ)・・・トランシルバニア出身かよっ、高見雪乃(麻倉みな)は南アフリカからの帰国子女だし・・・そんなところで国際色出してどうするんだ・・・。
まあ・・・そういう趣味も含めて・・・作品の個性だから・・・しょうがないな。
「クリスティーナ・・・君のために・・・あと二人殺すよ・・・」
二代目・幻の男・立原に宣言されて・・・引き籠る来栖。
尋ねて来た謹慎刑事は・・・立原の写真を見せて確認する。
「この男よ・・・」
「・・・」
「信じないんでしょ・・・」
「・・・」
だが・・・来栖の証言を裏付けるように立原は高校時代の同級生でいじめっ子だった自動車整備工を撲殺するのだった。
「クリスティーナ、君のために悪賢い奴を殺してあげる」
来栖の謎を解明するために呼び出された心理学者・田口(酒井敏也)は「あなたは混乱している・・・すべては幻想です」と全く超常現象を認めないのだった。
だが、ふたたび、来栖の前に現れた幻の立原は立っているのに側頭部から真横に血をしたたらせる。ある意味、超物理現象である。
謹慎刑事が「なんとなく真相を解明する」スペックを開花し始める。
「すると・・・犯人はどこからか落下して・・・頭部を損傷するのかもしれない。横向きに倒れたところで・・・こう・・・血がダラダラと・・・」
「やめてよ・・・」
「悪賢い奴か・・・あいつか」
簡単に言えば直感によって・・・来栖のマネージャー・清末(勝村政信)が第三の被害者であると想定する謹慎刑事。
その推測通りに・・・清末は立原に襲撃されていた。
間一髪、命拾いをする清末。
「クリスティーナ、すべて、君のためだ」
謎の言葉を残して逃走する立原は非常階段を転げ落ち・・・幻視した通りの顔で死亡するのだった。
茫然と立ちすくむ謹慎刑事と来栖だった。
来栖は単なる霊的目撃者ではなく・・・何らかの霊的発信者であるらしい。
つまり・・・殺人鬼→来栖ではなく・・・来栖→殺人鬼なのだ。
クリスティーナ現象の謎の解明は今、始ったばかりなのである。
ちなみに・・・「犯人のいない殺人の夜」の坂口憲二といえば「池袋ウエストゲートパーク」のドーベルマン山井であるが・・・金子ノブアキといえば「池袋ウエストゲートパーク・スープの回」のRIZEのドラマーである。
なんとなく「池袋ウエストゲートパーク」な夜だった。
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