25点(井上真央)が30点(木南晴夏)を笑うトッカン式刃傷沙汰(星野真里)
午前4時、宮城県沖で地震があり、仙台で震度5強である。
20110311の大地震の余震はまだ続くのだ。
次は死者10倍の超巨大地震が予定されている。
地球スケールで進む危機に対して、我が国の議会はバナナの皮を投げ合っているのである。
熱帯深夜の公共放送は「凍てつく惑星」(再)では極地の氷解について「目に見える異変」を紡ぎだす。
氷は融け、白くまの母子は路頭に迷う。
餌のアザラシを獲るためには春の氷原が必要なのだが、その面積は二十年で半減したのである。
ペンギンたちの餌も減少し、ペンギンの親は子に充分な餌を与えることができない。
氷が失われ、氷に生じる藻が失われ、藻を食べるプランクトンが失われ、プランクトンを食べるベンギンが失われるのである。
氷河の河口は後退する。
午前4時15分、余震の余震が関東地方まで南下する。
首都にある密林の書斎も揺れる。
アラブの春は世界戦争の兆しである。情報は流出し、豊かさは伝播していく。貧しい人々は慄く。
我が国と同じ経済力を持ちながら、10倍の人口を養う隣国はエネルギーを求めて周辺に摩擦を生じさせる。
子供たちの安全・・・平和を願う人々の志を虚しいものに感じさせる人類の一人勝ちへの危惧。
長寿大国の胸の内に震える不安材料。
素っ頓狂な目をした学者が「電子書籍」の楽観的未来を語る。
「著者と消費者がともに喜ぶ結果」は街から本屋を駆逐していく。紙の製造、印刷、製本、流通の過程の様々な職人技が消えていく。個性は消え、定番と無意味な個人情報だけが増殖する。
「変わらないもの」を求める人々は「戦争」による「人口減少」を真剣に考慮する。
「クリーン」な「大量破壊兵器」で「人類」をそこそこ間引くことは「必要不可欠」なのかもしれない。
なにしろ、五年で五億人も人口が増加しているのである。毎年、日本人分が増加しているわけだ。
現在、70億人の人類と2万頭のホッキョクグマ・・・2万頭を救うために30億人くらい安楽死させるとバランスがとれるだろう。
「フローズン プラネット」のナビゲーター・大沢たかおが「母子は来年の夏を生き伸びることができるだろうか」と案ずる必要もなくなるのだ。
それによって温暖化は遠のくだろう。クルマ社会は崩壊し、大物タレントのCM出演料は目減りする。
問題は「30億人」の名簿の作成である。
「俺だけは除外してくれ」というエゴイストをどうやって沈黙させるか・・・だ。
そういう時代に我が国のテレビは「マエアツの卒業」に相当な時間を割く。
花盛りの早熟な子役たちが大人になる頃・・・未曾有の時代がやってくるだろう。
悪魔は今夜も忍び笑う。
で、『トッカン 特別国税徴収官・第7回』(日本テレビ20120829PM10~)原作・高殿円、脚本・いずみ吉紘、演出・水田伸生を見た。縮小する日本経済を支える日本の役人たちの給金を稼ぎだすために税金の滞納を許さない国税徴収官たちの活躍は黙々と続いているのである。東京の夜の帝王が逝去した。高級水商売で利益をあげ、高度成長を支え、高額納税をした名士である。後継者である娘婿の豊成陽一(関戸将志)は紳士の殿堂をガールズ・バー「FAIRY POINT」に改装し、不景気を理由に納税を停滞させている。急激な納税額の変化を税務署はけして見逃さない。早速、ガールズバーに客を装った宝町税務署徴収第1部門統括国税徴収官・釜地(笠原秀幸)を送りこみ内偵を開始する。たちまち、店の売り上げが申告されたものより大幅に多いことが判明するのだった。
国庫に納められるべき金がどこかに消えているのである。
トッカンこと宝町税務署特別国税徴収官・鏡(北村有起哉)は手下の国税徴収官・ぐ~子こと鈴宮(井上真央)に豊成オーナーの尾行監視を命ずるのだった。
その背景には宝町税務署徴収第1部門統括国税徴収官・金子(池田鉄洋)の第2部門との徴収額争いがあるのだった。
「役人といえども・・・成績次第でポジションを失う可能性がある」
「安定も勝ち取るべきものなんですね」
どこまでも続く生存競争の連鎖なのである。
ぐ~子も人民から金を毟り取る立派な徴収官へ成長しているのだ。
一方、国立税務署から移動してきた宝町税務署徴収第1部門徴収官の錨(星野真里)は窓口相談で抜群の成績をあげるが・・・宝町税務署上席国税徴収官・鍋島(鈴木砂羽)は錨の言動に情緒不安定さを感じ、危惧を覚えるのだった。
「あなた・・・口のきき方がおかしいわ」
「嫌われているんですね・・・それは仕事も家庭も順調な私への独身上席の嫉妬ですか」
「なんですって~」
「ゴキブリ」
素敵な先輩たちの怪しい雲行きにあたふたとするぐ~子だった。
ガールズバーを内定する豊成はマネージャーの尾崎(松尾諭)の働きぶりに着目する。オーナーの豊成は全く店に顔を見せないが・・・尾崎は勤勉なのである。
一方、豊成を尾行するぐ~子は豊成が妻(松田沙紀-元宝塚歌劇団宙組娘役・咲花杏)と頻繁に買い物をする場面に遭遇するが・・・隠し資金をあぶり出せない。
「内情を探るためには・・・ガールズバーのガールズになるしかない」
潜入調査を決意したぐ~子は偶然、通りかかった国税局査察部情報部門査察官・南部(木南晴夏)とともにガールズバーのガールズ採用面接にチャレンジする。
「なにしろ・・・ルックス勝負なんで・・・残念ながら・・・二人とも不合格」
「ぐ~」
「どうしても働きたかったら整形してきてよ」
「私はもう整・・・」
「ぐ~ぐ~」
潜入に失敗したぐ~子だったが、マネージャー尾崎から、豊成の妻へと渡る売上金の流れをつかむのだった。
豊成は他人名義の口座に金をプールしていたのだった。
ぐ~子はガールズバーのガールズに直接アタックを敢行する。
「どうしても・・・ガールズになりたいんです~」
「無理じゃね・・・」
「なんか・・・いいバイトないですか・・・」
「そうねえ・・・名義貸しの口ならあるけど・・・口利き料30%でどう・・・」
「ぐ~」
しかし、身分詐称中に警官から職務質問されたぐ~子は補導されてしまうのだった。
泣き濡れて、トッカンに受け出されるぐ~子。
「ぐ~」
「ば、ばけもの・・・」
ついに・・・マネージャー尾崎から妻へ売上金が渡され、それを他人名義の口座に入金する妻の現場に踏み込み、差押を敢行するトッカンチーム。
「この金は国家のものなんです~」
「そんな~」
しかし、錨による情報漏えいで危なく逃走を許すところだったのである。
錨は滞納者専門の税理士と癒着しており、内部情報を保身のために利用していたのだった。
上席の鍋島に追及され、人格が崩壊しかかる錨。
そこへ・・・有能だったはずの錨の夫(宮崎吐夢)が現れる。
会社を退職し、ヒモになりさがった錨の夫は離婚届けをつきつけられ逆上していたのだった。
「頼むよ~。ヨリを戻してくれよ~」
「私がどんな思いで稼いでいるかも知らないで私のお金を毟り取って・・・ゴキブリ、ゴキブリ、ゴキブリ」
ついに発狂する錨である。妻に罵られ哄笑しながら刃物を取り出す錨の夫。
宝町税務署徴収第1部門は修羅場と化したのである。
その混乱の中・・・トッカンは不覚にも凶刃に倒れるのだった。
「む、無念・・・」
「ぐ~」
・・・とにかく・・・ドラマとしてはようやく水準点に・・・。
本筋とはまったく違うところで盛り上がっているわけだが・・・ここは「働く女の物語」の枠だからな・・・きっと、これでいいのだな。
ともかく、国家も国民がいる間が花だからな。
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