« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »

2012年8月31日 (金)

高校三年生殺人事件(三浦春馬)、ラインを越えた小さな故意の物語(三吉彩花)

東雲麻衣降臨である。

いつまで「熱海の捜査官」を引きずるんだよ・・・永遠に。

まあ、三吉彩花はまだ16才だからな、当分、美少女女子高校生できるけどな。

ちなみに三浦春馬(22)、大野卓朗(23)、波瑠(21)でなんちゃって高校生トリオである。

昨日、今日は「綾瀬はるか」も降臨しているのだが、「なでしこJAPAN日韓戦」も降臨しており、五輪が終わったというのに・・・殺す気か体制である。

しかも東京は35℃越えなのです。

暑さ寒さも彼岸までか・・・。その前に彼岸に旅立ってしまいそう・・・。

東北から関東にかけて放射能の雲が通り過ぎ、雨が何度も降ったので・・・子作りは極力さけるべき・・・なんて・・・ものすごいこと言っちゃう人もいるわけで・・・暑すぎるんだな・・・きっと太陽が。

で、『東野圭吾ミステリーズ・第8回・小さな故意の物語』(フジテレビ20120830PM1035~)脚本・川崎いづみ、演出・並木道子を見た。「小さな恋のものがたり」ならみつはしちかこの漫画だが、ここは「小さな恋の物語/アグネス・チャン」(1973年)だな。

夕映え空をきれいに染めてゆく

お話みたいに二人は恋するの

いついつまでもこの街で

いついつまでも暮したい

幼馴染の三人がいた。男と男と女だった。

高校三年生の中岡良(三浦春馬)の故意

あれは・・・サッカー部の最後の試合の後。俺と洋子(波瑠)と達也(大野拓朗)の三人は草原に寝転んだ。洋子と達也はお似合いのカップルだったけど・・・俺だってずっと洋子が好きだったんだ。だから・・・高校最後の思い出として・・・眠ったふりして洋子の手に手をかさねてみた。偶然を装ったけど・・・あれは故意だったんだ。

まるで夢見るような気持ちだった。

でも・・・達也が起き出して・・・洋子と二人で仲良く夕闇に消えて行った。

で・・・俺の恋の記憶はそれきりになるはずだったのだ。

でも・・・それからしばらくして達也は高校の屋上から転落死・・・警察には「自殺の原因」を聞かれたけど・・・そんなもの・・・思いつくはずもない。

だって・・・達也は頭も良くて・・・運動神経も抜群・・・陽気で・・・かわいい彼女がいて・・・そんな奴・・・普通自殺なんてしないだろう?

だから・・・俺はあれは事故だったんだと思う。

美術部の笠井美代子(三吉彩花)の故意

グラウンドを駆ける達也くんは本当にかっこいい。

だから・・・私はラインを越えてしまったのです。

こんな私が達也くんにふりむいてもらえるとは思えないけど・・・。

勇気を出してヴァレンタインデーにチョコレートを贈ったのです。

でも、達也くんはそれをサッカー部の仲間に分け与えていた。

私は哀しくて哀しくてその夜は泣きました。

でも・・・どうしてあきらめることができるでしょう。

それからもずっと遠くから達也くんを眺めていました。

そして・・・あの日、美術室から屋上にいる達也くんを発見しました。

マネージャーのかわいい彼女と屋上で楽しそうにしていたのです。

屋上の柵を乗り越えておどけてみせたりして・・・。

私は手鏡をとりだして・・・屋上の達也くんに太陽の光を反射させてみました。

ただ・・・私がいることに気付いてもらいたかったから・・・。

ふと・・・振り返った達也くんの目を光が捕えました。

そして、バランスを失った達也くんはまっさかさまに堕ちたのです。

偶然かどうか、問われれば故意だったと言うしかないのです。

私が・・・達也くんを殺したのです。

佐伯洋子の故意

達也と良と私。幼い頃からいつも三人一緒で・・・恋とは違う意味で仲良しだったの。

積極的な性格の達也はいつも強引に迫ってきて・・・いつの間にか、恋人同士みたいなことに。

別にそれはそれで楽しかったけど・・・何か違うと感じていた。

一日一日、季節が映る度、一年一年。

私の心の中にいつしか恋心が生じていたの。

でもその相手は達也ではなくて・・・良だった。

それを私が本当の意味で感じたのは・・・あの日。

眠っていた良の手が偶然、私に重なった日。

ああ、この人が私の恋する人。

この手のぬくもり、肌触りが私をときめかせる。

途端に・・・達也のことがとても疎ましくなってしまった。

だって・・・はっきり言って邪魔でしょう。

できれば・・・自然消滅が望ましかった。

だって・・・男同士の友情とか・・・なんだかんだ面倒臭いじゃない。

だから・・・あの日、突然、達也が屋上に呼び出して・・・

私に捨てられるくらいなら死ぬって言いだした時・・・

私は本当にうんざりしていた。

だって・・・達也を拾ったつもりなんてまったくなかったもの。

たまたま・・・となりにいただけの人だったんだもの。

その時・・・キラキラした光が見えたの。

あの光が達也をとらえたら・・・ひょっとしたら・・・と思ったわ。

そして・・・光が来る方向に私は故意に指差した。

「あれは何」ってね。

そして・・・望んだ通りのことが起こったの。

行原達也の故意

草叢でふと隣を見ると・・・洋子が良と手をつないでいた。

俺は知っていたさ・・・良が洋子を好きなこと。

でも、まさか、洋子が良を好きになるとはね。

女心って不思議だな。

嫉妬。嫉妬。嫉妬。

世界が闇の中に包まれちまった。

なんだか・・・生きているのが面倒になるほどにね。

で・・・屋上に洋子を呼び出してお決まりの愁嘆場さ。

もちろん、ポーズだけのつもりだったのさ。

でも・・・このまま行けば・・・良と洋子は結ばれちまう。

それじゃあ・・・俺があまりにも憐れだろう。

その時・・・光が見えたんだ。

二人を傷つけて・・・ざまあみろと言えるかもしれない。

俺は光に向かって跳んだのさ。

もちろん・・・それは故意だったのさ。

そして・・・俺はラインを越えたんだ。光の彼方の闇へと。

古びた教会の鐘の音ひびけば

あなたとつくるの小さな物語

いついつまでもこの街で

いついつまでも暮したい

関連するキッドのブログ→第7話のレビュー

サムライ・ハイスクール

で、『VISION-殺しが見える女-・第8回』(日本テレビ20120830PM1158~)脚本・原案・脚本:飯田譲治、演出・植田尚を見た。玲奈(山田優)の事務所の顧問弁護士・川辺を名乗る男(升毅)は・・・何やら怪しいマッドサイエンティストで殺人鬼で・・・そしてクリスティーナの秘密を知る者らしい。

スーパーナチュラルとは何かというのは非常に困難な設問である。

つまり・・・自然とは何かを知らなければ超自然は明らかにならないからである。

フィクションの世界ではそれぞれのクリエーターがそれぞれの好みによって「それ」を表現する。

超能力、霊能力、シャイニング、念力、スタンド、スペック・・・あるいは単なる「力」・・・。

偽の川辺はそれを解明する理論体系を科学と断言するが・・・本当にそうなのかは謎なのである。

とにかく・・・玲奈には「秘められた力」があり・・・予知もできるし、人格の遠隔操作もできるし、霊体を物質化もできる・・・らしい。

そして・・・マリア(コトウロレナ)は玲奈の母親のスパイだったらしい。

だが・・・玲奈と耐電体質の和馬(金子ノブアキ)は恋に落ちているらしい・・・。

・・・というわけで、自らの殺人事件を擬装しようとして失敗したカジウラではなくて偽の川辺は闇の中へ走り去るのだった。

| | コメント (0) | トラックバック (9)

2012年8月30日 (木)

25点(井上真央)が30点(木南晴夏)を笑うトッカン式刃傷沙汰(星野真里)

午前4時、宮城県沖で地震があり、仙台で震度5強である。

20110311の大地震の余震はまだ続くのだ。

次は死者10倍の超巨大地震が予定されている。

地球スケールで進む危機に対して、我が国の議会はバナナの皮を投げ合っているのである。

熱帯深夜の公共放送は「凍てつく惑星」(再)では極地の氷解について「目に見える異変」を紡ぎだす。

氷は融け、白くまの母子は路頭に迷う。

餌のアザラシを獲るためには春の氷原が必要なのだが、その面積は二十年で半減したのである。

ペンギンたちの餌も減少し、ペンギンの親は子に充分な餌を与えることができない。

氷が失われ、氷に生じる藻が失われ、藻を食べるプランクトンが失われ、プランクトンを食べるベンギンが失われるのである。

氷河の河口は後退する。

午前4時15分、余震の余震が関東地方まで南下する。

首都にある密林の書斎も揺れる。

アラブの春は世界戦争の兆しである。情報は流出し、豊かさは伝播していく。貧しい人々は慄く。

我が国と同じ経済力を持ちながら、10倍の人口を養う隣国はエネルギーを求めて周辺に摩擦を生じさせる。

子供たちの安全・・・平和を願う人々の志を虚しいものに感じさせる人類の一人勝ちへの危惧。

長寿大国の胸の内に震える不安材料。

素っ頓狂な目をした学者が「電子書籍」の楽観的未来を語る。

「著者と消費者がともに喜ぶ結果」は街から本屋を駆逐していく。紙の製造、印刷、製本、流通の過程の様々な職人技が消えていく。個性は消え、定番と無意味な個人情報だけが増殖する。

「変わらないもの」を求める人々は「戦争」による「人口減少」を真剣に考慮する。

「クリーン」な「大量破壊兵器」で「人類」をそこそこ間引くことは「必要不可欠」なのかもしれない。

なにしろ、五年で五億人も人口が増加しているのである。毎年、日本人分が増加しているわけだ。

現在、70億人の人類と2万頭のホッキョクグマ・・・2万頭を救うために30億人くらい安楽死させるとバランスがとれるだろう。

「フローズン プラネット」のナビゲーター・大沢たかおが「母子は来年の夏を生き伸びることができるだろうか」と案ずる必要もなくなるのだ。

それによって温暖化は遠のくだろう。クルマ社会は崩壊し、大物タレントのCM出演料は目減りする。

問題は「30億人」の名簿の作成である。

「俺だけは除外してくれ」というエゴイストをどうやって沈黙させるか・・・だ。

そういう時代に我が国のテレビは「マエアツの卒業」に相当な時間を割く。

花盛りの早熟な子役たちが大人になる頃・・・未曾有の時代がやってくるだろう。

悪魔は今夜も忍び笑う。

で、『トッカン 特別国税徴収官・第7回』(日本テレビ20120829PM10~)原作・高殿円、脚本・いずみ吉紘、演出・水田伸生を見た。縮小する日本経済を支える日本の役人たちの給金を稼ぎだすために税金の滞納を許さない国税徴収官たちの活躍は黙々と続いているのである。東京の夜の帝王が逝去した。高級水商売で利益をあげ、高度成長を支え、高額納税をした名士である。後継者である娘婿の豊成陽一(関戸将志)は紳士の殿堂をガールズ・バー「FAIRY POINT」に改装し、不景気を理由に納税を停滞させている。急激な納税額の変化を税務署はけして見逃さない。早速、ガールズバーに客を装った宝町税務署徴収第1部門統括国税徴収官・釜地(笠原秀幸)を送りこみ内偵を開始する。たちまち、店の売り上げが申告されたものより大幅に多いことが判明するのだった。

国庫に納められるべき金がどこかに消えているのである。

トッカンこと宝町税務署特別国税徴収官・鏡(北村有起哉)は手下の国税徴収官・ぐ~子こと鈴宮(井上真央)に豊成オーナーの尾行監視を命ずるのだった。

その背景には宝町税務署徴収第1部門統括国税徴収官・金子(池田鉄洋)の第2部門との徴収額争いがあるのだった。

「役人といえども・・・成績次第でポジションを失う可能性がある」

「安定も勝ち取るべきものなんですね」

どこまでも続く生存競争の連鎖なのである。

ぐ~子も人民から金を毟り取る立派な徴収官へ成長しているのだ。

一方、国立税務署から移動してきた宝町税務署徴収第1部門徴収官の錨(星野真里)は窓口相談で抜群の成績をあげるが・・・宝町税務署上席国税徴収官・鍋島(鈴木砂羽)は錨の言動に情緒不安定さを感じ、危惧を覚えるのだった。

「あなた・・・口のきき方がおかしいわ」

「嫌われているんですね・・・それは仕事も家庭も順調な私への独身上席の嫉妬ですか」

「なんですって~」

「ゴキブリ」

素敵な先輩たちの怪しい雲行きにあたふたとするぐ~子だった。

ガールズバーを内定する豊成はマネージャーの尾崎(松尾諭)の働きぶりに着目する。オーナーの豊成は全く店に顔を見せないが・・・尾崎は勤勉なのである。

一方、豊成を尾行するぐ~子は豊成が妻(松田沙紀-元宝塚歌劇団宙組娘役・咲花杏)と頻繁に買い物をする場面に遭遇するが・・・隠し資金をあぶり出せない。

「内情を探るためには・・・ガールズバーのガールズになるしかない」

潜入調査を決意したぐ~子は偶然、通りかかった国税局査察部情報部門査察官・南部(木南晴夏)とともにガールズバーのガールズ採用面接にチャレンジする。

「なにしろ・・・ルックス勝負なんで・・・残念ながら・・・二人とも不合格」

「ぐ~」

「どうしても働きたかったら整形してきてよ」

「私はもう整・・・」

「ぐ~ぐ~」

潜入に失敗したぐ~子だったが、マネージャー尾崎から、豊成の妻へと渡る売上金の流れをつかむのだった。

豊成は他人名義の口座に金をプールしていたのだった。

ぐ~子はガールズバーのガールズに直接アタックを敢行する。

「どうしても・・・ガールズになりたいんです~」

「無理じゃね・・・」

「なんか・・・いいバイトないですか・・・」

「そうねえ・・・名義貸しの口ならあるけど・・・口利き料30%でどう・・・」

「ぐ~」

しかし、身分詐称中に警官から職務質問されたぐ~子は補導されてしまうのだった。

泣き濡れて、トッカンに受け出されるぐ~子。

「ぐ~」

「ば、ばけもの・・・」

ついに・・・マネージャー尾崎から妻へ売上金が渡され、それを他人名義の口座に入金する妻の現場に踏み込み、差押を敢行するトッカンチーム。

「この金は国家のものなんです~」

「そんな~」

しかし、錨による情報漏えいで危なく逃走を許すところだったのである。

錨は滞納者専門の税理士と癒着しており、内部情報を保身のために利用していたのだった。

上席の鍋島に追及され、人格が崩壊しかかる錨。

そこへ・・・有能だったはずの錨の夫(宮崎吐夢)が現れる。

会社を退職し、ヒモになりさがった錨の夫は離婚届けをつきつけられ逆上していたのだった。

「頼むよ~。ヨリを戻してくれよ~」

「私がどんな思いで稼いでいるかも知らないで私のお金を毟り取って・・・ゴキブリ、ゴキブリ、ゴキブリ」

ついに発狂する錨である。妻に罵られ哄笑しながら刃物を取り出す錨の夫。

宝町税務署徴収第1部門は修羅場と化したのである。

その混乱の中・・・トッカンは不覚にも凶刃に倒れるのだった。

「む、無念・・・」

「ぐ~」

・・・とにかく・・・ドラマとしてはようやく水準点に・・・。

本筋とはまったく違うところで盛り上がっているわけだが・・・ここは「働く女の物語」の枠だからな・・・きっと、これでいいのだな。

ともかく、国家も国民がいる間が花だからな。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

| | コメント (0) | トラックバック (5)

2012年8月29日 (水)

悪人の善意、善人の悪意(多部未華子)

「run for money 逃走中 〜沈黙の巨大迷宮2〜」では黒川芽以が冷凍庫で凍死寸前だったわけだが・・・もう、メジャー展開なんだかマイナー展開なんだかよくわからない・・・。

夏休み終了直前・・・石井萌々果の連打である。

2002年組では筆頭子役だな。

「ほん怖」では堂々のポジショニングだし、「ゴーストママ捜査線」に続いて初恋の相手役ゲストである。

まあ・・・正統派的展開というか・・・安易ギリギリですけどにゃあ。

それにしても連作短編のアレンジとはいえ・・・オンエアの季節感を完全無視の展開はどうなんだろう。

出演者一同、冬服で・・・時々、吐く息白いし・・・。残暑厳しきおり・・・暑苦しさ抜群である。

しのぶセンセの遅れて来たお色気祭りショートパンツで脚線美披露は素晴らしいのだがにゃあ。

で、『・第9回』(TBSテレビ20120827PM8~)原作・東野圭吾、脚本・江頭美智留、演出・清弘誠を見た。「梅ちゃん先生」で男運の悪い女を熱演中の木村文乃演じる榛名先生が「女は男選びが大切です・・・しのぶセンセ、恋愛相談ならまかしておくんなはれ」と胸を張るのだった。そして、原田兄弟の母(斉藤由貴)は犯罪者の若本(姜暢雄)のそっくりさん、若松にふたたびよろめきかける・・・サブ・キャラクターによる主題の展開なのだが・・・そういうなにもかもが・・・ださいと感じるのは浪花という土地柄のせいか・・・この枠のオーラなのか・・・。そして・・・よせばいいのに・・・原田(弟)の恋話展開である。まあ、ベタベタベタならベストなの・・・かもにゃあ。

猫に記事を書かせるなよっ。

しのぶセンセ(多部未華子)の家のとなりに安西母娘が引っ越してくる。母親の安西芳子(中島ひろ子)は夫に先立たれた後、夜の商売で稼ぎつつ一人娘・千鶴(石井萌々果)を育てている。そのうちに麻薬取引の前科のある悪い男にひっかかってしまったらしい。暴力は振るう、娘に手を出そうとする永島(三上市朗)という男である。千鶴は四年生でしのぶセンセと面識はないのだが、しのぶセンセの母親・妙子は「引っ越してきたおとなりさんに変な男が出入りしていたこと」まで把握しているのだった。

勉強会ということでしのぶセンセの家に集まった女児たち。その匂いを嗅ぎつけて原田兄弟(まえだまえだ)もやってきたところに、新藤刑事(小池徹平)と漆崎刑事(段田安則)がやってくる。職務である。隣家の安西芳子の内縁の夫・永島が殺害されたというのだった。

東野ミステリーの原点と言う点では・・・漆崎刑事が「白夜行」の笹垣刑事の匂いを感じさせる。

「強盗に入った永島が住人の老女・松岡稲子(中原ひとみ)に逆襲され撲殺された」という見立てを否定し・・・住居に残された老女には不似合いのヒールの高い靴から・・・安西芳子の犯行を疑うのである。まあ・・・鑑識が・・・指紋採取ぐらいするだろうし、指紋が出ないとなれば不自然だしな。そもそも計画的犯行の割にはパンプスを置きっぱなしというのも・・・。まあ・・・余計な描写に力を注ぎ、肝心なミステリ部分がおろそかになるのは・・・毎度のことである。暑さでうだっているのでいちいちチェックしてないだけなのだ。

しかし、刑事二人は・・・稲子と芳子の接点を発見できない。

そして、芳子にはわざとらしいほどに完璧なアリバイがあったのだった。

しかし・・・しのぶセンセは留守がちの母親に代わり、千鶴の面倒を見るうちに・・・たちまち、見てはならないものを見てしまうのだった。

絵の得意な千鶴が描いた病院と老女の絵である。

千鶴の家を犯罪に巻き込みたくない気持ちと探偵マニアの嗜好との間で揺れ動くしのぶセンセ。

そんなしのぶセンセに新藤が激しくきりこむのだった。

「一人で悩まないで・・・僕に打ち明けてください」

「・・・二人は病院で知り合ったかもしれんのや」

調査の結果、千鶴が骨折で入院中に・・・稲子も胃がんの手術で入院したことが判明する。そして・・・二人は実の祖母と孫のように仲睦まじかったと言うのだ。

胃がんで余命いくばくもないと知った稲子は・・・安西家の不幸を知り・・・永島殺害を決意したのである。

浪花では「ダニのような男は撲殺しても可」という暗黙の了解があるだにゃあ・・・おいっ。

「芳子の浮気」という餌で自宅に永島をおびき出した稲子は不意をついて永島を撲殺したのである。達人の境地にあるらしい。ま、相手がダニだからな・・・。

教訓・老女に撲殺されるような男とは交際不可なのだ。

結局、芳子には殺人教唆のような罪は課せられず、おとがめなしである。

しかし・・・安西母娘はゲストの宿命で再び引っ越しである。

原田(弟)の恋ははかなくも散ったのであるが・・・どうでもいいといえばどうでもいいな。

新藤としのぶの仲は一瞬、深まったように見えたが・・・やはり、しのぶセンセはまだまだウブなネンネらしい・・・キャラ設定が未だにとりとめないって・・・問題だよな。

まあ・・・しっかりとミステリ系の脚本家にネタを作らせればシリーズ化も可だからな。

そして・・・来週はクリスマスネタなのである。・・・冬ドラマでやればよかったんじゃ・・・。

関連するキッドのブログ→第8話のレビュー

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2012年8月28日 (火)

無口な人は夏の日のはかなさをうまく言えずに・・・(豊川悦司)

「ひみつの嵐ちゃん」の元ネタが「ひみつのアッコちゃん」だと認識している人はどのくらいいるのか・・・と思いつつ。

「ひみつの菜子ちゃん」である。

菜子(吉田里琴)が大人になったら綾瀬はるかになるラインは「ホタルノヒカリ」で確立したわけだが、実写版「ひみつのアッコちゃん」はこの法則に則っているのだ。

(月)の深夜にはアニメ版「ひみつのアッコちゃん」の第1期~第3期から一話ずつ、プロモーション放映が行われていた。どれもそれぞれに時代というか・・・スタッフの世代を感じさせる展開になっている。第3期はチカちゃんのフィーチャー回でアッコちゃんは「ワニ」に変身するのである。ワニ・・・かよっ・・・と思いつつ・・・小話をひとつ。

菜子「沼津の美雨ちゃんにお父さんと一目あわせてあげたい・・・テクマクマヤコンテクマクマヤコン、美雨ちゃんの父ちゃんになあれ」

美雨「あ、父ちゃん」

圭介「木下圭介アワー・・・」

こうして二人は楽しいひとときを過ごした。

圭介「さあ・・・そろそろ、菜子ちゃんに戻らないと・・・ラミパ・・・ラミパ・・・なんだっけ?」

お後がよろしいようで・・・ちなみに実写版に出演している岡田将生がプロモーション・コメントをしていた。

「背のびをしている女の子ってかわいいんですよ」・・・いいフレーズである。

しかし・・・その後が「自分の知らないことは知らな~いっていうけど・・・知ってることはノリノリで話すみたいな」とかなり意味不明の展開である。ま、編集ミスなのかもしれないが・・・岡田将生ってちょっと惜しいのかもしれない。天は二物を与えないパターンって言うか・・・な。

誰か、うまくネジ巻いてくれるといいな。キレイな顔してちょっとバカじゃなくて・・・知性が滲み出る方向に。

で、『ューテフルレイ・第9回』(フジテレビ20120826PM0930~)脚本・羽原大介、演出・小林義則を見た。夢にまで見る愛し子である。やがて来る記憶喪失の危機を回避するために苦渋の決断で沼津の義父母に美雨(芦田愛菜)を託した圭介。しかし、美雨が帰宅する夢を見て目覚める。もちろん・・・美雨のいない空虚な朝である。

実際の美雨は沼津で祖父母と朝食をとっている。圭介も饒舌だったが、それを上回る祖父母の朝のおしゃべり。美雨の母の両親の朝食はパンである。パンに抜かれたコメの立場を思いつつ、美雨は「父と納豆と朝ごはん」を連想する。

「バター自分でぬれるおばあちゃんぬってあげましょうか大丈夫あらあら上手ねすごいすごいジャムもあめわよ~」

無口な家族が好きな人間にとって家族内の社交性がこれ以上高まるとうざくて発狂する危険があるのだ。

そして・・・祖父母の家のペットはウサギのうーちゃん。好物は美雨が苦手とするニンジンである。ニンジン・・・煮ると甘いよね。嫌いな人はこの甘さも嫌いなんだよね。人間の感覚や感情って不思議だなあ。人それぞれなんだもんなあ。

中村産業では娘と別居して落ち込んでいる圭介をいかに励ますかで・・・従業員一同が頭を悩ましている。

この図式は・・・「男はつらいよ」でよく見るパターンである。

おいちゃん(寅さんの叔父)が不在の寅さんの悪口を語り尽くす。

「まったく・・・寅のやつは本当にダメな奴だ」

すると・・・押し入れの戸がスーッと開いてフーテンの寅が登場する。

立ちこめる超気まずい空気。観客一同爆笑である。

「おはよう・・・誰かと思ったら圭さんか・・・」

(社長・・・)

「あ・・・美雨ちゃんから電話とかありましたか」

(秋生・・・)

「バカ・・・」

(でんでん・・・)

「あの、俺の事心配してくれんのはありがたいんですけど・・・俺、大丈夫ですから」

健気な圭介だった。

今回は・・・「圭介と美雨の今後について」・・・中村産業は二派に分れるのである。

「圭介の決断を尊重して父娘別居の続行」を主張する社長(蟹江敬三)と宗田(でんでん)、そしてアカネ(中谷美紀)。

「父と娘が生き別れなんて・・・絶対反対」の社長夫人(丘みつ子)と秋生(三浦翔平)である。

秋生は「自分と彼女の関係」に置換して・・・「ちょっとても別れているなんて我慢できない」と思うし・・・社長夫人は孫のように可愛がっていた美雨を他人に奪われた気分濃厚なのである。

そんな感情的な二人に対し、認知症の義母を介護した経験のあるアカネは「もしもの時に責任とれないのに・・・無責任なことを言ってはダメ」と経験論からクギをさすのである。

主治医の古賀(安田顕)からは・・・病状の進行状況と「五年くらいで・・・かなり悪化する」という統計論的予測を聞かされる圭介だった。

そんなある日、圭介は秋生に拉致されて沼津に連れていかれてしまう。

垣根越しに美雨の元気な姿をそっと覗き見る圭介。

「イエ~イ、キャハハハ・・・」

「美雨ちゃん、すご~い」

圭介は無言で立ち去るのだった。

ふたたび・・・圭介が立ち聞きするなか・・・中村産業秘密会議である。

「親子が別れて暮らすなんて・・・絶対だめだよ・・・私は納得できないよ・・・もしもの時は私が美雨ちゃんの面倒見ればいいじゃないか・・・」

「私も・・・お母さんと同じこと言った・・・だけど・・・その結果・・・私までボロボロになって・・・」

「私は大丈夫だよ・・・絶対、美雨ちゃんを守ってみせる」

「そうですよ・・・アカネさんのお姑さんと圭介さんは別人でしょう・・・まるっきり同じようになるとは限らないじゃないですか」

「なるのよ・・・忘れる時はなにもかも忘れちゃうんだから」

決裂である。

圭介は何事かを決意して・・・美雨への手紙をしたためる。

美雨へ。

久しぶりに電話で元気な美雨の声をきいて

父ちゃんはとても安心しました。

初めて美雨とはなれてくらしてみてあらためて思ったんだけど

やっぱり、美雨は父ちゃんのたからものです。

世界で一番、大事なたからものです。

だからたとえはなれてくらしていても父ちゃんはいつも美雨のことを思ってます。

夏休みの最後の日、沼津にむかえに行きます。

その時に美雨に大事なお話があります。

きいてくださいね。

大好きな美雨へ。

父ちゃんより。

そして・・・美雨の転校のための書類を同封する圭介。

ああ時の河を渡る船に

オールはない

流されてく

関連するキッドのブログ→第8話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様のビューティフルレイン

| | コメント (2) | トラックバック (5)

2012年8月27日 (月)

つかのまのたわむれとみんなあきらめて恋の風雅(福田沙紀)

今回・・・出てないだろう・・・いや、前回、前々回とタイトルにしてもよかったから。

悲恋を越えた悲惨の人だからな・・・伝説レベルだけどな。

さて・・・人生50年である。とにかく・・・平家の御曹司は太政大臣にまで登りつめたのである。

この時、六条帝は御年四歳、東宮(皇太子)憲仁親王は御年七歳・・・。親政などおぼつかない。

摂関家は藤原基房が摂政となっているが、摂関家の財産は兄後家の平盛子が継承し、平家一門の管理下にある。

後白河上皇は権力闘争は嫌いではないが・・・実務は大嫌いである。

結局、平家一門の頂点に立つ平清盛は日の本の最高実力者となったのである。

その目指すところは貿易立国である。12世紀の人間としては異常と言っていいだろう。

つまり、偉人である。

その評価が現代日本で異様に低いのは・・・すべて明治維新に遠因があると言えるだろう。

1868年から1945年まで・・・およそ3/4世紀に渡って、異常に偏向した歴史教育が敢行されたわけである。

戦後67年を経て・・・ようやく、織田信長や徳川家康が英雄であることが大衆にも認知されてきたのであるが、平将門、源頼朝、足利尊氏、こういう英雄たちの評価はまだまだ低いのである。

なにしろ、新田義貞だの、楠正成だのという・・・英雄としては小物と言えるものが功臣というだけで祭り上げられた余韻がまだ漂っているのが現代というものなのだ。

偏向教育の恐ろしさの極みと言えるだろう。

日本という国家が未だに存続している重要な貢献者として平清盛は燦然と輝く軌跡を残している。

だが、いかに封印しようとしてもそれが現代に伝承される。

そこに・・・歴史というものの光と影が垣間見えるのだな。

で、『平清盛・第33回』(NHK総合20120826PM8~)脚本・藤本有紀、演出・中島由貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は腐り果てた藤原摂関家の最後の仇花・松殿基房とある時は無賃乗車の代名詞、ある時は平家一の歌詠み人、平忠盛の六男・忠度(ただのり)の二大描き下ろしイラスト展開でございます。いよいよ、後半戦・・・源平の子女が続々成人してまいりますのでどんだけ登場人物多いんだよ・・・でございますが・・・画伯におかれましてはあくまでマイペースでお願いします。

Tairakiyomori31 仁安二年(1167年)二月に太政大臣となった平清盛は五月には辞任する。この年、平清盛は数え年で五十歳。当時としてはすでに余生に入ったのである。正室・平時子は42歳。前妻との子である長男・平重盛は30歳となっている。従二位権大納言であり、皇太子補佐官でもあり、国軍司令官の任を清盛から継承し、実質上の後継者だった。平時子の妹で皇太子母となっている平滋子は26歳の女盛りだった。兄の平時忠は37歳。滋子の子を皇太子にしようとした陰謀で追放されたわけだが実際に滋子の子が皇太子になった今、その発言力は馬鹿にできないのである。清盛の弟たちも出世し、経盛は44歳、正四位下若狭守である。教守は40歳、正四位下内蔵頭である。頼盛は35歳、正三位太宰大弐である。忠度は24歳、この時点では無官だがまもなく従四位上伯耆守となる。時子の子である宗盛は21歳で、時子の異母妹、滋子の同母妹である平清子を正室としている。叔母と甥の結婚である。この年の暮れに従三位となり、参議に補任される。正室の嫡男であり、順当な出世だが・・・仄かに波乱の要素を抱えているわけである。この時点で宗盛は滋子の猶子(擬似親子関係)となっている。兄・重盛が後白河上皇に仕え、宗盛が滋子に仕えることで微妙なバランスをとっていることになる。宗盛の弟の知盛は16歳、弱冠ながら従四位下武蔵守である。かくの如く・・・平家は隆盛の時を迎えていた。

後白河上皇の三男、以仁王は知盛より一つ年上である。後白河上皇の従姉妹・藤原成子を母に持っている。成子は後白河上皇との間に二男四女を儲けたが・・・寵愛は薄かったという。後白河上皇にとって刺激が足りなかったのであろう。

幸薄い甥の後ろ盾となったのが後白河上皇の異母妹・八条院だった。しかし・・・母・待賢門院と八条院の母・美福門院の確執を知る後白河上皇にとってはその結びつきは功を奏さなかった。

後白河上皇の心は平滋子にあり・・・その子である皇太子・憲仁親王に向けられていたのだった。

その理由の一つが桓武天皇の血を引く滋子に強く現れた霊力にあったことは言うまでもない。

滋子は日照りの続くこの年の夏・・・雨乞いのために後白河上皇と熊野詣でを行い・・・その舞いによって見事に雨を降らせたのだった。

付き従った人々は滋子の霊力の顕示にひれ伏した。その子である憲仁親王の権威は高まったのである。

その知らせを聴いた清盛は・・・時子に微笑んだ。

「汝(いまし)の妹もたいしたものではないか・・・」

「たまたまかもしれません・・・」

「なんの・・・汝も我とともに熊野の野を駆けまわり・・・源氏物語で霊力を発揮したではないか・・・」

「なつかしゅうございますねえ・・・」

「ふふふ・・・我らは皆、日の御子の子孫だ・・・天の心を知らずして・・・いかがする」

「・・・おたわむれを・・・」

「時を知り・・・天を仰げば・・・何事も叶うものだ・・・」

「なにやら・・・恐ろしゅうございます」

清盛は曇った都の空を眺め・・・気を凝らす。

すると・・・雲はたちまち途切れ・・・強烈な日差しがさしてきた。

「殿・・・せっかくの雨雲を晴らして・・・いかがなさいます・・・」

「これは・・・しもうたわ・・・」

六波羅の屋敷で夫婦は目と目を交わした。

関連するキッドのブログ→第32話のレビュー

| | コメント (0) | トラックバック (6)

2012年8月26日 (日)

ほんとにあった怖い話、略してほんこわ~夏の特別編2012(山下智久)

ブログ再開後、タイトルに本題を導入しているシステムである。

場合によってはすごく手抜き感が漂うのだが・・・一生懸命考えています。

なにしろ・・・24時間テレビ中である。ずっと、ガッキー、かわいいよガッキーもしなければならないのだ。

・・・する必要ないだろうがっ。

関東では「ドラゴン桜」も再放送中である山Pをめぐる黒(ガッキー)と白(まさみ)のVSも堪能しなければならない。

だから・・・堪能しなくてもいいだろう。

そして、なでしこジャパンも応援しなければならないのだ。

「VSニュージランド」リピートしすぎだろうっ。

そしてなぜか、新作映画には出なかった「踊る大捜査線SP(再)」の水野美紀も鑑賞しなければならないし。

いや、『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』には真下雪乃役で出演するらしいぞ。

『恋の罪 Guilty of Romance』でヌードになったからか。・・・なんか関係あるのかよっ。

まあ、女の裸にかかったら男の面子なんて木端微塵だからさ。

それはともかく・・・「ゴーストママ捜査線」の日なのでスーパー・ナチュラル・ホラーで埋めとくのです。

で、『土曜プレミアム・ほんとにあった怖い話 夏の特別編2012』(フジテレビ20120818PM9~)脚本・演出・鶴田法男(他)を見た。未曾有の大型台風15号が沖縄に接近中である。これをナチュラル(自然)ととらえるか、スーパーナチュラル(超自然)ととらえるかは人格にかかわる問題である。17世紀の哲学者・バールーフ・デ・スピノザは「神とは自然である」と述べた。つまり、台風15号も神なのである。この論法でいけば神という言葉の持つ各人のイメージで・・・「つまり神風か」から「神とは自然現象なんだなあ」と様々なのである。これによれば悪魔もまた自然現象であり、当然、超自然も自然に過ぎないのである。つまり、導き出される結論は「神を全肯定することは神を全否定するのと同じだ」ということだ。

極めて・・・悪魔的な発想と言えるだろう。

そのスピノザは「恐怖」を次のように定義付ける。「不確かな未来あるいは過去を疑うことにより生ずる悲しみ」こそが「恐怖」であると。

スピノザに従えば・・・超自然的恐怖とは・・・「神の存在を人間が疑う悲しみ」なのである。

だから「ほんこわ」はそれを紐解くテキストなのである。

第一話「赤い爪」・・・冒頭の一篇で再現ドラマに挑むのはなんと・・・山下智久である。悪魔の基本は懐疑であるが・・・「ほんこわ」に関してはまったく疑わない姿勢で臨んでいる。すべては実際にあった話だと信じるのである。実際にないものを信じることはある意味、狂気の沙汰だが・・・信じなければ楽しめない世界というものがこの世にはありますから~。そんな恐怖体験の再現ドラマを山Pが演ずること自体、一部お茶の間にとっては夏の贈り物に他ならないということだ。

私(山下智久)は都会の企業で上司との人間関係が破綻し、退職後、田舎の企業に再就職した若者である。能力の優劣ではなく、都会向きの人間と田舎向きの人間というものがあるのだ。私は単に後者だったのだ。だから・・・給与や待遇面ではいささか落ちたものの・・・新しい職場そのものに私は不満を抱かなかった。

ある日、風邪をこじらせたのか、発熱し、私は体調を崩してしまった。前の職場の上司ではありえないことだが、新しい職場の上司(堀内敬子)は優しく言葉をかけてくれる。

「大丈夫・・・無理をしないで・・・今日は早退しなさい」

「しかし・・・」

「無理は禁物よ・・・上司命令です」

私は新しい上司への好意を感じながら・・・田舎で暮らすために購入した自家用車で帰宅することにした。

そして・・・「あのY字路」にさしかかったのである。

直進すれば家路であり、右に曲がれば単に行き止まりの道である。

いつものように直進しようとした私は何故か、ハンドルを右に切り・・・そして意識を失ってしまう。

ハッと気がついた時、車は崖っぷちで停車していた。

なぜ・・・そこにいるのか・・・自分でもわからなかったが・・・とにかく、私は九死に一生を得たらしい。

引き返した私は自分がY字路を右に曲がったことに気がついた。

不思議な気分にとらわれながら・・・私は帰宅したのだった。

翌日、出社した私はその不可解な体験を軽い話題のつもりで上司に話した。

すると上司の顔色が変わったのである。

「あのY字路を・・・右に・・・」

絶句した上司に私も不安を感じたのだった。すると・・・上司は声をひそめて私にこう言ったのだ。

「あなた・・・何かを見た?」

「いえ・・・まったく記憶がなくなっていて・・・」

「そう・・・もし・・・もしもね・・・何かを思い出しても・・・けして他人に話してはだめよ・・・」

「なぜでしょう?」

「その話を聴いた人が不幸になるという・・・噂があるのよ・・・あくまで噂だけどね」

「不幸って・・・」

「さあ・・・私もくわしくは・・・あくまで噂だから・・・とにかく・・・気にしないことよ」

そんなことを言われて気にならない人間がいますか・・・。

「とにかく・・・噂でも・・・他人を不幸な目にあわせたくないでしょう・・・」

「・・・」

私には・・・不幸にしてやりたい人間の顔が浮かんだが・・・それを口にすることはなかった。

私が前の職場を辞する原因となったあの上司・・・しかし、考えてみればあの上司が私の話に耳を傾けること自体がありえないのだった。

結局・・・話はそれきりになったが・・・私には新しい上司に対する不信感も芽生えていた。

それは漠然とした不安に基づくものだった。

そして・・・その夜・・・その不安は現実のものとなった。

私は夢の中で「それ」を思い出したのである。

あのY字路には「赤い爪の女」が立っていたのである。白い服を着た「それ」はこの世のものとは思えない気配をまとっていた。私は戦慄した。

しかし・・・夢を現実と言えるのかどうか・・・目覚めた私は自問自答した。しかし・・・「赤い爪の女」の生々しい存在感は単なる夢とは言えないのだった。

次の日、私は鬱屈した思いを抱えて・・・社員食堂にいた。

その時、見知らぬ女性社員(本田翼)が私に声をかけてきたのである。

都会の女を見なれた私にはいかにもあか抜けない田舎の女だった。

そして・・・その態度からは私への好意が滲み出ていたのである。

私の中には戸惑いがあった。私の心には自分に好意的な女性への好奇心と・・・積極的な態度に対する嫌悪感がいりまじっていたのだ。

しかし・・・女性の次の言葉が私の警戒心を打ち破ったのだ。

「・・・あのY字路を右に曲がったんでしょう」

「・・・なぜ・・・それを・・・」

「私、帰社の途中であなたの車をたまたま見かけたんです」

「・・・」

「あの噂のことで・・・悩んでいるじゃないかと思って・・・」

「知っているのですか」

「ええ・・・社内じゃ・・・しらない人はいませんよ・・・都市伝説みたいなもので・・・ま、田舎の話ですけど」

「・・・」

「大丈夫ですよ・・・私、霊感が強いんです・・・話してください・・・何を見たんですか」

結局、私は誰かに「それ」を話したかったのだ。誘惑に負けて「赤い爪の女」のことを彼女に話すと・・・私の中には彼女に対する好意さえ芽生えていた。

そして・・・ついにデートの約束までしてしまったのだ。

しかし・・・それ以来・・・彼女は会社を欠勤してしまうのだ。

心配して電話をかける私。

「・・・赤い爪の女がいるんです・・・私につきまとってくるんです・・・私・・・本当は霊感なんて強くないんです・・・噂のことも信じてなかったし・・・ただ・・・あなたに近付くきっかけが欲しくて・・・」

結局、私は無意識のうちに他人を不幸にすることを選択していたらしい。私は彼女のために何かをしてやりたがったが・・・どうすればいいのか・・・わからなかった。

すると上司が声をかけてきた。

「誰かに・・・話してしまったのね」

「すみません・・・」

「あやまることはないわ・・・私もね・・・見たの・・・そして話してしまったの・・・」

「その人はどうなったのです」

「大丈夫・・・今度もうまくいくかどうか・・・わからないけれど・・・私の時は大丈夫だった」

「どうすればいいのですか」

「もう一度、Y字路に行くのよ・・・そして赤い爪の女に願うのよ」

「・・・」

私ははっきり言って恐ろしかった。しかし、上司の言葉がその心に勇気の火をともしたのだった。

「一緒に行きましょう」

そして、私たちは再びY字路に向かったのだ。車を運転したのは上司だった。

件のY字路にやってくると・・・私は息を飲んだ。木々の間にはっきりと赤い爪の女が佇んでいる姿が見えたのである。

ふと・・・運転席を見ると上司はまるで私の存在を忘れたような顔をしていた。そして無造作にハンドルを右に切った。

私は何度も上司の名前を呼んだ・・・しかし、上司は全く反応せずに道なき道へ車を疾走させるのである。

「死」の予感が私を捉えていた。こんな理由もわからないことで死ぬのがひどく滑稽なことのように思えた。

次の瞬間・・・車は例の崖っぷちで停車していた。

我に返った様子の上司は私を見て幽かに微笑んだ。私も微笑み返したように思う。

「赤い爪の女」が何だったのか・・・結局、何も分からない。

しかし、それ以来、私と上司は仕事をそつなくこなす仲になった。そして彼女とは恋人同士になった。

「赤い爪の女」は消えてしまったのである。

ただ・・・私はそれ以来、バスで通勤するようになったのだった。

私は田舎の生活に・・・それなりに馴染んできたのだ。

結局・・・赤い爪の女もこの世の一部なのだということなのだろう。

私は・・・世にも不思議な怪奇現象にふれて・・・ようやくこの世に馴染んだらしい。

関連するキッドのブログ→最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜

なかなか味わい深い一篇でしたな。今回の「ほんこわ」は他に病室の天井に潜む妖怪をあつかった剛力彩芽や木南晴夏がナースに扮する「黒い病室」、岡田将生にふられそうになった蓮佛美沙子が生霊となってとりつくという根本的にちょっといやな話の「右肩の女」、スギちゃんが幽霊電車の乗客となるちょっとコミカルな「真夜中の最終列車」、旧家のお嬢様である香里奈が死んだ恋人(高橋光臣)の幽霊に守護されるという「或る夏の出来事」などすべてストレートに怪異が登場するというサービス満点の構成になっていました。

まあ・・・基本、小学生が「キャーッ」と叫べばそれで可の番組ですからな。夏の子役祭り的には石井萌々果たちの半べそ状態が満喫できたのでございます。

関連するキッドのブログ→ドクロゲキ

| | コメント (6) | トラックバック (1)

2012年8月25日 (土)

お茶の間を参らせた昔の美少女はダークサイドの女魔王様(杉田かおる)と黒の女教師(小林聡美)

ダークサイドに身を置くことは基本、楽だな。

もちろん、生れついてのダークサイドという場合もある。

しかし、神の僕として日々を過ごした後で、悪魔に魂を売った解放感には独特のものがあります。

まあ、天使サイドとしてみれば、それは本当の解放ではないとか・・・永遠の苦悩に苛まれるとか・・・いろいろ言うわけですが・・・そういう気持ちはあくまで神の側に軸を置いた話。

地獄の業火も・・・悪魔にとっては「燃えるね~」という感じなのでございます。

まあ・・・天使のような子役というものはそもそも小悪魔的なものですからな。

最初から・・・天使属性と悪魔属性を兼ね供えているわけです。

どう考えても・・・ものすごい女優なのですが・・・もはや、けして慈愛に満ちた母親役のオファーは来ない。

いや、きても断ってる可能性すらある。

それでも、時々、時の流れを越えて悪魔は思う。「かわいいよ、杉田かおるかわいいよ」と。

まあ、ストーリーとしては最初から「絶対、あの人が邪悪」という展開はどうかと考えますけどね。

まして、予告編で「オチ」ってどういうことだよっ。

みんな・・・杉田かおるが「愚か者」って言われるところが・・・そんなに見たいのか?

まあ、見たいと思ってる人がいると思っている人は確実にいるのだな。

で、『黒の教師・第6回』(TBSテレビ20120824~)脚本・大林利江子、演出・石井康晴を見た。夏の子役祭り、クライマックスは杉田かおるの登場である。もちろん・・・子役時代の杉田かおるを知っている人もどんどん少なくなっている今日この頃だろう。「パパと呼ばないで」(日本テレビ1972年)から40年である。チー坊こと橋本千春役を演じた杉田かおるは当時7歳である。時は流れて・・・時は流れて・・・なのである。もちろん、杉田かおるの前にも名子役はいたし、杉田かおるの後にも名子役はいた。しかし・・・これほどまでに「子役」の「人生」をイメージさせる天才子役は空前絶後だと思う。杉田かおるあっての戸川京子であり、中島朋子であり、宮沢りえであり、安達祐実であり、宮﨑あおいであり、成海璃子で志田未来で芦田愛菜なのである。

子役から大人の女優へ・・・ヌードにもなれば濡れ場も演じる。

そして・・・悪い母親の似合う女になっていくのである・・・杉田かおるの場合はな。

なにしろ、「3年B組金八先生」(TBSテレビ1979年)では中学生なのに母親という雪乃役である。

そして・・・『池袋ウエストゲートパーク』(TBSテレビ2000年)では実父に犯された娘・光子(加藤あい)をさりげなく見捨てる母親・和子である。

単なる邪悪ではなく・・・狂気を感じさせる役がフィットするというスターとしての存在感なのである。

それで・・・いいのか・・・とも思うが、是非もないのであった。

さて、もはや、夏休みがどうなったのか定かではない都立国文館高校である。

今回、進路指導でフィーチャーされるのは3年D組の三島恭子(藤原令子)である。所属事務所には広末涼子、山口紗弥加、戸田恵梨香、吉瀬美智子、有村架純と・・・錚々たる顔ぶれが並んでいる。恭子の亡き母親を演じるのも同じ事務所の西山繭子である。基本、曲者美人を集める事務所なのだな。徳永えりとか福田麻由子までいるのである。

そういう意味で・・・今後のしあがってくる可能性があります。

早世した恭子の母親(西山繭子)に代わって親代わりを務めるのが恭子の母親の親友だった音大教授のかなえ (杉田かおる)である。かなえには恭子と同い年の娘・愛(小池里奈)があり、恭子と愛は幼馴染であるとともにかなえから英才教育を施された音楽家の卵でもあった。

しかし、作曲コンクールで常にトップの愛に対し、ずっと2位に甘んじて来た恭子は将来に不安を抱くようになっていた。

そのために・・・音大ではなく、一般の大学を受験することも視野に入れていたのだった。

例によって統計的見地からアドヴァイスする高倉夕子(榮倉奈々)である。

「音大に進学してもプロになれるのはほんのひとにぎり・・・半数は就職もままならず苦労することになる」

理想という名のきれいごとに生きる女・青柳(木村文乃)は「そんな可能性の芽をつむようなアドバァイスはやめてください」とお約束の反発をするのだった。いつもなら・・・青柳の指導失敗コースがあるのだが・・・今回のゲストはそんな無駄は許さないのである。

恭子が常に2位に甘んじていたのには陰湿な仕掛けがあったのである。

早世した恭子の母親の才能に負け、常に二番手だったかなえは・・・恭子の才能をつぶし、飼い殺しにするべく常に画策してきたのだった。作曲コンクールに応募していた愛の作品はすべてかなえの手によるものだった。子供の戦いに親が手を出していたのだった。

素晴らしい才能を持ちながら・・・邪悪なかなえの陰謀により、才能の開花を封じられていた恭子は最後の賭けとして国内最高の作曲コンクールに亡き母親との思い出をつづった「トワイライト・ゾーン」で応募する。

その曲の素晴らしさを知ったかなえは早速、盗作し、恭子の応募したコンクールよりも発表が早く、規模も大きいアジア最高の作曲コンクールに応募するのだった。

そうとは知らずに母の指図通りに「トワイライト・ゾーン」を奏でる愛。それを聴いた恭子の心は乱れる。

「どういうこと・・・それは私の曲・・・」

「何を言ってるの・・・?」

幼い頃から友情を育み、由緒あるコンサート会場で共演することを目指してきた愛と恭子だったが・・・かなえの画策により、恭子の心には愛に対する仄暗い嫉妬の感情が鬱積していた。

「あんたなんか・・・消えてしまえばいい」

「・・・」

幼馴染で親友の恭子から放たれた呪詛の言葉に立ちすくむ愛だった。

それから・・・愛は家出をして消息不明になってしまう。

それを知り、自分の発した言葉に自責の念を感じる恭子。

しかし、夕子は授業を通じて生物学的に正しい認識を語る。

「海洋生物では共食いは一般的なことです。適者生存のための弱肉強食はいたって自然なことなのです」

だが・・・恭子は悪夢にうなされるのである。

なぜなら・・・曲を盗んだのが愛ではなく・・・愛の母親で恭子の師でもあるかなえだと知ってしまったからである。愛に罪はなかったのに・・・無実の罪で友達を断罪してしまったのだ。

それでも恭子はかなえと対峙する。

「母は・・・トワイライトタイム(彼誰時)に包まれた世界でも・・・けして見ることをあきらめてはいけないと言ってました・・・夜の後に必ず朝の景色が現れると・・・そういう思いを込めた・・・私の曲です・・・返してください」

「何を言ってるの・・・凡人にだって一曲くらいは・・・素晴らしい曲ができる・・・でもそれが実力だと思ったら身を滅ぼすの・・・この曲をあなたから奪うのはあなたのためなのよ」

「意味が・・・わからない・・・」

ついに・・・美術準備室に現金(今回は1回分のレッスン料である)を持って駆けこむ恭子だった。

「・・・では課外授業を始めます」

実は・・・すでに愛が駆けこんでいたのだった。愛は母親の恭子に対する仕打ちを知ると同時に・・・それまでなんとか耐えていた母親からの虐待についに我慢できなくなってしまったのだ。

かなえは愛の背中が傷痕でひきつれるほどに鞭打っていたのだった。

アジア・コンクールの授賞式に愛が姿を見せず・・・それどころか受賞を辞退したことを知り、愕然とするかなえ。

そして・・・思い出のコンサートホールに呼び出される。そこは恭子の母が立ち、自分が立てなかった呪うべき屈辱の記憶が残る舞台だった。

そこでピアノを奏でるのは我が子の愛ではなく・・・恭子だった。

「あなた・・・何をしているの・・・愛はどこ・・・」

「あなたの娘はあなたの別れた夫の元ですでに新しい暮らしを始めています」

「何を言ってるの・・・ふざけないで・・・」

「私と私の母の音楽を返してください」

「あなたの音楽・・・そんなものはないわ・・・音楽なんてクソだもの・・・あなたもクソよ・・・みんなクソなのよ・・・あなたのクソな母親は私から何もかも奪って行ったの・・・私はそれを取り戻しただけ・・・クソだもの」

ついに邪悪さを全開にするかなえ。

予告通りに夕子キック炸裂である。

「愚か者・・・夢をかなえたかったら最後まであきらめるなって学校で教わらなかったの?」

「今日はすごくクソきれいごとなのね」

捨てゼリフを残して、虐待の罪で野口巡査(駿河太郎)に逮捕されるかなえだった。

「トワイライトゾーン」は恭子の手に戻り、作曲コンクールの受賞取り消しが取り消されて、音楽家としての第一歩としてパリ留学の権利を得たのだった。

「いい曲だもんね・・・とでも言ってほしかった」と恭子を突き放す画家崩れの美術教師・藤井(小林聡美)だったが・・・その皮肉を笑って受け流す恭子だった。我が道を信じる芸術家の魂が目覚めたらしい。

小林聡美は杉田かおるの一つ年下。「3年B組金八先生」第一シリーズでは同級生である。

いわば・・・二人は子役戦線の同期の桜なのだった。

1982年、杉田かおるが映画「青春の門・自立編」でヌードを披露すると、同年、小林聡美も映画「転校生」でヌードを披露したのだった。

時空を越えた仲良しさんなのである。

そして、灼熱の荒野である芸能界をしたたかに生き残っていく二人は視線を交わしてすれ違って行くのだった。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→mari様の黒の女教師

| | コメント (0) | トラックバック (6)

2012年8月24日 (金)

過激だから孤独なのか孤独だから過激なのか白い凶器のVISION(戸田恵梨香)

職場から窓が見える。

その窓から突き落としたい誰かがいる。

どうやって突き落とせば自殺や事故にみせかけることができるか・・・考える人がいる。

今季は東野圭吾ドラマが二作あり・・・そのヴァリエーションが展開する。

浪花少年探偵団・第4話」では自殺しようとして事故という展開だったが・・・こちらでは自殺に見せかけた他殺である。

現実の世界ではその「誰か」はまだ存命なのか・・・そこが一番、ミステリアスだな。

「エイリアン」シリーズのヴァリエーションである「プロメテウス」のプロデュースにも名を連ねるトニー・スコットがサンペドロの橋から飛び降りて死亡したという。「トップガン2」を準備中だったと言うが・・・結局、「トップガン」かと世をはかなんだか・・・。兄、リドリー・スコットには天寿を全うしてもらいたいものだ。

どんな成功も名声とも無関係に死はすぐそこにあるのだなあ・・・。

長澤まさみ→戸田恵梨香の黄金リレーなのだが・・・相変わらず演出家は眠たくなる演出病の呪いを受けているのか・・・戸田恵梨香の怪演だけが印象に残る回になってしまったなあ。

で、『東野圭吾ミステリーズ・第7回・白い凶器』(フジテレビ20120823PM10~)脚本・川崎いづみ、演出・林徹を見た。原作の初出は1988年である。科学的にはほとんど根拠がないが、受動喫煙による発がんに関する世界初の論文とされる平山雄論文を契機として1986年にいくつかの機関が「受動喫煙を肺癌のリスクのひとつ」として推定したことを受けた作品と言えるだろう。平山雄は「ガンにならない健康食―私が食べて私が防ぐ」などの著者である医学者だががんで死亡した。

つまり、白い凶器とは紙巻き煙草のことなのである。

ただし、第一の犯行では「健康のために吸いすぎに注意しましょう」という標語が書かれた裏が白い紙も道具として使われており、それのことだと言い張ることもできます。

ちなみにキッドは愛煙家なので嫌煙家はみんなガンで死ねばいいのにと思っています。

悪魔の言うことなので気にしないでください。

さて・・・それはそれとして・・・母子家庭で育ち母を失い、結婚したが夫を事故で失い、妊娠したが流産してしまった「みかど出版」販売促進部勤務の中町由希子(戸田恵梨香)は心の病を発症する。

流産した我が子を自分が殺してしまったと強く自責したためである。その苦悩を知った義理の弟・中町伸治(千賀健永)は気休めになるようにある記事を見せる。

それが「流産の原因は受動喫煙?」という憶測記事だったのである。

藁にもすがる思いでその記事に飛び付いた由希子は妄想の中の愛児とともに「みかど出版」の喫煙者たちに対する復讐を開始するのである。

アフレコといえば「家族八景」で木南晴夏が見せた登場人物の声を一人で演じ分けるも見事だったが、こちらの戸田恵梨香の「男声」も不気味と言えば不気味である。しかし、赤ちゃんの声なのだから・・・キャピキャピ声の方が辻褄はあっている。

男の共犯者がいるというミスリードを誘う演出なのだが・・・この当たりの詰めの甘さがこの演出家の不調を物語るのである。

とにかく・・・部長(菅原大吉)を窓から突き落とし、副部長(木下ほうか)を電車の線路に突き落とし、言い寄ってくる同僚(平岡祐太)をガス自殺に見せかけて殺そうとする由希子。

ついには真相にせまった刑事(ユースケ・サンタマリア)も殺害せんとするのだ。

まったく真相にせまらない相棒の刑事(満島真之介)は何事もなくいい味出してます。

「煙草を吸ってあなたを殺そうとするなんて悪い人たちでちゅねえ」

「くちゃいよ・・・タバコ・・・くちゃいよ」

・・・的な演出で面白おかしく見たい作品でございました。

関連するキッドのブログ→鍵のかかった部屋

で、『VISION-殺しが見える女-・第7回』(日本テレビ20120823PM1158~)脚本・原案・脚本・飯田譲治、演出・植田尚を見た。前回、来栖玲奈(山田優)のマネージャー(勝村政信)が死亡。おなじみのキャラを容赦なく殺すのがセオリーなのだった。そして、代わりに登場するのが・・・カジウラ・・・ではなくて怪しい顧問弁護士・川辺(升毅)である。「ぼくの夏休み」の怪しい旅館の親父が終わってここなんだな。

テレビタレントで怪しい心理カウンセラーの藤堂由加里(村岡希美)のカウンセリングを受けることになった玲奈。しかし、秋山刑事(吉家章人)が隣室で待機していたにも関わらず藤堂は絞殺されてしまうのだった。密室だったために現行犯として逮捕される玲奈。

しかし・・・その部屋には秘密の扉があったのである。誤認逮捕の可能性が出てきて狼狽する刑事たち。

一方、防犯カメラの映像には不審な行動をする番組制作会社AD・岡田一夫(山口大地)の姿が残っていた。

そして・・・玲奈のVISIONには弁護士の川辺(升毅)が登場する。

「あなたの秘密を守るために・・・あの女を殺したのです」

「もう・・・やめて・・・」

「私はこれまでのものたちとは違う・・・私は破滅を望んでいないし・・・あなたを守るために働くのです・・・クリスティーナ」

一方、和馬(金子ノブアキ)は玲奈の過去を探るために中学時代の同級生を訪ねる。

しかし、男子中学生に人気だった玲奈の評判は女生徒たちにはすこぶる悪いのだった。

女たちの恥も外聞もない悪意に胸やけする和馬だった。

「彼女は中学生のくせにものすごくキスがうまかったんだって・・・」

そんな評価をするかってのクラスメイト(大村彩子・・・生存を確認)から卒業アルバムをゲットした和馬。

そこには・・・「昔の彼女のことは知らない」と証言していた・・・朝倉マリア(コトウロレナ)の姿があるのだった。

朝倉・・・なのである。「ケイゾク」のアサクラしかり、「相棒」のアサクラしかり・・・アサクラならではの展開らしい。

関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

| | コメント (2) | トラックバック (9)

2012年8月23日 (木)

突然、嵐のように、さらば夏の光よ、スプラウト(知念侑李)

「突然、嵐のように」「さらば夏の光よ」そして「ワニと鸚鵡とオットセイ」と言えば、1970年代の山根成之(1936-1991)監督による二十歳そこそこの郷ひろみと一つ年上の秋吉久美子との青春映画である。

実にどうということのない青春映画なのだが・・・そのどうということのなさゆえにはまる人も多いのである。

三篇とも登場人物にそれほどの共通点はないのだが・・・郷ひろみはどちらかといえばダメ人間で・・・「まともな就職」をしていない若者である。

そして、秋吉久美子となんとなく「運命」を感じ合うのだが・・・けしてハッピーには結ばれないのである。

あえて・・・ジャンルをつければ美男美女だけどなんだかんだで失恋映画ということになる。

つまり・・・基本線は「せつない幕切れ」であり、こういうのが心にしみる若者というのはいつの時代でもいるだろう。

キッドはモテモテの失恋知らずの青春時代だったのでまったくピンとこない映画でした。

だが・・・帝国系のエンターティメントとしてはもっと評価されていい作品群ではあると思う。

「スプラウト」(新芽、若枝の意)を見ながらなんとなくそんなことを思い出した。

で、『スプラウト・第1回~第7回』(日本テレビ20120708AM0050~)原作・南波あつこ、脚本・松田裕子、演出・守屋健太郎(他)を見た。ザ・少女マンガである。これといった特徴のないヒロインの池之内実紅(森川葵)が高校一年生のひとときを「運命の人」とのあれやこれやの関係で思い悩むと言う展開である。原作とは登場人物や人間関係に一部アレンジが加えられているが・・・まあ、些事であると言える。

双葉南高校1年生の実紅は入学したてで気分の悪い時に助けてくれた運命の人に仄かな恋心を抱いているのだが・・・それが・・・誰か分からない。

そんなある日、実紅の父親が下宿屋を始めると言いだし、あろうことか、同級生の一人、楢橋草平(知念侑李)が下宿人になってしまう。

一つ屋根の下で暮らすうちになんとなく草平が気になりだした実紅なのである。

もうどうしようもなく恥ずかしい脈絡のなさだが・・・そういうふつうの心理を丁寧に描いていくドラマなのである。

なにしろ、ザ・少女マンガなのだ。

ところが、草平には学校一番の美少女と評判の小澤みゆき(小島藤子)という彼女がいたのだった。

そして・・・実紅は草平にみゆきの「親友」になることを強制されてしまうのである。

こってりとザ・少女マンガなのである。

そうしたもやもやとした日常生活を送るうちに・・・草平の親友で学校一のプレイボーイと噂される片桐隼人(ルイス・ジェシー)が実紅に好意を寄せるようになる。

やがて・・・みゆきにぞっこんの草平に影響されて隼人は真剣に実紅との交際を求めるようになる。

すると実紅のときめきの対象はあっさりと隼人に移ってしまう。

とにかく、ザ・少女マンガなのである。

こうして・・・草平とみゆき、隼人と実紅という二組のカップルが成立するのだ。

ところがそうなると・・・たちまち、草平は実紅のことが気になりだすわけである。

もう、ザ・少女マンガだからな。

そして、みゆきも「本当は隼人のことが好きだった」とか言いだすのだ。

なんとしても、ザ・少女マンガなのである。

まあ・・・この頃の年代は・・・まだ・・・経済的にも肉体的にも精神的にも未熟なのであって・・・だからこそ「燃えるような恋愛」をしやすい体質を獲得しやすいとも言える。

ふりかえれば・・・「なんであんな人をあんなにも好きだったのか・・・不思議な」季節なのである。

ま、それは突然嵐のように終り、そしてさらば夏の光よと言うよりほかなかったりするんだな・・・これが。

とにかく・・・数年後、タクシー・ドライバーとなった草平がホステスとなり、客と同伴出勤する実紅と偶然、再会・・・素知らぬ顔ですれ違うというようなラスト・シーンにはならないと予言しておく・・・当たり前だろうがっ。

とにかく・・・そろそろ「猛暑さん、酷暑さん、炎暑さん、残暑さん」といった「夏の皆さん」にも帰郷してもらいたい今日この頃である。

関連するキッドのブログ→最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年8月22日 (水)

花やしき身代金受け渡し事件・主犯(荒井萌)また浅草かっ(多部未華子)

原作では身代金の受け渡し場所は「東京ディズニーランドのホーンテッドマンション」である。

スケール・ダウンしてどうする。

夏の子役祭りの中核的ドラマだが荒井萌参戦で花を添えたな。

ついに・・・鉄平(濱田龍臣)と原田が上京するところを原田兄弟(まえだまだ)上京である。ものすごく意味不明だ。

枠の限界もあるが・・・時代設定のアレンジといい、人物設定のアレンジといい・・・せっかくの原作を台無しにしている感はぬぐえないな。

ま・・・安上がりなロケ場所として・・・浅草が・・・この夏程、選ばれたことは21世紀に入ってかってないことであるといえよう。

各局、五輪で予算使い果たしているんだな・・・。

どのドラマも早くも黒歴史の様相を呈しているが・・・それもまた人生なのである。

がんばれ、夏ドラマ。もう、峠は越したから・・・。

で、『浪花少年探偵団・第8回』(TBSテレビ20120820PM8~)原作・東野圭吾、脚本・江頭美智留、演出・東田陽介を見た。2012年8月シリア内戦の死傷者は2万人を越えているとされるが実数の把握は困難になっている。その中でこの日、日本の戦争ジャーナリストが1名カウントされた。アサド家における40年以上の独裁政治の果て、2011年1月、アサド大統領の退陣を求める小さなデモから始った騒乱は暴動と鎮圧のうねりを繰り返しながら周辺諸国との摩擦を生じさせる。2012年にはトルコ軍機がシリア軍によって撃墜され、シリア・ヨルダン国境では両軍が戦闘状態に入った。国連はシリアの停戦監視団を撤収することを決定。米国は反政府軍側に資金提供を行うことを発表する。主要都市のひとつアレッポでは政府軍と反政府軍の戦闘が激烈化していた。日本は「暴力行為はやめるべきだ」と談話を発表する。そして、アレッポで反政府軍を取材中の山本美香(45)は政府軍の銃撃により死亡が確認されたのである。

そういうあれやこれやの出来事の中・・・東京に転校した中西雄太(吉岡竜輝)から6年2組に手紙が届く。

「東京に転校して・・・つらいことばかりです。東京の人間はみんな冷たいし、ブタまんは肉まんです。父の仕事は忙しく、母とはケンカばかりしています。大阪に帰りたいです」

肉まんがブタまんなら・・・肉野菜炒めはブタ野菜炒めで、肉屋はブタ屋で、肉体はブタ体で皮肉は皮ブタかよっ・・・何を言ってるんだ、お前は。

大阪を大都市だと思っていた人間が東京の巨大さに卑屈になる・・・よくある話です。

しかし・・・浪花のしのぶセンセ(多部未華子)としてはかわいい教え子が魔都・東京で苦労していると思うと不憫でならないのである。

そこで、中西家に招待された原田兄弟とともに東京旅行を決意するのだった。

おりしも・・・中西家では次男・利広(樋口海斗)の誘拐事件が発生していた。

中西家の家族構成は父・雅彦(中島久之)、母・知美(筒井真理子)、長女・景子(荒井萌)に雄太と利広である。

両親の言動からたちまち事件の匂いを嗅ぎつけるしのぶだった。

誘拐犯からの要求は現金三千万円、遺産相続したばかりの中西家にはギリギリ用意できる金額だった。

まあ、この物語の一番のネックはここだな。

家庭の不和に不満を抱いた子供たちが狂言誘拐を試みる話なのだが・・・三千万円が転がり込む家は否が応でも和気藹々とするだろうと考えるのである。

だって・・・この一家はもともと大阪出身なんだぜ。

ともかく・・・事件に連座している原田兄弟の言動にも不審を感じたしのぶは・・・東京出張中の本間(山本耕史)とのデートをすっぽかし、原田兄弟を尾行するのだった。

身代金運搬の役に指名されたのは長女で高校生の景子である。

受け渡しの現場は「お化け屋敷~桜の怨霊~」・・・警察官配備なら脱走不可能だな。

原田兄弟は景子から身代金を受け取る役目だったのである。

息子の命を第一に考えて・・・警察に届けなかった両親のおかげで・・・すべては極私的レベルで解決するわけだが・・・親に仲直りしてもらいたいと考えたという高校生・景子は現金三千万円を手にしたら・・・絶対、本末転倒すること疑いなしと悪魔は推量するのだった。

夫婦喧嘩は内戦の一種である・・・泥沼に入り込み、死亡者を出す前に仲直りするのが一番だと思う。

浅草花やしきで東京スカイツリーをBeeタワー(旧人口衛星塔)から眺める・・・これは意外と穴場かもしれないっ。・・・そこかよっ。

関連するキッドのブログ→第7話のレビュー

キャットストリート

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の浪花少年探偵団

| | コメント (4) | トラックバック (3)

2012年8月21日 (火)

アン・ドゥ・トロワと踊りだす愛しいあの子を忘れる前に(豊川悦司)

記憶喪失宣告される病である。

一生懸命に考えてよかれと決断したこともやがて忘れる。

幼い娘の生活を考えて別離を考えたこと。

娘がそれを望むかどうか考えたこと。

娘を欺くことに心が痛んだこと。

娘を見送ったこと。

娘のいない部屋の喪失感。

自分の決意にひるんだこと。

すべてを忘れてしまうのだ。

やがては・・・娘がいたことさえも・・・。

自分が生きていたことすべて。

それでもしばらくは生きて行くのである。

時々、不安に襲われながら、自分が誰かも忘れつつ。

で、『ューティルレイ・第8回』(フジテレビ20120819PM9~)脚本・羽原大介、演出・水田成英を見た。若年性アルツハイマー病を発症した木下圭介(豊川悦司)には二つの選択肢がある。一つは娘の美雨(芦田愛菜)の血縁である義父母、上原一夫(浜田晃)と愛子(岩本多代)を頼ること。もう一つは家族的な職場の人々に頼ることである。中村産業という職場には社長の富美夫(蟹江敬三)と妻の千恵子(丘みつ子)という人情味あふれる他人がいる。アルツハイマー病の義母を看取った経験がある出戻り娘のアカネ(中谷美紀)もいる。何よりも症状の進行に合わせてギリギリまで働ける「仕事」がある。ミラクルな展開としては・・・圭介とアカネの間に「男と女」の関係が生じ、妻として圭介の「その後」の介護や、義母として美雨の養育を託せるというものがある。

そういう甘い幕切れもありえるが・・・ひとまずは現実的な選択に針が振れる展開である。

何よりも圭介の病状の進行の速度の問題がある。

現在、小学生の美雨が・・・どの程度、成長するまで・・・圭介の記憶が保持されるか不明なのである。

成人するまで大丈夫かもしれないし・・・明日、その日が来るかもしれない。

圭介は苦悩するほかはない。そして・・・もっとも合理的と思える結論に達する。

ただし・・・義父母は沼津に在住であり、娘のためにも出来る限り、仕事を続ける覚悟の圭介は娘との別居を余儀なくされる。

はたして・・・父親と別れて暮らすことを娘は受容するだろうか。

そして・・・いつになったら不治の病であることを娘に告げることができるのか。

いくつかの「問題点」を残しながら圭介は決断する。

賢い美雨である。「若年性アルツハイマー病」が「現代の医学では治らない病」であることを学んでしまうのは・・・そう遠い将来ではないだろう。

圭介は行くも地獄、引くも地獄の道へと踏み出した。神も仏もあるものか・・・と言う思いがこみあげる。もちろん、神や仏など最初からいないのである。

あるのはひたすら残酷で不条理な現実があるだけなのだ。

もちろん・・・そうでありながら・・・人はなんとか救いの道を模索する生き物なのである。

美雨の将来の夢は・・・「バレリーナになること。バティシエになること。そして、幼稚園教諭になること」である。

「欲張りさんだなあ・・・」と思いつつ圭介は娘の未来に思いを馳せる。

しかし・・・その未来を自分は見ることができるのだろうか。

おそらく・・・見れないだろう。

そう、思いつつ今を生きるしかない圭介だった。

夢の一つを叶えるための小さな道筋に「バレエの発表会」がある。

多くのバレリーナの卵が集う時と場所。本物のバレリーナになれるのはひとにぎりの選ばれしものだが・・・とりあえずレースに参加しないことには埒があかないのである。

娘の小さな願いを叶えることは親の大きな喜びである。

圭介は精一杯の努力をしてそれを叶えようとしているのだ。

当日は沼津の義父母も見学にやってくると聞き、美雨ははりきるのだった。

沼津で暮らすか、東京の下町で暮らすかの選択について、前回、一応の結論が出たので中村産業の人々は楽観している。

しかし・・・アルツハイマー病の介護経験者であるアカネは不安を口にする。

「いつか・・・とりかえしのつかないことが・・・おきるかもしれない」

アカネの義母は・・・自宅療養を続けるうちに・・・施設収容を先送りしていた最中に・・・徘徊するようになり、徘徊中に交通事故に遭って・・・それ以来、急速に衰弱して死に至ったのである。

アカネはそれを痛恨の一撃と感じていたのだった。

だからこそ・・・夫にその点を責められて・・・離婚を決意したのである。

下手な人情が通用しない病であることをアカネは思い知っている。

「バレエ発表会」の当日。

和気藹々と会場に向かう圭介と美雨。

しかし、会場のある街の駅前で圭介はカメラのフィルムを買い忘れたことに気がつく。

おりしも、駅前には楽しいパフォーマーがいて・・・美雨は夢中になってしまう。

二人は「圭介の病」のことを失念し・・・離れ離れになってしまうのだ。

フィルムを買いに行った先で圭介は「自分が何をしていたか」を忘れてしまい、手帳を確認し、一人で会場に向かってしまう。

もちろん・・・そこは美雨が一人では到着できない場所なのである。

顔見知りの菜子(吉田里琴)に問う圭介。

「美雨を知らないか」

「美雨ちゃんと一緒ではなかったの?」

レオタード菜子の出番終了である。

いつ・・・どこで美雨とはぐれてしまったのか・・・まったく見当がつかない圭介だった。

美雨は戻ってこない圭介に・・・自分の失策に気がつく。

(父ちゃん・・・忘れてしまったんだ)

その目に警官の制服が映る。

(おまわりさんに・・・道を聞いて)

あわてて駆けだした美雨は走行中の自転車と交錯してしまうのだった。

上京し・・・会場に向かう途中だった義母はその場に遭遇してしまう。

とりかえしのつかないことを目撃してしまうのである。

せっかくの発表会は台無しだった。

美雨の収容された病院には圭介の主治医の古賀(安田顕)がいた。

「娘さんのために・・・どうしたら一番いいかは・・・誰にもわからない。しかし・・・物事を筋道たてて考えられるのも今のうちかもしれない。最悪の場合のことを考えて最善の手を打っておく・・・そういう判断力があるうちに・・・そういう考え方もあります」

「考えられるうちに考えろ・・・てことですよね」

「ですね」

圭介は決断した。

美雨と別れて暮らすことを。

夏休みの間だけ・・・沼津に遊びに行く・・・ということで納得する美雨。

しかし・・・それは長い別離になる予定だった。

義父母は・・・圭介も一緒に沼津で暮らすことを提案する。

しかし・・・それには抵抗がある圭介だった。何よりも慣れ親しんだ仕事を続けたいと考える。稼げるだけ稼がなくてはならないのである。

「それに・・・やがて・・・何もかもわからなくなっていく・・・自分を娘に見せたくないのです・・・娘がどんなに傷付くか・・・想像もつきませんから・・・」

圭介の苦渋を人々は自分たちのそうぞうの範囲内で受け止めるばかりである。

やがて・・・最後のくすぐりの儀式を終えた美雨は旅立つ。

もはや・・・登場するだけでちょっとこわい長距離バスである。

「ごめん・・・美雨・・・ごめん・・・弱い父ちゃんを許してくれ・・・」

圭介は声にならない声をあげるのだった。

帰宅した圭介は・・・いなくなったものの存在に胸をふさがれる。

「父ちゃん」

「父ちゃんの病気もうすぐ治るんでしょう」

「父ちゃんずっと一緒だよ」

「父ちゃん」

「父ちゃん」

「父ちゃん」

ふと見ると亡き妻の写真の裏に何かがある。

美雨が靴を泥んこにしてさがした四つ葉のクローバーだった。

「父ちゃんのびょうきがなつやすみが おわるまでになおりますように」

その叶わぬ願いが圭介の心を破壊する。ストレスがよくない病なのである。

笑いたいよ 

何ももたずにかけだし

君に会いにゆくよ 

それ以上傷つかない世界へ

いつも照らされてた

見つめ返す 

目の光に

戻りたいよ 

愛と遠い日の未来へ

関連するキッドのブログ→第7話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様のビューティフルレイン

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2012年8月20日 (月)

愛は世界に満ちるとも愛の形は闇夜の夢におぼろに見えて消えたまう(松山ケンイチ)

位人臣を極めた平清盛である。

しかし、この国では帝こそが至上の位である。

後は帝位の剥奪しかないのだ。

だが・・・それはこの国ではあってはならないことである。

どのくらいあってはならないかといえば・・・今、これを記していてもプレッシャーを感じるほどだ。

清盛の革命もついに・・・成就手前で失速したのである。

それを阻んだものが・・・遊びにうつつをぬかした・・・史上最悪に近い評判の後白河院というのが・・・なんとも面白いところだ。

平清盛と後白河院は確かに舞い踊り・・・そして思いもかけない時代の幕を開くのである。

平家の勃興がなければ源氏の鎌倉幕府もなく・・・ひょっとしたらモンゴル帝国に支配を許したかもしれない。

歴史にもしも・・・を問うても詮無いわけだが・・・日本という国家が今もなお、存在していることを考えれば・・・平清盛はもっともっと評価しなければならない人物だと言えるだろう。

で、『平清盛・第32回』(NHK総合20120819PM8~)脚本・藤本有紀、演出・渡辺一貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は桓武平氏平直方流を称する伊豆の豪族の長にして北条政子の父、北条時政の描き下ろしイラスト大公開でございます。ある時は温泉街のスナイパー、ある時はライオン丸のライバル、そしてある時はZEROの理事官・・・田舎侍の親父感抜群でございますな~。

Tairakiyomori30 永万二年八月、六条天皇の即位により仁安元年(1166年)十一月、平清盛は正二位内大臣となる。皇太子となった憲仁親王の春宮大夫(皇太子補佐官長)となったことによる出世である。朝廷には六条帝があったが、御年三歳である。王家の発言権が後白河上皇にあったことは間違いない。この年の夏に摂政であり、清盛の娘婿である近衞基実が死去したことにより、一瞬の動揺があったが、摂関家の継承は基実の弟・松殿基房に部分的に譲渡されるが、摂関家の財に関しては後家の平盛子が後継者の基通の成人まで預かる形となった。平清盛の正室・平時子の妹である平滋子と後白河天皇の間に生まれた憲仁親王(後の高倉天皇)の後ろ盾を形成するための動きであり・・・後白河天皇と平清盛には阿吽の呼吸が形成されていたのである。翌、仁安二年二月平清盛は従一位太政大臣となる。ついに臣としての最高位についた清盛は引退する。後継者として嫡男・従二位平大納言重盛がその重職を担うことになる。重盛の妻は後白河上皇の側近・藤原成親の妹であり、立太子後の憲仁親王の乳母となる藤原経子である。平家がこのように頂点を極めていた頃、伊豆の流人・源頼朝は伊東祐親の三女・八重姫との間に長男・千鶴丸を儲けるが清盛の意向を恐れた伊東祐親によって我が子を惨殺されたのである。この時、頼朝は二十一歳だった。

西行は東海道の旅の途中で・・・この話を聞いた。すでに西行自身は天皇の忍びとしての役割は終えたと考えている。西行は平のくのいち波音との間に一男一女を儲けていた。波音が伊賀の地で忍びとして育てた二人は・・・藤原景秀、藤原波子と名乗り・・・景秀は清盛に波子は後白河院に仕えている。

清盛とともに妖狐との戦いに半生を費やし、源平による都での戦も昔のことになった。

佐藤一族は皆、天皇の忍びであったが・・・西行の影武者を始め、多くの忍びのものが妖狐との戦いで絶命している。西行の旅はそれらのものの菩提を弔う巡礼の旅であった。

それでも天皇の忍びとしての掟の縛りはある。

たとえば・・・西行の弟の一人は影目付として源氏の棟梁の血を継ぐ源頼朝の郎党となっていた。

頼朝の長子受難の知らせは忍び仲間によって・・・もたらされたのである。

伝えたのは旅芸人に身をやつした傀儡子の陣内という忍びである。

傀儡子は人形遣いである。操り人形によって芝居を見せ・・・糊口をしのいでる。

すでに源氏の御曹司の悲劇は芝居になっていた。

陣内の一座は村祭りに見世物興行を催していた。

老武者の人形が赤子を奪い、若武者の人形に赤い口をさらす。

「情けないとは思えども・・・一族郎党のことあらば・・・我が孫といえども生かしておけぬ・・・」

若武者の人形は老武者の人形の足元にとりすがる。

「お許しあれ・・・なにとぞお許しあれ」

「やれ、情けなや、やれ口惜しや・・・許しを乞うなら・・・その身を慎むがよかろうほどに」

「ご慈悲を・・・たまわれ」

「是非もなし」

老武者の人形は赤子の人形を打ち捨てる。

「無残な・・・」

西行は都落ちした源氏の御曹司の面影を胸に宿し涙した。

関連するキッドのブログ→第31話のレビュー

| | コメント (0) | トラックバック (5)

2012年8月19日 (日)

パパやママより猫が好き(石井萌々果)おまえだっ!(志田未来)

子供は動物が好きだと誰が決めたのだろう。

もちろん・・・神様である。

しかし、その原点はなんだろう・・・肉食系ならやはり食欲か。

撫でるのも好きみたいだから・・・性欲の萌芽であるのかもしけない。

小動物は無力であるから・・・支配欲の発露かもしれない。

え・・・単に可愛いからって・・・それは想定外だったな。

犬や猫・・・そしてすべてのかわいいものに幸あれ。

で、『ゴーストママ捜査線~僕とママの不思議な100日~・第6回』(日本テレビ20120818PM9~)原作・佐藤智一、脚本・梅田みか、演出・西野真貴を見た。狂気の世界では「ゴーストのローストのトースト」などという朝食の風景が浮かぶのだが・・・幽霊が見える話をほのぼのと受け止めることのできるお茶の間ってある意味恐ろしいのである。しかし、それが日本のお茶の間というものだからな。

父と娘と息子の親子三人で怪談大会をして過ごす夏の夕べ・・・これもまた奇異な風景であるが・・・そういう家族関係に憧れる人もいるのがこの世の恐ろしいところだな。

娘の上原葵(志田未来)の語る「学校の怪談」に割り込む、蝶子(仲間由紀恵)ととんぽ(君野夢真)の母子。じっくり葵の怪談を楽しみたいのだが・・・蝶子ととんぼの物語なのでそれは許されない。

「・・・クラスメイトが学校の屋上から飛び降りて一ヶ月くらい経った木曜日の午後の授業中だったのです。たしか、国語の授業だったと思います。突然、睡魔に襲われた私はうつらうつらとしてしまいました。すると、教室の後ろの扉がガラガラと音を立てて開いたのです。私は顔を向けようとしましたが金縛りにあったように身体の自由が効かないのです。頬杖をついたまま机に顔を剥けていた私はなんとか様子を見ようと扉の方に視線を剥けました。ズルッ、ズルッと何かを引きずるような足音が聞こえてきたからです。何故か、教室は静まりかえっています。「ちがう」と声がしたのはその時です。その声には確かに聞き覚えがありました。死んだクラスメイトの声なのです。「ちがう」・・・また声がしました。その声に教室にいるものは誰も反応しないのです。みんな息をひそめるように沈黙していました。「ちがう」・・・声は少しずつ、近づいてきます。空模様が悪くなったのでしょうか。教室がどんどん暗くなっていくようなきがします。叫びだしたい気持ちになりましたがもちろん声を出すことはできません。ついに気配が感じられるようになりました。制服の足元が見えました。私の背後に誰かが立っています。私の肩に誰かが手をのせてきました。ついに教室は夜のような暗さになっています。「ちがう」と言いたかったけど言えませんでした。なにしろ、まちがいないのだから。ふと力が抜けて・・・首がまわるようになりました。しかし、恐ろしくてとてもふりむくことはできません。その時、耳元がひやりとしたのです。そして・・・「おまえだーっ」・・・・・・・・・・」

「お前がいじめをする子だったなんてな」

「いつまでもいじめられてると思ったら大間違いよ」

「・・・僕がはじめてのおつかいに行った時の話です。届け物をした先でお小遣いをもらった僕はうれしくなってホップステップジャンプです。すると帰り道にある病院の植え込みに立っている一人の女の子(石井萌々果)に出会ったのです。白いワンピースを着たかわいい女の子でマイちゃんと名乗ってくれました。ぼくはたちまち恋におちました。マイちゃんは捨て猫のミーコをかわいがっていました。三毛猫なので三味線用に高く売れそうです。しかし、少しやせています。マイちゃんは「私が病気で死んじゃったからエサをあげられなくなっちゃって」と哀しそうな顔をします。そうです。マイちゃんは美少女幽霊なのです。でも僕はゴーストママの息子なのでそんなことでいちいち驚きません。「それじゃ・・・飼い主を見つけてあげる」と僕は猫撫で声でいいました。自分で言うのもなんだけど下心みえみえです。でもマイちゃんが喜んでくれたので僕はホップステップジャンプをしました。家に帰るとクレヨンでチラシを描きました。家にはコピー機があるのでカラーコピーは実費です。一枚一枚手書きしてたんじゃ、夏休みが終わっちゃいますから。やがて飼い主が見つかりました。なんとそれはマイちゃんのパパとママだったんです。入院中の娘からミーコという猫の話を聞いていたんだって。僕は本当はこの猫のことなんだよって言いたかったけど黙っておきました。幽霊が見えるなんて言ったら政府の秘密の組織に監禁されてしまうかもしれないから。ミーコの飼い主が見つかったのでマイちゃんは成仏するみたい。お別れのキスを期待したのに・・・マイちゃんは手をふってサヨナラです。僕はでも、ホップステップジャンプをしたのです」

「誰がいい話をしろと言った」

「じゃ・・・最後はパパが話そう。実はパパも子供の頃、ゴーストが見える体質だった。で、ミヨちゃんというカワイコちゃんゴーストに一目惚れしたんだ。ミヨちゃんは・・・ポチっていう犬を凄く可愛がってたんだ。だから・・・死んじゃって・・・ポチに会えないのが凄く残念だって言ったんだ。だから・・・パパはね。ポチの首を両手で握ってギューッとしめたんだよ。おかげでミヨちゃんとポチはね。一緒に仲好く天国に行けたのさ。もちろん・・・パパは恐ろしい子供として近所で噂になったけどね・・・」

「おいっ」

「おいおいおい」

「お盆だったねえ」

「お盆だったよねえ」

「ママはずーっといるから関係ないよねえ」

「・・・」

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様のゴーストママ捜査線

石井萌々果のホタルノヒカリ

| | コメント (0) | トラックバック (7)

2012年8月18日 (土)

あれは遠い夏、空に消えてった格差社会と黒の女教師(土屋太鳳)

各ドラマが五輪明け体制に入っているわけである。

そういう意味では今週のスポットライト生徒が栞(土屋太鳳)であることはその一環なのだろう・・・。

し・か・し・・・ネタ弱いよね~。

っていうか・・・来週予告で子役祭りを飾る杉田かおるはいいとして・・・いきなり、蹴り炸裂のシーンをピック・アップってミもフタもないな・・・。

昼は昼で究極の昼メロ展開「ぼくの夏休み」の「おにいちゃん、どうしてあなたはおにいちゃんなの」が面白いし、金曜日は悪魔のような女になった「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の植村ちはる(南明奈)で盛り上がっているわけだが・・・これまでの流れで「黒の女教師」を続行である。

「ウレロ☆未完成少女」も見なければならないし・・・残暑も厳しいのでチャッチャッと書けよ。

で、『黒の女教師・第5回』(TBSテレビ20120817PM10~)原案・山下友弘、脚本・吉澤智子、演出・岡本伸吾を見た。小説「ノルウェイの森/村上春樹」には小林緑という登場人物があり、東京下町の書店の娘がお嬢様学校に通っていることで・・・幽かに屈折する。つまり、格差社会の話である。もちろん、今回の女生徒側主人公・松本栞がそのヴァリエーションであることは明らかである。自由は不平等を生み、当然の如くに格差社会に至る。いつの時代、どんな世界もそこから逃げることはできないのだ。

もちろん、「平等」を目指すなら革命をしなければならない。その最終目標は世界最終戦争による人類の滅亡である。等しく死ぬことによってのみ、人類は平等を達成するのだから。

しかし、結局、人々はその自由と平等の束の間で・・・おりあいをつけてそれなりに面白おかしく生きて行けばいいのである。

母子家庭であり、母は内職に追われ、離婚した父親からの扶養料は滞りがち。松本栞は普通の女生徒たちと付き合うためにそれなりの金銭を必要とし、限りなく風俗産業に近いガールズ・バーでアルバイトをしているのだ。

ガールズ・バーの経営者である河合(加藤虎ノ介) は「知識なんて役に立たない・・・知恵をつけていかに金を稼ぐか・・・貧しいものが這い上がるにはそれしかない」と栞を指導するのである。

しかし・・・その知恵とは・・・裏社会で生息するダニのようなものになるための知恵だった。

栞の美貌に目をつけた河合は栞を高級売春少女に育てるために・・・着替えのシーンを盗撮するなど着々と準備を進めていた。

そんな栞の夜の生活をクラスメートの立花(上遠野太洸)が目撃してしまう。密かに栞に想いを寄せていた立花は・・・裕福な家庭に育っている。栞にアルバイトをやめさせるために親からもらった小遣いを使おうとするのである。

しかし・・・親の金で立花によって「自由」を与えられることは栞には我慢ならないことだったのである。

「金」という単なる流通の道具を・・・貧富を問わず「穢れ」とみなすことは悪魔的には面白いところである。

加害授業が有料であるとはいっても単なるポーズのように見えてしまうのは本質を損なうのではないか・・・だってそれって偽善でしょう。

ま、それはともかく・・・今回はもたざる少女ともてる少年の初恋物語なのだが・・・それを縁取るのが・・・古典教師の内田すみれ(市川実日子)と河合の初恋物語になっているのだ。相変わらず村レベルの人間関係である。東京の人口1000万人超をなめてるな。

君がいた夏は

遠い夢の中

空に消えてった

打ち上げ花火

・・・的な。

知的エリートだったすみれと・・・落ちこぼれだった河合。

二人は花火大会の夜にすれ違った。

河合の気持ちを確かめるために手を離してしまったすみれは・・・河合の浮気心に裏切られるのである。

まあ・・・若い時にはありがちなことで・・・だからどうという話ではありません。

で・・・河合は結局、高級売春婦派遣業の経営者となり・・・すみれは高校教師になったという話である。

君の髪の香りはじけた

浴衣姿がまぶしすぎて

お祭りの夜は胸がさわいだよ

・・・にもかかわらず。

時は流れて・・・夏の始りを告げる花火大会の夜。

都立国文館高校はこれから夏休みなのである・・・遅いぞ、カレンダー的に遅すぎる。

ついに・・・河合が牙を剥きだし、栞に売春を強要するために連れ込んだマンションに・・・身を張って乗り込んだ立花。

栞は脱出に成功するが・・・立花は取り残されてしまう。

河合は若い二人に激しく嫉妬するのである。

ざわめきが少し遠く聞こえた

色んな事話たけれど

好きだって事が言えなかった

・・・もはやとりかえしのつかない時と場所に河合は立っていたのだ。

栞の依頼で課外授業を開始する黒の女教師たち・・・。

火事騒ぎで立花を救出すると・・・物騒な情報を仕込んだパソコンをお持ち帰りである。

おびき出された河合は「警察なんてこわくない」と嘯くが・・・高倉夕子(榮倉奈々)は河合の代理人として・・・裏社会のボスに恐喝を行っていた。

「反則勝ちは失格なのよ・・・あなたの面倒はあなたの世界の主がみてくれる」

恐怖に慄く河合だった。

初恋をふみにじられたすみれの陰湿な復讐劇はこうして幕を閉じるのだった。

栞は成績優秀だった。

「あなたは・・・努力すればプラチナ・チケットを手に入れられるの・・・どうする?」

「ドラゴン桜ですかーっ」

「とにかく・・・受験生に夏休みなんてないの・・・これだけは学校で教えてくれるでしょう」

君がいた夏は

遠い夢の中

空に消えてった

打ち上げ花火

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はこちらへ→mari様の黒の女教師

| | コメント (4) | トラックバック (6)

2012年8月17日 (金)

ミニスカ黒衣でシャレードがいっぱいのVISION(長澤まさみ)

各地でお盆の送り火が焚かれる日である。

都会では一瞬の静寂があり・・・明日からは夏の終りの日々が始まる。

それにしても・・・このあたりに終戦記念日があるというのは・・・ものすごい天の配剤を感じるわけなのだな。

で・・・不慮の死を遂げた別れたばかりの恋人の葬儀にミニスカートの喪服で現れるヒロイン・・・由緒正しいカレンダーものと言えるだろう。

元カレを演じるのがシークレット・ゲストになっているのだが・・・映画「涙そうそう」ドラマ「天地人」で共演した二人である。

こんな軽いワクではなく・・・二人の堂々としたラブ・ロマンスを見てみたい気がするが・・・そういう時代ではないのかもしれない。

読売新聞・夕刊のテレビ欄を見ると番組表には「謎の血文字Aの秘密!殺された元カレと消えた遺言状の謎」とある。・・・「シャレードがいっぱい」はどこへ行った。

で、『東野圭吾ミステリーズ・第6回シャレードがいっぱい』(フジテレビ20120816PM10~)脚本・鎌田哲朗(他)、演出・石井克人を見た。映画「スマグラー -おまえの未来を運べ-」の監督による演出である。よくもわるくも映画的な余韻がある作品に仕上がっている。郷愁と呼んでもいい。ただし、そういう意味では1時間は少しものたりないわけである。そもそもハリウッド映画「シャレード」(1963年)と仏・伊合作映画「太陽がいっぱい」(1960年)をもじった原作小説「シャレードがいっぱい」の初出が1990年である。ある意味・・・ノスタルジーの連鎖なのである。

ちなみに「シャレード」と「ジェスチャー」の差別化をしておこう。厳密に言えばジェスチャーとは身ぶり手ぶりである。で、ジェスチャーによって言葉を連想するゲームがシャレードなのである。ここから転じてシャレードは「隠された言葉を当てる」というニュアンスが生じ、それが発展して「謎解き」を指すに至る。

一方で「シャレード」はいわゆるひとつのおしゃれ映画の代名詞である。おしゃれ映画が「シャレード」・・・この言葉のダジャレた感じが素敵なのだな。

だから、「シャレードがいっぱい」となれば「謎解きに満ちたラブコメ」ぐらいの意味が生じる。

しかし・・・「太陽がいっぱい」がさらに加わって・・・「青春のほろにがさ」も生じてくるのである。

だから・・・ラスト・シーンはハッピーエンドというよりも悲哀が漂ってくるわけだ。

よくもわるくもというのはこのあたりで・・・好みが分かれますからな~。

ヒロイン・弥生(長澤まさみ)と別れたばかりの恋人・孝典(妻夫木聡)の微妙な関係をどの程度妄想するかで・・・ラスト・シーンの味わいはかなり変わってくるだろう。

ちなみに原作では・・・弥生はフリーランスの通訳で・・・孝典はただの恋人である。

書道の師範である弥生は一ヶ月前に別れたちょっと生活態度がルーズな男・・・孝典がなかなか引き取りにこない孝典の私物を孝典が暮らすアパートに届けにきた。廊下で書道セットを広げ「馬鹿者」とメモを書くあたり・・・弥生はややエキセントリックな性格であるらしい。

ルーズ(緩)な男とエキセントリック(奮)な女・・・組み合わせとしては悪くないが・・・ルーズさがエキセントリックに気になってくると耐えがたくなる組み合わせでもある。

「あなたのいい加減さが鼻についてくる感じが高まる~」なのである。

まあ・・・金銭的なことか、女性関係か、あるいは両方で孝典は弥生に見放されたのだな。

それから・・・一ヶ月・・・放置しておけばいいのに・・・つい、元カレの部屋にやってくる弥生は・・・孝典を完全に忘れ去ったわけではないのである。

しかし・・・孝典は死体となっていたのだった。

部屋は荒らされており・・・死体の指先には血文字のAが記されている。

第一発見者の弥生に事情聴取する森本警部補(森下能幸)と若宮刑事(森岡龍)のコンビは疑惑の眼差しを向ける。弥生の名字が「青山(AOYAMA)」だからである。

身内のいない孝典の葬儀はひっそりとしたものだった。

そこに孝典の友人を名乗る探偵・尾藤(安藤政信)が現れる。

「孝典は中瀬家の遺産相続にめぐるトラブルにまきこまれたらしい・・・」と弥生に告げる尾藤。

資産家の中瀬公次郎(志賀廣太郎)は弥生の書道教室の生徒だった。

いつの間にか・・・孝典は中瀬家に庭師として入り込んでいたらしい。

「余命いくばくもない公次郎氏の前に愛人の娘・畠山清美(マイコ)が名乗りを上げてから・・・遺産相続をめぐる争いが始った。長女の弘恵(池脇千鶴)と長男の雅之(テイ龍進)が受け取る筈だった遺産について新たな遺言状が書かれたのです」

「それと・・・孝典が殺されたことに何か関係が・・・」

「実は新しい遺言状が紛失したのです。そして孝典は・・・その遺言状を持ち去った疑いがあるのです」

「なんで・・・そんなことを・・・」

「私は・・・それを調べているのです・・・あなたは何かをご存じなのでは・・・」

「さあ・・・」

そういえば・・・と弥生は想起する。「もうすぐ大金が入るかもしれない」・・・そんなことを孝典がほざいていた気がするのだ。おそらく・・・そういうところも弥生が孝典にうんざりしていたポイントなのであろう。

帰宅した弥生を待っていたのは何者かに荒らされた室内だった。

「孝典を殺した犯人は・・・あなたが遺言状を持っているのではと疑っているらしい」

弥生は恐怖を感じた。すると・・・尾藤は・・・。

「あなたは僕が守ります」と宣言するのだった。

やがて・・・少しずつ距離を縮める尾藤と弥生。

手掛かりを探るために中瀬家を訪れる。旧知の長女・弘恵は最初は猫を被っているがたちまち、弥生を超越するエキセントリックさをさらけだす。

「持ってるでしょう。あんた持ってるんでしょう。遺言状よ。遺言状を持ってるんでしょう。出しなさい。今すぐ出しなさい。出せったら出しやがれ」

池脇千鶴ファンおよび一部愛好家興奮の弥生を池に突き飛ばす事件発生である。

さらに・・・長男の雅之は実力行使を仕掛けるのだった。

しかし、腕に自慢の尾藤は弥生のピンチを救う。

やがて・・・尾藤の正体が弁護士の秋山だと知ることになる弥生。

そんなある日、ハイヒールのかかとを折った弥生は・・・尾藤の言葉を思い出す。

「おしゃれは足元からだよねえ・・・」

その言葉とは裏腹に汚れた尾藤の靴についていた装飾用の砂利。それと同じものが・・・中瀬家の庭にあったのだ。

直感によって弥生は・・・都市伝説の女なのか・・・孝典の隠した遺言状を発見するのだった。

「長女の弘恵と長男の雅之に残す財産の全額を隠し子の清美に残す」

そう書かれた遺言書に書道家の弥生は違和感を覚えるのだった。

「全という文字のバランスがおかしいわ・・・」

「どういうこと?」

弥生はAというダイイング・メッセージの意味に思い当たるのだった。

「この字は本当は・・・仝なのよ・・・仝とは同と同じ・・・。つまり、仝額は同額と同じ。それに誰かが・・・一を加えて・・・全・・・全額に書き換えたの・・・」

弥生と弁護士の秋山は・・・一計を案じ・・・おそらく仲間割れで孝典を殺した犯人に罠を仕掛けるのだった。

もちろん・・・犯人は・・・。

すべてが終わった後・・・弥生は秋山の案内で・・・孝典が購入する予定だった海辺のカレーハウスの店舗を訪ねる。

そんなところでは絶対に商売にならない・・・ロケーションである。

「こういうところが・・・本当にダメ人間でしょう」

「・・・でも、そんな彼を嫌いになりきれなかったんじゃないの」

「・・・」

「仇討ちまでしてさ・・・」

「本当に馬鹿者ね・・・」

心に残る元カレの泣き笑いの表情に・・・不意に涙腺が緩む弥生。

エキセントリックな女だからである。

そういう役がそろそろ板についてきましたな。

関連するキッドのブログ→都市伝説の女

第五話のレビュー

で、『VISION-殺しが見える女-・第6回』(日本テレビ20120816PM1158~)脚本・原案・脚本:飯田譲治、演出・星野和成を見た。玲奈(山田優)めぐる事件を心理学的に解明しようとする二人の心理学者。その一人・・・栄修大学名誉教授心理学博士で行動心理学の権威の田口教授(酒井敏也)が「催眠暗示の可能性」を示唆した後で何者かに殺害されてしまう。玲奈の留学の謎を探る謹慎中の刑事・和馬(金子ノブアキ)だったが唯一の手掛かりだった玲奈の怪しい母親(朝加真由美)は失踪してしまうのだった。一方で明光大学心理学研究所准教授の長岡(野間口徹)とともに「殺人を誘発するゲーム」の謎にせまるマネージャーの清末(勝村政信)はいつしか・・・自分の中にクリスティーナの影を感じ始めていた。そんな清末が長岡を襲っているVISIONを感じた玲奈。和馬とともに現場に向かう。しかし、真犯人は長岡だった。長岡の正体を知った清末が闘争する現場に踏み込んだ玲奈と和馬は疑惑の眼差しを清末に注ぐ。

「俺じゃない・・・殺人を誘うゲームを教えたのも・・・田口教授を殺したのも・・・長岡だ」

しかし・・・一瞬の隙をつき、清末とともに長岡は高層階の窓から身を投げる。

その時・・・清末のパソコンからは「クリスティーナのゲーム」のアイコンが消失する。

こうして・・・数多くの謎を残したまま・・・事件は振り出しに戻るのだった。

各ドラマとも五輪後体制に移行中だな。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

| | コメント (4) | トラックバック (10)

2012年8月16日 (木)

深樹(井上真央)木綿子(鈴木砂羽)千紗(木南晴夏)芽夢(美波)瞳(さとうやすえ)演美(小島聖)喜理子(星野真里)トッカン式女優詰め込み主義

濃すぎるわっ。

さて・・・北方領土、竹島、尖閣諸島と我が国周辺ではおだやかではない事態の推移がある。

これに沖縄の米軍基地問題を加えると・・・「いじめ」じゃないのか・・・と思う今日この頃である。

もちろん、日米同盟を前提とすれば・・・沖縄の米軍は日本の味方であるわけだが・・・ロシア・韓国・中国の侵略的態度に対しては静観である。

だが・・・ある意味、一歩間違えれば四面楚歌的状況である。

まあ、八方美人の宿命でもあるわけだが。

で、諸外国にいじめられている我が国政府は増税という国民いじめをせざるをえないのだな。

とにかく・・・税収入をアップしないとどうにもならないという意見もあり、原発再始動しないとどうにもならないという意見もあり、もう何をやってもどうにもならないという意見もある。

いじめられるのは本人にも問題があるという論理展開なら・・・「日本のような国にならないために」という傾向と対策さえも囁かれ始めるのである。

そんなときに・・・なんで税金の徴収官の物語やってんだ・・・そして闇金のウシジマくんより面白くないのはなぜなんだ。

で、『トッカン 特別国税徴収官・第5回』(日本テレビ20120815PM10~)原作・高殿円、脚本・いずみ吉紘、演出・長沼誠を見た。第4回でニセの友達・相沢(美波)にメガネを踏みつぶされメガネっ娘を卒業した鈴宮(井上真央)ことグ~子だが・・・いよいよクールなトッカン付徴収官になるかと思えば・・・もはや主役でもないんじゃないかという存在感である。っていうか・・・先輩徴収官・鍋島(鈴木砂羽)のフィーチャー回なのである。鍋島(36)とともに婚カツパーティーに出るグ~子なのである。そこに国税局の南部(木南晴夏)が出現し、「ブス」「整形美人」の醜い応酬なのである。

五輪後の新メンバーとして徴収官に夫を持つ身の錨喜理子(星野真里)が参入してきたりする。

まだ伏線段階だが・・・家庭生活になにやら問題がありそうで・・・フィーチャー回は確実にあるわけだ。

そして・・・ゲストとして鍋島の親友であるヴァイオリン教師・桑原演美(小島聖)が登場するのだ。もはや胃もたれしています。

桑原は父親の遺産であるマンションを売却したことによりに発生した譲渡所得税が未納のために差押予告書を発行されている。

トッカン(北村有起哉)出動である。

「私も参加させてください」

「どうして・・・」

「友人なんです」という鍋島である。

「・・・」

「私情は交えません」

いや・・・友人だからって参加する時点で私情まざってますから。

「ある事情で・・・人にお金を貸している」という鍋島。

「じゃ・・・返してもらってください」

「ちょっと・・・それは」

「それだと大変なことになりますよ」

「とにかく・・・大学の給料が出たら一部納付しますから・・・」

かなり私情のまじった温情展開である。

しかし・・・給料さえも恋人・中西(鈴木一真)に貢いでしまう桑原だった。

「そりゃ・・・完全に騙されてるだろう」と断言する南部だった。

「ちがうのです・・・彼は私のためにヴァイオリン教室を・・・」

「いくら・・・貸してるの・・・」

「三千万円くらい・・・」

「・・・」

とにかくトッカンはヴァイオリンとしては安めのモダンイタリアンなポスティリオーネを差し押さえるのだった。

そして・・・桑原の恋人には正妻がいたのである。しかもあろうことか・・・それはプロのヴァイオリニスト・川瀬瞳(さとうやすえ)だったのである。

あまりのことに辞表を提出し、自殺を図る桑原だったが・・・間一髪、駆けつけた鍋島によって一命をとりとめる。

義憤に燃えた鍋島とグ~子は・・・結婚詐欺師という他はない桑原の恋人に・・・正義の鉄槌を下すのだった。

それは秘儀「第二次納税義務」(滞納者が財産を無償または著しく低い対価による譲渡、もしくは債務免除などを行うことにより第三者に利益を与えたため、国が滞納者の税金を徴収することができない事態になった場合には第三者に納税義務を課すこと)である。

納税のためには契約書などなくても覚書(日記など)があれば充分なのだった。

もちろん、法律は税の徴収に優しくできているのである。

こうして・・・すべてを失ったような桑原に自己評価額1000万円のポスティリオーネと鍋島の友情が戻るのだった。

二人の友情をうらやましく感じるグ~子だったが・・・相沢(美波)と偶然再会し・・・甘い言葉に誘われると・・・またもや心を動かされてしまうのだった。

もう・・・みんな中学生のまま成人してしまうんだな。

こりゃ・・・国際的ないじめに耐えられない国家に確実になるな。

関連するキッドのブログ→第1話のレビュー

| | コメント (2) | トラックバック (3)

2012年8月15日 (水)

ヒキコモリが三日続かない男(丸山隆平)のボーイズ・オン・ザ・ラン(平愛梨)

少年コミックには「いじめられっ子」ものというジャンルがある。

基本的にコミックの作者はおタクであって、いじめられっ子である。

だから、いじめられっ子マンガというのは一種の自叙伝なのである。

・・・おいっ・・・完全に偏見だろう・・・そうかな。

キッドは本質的にはいじめっ子であって深刻にいじめられたことはないが・・・仲間はずれとか、在日外国人による集団リンチとか、心の病の女性タレントによる陰湿ないやがらせとかをされた経験はあるので・・・日常的ないじめられ状態にあっている人間の気持ちを推量することは可能だと思う。

そこにあるのは「怨念」であり、「怨みはらさでおくべきか」という呪いなのであろう。

それを吐露しつつ、エンターティメントを志向すれば・・・それなりに傑作が生み出される可能性があるわけである。

某バイオレンス作家が・・・「いじめられやすい」体質というものがあり、自分がそうだと語ってくれたことがある。彼は帰宅寸前に家の前で見ず知らずのヤクザに因縁つけられて半殺しになったことがあるのだ。・・・それはなんか・・・いじめとかという問題ではないだろう。

そういう体質あってこその超人気バイオレンス小説家なのだった。

つまり・・・その世界ではいじめる側はものすごく悲惨な運命にさらされちゃいますよう。

で・・・一方通行の恋愛というのも片思い側にあってはいじめられている感じがするのであろう。いじめられっ子マンガのヒロインは天使のようか・・・ものすごいビッチになるのだった。

ともかく・・・なんだかんだで怨念は浄化され、解放され、いじめられっ子の共感を花開かせるのだな・・・きっと。

で、『ボーイズ・オン・ザ・ラン・第5回』(テレビ朝日20120810PM1115~)原作・花沢健吾、脚本・高橋悠也、演出・常廣丈太を見た。何事からも逃げ出してしまうタイプのダメ人間・タニシこと田西敏行(丸山隆平)は恋人と一緒の時にヤクザにからまれると恋人を置いて逃げ出してしまうほどの腰の抜け方である。第1~4回までのヒロインであった植村ちはる(南明奈)はある意味、そんな男と関係を持ったためにクズ女の奈落へと転落して行ったのだ。なにしろ・・・タニシと交際中に風俗嬢のしほ(佐藤江梨子)と浮気され、タニシの親友の青山(斎藤工)とつきあったあげくに妊娠・中絶・ポイ捨てで失職で退場である。もう・・・どんだけ悲惨なんだよ~。

そんな青山に決闘を申し込んだタニシだが、あっさり返り討ちにあってしまい・・・「あんたは本当に薄っぺらな男だ」と断言されてしまうのだった。

ぐうの音のでないタニシもまた失職してしまう。

それからというもの・・・戸籍のない娘の祖母でもある・・・かけもちかよっ・・・母・正子(浅田美代子)もガッカリのグータラな日々を謳歌するタニシ。

ヒキコモリを敢行するのだが・・・それさえも三日坊主なのだった。どんだけダメな主人公なんだ。

そんな・・・タニシに・・・青山との決闘のために手を差し伸べてくれた・・・櫻田ボクシングジムの天才トレーナー・大厳花(平愛梨)との再会の時が訪れる。何を隠そう花こそがこの物語の本当のヒロインなのである。

13歳の時に聴覚障害者となった花は普通に話せるが、音のない世界に生きている。

酔った花と「三日間、ジムでのトレーニングに耐えられたらデートしてあげる」と約束されたタニシは見事に自分の期待に応えるのだった。

さらに家庭内暴力をふるう父親と家出した母親を持ち、学校はいじめられる孤独な少年・宍戸修(浦上晟周)を助けたことで花の好意を勝ち取るのだった。

いじめられてきたから・・・いじめに気がつけた。いじめられてきた体験が無駄にならなかったのである。・・・ね。

喜び勇んだ初デート。酔った勢いで初回同様にラブ・ホテルに突入したタニシであるが、お約束の展開で行為にはいたらない。しかも・・・交際申込みを受けいられた喜びで有頂天になり・・・「亭主持ちだけど・・・それでもいいのか」という重大な告白を聞き逃すのだった。

しかし・・・ただではすまないいじめられっ子人生である。花に不良行為を注意された街のチンピラグループに逆襲され・・・倉庫に連れ込まれてしまうのだった。

花はタニシだけは逃がす活躍を見せるのだが・・・かっての教え子である用心棒の安藤龍(上田竜也)にノックアウトされ、拘束されて輪姦寸前のピンチに・・・。

身体にオイルをかけられ・・・火をつけられそうになったタニシだが・・・花からの「一人にしないで」という手話のメッセージを受け取り・・・第5話にして・・・初めて主人公らしく悪に立ち向かうのだった。

掟破りの脱糞攻撃で・・・チンピラたちの気を殺いだタニシは花と協力してチンピラたちを粉砕するのである。

「おれ・・・生れてはじめて・・・人をなぐれた・・・生きててよかった・・・」

よくわからないが・・・いじめられっ子ならではの陶酔感なのだな。

こうして・・・主人公のタニシとヒロインの花のラブ・ストーリーが開幕したのである。

ここまでに・・・第1~5話を消化である。長い前フリだよね。

とにかく・・・ようやく・・・面白くなってきました~。

関連するキッドのブログ→最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月14日 (火)

こんな女に誰がした(有村架純)哀しい時は泣いたらええんや(多部未華子)

表現には様々な手法や意図がある。

たとえば・・・認識を共有するための手法というものがある。

その意図はもちろん、主として認識を共有すること・・・なのだが、時には偏見を共有したり、誤解を共有したりしてしまうので注意が必要である。

たとえば・・・歴史認識を巡る表現ではいたるところに落し穴があると考えた方がいいだろう。

「戦争」を表現するにあたり・・・送り手と受け手が認識を共有するための手法の一つが「追体験」である。

通常はひとつの出来事を表現するために・・・そこに至る出来事を挿入していくことで「表現者」も「観客」も「感情」を共有していくことになる。

その中で・・・SFの文法には現代人の過去への挿入という特殊な手段がある。

これが「タイムトラベラー」もののパワーを形成するのだ。

ぼくの夏休み」は辻褄とか、歴史考証とか、完成度とかはさておき・・・昭和20年代の「星の流れに」的パンパン(占領軍相手の娼婦)の「痛み」を追体験させることにはものすごく成功したと考える。

平成時代から昭和19年に時間移動した小学生・はる菜(二宮星→有村架純)が戦中・戦後を苦難の果てに生き延びるが結局、その処女を売春相手の米兵に捧げることになるのである。

「飢えて今頃妹はどこに 一目逢いたいお母さん 唇紅(ルージュ)哀しや唇かめば 闇の夜風も泣いて吹く
・・・こんな女に誰がした」

「ぼくの夏休み」という甘いタイトルに含まれた「どす黒い毒」に夏休み中の少年少女は深い心の傷を負ったのではないだろうか。

それはとてもとても素晴らしいことなのだ。

戦争そして敗北・・・やがて残酷。

この方程式を認識することはとてもとても大切なことなのだから。

つまり、戦争はなるべくしない方がいいし、やるからには絶対に負けてはいけないということである。

で、『浪花少年探偵団・第7回』(TBSテレビ20120813PM8~)原作・東野圭吾、脚本・吉田紀子、演出・東田陽介を見た。しのぶセンセ(多部未華子)の教え子から上原美奈子(二宮星)のピックアップ回である。恐ろしい連動性だな・・・美奈子はもうすぐ昭和19年に時間跳躍して米兵相手に落花狼藉の宿命かと思うとそれだけで胸苦しい気分になるわけである。・・・いや・・・ほとんどのお茶の間は違うと思うぞ。

二つの事件が連動していくのも表現の方法の一つである。無関係に見える二つの事件が関係性を見出され一つの事件に統合されることで受け手は何かを面白く知った気がするわけだ。

つまり、原理としてはたけとんぼとヘリコプターでたけコプターと同じである。

第一の事件は教え子の田中鉄平(濱田龍臣)とお見合い相手の本間義彦(山本耕史)が新作ゲームソフトを浮浪児のような少年(小山颯・・・「平清盛」で崇徳院の少年時代を演じてからここ)にかっぱらわれる始末である。泥棒少年は俊足で田中も本間も取り逃がしてしまう。

母親(松坂慶子)に大切なトロフィーを壊されて母子喧嘩中のしのぶセンセはストレス解消のために犯人逮捕に名乗りを上げる。

しかし、泥棒少年はしのぶセンセを凌ぐのである。

その途中でしのぶセンセは第二の事件に遭遇する。

美奈子に「おっちゃん」と呼ばれる義父が経営する長屋で殺人事件が発生。被害者は家賃の滞納者で・・・事件当日、家賃の催促に行った美奈子の義父は容疑者になってしまう。

義父には複雑な思いを抱く美奈子だが「血を見たら気絶してしまうような気の弱いおっちゃんなんや・・・とても人が殺せるとは思えへん」としのぶセンセに訴える。

やがて・・・泥棒少年はゲームソフトを中古屋に売りに来ることが判明する。例によって原作時代と現代とのギャップを強く感じるポイントである。現在では規制が強化され身分証明書を提示しなければ故買商に中古ソフトを売却できなくなっているのだな。

まあ・・・特殊世界・浪花ではそのあたりはまだルーズなのかもしれませんがね・・・。

やがて・・・泥棒少年が被害者の息子であることが判明し・・・しのぶセンセの頭に血が昇る時がやってくる。

被害者(高橋努)は自殺であり、血を見て気絶した美奈子の義父(田口浩正)に凶器を握らせたのは・・・被害者の元の妻だったのである。

息子を捨て、教え子の親に無実の罪を着せようとした「自分勝手な女」にしのぶセンセは説教を開始するのだった。

「あんた・・・それでも人の親か・・・」

まあ・・・どんな時代だろうと・・・悲惨な目に会う子供は存在するのですな。

見捨てられた子供は荒んでも仕方ないのでございます。

泣けて涙も涸れ果てるわけですから。

関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

「ぼくの夏休み」のシナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様のレビュー

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2012年8月13日 (月)

メリーゴーランドには二度乗る(芦田愛菜)

決勝戦と三位決定戦には微妙なニュアンスがある。

その最大の差異は負けて銀メダルと勝って銅メダルというポイントである。

実際は二位と三位なのだが、敗者と勝者という印象が生じるのである。

なでしこJAPANは日本サッカー史上初の五輪銀メダルという快挙を成し遂げたのだが、決勝戦で敗北したことにより、敗者の落胤を押されかねないピンチに立たされた。その印象をぬぐい去るための演出が授賞式の過剰な笑顔と歓喜の表現なのである。人によっては「はしゃぎすぎ」という感じを持たれるかもしれないが・・・そこは勝負なのである。銀メダルという金字塔をアピールするための苦肉の策と言えるのだな。

皆さまの公共放送によれば、もう一度見たい名場面は今のところ、1位「体操・個人総合金メダルの内村」2位「競泳・男子メドレーリレーの銀メダル」3位「なでしこの銀メダル」である。女性視聴者が男子子役よりも女子子役に厳しい視線を送るがごとくなのだな。

しかし・・・ロンドン五輪の真の主役はなでしこJAPANに他ならない。誰がなんと言おうともだ。

なぜなら、卓球女子よりもバドミントン女子よりも限りなく金に近い銀だったからである。

それとは別に・・・メビウスともセブン・スターとも言えるのが七人の金メダリストたちだろう。

最初は女子柔道の松本である。金メダル候補二人の敗退の後で・・・男女を通じて唯一の金メダルを柔道にもたらした。その闘志に乾杯である。

次に唯一の格闘系でない金メダリスト。美しい男子のシンボル内村くん。ストイックでクールで母親思い・・・きっと将来、若い女を泣かせること間違いなしである。

それから女子レスリングの闘魂三人組。三連覇の二人に、苦節の一人・・・姉妹物語あり、父娘物語あり・・・小原・伊調・吉田の三人娘は五輪ならではのスターである。

そして、終盤で日本男児が意地をみせる。

ボクシングでほぼ半世紀ぶりに金メダルをもたらした・・・ミドル級の村田。少年マンガでは五輪金メダリストのボクサーといえば主人公にやられるための敵役設定なのだが・・・実際は50年近く架空の存在だったのである。そして顔に残る傷痕はエリートの姿ではなく・・・「実際に王座に立って見る景色がぼやける」ほどのパンチドランカーを予感させる悲壮感を伴うのだった。

そして・・・最後の金メダリストはレスリング男子フリースタイルの米満だ。最後は大技の投げを決めて「レスリングの技を見てもらえてよかった」と競技のエンターティメント性を表現する自衛官である。こちらも1/4世紀ぶりのメダルである。

団体、絆を誇る日本だが・・・頂点に立った日本人は皆・・・孤高の人々・・・しかも、基本格闘家である。

結局、すべてのスポーツは「自分」との戦いなのである。

自分に負けるものはけして頂点にはたてないのだな。

そして・・・それはもちろん人生に通じることは間違いないだろう。

まあ、あくまで悪魔が考えることですから・・・。

それにしても日本国固有の領土である竹島について「自分たちのものだ」と競技場で政治的な主張をしてしまったサッカー男子の韓国選手・・・馬鹿だなあ・・・もちろん・・・韓国が銅メダルを剥奪されて日本に銅メダルが転がりこめばこれ以上ない面白さなのだけど~。まあ、そんなことになったら可哀相と思うのも日本人の優しさだったりして・・・。

で、『ューィフル・第7回』(フジテレビ20120812PM9~)脚本・羽原大介、演出・八十島美也子を見た。夏休みである。青果店の娘である菜子(吉田里琴)は店の手伝いをして打ち水などをしながら出番を確保である。沼津から高速道路で二時間をかけて・・・亡き妻の老父母が東京にやってくる。上原一夫(浜田晃)と愛子(岩本多代)の夫妻である。

何も知らない二人は孫娘の美雨(芦田愛菜)に会うのがただ楽しみなのであった。

しかし・・・若年性アルツハイマー病を発症している娘婿の木下圭介(豊川悦司)にとっては・・・病気の進行によっては美雨にとっての拠り所となるだろう二人に事情を明かすタイミングについて迷う。

忘れるということをなかなか受け入れられないのが認知症患者の宿命なのである。

アルツハイマー病の姑を介護したアカネ(中谷美紀)がもっとも事情通である。

真夜中のベランダでセクシーな肢体を披露するので・・・もう、圭介とそういう仲になってしまう可能性大なのであるが・・・それは男性視聴者の願望というものであろうか・・・。

まあ、アカネと再婚できるなら若年性アルツハイマー病を発症したい者は多いと思う。

とにかく・・・今のところ、アカネはそういう意向は表示せずに・・・美雨と圭介の別居を示唆するにとどめるのである。

東京スカイツリーから浅草といったら遊園地は花やしきでいいじゃないか・・・という下町の人々のつぶやきはさておき・・・すでに乗っている「メリーゴーランド」を父親のために二度乗る美雨・・・泣かせます。

先立つ不孝という言葉があるが・・・老父母よりも先に痴呆化する不幸・・・言葉では語れない凄惨さがございますなあ。

頼りの子供にボケられた親は神も仏もあるものか・・・と呪うか、新興宗教に入れ込む可能性大なのである。

とにかく・・・バカの秋生(三浦翔平)もついに圭介の病気を知ることになり・・・ついに真相を知らないのは美雨だけになりました・・・。

五輪も終焉し・・・美しい雨が心に降る季節がまもなくやってくるのでございます。

関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2012年8月12日 (日)

帰り道は遠かった来た時よりも遠かった(仲間由紀恵)

にゃあ~と啼くしかなかった未明のサッカー男子日韓戦。

なにしろ、徴兵免除がかかっている韓国チームは死に物狂いである。

読売新聞は実力差は歴然などと書いているのだが・・・実力的には日本が上回っていた。

これは勝負は時の運のレベルだっただろう。

ただし・・・相性というものは確かにあって・・・日本にとって韓国は特別な国ではないが・・・韓国にとって日本は特別な国になってしまうというどうしようもなさがあるのだな。

一方で・・・ランク5位の日本とランク15位の韓国による女子バレー三位決定戦。

こちらはほぼ実力通りの圧勝である。

読売新聞は個々の力は韓国の方が上などと書いている。

要するにプロ野球巨人戦以外のスポーツには怨みがある…読売新聞なのである。

まあ・・・所詮、環太平洋スポーツだからな・・・ベースボールはっ。

それにしても頑張って五輪にソフトボールだけは復活させてもらいたい。

風がふいている火の鳥NIPPONに・・・。みなさまの公共放送中心にみているとゲゲゲの五輪というフレーズが頭に浮かんでしかたない今日この頃である。

で、『ゴーストママ捜査線〜僕とママの不思議な100日〜・第5回』(日本テレビ20120811PM9~)原作・佐藤智一、脚本・横田理恵、演出・佐藤東弥を見た。由緒正しい「夏休み帰省もの」である。都会と田舎ののどかな関係はカレンダー的に描くのが一番なのだ。とにかく・・・サザエさん狙いなのである。

今回の白眉はゴースト三船(生瀬勝久)がうっかりペットボトルを持ち上げて吃驚仰天の上原葵(志田未来)のかわいいよ、ダッシュかわいいよであった。

三人の男子高校生を自宅に連れ込んで何事もないのはサザエさんだからである。

「ぼくの夏休み」だったらすごいことになっていただろう。

蝶子(仲間由紀恵)と警察官の父(内藤剛志)と母(朝加真由美)の「先立つ不孝をお許しください」展開なのだが・・・ものすごい脚本上の「穴」が二点あり・・・それを指摘するにとどめておく。

第一は・・・神社で迷子になったとんぼ(君野夢真)を蝶子の父が探し出すシーン。

ボタンの伏線があるのだが・・・そもそもとんぼには・・・蝶子が見えるのである。

蝶子が切羽詰まる必然性がありません。

第二は・・・夫の航平(沢村一樹)の車に乗車して帰省する蝶子・・・物質に接触できないのだから・・・当然・・・車になんか乗れないのである。

だから・・・蝶子は故郷までとぼとぼと歩いていかなければならない。

歩いて、歩いてたどり着いた頃にはとんぼは東京に戻っているのだなあ・・・。

まあ、そういう蝶子のゴースト的珍道中も見たいのだが。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様のゴーストママ捜査線

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2012年8月11日 (土)

文武両道と責任転嫁と黒の保護者と黒の女教師(榮倉奈々)

スポーツの世界にルールはつきものである。

ルールはファールを生む。

勝利という目標を得るために手段を択ばなければならないのである。

人間というものが・・・複雑で魅力ある存在となったのはすべてがこのシステムに起因するといっても過言ではない。

五輪・女子レスリングで日本に金メダルを三つプラスしたアスリートはそのうち二人が警備会社の所属である。霊長類最強と称されるアスリートを広告塔とする警備会社への信頼感向上は間違いないだろう。

もう一人は自衛官である。小原日登美1等陸尉がスポーツの世界で活躍できる平和な国家は素晴らしい。

ロンドン五輪で吉田・伊調・小原という三枚のカードを持っていたことは日本チームにとって好材料だったのである。

さて・・・すべてをカード化していく悪魔の世界では外交もカード・ゲームである。

政治の世界では内政カードとして外交カードを切ることは珍しくない。

愛国的であることが絶対条件の国家では自国の利益を守るために他国の権利を侵害することは悪いカードではないのである。

そのために「不法占拠中の他国領土を侵犯する」という韓国大統領のカードの使い方は国際ルールとしてはファールに限りなく近いが勝利のためのイエローカード獲得は戦略としては間違っていない。

これに対し日本の切れるカードは少ないのである。

それは第二次世界大戦の唯一の敗戦国としての日本の歴史(イタリアやドイツは先に降伏しているために全世界を敵にまわしたのは日本一国なのである)と無縁ではない。

そのために日本は世界で唯一無二のカードである「絶対に戦争はしません」というカードを配られている。

このカードは国内では「憲法九条」といあう名で親しまれている。

かっては他国に侵略され、殺害され、強姦されてもけして抵抗しないというものすごいカードだったのだが・・・マイナーチェンジをして「自衛権はないことはない」というルールの解釈を自他ともに認知されるようにはなっている。

一部の世界が都合により日本に寛容になったためである。

どちらにしろ・・・「竹島」を韓国によって武力占領されても・・・軍事的に奪回しないのがこれまでのところの日本のルールの限界だった。

あくまで「乱暴しないでください」とお願いするのが日本に許されたカードだったのである。

もちろん・・・そこには両国経済の思惑や、国際的な戦略環境という様々な他のルールが関与してくるのである。

なにしろ、戦略的には、日米同盟、米韓同盟を通じて、日韓は擬似同盟関係なのである。そして戦略的互恵関係という名の仮想敵国中国と緩やかな敵対関係の中では日韓は連携しなければならない立場にある。

軍事的に限りなく同盟に近い関係で領土紛争を起こす・・・これは明らかに障害なので・・・竹島はあくまでアンタッチャブルな存在にしておきたいというのが両国官僚の本音だろう。

それを選挙対策でカードとして使う韓国大統領・・・もう、しょうがないやつである。

それなら・・・こちらは「憲法九条」カードを破棄して・・・不法占拠者を退去させる軍事的圧力を構成するカードを持つべきなのであるのが・・・そうなれば小原1尉が戦死する覚悟もしなければならない。

悪魔としてはそういう世界でもまったく構わないが・・・おそらく・・・日本と日本国民はそういう選択はまだまだしないであろう。とにかく・・・日本海の小島がどうなろうと多くの国民には無関係だし、友好国の韓国と喧嘩するなら敵国である中国やロシアとも喧嘩しなければならなくなるからである。

一部の日本人が「憲法九条」が有効なカードである・・・と考えたりするのも・・・このような消極的対処法によって安全を保持してきた現実があるからだ。

たとえ、国民を外国に拉致されて・・・五輪を楽しめない環境に監禁されたとしても・・・運不運で片付けることができる国民性があるのである。

まあ・・・それもまたすごい「カード」なのかもしれませんな。

で、『黒の女教師・第4回』(TBSテレビ20120810PM10~)原案・山下友弘、脚本・池田奈津子、演出・川嶋龍太郎を見た。肉体と精神が分離不可能であることは通説である。「健全な精神は健全な肉体に宿る」という名言はこれに基づいている。「宿ってほしい」とか「宿るべきである」という願望や枠づけはこれに準ずるものである。単純に肉体的に認知症を発症すれば精神力はとりとめなく低下するのだ。しかし、健全の定義は難しい。たとえば一部アスリートにはいかにも暗黒面に傾斜した精神を見てとれるからである。時には悪魔に魂を売った選手が勝利の栄冠を手にすることも珍しくない。だから・・・健全さはある意味、好みの問題と言える。

「努力できる」のも才能だし、「努力が必要ない」才能も実在するのである。

健全な肉体はそれをある程度保証するものだ。単純な話、五体不満足よりも知的作業が楽という事実がある。ただし、五体不満足だからこそ、一部知的作業に集中できるという考え方もある。

金メダルを獲得するような特殊なキャラクターは別として多くの人間はそこそこ運動してそこそこ勉強してそこそこ幸福であればよい・・・というのが文武両道の基本だろう。

博物学的天才であり、世界最強のアスリートなどという存在は人類的には抹殺対象になりかねない存在でございますからね。

かっての春高バレーのヒロインであり、エースアタッカーだった安田瑠美子(キムラ緑子)は故障により選手生命をたたれ、競技に熱中していたために偏差値が低下して志望校にも進学できなかった・・・という文武両道での挫折から生じた怨念を抱えたまま、一児の母になる。その怨念を息子の俊介(山﨑賢人)の文武両道での成功によって浄化しようと試みるのである。

しかし、息子のアスリートとしての能力は伸び悩み、後輩にレギュラーの座を奪われようとしていた。

そこで瑠美子は息子のライバルではある後輩の家業を経営難に追い込み、後輩を排除しようとする。

しかし、そのために息子のチームは弱体化してしまう。

さらに・・・息子の学業が低下すると・・・アスリートとしての活動を停止させるために・・・担当教師・近藤(モロ師岡)を陰謀によって排除しようとするのだった。

人間として天晴な悪行三昧だが・・・息子は凶悪な母親に恐怖するのだった。

そこで・・・黒の女教師出動である。

炸裂するテコンドーなみの顔面打撃・・・絶対に傷害罪ですが・・・愛の鞭なので黙認されます・・・「自分の失敗を他人にせいにしているものに勝利の女神は微笑みません」という教育的指導なのである。

「母さん・・・敗者は敗者同士、よりそって慰め合って生きるのも幸せなんじゃないかな」

息子の優しさに・・・母は敗者の安らぎを得るのだった。

ここに不法占拠されてもいい徴兵されるよりましだという本音があります。

さあ、日韓戦、兵役の義務のないちゃらさをみせてやれっ。

関連するキッドのブログ→第3話のレビュー

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2012年8月10日 (金)

がんばれアニマル浜口の娘強いぞレスリングと地下アイドル(山田優)

夢も二週間も見続けると現実とほとんど変わらないわけである。

その中でもある意味、悪夢の部類なのであろうロンドン五輪女子レスリング女子72キロ級浜口京子の初戦。

ここまでコストパフォーマンス的には金2/4と抜群のこの競技。ほぼ3/4も間違いないであろう。

その中で・・・誰もが金は獲得しないであろうと思っていたこの階級である。

初戦の相手はアテネ五輪銀メダリストのグーゼル・マニウロワ(カザフスタン)・・・第1ピリオドは圧倒され・・・第2ピリオドで追いついたものの・・・第3ピリオドは延長でボール・ピックアップ。「誰もがお前が負けると思っていた」と父・アニマル浜口が語る試合内容。しかし・・・ボールは青で・・・浜口に勝利が転がり込んだ・・・「メイク・ドラマができた」と思った瞬間・・・プロレスラーの遺伝子が発動してしまったのだった。

片足タックルの姿勢のまま、投げられて一回転してしまうなんて・・・。

なぜ・・・「腰を落としてまっすぐいかなかった・・・」・・・いや、アニマル浜口・・・あんたの血のせいだろう。

技をしかけられたら受ける・・・それがプロレスの宿命なのである。

アマレスなのに・・・。

で、『VISION-殺しが見える女-・第5回』(日本テレビ20120809PM1158~)脚本・原案・脚本:飯田譲治、演出・星野和成を見た。高見雪乃(麻倉みな)と朝倉マリア(コトウロレナ)と地下アイドル・グループを結成した来栖玲奈(山田優)である。マネージャーの清末(勝村政信)は相変わらず敏腕なんだかしょぼいのか・・・よくわからない仕事ぶりである。

そして・・・地下アイドルおたくのフリーターが殺害され・・・「クリスティーナ」に捧げられてしまう。

さらに・・・都内某所で交通事故が発生し・・・現場には地下アイドルの来栖玲奈の画像が残る携帯電話が発見される。

逃走中の犯人が事故を起こしたと想定する対クリスティーナ・チーム。

その頃、玲奈は湖畔の撮影現場で・・・謎のカメラマン田中(桐山漣)に遭遇する。

「あなたは孤独を感じたことがありますか?」

田中に唐突に尋ねられて「ある」と答える玲奈。

しかし・・・田中は玲奈のビジョン(幻視)だったのである。

「ボクはあなたの願いを叶えることができなくなってしまった」

そういう田中は額から血を流す。

田中の示す指先にはプロのカメラマン・近藤直哉(松尾敏伸)の車があった。

田中は一人目を殺した後で・・・近藤に轢かれてしまったのだ。まさに浜口京子クラスの残念さである・・・おいっ。

駆けつけた謹慎中の刑事・和馬(金子ノブアキ)は玲奈となにやらラブラブなのだが、マネージャーの清末は妖しいサイトの怪しいコンテンツをダウンロードしてしまうのだった。

次回は殺人ゲームが引き起こす殺人展開であるらしい・・・怨念だなあ。

さあ・・・なでしこだ・・・日本中が眠い目をこする午前三時である。

裏では女子バレーが準決勝。そして・・・吉田は三連覇である。

日本人が滅亡しても大和撫子は滅びない気がする真夏の夜なのだ。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年8月 9日 (木)

ぼくの夏休み・・・どんだけ長い夏休みなんですか~。(有村架純)

五輪は祭りである。

世界が祭りの最中にあるのだから・・・政治家は政治をしばらく休むべきなのだな。

にもかかわらず・・・姑息にこそこそと動き回るわけである。

もちろん・・・人の命にかかわる仕事には一瞬の遅滞も許されないのだが・・・スケジュールってものがあるだろうがっ。

さて・・・祭りの後が近づいているのである。

祭りのあとの淋しさにおびえる今日この頃なのである。

それでも女子レスリングがなでしこが女子バレーが・・・感情移入による快感でフィニッシュを決めてくれることを祈るのだ。

松本薫の「落ち着け、我慢だ、平常心」とあふれんばかりの「闘気」とのバランス・・・見習いたい。

で、『ぼくの夏休み・第26~28回』(フジテレビ20120702PM0130~)脚本・武田有起、演出・松田秀知を見た。「第二部・青春篇」の開幕である。予想通りに昼メロ丸出し展開である。一体、誰のためのサービスなのか不明だがお色気も満載である。男子中高生向けなのか?・・・ついに・・・平成の帰還は果たせず・・・戦後を生き抜いた青山兄妹・・・たくましいな。昭和27年、和也は20歳となって演じるのは仮面ライダーディケイド井上正大である。昼は工員、夜はジャズバンドのピアニストという・・・戦後のドサクサなら梅ちゃんでも医者になれる展開である。しかも・・・どこでどうなったのか・・・はる菜のお守りを入手した・・・偽はる菜(ゴーオンイエロー逢沢りな)と同居中なのである。本名・望月知佳というらしい偽はる菜は・・・行水サービスである。

で・・・本当のはる菜は・・・有村架純にチェンジである。それほど美人にならないかもしれない・・・という女児がものすごい美人に成長することがあるので全国の小学生男子は油断してはいけないという教訓が含まれています。

人体って不思議だから。

女郎部屋から一緒に逃げだしたむつみ(石丸椎菜)は無事に戦後を迎えている。

そんなはる菜とむつみを戦中戦後、身体を張って守ったのが・・・薄倖の元看護婦・五十嵐ちえ子(水野絵梨奈)である。リリィと言う名の娼婦としていい顔になったらしい。しかし・・・妊娠中絶の鬱状態から・・・自殺未遂を決行・・・病床で廃人となって横たわるのである。

青山兄妹の実の母のそっくりさん・上条佐代(高岡早紀)も喀血する病に冒されている。娘の未来ちゃんの運命はさだかではないのだった。

和也の周囲には顔役の娘・倉持京子(仲間リサ)だとか、娼婦たちの元締め・佐伯優子(村井美樹)なども配置され・・・相変わらず年上の女に愛されるスキルを維持している模様。

そして・・・昼メロならではの・・・お互いを兄妹と知らずに運命的に出会い・・・魅かれあう二人なのだった・・・。

まあ・・・人生はじめての昼メロを見る人々には「こういう世界」もあるんだなと勉強になるかもしれません。

関連するキッドのブログ→少年編

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月 8日 (水)

小学生殺人未遂事件も黙認するしのぶセンセ(多部未華子)とこのあとすぐ。

このあとすぐといってなかなかやらない番組がありますが本当にこのあとすぐですと言った中居正広が心なく30分のCMタイムを稼いだ男子サッカーの開始である。

もっともキッドはその間、裏の女子バレー中国を撃破してベスト4進出(録画・日本テレビ)を見ていたのだった。

そんな姑息な日々ももう残りわずかだ・・・五輪の日々も終盤戦だなあ・・・。

競泳男子のメドレーリレーの結果がナレーションで時々、銅メダルになったり、たまにはテロップも銅メダルだったりする。スタッフは疲れているし、五輪を楽しんで見ていなかったりするのである。そこは察します。ただし、銅メダルは女子チームで、男子は銀なのである。まあ、金メダルなら間違えないということだ。

で、『浪花少年探偵団・第6回』(TBSテレビ20120806PM8~)原作・東野圭吾、脚本・江頭美智留、演出・清弘誠を見た。まあ、ある意味、犯罪の隠蔽万歳というドラマなのである。「白夜行」の裏バージョンなのだな。またしても原作時代と現代とのギャップを強く感じる話であるが・・・まあ、この枠そのものがそういうところがあるからな。時々、昭和のテレビか・・・と思う枠である。

その中で・・・淡々と・・・息子・芹沢勤(吉井一肇)の出生の秘密を抱える妻(京野ことみ)が・・・夫である息子の養父におもんばかり、偶然、息子の担任となった息子の本当の父親(高橋一生)との関係にわだかまりを覚え、魔がさして・・・跳び箱に細工するという話なのである。

っていうか・・・遺伝情報的には本当の父親を息子に母親が伝える義務がある時代なので・・・この母親は独善的でもあり、少し、頭がおかしいと言う見方もできる。

その少し頭のおかしい母親の犯罪を許容する担任教師も少し、頭がおかしいと考えることもできるが・・・なにしろ、浪花の話である。常識は通じないのだな。

最後はしのぶセンセの裁定により・・・運動の苦手な殺人未遂事件の被害者・渋谷淳一(橋本一輝)を加害者の息子・芹沢勤が助ける風な話にまとまっているが・・・狂気の母親が次に何をやらかすかは神のみぞ知るなのである。

まあ・・・こういう風土に育つと・・・大津以外の男子代表のような本番に弱い人たちが育つと思うな。五輪の三位決定戦で日韓戦か・・・面白すぎるな。いや・・・プレッシャーなくなった韓国がブラジルに勝つ可能性も0.000001%くらいあるか。

いや・・・やはり、宿命の日韓戦か・・・。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2012年8月 7日 (火)

昼下がり、庚申塚停留場まで、良い子になれる薬を買いに行こう(芦田愛菜)

うわあ・・・ついに準決勝である。

フランスには絶対勝てると思うが・・・勝負だからな。

こればかりは試合終了の笛の音を聞くまでわからない。

勝つも負けるも・・・すべては時の彼方。

すべては忘れ去られ・・・洗濯用洗剤とか、サランラップとか、アルミホイルとか、食卓塩とか、バターとか・・・ストックあるのにまた買ってしまい涙目の日々もいつか過去となる。

すべては百年の恋、すべては百年の孤独、すべては百年の永遠なのだ。

だから・・・今は・・・なでしことともに一瞬の夏を体験したいのだ。

で、『ューティフ・第6回』(フジテレビ20120805PM9~)脚本・羽原大介、演出・小林義則を見た。ついに明らかとなったアカネ(中谷美紀)の事情。アルツハイマー病だったのは・・・夫・拓哉(山中聡)の亡き母親だったのだ。夫の母を自宅介護して三年・・・心ない夫の一言がアカネを深く傷つけたのだった・・・ものすごくよくあることだな。

・・・そして、ついにこの時がきたのだ。メダルまであと、一勝である。・・・おいっ。

さすがだ・・・魔女っ子キャプテンミヤマちゃん・・・そして昔ナガサト今オーギミちゃん。

後半もこの調子でお願いします。

そして、いきなりミヤマちゃんからサカグチちゃんである。

だが・・・親善試合の再現VTRをみるかのようなサイドからのフランスの猛攻開始である。

しかし、守護神フクモトちゃんが立ちはだかるのである。

さんまちゃん曰く「逆をつかれたPK」も大魔神プレッシャーのなせるわざなのである。

そして・・・お得意のかきだしてかきだしてゴールラインは破らせないなでしこマジック炸裂。

2VS1で決勝戦進出だ。さあ、来い金メダル~っ。そして、かわいいよ、勝利のモンキーダンスかわいいよを見せてくれ~。

・・・というわけで・・・アカネは圭介(豊川悦司)と美雨(芦田愛菜)の強い味方になることが濃厚になってきたのである。

アカネが求めているのは便利な道具としての主婦の座ではなくて・・・家族の一員としてのポジションなんだからねえ。

「おふくろのこと・・・最後まで・・・ありがとう」って言えない男は旦那失格に決まっているじゃないか。

それはさておき・・・周囲から「良い子」になれとプレッシャーをかけられる美雨・・・どんどん洗剤を買いまくる父親に恐怖を感じながら・・・「旅」に出るのである。

アドバイザーの菜子(吉田里琴)は「可愛い子には旅をさせろ」主義なので・・・地図を書くと・・・美雨を送りだすのだった。

ちなみに都電は駅ではなく、停留場である。それにしても庚申塚(こうしんづか)って書ける中学生は流れる石とかいて流石である。

ちなみに庚申塚は地獄通信の結界であり・・・見ざる聞かざる言わざるが配置された悪の拠点であることを指摘しておく。

「お父さんの病気はなんでなおらないの?」

「お父さんも私もがんばるから・・・あなたも一緒にがんばってください」

城都大学医学部付属病院脳神経内科の古賀医師(安田顕)はけして病を処方したりしないのです。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様のビューティフルレイン

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2012年8月 6日 (月)

この世が二人を愛さない・・・子犬のように追われて逃げても(岡田将生)

そこかよっ・・・。・・・っていうか、ネタバレじゃないか・・・まあ、いいか。

案の定な・・・女子マラソンだったな。

高橋尚子の持つ五輪記録も破られ・・・木端微塵の日本陣営である。

アテネ五輪(2004年)の金メダル・野口みずき、五位・土佐礼子、七位・坂本直子の栄光から一転。

北京五輪(2008年)には野口みずき・出場辞退、土佐礼子・途中棄権、中村友梨香13位の大失態である。

当然、ロンドン五輪はリベンジの場であったのだが・・・。

やはり・・・名古屋国際女子マラソン前々日に発生した東日本大震災の影響が一番深刻だったのかもしれない。

大会は中止となり、少なくとも重友梨佐(24)はこれで調整に失敗したのである。

そのあげく大阪国際女子マラソンに出場した重友は福士加代子を撃破してしまう。

調整に失敗した選手に撃破されてしまう福士も福士なのである。

その後、横浜国際女子マラソンでは木崎良子(27)が優勝。

木崎に敗れ、世界陸上で18位だった尾崎好美(31)が名古屋ウィメンズマラソンで2位となり・・・選出されてしまう。このレースで渋井陽子は4位だった。

その結果・・・木崎16位、尾崎19位、重友79位である。

見た眼で分かるほど明らかにウエイトコントロールに失敗したような重友はともかく木崎にも尾崎にも明らかにメダルの匂いはない・・・渋井や・・・福士をきちんと五輪に出場できるように調教できない・・・コーチ陣が悪いのじゃないかと悪魔は考える。

もう・・・銀メダルや銅メダルはお腹いっぱいだな。

所詮、敗者じゃないか・・・と思ってしまうわけで。

で、『平清盛・第31回』(NHK総合20120212PM8~)脚本・藤本有紀、演出・柴田岳志を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は漁師・鱸丸から武士・平盛国に出世した平家筆頭家老、そしてついにきた平家を滅ぼす平安の護法童子・源義経こと牛若丸の二大描き下ろしイラスト展開でお得でございます。我が子を「青臭い」とけなす清盛に苦笑する平家宰相・・・このドラマがゆるりと描いてきた人間・平清盛の結実する瞬間でしたな~。正盛、忠盛、清盛と親子3代親バカ祭りでござりまする~。

Tairakiyomori29 池禅尼は長寛二年(1164年)頃、死去したと伝わる。平清盛は永万元年(1165年)八月に大納言となったので・・・ドラマではやや長生きしたのだろう。長寛三年は六月に二条天皇が発病し、永万に改元されている。二条天皇は重病のまま回復せず、弟・憲仁への皇位継承を嫌い、実子・順仁(二歳)への歴代最年少即位を決行する。二条天皇はその直後、永万元年七月に崩御した。永万二年(1166年)八月六条天皇が即位したことによって仁安元年に改元されることになる。父・後白河上皇と子・二条天皇の歪な関係は・・・祖父・後白河上皇と孫・六条天皇に持ち越されるのである。二条天皇の親政の夢を・・・乳幼児が継承できるわけもないのだが・・・後白河上皇が政権を握るのだけはなんとしても避けたい・・・と保元・平治の乱を体験した都人たちは結束するわけである。なにしろ・・・遊びが過ぎるので亡国の主になることは明白だったのだ。それほどまでに衆目が一致する後白河院はある意味、抜群なのである。こうして・・・幼帝を支持する貴族たちと・・・とにかくこの世を乱したい後白河院との危うい綱引きが開始されるのだった。その頃、流刑の地である伊豆国で源頼朝は目付(監視役)である伊東祐親の娘・八重姫と念頃な関係になってしまうのだった。そして・・・長男・千鶴丸が誕生するわけだが・・・。その悲劇の日まではまだ間があるのだった。

今は亡き信西の造営した内裏には斎宮が隠されている。信西は後白河院の乳父であり、同母姉である上西門院とも親交が深い。こと霊的分野にかけては信西も上西門院には及ばない。何よりも陰陽道では遺伝子的な霊力の差異が実力を決定する。天竺の言語である真言とは違い、アマテラスに発するふるきマコトノリを行使するためには霊的な血脈を要するのである。

陰の斎宮には三人の姫巫女が集っていた。

鳥羽院の血を引く、母・待賢門院の上西門院、母・美福門院の八条院と高松院の三姉妹である。

神鏡を中央にすえ勾玉を捧げる三姉妹はそれぞれが日月、陰陽、神魔を封じて、観相の呪術を実施しているのだ。

三姉妹は精神官能によって意識を融合させ、没我の境地に入っている。

夜空には満月が浮かんでいた。

満月こそは天空の瞳であり、今、大和の大地は隈なく見渡せる刻限である。

殺生石(せっしょうせき)と化した妖狐・玉藻前だったものは平将門怨霊圏の北端でその尻尾を平氏一族の三浦氏、上総氏、千葉氏が退魔の矢で封印されている。

「む・・・」と八条院が息を乱す。

「いかがした」と上西門院が意識を八条院に向ける。

「妖気が散じてります」

「・・・うむ」と上西門院が応ずる。

「妖狐の怨念が玉として散じたようだ・・・」

「呪いでございますな・・・」

「八玉ございました・・・」

「妖狐は一と八に分かれたからな・・・妖気を擬して玉としたのであろう・・・」

「消えまする」と高松院がつぶやいた。

「生あるものに身を隠したのだ・・・」

「名が・・・見えました」

「・・・申してみよ・・・」

「那須の与一・・・」

「・・・東国に生じる赤子であろう・・・」

「八人のあやかしが生まれたのですね・・・」

「いかがいたします・・・」

「どうにもならぬ・・・すべての仇なすものの理はさだめなのじゃ・・・」

「因果応報でございますな」

「そうじゃ・・・妾たちにできることは・・・安泰を祈るばかりじゃ・・・」

「かしこみ」

「かしこみ」

「かしこみかしこみかしこみ」

やがて月は雲間に隠れた。

三姉妹の意識は闇に溶ける・・・。

関連するキッドのブログ→第30話のレビュー

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2012年8月 5日 (日)

走馬灯株式会社へようこそ(香椎由宇)私の時計は止まっている(岩佐真悠子)

谷間予定の記事だが・・・男子サッカー日本VSエジプトのベスト4決定戦のために・・・「ゴーストママ捜査線」消失事件発生である。

研ぎ澄まされてきた永井のスピードなのだが・・・敵のマークに対する防御に課題が残っているようだ。

いわゆる残心である。なりふりかまわぬ邪悪な攻撃に脆い日本柔道にも共通することだが・・・もっと厳しくならないとな。

なにしろ・・・戦争しない掟を持つのは全世界で我が国だけなのである。

まあ、なにはともあれ・・・男女そろってのベスト4進出は快挙であると叫びたい。

とにかく・・・突然、谷間が発生したので対処するわけである。

で、『・第3回』(TBSテレビ20120731AM0020~)原作・菅原敬太、脚本・猪原健太、演出・宮下健作を見た。「トリハダ」や「ドクロゲキ」などナチュラル・ホラーの旗手とも言える三木康一郎関連作品なのだが、今回はスーパー・ナチュラル・ホラー要素が高い。そもそも走馬灯とは・・・幻想的なムードが漂うが・・・臨死体験におけるパノラマ視現象の直訳とはニュアンスが違うわけである。しかし・・・死の直前に「走馬灯」のように回想現象が起きるという表現は日本人の心にフィットするのだな・・・なぜか。

で・・・生前の記憶を完全にDVD収録した走馬灯株式会社を訪問したものは基本的に「すでに死んでいる」場合が多いのである。

そういうDVDの存在がすでにかなりスーパーナチュラル(超自然)であることは言うまでもないだろう。

今回は原作を男女逆転し・・・ヒロインに岩佐真悠子を起用しており・・・それだけでもキッド的には価値ある作品になっている。

ふと・・・迷い込む異次元の扉の向こう側。そこには走馬灯株式会社主任の神沼(香椎由宇)が待っている。備え付けられたモニターで見ることができるのは・・・自分と自分に関わった人間すべての視点による生涯のVTRである。多くの人間が記憶していない生誕直後の記憶から・・・現在に至るまでのすべての映像と音声が保管されているのである。

今回、ゲストとして招かれたのは女子大生・多岐川理央(石井心愛→岩佐真悠子)である。理央は恋人の隼人(山田日向→石田卓也)と友人の沼田 しのぶ(菊地麻衣→藤井美菜)とともに旅行に来た二笑村温泉で不可解な事件にまきこまれる。

温泉旅館の女将(りりィ)ら村人たちが理央を殺そうとするのである。

走馬灯株式会社に逃れた理央は事の真相に近付く。

実は・・・二笑村温泉は理央の生まれ故郷であり、そこでは理不尽な掟がまかりとおっていた。預言者のおはばによる予言は絶対に的中しなければならず、もし外れたら村には滅びが待っているというのである。そのために・・・村人たちは・・・一致団結して「溺れ死ぬ定め」の理央を川に沈めようと画策していたのだった。

やがて・・・友人のしのぶも・・・恋人の隼人も・・・村の刺客だったことが判明し・・・追い詰められる理央。

しかし・・・理央は自ら首を突いて死のうとすることで・・・村人たちの魔手から逃れる。

刃物による自殺では・・・予言が成就しないのである。

やがて・・・予言の日は終了し・・・村人たちは恐怖におののく。

友人も恋人も失った理央・・・しかし・・・数日後、土砂崩れによって二笑村温泉は壊滅してしまう。

その事実を知った理央がふとふりむくと・・・そこには・・・。

結構、いい味出てました。

関連するキッドのブログ→鍵のかかった部屋

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月 4日 (土)

黒の女生徒(工藤綾乃)VS黒の女教師(榮倉奈々)加害授業を始めます。

無抵抗の人間に回し蹴りで危害を加えることは法律で禁じられています。

そこだけはスルーしてやってくれぇぇぇぇぇっ。

とにもかくにも・・・ガモフを止められなかったキムラのために・・・オンエア時間が果てしなくずれ込んだわけである。

もう・・・なでしこが入場してくるではないかっ。

で、『黒の女教師・第3回』(TBSテレビ20120803~)脚本・吉澤智子、演出・石井康晴を見た。さて・・・試合開始である。で、終ってみれば、魔女っ子イレブンがカナリア軍団を2VS0で一蹴なのである。サワがナガサトを連呼するオーギミが一点、オーノが一点なのだった。なでしこ・・・まったく強そうにみえないのに・・・強すぎる。おそろしい娘たちだな・・・。呪縛されて動きを封じられ・・・苛立つブラジル娘たち・・・。負のスパイラルでシュートの精度が確実に落ちて行くのだった。コーナーキックの連打も、魂のフリーキックもすべて散らされてしまう。まるで魔法にかかったようだ・・・と悪夢を見る目のマルタその他だった。終了間際、アンドーとタカセが投入されると・・・全員の息の根が止まったようだった。見事だ。見事な魔法陣グルグル攻撃である。

さて・・・国文館高校の守護神たちは・・・今回も邪悪な女子高校生を退治するのであるが・・・敵キャラは基本的に小銭を稼ぐお小遣い星人なのか・・・。で、今回は名門女子高生・莉子(西野実見)を囮に痴漢されちゃいました詐欺を働く悪知恵少女・杏(工藤綾乃)が登場。

勉強はできるけれど・・・いろいろと脳足りんな3年D組の杉本(西井幸人)が満員電車触っていないのに触ったことにされちゃいました攻撃にさらされるのである。

痴漢容疑をネタに恐喝を開始する極悪女子高生コンビ。

杏を演じる工藤綾乃は「13歳のハローワーク」で遊井亮子の少女時代を演じていたな。なかなかに大型新人じゃないか・・・。

で、例によって懲りないというか・・・応用力がないというか・・・自分が見えていないというか・・・自己欺瞞が過ぎるという・・・見事な脇役キャラである・・・青柳(木村文乃)が杏との交渉役に名乗りを上げるが軽くいなされてしまうのだった。

痴漢容疑でさらしものにされ・・・追い詰められる杉本だったが・・・杉本の素顔の善良さを盲信する梅原優(中条あやみ)が10万円で杉本の救済を夕子(榮倉奈々)に依頼する。

今回、黒の女教師たちが主催するのは「痴漢容疑者の女たちバス・ツアー」である。

女の怨みを買った極悪女子高生は車内で踏みつぶされ・・・肉塊に変わり果てるのだった・・・おいっ。

「ウソツキは泥棒の始りだって教わんなかったのか」と黒の女教師キック炸裂である。

まあ・・・今回もそこそこ面白かったな。

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の黒の女教師

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2012年8月 3日 (金)

甘いはずなのに苦かった・・・と思ったらやっぱり甘かったんですーっ。(加藤あい)見える、私にも霊が見えるぞ(朝加真由美)

チームのために・・・を志した男が個人で頂点を極める。

邪悪な妄想的には・・・チーム内で不協和音があったのではないかと充分に勘ぐることができるのだ。

それはそれとして男子初の金メダルは出来杉くんこと内村くんだった。

悪魔的に素晴らしい着地だ。

女子体操にもこの高みを目指してもらいたいが・・・女の子には他にいろいろと誘惑があるからな・・・ストイックなこの競技でクラクラするのは大変なのかもしれない。

メダルラッシュに沸く競泳陣だが・・・銅メダルをいくつ集めても・・・本当の勝者は一人もいないと悪魔は考える。

だが・・・ゴールと同時に日の丸が映るのと映らないのとでは快感に差がでるからな。銅メダルもけして無価値ではないのである。

なんだろう・・・アイスの当たり的感覚かな。

で、『東野圭吾ミステリーズ・第5回・甘いはずなのに』(フジテレビ20120802PM10~)脚本・坂口理子、演出・小林義則を見た。「ドリーム☆アゲイン」(2007年日本テレビ)という微妙なドラマで微妙なカップルを演じた二人がまたもや・・・微妙なカップルを演じている。展開も結末も微妙である。東野圭吾のミステリーとしてはひじょうに甘口なのでタイトルに偽りありなのであるが・・・そこが「ひねり」なのだろう。

前妻との子供とともに再婚予定だった中川伸彦(反町隆史)は・・・尚美(加藤あい)に不信感を抱きつつ・・・蜜月旅行に旅立つ。

結婚式直前に子供が酸欠死してしまったのだが・・・それが事故死なのか・・・それとも前妻の子供との距離感に悩みを抱えていた・・・尚美による偽装殺人なのか・・・苦悩していたのである。

ついに・・・その疑いを尚美にぶつける伸彦・・・。

しかし・・・尚美は解答を避けるのだった。

やがて・・・いかにも怪しい中年夫婦がからんできて・・・疑惑が深まるのだが・・・。

すべては・・・誤解だった・・・という展開。

過失を犯して子供を殺したのは・・・実は・・・という展開なのである。

もう少し、ツッコミたいところだが・・・五輪展開中はこれ以上は言及を避けておきます。

ネタバレさえも微妙なのかよっ。

関連するキッドのブログ→ドリーム☆アゲイン

で、『VISION-殺しが見える女-・第4回』(日本テレビ20120802PM1158~)原案・脚本:飯田譲治、演出・植田尚を見た。第四の殺人者・ミスターXは所轄の刑事だった。玲奈(山田優)を信じた謹慎中の刑事・浅野和馬(金子ノブアキ)により、第四の殺人者による第三の殺人は阻止された・・・かに見えたが・・・ミスターXは自殺により「クリスティーナに捧げる三つの殺人」を完成させてしまうのである。一方、玲奈の怪しい母親(朝加真由美)が登場。死霊も生霊も見える由緒正しい霊能力者なのである。玲奈の空白の一年間や・・・「クリスティーナ」を検索すると送られてくる謎のメール・・・といい感じに謎が謎を呼ぶ展開である。さあ・・・後・・・何人殺すのだ・・・クリスティーナ・・・。

関連するキッドのブログ→第3話のレビュー

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2012年8月 2日 (木)

ドラゴン青年団、五輪に負けてもいい、ドラゴンを倒すのだから(蓮佛美沙子)

金のメダル、銀のメダル、銅のメダルを求めて、世界中の勇者が集まる五輪の地。

限りなく金に近い銀もあれば・・・金以外には誰も存在しない境地がある。

銅だってメダリストだぜと前向きの者があれば・・・入賞しただけで充分の楽天家もいる。

なにしろ・・・参加することに意義があるのだな。

着実に勝てる相手には勝つ、女子バレー、完全に相手を見下す女子サッカー。みんな仲良く女子体操。

それぞれに色を出す大和撫子たち・・・。

いつか・・・福原愛もメダルに手が届くといいよねえ。

精も根もつき果てた西山の銅メダル・・・柔道のメダルリレーはまだ続く。男子も金を持ってこい。

で、『ドラゴン青年団・第1回~2回』(TBSテレビ20120718AM0055~)脚本・上田誠(他)、演出・三木孝浩を見た。関東では第2回の後、五輪の波に飲み込まれて消息不明中である。公式によると≪放送の都合により、次回放送は【TBS】8/14(火)、【MBS】8/16(木)に3、4話2話連続で放送となります≫ということである。まあ・・・潔いな。

家族八景」「コドモ警察」と深夜番組ならではの色を打ち出したこの枠。今回もなかなかいいな。

フィギュア・スケートとか、シンクロナイズド・スイミングとか、女子体操・床とか・・・音楽のつく競技はゲーム音楽を使うべきだよな。

ドラクエとかマリオとかF.F.とかの音楽で日本は一度攻めてみるといいと思うよ。

で・・・ズバリ、ドラクエ+村おこしの展開である。

深夜アニメとかラノベとかで・・・いかにもありそうな展開なのだが・・・オリジナルである。それだけでもえらいぞ・・・。まあ・・・勇者・ヨシヒコが先駆したけどね。

勇者の子孫が住む地方都市・・・光山町の旅立ちの喫茶店「チロル」の娘・ヨーコ(蓮佛美沙子)は「七瀬ふたたび」の仇をここでとれるといいよねえ。

東京にはドラゴンが出現・・・今のところは東京タワーに巻きついているだけだが・・・不気味である。

で・・・光山町にはドラゴン伝説があって・・・光の戦士末裔がドラゴンを退治するということになっている。

そして・・・末裔の証として・・・紋章形のあざがヨーコたちには刻印されている。

ドラゴンが出現した以上・・・やるしかないんじゃね・・・と青年団のメンバーはやる気になるのである。

思えば・・・銭湯の壁画がマップになっていたり、空飛ぶマントを持つホームレスがいたりと・・・不思議なことに満ちていた光山町なのだが・・・意外と日常的なので・・・土地のものには見逃しがちな不思議さだったのであるる

実家の電気店を継いだケンジ(遠藤要)が空を飛んだ時・・・青年団の戦いはまさに始ったのである。

まあ・・・忙しくてRPG出来なくなった人々は・・・郷愁にひたるといいよね。

関連するキッドのブログ→七瀬ふたたび

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月 1日 (水)

ネコババはあかんで、男湯乱入もあかんで、痴話喧嘩もあかんで(多部未華子)

競泳陣の銅、銅、銅でプロンズトリオ結成である。

「銅メダル」獲得が「勝った」ことになるのかどうか・・・微妙である。

しかし、「2位も4位も同じ」というのも・・・微妙である。

勝負の世界に生きる者は・・・基本的に人間として微妙なのである。

しかし・・・すべては刹那の出来事だ。

やはり・・・チャンピオンの魂を持つ者には美しさがあるんだな。

それにしても佐々木監督・・・策士だ策士だ・・・と思っていたが・・・本当に策士だな。

正々堂々と戦うということも・・・微妙なのである。

予選を1位通過しないように・・・試合をコントロールするなでしこジャパン・・・凄いな。

まあ・・・中継担当局としては「最初からドロー狙い」とは口が裂けても言えないわけである。

それにしても相手が2VS2になったとたん、ゴール前から引き返すって・・・微妙だな。

で、『浪花少年探偵団・第5回』(TBSテレビ20120730PM8~)原作・東野圭吾、脚本・吉田紀子、演出・池澤辰也を見た。さすがに筋書きのないドラマに包囲されて・・・微妙な味わいになってきた・・・しのぶセンセとゆかいな仲間たち・・・。煙草屋の藤野ツル子(正司照枝)・与平(織本順吉)夫婦・・・いい味出し過ぎて・・・長生きしてもらいたいと願うばかりである。

プリンの食べすぎで盲腸を発症したしのぶ(多部未華子)、偽札犯人逮捕には活躍したが・・・銭湯の男湯に乱入して・・・興奮し・・・腹膜炎を併発して・・・教員試験に失敗である・・・全然違うだろうっ。

小学生相手に「ヴェニスの商人」を朗読する中田校長(小日向文世)、何故か興味津々の上原(二宮星)をのぞき・・・6年2組・・・全滅である。

朝倉町子(笛木優子)朝倉奈々(浜辺美波)の美人母娘・・・本格的出番はまだなのか・・・。

ま・・・とにかく・・・五輪が閉幕しないことには・・・何が面白いのか・・・正常な判断はできない・・・今日この頃でございます。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

| | コメント (0) | トラックバック (1)

« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »