あれは遠い夏、空に消えてった格差社会と黒の女教師(土屋太鳳)
各ドラマが五輪明け体制に入っているわけである。
そういう意味では今週のスポットライト生徒が栞(土屋太鳳)であることはその一環なのだろう・・・。
し・か・し・・・ネタ弱いよね~。
っていうか・・・来週予告で子役祭りを飾る杉田かおるはいいとして・・・いきなり、蹴り炸裂のシーンをピック・アップってミもフタもないな・・・。
昼は昼で究極の昼メロ展開「ぼくの夏休み」の「おにいちゃん、どうしてあなたはおにいちゃんなの」が面白いし、金曜日は悪魔のような女になった「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の植村ちはる(南明奈)で盛り上がっているわけだが・・・これまでの流れで「黒の女教師」を続行である。
「ウレロ☆未完成少女」も見なければならないし・・・残暑も厳しいのでチャッチャッと書けよ。
で、『黒の女教師・第5回』(TBSテレビ20120817PM10~)原案・山下友弘、脚本・吉澤智子、演出・岡本伸吾を見た。小説「ノルウェイの森/村上春樹」には小林緑という登場人物があり、東京下町の書店の娘がお嬢様学校に通っていることで・・・幽かに屈折する。つまり、格差社会の話である。もちろん、今回の女生徒側主人公・松本栞がそのヴァリエーションであることは明らかである。自由は不平等を生み、当然の如くに格差社会に至る。いつの時代、どんな世界もそこから逃げることはできないのだ。
もちろん、「平等」を目指すなら革命をしなければならない。その最終目標は世界最終戦争による人類の滅亡である。等しく死ぬことによってのみ、人類は平等を達成するのだから。
しかし、結局、人々はその自由と平等の束の間で・・・おりあいをつけてそれなりに面白おかしく生きて行けばいいのである。
母子家庭であり、母は内職に追われ、離婚した父親からの扶養料は滞りがち。松本栞は普通の女生徒たちと付き合うためにそれなりの金銭を必要とし、限りなく風俗産業に近いガールズ・バーでアルバイトをしているのだ。
ガールズ・バーの経営者である河合(加藤虎ノ介) は「知識なんて役に立たない・・・知恵をつけていかに金を稼ぐか・・・貧しいものが這い上がるにはそれしかない」と栞を指導するのである。
しかし・・・その知恵とは・・・裏社会で生息するダニのようなものになるための知恵だった。
栞の美貌に目をつけた河合は栞を高級売春少女に育てるために・・・着替えのシーンを盗撮するなど着々と準備を進めていた。
そんな栞の夜の生活をクラスメートの立花(上遠野太洸)が目撃してしまう。密かに栞に想いを寄せていた立花は・・・裕福な家庭に育っている。栞にアルバイトをやめさせるために親からもらった小遣いを使おうとするのである。
しかし・・・親の金で立花によって「自由」を与えられることは栞には我慢ならないことだったのである。
「金」という単なる流通の道具を・・・貧富を問わず「穢れ」とみなすことは悪魔的には面白いところである。
加害授業が有料であるとはいっても単なるポーズのように見えてしまうのは本質を損なうのではないか・・・だってそれって偽善でしょう。
ま、それはともかく・・・今回はもたざる少女ともてる少年の初恋物語なのだが・・・それを縁取るのが・・・古典教師の内田すみれ(市川実日子)と河合の初恋物語になっているのだ。相変わらず村レベルの人間関係である。東京の人口1000万人超をなめてるな。
君がいた夏は
遠い夢の中
空に消えてった
打ち上げ花火
・・・的な。
知的エリートだったすみれと・・・落ちこぼれだった河合。
二人は花火大会の夜にすれ違った。
河合の気持ちを確かめるために手を離してしまったすみれは・・・河合の浮気心に裏切られるのである。
まあ・・・若い時にはありがちなことで・・・だからどうという話ではありません。
で・・・河合は結局、高級売春婦派遣業の経営者となり・・・すみれは高校教師になったという話である。
君の髪の香りはじけた
浴衣姿がまぶしすぎて
お祭りの夜は胸がさわいだよ
・・・にもかかわらず。
時は流れて・・・夏の始りを告げる花火大会の夜。
都立国文館高校はこれから夏休みなのである・・・遅いぞ、カレンダー的に遅すぎる。
ついに・・・河合が牙を剥きだし、栞に売春を強要するために連れ込んだマンションに・・・身を張って乗り込んだ立花。
栞は脱出に成功するが・・・立花は取り残されてしまう。
河合は若い二人に激しく嫉妬するのである。
ざわめきが少し遠く聞こえた
色んな事話たけれど
好きだって事が言えなかった
・・・もはやとりかえしのつかない時と場所に河合は立っていたのだ。
栞の依頼で課外授業を開始する黒の女教師たち・・・。
火事騒ぎで立花を救出すると・・・物騒な情報を仕込んだパソコンをお持ち帰りである。
おびき出された河合は「警察なんてこわくない」と嘯くが・・・高倉夕子(榮倉奈々)は河合の代理人として・・・裏社会のボスに恐喝を行っていた。
「反則勝ちは失格なのよ・・・あなたの面倒はあなたの世界の主がみてくれる」
恐怖に慄く河合だった。
初恋をふみにじられたすみれの陰湿な復讐劇はこうして幕を閉じるのだった。
栞は成績優秀だった。
「あなたは・・・努力すればプラチナ・チケットを手に入れられるの・・・どうする?」
「ドラゴン桜ですかーっ」
「とにかく・・・受験生に夏休みなんてないの・・・これだけは学校で教えてくれるでしょう」
君がいた夏は
遠い夢の中
空に消えてった
打ち上げ花火
関連するキッドのブログ→第4話のレビュー
シナリオに沿ったレビューをお望みの方はこちらへ→mari様の黒の女教師
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コメント
何がショックって・・・加藤虎ノ介だよ(泣)
背が低いのはしょうがないけど、あんなに太ってたなんて〜
ちりとてちんの四草のしの字の面影も無いじゃないかっ!
そして太鳳ちゃんは、なんかずっと黒木メイサに見えて仕方が無かったんですけどね。
黒の教師たちの過去や背景がちらちらと見え隠れする割には、そちらの謎解きが今ひとつ進まないのがちょっと・・・
1話完結の必殺ドラマと、先生の過去の物語がもっとうまく連動させられないのかなあ。
ちょっと残念な感じになてきたような気が・・・
投稿: あまね | 2012年8月18日 (土) 08時53分
「龍馬伝」(2010)の井上聞多、
「新選組血風録」(2011)の山崎蒸、
「平清盛」(2012)の藤原師光と
NHK時代劇の顔になつりつつある加藤虎ノ介。
些少、恰幅がよくなった・・・と許してあげてください。
太鳳ちゃんは黒木メイサ級の美人ということですな。
まだ17歳ですが大人っぽい顔立ちの美少女は
成人した時が一つの山でございます。
まあ、ちょっとスピリチュアルなムードがあるので
変な道に迷いこまなければいいなあと考えますが。
「黒の女教師」は冷たい方程式と
一般常識というか庶民の知恵というか・・・
生ぬるい処世術が
もわ~っとからみあってる感じなんですな。
なんていうか、背のびした中学生が書いた脚本みたい。
まあ、最近の若手はそういうものだと
悪魔は考えるほか、ございませんのです~
投稿: キッド | 2012年8月18日 (土) 14時48分
じいやちゃま、残暑お見舞い申し上げます。
私的には夏は終わりましたが
もうね疲労と強烈な思い出とがないまぜになって
抜け殻状態です。
しかし、「鈴木先生」の時のタオちゃんがこんな役なのかと
ややショックな気持ちで見ていましたが
なるほど6%に至る頭脳を持ってるのは決め手でしたね。
ちょっと神格化した気持ちで見ていたせいでしょうか
ラストシーンでちょっと溜飲がさがりましたのよ。
なんせ、現実に栞と同じセリフで国立やめて
受けのいい私立に入った子を知ってますんで
まさにいまどきのドラマでしたわ。
じいやちゃま、夏ばてしてませんか?
春雨サラダでさっぱりしてね~。
楽しみにしているお屋敷の花火も大変ですがよろしくです~。
投稿: エリ | 2012年8月19日 (日) 14時54分
さっぱりキリリのジンジャーエールをお持ちしましたぞ。
ひと夏の思い出はいくつになっても新鮮でございますからな。
じいめの場合、2~3年の思い出がシンクロして
五輪が北京だったのか倫敦だったのかもさだかでは
ございませんが~。
「鈴木先生」のタオちゃんは
さすがの存在感でございましたね。
やはり、大物女優は
お色気もそれなりにこなせませんと
なりませんから~。
しかし、基本的には
どう転んでもハイ・クラスに残るという役柄。
やはり・・・知性と美貌を
共有していないとどんな世界でも生き残れないのでございます。
国立大学を蹴って
有名私立という流れは
5年前ほどの「旬」でしたが
そういう流行遅れというのは
やや微笑ましいものですな。
前にも申し上げましたが
赤門付近には
美容整形の医院が乱立しておりますぞ・・・。
知は美を求め。美は知を求めるのでございますね。
お見合い写真もそれなりに仕上げないとですしな。
家庭の経済格差が
そのまま学歴格差に反映するのは
好ましいことではないですが
やはり逆境でもたくましく生きて行くエリートも
大切ですからな。
情報展開でやる気を無くさせるのも
ほどほどにするべきですな。
あくまで統計的な傾向で
いつだって例外はあるのでございますから。
恒例の夏のおわりの大花火大会は
東京湾から逗子までナイアガラ花火を
敢行する予定でございます。
関東の消防車は全部待機させますので
火の始末についてはご安心くだされ。
去年はまこ様が暴走して横浜の街が
半焼しましたので~。
投稿: キッド | 2012年8月19日 (日) 22時03分