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2012年9月30日 (日)

私(桜庭ななみ)と彼(バカリズム)とおしゃべりクルマ(田中圭)とゆとり世代的な・・・。

どんなスポンサーもお金をくれるのはいいスポンサーである。

まあ、スポンサーをヨイショするためのドラマなんてものはその卑屈な姿勢がにじみ出てろくなもんじゃないよな。

「クルマ」とか「家電」とか・・・まあ、暮らしを便利にする品物でさえ・・・そうなのである。

これが・・・「パチンコ」だったらどうなるんだ。

最高の息抜きで換金すればちょっとしたお小遣い稼ぎで安心なギャンブルで・・・。

ストレートにパチンコ台に未来の孫が憑依して「おばあちゃん、左の台の方が出るよ・・・」とか言い出すのか。

最近、復活してきた「サラ金」なんてものもあるな。

キャッシングマシンが「そろそろ、返済期限がきてアウトになりそうだけど、あと10万くらいなら限度額いっぱいだし、競馬か競輪あるいは競艇で一発あてれば大丈夫じゃない」と相武紗季が囁くのか。

そういう意味ではボートだって「どの色好きなの?」とアッキーナが語りかけるし、自転車だって長澤まさみの声で「人生なんてギャンブルみたいなものでふにゃふにゃ」って・・・ラブコメもどきを・・・。

まあ、キリがないからやめておくか・・・。

そんな子供じみたことが言いたいわけじゃないんだよな。

スポンサーが自社の車が心を持って人を轢いて轢いて轢き殺しまくる殺人カーになる話をOKして、ホラーを作ってくれたりすればいいのに・・・って思うだけ。・・・子供かっ。

で、『私と彼とおしゃべりクルマ・前・後編』(フジテレビ20120922AM11~)脚本・坪田文、演出・谷村政樹を見た。ゆとり世代とはゆとり教育を受けた世代であり、最初からゆとりもいれば高校からゆとりもいる。ゆとり教育は義務教育では2002年から、高校教育では2003年から始ったとされる。およそ10年は続いたので・・・世代としては・・・2010年代時の若者と言ってもいいだろう。つまり、今の若者であり、桜庭ななみ(19)はある意味、完全なるゆとり世代と言えるだろう。

しかし、実際にはゆとり第一世代はもう少し大人になっているわけである。

で、いろいろな識者が世代論を構築するだろうが・・・キッドは適当に考えておくことにする。

今の二十代前後・・・ゆとり。

今の三十代前後・・・ガンプラ。

今の四十代前後・・・バブル。

今の五十代前後・・・おたく。

今の六十代前後・・・団塊。

今の七十代前後・・・ヒッピー。

今の八十代前後・・・梅ちゃん。以上・・・おいっ。

まあ、いいじゃないか。とにかく・・・世代論なんて言い出す奴は基本的に全体主義の差別主義者である。で、自分以外のすべてをまとめて上から目線で馬鹿にしたい馬鹿なのだな。

しかし、「ゆとり、ゆとりとバカにするな、ゆとりだって人間だよ、同じメシ食ってどこが違う」と叫ぶしかないのが虐げられた人間の常である。

で、とにかく・・・いつの時代も若者は・・・貧富の差に喜怒哀楽しながら恋愛をして歌うのだな。

チッチッチッと時計の舌うちを聞く

舌打ちしたいのはこっちなのにと思う

そうしてベッドの上でのあれやこれやを

時にはそこにあったぬくもりを

今は失われたものと信じられずにいる

東京の片隅の末端の下請け編集プロダクションの一番下っ端である近野遥香(桜庭ななみ)は忍従の日々を強いられストレスは溜まりっぱなしである。

雑用の日々に将来の展望は開けず、だからと言って何をどうしていいのかわからない憐れな下層民なのである。

せめて・・・恋でもと思うのだが・・・。

周囲にいる男性は嫌味な性格の上司・三枝(安田顕)やシダ植物のように覇気のない同僚たち。

良さげに見える男たちは遥香には見向きもしないのだった。

一人ぼっちの誕生日に遥香は涙目であった。

かわいいよ、ななみ、かわいいよ・・・だけのドラマである。

すると・・・突然、奇跡が起こり、社用車のカーナビが話しかけてくるのだった。

「ハルカさん、誕生日おめでとう・・・」

「えーっ」

こうしてハルカはクルマとおしゃべりするゆとりになったのだった。

テクテクテクと歩いていくと

後ろに誰かがいるような気がする

自分をおいかけてくる人が

私の名前を読んでいる

ちょっと待てよと言われて

思わず立ち止まろうとするけど

それはただの影法師

クルマと会話することで自分の鬱屈を吐き出す遥香。

いつしか・・・遥香はどうせ誰にも愛されないならクルマでもいるだけましと思うようになる。

人間なんてきっかけ次第でどうにでもなるものだ。

クルマに自分をぶつけることで・・・遥香は主張することを覚えたのである。

ゆとり・・・だから・・・そんなことも教えてもらえなかったのだ。

やがて・・・世界を見るようになった遥香は・・・世界が自分を見ていることに気がつくのだった。

社員の自分と比べて出入りの業者であるイラストレーター田所(バカリズム)はさらに下層民だったのだが、やがて、そんな田所の言葉が耳に届くようになる。

「どうして・・・無理な注文を節操もなく引受けるんですか・・・」

「だって、それが仕事だから」

「それでいやにならないんですか・・・」

「そんなこと考えたこともない・・・だって今は大切で、今を大切にできることは幸せだし・・・」

「つまり、目先のことだけ考えていれば、人間は結構幸せってことですか」

「まあ、そうじゃない人もいれば、それしかできない人間もいるんじゃないのかな」

「・・・」

「結局、人間はできることしかできないし、できないことをしようと思ったら・・・まあ、がんばるしかないんじゃない」

「ゆとりの哲学ですね・・・」

プルプルプルと胸を震わせて

失くしたものを捜す私に

過ぎ去った人々が寄り添っている

優しい微笑みが目の前にある

ドクドクドクと私のハートが時を刻む

いつか私が暗闇に消えたなら

私も誰かに秘密の言葉をささやくのだろう

永遠の時間

永遠の時間

永遠の時間

永遠の時間・・・。

やがて・・・未来の孫(田中圭)が祖母に送った時間を越えた誕生祝いだったことが分かり・・・遥香の話をヒントにして「おしゃべりクルマ」のイラストを描いた田所が・・・遥香をストーリーテラーとしてベストセラー作家夫婦になる未来が暗示されるのだった。

まあ・・・ある意味、一種の悪夢ですな。

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2012年9月29日 (土)

クリスティーナ(山田優)はドリー(クローン羊)のVISIONを見るか?

そもそも、映画「ブレードランナー」(1982年)は映画「卒業」(1967年)の焼き直しである。

ま・・・少なくともキッドはそのように考える。

「卒業」で主人公のベンジャミン(ダスティン・ホフマン)はヒロインのエレーン(キャサリン・ロス)の母親であるミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)の不倫相手であり、肉体交渉を重ねたあげくにエレーンとの恋に落ちる。様々な悪意に満ちた経過があって二人は引き離されるがエレーンの結婚式に乗り込んだベンジャミンは花嫁を強奪して青春の旅立ちをするのである。

「ブレードランナー」の主人公・デッカード(ハリソン・フォード)はレプリカント(人間そっくりなロボット)犯罪専門の刑事としてバッティ(ルトガー・ハウアー)ら反逆レプリカントと対決し、これを破壊する・・・しかし、愛してしまったレプリカントのレイチェル(ショーン・ヤング)を手にかけることができずに駆け落ちするのである。

基本は「ロミオとジュリエット/シェイクスピア」の悲劇を否定したハッピーエンド版である。

敵対する組織に属する二人が社会に背を向けることで結ばれるわけだ・・・。

「ブレードランナー」の原作である「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?/フィリップ・K・ディック」・・・原作者その人は「俺の書いた話と違う」とつぶやいたわけだが・・・ここは原作をもじることにした。

つまり「VISION-殺しが見える女-」は「ロミオとジュリエット」→「卒業」→「ブレードランナー」というラインに乗っているのである。

疑問に感じる人も多いだろうが・・・パクリの本質とはそういうものなのである。

経団連の会長が「領土問題などないでは儲からない」と発言して首相を非難することのできる国家は麗しい。しかし、こと「戦略的ゲーム」的に考えれば馬鹿丸出しの失言であることは間違いないだろう。

しかし・・・ある意味では経団連会長も日本人でありながら中国経済と駆け落ちしたのだと考えればラインに乗っているのである。

ちなみにこれはあくまでたとえ話なので・・・政治的意図はまったくないことをお断りしておく。

で、『VISION-殺しが見える女-・最終回』(日本テレビ20120928AM0018~)原案・脚本・飯田譲治、演出・星野和成を見た。1996年にはヒツジの乳腺細胞核の核移植によるクローン羊・ドリーが誕生している。1997年、ホノルル法(体細胞を核を除去した卵子に直接注入することにより、細胞融合を行わずクローン個体を作製する技術的手法)を用いた初めてのクローン・マウス作成。2001年、クローン猫作成。2004年、クローン猫リトルニッキーを商業用ペットとして作成。2005年、倫理的に問題のあった韓国の研究者がクローン犬を作成。そして・・・世界には倫理に影響されない闇の社会がある。そこでは当然、クローン人間は作成されている。構造的に短命だったり、基本的人権に問題があったり・・・などということは闇の社会では問題にならないのである。もちろん、クローン人間は奴隷あるいは家畜的に使用されている・・・少なくとも一部愛好家の妄想的には。

甲斐谷正憲(升毅)によって拉致されてしまった玲奈(山田優)。

城南警察署の崎阪警部補(矢柴俊博)たち一部の捜査チームは「クリスティーナ連続殺人事件」の真相に迫る。その結果、「クリスティーナ・ゲーム」のプレイヤーが玲奈の実在を知ると殺人衝動が抑圧できなくなる確率が高まることが判明する。しかし、そうした推測を認めない警察上層部は行方不明の玲奈の公開捜査を決定する。もしも、公開捜査が開始されれば「クリスティーナゲーム」を配布された二千人のゲーマーが一斉に殺人を開始する恐れがあるのである。

それを阻止するためには玲奈を確保するしかないと思いつめた謹慎休職中の刑事・浅野和馬(金子ノブアキ)はついに禁断の扉を開く。自らが「クリスティーナ・ゲーム」のプレイヤーとなるのである。

生れついての霊能力者である玲奈は闇の科学者によって霊的波動を増幅するナノマシーンを脳内に埋め込まれているため・・・「クリスティーナ・ゲーム」のプレイヤーとは霊的波動による超時空相互通信が可能となるのだった。

公開捜査開始のタイムリミットが迫る中・・・警察官殺しのプレイヤー浜倉(森山栄治)はさらに和馬の警察学校時代の同期生である赤井刑事(五十嵐大輔)を殺害する。

それを知った和馬は殺人のターゲットとして浜倉を選び出すのだった。

和馬の意図を知った崎阪や同僚の秋山(吉家章人)、玉田(安倍康律)の制止を振り切り、和馬はゲーマーだけが知りえる情報で浜倉を探知するのだった。

甲斐谷との相互通信により、「和馬」というキーワードを得た玲奈は奇跡的に記憶を回復する。

「驚いたな・・・愛という奴の・・・副作用は・・・やはり研究価値がある・・・」

やがて・・・クリスティーナ・ネットワークに侵入した玲奈は自分そっくりの女・クリスティーナと逢うのだった。

「あなたは・・・」

「私は来栖玲奈・・・あなたは私ではない」

「どういうことなの・・・」

「・・・」

「問いかけても無駄だ・・・」と甲斐谷が言う。

「彼女はもはや・・・情報に過ぎない・・・」

「・・・」

「本当の来栖玲奈は三年前に死亡した・・・私のコピー元である警視庁科学捜査研究所の主任研究員である甲斐谷正憲が死亡したようにだ・・・君も私も闇の組織によって作られたクローン人間なのだよ」

「・・・そんな・・・」

「そして我々は実験動物のように改造され・・・殺人衝動を制御するためのデータ収集の道具となったのだ・・・世界には人間を単なる家畜としか考えない人間たちがいるのさ」

「私が・・・来栖玲奈のクローン・・・」

「知っているか・・・同じクローン猫でも性格は個体によって変わるのだ・・・邪悪な来栖玲奈のクローンであるクリスティーナ・・・君が清純な性格を獲得したようにだ・・・」

「私が・・・クリスティーナ」

「我々、クローンはテロメアの長さが短いために寿命が短いなどの欠陥を持っている・・・そういうものを作り出すような・・・世界の裏に潜むおそろしいものには敵対など不可能なのだよ」

「・・・」

「もうまもなく・・・実験のための最終段階だ・・・それが終われば・・・」

「和馬がきっと助けに来てくれるわ・・・」

「彼はすでにゲームに参加した一人の実験材料にすぎない・・・」

「そんなことは私がさせない・・・」

その頃、和馬は警官殺しの浜倉との格闘を制し、拳銃の狙いを定めていた。

夢から醒めたように命乞いをする浜倉。

「やめてくれ・・・俺が悪いんじゃない・・・ゲームだ・・・ゲームのせいなんだ・・・」

【やめて】【【和馬】】【【【そんなことはやめて】】】

発砲する和馬。しかし、弾丸は浜倉からそれていた。

「ゲームのせいだと・・・すべての責任は自分にあるんだ・・・たとえ・・・ゲームがお前に人殺しをさせたとしても・・・実行したのはお前だし、そもそもゲームを始めたのはお前だ・・・この世から戦争がなくならないのもみんなお前の責任なんだよ・・・」

「そ、そんなことまで・・・」

「それが実存主義ってことだ」

浜倉の身柄を拘束した和馬はクリスティーナと一体化し、甲斐谷に挑戦状をたたきつける。

甲斐谷は安全を期すために公開捜査の開始を早めるように組織の触手である警察幹部に連絡する。

刑事たちとともに玲奈の救出に成功する和馬。

「もう・・・公開捜査が始まるぞ・・・」

「大丈夫・・・最後の手段があります」

「なんだよ・・・」

「現場の刑事が口裏を合わせれば死体なんてすぐに増やせるじゃないですか・・・」

「・・・」

「どうします・・・二千人の殺人鬼を解放するか・・・ちょっとした偽証をするか・・・」

「・・・」

こうして・・・来栖玲奈の死亡が報じられた。

栗栖玲奈は実在しなくなったのである。

甲斐谷は意表を突かれ歯ぎしりをする。しかし・・・遅かれ早かれ実験は再開されるだろう。すべては時間の問題なのである。

こうして・・・和馬は法的には存在しないクリスティーナを抱きしめる。

「いいの・・・私はクローン人間、いつ壊れてしまうかもわからないのに・・・」

「愛なんて・・・みんなそうじゃないか・・・」

「私たち・・・どうなるのかしら・・・」

「少なくとも・・・しばらくは・・・幸せになるんじゃないかな」

「きっと・・・そうかもね」

二人を乗せた幻のバスが走り出す。

二人にとって無意味となった世界を置き去りにして。

二人は見つめ合い微笑む。

闇に覆われた世界に一筋の光が射すのだった。

その光の源は求めあう男と女の波動の底力である。

国連軍に素手で立ち向かうような二人の戦いはこれからなのだ。

しかし、予算の関係で続きは描かれない方にカシオミニをかけてもいい。

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2012年9月28日 (金)

だましゑ歌麿IIはさやゑで(水谷豊)・・・私は罪な女(内山理名)

三夜連続テレビ朝日である。

順番前後してるじゃねえか・・・ま、いいか。

多岐川華子の出演していた「だましゑ歌麿」(2009年9月)はレビューしそこねたらしい。

水谷豊と中村橋之助で「相棒」と「新宿かわせみ」をダブルで楽しめるわけである。

もっとも水谷豊は喜多川歌麿なわけで・・・右京さんでない。

ただし、相棒の江戸一番の版元・蔦屋重三郎(岸部一徳)で、元・柳橋の芸者おこう(鈴木杏樹)である。

春朗こと葛飾北斎(原田龍二)だし・・・実に相棒っぽいです。

で、『だましゑ歌麿II』(テレビ朝日20120915PM9~)原作・高橋克彦、脚本・古田求、演出・吉川一義を見た。喜多川歌麿は生年も出生地も謎の男だが・・・本名は信美つまりしのびである。つまり、忍者だったのである。「だましゑ歌麿」ではその出生の秘密にも触れているが・・・実際には公儀隠密で陽忍なのである。だから・・・絵師としては驚くほど身軽で剣の腕が立っても問題ないのだ。・・・そんなに断言されてもな。

続く「さやゑ歌麿」を原作とするのが本作である。さやゑとは鞘絵のことで・・・トリックアートの一種である。

遊園地などにあるマジックミラーをご存じだろうか・・・鏡の凹凸を利用して、実際の姿を変形して映すアレである。

この原理を逆に応用して、肉眼では意味不明の絵が、マジックミラーで変形されることで真の姿を示すという趣向である。

鞘絵の場合は刀の鞘の丸みを利用して鞘に映すと絵が浮かび上がる仕掛けである。

ドラマでは円筒型アナモルフォーズ(歪像画)という技法で表現されている。

吉原の女将・志乃(萬田久子)が歌麿に描かせたあの絵なのである。

さて、この時代劇は「長谷川平蔵(古谷一行)の裏話」でもある。

長谷川平蔵といえば実在の鬼と恐れられた火附盗賊改である。つまり、裏鬼平犯科帳の要素もあるのだな。

今回も鬼平犯科帳では寛政3年(1791年)の頃に捕縛後、獄門にさらされた盗賊・葵小僧の後日談になっている。

実は処刑された葵小僧は替え玉だった展開である。まあ、忍者もののセオリーだな。

基本的に自由を愛する歌麿が善玉、圧政を敷く老中・松平定信が悪玉として描かれるのもこのシリーズの特徴と言えるだろう。

歌麿は豊臣秀吉の絵を描いて罪人となるわけである。関ヶ原の合戦から200年立っているけれど豊臣方は敵というルールである。戦後67年もたっているのに・・・という理屈が軍事独裁政権に対しては何の意味ももたない一つの例証と言えます。

中国のような軍事独裁政権を相手にする時には覚悟が必要なのですな。

ねえ、アグネス?

葵小僧は実在の盗賊で・・・徳川家の家紋である葵の御紋をつけた提灯を掲げて商家に押込強盗を行い、押込先の婦女を必ず強姦するという凶悪な手口をもって江戸中を荒らしまわったと言う。将軍家のご落胤と称したわけだが・・・このドラマでは葵小僧は実際に将軍家のご落胤という設定なのである。

そのために・・・松平定信の腹心・松平主計介(渡辺いっけい)が火附盗賊改に派遣され、葵小僧(堀部圭亮)と仕組んで長谷川平蔵に偽物を捕縛させたという筋書きである。

そんな時代背景の中・・・歌麿は絵師として・・・「婦女人相十品」「婦人相学十躰」などの清新な作風の「美人大首絵」で特に人気を博していた。

モデルとなって歌麿に描かれた女たちの一人、武蔵屋喜太郎(甲本雅裕)の妻で元は女郎であるお妙は・・・描かれる快感と同時に歌麿の死んだ妻・おりよの亡霊に憑依され・・・歌麿に恋焦がれてしまう。

大店のお内義という身分を捨て歌麿を追いかけて大江戸八百八町を彷徨う恋に憑かれた女になりはてたのだ。

そんな折・・・お勝(吉井怜)など歌麿に描かれた女たちが次々と惨殺されるという事件が発生する。

捜査に乗り出した南町奉行所の同心・仙波一之進(中村橋之助)は殺害方法から葵小僧を連想する。死体の身元を割り出すために似顔絵描きとして呼んだ春朗から・・・殺されたのが歌麿のモデルたちだと知った仙波。

やがて・・・葵小僧の残党である定吉(デビット伊東)が殺されたことから・・・新たな容疑者が浮上する。

蝶々の異名をとる売り出し中の役者・蘭陽(染谷将太)である。

実は・・・蘭陽は葵小僧の身代わりになって殺された男の舎弟だったのだ。

そして・・・今や葵小僧への復讐に燃えていたのである。

その闘志を秘めた色気に惚れた歌麿は「あんたを描きたい・・・」と頬を染めるのだった。

実は歌麿狂いのお妙は定吉に命を狙われたところを蘭陽によって救われていた。

お妙は歌麿の心が自分にないと知り・・・自暴自棄になるのだった。

「だったら・・・あたしはどうすればいいんだい」

昔、お妙と同様におりよに憑依された経験を持つ仙波の妻・おこうは「忘れるしかないのよ」と諭すが・・・お妙は耳を貸さないのである。

そして・・・ついには潜伏中の葵小僧の慰み者にまで身を落すのだった。

恋に溺れる馬鹿な女を内山理名が好演します。

一方、手柄を狙う仙波の同僚・高山(梶原善)は葵小僧の一味である源兵衛(本田博太郎)を追い詰めるが返り討ちにあってしまう。

「へ・・・こんなもんかよ・・・」

本田博太郎相変わらずの渋さである。

お妙の身を案じる歌麿は・・・ついにすべての真相を突き止める。

やがて・・・葵小僧を罠にかけた歌麿の大殺戮が始るのだった。

まあ・・・時代劇ファンには堪えられない展開の数々ですな。

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生徒諸君!

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2012年9月27日 (木)

何を考えているのかわからない男(小栗旬)とわかりやすいふにゃふにゃの岳 -ガク-(長澤まさみ)

連夜の片山修演出作品である。

脚本はデビュー作「君といた未来のために 〜I'll be back〜」(1999年)で才能を使い果たしたように見える人だが、人気の原作コミックにあやかってそこそこ書けている。

山岳を舞台にしたドラマというものは意外に少ない。

そのために夏ドラマの「サマーレスキュー」のような底の浅い作品が仕上がるのである。

そういう意味では「岳」もかなりの底の浅さは否めない。

たとえば映画「クリフハンガー」(1993年)はアクション・サスペンス映画ではあるが、山岳救助隊員の活躍はそれなりに描けている。

それに対して日本の山岳ものは・・・山岳を舞台にしたヒューマンドラマでありながら山岳そのものが描けていないのがひとつの限界点になっている。

たとえば山岳映画とは言い難いが織田裕二主演の映画「ホワイトアウト」(2000年)では吹雪によって視界が失われる現象がとりあげられるのだが・・・そういう自然現象ひとつだけでも一本の映画になるほどの極地としての山は深みがあるわけである。

そういう意味ではやはり山岳映画ではないが黒沢明監督の「デルス・ウザーラ」(1975年)が一種の水準点なのだろう。要するに極地の描き方のノウハウの問題なのである。

日本にも「孤高の人」(新田次郎)や、北杜夫の「白きたおやかな峰」、さらには夢枕獏の「神々の山嶺」や谷甲州の「遥かなり神々の座」などの文学的系譜がある。

それが・・・映像化の段階まで波及しないのは・・・所詮、山の物語が孤高だからなのであろう。

それを前提とすれば・・・山男というものは一種の恥じらいを表現することが基本になる。

山への愛を語ることはかなり・・・恥ずかしいことなのである。

なにしろ・・・普通の人々になじめないから・・・山に行くのが・・・真実なのだから。

そういう意味では・・・ものたりないところもあるが・・・ちょっとシャイな小栗旬は恥ずかしい「山男」をそれなりに体現していると言えるだろう。

山の魅力は平地の生活では味わえない極限状況にある。

その魅力にとりつかれた人間はみんな・・・こころのやまいにとりつかれていると言えるのだ。

そういう脳内麻薬的なものを醸し出す山岳映画が望まれる。

実は「岳」は序章である。ここを出発点としてさらに高みを目指してもらいたいと心から願う今日この頃です。

だって、雪山遭難が好きだから。

で、『日曜洋画劇場特別企画 岳 -ガク- (2011年劇場公開)』(テレビ朝日20120923PM9~)原作・石塚真一、脚本・吉田智子、演出・片山修を見た。主人公の島崎三歩(小栗旬)は山岳救助ボランティアであるが、北部警察署山岳遭難救助隊の新人隊員である椎名久美(長澤まさみ)よりも山岳についてプロフェッショナルなのである。なにしろ・・・世界の山を知り尽くした男なのである。そんな男が・・・国内の山岳をうろつきまわっているのが・・・山男の悲哀というものなのだがエンターティメントなのでそこはスルーである。ちなみに警察所管の山岳救助隊は山岳警備隊。山岳救助隊と名乗るのは主に消防署である。この他にも航空自衛隊には航空救難団救難隊が存在する。警視庁には山岳救助レンジャー部隊があり、長野県警には機動隊山岳救助部隊がある。

部隊となるのは日本でも有数の山岳遭難者を出す北アルプスである。

危険なところに行くのもバカだが、そのバカを救助するのもバカなのである。

山に入る

久美は脚線美を売りにしていないのでミニスカポリスを嫌い山岳救助隊に転属願いを出した変わり者である。しかし、実際はかっての救助隊の隊長を父に持ち、山岳遭難者の救助中に死亡した父の跡を追うように山に入ったのである。紅一点の入隊に隊員一同は色めき立つのだった。

配属初日にして遭難事故が発生。命じられるままに出動した久美だった。

しかし、原作では後に結婚することになる・・・なぜ、そんなネタバレをここで・・・まあ、いいじゃないか・・・救難ヘリの乗員・青木誠(森廉)、パイロットの牧(渡部篤郎)、隊長のラクダじゃなくて安藤(佐々木蔵之介)、若手の阿久津(石田卓也)らと現場に駆け付ける久美。

しかし、遭難者はすでに・・・「山馬鹿」と言われる三歩が救助していたのだった。

「なんなんです・・・あの人・・・」

「まあ・・・山の人だよ・・・いや・・・山の化身かな」

「妖怪なんですか・・・」

山を教えてもらう

まだまだ山に関してはアマチュアの久美は休暇を利用して登山にチャレンジしてみる。

そこで三歩に遭遇、滑落の仕方を教えてもらうのだった。

「滑落・・・って落ちたら死んじゃうじゃないですか」

「死なないように落ちることも覚えないと」

「覚える前に死ぬじゃないですか・・・」

「山には捨てちゃいけないものがあるよ」

「ゴミですか・・・」

「それと命だよ」

「・・・」

「死体は重いからね・・・拾って帰るの大変なんだ」

「だから意味わかりません」

千尋の谷に突き落とされる久美だった。

死体を投げる

遭難者救助に向かった久美は絶壁の途中で遭難者の死に目に合う。背中の重みが「死」を実感させ・・・久美は恐慌に陥る。そこへやってきた三歩。

「死体は投げ落とすよ・・・他にも救助しなければならない人がいるから」

「そんな・・・」

「要救助者と遺体は区別しなきゃだめなんだ・・・」

投棄された死体は無残に砕け散る。

遺族に「お前が殺した」と詰め寄られる三歩。

三歩は土下座して謝るのだった。

久美は釈然としない気持ちを抱く。

そんな久美に隊長が説明する。

三歩が最初に救助したのは滑落して五体バラバラになった親友の遺体(波岡一喜)だった。

遭難する

納得のいかない久美はうっかり滑落して遭難してしまう。

たちまち、駆けつける三歩。

三歩は赤いマフラーをプレゼントする。

「遭難した時、見つけやすいから・・・」

「これ・・・どうしたの・・・」

「ひろったの・・・でも暖かいでしょ」

警官として久美はバカに言う言葉を持っていないのだった。

父と娘を助ける

季節は巡り・・・少し雪焼けをしてたくましくなった久美。

「遭難救助に無理は禁物だ・・・二次遭難の危険が分からないうちはアマチュアだ・・・」とベテランの牧は諭す。

しかし・・・久美の父親は隊員にそう諭した後で単身救難に向かい帰らぬ人になったのだった。

父は最後に「花嫁姿が見たかった」と遺言していた。

久美は救援のジレンマを感じるがなんとか克服したのだった。

そんな折、父娘の登山者が雪山遭難してしまう。

多重遭難事故発生で・・・単身、救助に向かう久美。娘(中越典子)の救助には成功するが、タイムリミットとなる。久美は父(光石研)を見捨てられず、自ら命綱を切断するのだった。

爆弾と呼ばれる低気圧が発生し、吹雪に包まれる北アルプス。

久美の危険を感じ取った三歩はダッシュで救援に向かうのだった。

雪崩に遭う

その時、雪崩が発生し、すべてを包み込む。

久美は遭難者とともにクレバス(割れ目)に落下してしまう。遭難者は足を雪片に挟まれていた。

遭難者を生きて返すために足を切断し登攀を開始した久美だったが力尽き、心臓が停止してしまう。久美の立ち往生である。

絶体絶命のピンチだが・・・三歩が神の一撃で久美の心臓を復活させるのだった。

「あなたは・・・神様だったのね・・・」

「ちがうよ・・・バカだよ・・・原作では最後は君のお父さんみたいなことになるよ」

こうして・・・三人は奇跡の生還を遂げるのだった。クレバスからの脱出シーンがないのがエンターティメントとしては痛恨の極みだな。

そして・・・今日もまた山ではバカかバカとすれ違う。

誠に喜ばしいことである。

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シャレードがいっぱい

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2012年9月26日 (水)

旭日昇天の相(谷花音)雲外蒼天の相(小林星蘭)みをつくし料理帖・・・的なもげっ!(北川景子)

神風(台風)17号が台湾直撃コースに乗って、思い知ったかっと思っていると、18号は関東直撃コースを迷走中である。

人を呪わば穴二つだな。

さて・・・季節の谷間に入って・・・面白い映画やスペシャルドラマが目白押しなのだが・・・。

文句なしに面白かったのが・・・コレである。

原作の力も凄いのだが、脚本、演出、そしてキャスティングとよどみない展開である。

谷花音が北川景子に成長してもよかったのだが・・・ここは・・・まあ、小林星蘭→北川、谷→貫地谷しほりでいいのかな・・・。

おそるべし2004年組なのだが・・・谷花音はすでに大柄なのである。

「名前をなくした女神たち」の時はそうでもなかったのだが・・・「24時間テレビ35」での史上最年少ガールズユニットのすたーふらわーで「アンパンマンマーチ」を歌ってた時には谷にくらべて小林小柄でいいコンビネーションだったからな。

ちなみに星蘭の星と花音の花ですたーふらわーである・・・誰がそんなミニ知識を求めているのか・・・。

で、『みをつくし料理帖』(テレビ朝日20120922PM9~)原作・高田郁、脚本・吉田紀子、演出・片山修を見た。演出・主演は名作「モップガール」のコンビである。いい味だしています。そして、北川景子と貫地谷しほりは名作「ブザービート」の親友コンビである。これでベストセラー小説をドラマ化・・・ある意味、反則である。しかし、絶対に失敗できない戦いに勝ったというのは素晴らしいことだ。

Edo001 ikasama4時代劇の秋・・・ですな

シャブリ日本橋「登龍楼」が新しい店を出した神田須田町はどこですか~

じいや「神田川を挟んで神田旅籠町などのあった外神田の対岸・・・つまり南側ですな。南側の方が都心に近いので一等地と申せましょう

ikasama4「湯豆腐でも食べますか

じいや「こんぶダシで温めて、かつおだしのポン酢醤油で召し上がりませ。お好みで刻みネギを添えますと風味がありますぞ~

シャブリ「食欲の秋ですか~

享和(きょうわ)二年(1802年)のことである。

大坂の大店「淡路屋」の娘・野江(谷花音)としがない漆塗師の娘・(小林星蘭)は幼馴染であった。

天気を占って下駄を飛ばした澪が・・・それを井戸に落せば、野江もまた片方の下駄を落とし共に罰を受けることも厭わぬ仲なのである。

二人は八歳であった。「淡路屋」を訪れた易者が二人の顔相を占うと・・・。

野江には豊臣秀吉にも勝る天下取りの相である「旭日昇天の相」という吉相が・・・。

澪には「雲外蒼天の相」が顕れていた。

「雲外蒼天の相」とは・・・頭上に雲が垂れ込めて真っ暗になり、艱難辛苦が降り注ぐが、苦労に耐えて精進を重ねれば真っ青な空を望む事が出来るという・・・あまり有り難くない凶相である。

まあ・・・おべっかの一種ですな。

しかし・・・占いが具現化し、雷鳴轟き、水無月から文月にかけて降った大雨は淀川を氾濫させ・・・洪水ですべてが押し流されてしまう。

澪の両親も行方不明となり、野江の一家も消息不明になってしまったのだ。

ただ一人生き残り、飲まず食わずで惨禍の跡の街を彷徨う澪。

盗み食いで捕まった澪を救ったのは上方で名高い料理屋「天満一兆庵」の女将・「ご寮(りょん)さん」こと(原田美枝子)だった。亭主の嘉兵衛(笹野高史)は澪の料理の天分を見抜き、女料理人として育て上げる。

そして・・・十年の歳月が流れた。

幸せをつかみかけた澪だが・・・「天満一兆庵」は大火に襲われ、嘉兵衛は死亡。店は焼失である。澪・・・自分だけでなく周囲を不幸にする星の元に生れてるんじゃないのか・・・。

「天満一兆庵」の江戸店をまかされていた嘉兵衛と芳の息子・佐兵衛を頼って江戸にやってきた澪と芳だが・・・店はつぶれ、佐兵衛は行方不明である。

どこまでも・・・。

しかし、捨てる神あれば拾う神あり・・・なのである。

澪が「化け物稲荷」と噂され、さびれた稲荷明神を掃き清めていると・・・妻と娘を亡くした蕎麦屋「つる家」の店主・種市(大杉漣)が通りかかり・・・「娘の生まれ変わり」として澪を慈しむのだった。

文化九年(1812年)の江戸は人口百万を越える世界一の大都市である。江戸幕府将軍は十一代・徳川家斉、文化・文政年間は合わせて化政文化と言われ、町人が多分野で文化の華を開かせた時代だった。喜多川歌麿はすでに世を去ったが、山東京伝、杉田玄白はまだ存命だった。

こうして、澪は神田台所町の「つる家」で料理人として腕をふるうことになったのだ。

しかし、上方で修行を積んだ澪は江戸っ子の味覚に戸惑うのである。

「なんでえ・・・こりゃ、味がしねえぜ・・・せっかくの深川牡蠣が台無しじゃねえか」

上方風に 白味噌で煮た牡蠣は江戸っ子の口にまったくあわないのである。

それなりに料理の腕には自信のある澪は「もげっ」となるのだ。

そこへ・・・あらわれた謎の男・・・小松原(松岡昌宏)・・・。

後に明らかになるが実は将軍の御膳奉行を勤める若年寄・小野寺数馬である。城中では土圭の間に詰める役料200俵の身分の男なのである。

浪人を装ってふらりとあらわれては・・・「面白いな・・・」などと言って澪の料理の指南役を務めることになるのだった。

しかし・・・「お待ちください・・・教えてください」と澪が頼れば「上方じゃ、奉公人が客をつかまえて教えを請うのかい?」などと冷たいことも言うのである。

途方に暮れる澪・・・そんな澪に娘の面影を見出す種市は殻のまま焼いた牡蠣に醤油をつけてみせる。

「江戸じゃあ・・・こんな野卑な食い方をするのよ・・・」

澪には牡蠣の味よりも種市の優しさが沁みるのだった。

「え・・・えっ・・・え・・・」

思わず涙の泣き虫澪だった。

仮住まいの長屋で澪の母親代わりの芳は針仕事で食いぶちを稼ぐ。

「何をめそめそしてるんや」

「せやかて・・・ご寮さんにこないな暮らしをさせてしもて…」

「悪いのはあんたやない・・・あれもこれも運命や・・・」

「え・・・えっ・・・え」

「あんたの泣き虫は子どもの頃からいっこも直らへんな」

「・・・もげっ」

「モップガール」以来だな・・・こんな可愛い北川景子を堪能できたのは。長い歳月辛抱してきたもんだ。

・・・ところで・・・この調子で全編書く気か・・・うん・・・もうちょっとだけ。

芳は亡くなった亭主の口癖を澪に伝える。

才のないもんには恥かかんように盛大に手を貸したり。

才のあるもんには手を貸さんと盛大に恥かかしたり

「亭主はあんたには手を貸さんかったろう・・・あんたは自分で江戸のお人の口に合うものを考えださな・・・」

「でも・・・どうしたらいいか」

思い悩む澪を励まそうとした芳は急に苦悶する。

「ご寮さん・・・」

そこに通りがかりの医師・永田源斉(平岡祐太)が顕れる。

神田旅籠町に住む源斉は御典医・永田陶斉の次男坊であった。

「血虚(けっきょ・・・貧血などの血行障害)の軽い症状ですから・・・命に関わるものではありません。大丈夫ですよ」

貧しい澪はせめてものお礼にと手料理をふるまう。

「上方のしぐれ煮は薄味ですねえ」

「江戸は塩辛い料理が多おますなあ」

「江戸は職人が多いですからな。大工などは年中汗をかくので塩分不足になるのです」

源斉の言葉は何故か・・・素直に澪の心に届くのだった。

鰹の濃いだしに醤油たっぷりの里芋煮を作ってみた澪。

「こいつはうまい」

味見をした種市も舌を巻く出来栄えである。

つる屋の里芋は澪の最初のヒット商品となった。

上方ものと言うことで色眼鏡でみていた近所のおりょう(室井滋)にも里芋をおすそ分けしてよしみを通じる。おりょうは大工の伊佐三 (浜田学)の女房で火事でみなしごになった聾唖の太一を育てている気のいい女なのである。

洪水で両親を失い見ず知らずの芳に育てられた澪はシンパシーを感じるのだった。

やがて夏がめぐってくる。

葉月一日は八朔と呼ばれ、吉原の遊女が白無垢姿で客を迎える慣わしがあった。

その日は花魁のお披露目もあり、吉原遊郭とは縁のない街の女たちも切符を買えば出入りが許され、艶やかな花魁を見物できるとあって吉原は見物客であふれかえるのである。ちなみにナレーションは吹越満である。

Yoshiwara001 ちなみにこの頃の吉原は、明暦の大火後に日本橋人形町から浅草寺裏に移転した新吉原である。澪は種市に連れられて源斉とともに吉原見物にやってきていた。

「俺はどうしてもお澪坊に吉原名物の俄(にわか・・・即興芝居)をみせてやりてえと思ってよ」

「こりゃ・・・すごい人手だ・・・」

「お澪坊、はぐれねえようにしろよ・・・」

「はい・・・」

「先生・・・源斉先生・・・」

「・・・・・・・・・・」

源斉ははぐれた。

大門奥の櫓の上の舞台では狐面をかぶった花魁たちの俄がにわかに始った。

「よっ・・・待ってました・・・お澪坊よ、あれが花魁だ」

「はい・・・」

かわいいよ、北川景子かわいいよである。

吉原の遊女の中でも最高位にあたる花魁。庶民はその姿を浮世絵などの姿絵でしか見ることができなかったのである。

狐面をとった花魁のきらきらしさにどよめく・・・見物客たち。

幇間(たいこもち)が「お狐さん、こ~んこん」と掛け声をかけるたびに一さし舞っては面をとる生花魁である。

「松葉屋の染路だ」

「大文字屋の胡蝶だ」

絵姿で顔を覚えた通の男たちが花魁の名を呼べば拍手喝采である。

源斉までが・・・「最後の狐はまさか・・・翁屋のあさひ太夫(貫地谷しほり)じゃあ」

「お狐さん、こ~んこん」

「よ・・・あさひ太夫!」

「待ってました!日本一!」

澪は気がつかなかったがあさひ太夫こそは野江の変わり果てた姿だった。野江は吉原で天下をとっていたのだった。

しかし、その妖艶な笑みに澪は胸をときめかせるのだ。

帰りに寄った茶屋で関東の心太(ところてん)を奢られた澪は驚く。

「これは何ですか・・・」

「一本箸で酢醤油をかけてたべるのさ・・・上方ではちがうのか・・・」

「とろりと煮詰めたお砂糖を冷たい心太にかけて食べるのが夏の一番のごちそうでした。お箸はもちろん二本です」

「えーっ・・・心太に砂糖・・・箸が二本とは驚いた」

その頃、吉原では翁屋の料理番・又次(高橋一生)があさひ太夫の求めに応じて甘い心太をしつらえていた。

「真っ白くてさらさらで雪のようでありんすね。 ほんに八朔の雪・・・」

白砂糖を眺めてつぶやく・・・あさひ太夫である。その美しさはただならず牡丹の花も恥じてしおれるほどという・・・。貫地谷しほりは時代劇になると魅力倍増なのだ。

こうして・・・澪の江戸の暮らしは本格的にスタートをきるが・・・なにしろ雲外蒼天の相である。

種市は腰を痛めて蕎麦を打てなくなるわ・・・せっかくの江戸では猫マタギとよばれて蔑まれる戻りガツオで鰹飯をつくってヒットさせれば隣近所で類似商品が出るわ、精進してかつおとこんぶの合わせだしを開発すれば老舗の料理屋にレシピを盗まれるわ、頭に来たご寮さんが味盗人の料理屋「登龍楼(とりゅうろう)」に怒鳴り込めば、逆襲され「つる屋」は放火で全焼するわ・・・である。

波乱万丈である。しかし・・・澪に心を寄せる優しい人々・・・下心のあるものもいます・・・に支えられ、たくましく「もげっ」と生きていく澪なのである。

原作も大量に残っているので次回作が待ち遠しい。頼むぞ、テレビ朝日。

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ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~

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2012年9月25日 (火)

秋ドラマを待ちながら・・・(キッド)

まだ最終回を迎えていないドラマもあるが・・・夏ドラマもほぼ終了である。

今回はお彼岸中でもあるので・・・前フリ抜きで軽くすませたい。

なお、いつもお世話になっているikasama4様画伯のイラストを無断使用しているのでご了承ください。

さて・・・恐怖の秋ドラマである。

何が恐怖かといえば・・・まずは金曜日だ。

2012woo1 まこど~んときましたでしゅ~くうど~んときましたねえ

大奥である。しかも大奥であって大奥ではないのである。思いっきり変態の森に突入している時代劇なのだ。男が女で、女が男という一部愛好家絶叫の展開である。「黒の女教師」の跡枠だからといって何をしてもいいというわけでもあるまいに・・・。とにかく・・・多部未華子もでるし、南沢奈央もでるので・・・見ないわけにはいかないのである。しかも金曜日には深夜に山田孝之&木南晴夏の「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」があります。見ると・・・ドラクエもしなきゃならないし・・・。

そして土曜日。

恩田陸原作の小説『夢違』(ゆめちがい)を原案として大森寿美男が脚本を書き、北川景子が主演するという・・・『悪夢ちゃん』(あくむちゃん)が10月13日にスタートなのである。

さらに「告白」の湊かなえの「高校入試」が主演・長澤まさみである。ここにも南沢奈央が登場し、さらには美山加恋まで・・・恐ろしい事だ。

どうするんだ・・・これ・・・と思っていると・・・日曜日である。

なにしろ・・・大河ドラマ「平清盛」は佳境に入っているのだ。

それなのに・・・。

2012w001 エリ山P先輩入りました~。わくわくのドキドキでス~mariPちゃま~、Pちゃま~、きゃーっ、Pちゃま~

すでに画面がピンクである。まさに「MONSTERS」が来るのである。

しかもだ・・・裏には「TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~」で深キョンなのである。さらに佐々木希、佐藤江梨子、山口紗弥加、瀬戸朝香、野波真帆とおなじみの濃い目のメンバーをこれでもかと投入なのだ。少し・・・早めだが・・・言っておく。殺す気かっ。

そして・・・恐怖の週末を潜り抜け・・・ホッと一息つきたい月曜日。

2012w001_2 アンナいやん、ダーリンの季節なのぴょん。もう、毎日がジャンピン・ジャック・フラッシュなのぴょ~ん」まこ「キタコレーっ、フジッキーが敵役で登場なのでしゅ~。アンナちゃんとファイトする日がこようとは~。それまでめちゃくちゃ仲良し姉妹になるのでしゅ~みのむしまこちゃん、恋のライバル友情共闘戦線~ミラクル魔法瓶~ルルル

ダブルかよっ。と言いたい。『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』なのだ。月9なのだ~。もはや殺されまくりである。しかも、やや、ゲーム性の高いドラマになりそうなので古家和尚脚本の真価が発揮される予感である。

もう、お腹いっぱいなのだが・・・火曜日が・・・。

真木よう子、国仲涼子、香椎由宇、木村文乃、かとうかず子で橋部敦子・脚本の「遅咲きのヒマワリ~ボクの人生、リニューアル~」ときて・・・。

阿部寛、山口智子、宮崎あおい、阿部サダヲ、吉行和子、西田敏行で是枝裕和がらみの「ゴーイングマイホーム」なのである。

なんじゃ・・・こりゃ・・・春ドラマより殺意に満ちているじゃないか・・・。

もう・・・死体状態の水曜日で「相棒」である。

もう、息も絶え絶えなのに「東京全力少女」は武井咲、三浦翔平、比嘉愛未、市川由衣、塚本高史、森カンナ、渡部篤郎なのである。

そして木曜日は菅野美穂で「結婚しない」・・・いや、もう無理だろう。

気がつけば・・・谷間がありません。

ラインナップを考えてみよう。

(金)「大奥~誕生~有功・家光篇」・・・もう「勇者」は見るだけだしな。

(土)「悪夢ちゃん」「高校入試」・・・二本立て・・・?

(日)「平清盛」「MONSTERS」「深田恭子の空港」・・・三本立てかよっ。

(月)「PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~」「イロドリヒムラ」・・・何言ってるんだよ・・・。

(火)「真木よう子」「宮﨑あおい」・・・おいおいっ・・・。

(水)中島みゆき「恩知らず」・・・しっかりしろ・・・それは「東京全力少女」の主題歌だろう。

(木)「レジデント~5人の研修医」仲里依紗、大政絢、石橋杏奈・・・おいおいおい。

・・・じゃ(木)「毒(ポイズン)」臼田あさ美・・・おーいっ。

とにかくだ・・・。

(金)「大奥」堺雅人

(土)どっちか・・・先送り。

(日)大河で場合によっては二本立て。

(月)月9。

(火)もう、宮﨑あおいで。

(水)(土)を処理。

(木)(日)(火)を処理。

結論・・・一週間は七日しかありません。

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2012年9月24日 (月)

往生極楽言葉にはとどまらず御仏来たりて琵琶の音響く(深田恭子)

平忠盛の三男、経盛は母方の祖父に村上源氏・源陸奥守信雅を持つ。歌人としても楽師としても才能があったらしい。

経盛の長男・経正は琵琶の名手となった。

清盛の最初の妻は高階家の娘だが、その父は醍醐源氏の出身で安倍晴明のパートナー源博雅を先祖に持つ。

清盛の二番目の妻の父・平時信は鳥羽法皇の判官代で漢文の教養が深かったとされる。

時子、時忠の異母妹・建春門院滋子の母の父は藤原中納言顕頼である。

このように平家と一口に言っても様々な血の融合によって一門が作られている。

ものすごいファミリーなのである。

清盛の嫡男・大納言重盛の長男・次男・三男はそれぞれ母親が違う。

光源氏の再来と謳われた長男維盛は名もなき官女の子である。次男の資盛の母は藤原下総守親盛で藤原北家ながら関東の武闘派なのである。三男が漸く正室・藤原経子の子・清経となる。父・重盛がもう少し長生きしていれば・・・後継者は清経だったかもしれない。しかし清経は平家滅亡に先駆けて入水自殺した笛の名手となってしまった。

さて・・・世に言う「殿下乗合事件」の一方の主役は次男・資盛だ。

妄想的には千葉・茨城の暴走族の舎弟に手出ししちゃダメだな・・・ということである。

なにしろ・・・資盛の義理の祖母は全国制覇を目指すヒミコの娘なのである。・・・おいっ。

で、『平清盛・第37回』(NHK総合20120923PM8~)脚本・藤本有紀、演出・橋爪紳一朗を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は圧巻、奥州藤原氏の雄・鎮守府将軍藤原陸奥守秀衡の素顔と化粧後は別人イラスト大公開でございます。京本政樹ちゃん・・・いつまでも若く美しく素晴らしいの一言に尽きるのです。「ちりとてちん」では和田小次郎役でしたな。ほぼ10年ぶりの大河か・・・もっと使ってもらいたい。

Tairakiyomori35 嘉応二年(1170年)五月、藤原秀衡は鎮守府将軍・従五位下に叙任されている。奥州ではゴールドラッシュがあり、金の産出によって奥州の夷狄と蔑まれつつ・・・物凄い財力を誇ったのである。この後を継ぐのが源頼朝傘下の藤原魚名流伊達朝宗である。遠国中の遠国であるために・・・奥州藤原氏は源平どちらとも関係を密にしている。そして、嘉応二年七月には殿下乗合事件(てんがののりあいじけん)が発生する。祖父・清盛、父・重盛の若武者・従五位下資盛が摂政・藤原基房と路上で遭遇。無礼をとがめられて基房の郎党に辱めを受けてしまう。資盛の曾祖父は関東で源義朝と争った経歴を持つ血筋である。摂政藤原家と相国平家の面子の争いもあり・・・人々は固唾を飲んで見守っていたのである。結局、父・重盛とも、祖父・清盛とも・・・あるいは資盛自身の郎党とも言える謎の集団が摂政の基房に乱暴狼藉を働き・・・藤原家の心胆を寒からしめ、平家の溜飲を下げさせる決着となった。しかし、この後、それまで跡目相続で優位に立っていた資盛は、庶兄の維盛に正五位下が叙されたことで、官位で追い抜かれる。それなりにペナルティーがあったのである。

平家の遠い先祖である桓武天皇が長岡京を経て平城京から平安京に遷都して三百年が流れている。大陸では唐が滅び、五代十国から宋へ・・・そして宋もまた金によって国土の半分を喪失する・・・それに比すれば列島は穏便に時を過ごしていると言える。しかし、その間にも乱はあり・・・乱の後にしばらくの和があるわけだ。

その乱の後に平家は台頭し、一瞬の和を過ごしている。

表向きは保元、平治の乱で勝者となったことがその因果であるが・・・実際は対妖狐戦争の戦果なのである。朝廷はそこに全力を傾け、その英雄となった清盛は・・・天皇の忍びの頂点に立っていた。

大伴の忍びも、大中(藤原)の忍びもすべて統べる統子親王とともに・・・妖魔と戦い、自身も両面宿禰という魔性を得た清盛は一種の魔王であった。

その表の顔は嫡男の重盛が継いでいる。

そして、裏の顔の相談役となったのが・・・出雲帰りの男・悪別当平時忠である。

清盛の義弟である時忠は四十を越え、秘密警察を経営するようになっている。

「ふ・・・摂政殿も大人気ない・・・」

「まあ・・・院と帝の確執は世の習いでございますから・・・」

「汝の異母妹が生んだ子が今上天皇であれば・・・摂政たるもの・・・もう少し控えねばならぬ・・・と思うかの」

「兄上の娘、盛子様が・・・義理の姉として摂政の財を独占しておりますれば・・・その御兄弟の重盛様の息子に少しは嫌がらせでもしてみたかったのでございましょう」

「摂関家の器の小ささはもはや血筋じゃのう・・・」

「もはや・・・右を見ても左を見ても上に立つのは平家の者ばかりですからな」

「まあ・・・よいわ・・・」

「重盛様の面子をつぶさぬようにはからいまする・・・松殿様には少しお灸をすえまして」

「うむ・・・法皇の両手を縛っておくには滋子と重盛の二重の縄が必要だからの」

「まさしく・・・宋との貿易を平家が独占するためには欠かせぬ輪でございますからな」

「ふふふ・・・あまり率直に申してはならぬ・・・」

「これはしたり・・・して商いはいかがでござりますか」

「やはり・・・三点交易がおいしいの」

「ほほう・・・」

「奥州平泉の金をただ同然で官位によって買う。この金で大宋国から安く孔雀の羽根を買う。そして朝廷から孔雀の羽根で官位を買う。もう・・・儲かって儲かって笑いが止まらぬとはこのことじゃ・・・」

「大航海時代ですな・・・」

「八島の忍び衆が傘下にあればこそよ・・・物産の相場が早わかりでんがな」

「もうかりまっかあ」

「ボチボチでんなあ・・・」

福原の新都で実質上の大和の帝王清盛が損得勘定にいそしむ頃・・・。

闇夜の平安京。

羅城門には朱色の忍び装束の女童が集っていた。

羅城門から北へ・・・内裏正面にそびえたつ朱雀門までが朱雀大路である。

京の中心部には灯りが灯るが・・・南京と呼ばれる羅城門周辺には荒廃の闇が漂っている。

堂上くのいちの集団は幽かに聞こえる琵琶の音に乗って舞いながら朱雀大路を北上する。

闇の中から一人、また一人ともののけのような男たちが立ち上がる。

死霊であった。

白装束の源氏武者の亡霊たちは呪詛の言葉を叫びながら堂上くのいちに襲いかかる。

闇の刀は黒々とした霧となって触れたものを虚無の世界に封じるのだった。

その凄惨な刃をかわしつつ、ひらりひらりと舞い踊る女童たちは邪心封じのお札を貼りまくるのだった。

「くちおしや・・・」

「こしゃくな・・・」

源氏武者たちは無念の声を上げながら闇の奈落へと戻っていく。

何人かの女童が可憐な叫びを残して地に伏す。

一段と濃い闇をまとった悪鬼武者が哄笑する。

「我こそは源義朝なり」

「世迷い者よ・・・妾が引導渡してくれようぞ・・・妾は平時忠が娘、堂上衆が棟梁・朱雀姫なり」

「笑止」

轟音が唸りと電光を閃かせ、闇の太刀が振り下ろされる。

朱雀姫が真っ二つに切り裂かれたと思った瞬間、無数の赤い鳥が羽ばたいた。

鳥たちはあっという間に悪鬼武者に襲いかかる。

「この怨み・・・はらさで・・・」

笛の音が響く。

悪鬼武者は一陣の瘴気となって霧散した。

その周囲には無数の赤い紙きれが残されている。

「死武者は退散しましたぞ・・・」

「妖気の源ははかれたか・・・」

秘本・源氏物語を持つくのいちに朱雀姫が問う。

「八条院の舘の方角でございます・・・」

「八条院様も・・・お戯れが過ぎるのう・・・」

使用済みのお札を掃き清めるくのいち衆を残して朱雀姫らは闇に消える。

京の都は音もなく静まり返った。

羅生門の屋上にむっくりと起きあがった者がある。

弁慶だった。

「ふむ・・・不浄のものどもが・・・またもざわめきだしたか・・・面白や」

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2012年9月23日 (日)

死と彼女とぼくと少女と木の下で(三根梓)

さて、夏ドラマもほぼ終了である。

五輪・・・猛暑・・・ヤングなでしこそして日中開戦前夜・・・。

いろいろあったけど・・・楽しかったよね、夏・・・なのである。

そして、やってまいりました季節外れのスーパー・ナチュラル・ホラーのようなもの。

スーパー・ナチュラル・ホラーと言いきれないのはあまりホラーではないからだ。

かといって・・・「ゴーストママ捜査線」のようなコメディーもどきでもない。

どちらかといえば・・・「霊能力者もの」と言えるだろう。

まあ・・・コミック原作なのでそのあたりは深くはつっこまない。

何度も言うが・・・統計的に「幽霊」を見る人は少数派である。

ところが・・・幽霊譚の歴史は古い。見ない人は見ないなりに興味があるわけである。

基本的にキッドは相対的に考えることにしている。

原子は目に見えないが広島を破壊するだけのエネルギーを秘めている実在である。

同様に人間には発見どころか予測も不可能な原子の原子も、原子の原子の原子もあるだろう。

キッドは「原子の原子」を「霊子」と呼んでいる。

人間や宇宙もこの霊子によって構成されているのである。

幽霊もその一形態に過ぎないのだ。

で、『死と彼女とぼく』(テレビ朝日20120921PM1115~)原作・川口まどか、脚本・落合正幸、演出・塚本連平を見た。『ドラゴン桜』の演出家である。なんとなく職人気質を感じるのである。最近では『都市伝説の女』を演出してました。ホラー系では映画『着信アリ2』や『ゴーストシャウト』もあるが・・・特に後者は完全なる失敗作と言えるだろう。亡霊が見えるヒロイン(滝沢沙織)である・・・懲りないのだな。しかし・・・まあ・・・そういう失敗を経て二度目は少しは上手に・・・。

登校しているのかどうかも不明だが・・・女子高校生らしい時野ゆかり(吉岡千波→三根梓)は「死者」を「霊視」する能力を幼少時に得た。重症化した肺炎により生死の境を彷徨ったことが原因らしい。つまり、現実的な生活をするにあたり遮蔽されている霊界との通信機能が解除されてしまったわけである。

「霊能力者」=「精神障害者」という図式である。どちらも同じサイキックなのだな。

しかし、正常人を装える精神異常者はいくらでもいる。

ゆかりの場合は母親(山下容莉枝)が理解かある方だったらしく、家庭内では霊が見えるゆかりを特に異端視していない。

だが、一歩外に出ればゆかりは孤独な存在である。単に霊視能力を隠しているわけではない。

霊視能力を得たと同時にゆかりは霊的誘蛾灯になってしまったらしく、彷徨える悪霊を呼び込む体質なのである。そのために幼馴染(瀧澤采愛)が悪霊に憑依されて苦悶した過去があり、それ以来、友人を作らないで生きている。

だが、それでは寂しすぎると原作者が考えたので同じ霊能力を持ったボーイフレンドの松実優作(市川知宏)が配置されている。二人ともなんちゃって高校生であることは言うまでもない。

優作はテレパシストでもあり、遠くからでもゆかりの「助けを呼ぶ声」が探知できるのである。・・・お菓子を食べてまったりしています。

そして・・・街は幽霊であふれています。

そこには浮遊霊あり、呪縛霊あり、悪霊ありのなかなか、ゴージャスな展開ですな。

そういう無数の霊の中から・・・ゆかりはお気に入りを選別します。

なんだか・・・わけのわからない不気味なものは敬遠して・・・かわいい幽霊をチョイスするのです。

今のお気に入りは・・・古めかしい衣装の女の子(平澤宏々路)です。

名前さえ名乗らない女の子ですが・・・ゆかりは彼女が哀れで愛おしいのです。

まあ・・・少女趣味なのですな。

しかし・・・恐ろしい霊もいます。

「尋ね人」を装って「死」へいざなう「死神」もその一人。

悪霊とは気付かずにうっかり誘いに乗ってしまうゆかりですが・・・危ういところで優作に救われます。

凶器となったのは落下する竹内ナツミ(櫻井淳子)・・・。悪霊はナツミの下敷きにしてゆかりを自分と同じ存在にしようと目論んだのです。

ナツミは即死でした。

幽霊となったナツミは周囲の人々に訴えかける。

「誰か・・・助けて・・・早く・・・救急車を呼んで」

「無駄なのです」

「なんでよ・・・」

「あなたはお亡くなりになったのです」

「うそ・・・」

幽霊のナツミは自分の死体を見下ろして茫然とするのだった。

「なんで・・・落ちたんですか・・・」

「落ちたんじゃない・・・落されたのよ・・・そうだ、私、殺されたんだ」

ナツミはデザイナーで同僚の大沢(袴田吉彦)にデザインを盗まれ、それを告発しようとして大沢にビルの屋上から突き落とされたのである。

安全管理の悪い屋上多すぎである。

怨み多い女のナツミは大沢を呪い殺そうとするが「霊的世界に鈍感」な大沢には通じない。

邪悪な呪いを受けたのは大沢の娘・真由子(恩田乃愛)だった。

父親が跳ね返したナツミの呪詛の念をかぶり、現代医学では解明できない霊的障害を被ってしまうのだった。

一方、霊的に拡散しつつあるナツミはもう一つの「心残り」を想起する。

残されたナツミ一人息子アキト(演じるのは「コドモ警察」のスマートこと秋元黎である)のことである。

これにより、ナツミは復讐者ナツミと子を思う母ナツミに分霊する。

ゆかりは母の念のナツミとスマート君の元へ向かう。

「自殺」と報道されたためにスマート君は級友に「お前の母ちゃん・・・お前を置いて死んじゃった~、お前、おいてけぼり~」と囃したてられていた。

義憤にかられたゆかりは「そんなこと言うと化けてでるわよ」と子供たちを脅すのだった。

スマート君にはいい迷惑である。

「よけいなことを言って波風をたてないでください」

「・・・」

「私は・・・自殺なんか・・・してないのに・・・」

ナツミの霊は落ち込むのだった。

「大沢さんに自首してもらうしかありません」

「そんなこと・・・あの男がするかな」と首をかしげるどこでもボーイフレンドである。

「邪悪な人にも・・・きっと良心があるはず・・・」

二人は大沢と対決する。大沢は実は邪悪な霊を宿していた。

「あなたは・・・このままでは地獄に落ちます・・・」

「君たち・・・気は確かか・・・」

「ナツミさんはあなたのことを恨んでます・・・あなたは平気でも・・・そのとばっちりであなたの娘が苦しんでいる」

「俺が殺人犯になったら・・・娘がどうなると思ってんだ」

「それでも今よりましなのです」

「それより・・・君たち二人にも死んでもらった方が・・・」

「ナツミさんの息子は・・・ナツミさんが自分を置いて死んだと思って苦しんでいます」

「そんなこと言われてもな・・・」

「その苦しみがそのまま・・・あなたの娘さんに・・・」

「うるさい・・・うるさい・・・うるさい」

凶暴化した大沢はゆかりとボーイフレンドを襲う。

しかし・・・その頭に苦悶する娘の真由子のビジョンが浮かび上がる・・・。

子を思う親の気持ちが重なって・・・悪霊は大沢を離脱する。

「俺は・・・とりかえしのつかないことを・・・」

「・・・」

「俺は・・・どうすればいいんだ」

「自首してください・・・」

「そうすれば・・・娘は助かるのか・・・」

「はい」

「ふふふ・・・人を呪い殺すことができる女を殺すなんて・・・失敗したよ・・・」

「・・・」

ナツミは自殺者から殺人事件の被害者になった。

ゆかりはスマート君に逢いに行く。

「ママはあなたを捨てたわけじゃないのよ」

「ママが僕を置き去りにするわけないって・・・僕は信じてたから」

スマート君がそう言った時・・・ナツミは昇天したのだった。

ゆかりのお気に入りの少女はいつの間にか消えていた。

ゆかりは少女を拾った木の下に佇む。そこはかって少女の家のあった場所だった。

今は公園になっているのである。

「私・・・あの子に何もできなかった・・・」

「生者が死者にできることなんて・・・本当は何もないのかもしれないよ」

「そうかもしれない・・・でも・・・なにかしたいと思うのはしかたないじゃない」

「まあ・・・それが・・・君なんだものね」

「・・・」

そして・・・街には今日も死者が彷徨うのである。少なくとも・・・二人の霊視能力者にとっては・・・。

おためし版であるが・・・なかなかイケてましたな。

三根梓はこれがテレビドラマ・デビュー作・・・。特に可もなく不可もなくでございます。

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2012年9月22日 (土)

ドジッ子なので死んじゃった(上間美緒)二人はプリキュア(中西美帆)じゃあねえだろ、愚か者!(榮倉奈々)

昼ドラマの女子大生なら・・・落し穴掘られて・・・「埋め殺されちゃいました」(上野なつひ)なんだけどな。

まあ・・・とにかく・・・なんとなく深夜アニメ的ドラマつくっちゃいました枠となりつつある金10である。

次なんか・・・女将軍の「大奥~誕生~」なんだぜ・・・CXのシリーズだと思ってみると痛い目見るぞ~TBSなんだから~。

だもんで・・・「黒の女教師」もオリジナルでそれ風な実験作なのだ。

もう、途中から・・・何言ってるのか意味不明の連打だが・・・そこは割り引いて考えたい。

もう・・・エモーションだけのドラマなのである。

「教育理念」とか、「理想の教師」とかではなくて「困った」「助かった」「悲しい」「うれしい」みたいな・・・お腹へってる時にコンビニあいててよかった~的ドラマなのだ~。

「投身自殺をした友人の謎」は「GTO」「リップスティック」「わたしたちの教科書」と名作ぞろいである。

立派なひとつのジャンルだな。「トモダチが墜落して死んじゃった」シリーズだ。

まあ・・・本作の場合は一瞬、脱力はするけどね。よろしいんじゃないですか。

で、『黒の教師・最終回』(TBSテレビ20120921~)脚本・大林利江子、演出・
岡本伸吾を見た。「愚か者」ターゲットは順当に芹沢恵子校長(南果歩)である。しかし、不発に終わる。芹沢校長が愚か者なのかどうか・・・擬似ロボット高性能の高倉(榮倉奈々)にも識別不可能だったからである。なぜなら・・・高倉の原動力は「熱意」なのである。「熱意」なら芹沢校長にも間違いなくあるのだ。

結局・・・方法論ではなくて結果論なのである。

「課外授業」と称して時価で絶体絶命の生徒を救出する。成功すれば「善」であり、失敗すれば「悪」なのだ。

だが、実際の世界はもう少し・・・玉虫色なのである。

東京電力がこれだけ世界中に放射能撒き散らしておいて誰ひとり切腹しないのがその証拠である。

中華人民共和国が突然、領土問題に点火して、暴動を引き起こし、損害賠償については口ごもるのも証拠と言えよう。

だから・・・真相が明らかになった時点で何事もなく「卒業おめでとう」でいいのである。それが大人のドラマというものだ。

正直な話、課外授業組に付和雷同して校長によって「退学宣告」された高木瑞希(坂田梨香子)をはじめとする3年D組のその他の生徒たちなんて基本「ぽか~ん」なんだからな。

にもかかわらず・・・なんらかの痛手を醸し出そうとするところが・・・若気の至りなのですな。

ともかく・・・都立国文館高校の先輩が引き起こした事件に・・・巻き込まれてしまった3年D組である。

その事件とは数年前の水野葵(上間美緒)の転落事件であった。その直前に水野葵いじめ事件があり、事故死として処理されたことに納得がいかなかったのが・・・両親が離婚して戸田と姓が変わった・・・水野葵の弟トシオ(松村北斗)だったのである。

彼は・・・姉の死の真相に迫ろうと・・・当時の担任教師・高倉と・・・葵が所属していた美術部の顧問・藤井彩(小林聡美)、葵の親友でありいじめの首謀者であったらしい長嶋瑞穂(中西美帆)の父親とたまたま不倫している古典教師・内田すみれ(市川実日子)らを調査するうちに黒の女教師の存在を知り、彼女たちが葵の死に関わっているのではないかと邪推したのだった。

まあ、姉思いの弟の復讐萌えである・・・趣味じゃないな。

Uema001 姉である水野葵を演じる上間美緒は1993年2月生れの19才、高校在学中に転落死しているのでなんちゃって高校生である。その死亡原因はドロドロとした三角関係の果ての・・・人命救助失敗死だった。話は長くなります。

Nakanishi001

水野葵の高校時代の親友長嶋瑞穂を演じるのは中西美帆で1988年12月生れの23才。回想シーンでは思いっきりなんちゃって高校生である。事の発端は瑞穂の彼氏が葵に心変わりしたことによる。嫉妬に燃え狂った瑞穂は・・・親友に彼氏を寝取られた悲劇の主人公を演じ、葵をおとしめるためにあることないこと様々な噂を流したのである。そのために葵は仲間はずれにされ、精神的にもかなり追いつめられていた。

そんな葵を事情も知らずに励ましていたのが当時、担任だった高倉だったのだ。

しかし・・・親友を辱めたことにより・・・追い詰められていたのは瑞穂だった。葵を孤独な立場に追い込んだことを後悔しつつ、真相を口に出す勇気もなかったために・・・自殺を決意したのである。

雨の夜の屋上。

校庭を見降ろす瑞穂の前に葵がやってきた。

「だめ・・・瑞穂ちゃん・・・私は平気だから死なないで・・・」

「葵・・・」

「私はいつだって・・・瑞穂ちゃんが好きなんだから・・・」

葵のお人よしにもほどがある慈悲の心に思わずよろめき、落ちかかる瑞穂。

それを支えようと手を伸ばし・・・自分が転落してしまった葵だった。

真相を知ったトシオは「それじゃ・・・姉ちゃんは・・・ドジっ子だったのか」と天を仰ぐ。

死体を発見して動顛する高倉や、死体を見降ろして茫然自失の瑞穂に対して、処理したのは芹沢校長だった。瑞穂を家に帰し、緘口令を引き・・・葵の死を単なる事故として処理したのである。

それ以来・・・瑞穂は引き籠ってしまったのだった。

「どうして・・・もっと早く・・・真相を教えてくれなかったのですか」

「今とは違って当時のあなたは青柳先生(木村文乃)レベルの無能教師だった。知ったとして何かできたのかしら・・・」

「・・・」

「あの事件を乗り越えて・・・封じられたあなたの熱意は黒の女教師として有能な工作員の能力を開花したのでしょう・・・」

「でも・・・私は・・・生徒に・・・」

「できないことをしようとする熱意と実際にできることは違うのよ」

「校長はどうして・・・そこまで割り切ることができるのです・・・」

「それは私が説明しよう・・・」と藤井(小林聡美)が現れる。

「校長は・・・有能な教師であると同時に・・・一児の母だったのです・・・そして・・・校長のお子さんは無能な教師のためにいじめから救われず・・・自殺なさったのです・・・校長は母親として無能だった自分を憎み・・・無能な教師を排除しようと決意したのです」

「それは・・・やつあたり・・・」

「じゃ・・・どうすればよかったの・・・いじめによる自殺を阻止できない教師ばかりのこんな世の中じゃポイズンなのよ・・・」

「・・・私にもわかりません」

「その答えはきっと・・・風に吹かれているのです」と意味もなく決める内田だった。

・・・おい。

ま、いいじゃないか・・・。

こうして・・・葵の事件の真相は関係者に共有され・・・ひとつの青春時代の幕は下りるのだった。

トシオ「もう・・・ひきこもりはやめてください・・・姉ちゃんはきっとそんなこと望んじゃいない」

瑞穂「・・・ありがとう・・・帝国の人・・・」

校長「この世に悪がある限り・・・黒の女教師は必要でしょう」

三人「校長・・・」

青柳「ドジっ子の屍拾うものなしなんですね」

都立国文館高校に黒の女教師を讃える裏校歌が鳴り響く。

教室から自分の席が消えていた

そんな時どうする?

お金を持って美術準備室へ

ブラック・ティーチャーズ!

カバンの中から汚いものが

そんな時どうする?

お金を持って美術準備室へ

ブラック・ティーチャーズ!

・・・おいおいっ。

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ストレートなツッコミをお望みのあなたはコチラへ→くう様の黒の女教師

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2012年9月21日 (金)

エコエコアザラクとは無縁な再生魔術の女のVISION(山田優)

「浪花少年探偵団」、「東野圭吾ミステリーズ」はともに20世紀の東野圭吾の原作小説の再利用である。

秋ドラマのこの2本は21世紀もすでに12年が過ぎつつある今、ちょっと一昔前の世界観でズレている感じが・・・漂っていた。

つまり・・・なんとなく・・・変なのである。

しかし、まあ、20年前とそれほど変わらない暮らしをしている人は多くいるわけで・・・別に気にならなかったりもするだろう。

だが、気になるに人には本当に「ああ、なんだかなあ」という感慨を抱かせるドラマ化作品に仕上がっていたと思う。

脚本家をはじめとするドラマのスタッフたちは・・・もう少し、頭をひねるべきだったよなあ。

方法は二つある。

一つは・・・過去の話としてノスタルジックに描くこと。これはこれで時代考証が大変だし、過去の街並の再現などそれなりにお金もかかるが・・・それなりにリアリティーが確保されるだろう。

もう一つは完全なる現代への移植である。この場合は、たとえば科学技術の進歩、それにともなう社会文化の変化、そして風俗や時代感覚の変容に対応しなければならない。

たとえば・・・20年前にはそれほど一般的でなかったネット社会がこうなっている以上どうするのか。20年前にはそれほど確実でなかったDNA鑑定を使ったトリックが確実になってしまった現代ではどうするのか。20年前にはなかった北朝鮮による拉致被害が関係していたらどうするのか。20年前にはこんなに険悪ではなかった日中関係についてどうするのか・・・後半、あんまり関係ないぞ・・・といった換骨奪胎的アレンジが必要となる。基本はスタッフの創意工夫で製作費的には安上がりだ。なにしろ、アイディアに金を惜しむ業界である。

だがアレンジャーたちに熱意が不足してそれに失敗すると・・・ゾンビ(生ける屍)のような作品に仕上がるのである。

もちろん、一部愛好家にはそれもまた楽しいことだったりします。

で、『東野圭吾ミステリーズ・最終回・再生魔術の女』(フジテレビ20120920PM10~)脚本・篠崎絵里子、演出・河毛俊作を見た。再生には様々な意味があるが呪術的にはネクロマンシー(死者蘇生)ということになる。本編の主人公の一人、中尾章代(鈴木京香)は不妊治療の専門医で復讐者である。復讐のために手段を選ばないと言う点では「完全なる悪」であり・・・倫理的には非道といえる手段でとある復讐を果たす。

最後がひねってあるので・・・道をはずしていないようにも見えるが・・・乳幼児を復讐の道具に使っていることには変わりがないのだな。

不妊症に悩む千鶴(西田尚美)とその夫根岸峰和(小澤征悦)が『中尾レディースクリニック』のボランティア事業である里親募集に応じ・・・一人の乳幼児が夫妻に渡されるところからドラマはスタートする。

子供を養育できない女子高校生の生んだ子であり・・・根岸夫妻の養子になるという前提でしばらく試験扶養期間に入るのである。

視点は婿養子である峰和に移っていく。社長(竜雷太)の娘を妻にしたことで出世したらしい峰和は非情な性格を漂わせる。

そんな・・・峰和をなぜか誘惑するようなそぶりを見せる章代。

・・・まあ、なにしろ、タイトルからも外れるくらいなので・・・このブログでは章代は対象外女優の演じるヒロインであり、このあたりのニュアンスはよくわかりません。まあ、好みによっては迷惑に感じない方もいるのかもしれませんな。

で、好みだったらしく誘惑に乗る峰和だった。

だが、それには応じない章代は突然・・・七年前の出来事を物語はじめる。

章代にはホステスのアルバイトをしながら画家を目指す妹・神埼弓子(矢田亜希子)がいたのだった。弓子には・・・恋人がいたのだが、その男は社長令嬢との結婚を選択したという。その後・・・妹は殺害される。室内が荒らされていたために警察は当時、犯行を重ねていた窃盗団によるものとして捜査を勧めていたが結局、犯人は未だ特定されていないという。

しかし、章代は犯人は妹の恋人だと断定したのである。

そして・・・その男が峰和だと決めつける。

「なぜ・・・」

「女の直感ね」

「・・・」

「私は妹の膣内から精液を抽出して冷凍保存しておいた・・・」

「え」

「そして・・・私の卵子を使い、体外受精と代理母によって一人の子供を作り上げたの」

「ええ」

「その子供が・・・あなたの養子候補よ・・・」

「えええ」

「やがて・・・子供は私とあなたによく似た子供に育つ・・・奥様はどう思うかしら・・・」

「そんな・・・その子にどんな罪があるんだ」

「それは復讐に狂ったマッドサイエンティストには禁句なのよ」

こうして・・・追い詰められた峰和は自殺である。

しかし・・・実は・・・子供は単に女子高校生が生んだ私生児ですべては「嘘」だったというオチである。

まあ・・・とにかく・・・窃盗団に偽装して殺すなら・・・自分の体液が残っている時に殺さないという「現代」としての感覚がある。原作初出時から七年遡った1970年代後半の鑑定技術と一般常識で成立する「話」なのである。

次に、機会を選んで章代を殺す。

最後に子供を別の子供とすり替える。

峰和なら・・・そうするだろうと思うのだった。

キッドが今回、頭から離れなかったのは再生魔術の女とその妹という設定である。

魔術の女といえば黒井ミサであり・・・その妹といえば・・・「エコエコアザラク」(1997年テレビ東京)の黒井アンリ(今村理恵)なのである。

その妹のために姉のミサ(佐伯日菜子)は壮絶な復讐劇を繰り広げるのだった。

妹のために復讐する姉萌えである。・・・特殊なジャンルだな・・・。

そして・・・姉はともかくとして・・・妹の二人は・・・キッドが顔の区別のつかない1978年生まれの二人の女優が演じている。ちなみに1978年は体外受精が公式に成功した年なのだ。

つまり、同じ男性と女性の精子と卵子を使えばこうなるというミステリーが・・・。

Immura001 今村理恵。1978年7月25日生れ。

Yada001 矢田亜希子。1978年12月23日生れ。

関連するキッドのブログ→先週の東野圭吾ミステリーズ

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はこちらへ→mari様の再生魔術の女

で、『VISION-殺しが見える女-・第11回』(日本テレビ)も見た。クリスティーナ・ゲームの黒幕らしい甲斐谷正憲(升毅)と玲奈(山田優)の新しいマネージャー・新津道雄(康喜弼)は繋がっていた。だが、玲奈は新津に誘拐されかかる。謹慎休職中の刑事・浅野和馬(金子ノブアキ)の連絡で脱出した玲奈だったが走行中のトラックのライトを浴びると記憶喪失になって失神してしまう。いろいろあって結局、甲斐谷に拉致されてしまう玲奈。新津は殺され、和馬の手元にはクリスティーナ・ゲームが残される。事情を知らず、玲奈の公開捜査を開始しようとする警察上層部。事情を知る刑事たちはもしも玲奈の顔が大々的に公開されたら・・・数万人のクリスティーナ・ゲーマーが一斉に殺人を始めて収拾がつかなくなると恐怖する。日本語ヴァージョンしかないなら・・・日本語圏を狙ったテロリズムである。甲斐谷の背後にはアンブレラ社が・・・バイオハザードかよっ・・・行方知れずの玲奈を捜すにはクリスティーナゲームによる波動通信しかない・・・思いつめた和馬はついにプレイヤーと化すのだった。呪いだな・・・新しい呪いの話だ。

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2012年9月20日 (木)

旧相棒(及川光博)VS旧々相棒の妻(鈴木砂羽)とテロリスト(北村有起哉)VS公安(野間口徹)的トッカン(井上真央)

なんのドラマの話をしてるんだ・・・。

今度は成宮寛貴が相棒になる「相棒」とか、なかなか劇場版がオンエアされない「SP 警視庁警備部警備課第4係」の話だが・・・。

「トッカン」だろ、「トッカン」・・・。

だって~・・・脚本がグダグダでのらないんです~。

まあな・・・詰めが甘いよな。

特に今回は・・・クラブ「澪」の白川(若村麻由美)の唐突な登場の挿入と、オチで鈴宮の父(塩見三省)のお土産をスタンド・バーでおもちこみで食べるシーン。

田舎の父親が娘のために土産を持ってきたのである・・・職場の皆さんで食べるのが社会人としての常識だろう。

ものすごく・・・分かりにくい題材で勝負しているのである・・・配慮しろよ、配慮を。

で、『トッカン 特別国税徴収官・最終回』(日本テレビ20120719PM10~)原作・高殿円、脚本・いずみ吉紘、演出・水田伸生を見た。公務員は下僕である。国民のしもべなのである。しかし、官僚は国民のしもべのかしらとして国民の上に立つ・・・まあ、そういうシステムがなんとなくあります。で、我が国では徹底的なシビリアンコントロールを宗としてその上に国民の代表である政治家が立つわけである。一応、官は実力で上に立つわけだが、政治家は世襲による無能も可というのが醍醐味である。で、無能中の無能のハトポッポが頂点に立ち、この国を根底から覆しそうになった時・・・その後を受けた二人の雑草総理は未曾有の国難をなんとか乗り切っているという評価もできるのである。

その結果、徴収官と同等の自衛官や保安官は領海を脅かす境界線上の仮想敵国船と丁々発止中なのである。

どちらかといえばそちらのドラマが見たいよね。

さすがに昨日今日のニュースはトップ扱いで報道されているのだが・・・肝心なのは「消えた千艘の漁船」のうち数隻が「尖閣諸島付近で操業したので・・・日本の実効支配は有名無実なものとなった」という中国側の報道なのである。

「敵」はやる気満々だ。

もちろん・・・日本はあくまで「寝技」で攻めるしかないのだが、敵は立ち技も寝技も使ってくるので要注意なのだな。

民間船を盾に軍が介入して、手も足もでないコチラ側がずるずる後退というシナリオだってあるのである。

実際に交戦すれば数分で敵を殲滅できる軍事力を持っていても絶対に血を流せないわが軍は圧倒的窮地なのだ。

こうなると憲法改正しか手はないのだが・・・仮想敵国に言いたい。そこまで追い込んでどうする。

人民に告ぐ、そっちの大衆は日本の源平合戦を知らないだろうが、こっちの大衆は三国志が大好きなんだせ~。そこんところ、わかってくれよん。

・・・もういいか。

前回から・・・大衆食堂の経営者・唐川(野間口徹)の税金未納問題に取り組むトッカン(北村有起哉)とグ~子(井上真央)である。

しかし・・・トッカンと唐川が口論した後で・・・唐川は自殺を図るのである。

「血も涙もない恫喝的取り立てが原因」として裁判官としても検事としても使い物にならなかったので弁護士になった「みんなの法律相談所」代表・吹雪(及川光博)は唐川夫人(堀内敬子)を原告としトッカンを被告とした「損害賠償」訴訟をおこすと息巻くのだった。

何らかの裏事情がありつつも唐川の自殺未遂の責任を感じるトッカン。

トッカンも好きだし、唐川夫妻にも同情し、吹雪にはちょっと惚れかかり、「グ~」と言うしかないグ~子だった。

しかし、「相棒」で相棒だった時にはそれなりに有能だったミッチーこと吹雪弁護士は自殺未遂なのに「貴重な人命が奪われた」などと記者会見で発言し、「まだ死んでないぞ」と記者からツッコミを言われるお粗末くんであるらしい。

「なんにもおもいつん」グ~子だったが、レギュラーだけど出番の少ない国税局査察部情報部門査察官の変な髪形の南部(木南晴夏)、グ~子の偽物の親友・相沢(美波)、「相棒」で相棒の妻だった宝町税務署上席徴収官・鍋島(鈴木砂羽)が立ちあがり、情報収集にあたる。

その結果、「妻が遺書があったと言っているが遺書とは断定されていない」「妻が店の権利書について裏でいろいろと怪しい画策をしている」「女はいざとなったら夫を平気で裏切る」などと言う怪情報が乱れ飛ぶのである。

これだけネタがそろうと疑惑の目は唐川夫人に向かうわけだが・・・人を疑うことを知らないぐ~子はまったくその気にならない。

しかも・・・お茶の間は怪しい男と密会している妻を見せられちゃうのである。

本当にダメな脚本です。

配られたピースをつなげられず絶体絶命のグ~子とトッカン。

しかし・・・起死回生の一発である。

唐川が息を吹き返すのだ。

そして事の真相・・・「自殺の原因は妻の浮気です」が唐川の口から語られる。

本当に本当にダメな脚本です。

かって・・・公安の田中一郎として「どこにもいてどこにもいない男」だった唐川は・・・かって六人組のテロリストのリーダー格だったトッカンに懺悔をするのだった。

「妻は浮気をしているのです・・・なぜなら・・・ボクには子種がないからです」

その頃、浮気相手の男と「店」の売却を画策していた妻は、騒ぎが大きくなったことで浮気相手に捨てられ・・・途方に暮れて自殺をはかろうとしていたのだった。

本当に本当に本当にダメな脚本です。

超能力で妻の自殺決行を察知するぐ~子。

全力疾走開始である。基本、このドラマは誰かが自殺しそうになるとぐ~子が走って止めに行くドラマだからです。・・・まあ、信じられないことに本当にそうなんだけどな。

間一髪、唐川夫人の自殺を邪魔することに成功したぐ~子なのだった。

たまたまやってきた吹雪弁護士はぐ~子以上に事情を知らないのだった。

「どういうこと・・・」

「夫婦の問題ってことよ・・・自殺とトッカンは無関係なの」

「うそ・・・」

「死なせてください・・・あの世で主人にごめんなさいを言いたいの」

「それは無理です・・・ご主人・・・まだこっちにいます」

「うそ・・・」

こうして・・・ぐ~子はまた一つ大人の階段を上ったのだった。

・・・えーと、税金の徴収はどうなったのかな。

それはともかく・・・ぐ~子はミッチーに対してはSとして機能するらしい。

「何が体裁が敵よ・・・あんたが一番の体裁野郎じゃない・・・この体裁弁護士」

「意味わかんな~い」

誰かが聞いた

納税義務をどう思う

すると僕はこう答える

体裁つけて

こうして・・・宝町税務署に平和が戻ったのだった。ですよね。

上京してきた・・・鈴宮の父。

「何しに来たの・・・」

「娘を心配するのは親の権利だ・・・」

「税務署やめろって言わないの・・・」

「娘の安定を願わない親なんていないよ・・・」

「あのね」

「なんだ」

「私・・・安定だけじゃなくて・・・最近、生きがいを感じるようになっちゃった」

「幸せなんだな」

「うん」

「じゃ、次は早く孫の顔が見たい」

「ぐ・・・」

この国の官と民がいつまでもそれなりに幸せでありますように・・・。

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2012年9月19日 (水)

ここで待ってて(濱田龍臣)いややうちも行く(浜辺美波)なめとったら・・・(多部未華子)

6年2組竹内しのぶ先生(多部未華子)とミステリー大好きヤンキー大路のしのぶ(多部未華子)の融合が最後までちぐはぐだったなあ。

この原作のドラマ化には次のような難点が予想された。

初出が1986年~1992年という20年以上前の原作を2012年にスライド。

そもそも舞台が大阪。

少年探偵団卒業後も続くエピソードをほぼ1年間に詰め込み、夏なのにクリスマスだの卒業式だの季節感無視。

まあ・・・そういう意味で6年2組の卒業までにあわせて原作小説をアレンジしてエピソード化したことにすべての精力を注ぎ込んでしまった感じが否めない。

その上で・・・しのぶセンセと学級の生徒たちとの交流、生徒たちの家庭の事情、新藤(小池徹平)と本間(山本耕史)と榛名(木村文乃)の恋の四角関係、母親・妙子(松坂慶子)の母娘物語まで盛りこんで・・・ある意味、収拾つかなくなっていた。クドカンなら・・・こなせるけどな~。

初回や最終話は「Dr.コトー診療所」や「恋を何年休んでますか」のヴェテラン・吉田紀子の脚本なのだが・・・情感で見せるドラマにはまったく仕上がっていなかったな。

なにしろ・・・ミステリとしては肝心な・・・「犯人」が全く描けていないのである。探偵チームの一方的なドタバタ展開があるだけで・・・まったくミステリドラマとして成立していないように感じられてしまうのだな。

つまり・・・ミステリはダイジェストで・・・余分な要素に時間使いすぎなのである。

まあ、苦言を呈したが・・・正直な気持ちなので仕方ないよね。

で、『浪花少年探偵団・最終回』(TBSテレビ20120917PM8~)原作・東野圭吾、脚本・吉田紀子、演出・池澤辰也を見た。象徴的な第11話(前篇)、最終回(後編)の無理矢理な二分割である。前回までに謎はほぼ解かれている。エリート意識の強いなにわ技研製作所開発課・横田(平岳大)は遊びのつもりで肉体関係を持ったなにわ技研製作所製造課・清子(菊池友里恵)に結婚を迫られ衝動的に殺害してしまう。たまたま横田は6年2組の朝倉奈々(浜辺美波)と同じマンションの住人で清子と口論しているところを奈々の母親・町子(笛木優子)に目撃されたために「目撃者を消せ」ということで殺害しようとはかるが・・・未遂に終わる。横田の犯行に気がついたしのぶセンセと浪花少年探偵団は無謀にも横田を追跡するのである。

横田が逃走に使ったトラックには奈々を守るために犯人を追う鉄平(濱田龍臣)と鉄平を慕うあまりにいつも一緒にいたい奈々が乗り込んでいるのである。

そのトラックを追うしのぶセンセの車には鉄平と奈々の交際を認めたくない原田・兄(前田航基)も乗り込んでいた。

暴走してトラックに追いつき「ちょっと運転かわれ」と小学生に車のハンドルを渡すしのぶセンセ。

「おうりゃあ」とトラックの運転席のサイドステップに跳び移り「こら、車とめんかっ」と殺人犯の横田を恫喝である。

思わず、運転席のドアをあけ、しのぶセンセを振り払う横田。しのぶセンセは原田の運転する車のボンネットに弾き倒されるが、すかさず立ち上がり、八艘跳びで車から車へ跳び移り、トラックを追うのである。しかし、横田はスピードをあげ、荷台から鉄平の差し出したマフラーをつかみそこねたしのぶセンセは道路に激突。後ろから来た車に轢かれそうになるがジャンプ一番、原田の運転する車の運転席の窓に飛び込み危機を脱する・・・というような手に汗握るシーンはなくて・・・当然だろう、ここは残念なことに日本なんだぜ・・・なぜか、横田は清子の死体を遺棄した廃工場に舞い戻るのだった。

しかし、じっとしていればいいのに哀しいが小学生である。荷台から降りてモタモタしているうちに奈々が横田に捕まり人質状態になってしまうのだ。

車庫入れの苦手なしのぶセンセはなかなか廃工場の庭に車を入れることができずにモタモタしていたのである。

前回から・・・演出がグダグダで時間の流れが一定していない比喩です・・・念のため。

ようやく、到着した新藤刑事と漆崎刑事(段田安則)、しのぶセンセ、鉄平と原田(兄)は奈々を抱えてナイフをふりまわす横田と対峙するのだった。

しのぶセンセ「うちの生徒になんちゅうことをさらすんじゃ、ボケ」

奈々「しのぶセンセ、助けて~」

そこで・・・しのぶの携帯電話の着信音が鳴り響く。

「なんやこんな時に」

「あ、しのぶ、私」

「お母ちゃん」

「なんかな・・・卒業式に顔出そうと思って来たら、原田さんのお母さんがえらいとりみだしててな・・・うちが27時間34分もかけて鼻の穴からボーリングの玉出すような思いで生んだ子をあんたの娘が殺しにかかってる・・・もしものことがあったらどないするつもりやてえらい剣幕でな・・・うちはしのぶ生んだ時、安産だったんで言い返す言葉もないんや・・・そいでな」

「あの・・・ボケ・・・殺人犯によろめいて子供おっぽりだそうとしたくせに今更、何、まともな母親ぶってんねん、ええから、どついてだまらしとき・・・うちは今、とりこんでるんで、またな」

原田(兄)「・・・」(赤面)

横田「よるな・・・よるなあ・・・」

一同「おちつかんかいっ」

横田「来るな・・・来たら・・・この娘、殺したる」

漆原「その子は無関係だろうが・・・」

横田「ボケッ。一人殺せば何人殺そうが同じじゃ」

しかし、少年探偵団にはパチンコという必殺武器があったのだ。

原田(兄)が犯人の手を弾くと、すかさず・・・鉄平は奈々を奪回するのだった。

「奈々ちゃん」

「鉄平くん」

原田(赤面)

「くそ」自暴自棄になった横田はたまたま捨て置かれた灯油を撒き散らし、点火である。

「なにさらすんじゃ・・・」と激昂するしのぶセンセ。

あたりはたちまち火の海である。

「あんた・・・この子らは今日は卒業式なんやで・・・そんな日になんであんたみたいな無様な大人を見せなきゃならんの」

「そんなこと言ったって・・・そっちが勝手についてきたんだろう」

「センセ・・・とりあえず・・・かわいい教え子避難させんと・・・」

「だまっとき・・・なあ、あんた・・・あんたがどんだけ・・・エリートなんか・・・知らんが・・・一度は情を交わした女を殺すってどんな料簡なんや・・・あんた・・・学校で何を教わってきた・・・」

原田・兄(赤面)

鉄平「情を交わすって・・・」

奈々「鉄平くん・・・」

「やめてくれ・・・子供の前でそんなこと・・・」

「女ヒーヒー言わしたら最後までかわいがってやらんかい・・・それが男っちゅうもんやろ」

しのぶの暴論に何故か改心して滂沱の涙を流す横田だった。きっと忘れていた情交の日々が脳裏に蘇ったのだろう。

「清子・・・清子~」

たまたま捨て置かれた消化器で火を消し止めた二人の刑事は泣き崩れる犯人に手錠をかけるのだった。

いつの間にか免許を取得した新藤刑事はしのぶセンセと子供たちを車で学校に移送する。

「先生・・・無茶はせんでください」

「ごめんなさい」

「君たちももう中学生や・・・探偵ごっこは仕舞いにせんとあかんで・・・」

「・・・」

「そうやな・・・うちも目が覚めたわ・・・大切な教え子をこんな危険なことに巻き込んで・・・うちはつくづくアホや・・・」

「・・・」

「なんや・・・だれか・・・そんなことないでとか・・・うちをフォローせんかいっ」

大阪市立大路小学校の卒業式は終了していた。

しかし・・・児童と父兄はしのぶセンセの帰還を待っていたのだった。

学級委員長の芙美(八木優希)「センセ~」

にぎやかしの美奈子(二宮星)「先生から卒業証書もらわれへんかったら卒業した気にならへんわ」

しのぶ「・・・出番少なくてかんべんな」

シンとする児童一同だった。

中田教頭(小日向文世)「何事もなかったという方向で処理してくださいね」

新藤「・・・」

しのぶ「みんな・・・ありがとう・・・ダメなセンセやったけど・・・みんなのおかげでどうにかやってこれたわ・・・でもな・・・花に嵐やで・・・サヨナラだけが人生や」

大団円である。

謝恩会を抜け出して密会する新藤としのぶ。

「け、結婚してください」

「ごめんなさい・・・私・・・来年度、長野に単身赴任や・・・そこで先生修行をしたいんや」

「・・・」

そっと忍び寄る本間(山本耕史)である。

「ふられたもの同志仲良くしないか・・・」

はにかむ新藤だった。

榛名(木村文乃)「あーっ!」

こうして・・・しのぶセンセは長野の分校へと旅立った。

「うちは大路のしのぶやで~。 なめとったら承知せえへん」

長野の子供たち「なにそれ~、どういう意味~」

その頃、ごちそうを作ってお重につめた母・妙子は大阪発長野行の特急電車しなの9号の車内で鼻歌を歌っていた。

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2012年9月18日 (火)

いってきマンモス!(芦田愛菜)お祭り、娘と二人旅、そしてビューティフルレインへ(豊川悦司)

今週末はお彼岸である。

暑さ寒さも彼岸までですから~、そろそろお願いします。

最近の連続ドラマとしては全12回は長い方である。

淡々とよどみなく展開してフィニッシュ。

申し分のないドラマだったな。

まあ、豊川悦司と芦田愛菜の父娘、それを見送る中村産業の皆さんを見ていると・・・つまり、中谷美紀、蟹江敬三、丘みつ子、三浦翔平、でんでんを見ていると・・・東京下町を舞台にした刑事ドラマができるとつい思ってしまうのだな。豊川悦司が男鰥夫の子持ち刑事・・・。丘みつ子が課長で、蟹江が係長、中谷刑事は豊川刑事となんとなくラブ。ヴェテランと新人のでんでん・翔平コンビ。いいな・・・だらだらとずっとやってもらいたい・・・はぐれ刑事かっ。

序盤は涙で綴られた物語だが・・・本当はどうしようもなく哀しい最終回に涙一切なし。清々しい展開である。

やはり、日曜日の夜はこういうほのぼのした物語がいいのだ。

・・・っていうか、秋ドラマがものすごいことになっているので・・・とにかく・・・のんびりしたいのだった。

で、『ビューテフルレ・最終回』(フジテレビ20120916PM9~)脚本・羽原大介、演出・水田成英を見た。世界は一人の若年性アルツハイマー病の患者を中心にまわっていく。ほんの小さな世界である。しかし、その世界で輪を作る人々はけしてそれを不幸とは思わない。煩わしいとも思わない。なにしろ・・・他人の世話をやくのが三度の飯より好きな人々なのだ。それを示すのが・・・城都大学医学部付属病院脳神経内科の古賀医師(安田顕)のエピソードである。不治の病の特効薬の開発のために患者を伴って渡米する打診を受けていた古賀は・・・担当する患者・圭介(豊川悦司)に話を持ちかけようとする。しかし、圭介とその擬似家族たちを一目見るなり・・・単身渡米を決意するのである。医療では太刀打ちできない奇跡を見てしまうからだ。ほのぼのに打ち負かされたのである。甘い設定と言うのではない・・・それは本当に単なる心の持ちようで・・・すぐそこにある幸福というものだからだ。

You don't have to worry, worry,

守ってあげたい

あなたを苦しめる全てのことから

・・・いつかすべてを忘れてしまう圭介に美雨(芦田愛菜)は訊ねる。

「父ちゃんの夢って何?」

「なんでそんなこと聞くんだ?」

「いつも、父ちゃんにお世話になってるから・・・美雨も父ちゃんの夢をかなえてあげようと思って・・・」

「・・・急にそんなこと言われてもな・・・」

「じゃあ、考えといて」

「うん」

「今日中だよ」

「今日中?」

「うん」

すぐに忘れてしまう人には酷な課題だが・・・子供というものは残酷で容赦のないものなのだ。

中村産業の経営者夫婦には夫婦喧嘩の種は尽きない。

地元のお祭り「梶原ふれあいフェスティバル」の実行委員長を夫の富美夫(蟹江敬三)が引受けてしまったために、お祭りでバザーを担当する妻の千恵子(丘みつ子)はおかんむりなのであった。

「どうすんの・・・手が足りないわよ」

「そんなこと言ったって、男が一度引受けたんだもの」

「しょうがないわね」

「アカネにも手伝ってもらうし・・・」

「だめよ、アカネにはバザーを手伝ってもらうんだから」

娘のアカネ(中谷美紀)の取り合いなのだった。

「なによ・・・どういうこと」

そこへ、従業員の宗田(でんでん)と若輩者の秋生(三浦翔平)も参加する。

「朝から何をもめてんですか」

「わきあいあいなんですよね~」

「お、難しい言葉を使ったな・・・漢字で書けないくせに」

「そりゃ、関係ないじゃないですか~」

和気藹々である。

ちなみに圭介は毎年、焼きそば屋台の担当であるらしい。

まさか・・・腐ったキャベツで・・・集団食中毒発生か・・・というお茶の間の心配をよそに圭介は秋生に訊ねる。

「お前、夢あるか・・・」

「夢なら今朝も見ましたけど・・・」

「馬鹿・・・」と話に割り込む宗田。「俺の夢は万馬券・・・そしてその金でハワイ旅行だな」

「ハワイ・・・いいっすね~」

「お前、言ったことあるのかよ」

「ないですけど、テレビでみましたから~」

「馬鹿だね」

「で、夢がどうしたんですか・・・」

「いや・・・ちょっとな・・・」

(旅か・・・)と圭介は思う。なにしろ・・・旅では一度失敗している。船着き場まで行ってチケットを忘れたことに気づいて結局、行けなかった大島旅行である。

(あの・・・うめあわせを・・・できるうちにしないといけないな)

その夜、圭介は美雨に告げる。

「父ちゃんの夢は決まった」

「何?」

「美雨と旅行に行く・・・そこで美雨に見せたいものがある」

「旅行・・・」

「父ちゃんの夢をかなえてくれるか?」

「うん・・・見せたいものって・・・何?」

「それは・・・秘密だ」

「えーっ」

圭介と美雨が二人で旅行すると聞いた中村夫妻は心配顔になる。なにしろ・・・旅行失敗の前科があるのである。

「大丈夫かねえ・・・」

「三連休の最後の日は祭りだぞ・・・」

「だから・・・土曜に出発して日曜には帰ってくるつもりです」

「じゃ・・・焼きそばは大丈夫だな・・・なにしろ、圭さんの焼きそばは美味いからな~」

「焼きそばよりも・・・大丈夫なの・・・二人で・・・」

「細かいメモも作りますし・・・旅先からマメに連絡入れますから・・・」

「よし・・・わかった・・・」

しかし・・・千恵子はまだ不安である。

圭介と美雨が去るとアカネがやってくる。

「きっと・・・今のうちに美雨ちゃんと・・・思い出を作りたいんじゃないかな」

「ああ・・・なるほどな」

「でも・・・大丈夫かねえ」

翌日、お祭りの分担で中村産業一同が和気藹々をしているところへ・・・古賀がやってくる。

「焼きそばは圭さん一人じゃ大変だから俺も手伝うよ」

「いやいや、僕一人で射的と綿あめは無理ですよ」

「私が焼きそば手伝うわ」

「そうですよ、射的で宗田さんがでんでん太鼓をたたかないと笑いがとれないじゃないですか」

「どういう意味だ」

「待ってよ・・・アカネはバザーに専念してよ」

「よし、実行委員長の俺が焼きそばをだな」

「いえ、焼きそばは一人で大丈夫ですよ」

「いや、俺が今、話をまとめるから」

「まとまらないじゃないですか」

「なにい?」

「あ、先生」

ようやく、アカネに気がついてもらった古賀だった。

「職場の皆さんと暮らすと聞いて・・・ちょっと心配だったんです」

「・・・」

「いい人たちなんで・・・安心しました」

「・・・」

「実は・・・私の兄も・・・あなたと同じ病気だったんです」

「・・・」

「あなたたちを見ていて・・・私も兄を・・・家族としてもっと支えていたら・・・と後悔するほどでした」

「・・・」

「私・・・新薬開発のために渡米します・・・薬ができたら・・・真っ先に連絡しますから・・・」

「ありがとうございます」

一緒に渡米しようとは切り出せない古賀だった。

木下家のベランダにアカネがいた。どうやら・・・二人はそういう関係になったらしい・・・妄想的にはな。

「こっちからの眺めもいいわね」

「こっちは禁煙だよ」

「私・・・煙草やめたんだ・・・」

「本当?」

「できると・・・いいわね・・・新薬」

「うん・・・だけど・・・俺は今できることを精一杯やっていくしかないから・・・」

そこへ美雨が学校から帰ってくる。

アカネがこちら側にいることのただごとならぬ空気を敏感に感じ取る美雨だったが素知らぬ顔である。

「どうしたの・・・アカネちゃん」

「うん、旅行の荷造り手伝ってあげようかと思って・・・」

うまくごまかしたアカネだった。

「ありがとう」美雨は圭介とアカネの手を引き・・・ごまかされたフリをするのだった。

「じゃ、早く準備しよう・・・早く、早く~」

「はいはい」

土曜日の朝。

「じゃ、行ってきます」

「ああ、心配だな、やっぱり、俺、ついていこうかな」

「およしよ・・・ついていくんならアタシが行くよ」

「・・・楽しい思い出作ってきてね」

新宿までのバスを待つ二人。ふとすれちがう中学生らしいカップルに圭介の心は揺れる。

15才の美雨へ

美雨、誕生日おめでとう。

15才といえば中学3年生・・・

美雨にもそろそろ好きな男の子ができるころですね。

美雨がどんな男の子を好きになるのかすごく気になるけど・・・

実際にその男の子を見たら父ちゃんは嫉妬してしまうかもしれません。

でも誰かを好きになるというのはとても素敵なことです。

恋をするとドキドキしたりワクワクしたり胸が締め付けられそうになったりします。

だけど美雨が好きになった相手が必ず美雨のことを好きになってくれるとは限りません。

時には失恋して傷つき泣きたくなる日もあるでしょう。

だけど美雨には傷つくことを恐れないで・・・

いつも 自分の気持ちに正直に生きていってほしいです。

どんなときも自分に正直に生きていれば・・・

たとえ傷ついてもきっと美雨の将来の役に立つと思うからです。

二人はロマンスカーに乗って箱根湯本に到着した。

猪に用心しながら旅館の送迎バスを待つ二人。

「ねえ 父ちゃん、喉渇いちゃった」

「何か買ってきてやろうか?」

「オレンジジュース!」

「よし。 じゃあ ここで待ってろ」

しかし・・・自販機の前で立ちすくむ圭介。

「どうしたの・・・」

「これ・・・どうするんだっけ・・・」

病気の階段をまた一つ昇った圭介だった。

しかし、美雨は動じない。

「お金、貸して」

「・・・」

「ここにお金を入れて・・・オレンジジュースのボタンを押すの」

「・・・」

「ほらね・・・よいしょ・・・おいしい・・・父ちゃんも飲む?」

「おう・・・ありがとう」

その頃・・・中村産業では夫婦と出戻り娘が寂しい食卓を囲んでいた。

「なんだかねえ・・・」

「前は・・・こうして三人だったじゃないか」

「だけどさ・・・」そこへ・・・圭介から電話が入る。

「無事、旅館に着いたって・・・」安堵する三人だった。

旅館では圭介と美雨が浴衣に着替えてあやとりに興じていた。

「そろそろ・・・寝ないとな」

「ねえ・・・明日、見せてくれるものって何?」

「それは内緒。でも・・・父ちゃんのもうひとつの夢を教えてやろう」

「もうひとつの夢?」

「美雨の花嫁姿を見ること」

「花嫁姿って・・・」

「美雨の結婚式だよ」

「結婚式ってどうするの・・・」

「よし、教えてやる」

結婚式の予行演習を始める二人だった。

「美雨・・・結婚おめでとう」

「ありがとう」

「そういう時は・・・長い間お世話になりましたって言うんだ」

「長い間、お世話になりました・・・」

「やっぱり駄目だ・・・結婚式は中止にしよう」

「え~、なんで~」

「父ちゃんは美雨を一生離さないぞ~」

「え~、結婚式の続きがしたい~」

「い~や、嫁には出さん」

戯れ始める二人。

美雨の悲鳴にかけつける従業員一同だった・・・おいっ。

18歳の美雨へ

誕生日おめでとう。

進路はもう決めましたか?

18歳の美雨がどんな勉強をしているのか・・・

それとももう社会に出て働いているのか・・・

残念だけど今の父ちゃんには分かりません。

だけど、美雨がやってみたいと思ったことは全部やってみたらいいと思います。

相談にも乗ってやれなくて申し訳ないと思うけど・・・

美雨ならきっと自分で自分の道を決め夢を持って生きていってくれると信じてます。

日曜日の朝。二人は芦ノ湖に向かう。

ところが途中でかまいたちが発生し、大切なメモ帳が橋の上から川に落ちてしまうのだった・・・おいおい。

「父ちゃん・・・」

「父ちゃん、どこへ行くって言ってた」

「芦ノ湖・・・そこで美雨に見せたいものがあるって・・・」

「・・・」

「忘れちゃったの・・・」

「うん」

「大丈夫だよ・・・きっと芦ノ湖に行ったら思い出すよ」

美雨に手をとられ・・・圭介は歩き出した。

しばらくすると歩き疲れた美雨を圭介がおんぶする。

その時・・・晴れた空から雨が降ってきた。

圭介は思いだした。

美雨の名前の由来を・・・。

亡き妻と見たお天気雨を・・・。

そして・・・美雨に見せたかった光景を・・・。

「きれいな雨だねえ・・・」

「美雨・・・父ちゃん・・・思い出したよ・・・」

圭介は妻にプロポーズをした場所を美雨に見せたかったのだった。

二人は湖畔にたどり着いた。

「ここで・・・父ちゃんはママちゃんに結婚を申し込んだんだ・・・そして・・・美雨が生まれたんだよ」

「・・・」

「その時、父ちゃんもママちゃんも・・・世界で一番幸せだった」

「・・・」

「だから・・・もしも・・・美雨がいつか・・・悩んで苦しんで泣きたいくらい哀しく成った時は・・・この光景を思い出してほしい・・・」

「・・・」

「父ちゃんとママちゃんが美雨が生まれてすごく幸せだったことを・・・思い出してほしいんだ」

「・・・」

「たとえ・・・父ちゃんが何もかも・・・全部忘れちゃったとしても・・・」

「大丈夫だよ・・・父ちゃん、美雨が全部覚えといてあげるから」

「美雨・・・」

二人はロマンスカーに乗って新宿に帰ってきた。

疲れて眠りこんだ美雨を圭介は何よりも愛しく思った。

そして日曜日。

バザー会場では菜子(吉田里琴)が助っ人に参加して「いらっしゃいませ」で出番を確保である。

幸せな人々の笑顔は絶えないのだった。

20歳の美雨へ

美雨 誕生日おめでとう。

大人になって初めての誕生日父ちゃんからのプレゼントは受け取ってくれましたか?

もしちゃんと受け取ってくれたら・・・

それがおそらく父ちゃんから美雨への最後のプレゼントになると思います。

美雨初めて自転車の乗り方を練習したときのこと覚えてますか?

小学校2年生だった美雨は転んでも転んでも・・・

頑張って立ち上がり練習を続けましたね。

何か困ったことがあったとき。

どうしていいか分からなくなったとき。

下を向いてばかりじゃ何も解決しません。

自転車と同じように前を向いてゆっくり少しずつでいいから・・・

前へ前へです。

あしたが来るのが楽しみだと思えるようなそんな毎日を生きてください。

もしもこの世の中に神様がいるとしたら・・・

父ちゃんはたった一つだけ・・・

美雨を幸せにしてやってくださいとお願いします。

圭介と美雨・・・そして中村一家は・・・記念撮影をした。

掛け声は「だいじょう・・・ぶい」だった。

その後の父娘の消息は誰も知らない・・・とりあえずスペシャルがあるまでは。

時は川

きのうは岸辺

人はみなゴンドラに乗り

いつか離れて想い出に手をふるの

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2012年9月17日 (月)

またひとりラインをこえて迷い込み今や夢昔や夢と惑わされかたむく夕陽を追いかけて(二階堂ふみ)

いやあ・・・今回、重盛(窪田正孝)でもよかったけど・・・やはり・・・ラインを越えて来られると弱いよね。

いつまで・・・「熱海の捜査官」を引きずるんだよ・・・休眠前で仮記事レビューしかできなかったからなあ。

東雲麻衣(三吉彩花)はラインを越えまくっているが甘利レミー(二階堂ふみ)もちょくちょく越えているよね。

ポスト宮﨑あおいの呼び声も高いからな。・・・いや、それはどうかな。

とにかく・・・諸行無常の響きは・・・まさに平徳子のためにある言葉だからな。

偉大な父に期待され、百鬼夜行の朝廷で孤軍奮闘、胃に穴が開き心は病んで・・・憐れ極まる重盛よりもかっ。

いやいや・・・やはり徳子♥16歳!!だよね。

で、『平清盛・第36回』(NHK総合20120916PM8~)脚本・藤本有紀、演出・中島由貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついにキターッ!後白河法皇の第一の近臣にして鹿ケ谷山荘の陰謀の首謀者・藤原師光こと西光と平安の超人伝説・猪を頭に載せても大丈夫・源頼朝夫人・北条政子の二大描き下ろしイラスト大公開でございます。平安時代の終焉が刻一刻と近づいてまいりましたな~。政子サイコー!

Tairakiyomori34 仁安四年(1169年)四月、高倉天皇の即位により改元が行われ、嘉応元年となった六月、後白河院は出家して法皇となった。院の御所となっていた法住寺殿に戒師として招かれたのは長等山園城寺(三井寺)の長吏だった。比叡山延暦寺と園城寺はともに天台宗を代表する寺だが、延暦寺の三代目座主・円仁と五代目座主の円珍の派閥争いが尾を引き、円珍派が園城寺に分派した因縁を持つ。以来、延暦寺が天台宗山門派、園城寺が天台宗寺門派となり対立していたのである。平清盛が延暦寺に接近し、後白河法皇が園城寺に接近したのは均衡を保つための策ともとれるが・・・実際には無用の摩擦を生みだすことになる。後白河法皇が慣習を破って延暦寺から戒師を招かなかったことは天台宗山門派の威信を甚だしく傷つけたのである。このために比叡山の門徒は後白河法皇に対する嫌がらせを始めるのだった。因縁をつけられたのは後白河法皇の側近にして平重盛の妻の兄・藤原成親だった。これには後白河法皇による荘園抑制策と・・・比叡山の領する荘園の既得権確保という経済的な問題もからんでくる。とにかく・・・延暦寺は「藤原成親の配流」を求めて世に言う「嘉応の強訴」を起こし内裏に乱入したのだった。ちなみに事態の収束をはかる朝議には平治の乱後に失脚し、阿波国に配流されていた藤原北家師実流の中御門大臣経宗が返り咲いている。ヴェテラン貴族として後白河院派、摂政派、そして平家一門にもいろいろと重宝がられたのだった。左大臣経宗は平家滅亡後も後白河法皇とともにしぶとく生き延びるのである。ちなみに経宗は重盛七男の宗実を養子にしている。

山門派と寺門派の最大の違いは修験道の有無にある。天台宗は唐伝来の法華経と涅槃経を主軸にそもそも顕教である円教(完全な教え)に密教を加え、戒律を示しさらに実戦的な座禅を添えた言わば「完全なる仏教」であったが、これに日本古来の修験道を加味したのが天台宗寺門派なのである。いわば、最澄に役小角をまぜてしまったのである。正統派と言える山門派に対し・・・怪しげなところが後白河法皇の心を動かしたことは想像に難くない。天台宗では止観と呼ばれる瞑想法が主眼となっている。これは止の瞑想であらゆる雑念を払い、観の瞑想で世界を正しく認識する境地に至る修行法である。これに山野における荒行である修験の法を加えてしまったのだから言わば先祖がえりなのである。

もちろん・・・山門派が目指すのが仏の道ならば・・・寺門派の目指すのは超人の道なのである。

しかし、修験道の開祖・役行者になれるのは選ばれた一握りの人間であることは言うまでもない。まあ・・・一種のインドア派とアウトドア派の対立と言えます・・・本当かよっ。

念仏を座して唱えるか、走って唱えるかなのでございます。誤解を招くから妄想はほどほどにしとけよ。

しかし・・・そのような人の道は・・・すでに両面宿禰として光と闇の双方を見据えることが可能になった清盛には無用であり、児戯に等しかった。

天狗の化身である後白河法皇の気まぐれをあしらうことも造作なかったのである。

しかし、後継者として偉大なる父親の影を強く感じつつ・・・実務にあたる正二位平大納言重盛は人の身であった。その重すぎる責務は重盛の心身を蝕んでいく。

重盛の正室・藤原経子の兄・藤原成親とは同い年である。後白河法皇の近臣であるこの義兄が重盛の拠り所であった。

実力的には王に等しい父を持ち、院政を始めた後白河法皇と幼い帝に仕えながら、朝廷の貴族たちとの折衝を行いつつ、平家一門を束ねる・・・物凄い激務である。

重盛は孤独であった。

一つ年下の同母弟・基盛が病で死んで七年になる。

「基盛がいてくれたら・・・」

重盛は思わずにはいられない。戦上手で明るい気性の弟は兄思いでもあった。

武門の長子として激しいしごきによって育てられた重盛にとって唯一気の許せる同胞(はらから)だったのである。

気配りにも長けた基盛は慎重な重盛が臆した時には励まし、思わず抜けた穴を埋める周到さもあった。

遺児の行盛を見る度に基盛の不在を痛切に感じる重盛だった。

継室の平時子の子である異母弟たちは頼りにならなかった。特に三男である宗盛は無能でありながら傲慢というやっかいな性格である。

その背後に時子の弟である平時忠の影があった。高倉天皇の国母として奉られ建春門院となった時子・時忠の異母妹・滋子の権威によりそい・・・一門内に派閥が作られつつあった。

父・清盛の数多い弟たちも油断ができなかった。特に祖父・忠盛の正室・池禅尼の子である平頼盛は常に独自の路線を示したがる。

平家一門の頭領でありながら・・・その一門は重盛の統制下にあるとは言えなかったのである。

「もしも・・・父上の身に何かがあったら・・・」

その問いかけがもたらすものは恐怖である。

たちまち平家一門は瓦解してしまうだろう。重盛はそう確信していた。

それなのに・・・と重盛は歯がみする。

後白河法皇の気まぐれによって延暦寺との無用の摩擦が生じ・・・藤原成親を失脚する事態が生じていた。十二歳になった長男・維盛と成親の娘・家子(仮称)との婚姻が決まったばかりなのである。孤立無援の重盛の朝廷における唯一の拠り所が失われてしまうのだ。

重盛は暗澹とした思いを抱えて御所へ向かう。

その後ろ姿を影法師が見送っていた。死んだ基盛の怨霊である。

死してなお・・・基盛は兄を見守っていたのである。

しかし・・・死霊にできることは限られている。

鬱屈した重盛を慰めるように白いものがゆらりと揺れた。

平安京には雪が舞い降りていた。

「雪は・・・清いな・・・」

重盛はつぶやいた。一瞬、気が晴れた。重盛は振り返った。

そこに弟が微笑んで佇んでいるような気がしたのである。

しかし・・・そこにはただ風が吹いているだけだった。

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2012年9月16日 (日)

グッドバイ・ゴーストママ(志田未来)

この夏のレビューの最初の最終回は・・・二本まとめて二時間スペシャルである。

五輪の夏は編成も大変なんだよな。

すでにフィニッシュを迎えているドラマには「ボーイズ・オン・ザ・ラン」や「GTO」そして「主に泣いてます」がある。

小学生や高校生には事欠かない夏だったが、「ビューティフルレイン」の菜子(吉田里琴)と並び、「主に泣いてます」のつね(草刈麻有)は貴重な中学生枠だった。まあ、草刈麻有は19才のなんちゃって中学生だったが・・・このぐらいのキャスティングの方が魅力的な中学生を楽しめるという考え方もある。

案の定、「GTO」と「黒の女教師」はネタかぶりまくりなのだが、オリジナルの「黒の女教師」は中学校設定でもよかったな。同じネタでも中学生というだけで過激な感じになるはずである。中学生が脱法ハーブ。中学生が教師と恋愛。中学生売春。中学生・・・もういいか。

まあ、とにかく・・・この世代の顔見せ興行としては両者ともにまあまあだったか。川口春奈の認知度はまだ不足気味かな。本田翼は秋ドラマでは日本テレビ土曜深夜で荒井萌や水野絵梨奈に合流である。

「ボーイズ・オン・ザ・ラン」は主役が服役して・・・刑期を無事に務めてハッピーエンドという奇想天外さが・・・爽やかだった。

五輪の夏が終り、政治と紛争の季節である。

中華人民共和国の世界征服の野望はまだ始ったばかりだが・・・確実にその凶悪さを垣間見せているな。

アフリカで中東でそして東南アジアでそして極東で・・・工作員たちは成果を見せつつあるのだった。

放射能汚染された我が国は・・・熱海マラソンが実行不能になるほどの次なる大震災の到来に恐怖しつつ、ろくでもない政争を続けていく。

誠に面白い限りである。

で、『ゴーストママ捜査線~僕とママの不思議な100日~・最終回』(日本テレビ20120915PM9~)原作・佐藤智一、脚本・梅田みか、演出・佐藤東弥を見た。もはや婦人警官のコスプレをしているだけの蝶子(仲間由紀恵)はさておき・・・ゴーストママの存在を認知した上原葵(志田未来)は大活躍である。まあ・・・とんぼ(君野夢真)のママはゴーストになったのに・・・葵のママ(上原航平(沢村一樹)の前妻)は・・・という不公平感は漂うわけだが・・・気にしなければどうってことないしな。

ゴーストママ!

ゾッとする気配を感じたら

霊視眼鏡にアクセスだ

祟り、呪い、悪霊退散

霊視眼鏡にアクセスだ

最終回なので天国からの迎えの気配を感じるゴーストママとゴースト三船課長(生瀬勝久)である。

とんぼは勉強に運動にやる気を見せるのだが・・・自分ががんばりすぎると・・・ママが天国に行ってしまうと気がついて・・・「がんばるのをやめる宣言」なのである。

ゴーストママは「坊や大きくならないで」的にはうれしいが・・・子供の成長を願う母親としては複雑な心境になるのだった。

そんなある日、三船課長の元に・・・見知らぬブドウ園からブドウが届く。

呑気な未亡人・三船美和子(大島さと子)は贈り主を気にもとめないが・・・ゴーストママは宛先が三船課長であることから・・・家出した三船課長の息子・浩志(塚本高史)の気配を霊感で感じ取る。

ゴースト課長は・・・息子の浩志との気まずい別れ方が成仏の妨げになっていたのである。

息子に逢いたい気持ちと・・・父親として息子に愛されていなかったらどうしようという気持ちに揺れ動くゴースト課長は消極的である。

ゴーストママはとんぼを利用することを考えるが・・・ブドウ園は山梨県にあり・・・さすがに小学生の一人旅は無謀なのである。基本・・・ゴーストママは悪霊です。

しかし、たまたまとんぼと葵が二人で歩いているところに呪いの大看板が落下・・・火事場の幽霊力でゴーストママが受け止めたことにより・・・葵はゴーストママの実在を信じるようになる。

「えーっ・・・ママの他に三船のおじさんもいるの・・・」

「います」

「まさか・・・お風呂を覗いたりしてないでしょうね」

「・・・」

ゴースト課長!

ゴーストはちっともエッチじゃないからね

ゴーストはエロスとは無縁なんだ

なんてたってアレがアレなんだから

葵という強い味方を得たことで・・・三船の息子捜索の道が開けたのである。

異母姉弟は・・・バスに乗り、ブドウ狩りに出かけるのだった。

なにしろ14才の母なので・・・葵はとんぼに擬似母性を感じているのである。

志田未来も実年齢(19)、中学生(13)で妊娠出産していれば小学生の子供(6)がいてもおかしくない計算だ・・・なんの計算なんだよ。

やがて・・・二人とゴースト二人は・・・ブドウ園で働く三船の息子・浩志を発見する。

「一人で立派に生きてやる」と家を飛び出た浩志はたくましい青年に変貌していた。

それどころか・・・結婚し・・・子供まで生していたのである。

三船家にブドウを送ったのは浩志の妻の沙織(小野真弓)だった。

「余計なことをするな・・・」と意地を張る浩志だったが・・・葵から父親の死を告げられると・・・。

「・・・親父が・・・死んだ・・・」

「お父様は息子にあやまりたい・・・もう一度あって話したい・・・といつも言っていたそうです」

「親父・・・あやまりたいのは俺だよ・・・なんで死んだんだよ」

「浩志・・・」

「俺は沙織と出会って家族の大切さに気がついたんだ・・・人は一人ではつまらないって」

ゴースト三船は泣きたい気持ちだったがゴーストに涙はないのです。

ゴーストパパ!

ひとりで悩んでいたって解決しない

霊視眼鏡にアクセスだ

なにしろ相手は神出鬼没

霊視眼鏡にアクセスだ

ゴースト三船にお迎えの時が来た。

「とんぼくん・・・親にとっては子供がたくましく育つことは・・・一番の喜びなんだ。

がんばらないと・・・ママを悲しませることになるよ

君が見たいのはママの泣き顔かな・・・笑顔かな」

とんぼは・・・難しい問いかけになんとか答えを見出した。

「天国はきっといいところなんだね・・・ママはそこで幸せになるんだ・・・そのためにボクはがんばらないといけないんだ」

「そうだよ・・・がんばらないと・・・もう二度とママに会えなくなるんだ」

「どうして・・・」

「地獄へまっしぐらだからさ・・・あっははははははは」

とんぼはたじろいだ。

そしてゴースト三船は成層圏の塵となった。

これで葵がお風呂を覗かれる心配はなくなったのである。

「母さん・・・心配かけて御免」

息子からの電話に三船未亡人は涙した。

ブドウを土産に帰宅した姉弟。航平は仲の良い異母姉弟に満足だった。

そして・・・亡き妻の誕生日を思い出した。

義理の母親に・・・本当の母親のような愛情を娘が持ったことを確信したからである。

そこでとんぼと葵は・・・ゴーストママのためのお誕生日パーティーを企画するのだった。

愛は目隠し

悲しみがすべて

未来なんてない

愛を失えばそんなもの

ゴーストは食べられないし、ゴーストは着飾らない。ゴーストママへのバースデイ・プレゼントは難しい。

しかし・・・とんぼと葵は思いつく。ゴーストママが世界で一番好きなもの。ゴーストママを世界で一番好きなもの。離れ離れの二人に出会いを・・・。

葵は奴隷の長谷川(真田佑馬)にパーティーの飾り付けを命ずると、自分はごちそう作りにとりかかる。

とんぼはゴーストママを偽の事件でおびき出す。

やがて準備は整った。

愛はすだれ

夏の日差しは身を焦がし

冬になれば無用の長物

半年遅れのタイムトンネルで冷暖房は不要

「ええ・・・ママがゴーストママになってるって・・・そんなバカな」

「サラリーマンNEOのコントみたいなこのドラマももう終局なのです」

「ママが・・・蝋燭吹き消すよ」

ゴーストママはケーキの蝋燭を火事場のバカ吐息で消灯するのだった。

「ええーっ・・・蝶子・・・いるのかい・・・蝶子」

ゴーストママにキスされてゾッとする航平だった。

「ママがパパにキスをしたっ」

「あー・・・コレってそうなんだーっ」

いつになるかはしらないけど

きっとわすれるね

こんなにこころがすくんだことも

なにもかもが遠ざかるから

とんぼを霊媒に・・・夫と義理の娘と蝶子は思い出話の花を咲かせる。

蝶子が死ぬ前のこと・・・。

蝶子が死んでからのこと・・・。

話は尽きないのだが・・・時は流れるのである。

愛はシャッター

愛はただ人を傷つけて

愛は血も涙もなく

愛は閉ざされる

運動会・・・お約束で転んだとんぼは撮影期間中に成長した演技力を披露する。

伸び盛りなのである。

葵は成長期の終り・・・ダイナマイトボデイではないがそれなりにたわわである。

愛は縄のれん

かきわけても

すでに死んでいる

昨日が見えるだけ

航平は蝶子と出会った場所に子供たちを連れていく。

さりげない出会いから始る家族の物語。

「たとえ・・・離れ離れになっても・・・いつも一緒・・・それが家族っていうものだ」

愛はアイマスク

耳元で誰かが泣いている

もしそれが私のための涙でも

すべては無駄

ゴーストママは天に召されたのだった。

愛はすべてを消し去る光

愛とはひとときのぬくもり

そして残される永遠の苦痛

もう・・・そっとしておいて

それでも・・・家族の営みは続いていく。すべての終焉を迎えるまでは。

関連するキッドのブログ→第8話のレビュー

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2012年9月15日 (土)

裏切られて、騙されて、殺されて、生まれ変わって教師になる(榮倉奈々)

なんか、まぜるなよ。

虫になってごめんなさい。

今年の夏も殺しまくったなあ・・・蟲を。

だってかゆくてかゆくてたまらないんですもの。

蟲も殺さぬ顔をしていた頃がなつかしいなあ・・・。

結局、キックでは断ち切れないんだよな、過去を。

必殺でないとあとくされがあるからな。

両親が離婚する時に子供は「両親がいる」という既得権益にしがみつくんだよな。

だからって、いちいち子供殺してたらキリがないしな。

あちらをたてればこちらがたたず・・・の原理で両方殺すのは一つの清々しい解決案ではあるよね。

まあ・・・何事にもおりあいをつけ、穏便にすませるのが一番なのかもしれないよね。

ドラマにはなりにくいけどね。

まあ・・・そうなんだけどさ。

で、『黒の教師・第9回』(TBSテレビ20120914~)脚本・大林利江子、演出・石井康晴を見た。芹沢恵子校長(南果歩)と美術教師・藤井彩(小林聡美)のエピソードが不足しているので最終回は二人がメインになると予想される。まあ、藤井が黒の女教師の先輩で・・・芹沢も黒の女教師あがり・・・という線もあるし、校長は元締めの可能性もある。過去の課外授業での失敗例として四年前の卒業生・長嶋瑞穂(中西美帆)と水野葵(上間美緒)の事件が浮上し、戸田トシオ(松村北斗)が葵の弟で北朝鮮からの工作員ではないことが判明した今回・・・まあ、想定の範囲内で残念な感じでございます。謎でもなかった転校生になってしまったからな・・・未来人とか宇宙人であるわけないだろがっ。

恩恵を受けるものと恩恵を受けないもの、そして不利益を受けるもの・・・「法による支配」は常に摩擦をともなう。

黒の女教師の存在は一種の治外法権を発生させている。

窮地に陥った生徒を救援することで生じる歪みは恩恵を受けないものや不利益を受けたものの怨みを生じさせるのである。

Kurono005 3年D組の生徒たちのおよそ1/3が黒の女教師の課外授業でなんらかの恩恵を受けている。しかし、報酬を支払うことで受講するシステムであることで、その存在を恩恵を受けなかったものが認知すれば、不公平感や反感を生じさせるわけである。リオ(竹富聖花)が巻き込まれた脱法ハーブ事件ではリオは救われたが、薫(杉咲花)はとばっちりを受け脱法ハーブ吸引で停学処分を受けているのである。それに対して黒の女教師はまったく救済しないのである。そんな薫を格下と見下している江衣花(広瀬アリス)は秘密の恋人の望月(千葉雄大)の恐喝事件のあおりを受けて交際が発覚、親友の明日香(大野いと)から敵視されてしまうことになる。さらに副校長(光石研)の身代わり停学事件では優(中城あやみ)が救済された反動で悪役に祭り上げられてしまうのだった。クラスから孤立した江衣花に復讐心という悪意を持って転校してきた戸田トシオの魔の手が忍び寄るのである。

戸田は明日香になりすまし、江衣花の傷心をコントロールし、ついに自分の性奴隷とすることに成功する。原作者の美少女虐待ゲーム脳半端ないな。

江衣花の身を案じた望月は戸田の本心を問いただそうとするが軽くスルーされてしまうのだった。

亡き姉・水野葵の仇に対する復讐心で悪魔に魂を売った戸田は「人の気持ちを利用するクズ」に成り果てたのだった。しかし、戸田は葵の名を語り、黒の女教師たちへの攻撃を開始するのである。

不倫交際中の古典教師・内田すみれ(市川実日子)は不適切な交際を暴かれ、葵の死に何らかの関与があったらしい藤井も休職に追い込まれる。

ついにクラス全員を集合させ、何故か退職を覚悟した「自然淘汰説を信じる」生物教師・高倉夕子(榮倉奈々)の最後の課外授業が開始される。

すっかり、高倉に頭のあがらなくなった青柳遥(木村文乃)は「課外授業」に期待するのだった。

「顔は蹴らないで帝国臣民だから」展開があって・・・。

そして・・・つづくである。なんとなく一話短縮されているような気がするのはキッドだけですか。ま、設定するだけしておいて・・・頭の中でお蔵入りというのはよくあることじゃないか。

はたして・・・最後に蹴られるのは誰か・・・もはや興味はそこに尽きる。

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2012年9月14日 (金)

僕たちが殺した少女・・・二十年目の約束(篠原涼子)

もはやミステリの定番の一つと言えるのが「少女殺人事件」である。

被害者として・・・これ以上・・・哀愁ある存在はないからな。

現実世界でも・・・少女が誘拐されたり、殺されたり、行方不明になったりは日常茶飯事である。

他国に拉致されて未だに未帰還の少女さえいる。

そういう事件に関係する人々にとってこういうエンターティメントは時には残酷無比な存在だろう。

それでも・・・魅力ある題材に・・・創作者たちはチャレンジせずにはいられないのである。

願わくば・・・実りある虚構が成立しますように。

そう祈らずにはいられないジャンルというものがあるのです。

で、『東野圭吾ミステリーズ・第10回・二十年目の約束』(フジテレビ20120913PM10~)脚本・川崎いづみ、演出・宮本理江子を見た。殺される少女を演じる甲斐恵美利は実年齢6歳で役柄である西野晴美の享年は六才。自筆の日記があり、殺害時には小学一年生であったと仮定したい。一方、晴美の遊び相手の二人の少年は小学校高学年で・・・ギリギリ12才前後と思われる。それから20年の歳月が経ったのだから・・・晴美は生きていれば26才、二人の少年は32才なのである。少年の一人は田辺聖一(43)なので違和感半端ないわけである。もう一人も音尾琢真(36)である。こういう登場人物の心情に比重を置いた作品の場合、極力、なんちゃって配役は避けたいところだ。三十路というのは一種の青年期の終りだろう・・・つまり・・・本当に大人になる年齢なのである。だからこそ・・・少年時代の感傷が色濃く残っていても許容範囲なのである。しかし、四十男では青臭さが鼻につくわけである。さらにいえば・・・被害者の母親が成長した亡き娘の面影をヒロインに見出すシーンがあるのだが・・・これはやはり二十代の乙女の役どころなのである。柴本幸(28)でも危ういので篠原涼子(39)は完全にミスキャストだ。しかし・・・篠原涼子あってのドラマで・・・それを言っても大人気ない。だが・・・さすがの存在感である。残り少ない少女の部分を総動員して・・・次男出産後の体型をカバーしつつ・・・この難役を恋しさとせつなさと力強さで無難にこなす篠原涼子だった。

永すぎる春を過ごすカップル。結婚もせずだらだらと同棲中の山岡亜沙子(篠原涼子)と村上照彦(田辺誠一)である。しかし・・・照彦には亜沙子の知らない秘密があるようだった。そして、子宮に腫瘍が見つかった亜沙子は妊娠ができなくなる可能性を知り・・・急に将来に不安を感じていた。

不安は・・・照彦の秘密の影に女の匂いを嗅ぎつける。

何故か照彦は「生涯、子供は作らないつもりだ」などと亜沙子に告げるのである。

不信感に突き動かされ・・・亜沙子は「誰かと約束をした」照彦を尾行するのだった。

照彦は生れ故郷に戻り、そこで見知らぬ男(音尾琢真)と合流すると・・・墓参りに出かけるのだった。

墓に眠るのは幼い少女だった。

女探偵と化した亜沙子は照彦の生れた田舎町の図書館で・・・事件のあらましを知る。

幼い少女が殺され変質者が逮捕されていた。

しかし・・・と亜沙子は不安を感じるのだった。

実は・・・真犯人は恋人の照彦だったりするのではないか・・・と。

思いつめた亜沙子は後先を考えず・・・殺された少女・西野晴美(甲斐恵美利)の両親を訪ねるのだった。

そこには狂人となった母親・西野すみ子(キムラ緑子)とその面倒を見る夫の西野行雄(平泉成)の痛々しい姿があった。

それでも疑心暗鬼に囚われた亜沙子は問わずにはいられなかった。

「私の恋人である照彦はあなたたちの娘に何をしたんですか・・・」と。

そこに・・・照彦ともう一人の男が訪問してくる。

西野は三人を思い出の場所へと導く。

そこは・・・照彦と彼の友人の少年時代の秘密の隠れ家だった。

そして・・・西野の娘はそこで変わり果てた姿となって発見されたのである。

荒れ果てた裏山の森の中の秘密の楽園。

もちろん・・・「スタンド・バイ・ミー(原題・THE BODY)/スティーヴン・キング」からのパクリである。少年たちはそこでこの世の憂さを晴らしていたのだ。そこへ・・・闖入者として少女がやってくる。少年たちは困惑しつつ・・・少女をそれなりに受け入れる。

しかし・・・引っ越してきたばかりの少女の両親は年上の少年たちを危険な存在とみなし、少女に交際を禁じるのである。

そんなある日・・・少女と遊ぶ約束をしていた少年たちは雨天のために約束の時間を守らなかった。

少女が行方不明のために父親が訪ねて来た時も・・・「知らない」と嘘をついたのである。

そして・・・その間に少年たちを待っていた少女は変質者の餌食となったのだった。

少年たちは罪の意識を感じつつ少女の死の責任をもてあました。

父親は少年たちとの交際を禁じたことが少年たちのウソを招いたことを悟り・・・鬱屈した。

さらに・・・母親は少女の死を受け入れられず狂ったのである。

こうして・・・歳月が虚しく流れていったのだった。

「おじさん・・・すみませんでした」

「あの子のことを忘れないでいてくれて・・・ありがとう」

亜沙子のなりふり構わぬ行動が・・・鬱積した男たちの思いを解放したのである。

その時・・・爽やかな風が吹きすぎて行った。

亜沙子は殺された少女の魂を感じる。

「ここは・・・風のガーデンだったのね・・・」

男たちは・・・ようやく・・・幼い恋の呪縛から解き放たれ・・・新しい女との暮らしに向き合うことを決意したのだった。

なぜなら、死者は帰らないし・・・生者は生きていくしかないのだから。

関連するキッドのブログ→第9回のレビュー

月の恋人

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で、『VISION-殺しが見える女-・第10回』(日本テレビ20120913PM1158~)脚本・原案・脚本:飯田譲治、演出・吉原通克を見た。脳外科医・田所(神尾佑)の疑似科学的説明により・・・クリスティーナ/来栖玲奈(山田優)の超能力の実態が解明に一歩近づく。霊能力の特殊な波動を持つ玲奈を利用して超科学機械の実験が行われているらしい。まあ・・・なんのこっちゃレベルである。その黒幕の一人が川辺彰一/甲斐谷正憲(升毅)なのである。甲斐谷は警視庁科学捜査研究所主任研究員・・・やはりカジウラなのか・・・だったが公式には死亡しているのだ。

新たなる殺人者は「疑わしきは罰せずの精神」で無罪放免となった容疑者たちをターゲットとする馬淵純一(細田よしひこ)だった。基本的には「沙粧妙子 - 最後の事件 -」の日置武夫(柏原崇)と同タイプである。

しかし・・・クリスティーナ・ゲーマーとの送受信能力が向上した玲奈の指示により、慎休職中の刑事・浅野和馬(金子ノブアキ)によって馬渕は三人目刺殺を実行できずに逮捕されてしまう。

ゲームが押収され、発信元が特定されるのだ。

そこに潜んでいたのは玲奈の新しいマネージャー・新津道雄(康喜弼)だった。

新津は甲斐谷の下僕らしい。

まあ・・・とにかく・・・最後まで謎は解けない方向性が高まってきましたな。

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2012年9月13日 (木)

毎度おなじみの月9でございます・・・リッチマン(小栗旬)プアウーマン(石原さとみ)と私(相武紗季)

そこかよ・・・。

まあ、秋ドラマでは・・・月9必修科目化は避けられないからな・・・肩慣らししとかないと。

スケジュール的にはものすごい困難が予想されるよね。

(日)山P先輩→(月)アンナ様のダーリン展開だな。

しかもだ・・・(土)北川景子VS長澤まさみなんだぜ・・・どうするんだよ・・・これ。

いや・・・それを言うなら(日)深キョンじゃん。

いやいや・・・(金)多部ちゃんじゃん。

いやいやいや(火)だって真木よう子VS宮﨑あおいじゃん。

谷間どころか・・・毎日二本立ての勢いだよ。連日、殺す気かだよ。

それにしても・・・「Q10」記事のないのが残念だよな。

主人公とヒロインで検索集まって・・・淡々としたドラマレビューでガッカリする通りすがりの人たちの気分を楽しめたのにな。

そう言えば・・・小栗旬・山田優夫妻は今季、夫婦で主役はってたんだな。

虚構の醍醐味だよねえ。

そういえば・・・「リッチマンプアウーマン」って「赤い糸の女」と構造的には一緒だよな。

キャスティングをこのままスライドしたら・・・凄いことになるよな。

いや・・・四角関係だからって・・・違うだろう。

いやいや、井浦新は上野なつひなんだよ。

あーっ、なるほどね。

・・・妄想はそのくらいにしとけよ。

で、『リッチマンプアウーマン・第1話~』(フジテレビ20120709PM9~)脚本・安達奈緒子、西浦正記(他)を見た。原点を考えるとストレートに「王子と乞食/マーク・トウェイン」(1881年)なんだろうな。主人公が生まれつきの天才で、ヒロインが努力型の秀才という設定だが・・・二人とも常識を越えた「知性」を持っているという点でそっくりさんなわけだ。そういう意味でお茶の間の人々の感情移入は難しいはずだが・・・二人とも恋愛については「未熟」というそっくりぶりも持っていてそのあたりで非凡さをうまくごまかしているわけである。このあたりの匙加減が「お菓子」としてはまずまず成功しているような気がする。

ソフト開発を主軸としたIT企業「NEXT INNOVATION」の社長・日向徹(小栗旬)はスティーブ・ジョブズのようなカリスマ経営者である。高校中退で起業しケータイゲームをヒットさせ、日本最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス「SHAKE」を運営するに至る。株式時価総額3000億円の企業を一代で構築したリッチマンなのだった。

一方、東京大学理学部4年生で就職活動中の夏井真琴(石原さとみ)は天才的記憶力の持ち主であるが、社会的順応性が高すぎて個性を発揮できずインパクトにかけるために最終面接で内定を勝ち取れないという高知県の民宿の娘である。全国民宿経営者涙目のプアウーマン設定なのである。

さて、日向誠は心因性認識不全症候群という持病を持っており、人の顔と名前を覚えるのが苦手という欠陥人間でもあった。おそらく、その遠因は幼くして両親に捨てられた心的外傷が推測される。特に母親・澤木千尋には特別な心的複合体(コンプレックス)があるらしい。

たまたま・・・故郷で澤木千尋に出会った夏井真琴は奇妙な悪戯心でその名を仮称する。そうすることで日向社長の目にとまり、「NEXT INNOVATION」の就職への突破口にしようという下心もあった。しかし・・・最初から偽名で就職なんかできないのである。新入社員の身上調査をする東京の探偵社なめてんのか。

ま、それはそれとして・・・実母の名前にひかれ・・・まんまと夏井の術中にはまる日向だった。

そして・・・夏井はいつしか本来の目的を忘れ・・・日向との恋愛関係に邁進するのである。なにしろ・・・ここは月9の世界なのである。

たちまち・・・なんとなく・・・夏井が気になりはじめる日向である。

さて、日向の周囲には日向をこよなく愛する二人の男女がいた。

朝比奈兄妹である。兄の恒介(井浦新)は「NEXT INNOVATION」取締役執行役員・副社長である。日向の社交的欠陥を補って会社を急成長させた実力者だが・・・日向を愛するあまりに日向が自分だけを愛してくれないことに不満を感じている。ただし、表面上はあくまでプラトニックな関係を維持しているのだ。

妹の燿子(相武紗季)はレストラン「Eclat Noble(エクラ・ノーブル)」のチーフ・シェフである。日向とは何度も運命的な出会いをして・・・日向とは赤い糸で結ばれていると信じたいのだが日向にはまったくその気がないので傷心の日々。兄と違っていたってノーマルですべてを常識の範囲で処理できるタイプなのである。

こうして波乱に満ちた恋愛生活がスタートするのだが、その背景となるのがかっては国家による国民の全体主義的管理の象徴である国民総背番号制として忌み嫌われていた共通番号制度の導入に先駆け、戸籍をインターネット上で管理するシステム「パーソナルファイル」に「NEXT INNOVATION」が新規参入しようとする事業ということになる。

研修生となった夏井は官庁受けがいいのではないかと日向の秘書的なポジションに大抜擢されるのである。

こうして・・・日向と夏井は急接近していくのだが、当然の如く、偽名がばれて最初の関係破綻である。

しかし・・・すでに夏井が気になりはじめた日向は夏井との関係を完全に絶つことはできないのだった。

そうこうするうちに・・・日向に対する執着心が暴走しはじめた朝比奈(兄)は破滅を望んで日向を会社から駆逐する陰謀にのめりこんでいく。

そして・・・ついに日向を会社から追放するのに成功するのである。

自分のものにならないなら・・・いなくなってしまえばいいという朝比奈(兄)の乙女心の前に屈服する日向。

しかし・・・あまりにも強引な手法をとりすぎて朝比奈(兄)は犯罪者となり、逮捕され、拘置所で「天才バカボン/赤塚不二夫」を愛読する破目になってしまう。

一方、朝比奈(妹)はいろいろとアプローチするもののの、まったく振り向いてくれない日向に苛立ち、日向と夏井の仲を割こうと意地悪をしたりもするが・・・基本的にこういう役柄になれてきたのか・・・ふられちゃうけどそこそこいい女のポジションに安住するのだった。

会社を追い出された日向は失意の日々を過ごすが・・・「私はずっと一緒にいます」宣言の夏井と二人きりの新会社「WONDER WALL(ワンダー・ウォール)」をたちあげるのだった。

夏井の指導のもとに普通の人間との社交技術を学ぶ日向。夏井は自分では対人関係が苦手だが他人の対人関係能力を向上させる技量は持っているのだった。

こうして・・・蜜月を迎えた二人だったが・・・「日向が自分を女として愛することはありえない」と頑なに思いこんだ夏木は自分の思い込みに押しつぶされて日向の元を去る。

日向は朝比奈(妹)とともに夏木を捜す旅に出るが・・・ついでに実の母(萬田久子)に再会する。

親子とは名乗らずに母のオムライスを食べた日向。

「だけど・・・本当に逢いたい人はもうお母さんじゃなくて・・・夏井さんなんでしょう」

と朝比奈(妹)は哀しい確認作業である。

「うん」と空気を読めずに応ずる日向だった。

ようやく・・・夏井を発見する日向。しかし・・・どうしても「好きだ」と言えないのはお約束なのである。

「今、日向さんが一番逢いたいのは朝比奈(兄)さんなんですよね」

とボーイズラブ展開を無茶ぶりする夏井なのだった。

・・・というわけで来週、最終回です。

谷間とはいえ、1~10話まとめすぎだろう。

何か・・・問題でも。

ま・・・いいか。

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大仏開眼

貧乏男子ボンビーメン

ブザー・ビート

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2012年9月12日 (水)

どちらにしようかな・・・天神様の言うとおり、なよなよな(多部未華子)

人生は二者択一の嵐である。

ラーメンにするか、日本そばにするかで迷い・・・エビソバにするかホイコーローにするかで迷い、お酢をかけるかどうかで迷うのである。

決められないと、決定力不足を嘆かれるのだ。

で、もう運を天にまかす場合がなよなよなである。

鉄砲撃ってバンバンで今日はひなまつりで柿の種なのである。

なんのこっちゃ・・・である。

ま、決定してみれば迷うほどのことはなかったと誰もが思うのだな。

いい年して、首つりは情けないとか・・・死ねば恥ずかしくないとか・・・いろいろと迷ったりもしたのだろう。

まあ・・・みっともないことはまちがいないが本人はもう何もかんじないのだからそれはそれで幸いなことだな。

いい加減にしとけよ。死者を鞭打つのは・・・。

今回・・・どこか・・・なつかしい感じがするのだが・・・なんでだ・・・と思っていると・・・。

犬飼保(小日向文世)犬飼潤子(ちはる)夫婦共演である。「犬飼さんちの犬」は木南晴夏、徳永えり、土屋太鳳の脇役ヒロインが豪華ラインナップだったな。

我が子の初恋模様をウッヒッヒ感覚で見守る母・・・いい味だしてますな。

で、『浪花少年探偵団・第11回』(TBSテレビ20120910PM8~)原作・東野圭吾、脚本・吉田紀子、演出・池澤辰也を見た。ついに夏の終りの卒業シーズンである。まあ・・・もう・・・清々しいレベルだな。何事かに・・・迷うしのぶセンセ(多部未華子)の脳裏に浮かぶのは新藤刑事(小池徹平)である。この時点で・・・恋のライバル本間義彦(山本耕史)脱落である。とにかく・・・「赤い糸の女」のヒロインを演じるにはあまりにも未通女色の強い多部未華子である・・・カマトトキャラ・しのぶセンセを演じるにあたって不足なしだな。だから・・・この辺りのしのぶセンセの葛藤はどうでもいいレベルなのである。

というわけで、ついに・・・イケメン子役、美少女子役枠のメイン回がやってまいりました。

6年2組の田中鉄平(濱田龍臣)と朝倉奈々(浜辺美波)の「小さな恋のメロディー」である。

カレンダーも無視し、時代背景も無視して・・・強引にドラマ化を推し進めるこの番組。

とにかく・・・朝倉奈々(原作では五年生)が意中の人にマフラーをプレゼントする展開は死守なのだった。

ドラマでは・・・東京出身の鉄平が父親の転勤で・・・卒業後に東京に引っ越す設定である。

「好きでした」というラブレター付きのマフラーに感激する鉄平。

しかし、朝ドラマのヒロインなみの間の悪さでしのぶセンセがラブレターを暴露する展開である。しかも・・・しのぶセンセは全く悪びれないのだった。

そして・・・鉄平の親友だった原田郁夫(前田航基)はこれ以上ない嫉妬の鬼と化すのだった。

弟の修(前田旺志郎)に「この心の狭さがもてない原因」と指摘されるほどの醜態なのだった。身も心もブサイクな奴なのである。・・・憐れよの・・・。

一方、しのぶセンセが相談したいことがあって・・・連絡をとりたがっていた新藤刑事は事件が多発して多忙であった。ついには・・・しんぶセンセに癇癪をおこされてしまうのだった。

そんな折に、なにわ技研製作所製造課の宮本清子(菊池友里恵)が殺害される。狭い浪花の街のことなので・・・清子は中田教頭(小日向文世)のかっての教え子だったのである。

母親の和美(藤吉久美子)によれば「二十歳になったからと言って去年の春に一人暮らし」を始めたと言う。「中学を卒業して定時制高校に通いながら今の会社で働いていた」という真面目な性格だったらしい。

浮いた話の一つもない清子だったが・・・新藤刑事から話を聞いたしのぶセンセは直感的に男関係を疑うのだった。それというのも・・・しのぶ自身が・・・「仕事」と「新藤との交際」を天秤にかけて勝手に悩んでいたからである。ものすごく分かりにくいが・・・やはり妄想暴走キャラだったのだな・・・。

しのぶはひそかに浪花の街を捨てる決意をしていたのだった。

中田教頭の口利きで「来春から長野県の過疎の村の分校で常勤講師」になることを決めていたのだった。

しのぶの決意を「結婚相手を決めた」と勘違いしていた母親(松坂慶子)は真実を知ると泣き崩れるのだった。

「なんやの それ~・・・この町を出ていくってどういうこと?・・・あんたは結婚してもずっと近くにいてくれるんやないの・・・よその土地に行くなんて無理・・・絶対無理や・・・大阪以外の土地に住むなんてあんたには絶対絶対無理や」

完全なる癒着である。

さて、初恋によって発熱した鉄平は奈々のマフラーを首に巻いて防寒対策である。

そんな息子をニヤニヤと見つめる鉄平の母(ちはる)・・・しかし、同じマンションの上の階に住む奈々の母親(笛木優子)は布団を干している途中でベランダから転落してしまうのだった。

幸い一命はとりとめた奈々の母親だったが・・・鉄平は事件の匂いを嗅ぎつける。

その頃・・・宮本清子殺害事件の容疑者として捜査線上に浮かんだのがなにわ技研製作所開発課の横田(平岳大)だった。

そして・・・恐ろしい事に横田は鉄平や奈々と同じマンションの住人だったのである。

退院してきた奈々の母親を何故か、襲撃する横田。

目撃者多数の中、襲撃に失敗した横田はトラックで逃走する。

しかし・・・現場に居合わせた鉄平と奈々はトラックの荷台に無謀にも乗り込んでしまうのだった。

良い子のみんなは真似しないように・・・。

さらに駆けつけたしのぶセンセは鉄平の母親の車で・・・無謀にもかなり前に逃げたトラックの追跡を開始するのだった。

しかもすぐに追いついてしまうのである。

トラックの荷台から身を乗り出してマフラーをひらひらさせる鉄平だった。

良い子のみんなは真似しちゃだめだよ~というお茶の間の絶叫を残しつつ・・・つづくである。

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2012年9月11日 (火)

一年に一才年をとるんだよ・・・百年生きたら百才だね(芦田愛菜)

そんなセリフはないだろっ・・・。

半分あったぜ。

一年をざっと振り返る。去年の夏の終りまで・・・あっと言う間だ。

もちろん・・・去年の夏はかなり特別だった。

まだ・・・最大余震がいつくるのかドキドキして待っていたりして。

そうやってその後もM8級を待ちながら1年である。

ついに新型スマホに放射線量計搭載という事態なのだな。

それでも振り返る一年はあっと言う間である。

このあっという間を100回繰り返すとほとんどの人の人生は終わるのである。

・・・まあ、長命族は別として。

その束の間に・・・どけだけの不安とかときめきとか恐怖とか歓喜とかがあろうともだ。

あっという間に終わることを忘れる時こそが・・・人生の醍醐味だったりもする。

結局・・・人は思い出によって生きていくしかないからだ。

たとえ・・・お昼御飯に何を食べたか忘れちゃったりしても・・・。

で、『ビューティフルイン・第11回』(フジテレビ20120902PM9~)脚本・羽原大介、演出・小林義則を見た。最終回直前回である。由緒正しいカレンダー展開で美雨(芦田愛菜)は新学期を迎えている。ひと夏の間にいろいろあったわけだが・・・圭介(豊川悦司)と美雨の父娘の生活は元の鞘におさまって・・・まるでふりだしに戻ったようだ。ある意味で・・・それは一種の最終回のカタチであろう。行く手には哀しい未来が待っているが・・・それはどんな人間でも結局そうなのであり・・・残された日々を楽しく過ごすための父娘を含むこの町の人々の善意の輪は充分に描きつくされている。主治医の古賀(安田顕)は・・・起死回生の新薬完成ハッピーエンドをふりはじめるが・・・そういう奇跡はこのドラマには似合わないような気がする。ほほ・・・夢オチになっちゃうからな。

あなたを思い出す 

この店に来るたび

坂を上って

今日もひとり来てしまった

クリームソーダは食べ物でもあり飲み物でもあります

登校の支度をする美雨。卵焼きを作る圭介。

洗濯機の終了ブザーが鳴り、父と娘は朝飯前に仲良く洗濯物を干す。

素晴らしい朝が来た。希望の朝である。

そこへ・・・中村産業社長夫人の千恵子(丘みつ子)がはりきってやってくる。

中村産業一同が・・・もうすぐすべてを忘れる男とその幼い娘のために・・・何をするべきか会議開催なのである。

「朝食と夕食はみんなで食べるっていうのはどう・・・」

「でも・・・まだ自活できますから・・・」

「しかし・・・いざという時のために始めておくのも大切だよ・・・」

「美雨ちゃんは・・・どう思う」

「みんなとごはんを食べるのは楽しそう・・・」

「それじゃ・・・とりあえず夕飯だけから始めるってのはどうだろう・・・」

「そうしなよ」

「・・・ありがとうございます」

「よし・・・それが新しいライフスタイルだね」

「ライフスタイル?」

「かっこいいくらしってことさ」

「バカ」

「ま・・・いいじゃないか」

不幸中の幸いだけが幸福なのである。

美雨の幼馴染の小太郎(高木星来)は一日で夏休みの宿題を仕上げたためにバテバテだった。

「母ちゃんは・・・大学に行けってうるさいしよ」

「その前に中学に行かないとね・・・」

「いや・・・中学は義務教育で誰でもいけるらしいよ」

「そうなんだ・・・」

「でも・・・高校は別物だし、大学ともなればいろいろものいりなんだぜ」

「ものいり・・・」

「お金だよ・・・お金がすごくかかるんだとよ」

「ふーん」

始業式から戻った美雨は女たちにいろいろリサーチである。

智恵子には木下家の経済状況を聞き、アカネ(中谷美紀)には「頭のよくなる方法」を聞くのだった。

「ドラゴン桜ってドラマがあるけど見る・・・」

「でも、それ高校生の話でしょ・・・」

「だよねえ・・・月並みだけど本をたくさん読んだらいいかもね~」

「やはり・・・小さなことからコツコツかしらね~」

「かもね~」

美雨は図書館で本を借りて来た。

「ナイチンゲール」と「野口英世」である。これで将来、ネプリーグに出ても「野口秀世」って書き間違わないですむのだ。

二冊の本・・・そこに登場するのは看護師と研究医である。

周囲の人々は・・・大きくなったら医者か看護師になって・・・父ちゃんの世話をしようと考える美雨の心はお見通しなのである。

しかし、ジワリジワリと時計の針は進んでいく。

中村産業を一歩出れば世知辛い世の中だ。

下請け産業いじめで・・・発注者である豊芝商事は支払いの三割削減を宣告する。

「それじゃ・・・納品すれば・・・納品するだけ赤字だ・・・」

頭を抱える一同だった。

そこで圭介が二割で勘弁してもらうように見積書を作ることにする。

豊芝商事は昔からの取引先だったが・・・代替わり寸前で・・・後継者は経営の合理化で目の前が真っ暗な感じを醸し出す。

そこで・・・肝心な時に・・・圭介が肝心なことを忘れてしまい・・・若き経営者に見放されてしまうのだった。

責任を感じる圭介に・・・社長は言う。

「大丈夫さ・・・世の中は捨てる神あれば拾う神ありで・・・回っていくんだから・・・」

「・・・社長」

あのとき目の前で

思い切り泣けたら

今頃二人

ここで海を見ていたはず

・・・そういうドラマじゃないだろう。でも、愛だろう。これって・・・。

まあ、そうかもな。

失意の圭介をベランダの天使アカネが今夜もタンクトップで慰めるのだった。

「取引の失敗が圭さんのせいだとしてなんだって言うの・・・」

「・・・」

「私たち・・・そういうことが起きるかもしれないって・・・分かってて・・・一緒に頑張っていこうって決めたんじゃない」

「アカネちゃん」

「下向いたら負けだよ・・・失点したら取り返せばいいんだよ・・・できることを精一杯やるしか・・・そうやって頑張るしかないじゃない」

「・・・」

窓にほほをよせて

カモメを追いかける

そんなあなたが

今も見える

・・・もう、わかったよ。ただな・・・誰も海を見てないからな・・・北区にも荒川区にも足立区にも海ないからな。

圭介は通院した。

「・・・それでは・・・美雨ちゃんとは同居を続けられるのですね」

「はい・・・」

「・・・この幸せ者・・・」

「・・・」

「ところで・・・五年後対策はおすみですか・・・」

「いや・・・具体的にどうしたらいいか・・・」

「その頃・・・美雨ちゃんは・・・中学生・・・場合によってはもっと早まるかもしれません・・・子供ではどうにもならないことがありますからね」

「はい」

「たとえば・・・あなた自身の面倒を見てくれる・・・そういう施設をあらかじめ決めておくことも必要です」

「・・・何もできなくなってからじゃ・・・遅いということですね」

「それに・・・障害者手帳や・・・介護保険の申請などの手続きの問題もあります。資産の管理や・・・娘さんの進路相談なども含めて・・・後事を託せる人にお願いしておかねばなりません」

「・・・」

「もちろん・・・私も医師として全力を尽くしますから・・・」

「・・・先生」

紙ナプキンには

インクがにじむから

忘れないでって

やっと書いた

・・・もう、わかったよ。

日曜日の圭介は一人ショッピングに出かける。

青果店の看板娘の菜子(吉田里琴)に声をかける圭介。

「中学一年生って・・・誕生日のプレゼントに何が欲しいのかな・・・」

「えー・・・圭介さんが・・・私にプレゼントくれるの・・・どうして・・・それってやばくない」

「いや・・ごめん・・・菜子ちゃんにじゃなく・・・中学生の・・・親戚の子にね」

「なあんだ・・・菜子、ちょっとときめいちゃったよ~」

「・・・菜子ちゃん」

すまん・・・引用すべき歌詞がもうない。

とにかく・・・圭介はみんなに愛されているんだなあ・・・。

そして・・・圭介は美雨一筋なのである。

13才の誕生日の贈り物。14才の誕生日の贈り物。15才の・・・。

圭介はあげられなくなってしまった場合の未来の誕生日プレゼントをストックしたのだった。

そして・・・ヴォイス・レターを添えるのである。

本当は録音じゃなくて・・・直接おめでとうって言えるといいんだけど。

もしもの時のために録音しています。

美雨・・・誕生日おめでとう。

中学は楽しいですか。

小学生の時の美雨は・・・幼稚園の先生になりたかったり、ケーキ屋さんになりたかったり、バレリーナになりたかったり・・・いろいろと夢を持っていましたね。

今も夢を持っていますか。

夢を持つのは素晴らしいことだと思います。

夢を見ている美雨を父ちゃんは世界で一番好きです。

その頃・・・美雨はスケッチブックに将来の夢の絵日記を綴っていた。

私の夢はお医者さんになって

父ちゃんの病気を治してあげることです。

それが無理だったら看護師さんになります。

号泣するほどに・・・愛しあってるな。

小さなアワも

恋のように

消えて行った

遠いあの日

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2012年9月10日 (月)

ちょんわ~ちょんわ~(杏)桓武平氏貞盛流北条家の面目丸つぶれ・・・(遠藤憲一)

北条政子の家系については諸説あるが・・・妄想的には従兄弟にあたる平将門を討伐した平鎮守府将軍貞盛の系譜に属するものと考える。

将門に何度も敗北を喫しながらついに父の仇を討つ執念こそが・・・北条政子の血にふさわしいのである。

平貞盛の子が維将、その子が維時、その子が直方、その子が聖範、その子が時直、その子が北条時家である。

政子の父・時政は時家の孫に当たる。

ちなみに平維将の弟・維衡の家系が数代を経て伊勢平氏の清盛に通じているわけである。

つまり、北条政子は一応、平清盛の遠縁の娘ということになる。

しかし、東国に土着した北条家の長女は雅なる平家とはまったく異質の女将軍の素質を秘めていたわけである。ちなみに政子の名は健保六年(1218年)に命名されたものだという。

だから・・・現時点では丑年生まれなので丑姫(仮称)とでも呼ぶ他はないのだ。

で、『平清盛・第35回』(NHK総合20120909PM8~)脚本・藤本有紀、演出・渡辺一貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに出家した平清盛入道の威厳に満ちた描き下ろしイラスト大公開である。結局、普通の人々の考える平清盛のイメージとはコレなのだろう。そういう意味で汚いとか、軽いとか、青臭いとか言われ続けた松山ケンイチが見事に「平清盛」その人になりきった姿と言える。役者やのう・・・と言う他はない流石のキャラクター作りが圧巻だった。もはや、革命は成ったのである。しかし・・・平家に対する王家は粘り腰で・・・なかなか日本の国を譲渡さないわけである。そこで・・・清盛は福原で独立してしまうわけである。それを遷都として歴史的軌道修正するのが王家の底力なのだな。いわば太平洋戦争「敗戦の日」をずっと「終戦の日」と言い続ける姑息さこそがその身上なのでございます。

Tairakiyomori33 仁安三年(1168年)に重い病を得てそこから回復した平清盛は比叡山延暦寺の天台座主・明雲を戒師として出家する。これによって清盛は比叡山に影響力を持つようになり、同時に村上源氏中院流という公卿一族とも関わりを持つようになる。平家が頂点を極めるにつれ、当然の如く湧き上がる「出る杭は打つ」体制に対して、対抗する手段は何でもやってみるという姿勢である。同時に清盛は妻の妹の産んだ後白河上皇の子を高倉天皇として即位させる。ついにキングメーカーになったのである。しかし、昇れば昇るほど抵抗勢力の圧力が増すのが人の世の常なのだ。それを読んだ清盛は地方で独自のまつりごとを実施する道を選択する。平安京で清盛の役を肩代わりした長子・平重盛にとっては恐るべき重圧がかかったことは想像に難くない。福原で地方からの改革を始めた清盛を出家して二位尼となった平時子は源氏物語になぞらえる。「ひときわときめいているわが君は世の中のあさましさに居心地の悪さを覚え、住み慣れた都を離れ、西の海に新天地を求めて旅立たれたのでございます・・・妻たるもの・・・夫の為すことに不平は言わず・・・六波羅の地をしっかり守るのが務めなのでございます。殿がなくても平家屋敷の庭は荒れ果てたりしないのです」・・・妻と夫は一蓮托生なのだった。

いくつかの乱を経て・・・復興なった平安京であるが、都を一歩出れば、貧しい民の暮らしは荒廃の極みを迎えている。

清盛は流通こそが・・・その貧しさを癒すものと心得ていた。

そのために・・・福原(神戸)の開港は急務なのである。

清盛は残る半生をその事業に捧げる決意をしていた。

難波の津から福原へ平家船団が海路を行く。

左右には平盛国(鱸丸)、平盛俊(兎丸)が従っている。盛俊は清盛から愛妾の厳島の巫女を与えられており、盛国とは父子の契りを結んでいる。

三人は平清盛ももう一つの顔、平海賊王によって固く結ばれている身内だった。

「兎丸・・・福原の山城はどうなっておる」

「摩耶の山が山賊砦としては充分の構えになっておりやす」

「そうか・・・」

「摩耶の山では波音が・・・清盛様の血を引く孫娘たちにくのいちの仕込みをいたしておるとか」と盛国が口添える。

「ほほう・・・それは楽しみじゃのう」

齢五十を過ぎて衰えぬ清盛の精力が満面の笑みとなって現れる。

両面宿禰の霊力を会得した清盛には闇の力への傾斜もあるのだった。おのが血をひくくのいちたちと愉悦を共にすることに何のこだわりもない。

一方、清盛の表の顔は新たな湊を築くという大事業に向けて目を輝かせるのである。

盛国も盛俊も複雑な性格を見せる主へ畏敬の眼差しを注ぐのであった。

その頃、都の霊山の一つ鞍馬山では源義朝の九男が遮那王が僧侶相手の稚児の勤めを終え、山中の泉で身を清めていた。肛門に塗られた油や注ぎこまれた坊主たちの体液を洗い流すのが夜の日課となっている。

そこに天狗の面をかぶり、後藤基清が現れる。

遮那王の並々ならぬ素質は捨てがたく・・・基清は父の実基には内緒で・・・遮那王に忍びの手ほどきをしているのだった。

獲物は鉄芯を仕込んだ笛である。

基本は刀剣に対する受けによる護身術であった。

非武装に見えて武装と言うのが「妙」である。刀剣の最初の一撃を笛で受けて、遁走するわけである。

しかし、「戦」について異常なほどに非凡である遮那王は数日の訓練で返し技を考案していた。

斬り込んだ基清の刀を交わした遮那王は笛を基清の手首に打ちこみ、次の瞬間、基清の刀を奪い取っていたのである。

「これは・・・」

「牛若流じゃ・・・」

おのが刀を首筋に突き付けられて基清は唖然とした。

齢十才の子供に基清は降参した。

はるか東の地・・・伊豆の韮山では遮那王とさほど変わらぬ年頃の女児が白い猪と対峙していた。

白い猪の体躯は並みの猪の三倍はある。その挙動も不審であった。

女児はすでに鎌を構え、臨戦態勢に入っていたが・・・白い猪はまったく動かず、猪突猛進をしてこないのである。

「ウシヒメよ・・・」

女児は仰天した。口をきく猪などきいたこともないし・・・まして我が名を呼ばれるなど思いもおよぱない。

「なんと・・・お前は山の神か・・・」

「ワシは西の伊吹山の神霊じゃ・・・」

「いぶきやま・・・」

「ふふふ・・・この山は美羅(みら=韮のこと)が豊富でな・・・時々、食しにくるのじゃ」

「神が・・・ニラを食すのか・・・」

「神とて・・・生きておるからな・・・」

「なるほど・・・」

「ふふふ・・・素直な子じゃ・・・神のお告げも心して聞くがよい・・・」

「おつげ・・・」

「美羅を食すのはついでのことじゃ・・・神の道を通り、この地に来るは別に用があるからじゃ・・・」

「ほほう・・・」

「昔・・・ワシは大和の神に痛い目にあってな・・・古傷がまだ痛むわ」

「ふむ」丑姫はすっかり白猪に同情した。もの言う獣は幼い心を鷲掴みにするものであるからだ。

「この地には・・・大和の神に仇なすものが流れてきておる・・・」

「もののけか」

「いや・・・人じゃ・・・ふふふ・・・その人はお前の夫になるものぞ・・・」

「わが・・・君に・・・」

「そうじゃ・・・」

「そのものはどこにおる・・・」

「それは・・・時がくれば分かる・・・その時はまもなくじゃ・・・」

「いつじゃ・・・」

その時・・・風が巻き起こった。

気がつくと白猪の姿は消えていた。

丑姫は・・・下腹部に鈍痛を覚えて蹲る。

初潮だった。

何故か夢見心地のまま丑姫は足音が近づくのに気がついた。

男が背後から声をかける。

「・・・いかがした・・・」

丑姫はその声をうっとりと聴く。

(わがきみだ・・・わがきみがきた)

山の西の斜面に夕日が差し込み・・・周囲が金色に染まる。

(ヤマトに仇なすもの・・・わが・・・夫)

丑姫は心の中で何度も言葉を繰り返した。

蹲った幼子を源頼朝は静かに見下ろしていた。

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2012年9月 9日 (日)

霊能力のある空き巣、霊能力のあるたいやき屋のおばあちゃん・・・かよっ。(仲間由紀恵)

ヤングなでしこ・・・できるならタイムマシンに乗せてドイツともう一回やらせてあげたい。

ドラ・・・まあ、いないものに頼ってもしょうがないよな。

不可逆性に支配されたこの世界。

一度罪を犯せば前科者の烙印は一生つきまとうわけである。

それでも「おてんとうさま」は見ているから・・・罪を憎んで人を憎まず的な生き方を求めるものは多い。

フィクションはその間で揺れ動く。

無力なゴーストたちが・・・善意に満ち溢れ、無能な霊能力者が善行を施す。

この・・・予定調和な世界に・・・乾杯である。

まあ・・・身に覚えのあるものは落雷に気をつけた方がいいわけだが。

天罰なんてものはもちろん、ありませんと断言しておきます。

悪魔でございますから~。

で、『ゴーストママ捜査線~僕とママの不思議な100日~・第8回』(日本テレビ20120908PM9~)原作・佐藤智一、脚本・松田裕子、演出・森雅弘を見た。地味なゲストで良心の呵責の話である。そもそも・・・古の心理学的には良心とは上位自我である。自我が形成される段階において・・・模倣状態で行動規範などを真似る対象の存在があり、自我の原型となる上位自我が形成される。たとえば・・・トイレのしつけなどがその基本である。つまり・・・おしめをとりかえてもらう存在ということである。で、それは基本的には両親であり・・・つまり、だじゃれでもなんでもなく、良心とは両親のことなのである。

もちろん・・・片親でも、施設の寮母でも、祖父母でも・・・良心の礎には成りえるのである。

宗教の徳目がこれに影響を与えることも大で・・・時に上位自我は「神」の姿をしている場合もある。

日本のような国家の場合、敗戦国としての特殊な状況もあるが・・・本来、多神教的性格が強いため、神としての上位自我は「お天道さま」に集約される。

このあたりを意識していないとたやすく、新興宗教にはまる場合があるので注意が必要である。

母なる自然は常にそこにあるものであって・・・第三者・・・特に人間がそれを支配したりできないことを理解しておくことが肝心なのである。

航平(沢村一樹)の写真館に二人組の空き巣が侵入する。

日本人の根っからの悪の佐川ユウジ(大口兼悟)とミャンマー人の流れ者・北島亮(森崎ウィン)である・・・おいっ。

ゴーストママの蝶子(仲間由紀恵)とゴースト愛犬家の三船(生瀬勝久)は為す術がない。

しかも・・・空き巣見習いの北島はゴーストを見る目を持つ若者だった。

たまたま・・・航平が帰宅したために事無きを得るのだが・・・二人のゴーストは霊感青年・北島に興味津々なのだった。

「ゴーストが見えるって特技をいかせないものなの・・・」

「霊媒師になればいいじゃないか・・・」

と北島の更生を促す二人のゴーストたち。

「そういうのって霊能力の有無じゃなくて・・・口先のうまさがないとダメでしょう」

と北島は冷静だった。

そんなある日・・・例によって道で転んで自動車に轢かれそうになったところで北島に助けられるとんぼ(君野夢真)だった。

「やはり・・・いい子なんだ」と短絡的に感じるゴーストママである。

ここで東京とは思えない狭い町シンドローム発症である。

蝶子の義理の娘である葵と高校の同級生である淳也(真田佑馬)が北島の幼馴染だったのである。

もう、つっこむ気力もないわっ。

真田から北島が「ガキ大将だったけれど・・・面倒見がよくていい年上の人だった・・・両親が中学生の時に事故死してから・・・ぐれちゃったらしい・・・たしか・・・たいやき屋のおばあちゃんに育てられていたはずの」転落の人生を送っていることを聞きだすゴーストママだった。

さっそく・・・北島のルーツを求めて・・・ゴーストママととんぼは再開発の進む北島の思い出の街を探索するのだった。

そこには「3年B組金八先生」の国井教頭先生ではなくて北島の祖母(茅島成美)が今も「たいやき屋北島」を営んでいたのだった。

そして・・・北島の祖母もまたゴーストが見える人だったのだ。もう、蝶子の出番を簡単に作れるなげやりな展開である。

「高校をやめて・・・家出した・・・あの子の帰りを今も待っている」

そんな老人の希望を受け取り・・・たいやきを北島に届けるゴースト母子である。

改心した北島は・・・自首を決意して兄貴分のユウジに報告する。

ユウジは北島を撲殺して・・・北島もゴーストになるのが普通だが・・・ドラマなのでゴーストママとゴースト愛犬家が火事場のゴースト力を発揮して・・・ユウジを昏倒させるのだった。

「ばあちゃんに伝えてください・・・罪を償って必ず帰ると・・・ばあちゃんの待っててくれるかな」

「刑期にもよるけどな~」

「大丈夫ですよ・・・たとえおばあちゃんが天寿を全うしても・・・彼にはゴーストが見えるんですもの・・・」

「あ、な~るほど」

「・・・」

そして、夏の夜の闇はいろいろなあれやこれやを隠し尽くすのだった・・・。

いよいよ・・・別れの予感高まる・・・最終回へ・・・この低視聴率でも・・・二時間スペシャルかよっ。まあ・・・実質十話の予算なんだな。

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2012年9月 8日 (土)

道に倒れた老人を見捨てるのは罪ですか?(広瀬アリス)

驚くべきことに・・・刑法217条によれば「老年、幼年、身体障害者又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄する罪である」遺棄罪もあれば、刑法218条によって「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしない罪」である保護責任者遺棄罪・不保護罪も成立する可能性がある。

道に倒れて苦しんでいる老人にはけして声をかけないことが大切である。

見て見ぬフリをするのだ。

そうすれば・・・罪に問われた時に「気がつかなかった」と主張できる可能性があります。

今回の場合、被疑者は「老人に声をかけ安否を訪ねている」ので完全にアウトなのだな。

まあ、未成年者のやることだから罪に問われても厳重注意くらいですます範囲であろう。

たとえば・・・相手が組織暴力団に属するものだったり、仮病で旅行カバンにつめこもうとしているものだったりもありますからな。

君子危うきに近寄らず・・・と悪魔は申し上げておきますぞ。

そういう考え方が・・・無縁社会を作るのでは・・・。

ハハハ、縁なき衆生に何をか言わんや。

で、『黒の女教師・第8回』(TBSテレビ20120907PM10~)脚本・藤井清美(他)、演出・岡本伸吾を見た。所詮は脳内の絵空事の連打なので・・・至るところで破綻する脚本が痛々しいのであるが・・・まあ、それが青春というものだかな。シチュエーション・コントとしては無理矢理フォーマットに納めていることだけでも評価したいと考える。

生徒が問題起こす・・・黒の女教師に泣きつく・・・黒の女教師が敵を制裁・・・とりあえず次週へ。そういうヴァリエーションを考えるのは基本中の基本だからである。

ここまで、都立国文館高校は芹沢校長(南果歩)がジェネラル、堀田副校長(光石研)がコマンダー、黒の女教師たちが実戦部隊という構成なのかと思っていたら・・・堀田福校長は組織外の人間だったらしい。まだ芹沢校長が黒幕である思わせぶりなシーンは挿入されているが・・・トリオだけが「独善的な営業活動」をしているなら・・・底の浅い話である。

いや・・・元々がそんな大それた話じゃないんだろう。

元教師で執念深い老人(品川徹)は屈伸運動のデータ集めすぎで足を負傷したにも関わらず助けてくれなかった女子高生を逆恨みして国文館高校に乗り込んでくる。

大学の面接試験に遅刻しないため、老人を見捨てたのは佐伯江衣花(広瀬アリス)だった。不祥事が表沙汰になるといろいろと面倒だと感じた堀田副校長は機転を利かし、たまたま、校則違反の読者モデルになった梅原優(中条あやみ)の停学処分を利用して身代わり犯人に仕立て上げる。梅原はファッション関係の専門学校への進学が決まっているために些少の不都合は問題ないと判断したのである。

しかし・・・老人は女子高生とどうしても知り合いになりたいので梅原の自宅に押しかけようとするのだった。

黒の女教師に指令が下り・・・三人は歩道橋で老人を待ち伏せる。

「愚か者」とトリプルキックが炸裂。老人は転落死するのだった。

「しつこい男は嫌われるって学校で習わなかった?」

「それは習わないんじゃないかな・・・?」

「いや、先生によっては言うんじゃないかな」

とにかく・・・こうして学園の平和は守られたのだった。

そして経営手腕を買われた堀田副校長は・・・私立の名門高校の校長として招聘されたのである。

・・・おい、妄想が過ぎてるぞ~。

まあ、いいじゃないか。なにしろ、怒涛のハッピーエンドに突入するボーイズ・オン・ザ・ランで不死身の青山さんを堪能なければならないんだから~。

まあ、とにかく・・・生徒たちは生徒たちでいろいろと悩みを抱えるのだった。

謎の転校生トシオ(松村北斗)はどうやら・・・誰かの復讐に来ているらしい。

その謎はまだ明かされないのだが・・・どうせたいした謎じゃないな。

教訓があるとすれば「ワシントンは正直者をアピールするためにあえて桜の木を折って大統領になった」ということです。

悪事を働いても傷心しない強い精神力を鍛えることも修行しだいですからな。

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2012年9月 7日 (金)

MajiでAyaしい結婚報告もらっちゃいました(広末涼子)

睡眠不足である。

昨日は全長10メートルの幼稚園児に追いかけられる夢を見てしまった。

ドスン・・・ドスン・・・と足音を響かせながら接近する巨大園児から走って逃げるのである。

入り組んだ路地裏でやり過ごそうとしても必ず見つかってしまう。

ダッシュすればふりきれるのだが・・・一休みしているとたちまち追いつかれてしまうのである。

一体、捕まったらどんなことになるのだろう。

案外、楽しいことになるのかもしれないと思う一方で恐ろしくて絶対に捕まるわけにはいかないとも思う。

なぜなら・・・園児のつりあがった目は明らかに怒気をはらんでいるのだ。

ドスン・・・ドスン・・・ドスン・・・ドスン・・・。

街並みを走り抜けても・・・走り抜けても・・・。

ドスン・・・ドスン・・・。

目覚めるとそれは自分の心臓の音だったのだ。

どんなホラー映画より・・・自分の夢が一番こわいといつも思うのだった。

で、『東野圭吾ミステリーズ・第9回・結婚報告』(フジテレビ20120906PM1035~)脚本・寺田 敏雄、演出・村上正典を見た。1999年、19才だった広末涼子は東野圭吾原作の映画「秘密」でヒロインを演じている。この作品で日本アカデミー賞の優秀主演女優賞を受賞しているのである。まあ、人間にピークというものがあるとすれば・・・この年の広末涼子はひとつのピークに達していたと言える。「鉄道員」では優秀助演女優賞を受賞し、野島伸司脚本のドラマ「リップスティック」でもヒロインを演じている。あれから・・・歳月が流れて・・・。

スーパーでよその子供に「お母さん」と間違われる役柄になったのである。

ま、実際、二児の母なのでまったく問題ないのである。

ただし・・・ドラマの中で演じるのは30才だと言うのに半月前に派遣社員の契約を切られ、現在無職で休職中、未婚で独身の飯田智美(広末涼子)である。

ちょっと物悲しい感じがいい味出してます。

そんな智美の元へ、短大時代の友人・典子(山口紗弥加)から「結婚報告」の手紙が届くのであった。

ところが・・・奇妙なことに同封されていた写真は・・・見ず知らずのカップルであった。

相手の男性は知らなくて当然だったが・・・女性の方も典子とは全くの別人だった。

疑問を解決しようと典子に連絡するが電話もメールもつながらないのだった。

鬱屈していた智美は好奇心に促され・・・手紙にある典子の新居を訪問してみることにした。

そこは・・・小田原だったのでちょっとした観光気分だったのである。

しかし・・・典子の新居は留守だった。たまたま帰宅した隣の部屋の住人・桜井祐二(平岳大)に件の写真を見せると・・・「確かに・・・お隣のご夫婦です」と言われてしまうのである。

一体・・・典子を名乗る女は誰なのか・・・典子はどこへ消えてしまったのか・・・智美の疑惑は深まるのだった。

そして、ついにマンションを管理する不動産屋経由で・・・典子の結婚相手・山下昌章(大倉孝二)の勤務先に乗り込んでしまうのだった。

こういう猪突猛進な役柄が今の広末には意外とフィットするのだな。

しかし、山下は・・・「典子は旅行中」と言うばかりで挙動不審の様子である。

「ひょっとしたら典子はなんらかの事件に巻き込まれたのでは・・・」と智美は旋律するのだった。

そんな折、山下からメールが届き・・・人気のない展望台に呼び出される智美。うかつにものこのこと出かけていく智美は何者かに崖から突き落とされるのである。

九死に一生を得た智美は地元の警察に救助され・・・山下には殺人容疑がかかるのだった。

しかし・・・山下は・・・「それは・・・紛失した仕事用の携帯電話なのです」と説明。そして・・・山下には犯行時間のアリバイが成立するのである。

そんな折・・・行方不明の典子から電話がかかってくる。

そして・・・写真の女が山下の浮気相手の堀内秋代(大塚千弘)だと告げるのである。

これで・・・主な登場人物は揃ったのだが・・・ここから・・・軽くツイストが繰り返され・・・意外な人物が狂気の殺人鬼として浮上してくるのである。

なかなか手に汗握る展開なので・・・このブログとしては珍しく結末は伏せることにする。

ただし・・・オチは・・・書いておく。

最後の最後で智美はまたしても・・・小学生の母親に間違えられてしまうのだった。

まあ・・・若いことは素晴らしいことなのだが・・・三十路を越えても女優はそれなりに魅力的であることができる・・・そういう一篇に仕上がっています。

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先週の東野圭吾ミステリーズ

で、『VISION-殺しが見える女-・第9回』(日本テレビ20120907AM0028~)脚本・原案・脚本:飯田譲治、演出・星野和成を見た。「波動」をめぐる「超科学」の導入である。監禁状態から解放された玲奈(山田優)は精密検査の結果、担当医の田所医師(神尾佑)から脳内に人工物が埋設されていることを告げられる。人工物は帯電作用があり・・・その部分への手術は幼少期でなければ困難と言う設定である。まあ・・・母親・玲子(朝加真由美)のから遺伝的に「死者を見る能力」を継承している時点でファンタジーなので特に問題はないのである。

どうやら・・・玲奈は謎の組織により霊能力を増幅された改造人間らしい。

ある意味、「深夜の仮面ライダー」展開である。

今回のクリスティーナ殺人鬼はとある会社の社長秘書・竹村幸夫(丸山智己)である。

彼は社長の女性スキャンダルを金で示談にするように命じられるが・・・殺人によって解決し始めるのだった。

そして・・・すべての社長の愛人を殺し始めるのである。

その一人が同僚の千春(上野なつひ)である。

奇しくも、「エコエコアザラク〜眼〜」(テレビ東京2004年)で霊能力者同士で共演した上野なつひ、朝加真由美の再会だった。

竹村は二人の殺人に成功するが・・・ついに玲奈の能力を積極的に利用して捜査することを決意した和馬(金子ノブアキ)によって千春は九死に一生を得るのだった。

上野なつひも27才である。

黒井ミサ以来、脇役街道まっしぐらだが・・・貴重な和風美人である。

末長く頑張ってもらいたいよね。

4姉妹探偵団

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2012年9月 6日 (木)

母なる自然の呼び声、赤ちゃんに逢いたいさ(仲里依紗)

二夜連続、女児誘拐事件発生である。

同じマンションに住む子供を誘拐し、ついでに自分の父親を殺害したり、旅先でで旅行カバンに子供を詰め込んで、車のトランクに押し込み、初老のタクシー運転手に捕獲されたりと・・・常軌を逸した若者たちである。

こういう場合、「心の闇」が問題視されたりするわけだが、要するに常軌を逸した個人がいるだけなのである。

いつだって、幼女を誘拐して殺したり、小学校に乱入して皆殺しを始める人間は残念なことに出現する。

複雑な人間の心理機能はそういうことも可能なほどに衝動的であるからにすぎない。

そういうものに遭遇することは加害者、被害者ともに運不運の問題であろう。

今回は両件とも幸運なことに官民の活躍により、女児たちの生命は維持された。

フイリピン沖地震に続くコスタリカ地震もそうだが「二度あることは三度ある」ので子供を持つ親はしばらくは用心深くあるべきであろう。

「三度目の正直」が発生しないことを心から祈りたい。

暑い夏はまだしばらく続きそうだから。

で、『NHK ドラマ10・つるかめ助産院~南の島から~・第2回』(NHK総合20120904PM10~)原作・小川糸、脚本・水橋文美江、演出・佐々木章光を見た。原作者は「食堂かたつむり」のベストセラー作家である。東北のお嬢様の言うことだからややお花畑で恥ずかしい感じもしますがこういうのは一種の定番ですからな。心洗われたい人には必要なテイストでございましょう。

あこがれだった地球

すごくきれいで夢見ていた降り立つのを

生まれ落ちた瞬間にすべてが光となった

僕は言葉を忘れただの子供に戻る

・・・的な。

小野寺まりあ(小林星蘭→仲里依紗)は幼くして死んだ姉妹のために母親(賀来千香子)との関係に鬱屈を感じている女である。

結婚一年目の夫・達也(溝端淳平)が突然、失踪したために、妊娠中であるにも関わらず、夫の行方を求めて、ハートの形をした南の島へやってくるが・・・夫は見つからない。都会に戻ったまりあは人工中絶手術による堕胎を試みる。

手術台に乗って足を開いたまりあに胎児(鈴木福)は本能的な危機を感じるが為す術をしらないのであった・・・。

乙女たちの幻想の楽園・・・ハートの形をした南の島には何もない。

沖縄の美波間島出身のゲイバーのマスターでありゲイゲイ星から来たゲイ星人でもある大野原ハジメ(ゴリ)はそう語るが・・・まりあにはそこに何かがあるような気がしてならないのである。ここにゲイと乙女の暗くて深い河が流れているらしい。

夫をそそのかし、会社を辞めさせ、家庭も捨てさせたハジメをぶんなぐりたいまりあだが、乙女にはゲイを殴る拳が備わっていないのが一般的である。

まりあは・・・ハジメの捨てた島へ舞い戻る他ないのだった、。

そこにはたまたま当たった宝くじで沖縄旅行に来て、そのまま島にいついてしまった助産師・鶴田亀子(余貴美子)が経営する「つるかめ助産院」があるのである。宝くじさえあたればどんな現実逃避も可能だという現実逃避の話なのだ。

島の長老である美波間診療所医師・長井(伊東四朗)とともに「子供はみんなの宝物」運動を展開中なのである。まあ、一種の草の根少子化対策です。

とにかく、「妊娠・出産」はすべての免罪符という思想である。

そして・・・生れた子供は島全体で養育するという集団幻想を維持しているらしい。

まあ・・・メルヘンですからあまり深く考えないことです。

そこに・・・青い服の似合うベトナムからの研修生がいる。元をただせばアンドロイド・シスターミキである・・・わけないだろう。沖縄人かと思っているとベトナム人だったパクチーを演ずるのは水崎綾女である。キッドは基本的にパクチー目当てで見ています。まあ、最初はセブラクイーン目当てだったわけですが・・・と思いきや・・・雅ちゃん(有村架純)も登場。とりあえず・・・南の島にそそるトリオ誕生である。

少なくとも・・・キャスティング的には大勝利だな・・・誰的にだよっ。

つるかめ助産院のスタッフは他に看護師のエミリー(佐藤仁美)と雑用係のサミー(中尾明慶)がいます。

帰ってきたまりあを優しく迎える亀子たち。

中絶反対派の長老は「なぐってでも産ませる」と息巻くのですが亀子はとにかく、傷心のまりあを受け止めてあげることが大事だと思っているようです。なにしろ、宝くじに当たっちゃうような女なんですから。

そこに夫に五年前に捨てられた上原理恵(麻生祐未)の娘・サヨリ(有村架純)がやってくる。

島に遊びに来た大学生とやっちゃってできちゃったらしい。

亀子から「妊娠三ヶ月」を告げられたサヨリは大喜びなのである。

しかし、母親の理恵は島の女としては不適切に娘の前途を危ぶむのだった。

「産ませません」

「どうして」

「だって・・・娘は結婚してないんですよ」

「ええ」

「うちは・・・母一人子一人なんですよ」

「ええ」

「この子の父親は五年前にこの子と私を捨てたんですよ」

「ええっ」

「この子は結婚するつもりらしいけど・・・捨てられますよ、きっと」

「はあ・・・」

しかし、娘の決意は固いのである。

「捨てられたって。赤ちゃんは産むからね。だってお母さん、いつも早く孫の顔見せてくれっていってたさ」

正論なのである・・・とりあえず、この島では。

その日はちょうど島で唯一のタクシー運転手・トクさん(柳沢慎吾)の四男のお食い初め(生後100日目の赤ちゃんに 初めてごはんを食べるマネをさせる儀式)の日だった。

産む産まないの議論もそこそこにお披露目会場に向かう一同である。

子供の母親・おトク(松田沙紀)は満面の笑みで一同を迎えるのである。

「お酒も料理もいっぺぇあるよ~」

そして・・・主役の赤ちゃんをまりあに抱かせようとするのである。

しかし、鬱屈したまりあは「私は関係ないから・・・」と断るのだった。

そこでサヨリが「あの・・・いいですか・・・抱いても」と申し出る。

サヨリは赤ちゃんを抱いて・・・「かわいい」と天使の笑顔を披露である。

すかさず、洗脳を開始する亀子だった。

「まりあちゃん・・・子供はみんなのものだよ。この島では誰の子供であろうともみんなで慈しみ育てるの・・・子供を大切にするっていうことは未来を大切にするっていうことだからね。子供は宝物なんだから」

すると・・・出産に反対していた理恵がすかさず反応するのだった。

「みんな・・・私、おばあになるさ・・・みんな、手を貸してくれるね」

「アイエナ~(めでたいねえ)」と理恵とサヨリとお腹の子供を祝福する一同だった。

三線三昧である。

その夜・・・まりあは重い口を開く。

「あの・・・あの・・・私、産もうと思って・・・」

「え・・・堕胎したんじゃ・・・」

「病院に行ったけど・・・急に・・・赤ちゃんに逢いたいって・・・そう思って」

「ウワリカムイ(アイヌの産婆神)!」

「そしたら・・・この島のこと・・・思い出して・・・」

「・・・」

「それで・・・はっきりわかったんです・・・私のお腹にいるのは・・・たからものなんだって」

「わたしもあいたかったよ・・・あなたとあなたの赤ちゃんに・・・」

「ここで・・・産んでもいいですか・・・」

「もちろんよ~」

風さわやかな島の朝を自転車で並走するサミーとパクチー。

「いや~けど、どうするば? 産むって事は彼女はずっとここにいるって事? 旦那は? どんな事情か聞いた?」

「聞イテマセン」

「じゃ、どうする? これからどうするばぁよ?」

「コレカラノ事ハコレカラデス」

「これからが大変だのに? 産むって事はそんな簡単な事じゃないさ! 先々の事はどうするばぁよ!」

「さみーサン、ウルサイデス」

もう・・・とにかくかわいいどこぞのアジア人モード炸裂のパクチーだった。

まあ、あれだな。・・・そこへいけばどんな赤ちゃんも生めると言うよ。ガンダーラかっ。

・・・的な。

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ホタルノヒカリ

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2012年9月 5日 (水)

クリスマスイブにバスルームより呪いをこめて(早織)

このタイトル、ネタバレだよな・・・何をいまさら・・・。

死に顔が・・・多部未華子に似ていて・・・多部未華子にポジション奪われてる・・・感じが強まった。

まあ、芸能界は基本、イストリゲームだからな。

ミステリついでに言っておくと・・・「浪花」の後は「沢村一樹の浅見光彦シリーズ・箸墓幻想」だったわけだが、草笛光子・78才と松原智恵子・67才が女子大学で親友同士だったという設定・・・。ひとまわり違う配役が気になって気になって後半部分がまったく感情移入できなかった・・・。ま、浅見光彦シリーズではありがちなことだがな。次回からは速水もこみちの浅見光彦である。

ヤングなでしこはドイツの電撃作戦にやられたな・・・。

ま、開始前にリラックスしすぎだったかもしれないが・・・このキャピキャピ感が売りだからな。

三位決定戦はがんばってもらいたい。女子サッカーの灯を消さないために・・・。

で、『浪花少年探偵団・第10回』(TBSテレビ20120903PM8~)原作・東野圭吾、脚本・沼津そうる、演出・池澤辰也を見た。いきなり、「電車男」の劇中アイドル武田花梨にしてケータイ刑事・銭形雷そして「帰ってきた時効警察」の真加出くんの旧芸名・小出早織の死亡である。どうなることかと思ったが・・・後半、日記による回想展開で出番を確保の巻でした。乙女幻想爆発の回であり・・・シリーズの白眉と言えるのではないか・・・。

・・・カレンダーを完全無視した浪花の街のクリスマス・イブ。

しのぶセンセ(多部未華子)を狙う二人の男はアタック・チャンスを窺うのだが、赤いストッキングで挑発するだけしておいて、初心でネンネのしのぶセンセは華麗なるスルーをかまし続ける。

「僕の部屋でホームパーティーいかがですか・・・」

母親(松坂慶子)とショッピング中のしのぶセンセを襲うボンボン本間(山本耕史)である。

しかし、たちまち・・・児童たちとの教室クリスマス・パーティーの主催者にされてしまうのだった。

しのぶセンセのために飼った赤いバラは例によって榛名先生(木村文乃)のものになってしまうと思いきや、群がる女児軍に無残にも強奪されるのだった。

少年探偵団のバックアップでライバル・新藤刑事(小池徹平)もかけつけ・・・もうわやや・・・である。

そこに中田教頭(小日向文世)がクリスマスケーキを持って登場。

歓喜の渦である。しかし・・・本間が切り分けようとしたケーキの中からは・・・血ぬられたナイフが出現したのだった。

恐慌に陥る一同だった。

その頃、結婚を間近に控えた24才の女性・藤川明子(早織)がバスルームで手首を切って死んでいるのが発見される。

第一発見者は明子の親友・高野千賀子(松本まりか)だった。

駆けつけた漆崎刑事(段田安則)は凶器が消失していることから他殺を疑う。

そして、現場で被害者のダイイングメッセージらしい血文字「ケーキ」を発見するのだった。

その時・・・ナイフを発見した進藤刑事から一報が入る。

「なにしてるんや・・・」

「クリスマスケーキからナイフが出てきました」

「何・・・」

その頃・・・6年2組のマドンナ朝倉奈々(浜辺美波)の母親・ナース町子(笛木優子)の西日に染められた浪花上空にUFO(未確認飛行物体)を見たのである。

死体・ケーキの中のナイフ・UFO・・・もちろん、それは運命の赤い糸で結ばれていたのだった。

とはいってもブタ志村は無関係です。意味不明のフレーズを挿入するなよ。・・・いやあ、上野なつひが一番ノーマルな役柄の昼ドラマって・・・超絶的だよな。

やがて・・・教頭先生が購入したケーキがキャンセルされたもので・・・その発注主が第一発見者の千賀子の婚約者である松本悟郎(井坂俊哉)であることが判明する。

その日、死んだ明子と婚約者の酒井直継(金井勇太)、そして松本と千賀子はダブルデートのクリスマスパーティーを開催する予定だったのだ。

しかし・・・恋愛には奥手のはずのしのぶセンセは被害者の部屋に飾られた写真を見るなり・・・事件の真相に接近するのだった。

明子と酒井、松本と千賀子の四人が写るその写真。酒井は目をつぶった変顔だったのである。

「好きな人の変な写真を飾るなんて絶対おかしい」

やがて・・・被害者の部屋で「日記」を発見した漆崎刑事は・・・事件が「悲しい自殺」だと断定するのだった。

春、英会話スクールの講師だった松本と事務員だった明子はお互いの部屋に行き来する仲になっていた。

夏、明子を介して松本と知り合った千賀子は略奪愛を敢行する。

秋、松本の友人の地味な酒井を押しつけられ・・・なんとなく・・・交際を開始する明子。

酒井からプロポーズされ・・・仕方なく承諾する明子。

そんな明子をさりげなく、浮気相手としてキープしようとする松本。

「君といると落ち着く・・・」

殺し文句に明子の心は松本に奪われるのだった。

そして・・・クリスマスプレゼントとして松本用のセーターを編みはじめるのである。

酒井・・・一番憐れなのに最後の出番ないぞ。

しかし・・・クリスマス・イブの前日に・・・千賀子から「松本にプロポーズされて即OKした」とメールされた明子は発狂するのだった。

死を決意する明子。

しかし、不実な男・松本・・・、裏切り者の千賀子・・・。

二人には少しは苦しんでもらいたいのだ。

どうすればいいのか・・・狂った頭で懸命に知恵を絞る明子だった。

指先を切って・・・血のついたナイフを店頭に並ぶ予約済みケーキに挿入する。それから睡眠薬を飲んで、別のナイフで手首を切って・・・ナイフを風船にくくりつけ・・・窓から飛ばしてしまう・・・第一発見者は・・・憎い千賀子・・・ケーキを予約したのは恨めしい松本・・・呪いよ・・・恋の呪いなのよ・・・恋の怨みはらさでおくものかなのよ・・・。

朦朧とする意識の中で明子は泣いた。

演ずる早織ならではの哀愁ある存在感である。

真相を聞いた松本は「とんでもない女だ」と開き直る。

千賀子は「ウジウジして・・・これ見よがしに死ぬなんて最低・・・」と嘯く。

そんな大人の恋愛志向の二人に浪花純情軍団は怒りを炸裂させる。

殴りかかろうとする進藤を漆崎が押さえると・・・榛名先生が「乙女の純情をふみにじるなんてあんぽんたんだわ」と詰るのである。

しかし、前日、「黒の女教師」を視聴したのであろうと思われるしのぶセンセは松本と千賀子にビンタをかますのだった。

「愚か者・・・あんたら本気でそう思ってんの・・・口説いた女や、友達に・・・何の情けもないのかいな・・・文句があるならなぐりかえさんかい」

虚勢を張っていた千賀子は泣き崩れ、松本はうなだれる。

流れから言って「ごめんなさい」をするしかないのである。

まあ・・・さらに流れで言うと・・・故人をしのびながら千賀子と松本はこの後、イチャイチャするわけだけどな。

時は流れて・・・初詣である。

本間と進藤はしのぶセンセからプレゼントされたおそろいの手袋で記念撮影をするのだった。

しのぶセンセ・・・本当は性悪なんじゃ・・・。

学級委員長の土屋芙美(八木優希)狙いの畑中弘(高橋晃)は玉砕である。

芙美の意中の人は・・・転校した中西(吉岡竜輝)なのか・・・それとも・・・?

鉄平(濱田龍臣)とマドンナ奈々のラスト・エピソードに割り込む展開も希望します。

まあ・・・集めに集めた子役たち・・・結局、消化不良気味ですから~。

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2012年9月 4日 (火)

最後から二番目のお願い聞いて(芦田愛菜)永遠のおねだりか(豊川悦司)

最後から二番目のお願いの次は最後から三番目のお願いをするわけである。

最後から1706122番目のお願いとかをする時はもう数字は何がなんだかだけどな。

数字に弱いと損をするのだ。

だから「最後の最後のお願い」である。

「最後の最後の最後のお願い」もある。

「最後の最後の最後の最後の最後の最後の・・・お願い」もする。

これを可愛い娘にやられたらお願いを聞くしかないのだ。

様々な子供たちがいて、様々な親がいる。

幸せは人それぞれだが・・・幸せをひとつも知らずに死ぬものもあるだろうし、生きていくものもあるだろう。

「助けてください」と頼んでも誰も助けてくれない世界もある。

誰も助けられない事情もある。

それでも、地球は回っていく。独楽のように・・・バレリーナのように・・・頭の回転のように。

で、『ティフイン・第10回』(フジテレビ20120902PM9~)脚本・羽原大介、演出・水田成英を見た。美雨(芦田愛菜)の夏休み最後の日に「若年性アルツハイマー病が治らないためにずっと別れて暮らすこと」を伝えようと決意した圭介(豊川悦司)だった。しかし・・・老いた養父母が美雨の転入手続きの書類を確認しているところを目撃されてしまう。美雨に鋭く問いただされた母方の祖母・愛子(岩本多代)は問われるままに「美雨だけが沼津で暮らすこと」を話してしまうのだった。祖母としては孫が自分たちと暮らすことを厭うとは思いもかけないことだったのだろう。

物語上の年齢は定かではないが・・・祖父の一夫を演じる浜田晃(70)、岩本多代が72才である。統計的には浜田の余命はあと10年くらい、岩本は14年くらいあるわけだが、美雨(8)なので美雨の成人まで面倒見るにはギリギリの年齢なのである。それでも後、五年で養育者としては廃人となる圭介よりは将来的展望があると考えたということなのである。

希望的観測と絶望の境界線は常に隣り合わせているな。

・・・ともかく、父親が理不尽な決断を下したと認知した美雨は一人で長距離バスの乗客となるのだった。「moher」以来、おなじみの芦田愛菜一人旅である。世界の果てまで行けそうな存在感だからな。

「一人でバスに乗っちゃったみたいなの・・・バス会社の人がそう言ってるの・・・私が余計なこと・・・言っちゃったから・・・もしものことがあったらどうしましょう」

「とにかく・・・すぐに迎えにいきます・・・」

圭介は美雨を迎えた。

「着きました」

「よかった・・・よかったあ・・・」

「おばあちゃんたちに心配かけちゃダメじゃないか・・・」

「父ちゃん・・・私に何かをかくしているでしょう・・・」

「・・・」

仕方なく、圭介は美雨の一時帰宅を認めるのだった。

今回は予想通りの「遠くの親戚より近くの他人」という昔ながらの人情話展開である。

木下家で圭介は美雨に「事情」を話す。

「美雨の将来のことを考えて・・・おじいちゃんとおばあちゃんに・・・美雨を育ててもらうことにした・・・」

「なんで・・・そんなこと・・・」

「父ちゃんの病気が治らないからだ・・・」

「どういうこと・・・」

「父ちゃんはずっと忘れん坊になっていって・・・もっともっと忘れん坊になって・・・車の運転の仕方も忘れるし、ごはんの作り方も忘れるし、仕事の仕方も忘れるようになる。そして最後には父ちゃんだってことも忘れてしまう」

「美雨のことも忘れちゃうの・・・」

「美雨のことは・・・父ちゃん死んでも忘れない」

「うそつき・・・」

「ごめんなさい」

黙り込んだ美雨を説得できたと思った圭介は翌日・・・美雨を沼津に送っていくつもりだった。

しかし・・・美雨は自分の部屋に籠城である。

「美雨・・・あけなさい」

「いや」

圭介は困惑する。困った時にはアカネ(中谷美紀)である。

早速、アカネは持論によって説得に乗り出す。

「圭介さんは美雨ちゃんのことを思って・・・決めたのよ・・・わかってあげて」

「どうして・・・どうして・・・別れて暮らすのが私のためなの・・・」

「私・・・圭介さんと同じ病気の人と暮らしたことがあるの・・・」

「それは・・・誰?」

「私の旦那さんのお母さん・・・。この病気はとても大変なのよ」

「だから・・・何?・・・大切な人が大変だったら・・・助けてあげなくちゃいけないでしょ」

「・・・」

「それに・・・私はそんなことちっともつらくないよ・・・私がつらいのは・・・父ちゃんと一緒にいられないことだもの」

(そんなこと言ったってアホになった父ちゃん見たら気が変わるのよ・・・)とは言えないアカネだった。ひょっとしたら義母ではなく・・・認知症になったのが・・・実の父だったら・・・実の母だったら・・・私も違うことを考えるのかもしれないと思ったからである。

そして・・・アカネは深く傷心したのだった。

もっとも血のつながった両親祖父母兄弟が全裸で路上で脱糞し始めると「いっそ死ねばいいのに」と思うことは肉親でもあります。

アカネは説得に失敗した。

「私・・・間違っていたかもしれない・・・美雨ちゃんにとっての幸せは・・・彼女にしか決められないって忘れてた・・・」

頼みの綱を失って圭介はさらに困惑するのだった。

中村産業では「美雨残留派」が息を吹き返すのだった。

馬鹿の秋生(三浦翔平)「もう、このままでいいじゃないですか」

社長夫人(丘みつ子)「そうよねえ・・・」

「美雨放出派」はリーダーを失って混乱する。

宗さん(でんでん)「アカネちゃん・・・どうしたんです」

社長(蟹江敬三)「なんだか引き籠っちまった・・・」

圭介がなすすべもなく・・・オロオロしていると一計を案じた美雨が自ら交渉に応じるのだった。

「父ちゃん・・・最後のお願い・・・叶えてくれたら・・・美雨は沼津に行く」

「お願い・・・」

「四つのお願い、聞いて、聞いてくれたら」

「ちあきなおみか・・・」

美雨の四つのお願いは・・・。

一つ、一緒に料理を作ってください。

二つ、二人で記念写真を撮ってください。

三つ、美雨の好きな絵本を読んでください。

四つ、四輪車(補助輪付き)でない自転車に乗れるようにしてください。

・・・である。最後、ゴロ合わせがちょっと苦しかったな。

こうして・・・「美雨の二人で楽しいことができなくてもいいのかなアピール作戦」が開始されたのである。

二人で散歩に行き、記念写真を撮影する。

「何してるの?」

「父ちゃんと記念写真を撮ってるの?」

「まあ・・・素敵ね」

バレリーナ仲間の菜子ちゃん(吉田里琴)、出番を確保である。

ショッピングでドレスを買ってもらい父ちゃんを悩殺する美雨だった。

二人で餃子をつくる。

「この辺りの出来がもうひとつだな」

「今度はもっとうまく作るもん」

「そうかあ」

「今度は・・・いつ一緒に作るの?」

「・・・」

・・・困らせ上手である。

そして・・・父ちゃんに絵本を読んでもらう美雨だった。

今夜の本は「エラは小さなバレリーナ~エラと『白鳥のみずうみ』/ジェームズ・メイヒュー」である。バレエの大好きな少女エラがバレエを踊っているといつの間にか、バレエの物語の不思議な世界に転移してしまうというファンタジーである。秀逸なアイディアでもちろん「エラと『眠れる森の美女』 」といったシリーズ展開でウハウハである。

バレリーナに憧れる美雨にとってはお気に入りの作品ということになるのだろう。

「白鳥の湖/チャイコフスキー」といえば古典バレエ中の古典バレエと言えるのだが、物語はハッピーエンド展開とバッドエンド展開の双方に分岐している。

言わずもがなだが・・・ざっと物語を紹介しよう。

美少女のオデットが花畑でルンルンしているとわが悪魔仲間のロッドバルトが魔法で呪いをかけオデットを白鳥に変えてしまう。なぜ、そんなことをするかというと白鳥萌えだからである。

その「呪い」は「勇気を出してはじめての告白」をされなければ解けないのである。

こうして、オデットは昼は白鳥、夜は人間という変則的な生活を強いられるのだった。

そんな時、湖に狩りに来たジークフリート王子は夜のオデットを見染める。事情を知った王子はお城の舞踏会にオデットを招待する。王子は21才だが童貞だったのだ。

しかし、悪魔ロッドバルトは愛娘のオディールをオデットそっくりに変身させ、王子に求愛させてしまう。騙されたことに気がついた王子はオデットのもとへと走る。

王子の失敗を嘆くオデット。そこにのこのこと悪魔ロッドバルトが現れたので王子は怒りの剣で悪魔に勝負を挑み、これを討ち果たすのだった。

しかし・・・呪いを解くことができず、「生まれ変わって一緒になろう」と二人は湖に身を投げるというバッドエンドが通常版である。

しかし、悪魔の死とともに呪いが解けるというハッピーエンド版も生まれるのである。

いつの時代もハッピーエンドを好む大衆というものがいるのだから仕方ない。

一応、申し上げておくが・・・そもそも悪魔は永遠に不滅でございます。

さて・・・当然、これは「ビューティフルレイン」の幕切れにもかかわってくる。

特効薬が開発されて「若年性アルツハイマー病」が完治するというミラクルな展開はさておき・・・圭介が美雨を忘れる時、どのようにして忘れるか、そして最後は・・・という各段階のどこで終わるかは・・・作品の完成度を左右することになるだろう。

今回は一つの山を越え・・・家族的な地域社会による介護の方向へストーリーは導かれたわけである。おそらく・・・残り二回・・・どんな結末で終えるのか・・・お手並み拝見なのである。

最後の願い・・・父ちゃんと自転車の練習は中村産業一同の見守る中、つつがなく終る。

馬鹿の秋生の「ずっと乗れないフリをすればいい」案は却下されたらしい。

「父ちゃん・・・願いを叶えてくれてありがとう・・・最後の最後のお願いを聞いてください」

「・・・」

「みんなと一緒にごはんが食べたいです」

中村産業一同号泣である。

その席でアカネが語りだす。

「このまま・・・ここにいれば・・・いいんじゃないのかな」

「アカネちゃん」

「美雨ちゃんは・・・どうしたい?」

「父ちゃん・・・今日はとても楽しかった・・・でも、それは父ちゃんと一緒だったから・・・父ちゃんは楽しくなかったの・・・」

「だけどな・・・美雨・・・父ちゃんは・・・」

「圭介さん・・・私は一人で介護してたけど・・・美雨ちゃんは一人じゃない・・・私は介護の経験があるし・・・どうすればいいかを勉強してきたつもり・・・みんなだって・・・」

「そうだよ・・・」

アカネを支持する中村産業一同だった。

「皆さん・・・美雨を・・・よろしくお願いします・・・」

東京残留の決まった美雨だった。

沼津の祖父母がっかりである。まあ・・・自ら招いたミスだからな。

今回はうっかりさんが許されない展開なのです。まあ、うっかりさんはけして本当にうっかりさんではなかったわけですが・・・「mother」見てない人には分からない話はそこまでだ。

こうして人々の奇跡の善意に支えられて美雨と父ちゃんの物語は延長線に突入したのです。

関連するキッドのブログ→第9話のレビュー

シナリオに沿ったレピューをお望みの方はコチラへ→くう様のビューティフルレイン

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2012年9月 3日 (月)

喜びも悲しみもみんな夢の中(松山ケンイチ)

1161年、金の五代皇帝・世宋、1162年、南宋の二代皇帝・孝宗が帝位に就くと金と南宋の戦争状態は休戦模様となった。言わば、中国大陸は金と南宋による南北朝となったのである。

変則的ではあるが、大陸が安定したことは日本列島にも大きな影響を与える。

ひとつには交流の活性化であり、同時にそれは大陸国家の諸島への影響力の浸透を意味する。

平家の興亡はこれと無縁ではない。

また、鎌倉源氏の興亡もこれと無縁ではない。

1181年に清盛が逝去し、1185年に平家一族は壇ノ浦に沈む。

しかし、およそその100年後の1279年、南宋はモンゴル帝国によって滅ぶ。

その前後に源平の後継者である北条政権が本土防衛戦を展開することになるわけである。

清盛の晩年の偉業を考察する時には1274年~1281年の対蒙古戦争(元寇)を考慮しなければならないだろう。

軍事独裁政権の誕生がなければたとえ、神風が吹けども列島国家の独立は危うかったはずである。

決戦の地となった博多の開発も平清盛の功績と言えるだろう。

軍事力の集中も源平合戦の成果なのである。

備えあれば憂いなしとは・・・こういうことだ。

で、『平清盛・第34回』(NHK総合20120902PM8~)脚本・藤本有紀、演出・柴田岳志を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに来た藤原中納言成親、源伊豆守頼政の二大謀反人描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。まあ、二人とも、建春門院滋子が病死する安元二年(1176年)まではつつがなく過ごしていたわけで・・・まさに平家の春とはこの間の10年を指すのですな。清盛と滋子・・・平家と後白河院の確執を治めていた二人だったわけでございます。言わば滋子の建てた春の門だったのです。35才・・・美人薄命ですな。同じ美人でも上西門院は64才、八条院は75才まで生きるわけですがーっ。いえいえ、別におねだりしているわけではありません。だから、私信はコメント欄でしろと・・・。

Tairakiyomori32 仁安三年(1168年)に平清盛は寸白(寄生虫感染)により一時重篤な病状を呈する。当時の日本人と回虫は切っても切れない縁で結ばれていたのだ。抵抗力が落ちたり、回虫が体内で異常繁殖すればたちまち命にかかわったのである。輸入野菜の生食には現代でも注意が必要なのである。オエッとなって白い虫を吐き出すようになったら愛国無罪である。すでに絶大な権力を握っていた独裁者・平清盛の生死は各方面に甚大な影響を与えていく。孫の六条天皇の後継者として愛児憲仁親王(母・平滋子)を指名していた後白河上皇としては平清盛は欠くべからぬ後ろ盾であったし、摂関家の復権を目論む摂政・藤原基房にとっては千載一遇の好機到来を感じさせた。もちろん・・・平家一門に恨みを抱く不遇の者たちは期待に色めきたったのである。しかし、遠い東国で配流生活を送る源頼朝は失意の日々からは立ち直れなかった。ただ西にそびえる富士山の偉容に親の仇であり、命の恩人である清盛を思うばかりだった。源頼朝は22才だったのだ。そして・・・牛若丸は10才である。翌年、牛若丸は鞍馬寺に預けられ五年の歳月を稚児として過ごすことになるのである。そこで、牛若丸は軍事的天才児として何かに憑依されるわけだが・・・それは後の話だ。

西行の弟である佐藤仲清は北面の武士・後藤実基の養子となり、後藤基清と名乗っている。後藤家も佐藤家と同様、実は天皇の忍びの一族である。同時に後藤家は藤原北家中御門流の一条家の家人でもある。源義朝と由良御前の娘・坊門姫を上西門院の密命により養育し、一条能保に嫁がせ、後に一条高能を生ませている。滅びたとはいえ、源氏の血脈はこうして受け継がれていくのである。

一条能保と坊門姫の最初の子は娘であった。後に摂政・九条良経の妻となる女である。

母子の安泰ぶりを確かめた基清は義父・実基に報告に参った。

「母子ともに健やかでございました」

「亡き、由良御前も草葉の陰で安堵しておろう・・・」

「さて・・・次は常盤御前のことじゃ・・・」

「はっ・・・」

義朝の愛妾である常盤御前は清盛の愛妾として過ごした後に藤原北家道隆流の一条長成の継室となっている。常盤と義朝の間の子のうち、今若丸は醍醐寺で、乙若丸は園城寺で出家してすでに仏門に入っていた。

「牛若丸様も御年10才になられる・・・」

「あれから・・・十年ですか・・・」

「平治の乱も遠くなったの・・・」

「よって・・・年明け早々に鞍馬寺で御出家していただくのじゃ・・・」

「牛若丸様は異常な才を見せているとか・・・」

「忍びになれば・・・恐ろしきものになるであろう・・・」

「惜しいものですな・・・」

「しかたあるまい・・・定めというものじゃ・・・仏門にお入りいただき・・・鬼才を鎮めねばならぬ・・・」

京に潜む天皇の藤原の忍びの頭領父子は暗黙の了解をした。

その頃、後藤基清の兄であり、天皇の大伴の忍びの総帥である西行法師は四国にあった。

陰陽師狩りである。

琵琶湖を挟んで東西には西に平安京があり、東に青墓がある。

青墓の里はスサノオの墓に他ならない。活目尊(垂仁天皇)が伊勢神宮をアマテラスの廟所として定めた時、山城国、近江国、美濃国を経由して伊勢国に入ったとあるように青墓はその通過点にある。スサノオの荒ぶる魂を鎮める地が青墓なのである。

古来、青墓には優れた資質の術者が生まれている。忍びの里なのだ。また、信長が天下布武を唱えた岐阜城、秀吉が出世の糸口をつかんだ墨俣城、戦国時代の終焉を告げる関ヶ原・・・皆・・・この青墓の周辺の土地なのだ。それもまたスサノオの魂のなせる術なのである。

その土地で修行したはぐれ陰陽師の安倍陣内が四国に渡り、崇徳院の霊に悪戯を仕掛けたと読んだのは上西門院統子であった。

安倍陣内は蟲を清盛に飲ませた上で・・・封印された崇徳院の怨霊を一部開放し、蟲を通じて清盛に呪詛をかけたのである。

そのために清盛は体内を蟲に荒らされ生死の境を彷徨っていた。

西行は愛人である老くのいち波音とともに安倍陣内を探索しているのである。

「おぬしの頭領は世話をかけさせることだ・・・」

「あいすみませぬ・・・」

「ま・・・そこが捨て置けぬところだがな・・・」

西行は愛人の昔の思い人であり、旧友でもある清盛の面影を思い浮かべる。

二人は平時子から借り受けた「秘本・源氏物語」にて妖力を追跡している。

安倍陣内の妖力はさほどではないが盗み出された崇徳院の白骨は大いなる力を示していた。

山中にてその所在を掴んだ二人は火攻めの仕掛けを作る。

「愚か者め・・・呪詛に力を注ぎすぎ・・・我らの存在を気付きもしない・・・」

「南無阿弥陀仏・・・」

「・・・」

火の線が走り・・・森の中は炎に包まれる。

絶叫がこだましていた。

ふと・・・清盛は目覚める。

枕元に時子が正座していた。

「殿・・・」

「・・・」

清盛は長い夢を見ていたような気がしたが・・・今はすべてがうつつであった。

「朝か・・・」

「祇園祭の朝でございまする」

六波羅の庭に笛の音が流れていた。

関連するキッドのブログ→第33話のレビュー

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2012年9月 2日 (日)

ゴースト先生、さようなら(高梨臨)

9月1日が土曜日なので東京の新学期のスタートは9月3日である。

大人にとっては「もう勘弁してくれ」の暑い夏だが・・・子供たちにとっては暑ければ暑いほどOKだったりする。

そういう意味で・・・今年の夏に小中学生だった子供は意外と幸運の星の元に生れていると考えることができる。

夏休みの終りの週末と言えば、「全国小学生陸上競技交流大会」がNHKEテレでオンエアされるのである。

今回で「第28回」である。

五輪では陸上はほとんど注目されなかったわけだが・・・もちろん・・・室伏しかメダリストがいなかったからである。

だからこそ、次の次の五輪で花開く選手に注目するのである。

しかし・・・なかなか、小学生からトップという選手は少ない。

ロンドン五輪、五位入賞のリレー選手たちもこの大会ではまだ才能を開花していなかったりする。

なにしろ成長途上なのである。

逆に・・・ここでぶっちぎりトップでその後もトップを続けるような怪物ならメダリストになれるかもしれないわけだ。

今回、キッドが注目したのは女子走り幅跳びである。

あの井村(旧姓・池田)久美子(31)の持っていた大会記録5メートル14を更新した山崎百華(小6)の5メートル15である。

このまま、跳んで跳んで跳びまくってまずは井村の持つ日本記録6メートル86を越えてもらいたい。

そして世界へ。

心から、そう願うのである。

まあ・・・この大会各競技で優勝する小学生は・・・毎年、日本に一人しかいないのだから、それだけでもすごいんだけどね。

で、『ゴーストママ捜査線~僕とママの不思議な100日~・第7回』(日本テレビ20120901PM9~)原作・佐藤智一、脚本・梅田みか、演出・大谷太郎を見た。久しぶりに目撃されたのはシンケンピンクあるいは「宇宙犬作戦」のアンドロイド・オハナこと高梨臨である。相変わらずの美少女ぶりだが、高梨臨も23才、役柄は女教師役なのでもはや、美少女ではなくて単なる美女なのだな。美少女時代に黒井ミサをやってもらいたかった一人である。原宿でスカウトしてすぐやればよかったのに・・・。

ま、それはそれとして初めて担任を持った小学校教師・進藤由佳(高梨臨)は児童たちが卒業してすぐ・・・事故で他界してしまったのだ。そして・・・ゴーストになったのである。

それから・・・30年の歳月が流れたのだった。

とんぼ(君野夢真)の学校では夏休みのイベントとしてPTA主催の肝試し大会が行われる。

とんぼの父親である航平(沢村一樹)もフランケンシュタインのモンスターと化して、教室を改造したお化け屋敷で人気を博すのである。

しかし・・・とんぼは本物のゴーストと遭遇してしまう。

それは白い服を着た長い髪のゴーストだった。

その頃、学校の裏庭に建設予定の工事現場では怪奇現象が続発して工事が中断していたのである。

蝶子(仲間由紀恵)と三船(生瀬勝久)のゴーストコンビはその原因を究明するべく現場に張り込む。

現れたのは・・・進藤先生のゴーストだった。

進藤先生の心のこりは・・・最初で最後の児童たちと埋めたタイムカプセルが掘り起こせなかったことなのである。

しかも・・・その児童の一人がなんと・・・とんぼの父親・航平だったのだ。

とんぼはなんとか・・・父親にタイムカプセルを掘り起こさせようとするが・・・航平はタイムカプセルを埋めた場所を覚えていないのだった。

進藤先生のゴーストも・・・「目印の木が切られてしまって・・・わからない」のだった。

仕方なく・・・とんぼは一人、タイムカプセルを掘ろうとスコップを手にするが熱中症で倒れてしまうのだった。

高倉(塚地武雅)によって救助されたとんぼから・・・理由を聞いた航平は心を入れ替えて真剣にタイムカプセルのことを考える。そして・・・卒業文集にタイムカプセル埋蔵場所の地図を書いたことを思い出すのだった。

航平によって集められた近所の同級生たち。

やがて・・・30年の時を越え・・・航平の手に「大人になった自分への手紙」が届く。

そこには・・・大人になったら進藤先生をお嫁さんにしたい・・・としたためてあった。

たちまち、呪詛の言葉を放つゴーストママ。小学生の初恋相手に嫉妬する女の性である。

そんな修羅場を尻目に昇天していく進藤先生だった。

まあ・・・とにかく「踊る大捜査線最後のSP」の裏で視聴率が恐ろしい感じのほのぼのさだったな。

関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

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高梨臨のドクロゲキ

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2012年9月 1日 (土)

黒の女教師で津波注意報発令、ボーイズ・オン・ザ・ランの予告編で解除の夜(榮倉奈々)

「灼熱の環状七号線」「東京湾炎上」「首都焼失」という悪魔のシナリオを描く防災特番の後である。

ちなみに、来週最終回の「ボーイズ・オン・ザ・ラン」は爆発的な面白さを展開している。借金取りと見捨てられた少年と元ボクサーと聴覚障害者と末期がん患者と切れた電球とりかえ男の白熱の乱打戦である。もう、なにがなにやらなのである。

それに引き換え、「黒の女教師」は地味で面白いのかどうかも微妙な展開だが・・・中学時代のチームメイトだった裕福な少年と犯罪者に身をおとした少年の格差社会ストーリーとしては悪魔的だったかもしれない。

もてるものは金で救われ、もたざる者は警察行き・・・この局の倫理観は完全に崩壊してきたな。

自民党独裁の終了はやはり、戦後日本国の終了を意味するようだ。

はたして・・・来年、この国はどんなことになってしまうのか。楽しみである。

そういう中で、仮想敵国となりつつある韓国撃破のヤングなでしこ・・・爽快だ。

で、『黒の教師・第7回』(TBSテレビ20120831PM10~)脚本・池田奈津子、演出・川嶋龍太郎を見た。国文館高校は文化祭のシーズンである。3年D組の企画はカフェ営業。店長は望月亮平(千葉雄大)だった。経済的に恵まれれた家庭に育ち、成績も優秀、体力も抜群で、甘いルックス・・・何、不自由のない高校生の望月だったが・・・衝動的な性格のために・・・過去に事件を起こしていたのだった。

中学時代の野球部で・・・乱闘事件を起こし、チームメイトの飯塚(野村周平)に重傷を負わせてしまったのである。望月の親は金にものを言わせ事件をうやむやにしたが、望月は飯塚に負い目を感じていた。

秘密主義の望月は3年D組のマドンナ的存在である佐伯江衣花(広瀬アリス)との交際も内緒にしていたが・・・それは密かに佐伯に思いを寄せていた飯塚を気遣っていたのである。

佐伯が謎の転校生戸田トシオ(松村北斗)に気を引かれたのはそんな望月にものたりなさを感じていたのだろう。

高倉(榮倉奈々)は守られ過ぎたエリートである望月に「ひよわな小動物」を感じるのだった。

そんな折、フィリピン付近(北緯10.9度、東経127.1度)で、8月31日23時41分に発生した地震はマグニチュード7.6と推定され、気象庁は岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県九十九里・外房、千葉県内房、伊豆諸島、小笠原諸島、相模湾・三浦半島、静岡県、愛知県外海、三重県南部、和歌山県、徳島県、高知県、宮崎県、鹿児島県東部、種子島・屋久島地方、奄美群島・トカラ列島、沖縄本島地方、大東島地方、宮古島・八重山地方などに津波注意報を31日22時07分発表したのである。

まあ、そういう状況でドラマどころではなかったわけだが・・・偶然、クラスメートの菊池(藤原薫)がカツアゲされている現場に遭遇した望月は・・・謎の恐喝集団の構成員に身をおとした飯塚と再会するのだった。

とにかく・・・金が必要な飯塚は「10万円」を無心する。

飯塚に引け目を感じる望月は「これきりにしてくれ」と言いながらポケットマネーを指定口座に振り込むのだった。

これに味をしめた飯塚は・・・国文館高校に乗り込んでくるのだった。そして飯塚の正体を知らない佐伯を騙し・・・望月を心理的に追い詰めていく。

「女は拉致した・・・100万円」である。

佐伯の身を案じる望月はポケットマネーを指定口座に振り込むのだった。・・・望月のポケットは準鳩山元首相クラスなのかっ。

やがて・・・真相に気がついた望月は衝動的に飯塚を半殺しにするのだった。

それをネタに恐喝を始める飯塚。

いつも望月におごってもらっているクラスメートはサイフのピンチに・・・黒の女教師出動をコールするのである。

たちまち・・・飯塚を追い詰めて粉砕する黒の女教師。もう、弱い者いじめですな。

まあ、「魔がさした行為」は許されず、「はずみの結果」は罪一等を減ずるのが慣わしなのだな。

「飲酒暴走」と「青春暴走」の間には深くて暗い川が流れているらしい。

被害者にとってはそんなことで加害者の罪が流動されても困るわけですが・・・。

結果として、佐伯と望月の交際関係が明らかになり、ちょっと望月に好意を寄せていた下村明日香(大野いと)は佐伯をほんのり怨むのだった。

黒の女教師たちは生徒たちにはひたすら甘く、ぬるま湯を提供し・・・他人には限度なく厳しい・・・実に模範的な教師なのではあるまいか。

その深夜、テレビ東京では「D×TOWN 特別篇 心の音(ココノネ)」にて遠藤雄弥が心臓を自らくりぬいて緒川たまきに捧げるという爆笑コントがくりひろげられていたのだった。

「ぼくの心臓あげます」

「あいしてるあいしてるあいしてる・・・」

変態だなあ。

まあ、とにかく・・・日本の仮想敵国はどんどん増えていくわけで・・・防衛費はどんどん減るわけで・・・これは困ったことなんだよな。

たとえば・・・北方領土は武力ではいかんともしがたい状況である。

ロシア相手に戦えるか・・・である。

北朝鮮は2001年の九州南西海域海戦で海保レベルで工作船を撃沈できるレベルなので保留しておくとして・・・。

尖閣諸島における中国潜水艦特殊部隊による強襲上陸だけはなんとしても阻止しなければならないからな。

基本的に陸上戦闘での流血沙汰は先進国としては非常に避けたいところ。

対潜能力の向上を続行し、中国潜水艦を沈黙のまま、葬ることのできる抑止力を維持しなければならない。

さて、最後が竹島である。能力的には韓国軍の竹島不法占拠集団を殲滅することは簡単だが・・・それは日韓友好のためにも不可能である。そうなると、包囲封鎖が残る手段である。

竹島海域を封鎖して、韓国軍の自主的退去を迫るのである。

もちろん、韓国が強行突破をするようであれば、これは殲滅するしかない。

もちろん、竹島が我が国の領土である以上、これは戦争ではなく、警察権の行使だと言い張るのである。

まあ・・・そういうことにならないように外務省が頑張るといいな。

・・・一部妄想メモが流出しているぞ・・・。

・・・この夏、蚊取り線香で大量に虐殺した蚊霊の呪いだな・・・・

・・・暑い・・・暑いんだよ・・・夏休みも壮絶霊的最終回の「ぼくの夏休み」も終りだよ・・・。

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