母なる自然の呼び声、赤ちゃんに逢いたいさ(仲里依紗)
二夜連続、女児誘拐事件発生である。
同じマンションに住む子供を誘拐し、ついでに自分の父親を殺害したり、旅先でで旅行カバンに子供を詰め込んで、車のトランクに押し込み、初老のタクシー運転手に捕獲されたりと・・・常軌を逸した若者たちである。
こういう場合、「心の闇」が問題視されたりするわけだが、要するに常軌を逸した個人がいるだけなのである。
いつだって、幼女を誘拐して殺したり、小学校に乱入して皆殺しを始める人間は残念なことに出現する。
複雑な人間の心理機能はそういうことも可能なほどに衝動的であるからにすぎない。
そういうものに遭遇することは加害者、被害者ともに運不運の問題であろう。
今回は両件とも幸運なことに官民の活躍により、女児たちの生命は維持された。
フイリピン沖地震に続くコスタリカ地震もそうだが「二度あることは三度ある」ので子供を持つ親はしばらくは用心深くあるべきであろう。
「三度目の正直」が発生しないことを心から祈りたい。
暑い夏はまだしばらく続きそうだから。
で、『NHK ドラマ10・つるかめ助産院~南の島から~・第2回』(NHK総合20120904PM10~)原作・小川糸、脚本・水橋文美江、演出・佐々木章光を見た。原作者は「食堂かたつむり」のベストセラー作家である。東北のお嬢様の言うことだからややお花畑で恥ずかしい感じもしますがこういうのは一種の定番ですからな。心洗われたい人には必要なテイストでございましょう。
あこがれだった地球
すごくきれいで夢見ていた降り立つのを
生まれ落ちた瞬間にすべてが光となった
僕は言葉を忘れただの子供に戻る
・・・的な。
小野寺まりあ(小林星蘭→仲里依紗)は幼くして死んだ姉妹のために母親(賀来千香子)との関係に鬱屈を感じている女である。
結婚一年目の夫・達也(溝端淳平)が突然、失踪したために、妊娠中であるにも関わらず、夫の行方を求めて、ハートの形をした南の島へやってくるが・・・夫は見つからない。都会に戻ったまりあは人工中絶手術による堕胎を試みる。
手術台に乗って足を開いたまりあに胎児(鈴木福)は本能的な危機を感じるが為す術をしらないのであった・・・。
乙女たちの幻想の楽園・・・ハートの形をした南の島には何もない。
沖縄の美波間島出身のゲイバーのマスターでありゲイゲイ星から来たゲイ星人でもある大野原ハジメ(ゴリ)はそう語るが・・・まりあにはそこに何かがあるような気がしてならないのである。ここにゲイと乙女の暗くて深い河が流れているらしい。
夫をそそのかし、会社を辞めさせ、家庭も捨てさせたハジメをぶんなぐりたいまりあだが、乙女にはゲイを殴る拳が備わっていないのが一般的である。
まりあは・・・ハジメの捨てた島へ舞い戻る他ないのだった、。
そこにはたまたま当たった宝くじで沖縄旅行に来て、そのまま島にいついてしまった助産師・鶴田亀子(余貴美子)が経営する「つるかめ助産院」があるのである。宝くじさえあたればどんな現実逃避も可能だという現実逃避の話なのだ。
島の長老である美波間診療所医師・長井(伊東四朗)とともに「子供はみんなの宝物」運動を展開中なのである。まあ、一種の草の根少子化対策です。
とにかく、「妊娠・出産」はすべての免罪符という思想である。
そして・・・生れた子供は島全体で養育するという集団幻想を維持しているらしい。
まあ・・・メルヘンですからあまり深く考えないことです。
そこに・・・青い服の似合うベトナムからの研修生がいる。元をただせばアンドロイド・シスターミキである・・・わけないだろう。沖縄人かと思っているとベトナム人だったパクチーを演ずるのは水崎綾女である。キッドは基本的にパクチー目当てで見ています。まあ、最初はセブラクイーン目当てだったわけですが・・・と思いきや・・・雅ちゃん(有村架純)も登場。とりあえず・・・南の島にそそるトリオ誕生である。
少なくとも・・・キャスティング的には大勝利だな・・・誰的にだよっ。
つるかめ助産院のスタッフは他に看護師のエミリー(佐藤仁美)と雑用係のサミー(中尾明慶)がいます。
帰ってきたまりあを優しく迎える亀子たち。
中絶反対派の長老は「なぐってでも産ませる」と息巻くのですが亀子はとにかく、傷心のまりあを受け止めてあげることが大事だと思っているようです。なにしろ、宝くじに当たっちゃうような女なんですから。
そこに夫に五年前に捨てられた上原理恵(麻生祐未)の娘・サヨリ(有村架純)がやってくる。
島に遊びに来た大学生とやっちゃってできちゃったらしい。
亀子から「妊娠三ヶ月」を告げられたサヨリは大喜びなのである。
しかし、母親の理恵は島の女としては不適切に娘の前途を危ぶむのだった。
「産ませません」
「どうして」
「だって・・・娘は結婚してないんですよ」
「ええ」
「うちは・・・母一人子一人なんですよ」
「ええ」
「この子の父親は五年前にこの子と私を捨てたんですよ」
「ええっ」
「この子は結婚するつもりらしいけど・・・捨てられますよ、きっと」
「はあ・・・」
しかし、娘の決意は固いのである。
「捨てられたって。赤ちゃんは産むからね。だってお母さん、いつも早く孫の顔見せてくれっていってたさ」
正論なのである・・・とりあえず、この島では。
その日はちょうど島で唯一のタクシー運転手・トクさん(柳沢慎吾)の四男のお食い初め(生後100日目の赤ちゃんに 初めてごはんを食べるマネをさせる儀式)の日だった。
産む産まないの議論もそこそこにお披露目会場に向かう一同である。
子供の母親・おトク(松田沙紀)は満面の笑みで一同を迎えるのである。
「お酒も料理もいっぺぇあるよ~」
そして・・・主役の赤ちゃんをまりあに抱かせようとするのである。
しかし、鬱屈したまりあは「私は関係ないから・・・」と断るのだった。
そこでサヨリが「あの・・・いいですか・・・抱いても」と申し出る。
サヨリは赤ちゃんを抱いて・・・「かわいい」と天使の笑顔を披露である。
すかさず、洗脳を開始する亀子だった。
「まりあちゃん・・・子供はみんなのものだよ。この島では誰の子供であろうともみんなで慈しみ育てるの・・・子供を大切にするっていうことは未来を大切にするっていうことだからね。子供は宝物なんだから」
すると・・・出産に反対していた理恵がすかさず反応するのだった。
「みんな・・・私、おばあになるさ・・・みんな、手を貸してくれるね」
「アイエナ~(めでたいねえ)」と理恵とサヨリとお腹の子供を祝福する一同だった。
三線三昧である。
その夜・・・まりあは重い口を開く。
「あの・・・あの・・・私、産もうと思って・・・」
「え・・・堕胎したんじゃ・・・」
「病院に行ったけど・・・急に・・・赤ちゃんに逢いたいって・・・そう思って」
「ウワリカムイ(アイヌの産婆神)!」
「そしたら・・・この島のこと・・・思い出して・・・」
「・・・」
「それで・・・はっきりわかったんです・・・私のお腹にいるのは・・・たからものなんだって」
「わたしもあいたかったよ・・・あなたとあなたの赤ちゃんに・・・」
「ここで・・・産んでもいいですか・・・」
「もちろんよ~」
風さわやかな島の朝を自転車で並走するサミーとパクチー。
「いや~けど、どうするば? 産むって事は彼女はずっとここにいるって事? 旦那は? どんな事情か聞いた?」
「聞イテマセン」
「じゃ、どうする? これからどうするばぁよ?」
「コレカラノ事ハコレカラデス」
「これからが大変だのに? 産むって事はそんな簡単な事じゃないさ! 先々の事はどうするばぁよ!」
「さみーサン、ウルサイデス」
もう・・・とにかくかわいいどこぞのアジア人モード炸裂のパクチーだった。
まあ、あれだな。・・・そこへいけばどんな赤ちゃんも生めると言うよ。ガンダーラかっ。
・・・的な。
関連するキッドのブログ→14才の母
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コメント
最近珍しく、ノリノリじゃないですか〜(笑)
誰的に・・・?あ、私的にも成功でしたから。
てゆうか、このドラマは最近珍しいくらい役柄にぴったりハマったキャストばかりで気持ちいいほどです。
ま、私的に・・・っていうのは、溝端くんは岸和田だんじり男でデビューから応援してましたし、中尾明慶くんはあの人の良さそうなへらへら具合が子役の頃から長男に似ていると言われていたし。(次男は男前福山タイプなんだけどね)
菅野美穂が10歳若かったら仲里依紗の代わりの主役ができたのになあ。
仲里依紗が悪いわけではないが、不機嫌な顔がブス過ぎて・・・
しかし菅野ちゃん、秋から結婚できない人になるそうです(泣)
女優って年齢とともに役柄をシフトしないとだめなのですが、旬のイメージが強い人はなかなかつらいですね。
投稿: あまね | 2012年9月10日 (月) 10時30分
「君の手がささやいている」とか「鶴亀ワルツ」とか
「愛をください」とか「ちゅらさん」の頃の
菅野美穂ですな。
まあ、キッドにとっては
菅野美穂と言えば
映画「エコエコアザラク」第一作(1995年)で
悪魔召喚が趣味の女子高生・倉橋みずきで
最後は堕天使ルシフェルに体内から消化されてしまったり
映画「富江」第一作(1999年)でゴキブリをバリボリ痛快丸かじりの川上富江だったりしますな。
狂気の美少女ナンバーワンで
今だったらヤンデレの代表選手になれる勢いです。
仲里依紗と溝端淳平と言えば「ハチワンダイバー」(2008年)で
出張メイドみるくとお客の間柄ですからな。
相性抜群なのに夫婦関係はまた別なのですな。
中尾明慶はいつも
明治なのか慶応なのかはっきりしろよ・・・と思うのですが
3年B組(6期)のチューですからな。
近所にいそうな男の子路線でもうすぐおっちゃんになる
ノリでございます。
「ドラゴン桜」の弟に虐待される一郎が代表作ですからねえ。
秋の木10「結婚しない」は天海姉さんと菅野ちゃんの
ダブルヒロイン展開・・・。
まあ・・・婚期をのがした女たちを演ずる年頃の
女優さんはイメージの維持が大変なのですな。
チオビタとかストロングレフルとか
CMのイメージもありますからなーーーっ。
投稿: キッド | 2012年9月10日 (月) 14時49分