一年に一才年をとるんだよ・・・百年生きたら百才だね(芦田愛菜)
そんなセリフはないだろっ・・・。
半分あったぜ。
一年をざっと振り返る。去年の夏の終りまで・・・あっと言う間だ。
もちろん・・・去年の夏はかなり特別だった。
まだ・・・最大余震がいつくるのかドキドキして待っていたりして。
そうやってその後もM8級を待ちながら1年である。
ついに新型スマホに放射線量計搭載という事態なのだな。
それでも振り返る一年はあっと言う間である。
このあっという間を100回繰り返すとほとんどの人の人生は終わるのである。
・・・まあ、長命族は別として。
その束の間に・・・どけだけの不安とかときめきとか恐怖とか歓喜とかがあろうともだ。
あっという間に終わることを忘れる時こそが・・・人生の醍醐味だったりもする。
結局・・・人は思い出によって生きていくしかないからだ。
たとえ・・・お昼御飯に何を食べたか忘れちゃったりしても・・・。
で、『ビューティフルレイン・第11回』(フジテレビ20120902PM9~)脚本・羽原大介、演出・小林義則を見た。最終回直前回である。由緒正しいカレンダー展開で美雨(芦田愛菜)は新学期を迎えている。ひと夏の間にいろいろあったわけだが・・・圭介(豊川悦司)と美雨の父娘の生活は元の鞘におさまって・・・まるでふりだしに戻ったようだ。ある意味で・・・それは一種の最終回のカタチであろう。行く手には哀しい未来が待っているが・・・それはどんな人間でも結局そうなのであり・・・残された日々を楽しく過ごすための父娘を含むこの町の人々の善意の輪は充分に描きつくされている。主治医の古賀(安田顕)は・・・起死回生の新薬完成ハッピーエンドをふりはじめるが・・・そういう奇跡はこのドラマには似合わないような気がする。ほほ・・・夢オチになっちゃうからな。
あなたを思い出す
この店に来るたび
坂を上って
今日もひとり来てしまった
クリームソーダは食べ物でもあり飲み物でもあります
登校の支度をする美雨。卵焼きを作る圭介。
洗濯機の終了ブザーが鳴り、父と娘は朝飯前に仲良く洗濯物を干す。
素晴らしい朝が来た。希望の朝である。
そこへ・・・中村産業社長夫人の千恵子(丘みつ子)がはりきってやってくる。
中村産業一同が・・・もうすぐすべてを忘れる男とその幼い娘のために・・・何をするべきか会議開催なのである。
「朝食と夕食はみんなで食べるっていうのはどう・・・」
「でも・・・まだ自活できますから・・・」
「しかし・・・いざという時のために始めておくのも大切だよ・・・」
「美雨ちゃんは・・・どう思う」
「みんなとごはんを食べるのは楽しそう・・・」
「それじゃ・・・とりあえず夕飯だけから始めるってのはどうだろう・・・」
「そうしなよ」
「・・・ありがとうございます」
「よし・・・それが新しいライフスタイルだね」
「ライフスタイル?」
「かっこいいくらしってことさ」
「バカ」
「ま・・・いいじゃないか」
不幸中の幸いだけが幸福なのである。
美雨の幼馴染の小太郎(高木星来)は一日で夏休みの宿題を仕上げたためにバテバテだった。
「母ちゃんは・・・大学に行けってうるさいしよ」
「その前に中学に行かないとね・・・」
「いや・・・中学は義務教育で誰でもいけるらしいよ」
「そうなんだ・・・」
「でも・・・高校は別物だし、大学ともなればいろいろものいりなんだぜ」
「ものいり・・・」
「お金だよ・・・お金がすごくかかるんだとよ」
「ふーん」
始業式から戻った美雨は女たちにいろいろリサーチである。
智恵子には木下家の経済状況を聞き、アカネ(中谷美紀)には「頭のよくなる方法」を聞くのだった。
「ドラゴン桜ってドラマがあるけど見る・・・」
「でも、それ高校生の話でしょ・・・」
「だよねえ・・・月並みだけど本をたくさん読んだらいいかもね~」
「やはり・・・小さなことからコツコツかしらね~」
「かもね~」
美雨は図書館で本を借りて来た。
「ナイチンゲール」と「野口英世」である。これで将来、ネプリーグに出ても「野口秀世」って書き間違わないですむのだ。
二冊の本・・・そこに登場するのは看護師と研究医である。
周囲の人々は・・・大きくなったら医者か看護師になって・・・父ちゃんの世話をしようと考える美雨の心はお見通しなのである。
しかし、ジワリジワリと時計の針は進んでいく。
中村産業を一歩出れば世知辛い世の中だ。
下請け産業いじめで・・・発注者である豊芝商事は支払いの三割削減を宣告する。
「それじゃ・・・納品すれば・・・納品するだけ赤字だ・・・」
頭を抱える一同だった。
そこで圭介が二割で勘弁してもらうように見積書を作ることにする。
豊芝商事は昔からの取引先だったが・・・代替わり寸前で・・・後継者は経営の合理化で目の前が真っ暗な感じを醸し出す。
そこで・・・肝心な時に・・・圭介が肝心なことを忘れてしまい・・・若き経営者に見放されてしまうのだった。
責任を感じる圭介に・・・社長は言う。
「大丈夫さ・・・世の中は捨てる神あれば拾う神ありで・・・回っていくんだから・・・」
「・・・社長」
あのとき目の前で
思い切り泣けたら
今頃二人
ここで海を見ていたはず
・・・そういうドラマじゃないだろう。でも、愛だろう。これって・・・。
まあ、そうかもな。
失意の圭介をベランダの天使アカネが今夜もタンクトップで慰めるのだった。
「取引の失敗が圭さんのせいだとしてなんだって言うの・・・」
「・・・」
「私たち・・・そういうことが起きるかもしれないって・・・分かってて・・・一緒に頑張っていこうって決めたんじゃない」
「アカネちゃん」
「下向いたら負けだよ・・・失点したら取り返せばいいんだよ・・・できることを精一杯やるしか・・・そうやって頑張るしかないじゃない」
「・・・」
窓にほほをよせて
カモメを追いかける
そんなあなたが
今も見える
・・・もう、わかったよ。ただな・・・誰も海を見てないからな・・・北区にも荒川区にも足立区にも海ないからな。
圭介は通院した。
「・・・それでは・・・美雨ちゃんとは同居を続けられるのですね」
「はい・・・」
「・・・この幸せ者・・・」
「・・・」
「ところで・・・五年後対策はおすみですか・・・」
「いや・・・具体的にどうしたらいいか・・・」
「その頃・・・美雨ちゃんは・・・中学生・・・場合によってはもっと早まるかもしれません・・・子供ではどうにもならないことがありますからね」
「はい」
「たとえば・・・あなた自身の面倒を見てくれる・・・そういう施設をあらかじめ決めておくことも必要です」
「・・・何もできなくなってからじゃ・・・遅いということですね」
「それに・・・障害者手帳や・・・介護保険の申請などの手続きの問題もあります。資産の管理や・・・娘さんの進路相談なども含めて・・・後事を託せる人にお願いしておかねばなりません」
「・・・」
「もちろん・・・私も医師として全力を尽くしますから・・・」
「・・・先生」
紙ナプキンには
インクがにじむから
忘れないでって
やっと書いた
・・・もう、わかったよ。
日曜日の圭介は一人ショッピングに出かける。
青果店の看板娘の菜子(吉田里琴)に声をかける圭介。
「中学一年生って・・・誕生日のプレゼントに何が欲しいのかな・・・」
「えー・・・圭介さんが・・・私にプレゼントくれるの・・・どうして・・・それってやばくない」
「いや・・ごめん・・・菜子ちゃんにじゃなく・・・中学生の・・・親戚の子にね」
「なあんだ・・・菜子、ちょっとときめいちゃったよ~」
「・・・菜子ちゃん」
すまん・・・引用すべき歌詞がもうない。
とにかく・・・圭介はみんなに愛されているんだなあ・・・。
そして・・・圭介は美雨一筋なのである。
13才の誕生日の贈り物。14才の誕生日の贈り物。15才の・・・。
圭介はあげられなくなってしまった場合の未来の誕生日プレゼントをストックしたのだった。
そして・・・ヴォイス・レターを添えるのである。
本当は録音じゃなくて・・・直接おめでとうって言えるといいんだけど。
もしもの時のために録音しています。
美雨・・・誕生日おめでとう。
中学は楽しいですか。
小学生の時の美雨は・・・幼稚園の先生になりたかったり、ケーキ屋さんになりたかったり、バレリーナになりたかったり・・・いろいろと夢を持っていましたね。
今も夢を持っていますか。
夢を持つのは素晴らしいことだと思います。
夢を見ている美雨を父ちゃんは世界で一番好きです。
その頃・・・美雨はスケッチブックに将来の夢の絵日記を綴っていた。
私の夢はお医者さんになって
父ちゃんの病気を治してあげることです。
それが無理だったら看護師さんになります。
号泣するほどに・・・愛しあってるな。
小さなアワも
恋のように
消えて行った
遠いあの日
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