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2012年9月10日 (月)

ちょんわ~ちょんわ~(杏)桓武平氏貞盛流北条家の面目丸つぶれ・・・(遠藤憲一)

北条政子の家系については諸説あるが・・・妄想的には従兄弟にあたる平将門を討伐した平鎮守府将軍貞盛の系譜に属するものと考える。

将門に何度も敗北を喫しながらついに父の仇を討つ執念こそが・・・北条政子の血にふさわしいのである。

平貞盛の子が維将、その子が維時、その子が直方、その子が聖範、その子が時直、その子が北条時家である。

政子の父・時政は時家の孫に当たる。

ちなみに平維将の弟・維衡の家系が数代を経て伊勢平氏の清盛に通じているわけである。

つまり、北条政子は一応、平清盛の遠縁の娘ということになる。

しかし、東国に土着した北条家の長女は雅なる平家とはまったく異質の女将軍の素質を秘めていたわけである。ちなみに政子の名は健保六年(1218年)に命名されたものだという。

だから・・・現時点では丑年生まれなので丑姫(仮称)とでも呼ぶ他はないのだ。

で、『平清盛・第35回』(NHK総合20120909PM8~)脚本・藤本有紀、演出・渡辺一貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに出家した平清盛入道の威厳に満ちた描き下ろしイラスト大公開である。結局、普通の人々の考える平清盛のイメージとはコレなのだろう。そういう意味で汚いとか、軽いとか、青臭いとか言われ続けた松山ケンイチが見事に「平清盛」その人になりきった姿と言える。役者やのう・・・と言う他はない流石のキャラクター作りが圧巻だった。もはや、革命は成ったのである。しかし・・・平家に対する王家は粘り腰で・・・なかなか日本の国を譲渡さないわけである。そこで・・・清盛は福原で独立してしまうわけである。それを遷都として歴史的軌道修正するのが王家の底力なのだな。いわば太平洋戦争「敗戦の日」をずっと「終戦の日」と言い続ける姑息さこそがその身上なのでございます。

Tairakiyomori33 仁安三年(1168年)に重い病を得てそこから回復した平清盛は比叡山延暦寺の天台座主・明雲を戒師として出家する。これによって清盛は比叡山に影響力を持つようになり、同時に村上源氏中院流という公卿一族とも関わりを持つようになる。平家が頂点を極めるにつれ、当然の如く湧き上がる「出る杭は打つ」体制に対して、対抗する手段は何でもやってみるという姿勢である。同時に清盛は妻の妹の産んだ後白河上皇の子を高倉天皇として即位させる。ついにキングメーカーになったのである。しかし、昇れば昇るほど抵抗勢力の圧力が増すのが人の世の常なのだ。それを読んだ清盛は地方で独自のまつりごとを実施する道を選択する。平安京で清盛の役を肩代わりした長子・平重盛にとっては恐るべき重圧がかかったことは想像に難くない。福原で地方からの改革を始めた清盛を出家して二位尼となった平時子は源氏物語になぞらえる。「ひときわときめいているわが君は世の中のあさましさに居心地の悪さを覚え、住み慣れた都を離れ、西の海に新天地を求めて旅立たれたのでございます・・・妻たるもの・・・夫の為すことに不平は言わず・・・六波羅の地をしっかり守るのが務めなのでございます。殿がなくても平家屋敷の庭は荒れ果てたりしないのです」・・・妻と夫は一蓮托生なのだった。

いくつかの乱を経て・・・復興なった平安京であるが、都を一歩出れば、貧しい民の暮らしは荒廃の極みを迎えている。

清盛は流通こそが・・・その貧しさを癒すものと心得ていた。

そのために・・・福原(神戸)の開港は急務なのである。

清盛は残る半生をその事業に捧げる決意をしていた。

難波の津から福原へ平家船団が海路を行く。

左右には平盛国(鱸丸)、平盛俊(兎丸)が従っている。盛俊は清盛から愛妾の厳島の巫女を与えられており、盛国とは父子の契りを結んでいる。

三人は平清盛ももう一つの顔、平海賊王によって固く結ばれている身内だった。

「兎丸・・・福原の山城はどうなっておる」

「摩耶の山が山賊砦としては充分の構えになっておりやす」

「そうか・・・」

「摩耶の山では波音が・・・清盛様の血を引く孫娘たちにくのいちの仕込みをいたしておるとか」と盛国が口添える。

「ほほう・・・それは楽しみじゃのう」

齢五十を過ぎて衰えぬ清盛の精力が満面の笑みとなって現れる。

両面宿禰の霊力を会得した清盛には闇の力への傾斜もあるのだった。おのが血をひくくのいちたちと愉悦を共にすることに何のこだわりもない。

一方、清盛の表の顔は新たな湊を築くという大事業に向けて目を輝かせるのである。

盛国も盛俊も複雑な性格を見せる主へ畏敬の眼差しを注ぐのであった。

その頃、都の霊山の一つ鞍馬山では源義朝の九男が遮那王が僧侶相手の稚児の勤めを終え、山中の泉で身を清めていた。肛門に塗られた油や注ぎこまれた坊主たちの体液を洗い流すのが夜の日課となっている。

そこに天狗の面をかぶり、後藤基清が現れる。

遮那王の並々ならぬ素質は捨てがたく・・・基清は父の実基には内緒で・・・遮那王に忍びの手ほどきをしているのだった。

獲物は鉄芯を仕込んだ笛である。

基本は刀剣に対する受けによる護身術であった。

非武装に見えて武装と言うのが「妙」である。刀剣の最初の一撃を笛で受けて、遁走するわけである。

しかし、「戦」について異常なほどに非凡である遮那王は数日の訓練で返し技を考案していた。

斬り込んだ基清の刀を交わした遮那王は笛を基清の手首に打ちこみ、次の瞬間、基清の刀を奪い取っていたのである。

「これは・・・」

「牛若流じゃ・・・」

おのが刀を首筋に突き付けられて基清は唖然とした。

齢十才の子供に基清は降参した。

はるか東の地・・・伊豆の韮山では遮那王とさほど変わらぬ年頃の女児が白い猪と対峙していた。

白い猪の体躯は並みの猪の三倍はある。その挙動も不審であった。

女児はすでに鎌を構え、臨戦態勢に入っていたが・・・白い猪はまったく動かず、猪突猛進をしてこないのである。

「ウシヒメよ・・・」

女児は仰天した。口をきく猪などきいたこともないし・・・まして我が名を呼ばれるなど思いもおよぱない。

「なんと・・・お前は山の神か・・・」

「ワシは西の伊吹山の神霊じゃ・・・」

「いぶきやま・・・」

「ふふふ・・・この山は美羅(みら=韮のこと)が豊富でな・・・時々、食しにくるのじゃ」

「神が・・・ニラを食すのか・・・」

「神とて・・・生きておるからな・・・」

「なるほど・・・」

「ふふふ・・・素直な子じゃ・・・神のお告げも心して聞くがよい・・・」

「おつげ・・・」

「美羅を食すのはついでのことじゃ・・・神の道を通り、この地に来るは別に用があるからじゃ・・・」

「ほほう・・・」

「昔・・・ワシは大和の神に痛い目にあってな・・・古傷がまだ痛むわ」

「ふむ」丑姫はすっかり白猪に同情した。もの言う獣は幼い心を鷲掴みにするものであるからだ。

「この地には・・・大和の神に仇なすものが流れてきておる・・・」

「もののけか」

「いや・・・人じゃ・・・ふふふ・・・その人はお前の夫になるものぞ・・・」

「わが・・・君に・・・」

「そうじゃ・・・」

「そのものはどこにおる・・・」

「それは・・・時がくれば分かる・・・その時はまもなくじゃ・・・」

「いつじゃ・・・」

その時・・・風が巻き起こった。

気がつくと白猪の姿は消えていた。

丑姫は・・・下腹部に鈍痛を覚えて蹲る。

初潮だった。

何故か夢見心地のまま丑姫は足音が近づくのに気がついた。

男が背後から声をかける。

「・・・いかがした・・・」

丑姫はその声をうっとりと聴く。

(わがきみだ・・・わがきみがきた)

山の西の斜面に夕日が差し込み・・・周囲が金色に染まる。

(ヤマトに仇なすもの・・・わが・・・夫)

丑姫は心の中で何度も言葉を繰り返した。

蹲った幼子を源頼朝は静かに見下ろしていた。

関連するキッドのブログ→第34話のレビュー

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