ここで待ってて(濱田龍臣)いややうちも行く(浜辺美波)なめとったら・・・(多部未華子)
6年2組竹内しのぶ先生(多部未華子)とミステリー大好きヤンキー大路のしのぶ(多部未華子)の融合が最後までちぐはぐだったなあ。
この原作のドラマ化には次のような難点が予想された。
初出が1986年~1992年という20年以上前の原作を2012年にスライド。
そもそも舞台が大阪。
少年探偵団卒業後も続くエピソードをほぼ1年間に詰め込み、夏なのにクリスマスだの卒業式だの季節感無視。
まあ・・・そういう意味で6年2組の卒業までにあわせて原作小説をアレンジしてエピソード化したことにすべての精力を注ぎ込んでしまった感じが否めない。
その上で・・・しのぶセンセと学級の生徒たちとの交流、生徒たちの家庭の事情、新藤(小池徹平)と本間(山本耕史)と榛名(木村文乃)の恋の四角関係、母親・妙子(松坂慶子)の母娘物語まで盛りこんで・・・ある意味、収拾つかなくなっていた。クドカンなら・・・こなせるけどな~。
初回や最終話は「Dr.コトー診療所」や「恋を何年休んでますか」のヴェテラン・吉田紀子の脚本なのだが・・・情感で見せるドラマにはまったく仕上がっていなかったな。
なにしろ・・・ミステリとしては肝心な・・・「犯人」が全く描けていないのである。探偵チームの一方的なドタバタ展開があるだけで・・・まったくミステリドラマとして成立していないように感じられてしまうのだな。
つまり・・・ミステリはダイジェストで・・・余分な要素に時間使いすぎなのである。
まあ、苦言を呈したが・・・正直な気持ちなので仕方ないよね。
で、『浪花少年探偵団・最終回』(TBSテレビ20120917PM8~)原作・東野圭吾、脚本・吉田紀子、演出・池澤辰也を見た。象徴的な第11話(前篇)、最終回(後編)の無理矢理な二分割である。前回までに謎はほぼ解かれている。エリート意識の強いなにわ技研製作所開発課・横田(平岳大)は遊びのつもりで肉体関係を持ったなにわ技研製作所製造課・清子(菊池友里恵)に結婚を迫られ衝動的に殺害してしまう。たまたま横田は6年2組の朝倉奈々(浜辺美波)と同じマンションの住人で清子と口論しているところを奈々の母親・町子(笛木優子)に目撃されたために「目撃者を消せ」ということで殺害しようとはかるが・・・未遂に終わる。横田の犯行に気がついたしのぶセンセと浪花少年探偵団は無謀にも横田を追跡するのである。
横田が逃走に使ったトラックには奈々を守るために犯人を追う鉄平(濱田龍臣)と鉄平を慕うあまりにいつも一緒にいたい奈々が乗り込んでいるのである。
そのトラックを追うしのぶセンセの車には鉄平と奈々の交際を認めたくない原田・兄(前田航基)も乗り込んでいた。
暴走してトラックに追いつき「ちょっと運転かわれ」と小学生に車のハンドルを渡すしのぶセンセ。
「おうりゃあ」とトラックの運転席のサイドステップに跳び移り「こら、車とめんかっ」と殺人犯の横田を恫喝である。
思わず、運転席のドアをあけ、しのぶセンセを振り払う横田。しのぶセンセは原田の運転する車のボンネットに弾き倒されるが、すかさず立ち上がり、八艘跳びで車から車へ跳び移り、トラックを追うのである。しかし、横田はスピードをあげ、荷台から鉄平の差し出したマフラーをつかみそこねたしのぶセンセは道路に激突。後ろから来た車に轢かれそうになるがジャンプ一番、原田の運転する車の運転席の窓に飛び込み危機を脱する・・・というような手に汗握るシーンはなくて・・・当然だろう、ここは残念なことに日本なんだぜ・・・なぜか、横田は清子の死体を遺棄した廃工場に舞い戻るのだった。
しかし、じっとしていればいいのに哀しいが小学生である。荷台から降りてモタモタしているうちに奈々が横田に捕まり人質状態になってしまうのだ。
車庫入れの苦手なしのぶセンセはなかなか廃工場の庭に車を入れることができずにモタモタしていたのである。
前回から・・・演出がグダグダで時間の流れが一定していない比喩です・・・念のため。
ようやく、到着した新藤刑事と漆崎刑事(段田安則)、しのぶセンセ、鉄平と原田(兄)は奈々を抱えてナイフをふりまわす横田と対峙するのだった。
しのぶセンセ「うちの生徒になんちゅうことをさらすんじゃ、ボケ」
奈々「しのぶセンセ、助けて~」
そこで・・・しのぶの携帯電話の着信音が鳴り響く。
「なんやこんな時に」
「あ、しのぶ、私」
「お母ちゃん」
「なんかな・・・卒業式に顔出そうと思って来たら、原田さんのお母さんがえらいとりみだしててな・・・うちが27時間34分もかけて鼻の穴からボーリングの玉出すような思いで生んだ子をあんたの娘が殺しにかかってる・・・もしものことがあったらどないするつもりやてえらい剣幕でな・・・うちはしのぶ生んだ時、安産だったんで言い返す言葉もないんや・・・そいでな」
「あの・・・ボケ・・・殺人犯によろめいて子供おっぽりだそうとしたくせに今更、何、まともな母親ぶってんねん、ええから、どついてだまらしとき・・・うちは今、とりこんでるんで、またな」
原田(兄)「・・・」(赤面)
横田「よるな・・・よるなあ・・・」
一同「おちつかんかいっ」
横田「来るな・・・来たら・・・この娘、殺したる」
漆原「その子は無関係だろうが・・・」
横田「ボケッ。一人殺せば何人殺そうが同じじゃ」
しかし、少年探偵団にはパチンコという必殺武器があったのだ。
原田(兄)が犯人の手を弾くと、すかさず・・・鉄平は奈々を奪回するのだった。
「奈々ちゃん」
「鉄平くん」
原田(赤面)
「くそ」自暴自棄になった横田はたまたま捨て置かれた灯油を撒き散らし、点火である。
「なにさらすんじゃ・・・」と激昂するしのぶセンセ。
あたりはたちまち火の海である。
「あんた・・・この子らは今日は卒業式なんやで・・・そんな日になんであんたみたいな無様な大人を見せなきゃならんの」
「そんなこと言ったって・・・そっちが勝手についてきたんだろう」
「センセ・・・とりあえず・・・かわいい教え子避難させんと・・・」
「だまっとき・・・なあ、あんた・・・あんたがどんだけ・・・エリートなんか・・・知らんが・・・一度は情を交わした女を殺すってどんな料簡なんや・・・あんた・・・学校で何を教わってきた・・・」
原田・兄(赤面)
鉄平「情を交わすって・・・」
奈々「鉄平くん・・・」
「やめてくれ・・・子供の前でそんなこと・・・」
「女ヒーヒー言わしたら最後までかわいがってやらんかい・・・それが男っちゅうもんやろ」
しのぶの暴論に何故か改心して滂沱の涙を流す横田だった。きっと忘れていた情交の日々が脳裏に蘇ったのだろう。
「清子・・・清子~」
たまたま捨て置かれた消化器で火を消し止めた二人の刑事は泣き崩れる犯人に手錠をかけるのだった。
いつの間にか免許を取得した新藤刑事はしのぶセンセと子供たちを車で学校に移送する。
「先生・・・無茶はせんでください」
「ごめんなさい」
「君たちももう中学生や・・・探偵ごっこは仕舞いにせんとあかんで・・・」
「・・・」
「そうやな・・・うちも目が覚めたわ・・・大切な教え子をこんな危険なことに巻き込んで・・・うちはつくづくアホや・・・」
「・・・」
「なんや・・・だれか・・・そんなことないでとか・・・うちをフォローせんかいっ」
大阪市立大路小学校の卒業式は終了していた。
しかし・・・児童と父兄はしのぶセンセの帰還を待っていたのだった。
学級委員長の芙美(八木優希)「センセ~」
にぎやかしの美奈子(二宮星)「先生から卒業証書もらわれへんかったら卒業した気にならへんわ」
しのぶ「・・・出番少なくてかんべんな」
シンとする児童一同だった。
中田教頭(小日向文世)「何事もなかったという方向で処理してくださいね」
新藤「・・・」
しのぶ「みんな・・・ありがとう・・・ダメなセンセやったけど・・・みんなのおかげでどうにかやってこれたわ・・・でもな・・・花に嵐やで・・・サヨナラだけが人生や」
大団円である。
謝恩会を抜け出して密会する新藤としのぶ。
「け、結婚してください」
「ごめんなさい・・・私・・・来年度、長野に単身赴任や・・・そこで先生修行をしたいんや」
「・・・」
そっと忍び寄る本間(山本耕史)である。
「ふられたもの同志仲良くしないか・・・」
はにかむ新藤だった。
榛名(木村文乃)「あーっ!」
こうして・・・しのぶセンセは長野の分校へと旅立った。
「うちは大路のしのぶやで~。 なめとったら承知せえへん」
長野の子供たち「なにそれ~、どういう意味~」
その頃、ごちそうを作ってお重につめた母・妙子は大阪発長野行の特急電車しなの9号の車内で鼻歌を歌っていた。
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