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2012年9月24日 (月)

往生極楽言葉にはとどまらず御仏来たりて琵琶の音響く(深田恭子)

平忠盛の三男、経盛は母方の祖父に村上源氏・源陸奥守信雅を持つ。歌人としても楽師としても才能があったらしい。

経盛の長男・経正は琵琶の名手となった。

清盛の最初の妻は高階家の娘だが、その父は醍醐源氏の出身で安倍晴明のパートナー源博雅を先祖に持つ。

清盛の二番目の妻の父・平時信は鳥羽法皇の判官代で漢文の教養が深かったとされる。

時子、時忠の異母妹・建春門院滋子の母の父は藤原中納言顕頼である。

このように平家と一口に言っても様々な血の融合によって一門が作られている。

ものすごいファミリーなのである。

清盛の嫡男・大納言重盛の長男・次男・三男はそれぞれ母親が違う。

光源氏の再来と謳われた長男維盛は名もなき官女の子である。次男の資盛の母は藤原下総守親盛で藤原北家ながら関東の武闘派なのである。三男が漸く正室・藤原経子の子・清経となる。父・重盛がもう少し長生きしていれば・・・後継者は清経だったかもしれない。しかし清経は平家滅亡に先駆けて入水自殺した笛の名手となってしまった。

さて・・・世に言う「殿下乗合事件」の一方の主役は次男・資盛だ。

妄想的には千葉・茨城の暴走族の舎弟に手出ししちゃダメだな・・・ということである。

なにしろ・・・資盛の義理の祖母は全国制覇を目指すヒミコの娘なのである。・・・おいっ。

で、『平清盛・第37回』(NHK総合20120923PM8~)脚本・藤本有紀、演出・橋爪紳一朗を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は圧巻、奥州藤原氏の雄・鎮守府将軍藤原陸奥守秀衡の素顔と化粧後は別人イラスト大公開でございます。京本政樹ちゃん・・・いつまでも若く美しく素晴らしいの一言に尽きるのです。「ちりとてちん」では和田小次郎役でしたな。ほぼ10年ぶりの大河か・・・もっと使ってもらいたい。

Tairakiyomori35 嘉応二年(1170年)五月、藤原秀衡は鎮守府将軍・従五位下に叙任されている。奥州ではゴールドラッシュがあり、金の産出によって奥州の夷狄と蔑まれつつ・・・物凄い財力を誇ったのである。この後を継ぐのが源頼朝傘下の藤原魚名流伊達朝宗である。遠国中の遠国であるために・・・奥州藤原氏は源平どちらとも関係を密にしている。そして、嘉応二年七月には殿下乗合事件(てんがののりあいじけん)が発生する。祖父・清盛、父・重盛の若武者・従五位下資盛が摂政・藤原基房と路上で遭遇。無礼をとがめられて基房の郎党に辱めを受けてしまう。資盛の曾祖父は関東で源義朝と争った経歴を持つ血筋である。摂政藤原家と相国平家の面子の争いもあり・・・人々は固唾を飲んで見守っていたのである。結局、父・重盛とも、祖父・清盛とも・・・あるいは資盛自身の郎党とも言える謎の集団が摂政の基房に乱暴狼藉を働き・・・藤原家の心胆を寒からしめ、平家の溜飲を下げさせる決着となった。しかし、この後、それまで跡目相続で優位に立っていた資盛は、庶兄の維盛に正五位下が叙されたことで、官位で追い抜かれる。それなりにペナルティーがあったのである。

平家の遠い先祖である桓武天皇が長岡京を経て平城京から平安京に遷都して三百年が流れている。大陸では唐が滅び、五代十国から宋へ・・・そして宋もまた金によって国土の半分を喪失する・・・それに比すれば列島は穏便に時を過ごしていると言える。しかし、その間にも乱はあり・・・乱の後にしばらくの和があるわけだ。

その乱の後に平家は台頭し、一瞬の和を過ごしている。

表向きは保元、平治の乱で勝者となったことがその因果であるが・・・実際は対妖狐戦争の戦果なのである。朝廷はそこに全力を傾け、その英雄となった清盛は・・・天皇の忍びの頂点に立っていた。

大伴の忍びも、大中(藤原)の忍びもすべて統べる統子親王とともに・・・妖魔と戦い、自身も両面宿禰という魔性を得た清盛は一種の魔王であった。

その表の顔は嫡男の重盛が継いでいる。

そして、裏の顔の相談役となったのが・・・出雲帰りの男・悪別当平時忠である。

清盛の義弟である時忠は四十を越え、秘密警察を経営するようになっている。

「ふ・・・摂政殿も大人気ない・・・」

「まあ・・・院と帝の確執は世の習いでございますから・・・」

「汝の異母妹が生んだ子が今上天皇であれば・・・摂政たるもの・・・もう少し控えねばならぬ・・・と思うかの」

「兄上の娘、盛子様が・・・義理の姉として摂政の財を独占しておりますれば・・・その御兄弟の重盛様の息子に少しは嫌がらせでもしてみたかったのでございましょう」

「摂関家の器の小ささはもはや血筋じゃのう・・・」

「もはや・・・右を見ても左を見ても上に立つのは平家の者ばかりですからな」

「まあ・・・よいわ・・・」

「重盛様の面子をつぶさぬようにはからいまする・・・松殿様には少しお灸をすえまして」

「うむ・・・法皇の両手を縛っておくには滋子と重盛の二重の縄が必要だからの」

「まさしく・・・宋との貿易を平家が独占するためには欠かせぬ輪でございますからな」

「ふふふ・・・あまり率直に申してはならぬ・・・」

「これはしたり・・・して商いはいかがでござりますか」

「やはり・・・三点交易がおいしいの」

「ほほう・・・」

「奥州平泉の金をただ同然で官位によって買う。この金で大宋国から安く孔雀の羽根を買う。そして朝廷から孔雀の羽根で官位を買う。もう・・・儲かって儲かって笑いが止まらぬとはこのことじゃ・・・」

「大航海時代ですな・・・」

「八島の忍び衆が傘下にあればこそよ・・・物産の相場が早わかりでんがな」

「もうかりまっかあ」

「ボチボチでんなあ・・・」

福原の新都で実質上の大和の帝王清盛が損得勘定にいそしむ頃・・・。

闇夜の平安京。

羅城門には朱色の忍び装束の女童が集っていた。

羅城門から北へ・・・内裏正面にそびえたつ朱雀門までが朱雀大路である。

京の中心部には灯りが灯るが・・・南京と呼ばれる羅城門周辺には荒廃の闇が漂っている。

堂上くのいちの集団は幽かに聞こえる琵琶の音に乗って舞いながら朱雀大路を北上する。

闇の中から一人、また一人ともののけのような男たちが立ち上がる。

死霊であった。

白装束の源氏武者の亡霊たちは呪詛の言葉を叫びながら堂上くのいちに襲いかかる。

闇の刀は黒々とした霧となって触れたものを虚無の世界に封じるのだった。

その凄惨な刃をかわしつつ、ひらりひらりと舞い踊る女童たちは邪心封じのお札を貼りまくるのだった。

「くちおしや・・・」

「こしゃくな・・・」

源氏武者たちは無念の声を上げながら闇の奈落へと戻っていく。

何人かの女童が可憐な叫びを残して地に伏す。

一段と濃い闇をまとった悪鬼武者が哄笑する。

「我こそは源義朝なり」

「世迷い者よ・・・妾が引導渡してくれようぞ・・・妾は平時忠が娘、堂上衆が棟梁・朱雀姫なり」

「笑止」

轟音が唸りと電光を閃かせ、闇の太刀が振り下ろされる。

朱雀姫が真っ二つに切り裂かれたと思った瞬間、無数の赤い鳥が羽ばたいた。

鳥たちはあっという間に悪鬼武者に襲いかかる。

「この怨み・・・はらさで・・・」

笛の音が響く。

悪鬼武者は一陣の瘴気となって霧散した。

その周囲には無数の赤い紙きれが残されている。

「死武者は退散しましたぞ・・・」

「妖気の源ははかれたか・・・」

秘本・源氏物語を持つくのいちに朱雀姫が問う。

「八条院の舘の方角でございます・・・」

「八条院様も・・・お戯れが過ぎるのう・・・」

使用済みのお札を掃き清めるくのいち衆を残して朱雀姫らは闇に消える。

京の都は音もなく静まり返った。

羅生門の屋上にむっくりと起きあがった者がある。

弁慶だった。

「ふむ・・・不浄のものどもが・・・またもざわめきだしたか・・・面白や」

関連するキッドのブログ→第36話のレビュー

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コメント

ばんはです

いやぁ京本さんはホント
変わりませんねぇ

松山さんが老けメイクしてないので
どうかとは思いましたが

京本さんのメイクで十分釣り合いが取れてますな

そして重盛が粗暴な人物に仕立てられ
全ては父の掌で踊らされていることに苦悩する

そんな重盛が愚痴をこぼせるのは妻だけ

でも、その妻の兄は
涼しい顔をして平家に怨みを抱いている

それが更に重盛を追い詰める

見事なものですねぇ

平家が今の地位を当たり前と思う程に
下を省みる心を失い

そして、いつしか恨みを買っている事も
忘れてしまっている

でもって
清盛の行動が白河院の行動と似てきている

その辺も面白いですな


若かりし頃の清盛に
今の清盛を見せてあげたいと思う
今日この頃です

投稿: ikasama4 | 2012年9月25日 (火) 00時34分

pencil✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥pencil

昔、とある番組のロケで
「おはようございます」とあいさつされまして・・・。
どこのおにいちゃんだろう・・・と思っていると
その場でメイクが始りまして
あっと言う間に「京本」様が完成・・・
のけぞったことがございます。
同様のことは・・・研・・・自粛いたします。

セリフもなく一瞬の登場であの存在感。
ピカイチでござりまする。

物語の方は
実に重層的に展開され・・・
人というものが
いかに立場や・・・流れで
生きているか・・・
そういうものをまざまざと感じさせますな。

あの日、あの時、あんなにも憎んだ行為を
そっくりそのまま為してしまう人また人でございます。

そして、立場や流れに
抗おうとするものの・・・
愛ゆえの苦悩・・・
やりきれなさが
淡々と描かれていく・・・。
実に傑作ですな。

そして・・・妄想を越える「遊び」のさりげない挿入。

無残だった夏ドラマゆえに
余計に「別格」の味わいでございますねえ。

朱いカムロたちの登場は衝撃的でございました。

そして・・・白河院の周囲にもいただだろう・・・
時忠のようななもの・・・
その陰湿な変貌・・・。

今回はゴットファーザー愛のテーマが
聞こえてくるような・・・展開でしたよねえ。
それでも・・・清盛は生きていく。

生死のサイコロをふり終わるまでは・・・。

う~ん、しびれますです。

投稿: キッド | 2012年9月25日 (火) 02時02分

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