リセット~本当のしあわせの見つけ方~私の17才知りませんか?(志田未来→鈴木保奈美)
三人の45才の女たちが、28年間をファンタジー的手法で時間遡行し、17才の女子高校生から人生をやり直すという物語である。
で、このメンバーが・・・。
鈴木保奈美(46)→志田未来(19)
高嶋礼子(48)→桜庭ななみ(19)
坂井真紀(42)→山谷花純(15)
微妙にズレてるわけだが・・・それをなんとかしてしまう・・・それなりの女優力があるわけである。
17才の記憶情報と45才の記憶情報の融合はかなり、超高度なすりあわせが必要となるはずだが・・・まあ、ファンタジーなのでそのあたりは穏便にすますのだな。
45才の記憶を持ちながら・・・高校の試験勉強は考えただけでもつらそうで・・・偏差値は確実にリセット前より落ちるだろう・・・などとリアルに考えてはならない。
結局、「専業主婦って最高!」というオチにも見えるが・・・早い話が「なにはなくても女ともだち」オチである。
まあ、要するにハーレクイーンロマンス風・・・っていうことです。
で、『リセット~本当のしあわせの見つけ方~』(TBSテレビ20120930PM9~)原作・垣谷美雨、脚本・浅野妙子、演出・竹園元を見た。鈴木保奈美は17~18才くらいでホリプロタレントスカウトキャラバンの審査員特別賞を受賞している。それが28年前の1984年なので微妙に計算は合っているわけである。もちろん同級生と結婚するわけだが、寺脇康文(50)なのでまた少し調整が必要となるのだが・・・そういう部分を除けば軽いファンタジーとしてはなかなかの秀作でございました~。
二人の愛を 確かめたくて
あなたの腕を すりぬけてみたの
かって女優になるのが夢だった香山知子(鈴木保奈美)は45才の専業主婦である。特に不幸と言うわけではないが・・・妻よりも母を大切にする夫・浩之や母親よりも携帯電話を愛する娘から疎外された気分を味わっていた。
その些細な孤独感は鬱屈し・・・不安定な心を作っていく。
そんなある日・・・テレビでかっての同級生そっくりのスターを発見する。
シオン(東出昌大)は全く年をとっていない高校時代のままの花房絢に生き写しだったのである。
その時から知子は魔界に入り込んだのである。
魔に魅入られた知子は結婚式以来音信不通の同窓生・赤坂晴美(坂井真紀)に電話をかける。
「どうしたの・・・急に・・・誰か死んだの?」
「シオン・・・って知ってる?」
「もちろん・・・」
「花房くんにそっくりじゃない?」
「何言ってんの・・・私たちがオバさんになってるのよ・・・花房くんだってオジさんでしょ・・・」
「そうなんだけど・・・」
「主婦はいいわね・・・ヒマで」
晴美は数十年疎遠だった知子に悪意を感じた。
高校を卒業して以来・・・水商売で生きて来た晴美は・・・今や清掃の仕事でなんとか生計をたてているのである。結婚して家庭を持っている知子のどこか贅沢な悩みを敏感に感じ取っていた。
酔った客(ベンガル)がホテル代を惜しんで路地裏で性交におよぼうとした屈辱が脳裏によみがえると晴美は身の置き所がない気分になるのだった。
シオンのマネージャーは黒川薫(高島礼子)だった。実はシオン=花房絢は魔性のものだった。そのことに気がつかないまま、薫は有能なキャリアウーマンとして生き、婚期を逃していたのだった。
オフィスでは充実した日々を送る薫だったが・・・プライベートでは認知症を発症した老母好恵(高橋惠子)と二人暮らし・・・慣れぬ介護に疲弊している。
魔性のものはそんな三人を眺めてほくそ笑むのである。
永遠の青春を生きるシオンにとってかっての同級生たちは憐れで面白いのだった。
そして・・・魔の時空間を使い、三人に青春時代のリセットを提案するのだった。
「もしも17才に戻れるとしたら・・・どうする?」
「そりゃ・・・戻れるなら戻りたいわよ」
魔性のものにはその言葉が契約の印なのである。
ふと気がつくと・・・三人の女は17才に戻っていた。彼女たちは実はクラスメートだったのだ。
かっての三人はそれほどの仲良しではなかったが・・・今や、未来からきた本当はオバさんの女子高校生三人組である。固い絆を感じざるを得ないのだった。
香山知子から三好知子(志田未来)に戻った知子は母親の由紀恵(奥貫薫)に未来の自分を見る。夫に服従する専業主婦。そこにあるのは主人と奴隷に準じた人間関係だった。大人になりきれないくせに粗暴でだめな家長は朝ドラマの「純と愛」の武田鉄矢に通じるテーマである。朝ドラヒロインと同じように父親にビンタされる知子だった。
水商売で稼ぎながら女手一つで自分を育てた母・澄代(藤吉久美子)・・・未来ではすでに他界している・・・高校生になった晴美(山谷花純)はその苦労が昔より理解できるのである。しかし、未来への絶望はより深まっていく。
そんな晴美に・・・知子は友情の心を注ぎ、女の魅力を開花させる。
知子の未来の夫(栗原吾郎→寺脇康文)は盛んに知子にアプローチをかけるが「俺は生意気な女は嫌いだ・・・君くらいに大人しい女がちょうどいい」などと「男女雇用機会均等法」に逆行する姿勢が鼻につく。
しかし・・・そんな浩之は実は・・・薫(桜庭ななみ)の片思いの相手だったのである。
真実の過去では知りえなかった架空の事実を知り・・・三人の絆は深まっていく。
「浩之くんと結婚するの・・・」
「いいえ・・・私はそれを否定したんだもの・・・」
「じゃ・・・私がもらってもいいかな」
「・・・いいわよ」
「あなたはどうするの・・・」
「私・・・女優になる」
二人の愛を 抱きしめたくて
光の中へ 溶けこんでみたの
まあ・・・あまり触れられない晴美の過去・・・おそらく虐待の過去があるわけで・・・を含めて連続ドラマ化も可能なボリュームである。
しかし・・・ドラマの限界というものがあるので・・・この後は・・・リセット後の28年があっという間に経過する。
知子はそれなりの女優になり、魔性のものと魔性の愛に包まれて生きている。
女優として「専業主婦」を演じた知子は再び寂寥感に襲われるのだった。
「寂しくなったんだね・・・」
「だってあなたは永遠の青春の中にあるのに私は年老いていくのよ」
「28年目になったら一度だけ・・・元の世界に路線変更できるんだ・・・どうする?」
「・・・」
香山薫となった薫だが、共稼ぎを経由して・・・夫の浩之は失業者となっていた。
結局、薫は優秀すぎるのが仇なのである。
富豪(温水洋一)の妻となった晴美は一児を儲けるが幼児虐待の呪いによって愛する我が子を苛めないではいられない地獄に堕ちていた。
まあ・・・所詮は魔性のものが用意した分岐世界なのである。
三人は・・・最初の世界に帰還することを選んだ。
他人より28年長く生きている三人は・・・それなりに前よりも45才を上手に生きられるようになっていた。
香山知子に戻った知子は夫や娘に少し、自己主張ができるようになったのだ。
些細な前進であった。
しかし・・・何よりも昔と違うのは固い友情で結ばれた女友達ができたということなのである。
まあ・・・この脚本家はいつだって愛する異性より仲良し同性オチに持って行くわけですがーーーっ。
動かないで おねがいだから
好きなんだもの
まあ・・・とにかく・・・魔性のものは魔女たちからそれなりになんらかのエキスを抽出しているわけで・・・その点はまちがいなく・・・ホラーテイストなのです。
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