コンビニエンスストアの缶ビール210円、嬉しい喉越しPRICELESS(木村拓哉)
キッドはこのドラマの先行系は植木等の映画・無責任男シリーズだと思う。
もちろん・・・「ニッポン無責任時代」から「ニッポン無責任野郎」を経て「日本一の色男」と続き日本一シリーズへと続いていく植木等の演じる男は様々な変遷を遂げて行くのだが・・・基本的には正体不明のサラリーマンが面白おかしく生き抜いていく話である。
で、この話は「釣りバカ日誌」シリーズへと受け継がれていく。仕事より釣りが好きという異常なサラリーマンが面白おかしく生き抜いていくのである。
「PRICELESS」では主人公はいきなり解雇され・・・サラリーマンではなくなってしまうのだが・・・路頭に迷って困り果てるかというとそうではない。
植木等のように無責任で、ハマちゃんのように呑気に・・・サラリーマンでなくなってしまった生活を面白おかしく生き抜いているのである。
だからといって聖人君子ではなくて・・・できれば「会社」に戻って楽になりたいとも考える。
自分のせいでヒロインが会社を解雇されても・・・ものすごく死に物狂いでなんとかしようとしたりはしない。
どこか・・・つかみどころのない怪しい男なのだ。
しかし・・・心の底では自分を含めたみんながハッピーになれたらいいという魂は匂い立っている。
金のない奴は俺んとこへこい・・・俺も無いけど心配するな・・・そういう気配があります。
とにかく・・・原点がはっきりしているのである。
だから・・・このドラマは安心して見られるのです。
で、『PRICELE$S?あるわけねぇだろ、んなもん!?・第2回』(フジテレビ20121029PM9~)脚本・古家和尚、演出・鈴木雅之を見た。山中鹿介幸盛は戦国時代の武将である。・・・そこかよっ。戦国大名尼子氏の家臣で山中鹿之助(やまなかしかのすけ)として知られる。主家の尼子家は永禄九年(1566年)に毛利元就に降り、実質的に戦国大名ではなくなってしまう。そこから山中鹿之助の名を残す活躍が始る。主題は「お家再興」なのである。すでに滅んだ主家のために復活の狼煙を上げ続ける・・・「願わくば・・・我に七難八苦を与えたまえ」と祈るのである。で、鹿之助は新興勢力の信長に頼ったり、その配下である明智光秀とともに闘ったりするのだが・・・ついに尼子家が戦国大名として復活することはなく、最後は毛利勢に生け捕りにされて殺されてしまうのである。まあ・・・この時代・・・そういう武将は掃いて捨てるほどいたわけだが・・・「忠義」の好きな人たちからこよなく愛され・・・現在も人気武将の一人になったのだった。
せっかく稼いだ300円を射的に投じた死んだ社長の隠し子だったためにミラクル魔法瓶を解雇された金田一二三男(木村拓哉)である。
世話になった貧乏生活の先輩・両太(田中奏生)のために父の形見であるらしい北別府投手(広島カープ)のサインボールを投ずることも厭わない・・・というか、それ犯罪ですから。
しかし・・・欲しかった玩具は手に入らず・・・得たものは「トイズ」と言う名の箱入りキャラメルだった。転んでもタダでは起きないのである。
そして・・・「トイズ」は所謂「食玩」で・・・おまけは「戦国武将フィギュアシリーズ」・・・しかもレアアイテムであるらしい「山中鹿之助」をゲットである。
だが、猫に小判のたとえもあるさ・・・戦国武将に興味のない金田一には「三日月の前立ての兜」を見ても・・・人形を「信長」と言い切るのだった。
一方、金田一の唯一の希望である、ミラクル魔法瓶経理部の戦国武将フィギュアコレクター・二階堂彩矢(香里奈)は残り一人、鹿之助がそろわないためコンプリートが達成できないのである。
「石田三成」じゃあ、ガッカリなのだな。
もう・・・冒頭からキッドの心を鷲掴みである。・・・どんだけガラクタ好きなんだよ。
とにかく、ハマちゃんは赤の他人の社長と親子のように付き合うのだが、こちらでは実の(異母)兄弟である新・社長・大屋敷統一郎(藤木直人)に赤の他人よりも冷酷に扱われる主人公である。
社長の器ではないと断じた統一郎に遺言した二人の父・巌(中村敦夫)の真意はともかく、統一郎は金田一に触れるものすべてに刑罰を下す残忍さなのである。
無責任男シリーズでは植木等のC調な言動に周囲が巻き込まれていくのだが、上司として登場するのするのがザ・ピーナッツに肘鉄くらって「あっと驚く為五郎」と叫ぶハナ肇だ・・・時代考証間違ってるだろう・・・この役どころは影の薄い金田一の元上司・模合謙吾(中井貴一)が・・・そして、才能があるのに活かせていない同僚役が「がちょ~ん」の谷啓である。つまり、二階堂彩矢の役どころは谷啓ポジションなのである。
「無職の男とはさすがに付き合えない」とドライに言う広瀬遙子(蓮佛美沙子)はまさに無責任な男にふさわしい恋人でそのままなんだな。
まあ・・・こんな風に換骨奪胎していることで・・・なかなかに奥深い世界が形成されているわけである。
とにかく・・・なんとか500円を稼いだ金田一。「幸福荘」に戻ると住人の怪しい占い師(酒井敏也)に「まもなく幸運の女神が訪れる」と予言される。
しかし、待っていたのは親のいない貫太(前田旺志郎)・両太兄弟の祖母・鞠丘一厘(夏木マリ)だった。「幸福荘」の管理人で一泊500円の代金を徴収するのである。格安だが・・・それを払えば無一文の金田一なのであった。
しかし、翌朝、やってきたのは二階堂彩矢だった。
二階堂はあくまでカラ出張の件を洗いに来たのだが・・・気になるのは兄弟の玩具と化した空飛ぶ鹿之助だった。
「無実の証明ができる・・・」と勇んで会社に戻った二人。
しかし、金田一が重要機密を盗んだ日に実は出張で大阪にいたという事実を知るモアイ部長に会う前に統一郎の腹心の財前修(イッセー尾形)に発見されてしまう。
そこへ統一郎も現れ、最初の兄弟対決である。
「金田一さんは無実です」と二階堂。
「それが事実なら再調査しよう・・・今日のところはひきとりたまえ・・・」
希望を胸に帰宅する金田一。
しかし、翌日。唯一の証拠であった「ホテルの領収証」は何者かによって盗まれ・・・二階堂は社史編纂室へ移動という突然の左遷辞令が発動である。
「次の社史が出るのは13年後だ・・・我慢だよ」と新たなる上司(佐戸井けん太)は諭すのだった。
こうして・・・二階堂は不条理な世界を痛感するのである。
食べられる野草採りに熱中する金田一の前に二階堂がやってきてサバイバル生活の才能の片鱗を見せる。実は・・・二階堂は極貧の家庭で育ったらしい。
二階堂から成り行きを聞いた金田一は再び絶望感に襲われる。そして無関係の二階堂が巻き込まれたことを少し申し訳なく思うのだった。
残された希望はモアイ部長だった。
「でも・・・あの人は力になってくれるのかしら」
「影の薄い人だけど・・・間違ったことはしない人だから・・・」
二人の会話を立ち聞きしている影の薄いモアイ部長だった。
部下の榎本小太郎(藤ヶ谷太輔)から「金田一の無実」を訴えられ気が咎めている様子なのだ。
二階堂のサバイバル術でパンの耳や川魚を入手し、貧乏バーベキュー大会が開催される。
「これはこれで楽しいよね」などと呑気な金田一に二階堂が釘をさす。
「炭火焼の霜降り和牛やふわふわのベッドとくらべても・・・」
「・・・」
一瞬で事情を察する鞠丘一厘は「あんたも苦労したんだね・・・でも、私はこれはこれで幸せだと思うよ」となだめるのだった。
孫の貫太は気をきかせ・・・二人にホテルのパーティーにまぎれてこんでタダで飲み食いする技を伝授するのだった。
早速でかけた二人だったが・・・運悪く・・・主催者は統一郎だったのである。
第二の兄弟対決だが、勝負は一方的だった。
「招待状もないのに・・・帰りたまえ・・・ここは君たちの来る場所ではない」
またもやビールを飲み損なう金田一。屈辱に顔をゆがませる二階堂。
「やはり・・・金持ちは強い・・・貧乏人は弱い」と突然気がつく金田一に二階堂は呆れるのだった。二階堂がもしも恋に堕ちたのだとしたらこの瞬間かもしれない。月9だからな。
アホな子に惚れるしかないゆとり世代の宿命なのである。
鬱々とした次の日・・・二階堂の元へモアイ部長から連絡が入る。
どうやら・・・間違ったことをしない決意がついたらしい。
喜び勇んで金田一を呼び出す二階堂。
しかし、金田一の行動はルーズである。もはや、こちらの世界に馴染みはじめているらしい。
さらに・・・金田一は家庭のあるモアイ部長を巻き込むことを恐れているのだった。
「私の立場はどうなるのよ・・・」と切羽詰る二階堂。
待ち合わせ場所へ向かう二人だったが両太から電話で貫太が万引きで捕まったと言う知らせが。
どうやら・・・貯めたお金で金田一にビールを買ったが・・・そのお金をレジに置いただけで店を出たらしい。
店長(正名僕蔵)は「貧乏だから万引きしていいことにはならない」と貫太をののしる。
その時、虐げられた二階堂の極貧魂に火がついた。
レシートの控えとレジに収納された金を一分間でチェックである。
そして・・・差額の210円を導き出したのだった。
「あやまりなさい」
「ごめんなさい」
・・・そして・・・勝利のビールで間接キスである。
忘れられたモアイ部長だった。
翌日・・・二階堂がモアイ部長を訪ねると・・・彼は財前修と何事かを話し合った後であった。
「もう・・・力にはなれない」と告げるモアイ。はたして・・・彼はどんな決断を下したのか。
怒り心頭に達した二階堂は・・・財全のオフィスに侵入・・・見事罠にかかってしまう。
そして・・・二階堂も解雇されたのだった。
折り悪く、手持ちの株が大暴落、社宅も追い出され・・・彼女もまた・・・無一文の宿なしとなったのだった。
「まあ・・・めざしでもおたべ」
「おいしいです・・・くやしいです・・・私には貧乏がお似合いなんですかね・・・おいしい」
めざし・・・はおいしいからな。
しかし・・・二階堂の涙にほだされる金田一だった。
早朝、出勤する社長を待ち伏せ、本日三度目の兄弟対決である。
「彼女の処分は撤回してください」
「悪いことをしたら罰せられる・・・それが社会のルールだ」
「本当に悪い事をしたんですかね・・・彼女も・・・僕も」
「・・・」
無言で答える兄だった。
金田一・・・出生の秘密を本当は知っているのかもしれないと思わせる引き際である。
とにかく・・・二階堂はラーメンと交換で鹿之助を手に入れるらしい。
それはそれで幸せと言えるのてはないか。
Jumpin' Jack Flash/The Rolling Stones
おれが生まれた嵐の夜
ママと一緒になきわめく
呼ばれて飛び出てジャジャジャーン
さあ、楽しもうぜ
いつでもどこでも
おれは楽しむぜ
なんてったって
呼ばれて飛び出てジャジャジャーン
関連するキッドのブログ→第1話のレビュー
ごっこガーデン。屋根のないホテルセット。アンナ「雨の日は再放送を見て、晴れた日は公園のベンチでなんとなく日向ぼっこ・・・そしてこの後はドキドキ缶ビールで間接キスごっこのお楽しみがあるのぴょん。じいや、衣装チェンジしくよろ~。彩矢とフミ君のコンビネーションいい感じぴょん。ダーリンと飲むビールはノンアルコールでも超時空一の美味しさなのだぴょ~ん・・・なんてハッピーな2012年の秋なのかしらぴょ~ん・・・視聴率アップだぴょ~ん」まこ「黒いフジッキー様と青黒く染まりたいならスライム~。ぼよよんと揺れて愛しいスライム~。20円を見たら思い出すのは北別府~。8円だったら山本浩二~。WBC応援しましゅ~」みのむし「今度は最初から見たから面白かった~」くう「家康曰く人を知らんと欲せば我が心の正直を基として人の心底を能く察すべし。言と形とに迷ふべからず。けだし名言なり。モアイさんの改心を忠心よりお待ちいたしますだよ」ikasama4「お金がない!と同じ展開になるのかどうか・・・はたしてどうでしょうかね・・・ダーロイド4号機復元成功ですな」ちーず「とりあえず悪夢ちゃんからはじめてます」
天使テンメイ様のつぶやきレビューはコチラへ→徳川家康のお言葉解説付き
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コメント
なるほど〜〜〜
世間的には「お金がない」と比較する輩が多い中、私にはどうしても納得がいかなかった。
いや、始まる前の設定だけ読むと確かに「お金がない」に似ていたけれど、実際に観たら似て非なる全くの別物。
キムタクがあまりにも主体性がなくて、状況に流され過ぎなので、織田裕二とは全くキャラが違いすぎて爽快感がなさ過ぎだし、初回の爆発シーンなんてアニメみたい(笑)脇役のキャラ設定のビミョ〜・・・
なんでこんなドラマになったのか?と首を傾げていたのですが、キッドさんのレビューを観て、おお!と思わず手をたたきましたよ。
植木等の無責任男がこのドラマの源流だったとは!!
目から鱗です。
そう思ったら、がぜん見方が変わりますね。
香里奈演じる二階堂のキャラが一番しっくりくると感じたのは、私が谷啓好きだったからなのか?
キムタクとフジッキーが異母兄弟だというネタばれが早かったのは、キムタクの方が何か別の秘密を握っているような気もします。
あと、まえだまえだ弟くんが今回はお手本のような標準語を話していて、なんだか関西弁が出ないかハラハラして、オカンな気分です。
ネイティブの関東の方から観て、違和感ありませんか?
投稿: あまね | 2012年10月30日 (火) 09時55分
まあ、貧富の差とか、突然の貧乏とかを
扱った作品は多いので「お金がない」と
類似する点は多いかもしれませんが
医師がでてくるドラマはみんな「白い巨塔」というほどの
レベルですね。
織田裕二の作品として系列に属するのは
「踊る大捜査線」でございます。
変なサラリーマン刑事がいて
トップとなんだか仲良くなり
苦労人の上司がいて
仕事はできるが結婚はできない頼れる同僚がいる・・・。
婦人警官はみんな恋人・・・ね。
つまり、恩田すみれさんも谷啓系なのです。
とにかく、東宝系のドル箱トップスターだった
植木等に今回は木村拓哉がチャレンジしている・・・
とキッドは妄想しております。
ギャラは一本三百万円超、チャレンジ精神プライスレスです。
キッドはクレイジーキャッツでは
やはり植木等が好きですが・・・犬塚弘も好きで
キッドの友人は谷啓好きが多いですねえ。
このドラマの主人公は謎めいているのですが
意外とお茶の間は
まだそのことに気がついていない気がする。
どう考えても愛人の子供なんですから
影があって当然なのに
表面上はまったくそう見えないように演じている。
しかし、プレゼントのびっくり箱は
そうでないといけませんからねえ。
びっくりさせられませんから。
キッドが何よりもうれしいのは
鞠丘兄弟がまえだまえだ兄弟でなかったこと。
ドラマの中で子供の漫才きかせるのは
もういい加減にしてもらいたいと思ってましたから~。
標準語と関西弁のイントネーションに
関しては以前から申し上げているように
単なる思い込みの問題です。
ローカルな地域で
「あの関西弁はおかしい」と
ローカルな人たちが共感しているにすぎないのです。
関西弁だってものすごいヴァリエーションが
あるわけでございます。
まあ、「くも」を「雲」と発音するか「蜘蛛」と発音するかという違い程度の共通項があるだけですな。
まして、ネイティブな関東人の共有する
関東弁なんて幻ですよ。
よく、三代続いて初めて江戸っ子といいますが
たとえば東京の人口の9/10は地方出身者でございます。
キッドで言えば祖父母の代になると
父の父 東京下町の生まれ(幕府系)
父の母 山形生れのアイヌ人とのクオーター
母の父 東京山の手の生れ一時海外を放浪(維新系)
母の母 横浜生れ
で、父母の代が
父 東京生まれ一時青森に移転
母 東京生まれ一時藤沢に移転
キッド 東京生まれ東京育ちで
ギリギリ1/2あるかないかの江戸っ子です。
周辺には地域住民にしろ教師にしろ
地方出身者がゴロゴロいるわけで
当然、言語的な影響を受けるのです。
たとえば大阪だって周辺の地方都市から
それなりにおのぼりさんがいるでしょう。
その100倍のカオスが東京なのでございます。
つまり・・・ネイティブの発音なんて幻聴なのでございますよ~
投稿: キッド | 2012年10月30日 (火) 14時39分