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2012年10月31日 (水)

二夜連続ヒロイン二階堂(真木よう子)VS赤の他人に優しい人の目覚め(宮﨑あおい)

今回は「ひまわり、遅咲きだっていいじゃないか」(生田斗真)VS「娘よ、もっと高く跳べ」(阿部寛)でもよかったけどな。

いや、「出番ありませんでした」(庵原涼香)VS「盗んだクーナを抱きしめて」(蒔田彩珠)でもよかったぞ。

それなら「意外と出番が多かった」(木村文乃)VS「私もそこそこありました」(菅野莉央)でもいいじゃないか。

だったら「私は本当は独身なのにっ」(国仲涼子)VS「俺がクーナかっ」(阿部サダヲ)でも・・・おいっ。

まあ・・・それだけ火曜日は楽しいのである。

いくらでも妄想が膨らむのである。

なにしろ、「遅ひま」は第二回で柄本佑の主役回。

「ゴーマ」は過疎の村でハロイン風なのである。

もう、やりたい放題ではないか。

水、木、金、土、日、月ときて火のダブルヘッダー・・・。

さすがに・・・身がもちません。

で、『遅咲きのひまわり〜ボクの人生、リニューアル〜・第2回』(フジテレビ20121030PM9~)脚本・橋部敦子、演出・石川淳一を見た。この日は満月である。月は満ちて欠けてまた満ちる。人生はこのくりかえしを千二百回も体験すれば終了する。ああ、もう何度満月を見ただろう。満月もまた地獄への道標なのである。二百回ほどの満月体験者は青春の光と影を見ているし、三百回になると挫折というものの味を知っているのが普通である。もちろん・・・何事にも例外はあるのだった。

実在の四万十市は人口3万5千人ほどの自治体である。隣接する自治体には人口1万5千人ほどの土佐清水市や人口8万人の宇和島市(愛媛県)がある。ちなみに宇和島市は面積469.58km²で四万十市は面積632.42km²である。さらに東京都荒川区は人口20万5千人で面積は10.20km²なのである。人口密度で言えば荒川区は1km²あたり2万人であり、四万十市は56人だ。だからなんだということなのだが・・・荒川区はちょっと息苦しくて・・・四万十市はちょっと寂しい気がするのだ。

ちなみに高知県の県庁所在地・高知市の人口密度は1km²あたり1110人である。四万十市と比べたら大都会と言えるのだ。

四万十市のターミナル駅は中村駅である。高知市の高知駅までは特急電車で二時間ほどかかる。

主人公はそういう四万十市の片隅で生きています。

山沿いの土地の農民として細々と生きている老人たちの一人、大河内欣治(ミッキー・カーチス)が足を負傷してしまい、稲刈りができなくなってしまう。四万十市役所臨時職員の小平丈太郎(生田斗真)は代役として慣れない稲刈りにチャレンジすることになる。

同時にリハビリテーションのために欣治を四万十中央市民病院に通院させるのである。

そこで・・・丈太郎は同い年の青年でリハビリアシスタントの松本弘樹(柄本佑)と出会う。

欣治は「4番でエースのまつもとひろきくんか・・・」と一目で認識し握手を求める。

その手を松本弘樹はとることができない。

かって・・・無名の進学校だった県立四万十南高校を県大会の決勝まで導いた男は・・・大学進学後に野球人として挫折し、それ以来、十年・・・鬱屈した日々を送っていた。

丈太郎は知らないが医師の二階堂かほり(真木よう子)は弘樹の同級生で元恋人である。

世話役の藤井(桐谷健太)が「少年野球チーム」のコーチを求めていたので丈太郎は弘樹を勧誘するがあっさりと拒絶されるのだった。

一方、二階堂かほりは二つ年上の看護師・森下彩花(香椎由宇)が年下の男と同棲していることを知る。しかし、その男が弘樹だとは夢にも思わない。

そんなある日、通勤のために使っている森下のバイクがパンクし、たまたま通りかかった丈太郎は森下を自宅まで送り、デートに誘うのだった。

その姿を二階堂は目撃する。

丈太郎が森下をデートに誘ったのは森下が高知市出身者だと知ったからである。

地域おこし課課長の日下哲也(松重豊)の哀しい話。

「私は岡山出身なのです。高知市にある大学で四万十市出身の恋人ができました。四万十市に戻った恋人のために・・・四万十市役所に就職したのです。しかし、恋人とは別れ、それ以来独身です。四万十市の女に手を出す時は注意が必要です」

・・・を聞いていたからだ。高知市出身の森下なら大丈夫と判断したのである。

何が大丈夫なのか分からないが・・・丈太郎には四万十市に骨を埋める気持ちは毛頭ないのは明らかだった。

ウキウキしている丈太郎に老婆心から注意を促す二階堂。

「年上の美人ナースにだまされてもしらないわよ」

「なんで知ってるんだよ」

「・・・」

「まさか・・・あんた・・・俺の事を好きなのか」

「馬鹿か、お前」

ともかく・・・寂しい町の話なのである。この狭い人間関係がすごくしっくりきます。

世話役の藤井もかっての同級生で二階堂の姉でもある人妻で芽衣(庵原涼香)・結衣(高嶋琴羽)姉妹の母である島田さより(国仲涼子)にひそかに横恋慕していたりするのだ。

今年の稲刈りは丈太郎がピンチヒッターを勤めたができれば欣治にリハビリしてもらい仕事に復帰してもらいたいのだが、欣治は気落ちしたのかリハビリを受けようとしないのである。

そんな、ある日、丈太郎は老人たちから「遅咲きのひまわり」の話を聞かされる。

季節外れのひまわりが時々咲くというのである。

「遅咲き」ということが丈太郎の心にフィットするのだった。

せっかく、ナース森下とのデートにこぎつけた丈太郎だったが、少年野球チームの臨時コーチを依頼されてしまう。

すると森下は「じゃあ、私もつきあう」と告げるのだった。

丈太郎は有頂天になりいろいろと妄想が膨らむのだった。

そんな丈太郎を見かねて二階堂は森下の真意を探る。

すると森下は「良い身体している男と付き合うのが好きなのだ」と率直に応えるのだった。

一方で森下は丈太郎に頼まれ弘樹にコーチの件を打診する。

そして・・・漸く・・・かっての恋人が鬱屈していることを知るのである。

「久しぶりにあって・・・どう思った・・・」

「・・・」

「ガッカリしただろう」

「そんなことは・・・思わないが」

二階堂は丈太郎に「彼は・・・今の自分に納得していないのかもしれない」と告げるしかないのだった。

挫折知らずの丈太郎は・・・その前の栄光の高揚も知らないのだが・・・ピンと来ないのだった。

とある理由から丈太郎に好意をよせる年下のお嬢様・春菜(木村文乃)もかけつけて、盛り上がる日曜日の少年野球の練習。

そこへ通りかかる弘樹だった。

丈太郎は勝負を挑んで弘樹にコーチを引き受けさせようとするが弘樹は頑なに拒むのである。

納得のいかない丈太郎は欣治を通じてある夏の日の四万十の伝説を知る。

十年前、愛妻に先立たれ失意の日々を送っていた欣治は県大会の決勝をひとりで投げ抜く四万十のヒーロー・弘樹の雄姿をテレビ中継で見て・・・胸を熱くしたのだった。

「四番・・・ピッチャー・・・まつもとひろきくん・・・」

弘樹は欣治の心の英雄だったのだ。

丈太郎はもう一度弘樹を訪ね事情を話す。

「この間はごめん・・・輝かしい過去があるあんたが・・・うらやましかっただけなんだ」

「・・・」

「俺はまだ・・・そういうの知らないから」

「え・・・まだ・・・って・・・あんたこの年でこれから輝けると思ってんの」

「・・・思ってるよ」

無言で対峙する二人だった。

しかし・・・弘樹は欣治を訪ね・・・その手をとるのだった。

「一緒にリハビリがんばりましょう・・・」

その日・・・丈太郎はついに「遅咲きのひまわり」を発見する。

なんだかうれしくて胸が熱くなる丈太郎なのである。

そんな丈太郎を・・・呆れ顔で見つめる弘樹だった。

けれど丈太郎の熱い胸の内とは裏腹に今日も四万十市のシャッター商店街では新たにシャッターが降りるのだ。

遅く咲いたからって・・・なんかいいことあるのかよ・・・と言わんばかりに。

もう、いろいろと沁みるよね。

で、『ゴーイング マイ ホーム第3回』(フジテレビ20121030PM10~)脚本・演出・是枝裕和を見た。旅に出た家族である。しかし、父と娘は二人旅、母は一人旅である。父の旅先には謎の女・下島菜穂(宮﨑あおい)がいて、父である坪井良多(阿部寛)の心は揺れる。しかも、母である坪井沙江(山口智子)は良多のかっての同僚で映画監督の山中健太郎(宅間孝行)と仕事とはいえ寝食を共にしているのである。

山中はこれみよがしに良多の無能をこきおろしつつ沙江を口説く気満々なのであった。

山中は自分が本物で・・・良多は偽物と言い切る。

しかし・・・沙江にとってはどちらも偽物に過ぎないらしい。

もちろん・・・これは比喩であるが・・・紗江は空虚に蝕まれている女なのである。

良多と沙江の娘である小学4年生の坪井萌江(蒔田彩珠)は夫婦の危機に焦燥感を募らせていたのだった。

しかし、子供であるからいざとなったら無力であると自覚している萌江は祖父の話してくれた伝説の小人クーナに逃避せざるを得ないのだった。

萌江にとって「母親のお弁当をクラスメートに販売して得た一週間の謹慎」は「ミスター・グットバーを捜して」彷徨う男性遍歴の始りだったのだ。

一方、娘と妻の電話連絡から・・・妻の浮気の兆候を探ろうとしつつ、なんとなく謎の女に心ひかれる良多。

しかし、森でクーナの赤い三角帽を発見したことにより、その精神は崩壊し始めるのだった。

やがて・・・良多の夢には長野のタクシードライバー・徳永太郎(阿部サダヲ)とそっくりのクーナが出現するのである・・・夢かよっ。

良多の意識不明の父親・栄輔(夏八木勲)の幼馴染で謎の女の父親を名乗る歯医者・鳥居治(西田敏行)に歯の治療を受けた後、良多は父親のカバンにあった鍵でクーナ事務局の引き出しを開ける。そこにはクーナに関する覚書ノートが隠されていたのだった。

良多はノートを手に長野の森に足を踏み入れるのだ。暇だからである。

すると・・・そこに菜穂がやってくる。

二人は社耶町役場住民生活課職員として菜穂が仕事を世話したチェン(テイ龍進)の働く中華風料理の店で食事を共にする。

そこにやってきたのは顔なじみの地元の土建屋の親父たちだった。

ダム建設をめぐり彼らとは確執があるらしい良多の父・栄輔なのである。

そして・・・親父たちは突然、新たな情報を良多に与えるのだった。

菜穂の母親である「くみ」はかってこの村のマドンナ的存在で英輔に捨てられて歯医者の鳥居と結婚したらしい。そんな男だからダム建設に反対したのも何か裏があると憶測するのである。

「いやな話を聞かせてもうしわけありません」と侘びる菜穂。

「いや・・・金と女に汚い男でしたから・・・言われても当然ですよ」

「私にはとてもいい人に思えましたけれど・・・」

「外面がいいだけなんだ」

「・・・」

「赤の他人には優しいふりが出来る男なんです・・・」

「そうですか・・・赤の他人には・・・」

良多のバランス感覚が発動してなんとなく気が咎めるのだった。

「あの・・・遠慮しないで見舞いには来てください・・・もっとも父親はまだ眠ったままですが」

良多の中では再び疑惑が頭をもたげていた。

やはり・・・菜穂は父親の隠し子で不義密通の果ての異母妹なのではないかという疑惑。

それともかっての恋人である母親「くみ」の面影を菜穂に見た父親は菜穂を愛人にしたのではないかという疑惑。

さらには自分の娘と知りつつ愛人にしたのではないかという疑惑まで巻き起こる。

そこには当然、異母妹と知りつつ良多が菜穂と魔性の愛に溺れる妄想も含まれているのだった。

一方、父親と同様に歯医者を訪ねた萌江はクーナ事務局から木彫りのクーナを盗み出すのである。

クーナ事務局の公式見解ではクーナもフロドもノームの一種と語る菜穂だった。ノームとはヨーロッパ起源の大地の精霊である。ものすごく洋風なのだった。

しかし、ノームもアイヌの小人伝説にあるコロポックルもその姿は相似していて・・・基本的には長野にノームのクーナが在住していても違和感はないのだった。

コロポックル(蕗の葉の下の人)は先住民であるアイヌの人々よりもさらに古い先住民である。

つまり、アイヌ(人間)とカムイ(神)をつなぐ失われた環がコロポックルなのだ。

考古学的に実在が証明されれば世紀の大発見になるのだろう。

しかし、彼らは遺骨を残さない存在なのかもしれず・・・あるいは不死なのかもしれない・・・未だに存在を示す決定的な証拠は得られていないのだった。

ましてや、良多が偶然、クーナの赤い三角帽を入手する可能性は低いわけだが・・・神秘というものはどこでどう啓示されるかわかったものではないのだな。

その頃、仕事で使う小振りの重箱を求める小旅行に出た沙江とアシスタントのじゅんじゅんこと潤(菅野莉央)は旧家で美しい重箱を入手する。

母から娘(中村ゆり)に伝えられたとう重箱の由来に感動する潤に沙江は「プロはあくまで見た目」を重視することが肝心だと告げる。

潤は母親に教えられたというもののたま(物質に宿る神性)に触れつつ、肝心なのに心がない沙江の空虚を皮肉る。

しかし、「自分は母親から何ももらわなかった」と感じる沙江には通じないのだった。

沙江の心は母を得られなかった不幸な生い立ちに基づく空虚に蝕まれているのである。

その頃、沙江が幽かな絆を感じ、自分の支配下にあると信じている夫と娘・・・良多と萌江は菜穂とその息子・大地(大西利空)にすっかり心を奪われていた。

無心になって子供たちと遊ぶ良多は転んでひざをすりむき・・・母親として見守る菜穂に手当てをされて空虚な妻に傷心した心が癒されるのを感じる。

沙江の誰も信じることができない空虚な心から夫である良多と娘である萌江の二人は解放されようとしていた。

魔術的な気配のたちこめるハロイン風の夜。

魔幼女と化した宮内姉妹(石井杏子・梨子)や越野きらり(浜尚美)はクーナの使徒として巡礼の途についている。

良多は悪しき妻の匂いの残るズボンを洗われて、頭に蝙蝠を記した黒衣を纏う。

闇に燃える炎。

もはや、良多は身も心も菜穂の虜になりつつあるのである。

ところで、魔界調べによるとハロウィンのコスプレ人気度は・・・。

第一位 魔女

第二位 悪魔

第三位 かぼちゃの精

・・・である。またもやベスト3を逃した魔王様の怒りが恐ろしい今日この頃である。

息子の危機、あるいは愛人を息子に奪われる危機を察したのか。

魔女である正妻の敏子(吉行和子)の見守る中・・・栄輔は長き夢魔の呪縛から解き放たれるのだった。

関連するキッドのブログ→先週の火曜日のレビュー

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2012年10月30日 (火)

コンビニエンスストアの缶ビール210円、嬉しい喉越しPRICELESS(木村拓哉)

キッドはこのドラマの先行系は植木等の映画・無責任男シリーズだと思う。

もちろん・・・「ニッポン無責任時代」から「ニッポン無責任野郎」を経て「日本一の色男」と続き日本一シリーズへと続いていく植木等の演じる男は様々な変遷を遂げて行くのだが・・・基本的には正体不明のサラリーマンが面白おかしく生き抜いていく話である。

で、この話は「釣りバカ日誌」シリーズへと受け継がれていく。仕事より釣りが好きという異常なサラリーマンが面白おかしく生き抜いていくのである。

「PRICELESS」では主人公はいきなり解雇され・・・サラリーマンではなくなってしまうのだが・・・路頭に迷って困り果てるかというとそうではない。

植木等のように無責任で、ハマちゃんのように呑気に・・・サラリーマンでなくなってしまった生活を面白おかしく生き抜いているのである。

だからといって聖人君子ではなくて・・・できれば「会社」に戻って楽になりたいとも考える。

自分のせいでヒロインが会社を解雇されても・・・ものすごく死に物狂いでなんとかしようとしたりはしない。

どこか・・・つかみどころのない怪しい男なのだ。

しかし・・・心の底では自分を含めたみんながハッピーになれたらいいという魂は匂い立っている。

金のない奴は俺んとこへこい・・・俺も無いけど心配するな・・・そういう気配があります。

とにかく・・・原点がはっきりしているのである。

だから・・・このドラマは安心して見られるのです。

で、『PRICELE$S?あるわけねぇだろ、んなもん!?・第2回』(フジテレビ20121029PM9~)脚本・古家和尚、演出・鈴木雅之を見た。山中鹿介幸盛は戦国時代の武将である。・・・そこかよっ。戦国大名尼子氏の家臣で山中鹿之助(やまなかしかのすけ)として知られる。主家の尼子家は永禄九年(1566年)に毛利元就に降り、実質的に戦国大名ではなくなってしまう。そこから山中鹿之助の名を残す活躍が始る。主題は「お家再興」なのである。すでに滅んだ主家のために復活の狼煙を上げ続ける・・・「願わくば・・・我に七難八苦を与えたまえ」と祈るのである。で、鹿之助は新興勢力の信長に頼ったり、その配下である明智光秀とともに闘ったりするのだが・・・ついに尼子家が戦国大名として復活することはなく、最後は毛利勢に生け捕りにされて殺されてしまうのである。まあ・・・この時代・・・そういう武将は掃いて捨てるほどいたわけだが・・・「忠義」の好きな人たちからこよなく愛され・・・現在も人気武将の一人になったのだった。

せっかく稼いだ300円を射的に投じた死んだ社長の隠し子だったためにミラクル魔法瓶を解雇された金田一二三男(木村拓哉)である。

世話になった貧乏生活の先輩・両太(田中奏生)のために父の形見であるらしい北別府投手(広島カープ)のサインボールを投ずることも厭わない・・・というか、それ犯罪ですから。

しかし・・・欲しかった玩具は手に入らず・・・得たものは「トイズ」と言う名の箱入りキャラメルだった。転んでもタダでは起きないのである。

そして・・・「トイズ」は所謂「食玩」で・・・おまけは「戦国武将フィギュアシリーズ」・・・しかもレアアイテムであるらしい「山中鹿之助」をゲットである。

だが、猫に小判のたとえもあるさ・・・戦国武将に興味のない金田一には「三日月の前立ての兜」を見ても・・・人形を「信長」と言い切るのだった。

一方、金田一の唯一の希望である、ミラクル魔法瓶経理部の戦国武将フィギュアコレクター・二階堂彩矢(香里奈)は残り一人、鹿之助がそろわないためコンプリートが達成できないのである。

「石田三成」じゃあ、ガッカリなのだな。

もう・・・冒頭からキッドの心を鷲掴みである。・・・どんだけガラクタ好きなんだよ。

とにかく、ハマちゃんは赤の他人の社長と親子のように付き合うのだが、こちらでは実の(異母)兄弟である新・社長・大屋敷統一郎(藤木直人)に赤の他人よりも冷酷に扱われる主人公である。

社長の器ではないと断じた統一郎に遺言した二人の父・巌(中村敦夫)の真意はともかく、統一郎は金田一に触れるものすべてに刑罰を下す残忍さなのである。

無責任男シリーズでは植木等のC調な言動に周囲が巻き込まれていくのだが、上司として登場するのするのがザ・ピーナッツに肘鉄くらって「あっと驚く為五郎」と叫ぶハナ肇だ・・・時代考証間違ってるだろう・・・この役どころは影の薄い金田一の元上司・模合謙吾(中井貴一)が・・・そして、才能があるのに活かせていない同僚役が「がちょ~ん」の谷啓である。つまり、二階堂彩矢の役どころは谷啓ポジションなのである。

「無職の男とはさすがに付き合えない」とドライに言う広瀬遙子(蓮佛美沙子)はまさに無責任な男にふさわしい恋人でそのままなんだな。

まあ・・・こんな風に換骨奪胎していることで・・・なかなかに奥深い世界が形成されているわけである。

とにかく・・・なんとか500円を稼いだ金田一。「幸福荘」に戻ると住人の怪しい占い師(酒井敏也)に「まもなく幸運の女神が訪れる」と予言される。

しかし、待っていたのは親のいない貫太(前田旺志郎)・両太兄弟の祖母・鞠丘一厘(夏木マリ)だった。「幸福荘」の管理人で一泊500円の代金を徴収するのである。格安だが・・・それを払えば無一文の金田一なのであった。

しかし、翌朝、やってきたのは二階堂彩矢だった。

二階堂はあくまでカラ出張の件を洗いに来たのだが・・・気になるのは兄弟の玩具と化した空飛ぶ鹿之助だった。

「無実の証明ができる・・・」と勇んで会社に戻った二人。

しかし、金田一が重要機密を盗んだ日に実は出張で大阪にいたという事実を知るモアイ部長に会う前に統一郎の腹心の財前修(イッセー尾形)に発見されてしまう。

そこへ統一郎も現れ、最初の兄弟対決である。

「金田一さんは無実です」と二階堂。

「それが事実なら再調査しよう・・・今日のところはひきとりたまえ・・・」

希望を胸に帰宅する金田一。

しかし、翌日。唯一の証拠であった「ホテルの領収証」は何者かによって盗まれ・・・二階堂は社史編纂室へ移動という突然の左遷辞令が発動である。

「次の社史が出るのは13年後だ・・・我慢だよ」と新たなる上司(佐戸井けん太)は諭すのだった。

こうして・・・二階堂は不条理な世界を痛感するのである。

食べられる野草採りに熱中する金田一の前に二階堂がやってきてサバイバル生活の才能の片鱗を見せる。実は・・・二階堂は極貧の家庭で育ったらしい。

二階堂から成り行きを聞いた金田一は再び絶望感に襲われる。そして無関係の二階堂が巻き込まれたことを少し申し訳なく思うのだった。

残された希望はモアイ部長だった。

「でも・・・あの人は力になってくれるのかしら」

「影の薄い人だけど・・・間違ったことはしない人だから・・・」

二人の会話を立ち聞きしている影の薄いモアイ部長だった。

部下の榎本小太郎(藤ヶ谷太輔)から「金田一の無実」を訴えられ気が咎めている様子なのだ。

二階堂のサバイバル術でパンの耳や川魚を入手し、貧乏バーベキュー大会が開催される。

「これはこれで楽しいよね」などと呑気な金田一に二階堂が釘をさす。

「炭火焼の霜降り和牛やふわふわのベッドとくらべても・・・」

「・・・」

一瞬で事情を察する鞠丘一厘は「あんたも苦労したんだね・・・でも、私はこれはこれで幸せだと思うよ」となだめるのだった。

孫の貫太は気をきかせ・・・二人にホテルのパーティーにまぎれてこんでタダで飲み食いする技を伝授するのだった。

早速でかけた二人だったが・・・運悪く・・・主催者は統一郎だったのである。

第二の兄弟対決だが、勝負は一方的だった。

「招待状もないのに・・・帰りたまえ・・・ここは君たちの来る場所ではない」

またもやビールを飲み損なう金田一。屈辱に顔をゆがませる二階堂。

「やはり・・・金持ちは強い・・・貧乏人は弱い」と突然気がつく金田一に二階堂は呆れるのだった。二階堂がもしも恋に堕ちたのだとしたらこの瞬間かもしれない。月9だからな。

アホな子に惚れるしかないゆとり世代の宿命なのである。

鬱々とした次の日・・・二階堂の元へモアイ部長から連絡が入る。

どうやら・・・間違ったことをしない決意がついたらしい。

喜び勇んで金田一を呼び出す二階堂。

しかし、金田一の行動はルーズである。もはや、こちらの世界に馴染みはじめているらしい。

さらに・・・金田一は家庭のあるモアイ部長を巻き込むことを恐れているのだった。

「私の立場はどうなるのよ・・・」と切羽詰る二階堂。

待ち合わせ場所へ向かう二人だったが両太から電話で貫太が万引きで捕まったと言う知らせが。

どうやら・・・貯めたお金で金田一にビールを買ったが・・・そのお金をレジに置いただけで店を出たらしい。

店長(正名僕蔵)は「貧乏だから万引きしていいことにはならない」と貫太をののしる。

その時、虐げられた二階堂の極貧魂に火がついた。

レシートの控えとレジに収納された金を一分間でチェックである。

そして・・・差額の210円を導き出したのだった。

「あやまりなさい」

「ごめんなさい」

・・・そして・・・勝利のビールで間接キスである。

忘れられたモアイ部長だった。

翌日・・・二階堂がモアイ部長を訪ねると・・・彼は財前修と何事かを話し合った後であった。

「もう・・・力にはなれない」と告げるモアイ。はたして・・・彼はどんな決断を下したのか。

怒り心頭に達した二階堂は・・・財全のオフィスに侵入・・・見事罠にかかってしまう。

そして・・・二階堂も解雇されたのだった。

折り悪く、手持ちの株が大暴落、社宅も追い出され・・・彼女もまた・・・無一文の宿なしとなったのだった。

「まあ・・・めざしでもおたべ」

「おいしいです・・・くやしいです・・・私には貧乏がお似合いなんですかね・・・おいしい」

めざし・・・はおいしいからな。

しかし・・・二階堂の涙にほだされる金田一だった。

早朝、出勤する社長を待ち伏せ、本日三度目の兄弟対決である。

「彼女の処分は撤回してください」

「悪いことをしたら罰せられる・・・それが社会のルールだ」

「本当に悪い事をしたんですかね・・・彼女も・・・僕も」

「・・・」

無言で答える兄だった。

金田一・・・出生の秘密を本当は知っているのかもしれないと思わせる引き際である。

とにかく・・・二階堂はラーメンと交換で鹿之助を手に入れるらしい。

それはそれで幸せと言えるのてはないか。

Jumpin' Jack Flash/The Rolling Stones

おれが生まれた嵐の夜

ママと一緒になきわめく

呼ばれて飛び出てジャジャジャーン

さあ、楽しもうぜ

いつでもどこでも

おれは楽しむぜ

なんてったって

呼ばれて飛び出てジャジャジャーン

関連するキッドのブログ→第1話のレビュー

An002 ごっこガーデン。屋根のないホテルセット。アンナ雨の日は再放送を見て、晴れた日は公園のベンチでなんとなく日向ぼっこ・・・そしてこの後はドキドキ缶ビールで間接キスごっこのお楽しみがあるのぴょん。じいや、衣装チェンジしくよろ~。彩矢とフミ君のコンビネーションいい感じぴょん。ダーリンと飲むビールはノンアルコールでも超時空一の美味しさなのだぴょ~ん・・・なんてハッピーな2012年の秋なのかしらぴょ~ん・・・視聴率アップだぴょ~んまこ黒いフジッキー様と青黒く染まりたいならスライム~。ぼよよんと揺れて愛しいスライム~。20円を見たら思い出すのは北別府~。8円だったら山本浩二~。WBC応援しましゅ~みのむし今度は最初から見たから面白かった~くう家康曰く人を知らんと欲せば我が心の正直を基として人の心底を能く察すべし。言と形とに迷ふべからず。けだし名言なり。モアイさんの改心を忠心よりお待ちいたしますだよikasama4お金がない!と同じ展開になるのかどうか・・・はたしてどうでしょうかね・・・ダーロイド4号機復元成功ですなちーずとりあえず悪夢ちゃんからはじめてます

天使テンメイ様のつぶやきレビューはコチラへ→徳川家康のお言葉解説付き

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2012年10月29日 (月)

MONSTERSとは一人で風船をたくさん持ってる女の子のことですか?(山下智久)

日曜の深夜、月曜早朝だというのになんだかココログが重いのである。

・・・関連記事を呼び出すだけで一苦労なのだ。

このスケジュールでこの状況はきついぞ~。

さて、二回目でわかったことといえば、このドラマは小学生向けなのだということなのだな。

そうでもなければ最初から犯人のわかっているミステリを展開していることの意味がわからない。

いや・・・あの人が犯人じゃないと思っていて「え~」となるのは小学生だけだと思うからです。

それから・・・手法として斬新なのは・・・明らかに「完全犯罪を狙う犯人」で「それを崩すコロンボ・・・古畑」的な話なのに・・・最初に犯人の手口を伏せること。いや、実は本来のオーソドックスなスタイルなのだが・・・倒叙式になれているとコレは見にくいよね~。

で・・・それが謎めいていれば面白いわけだが・・・もう最初からあの人しか犯人がいない状態でコレをやられても。

さらに言えば・・・前回は明らかに意図的な罠だったのだが、今回は偶然なのか、そうでないのか・・・曖昧にしていることである。

つまり・・・「犯人」のトリックを見破った上で・・・「探偵」が罠を仕掛けたかどうか・・・なのである。

これを必ずやってくるのなら・・・凄い作品になると思うが・・・成り行きでこうだともう一つピンと来ないのだな。

ともかく・・・今季のレビューの中で・・・これが一番、いろいろと難しい作品になっていると考えます。

今回の紅一点は古川りかである。ニュースの女子アナリポーターもいるがこれはカウントしない。

なにしろ、日本の男女平等の低さを誇示するためのドラマのようだ。

捜査一課が男だらけなのもそうだが・・・レギュラー(女子)が柳原可奈子だけってどんだけ~である。

ミニスカポリスはどこに・・・なのである。

男女雇用機会均等法を知らないのかっ。

まあ・・・いいか。

で、『MONSTERS・第2回』(TBSテレビ20121028PM9~)脚本・蒔田光治、演出・福澤克雄を見た。古川りかと言えば映画「櫻の園」(1990年)以来の息の長い女優だがまもなく40代に突入である。その人がただ一人の女性ゲストなのである。それに対して、男性陣は、山本耕史を筆頭に、渡部豪太、浅野和之、岩松了とヴァリエーション豊富な豪華ゲストになっているのだ。なんだろう・・・この徹底した感じ。なんだか・・・もう・・・帝国商品に絶対にピチピチした女優を近づけない方針なのか・・・あのことがトラウマになっているのですかーーーっ。

「平塚さ~ん」と西園寺(山下智久)が24時間監視していなければならない上司の平塚刑事(香取慎吾)を捜している。自動販売機の下まで覗くのだが・・・これは・・・知性というより、知能が水準以下のキャラクターだということを示しているのですか・・・わ、笑いはとれないと思うぞ。

で、どうやら西園寺を監視しているのではないかと思える平塚はこっそりと忍びよるのだった。

つまり、後ろからわっと驚かせるわけで・・・それはまさに小学生の基本なのである。

ね~っ。

で、現実とは違い、解散総選挙となったらしく、この世界では衆議院東京選挙区は第27区以上あるらしい。現実では第25区までである。北千住あたりは第13区である。

で、与党・民友党の元内閣総理大臣の鷺沼晋太郎(岩松了)と元警察庁長官で野党の新党ともしびの大畑幸三(浅野和之)が一騎打ちという様相になっているという。・・・ここは小学生には凄く難しいです。

ある意味、市民運動出身のあの元総理とザ・官僚出身の政治家の一騎打ちになっているわけだが・・・大畑はさすがに苦戦なのである。もちろん、与党の大物は名前的には菅ではなく鳩山なのだが・・・鷺沼だからね・・・そのあたりもお遊びとしてはものたりないのだ。

さて・・・事件は鷺山サイドではなくて・・・大畑サイドで起きる。

何やら怪しい男たちが大畑の選挙演説を監視している。一人はいかにもヤクザな男でもう一人は実は組織暴力団の「櫻銀会」のチンピラ田川(渡部豪太)なのだが、どちらかといえばスナイパーに見えるのである。

次に大畑の選挙事務所に「立候補をとりさげろ」という脅迫状が届き、元女優で妻の久美子(古川りか)が発見する。

大畑と久美子の夫婦仲はいきなり険悪である。

そんな二人を複雑な表情で見つめる第一秘書の山村(山本耕史)だった。

差出人不明の脅迫状だが・・・何故か暴力団から届けられたと認定される。

かって暴力団封じ込めで名をあげた大畑だから・・・らしい。

選挙カーの中で突然、妻の久美子に難癖をつけはじめた大畑に妻はいたたまれず疾走する。疾走しなかったらどうするつもりだったんだ。

その後、大畑は黒尽くめの暴漢(渡部豪太)に殴られるために下車する。

人目のあるところで暴漢に襲われた大畑は秘書の山村に対し、妻の身を案ずる素振りを見せる。

「俺は脚をやられて・・・動けない・・・久美子を捜して保護してくれ」

その頃、久美子は袋小路の路地裏で顔見知りに正面から殴られて死亡したのである。

目撃した親子連れの女児の手からは大量のオレンジ色の風船が虚空にむかって放たれるのだった。

ここだ・・・どんな事情で・・・幼女があんなに大量の風船を入手したのか。

キャンペーンでもらうとしても一人一個だろう。

手抜きのティッシュ配りかよっ。

まあ・・・このドラマの問題点はすべてここにあります。

で、倒叙式なら・・・ここで犯人がなぜ、彼女を殺す必要があったのか・・・動機の部分や・・・組織暴力団との因縁などが丁寧に描かれるのだが・・・先祖がえりしたこのドラマでは探偵役の平塚は何故か最初から大畑を犯人扱いしているにも関わらず・・・無駄に脚を使った捜査を展開していくのである。

そのために・・・お茶の間はあまり興味のない「事件」にずっと付き合う破目になるのだった。

明らかに西園寺の唇を狙っている金田班長(遠藤憲一)とその部下たちはかっての警察庁トップに最敬礼で接するが、あくまでマイペースの平塚は・・・いつの間にか大畑の懐にとびこんでいるのだった。

犯行時のアリバイを聞かれた大畑は「脚をやられて動けないので車の中にいた」と言う。

重ねて金田が「何か変わったものはみませんでしたか」と問うと大畑は「オレンジ色の風船を見た」と言うのだった。

少なくとも・・・ここでは「犯人がまた来るかもしないので車に閉じこもっていた」くらいでないと最後の決め手にはかけるのである。

もう、全体的に言うと穴だらけでツッコミきれないくらい緩いミステリになっています。

たとえば殺害現場にやってきた平塚と西園寺。

「犯人は夫人の顔見知りの犯行です」

で・・・現場近くでジャケットが発見され・・・販売ルートから暴漢の田川が容疑者として浮かびあがると・・・。

「彼は夫人の顔見知りではないから・・・犯人ではない」

と断言するわけですが・・・夫人と田川に面識があった可能性はいくらでもあるわけです。

なにしろ、夫人が誰と知り合いだったかなんて夫人以外にはわからないわけですから~。

ともかく・・・夫人を殺害された大畑候補の人気は高まり、選挙戦は一挙に有利に。

田川のジャケットがなぜ現場にのこされていたのか・・・その理由を聞きに田川の属する組織暴力団「櫻銀会」に乗り込むと言う平塚刑事・・・意味不明です。

結局、妙に口の軽い「櫻銀会」組長・丸田(森田順平)は「大物から依頼されたということ以外は言えない」と言います。

トイレから一人で脱走した平塚のために西園寺はヤクザたちに可愛がられてしまうのですが現職警官に暴行して生きて返すヤクザはいないだろうと思われ・・・。

とにかく・・・高層マンションのどちらかの部屋で・・・いや・・・同棲しているのか・・・とにかく、恋人の高野恵美(柳原可奈子)に手当てだのチューだの犯人探しだのをしてもらう西園寺です・・・おいおい・・・単に本気でマジで真剣に恋人なのか・・・なんだよ、もう。

この共演が縁で可奈子が妊娠、山Pとできちゃった結婚みたいな展開になったらどうするつもりなんだ。

それ・・・あらゆる意味で禁句だ。・・・一同爆笑ポイントだけどな。

可奈子の推理で対抗候補の鷺沼が怪しいと推理する西園寺だった。やはり心は小学生なのだな。

早速、鷺沼の事務所に乗り込む平塚と西園寺。元総理相手に軽いノリである。

元総理は家族にもSPつくぞ~。誘拐されたら大変だからな~。

そして・・・平塚は鷺沼を犯人だと疑っている刑事として西園寺を紹介するのだった。

ここは・・・少し面白かった。

まあ・・・刑事二人ではなくて時効警察の熊本課長の味がだけどな。

ここで初めて大畑夫人と秘書の山村の不適切な関係が明らかになるのだった。

何度も言うが倒叙式なら最初に示されるべきポイントである。

そして・・・恐ろしいことに山村は愛する女を殺されたり、犯人扱いされたりしながらも最後まで淡々と傍観者のまま通り過ぎて行くのである。

なんだ・・・近藤さんと土方さんだからふとやってきただけなのか。

さて、今回は大畑の事務所に侵入した平塚刑事。あってはならない場所にあった「証拠」の品に自分の指紋つけて仕込み終了です。

やがて、暴漢の田川が真犯人を目撃したと証言。

犯人の逃げて行ったという工事現場には何日も経過しているのに凶器とジャケットと秘書の山村の指紋がついた手袋が放置されていたのだった。

大畑は当選した。

しかし・・・投票を終えた平塚刑事は大畑を逮捕するのだった。

「犯人はあなただ・・・事務所にあった手袋が凶器と一緒にあったのが証拠です」

「誰かが盗んでいったのかもしれないじゃないか」

「いえ、あなたは紫色にしか見えない風船をオレンジ色だと言った」

「車停めていたから・・・暑いので窓をあけていたんだよ」

「・・・当選おめでとうございます」

事件は迷宮入りした。

だめだ・・・こりゃ。

関連するキッドのブログ→第1話のレビュー

Erioo2 ごっこガーデン。愛の園セット。エリいろいろひーっな展開のドラマですが小学生の夢見る「好きな人との同棲生活」は愛しい先輩の傷の手当で始るのでス~。痛いの痛いのとんでけ~なのでス~。遺体の話はあのねのね~というか話自体が痛いのはなんともはやなのでスワ~。もう、このドラマは可愛い山P先輩の可愛いしぐさや表情を鑑賞するPVとして見るしかないのでス~。あらら・・・mari誰が得って・・・恋人役の柳原ちゃんだけなんじゃないのかな~。とにかくホッペにチュ~はしておきますよ~くう新撰組ファン待望そしてガッカリ・・・なんだかなあ、がこれほど似合うドラマ切腹申しつけるものなり・・・ドラマが語るにおちてるよ~ikasama4御意

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2012年10月28日 (日)

寝言は寝て言えっ!・・・的な悪夢ちゃんの破綻の危機もげっ(北川景子)

夢について語る時の人間はかなり危機的な状況にあると言える。

なにしろ・・・基本がなんでもありなのだ。

「私は将来、アドルフ・ヒットラーのような人間になりたい」と語ることも自由なのである。

しかし、本当にそう思っていてもなかなか口に出せないこともある。

そこで自主規制である。

自分で自分を検閲するのだ。

「検閲」が「報道の自由を規制するもの」である以上、公的機関がそれをするのは望ましくない。

そこで「自主規制」である。

しかし、自主規制するものが公的機関の顔色を窺がうようになると何が「検閲」で何が「自主規制」だかわからなくなる。

「社会」がそうであると「個人」もそうなるわけである。

「私は平凡だけれど慎ましく生きる人になりたい」

そう言ってしまうことになるのだ。

キッドは文中で「基地外」という「隠語」を使う時がある。

ある意味で「基地の中」は安全であり、「基地の外」は危険である。「基地外に刃物」はかなり危険なのである。

文章表現にさえも「検閲」や「自主規制」がかかるのは言葉の自由を愛する人間にとって甚だ喜ばしくないことなのである。

しかし、世の中には言葉に不自由な人もいてそういう人たちは別に言葉が不自由でも自分たちの権利や感情を守る方が大事だったりする。

「言葉の自由」よりも「社会の安定」なのである。

だから、本来あるべきその言葉はかなりの言葉の実力者・・・たとえば筒井康隆でさえ「基地外」に置換せざるを得ないということになる。

それが「悪夢のような現実」というものだ。

より大きく社会とかかわる情報メディアではさらに事態は複雑だ。

「基地の外と基地の内の話」というコントが没になるのだ。

「基地の内外の話のどこがわるいんですか」

「字づらはそうでも声に出したら基地外連発じゃないか・・・そんなのダメにきまってるだろう」

「まあ、そうですけどね」

・・・ということである。

だから「バカチョンとはバッカスと朝鮮ニンジンの略語」というコントも駄目だし、「ブラック解放運動の暗黒」というコントもダメなのだな。

そういう「差別の解消」をおちょくることはすべて「中二病」に分類されてしまうご時勢なのである。

そういう経験が別にどう表現しようと構わないこの場でも「基地外」を使用するという結果を招くのだ。

さて、一方で認識は共有されなければならないという問題がある。

たとえば・・・ほとんどの日本人は英語で話しかけても大丈夫だが、一部の教養のない人には意味不明なのだ・・・と書いたら多くの人が疑問を呈するだろう。

しかし、義務教育で英語を習うのである。ほとんどの人間が英語がペラペラの筈でしょうなどと言っても国語を習っても日本語さえ不自由な人が多いと言われればそれまでなのである。

一度、教壇に立って話している自分を想像してみるといいだろう。

教室の聴き手たちはそれぞれがちがう聴取の能力を持っているのだ。

とても全員に「真意」が伝わるとは思えない。

前段の「基地外」にまつわる話の「真意」だってどう伝わっているかわかったものじゃないのだ。

そこで「夢に関するドラマ」である。

どこまでが「夢」でどこまでが「夢ではないどこか」か判然としない世界を描くことはかなり困難なのだ。

なにしろ・・・所詮は作家の「夢」の具象化なのである。

作家さえもが「夢」と「それ以外」の区別が危うくなる可能性もある。

まして受け手・・・お茶の間がどこまでついていけるかわかったものではない。

今回、ドラマでは最後に主人公は小学生相手に「私も自分を出していくからみんなも自分を出していきましょう」と語るわけだが・・・それが「普通の小学生」に伝わるものなのかどうか・・・少し疑問に思う。

「夢」について語るうちに「夢」に飲み込まれつつあるのではないか・・・。

そう考えるからである。

まあ・・・それだけスリリングなチャレンジをしていることには敬意を表したい。

で、『・第3回』(日本テレビ20121027PM0940~)原案・恩田陸、脚本・大森寿美男、演出・猪股隆一を見た。悪夢ちゃんの世界では人間の魂は意識と無意識に分けられる。無意識の世界では魂は時空を超越した神秘の情報源とリンクしているが目覚めた状態で意識がそれを意識することはできないというのが前提である。その中で悪夢ちゃんこと明恵小学校5年2組の古藤結衣子(木村真那月)はその一部を現実に持ち帰ることができる予知夢者であり、主人公の明恵小学校5年2組担任教師・武戸井彩未(北川景子)は予知夢によって未来を改変できる夢判断者なのである。

つまり、「君子危うきに近寄らず」(非論語)なのである。

悪夢ちゃんの夢(透明人間の見ている夢にリンクして)

ボクは近藤七海(大友花恋)が好きだ。ボクの愛する近藤七海がハンドクリームを塗っている。クリーミーなその手に。すべすべしたその手に。ハンドクリームをぬっている。今日もハンドクリームを塗っている。クリーミーな近藤七海がもっとクリーミーになっていく。すべすべになっていく。

絵の上手い榎本歩夢(清水優哉)がもてはやされている。佐藤卓弥(若山耀人)が間宮蒼太(渋谷龍生)が田之上空(稲田羅倭)が榎本歩夢をもてはやす。プロになれるって? 浦沢直樹の再来だって? そんなのただのものまねじゃないか。 見た目がよくて中身もいいなんてめったにないよ。本当の天才は俺だよ。 みんなに見えていない俺だよ。ああ・・・近藤七海までが榎本を潤んだ瞳で見ている。クリーミーな手でおねだりしている。バカでブスな木下萌 (南乃彩希)と一緒になって。近藤七海は俺を見るべきだ。本当の天才は俺なんだ。透明人間だけど近藤七海には見てほしい。

どうしても見ることができないならすべすべの手で俺を撫でまわしてくれ。そうすれば俺がここにいることがわかるだろう。

悪夢ちゃんの夢(となりのクラスのいじめっ子・足立(浅見姫香)の見ている夢にリンクして)

いじめてやる。いじめてやる。いじめてやる。逆上がりの練習を手伝うフリしてパンツを写真にとってネットにアップしてやる。うひひ。うひひひ。なんだいやだっていうのか。じゃあ。私が見本をみせてやる。みてなよ。大車輪。私の大車輪。グルル。グルルル。おっと手がすべった。落ちた。頭打った。脚ひねった。ぎゃああ。ぎゃあああ。痛い。痛い。痛い。

悪夢ちゃんの夢(保健室の平島琴葉(優香)の夢にリンクして)

足立さん。大丈夫だよ。ただのねんざだよ。骨はおれてないよ。足立さんのお母さんどうして目が赤いのですか。「あんたがちゃんと診断しなかったから」「娘が死んだ」「あんたがすぐに病院に運ばなかったから」「娘が死んだ」あやまります。「あやまってすむわけないでしょ」どうすれば「娘を返して」それは無理「私の娘は女の中の女」だから「あなたの中にも娘はいます」あらら私のお腹がお腹が膨らんでお腹が破れるお腹の中から足立さん。足立さんどうして目が赤いのですか。助けて。助けて。呪わないで。

「きゃーっ」と叫んで目覚める結衣子だった。

早速、彩未に相談するが彩未は「夢判断」を断固拒否である。

彩未は件の彩未を中傷するブログが更新されて機嫌が悪いのである。個人的な中傷でありおそらくブログは彩未自身が交代制多重人格的に書いているものと思われる。

「余計な夢など見ていないでブログの管理人を見つけなさいよ」

「・・・」

「そんなに気になるなら自分で保健室の先生に言いなさい」

仕方なく、保健室に行く結衣子。

「つまり、どういうこと」

「鉄棒で同級生を苛めている女の子が鉄棒から落ちて脚をくじいたんだけど頭を打っているから病院へ連れて行ってください」

「・・・だから、どういうことなのよ」

こんな気持ち上手く言えたことがないのである。

一方、教室では透明人間のマンガが話題になっていた。

作者は不明だったが絵柄が稚拙だったために歩夢の作品ではなかった。

「蛭子能収の再来かよっ」

劇中コミック「トーメーコーソク」

東名高速ではないのだ。透明人間の作った校則の略なのだ。つまり透明校則なのだ。

主人公は近藤七海のハンドクリームを塗ることで透明になるのだ。

透明人間となった彼は自分が勝手に作った校則に基づき校則違反者を処刑していくのだった。

「くだらねえ」

「だけどちょっと面白い」

「私のハンドクリームを全身に塗るなんて気持ち悪い」

「変態だよな」

しかし、その中には例のいじめ事件が描かれていた。

児童から「トーメーコーソク」を渡された彩未は結衣子を問い詰める。

「これを描いたのはあなたね」

「・・・ちがいます」

「だってあの夢のことが描かれているじゃないの」

「・・・私じゃありません」

夢王子にそっくりな悪夢ちゃんの祖父の助手・志岐貴(GACKT)にチームの一員として相談する彩未。

しかし、志岐が興味を持っているのは「結衣子の夢札」だけだった。

彩未は志岐に食事の用意を許し、部屋の模様替えも許したが、身体は許さないらしい。

「勘違いしないでね・・・私たちは恋愛しているわけじゃないの」

「性交渉したって恋愛しているとは限らないさ」

「少なくとも面倒なことになるわよ」

「たとえば」

「妊娠したら体型がかわるわ」

「それが現実というものじゃないのかな」

「他人によって私の何かを変えられるなんてとても我慢できない」

「そういう理由で拒まれているとは夢にも思わなかったよ」

「ディナーの後だから一つだけ謎を解いてあげたのよ」

仕方なく、古藤万之介(小日向文世)本人に再度アタックする志岐だった。

「先生、予知夢の研究を僕にも手伝わせてください」

「そんな研究はしていないよ」

「僕は秘密を守ります」

「ばかばかしい。予知夢などという都合のいいものはあるはずがない」

「そうですか・・・それは残念だ」

その頃、学校では予知夢が現実化していた。

足立が鉄棒から落ちたのだ。それを同級生のせいにしようとする足立だったが・・・保健室に運ばれると結衣子の言葉を想起した琴葉は念のために救急車を要請する。

いじめ問題は残っているがそれはまた別の話なのである。

5年2組では「トーメーコーソク」が「予言の書」になったことで騒ぎが起こっていた。

「先生、予言が実現したんです」

「ただの偶然です」

(私が透明人間になりたいくらいだわ)

足立は検査の結果、血種が発見され、緊急手術をした結果、命をとりとめた。

琴葉は賞賛されたが不気味な気持ちを抱き、彩未に相談する。

「これはどういことなんでしょうか」

「きっと夢ですよ」

教室では「予言の書」を求める儀式が生まれていた。

何も書かれていないノートと近藤七海のハンドクリームが透明人間に捧げられたのである。

執行するのは佐藤卓弥だった。

ノリのいい小泉綾乃(白本彩奈)が賛同する。

「透明人間は変態だものね」

深夜。誰もいない教室の片隅でロッカーが開き・・・透明人間が現れる。

翌朝、新作の「トーメーコーソク」が教室に置かれていた。

そこに描かれている通りに校庭にはとなりのクラスのいじめられっ子以外の机が投げ捨てられており・・・まあ、登校中にみんな気がつくよな・・・中込真也教頭(阿南健治)は落し穴に堕ちるのだった。

仕方なく「トーメーコーソク」を持って帝都工科大学夢研究所を訪問する彩未だった。

「こんなマンガが何だっていうのかね」

「最初の題材はお孫さんの夢の内容にそっています」

「夢のことを誰かに話したのですか」

「私が保健室の先生に話すようにと指示をしました」

「それで悪夢を回避できたのか」

「・・・半分くらい」

「ほら、私抜きでも未来は変えられるのよ」

「いや・・・最初に君がそう指示したからだとも考えられる」

「あなたが責任転嫁をしたいだけじゃないの」

「私の助手とよろしくやっているようだが」

「彼は夢札にこだわっているようね。どうして彼にも研究成果を隠すのですか」

「孫の安全が第一だからだ」

「彼は野心家で危険だと考えているのね」

「予知夢の有効利用は人類の夢だ・・・しかし・・・大混乱の源でもある。だから・・・君のような優秀な夢判断ができる者が必要なのだ」

「私が混乱するのはお構いなしですか。まさに・・・学者バカだわ」

教室で彩未は生徒への弾圧を試みる。

「このマンガを描いている人はただちに描くのをやめなさい」

「なぜですか」

「社会に悪影響を及ぼすからです」

「それは表現の自由を抑制することです」

(何が自由だ・・・お前らに自由にさせたら私が不自由になるんだよ)と心の中で毒づく彩未だった。

「それではこうしましょう。このマンガに描かれていることをけして模倣しないこと。これならできますね」

なんとか鎮圧に成功した彩未だった。

再び彩未にアプローチする博士の助手。

「予知夢の研究が成功したら凄いことになる。僕にも参加させてほしい」

「私は人生の成功には興味がないの・・・この現実で生きられればいいのよ」

「完璧な幸福は夢の中にしかない・・・というわけか・・・君は夢の中に心を置き忘れているんじゃないかな」

「現実に心を置くことほど危険なことはないのよ」

「僕はあきらめない・・・君の心を現実にひきよせてみせるよ」

「あなたは夢王子には勝てないわ」

彩未の夢

教室では透明人間が同級生の悪意にさらされている。

「予言の書ってたいしたこと描かれてないよな」

「やっぱり、死人でも出ないと盛り上がらないよね」

「じゃあ、クリーム捨てちゃおう」

「捨てちゃえ捨てちゃえ」

彩未に結衣子が告げる。

「描いた人の顔が見えました」

「だれなのよ」

教室ではのっぺらぼうが出現し、児童たちがパニックに陥る。

「顔がない」

「赤根祐輔(高村竜馬)くん」

「僕は影が薄いのです」

「だから・・・透明人間になったのね」

「そうだ・・・僕は・・・努力して・・・透明人間になったんだ」

「じゃあ・・・顔を描いてやる」と腕自慢の歩夢がのっぺらぼうに美形キャラを描きこむ。

「僕が僕であるために僕は教室から飛んでみせなければならないのか」

窓から飛び出す美形キャラののっぺらぼうの透明人間の赤根祐輔。

しかし・・・その命を救う夢王子。

「これは・・・夢・・・悪夢ちゃんの夢が私の夢に干渉しているのね。私の完璧な世界に悪夢を持ちこむなんて・・・」

彩未は保健室を訪ねていた。結衣子が琴葉に注意を促した時に保健室のベッドでは赤根祐輔が腹痛のために休んでいたのだった。

赤根祐輔は父親が夜勤の夜は自由行動が可能な児童だった。

現実の教室。

赤根は新作の死を予言する「トーメーコーソク」を机の上に置き・・・新しく買ったハンドクリームのレシートを落す。それを歩夢が拾う。

新しい予言は窓に近づいたものが透明人間によって投げ捨てられるという内容だった。

パニックに陥る児童たち。

しかし、彩未は冷静に児童たちを着席させる。

そこで歩夢はレシートを持ち出す。

「この店の防犯カメラに作者が映っています」

「そこまでする必要はありません」

「僕は漫画家を目指しているから・・・漫画を冒涜する人間が許せないのです」

「そうだ・・・透明人間なんているはずないものな」

犯人探しに賛同する児童たち。

追い詰められた赤根が立ちあがる。

「いるよ・・・透明人間はここにいるんだよ」

赤根は自殺を図ろうとするのだった。

「待ちなさい」

「来るな」

「・・・先生はここにいます・・・先生はサイコパスです・・・本当は異常かもしれない・・・そう思って生きています・・・あのブログにある通りです。先生はこの世界で笑いたくもないし泣きたくもない・・・嫌われないようにしているけど好かれたいとも思わない・・・みんなを殺したいけど殺さない・・・先生は嘘をついています・・・嘘そのものです・・・存在自体が嘘なのです・・・だからといって先生が消えてしまいましたか?・・・ハンドクリームを塗ったら透明人間になれるなんて本当にあると思いますか?・・・どんなことをしたって人間は自分からは逃げられません・・・ウソと本当がクリームのように融け合っているのが人間だからです・・・先生は異常かもしれませんが・・・それを抑えて生きて行くことはできるでしょう・・・だから・・・透明人間なんていないのです・・・はしゃいでないですわりなさい」

彩未に賛同する児童たち。

「祐輔・・・お前はしゃぎすぎ」

「そうだよ・・・やりすぎだよ」

「戻ってこいよ」

祐輔は作り笑顔で窓枠から教室に戻る。

「空気を読んで笑うな・・・先生もこれからは無理に笑わないようにしますから」

そして彩未は偽りの微笑みを消し去った。

なぜならば教師は虚実とりまぜて教室に君臨するべきものだからである。

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2012年10月27日 (土)

哀しいのは将軍だからではないのです(多部未華子)

かってはサイエンス・フィクション(SF)とファンタジーとの区別はなんとなくあった。しかし、一部の作家がSFとファンタジーとは違うということに拘泥し、スペキュレイティブ・フィクション(SPF)と言う言葉でSFの高尚化を試みた。しかし、たかがエンターティメントのジャンルの話である。たちまち、そういう「流れ」は消滅した。その後はSFとファンタジーはなんとなく棲み分けたのであるが、最近では・・・こういう現実離れした話の総称をスペキュレイティブ・フィクションと呼ぶという傾向もある。つまり、かっての個称が総称にすりかわってしまったのだ。なんとなく微笑ましい話だ。

まあ、たとえば「時間旅行」という絵空事に「時空の歪み」だの「亜空間飛行」だのというもっともらしい理屈をつけるのがSF、「魔法なのです」という一言で片付けるのがファンタジーということになる。

そういう意味ですでに起こってしまったことを物語るという形式のイフ(もしもの話)はこれまたSFともファンタジーとも判別しがたいジャンルである。

しかし、そこに「正史」に対する強烈な風刺を感じ取るとなんとなく、ファンタジーとは言い難くなる時もある。

結局は知的好奇心の満足のさせ方の話なのである。

まあ、この物語を「異世界ファンタジー」と考えるか、「歴史改変SF」と考えるかは・・・お茶の間の教養の問題なのだな。

キッドはできれば後者の方向で楽しみたいと考えている。

で、『大奥 ~誕生~[有功・家光篇]・第3回』(TBSテレビ20121026PM10~)原作・よしながふみ、脚本・神山由美子、演出・金子文紀を見た。猫好きの人が悶え苦しむ第三話である。ちなみに物凄いネタバレであるが、若紫(たま・こたま)殺害の真犯人である玉栄(田中聖→映画「大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]」西田敏行)はこの男女逆転史では後の五代将軍綱吉(菅野美穂)の父・桂昌院である。綱吉と言えば正史では「天下の悪法」として知られる「生類憐みの令」の発布者なのである。綱吉はこの法を桂昌院に孝養をつくすために発するわけで・・・つまり、仏教徒として極限まで後生を大事にする殺生戒の延長なのである。だから玉栄の猫殺しは一同爆笑ポイントなのである。

ここで正史と逆転史(大奥~誕生~的歴史)を比較してみよう。

正史では三代将軍家光は慶長九年(1604年)に生れ、元和九年(1623年)に数え二十歳で三代将軍に就任し、慶安四年(1651年)に死亡している。享年48であった。

逆転史では三代将軍に就任した年に町娘・お彩(永田沙紀)を暴行し、お彩は後の女家光となる千恵(多部未華子)を懐妊する。

男子の死亡率が80%という奇病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」が蔓延し、男家光(岩井秀人)は寛永十一年(1634年)に31歳で逝去する。

この年、春日局の采配で密かに養育されていた千恵(庵原涼香)は11歳で大奥に移され、母のお彩は始末されてしまう。すべては将軍家の血筋を絶やさぬためであった。

正史では春日局の実子・稲葉正勝は寛永十一年に享年38で病死している。

逆転史では正勝(平山浩行)は死なず、頭巾をかぶって表向きの偽家光となるのだった。このために妻の雪(南沢奈央)とは生き別れの身である。

14歳の千恵/女家光は寛永14年(1637年)に大奥を抜け出したところで城内で若侍に性的暴行され懐妊する。母娘二代に渡る一発必中である。

正史では家光の側室・お振りの方(自証院)がに家光の長女・千代姫を生んでいる。千代姫は尾張藩主・徳川光友の正室になるがお振りの方は産褥により死去している。

逆転史では千恵/女家光は女児を出産するが死産であった。

正史では御三家は尾張徳川家の徳川義直が慶安三年(1650年)まで存命し、紀州徳川家の徳川頼宣が寛文十一年(1671年)まで存命し、水戸徳川家の徳川頼房が寛文元年(1661年)まで存命した。

逆転史では春日局が男家光の死にあたり、御三家の男子血統がすでに絶えていることを言明している。

このように正史と逆転史は微妙に絡み合っているのである。

映画「大奥」では一世紀近くを経て女将軍である八代吉宗は女装である。その世界では男女逆転が進行し、すでに女が将軍であることは当然のことになっている。それに対し、寛永十七年(1640年)の17歳の女家光は男装を余儀なくされている。それはこの時代が正史→逆転史の分岐点に近いことを示しているのである。

正史では家光の側室たちは家光の晩年に至って次々と男子を出生する。

驚くべきことに四代将軍・家綱、五代将軍・綱吉、六代将軍家宣の父・綱重はすべて家光晩年の出生なのである。

正史とは違う歴史を歩みながら、何故か正史に相似して行く逆転史。この辺りは歴史改変SFでは「歴史」そのものを神格化し、「歴史の復元力」などと称して有り難がるものなのである。つまり・・・この後、女家光は・・・。

ちなみに正史では藤原北家近衛流支流鷹司家より鷹司孝子が家光の正室となって延宝二年(1674年)まで存命する。

逆転史では正室も含めて男家光の愛妾たちはすでに始末されてしまったわけである。

家光の妹・千姫なども寛文六年(1666年)までは存命なのであるが・・・逆転史では一体どうしているのやら。もちろん、家光の姉妹は勝姫、珠姫など他にも多数いるわけである。ドラマには登場しないが彼女たちも逆転の徳川家の存続にそれなりに寄与したのだろうと妄想できるのだ。

ついでにドラマでは残虐無比の春日局は正史では寛永20年(1643年)に享年64で死去する。余命わずかなのである。誠に人の世は儚いものなのだなあ。

いつしか・・・女家光は万里小路有功ことお万(堺雅人)に心を寄せるようになっていた。

千本ノックで吹っ切れたのかお万は女家光から贈られた仔猫の若紫を心の慰めとして日々を穏やかに過ごしている。

そんなお万を狙う御中臈の角南重郷(戸次重幸)が若紫から女家光の匂いを嗅ぎ取ろうとしているのを目撃した玉栄は一計を案ずる。

玉栄はお万の方一途なのである。

心を鬼にして重郷の脇差で若紫を殺めたのだった。

濡れ衣を着せられた重郷は女家光に手討ちにされるところをお万が身を挺して守り、切腹を許される。

これにより、城中でのお万の人気は高まるのだった。

やがて、女家光は己が過去をお万に語るようになる。

ところが・・・男装のために髪を切らねばならない女家光が城下の娘の髪を剣術指南役の澤村伝右衛門(内藤剛志)に斬らせて鬱憤を晴らしていることを知ったお万は義憤にかられて女家光を叱責してしまう。

ちなみに将軍家指南役の柳生宗矩(柳生十兵衛の父)は正史では正保三年(1646年)まで生存している。家光は遊び心から宗矩に能の舞いを舞わせることを命じたという。

女家光はお万を手討ちにするかと春日局(麻生祐未)に問われるがいつしかお万に心を奪われているために返答に屈する。

そこで春日局はお万たちに女装をさせて罰することを提案する。

女装を命じられたお万は稲葉正勝から女家光の過去をすべて聞き出す。

その哀しい過去を知ったお万は菩提心を発するのだった。

「人を救おうと出家した身でありながら・・・己の境遇を嘆き・・・目の前に救いを求めるものがいるのを見逃すとは・・・なんという傲慢だったろう」

お万は・・・名実ともに女家光に人生を捧げることを決意したのだった。

お万の女装を待ち望んだお茶の間の一部愛好家落胆である。

澤村伝右衛門も女装する狂乱の宴のあとでお万は女家光の髷をおろさせ・・・女装のための衣装を着せかける。

「私が着るよりも上様が着た方がお似合いでございます」

その夜・・・女家光は身も心もお万によってほどかれていった。

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

Mako004 ごっこガーデン。大奥・春日の間セット。まこぼぎゃあああんっと金田一さんちを爆破してから家光マスクをつけてやってきたのでしゅ~。哀しい過去を乗り越えて今、仮面を脱ぎ捨てた上さまはお万の方の胸に飛び込む五秒前なのでありましゅ~。その前に若紫にナムナムしなければなりましぇ~ん。お墓ガーデンに行くのは面倒なのでスマホでネット参りですませましゅ~。じいや、この後はどこのガーデンのスケジュールでしゅか~。忙しくて目が回るじょ~くう来週は窪田正孝くん登場でございますikasama4大河の出番終る→民放ドラマの法則ですなシャブリ庵原涼香ちゃんだ!!美形すぎる~

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→mari様の大奥~誕生~

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2012年10月26日 (金)

試験監督が美人だから集中できなかったと言われましてもふにゃふにゃ(長澤まさみ)

まあな・・・試験監督が長澤まさみだったら答案用紙なんて見てる場合じゃないよな。

自分の人生がかかっているのにか。

だって・・・試験監督が長澤まさみなんだぜ。

合格したら、毎日会えるとは考えないのか。

そんな不確定な未来よりも、今、この瞬間の長澤まさみだろう。

まあ・・・そういう生き方してるといつかとんでもない目にあうけどな。

ドラム缶に詰められて海の藻屑と消えたりするかもな~。

害虫を日本刀で成敗してくれる人は町内に1人は必要な時代かもな~。

どこまで脱線する気だっ。

だって、ドラマの緊張感半端ないんだもの~。

ダーリンドラマでもないのに何度でもリピートできるよな。

どこにどんな「予兆」があるのか・・・わかったもんじゃないからな。

真っ白い部屋で血痕捜すみたいな徒労感が心地よいんだよなあ。

で、『高校入試・第3回』(フジテレビ20121020PM1130~)脚本・湊かなえ、演出・星護を見た。ローカル・ルールがあった。この地方では東大合格者よりも県立橘第一高等学校合格者の方がステータスが高いのである。なにしろ、東大合格者は他の高校からも出るし、一高出身者が必ずしも東大を受験しないからだ。この奇妙な理屈をうのみにできるものだけが正しい地方なのである。そういうローカル・ルールだから異論は許されないのだ。

そんな一高の入試当日がやってきた。前日に「入試をぶっつぶす」という不穏な文言の書かれた貼り紙が掲示されたり、教師の携帯電話が盗難にあったりといろいろな悪戯が仕掛けられている。

「何者かが僕たち職員に警告してるんじゃないかな」と新人教師・杏子(長澤まさみ)の指導を担当する英語教師・小西(徳山秀典)がつぶやく。

「なんのために・・・」過去に「教え子たちの考えることを知っておきたい」と語っていた謎の男と交際していた杏子は素直なのかわざとなのかまったくわからない口調で問う。

「明日の本番はこれよりもっと凄いことになるぞ・・・と脅すために」

1:名無しの権兵衛

戦いの日だ

2:名無しの権兵衛

バカじゃないの

3:名無しの権兵衛

戦闘開始

4:名無しの権兵衛

とんかつ食ってうまかった

5:名無しの権兵衛

100ならとんかつ食って腹壊して受験に失敗

杏子は第二受験会場の担当者である。プラカードをもっているとレースクイーンのようでうれしいと一部愛好家熱狂である・・・何でも熱狂するな。

「受験番号41番~80番はこちらです」

第一会場担当の体育教師・相田(中尾明慶)は2年B組の石川衣里奈(山崎紘菜)と不純異性交遊をしている上に音楽教師のみどり(南沢奈央)とリゾートホテル・インディゴで密会する候補ナンバーワンであるにもかかわらず、受験生たちの品定めに忙しい。

「だいたい入学して夏休み明けたら大変身なんだよな。女の子なんか別人みたく奇麗になる子もいるし。あっ、あの子なんかは化けたらめちゃくちゃかわいくなりそうだ。頑張って合格しろよ」

相田が下品な発言をはつらつとするのは彼が特権階級である一高出身者だからである。また、杏子にあけっぴろげな自分をさらけ出すのは帰国子女という部外者である杏子を最初から対象外と考えているからだ。当然のことだが、もしも二股交際をしている場合、芸術系の私立高校出身のみどりは最初から本命ではなく遊びの関係ということになる。

しかし、同じく特権階級に属する娘も一高出身の第三会場担当の坂本(高橋ひとみ)は相田をたしなめる。

「相田先生、私語は慎みなさい」

年上の一高出身者に叱責されて苦笑しながら業務に戻る相田だった。

第二より第三の方が明らかに有利だろう。きっとみんな杏子先生の慎ましいスーツ姿から目が離せないぞ。・・・お前が受験生でなくてよかったよ。

「受験票は取り出して手に持っておくように。・・・先にトイレに行っておくんだぞ」

その頃、相田の夜のお遊びの相手かもしれないみどりは保護者待機室担当として・・・受験生の傍に最後までついていたい親の対応に追われていた。

これは・・・「ブロックくずし」か・・・。

「あっ 保護者の方はこちらで待機となります。あっ、保護者の方はこちらでお願いします。 あっ、こちらの方で待機お願いします。保護者の方はこちらまでです・・・」

みどりをかわして我が子のいる体育館に向かおうとする親をはねかえすプレイなのである。

その脇をすり抜けようとする同窓会会長で特権意識をさらけ出す受験生・沢村翔太(清水尋也)の父・幸造(入江雅人)だった。

「そっちは立ち入り禁止なんです」

「私は特別扱いしろよ」

「今日は校舎内は受験生と職員以外立ち入り禁止なんです。何かご用でした?」

「息子が受験なんでね。長男次男は楽勝だったが今回は末っ子が風邪をひいてね・・・付き添ってやろうと思って来たんだが」

「じゃあ待機場所はこちらです」

「俺を他の親と同じように待たせるっていうのか。失礼な。 応接室でいいだろ」

「でもそういう決まりなんです」

そこへ、翔太に執拗ないじめを受けている受験生・松島良隆(高杉真宙)の父で英語の常勤講師である崇史(羽場裕一)がやってくる。

「沢村さん今日は部外者は立ち入り禁止です。どうかこちらでお待ちください」

「俺が校舎に入ると何が起こるっていうんだ」

「何も起こらなくても誤解を受けます。息子さんがせっかく実力で合格したのにあなたが裏で何かをしたんじゃないかって噂が立ったら どうするんですか」

「じゃあ、松島さんあんたはどうなんだ。受験生の親であることには変わりない。むしろ俺よりも誤解を受ける恐れがある。 あんたも待機室でここで待機すべきだ」

「わかった・・・」

こうして、松島はみどりに代わって待機室のお茶くみ当番になる。

そのことはみどりの口から本部にいる入試部長の荻野(斉木しげる)に報告されるらしい。

12:名無しの権兵衛

ぶっつぶすのか?

13:名無しの権兵衛

タイトルってハルヒを思い出す

14:名無しの権兵衛

みんな隙だらけだよ

15:名無しの権兵衛

ぶっつぶすって何?

16:名無しの権兵衛

ざわざわ

17:名無しの奈央

どいつもこいつもむかつく

18:キッド

南沢のむかつく演技さすがだな・・・栞、かわいいよ栞(と紙魚子の怪奇事件簿)

公式がまだ生きている・・・!

http://www.ntv.co.jp/shiori/

第二受験会場では契約更新の打診がないことを不安に思っている数学教師の村井(篠田光亮)が注意事項の紙の不備に気づく。

「あれ?今年って平成25年でしたよね?」

黒板に張られた注意事項の紙には平成24年の文字が・・・。

「テープの跡もあるしこれ去年の分だな。使い回してんだな。よし、一応訂正を入れとこう」

ベテランの社会科教師・水野(阪田マサノブ)は赤のマジックで「24」に×を記し「25」に訂正する。

ここで・・・注意事項の一つ、携帯電話回収に関しての過去の出来事が水野の口から村井に語られる。

「もっと早くから回収するようにしとけばよかったんだ。一昨年廊下に置いてあった荷物の中で携帯が鳴ったんだ。 確か石川衣里奈の携帯だったな。室内ではなかったんで失格にはならなかったが合格発表後に落ちた受験生の親から携帯が鳴ったせいで気が散って集中できなかったってクレームがついてね・・・大変だったよ。去年は電源を切るように警告したんだが休憩時間になると全員廊下に出て電源入れるもんだから毎時間試験前に注意するのが手間かかって」

「回収なら問題なしですよね。集めた袋は本部に持っていくわけだし」

「携帯が出回るようになった時点で起こり得る問題を想定してこういう対策を取っておくべきだったんだよ。問題が起きなければ変わらないんだからね。・・・受ける側は必死なのに」

集合場所の体育館では受験生たちの集合が終わっていた。

「皆さん、前後の人たちと受験番号を確認してきちんと整列してください」

「では試験会場に移動します」

「試験会場2の皆さんは私についてきてください」

杏子は受験番号41番~80番までの受験生を引率し、試験会場の教室へ到着する。

「皆さんの会場はこの教室です。まずは荷物を持ったまま中に入り机の上に貼ってある受験番号を確認して席に着いてください」

教壇には水野が立ち受験についての注意を告げる。

「おはようございます。本日この教室を担当する水野です。まずは黒板に掲示されている注意書きを読んでください。これらの規則に反するとこれまでの努力が全て水の泡となってしまいます。机の上には受験票と鉛筆・消しゴムのみ、その他の荷物は全部廊下に出してもらいます。それから、試験妨害やカンニング防止の理由で携帯電話はこちらで専用の袋を準備しているので電源を切って今から提出してください」

受験生の一人、県会議員の妻である芝田昌子(生田智子)の娘・麻美(美山加恋)は顔色を変える。その後の様子から携帯電話を持っていないと極度な不安を感じる心の病気を抱えているらしい。麻美は携帯電話の回収に応じず、「持っていない」と嘘をついて上着のポケットに隠し持つのだった。

とにかく、美山加恋なので受験生の中で唯一区別がついてうれしいのだった。

そりゃ・・・お前だけだろう。

とにかく、携帯電話は村井によって回収され、袋に封印される。

「1時間目の国語はこの後9時から開始です。それまでに筆記用具の準備をしてかばんを外に出し手洗いを済ませたら55分の予鈴前には着席しておくように。では一度解散します」

このように水野が告げる頃、答案用紙搬送担当の杏子は本部で入試部長の荻野から第二会場分を受領していた。

「足りなかったり汚れていたりした場合は予備の封筒から補充してください」

「40枚、 揃ってます」

戻る途中で杏子は携帯電話回収袋を持った村井とすれ違う。

さらに階段では謎の受験生・田辺淳一(柾木玲弥)と遭遇する。

「どこへ行くの?」

「トイレです。上の階が混んでるから下のを使おうと思って」

「そう・・・遅れないようにね」

「あの・・・今年の桜はいつ咲くと思いますか?」

「・・・入学式の二日前かな」

・・・暗号かよ・・・怪しすぎる二人だった。

その頃・・・保護者控室では・・・お茶担当になった松島が保護者の一人から謎のドラマ「ヨルハナ」のコンプリートボックスを渡されていた。

「私、上の子のときも付き添いに来たんですけど、退屈だったからあそこのテレビつけてもらって・・・でも今回はDVDデッキがあったのを思い出したからこれを持ってきたんです」

「いや、しかし、他の皆さんの意見も聞いてみないと・・・」

「いいじゃないか・・・家内が夢中になっていてちょうど私も見てみたいと思っていたドラマだ」と同窓会々長の沢村の鶴の一声だった。

「ヨルハナ」・・・「夜花」か・・・そういうタイトルなのか・・・略称なのか。

「夜に咲く花のような女」とか、「夜の女に花を買う」とか、「夜にしか咲けない花もあるのです・・・やっときれいに咲いたのです」とか、「夜の花火は当たり前」とか、「夜の花金なつかしい」とか、「夜花開く一分前」とか、「どう咲きゃ、いいのよ夜の花」とか・・・もういいよ。・・・すまん、緊張感に耐えられなくて・・・。「ヨルハナ」は大丈夫じゃないか・・・緩和剤だと思う。

28:名無しの権兵衛

試験開始の五分前

直前まで予習に励む松島良隆に沢村翔太がからむ。

「未然、連用、終止、連体仮定、命令・・・」

「いまさら悪あがきしても無駄じゃね?それともパパに見ておけって言われた問題があるんなら俺にも教えてくれよ」

「・・・」

「おい、黙ってんじゃねえよ」

「・・・」

50:名無しの権兵衛

一時間目はじまた

試験開始だというのに手の空いたみどりである。気になるのは紛失したリゾートホテル・インディゴのカードのことだけだった。

本部の荻野が職員室の壁に一時間目の国語の問題を提示する。

「よろしかったら目を通してみてください」

(アフれる・・・ってどんな字だったっけな。シバラく・・・? ヤバイ、全然分かんない)

「漢字はまだ例年並みなんですが今年は古文が少し難しいようですね」

(それどころじゃないんだけどな。あっ、そうだ)

困ったらネットに問うみどりだった。

(キーワード・・・カード紛失・・・と。有力情報、お願い!)

61:名無しの権兵衛

一時間目おわた

「筆記用具を置いてください。これから解答用紙を回収しますがこちらが指示を出すまで席を立たないように。問題用紙は各自なくさないように持って帰ってください」

水野から杏子と村井は解答用紙を受け取る。

杏子と村井は二人で本部へ向かう。

「定期考査のときみたいにカンニングする生徒はいないし入試の監督なんて思ったよりも楽ですね」

「まだ1科目目が終わっただけ気は抜けないわよ」

「松島先生の息子さん。さすがによくできてましたね」

「へえ 彼が。・・・そういえば目元が似てるかも・・・ふふっ。・・・でも、そういうことは言わない方がいいと思うな」

「はい・・・」

本部では試験問題の配布と答案用紙の回収で賑わう。

杏子は村井より先に本部を出発し、小西と連れ立つ。

「一時間目は問題なかったかい」

「大丈夫でした」

「うちも特に問題なし・・・でも油断できないな・・・何か起こるとしたらこっちが気を抜いたころだろうから」

「やはり・・・そうですよね」

そこへ謎の受験生・淳一が通りかかる。

「今年の桜はいつ咲くと思いますか?」

今度は小西が答える。

「3月21日じゃないかな。合格発表の日だ」

「・・・ありがとうございます」

微笑む謎の受験生。

そのやりとりに何故か冷たく鋭い眼差しを注ぐ杏子。

単なる験担ぎだったのか・・・とみせかけて~なのか。・・・ふう。

連続ドラマ「夜の花戦車、西へ」(第壱話)

涙依「四号戦車は私の理想の戦車なのよ」

美代子「いいえ、あなたにはザ・オールド・ギャング通称TOGのⅠ型に乗ってもらうわ。武骨な車体に初速の遅い75ミリ砲搭載・・・あなたにお似合いよ」

涙依「そんな・・・なぜ・・・」

司令官「四号戦車だけはやめておけ・・・」

涙依「みんな・・・ひどいわ・・・」

四号戦車「・・・」(つづく)

・・・もういいか。

72:名無しの権兵衛

弐時間目は数学( ̄▽ ̄)

今年の数学は意地が悪いらしい。

謎の転校生は余裕だが・・・左利きの麻美は苦悶して右手でポケットの上から携帯電話を握りしめる。

松島は淡々と問題をこなし、沢村は頭をかきむしる。

「得点差がつくように難問も入れてるんでしょうけど・・・僕でも解けるかどうか」と掲示版に問題を張りつつ解説する荻野にみどりは・・・。

「荻野先生が無理なら私なんて・・・問題見ただけで泣いちゃいますよ・・・なにこれ・・・二問目が証明問題ですよ~」

冗談でなく試験会場では女子中学生が泣きだしていた。

「どうしたの・・・」

「大丈夫か」

「保健室に行きますか」

「・・・問題が・・・難しくて・・・」

「・・・」

「条件はみんな同じなんだから・・・がんばって」

80:名無しの権兵衛

二問目に超難問。大学入試級の証明問題

81:名無しの権兵衛

実況じゃないな

82:名無しの権兵衛

ガセだな。

83:名無しの権兵衛

二問目に証明問題って・・・ないない

84:名無しの権兵衛

高校生のやりたいようにやらせない日本ハムなんて

その頃、みどりは「杏子先生にメールの返事 来てないかな」と杏子の机の引き出しを探る。やはり・・・みどりはモラルにかなり問題があるタイプらしい。

しかし、いつもの場所に杏子の携帯電話はなかった。

左の頬に黒子のある謎の転校生の回想シーン。

≪数学、満点じゃん≫

≪数学だけなら絶対合格なんだけどな≫

≪絶対に≫

≪数学だけならな≫

謎の部外者(中村倫也)と謎の転校生は兄弟なのか。

二時間目が終了。水野は杏子と村井にアドバイスを与える。

「何か問題が生じたときに2人同時に動くのは良くない。廊下側を春山先生、グラウンド側を村井先生に分けて教室全体を見渡そう。それから・・・春山先生・・・試験中、個人に対して励ましの言葉を掛けないように」

「・・・了解しました」

三時間目は社会。

みどりは年号は得意らしい。

問題にあった「応仁の乱」をなんとなく検索ワードに入れてみた。

すると・・・。

「なんじゃ、こりゃあ」

連続ドラマ「夜の花戦車、西へ」(第参話)

涙依「こんなに砲身が熱くなって・・・」

四号戦車「・・・」

涙依「力尽きるまで撃って撃って撃ちまくったんだね」

四号戦車「・・・」

香織「涙依、市街地周辺に敵の機甲師団が集結しているって」

優佳「ここはもう、撤退だよ・・・」

涙依「そんなこと・・・できない」(つづく)

一時間の昼食休憩である。保護者たちは「夜花」に夢中で我を忘れていた。

離婚届けを妻に渡したのに美人の不倫相手から別れを切り出された男のように身の置き所がない松島だった。

「これから1時間の休憩に入ります。各自なるべくこの教室内で昼食を取り開始の予鈴 1時5分に遅れないように席に着いていてください。なお、休憩時間ですが校舎から出ることは禁止されています。1階の職員室にも立ち入り禁止です。体調不良の場合は1階の保健室に行ってください。何か質問は?」

常にクールな眼差しの水野だった。謎の受験生が問う。「携帯は返してもらえないんですか?」

「全教科終了まで返せない決まりになってます」

落胆する受験生たちだった。

淳一は落胆するものたちからとある過去を連想する。

≪パパになんて報告すればいいのかしら≫

≪なんだよ・・・それ・・・ふざけんな≫

受験生たちはそれぞれに合格弁当を広げる。

社会の答案用紙は午前中の報告のために水野が本部へと持って行く。

杏子「社会は簡単でしたね」

水野「いや・・・こまかいところにひっかけ問題があった」

村井「じゃ、そこに気がつくかどうか・・・運次第ですね」

水野「普段の努力次第だよ」

村井「・・・」

教師たちもニコニコ食堂の「とんかつ弁当」を食べるために職員室に戻る。

「数学の時間・・・泣きだす女子がいてさ・・・」

「相田先生のところも・・・うちもです」

「女の子の涙はきついよな~」

キーワード検索で偶然、「学校裏サイトの掲示版」にたどり着いたみどりは教師たちにあわてて報告する。

「ちょ、ちょちょちょ・・・ちょっちょっ・・・ちょっとこれ見てください」

「なんだこれ・・・」

「今日の問題の事が・・・書き込まれている」

「偶然じゃないの・・・」

「昨日の坂本先生のことも書かれてます」

「なによ・・・それ・・・」

一人だけ先行して弁当を食べながら思わず水晶を額にあてる坂本だった。

こうして、高校入試は午後の部に突入する。

99:名無しの権兵衛

こっちは休憩時間の携帯OKだよ

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2012年10月25日 (木)

好もしからざる女だった君が去ったあとは(松山ケンイチ)

一国を支配するということはなかなかに困難なことである。

もっとも単純な支配方法は何だろうか。

少なくともその一つはより大きな存在からの支配を受けることであろう。

それが「権威を得る」というものである。

逆により大きな存在は小さなものが支配を受け入れることによって支配力を高めていく。

日本史の薄明期においては大陸の帝国から王国として認知されることが列島国家の成立に関わっている。

半島からの幾度かの侵入により、いくつかの王朝の交替があり、幾度かの内乱により、いくつかの王朝の交替があって・・・いつしか列島には「帝」を頂く天皇朝が出現する。

もはや外国の権威がなくても支配が可能なほどの集団が成立したのである。

その頂きに帝が立つ。そこでは権威に関する模倣が発生する。

帝は地方の豪族たちに「支配」を許し、豪族たちは帝の「支配」を認める。

この相互依存はあらゆる支配の雛型とも言えるだろう。

以来、様々な起伏はあれども・・・列島の人々はその支配関係の下に身を置いている。

未だに、時には外国からの支配さえも必要としながら、列島の支配者たちは命脈をつないでいるのだ。

平安京末期はその一つの分岐点だったと言えるだろう。

「平家」は「王家」を奪取しようとし、「王家」はそれを拒絶して結局、いくつかの権威を放棄する。

その結果、「武家」は台頭し、その新たなる「支配の形」は現在に至るまで続いている。

日本人という境界の曖昧な集団はとにもかくにも平清盛がいなければこうはならなかったかもしれないのである。

そして・・・建春門院滋子がもう少し長生きしていたら・・・歴史は確実に変わっていただろう。

運命とはかくの如しもの。

で、『平清盛・第41回』(NHK総合20121021PM8~)脚本・藤本有紀、演出・佐々木善春を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は村上源氏中院流の出身の天台座主・明雲のイラスト描き下ろし・・・もう一人の日本の影の支配者の迫力満点でございます。日本の三人の主である武力の清盛、法力の明雲、王力の後白河院の暗躍こそが・・・ひとつの焦点でございますねえ。誰もが中央集権を目指しながら頂きに立つことを目指す。山頂というものは狭いと相場が決まっていますからな。

Tairakiyomori39 安元二年(1176年)、建春門院滋子が逝去すると後白河院と平家一門の関係には緊張感が漂うことになる。院近臣の抜擢人事が展開され、蔵人頭に藤原北家道綱流の藤原定能と藤原北家御子左流の藤原光能が任じられる。これは平頼盛の権中納言昇進と連動した人事であった。清盛の異母弟ではあるが頼盛は反主流派である。その抜けた穴に平家以外のものを登用する。この人事は平家にたいする挑発と言える。しかし、翌安元三年(1177年)に平重盛が左大将、平宗盛が右大将に任じられ、後白河法皇はバランスを保つ。しかし、平家の武力を背景に政治的支配の強化を目指す後白河院と朝廷の権威を背景に経済的支配を目指す平清盛との権力闘争は新たな局面に入っていた。かって清盛は政治的支配を目指す王家や摂関家と宗教的支配を目指す仏教勢力との権力闘争において一つの駒だったことがあった。しかし、宗教勢力を一つの駒として用いることが可能なほど兄弟になっていたのである。清盛は宗教的独立を維持しようとする比叡山延暦寺と密約を交わし、宗教勢力の統一支配を目指す後白河院側近に一石を投じるのだった。加賀国の比叡山勢力末寺と藤原加賀守とのささいな争いはやがて加賀守の父である後白河院の側近・西光の責任問題へと発展する。延暦寺の大衆は京に侵攻し、平重盛の指揮のもとで防衛戦を張った京都防衛軍と全面衝突に至るのである。戦闘は痛み分けに終わるが、後白河院は政治的権威を傷つけられ打撃を受けるのだった。後白河院は背後に平家の策略があることを看破することにより・・・逆に追い詰められていくのである。

上西門院統子親王は所有している仁和寺法金剛院にいた。

妖魔との戦いにより持ち駒である建春門院を失い、先行が不透明になったために卦を立て直す必要に迫られていた。何よりも天狗が憑依している弟の後白河法皇が暴走する可能性が出て来たのである。

聖徳太子より伝わる夢占いは誰にでもできる秘法ではなかったが・・・統子にはその能力があった。これまでも幾多の危機を未来透視で乗り切ってきたのである。

しかし、異母妹である八条院が妖魔化したことにより事態は複雑化していた。

最良の選択を求めて夢に潜るのである。

両面宿禰である義弟の平清盛、その妻である時子、天狗である同母弟の後白河院、妖魔と化した異母妹の八条院。かって妖魔との戦いで力を合わせたものたちの最善の未来を選びとらなければならなかった。

眠りにおちた統子は平安京を俯瞰で眺める。

空を飛ぶように時を滑空する。

統子が介入することで変化する未来は万華鏡のように姿を変えていく。

東から火の手があがり、京が炎に包まれる未来。

清盛が後白河院に暗殺される未来。

後白河院が清盛に斬殺される未来。

今以上に民が飢え苦しむ未来。

目まぐるしく変わる時の流れに統子は歯を食いしばる。

何度目かの出発点への帰還の途中であった。

統子は影の存在に気がついた。

統子はひらりと幻想の羅城門の上に降り立った。

「誰じゃ・・・」

「統子親王様・・・婆の穏行を見破るとは流石でございまする」

「夢渡りに忍びこむとは尋常のものではあるまい・・・」

「さて・・・もののけと思われてもいたしかたごらぬな・・・それでもうつつの顔をご披露いたしまする」

「あ・・・」

影はむくりと身を起こした。そこにいたのは父・鳥羽天皇の父・堀河天皇の父・白河天皇の愛妾であり、兄・後白河院の詩歌の師匠である乙若であった。

「おばあさま・・・」

乙若こと祇園女御は統子の母・待賢門院の育ての母である。

統子は一瞬にしてすべてを悟った。

「それではおばあさまは・・・いつも妾の夢に潜んでおいでだったのですね・・・」

「いかにもさようでござりまする・・・ばばもまた遠きアマテラスの血を受け継ぐもの・・・王家の守り姫の一人でござりますからのう」

「そうだったのですか・・・」

「姫よ・・・最善を尽くすことはなによりのことでございますが・・・この世にはまた限りというものがございます」

「・・・」

「姫がこの国にとりついた異国の魔を払ったことはまことに立派なことでした・・・」

「しかし・・・それもまたさだめなのですね」

「いかにも・・・婆もまた今生に別れを告げる時が迫ってまいりましたゆえに・・・ごあいさつを申しあげようと思いましてな」

「もしや・・・おばあさまは妾よりはるか未来を見通しておいでなのではないでしょうか」

「いかにも・・・しかし・・・それゆえに今日明日のさだめは見えませぬ・・・姫の方が見渡す力をお持ちなのでございまする」

「この国はいかがなってゆくのでしょうか」

「ご安心なされ・・・姫様のお力で明日はよりよく変化しましたぞ・・・」

「婆様・・・」

統子ははじめて自分の孤独な戦いが報われたことを知った。

同時に心に孤独そのものが押し寄せてくる。

「法皇様の天狗は今しばらく婆の余力でおさえましょうぞ・・・」

「婆様・・・」

「それでは後の世でまたお目見えいたしましょう」

「婆様」

統子は初めて心を通わせた本当の同志が黄泉の国へ旅立つ気配を感じとった。

暗い院の燈明がふと消える。

闇の中に横たわる統子の頬に涙がひとしずく流れていく。

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2012年10月24日 (水)

遅咲きのひまわり〜ボクの人生、リニューアル〜かよっ(真木よう子)VSすぐそこにあった死はあるのかないのか(宮﨑あおい)

チェックメイトである。

火曜日がふたつとも面白いっていつ以来だよっ。

それがなぜ、今季なんだよっ。

大河の都落ちまでしたのに・・・。

っていうか・・・タイトル、超時空リンクさせんなよっ。

もう、どうしていいのか、わからないのです。

・・・やれよ・・・昔を思い出して・・・元気出して。

で・・・今季のレビューのスケジュールは以下のようになりました。

(日)「モンスターズ」

(月)「プライスレス」

(火)「ひまわり」VS「ホーム」

(水)「平清盛」

(木)「高校入試」

(金)「大奥~誕生~」

(土)「悪夢ちゃん」

・・・ふう。

で、『遅咲きのひまわり〜ボクの人生、リニューアル〜・第1回』(フジテレビ20121023PM9~)脚本・橋部敦子、演出・石川淳一を見た。ドラマにフットワークというものがあるとしたら、実に良い感じだ。今季のドラマの中では抜群の軽さであろう。つまり、見やすいのである。生田斗馬も真木よう子も本来の魅力を十二分に引き出され、徹頭徹尾違和感がない・・・これはイントロダクション後のタイトルバックで「あなたに/MONGOL800」を主な出演者が歌うという「時をかける少女」方式導入の勝利だろう。そして・・・淡々と綴られる「俺と彼女の人生」・・・ああ、魔法にかけられてしまいましたよ~。

宇都宮出身の小平丈太郎(生田斗真)はしがない28歳の派遣社員。正社員登用をニンジンのようにぶら下げられ馬車馬のように雑用をこなす日々。しかし、あっさりと派遣切りである。大学時代から交際を続けた恋人(大塚千弘)は丈太郎に見切りをつけ、あっさりと去っていく。なんとなく里帰りした丈太郎だったが、実家は役所勤めの実弟・啓太郎(生田竜聖)が幅を利かせている・・・。

身の置き所がないのである。

茫然としてネットの世界を漂う丈太郎の目に唯一の趣味であるカヌー関連の情報が飛び込んでくる。

高知県・四万十市の「地域おこし協力隊」の隊員募集・・・。

一方、四万十市出身で大学病院で研究医として働く二階堂かほり(真木よう子)はその研究手腕が全く評価されず、人員整理のために「医師不足に悩む出身地」の病院で臨床医となるように強要される。つまり、お払い箱である。

こうして・・・邪悪な運命に弄ばれた男と女は同じコースで四万十市に到着するのだった。

人にやさしくされた時

自分の小ささを知りました

あなた疑う心恥じて

信じましょう心から

流れゆく日々その中で

変わりゆく物多すぎて

揺るがないものただ一つ

あなたへの思いは変わらない

あなたに逢いたくて逢いたくて

あなたに逢いたくて逢いたくて

そう言う気持ちからは程遠い二人。

旅の間・・・かほりが気になっていた丈太郎は思わず声をかける。

しかし、かほりは「ナンパならお門違い」とにべもない。

そこへ・・・世話役の藤井(桐谷健太)が現れて・・・旧知の間柄であったかほりとの縁を辛うじて繋ぐのだった。

とにかく・・・公用車や宿舎を与えられ・・・役所の雑用係となった丈太郎。

主な任務は山沿いに点在する老人たちの世話である。

物事をあまり深く考えない丈太郎は新しい居場所にとりあえず満足するのだった。

世話好きの近所の老婆(倍賞美津子)にも優しくされて有頂天になるほどだった。

一方、銀行員の夫を持つ姉のさより(国仲涼子)に迎えられたかほりは実家に戻る。

四万十中央市民病院の内科医になるが・・・研究医の道を断たれた鬱屈感は消えない。

そして・・・地元へUターンしたことにもなんらかの屈辱感があるらしい。

そんなかほりに看護師の森下彩(香椎由宇)は「あなたの人生をすべてご覧になれます」とは言わないで「内科医とか外科医とかの専門性は問われないのです。医師がどんな患者にも対応しなければ地方の医療は成り立ちません」は厳しく指導。

かほりも「じゃ、内科医が出産も請け負うのかよっ」と喧嘩腰である。そこはかとなく漂う「シャコタン・ブギ」の香りである。

老人たちを通院させた丈太郎はかほりと再会するがここでも「看護婦をナンパしにきたのかよ」と・・・もはやツンデレのフリ以外の何物でもない展開。

病院には高校時代にかほりと交際していた松本弘樹(柄本佑)がリハリビテーションのインストラクターとして勤務していた。

なんとなく頬を染めるかほりだったが・・・弘樹は看護師の彩と同棲中だった。

丈太郎の市役所の直接の上司の日下哲也(松重豊)は独身だった。

順調に田舎暮らしを始めた丈太郎だったが・・・飲み屋で三度再会した真木よう子とささいなことで口論になる。

「あんた・・・東京にいたのになんで田舎なんかにきたのよ・・・自分探しとかあ?」

「あんただって・・・東京で医師をやってればよかったじゃないか」

なんとなく重い気分になった丈太郎はたちまち、老人たちの我がままさが鼻についてきた。なにしろ・・・底の浅い男なのである。

せっかく好意を寄せてくれる近所の老婆の夕食の誘いも拒絶である。

その夜・・・持病の心臓疾患で老婆は倒れる。

苦しむ老婆を発見した丈太郎は119番通報するが「救急車はありません」と応答される。

仕方なく自ら老婆を搬送する丈太郎。病院で待っていたのはかほりだった。

豚の皮膚で縫合経験があるだけの臨床医としての経験の浅いかほりはなすすべもなく、老婆は死に至る。

すぐ、そこにあった濃密な「死」に立ちすくむ二人だった。

「すみません、雑用だと思って軽くかんがえていました~」

「ごめんなさい・・・未熟でごめんなさい」

落ち込む二人はカヌーで四万十川を川下りして名物の鯉のぼりを見物する。

何やら・・・例によって腹に一物あるらしい不動産屋の娘・今井春菜(木村文乃)が登場である。

「もしも・・・すぐに東京に帰るなんてなったら困るな~」

何が困るのかは今のところ、秘密である。

しかし、鯉のぼりをみて「すげえ」とはしゃぐ二人。とにかく・・・日本の片隅の恋の物語スタートです。

本当の主題歌は「常套句/Mr.Children」らしい。

君が思うよりも

僕は不安で寂しくて

今日も明日もただ精一杯

この想いにしがみつく

君に会いたい 

君に会いたい 

こんなシンプルなラブ・ストーリーでいいのである。

このようにドラマとして美しく成立していれば。

まあ、最後のセリフは「すごい」じゃなくて「なんじゃ、こりゃ」だとは思うけどね。

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チー子とカモメ

で、『ゴーイング マイ ホーム・第2回』』(フジテレビ20121023PM1015~)脚本・演出・是枝裕和を見た。屈辱のブラジル戦のために一週、間があきました。今季のフジテレビは「プライスレス」と「ひまわり」は手堅く行って、「結婚しない」と「エアポート」でやや冒険、「高校入試」とコレは異種格闘技戦の趣き。編成がんばってる観がございます。もう、いつものドラマとは違う時間が流れるのだった。

実際には違うかもしれないが・・・このドラマで一番、壊れかかっているのは妻・沙江(山口智子)だとキッドは考えている。

それを示しているのが・・・一人娘の萌江(蒔田彩珠)である。

フードスタイリストという怪しい肩書きの沙江は時流に乗っているのである。

しかし・・・母親の沙江が娘のために作ったお弁当を娘は食べない。

教室でおかずを単品販売しているのである。

そのことをミーハーな担任教師が咎め、萌江は小学校四年生なのに一週間の自宅謹慎となった。

娘が天才と言えば片付く話だが・・・とにかく娘は母親に対して危機感を抱いているわけである。

「まずかったら食べなくてもいいけど・・・売らなくてもいいでしょう。どうしてそんなことするの・・・」

「なんとなく・・・流れで・・・」

「これでも・・・お母さんはプロなんだけどな」

「おいしいよ・・・売れるくらいにね」

母親であることを売りにしている母親を娘は疑惑の眼差しで見ているのだ。

親子関係は売り物にするものなの・・・という批判である。

何やら家庭に問題がある育ち方をしており、十歳の時には自分で料理して食事をしていたという沙江にはこの娘からの皮肉は通じない。

自分の娘を水着にして稼いでいる親とは違うと自負しているのである。

しかし・・・そういうリアルさでは温もりが失われると萌江は直感しているのだ。

現に母親はその点に言及されることを察知して、「女同士だとイロイロあれなのよ・・・」という意味不明の理由で問題を父親の坪井良多(阿部寛)に丸投げするのである。

沙江は自分は母親として娘と良好な関係を築いていると誤解している。

しかし、萌江にとって「調整役として苦労している父親」の方が好感がもてる存在で、親密感を抱いており、母親についてはいつか糸が切れた凧のようにどこかに飛びさるだろうと予感し、ある意味では諦念しているのである。

あるいは沙江は娘の心情に気がついているかもしれないが・・・明日のことはどうなるかわからないという信条で押し切りたいと考えているのかもしれない。

ロケーション現場で潔癖症の美少女子役が「母親以外の人が握ったおにぎりを食べられない」と拒否したシーンで・・・手袋でおにぎりを握りなおしながら・・・虚勢を張る沙江。

誰が作るよりもおいしいはずのおにぎりを実の娘が食べずに売ってしまったことの本質から目をそらす。

「そんな・・・ベタベタした母子関係は歪だ。嫌なら食べなきゃいいんだ・・・」

そう、娘を憎悪した瞬間。沙江は「母親失格」をしたのだった。

一方、職場での若手の台頭により、一週間の休養を求められた良多は療養中の父親への見舞いを兼ねて娘と二人、長野県の山村にある「クーナ事務局」へと旅立つ。

言わば・・・母親が不在となった時のための予行演習なのだった。

娘を娘として受け入れられない母親である以上、離婚後は父と娘で暮らすしかないと萌江は思い定めているのだった。

一方、父・栄輔(夏八木勲)の幼馴染の歯科医師・鳥居治(西田敏行)の娘である菜穂(宮﨑あおい)の隠し子疑惑は晴れたが、愛人疑惑がぬぐいきれたとは思わない良多である。

なぜなら、菜穂は良多の好みのタイプで・・・父親とは女の好みが似ていると自他ともに認定されているからだ。

「女と金にしか興味がない父親だった」と父を否定的に語る良多に菜穂は「冷たい息子だ」と嘆いていたと批判的である。

にも関わらず二人は「クーナ探索」という共通目的で親密度を深めていく。

「クーナについて子供たちに語る」菜穂のシーンはドキュメンタリータッチである。

クーナはいるかもしれないし・・・いないかもしれません。

でも・・・クーナは三角帽子をかぶっていて、裏返すとキノコに化けることができるって言われているの。

▲で帽子、▼でキノコなの・・・。

そんな菜穂に心を洗われる萌江。菜穂に理想の母親を見出してしまうのだ。そして下心で一杯の良多。

なんとなく、流れで菜穂と息子の大地(大西利空)、良多と萌江の二組の欠損家族は森へクーナ探索をすることになる。

なぜか・・・二人は実の夫婦のようで・・・最初から四人家族だったかの如く散歩する二組の親子。

もはや・・・映画のスタッフとして出張した沙江の帰る場所は消えかかっているようだ。

だが・・・そうしたキッドの妄想を吹き飛ばす展開が待っていたのだ。

森の中で良多たちはクーナの帽子を発見してしまうのである。

「も、森の木陰でドンジャラホイ・・・」

思わず我を忘れるキッドだった。土着の小人連盟に許可とってんのかよっ・・・なのである。

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2012年10月23日 (火)

PRICELESS?あるわけねぇだろ、んなもん!?・・・きんかくしちみ千円、辛味を感じる舌プライスレス(木村拓哉)

マネーゲームはこの脚本家のライフ・ワークらしい。

ダンドリ娘」を除けばほぼデビュー作である「LIAR GAME」(2007年)は「ゲーム」の方に目が行きがちであるが、結局、大金に目が眩んだ人々の物語である。

ガリレオ」(2007年)第七章では慰謝料をめぐる殺人トリックの話。

ハチワンダイバー」(2008年)は賭け将棋である。

セレブと貧乏太郎」(2008年)は貧富の差がある恋愛の話。

そして「任侠ヘルパー」(2009年)は老後の金をめぐる組織暴力団の物語である。

ここ数作は低調だったのだが・・・つまりマネー・ゲームから離れていたので・・・このタイトルである。きっと本領発揮なのだな。

もちろん、現代社会ではどのような主題でドラマを書いても、結局、金の話になるのではないかという考え方もある。

それは、堕天使のうちでもっとも金にうるさい地獄の財政大臣マンモンが常に世界を影からコントロールしていることの表象であるとも言える。

その悪影響で人々はマンモン同様に金銀財宝をこよなく愛し、強欲の虜になっていく。

金と人をめぐる物語にとりつかれるということは・・・実は悪魔の舌の上で踊らされているようなものだ。

悪魔としては見習いたいところである。

で、『PRICELE$$?あるわけねぇだろ、んなもん!?・第1回』(フジテレビ20121022PM9~)脚本・古家和尚、演出・鈴木雅之を見た。・・・というわけで得意なテーマでよどみない展開と言える初回である。昨日ほどドキドキさせられなかったので健康には非常によろしいのですな。まず最初に主題歌について触れておこう。まあ、反則ですからな。主題歌「Jumpin' Jack Flash/The Rolling Stones」なんてのは。

「ジャックが跳ねて閃いた」

台風の夜にこの世に生まれおちて

生みの母は雨でずぶぬれ涙まみれ

笑える話だろ

だけどここが肝心

俺はびっくり仰天

この世に御対面 

そりゃ、爆笑、爆笑、爆笑なんだぜ

まさに・・・人生はかくの如しですな。

つまり、びっくり箱の人形として生を受けた以上、とりあえず飛び出てびっくりさせるのが宿命ということでございます。

さて、主人公のミラクル魔法瓶企画開発営業部課長・金田一二三男(木村拓哉)は独身の38歳。かなり危ないキャラクターである。

きんだいち・ふみお・・・なのである。次男なのか三男なのか・・・不明なのである。

で、どうやら、ミラクル魔法瓶の大屋敷巌社長(中村敦夫)の隠し子だったらしい。

母親については不明だが・・・当然、裏の縁故採用なのであろう。

しかし・・・当人はどうやら・・・その自覚はないようだ。

出世は遅い方だが父親譲りの広島カープファンである。・・・なんか、最近、広島カープのファンだらけだな。

「もう一度君に、プロポーズ」の宮本波留(竹野内豊)、「放課後はミステリーとともに」の霧ヶ峰涼(川口春奈)に続いて三人目の広島カープ好きな主人公である。

・・・それはさておき、38歳で独身・・・最近、謎の女・広瀬遙子(蓮佛美沙子)と交際しているらしいが・・・別れ際のキスはまだの仲らしい。それどころか、ネット・オークションで「衣笠選手のユニフォーム・・・17万円」を落札すると預金残高が30円なのである。け、結婚できませんっ。

しかし、本人はいたって呑気で仕事よりも草野球に熱心だという評価もあるが、部下の榎本小太郎(藤ヶ谷太輔)のミスをそつなくフォローしたり、上司のモアイ部長こと模合謙吾(中井貴一)にもそれなりに信頼されているのである。

そこには出生の秘密の翳りは微塵も感じられないのだった。

そして・・・路でお金を失くして泣いている子供があれば500円を惜しげなく与える好人物なのである。

さらに、CAやレース・クイーンとの合コンをこよなく愛するお気楽野郎なのだ。

しかし・・・そんな金田一にも人生のびっくり箱は慎ましく用意されていたのである。

大屋敷巌社長の危篤・・・実子であり、副社長でもある統一郎(藤木直人)に囁く今際の言葉・・・。

「会社は・・・お前の腹違いの弟、金田一二三男に譲る・・・お前は社長の器ではない」

凍りつく統一郎だった。

同時に・・・その顔には冷たい表情が浮かぶ。

そして・・・統一郎は腹心の財前修(イッセー尾形)に密命を下すのだった。

翌日、会社に出勤した金田一は・・・身に覚えのない機密漏洩の罪に問われ、解雇処分を申し渡されるのである。

社員たちは手のひらを返したように金田一を侮蔑するのだった。

思わず、一暴れした金田一は暴行の現行犯で所轄警察に留置されてしまうのだ。

上司のモアイ部長は幽霊のように存在感がないなりに・・・財前に金田一の無罪を訴えるのだが・・・変な声の財前はまるで一人芝居でもするかのように「そんなこといって・・・上司である君が監督責任を問われて処分されるってこともあるよね~」脅しにかかる。

「そういうわけで・・・大人しくクビになってくれ」と金田一に頭を下げるモアイだった。

どうやら、厳重注意で済んだらしく釈放された金田一は茫然として自宅マンションに戻る。

しかし・・・帰宅直前・・・金田一の部屋は爆破炎上するのであった。

どうやら・・・統一郎が画策したらしいが・・・もはや犯罪である。

再び、事情聴取のために警察に留置される金田一。

さらに不運にも携帯電話を河に落し、知人との連絡の術を失い、虎の子のサイフに残った千円も唐辛子代金に消える。

手が届かない処に落したお金、100円。家がなければホームレス・・・なのである。

そして・・・金田一は途方に暮れる。

その頃、ミラクル魔法瓶経理部の戦国武将フィギュアコレクター・二階堂彩矢(香里奈)は使途不明金に目を光らせるうちに・・・金田一が専務室に侵入して機密情報を盗んだとされる日、金田一が出張していたことから・・・空出張を疑い、追及し始める。しかし・・・金田一が冤罪であるために・・・矛盾を発見してしまうのだ。出張している人間が本社で悪事を働くことはできないのである。

はたして・・・二階堂は金田一の希望となるのだろうか・・・それとも・・・。

そんなことがミラクル魔法瓶社内で進展しているとは露知らず・・・金田一は次から次へと襲いかかる災厄に打ちひしがれていた。

冷たいビールの幻想を追いかけて街を彷徨うのである。

野宿キターっ。意外に暖かいダンボールキターっ。ホームレスの憐れみキターっ。

そこに現れたのが寸借詐欺兄弟の鞠丘貫太(前田旺志郎)と両太(田中奏生)だった。

一目で金田一の苦境を看破した兄弟は・・・底辺で生きる人間の先輩として・・・金田一を導くのである。

焚きだし・・・おにぎりと味噌汁。

「これ・・・ただなんですか」

思わず問いかける金田一だった。

そして・・・ただの飯の美味さに思わずこぼれる涙だった。

ここで・・・公営サッカー場のただのシャワー室で一部愛好家のための特別サービスがあり・・・食べられる野草を採取した金田一は・・・兄弟の住む家で一宿の恩義を受けるのだった。

家主は兄弟たちの祖母である鞠丘一厘(夏木マリ)である。

一日、五百円で泊めてやると言われた金田一。

翌日・・・朝から仕事探しをするが・・・世間は失業者があふれていて、廃品回収業にもきっちりと縄張りがあるのだった。

「五百円が稼げません・・・」

八方塞の金田一に手を差し伸べるのが行きつけの店のマスター藤沢健(升毅)だった。

馴染みの店の日給800円、女子だったらウエイトレス・・・なのだった。

「八百円くらい・・・差し上げますよ」

「いえ・・・働いて稼ぎたいのです」

偶然、店にやってきた部下たちの心ない誹謗中傷にも耐える金田一。

「よく我慢しましたね・・・」

「働かせてもらっているのに・・・暴れるわけにはいかないですから」

こうして・・・金田一は八百円を手に入れた。

折しも祭りの夜である。

射的の賞品に両太(田中奏生)のどうしても欲しい玩具があると知った金田一はなけなしの三百円で一回百円のゲームにトライする。

おい・・・最後は・・・射幸心なのか・・・とギャンブル嫌いのお茶の間のとげとげしい視線を浴びつつ・・・つづくである。

ふふふ・・・さすがは・・・という順調な仕上がりの初回でございます。

関連するキッドのブログ→SPACE BATTLESHIP ヤマト

An001 ごっこガーデン。麻布十番夕暮れセット。アンナキュイ~ン。うふんうふんうふ~ん、・・・大満足だったのぴょん。貧乏に耐えるダーリンに涙・・・そして優しい眼差し。すぐに~お小遣い持って~かけつけるから~待っててね~~~。アンナロイド軍団キャッシュを持って出動ぴょん。そして、ダーリンと一緒に立ち食いそばをハシゴするのぴょ~ん・・・リピもしていますぴょん・・・そしてまたもやリピリピなのぴょん・・・さらにさらにリピリピリピぴょん、じいやが主人公の恋人は瑤子だって教えてくれたぴょ~んくううふふ、貧乏兄なのだ。西行はさておき、平正盛、平忠盛、平清盛(幼少)平家三代そろい踏み~なのだから~ちーず弟ですikasama4最後まで退屈せずに見れましたね~。広島カープは今年Bクラスでしたけど~まこキャッチボールしてもらえなかった怨みは恐ろしいの~。まこはフジッキーの手足となって意地悪の限りを尽くすのでしゅ~みのむしレビューはともかくとして意地悪の助っ人はします~

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→mari様のプライスレス

「Jumpin' Jack Flash/The Rolling Stones」の真髄に興味のある方はコチラへ→天使テンメイ様のプライスレス

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2012年10月22日 (月)

MONSTERSとは理想のカップルのことですか?(山下智久)

・・・気絶しそうになったよ。

帝国の行政の極みだよな・・・それ以上は言わないでね。

それにしても「三毛猫」の時もそうだったけど・・・「美女と野獣」路線は行きすぎてるよな。

だから、言うなと申し上げているわけです。

芸人だからって何しても良いってわけじゃないよね。

柳原可奈子でのけぞるのは二度目だな。

ああ、「七瀬ふたたび」の真弓瑠璃だな。

もはや、冒涜の域に達していたからな。

よほどの展開がないと・・・このキャスティングは取り返しがつかないよな。

いや・・・一部愛好家にはそれなりに評価されるのでは~。

だって・・・男二人のコンビネーションなんだから・・・若手の恋人はそれなりに目の保養できる人でいいじゃないか。

ですよね。たとえば、ガッキーとか、ガッキーとか、ガッキーとか、戸田恵梨香とか。

どうせ怪物なら沢尻エリカとか。

強制的に本題に入ります。

で、『MONSTERS・第1回』(TBSテレビ20121021PM9~)脚本・蒔田光治、演出・福澤克雄を見た。この脚本家・・・ミステリの展開はまあまあだったが、相変わらずセリフが下手だよなあ。結局、「トリック」で最高潮だった頃のキャスト&スタッフがアドリブで面白おかしくしていたことを皆さんが誤解しているんだよな。シナリオがすでに面白かった・・・わけがないのにな。で、脚本家も期待されてるからなんとか面白おかしく書こうとしてすべる・・・というリフレインなのである。まあ、でもミステリとしてはそれなりなんだから目をつぶるしかないよねえ。

今回で言えば・・・秀逸なギャグは平塚平八(香取慎吾)に乗せられた金田一(遠藤憲一)が犯行現場で再現シーンを熱演するところなんだが・・・ここを立たせたかったらあとはものすごく抑えめじゃないと成立しないんだよねえ。

それから細部で言うと・・・「パラフィン紙」のようなものを犯人が捨てたことはくすぐりで・・・「毒なし」ケーキを食べたのに中毒になってしまった犯人のボケを立たせるためのフリだということがもう少し明確でないと・・・キャストが下手に見えてしまうんだよねえ。まあ、凄くうまくはないけどね。

ま・・・とにかく・・・いろいろと不安要素はあるものの・・・異常な捜査手法で犯人を追い込む刑事の物語始りました。

超セレブで御曹司であるらしい西園寺公輔(山下智久)は「富豪刑事」になるために生れてきたらしい。とにかく・・・永年の夢であった警視庁捜査一課の刑事に仮採用で配属されたのである。

しかし、彼は上司である捜査一課長の剣持(大竹まこと)から本採用となるためにある条件のクリアを突きつけられる。

「刑事の内定」である。捜査一課平塚班の班員となり、班長・平塚平八刑事を24時間監視し、素行を報告する任務なのである。

「に・・・24時間ですか・・・」

「そうだ」

「それは不眠不休で・・・さすがに死ぬと思いますが」

「あくまで脚本的なノリだよ・・・そう書いた方がインパクトあるくらいな感じであまり深く考えないタイプの脚本家なんだ・・・」

「・・・なるほど」

とにかく・・・どこかのほほんとした西園寺刑事は・・・24時間どころか、勤務中も監視対象から目を離しがちとなる。まさに心ないセリフなのだな。あるいは笑いどころなのだが・・・それをはっきりと明示する演出力はありません。

調査対象である平塚刑事は慇懃無礼を絵に描いたような男だった。

しかし、平塚刑事は抜群の事件解決力があり、何か不正な捜査をしているのではないか・・・という疑いを剣持課長は抱いているらしい。

そのための監視なのだが、平塚刑事は所轄署で「盗難自転車の検挙率1位」を獲得した西園寺刑事を如才なく煽てあげたりするのだった。

こうして・・・シナリオ上は「凸凹コンビ」が誕生したのだが・・・どこが凸凹しているのかは不明である。山Pは慎吾ちゃんほどビールを飲んでないので腹的に慎吾凸、山P凹なのかもしれない。

本当にそのあたりは心ない脚本だよねえ。言葉に重みがないのである。

さて・・・警視庁から入電中だ。

超巨大企業グループ徳平コンツエルンの総帥・徳平國男(団時朗)が自社ビルのプライベート・ルームで血を流して倒れているところを発見された。被害者は死亡。殺人事件として捜査を開始せよ・・・である。

別室にいる平塚と違い、捜査一課のエースと呼ばれる金田刑事は五人の部下を引き連れて現場に急行する。

捜査線上に浮かんだ容疑者は五人。

プライベートルームの鍵を持つ被害者の後妻・洋子(高島礼子)。

先妻の息子である伸一郎(岡田義徳)。

先妻の娘であるスラリとのびた白い脚の麻美(加藤夏希)。

会長の腹心である西崎専務(武田鉄矢)。

そして家政婦の内田(角替和枝)である。

しかし・・・家政婦が捜査線上に浮かぶことはなかった。

いきなり、長男の伸一郎が逃亡したために重要参考人となったからである。

だが・・・ニュースで自分が犯人とされていることを知った伸一郎は現場に戻ってくる。

専務の証言により、「子会社を使って香港のカジノで80億円すった損失隠しをしたことが会長に知られ・・・今朝、会長に叱責されることになっていた伸一郎」が衝動的に会長を殺した疑いが深まる。

だが、こめかみのスイッチを人差し指で連打すると直観力が冴えわたる平塚はすでにすべての真相を見抜いていたのだった。

平塚は金田に犯行を再現させると「凶器」に指紋がついていない不自然さを指摘するのだった。

もちろん、計画的殺人なら指紋がなくてもちっとも不自然ではないがシナリオ的にそう見せるのである。

ここで、突然、後妻の洋子が犯行を自白する。

「凶器の香炉に傷があると主人に責められて、思わず殴ってしまいました・・・私より香炉を愛しているという主人にカッとなってしまったのです」

こうして、洋子は逮捕されるが・・・平塚刑事は疑いの眼差しを後妻の洋子にむける。それどころか・・・「不完全なシンメトリー」の「手」であるべきなのにない本当の「凶器」に言及するのだった。

本当の凶器は「花瓶のようなもの」だった。

異常な直観力に恵まれていないらしい西園寺は「では・・・洋子さんは誰かを庇っているのですね・・・なぜなら・・・香炉で殺したと嘘をついたのだから・・・」と推理する。

「なるほど」と頷く平塚刑事だが・・・本庁に連絡する前に花瓶のようなものを捜さなければいけないと西園寺刑事を誘導するのだった。

西園寺刑事はあわててゴミとなった「凶器」の捜索にと旅立つ。

本来の任務である平塚刑事24時間監視をつい失念するのである。

その西園寺刑事の携帯には異常に大きくピンクの玉のストラップが装着されている。

どうやら・・・この桃玉こそが・・・恐ろしいアレの前フリであるらしい。

それはさておきゴミの山までたどり着いた西園寺の努力も虚しく凶器は発見されなかったのだ。

会長の通夜も済み、ついに総帥の座に登りつめたウッチーじゃなかった伸一郎。

会長室から下界を見下ろし、高笑いをするのだった。

すると、どこでもドアを持っているらしい平塚刑事と西園寺刑事が背後に立っている。

どうやら「背後に立っている」は今季の流行らしい。

一時期、「気がつくといない」も流行したが三回目くらいで鼻につくか、くりかえしのギャグとして認知されるか微妙なところなんだよな。少なくとも「悪夢ちゃん」では成功していたぞ。

モラルのない本心を見られた伸一郎だが、会社の金を80億円も使いこむ男なので全く動じない。

伸一郎は犯人の動機として「家族の中の泥棒」について言及する。

会社内にある美術品を何者かが贋作にすり替えている可能性があるというのだ。

死んだ会長は密かに専務に命じ、すべての美術品の再鑑定を行ったらしい。

育ちのいい西園寺は資産価値のある絵を発見するが・・・鑑定力はないらしく、贋作であることを見抜けない。

しかし・・・平塚には分かっていたらしい。

なぜなら・・・彼は犯罪者という怪物を食べる刑事という怪物だからである。

伸一郎が名指しした美術品泥棒候補である長女・麻美の家に侵入する凸凹コンビ。

しかし、そこに麻美が帰ってきたために西園寺はベッドの下に潜む。

唯一のサービス要因といってもいい麻美のくんずほぐれつの痴態は三時間に及ぶがすべてカットである。殿方向けのサービスは一切しない方針らしい。

その模様はすべて盗聴していた平塚だが・・・手掛かりになることはなく・・・ただ西園寺が思わずもらした交際相手の名前を聞き咎めるのだった。

「恵美ちゃんですか・・・」

「・・・」

「さぞかし、美しい女性なんでしょうねえ」

西園寺の恋人は高野恵美(柳原可奈子)である。

おそらく、一部愛好家のためのサービスが毎回あるのだろうが・・・今回はほっぺについたお弁当の食べっこ・・・ある意味、語るのもおぞましいコーナーです。

最後に凸凹コンビは西崎専務の元へ向かう。実質的な経営トップである彼もまた犯人の可能性があるらしい。

しかし・・・「30分後に行く」といって30秒後に来る時間差攻撃という姑息な手段で平塚が西崎専務の屑籠から入手したのは・・・美術品の鑑定結果だった。

その時・・・御用達の洋菓子店から・・・贈答品が届く。

怪物である平塚刑事は・・・そのケーキこそ事件解決のキーになると一瞬で直感するのだった。

その夜・・・甘いものが好きな西崎から洋子の手に渡ったケーキ。

翌朝・・・洋子は猛毒による中毒で瀕死の状態で発見されるのだった。

そして・・・西崎専務は朝から消息不明となったのだ。

命をとりとめた洋子に対する怪物狩りを始める平塚刑事。

洋子を優しい女性だと思いたい西園寺刑事は怪物の苦い味を知ることになるのだった。

「奥さまの部屋からは紙皿、フォーク、銀紙が発見されました・・・何か足りないものがあるとは思いませんか?」

ようやく・・・セリフを与えられる麻美だった。

「ああ・・・あれね・・・ケーキのまわりについてくるくると巻いてあるパラフィン紙というか、セロファンというか・・・フィルムっていうか」

「そうです・・・ソレです・・・ソレがなかった」

美術品泥棒だった洋子は贋作を夫に突き付けられ衝動的に夫を殺害。

凶器の花瓶のようなものが贋作であると気づき、香炉でもう一度殴る。

致命傷が香炉でないと司法解剖で判明すれば自供は否定されると承知の上で虚偽の自供。

そして、鑑定結果を知る西崎の殺害を計画。

あらかじめ用意した致死量に足りない量を服毒し、被害者を装う。

しかし・・・ケーキはあらかじめ・・・平塚刑事が無害なものにすり替えていたのである。

「・・・ひどい・・・窃盗じゃないですか・・・平塚さん」

「緊急避難ですよ・・・西園寺さん」

毒の入っていないケーキを食べても中毒症状は発症しないのである。

「ちくしょう・・・」無念の涙を流す洋子だった。

「奥さん・・・何も西崎さんを殺す必要はなかったんですよ・・・彼は奥さんを愛していたんですから・・・きっと黙っていたでしょう」

「そんな秘密を共有して・・・誰が得するって言うのよ」

「・・・なるほど」

落胆する西崎専務だった。

こうして・・・西園寺は・・・見習い刑事としてかかわった最初の事件で二人の怪物を見たのだった。

犯罪者と刑事・・・悪(おでんの汁)をめぐる二つの黒い具(つみれと大根)を。

「僕もいつかは汁を吸いこんだがんもどきに・・・」

暗い予感におびえる西園寺だった・・・。

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こちら葛飾区亀有公園前派出所

Erioo1 ごっこガーデン。モンスターズのいる部屋セット。エリむふふ・・・育ちの良さが仇になり犯罪に対して無能な山P先輩刑事。そのイノセンスなハートが悪に染まるまで調教する喜びなのでス~。一体・・・二人の刑事の間にはどんな愛が育まれるのか・・・愛用のムチに誓って最後まで見届ける覚悟なのでス~腰が低いけど実は天才の刑事とちょっと真面目な刑事・・・これ、山P先輩の一人二役でよかったのでは~、うりふたつ設定で・・・まあ、よくばりさんなだけですけど~mari「じいや~Pちゃま刑事2号はまだですか~くう久しぶりのピンク軍団そろい踏みだね。初回二時間スペシャルは例によって長すぎ~。来週はスパッと1時間ものでお願いするよ~。前後篇展開もやめてよね~ikasma4帰ってきた・・・ウルトラマン・・・怪獣退治の専門家ですからねえ・・・大河ドラマの記事は水曜日ですか?」アンナ明日が待ち遠しいぴょん

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2012年10月21日 (日)

人は誰もただ一人で生きていくもの・・・人間関係なんてすべて悪夢のようなものなのもげっ(北川景子)

「人は一人では生きていけない」という「甘え」を克服する必要がある人は多い。

もちろん・・・「世界」があってこそ誰もが「生きている感じ」がするわけだが・・・そこに「他者」は必要不可欠なものではない。

母の胎内より生れ、「自己」を認識した以上、すでに人はみな孤独なのである。

親子関係やら、友人関係やら、恋人関係やら、師弟関係やら、夫婦関係やら、職場関係やら、地域社会関係やら・・・そんな人間関係なんてなくても人は立派に生きていけます。

逆にそういう関係に依存することはすべて「甘え」なのです。

どこまで続くかは不明だが・・・そういう主張のヒロインである。

もちろん、悪魔は「まったくもって然り」と言う他はございません。

胸を吹き抜ける寂寥感こそ、わが最愛のパートナーでございますからな。

当然、キッドは人類が滅亡してもまったく困りませんぞ~。

で、『・第2回』(日本テレビ20121020PM0915~)原案・恩田陸、脚本・大森寿美男、演出・佐久間紀佳を見た。まずは簡単にこの世界の構造を垣間見る必要があるようです。例によってイラストはikasama4様画伯のお世話になっています。

Mako003 まず・・・このドラマの中の現実世界がございます。その中では登場人物たちが日常生活を営んでいるのです。多くの登場人物が眠れば夢を見ます。この夢というものはなかなかに厄介なもので・・・何が厄介かというと「夢」そのものの共通認識が成立しないのです。誰もが「物凄く面白い夢を見た」としてもそれを他人に説明するのは至難の業ですからな。たとえばドラマの中でまことしやかに語られる「明晰夢」なるものがありますが・・・それは科学的にまったく立証が困難なのですな。なにしろ、「私は自分の見る夢をコントロールできる」と断言されても「はあ・・・そうですか」と頷くしかないわけですから~。しかし、そこはフィクションですからこのドラマ世界では「夢札」マシーンによって夢物語を現実に取り込んでいるわけです。で、現実に認識できる世界とは違う「夢」の世界では人は「無意識的神話世界」に接触できるという幻想は大昔からございます。「心」が「意識」と「無意識」に分別されてからというもの、「意識」がないんだら「無意識」なんじゃね・・・と短絡する人は掃いて捨てるほどいたわけですな。

無意識の世界は個人を超越するという幻想もまたここから生まれるわけです。

さらに・・・無意識の世界は時空間も超越するという幻想もございます。

ま、基本、すべては妄想でございますけどね。

ただし、意識が限定された時空間で発生している以上、無意識が時空間を超越しているというのは簡単に否定できないことでもあるのです。まあ、ここが妄想家たちの付け入る隙と申せます。

で、この世界では「夢札」があるために「明晰夢」の実在も簡単に明らかになってしまいます。

さらに言えば「夢」だから許される邪悪な欲望もすべて白日の下に明らかにされてしまうということも付け加えておきましょう。

その中で「予知夢」という幻想もまた現実化します。

そのシステムは以下の通り。

万人の夢は無意識的神話世界とリンクしている。

無意識的神話世界はすべての時空間が存在するために地球もアンドロメダー星雲も隣接しているし、過去も未来もへったくりもないのです。

しかし、万人の多くは「夢」を「現実」に持ち帰ることはできない。

ただし、悪夢ちゃん(木村真那月)は無意識世界にリンクした他者の時空を超越した夢を現実に不完全ながら持ち帰る超能力を持っている。

そして、悪夢ちゃんは「予知夢」を見ることはできるが「未来改変」を実行することはできない。

けれど、主人公の明恵小学校5年2組担任の武戸井彩未先生(北川景子)だけは悪夢ちゃんの「予知夢」を利用して現実世界に介入することが可能。

・・・いかがでしょうか。彩未先生が恐ろしい「力」を有していることがご理解いただけたでしょうか。

つまり、悪夢ちゃんが予知した未来は確実に起こってしまった未来なのです。

その未来を改変できるということは・・・彩未先生は実は神に等しい存在だということです。

物語の世界では禁じ手の一つに「夢オチ」というものがあります。

この物語では最初から「夢オチ」が含まれているわけです。

なぜなら・・・このドラマの現実世界そのものが彩未先生の「夢」であることは明白だからです。

考えてみてください。彩未先生は明晰夢で自分の望んだ夢を見ることができるのです。現実世界も同様に彩未先生が改変できるのですから、これはまさしく「現実もまた夢」なのでございます。

今回、物語の重要な舞台としてスナック「うわばみ」が登場します。「大切なものは、目に見えない」という名言で知られるサン=テグジュペリの「星の王子さま」の冒頭が「うわばみ」についての記述であることは御承知でございましょう。

帽子にみえるけれど・・・それは象を飲んだ蛇(うわばみ)・・・ということです。

つまり、現実世界に見えるけれど・・・お茶の間が見ているのは・・・現実世界を飲みこんだ彩未先生の夢に過ぎないのですな。

さて・・・超能力で未来を変える・・・このドラマ。

実は・・・名作ドラマ「モップガール」と全く同じ構造であることも指摘しておきます。ね。

悪夢ちゃんが新たに見た夢は【5年2組神田冬馬(原田一輝)が沼部で鴨を捕獲し、父であるうわばみに供物として捧げ、その隙にうわばみを刺殺し、腹から女子中学生を取り出す】というものだった。

このままでは・・・神田くんが殺人犯になってしまうという悪夢ちゃん。

現実世界はあくまで睡眠時間を確保するためにノルマを果たす場所と考える彩未先生は神田くんがどうなろうと知ったことではないし、悪夢の教室持ち込み禁止を発令したいところだったが・・・悪夢ちゃんの父(小日向文世)は甘澤校長(キムラ緑子)に「このままでは娘が不登校になる」と訴え、搦め手から彩未先生を追い込んでいくのだった。

そんな折・・・ついに冬馬は同級生のプラダくずれフェラガモもどきの財布を盗んでしまう。

仕方なく、彩未先生は手下の養護教諭・平島琴葉(優香)に神田家の内情を探索させるのだった。

その結果・・・冬馬の母は二年前にさすらいのシンガー・ソング・ライターSIONと結婚したが、SIONが飲んだくれて暴力をふるうので最近、離婚したばかりだったのだ。

そんなSIONの連れ子で・・・血のつながらない姉である「ホットマン」シリーズの七海や「ギャルサー」のモモでおなじみ日向ななみ(旧芸名:山内菜々)15歳の演じる女子中学生に冬馬は激しい慕情を抱いていたのだった。

母と義理の父の新婚イチャイチャぶりにゲンナリしていた冬馬に「家族だと思わないでチームだと思えばいいんじゃないかな」と優しく接してくれた義理の姉だった。

そんな姉が飲んだくれの父親のために・・・スナック「うわばみ」で年齢を偽って働いていることを知り、思わず盗みに走った冬馬だった。

一方、夢王子にそっくりな悪夢ちゃんの父の助手(GACKT)は無断で他人の夢を覗く人でなしであることは百も承知の彩未先生だったが理想のタイプに「俺とチームを組まないか」と食糧持参で誘惑され心が揺らぐのである。

やがて・・・レム睡眠の眼球グリグリ運動で白日夢を見まくり、ついには彩未先生の夢/現実境界線を揺さぶる悪夢ちゃん。

仕方なく、彩未先生は夢判断に乗り出すのだった。

これは「スサノオのヤマタノオロチ退治の神話が影響している」と断定する彩未先生。

【乱暴狼藉の罪で高天原を追放されたスサノオは出雲国で生贄に捧げられるクシナダに一目惚れをする。そこでクシナダを食べようとする龍神ヤマタノオロチを退治することを決意する。スサノオはスサノオ軍団に大量の薬物を入手させ、龍神の領地に散布しヤマタノオロチが麻痺したところを殺戮したのだった。こうしてスサノオはクシナダと結婚した】

「それでは・・・義理の姉を助けるために義理の父親を殺すつもりなのか・・・」と悪夢ちゃんの父は嘆くのだった。

「父親は娘に依存し、娘も父親に依存する・・・そして弟もまた姉に依存し、姉も弟に依存する・・・結局、みんな甘ったれなのよ・・・」

人間の依存関係を全否定する孤児院で何一つ不自由なく育った彩未先生だった。

そんな彩未を悪夢ちゃんはもう一つの原型神話である「ペルセウスとアンドロメダーの結婚の悪夢」にいざなうのだった。

【神々の王ゼウスとアルゴス王の娘ダナエーとの不義密通で生まれた半神半人の勇者ペルセウスは睨まれると石化してしまう怪物メドューサを退治した帰り道、絶世の美女だったために女神たちの怒りを買い海神ポセイドーンの生贄にされかけたアンドロメダーと出会い一目惚れをする。海神の使いである無数の触手を持つ巨大な鯨獣に襲われるが持ち帰ったメドューサの首で鯨獣を石化し難を逃れるとアンドロメダーと結婚。ペルシャ帝国の礎を築くのだった】

どうしても・・・冬馬は義理の姉と結婚したいらしい。

白日夢を手掛かりにスナック「うわばみ」に乗り込む彩未先生。

店のママはスリットさん(高橋ひとみ)だった。

「女子中学生をただちに解雇しなさい」

「そんこと言ったってあの子は父親の元に舞い戻り・・・今度は身体を売るようになるよ・・・そうならないように私は保護してるのさ」

「父親なんていなくたって人間はいくらでも生きていけるのよ・・・それを教えてあげるのが大人の役割でしょう・・・あんたのお節介は中途半端なのよ」

「あんた・・・言うわね」

その頃、冬馬は酒好きの父親に酒を嫌いになってもらおうと酒に不味い漢方薬を混ぜて持って行く。

しかし、義理の息子に毒殺されそうになったと思った父親は暴力に訴える。

止めに入った彩未先生は逆襲され生命の危機に陥るのだった。

そこへやってきた冬馬の姉。父親に請け出した質草のギターを叩きつけるのだった。

「別に私はお父さんに依存なんてしていないわ・・・私はただチームの一員として・・・お父さんに自立を促したかっただけなの・・・お父さん・・・音楽を捨てたら、おしまいだよ」

たたみかけるスリットママだった。

「この娘は私が預かるよ・・・二年後あんたが真っ当になって帰ってこなかったら私の養女にもらうからね」

うなだれる父親は再起をかけて歌い出すのだった。

うわばみのブルース

おれは飲んでた

忘れたいから

何を忘れたいかって

それは恥ずかしい気持ち

何が恥ずかしいって

飲まずにはいられないことが

なにがなんだかわからない

うわばみのブルース

父親が音楽で生きていけるかどうかは別として・・・とにかく・・・息子の父親殺しは回避されたみたいだった。

人間関係なんて本当に「必要ない」としみじみ思う彩未先生なのだった。

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2012年10月20日 (土)

必殺晒し固めで曝し責め~大奥~男子禁制の間(多部未華子)

そこなのかよっ。

男子たるもの唯一のサービス、サービスを見逃すことはできませぬな。

凄く限定的な一部愛好家は金八先生の上戸彩以来のさらしからこぼれんばかりのふくらみに悩殺必至でございます。

BL好き女子ばかりにサービスするわけではないというこの姿勢。天晴。天晴でございます。

サラシ・・・サラシはやはりいいものだ。

まあ・・・女賭博師シリーズ(江波杏子)以来の伝統サービスだからな。

・・・いい加減にしとけよ~。春日局に始末されるぞっ。

多部未華子の女優魂に乾杯するものども。・・・その背後に忍び寄る将軍家指南役・澤村伝右衛門。

で、『大奥 ~誕生~[有功・家光篇]・第2回』(TBSテレビ20121019PM10~)原作・よしながふみ、脚本・神山由美子、演出・金子文紀を見た。圧巻の第二話である。お茶の間を騒然とさせる忠実なまでの原作通りに万歳三唱なのだな。変態の森は深し・・・でございます。男子の死亡率が80%という奇病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」が蔓延した17世紀初頭の江戸幕府三代将軍家光の御代。家光は正史よりも早く死亡し、江戸城大奥には家光の唯一の忘れ形見・千恵(多部未華子)が分岐したもう一つの未来に向かい「家光」として育てられていたのである。ここに春日局(麻生祐未))は男だらけの大奥を組織したのだった。すべては女・家光に世継ぎを生ませるためなのである。

正史では村上源氏六条有純の娘・お万が家光の側室になるのだが、改変されたこの世界では藤原北家勧修寺流万里小路有純の子息・万里小路有功(堺雅人)が種馬・お万となるのだった。もはや、後戻りできない魔の歴史が流れ始めたのである。

「おそろしいところにきてしまった・・・」と恐怖するお万である。

唯一のお供である15歳の少年・玉栄(田中聖)は「お連れいただいて幸いでした・・・もしも一緒にお城に上がらねば・・・あの春日局のこと・・・私も始末されてしまったことでしょう・・・」とお万に感謝の気持ちを伝えるのだった。まあ・・・実年齢/役年齢的にギリギリの・・・なんちゃって師弟である。正史では寛永十七年(1640年)お万の方(16)、お玉の方(13)である。

ちなみに万里小路有功が院主となる予定だった慶光院は正史では尼寺で・・・お万の方(永光院)が6世門跡を務めている。なかなかに計算された歴史改変ものなのである。家光が死んだ時点で大きく流れを変えることなく・・・八代将軍には吉宗が登場する。ただし、吉宗は女将軍という邪史なのだ。だが・・・それはまだ先のこと・・・今は・・・大奥に幽閉されたお万の方の運命を辿る・・・。

当惑した二人の元へ春日局から大奥案内役・村瀬正資(尾美としのり)がやってきた。すでに将軍の小姓としての登録が済んで、実家にも連絡済み、そしてお万の方は一生、大奥暮らしということが伝えられ、「気持ち悪い京言葉」禁止令が出るのだった。

お万の方は郷に入っては郷に従えの精神であっさりと標準語に切り替える。

そんな・・・お万の元へ夜這にやってくる家光。

しかし、家光はツンデレなので白い子猫を投げ付けるようにプレゼントするとお万の寝間を去るのだった。

その頃、表で家光の影武者を演じる春日局の実子・稲葉正勝(平山浩行)は生き別れとなった愛妻・雪(南沢奈央)の面影を忍ぶのだった。稲葉正勝は表向きは家光の身代わりで死んだことになっているのである。

このように大奥は二重構造になっている。

江戸城・大奥には数少ない男衆が集められているが本当の家光が女であることを知るのは大奥の大奥に入ることが許された者たちだけなのである。

その者の中には家光を懐妊させるために集められたお万の方と同じ境遇の者があった。

三バカ御中臈の登場である。その筆頭は角南重郷(戸次重幸)である。角南家は元・宇喜多家臣であるが、後に徳川家旗本になった一族である。本家の家紋は折敷に一文字なので羽織の紋からおそらく分家の者なのであろう。また勝田頼秀(夙川アトム)は正史では旗本ではないが今川義元の祖父・義忠を敗死させた遠江国の豪族・勝田氏の系累と思われる。そして和田正隆(遠藤要)は戦国武将・和田惟長の系累であるのだろう。和田家もまた没落して徳川の旗本に名跡を残しているのである。

お万の方と同様に世に捨てられた御中臈たちであったが、さらに悪い事に家光のお声がかからない飼い殺し状態となっていた。その鬱屈は新参者のお万の方に向けられるのであった。

「京の公家などにあのじゃじゃ馬の相手が務まるものか・・・」

これに対し、お万の方は教養で対抗するのだった。

「論語(孔子)子路 二十六章」

子曰わく、君子は泰にして驕らず、小人は驕りて泰ならず。

「おそれ多くも上様を馬にたとえるなど不謹慎でございましょう・・・」

「どういう意味だ・・・」といぶかしげなお仲間に角南は解説するのだった。

「大物は虚勢を張らず、虚勢を張るのは大物ではない・・・つまり我らを小物と言うたのだな」

教養は時に無駄に敵を作るものなのである。

その夜、お万の方の部屋の前には汚物が撒かれるのだった。

お万からはたちどころに教養が迸る。

「源氏物語」

第1帖 桐壺

第5帖 若紫

「桐壷とは?」と尋ねる玉栄にお万の方は教える。

「光源氏の母である桐壺の更衣は高貴な身分ではなかったので・・・その他の女御たちの羨望と嫉妬を一身に集めたのだ」

「それでは有功様が・・・将軍の父になられるのですね・・・」

「そうとは限らない・・・」

それからおもむろに家光から下された仔猫(たま・こたま)に「若紫」と名付けるのだった。

若紫とは光源氏の初恋の人である藤壺の縁者であり、後の紫の上(光源氏の妻)の少女時代を示す名前である。

その後、お万の方は玉栄に一篇の詩を講義する。

「送別/王維」

下馬飲君酒

問君何所之

君言不得意

歸臥南山陲

但去莫復問

白雲無盡時

「中国唐朝の王維の詩じゃ・・・馬を下りて君に酒を飲ましむ・・・君に問う何れに之く所ぞと・・・君は言う意を得ずして・・・南山のほとりに帰臥すと・・・ただ去れまた問うことなし・・・白雲は尽くる時なし・・・」

「どういう意味ですか・・・」

「思いのままにならない人生に疲れて隠居するという友を送り出す別れの詩なのだ・・・行きなさい・・・もはや言葉いらない・・・君の旅にはいつも白い雲が友としてついていくだろう・・・つまりあるがままに生きることの喜びを歌っているのだ」

「あるがままに・・・」

かごの鳥となった二人は故郷の青い空に浮かぶ一片の雲を想う。

そんな二人に対する三バカ御中臈の嫌がらせは続く。

ネズミ入りの椀を出され、怒り心頭に達した玉栄は怒鳴り込むが逆に三人に凌辱されてしまうのだった。

菊門の痛みをこらえて耐える玉栄・・・しかし、お万の方には余計な心配をかけまいと口を閉ざす。

ついに・・・三人は「上様をお守りするためには武芸の心得がなくてはならぬ」と箸より重いものを持ったことがないお万の方を道場に呼び出すのだった。

そこで待っていたのは澤村伝右衛門(内藤剛志)だった。

三人は澤村にお万の方を叩きのめさせるつもりだった。

しかし、お万の方の覚悟を見極めた澤村は千本素振りを命ずるのだった。

「一・・・二・・・三・・・」

何事かを期し、無心で木刀をふるうお万の方。

五百を越える頃には・・・嘲笑の声も途絶えていた。

夕日の中・・・千本をふりきるお万の方。

「お師匠様~」

「案ずるな・・・私はただ・・・もう何も考えたくなかったのだ・・・」

その姿を春日局は見ていた。

そして・・・武骨な男たちと違うお万の方の魅力に・・・家光はすでにサラシの下の胸をときめかせていたのである。

関連するキッドのブログ→第1話のレビュー

Mako002 ごっこガーデン。大奥・薔薇の間セット。まこぎゃぼ~ん。あまりに教養あふれるお万の方様の攻撃に・・・まこは主に泣いてますモードの防御姿勢をとるのでしゅ~。このあとは猫まこに変身して堺さまに抱っこしてもらいましゅ~。じいやには内緒でお万の方ロイドのお勉強モードをオフにしちゃいましゅ~・・・その後は玉パンダのヒリヒリお尻にクスリをぬってあげなくては~くうおぞましくも美しい大奥残酷物語だよね~。男の嫉妬は醜いよ~。来週は・・・この怨みはらさでおくものか~なのかな。それはにゃんだかこわいことになりそうにゃ~ん・・・それにつけても堺さまの素人とは思えない素振りの形の決まり方・・・山南敬助で塚原卜伝ですものね~♥」ikasama4堺さんの上品な佇まいには脱帽ですな。そして陰湿な根性焼き。この先もかなり楽しみです|; ̄∇ ̄)ゞ

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2012年10月19日 (金)

レジデント〜5人の研修医VSドクターX~外科医・大門未知子~私は感じない女(大政絢)

どんなタイトルなんだよ。

・・・なんていうか・・・ノーガードの殴り合いみたいな。

日9ではフジテレビに挑まれ、木9ではテレビ朝日と張りあい・・・TBSテレビ、編成的に困惑だよな。

今回は研修医(仲里依紗)VSスーパードクター(米倉涼子)である。

できない奴とできる奴では最初から勝負あったなのだが・・・まあ、ドラマは治した患者数で勝負するわけじゃないからな。

まあ、研修医は患者にビンタで、スーパードクターは同僚医師を突き飛ばし・・・二人の主人公はバイオレンスもいける口なのである。

まあ、パートナー的脇役に銭形海(大政絢)とキャッツ・アイ(内田有紀)がいていい勝負なんだな・・・どこがだよっ。

で、『ドクターX~外科医・大門未知子~・第1回』(テレビ朝日20121018PM9~)脚本・中園ミホ、演出・田村直己を見た。脚本的にはこちらの方が同じ女流でも貫禄勝ちである。なにしろ、「白鳥麗子でございます!」があるからな・・・そこかよ・・・「やまとなでしこ」「ハケンの品格」があるからな・・・これでいいか・・・いいよ。とにかく・・・行政へのクレームである。医療が自由競争に入って大学病院が人材不足になってしまう。そこでフリーランスの医師が派遣されてくるのだ・・・はい、もう分かりましたね。

で・・・帝都医科大学第三病院院長の久保(竜雷太)以下、大学病院のドクターたちは全員無能である。なにしろ・・・手術前にアレルギーの有無も確かめないくらいなのだ。そんな馬鹿なと思う人も多いだろうが・・・とにかくスーパードクター大門未知子(米倉涼子)がひたすら有能であることを見せつけるドラマなのでスルーしていただきたい。

とにかく・・・すごいのはドクター大門の正体が・・・さすらいのダンサーである・・・ということだ・・・ちがうだろうっ。

とにかく・・・ヨネクラくんだから・・・一回はダンスを見せないといけないらしい・・・誰が見たいんだよっ。

古い術式にこだわる久保院長は開腹手術しないですむ患者を無理矢理開腹である。

ハケンのくせに院長に苦言を呈したドクター大門は手術室から閉めだされてしまうのだ。

やさぐれた麻酔医・城之内博美(内田有紀)は患者の危機を直感する。

しかし・・・手術中に脳梗塞を発症する久保院長だった。

助手の新米外科医・森本(田中圭)は立ち往生である。

そこへ、ドクター大門が颯爽と登場。患者は九死に一生を得るのだった。

だが・・・院長に逆らったドクター大門は解雇されてしまう。

波乱の幕開けだが・・・とにかく・・・田中圭は殺されずにすんだようだ。

そして久保院長は療養のために退場・・・新院長に毒島(伊東四朗)が任命される。

毎回・・・老医師を再起不能に追い込んでいく話らしい・・・それは違うだろう。

ちなみにドクター派遣業を仕切るのは神原晶(岸部一徳)、ドクターの稼いだ金を麻雀賭博で巻き上げるという昔ながらの手法でドクター大門は借金漬けらしい。

まあ、もう、笑うしかありません。

で、『レジデント〜5人の研修医・第1回』(TBSテレビ20121018PM9~)脚本・永田優子、演出・高成麻畝子を見た。脚本家は「ヒミツの花園」「歌のおにいさん」「ヤンキー君とメガネちゃん」などの軽いタッチの得意なタイプで最近では「恋愛ニート〜忘れた恋のはじめ方」で軽さを通りこして空気になっていた。若いメンバーとこのどうでもいい枠でリハリビだな。はたして社会復帰なるか・・・である。

さて・・・青林大学医学部付属病院のERに配属された五人の研修医は・・・男尊女卑の父親(寺島進)に育てられ意地で医師になった美山しずく(仲里依紗)、化粧のことしか頭にない・・・そんな医師はいないと思う・・・小岩井陽菜子(大政絢)・・・優等生の新城紗知(石橋杏奈)というものすごくオーソドックスな女医トリオ。そして、男子は暗い目をした矢沢圭(林遣都)とお坊ちゃんの真中潤一(増田貴久)である。後者は研修医どころか高校生役も危ない気配である。1人だけ・・・中学生が混じっている感じだ。

まあ、それはそれとして・・・指導医はセクハラ大王田淵(古田新太)、ハットリくん(須藤理彩)、皮肉屋の宮島(小澤征悦)とそれなりの布陣。

研修医よりも・・・危うい前田一平(荒川良々)も配置され、脚本家の息抜きポイントになっている。

初回は・・・恋人にふられて狂言自殺をくりかえす女性患者を美山が熱血モードで説教、事故死した患者を見せつけて最後はビンタ一発で立ち直らせると言う展開。

まあ、もう笑うしかありません。

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交渉人

つるかめ助産院~南の島から~

コード・ブルー

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2012年10月18日 (木)

好好!キョンシーガール〜東京電視台戦記〜ですが何か問題でも(川島海荷)

そこかよっ。

まあ、このご時勢ですからな。

さて・・・このドラマには二つのポイントがある。

まず、第一にスーパー・ナチュラル・ホラーというジャンルに属するということ。

そして、第二に日中開戦前夜だというのに「中国由来ののかわいいお化けキャラ」にうつつを抜かしていいのか・・・ということである。

どちらを本題にすべきなのか・・・物凄く悩むところである。

で、まあ、第二のポイントを論じ始めると・・・物凄いことになる可能性があるので、前フリの方で処理しておきたい。

そもそも、戦というものは時の運にも支配されるので・・・尖閣諸島周辺で日中間の局地限定戦闘に突入しても勝敗は定かではないのである。

先端の開かれ方にもよるし、どこまでで終結するか・・・と言う問題もある。

現在のところ、想定の一つは中国海軍陸戦隊による尖閣諸島の上陸占拠で開戦というものだ。

これに対し、同盟国である米合衆国海軍と自衛隊は共同で奪還作戦を行うことになる。

その訓練はすでに何度か行われている。ただし、実際に実戦になった場合、米合衆国が参戦するかどうかはその時になってみないとわからない・・・米合衆国はあくまで平和的解決を求めているので・・・安全保障の範囲内ではなくなったと・・・逃げる可能性もあるからだ。

中国には一つの不文律があって・・・それは軍事的優位がない場合は紛争を始めないという実に率直なものだ。

現在の情勢は中国VS日米では勝算がないが、中国VS日本なら勝算がないこともないという計算に基づいている。

島嶼作戦なので海軍力が主力となるが空軍力も当然、勝敗に影響する。

中国はついに空母を持ち、やがで原子力空母を持つ計画である。

少なくとも一時的に尖閣を占領して・・・日本の実効支配を崩し、即時に撤退するという作戦ならば勝算はかなり高まっている。

一体、そんなことに何の意味があるのか・・・と思う人は多いだろうが・・・少なくとも、「領土問題が存在しない」という鉄則は崩れてしまうのである。

もちろん・・・それを阻止する能力は日本にあると言われている。

物量では圧倒する中国海軍もさすがに近代化ではまだ海上自衛隊に遅れをとっている。

実戦に参加しなくても米軍が後方でバックアップしてくれる可能性は高いのである。

だから領海侵入と同時に日本にその気があれば上陸部隊は上陸前に撃破できるという。だが・・・「その気」の有無は実に不透明である。

中国海軍の艦艇が日本の領海周辺を通過するのはその準備行動と同時に日本の「その気」を測量しているわけである。

心ある人々は・・・「池袋にチャイナタウンがあって・・・そこでは中国政府の動向に心を痛めている在日中国人がいる」などと告知するわけだが・・・戦争などというものは心ない人が始めるものなのである。

そして、その在日中国人が身体をはって中国海軍を阻止したりはしないのである。

なにしろ・・・中華人民共和国とは中国共産党独裁によるファシズム国家なのである。

そして、生れたばかりのこの新しい帝国の領土的野心は今のところ留まるところを知らないのだ。

充分に警戒し、準備しなければならない。

さしあたって中国の目標はハワイを前線として太平洋を米国と分割支配することなのである。

まさかと思うが規定の方針なのである。

その第一歩が尖閣の一時占領なのである。・・・ものすごく気の長い話で目先の利益しか考えない経済人には考えられないスケールがあるのだな。

その一方で・・・中国は「琉球(沖縄)は中国だ」という主張を展開する。

尖閣は沖縄の一部で、沖縄は中国なのだから中国のものだ・・・ということである。

もちろん・・・沖縄には中国に支配された琉球独立を考える人は皆無だろうが・・・日米中から完全に独立した琉球を夢想する人は100人に1人くらいいるのである。

そういう人はきっとものすごく心のある人なのだろう・・・あるいは超ド級の愚か者なのである。

そういう人の気持ちを傷つけないためにも日本政府は言動に配慮すべきだし、同盟国の軍人には規律ある行動をお願いしたいものである。

じゃないと・・・そのうち中国は「日本は中国のものだ」と主張する段階に移行していくのだよ。

まあ、それで自由で平等で今より幸せになれるなら・・・それでもいいのかもしれない。

だから「かわいい中国のお化けキャラクター」を突然、始めるテレビ局・・・そこには絶対に中国共産党工作員の影があるのだと妄想できるのです。

「キョンシーが大好きな日本人は中国人である」ということだ。

アジアの人はみんな華夏の子孫と・・・あなたの孫が高らかに歌う時代はすぐそこまで来ています。

で、『好好!キョンシーガール〜東京電視台戦記〜・第1話』(テレビ東京20121013AM0052~)脚本・森ハヤシ、演出・濱谷晃一を見た。このタイトル・・・挑戦的だな。ちなみに「電視台」とは中国語で「テレビ局」のことである。キョンシー(殭屍)は中国の伝説の死霊である。その名は明帝国末期から清帝国にかけてすでに成立しているという。キョンシーという発音は広東語で、北京語ではチャンシーになる。日本にその名が知れ渡ったのは・・・中国復帰前の香港映画「燃えよデブゴン≪クンフー・ゴーストバスターズ」(1980年)とその派生作品である「霊幻道士」とそのバッタものである台湾ドラマ「幽幻道士」によるものと思われる。キョンシーというと想起される特徴ある「姿」は清帝国時代の風俗である。いかにもチャイナなのである。

さて・・・物語は現実の川島海荷風の川島海荷(川島海荷)の日常生活から始まる。明治大学の学生で女優でアイドルシンガーの彼女が「なんでも鑑定団」への出場依頼を受けるのである。

そこで実家に帰り、「お宝」を発掘しようとして・・・101人のキョンシーの封印を解いてしまうのだ。

ここからが虚構色が強くなっている。川島海荷の実家は中華料理店「海海軒」で父親は川島海吉(金山一彦)で、母親は川島宏海(田中律子)ではない。第一に金山一彦は芳本美代子の夫だし、田中律子はカメラマンの夫と離婚したばかりである。これが現実なら夫婦そろって重婚罪になってしまう。

キョンシーを封印していたお札は400年前にキョンシーを封印した道士の使い魔バンバン(鏑木海智/名高達男)である。

バンバンから事情を聞いた海荷は自分がキョンシー退治の道士に選ばれたことを知るが、事務所に相談したところ、マネージャーの権田紅葉(山田真歩)からは道士NGがでてしまう。

しかし、解放されたキョンシーは次々と人間を襲撃し、襲われた人間がキョンシーとなるバイオハザード展開となる。

その犠牲者は海荷のファンにも及ぶし、ついにはミッキー・カーチス(ミッキー・カーチス)もキョンシー化してしまうのだった。

仕方なく、キョンシーガールに変身した海荷はキョンシー退治に乗り出すのだった。

ちなみに・・・キョンシーは童貞の血液が弱点なのである。

そのために・・・子供のキョンシーは貴重な存在なのだな。

つまり・・・ミッキー・カーチスはともかく・・・海荷オタクの人はあれで童貞ではなかったのだ・・・もういいよね。

何よりも現場に萌える方はコチラへ→あんぱんち様の好好!キョンシーガール〜東京電視台戦記〜

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天地人

怪物くん

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2012年10月17日 (水)

一体、私に何がおきたの? はやく教えて・・・(長澤まさみ)

いや・・・それはきっと肝ですから。

とにかく・・・ヒロインになにか期するところがあることだけはついに垣間見せたのだな。

少しは引っ張らないとね。

装ってる演技が徒労に終わるからな。

さて・・・バラバラと始った秋ドラマ。

ここまで初回視聴率は・・・。

①TOKYOエアポート14.0%(次回からは日9対決)

②悪夢ちゃん13.6%(おっ・・・)

③ゴーイング・マイ・ホーム13.0%(まあな)

③結婚しない13.0%(ふんふん)

⑤匿名探偵11.7%(あはは)

⑥大奥~誕生~11.6%(まあね・・・目標は二ケタ完走かな)

⑦パーフェクト・ブルー*9.0%(敵は全力少女)

⑦東京全力少女*9.0%(敵は完璧青)

⑨高校入試*7.7%(うふふ)

・・・である。時間帯、枠特性などを考慮するとまずまず順当な数字と言えるだろう。

まあ・・・とにかく・・・怪物が2本控えているとは言え・・・「悪夢ちゃん」は頑張っている。

それに対して面白さでは勝るとも劣らない「高校入試」*7.7↘*6.3%で少しつかみそこねたかもね~。

まあ・・・たまにはこういうお茶の間の多数派にはどこがおもしろいのか分からない作品もないとねえ。

わかりやすいドラマばかりだとうんざりしますからねえ。でも数字もとりたいよねえ。シナリオ本は売れるだろうけどねえ。

で、『高校入試・第2回』(フジテレビ20121013PM2310~)脚本・湊かなえ、演出・星護を見た。県立橘第一高等学校の入試前日。不穏な空気がたちこめる。試験会場の各教室には「入試をぶっつぶす!」の張り紙が何者かによって掲示された。その処理をめぐり問答する教師たち。

坂本(高橋ひとみ)「なんなのよこれは!」

小西(徳山秀典)「個人の感情で行動するのはやめてください」

水野(阪田マサノブ)「これはかなり悪質だ・・・とにかく起きたままのことを上に報告するだけです」

宮下(小松利昌)「爆弾が仕掛けられたりしたら大変だもんな」

水野の提案で張り紙は回収して本部で保管することになるのだった。

教室内の壁に残る落書きなどを消去する作業に戻る怪しい新任教師・春山杏子(長澤まさみ)はわざとらしく壁に残る落書きを発見する。

好き 嫌い 会いたくないでも やっぱり好き 会いたい

「なにこれ・・・」

村井(篠田光亮)「知らないんですか・・・劇中歌・綺羅院長プロデュース、歌・りか(TYB48)の「最後の雪」ですよ。生徒の間で流行っているんですよ。そういうのもリサーチしておかないと・・・ね」

杏子「やっぱ好っきやねんの標準語ヴァージョンかと思いましたよ」

村井は調子に乗って歌い出す。

今年もこの町にも雪がまいおりると

君を思い出すんだ

みんなではしゃいだパーティー

今年はできないから

いつもよりあわただしい最後の冬

好き? 嫌い? 会いたくない?

でも やっぱり好き! 会いたい!

春になれば変わるかな・・・

しかし、杏子の心は回想へと彷徨う。

書店の一角・・・謎の男はファッション雑誌を手に取る。「そんなものに興味があるの?」と尋ねる過去の杏子。杏子の恋人で教師であったらしい謎の男は「10代の子はどんなものに興味があるかリサーチしてるんだ・・・」と答え納得する杏子だった・・・。

好き 嫌い 会いたくないでも やっぱり好き 会いたい

壁に書かれた文字を消し去る杏子だった。

体育教師の相田(中尾明慶)と交際中の2年B組の生徒・石川衣里名(山崎紘菜)は何かに気がついたらしい。

どこかで誰かに「私だけを守ってくれるんじゃなかったの?」とつぶやく。

表面上はリゾートホテル・インディゴで滝本みどり(南沢奈央)と密会するのが相田らしいという流れである。相田が殺される確率は高まったが・・・うのみにはできないドラマなんだと推察する。

1:名無しの権兵衛

仕込みは終わった

清掃狂いと生徒に噂される相田は黒板の上縁を雑巾がけして・・・不審物を発見する。

そこには・・・。

杏子LOVEと書かれている。

「杏子先生へのラブレターだ・・・」と決めつける相田だった。

「なんで、俺のクラスなのに俺宛じゃないんだよ」とガッカリする宮下である。

保護者控室では・・・保護者控室の歴史を松島崇史(羽場裕一)がみどりに語ったりする。

黒板の上の不審物をチェックしまくる相田は坂本の携帯電話を発見する。

坂本は注意力散漫でうっかりミスが多いことや・・・携帯電話を持っているのに活用しないため、かって連絡メールのチェック・ミスから衣里名をスピーチ・コンテストで失格させてしまうという不祥事を起こしていたことが判明する。

坂本は・・・問題教師だな。しかも自分にはまったく問題ないと考えるタイプのモンスター・ティーチャーである。

しかし・・・これだけあからさまだと・・・真の標的とは考えにくいね。

坂本の携帯電話は愛車から何者かによって盗み出されたらしい。

28:名無しの権兵衛

仕込みがばれた

どうやら・・・高校入試テロリストのメンバーには教師と生徒の双方がいるらしい。

とにかく・・・石川衣里名・・・は在校生を代表する存在である。

しかも相田には恋の怨み。

相田の相手のみどりにも怨み。

そして他人の痛みにあからさまに鈍感な坂本にも怨み・・・と。

怨みがたまっているのである。

保護者控室の二人は「保護者は携帯持ち込み可能なんだ」とこれは分かりやすい前フリをしている。

入試部長の荻野(斉木しげる)は「入試の注意事項」を不測の事態にそなえ試験当日に黒板に張りだすことに同意する。

施錠を確認する教師たち。しかし・・・施錠はすでに一度、突破されているのである。

杏子「ねえ・・・清孝って誰の名前だっけ?」

村井「相田先生ですよ」

杏子「机に清孝LOVEって落書きが・・・」

村井「石川衣里名の机ですね・・・」

杏子「どうして・・・?」

村井「ただの勘ですよ」

村井・・・リサーチしすぎである。

水野「村井先生には気をつけた方がいい・・・何か秘密がある人はね」

杏子「・・・」

いや・・・秘密はあるにきまってますよ・・・この怪しい物語の怪しい主人公ですから・・・。

妨害工作について管理職と教師たちが問答する。

上条教頭(清水一彰)「明日の本番を無事乗り切ることを第一に考えましょう」

的場校長(山本圭)「悪質ないたずらをなかったことにするのではなく入試が終わるまで保留にするということで先生方にはご納得いただきたい」

小西「今日起こったことは今日話し合っておいた方がいいと思います」

的場「分かった。問題の内容によっては責任を取ろう」

逃げ道を作る校長だった。

宮下「姑息だな・・・」

おそらく、みどりの手から渡されたゴールドカードを相田は紛失する。

66:名無しの権兵衛

ゴールドカード入手しました

杏子「このラブレター・・・プリントの裏に書かれています」

小西「とにかく・・・犯人は僕たちをどこかへ誘導している気がする・・・」

杏子「一体・・・どこへ・・・?」

小西「とにかく・・・今日の出来事はすべて・・・警告なんだと思います」

杏子「明日・・・試験本番に何かする気でしょうか」

試験当日、新たにプリントの裏の手紙が発見される。

小西「僕はB組のヤチュウにいじめられています・・・か」

ターゲットはB組と言うことが暗示されているらしい。

「試験は予定通りに開始します」

続々とやってくる中学三年生たち。

同窓会会長(入江雅人)の息子・沢村翔太(清水尋也)は同級生の松島良隆(高杉真宙)を苛めているらしい。

芝田麻美(美山加恋)は携帯電話を隠し持つのであった。

みどり「どうしよう・・・カード なくしちゃった」

杏子「え~っ」

みどり「なんとかして・・・お願い」

杏子「・・・ふう」

芝田昌子(生田智子)「麻美ちゃん、頑張るのよ。ママ、ずっと祈ってるからね」

99:名無しの権兵衛

一高の長い一日はじまった

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2012年10月16日 (火)

TOKYOエアポート〜東京空港管制保安部〜・・・ダウンバースト(下降噴流)め~(深田恭子)

ダウンバーストは気象現象である。

低気圧の中では上昇気流によって積乱雲が発生する。

②積乱雲の中では下降気流とメソハイと呼ばれる小高気圧が発生する。

③急激な降雨によって下降気流の圧力が高まりメソハイが地上に落下。

④メソハイが地上に到達すると爆発し周辺に強風を発生させ、中心部は瞬間的な下降噴流となる。

これによって上から下に押さえつけるような力が発生し、離陸・着陸間際の飛行機を地上にたたきつける。

大惨事である。

しかし、現在では気象用ドップラーレーダーの導入によってダウンバースト(下降噴流)発生の予測がそれなりに可能になっているので御乗客の皆さまはそれなりにご安心くださいますようにお願い申し上げます。

で、『TOKYOエアポート〜東京空港管制保安部〜・第1回』(フジテレビ20121014PM9~)脚本・宇田学、演出・西坂瑞城を見た。フジテレビNEXTの『TOKYO コントロール』の続編である。なぜ、お下がり放送しないのか。さらに言えば・・・映画『ハッピーフライト』のコントロールタワーやレーダー室の管制官たちの活躍も思い出しておく必要があるだろう。実は・・・ある種の人々は・・・ちょっと面白くないと感じるかもしれない。なぜなら・・・基本的に密室劇なのである。もちろん・・・一部には・・・乗客とか、飛行機の滑空の描写なども織り交ぜるが・・・このドラマでは東京羽田空港で2010年に運用を開始した世界で3番目・国内最高の高さとなる116mの新管制塔内の管制官たちの動向でほぼドラマが進行していく。

そのため・・・初回から・・・「バードストライク」「ニアミス」「ダウンバースト」と大惨事直前事態続出なのであるが・・・相当に脳内補完しないと手に汗握れません。

さて、大河ドラマで平時子を演じている深田恭子がグランドスタッフあがりの新人・航空管制官の篠田香織を演じるわけだが・・・今季でいよいよ三十路になる深キョン・・・なんて息の長いアイドル女優なんだろう。やはり、水泳やってたからか。

しかし、グランドスタッフといっても接客業で・・・空港職員といっても航空会社の下請け業者の管理するいわゆるグランドホステスである。航空管制官採用試験を突破し国家公務員である国土交通技官となり航空保安大学校で研修を積み現場での訓練を受けて技能証明を取得した航空管制官に転職するのは・・・ハードル高すぎるような気がする。

っていうか・・・そんな人が航空管制していると知ったら飛行機に乗れなくなっちゃう人続出である。

名人劇場のスポンサーだから・・・いいのか。

しかし・・・さすがは深キョン・・・やればできる女感バリバリである。

まあ・・・今にもパニくる感もヒシヒシでございますけどね。

バードストライク

明日からの研修を控え、タワー(管制塔)に見学にやってきた香織。

現場の主幹管制官の結城(時任三郎)は航空保安大学時代の講師と学生の関係である。どうやら贔屓されていたらしい。

その空気を「自分以外のメスは全員抹殺対象」オーラを発生させている主任管制官・竹内(瀬戸朝香)は敏感に感じ取る・・・かのように見えてしまうまですが・・・竹内はツンデレ教官のポジションである。ちゃんとそのように演じているまだが・・・これまでの積み重ねがそうは見せないところがベテラン女優の辛さなのである。まあ、キッドは『王道バラエティ つかみはOK!』(1993年TBSテレビ)でコント「西ブー記」の三蔵法師役で困り果てていた十代の頃を知っているのでそれほどでもありません。

もう一人の主任管制官・近藤(要潤)は竹内より年下であるが明らかに時代を超越した男尊女卑主義者で竹内には常に喧嘩腰である。

この辺りの葛藤が描かれているのだが・・・お茶の間に伝わったかどうかはかなり怪しい。

とにかく、グランドホステスあがりの香織に対して竹内主任は厳しい眼差しで対応するのだった。

≪JA235がバードストライク≫

≪滑走路チェックのために34Rはクローズ≫

≪トウキョウ・アプローチ。JA235。現在、右エンジン停止。飛行に問題なし。ランウェイ34Lに着陸許可を求む≫

≪JA235、34Lへの進入を許可します。周波数ポジションそのままでトウキョウ・タワーにコンタクトせよ≫

≪JA235、滑走路クリア≫

「・・・」

離陸時にエンジンに鳥を吸い込んだJA235は緊急着陸に成功した。

思わず「ナイス・ランディング!」と口走る香織だった。

「廊下は走らない!」ととげとげしく注意する竹内。香織の指導官は竹内に決まる。

基本的に航空管制はチーム・プレイであるというのが竹内の指導方針である。

それに対して近藤主任は「個々の能力がすべて、そして俺が一番」という独善気質タイプのポジションなのである。劇的には竹内が善、近藤が悪なのだが・・・二人とも悪に見えるのが一部愛好家の一同爆笑ポイントです。

基本的に航空管制は・・・空港周辺は空港管制塔(タワー)、航空経路は周辺管制室(コントロール)が行う。飛行場内滑走路外の誘導はさらにグランド・コントロールの管制官が担当するというように分業体制である。ちなみに東京コントロールは埼玉県所沢にある。

東京羽田空港を飛び立った飛行機に対しては羽田のタワーから所沢のコントロールに航空管制のリレーが行われる。バトンミスにも注意が必要なのである。

つまり、チーム・プレーなのだ。

ニアミス

一刻も早く、現場に出て飛行機を航空管制したい香織だったが・・・竹内教官はシミュレーション室に香織を監禁・拘束するのだった。

他者に対するサービス精神が払拭できない香織に竹内教官は管制官根性をたたき込むのである。

「34Lから34Rになぜ滑走路を変更したの」

「ターネナルが近いので時間とコストが削減できます」

「管制官はコスト削減を考慮する仕事ではない。安全第一である」

「・・・」

「ちまちま節約して大事故発生したらハイリスクローリターンなのよ」

「一生懸命節約してホストに貢ぐみたいなことですか」

「そんなセリフはないわよっ」

特訓、特訓、また特訓の果てにいよいよ現場投入である。

とにかく、竹内のやることにはいちいち反発する近藤がタワー内で口論開始。

サービス業癖が出て・・・トラブルに気をとられる香織。

そこへ指示に従わない新人パイロットが進入入許可の出ていない滑走路に進入するというミスを犯す。

≪JP336、Cに着陸を許可する≫

「おい、C滑走路、ふさがっているぞ」

≪IA423、停止せよ≫

(IA423め~、待機指令を無視したな)

「なんで視認でチェックしないんだ」

(しまった~、私のミスになるのか~)

≪JP336、ただちにゴーアラウンドせよ≫

滑走路をふさぐIA423、着陸体制のJP336。

(だめ~、衝突爆発炎上だめ~)

JP336のバイロットは腕がよかった。衝突回避の着陸やりなおしである。

(ニアミスですんだ~)

香織に集中する視線。身の置き所がない香織。鬼の首をとったように竹内に圧力を加える近藤である。

「・・・ちょっと休んでこい」

(は~い)

休憩室では年下の先輩管制官・酒井(佐々木希)と山下(瀬戸康史)が慰める。

「日曜日には戦車を洗車しよう・・・なんちやって」

(アニメ「ガールズ&パンツァー」見てたのかよ)

「廃駅めぐりなんかも楽しいよね」

(管制官なんだから鉄オタじゃなくて航空マニアにしとけよ)

空港では昔のホステス仲間の桐島(佐藤江梨子)が励ます。

「がんばれ、ドロンジョ様」

「ありがとう、キューティー・ハニー」

運航管理官(ディスパッチャー)の工藤(上原美佐)や、東京コントロールの管制官・中島(野波麻帆)も同世代としてエールを贈る。

「やはり、飛行機で一番大切なのは風ね。特に大気中における風勾配の大きな領域、つまりウインド・シア(乱気流の一種)のケアが必要ね・・・ダウンバーストにも注意よ」

「飛行機を墜落させたら逮捕しちゃうぞ~」

「よろしくてよ」

ダウンバースト

自主謹慎中の香織はシミュレーション室にこもる。そんな香織を優しく見守る竹内だったが・・・どうしても弱った恋仇にとどめを刺しにきた悪女のように見えますのでご注意ください。

「戻りなさい・・・無駄口はたたかないで」

「・・・」

復帰するといきなり悪天候襲来である。

「まさか・・・そいつにやらせるのか・・・エマージェンシー(緊急体制)なんだぞ」

「管制はみんなでするのよ」

「なんだと」

「ミスは必ずある・・・それをフォローするのがチームというものでしょ」

「ミスをしない完璧さを求められる職場じゃないのかよっ」

≪JA332、機内に急病人発生、緊急着陸を求む≫

≪PP562、右エンジントラブル発生、緊急着陸を求む≫

「JA332、急病人搬送のためにスポット114へ」

「人命優先を有線通信で了解・・・なんちゃって」

≪JA332、着陸を許可します≫

「JA332、降りたぞ」

(よ~し、もう一機だ~)

「一気にもう一機・・・なんちゃって」

「どうした・・・なぜ・・・下ろさない」

(くる・・・ダウンバーストがくる)

「ダウンバースト発生」

「まずいぞ・・・」

「ダウンバーストは一過性です・・・旋回させて34Lに下ろします」

「そんな・・・」

≪PP362、ランウェイ・チェンジ。滑走路は34L≫

≪タワー、了解≫

「風が・・・おさまった」

(やった~)

PP362のパイロットも腕がよかった。

「ナイス・ランディング」

「浮かれるな、上空には旋回中の機体が多数いるんだぞ」

「機体がタワーの指示に期待・・・なんちゃって」

まあ・・・とにかく・・・乗客の知らないところで毎日毎日・・・恐ろしいことが起きているということですな。

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2012年10月15日 (月)

重ねたくちびるがつめたくなってせつなさなんか教えてくれるの(成海璃子)

建春門院滋子(成海璃子)退場である。

実に雅な姫であったことだなあ。

その名の示す通り、平安京の終焉に一瞬の「春」を建てた治天の君の妃・・・建春門院なのである。

それは王家(皇室)と平家(伊勢平氏)の憩う春であり、後白河院と平清盛の糾う春だった。

父・平氏、母・藤原氏の公家の一員とはいえ、清盛の祖父・正盛の娘・政子に育てられ、まさに平家の秘蔵の姫であり、聖徳太子の再来と謳われた才媛・上西門院に磨かれた王家の玉。

それが平滋子という国母だったのりである。

仁安3年(1168年)に皇太后となり・・・言わば国の頂点にたってから8年。

その「死」はあまりにも早すぎたと言えるだろう。

圧巻の平安絵巻であるこの物語で20才の成海璃子は見事な花を咲かせたと言える。

そして・・・春は去ったのだった。

まあ、長いシンデレラ・ハネムーンだったのだな。

激しく火花を散らした清盛と後白河院の束の間の休息の時は終り・・・絆を失った二人は燃えるような夏に身を焦がしていくことになるのだった。

さて・・・この「枠」は来週から・・・物語に先んじて「都落ち」の予定である。

おそらく「平清盛」の記事は(水)レビュー枠になる予定ですのでご了承くださりませ。

で、『平清盛・第40回』(NHK総合20121014PM8~)脚本・藤本有紀、演出・中島由貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は待望の後白河法皇出家ヴァージョン描き下ろしイラスト大公開でございます。武の清盛、文の後白河院・・・この両輪があってこその平安末期なのですな。時には対立し、時には抱擁して・・・腐敗しきった社会を変革した両雄。そして両雄は並び立たない・・・これは鉄則ですな。そして平和ボケした人々はすぐそこまで迫っている破局の序曲を聞く耳を持たない・・・これも定番でございます。あの大震災が何の薬にもならない為政者なんて・・・滅びるべくして滅びるのですな~。

Tairakiyomori38 蜜月はあっという間に過ぎ去るので時の流れは加速する。承安四年(1174年)に平清盛が大輪田泊に経ヶ島を築き、対宋貿易は軌道に乗る。宋銭の大量流通が始り、否が応でも経済活動は活性化するのだった。その年の三月、後白河院は滋子を伴い、厳島に御幸する。法皇が海路を渡り御幸することは破天荒なことだった。この一事を見ても後白河院の型破りな性格、滋子への執着、そして平家一門への信頼が窺がわれる。この御幸には従二位平権中納言宗盛、正四位下平左近衛権中将知盛、正四位下平左馬頭重衡らが供奉している。これにより、厳島神社の格式は高まったのである。承安五年(1175年)七月に安元に改元されると法然上人は比叡山延暦寺を降り知恩院にて念仏を説く。浄土宗の始りである。明けて安元二年(1176年)に後白河法皇は齢五十を数え、盛大な式典を開催する。平家一門は莫大な財をこの祝宴に投じたことは言うまでもない。まさに後白河院の春。平家の春だったのである。その後、有馬温泉に御幸した後白河法皇と滋子だった・・・。だが直後に・・・滋子は突然の病に伏し・・・一月ほどの闘病の後に享年35で世を去るのである。建春門院滋子の死は暑い夏の始りを予感させた。

賀茂川を下り、摂津国へと向かう御座舟が揺れる。

夕立であった。

都を一歩出れば言い知れぬ荒廃が村々に広がっている。

流行病によって離散した村落がそこにあった。

御幸とは言え後白河法皇の一行は軽装である。

西光は不吉な予感におびえていた。

嵐に遭遇し、御座船が沈む・・・その思いは夕暮れの朱色を消して広がる暗雲を見て急速に高まった。

「舟を停め・・・近隣で難を避けてはどうか」

問われたのは護衛を担当する平知盛であった。清盛の四男であり、齢二十四ながら平家一の武勇を謳われている。知盛は家人として控えている若武者に目配せをした。

男装をしているがくのいちの朱雀姫である。

朱雀姫は舟の奥屋に控える女官に伺いをたてさせる。

舟輿の御簾を開け、建春門院滋子が姿を見せた。

「嵐が近い・・・西光の申す通りにせよ・・・」

鶴の一声である。舟は河岸に身を寄せる。

控えの舟から舟武者が水面に降りて渡しの板を張る。

「陛下・・・お急ぎなされよ・・・」

滋子に急かされ法皇は下船する。

平家武者、平家忍びが二重の警護体制をとり、法皇と皇太后の乗る輿を守護する。

朱雀は知盛に囁く。二人は従兄妹の間柄である。

「この先にあるのは廃村なれど・・・古い御堂がありますればそこで雨風をしのげましょう」

「うむ」

一行は知盛の指図で道なき道を進む。

廃寺の傾きかかったお堂が視界に入ったと同時に風雨が激しく襲いかかった。

御座をしつらえる間もなく貴人を御堂に入れた時には雷鳴が轟いていた。

「これは・・・恐ろしげな」

西光は濡れた身体を震わせた。

その時、周囲を警戒する武者が悲鳴を上げた。

「鬼じゃ」

「鬼が出た・・・」

「あれは・・・」

風雨を突いて出現した鬼神の姿を見て西光は叫んだ。

「鎮西八郎!」

凄まじい殺気を放つその姿は保元の乱で敗れ、伊豆に流罪になった後、数年前に討ち果たされたと噂される源鎮西八郎為朝であった。

しかし、押し迫る闇の中でその目は赤く光る。

「この匂い・・・平家の腐れ武者であろう・・・うらめしや」

陰鬱な声が豪雨の中に響き渡る。

「もののけじゃ・・・」

平安京で亡霊武者と戦った朱雀は・・・それが何者かの呪力で蘇ったこの世ならぬものであると悟る。

知盛の配下は矢を放つが鬼武者には通用しない。

邪悪な霊気を放ち、鎮西八郎鬼は平家の武者をなぎ倒す。

一撃で絶命する若武者たち。

「これは・・・」

朱雀姫は依然戦った亡霊武者とは比べものにならぬ破壊力に絶句した。

「皆のもの・・・さがれ・・・」

その時、お堂から凛とした声が響き渡る。

「建春門院様・・・なりませぬ」

「さがるのじゃ・・・汝らの敵する相手ではないわ・・・」

十二単を脱ぎ捨て白衣一枚となった滋子が法具を持って姿を現した。

「ほっほっほ・・・これは見目麗しき女子じゃの・・・」

巨大な鬼神の声なき声が雷鳴轟く中にもはっきりと聞こえる。

朱雀の眼にはその姿から巨大な竜が立ち上るのが映る。

白竜である。

一方、滋子の体からも竜が生じていた。

「主驚恐怖畏、火神凶将陰」

滋子の唱える陰陽呪文とともに朱色の竜は真っ赤な炎を吐いて翼を広げた。

「こしゃくな・・・」

鬼神の赤い目に驚愕と微笑が浮かぶ。

白竜と赤竜はもつれあった。

神霊の戦いである。霊視のきくものだけが見える戦だった。

赤竜の燃える炎はやがて白竜を圧倒し、その炎は鬼神にも降り注ぐ。

「おのれ・・・我が恨み・・・果たせもせず奈落へと戻ることできぬ・・・汝も道連れじゃ」

「滋子様・・・」

思わず朱雀は叔母の名を叫んだ。

大地に暗黒の穴が開き・・・すべてが飲みこまれていく。

白竜に引きずられ赤竜も闇に沈みこむ。

すべてが終わった後で・・・雨は小降りになっていた。

朱雀は走る。お堂の前では白衣の滋子が倒れ伏していた。

「建春門院様」

「しげこ・・・」

お堂の中から法皇が姿をみせた。

倒れた愛妃を抱き起す。

しかし・・・滋子の命はすでに散っていた。

法皇は冷えていく温もりをたぐりよせようと滋子を抱きしめる。

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2012年10月14日 (日)

悪夢ちゃん・・・悪魔くんではありません的幻想の夢判断はもげっ(北川景子)

「高校入試」と「悪夢ちゃん」の真っ向勝負である。

なんという・・・究極の選択を迫る残虐非道な各局編成である。

そして・・・「悪夢ちゃん」を選択するキッドだった。

人生は虚しいな・・・お前、悪魔だろっ。

さて・・・「夢判断」とはオーストリアのジークムント・フロイトによる夢に関する精神分析学の研究書である。発表されたのは1900年なので・・・今から112年前の話である。

つまり、昔、昔の話なのである。

その中でフロイトは夢の機能をいくつか考察しているが・・・特に「欲望の充足としての夢」について次のような解釈を展開している。

夢における意識と無意識の葛藤である。ここで意識とは理性的な心的存在を示し、無意識とはそれ以外のすべての心的存在を示している。

「欲望」は理性的なものではないので「無意識的な心」に属するわけである。

夢の中で人は「性欲」や「支配欲」あるいは「死への渇望(現実逃避)」などといった邪な欲望を解放しようとする。しかし、意識は絶えず無意識を監視しており、そういう欲望の解放を妨げるために検閲を行っているのである。

そのために無意識は理性に対し欺瞞的な防衛を試みる。

それが・・・「歪曲」や「寓意」による欲望の装飾化・・・つまり、象徴化である。

たとえば・・・本当は「女を抱きたい」のだが・・・夢の中では「楽器を弾く」というようなことだ。

こうした理論はあくまで・・・人間の精神構造を解明するためのアプローチなのだが・・・一般人にはそういうことよりも・・・「夢」を「神託」としてとらえ、何か有益な情報を得たいと考えたりするわけである。

「夢」を「神のお告げ」であると考える人々はフロイトの前にも後にも続いていく。

そして・・・フロイトが懸命に理論化しようとした「夢」よりも・・・町の占い師の夢判断の方が多くの人に好まれたりするのが・・・この世界というものなのである。

やがて・・・フロイトの反逆的な弟子であるスイスのカール・グスタフ・ユングは精神分析学を発展させ、分析心理学を構築する。

その中で無意識に集合的無意識という概念が導入される。無意識の中には各個人ではなく、家族、あるいは民族といった集団に共通の部分があるというわけである。

それは情報の共有という面では至極当然の話であるが・・・そこから怪しい人々は各人の無意識が接続されているという幻想を展開していくのである。

つまり、「夢通信」の夢想である。ここまでくるとかなり時空を超越してくるので・・・「過去」や「未来」が夢によって認知されるという妄想にたちまちたどり着く。

「予知無」なんていうのは・・・そういう怪しさを内包していることを夢々疑うことなかれ・・・。

まあ・・・フロイトやユングよりも遥かな昔から夢占い師たちはあることないこと占ってきたわけですが。

で、『・第1回』(日本テレビ20121013PM9~)原案・恩田陸、脚本・大森寿美男、演出・佐久間紀佳を見た。帝都工科大学夢研究所のマッド・サイエンティスト・古藤万之介(小日向文世)は孫娘の古藤結衣子(木村真那月)を用いて驚愕の人体実験を繰り返していた。すでに実用化しているらしい脳内記憶のAV化装置を使い、結衣子の脳内から記憶を抽出しているのだった。明らかに児童虐待だがこの世界では不問にふされるらしい。

その虐待を肯定化するのが・・・結衣子の特殊能力である「未来の出来事を夢見る力」を解明することなのである。

そんな理由で夢を覗かれてたまるか・・・とちょっと気のきいた小学生なら人権を主張するところだが・・・母親が死亡し、父親が消息不明の結衣子は保護者である祖父の意向に従うしかないのであった。

万之介は結衣子の夢を「夢札」と呼ばれるメディアに記録しコレクションしているわけだが・・・人間として良心の呵責を感じることがあった。

せっかく、結衣子が悪しき未来を予知しても、口下手なためにより良き未来に改変することができない・・・ということである。

つまり・・・3月11日に巨大津波が発生することを予知していたのに誰も救えなかったということなのである。

まあ、分からない話ではないが・・・小学生女児の夢を勝手に覗いていることの方が問題だとキッドは考えます。おいっ・・・。

・・・まあ、それを言ったら始らないし、悪魔的にはどちらもたいした問題ではないので話を進めます。

そんな・・・古藤家のジレンマに救世主として福音をもたらすものが出現する。

結衣子の夢世界に登場した明恵小学校5年2組の担任教師・武戸井彩未(北川景子)がその人なのである。

武井咲と上戸彩と剛力彩芽と三輪麻未を合成したような・・・星屑なのになぜ神槍そろえなんだよ・・・ネーミングだがまあ・・・いいか。

意味不明にも見える言動は慎みたまえ。

武戸井彩未は遺棄児童の過去を持ち、施設育ちである。とても構外できないような陰湿な虐待の過去を持つのであろう。その性格はねじくれ曲がっているのであるが・・・一周して元の位置のような正義の女神の心を内在しているらしい。

しかし、本人は全くそういう意識はなく、笑顔をふりまきながら心の中では不平不満が渦巻く凶悪な人間だと自覚しているのである。

もちろん、それは彼女の表層意識がそうであるに過ぎない。

どんな凌辱にも穢れなかった性なる魂・・・いや聖なる魂が彩未には宿っているのだった。

直近の結衣子の予知無では「表札にカプトムシがとまった老夫婦の家が炎上する」のである。

これ以上・・・結衣子に「悲劇をとめられなかった悲哀」を味わせまいと決意した祖父・万之介は娘を明恵小学校に転校させるのだった。

悪夢ちゃんと聖教師・彩未の運命の出会いだった。

おりしも・・・明恵小学校・裏サイトでは・・・彩未の正体を暴露する書き込みがなされていた。

曰く「彩未は笑顔の仮面をかぶっている。しかし・・・その笑顔はすべていつわりで・・・実は心のない女である。彼女はサイコパス(精神病質の反社会的人格者)なのだ」

この告発に対し、周囲の教師は「なんてひどい・・・先生がそんな人ではないのは・・・教職員一同が知っています」と擁護するのだが・・・本人は「ズバリ当たっている」と認識するのだった。

一方、愛読書が「あなたの隣にモンスターがいる」の凶悪な養護教諭(保健室の先生)である平島琴葉(優香)だけは「ひっひっひ、そうじゃないかと思ってた」と告発に対して激しい共感を抱くのであった。

曰く「美人で性格がいいなんて・・・あってはならぬこと」なのである。

まあ・・・脚本家は「風林火山」の人なので基本的にゾクゾクするわけである。

ついでに・・・彩未の夢の中には夢王子(GACKT)が登場する。古の上杉謙信である。

彩未は過酷な現実から逃避するために夢の中に夢の世界を構築していたのである。

そこで彩未は夢王子とともに永遠の幸福に酔い、スイーツ・ハウスを食し、ペガサスに乗って虹の彼方に旅立つのである。

捜しものはなんですか

見つけにくいものですか

また夢獣(声はファンが聞けば誰だか分かるももいろクローバーZのメンバー・・・番組宣伝番組を視聴した人にもわかります)と書いて「ゆめのけ」は「君は凄い力を持っている・・・あらゆる夢がかなう究極の力の持ち主なんだ・・・君ならきっと世界を救うことができる」と魔法少女を誘惑するノリである。

幸せが棲むという虹色の湖

幸せに逢いたくて旅に出た私たち

そんな・・・腹黒い登場人物の一人、5年2組の女子児童・・・相沢美羽(木村葉月)が「先生、生きるために必要なのは嘘ですか・・・真実ですか・・・」などと言って彩未に迫るために・・・すっかり、告発を書き込んだのはこの子だと推定する彩未なのであった。

一方、悪夢ちゃんは・・・「老夫婦を助けて」と彩未に懇願するが・・・彩未は「予知無」を信じない。なにしろ・・・彩未は人間というものを信じていないのである。

結果として・・・老夫婦は焼死・・・。

介護に疲れた老いた夫が認知症の妻に火を放ち無理心中したのである。

美少女ブラックジャック・・・ではなかった先天的白メッシュの悪夢ちゃんは絶望するのだった。

いきなり、転校生に不登校されて窮地に立つ彩未である。

仕方なく・・・古藤家を訪問するのだった。

すると・・・そこには夢王子とそっくりな古藤教授の助手・志岐貴がいたのである。

夢の中へ

夢の中へ

行ってみたいと思いませんか

うふふ

しかし、現実の夢王子は古藤教授の研究に対して邪悪な欲望を抱いている模様である。

そして、ついに・・・古藤教授と孫娘の暗黒の夢が彩未を冒涜し始めるのであった。

「夢は内から来るのではない・・・外から来るのだ」

「先生・・・私の夢札を見てください・・・」

白日夢を見る悪夢ちゃんはレム睡眠時の眼球運動の如く、不気味に眼を揺らしながら彩未を見つめるのだった。

夢の教室では・・・霊的時空の歪みにより・・・近未来の出来事が混入する。

宇宙情報と結合した無意識界には過去も未来も現在もすべて同時存在するからである。

もちろん、現実世界でそれを認識するのは困難だが夢の世界では不可能は可能なのである。

悪夢ちゃんは他者の無意識と全無意識をリンクさせ、自分の無意識に反映できるスペック所有者なのである。

悪夢ちゃんは同級生の美羽の無意識と夢王女・彩未の無意識を融合しつつ、これから起きるであろう出来事を再構築する。

美羽こそが告発者だと誤解した彩未は美羽を殺害し・・・そして赤い鰐の餌食となってしまうのである。

「そんな・・・馬鹿な・・・」

「夢はあくまで現実の解釈なのです。そこには隠蔽された事実が潜んでいます」

「つまり・・・神の領域に手をつっこんでわけのわからないものをつかみだしたのね」

「そうです・・・たとえば単純な例では甲という名字がカブトムシに変形されたりします」

「つまり、スーパーコンピューターの復元処理で修正されたヴァーチャル未来ってことね」

「凄いな・・・あなたの理解力は・・・まるで神のようだ」

「この世界が私の夢でないと断言できないのと同じことよ」

彩未は直観力を総動員して予知無の解釈を試みるが・・・結局、わけがわからないのだった。

そのあげく、美羽と直接対峙した彩未は家族問題で悩む美羽の心を読み間違えてしまう。

告発者の濡れ衣を着せられ傷心した美羽の母親(相田翔子)は彩未の責任を追及し始める。

「悪夢だわ・・・」と切羽詰った彩未は彩未を憎悪するあまりに崇拝するようになった保健室の琴葉先生を使い魔として悪夢ちゃんとともに美羽の元へと向かわせる。

おりしも悪夢ちゃんはヒッポグリフが火の矢で墜落する夢を見るのだった。

やがて・・・美羽の母親が美羽を置き去りにして不倫旅行に旅立つことを美羽が知ってしまったことが判明する。

ヒッポグリフは馬とグリフォンのキメラ(合体獣)である。

グリフォンは鷲とライオンのキメラである。

グリフォンは七つの大罪の傲慢を示し、美羽にとって母親の象徴である。

美羽にとってヒッポグリフは母親と愛人が合体した姿なのである。

グリフォンの好物は馬であり、食用馬と捕食者が婚姻して混血獣が生まれることは「ありえないこと」と推定され、ヒッポグリフは「存在の否定」そのものなのであった。

「二人の乗った旅客機が墜落するんだわ」

ついに・・・夢王女の解釈者としての能力が開花したのである。

空港に駆け付けた夢王女は母親をコンパスで刺そうとした美羽に刺されてしまうが・・・冷え症のため腹巻きをしていたので無事だった。

そして、ものすごい剣幕で旅客機の再点検を命じたのである。

「ものすごく感のいい教師、旅客機事故を食い止める・・・単なる被害妄想のお手柄」

読売新聞なら記事にするかどうか・・・今はとにかくナイーブなので・・・躊躇するだろう。親会社の不幸を子会社予知ドラマである。

簡単に説明しよう。

無意識の世界の正しい情報→

空港で美羽が彩未をコンパスで刺す

意識界への情報の転送→

ノイズ・・・ノイズ・・・ノイズ

悪夢ちゃんの夢の情報→

教室で彩未が美羽をガラスの破片で刺す

このように変換ミスが発生するのが悪夢ちゃんの予知夢の限界なのだ。

もう・・・勢いで持っていっちゃってるから説明なくても分かる人には分かります。

そして、その後・・・彩未は現実の夢王子に拉致され夢を盗まれそうになるのであった。

とにかく・・・物凄いドラマ始っちゃいました。

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2012年10月13日 (土)

大奥 〜誕生〜有功・家光篇・・・おまんは(堺雅人)は種だねっ(多部未華子)

だじゃれかよっ・・・始末せよっ・・・ギャーッ。

・・・まあ、「いきなり始末されました~(原田夏希)俺も俺も(駿河太郎)」でもよかったのだが・・・。

容赦ないな。

作品は由緒正しい歴史改変SF時代劇である。

つまり、なんでもありということだ。

先だって、映画版があるわけだが・・・その作品世界の原点がこちらのドラマ版で・・・男女も逆転しているが・・・時系列の順序も逆転しているのだった。

映画版が八代将軍吉宗(女)の時代だったのに対し、ドラマ版は三代将軍家光(女)の時代まで遡上する。

映画版ではすでに・・・女性多数派社会の江戸時代がかなり進行していて・・・つまり歴史改変が進んでいるのである。それに対してドラマ版は正史からの分岐点が描かれていく。

江戸幕府三代将軍家光は正史では慶安四年(1651年)まで生きるがこの世界では寛永年間に死亡してしまったと思われる。

しかし、その死は秘され・・・将軍の唯一の子である少女が家光となっているのだ。

特殊な感染症によって男子人口が激減した江戸時代の開幕なのである。

で、『大奥 ~誕生~[有功・家光篇]・第1回』(TBSテレビ20121012PM10~)原作・よしながふみ、脚本・神山由美子、演出・金子文紀を見た。春日局(麻生祐未)は明智光秀の重臣・斎藤利三の娘である。紆余曲折あって、徳川家康に請われ、三代将軍家光の乳母となったのだ。家光が将軍となると従二位の位階にまで登りつめる。正史では寛永六年(1629年)に家光は疱瘡に感染するが治癒に至っている。しかし、この世界では男子の死亡率が80%という奇病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」が蔓延し、家光も死に至ってしまうのだった。

関ヶ原の合戦(1600年)から40年・・・徳川幕府が安定期に向かおうとしていた寛永十六年(1639年)に京都の貴族・藤原北家勧修寺流の万里小路家に生を受けた万里小路有功(堺雅人)は出家したが・・・その美貌は江戸幕府にも鳴り響いていた。春日局はその噂を聞き、有功の人となりを観察すると・・・策略を用いて有功を江戸に招くのだった。

世間知らずの有功は弟子の明慧(駿河太郎)や玉栄(田中聖)とともに江戸に出府する。

しかし、丁重なもてなしを受けた有功は江戸城下の屋敷に軟禁されてしまうのである。

「征夷大将軍家光公は男色家とききおよぶ・・・もしや若様の陰門を御所望なのではあるまいか・・・」と推察する明慧に有功は背筋が凍るのであった。

一度は脱出した有功だったが、監視していた剣術指南役・澤村伝右衛門(内藤剛志)に連れ戻されてしまう。

やがて、春日局が現れ、「還俗せよ・・・」と迫るのだった。

これを拒絶する有功だったが戦国を生きた春日局は容赦ない脅迫で追い込みにかかるのだった。

「還俗しなければこの通りじゃ」・・・澤村の一太刀で弟子の明慧は惨殺される。

観念した有功は春日局の用意した吉原の遊女・小菊(原田夏希)と褥を共にするのだった。

春日局は小菊も口封じのために始末させるが・・・何ほどもないのだった。秘事封印のために大奥三千人の女を悉く殺した女将なのだった。

物凄い殺伐感が漂っています。昨今の戦国ものの大河ドラマより残虐非道と言えるでしょう。素晴らしいテイストでございます。

翌年・・・小姓となった玉栄とともに大奥にあがる有功。

しかし・・・そこで待っていたのは哀しい目をした少女の家光(多部未華子)だったのである。

驚愕する有功に家光は「おまんと名乗るがよい」と告げる。

返事をためらう有功に激しく折檻を加える家光。

「おまんと呼んだらはいと返事をせよ・・・」

呆然とする有功を残し、家光は癇癪をおこしたまま立ち去るのであった。

すべての事情を打ち明けるのは頭巾をかぶり、家光の影武者を勤める春日局の実子・稲葉正勝(平山浩行)だった。

「家光様はすでに逝去なされ・・・今はご落胤のあの方だけが徳川家の正当な血筋を引いておられるのです」

「なんと・・・」

「この秘密を知るものは・・・もはや・・・大奥から一歩たりとも出られませんぞ・・・」

正史では寛永年間に家光の愛妾となったお万の方(永光院1624-1711)がいる。

こちらの世界では・・・有功がお万となり・・・少女・家光の寵愛を受けることになるらしい。

その使命は・・・家光への種付けだった。

「あなた様は種なのです」

「俺は・・・種なのか」

一部愛好家爆笑の逆襲の江戸時代始りました。

はたして・・・有功と壊れかかった少女の愛の行方はいかなるものになるのでしょうか。

ちなみに今季、三本かけもちの南沢奈央はここでは稲葉正勝の妻・雪役。高校教師、ペットのインストラクターに続いて人妻である。なんでもできるな。

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浪花少年探偵団

リーガル・ハイ

Oooku001 ごっこガーデン。大奥・紫の間セット。まこきょわ~いのでしゅ。春日局もこわいけど・・・多部ちゃんも((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルなのでしゅ~。イケメン男子をそろえてむふふなことばかりするのかと思ってたら想定外だったのでしゅ~。こうなったらエリ姉ちゃんから秘密の七つ道具を借りてビシバシのお勉強をしなければならないのでしゅ~。まこは大人の階段昇りましゅ~くうおのれの無力感にさいなまれる堺様の苦悩に萌え~なのよお。家光に打たれて耐えるお顔にうっとりなのねえ。そして・・・哀しい宿命を背負った少女をこれから癒して癒して癒しまくるのでございまする・・・でも種馬として成功するのは・・・ひ・み・つ」イラストレーション・ikasama4画伯

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2012年10月12日 (金)

結婚しない・・・ガーベラの花言葉は「一歩」と言えないこともない女(菅野美穂)

まあ、一種のオリジナル花言葉ですな。

赤いガーベラには「いつも前へ進め」とか「戦いに挑め」と言った花言葉があるので・・・「一歩」と言えないことはないわけである。

つまり「踏み出せ」と言うことですね。

キッドの脳内花言葉審議委員会では審議のランプ点灯中ですが・・・いま、「確定」しました。

ガーベラの花言葉のようなものが「一歩」で認定です。微妙な裁定ですねえ。

まあ・・・新人のやることなんで大目に見るという姿勢ですかね。

それにしても・・・秋ドラマは早くもふたつめの「花言葉」引用である。

ストレートだよね・・・うん、直球だよねえ。

ちなみに赤いガーベラの花言葉は一般的には「神秘的な愛の情熱」でございます。

白いガーベラには「いつまでもあなたに愛されることを待っています」の意味があり・・・転じて「律義」とか「希望」の花言葉が一般化しております。

まあ・・・熟成しつつあるスイーツの話だからな。

ついでにガーベラは花びらを槍にたとえられる。花びらの多いものは「千本槍」などと呼ばれる。

このイメージから「神の秘密を守護するもの」あるいは「神域守護者のおごそかな美しさ」を示すのである。

で、黄色のガーベラは「究極の美しさ」ということになる。ピンとこない人もいるかもしれないが。ガーベラはキクの一種である。黄色い菊は・・・ね。

で、『結婚しない・第1回』(フジテレビ20121011PM10~)脚本・山崎宇子・坂口理子、演出・石井祐介を見た。なんとなく・・・一昔前のNHKのドラマみたいな出だしだが、坂口理子はNHK出身である。『おシャシャのシャン!』(2008年)の脚本家であり、このドラマは原田芳雄の遺作映画『大鹿村騒動記』(2011年)の着想の元になっている。そのうち、キャストが見得を切りだすのではないかと心配だ。

で・・・ドラマは非常にオーソドックスな・・・結婚適齢期を過ぎたり、物凄く過ぎたりしている女たちの物語である。花言葉がなければ「普通のことができない女」(菅野美穂)で決まるところだったな。

菅野美穂(35)、天海祐希(45)なのでほぼ実年齢で「結婚できなかった女」を演じている。

未婚率がどんどん高まっていくわけだが・・・要するに人生計画の多様化の結果でもあり、また自分よりも他人に多くを求める社会的傾向によるマッチング不能の結果でもあるのは間違いない。

よりよい相手を求めるうちに余るのである。

そして・・・あまりもの同志では妥協できないのだった。

で、例によって天海祐希はまだしも菅野美穂は余らないだろうと思うのだが、そこは妄想で補完するしかないのだった。・・・おいっ。

っていうか・・・実際、余ってるからな。

神秘だよねえ。いいじゃないか・・・希望があって。

桐嶋春子(天海祐希)は造園会社のNatural Gardenerに勤める造園プランナーである。44才にして未婚なのは・・・上司のデザイン部部長・樋口(石橋凌)と永年不倫していたからであった。樋口家の結婚記念日はいつもフリーだったのである。

「仕事が最高のパートナー」と胸を張る春子だったが・・・会社が「ファミリー志向」に転じたために「独身」であるという理由で下部組織のフラワーショップMaison FLORALに出向を命じられるのである。

「ど、独身の何が悪いのよ」と涙目なのである。

一方、旅行代理店H.I.Sの契約社員である田中千春(菅野美穂)はもうすぐ35才の誕生日を迎える。五年前に別れた恋人・小島(中村俊介)と偶然再会、小島に婚約者・瞳(長谷部瞳)がいることに打ちのめされる。

さらにすでに結婚している大学時代の友人、美加子(西尾まり)と由香里(西山繭子)に子供を見せびらかされそこそこ打ちのめされる。さらに最後の砦だった親友のつぐみ(市川実和子)が「できちゃった婚」をすることにかなり打ちのめされる。

妹の千夏(中村ゆり)にはすでに婚約者があり、毎日、打ちのめされているのである。

そこへ・・・大学時代の男友達の久保(袴田吉彦)が仕事の依頼に現れ・・・誕生日を祝ってもらい、なんだか救われたような気になるのだが・・・久保にとって35才の千春は結婚対象として論外だと宣言され・・・完全に打ちのめされるのだった。

そんな春の来ない二人・・・春子と千春は・・・春子が最初にデザインしたお気に入りの公園で出会い・・・意気投合するのであった。

「結婚できなくて何が悪いのか」・・・なのである。

まあ・・・深夜、酔っぱらって噴水で水浴びするような女・・・みんないやですよね。

そんな・・・千春の前に・・・道で転んだ時に助けて花一輪をくれた工藤純平(玉木宏)が現れる。

32才で生花店でアルバイトしている自らを「ずっと足踏みしている男だから結婚なんてとても」と断言している男だった。

恐ろしい偶然で純平のアルバイトしている店に店長として赴任する春子である。

春子もまた・・・愛車のカラーリングを言い当てられ・・・純平に好意を持つのだった。

しかし・・・店には女子大生のアルバイト・佐倉麻衣(三吉彩花)がラインを越えて先着しているのだった。ピチピチの18才で・・・明らかに純平に恋をしている模様。

えーと。

◎サクラマイ

○タナカチハル

△キリシマハルコ

という「工藤純平杯ガーベラ記念」・・・まもなく出走です。

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鍵のかかった部屋

GOLD

小さな故意の物語

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2012年10月11日 (木)

相棒Elevenを指名したのはかわいかったからですか?(水谷豊)あなたを幸せにするために東京全力少女(武井咲)

相棒の季節である。

今回も輿水泰弘・脚本・・・シーズン・オフで浮気しなかったしな。

新・相棒は亀山 薫、神戸 尊に続き、甲斐 享(成宮寛貴)で・・・「か」で始まり、「る」で終わるネーミング・パターンは踏襲されている。

スタッフ一同、「つまらぬことが気になる」タイプなのだな。

新・相棒の恋人は笛吹 悦子(真飛聖まとぶせい)は宝塚の男役出身である。・・・誰かが好きなんだな・・・その手のタイプ。もちろん・・・実力者なのだが。

さて・・・一方、「Wの悲劇」→「息もできない夏」→ココの三季連続ヒロインである武井咲。

瀧本美織よりはましだが・・・やはり、作品には恵まれない感じである。

なんていうか・・・素材がどんどん汚れていく感じがするのはキッドだけなのだろうか。

それでも・・・一応、チャレンジして失敗している作品が多いので・・・そこはまあ、評価すべきなのだろう。

とにかく・・・ここまで女優としての美しさを引き出していたのが「GOLD」だけなのが残念な感じなのだな。

テレビの基本は「蔑み」と「憧れ」である。

「蔑み」で得た人気は長続きしないのが鉄則だ。

そして・・・女優は本来、「憧れの対象」が王道ですからねえ。

お茶の間が「ああ、この人みたいになりたい」と思う役柄をたまにはやらせてあげてください。

で、『相棒Eleven・第1回(初回スペシャル)』(テレビ朝日20121010PM8~)脚本・輿水泰弘、演出・和泉聖治を見た。香港まで競馬をやりに来た杉下右京(水谷豊)である。英国的に紳士のたしなみですからな。で、馬券は的中しないのだが、事件には遭遇するのだった。この後の番組ではがさつな偶然の出会いが続発するのだが・・・ここでは偶然もまた必然といえる優雅さがございます。

成田発香港着の往路でキャビンアテンダンドの笛吹悦子にアクシデントで粗相をされた右京は香港で悦子に再会。この時、一緒にいたのが悦子の年下の恋人で警察庁次長の甲斐峯秋(石坂浩二)を父に持つお坊ちゃん刑事・甲斐享である。

二夜連続お坊ちゃん登場だ。これはあのお坊ちゃん首相の政治的惨事がクリエイターたちの深層心理に深く刻印された結果だと思える。是非もなく、危険な兆候に創作家たちは恐怖するわけである。

それはともかく・・・お坊ちゃんであることに反発しながらも・・・甘えん坊体質を露呈するカイトこと甲斐刑事は「隠蔽しろってか・・・」と独白し・・・右京にターゲットとしてマークされてしまうのだった。

カイトが隠蔽を強要されたのは・・・招待された香港領事館での出来事だった。

総領事(団時朗)夫人(賀来千香子)が総領事の銃コレクションを玩ぶうちに銃が暴発。

総領事の部下の妻を射殺してしまったのだ。

スキャンダルを恐れた総領事は部下に因果を含め、病死として処理する。

領事館は総領事の聖域だった。居合わせたカイトの先輩刑事もカイトに隠蔽を懇願するのだった。

正義感の強いカイトは一度は説得されるがやはり・・・納得できなくなってしまうのだった。

もちろん・・・右京の矢は放たれたので真実に向かって一直線である。

やがて・・・妻の復讐を胸に秘めた総領事の部下は領事館立てこもりを敢行する。

部下に慕われる組織犯罪対策部組織犯罪対策第5課の角田(山西惇)、右京の数少ない友人と言える警視庁刑事部鑑識課の米沢(六角精児)、トリオ・ザ・捜一を代表して刑事部捜査一課の伊丹(川原和久)もつつがなくバックアップ。

「やるなといってもやるんでしょうから・・・とことんやってください」

一皮むけた伊丹だった。

右京は巻き込まれたカイトとともに・・・領事館に乗り込み・・・。

総領事を狙った暴発トリックの失敗。

そして・・・夫を殺せと寝物語で命じた貞淑ではない総領事夫人とカイトの先輩刑事の情事の果ての悲劇をすべて暴いてしまうのだった。

カイトの父・甲斐峯秋(石坂浩二)は総領事夫人の若き日の火遊びの相手だったらしい。

事件の報告を受けて右京に興味を持ったカイトの父は右京を呼び出す。

「君は優秀すぎて不遇らしい・・・何か望みはあるかね・・・」

「息子さんをいただきたい」

「そ・・・それは・・・プロポーズか・・・」

「いえ・・・そろそろ一人に飽きたのですよ・・・なにかと不便ですからね」

カイトの父は・・・息子に対する複雑な気持ちを胸に・・・部下が退職する確率高しの男にカイトを預けてみようと決心するのだった。

こうして目上の人に対する口のきき方も知らない「カイトくん」に対し右京の調教の日々が始るのだった。

・・・そうきたか・・・という感じでございましたねえ。

関連するキッドのブログ→相棒Season10

で、『東京全力少・第1回』(日本テレビ20121010PM10~)脚本・伴一彦、演出・久保田充を見た。脚本家はベテランだが・・・権利意識が高くて最近、あの記録に残る低視聴率ドラマを超低視聴率に導いた要因の一つになっていると思われる。少なくともNHKドラマ8版「七瀬ふたたび」(2008年)は最悪の仕上がりになっていてキッドの評価はすこぶる低い。今回もヒロインにパンツを脱がさせるというシーンをかなり無理矢理作っていて・・・基本的に悪趣味なのであるが・・・一部愛好家は熱狂なのかもしれない。

今回は・・・香川県在住の19才の佐伯麗(武井咲)が15年前に生き別れになっていた父・鈴木卓也(渡部篤郎)を幸福に導くために上京するという物語である。

住所も定かではない父に上京初日で巡り合ってしまうという・・・とんでもない偶然が発動しており・・・いきなり、全国で無数の卓袱台がひっくりかえったと妄想できます。

こうなると・・・外国人専用の賃貸住宅に麗の先輩がモンゴル人に変装して住み着いていることなど気にしてもいられないのです。

で・・・父親の愛人に・・・モデルの華子(比嘉愛未)、インストラクター奥野冬(市川由衣)、ホステスはるか(森カンナ)とバリバリの二線級をそろえ、卓也の元・妻で、麗の母(堀内敬子)、下宿先にハゲの玉川重輔(温水洋一)、息子でハゲそうな玉川大輔(三浦翔平)、卓也の部下・桜井(塚本高史)と男性陣も徹底的に二線級である。

ついには主題歌を歌う中島みゆきまで・・・。

ここだけ・・・夏ドラマみたい・・・というのが率直な感想である。

しかし・・・父親の空虚を見抜き・・・「幸せにしてあげよう」と決意するヒロインは・・・疲れた父親たちの福音になるのかもしれません。

ま、ならないと思うけどね。

関連するキッドのブログ→息もできない夏

さて・・・日曜日の秋ドラマが始るとここは「平清盛」のスペースになる予定です。

よほどのことがない限り・・・水曜日のドラマのレビューは終了ですのでご注意ください。

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2012年10月10日 (水)

ゴーイング マイ ホーム・・・リンドウの花言葉はあなたの悲しみを知っている(阿部寛)

山口智子といえば映画「スワロウテイル」(1996年・岩井俊二監督)のとある諜報組織に所属する殺し屋でスナイパーの春梅(シュンメイ)である。

まあ、キッドは岩井俊二(49)とか、行定勲(44)とか、是枝裕和(50)とかの区別がよくつかないのであるが・・・。

今回は是枝裕和なのですな。三人の中では一番・・・都会風でございます。

しかし、都下出身なので田舎のテイストも持っている。

この辺りが・・・好みの分かれるところかもしれません。

で・・・描かれるのは・・・昔なつかしい・・・中流の家庭の話。

中流といっても・・・あまり庶民ではありません。

なにしろ・・・主人公の父親は大手製薬会社の元・取締役で現・相談役・・・主人公もコネで広告制作会社に勤務しています。主人公の妻は「家庭料理の達人」的料理タレントです。

多くのお茶の間よりもステイタスの高い家族の話。

その底辺よりもちょっと優雅なライフスタイル。

そこが・・・反感を買わなければ・・・実にゴージャスなドラマが始りました。

楽しいぞ~。

で、『ゴーイング マイ ホーム・第1回』(フジテレビ20121009PM9~)脚本・演出・是枝裕和を見た。初回は二時間超の拡大版である。もはや・・・劇場映画放映モードである。そういう気持ちでのんびり見るしかないのだった。主人公・坪井良多(阿部寛)は父親ほどには出世しなかった男らしい。CM制作会社のプロデューサーだが・・・広告代理店ほどのうまみはなく・・・スポンサー、タレント、クリエーターのすべてに頭を下げつつ仕事をする「役立たず」の男である。つまり・・・肩身が狭い男なのだ。

良多は味音痴で・・・マヨネーズなしでは「食べた気がしない」男なのである。

だから密かに「ま~君」と嘲笑されているわけではない。

職場でいつもむ「ま~ま~ま~」と事なかれ主義を貫徹するのでついた蔑称である。

直属の部下の真田隼(新井浩文)は「あなたのようにだけはなりたくない」と口をすべらすのだが・・・聴かなかったふりをするのが良多なのである。

妻・沙江(山口智子)は最初は良多のコネで始めたフードスタイリストの仕事が順調で今や、著書がある人気お料理タレントである。つまり、実力者なのであって・・・実力のない夫として良多はなにかと圧力を感じている。

そして・・・一人娘の萌江(蒔田彩珠)は小学四年生・・・難しい年頃の上に・・・妻に似て確固たる自分というものを形成し始めている。

流されるままに生きて来た良多は娘にさえも頭の上がらない姿勢で臨むほかはないのだった。

沙江は最近、萌江の担任教師から娘の奇行について注意され・・・良多に娘との話し合いを強要するのである。

奇行とは・・・他人には見えない小さな人と会話している・・・というものだった。

萌江への事情聴取に臨む良多・・・。

「最近・・・なんか・・・みえるんだって・・・」

「・・・」

「話してるんだよね」

「・・・」

「なんて人だっけ?」

「フロット」

「その人はどこの人なの」

「日本とオーストラリアのハーフ」

「その人と・・・何語で話してんの・・・」

「テレパシー」

「・・・」

萌江、かわいいよ萌江である。

顎は割れているが・・・同じ種族とはおもえないほど身長差のある隣人の小林(バカリズム)はそんな良多を「まだ・・・口をきいてくれるだけ幸せですよ・・・」と慰めるのだった。

とにかく・・・良多はそんな冴えない日常を過ごしていたのである。

スポンサーに頭を下げ、とんでもないクレームを受け入れ、クリエーターに頭を下げ、無理難題を押し付けるのである。

まあ・・・本当に苦しいのは押し付けられる末端なわけですが~・・・まあ、それはそれとして。

しかし・・・そんな「日常」に一本の電話が波紋を投げかけるのだった。

疎遠になっていた父親・坪井栄輔(夏八木勲)が・・・旅行中の生れ故郷・長野県で倒れ・・・人事不省の身となったのである。

とりあえず、父親が収容された現地の病院に向かう良多だった。

ここからはまあ、映画「父、危篤」が始ります。

さて、スポンサー向け試写のためにドレスアップしていた良多は会う人ごとに「もう、喪服着てるの」と突っ込まれるというくりかえしのギャグを展開します。

一方で、現地で合流した母親・坪井敏子(吉行和子)は会う人ごとに「私、保険証を忘れてきちゃって・・・」とこぼすというくりかえしのギャグで二重奏です。

つまり、良多は受動的なボケ、敏子は能動的なボケということです。

ちなみに・・・現地の駅から病院までの足はタクシー。

タクシー・ドライバーの徳永太郎(阿部サダヲ)は「なにもないけど・・・いいところでしょう・・・住むなら役所で家をくれますよ・・・過疎だからねえ」をくりかえします。

リフレインが好きな人にはたまらない展開ですな。

まあ・・・この辺りからドラマは見てくれる人が「誰もいない」を歌い始めるのですな。

過疎の村からは誰もいなくなる。

両親が忙しくて娘は孤独になる。

そして主人公の存在意義を認める人は誰もいない・・・のです。

リンドウの花言葉は「悲しみにくれているあなたを愛する」ですが・・・そもそも・・・リンドウの花は群生しないので・・・「よりそうもののない淋しさ」から発展した言葉なのです。

まあ、リンドウが哀しいのか、リンドウを見ている人が哀しいのかは・・・人それぞれの解釈によるわけですが。

まあ、基本的には悲しんでいる人に贈り、「あなたの悲しみをわかちあいたい」という贈り主の下心を示すわけですな。

「悲しんでいるあなたが好き」というのは解釈によっては非常に危険な心情でございますけれど。

父親の容体は意識の戻らないまま、安定し、「家族たち」は宙ぶらりんな心地になります。

それを支えるのが栄輔に永年仕える優秀な秘書・山下(清水章吾)・・・。

すべての手配をまかせておける安心感。有能です。

比べて・・・良多は無能と・・・母や姉・多希子(YOU)は揶揄するほどです。

二人「役立たずよね~」

ちなみに・・・多希子の夫の伊藤健次(安田顕)は無能な義弟にどことなく親近感を抱いています。

父の死後のこともそれとなく話題にする母と子どもたち。

良多の妻・沙江の母親・辻時子(りりィ)などは「向こうのお母さんを引き取るってことになるのかしら」と沙江にとって問題外らしいことを言ったりするのです。

そういうことを時子と敏子の孫である萌江は聴かぬでもない風情で聴いています。

萌江の奇行はエスカレートして・・・机に腰掛けていた同級生を突然突き飛ばすに至るのですが・・・怪我がなくて不幸中の幸い・・・衝動的な女は美しくも恐ろしいですからな。

この他にも真田が早朝ジョギングをお相伴する和菓子好きな洋菓子会社社長(笹野高史)やチーズよりもソラマメの好きなタレント(佐津川愛美)など・・・続々登場の果てに・・・地味な看護婦(江口のりこ)まで登場し・・・開始から一時間で・・・真打登場である。

父・栄輔を見舞いに来た謎の女(宮﨑あおい)を良多は目撃してしまうのだった。

初回、一時間だったら・・・出番これで終りである。

拡大版でよかったよ・・・。

で、謎の女は最初、山下菜穂と偽名を使っており・・・その存在は山下が家族の眼から隠蔽していたらしい。

女出入りの激しかった栄輔のこととして・・・母や姉は「新しい愛人・・・」「日暮里の女の娘」などと妄想を繰り広げる。

栄輔の黒革の手帳には下島菜穂の住所が記されていたのだった。

結局、良多は母や姉の命ずるままに・・・謎の女の捜索を開始するのである。

二人「父子でマヨネーズバカだし、女の好みも似てるし、責任とりなさいよ」

長野県の田舎町で・・・良多が出会ったのは・・・弟かもしれない少年・大地(大西利空)だった。

大地は・・・良多の命名候補の一つだったのだ。

母「そんないつも人様に踏みつけられているような名前じゃ出世しないと反対したの・・・結局、出世しなかったけどね」

鈴木大地(ソウル五輪背泳ぎ金メダル)はがんばったよな。

とにかく、見知らぬ少年・大地は小さな妖精「クーナ」を捕獲するためにスイカで罠を作っていた。

その頃、大地の母親・菜穂は役場で・・・在日中国人に中国風料理の店の求人を斡旋していたのだった。

良多は・・・少年の案内でで菜穂の父親で父・栄輔の幼馴染の歯科医師・鳥居治(西田敏行)に出会う。

そして、治の娘の菜穂は「クーナ事務局」を運営する・・・栄輔の小さな妖精探索仲間だったらしい。

良多に幽かな敵意を発しつつ、ついに菜穂が登場。

恐るべきことにただそこにいるだけで・・・。

菜穂、かわいいよ菜穂・・・なのである。

世の中には見えなくても存在するものがあるのか・・・。

そして・・・それは見えないから孤独なのか。

身体は大きいのに心がちっちゃい男・・・良多の冒険の幕開けである。

開いたのかよっ。

その頃、妻と娘はパンケーキ・トマト・チーズ・オリーブオイル・バルサミコ酢という優雅なおやつを堪能していたのだった。

祖母の作ったホットケーキよりも「おいしい」と言う娘の視線は幽かな媚びを含んでいるが・・・母は全く気に留めてもいない。

ギスギスしているのか、イチャイチャしているのか・・・よくわからない幻想の中流家庭の物語始りました。

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陰日向に咲く

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2012年10月 9日 (火)

パーフェクト・ブルーと千葉すずのうるんだ瞳(キッド)

いやあ・・・迷ったよ。

たいして面白くもないドラマ「パーフェクト・ブルー」と競泳史上最大のミステリー「壮絶・・封印された過去 私はなぜやめたのか・涙と後悔・・伝説の引退SP・千葉すず編」の間でねえ。

それにしても瀧本美織は貧乏くじ弾き続けるな・・・。

しかも・・・ほぼ女探偵・加代子(瀧本美織)と元警察犬のマサ(声・船越英一郎)で成立する話を・・・無理矢理、女探偵チームに仕上げて・・・どうするつもりなんだ・・・こりゃ・・・。

で、『宮部みゆきミステリー パーフェクト・ブルー・第1回』(TBSテレビ20121008PM8~)脚本・山崎淳也、演出・唐木希浩を見た。原作の二つの小説は長編「パーフェク・トブルー」と短編集「心とろかすような─マサの事件簿」である。おそらく・・・長編小説を連続ドラマの主軸に添えて短編の事件をからめていく・・・という流れなのである。原作的には数が不足しているので・・・オリジナルを含むかもしれない。

今回は「心とろかすような─マサの事件簿」の一篇、「てのひらの森の下で」をアレンジしたものと思われる。

宮部みゆきというのはどこか冷たく、どこか暖かい不思議な感性を持った作家だと思うが・・・そういう情感は初回からは見事に感じられない出来にしあがっています。

死体を発見した加代子とマサが「本物/偽物」で人間と犬の越えられない壁を体験するのがその核心であるのだが・・・この重要な点が木端微塵なのである。

まず・・・生きている死体を発見するのは謎の女(星野真里)からの依頼がらみなのである。

「ストーカーに狙われている」という女に付き合って朝のジョギングの警護にあたった加代子とマサは・・・偶然を装って「それ」を発見する。

何故か携帯電話は圏外になっており・・・加代子が公衆電話を捜している間に見張りをしていたマサは何者かに殴られて昏倒してしまうのだった。

犬を死なない程度に殴って気絶させるという加減がよくわかりません。

やがて・・・死体が実は生きていて謎の女の恋人(窪田正孝)であることが判明する。

二人がそういうことをした理由が最後までよくわからない展開です・・・信じられないかもしれないが本当なのです。

いや、実際には闇の資金を強奪するためのアリバイ作りだったということなのですが・・・何のために死体になっていたのか・・・という辺りがものすごく説明不足なのである。

ついでに・・・恋人には兄がいて・・・早くに親を亡くした兄弟は・・・兄が弟の親代わりになって育てて来たという経過があるのだが・・・口頭で言われても何一つピンとこないのです。

さらには・・・天涯孤独で施設育ちの謎の女が・・・弟の恋人でありながら・・・なんとなく兄にも家族愛を感じている展開なのであるが・・・ものすごくわかりにくいのです。

最後は・・・善良な兄を非情な弟が殺害し、恋人も殺そうとするが逆襲され、凶悪な謎の女に刺され、女も自殺未遂・・・加代子もマサも立ちすくむという・・・物凄い結末である。

もう・・・なんだか・・・どうでもよくなること間違いなしでございます。

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→mari様のパーフェクト・ブルー

一方・・・競泳界の沢尻エリカと自分で言っちゃう千葉すずのロング・インタビューを軸とした擬似ドキュメンタリー。

生意気でひたすら可愛かった十代のバルセロナオリンピック、アトランタオリンピックの日本代表時代。

「五輪を楽しみたい」・・・今では誰もが口にする合言葉である。

なにしろ・・・アスリートにとってリラックスすることが大切だということが理解されなかった時代なのである。

「朝ごはんは何を食べましたか?」

インタビュアーにとってこの質問は基本中の基本なのだが・・・あくまで・・・リラックスのための予備質問である。これをメインで聞かれたらアスリートだってうんざりするわな。

そして・・・金メダルの中学生・岩崎選手を「うらやましくてくやしくて・・・嫉妬しました」というストレートさ・・・天晴だね。

まあ・・・大人の事情と言うものに対して寛容的な態度をとれる大人しい子供もいるが・・・そうでない子供がいて・・・それを許容できないのは大人の罪に決まっているのである。

そして、社会人になって久米宏的挑発的言動に対して・・・。

みんなメダルメダルって、そんなに欲しいなら自分で取ればいいじゃないですかっ。

日本人はみんなメダル気違いですよ。

天晴である。蒼ざめた馬を見るがいいのだな。

やがて・・・シドニー五輪代表選考会で標準記録を突破しての優勝。

そして疑惑の代表漏れ。

ついにスポーツ仲裁裁判所に連盟を提訴。

代表選考は覆らなかった・・・しかし・・・選考基準の曖昧さが指摘され裁定は痛み分けだったのである。

その時の晴れやかな千葉すず選手の微笑み。

たとえ、編集上のマジックだったとしても誰が正義だったのかははっきりと分かるのだな。

山本貴司と結婚し・・・夫はアテネで銀メダルを獲得した。

母親となった千葉すずの瞳の奥では獲得できなかった五輪のメダルが今も輝いているのだった・・・。

かわいいよ、千葉すずかわいいよ。

・・・おい、パーフェクトブルーはどうすんだ・・・こんな筋書きのないドラマ完結編があったら明らかに眼中にありません。

ここは・・・「アレ」が始るまでは谷間ですよ~。

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2012年10月 8日 (月)

兎、兎、何見て跳ねる、十五夜お月さん見て跳ねる(加藤浩次)

AKB48をぶん回した翌日、京に散る兎丸だった・・・。

この物語における最大の架空の人物が去って・・・物語は源氏の作った史実に向かって流れだしていく。

そんな感じの今回である。

架空の人物としては鱸丸が実在の人物・・・平盛国に転換するという離れ業もある。

そろそろ、登場するべき人物に盛国の子、盛俊がいて・・・清盛の厳島における愛人・厳島内侍と関係深い人物である。

無双の豪力を誇った平盛俊は・・・嚴島社の巫女・桃李(柊瑠美)と兎丸の子・・・小兎丸がなったりなんかして。

ちょっと幼いけどな・・・この世界では子供だって凄い奴ばかりだからな。

ありえますよ~・・・誰に言ってんだ?

で、『平清盛・第39回』(NHK総合20121007PM8~)脚本・藤本有紀、演出・柴田岳志を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はいよいよ京の五条の橋の上、新たなる革命勢力の萌芽を示す牛若丸こと源義経と武蔵坊弁慶の宿命の出会い記念、少年義経、青年義経、弁慶と歴代弁慶の五大イラスト描き下ろしで空前絶後のお得感でございまする。画伯、燃えましたな。

Tairakiyomori37 承安二年(1172年)、南宋慶元府(現在の寧波市)から使節が大輪田泊を訪れた。元の時代にはこの地から日本侵略軍が出港したのである。南宋皇帝と後白河法皇の直接の貿易には両者に様々な問題があったが、無官の清盛が介入することで事実上の日宋交易が開始されたのである。翌年の大和田泊の開港を経て、港湾の整備は長期に渡って続き、一応の完成を見たのは平家滅亡後の建久七年(1196年)であったと言う。大事業である。これによって南宋からは大量の宋銭が流入した。つまり、平清盛による銭ゲバルト(実力行使)である。当時、朝廷の流通させている貨幣は「絹」であった。アジア全体を流通する宋銭の貨幣価値は強大であり、これによって絹は相対的な貨幣価値を下げることになる。絹を貨幣として主催する朝廷の困惑は絶大だったのである。絹の大暴落によって一財産失った貴族たちは平家の流通させる宋銭を激しく憎悪したのであった。その流れは全国に波及し、地方の絹持ちたちを落胆させた。やがて、宋銭でなければ貨幣でなしの時代が到来したのだ。かくて、平家打倒の火の手が上がりはじめる。宋銭戦争の始りである。「宋銭反対、絹物保護」は鎌倉時代以後も続いていくが・・・結局、銭は勝つのだった。

「なに・・・遮那王が・・・刺客にならんと申すか・・・」

「興味がない・・・と申しておりまする」

「馬鹿な・・・何のために沙流王の眼を与えてやったと思っておるのじゃ・・・」

「あの者・・・本来・・・人ではないかもしれませぬ・・・」

「人でなければ・・・なんじゃと申すのじゃ・・・」

神・・・と言いかけて闇の陰陽師の頭領・安倍晴久は口ごもる。

古の妖魔・沙流王の力を得た遮那王の第三の眼に睨まれた時の底知れぬ恐怖を晴久は思い出していた。闇の力を駆使するものなら些少は感じたことのある本物の底知れぬ闇の力を・・・晴久は感じていたのだった。

「忌々しいの・・・平家のものに仇なすことは叶わぬか・・・」

八条院はため息をついた。その刹那、八条院は疑惑を感じる。

妾は・・・いつから・・・かように平家を疎ましく感じるようになったのか・・・。

しかし、その疑心は一瞬のことであった。一転俄にかき曇るように・・・八条院の心には停滞が生じる。

妾が愛する以仁王の親王宣下を邪魔立てした・・・あの平家の女狐が憎いのじゃ・・・。

憎くて憎くてならぬのじゃ・・・。

八条院の顔が醜くひきつった。

その頃、播磨の国で一党を率いた山賊の首領があった。

書寫山圓教寺を焼き打ちし、金品を強奪したためにお尋ねものとなっている。

播磨国守は五条大納言藤原邦綱である。

邦綱は藤原家相続人である平盛子の後見人であり、平家との関係は深い。一子・清邦は清盛の養子となっている。同時に邦綱は高倉天皇の側近でもある。

邦綱は地方官の連絡を受け・・・平時忠を頼った。時忠は高倉天皇の中宮・徳子の家人でもある。言わば夫の側近が妻の側近に相談したのである。

時忠はわが娘・朱雀姫に命じ、堂上くのいちを播磨の国に派遣したのだった。

山賊の集団は氷の山と呼ばれる高山に拠点を構えていた。

その総数は三十人ほどである。村々を襲い略奪した女を監禁し酒池肉林の騒ぎを繰り広げている。

くのいちたちは女に混じり、酒に毒を盛った。

たちまち・・・山賊は死体の山になった。

しかし、その中の一人、山賊たちの頭と目されたものがむっくりと起きあがったのだ。

「小癪な・・・国府の忍びか・・・この武蔵坊弁慶に毒は効かぬわっ」

「なんと・・・」

検分に来た朱雀姫は目を瞠った。

弁慶は薙刀を持って立ち上がった。

「女子供とて容赦はせぬっ」

不運にも弁慶の傍にいたくのいちの首が飛ぶ。

「皆のもの・・・遠巻きにせよ」

朱雀姫の命令でくのいちたちは距離をとった。

「ふふふ・・・そんなに離れていては俺の命はとれぬぞ・・・」

「かかれっ」

くのいちたちはそれぞれに忍び矢を放った。

無数の矢が弁慶に突き刺さる。

「む・・・」とうめいて・・・弁慶は倒れ伏した。

「恐ろしい奴・・・」

朱雀姫は巨大な死体を見下ろしてつぶやく。

囚われの娘たちを解放し、山賊たちの死体を残して堂上くのいちは山を降りた。

雪に覆われた氷の山。吹雪の中で武蔵坊弁慶が立ち上がる。

再生した強靭な筋肉によって身に刺さった矢が次々と体外に押し出されていく。

弁慶は何事もなかったようにあくびをした。

「つまらぬな・・・久しぶりに都にでも行ってみるかの」

武蔵坊弁慶は不死身だった。

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2012年10月 7日 (日)

高校入試・・・アルバイトが正社員を見下すなんてふにゃふにゃ(長澤まさみ)

腹に一物ある登場人物ばかりをこれでもかと・・・人間不信に追い込むつもりですな。

その中でも・・・かなり怪しくない素振りの音楽教師を演じるのが南沢奈央である。

今季は・・・「マメシバ一郎 フーテンの芝二郎」「大奥〜誕生〜 有功・家光篇」とこれで三本同時出演だ。

南沢奈央キターッ!なのである。

「マメシバ」はまだエンディングでダンスしただけだが・・・可愛かった。

「大奥」は番組そのものが変態の森へようこそ・・・だからな。

そして・・・ここでは主人公(25)のなかよしの同僚(22)・・・()内は実年齢。

なにしろ・・・女子生徒だと思っていたら男子生徒だった過去があるだけに・・・どんな裏の顔を持っているのか・・・妄想するだけで楽しいのである。

そして・・・何と言っても主人公はその数倍謎めいている・・・スーツの下には・・・どんな凶器をしのばせているのか。

これはたまりませんな・・・。

で、『高校入試・第1回』(フジテレビ20121006PM2310~)脚本・湊かなえ、演出・星護を見た。超時空に存在するとある地方の県立橘第一高校。東大合格者をそれなりに輩出する学区で一番の進学校である。もちろん、全国には無数にあるその手の県立高校だが・・・この地方で生活するものたちにとって・・・名門高校として独特のステータスを持ち、ある意味「一高」村社会を形成している関係者がいるのだった。・・・一同爆笑である。

その村社会では・・・一高卒業生でなければ人でなし・・・という不文律があるのだった。

本当かどうかはまったく分からないが「帰国子女で高校時代は外国で過ごし、一流旅行代理店に勤務中、高校の修学旅行を担当したことで日本の高校生活に興味が湧き・・・教師に転職した・・・嘘くせえ・・・」英語教師・春山杏子(長澤まさみ)は教師一年目をまもなく終了しようとしていた。

そこに待ちうけるのが・・・「高校入試」なのである。

1:名無しの権兵衛:2013/03/08(金) 16:27:53.24

高校入試について語ろう!

一高裏サイトの掲示板にも関係する書き込みが連なる。

入試を数日後に控え教師たちには奇妙な緊張感が漂い始めている。

杏子にとって教師として初めての入試である。

職場の先輩である滝本みどり(南沢奈央)からは「入試会議」の席上でこっそりアドバイスを受けたりもする。

いかにも・・・「新人なのでよくわからない」風なのである。・・・怪しいぜ。

杏子は真面目でちょっと気持ち悪い社会の教師・水野文昭(阪田マサノブ)や、笑顔がかなり気持ち悪い数学の村井祐志(篠田光亮)とともに試験監督を担当することになった。

校長・的場一郎(山本圭)、入試部長・荻野正夫(斉木しげる)・・・何か事件が起きたわけでもないのに存在そのものが怪しいのである。

入試会議後、みどりは杏子におねだりをしてくる。

「予約が困難だというリゾートホテル・インディゴの予約を取ってほしいの・・・」

元・旅行代理店勤務の杏子はあまり迷惑そうなそぶりも見せずに引受けるのだった・・・怪しいよね。

しかも・・・みどりは・・・職場の同僚である恋人と・・・入試直後に旅行する予定なのである。

入試については・・・当日の役割分担とは別に、教科ごとの仕事がある。

英語教師たちの中では実務に優れた松島崇史(羽場裕一)が試験採点に参加できないことが話題になる。松島の息子・良隆(高杉真宙)が受験生であるからだ。

かって採点ミスをしたことのあるベテラン教師・坂本多恵子(高橋ひとみ)は「ミスは全体責任」を強調するのだった。

28:名無しの権兵衛

高校入試といえば一高だ。

それ以外は問題外。

高校入試で人生は決まる・・・。

その時・・・音楽室からは入学式の練習のためにみどりが弾く校歌が流れてくる。

すると・・・職員室の中でも・・・一高卒業生である教員たちが校歌を歌い出すのである。

美術教師の宮下(小松利昌)、体育教師の相田(中尾明慶)、そして英語の坂本などに加え、居合わせた同窓会会長・沢村幸造(入江雅人)までが熱唱し、三番まで歌いきる。

杏子はこの「一高村」に辟易する。

たとえば・・・坂本は娘の交際相手が一高でなく三高だったので・・・相手にとって不足ありといえば・・・一高メンバーは「そりゃそうだ・・・」なのである。

「でも・・・三高出身で一流大学卒業で一流企業の正社員の人を一高出身でアルバイトしている人が見下すっておかし・・・」と言いかけた杏子を名門私立高校出身の英語教師・小西(徳山秀典)がさりげなくシャットアウトする。

杏子と小西の仲を村井などは疑っているらしい。

杏子はみどりの恋人は小西ではないかと疑っているらしい。

しかし、相田は確実に教え子で担当部活のマネージャーの高校生・石川衣里名(山崎紘菜)と交際中で・・・「キヨタン」と呼ばれているのだった。なんとなく・・・それだけで相田先生は殺される気配が漂っています。

しかも・・・相田はうかつにも入試期間中に衣里名の誕生日があることを失念していたのだった。

「やべえ・・・」

66:名無しの権兵衛

高校入試なんてくだらない

今回は顔出しだけだが・・・受験生には芝田昌子(生田智子)の娘・麻美(美山加恋)もいます。念のため・・・。

ついでに・・・同窓会会長の息子・翔太(清水尋也)も受験生で・・・英語教師・松島と同窓会会長・沢村の間には何かどす黒い空気が漂っています。

さらに松島と村井は教師と教え子の関係でしかも・・・村井は当然の如く一高出身者ではないのだった。

プールサイドで喫煙する教師たち。

今にも・・・水面に死体が浮上しそうな勢いです。

そして入試前日。

会場となる教室からは現役生徒たちが一斉に閉めだされる。

杏子が担任する2年B組の教室に衣里名が一人残り、掲示板からの掲示物の撤去を手伝う。そしてさりげなく・・・「闇サイト」の話題を持ち出すのである。

しかし・・・気にとめない素振りの杏子・・・完全に怪しいじゃねえか。

教室の清掃のために教員用ロッカーで着替える杏子、みどり、そして坂本の女教師たち・・・春ドラマお色気祭りが嘘のようにまったくサービスはありません。

そして・・・坂本のロッカーからは・・・手紙が舞い落ちる。

入試をぶっつぶす!

やがて清掃のために教室に入った教員たちは口々に「なんだ・・・これは」と叫ぶのである。

黒板に示されたのは・・・。

入試をぶっつぶす!

教師たちは動揺を隠せないのだった。

99:名無しの権兵衛

入試をぶっつぶす!

入試をぶっつぶす!

入試をぶっつぶす!

物凄い・・・始った感がありましたな。

関連するキッドのブログ→栞と紙魚子の怪奇事件簿

岳 -ガク-

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2012年10月 6日 (土)

恋なんて贅沢が私に落ちてくるのだろうか?・・・タイトル長すぎて改竄できません!(佐々木希)

第6回日本ラブストーリー大賞受賞のドラマ化である。

佐々木希(24)が恋愛経験ゼロのヒロインの25~29歳の軌跡を淡々と描いていく。

・・・無理があるわけだが・・・しかし・・・ファンタジーとしてはかなり面白い仕上がりになっている。

この役が佐々木希にフィットするのは・・・江口のりこが「野田ともうします。」にフィットしているのと同じような感じである。

それは・・・地上波テレビドラマとは何か違う「場」がもたらすものだろう。

つまり、基本が「一部愛好家」熱狂の展開なのである。

田舎出身のこれといってとりえのない女の子が・・・それでも生きていく。

それを田舎出身だがそれなりにとりえのある女の子が演じる・・・かなり甘いのである。

甘過ぎて苦い・・・そういう味わいがあります。

テレビドラマでは脇役に徹してきた佐々木希が主役として・・・素材の見事さを顕示しています。

で、『恋なんて贅沢が私に落ちてくるのだろうか?・第1回~第6回』(フジテレビ20121004AM0135~)原作・中居真麻、脚本・小川真、演出・小林義則を見た。フジテレビワンツーネクストで2012年3月から全六話放送された番組のお下がりである。後半でヒロインの膣に黴が生えたというフレーズが連発されるので・・・なのかはどうかは知らないが深夜にまとめて放送されたわけである。「昔の少女マンガ」みたいな妄想が炸裂していて・・・そういう意味では面白くかなりゴージャスな感じがあります。

いや、最初から地上波のドラマならじっくりレビューしたい厚みもあるのだ。

しかし、すでに秋ドラマ開幕に突入しているので・・・ざっくりで失礼する。

故郷には純平(石田卓也)という・・・見た目は問題ない男がいて・・・ヒロインの宝池青子(佐々木希)は「好きで好きでたまらないほど好き」なわけだが・・・相手には青子がまったく眼中にないのである。

つまり・・・佐々木希に見えるが実際には・・・そうではないという女の子がヒロインなのだ。

男視線ではそこがもう気になって気になって仕方ないのだが・・・そこをクリアすればせつない女の子の心情がウキウキするほど楽しくなってくるのです。

で、都会に出てきて・・・恋にも仕事にも破れた時に優しくしてくれるいい人が現れる。

それが・・・天津敏也(えなりかずき)である。

敏也はすごく優しい男で・・・いろいろなことに疲れた青子の心を癒してくれるのである。

なにしろ・・・恋愛経験ゼロ(実地をともなう)なので・・・男の下心には全く気がつかない。

いや、敏也の下心には悪意がなく、善意の下心なのである。

で、焼き肉を奢ってもらいながら・・・敏也はさりげなくプロポーズするのだが・・・。

「僕の髪が肩までのびて・・・君と同じになったら・・・(結婚しようよ/よしだたくろう)」なのである。

西暦何年だよっ。

で、ドン退きしまくる青子だった。

ここで・・・佐々木希>青子なら・・・えなり身の程知らずなのであるが、青子>佐々木希なら妥協を知らない女だなあ・・・になり、心が揺れます。

ここからは敏也は暴走して・・・恥ずかしい感じで青子にキスを迫ったりします。

で・・・青子は・・・いろいろな意味で中途半端に対応。

しかし・・・どうしても敏也を結婚対象として見れない青子はついに・・・。

「無理です」

「君って・・・ひどい女だな」

まあ・・・一同爆笑です。

「ごめんなさい・・・」

「なんでだよ・・・こんなに好きなのに」

「私が好きなのは写真なんです」

大爆笑である。

・・・とにかく・・・友達になった貧乏で人の食べ残しを平気で食べる女・華奈(大塚千弘)の紹介で・・・写真家・谷(加藤雅也)のスタジオで下働きを始める青子。

好きな写真の仕事なので・・・熱中するわけですが・・・バランスを逸しやすい性格と激務のために身体はボロボロ・・・27才の誕生日には頭痛、腰痛、化膿、歯痛、ものもらいの上、生理不順という悲惨な感じになるわけですが・・・佐々木希なのでどこかチャーミングです。

ついに・・・結婚式の記念撮影中に倒れるという大失態をして・・・自ら「やめます」宣言。

実は・・・ひきとめてもらえる・・・と期待していたのですが・・・谷はあえてひきとめないタイプ・・・。

まあ、「絶対にやめない」姿勢がなによりも大切な時が人生にはあるものですが・・・つい「辞めちゃう」のも人生にはよくあることなのだな。

こうして・・・何もかも失った青子・・・まあそういう思い込みなのですが・・・を優しく受け止める故郷の父(梅沢富美男)、母(多岐川裕美)がいます。ゴージャスです。

「身体を大事にしろ」

父の言葉が身に沁みる青子。

ついでに好きだった純平は失恋傷心の憂さを晴らすために青子をドライブに誘い。なんとなく手による性的サービスを要求。

「そんなことできないよ・・・」

「なんだよ・・・こんなことくらいで泣くなよ・・・処女じゃあるまいし・・・え・・・お前・・・処女なの・・・うそ」

こうして・・・青子は初めて・・・自分に「人を見る目」がなかったことに気がつくのでした・・・。

まあ・・・みんな、そうだと言えばそうなんですがーーーっ。

心身の傷も癒えて都会に戻った青子は・・・今度はミミ(橋本麗香)という恋人がいる写真家・飯田(小泉孝太郎)に仄かな恋心を感じます。

「どうして・・・こんなことになっちゃうのかな」

そんなこと・・・言われても困りますけどね~。

とにかく・・・恋愛は全く進展しないけれど・・・これは立派なラブコメなのではないでしょうか。

で、華奈と二人、アイドルに恋する中学生のように片思いの恋を打ち明け合ってさめざめと泣き明かす夜明け前。

飯田から電話がかかってきて・・・青子は自転車に乗って「彼」の元へ・・・。

まあ、はっきり言って交通事故で死ぬんだなって・・・思いました。

死にませんでしたけど~。

まあ・・・そうやって・・・最近の若いものは無駄に年取っていくんだな・・・としみじみ感じた真夜中なのでございます。

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2012年10月 5日 (金)

不審死を許さない女刑事(臼田あさ美)「毒<ポイズン>」の第一の犠牲者になっちゃうぞ(前田亜季)

実力派脇役女優の豪華共演で始る2012年秋ドラマである。

よ~し、もっとの関係番組であるが・・・主演の綾部祐二(ピース)がいてもいなくてもよい展開になっていて好感がもてるな。

実際・・・主演は女刑事・笹本直美(臼田あさ美)でゲストはエキセントリックな被害者・大津真由美(前田亜季)だったのである。

逆に、それほど多くはないと思うが綾部祐二を目当てて見た人は「えーっ、なんじゃあこりゃああああっ」で一同爆笑の展開である。

この木曜ミステリーシアターならではの中途半端な感じは相変わらずだが・・・もう、慣れちゃったな。

なんだかんだ・・・「たぶらかし-代行女優業・マキ-」「VISION-殺しが見える女-」と二季連続でレビューしちゃったのだ。

だが・・・この曜日は貴重な予備日である。

なにしろ、現在のところ・・・「高校入試」「遅咲きのひまわり」「TOKYOエアポート」「東京全力少女」「結婚しない」がレビュー日を求めて彷徨う凶悪な秋ドラマ戦線なのである。

とてもじゃないが・・・生き残れない感じ。

まあ、五輪の終った秋だからな・・・毎度どうもありがとうございますなのだった。

で、『赤川次郎原作 毒<ポイズン>・第1回』(日本テレビ20121004PM2358~)脚本・鈴木智、演出・岡本浩一を見た。台風が次々と来襲して「危険な斜面」に死体を埋めている人々の心胆を寒からしめている今日この頃である。まあ、その筋の人間は危険な斜面は避けるわけで・・・危険な斜面の利用者は色男と相場が決まっているのだな。三角関係の果てに1人殺して埋める・・・よくある話である。なにしろ、色男なので力がないのである。つい、斜面に掘ってしまうのだな・・・穴を。だから・・・もしも・・・使用した痕跡が全く残らない毒物を入手できたら・・・迷わず使用します。

天才科学者・松井十一(綾部祐二)は悪魔に魂を売り秘薬を完成させる。

効能は説明書によれば・・・。

①わずか一滴で致死量に達します。

②検死解剖などでの検出は不可能です。

③効き目はきっかり24時間後に現れます。

薬の効能には個人差があるのが基本だけに③はこれが魔性の力に連動していることを示しているわけである。

で・・・悪魔の使徒である松井は「人を殺したい人」を捜して・・・レンタルします。

第一の完全犯罪希望者は雑誌記者の秋本俊二(小泉孝太郎)で、高校の同級生だった恋人・大津真由美(前田亜季)がありながら・・・出版社の社長の娘、レイカ(大谷澪)と結婚の約束をしており二者択一を迫られてるのです。

もちろん、レイカを選び・・・真由美を捨てる気満々なのです。

まあ、率直に別れを告げればいいわけですが・・・もしもトラブルになったら困るなあ・・・と悩みます。後腐れがないのは真由美がこの世から消えてしまうこと。

しかも・・・真由美は「赤ちゃんができちゃった」と完全なるフラグをたてるのです。

もう・・・件の毒を渡されたら使わずにはいられない・・・のでした。

まあ・・・単に別れられないのは・・・愛する女がその後他の誰かと交際することが我慢できない超自己中心的な男心のなせる業である場合もありますねえ。

真由美の作ったひじきのおかずを食べながら・・・さすがは演ずるのが前田亜紀・・・なかなかにひじき一品の晩御飯はエキセントリックでございますな・・・ついに殺意を実行に移す秋本だったのでございます。

このあとも、前田亜紀演ずる真由美はティファニーで朝食を・・・的な日替わり売春婦、毒を飲まされて腹上死、全身ガンに冒されて余命宣告の身の上、愛する恋人のために売春して稼いだ金を全額恋人名義で貯金と・・・エキセントリックの限りを尽くすのでした。ああ、見逃さなくてよかったよ。

警視庁捜査一課特別犯罪捜査係の千葉刑事(渡辺いっけい)は毒によって殺害された真由美を不審死扱いはするが・・・事件性はないと判断します。

それに待ったをかけるのが・・・交通課から転属してきた笹本直美刑事(臼田あさ美)です。

不審死をした刑事を父に持つ笹本は「不審死なんて絶対に認めない」方針で捜査を続行するのでした。

やがて・・・記者として事件を取材することになった秋本は・・・笹本とともに・・・死んだ真由美のエキセントリックな素顔を知ることになるのです。

二人がたどり着いたのは真由美の可愛い遺書。

「大好きな俊二くん・・・あなたと私とそして赤ちゃんの三人の人生を夢見れただけで・・・幸せでした。俊二くんがいい仕事ができるように・・・一生懸命、お金をためたので自由に使ってくださいね。さようなら」

失ってはじめてかけがえのない存在が誰かを悟った秋本は人生に絶望するのである。

・・・馬鹿だな。

そして件の毒を使って笹本の前で自殺をして見せるのだった。

「完全犯罪のための・・・薬が・・・あります」

しかし・・・その薬はすでに悪魔の使徒が回収済みだったのである。

笹本刑事の魔界への挑戦が始まるのだった。・・・いや、魔界が登場するかどうかは不明ですけれど。

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リンダ リンダ リンダ

ATARU

この胸いっぱいの愛を

ホタルノヒカリ2

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2012年10月 4日 (木)

土下座したらお情けをいただけますか(堀北真希)おもてをあげい(柴咲コウ)大奥・男女逆転(二宮和也)

この物語は誰にでも楽しめるが、爆笑したりニヤニヤしたりするためには本家の「大奥」を何度か見ておいた方がよいだろう。

どの世界にもハーレムとか、後宮とか、酒池肉林はあるものだが・・・大奥と言えば徳川幕府が築いた将軍家繁殖システムである。

男であれば「絶世の美女とたくさんたくさん寝たい」と思うわけであるが・・・初代はそうでも代を重ねるに連れ、とにかく後継者が求められるというのが世の常なのである。

そのためにある程度、義務としてたくさんのたくさんの女と寝るようになるわけである。

それでもそこにはまさしく男のロマンがあるわけだが・・・基本的に本家「大奥」の視聴者はどちらかと言えば女性でドロドロとした女の本性を鏡で見るように見たいと思うわけである。

で、男はそういう女心を覗くことでまた別の男のロマンを感じるという仕掛けになっている。

そういう奥行きを感じたものは・・・己の大奥を描きたいと思うわけである。

すると・・・もう・・・そこには変態の世界が広がるばかりなのであった。

屈折に屈折を重ねた女の性が描く・・・大奥ファンタジー・・・その新たな歴史の幕が開くのだった。

で、『大奥(2010年劇場公開)』(TBSテレビ20121003PM9~)原作・よしながふみ、脚本・高橋ナツコ、監督・金子文紀を見た。正徳五年(1715年)は徳川幕府・第七代将軍・徳川家継の御代だった。五歳で将軍職を継いだ史上最年少将軍だったが・・・この世では幼女だったのである。この世では「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」という恐ろしい感染症が蔓延し、感染した男子は五人に一人しか生存できないという事態となったのである。このために男子の人口が激減し、この世は女性によって運用されるようになっていた。男子は貴重な子種として珍重されたが、もはや、社会の主力ではなくなっていた。

女性中心社会の誕生である。

時は過ぎ、女将軍が当たり前となり、大奥は将軍の威光の証として、希少な男子を囲いこみ、美男三千人人が将軍に奉仕する女人禁制の場となっていた。

そんな時代の貧乏な旗本の家に水野祐之進(二宮和也)は生きていた。

家には跡継ぎの志乃(白羽ゆり)があり、仄かな思いを寄せる幼馴染のお信(堀北真希)は大店の跡取り娘であるために身分違いで結ばれぬ定めである。

それでも、祐之進は剣術に打ち込み、子種を求める女たちには奉仕の精神で応じる健気な武家の男となっている。

やがて、祐之進はお信への思いを断ち切るために、家長である母・頼宣(倍賞美津子)に大奥へ奉公に上がることを申し出る。苦しい家計を助けることもその理由の一つだった。

神社の境内で交わしたお信との口づけを思い出に・・・祐之進はお目見え以下の身分の男・水野として大奥に上がったのである。

江戸城大奥、そこは一度上がれば・・・里帰りもままならぬ・・・禁断の地であった。

身分を同じくする大奥の男・杉下(阿部サダヲ)の手引きで大奥の暮らしに慣れていく水野だったが・・・そこには「上様に認められ将軍の父となること」を夢見る男たちの欲望と嫉妬が渦巻いていて、生粋の江戸っ子である水野は辟易することになる。

そんな、水野を大奥総取締の藤波(佐々木蔵之介)や、御中臈の一人・松島(玉木宏)は何故か生温かい目で見守るのだった。

松島のお気に入りだった鶴岡(大倉忠義)は水野に剣の試合で敗れ、嫉妬と屈辱で我を忘れる。

そして、殿中での抜刀闇討ちを仕掛けるのだった。

「抜け・・・水野」

「抜けませぬ・・・我が刀は上様をお守りするためのもの」

抜刀しない水野に敗れた鶴岡は大奥の片隅で一人切腹をする。

武士の情けである・・・水野は介錯をするのだった。

鶴岡に切られ浅手を負った水野だったが・・・鶴岡の殿中抜刀について口を閉ざす。

そんな水野を大奥総取締の藤波は「男の中の男・・・」と生温くほめそやすのだった。

この一件で一目置かれる存在となった水野は垣添(中村蒼)たち若者にとりまかれるようになる。

やがて・・・正徳六年、享年八歳で第七代将軍・徳川家継が逝去すると・・・暴れん坊将軍の異名をとる紀州家の芳胸・・・ではなかった吉宗(柴咲コウ)が八代将軍となる。

吉宗は幕政改革の志を秘める大器であった。

ここに藤波が権謀術策を練り、水野を将軍にお目見えできる御中臈の身分に引き上げるのだった。

吉宗の質実剛健の好みを知り、水野を将軍の最初の男に仕上げるのが藤波の狙いだったのである。

なぜなら・・・新将軍の最初の寝屋に呼ばれた男は「ご内証の方」と呼ばれ・・・将軍の処女膜を破瓜し出血させるために将軍に傷を負わせた罪で死罪とされるのが・・・大奥のしきたりだったからである。

そうとは知らぬ吉宗は水野の名を問い、そうとは知らぬ水野は名乗りを上げる。

こうして・・・将軍と寝ることにより死を賜る「ご内証の方」に水野は選ばれてしまったのだった。

垣添に思い出の口づけを与え・・・杉下によって身を清められ化粧した水野は死の床へと向かう。

「すまぬな・・・このようなことで若き生命を捨てさせることになろうとは・・・」

「もったいないお言葉・・・」

「なにか・・・のぞみがあるか・・・」

「おそれながら・・・おのぶと名をよばさせてくださりませ・・・」

「・・・なんと・・・」

二人はするすると一夜の契をかわすのであった。

事後、吉宗は新たなる公儀隠密としたお庭番・三郎左(金子ノブアキ)に何事かを命ずる。

やがて・・・斬首となった水野。その死は病死として実家に知らされる。大奥での出来事はすべて秘中の秘だったからである。

水野祐之進の母は武家の主として・・・粛々と見舞金を受け取るのだった。

水野家の墓に参ったお信。

「かってに遠くへ行ってしまい・・・帰ってこないなんて・・・ひどいわねえ・・・でも、男と違って女は強いんですから・・・平気です・・・ほら、おむすびこさえてきましたよ」

すると・・・そこに町人姿の水野祐之進が現れた。

「ふふふ・・・おいらは江戸城で死んで・・・進吉って町人に生まれ変わったのよ・・・」

「ええーっ、おばけじゃないの」

「おばけじゃないさ・・・その証拠におめえに子種だって授けてやれるのさ」

「・・・でも、どうして」

「おっと・・・それは口にできねえんだ・・・」

こうして・・・二人は晴れて結ばれるのだった。

すべては・・・吉宗が側近の大岡忠相(板谷由夏)や加納久通(和久井映見)にはからってしくんだ筋書きである。

水野を「ご内証の方」にした後で松島を「将軍の父」にしようとした藤波の陰謀は潰えたのだった。

吉宗は大奥の経費節約のために・・・松島を含む美男たち五十人に暇を出してしまったのだった。

吉宗の戦いはこれからなのだ・・・。

さて・・・この後はテレビドラマ版へ繋がっていくのだが・・・吉宗の今後の活躍ではなく・・・物語は大奥誕生の秘密をめぐる第三代将軍・家光の時代に遡上するのである。

「大奥 〜誕生〜」・・・間もなくである。

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最後の約束

梅ちゃん先生

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2012年10月 3日 (水)

あの窓もこの窓も灯がともり強行帰国〜忘れ去られた花嫁たち〜(前田敦子)

さて・・・振り返ってみると今年の夏は・・・ほとんど戦争ドラマがなかったのである。

そういう意味では「ぼくの夏休み」がたとえどんなに奇作であっても・・・貴重だったということになる。

みんな、五輪に夢中で・・・67年前の戦争になんかかまっていられなかったのだな。

そのツケが秋になって「日中国交正常化40周年なんてみんな幻」となってやってきたのだな。

そういう意味ではNHKが春先にやった「開拓者たち」は先だしで大成功だったと言えるのではないか。

基本的にキッドは実話プラスドラマという形式は胡散臭さが極まると考えるのだが・・・まあ、ドラマ本編に感情移入しにくい・・・という実感もあります。

今回もまた・・・同様の悪路が展開されていて一同爆笑である。

もうちょっと・・・「独立愚連隊」(中国人2000人を引率して戦闘に加わる帝国軍人・国友忠をモデルにする)でドンパチする展開が前半はあってもよかったのではないか・・・できるかっ。

とにかく・・・これだけは言っておく・・・負ける戦争はするな・・・ということである。もう、敗戦しちゃうと大変なんですから。

で、『日中国交正常化40周年特別番組『強行帰国〜忘れ去られた花嫁たち〜』(TBSテレビ20121001PM9~)脚本・土城温美、演出・三城真一を見た。例によって、「霧の火」の如く敗戦、そして旧ソ連軍の悪逆非道な落ち武者狩り、非力な女子供の阿鼻叫喚である。今回は「大陸の花嫁」と呼ばれ満蒙開拓団に嫁いだ女性たちのうち地獄を生き抜き中国人と結婚して生き延びて中国残留婦人と呼ばれるようになった女性たちの戦後の悲喜劇の顛末である。

日中戦争の最中、浪曲師・国友忠(渡哲也)は麻布三連隊から北支に派遣され中国で中国人になりきって最前線で諜報活動に従事。昭和19年、戦火を潜り抜け、九死に一生を得て帰国した。戦後は浪曲師としてそれなりに成功をおさめたのだった。やがて残留婦人の存在を知り、その救済のために私財と生活のすべてを賭ける決意を固める。

中国残留邦人の一時帰国を助ける「春陽会」を主宰したのである。忠の浪曲の三味線を弾いていた沢村豊子(藤吉久美子)の娘・弘子(前田敦子)は独りで奮闘する忠の姿を見て、「春陽会」の手伝いを始めるのである。

戦後育ちの弘子にとって・・・日中戦争の戦果がどれだけ実り少ないものだったかを知ることは難しかったが・・・苦しんでいる人々を助けようとする忠に共感し、腰の重い日本政府に反感を抱くことはやぶさかではない。

しかし、なんだかんだと工作員を日本に送り込んでくる中国人の手口があるだけにうかつに門戸は開放できない政府の立場もあるのだった。

清濁併せ持つ忠は「囲碁と同じで・・・これはゲームなんだから・・・勝つ為の戦略がある」と諭すのである。

いわば・・・「賢民打布石(賢い民間レベルで布石を打ち)愚官作法案(馬鹿な官僚に法案を作らせる)必勝法」なのである。

しかし、身元引受人がいなければ中国残留日本人の永住は認めないという政府の姿勢により、一時帰国しか認められなかった老婦人(森康子)の覚悟の自殺により、ついに涙腺が崩壊するのである。

「日本で死ぬためには自殺するしかないなんて間違ってます・・・ぱふ」

呼んでも答えぬ人波にもまれて

まいごの子犬はひとりでないた

「耐えるのだ・・・チャンスは必ずやってくる」

「・・・」

そして・・・そのチャンスがやってきた。

1993年6月18日、宮澤喜一を首班とする宮沢内閣不信任案可決に伴う衆議院の解散、そして「新党ブーム」に乗って「さきがけ日本新党」を結成した細川護熙総理大臣(武村内閣官房長官)の誕生による政権交代のドサクサが発生したのである。

「いまは・・・みんな素人みたいなもんだからチャンスである」

忠は・・・残留婦人の一人、竹越リエ(倍賞美津子)に秘策を授けていた。

帰りたい帰れない中国残留婦人による・・・強行帰国である。

「私たちは中国には帰らない・・・日本に帰ってきたのだから・・・」と日本のパスポートをもつ12人の「中国残留婦人」が成田空港に籠城したのである。

「細川総理、永住帰国を認めてください」

この珍事にマスメディアの取材が殺到し、世論の同情が集まった。

まだ、人々の心にはゆとりがあったのである。

そして・・・仕方なく政府が動いたのだった。この「事件」が契機となって、1994年に「中国残留邦人支援法」ができたのだった。中国残留邦人の帰国と帰国後の援護は国の責務と明記されたのである。

「これでおばあちゃんたち・・・みんな日本で死ねますね」

「いや・・・おばあちゃんたちはこれから日本で生きるのだ」

「残留孤児の2世、3世とちがってマフィア化したりしないから安心ですね」

「お前・・・」

とにかく・・・あれから20年である。2005年(平成17年)に国友忠は逝去した。

いま、第二次日中戦争開戦前夜にあたって悲劇が繰り返されないことを祈るばかりの今日この頃なのであった。

関連するキッドのブログ→栞と紙魚子の怪奇事件簿

太陽と海の教室

マジすか学園

最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜

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2012年10月 2日 (火)

リセット~本当のしあわせの見つけ方~私の17才知りませんか?(志田未来→鈴木保奈美)

三人の45才の女たちが、28年間をファンタジー的手法で時間遡行し、17才の女子高校生から人生をやり直すという物語である。

で、このメンバーが・・・。

鈴木保奈美(46)→志田未来(19)

高嶋礼子(48)→桜庭ななみ(19

坂井真紀(42)→山谷花純(15)

微妙にズレてるわけだが・・・それをなんとかしてしまう・・・それなりの女優力があるわけである。

17才の記憶情報と45才の記憶情報の融合はかなり、超高度なすりあわせが必要となるはずだが・・・まあ、ファンタジーなのでそのあたりは穏便にすますのだな。

45才の記憶を持ちながら・・・高校の試験勉強は考えただけでもつらそうで・・・偏差値は確実にリセット前より落ちるだろう・・・などとリアルに考えてはならない。

結局、「専業主婦って最高!」というオチにも見えるが・・・早い話が「なにはなくても女ともだち」オチである。

まあ、要するにハーレクイーンロマンス風・・・っていうことです。

で、『リセット~本当のしあわせの見つけ方~』(TBSテレビ20120930PM9~)原作・垣谷美雨、脚本・浅野妙子、演出・竹園元を見た。鈴木保奈美は17~18才くらいでホリプロタレントスカウトキャラバンの審査員特別賞を受賞している。それが28年前の1984年なので微妙に計算は合っているわけである。もちろん同級生と結婚するわけだが、寺脇康文(50)なのでまた少し調整が必要となるのだが・・・そういう部分を除けば軽いファンタジーとしてはなかなかの秀作でございました~。

二人の愛を 確かめたくて

あなたの腕を すりぬけてみたの

かって女優になるのが夢だった香山知子(鈴木保奈美)は45才の専業主婦である。特に不幸と言うわけではないが・・・妻よりも母を大切にする夫・浩之や母親よりも携帯電話を愛する娘から疎外された気分を味わっていた。

その些細な孤独感は鬱屈し・・・不安定な心を作っていく。

そんなある日・・・テレビでかっての同級生そっくりのスターを発見する。

シオン(東出昌大)は全く年をとっていない高校時代のままの花房絢に生き写しだったのである。

その時から知子は魔界に入り込んだのである。

魔に魅入られた知子は結婚式以来音信不通の同窓生・赤坂晴美(坂井真紀)に電話をかける。

「どうしたの・・・急に・・・誰か死んだの?」

「シオン・・・って知ってる?」

「もちろん・・・」

「花房くんにそっくりじゃない?」

「何言ってんの・・・私たちがオバさんになってるのよ・・・花房くんだってオジさんでしょ・・・」

「そうなんだけど・・・」

「主婦はいいわね・・・ヒマで」

晴美は数十年疎遠だった知子に悪意を感じた。

高校を卒業して以来・・・水商売で生きて来た晴美は・・・今や清掃の仕事でなんとか生計をたてているのである。結婚して家庭を持っている知子のどこか贅沢な悩みを敏感に感じ取っていた。

酔った客(ベンガル)がホテル代を惜しんで路地裏で性交におよぼうとした屈辱が脳裏によみがえると晴美は身の置き所がない気分になるのだった。

シオンのマネージャーは黒川薫(高島礼子)だった。実はシオン=花房絢は魔性のものだった。そのことに気がつかないまま、薫は有能なキャリアウーマンとして生き、婚期を逃していたのだった。

オフィスでは充実した日々を送る薫だったが・・・プライベートでは認知症を発症した老母好恵(高橋惠子)と二人暮らし・・・慣れぬ介護に疲弊している。

魔性のものはそんな三人を眺めてほくそ笑むのである。

永遠の青春を生きるシオンにとってかっての同級生たちは憐れで面白いのだった。

そして・・・魔の時空間を使い、三人に青春時代のリセットを提案するのだった。

「もしも17才に戻れるとしたら・・・どうする?」

「そりゃ・・・戻れるなら戻りたいわよ」

魔性のものにはその言葉が契約の印なのである。

ふと気がつくと・・・三人の女は17才に戻っていた。彼女たちは実はクラスメートだったのだ。

かっての三人はそれほどの仲良しではなかったが・・・今や、未来からきた本当はオバさんの女子高校生三人組である。固い絆を感じざるを得ないのだった。

香山知子から三好知子(志田未来)に戻った知子は母親の由紀恵(奥貫薫)に未来の自分を見る。夫に服従する専業主婦。そこにあるのは主人と奴隷に準じた人間関係だった。大人になりきれないくせに粗暴でだめな家長は朝ドラマの「純と愛」の武田鉄矢に通じるテーマである。朝ドラヒロインと同じように父親にビンタされる知子だった。

水商売で稼ぎながら女手一つで自分を育てた母・澄代(藤吉久美子)・・・未来ではすでに他界している・・・高校生になった晴美(山谷花純)はその苦労が昔より理解できるのである。しかし、未来への絶望はより深まっていく。

そんな晴美に・・・知子は友情の心を注ぎ、女の魅力を開花させる。

知子の未来の夫(栗原吾郎→寺脇康文)は盛んに知子にアプローチをかけるが「俺は生意気な女は嫌いだ・・・君くらいに大人しい女がちょうどいい」などと「男女雇用機会均等法」に逆行する姿勢が鼻につく。

しかし・・・そんな浩之は実は・・・薫(桜庭ななみ)の片思いの相手だったのである。

真実の過去では知りえなかった架空の事実を知り・・・三人の絆は深まっていく。

「浩之くんと結婚するの・・・」

「いいえ・・・私はそれを否定したんだもの・・・」

「じゃ・・・私がもらってもいいかな」

「・・・いいわよ」

「あなたはどうするの・・・」

「私・・・女優になる」

二人の愛を 抱きしめたくて

光の中へ 溶けこんでみたの

まあ・・・あまり触れられない晴美の過去・・・おそらく虐待の過去があるわけで・・・を含めて連続ドラマ化も可能なボリュームである。

しかし・・・ドラマの限界というものがあるので・・・この後は・・・リセット後の28年があっという間に経過する。

知子はそれなりの女優になり、魔性のものと魔性の愛に包まれて生きている。

女優として「専業主婦」を演じた知子は再び寂寥感に襲われるのだった。

「寂しくなったんだね・・・」

「だってあなたは永遠の青春の中にあるのに私は年老いていくのよ」

「28年目になったら一度だけ・・・元の世界に路線変更できるんだ・・・どうする?」

「・・・」

香山薫となった薫だが、共稼ぎを経由して・・・夫の浩之は失業者となっていた。

結局、薫は優秀すぎるのが仇なのである。

富豪(温水洋一)の妻となった晴美は一児を儲けるが幼児虐待の呪いによって愛する我が子を苛めないではいられない地獄に堕ちていた。

まあ・・・所詮は魔性のものが用意した分岐世界なのである。

三人は・・・最初の世界に帰還することを選んだ。

他人より28年長く生きている三人は・・・それなりに前よりも45才を上手に生きられるようになっていた。

香山知子に戻った知子は夫や娘に少し、自己主張ができるようになったのだ。

些細な前進であった。

しかし・・・何よりも昔と違うのは固い友情で結ばれた女友達ができたということなのである。

まあ・・・この脚本家はいつだって愛する異性より仲良し同性オチに持って行くわけですがーーーっ。

動かないで おねがいだから

好きなんだもの

まあ・・・とにかく・・・魔性のものは魔女たちからそれなりになんらかのエキスを抽出しているわけで・・・その点はまちがいなく・・・ホラーテイストなのです。

関連するキッドのブログ→ゴーストママ捜査線~僕とママの不思議な100日~

私と彼とおしゃべりクルマ

プロポーズ大作戦

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2012年10月 1日 (月)

秘密警察長官始めました~(森田剛)

おい、ここで「私と彼とおしゃべりクルマ」(AMAMIYA)をひきずるのかよっ。

・・・っていうか、「彼」がタイトルを飾る日が来ようとは・・・まあ、重要人物ですがね。

清盛の妻の弟で、後白河法皇の妻の兄・・・まさに史上最強の姉と妹を持つ男である。

ある意味、凄い星の下に生れている。

それだけに・・・「実力はない」と評価されがちの男だと思われる。

しかし・・・これだけ系累に恵まれながら結構、浮き沈みの激しい男なのである。

そして・・・なんと平家没落後も没落しなかった男なのである。

なかなかのやり手だったと想像できる。

仁を重んじ、義に殉ずる者を愛する人々からはとんでもない男だが・・・悪魔としてはかなり高く評価されるべき人間だと考えます。

で、『平清盛・第38回』(NHK総合20120930PM8~)脚本・藤本有紀、演出・渡辺一貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は、万歳、万歳、万歳三唱、ついにキターッ、熱海の捜査官から待ちかねた高倉天皇中宮にして安徳天皇の国母となる建礼門院・平徳子のトレビアンな描き下ろしイラスト大公開そして、俺、やっぱり悪い奴な平関白時忠の描き下ろしイラスト大公開でもう、乾坤一擲、血圧上昇的歓喜でお得中のお得でございます。なんて素敵な叔父と姪なのでございましょう。ちりとてちん的には妄想盛子(貫地谷しほり)が実際にシークレットキャスティングされてもいいのに・・・と考えるのはキッドだけでしょうかっ。

Tairakiyomori36 嘉応三年(1171年)四月に承安と改元された元年の暮れ、平清盛と平時子の息女・徳子は・・・後白河法皇と建春門院平滋子の子である高倉天皇の女御となり、翌承安二年(1172年)二月に中宮となった。これによって平清盛は後白河法皇と義理の兄弟であると同時に高倉天皇夫妻の父親同士となったのである。清盛の血縁工作はよどみなく進展して行く。後白河法皇を中心に考えれば実の同母姉の上西門院がおり、妻・平滋子の姉、平時子の夫である平清盛という義理の兄がいる。その清盛には異母弟が多数おり、また義理の弟の平時忠がいる。兄弟姉妹だらけである。後白河法皇と上西門院の母は待賢門院である。それに対して異母妹の八条院は美福門院を母に持つ。美福門院存命中は父の鳥羽院にこよなく愛された八条院である。待賢門院の子である後白河法皇は不遇の時を過ごしたこともあった。そういう経緯が・・・後白河法皇と八条院という異母兄妹に幽かなわだかまりを作っている。母・美福門院の財を受け継いだ八条院は豊かな財力を持っている。後白河法皇が寵愛した藤原成子の御子である以仁王を八条院が猶子としたのは一種の政治的配慮によるものだった。つまり、待賢門院系と美福門院系の融合である。しかし、平家の勃興により、それは形骸と化していた。美福門院系の政治的参入の余白はなかったのである。八条院に愛されるほど才能に恵まれた以仁王と不遇とそのとりまきたちの鬱屈は日々、蓄積されていったのである。

平時忠にとって八条院は義理の妹の夫の異母妹である。つまり、二人は義理の兄妹にあたる。そして、終焉を迎えつつある魔都・平安京で暗躍を繰り広げる最大のライバルなのであった。

上西門院統子は四十五才となっていた。しかし、その美貌はまったく衰えない。斎宮という処女巫女の功徳か・・・と屋敷に招かれた滋子は思う。三十路を迎えた滋子も美貌に遜色はないが・・・漫然とした羨望を覚えるのだった。後白河法皇の姉であり准母でもある統子は男子であれば伝説の聖徳太子を上回る治天の君となっただろうと噂されている。しかし、天は女という性をこの人に与えたのだ・・・と滋子は考える。

同時に滋子は上西門院に女御として仕込まれた日々を懐かしく思う。

「息災のようじゃな・・・なんでもうわばみのように酒を過ごされるとか・・・」

「・・・申し訳ありませぬ」

「よいのじゃ・・・わが弟が今あるのも汝のおかげと思うておる・・・」

「もったいなきお言葉・・・」

「あれは・・・まだ跳ぶか・・・」

「時折・・・ただ、跳ぶ気配あれば上西門院様より教わりし秘法で呪縛いたしまする」

「あれの護身のための天狗おろしだったが・・・まさか、このようなことになるとはの・・・」

「・・・」

「どこぞの山に跳ぶほどなら良いが、月にでも跳んだらことだからのう」

「月に・・・でございますか」

「察するに月は海の中のようなもので息ができぬらしい」

「息が・・・」

「月に跳べば即死じゃ」

「おそろしゅうございます」

「ふふふ・・・汝の実の兄、義理の兄もなにやらおそろしいらしいぞ・・・」

「・・・」

「いや、何かとがめ立てをしているわけではない。清盛のすることも時忠のすることも・・・皆、意味があり、定められたことなのじゃからな・・・」

「さようでござりまするか」

先の世を見ることができると言われる統子の言葉に不思議な思いを抱きながら滋子は次の言葉を待つ。

「それよりも気になるのは妾の妹の一人・・・八条院のことである」

滋子は五つ年上の義理の妹の顔を脳裏に浮かべる。対妖弧戦争では共に戦った同志であるが・・・最近では以仁王の親王宣下問題によって疎遠になっている。

「あれに・・・なにか憑いたらしい・・・」

「・・・」

「おそらく・・・妖狐の名残じゃろう・・・」

「しかし・・・妖狐は滅ぼされたのでは・・・」

「ああいうものはけして滅ぼすことは叶わぬのじゃ・・・いわばすでに滅んでいるようなものじゃからな」

「それでは・・・」

「あらかたは封じたが妖気となって漂っていたものが・・・寄り代として八条院を選んだのであろう・・・それも因縁じゃ・・・」

「中宮太夫の兄(時忠)が申すには・・・八条院様は陰陽師を集めておられるとか・・・」

「うむ・・・それもよからぬ素姓のものたちじゃ・・・闇の陰陽師たち・・・」

「闇の陰陽師・・・」

「それで・・・もしもの時のために護符を作った・・・」

「どのような護符でしょうか」

「汝の命を守るためのものじゃ」

「・・・」

八条院の屋敷には行者姿の者たちが集っていた。

その中央に座すのが八条院暲子である。

行者たちは真言を唱えている。

気を操るための曼荼羅が床に敷かれ、それは一つの方位を示していた。

「オン・バサラ・ダトバン」

「オン・アビラ・ウンケン」

金剛界大日如来、胎蔵界大日如来の真言によって高まった気は雷鳴を轟かせる。

紫電がほとばしったのは鞍馬山だった。

「魂降りましたぞ・・・」

「うむ・・・」

八条院は重々しく頷く。

その頃、鞍馬山中で修行していた遮那王は怪異に出会っていた。

巨大な猿に遭遇したのである。

「これは魂消た・・・お主は何者じゃ」

「我は沙流王じゃ・・・ずっとこの地に封じられておった」

「異国の神か・・・」

「そうじゃ・・・この国の鬼の一族が我の一つ目を封じこの山に閉じ込めたのだわい」

「するとお主は目が見えぬのか・・・」

「いかにも・・・しかし・・・目などなくてもお前を食らうことはできるぞ」

大猿はそう言い放つと遮那王に跳びかかった。

しかし、すでにそこに遮那王はいない。

「面白や・・・猿飛の術か・・・」

「さあ・・・術の名など知らぬ・・・」

樹上から遮那王は沙流王を見下ろしている。

「どうやら・・・お前は食えぬものらしい・・・どうじゃ・・・とりひきせぬか」

「とりひき?」

「そうじゃ・・・封じられた目を捜せ・・・さすれば・・・汝に猿飛の奥義を授けるぞ・・・」

「ふふふ・・・そんなとりひきには応じられぬ・・・」

「何?」

「なぜなら・・・お主を食うのは・・・この遮那王じゃからじゃ・・・」

遮那王は太刀を閃かせた。源氏の秘剣・鬼食いの太刀である。

次の瞬間、妖魔は断末魔の叫びをあげる。

「ふふふ・・・もらったぞ・・・鬼一方眼・・・沙流王の魂を食ろうてやったわ」

「お見事でござる」

闇の中から鬼一方眼と呼ばれた一人の行者が立ちあがった。

「これで遮那王様は完全なる猿飛の術を得ましたぞ」

「うむ・・・力がみなぎってくるぞ・・・」

樹上から降り立った遮那王は三つ目だった。

遮那王の額に開いた第三の目こそ・・・封印された沙流王の目であった。

闇の陰陽師たちは邪法を用いてそれを遮那王に移植していたのだった。

遮那王は再び樹上に跳びあがると木々の間を笑いながら去って行った。

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