パーフェクト・ブルーと千葉すずのうるんだ瞳(キッド)
いやあ・・・迷ったよ。
たいして面白くもないドラマ「パーフェクト・ブルー」と競泳史上最大のミステリー「壮絶・・封印された過去 私はなぜやめたのか・涙と後悔・・伝説の引退SP・千葉すず編」の間でねえ。
それにしても瀧本美織は貧乏くじ弾き続けるな・・・。
しかも・・・ほぼ女探偵・加代子(瀧本美織)と元警察犬のマサ(声・船越英一郎)で成立する話を・・・無理矢理、女探偵チームに仕上げて・・・どうするつもりなんだ・・・こりゃ・・・。
で、『宮部みゆきミステリー パーフェクト・ブルー・第1回』(TBSテレビ20121008PM8~)脚本・山崎淳也、演出・唐木希浩を見た。原作の二つの小説は長編「パーフェク・トブルー」と短編集「心とろかすような─マサの事件簿」である。おそらく・・・長編小説を連続ドラマの主軸に添えて短編の事件をからめていく・・・という流れなのである。原作的には数が不足しているので・・・オリジナルを含むかもしれない。
今回は「心とろかすような─マサの事件簿」の一篇、「てのひらの森の下で」をアレンジしたものと思われる。
宮部みゆきというのはどこか冷たく、どこか暖かい不思議な感性を持った作家だと思うが・・・そういう情感は初回からは見事に感じられない出来にしあがっています。
死体を発見した加代子とマサが「本物/偽物」で人間と犬の越えられない壁を体験するのがその核心であるのだが・・・この重要な点が木端微塵なのである。
まず・・・生きている死体を発見するのは謎の女(星野真里)からの依頼がらみなのである。
「ストーカーに狙われている」という女に付き合って朝のジョギングの警護にあたった加代子とマサは・・・偶然を装って「それ」を発見する。
何故か携帯電話は圏外になっており・・・加代子が公衆電話を捜している間に見張りをしていたマサは何者かに殴られて昏倒してしまうのだった。
犬を死なない程度に殴って気絶させるという加減がよくわかりません。
やがて・・・死体が実は生きていて謎の女の恋人(窪田正孝)であることが判明する。
二人がそういうことをした理由が最後までよくわからない展開です・・・信じられないかもしれないが本当なのです。
いや、実際には闇の資金を強奪するためのアリバイ作りだったということなのですが・・・何のために死体になっていたのか・・・という辺りがものすごく説明不足なのである。
ついでに・・・恋人には兄がいて・・・早くに親を亡くした兄弟は・・・兄が弟の親代わりになって育てて来たという経過があるのだが・・・口頭で言われても何一つピンとこないのです。
さらには・・・天涯孤独で施設育ちの謎の女が・・・弟の恋人でありながら・・・なんとなく兄にも家族愛を感じている展開なのであるが・・・ものすごくわかりにくいのです。
最後は・・・善良な兄を非情な弟が殺害し、恋人も殺そうとするが逆襲され、凶悪な謎の女に刺され、女も自殺未遂・・・加代子もマサも立ちすくむという・・・物凄い結末である。
もう・・・なんだか・・・どうでもよくなること間違いなしでございます。
シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→mari様のパーフェクト・ブルー
一方・・・競泳界の沢尻エリカと自分で言っちゃう千葉すずのロング・インタビューを軸とした擬似ドキュメンタリー。
生意気でひたすら可愛かった十代のバルセロナオリンピック、アトランタオリンピックの日本代表時代。
「五輪を楽しみたい」・・・今では誰もが口にする合言葉である。
なにしろ・・・アスリートにとってリラックスすることが大切だということが理解されなかった時代なのである。
「朝ごはんは何を食べましたか?」
インタビュアーにとってこの質問は基本中の基本なのだが・・・あくまで・・・リラックスのための予備質問である。これをメインで聞かれたらアスリートだってうんざりするわな。
そして・・・金メダルの中学生・岩崎選手を「うらやましくてくやしくて・・・嫉妬しました」というストレートさ・・・天晴だね。
まあ・・・大人の事情と言うものに対して寛容的な態度をとれる大人しい子供もいるが・・・そうでない子供がいて・・・それを許容できないのは大人の罪に決まっているのである。
そして、社会人になって久米宏的挑発的言動に対して・・・。
みんなメダルメダルって、そんなに欲しいなら自分で取ればいいじゃないですかっ。
日本人はみんなメダル気違いですよ。
天晴である。蒼ざめた馬を見るがいいのだな。
やがて・・・シドニー五輪代表選考会で標準記録を突破しての優勝。
そして疑惑の代表漏れ。
ついにスポーツ仲裁裁判所に連盟を提訴。
代表選考は覆らなかった・・・しかし・・・選考基準の曖昧さが指摘され裁定は痛み分けだったのである。
その時の晴れやかな千葉すず選手の微笑み。
たとえ、編集上のマジックだったとしても誰が正義だったのかははっきりと分かるのだな。
山本貴司と結婚し・・・夫はアテネで銀メダルを獲得した。
母親となった千葉すずの瞳の奥では獲得できなかった五輪のメダルが今も輝いているのだった・・・。
かわいいよ、千葉すずかわいいよ。
・・・おい、パーフェクトブルーはどうすんだ・・・こんな筋書きのないドラマ完結編があったら明らかに眼中にありません。
ここは・・・「アレ」が始るまでは谷間ですよ~。
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