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2012年10月25日 (木)

好もしからざる女だった君が去ったあとは(松山ケンイチ)

一国を支配するということはなかなかに困難なことである。

もっとも単純な支配方法は何だろうか。

少なくともその一つはより大きな存在からの支配を受けることであろう。

それが「権威を得る」というものである。

逆により大きな存在は小さなものが支配を受け入れることによって支配力を高めていく。

日本史の薄明期においては大陸の帝国から王国として認知されることが列島国家の成立に関わっている。

半島からの幾度かの侵入により、いくつかの王朝の交替があり、幾度かの内乱により、いくつかの王朝の交替があって・・・いつしか列島には「帝」を頂く天皇朝が出現する。

もはや外国の権威がなくても支配が可能なほどの集団が成立したのである。

その頂きに帝が立つ。そこでは権威に関する模倣が発生する。

帝は地方の豪族たちに「支配」を許し、豪族たちは帝の「支配」を認める。

この相互依存はあらゆる支配の雛型とも言えるだろう。

以来、様々な起伏はあれども・・・列島の人々はその支配関係の下に身を置いている。

未だに、時には外国からの支配さえも必要としながら、列島の支配者たちは命脈をつないでいるのだ。

平安京末期はその一つの分岐点だったと言えるだろう。

「平家」は「王家」を奪取しようとし、「王家」はそれを拒絶して結局、いくつかの権威を放棄する。

その結果、「武家」は台頭し、その新たなる「支配の形」は現在に至るまで続いている。

日本人という境界の曖昧な集団はとにもかくにも平清盛がいなければこうはならなかったかもしれないのである。

そして・・・建春門院滋子がもう少し長生きしていたら・・・歴史は確実に変わっていただろう。

運命とはかくの如しもの。

で、『平清盛・第41回』(NHK総合20121021PM8~)脚本・藤本有紀、演出・佐々木善春を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は村上源氏中院流の出身の天台座主・明雲のイラスト描き下ろし・・・もう一人の日本の影の支配者の迫力満点でございます。日本の三人の主である武力の清盛、法力の明雲、王力の後白河院の暗躍こそが・・・ひとつの焦点でございますねえ。誰もが中央集権を目指しながら頂きに立つことを目指す。山頂というものは狭いと相場が決まっていますからな。

Tairakiyomori39 安元二年(1176年)、建春門院滋子が逝去すると後白河院と平家一門の関係には緊張感が漂うことになる。院近臣の抜擢人事が展開され、蔵人頭に藤原北家道綱流の藤原定能と藤原北家御子左流の藤原光能が任じられる。これは平頼盛の権中納言昇進と連動した人事であった。清盛の異母弟ではあるが頼盛は反主流派である。その抜けた穴に平家以外のものを登用する。この人事は平家にたいする挑発と言える。しかし、翌安元三年(1177年)に平重盛が左大将、平宗盛が右大将に任じられ、後白河法皇はバランスを保つ。しかし、平家の武力を背景に政治的支配の強化を目指す後白河院と朝廷の権威を背景に経済的支配を目指す平清盛との権力闘争は新たな局面に入っていた。かって清盛は政治的支配を目指す王家や摂関家と宗教的支配を目指す仏教勢力との権力闘争において一つの駒だったことがあった。しかし、宗教勢力を一つの駒として用いることが可能なほど兄弟になっていたのである。清盛は宗教的独立を維持しようとする比叡山延暦寺と密約を交わし、宗教勢力の統一支配を目指す後白河院側近に一石を投じるのだった。加賀国の比叡山勢力末寺と藤原加賀守とのささいな争いはやがて加賀守の父である後白河院の側近・西光の責任問題へと発展する。延暦寺の大衆は京に侵攻し、平重盛の指揮のもとで防衛戦を張った京都防衛軍と全面衝突に至るのである。戦闘は痛み分けに終わるが、後白河院は政治的権威を傷つけられ打撃を受けるのだった。後白河院は背後に平家の策略があることを看破することにより・・・逆に追い詰められていくのである。

上西門院統子親王は所有している仁和寺法金剛院にいた。

妖魔との戦いにより持ち駒である建春門院を失い、先行が不透明になったために卦を立て直す必要に迫られていた。何よりも天狗が憑依している弟の後白河法皇が暴走する可能性が出て来たのである。

聖徳太子より伝わる夢占いは誰にでもできる秘法ではなかったが・・・統子にはその能力があった。これまでも幾多の危機を未来透視で乗り切ってきたのである。

しかし、異母妹である八条院が妖魔化したことにより事態は複雑化していた。

最良の選択を求めて夢に潜るのである。

両面宿禰である義弟の平清盛、その妻である時子、天狗である同母弟の後白河院、妖魔と化した異母妹の八条院。かって妖魔との戦いで力を合わせたものたちの最善の未来を選びとらなければならなかった。

眠りにおちた統子は平安京を俯瞰で眺める。

空を飛ぶように時を滑空する。

統子が介入することで変化する未来は万華鏡のように姿を変えていく。

東から火の手があがり、京が炎に包まれる未来。

清盛が後白河院に暗殺される未来。

後白河院が清盛に斬殺される未来。

今以上に民が飢え苦しむ未来。

目まぐるしく変わる時の流れに統子は歯を食いしばる。

何度目かの出発点への帰還の途中であった。

統子は影の存在に気がついた。

統子はひらりと幻想の羅城門の上に降り立った。

「誰じゃ・・・」

「統子親王様・・・婆の穏行を見破るとは流石でございまする」

「夢渡りに忍びこむとは尋常のものではあるまい・・・」

「さて・・・もののけと思われてもいたしかたごらぬな・・・それでもうつつの顔をご披露いたしまする」

「あ・・・」

影はむくりと身を起こした。そこにいたのは父・鳥羽天皇の父・堀河天皇の父・白河天皇の愛妾であり、兄・後白河院の詩歌の師匠である乙若であった。

「おばあさま・・・」

乙若こと祇園女御は統子の母・待賢門院の育ての母である。

統子は一瞬にしてすべてを悟った。

「それではおばあさまは・・・いつも妾の夢に潜んでおいでだったのですね・・・」

「いかにもさようでござりまする・・・ばばもまた遠きアマテラスの血を受け継ぐもの・・・王家の守り姫の一人でござりますからのう」

「そうだったのですか・・・」

「姫よ・・・最善を尽くすことはなによりのことでございますが・・・この世にはまた限りというものがございます」

「・・・」

「姫がこの国にとりついた異国の魔を払ったことはまことに立派なことでした・・・」

「しかし・・・それもまたさだめなのですね」

「いかにも・・・婆もまた今生に別れを告げる時が迫ってまいりましたゆえに・・・ごあいさつを申しあげようと思いましてな」

「もしや・・・おばあさまは妾よりはるか未来を見通しておいでなのではないでしょうか」

「いかにも・・・しかし・・・それゆえに今日明日のさだめは見えませぬ・・・姫の方が見渡す力をお持ちなのでございまする」

「この国はいかがなってゆくのでしょうか」

「ご安心なされ・・・姫様のお力で明日はよりよく変化しましたぞ・・・」

「婆様・・・」

統子ははじめて自分の孤独な戦いが報われたことを知った。

同時に心に孤独そのものが押し寄せてくる。

「法皇様の天狗は今しばらく婆の余力でおさえましょうぞ・・・」

「婆様・・・」

「それでは後の世でまたお目見えいたしましょう」

「婆様」

統子は初めて心を通わせた本当の同志が黄泉の国へ旅立つ気配を感じとった。

暗い院の燈明がふと消える。

闇の中に横たわる統子の頬に涙がひとしずく流れていく。

関連するキッドのブログ→第40話のレビュー

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