中華料理店の日給10,000円、仕事のあとの一服の清涼感PRICELESS(木村拓哉)
わらしべ長者といえば・・・企画会議でもう何にも思いつかんと言う状態でそっと出されるアイディアで、藁にもすがる無能なスタッフが一応やってみるかと採用して大抵失敗に終わる企画である。
なぜなら、手垢が付きすぎているからである。
今回はそれがドラマでしかも・・・かなりメインのアイディアである。
ひやっとするが・・・そこはマネーゲームにこだわる作家の脚本だけに抑制がきいていい味に仕上がっているようだ。
もちろん、「マネー」を主題に置けば「物々交換」という「マネー以前」の話というのは当然、考慮する必要のある項目と言えるだろう。
つい、最近まで「米」が「マネー」だった国の話である。
「米」と「銭」の前は、「米」と「金」と「銭」だったし、その前は「米」と「絹」だったし、その前は「米」と「貝殻」だったりもしたわけである。
貨幣経済が庶民にとって主流となったのはつい最近だし・・・そのために「米」はありがたいもので、「銭」は不浄なものという偏見がまだまだまかり通っている。
「米俵」を担がなくても「銭」があれば「物々交換」が成立する。すべては「便利」のためなのである。
ここまで、このドラマの物々交換は北別府のサインボール→「トイズ」と言う名の箱入りキャラメルのおまけの「戦国武将フィギュアシリーズ・山中鹿介幸盛(レアアイテム)」が成立している。
今回は「山中鹿介幸盛」→中華料理店「青春軒」でアルバイトする権利→労働報酬としての一万円札→店主送別会の費用→思い出のラーメン屋台・・・と物々交換が展開して行く。労働だとか感謝の気持ちとかそういうものも「物質」であるという考え方がある。あるいは物理的現象と言ってもいい。
そういう視点で「わらしべ長者」を展開すればギリギリセーフということだ。
で、『PRICELE$S?あるわけねぇだろ、んなもん!?・第3回』(フジテレビ20121105PM9~)脚本・古家和尚、演出・平野眞を見た。その日暮らしの王子・金田一二三男(木村拓哉)が新社長・大屋敷統一郎(藤木直人)の異母兄弟だったためにミラクル魔法瓶を解雇された陰謀に首をつっこんで解雇された経理の魔法使い・二階堂彩矢(香里奈)だった。せめてもの救いはちびっこ盗賊兄弟の鞠丘貫太(前田旺志郎)両太(田中奏生)にラーメン二杯と交換で「戦国武将フィギュアシリーズ・山中鹿介幸盛(レアアイテム)」を入手できる交渉が成立することであった。
しかし・・・その人形はたまたま入った中華料理店「青春軒」の店主・佐倉辰彦(木村祐一)に奪取されてしまう。
前回指摘した通り、金田一は植木等、二階堂は谷啓のポジションである。
金田一は無責任全開で、二階堂はふりまわされるのである。
金田一のために職を追われた二階堂のささやかな楽しみを奪うことくらい・・・その日暮らしの王子には造作もないことなのだった。
金田一は兄弟にあげたはずの人形の所有権を行使して、人形と引き換えに中華料理店のアルバイト時給900円~を入手するのだった。
「え~、お願い、お願い」という二階堂の懇願も虚しいのである。
キッドなら一生怨むところだが・・・どんだけコンプリートしたいんだよ・・・谷啓ポジションの二階堂はこの運命を甘んじて受け入れる他はない。
同時に金田一の非情さは異母兄弟の大屋敷統一郎に通じるものであることを指摘しておく。
だが、金田一と大屋敷の差は捨てられた猫である二階堂とルーム・シェアをすることで示される。驚くべきことに場末の女将・鞠丘一厘(夏木マリ)の経営する「幸福荘」はただ今、満室なのだった。
カーテン一枚で仕切られているが金田一と二階堂は一つ屋根の下で暮らす仲なのだった。・・・どんな仲なんだよっ。
もちろん、それを正直に金田一の恋人・広瀬遙子(蓮佛美沙子)に話すと誤解されてしまう仲である。瑤子は走って逃げだすのだった。
それを伝えられた金田一の動揺加減はまさにちゃらんぽらんなのだった。
金田一・・・実は恐ろしい男なのである。
二階堂は不当解雇された会社に未練を示し、なんとか解雇の取り消しを求めようとするのだが、その日暮らしの王子はほとんど興味を示さないのだった。
なにしろ、金田一は目の前の時給900円~に目が眩んでしまっているのだった。
鍵を握る模合謙吾(中井貴一)ことモアイ統括本部長に談判に出向く二階堂。
しかし、出世の道を選んだモアイ本部長は「私にできることはない」と二人の救済には関知しない宣言である。
モアイ本部長は出世を喜んでくれる妻と娘がいる身なのだった。
絶望した二階堂の前に「幸福荘」の新たなる住人・パンチラ魔法少女じゃなくて路上アイドルの富沢萌(小嶋陽菜)が出現する。小嶋はアイドル役の似合うアイドルなんだな。まあ、「メン☆ドル」しか印象がないわけだが。そして、拾われた猫の宿命として「猫耳」をつける二階堂だった。ユニット組んで「生写真」で一日売上目標1万円に心揺れる二階堂である。
一方、「青春軒」に初出勤した金田一は店主のやる気のなさに困惑する。
なにしろ・・・客が来ないのである。近所にある飛魚出汁のラーメンの店は大盛況なのだが「青春軒」は一杯600円のラーメンが二杯・・・一日の売上1200円である。
もちろん・・・時給をもらえる雰囲気ではないのだった。
かっては「青春軒もうまかった」とラーメン通の通りすがりの人に聞き込んだ金田一は店主に「お客さんに喜んでもらえるような仕事をしましょうよ」と催促するが、店主はまったく興味を示さない。
店主はおそめの青春に挫折した男なのである。
しかし、今を生きる金田一は就職した以上、いい仕事がしたいのだった。
帰宅した金田一は猫耳の二階堂には目もくれず、ビラ作りに熱中するのだった。
翌日ははりきって駅前でビラを手渡し宣伝活動である。
そんな金田一に気がつくモアイ部長。
まったく屈託のない金田一に気が重くなるモアイ部長だった。
それを忌々しげに観察する統一郎。執念深いのである。
統一郎はモアイを伴い、業績の落ちた取引先を切るための商談に向かう。
「自分の身を守るためには相手の改善を待つよりも切り捨てる。人であれ、取引先であれ、情に流されていては共倒れする」というオーソドックスな経営理念を披露である。
モアイは現場の人間として企業の連携がそれほど単純ではないと知っているがあえて口出ししないのであった。なにしろ、モアイには守るべき家族があるのだ。
結局、賃金を入手しそこなう金田一だった。
かっての部下である榎本小太郎(藤ヶ谷太輔)は客として来店してくれるが・・・会社では「金田一」の名前は禁句であり、それ以上の波及効果は期待できないのだった。
金田一は経営改善のために経理の魔法使い・二階堂の手腕を役立てようと考える。
しかし、心臓に持病がある店主は二人の前で卒倒してしまう。
「40才で脱サラして・・・屋台のラーメン屋から始めたよ。そして青春軒をオープンして結構、評判の店にもなった。お客さんの喜ぶ顔が励みの日々だった。しかし、これからと言う時に身体を壊して休業。なんとか再開したが近所に人気の店が出店して・・・お約束の閑古鳥・・・もう、店じまいしようと思う」
店主の青春の挫折に暗い気持ちになる・・・はずもない金田一である。
「じゃ、最後に良い仕事をしましょうよ」とあくまで前向きなのである。
頼まれると嫌とは言えない二階堂は猫耳で駅前ビラ配りを強要されるのだった。
またしてもモアイ部長が遭遇。いたたまれない気持ちになるモアイだったが・・・モアイには・・・愛する家庭が・・・あるのだから。
盗賊兄弟は無法なビラの投函である。
まあ、ゴミの大量発生でしかない・・・この宣伝行為・・・ものすごく迷惑だが・・・そんな仕事しかない人の自暴自棄ぶりを考えるとうかつに注意もできない今日この頃である。
まあ、ブログにつくその種のトラバとかコメとかもメディア変われど底辺は同じの図ですな。
それが世界というものですからねえ。
そして、金田一は「青春軒」をピカピカに清掃するのだった。
しかし・・・客は来ないのだった。
来たのは投函ビラに対する苦情電話のみだった。
それが現実なのである。
けれど店主は金田一のやる気に1万円のご祝儀をはずむのだった。
その金で最後の客になることを決意する金田一だった。
久しぶりのごちそうに金田一、二階堂、盗賊兄弟は満足だった。
しかし、様子を見に来たモアイはあまりの罪悪感に早々に退散するのである。
そして・・・店を売って田舎に帰るという店主は・・・金田一に屋台を譲ってくれる。
それがドラマなのである。
Jumpin' Jack Flash/The Rolling Stones
育ての親はおしゃぶりの得意な青髭婆さん
俺の背中に鞭の味を教え込んでくれたもんさ
さあ、お楽しみの時間
箱の中身はなんじゃろな
箱の中身はなんじゃろな
箱の中身はなんじゃろな
悲鳴が上がれば大喝采
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ごっこガーデン。青春の蹉跌中華料理店セット。アンナ「今回も良かったのぴょん。残念な感じの閉店間際にたたみかける幸せの予感。しわくちゃの一万円って涙が出るのぴょ~ん。お客さんが来ないから最後のお客さんになる。兄弟も路上アイドルもフミ君のおごりで身も心も満腹になったのぴょん。いなくなったらさみしい男・・・それがフミ君なのだ~。じいや~、この後はルーム・シェアごっこぴょん。カーテン自動おっこちタイマーは30秒設定で~。衣装チェンジもドキドキ生着替えをするのぴょ~ん。朝っぱらからリピしてますぴょん。そしてツボりますぴょん。そしておさらいリピぴょん」まこ「冷たい北風のようなフジッキー社長とポカポカの太陽のような金田一同じ血を引く兄弟だけどピンチに強いのはどっちかな~。落ち目の人間を切るのは簡単だけど、世の中全体が落ち目になったら誰もいなくなっちゃうんだじょ~。じいや、ラーメンおかわりでしゅ~」くう「金もらえれば一緒だとはいうものの・・・残さず食べてもらうと作った人はうれしさプライスレスだよね~。西行・忠盛の営業行脚・・・なんか笑える~・・・のは私だけ?」ちーず「まだまだ悪夢ちゃんなのです」みのむし「のぼうの城なのです・・・以外とじっくりみる必要のあるドラマかも・・・」ikasama4「ようやくメンテナンス終了なのです」
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