ぶっちゃけ、ぶっちゃけた人はぶっちゃけてふにゃふにゃ(長澤まさみ)
ミステリは基本的にぶっちゃけません。
いや、最後はぶっちゃけるだろう。
我慢できない人は最後から読みはじめますよね。
・・・完全に読書の楽しみをしらないよな。
ぶっちゃけないでじらす・・・これが楽しみを与えるものの姿勢ですよね。
それに答えてこその楽しみだ。
ぶっちゃけ・・・誰もがそうでないことが与える側のジレンマなんですよね。
しかし、ミステリの書き手が冒頭から「ぶっちゃけ、犯人はこの人で~す。手口は自殺を装った他殺だよん」って書いたらバカだろう。
もう、坂本先生(高橋ひとみ)レベルのバカですね。
坂本先生ってバカなのか。
バカでしょう・・・水晶を額にあててる時点で。
ぶっちゃけ、そうかもな。
で、『高校入試・第6回』(フジテレビ20121110PM1110~)脚本・湊かなえ、演出・星護を見た。試験に成功したものは試験制度を否定しない。否定するのは失敗したものだろう。試験には圧倒的な敗者が存在するが、試験制度は否定されない。なぜなら試験制度の勝者が制度を構築するからである。しかし、人間が社会的な生物である以上、指導者を選抜する制度は必要不可欠だろう。より優秀な指導者を選抜するのが試験制度なのである。しかし、敗者の怨念が蔓延し、誰もがそう思わなくなった時、制度は崩壊するのである。
100年ほどの人生のたった一日が将来を左右する。
現代の日本では高校入試はまさにそういう一日である。
しかし、勝者にしろ敗者にしろ・・・そのことをなるべく忘れているのである。
人生は長いし、短いからだ。
一高OBで英語教科主任の坂本は白紙の答案用紙に受験番号46番を書き込む。
短絡的でその場その場を生きて行くバカにありがちな行動である。
なぜ、46番を書き込むのか。だって46番の答案用紙がないんだもの・・・である。
この世界では県立橘第一高等学校の入試に合格したものは圧倒的な勝者である。
どんなバカであっても教科主任になれるのだった。
短絡的でその場その場を生きて行くのは試験突破には必要な性格であるとも言える。
しかし、冷静で過去の事例から将来の出来事をある程度、予測できる英語担当の小西(徳山秀典)は注意を促すのだった。
「待ってください。もっと慎重に対処するべきだ」
「しっかり、議論を重ねたじゃない」
「白紙で提出したのが・・・試合を放棄するためではなくて・・・勝負に出たのかもしれない」
「何を言ってるのか、さっぱり理解できないわ」
「(あんたに理解できることなんてこの世にあるんですか)・・・受験生が開示請求をして・・・自分の答案用紙が白紙扱いになっていることについて・・・そんなはずはない、試験問題を解いて答案用紙に記入した・・・と主張したらどうしますか?」
「だって白紙は白紙でしょう」
「こちらが受け取ったのは白紙だと証明できますか?」
二人のやりとりを見守っていた一高OBで美術担当からの英語採点応援要員の宮下(小松利昌)が口を出す。
「なるほど・・・学校側のミスを主張するのか」
隣の席の一高OBで体育担当からの英語採点応援要員の相田(中尾明慶)も頷く。
「つまり・・・ちゃんと問題を解いた解答用紙を学校側が紛失した・・・白紙に勝手に受験番号を書いて〇点にした・・・隠蔽工作、偽装工作じゃないか・・・訴えてやる!・・・ってことっすよね~」
あわてて、自分で記入した「46番」を消そうとする坂本だった。
しかし、簡単には消えないのだった。
「じゃ、逆はどうなのよ・・・その子が白紙で提出しなかった証拠は?」
「試験中、まったく答案用紙に手をつけていない受験生がいたら・・・試験官の誰かが不審に思うのじゃないかな・・・」
問題の第二試験会場の試験官の一人だった英語担当の杏子(長澤まさみ)に視線が注がれる。
「46番は席の場所で言うと黒板に向かって右端の一番後ろの子です・・・男子でしたけど・・・ちゃんと問題を解いていたと思います・・・他の教科も共同不審な態度があった覚えはありません」
「問題を解いてたのなら・・・白紙じゃ出せないよな・・・消した跡もないし・・・」と相田。
「もしも・・・問題を解いているフリを巧妙に演じたとしても・・・回収段階で白紙と気付くはずだし・・・受験番号記入漏れはその場で書かせる決まりだし・・・」と小西。
再び、視線は杏子へ。
「私は携帯電話が鳴った子を保健室に引率したので・・・回収の時の状態が分かりません」
「水野先生(阪田マサノブ)は携帯電話を本部に取りに来ていた」と小西。
「すると回収は村井先生(篠田光亮)が一人でしたのか・・・白紙を渡されてもうっかり気がつかなかった可能性はあるな・・・」と宮下。
「じゃ・・・白紙だったことは証明できないわけ・・・こちらのミスってこと・・・」
その場をしのげなくなると頭痛を発する坂本は謎の水晶玉を額にあてるのだった。
・・・もう、おバカさんなんだから・・・。
この人は・・・犯人から一番遠い・・・意外な犯人の候補だけど・・・計画的犯行できないよね。
杏子が担任する2年B組の生徒で、相田の交際相手で、バレーボール部のマネージャーで、いろいろと問題のある生徒で、現在も校内に潜伏中の石川衣里奈(山崎紘菜)は携帯電話で件の掲示板をチェックしている。
1:名無しの権兵衛
苦労して高校入って・・・良い事あったの?
石川衣里奈は自分の高校入試を回想する。
ずっと見つめている・・・
受験中に衣里奈の携帯が鳴ってしまう。
一人残され、処分の決定を待つ衣里奈に優しい声をかけた教師が相田だった。
「携帯が鳴ったのは問題だったけど・・・特に罰則の規定もないし・・・今回は御咎めなしだ・・・よかったな」
ホッとしたのもつかの間、頭のおかしい女子生徒二人が教室でいちゃもんをつけてくる。
「私たち、仲良し三人組で受験したけど・・・あんたのせいで一人落ちちゃった」
「そんな・・・言いがかりです・・・その子は英語が苦手だっただけでしょ」
「何よ・・・開き直って謝りもしないなんて・・・嫌な子ね・・・」
「いじめぬいてやるから・・・覚悟しなさい」
「ひひひひ」
「・・・」
それから頭のおかしな生徒たちとそのとりまきによる陰湿ないじめが始る。
なにしろ、頭のおかしな生徒というのは基本的に多数派なのである。
そういう前提のドラマは視聴率を獲得できない傾向があります。
いじめに耐える衣里奈に優しく声をかける相田だった。
「今、男子バレーボール部のマネージャー募集中なんだが、やってみないか。女子に人気だから・・・下手にいじめられなくなるぞ・・・なにしろ・・・好きな選手に変なこと言われたくないとみんな思うからな」
「私・・・やります」
衣里奈にとって相田は恩人であり、恋しい人だったのだ。
そんな衣里奈の携帯にメールが届く。
≪試験問題のリーク、お疲れ様≫
≪引き続き・・・校内の実況もよろしくね≫
≪あなたの彼氏、音楽の先生と浮気している・・・インディゴリソートに行くみたい・・・邪魔しちゃえば?≫
ついに・・・正体の一部をのぞかせる「謎の犯人」である。
何しろ・・・何をしようとしているのかも不明な犯人なのである。
もちろん・・・「入試をぶっつぶす」貼り紙が貼られるとか、携帯電話が盗まれるとか、注意事項に支障があるとか、携帯電話が試験中に鳴るとか、答案用紙が白紙だとか、カンニングについての密告があったとか・・・様々なアクシデントは発生しているが・・・それがすべて同一犯の犯行であるのか、共犯者は何人いるのか・・・という問題はさておき・・・何をしようとしているのかも第6回に至って・・・まだ不明なのである。
つまり・・・「最初にメインの事件が起きない」というミステリとしては物凄く斬新な展開なのである。
景気づけのために「爆破予告」くらいはしてほしいよね。
そうでありながら・・・この面白さ・・・一部愛好家熱狂展開なのである。
娯楽の伝道師ディズニーは「真の娯楽は老若男女を問わない」と指導するが、この解釈の一つに「おバカさんでもお利口さんでもとにかく楽しい」というものがある。そういう意味でこのドラマは明らかに邪道と言えるだろう。
邪道、最高。
さて・・・共犯者あるいは実行犯である衣里奈に指令を送っているのは誰なのか。
現段階ではあらゆる可能性があるが・・・ニュアンスとしては杏子である可能性が伝わってくる。
相田と音楽教師のみどり(南沢奈央)の交際について杏子が知っている可能性は高い。
何よりもインディゴ・リゾートの件は小西が杏子から軽く聞いた程度。
恋愛関係についての事情通の村井も怪しいが・・・怪しすぎる。
相田とみどりの仲を邪魔したいのはみどりに明らかに惚れている東大卒業の水野も候補者ではあるが・・・それは横道すぎる。
そうなると・・・やはり、衣里奈の操り手は杏子の線が濃厚だ・・・。
様々な問題を抱える衣里奈を使って・・・相田とメールをやりとりしている衣里奈に情報収集させたり、校内での暗躍を手助けしたり、させたりしているわけである。杏子の目的が復讐であるとすれば・・・手先として誘導しつつも衣里奈自身が復讐のターゲットの一人である可能性も高いだろう。
恐ろしいことである。
まあ、恐ろしい結末が待っているとしてな。
本部の人々はすでに恐怖をたっぷりと味わっていた。
ため息をつくのは上条教頭 (清水一彰) だった。教頭より五歳年上の部下である入試部長の荻野 (斉木しげる)は問題の先送りを提案する。
「とりあえず・・・採点結果を待ちましょう。問題の芝田麻美(美山加恋)がもしも英語で満点だったとしても・・・他の教科との合計で・・・合格には難しいラインにいるかもしれない」
的場校長(山本圭)が反応する。
「ああ・・・そうだな」
教頭もすかさず追従するのだった。「なるほど・・・芝田麻美が他の科目で合格ラインに達しなければ・・・開示請求されても責められることもないし、ネット上で追求されることもない・・・これは八百万の神、森羅万象に祈りを捧げなくては・・・落ちろ~、落ちろ~、芝田麻美落ちろ~、受験番号77番に呪いあれ~」
・・・バカである。この世界ではバカでも教頭になれるらしい。
暗礁に乗り上げた英語採点会場。
「こうしてもらちがあかんな・・・とりあえず採点を終わらそう」と宮下。
「そうですね・・・もしかしたら・・・問題の答案用紙はどこか別の場所に紛れ込んでいるのかもしれない」と小西。
「46番が・・・仮に白紙提出をしたとしたら・・・他の教科も出来が悪いんじゃないかな・・・それならどっちみち、不合格なわけさ」と相田。
「杏子ちゃんはどう思う?」・・・みどりに対する水野同様、密かに杏子に邪な欲望を抱いている宮下はなにかにつけ杏子にふるのだった。つまり、杏子と会話している気分をエンジョイしている変態だからである。
・・・みんながみんな自分と同じだと思うなよ・・・。
「私は・・・答案用紙が迷子になっていることを祈ります」
「私は・・・46番は単に出来が悪かったんだと思うわわ」と聞かれもしないのに意見を述べる坂本だった。
こうして、ここでも問題は先送りにされる。
いつか、誰かが「16日にやめたっていい」と涙声で叫ぶことになる傾向である。
一方、携帯電話が鳴ってしまった芝田麻美は掲示板の推移を眺めて・・・恐怖を感じていた。
11:名無しの権兵衛
携帯電話の件どうなった?
12:名無しの権兵衛
失格にならないみたい
13:名無しの権兵衛
議員の娘だからか?
14:名無しの権兵衛
ふざくんな
15:名無しの権兵衛
議員に何ができる?
16:名無しの権兵衛
実名晒せば落選確実。
17:名無しの権兵衛
ぶっつぶす
18:名無しの権兵衛
議員の娘もぶっつぶす
19:名無しの権兵衛
いや、丘してからぬっころす
20:名無しの権兵衛
>>19 通報すますた
そこにノックの音がして・・・いかにもおバカ風な良妻賢母の昌子(生田智子)がやってきた。
「御夕飯できたわよ~、今日は麻美ちゃんためにおいしいハンバーグ作ったのよ~」
「いらない」
「どうして・・・麻美ちゃん・・・ハンバーグ大好物でしょ」
「私・・・ハンバーグが好きだなんて一度でも言ったことあった?」
「だって・・・子供はハンバーグが好きだって決まってるし、麻美ちゃんだっていつも残さずに食べるじゃないの」
「他のものも残さずにたべてるでしょ、子供がハンバーグ好きだなんていつの時代の話なのよ・・・これ、セリフにすると食品会社から圧力かかるけどあえて言うわよ。ハンバーグなんて馬糞みたいなもダサイわよ・・・ママのダサイイメージですべてを決めつけるのいい加減、やめてくれる」
「ママはいつも・・・麻美ちゃんのことを一番に考えているのに・・・」
「だってママのやることなすこと私のために何一つ役に立ってないんだもん・・・ママは存在そのものが百害あって一利なしなのよ。今日だって・・・あんなことになって・・・夕食がハンバーグって重いって思わないの」
「じゃあ・・・おうどんにするわね」
「なんじゃ・・・そりゃ」
「だって・・・体調が悪い時にはおうどんって感じでしょ」
「感じってなによ・・・なんで・・・私が今食べたいものを直接リサーチしないわけ?」
「えと・・・麻美ちゃん・・・何が食べたいの・・・」
「・・・もういい・・・何もいらない」
「それじゃ・・・体に悪いでしょ」
「一食抜いたって死なないよ・・・それに私は一高に合格しても行かないから」
「どうしてよ・・・」
「私の事件はもう・・・周知の事実なのよ・・・これで一高生になったら確実に迫害されるのよ。机、窓から外に投げられちゃうし、体育館でリンチされるわよ」
「何言ってるの・・・」
「そういう時代なのよ・・・田舎のバカ教師とか、バカな県会議員夫人には理解できないだけ」
「あなた・・・まさか、中二病・・・中三なのに」
「とにかく・・・私は菫ヶ丘高校に行くわ・・・そしてやりたかったピアノをやる」
「何言ってるの・・・優秀な子は一高に行くの・・・一高に生きながらピアノを続ければいいじゃない」
「入試のために・・・無理矢理ピアノをやめさせたくせに」
「だって・・・あなたのためを思って」
「どうして私のためになると?」
「総合的な判断よ・・・」
「そこらへんのおばさん三人くらいの意見を総合しても単なる思い込みと変わらないって言ってんの?・・・わかる?・・・私は私の意見を聞けって言ってるの」
「そんな・・・私はベストを尽くしてきたのに・・・」
「もういい・・・とにかく、晩御飯はいらない・・・高校は菫ヶ丘に行く。これが私の望み・・・親なら子供の願いをかなえる方向で善処してよ」
「・・・麻美ちゃん」
「出て行って・・・出ていかないと・・・ぬっころすわよ」
「ぬって・・・ぬって何・・・」
泣き伏す麻美だった。
そして母は途方に暮れる。
昼間はあんなにいいコンビだったのに・・・。
(どうしてどうして今夜はあんなに機嫌が悪いのかしら)・・・おバカな母親だった。
英語以外の教科の採点は順調に進捗している。
国語チームのみどりの心はすでにインディゴリゾートの熱い夜に向かっている。
数学チームの村井はある答案に感嘆していた。
「すごい・・・難問にも完璧に応えている・・・」
100点満点の46番だった。
そして、採点終了一番乗りは社会チームだった。
本部で上条教頭は未だに「落ちろ呪文」を唱え続けていた。
「今年も社会は早いですね」と荻野試験部長。
「難問もあったので・・・時間がかかると思ったのですが・・・解答したのは20%くらいで・・・残りは空欄にしていたので・・・ゆとり教育で知能的貧富の差が拡大しているのでしょうね・・・その分・・・残りのり80%は団子状態で合否判定が難しくなるかもしれませんねえ」と社会主任の水野である。
「え・・・点差開かないの・・・」と青ざめる教頭だった。
本部のパソコンに採点結果を入力する水野。
荻野が読み上げを担当するのだった。
35:名無しの権兵衛
一高卒業→二流大学→フリーター←今、ココ!
36:名無しの権兵衛
>>35 一高不合格ならそれ以下ってこと?
沢村家である。陰湿なサイコパス野郎である翔太(清水尋也)に一高卒業生で無職の兄・哲也(荒木宏文)が尋ねる。
「入試、どうだった?」
「ああ・・・うん・・・まあまあ・・・かな」
「一高なんて・・・受かって当然、楽勝だよな」
「・・・それよかさ・・・働かないの?」
「うるせえな・・・まだ何年も学生でいられるお前に・・・俺の気持ちなんかわからねえよ」
そこに帰宅する同窓会会長・沢村幸造(入江雅人)だった。
英語の携帯電話事件のために「試験が妨害された」と父親に主張した翔太は淡い期待をかける。
「あれ・・・どうなった」
すかさず、割って入る哲也。「あれって・・・なんだよ」
「いや別に兄貴には関係ないよ」
「お前もしかして・・・試験の出来が悪くて親父に裏工作頼んでんのか?」
「違うよ・・・ねえ、父さん」
「・・・そうだ・・・馬鹿なことを言うんじゃないよ」
「で・・・」
沢村は携帯電話を鳴らしたのが県会議員の娘だったために息子の意向は無視していたのであった。
「ああ・・・ちょっと・・・もう一度出かける・・・とにかく晩飯を先に食ってろ・・・」
沢村家の夕食のおかずもハンバーグだった。
44:名無しの権兵衛
カンニングネタはどうなった・・・?
45:名無しの権兵衛
コネタだからな
46:名無しの権兵衛
ハンバーグ定食のパセリみたいな感じ
47:名無しの権兵衛
それ、最近、見なかったりして・・・。
48:名無しの権兵衛
近所の魚屋の御刺身にはついてるけど
49:名無しの権兵衛
ゆとり世代はパセリ食べないからな
50:名無しの権兵衛
そろそろなんか投下してくれ
英語チームもようやく採点後の確認作業に入っていた。
「英語チーム、いつもよりペース早いじゃないか」と宮下。
「いえ・・・ここからが問題なんです」と小西。
相田は宮下がdをbと間違えていることを指摘。
宮下は相田がDとKを間違えていることを指摘。
目くそ鼻くそを笑う展開の後で杏子が坂本に攻撃を仕掛ける。
「あれ・・・ここから記号の問題が1点で計算されている・・・」
「今年もですか・・・坂本先生」とたたみかける小西。
「記号は普通1点でしょう」と鼻白む坂本。
「坂本先生のテストはそうかもしれませんが県は2点と指定しているので従ってください」
「たかが・・・1点や2点のことで・・・目くじらたてないでよ」
「その1点や2点で・・・人生を左右するのが高校入試なんです」
「そんなこと・・・言うならもう採点なんかやんない」
バカの下にガキのつく坂本はへそを曲げた。
「去年もそうやって主任の坂本先生が駄々をこねたから他の教科より1時間も遅れたんじゃないですか」
「なんだって」と呆れる応援部隊の相田と宮下だった。
「坂本先生・・・美容のために早く終えて帰って寝ましょうよ」となだめる相田だった。
「杏子ちゃんも・・・小さなミスくらい黙って・・・なおしちやって・・・」と宮下。
杏子は鋭い眼差しを隠してポーカーフェイスとなる。
「ですよね・・・そのための確認作業ですものね」
機嫌を直す坂本は小西のミスを発見してほくそ笑む。
「ダメじゃない・・・こんなに簡単なミスをして」
「注意事項を読んでください・・・それも正解なんです」
あっさり切り返す小西だった。
英語の不得意な英語教師は実在する。
「とにかく・・・」と宮下はぼやく。「採点するのは人間なんだからさ・・・どんなに注意を払っても完璧ってことはないんだよ・・・それなのにわずかなミスが他人の人生を左右してしまうことがある・・・もう・・・それは事故でしかないんじゃないか」
「そう、そうなのよ」とやみくもに共感する坂本だった。
本部における社会の採点結果入力は終った。
「77番はどうなのよ」それだけが気がかりな教頭だった。
77番・芝田麻美の社会科の得点は89点だった。
全教科平均の合格ラインが90点の一高としては非常に微妙な得点だった。
そこに国語チームのみどりがやってくる。
「国語の先生方はへとへとなので私が入力することになりました」
「じゃ・・・読み上げは私がやろう」と名乗りをあげる水野。みどりとの共同作業をしたい年頃なのであった。
「じゃあ・・・さっさと片付けましょう」
物凄いスピードで入力するみどりだった。水野も懸命に腰をふって・・・いや読み上げて応じるのだった。
この二人・・・できてるんじゃ・・・と疑いの眼差しを向ける校長と教頭だった。
受験生の父親であるために採点に参加できない英語の松島(羽場裕一)はいつもの処で一服中。
かっての教え子だった村井が合流する。数学チームも採点終了なのである。
「うちの子はどうやら・・・同じクラスに嫌いなやつがいるらしい」
何事か思い当たる村井だった。
「そいつがおちて先生の子が受かるといいですねえ」
誰かに聞かれたら困る会話である。
松島家の夕食は焼き魚のようだ。
母親と向かい合って食事をする良隆(高杉真宙)は回想する。
宿題を借りた翔太が自分だけ提出して良隆の分を提出しなかった苦い記憶。
翔太はそのうち幼女に悪戯して逮捕されそうな性格のようである。
・・・どういう性格なんだよっ。
英語の採点会場では相変わらず坂本の暴走が続く。
坂本は電卓も満足に使えないようだ。
「また、こわれてるの」と坂本。
「電卓のせい・・・まさかの責任転嫁」と宮下。
その言葉に鋭い眼差しを送る杏子。
「全員でチェックするんですから・・・坂本先生が間違えても問題ないですよ」と相田。
「なんですって」と悪口には敏感な坂本だった。
杏子は恋人(姜暢雄)との第三の回想に入る。
「ミスなんて・・・誰にでもあることじゃない・・・完璧な人間なんていないんだから・・・もっと前向きに考えようよ・・・」
「世の中・・・そうやって開き直った者が勝つのか・・」
唇をゆがめる杏子。
本部では英語を残した時点で77番が合格ラインより下に位置するが、合格ラインまで6点しかないことが確認される。
英語の採点が終了する。
芝田麻美は95点を獲得していた。
「これで失格になっていたら・・・」と恐怖を感じる教師たち。
「今年も無事終了ね」と何事もなかったような坂本。
「答案用紙が1枚足りないことを報告する必要があります」と小西。
「試験会場の担当は杏子先生だから・・・報告はお願いするわ・・・入力は小西先生ね」
「すべてが水の泡になったら大変ですからね」と小西。
密かにちらりちらりと坂本に批判的な視線を送る杏子。
やはり・・・メイン・ターゲットは坂本なのか・・・。
まあ、いつ刺されてもおかしくない言動だからな。
本部では校長と教頭が硬直する。
「答案用紙が一枚足りない?」と教頭。
99:名無しの権兵衛
答案用紙が一枚足りない・・・
本部・・・盗聴されているのか・・・。
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