雨の降る日を待ってさらば涙と言おう(松山ケンイチ)
ついに・・・その日は来た。
革命の成就である。
この日から明治維新まで・・・ある意味では現在に至るまで・・・皇室は政治と切り離されたのである。
すべては平清盛の成し遂げた歴史的偉業なのである。
天皇や上皇、そして法皇が・・・この国の治天の君になることは二度となかったのである。
この後、政治は源氏、北条氏、足利氏、織田氏、豊臣氏、徳川氏と受け継がれた後で、帝国政府、日本国政府と続き、明日解散すると言われる野田氏に至るまで・・・皇室のものではなくなったのである。
その是非はともかく・・・すべては平清盛の軍事革命の成果なのだ。
そういう認識を日本人はもっと共有するべきではないのかな。
右や左の問題を抜きにして。
だから、治承三年の政変で後白河法皇の幽閉された十一月二十日はわが心の革命記念日なのである。
その日は日出ずる国の臣民の天皇家の支配からの卒業の日なのだから。
念のために申し上げるが日本国の象徴としての皇室を敬愛することとは無関係の話です。
で、『平清盛・第44回』(NHK総合20121111PM8~)脚本・藤本有紀、演出・中島由貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は新作描き下ろしはありませんが・・・平安京の幕を引くもう一人の巨頭・・・後白河法皇の御姿・再公開でうっとりでごさいます。彼方を見つめる法皇は千年の世の行く末を見つめるかの如く。後、二百年足らずで・・・千年ですからねえ。時の過ぎるのは本当に早いものでございます。
治承三年(1179年)六月、摂関家の実質的な棟梁となっていた清盛の娘・白河殿盛子が逝去する。その莫大な遺産を後白河法皇はすべて没収した。続いて七月、平重盛が病没すると法皇はその遺領である越前国も召し上げ、院近臣の藤原北家善勝寺流季能の知行国とした。ただし、季能の妻は亡き清盛の次男・基盛の娘であり、朝廷にも平家に対する一定の配慮があったことを窺がわせる。これらの決定に深く関与したのは盛子の義弟にあたる関白・松殿基房である。藤原摂関家の最後の抵抗とも言えるこの決定を清盛は好機と捉えた。平家の一族・郎党は危機感を覚え、その力を清盛の下に結集したのである。十一月十四日、清盛は大軍を率いて福原から平安京に入り、十五日、関白基房を解官し、基房の甥で摂関家嫡流の藤原基通を関白として据えた。十六日、天大座主に親平家派の明雲が復帰。十七日、主だった公卿、殿上人をすべて解任し、諸国の受領66ヶ国の半数を平家のものとする決定を下す。十八日、前関白・基房は配流となった。そして・・・一日を置いた二十日。後白河法皇を鳥羽殿に幽閉したのである。この日、平安京は終焉を迎えたのである。明けて治承四年(1180年)、高倉天皇は譲位し、安徳天皇が誕生する。
亡霊の集団が平安京の夜を支配していた。
平家呪詛のために闇の陰陽師が召還した百鬼夜行は夜毎、京の都を闊歩し、瘴気を振りまいていた。鬼と化した亡者たちに・・・法皇方、平家方の区別はない。力弱きものはたちまちとり殺されていく。
平家の霊能者や比叡山の霊僧たちは調伏に全力を注ぐが・・・一人、また一人と犠牲は増えていく。馬鬼と化した西光と白河殿盛子が相討ちとなり、奈落から戻った源義平は平重盛を奈落へと連れ去った。
反魂の術者たちはすべて召還したものたちの餌食となり、内裏には昼間から異形のものが姿を見せるようになっていた。
平時子は高倉帝、平徳子、皇太子を守るために秘本・源氏物語の霊力をすべて使い結界を張っていた。
ここに・・・ついに平清盛は立った。
姪の朱雀率いるくのいち部隊を先鋒に・・・霊能武者千騎を従えて上洛したのである。
都の各所で徹底的な除霊が行われ、憑依されたものは清められた。
後白河法皇院所に昇った清盛はついに法皇に巣くった天狗と対峙する。
「清盛か・・・去れ・・・ここは汝のような下賤の者が侍る場にあらず」
「問答無用」
清盛は霊刀・草薙の剣を薙ぎ払った。
一尺ほどにのびていた天狗の鼻が根元から切り離され、鮮血が宙を舞う。
法皇は昏倒した。
「それ・・・ものども」
霊能武者は法皇の体を緊急封印し、鳥羽殿に用意した封じ曼荼羅へと運ぶ。
ついに・・・平安京は平家一門の霊的占領下に置かれたのだった。
平家による都の制圧の報は諸国の武者たちを驚愕させたのであった。
清盛の四つの目は・・・燃えさかる都の炎を見た。
どこからか・・・舞姫の歌が聞こえる。
「白拍子か・・・」
一人目の白拍子は亡き母だった。
二人目の白拍子は亡き妻だった。
三人目の白拍子は亡き娘だった。
次々と白拍子たちが清盛の傍らを舞いながら過ぎて行く。
清盛の四つの目からはとめどない涙がこぼれていた。
つむじ風が巻き起こりそれは強い北風となっていった。
平安京・・・最後の冬が始まろうとしている。
関連するキッドのブログ→第43話のレビュー
| 固定リンク
« 見えないものが見えるのは月のない夜(真木よう子)VSブタさん、カエル、四つ葉のクローバー(宮﨑あおい) | トップページ | ぶっちゃけ、ぶっちゃけた人はぶっちゃけてふにゃふにゃ(長澤まさみ) »
コメント