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2012年11月 4日 (日)

悪夢ちゃんの思春期は天馬車に乗って・・・貞操帯ではなくて腹巻きもげっ(北川景子)

現実世界でピンチを救われ、ついに悪夢王子に身体を許した主人公。

・・・大丈夫なのかっ。

まあ、毒を食らわば皿までは自由なのだから~。

冤罪社会において自己防衛のために常に自分を監視カメラの下に置いておくこと・・・。

ナルシスト万歳である。

しかし、捏造社会ではそれも加工されてしまう可能性があるし、自分撮りだと修正を疑われ証拠能力に問題が発生。

まあ・・・すべては運命ですな。

明日、全国の小学校で毒入りカレー事件が発生しませんように・・・。

で、『・第4回』(日本テレビ20121103PM0940~)原案・恩田陸、脚本・大森寿美男、演出・猪股隆一を見た。小学生相手に「サイコパス宣言」を敢行する武戸井彩未(北川景子)先生である。「それはまずいのじゃないか」と中込教頭(阿南健治)、「責任とってくださいね」と甘澤校長(キムラ緑子)である。甘澤は開き直ったような彩未を「一皮剥けたみたい」と評価するのだった。この二人・・・いい味だしてます。

「自己責任」を伴う「自由」について5年2組の影のリーダー・小泉綾乃(白本彩奈)に論戦を挑み、事後処理である「児童を煙にまく作業」を行った彩未だった。

今回のヒロインを演じるのは「最後から二番目の恋」のクールな小学生・長倉えりなの中の人である。2002年組を代表する美少女と言っていいだろう。同世代ライバルは石井萌々果だな。

「自分の判断で学校を休むのは自由ですか」

「それは自由ではなくて自分勝手です」

「それは不登校です・・・しかし、どんな理由があるのかも知らず、それを自分勝手と決めつけるのも自由ですか」

「それは・・・わかりません」

「わからなくていいのです・・・学校は何かを分かるために来るのではなく、自分がわからないことを知るための場なのですから」

「・・・」

大人だって理解できないくらいの哲学的論争である。ま、ソクラテスの「無知の智」の初歩的展開と言えるでしょう。

まあ、鉄は熱いうちにうて・・・申しますからな。

しかし・・・例によって家庭に問題がある小泉綾乃は彩未に対して理由なき反抗心を抱くのだった。

放課後、女子五人組集結である。その中には浮気性の母親(相田翔子)の命の恩人である彩未を密かに崇拝している相沢美羽(木村葉月)も参加している。

「彩未先生は変だ」という綾乃に美羽は「彩未先生はかっこいい」と反論する。

小学生相手に理性的に話しかけても好感と悪寒しか残らないということだ。

そこに通りかかった悪夢ちゃんこと古藤結衣子(木村真那月)は綾乃の強い「意識」に感化されてしまうのだった。

たちまち、悪夢ちゃんの無意識は綾乃の無意識にリンクして、悪夢の中で遭遇なのである。

「あなたは・・・私の事が好き・・・それとも美羽ちゃんが好きなの・・・もしかしたら彩未先生が好きなのかしら・・・私の事が好きなら・・・これを食べて・・・私の血は苺なの・・・ほら・・・苺ジャムにしてあげる」

口から炎を出して苺をジャム化する結衣子の夢の中の綾乃。

困り果てた結衣子の前のパソコンから夢王子(GACKT)が登場してピンチを救うのだった。

「微妙に・・・怖い・・・」

悪夢ちゃんはそれが悪夢なのかどうか量りかねていた。

女子五人組は「彩未先生の同棲の事実を確かめよう」と彩未先生の部屋を家庭訪問する。

そこに待っていたのは結衣子の祖父・万之介博士の助手・志岐貴(GACKT=二役)だった。

志岐は独断で五人組プラス結衣子を彩未の部屋に招き入れ、おもてなしをするのだった。

「あなたは先生のカレシなんですか?」

「僕は召使のようなものですよ」

「何をほざいとんのじゃ」

帰宅した彩未は志岐を叱責するのだった。

「ロリコンかっ」

「いやだな・・・君の大事な教え子をもてなしていただけじゃないか・・・それに昔は子供たちが先生の部屋に遊びに来るなんてよくある話じゃないか」

「それは教師が女子更衣室を盗撮しない頃の話です」

「嫌な時代になったんだねえ」

仕方なく、児童たちを家庭に送り届ける彩未だった。

ここで・・・有名私立小学校に合格した弟を不合格だった姉の綾乃よりも差別的に溺愛する困った母親(西山繭子)が登場する。

「勉強を教えていた」という彩未の社交辞令を「まるで塾に通わせていない嫌味」と曲解し、それを娘に投げつける綾乃の母だった。

「母に捨てられる恐怖」を常に感じる綾乃はその不安を彩未に対する敵意に変えて合理化するのだった。

綾乃は再び、単独で彩未の部屋の志岐に会い、「先生の恋人にキスをされた」と虚偽の申告をするのだった。

綾乃の口からは「苺」という真っ赤な嘘の実が飛びだすのである。

ただちに「娘が汚されたこと」の責任追及のために学校に乗り込む綾乃の母だった。

「事の次第によっては警察に行く」と息巻く綾乃の母。

「キスされたのは事実ではなく私が綾乃さんに嫌われたということでしょう」

「なんですって・・・娘が嘘をついた・・・っていうの・・・こんな屈辱を受けるなんて」

「私が嫌われたのは本当です。キスされたというのはその意志表示でしょう」

「何言ってるの・・・娘が嘘をついているというのなら証拠をみせなさい」

笑顔の仮面を脱いだことにより現実の世界で窮地に立たされた彩未は言葉を失う。

そこへ・・・志岐が登場する。

フィギュアのような美形の登場にうっとりする甘澤校長だった。

志岐は「誤解を招かないようにすべてを録画してあります」と無実の証拠を提出するのだった。

「私は娘さんからある相談を受けました・・・その内容についてはお母様だけにお話ししたいのです・・・それともここで音声を流しますか・・・」

危険を察知した綾乃の母は降伏するのだった。

現実の世界で志岐に救われた彩未はついに志岐に「お泊り」を許すのである。

しかし、携帯夢札装置を開発した志岐は相変わらず他人の夢を平気で覗くインモラルな男なのである。

綾乃の先導で彩未に反旗を翻した学級委員長・大川美咲(川嶋紗南)たちが教室に戻り、綾乃は不登校になるのだった。

そして結衣子は本格的な悪夢を見るのだった。

綾乃が給食のシチューに毒を吐く夢である。

それを食べた児童たちは次々と倒れて行く。

そしてモンスターと化した綾乃が結衣子に襲いかかるのだった。

夢札を見た彩未は・・・一計を案じ、綾乃の母と面会する。

母親に叱咤され、学校に登校することになる綾乃。

教室では心ない児童たちがさっそく制裁のための手紙を綾乃に送り、いじめを開始する。

「ウソツキ」

事実なので耐える綾乃。その机の上からいじめの手紙を取り除いた彩未は綾乃の母親からの手紙をそっと置く。

「お母さんがあなたに厳しくするのは・・・あなたがお母さんにそっくりだからです。お母さんも不器用で勉強が苦手でした。だからあなたにはつい厳しくしてしまったのかもしれない。もしも辛い気持ちにさせてしまったらごめんなさい。でもこれだけは信じてほしい。いつでもどんな場合でもお母さんは綾乃の味方です」

綾乃は安堵と感謝の涙を幾筋も流すのだった。

折しも国語の授業のテキストは「雪渡り/宮沢賢治」である。

(前略)

堅雪かんこ、凍み雪しんこ。

雪がすっかり凍って大理石よりも堅くなり、空も冷たい滑らかな青い石の板で出来ているらしいのです。

そんな冬の日。

人の子の四郎は雪沓をはいてキックキックキック、野原に出ました。

そこで狐の子の紺三郎と意気投合し・・・月夜の晩の幻燈会の招待を受けるのです。

(中略)

兄の二郎からみやげの餅をもらい妹のかん子と月夜の晩の幻燈会に出かける四郎。

幻灯は「狐に化かされた人が兎のくそを団子だと思って食べる」という類の内容。

そして、可愛らしい狐の女の子がきびだんごをのせたお皿を二つ持って来ました。

四郎はすっかり弱ってしまいました。

狐の学校生徒がみんなこっちを向いて「食うだろうか。ね。食うだろうか。」なんてひそひそ話し合っているのです。かん子ははずかしくてお皿を手に持ったまままっ赤になってしまいました。すると四郎が決心して云いました。

「ね、喰べよう。お喰べよ。僕は紺三郎さんが僕らを欺すなんて思わないよ。」そして二人は黍団子をみんな喰べました。そのおいしいことは頬っぺたも落ちそうです。狐の学校生徒はもうあんまり悦んでみんな踊りあがってしまいました。

キックキックトントン、キックキックトントン

ひるはカンカン日のひかり

よるはツンツン月あかり

たとえからだを、さかれても

狐の生徒はうそ云うな

キック、キックトントン、キックキックトントン

笛がピーと鳴り幕は明るくなって紺三郎が又出て来て云いました。

「今夜みなさんは深く心に留めなければならないことがあります。それは狐のこしらえたものを賢いすこしも酔わない人間のお子さんが喰べて下すったという事です。そこでみなさんはこれからも、大人になってもうそをつかず人をそねまず私共狐の今迄の悪い評判をすっかり無くしてしまうだろうと思います」

(後略)

彩未は言う。「文部省が何と言おうとも私なら狐の黍団子は食べません。夜は腹巻きを脱ぎません。お腹をこわしたくないからです。それでも・・・空気を読んで食べるか食べないか・・・お腹を壊す覚悟があるなら、それは皆さんの自由なのです」

狐につままれたような一部の生徒たちだった。

教室の知的水準は絶対に足並みをそろえない・・・鉄則である。

やがて・・・給食の時間・・・結衣子は周囲に毒見をさせてから綾乃の給仕したシチューを味わい微笑むのだった。

ちなみにくさかんむりに母で苺である。

そして母と生で毒なのだ。

毒には産み育てる意味がある。それがいつしか「毒」になるのがこの世の恐ろしいところである。

孤児である彩未が小学校の教師になったのは無意味なことではないだろう。

そして、児童の母親たちが毒婦中心なのも偶然ではない。

彩未は悪夢ちゃんの夢を読み解きながら・・・毒婦を浄化し、母に戻していく。

なぜなら・・・この世界は黄金胎児である彩未が母親の胎内で見ている夢に過ぎないからである。

そして彩未は交代制多重人格による夢遊病ブロガーだったらしい。

関連するキッドのブログ→第3話「クリー夢」のレビュー

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