大奥~滅亡の予感~・・・ダイ・オフSFは泣けるよね(多部未華子)
ダイ・オフ(die off)は集団死を指すが、次々と死んでいき、徐々に絶え果てるニュアンスがある。
特に致死率の高い感染症の流行は常に滅亡の予感を人類に与えてきた。
それが・・・いくつかの恐怖小説に結晶化していくのは自然の成り行きと言えるだろう。
日本では「復活の日/小松左京」(1964年)があり、生物兵器の新型ウイルスによって人類を含めた脊椎動物のほとんどが絶滅してしまうという恐怖を描いている。
・・・しかし、泣けるのである。なぜなら・・・人類は滅びないからだ。どうしてかっていうと愛があるからである。
「ザ・スタンド/スティーヴン・キング」(1978年)もまた細菌兵器による世界の破滅を描いている。しかし、人類は滅びない・・・愛があるからである。
このように人類が「愛」という最終兵器でしぶとく「神の仕組んだ罠」をすり抜けて行くのはなかなかに含蓄があるものなのである。
そういう系譜に「大奥~誕生~」は属している。
「滅びの予感」を感じながら死力を尽くして戦うものの根底にある「ある愛の詩」は・・・泣けます。
で、『大奥 ~誕生~[有功・家光篇]・第7回』(TBSテレビ20121123PM10~)原作・よしながふみ、脚本・神山由美子、演出・金子文紀を見た。かなり重層的な物語になってまいりました。まず・・・お万の方(堺雅人)と女・徳川家光(多部未華子)の愛の遍歴に・・・玉栄(田中聖)が絡んだメロ・ドラマも快調である。そこに・・・逆転史要素として挿入された赤面疱瘡の蔓延がスペクタルな展開を増してきた。その二つをつなぐ・・・春日局(麻生祐未)の内面が見事に描きつくされ・・・傑作と言えるドラマに仕上がりつつある。
寛永十九年(1642年)は寛永の大飢饉と呼ばれる三年連続の不作により・・・晩秋から翌二十年にかけて多くの餓死者を正史でも出している。飢えたものは食を求めて流民と化した。
これに加えて・・・この世界では男子の致死率・80%という感染症が発生しているわけである。人口の減少は食糧危機に対する一助にもなるが・・・労働人口の減少は将来の深刻な事態を内包しているのは現代の人々の痛感するところだろう。
そういう時代に人々は対応せざるを得ない。
女・家光はお忍びで各地を視察し、政治家としての力量を発揮し始める。
百姓たちの絶望感による一揆発生を防ぐために御救小屋による焚きだしを行ったり、農民の逃散を防ぐために田畑永代売買禁止令を出したりと・・・冷徹な政策を打ち出すのである。
将軍家の継承問題に頭を悩ます春日局は家光の自由行動に・・・気が気ではないのである。
一方、お万の方は・・・複雑な心情で一途な玉栄を女家光の褥に送り込む。
女・家光を愛するがゆえに自分の分身である玉栄を身代わりに立てると言うものの、お楽の方(窪田正孝)の種による女・家光の出産、新しい種候補であるお夏の方(市川知宏)の台頭により・・・身の危険を感じ始めているための・・・保身の様相もていしている。
お万の方の鬱屈をよそに・・・玉栄もまた女・家光と心身をかわしていくのだった。
時計の針は大胆に進み、寛永二十年八月一日。正史に従えば春日局の余命は残り僅かである。
江戸城では八朔御祝儀が行われる。
八朔とは暦で八月一日を指す。天正十八年(1590年)の小田原征伐の後、豊臣秀吉に関東移封を命じられた徳川家康は八月一日に江戸城に入場した。駿府左大将と呼ばれた家康の領地は150万石から250万石に加増されたのである。そして・・・この時から徳川家による江戸時代は始ったとも言える。そのために・・・この日は記念日となったのである。
伝承によればこの日の正装は白帷子と決まっているのだが・・・逆転史では普通の正装で可である。おそらく白ずくめの正装の数が揃わなかったのだろう。
まあ、質素倹約のために逆転史では白帷子の新調禁止になっているのかもしれない。
なぜ、白装束なのかは諸説あるが・・・古代よりの聖なる衣装であるとか、白秋にのっとっているとか、清めの意味があるとか・・・あるいは北条氏の後に関東に入った徳川家としては決死の覚悟を示す死に装束だったのかもしれない。
なにしろ、当初は北条残党の風魔一族とかが暗躍していたからである。
その日集まった諸侯の後継者も男装した姫侍が多数おり、男子の後継者不足は深刻だった。
六人衆(幕府閣僚)の筆頭である松平信綱ですら男装した娘しず(小澤美和)に松平輝綱を名乗らせているのである。
そのために六人衆は女の世継ぎを認める案を議題として提出する。
これに動揺する春日局。
「それでは・・・将軍も女であってよいと申すか」
家光の影武者となった春日局の実子・稲葉正勝(平山浩行)は言上する。
「上様は・・・ご父君・家光公にまさるともおとらない名君であらせられます・・・」
「それは・・・ならぬ・・・」
将軍家の男子継承・・・その一事のために・・・修羅の道を歩んできた春日局である。
そのために罪なきものをどれだけ殺めてきたか・・・それがすべて無駄だったということなど・・・到底受け入れることができないのだった。
動揺する春日局には廊下を渡る灯さえもが・・・怨み連なる鬼火に見えるのである。
天下のために・・・心を鬼にしてきた春日局は後生大事を祈ることも叶わぬのである。
そのやりきれなさはいかばかりか・・・。
ついに・・・お万の方の世話役・村瀬正資(尾美としのり)の前で卒倒してしまうのだった。
春日局は死へとつながる病床についた。
女・家光は春日局を見舞う。
「死んではならぬ・・・死んではならぬぞ・・・」
女・家光もまた・・・実母の仇・春日局の心情を察するまでに成長していたのである。女・家光にとって春日局はまさしく育ての母であった。
そして・・・お万の方は女・家光の娘・千代姫の乳母である八島局(阪田瑞穂・第8回全日本国民的美少女コンテストグランプリ受賞者)に代わり、春日局の世話を買って出る。
下の世話も厭わないお万の方に精一杯の嫌味で応じる春日局。
「妾に恥をかかせて楽しんでおるのか」
「人は皆、老いまする・・・それがしもいつかは老いて他人の世話になる身・・・それを恥とは思いませぬ・・・」
「・・・」
春日局はお万の方に身を委ねるのだった。
しかし・・・亡国の悪疫は・・・ついに大奥にも手を伸ばす。
お楽の方・・・赤面疱瘡発症である。免疫なかったのか・・・。凄く運があったんだな・・・あの柿を食うまでは。
お万の方は春日局の間に病人を隔離することを進言する。
「この婆がお役に立てるなら・・・なんの異存がありましょうや・・・どうぞ良きように・・・」
春日局の仏心がついに晒されたのだった。
一方、女の直感で将軍こそがわが夫ではないかと疑惑を持つ正勝の妻・お雪(南沢奈央)はうかうかしているうちに・・・嫡男・稲葉美濃守正則(西山潤)が発症して茫然となる。
赤面疱瘡の猛威はまだ始ったばかりらしい・・・。
関連するキッドのブログ→第六話のレビュー
ごっこガーデン。大奥地下通路入口前セット。まこ「ついにまこ専用大江戸村が完成したのでしゅ。おいしいお団子や江戸前寿司がお薦めなのだじょー・・・大江戸名物・男吉原にはドラマとは違いイケメンロイドが勢ぞろいなのでしゅ~。ぐふふ。たくさんのお中臈ロイドと遊んでくたびれたら大江戸温泉でリフレッシュするのでしゅ~。じいや、湯上りのジュース忘れないでね~」くう「大奥では要らない男・・・ついに本心をもらすお万の方・・・微笑みの下でゆっくりと心を病んでいるのでは・・・と心配になる私~。そなたはええ子やがもはや呪文の如くに聞こえてまいります~。ああ~せつない~」ikasama4「有功様はやはり少し歪んできましたかな~。ポーカーフェイスなんでわかりにくいですけど・・・なんとなくそれを感じさせる演技・・・さすがですな」mari「どんどん面白くなってきましたね~。でも・・・春日局が逝去したら・・・誰が敵役になるのでしょうか。興味深いですねえ」シャブリ「金曜の夜にテレビにとらわれの日々を過ごす者達がせめてもの慰みに一夜皆で成海璃子をめでることのどこがいけませぬのか?・・・ええーっ、来週は出ないの?」
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コメント
ふぅ~~~。大江戸食べ歩き大会でお腹パンパン
どれもこれも美味でございますぅ~♪
中でもスカイツリー饅頭は絶品でおじゃる。
八朔も山ほど食うてやったわぃ。
菊見酒・・・はエリねーちゃんに全部飲まれちゃったから
菊見ジュースでかんぱ~い
てか、このとんがり帽子の格好で歩いてたら、
やたらジロジロ見られたんだけど、もしかして
クーナ!?って勘違いされてたかも~
投稿: まこ | 2012年11月24日 (土) 15時42分
まこお嬢様、大江戸地下街でお過ごしの場合は
ダイエットメニューをお守りくださりませ~。
う~まずいの青汁なども
お飲みにならなければなりませんぞ~。
その後は駕籠かきダイエットがおすすめですぞ~。
お好みのイケメン駕籠かきロイドと
ペアで駕籠を担いで担いで
担ぎまくればウエイト・コントロールバッチリです。
エッサエッサエサホイサッサですぞ~。
おっ・・・これはおさるさんロイドまこ様ヴァージョン。
皆のもの~。期末テストが迫っているのに
まこ様が脱走なされたぞ~。
者ども出会え、出会え~。
おおっ・・・こんなところにネズミ穴が・・・。
なんとーーーっ。
地下のまた地下にかってにまこ様専用クーナランドを・・・。
どうも帳簿があわないと思っていたら
巨大予算を着服なさって・・・。
勝手にクーナロイドも大量発注なさっていたとは~。
これこれ・・・そこなあべクーナ。
まこ様はいずこへ・・・。
なになに・・・全国各地の小学生に
クーナフィギュアを売りつけにお出かけになったと・・・。
者ども~。全国指名手配指令発動ーーーっ。
投稿: キッド | 2012年11月24日 (土) 22時04分