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2012年12月31日 (月)

犯人は高校入試、被害者は恋人、だからふにゃふにゃっとぶっつぶしました(長澤まさみ)

2012年、最後の記事にする予定ではなかったのだが・・・多重人格一同、地獄に一時帰還したために予定が狂ってしまった。

しかし、「高校入試」が2012年の最後を飾るにふさわしい傑作ドラマであったことは間違いないと思いまして。

ミステリの場合は結末を迎えれば他愛もない話になってしまうのだが・・・ついに・・・復讐を果たさずに終わったヒロインの燻り続ける復讐心が香り立つ幕切れがトレビアンでございました。

教育者としての美しい心と・・・人それぞれに眠る狂気。

両者が一体となって・・・一高の物語は第二章に突入したと妄想できますな。

で、『・最終回(全13話)』(フジテレビ20121229PM2310~)脚本・湊かなえ、演出・星護を見た。結局・・・「彼」(姜暢雄)と一高は無関係であったらしい。「彼」の高校は具体性には乏しいのであるが・・・他県の一高に準じる高校だったのだろう。そういう意味では杏子(長澤まさみ)の復讐も実は「序章」あるいは「準備段階」と考えることができるのである。

まあ・・・あくまで妄想上は。

杏子の「犯行宣言」によって・・・。

からみあった事件は・・・単なる「出来事」と「入試をぶっつぶすグループの犯行」に分別される。

「彼と・・・彼の職業である教師について・・・もっと知りたいと考えた私は・・・教師になりました。しかし・・・教師になっても・・・もちろん・・・彼の心には届かなかった。仕事としては旅行代理店の業務より楽にさえ感じられた。しかし・・・いくつかの疑念は生じました。その閉鎖性、その事無かれ主義・・・そうした者の中に秘された部分があるのではないか・・・。その時、私は一つのサイトに巡り合ったのです」

田辺淳一(横山幸汰→柾木玲弥)の兄の光一(中村倫也)の「高校入試についてのドキュメンタリー」を掲載したブログ。

そこで・・・光一は・・・英語に受験番号を記入し忘れるという単純ミスで不合格となったことを報告する。

いくつかの事例から「現場の試験監督によれば・・・そういう場合に救済措置があったこと」をあげて・・・光一は自分の不運を嘆くのだった。

本部に集合した教師たちにとってそのドキュメンタリーそのものは既存のものだった。

話題になったドキュメンタリーによって開示請求が殺到し・・・採点ミスまでが発覚した過去があったからだ。それが「彼」の事件とどう関わるのかは不問になっている。

「彼としては・・・良かったじゃない・・・前向きで・・・」と坂本。

「そうでしょうか・・・」

杏子は・・・ブログのコメント欄を開く。

そこには執拗なまでにブログの管理人である光一を攻撃するコメントが残されていた。

「このブログの管理人はその後・・・精神的に病んで・・・高校を中退し・・・管理人はその弟に引き継がれました」

「・・・つまり・・・弟が兄の復讐を・・・」と宮下。

「受験番号46は・・・攻撃コメントの主体となった一人が一高の教師だということも割り出しました」

「俺ではない」と水野。

「それは・・・私です」と荻野。

ついに黒幕の自白となるのだった。

「そんな・・・」と村井。

「私が・・・受験番号46の兄に〇点をつけたのです。それは要綱にそった正しい判断だったと今も思っています。しかし・・・彼のブログを発見し・・・自分の判断が最善のものではなかったことを指摘されて・・・私は自己正当化をするためにおかしくなってしまったのです。ただただ・・・彼が間違いで私が間違っていないことを主張するために・・・心ない攻撃を続けていたのです・・・そして・・・ある日、病み崩れた彼と遭遇して・・・自分が大人として取り返しのつかない行為をしていることに気がついたのです。しかし・・・もはやおそかった・・・」

「すると・・・最後の共犯者は・・・」と小西。

「そうです・・・私です」

「荻野先生・・・あなたなら・・・私をあの会場に配置することが可能ですものね・・・」

「そうです。私は受験番号46、杏子先生、そして生徒の石川を誘導して・・・すべての事件を仕組みました・・・まあ・・・張り出した答案を同窓会会長が発見したのは・・・計算外でしたけどね」

「一体・・・なんでそんなことを・・・」と教頭。

「校長・・・あなたに・・・忘れているものを思い出して欲しかったからです・・・」

「・・・そうなのか」

おそらく・・・合否の判定をめぐって・・・校長と荻野の間には暗黙の了解があったのである。

そして・・・荻野の正義の一矢は・・・校長の胸を突き刺したのだった。

合格発表の日。

受験番号46は合格者の一覧にはなかった。

同志である杏子と淳一は密会する。

「結局・・・僕たちのしたことは何だったのでしょう・・・」

「過去の清算・・・と言ったらきれいごとに聞こえますか」

「兄は・・・自分の気持ちを踏みにじったと僕を詰りました・・・なにしろ・・・僕は安全圏から・・・爆撃をしたようなものですから・・・しかし・・・そんな僕に兄はありがとうと言ってくれました」

「私の相手は・・・語る言葉を持たないから・・・私の行動をどう考えるか・・・わからない。でも・・・私は結局、守られてしまった。すべての責任はある一人の人(校長)が負ってしまったから・・・。そうなってみると私に残された責任の取り方は一つしかないように思える」

「兄は・・・通信制高校からやり直すそうです」

「私は・・・サクラサク、サクラチルを繰り返す・・・この学校と言う舞台で・・・しばらくは教師を続けるでしょう」

「・・・いい先生になれるといいですね」

「さあ・・・それはどうかしら・・・」

一つの通過点を経て・・・それぞれの人生の幕が上がる。

杏子の心はけして晴れやかではない。

人格的に問題のある芝田麻美(美山加恋)や、沢村翔太を受け持つ担任教師として教壇に立つのである。

果たして・・・教師として「彼」のように生徒に愛情を持って接することができるかどうか。

杏子には自信がなかった。

それでも杏子は祝福せずにはいられない。

「入学おめでとうございます」・・・と。

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2012年12月29日 (土)

シニカレ・・・絶対絶命絶叫絶唱絶縁絶交ドラマと思いまして(桐谷美玲)

そこかよおぉぉぉぉぉっ。

すでに地デジドラマの記事ばかりでなんなのだが・・・どうせ、墓場から蘇った悪魔の書く記事である。

NOTTVのスマホドラマだっていいじゃないか。

もっとも、協力フジテレビが深夜におさがりオンエア(関東ローカルであるらしい・・・全世界の皆さまごめんなさい)しましたので。

なにしろ世界で12番目に美しい顔(米国の映画情報サイト「TC Candler」発表)に選ばれた桐谷美玲の本格的なヒロインぶりが見られるのである。

それだけでもう充分だと思いまして。

で、『シニカレ~死んでいるけど、カレなんです。・第1回~』(フジテレビ20121226AM0147~)脚本・野島伸司、演出・中江功を見た。この脚本・演出は『薔薇のない花屋』(2008年)でかってないほど卓袱台をひっくり返したコンビである。・・・ほとぼりがさめたのだな。まあ、実力者ゆえの期待の高さからの卓袱台展開なので・・・この「別れさせ屋」という俗悪な展開が必然となる素材をかなりメルヘンタッチに料理しています。そうなると・・・やはり流石なのですな。

シニカレこと如月雅喜を演じる藤ヶ谷太輔は「PRICELE$S?あるわけねぇだろ、んなもん!?」での「普通の男」から一転・・・なかなかに奥深い役柄を好演してますぞ~。

ま・・・あとは・・・いつもの脚本家の世界ですけれども~。

おさがりで全50話(ショート・サイズ)の連続ドラマを五夜連続で深夜にまとめてみるとゴージャスな感じ~。

とにかく、ヒロイン榎本ルリ子(桐谷美玲)を堪能できると思いまして。

怪しくよくある職業である別れさせ屋。いわゆる人間関係の整理処理業者である。

恋人に別れてもらいたい人からの依頼で別れたい相手に接近・・・その心を奪って・・・依頼者との別れを円滑に進行させる・・・限りなく詐欺師の匂いがする下賤なビジネスである。

ただし、修羅場を回避して・・・双方に後腐れのない決着に導けばそれなりに社会に貢献していると考えることもできます。

その鉄則は「ターゲットと肉体交渉をしてはいけない」・・・その瞬間から結婚詐欺の容疑が濃厚になるから・・・というのが香川次郎(川平慈英)が所長を務める興信所のモットーらしい。

まあ・・・設定そのものは・・・やはり残念な感じでございます。

探偵家業のなれのはて・・・の空気が漂いますので・・・。

しかし・・・本筋は・・・大企業の経営者・三枝敦司(笹野高史)が別居中の妻と同居を再開するために愛人の榎本ルリ子(桐谷美玲)と「別れさせてほしい」とやってきて・・・「別れさせ屋」のエース・如月雅喜が颯爽と登場することで・・・そんなことを依頼してきて自ら強請のタネをばらまく馬鹿がいるのかという根本的な疑問を忘れさせてくれるのです。

エキセントリックな女・ルリ子と実は余命宣告されている雅喜のおかしな恋愛がスタートするからです。

汚れのお約束から・・・お涙ちょうだいのお約束へ・・・この振り幅がメルヘンなのでございます。

如月雅喜は・・・彼女いない歴25年のドジで消極的な男を装って・・・愛人の経営する会社で秘書を務める榎本ルリ子にさりげなく接近します。

ありえないほど・・・愛人の三枝を熱愛しているルリ子ですが・・・雅喜の仕掛けた巧妙な罠に徐々に魅了されていきます。

やがて・・・三枝から計画通りに別れを切り出されたルリ子はそれをすんなりと受け入れるのです。

その後は・・・適当な理由で雅喜がルリ子と距離を置いてフェイド・アウトするという業務なのですが・・・明らかに破綻が伺えます。

「本当は余命いくばくもない雅喜」がルリ子に魅了されてしまうのですな。

そこに・・・妻を不治の病で失った謎の人物・百瀬静雄(升毅)が登場し、物語に怪しいエッセンスが追加されて・・・舞台はほぼ整ったのです。

「なぜ・・・ぼくを好きになったのですか・・・」

「恋愛には絶対的な恋愛と相対的な恋愛があると思うの・・・外見とか内面の魅力、美しいとか優しいとか富と名声があるとか、絶倫とか・・・そういう能力を重視するのは・・・結局、相対的なのよ。私は絶対的に愛してくれればそれでいいの。附帯事項は二つだけ・・・酒を飲んで暴力的にならないこと・・・そして浮気だけは絶対に許さない・・・殺します」

「・・・」

「ところで・・・なぜ・・・私を好きになったの・・・」

「実は・・・僕はもうすぐ死ぬんです・・・死ぬ前に誰かを愛したかった・・・あなたを怒らせるかもしれないが・・・そういう意味では誰でもよかったんです・・・」

「怒らない・・・それってたまたま・・・私と出会ったってことよね・・・つまり・・・絶対的な運命じゃない・・・それに・・・私が・・・あなたを死なせない・・・なぜなら奇跡ってあると思うから」

もう・・・こういう展開がダメな人にはダメ、ものすごく好きな人にはたまらない展開ですな。

やがて・・・妻にも愛人がいたと知った三枝はルリ子に激しく未練を感じ始め・・・残念な感じの三角関係に突入・・・しかし・・・ルリ子の愛はもはや雅喜にまっしぐら。

そこで・・・嫉妬にかられた三枝は雅喜の正体をばらすわけでございます。

ま・・・谷間でございますからねえ。このつづきは機会があったら・・・ということにしておきたいと思います。

ただ一つ言えることは・・・桐谷美玲は鑑賞に耐えうるということですな。

その魅力を生かしたコンテンツがたくさん誕生することを心から願います。

我慢してみないとならない女優はほどほどにしてもらいたいのでございます。

とてつもなく深い愛

とめどなくあふれる涙

ゾンビでもいい

いつもそばにいてくれるなら

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2012年12月28日 (金)

キョンシーが領海領空領土を侵犯してもなんだか平気なのは気の迷いかも(川島海荷)

ここかよっ。

まあ、谷間ですし・・・プライベートで認知症患者がノロウイルスに感染したほどの忙しさがあります。

これは恐ろしいぞ。

なにしろ・・・罹患していることをすぐ忘却しちゃいますから~。

ちなみに都内では一部感染症専門の病院を除いては・・・ノロウイルスの感染患者の入院は許可されません。

なにしろ・・・院内感染がこわいし、隔離体制もありませんから。

つまり、ほとんどの患者は自宅療養を余儀なくされます。

これが世界第三位の経済大国の首都の実態なのだ。

あははははは。

ま、いわゆるひとつのお腹が風邪をひいた日ですからな。

で、『好好!キョンシーガール〜東京電視台戦記〜・最終話』(テレビ東京20121223AM0052~)脚本・演出・濱谷晃一を見た。さて、このドラマには二つポイントがある。一つはゲーム画面で1Pと2Pの選択にはあまり意味がないこと、そしてもうひとつはあんぱんち様が視聴者参加していることである。あんぱんち様、出演達成お疲れ様でした。

まあ・・・「ヨシヒコ」との二本立てで・・・「ヨシヒコ」ほどのパンチはないがそこそこキックがあるお遊びドラマである。

ボーッと見ている分には申し分ないな。

時々・・・ふふっという程度のゲストがカメオで出演して楽しい。

最終回は前後を「ナウシカ」の浅いパロディーで囲ってくるのだが、ここはカメオではなく・・・役柄でババ様(大方斐紗子=東映動画「太陽の王子 ホルスの大冒険」のホルスの声)で少女(春名風花=はるかぜちゃん)である。キャスティングだけは濃いとも言える。

第二話では「モヤモヤさまぁ〜ず」でおなじみの大江麻理子アナがキョンシー化していた。

第五話では民放ドラマでは「ハンマーセッション」以来に紗綾を見た。

ま、だからどうということはありませんな。

第十話ではヒロイック・ファンタジーもどきに愛するものの犠牲が描かれたりもします。

そのために・・・思い悩むヒロイン・キョンシーガール(川島海荷)なのだが・・・最後はあんぱんち様を含むライブの観客と実在するアイドル・グループ9nineのメンバーに励まされ、宿敵・キングキョンシーを打倒するのである。

ま、いいんじゃないでしょうかあ。

「鈴木先生」とか「ウレロ」とか「マジすか」とかの再放送もいいが・・・「キューティー・ハニーTL」と「怨み屋本舗」をお願いしますよ・・・テレビ東京さん。

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Anp001H☆Cライブ特別企画・あんぱんち様をさがせ!

※お問い合わせは絶対にしないでください。

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2012年12月27日 (木)

真に美しく舞うたらば華の園まで遊ばせん(深田恭子)

歴史が常に勝者のものである以上、敗者は汚される。

逆に言えば敗者を讃えるものには一種の美徳がある。

現在の東アジア諸国の下品さはこれを欠くものである。

いつの時代にも怨念はあるだろう。

生あるものが生きた証とは他者を貪り食った業そのものである。

しかし、時に荒々しく、時にもの哀しいその姿は喜怒哀楽に満ちている。

平清盛は神仏を信じなかっただろう。

しかし、この世ならぬのものを愛したにちがいない。

平清盛は家族や郎党を慈しんだだろう。

そして・・・この世に嘆きや悲しみがあることを憂うものであっただろう。

平清盛は偉大な英雄だった。

歴史を紐解けばその心は明らかである。

で、『平清盛・最終回(全50話)』(NHK総合20121223PM8~)脚本・藤本有紀、演出・柴田岳志を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は史上最美な大河ドラマのフィナーレを飾る平清盛絶唱、平頼盛淡麗、平盛国忠心、平知盛咆哮、平時子&安徳帝可憐の五大イラスト大公開。拍手喝采の嵐でお得でございます。数々の名画の筆華繚乱・・・お疲れ様でございました。妄想点火にご協力いただき心から御礼申し上げまする。見事の一言に尽きる大河ドラマでしたな。キッドの心のベスト大河「信長」に勝るとも劣らない今作だったのでございます。松ケン清盛トレビアン!・・・深キョン時子最高!・・・でした。

Tairakiyomori48治承五年閏二月(1181年3月)、桜の花の綻ぶ季節に平清盛は入寂した。享年64である。以来、天皇家が政治の実権を握ることは絶えた。現在の象徴天皇制は平清盛によって創始されたのである。どのように口を拭おうとも時の帝・安徳天皇を弑逆した源頼朝が討伐されなかった以上、天皇家の実権は喪失したのである。帝位は高倉天皇の第四皇子・尊成の後鳥羽天皇が重複して受け継ぐ。高倉帝の母・平滋子の血は現在の皇室に公式的には受け継がれていることになる。治承五年は七月に養和元年にと改元される。清盛の死の直前、征東将軍に任命された平知盛は軍を返し平家は守勢となる。養和二年(1182年)は五月に寿永元年に改元される。寿永二年、平盛国の子で剛力と謳われた盛俊は木曽義仲軍の奇襲部隊に越中国般若野で敗れ、加賀国越中国の国境での倶利伽羅峠の合戦を招くことになる。平重盛の子平維盛は木曽義仲に壊滅的な打撃を受け敗走した。義仲は越前、近江と進軍し、平家は七月に都落ちをする。義仲は直後に入京を果たすが、源頼朝の弟・範頼、義経は寿永三年(1184年)に宇治川の戦いでこれを駆逐する。戦略の天才・源頼朝と戦術の天才・義経は西海に逃れて勢力を維持していた平家軍を一の谷、屋島の戦いで打ち破り、壇ノ浦の合戦でついに滅亡に追い込む。寿永四年(源氏方は寿永三年に元暦元年に改元したために元暦二年)、安徳天皇は海の藻屑と消える。元暦二年七月に大地震が置き平安京は壊滅する。もちろん、怨霊の為せることであった。この地震によって文治元年(1185年)に改元。文治五年、頼朝は藤原泰衡に命じ、義経を自害させる。続いて奥州合戦を行い勝利を収めた。これにて源平合戦の幕は閉じる。文治六年四月に建久元年に改元。建久三年(1192年)後白河法皇崩御。源頼朝は征夷大将軍に任じられ鎌倉幕府が開かれる。武士の世の始りである。建礼門院徳子は出家し、大原寂光院で安徳天皇と一門の菩提を弔い十三世紀まで生きたと云われる。

六条院は蝉の声に満ちていた。上西門院統子内親王は齢64になっていた。

表向きは頼朝の御家人であるが・・・実は天皇の忍びの棟梁である後藤基清は内裏の忍び道を通り、病床に伏せる統子の枕頭に侍った。

「仲清(藤原氏としての基清の旧名)か・・・」

「は・・・」

「いかがした・・・」

「兄が陸奥より戻りましてございます」

「達者なことじゃ・・・遠慮はいらぬ・・・通せ・・・」

「・・・御前に・・・」

基清の影から滲みでるように西行が姿を示した。

「西行法師よ・・・九郎判官の最後を検分いたしたか・・・」

「いかにも・・・」

「さぞや・・・華々しかったであろうな」

「しかり・・・義経公をはじめわずか数騎の武者たちに藤原勢五百騎、忍び武者千人が悉く討たれ申した・・・」

「さすがじゃのう・・・」

「最後は清盛公の御霊を封じた火炎玉によって休息中の持仏堂ごと焼き払いましてございます」

「それでは遺体も残らぬか・・・」

「鎌倉方には義経公の影武者の一人の首を持たせました」

「無残じゃのう・・・して・・・封印は・・・」

「申し訳ありませぬ・・・完全には成し遂げられませんでした。一部は乾(北西)に飛び去ったと思われます」

「北西か・・・狐姫も故郷が恋しくなったのかの・・・」

「・・・」

「鎌倉の軍は奥州を攻めるか」

「まもなく戦となりましょう・・・かの地には朱雀がおりますれば・・・合戦の報告も間もなく届きましょう」

「さて・・・それまで妾の命脈があるかどうかじゃの・・・」

「何を仰せになりまするか・・・」

「よい・・・妾もいささか疲れたわ・・・この国の御世のことも・・・そろそろ・・・徳子様にお任せしたい・・・」

「では・・・忍び頭は・・・」

「すでに伝授を終えてある・・・妾の命数尽きれば・・・皆は徳子様に従うのじゃ・・・まあ・・・西行殿は悠々自適の身・・・風任せで生きるのであろうがの・・・」

「拙僧も・・・いささか・・・つかれ申した・・・後の世のことは弟に任せ・・・最後の旅に出たいと存じまする」

「ふふふ・・・来年の桜を見ることは叶うであろう・・・」

「ありがたき幸せ・・・」

「あのものが去ったのも桜の季節であったのう・・・」

「もう遠き昔のような・・・つい昨日のような気がいたします」

「長い・・・長い戦であった・・・」

六条院に静寂が訪れた。

後白河法皇が見舞いに来ると知らせがあり・・・二人の忍びは姿を消していた。

統子は蝉の啼き声にしばし耳を傾けていた。

国家守護の姫巫女にも永い眠りが訪れようとしている。

文治五年の夏のことである。

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2012年12月26日 (水)

遅咲きのひまわりの花言葉は私を忘れないで(生田斗真)東京タワーの気持ちか(真木よう子)

どうして・・・嘘を・・・それは「勿忘草の花言葉」だろ。

ひまわりは「あなたをみつめる」だからな。逆に言うと相手はみつめていない場合があるよな。

ひまわりの相手は太陽だからな。

太陽を見つめ続けたら目がつぶれるから無理なんだけどな。

遠距離恋愛の合言葉は・・・自然消滅だしな。

いや・・・共通のふるさとがあれば・・・「ただいまとおかえりの間」っていうか「Uターン」もあるだろう。

「ご無沙汰」って言うのもあるぞ。

まあ、基本は芸のためなら女房も泣かす、それがどうした文句があるかだよな。

夢のためなら恋なんて・・・どうせ一過性だし・・・という結論。

リニューアルですな。

リニューアルだよ。

歴史はくりかえす・・・なのだった。

で、『、『遅咲きのひまわり~ボクの人生、リニューアル~・最終回(全十話)』(フジテレビ20121225PM9~)脚本・橋部敦子、演出・石川淳一を見た。つまり、リニューアルなのである。ちょっぴり新しいけど基本は同じなのだ。「あせってる姿を見たことがない」という理由で恋人・紗江子(大塚千弘)から「永すぎた春」にピリオドをうたれた主人公小平丈太郎(生田斗真)は流れるままに三年契約の四万十市役所臨時職員になったわけである。そこでも特に「あせってる姿」を見せることはなかったのだが・・・四万十市の人々は「それ」がよかったらしい。しかし、きたるべき次の大震災の時は「あせって」水際から・・・いや・・・カヌーがあるから平気なのか。

二階堂かほり(真木よう子)もまたずっと秘めていた思いがあったのである。

夢についてどう行動するかについてはそれぞれのやり方がある。

大それた夢を持った場合・・・それをけして口にはしないというやり方もある。

なにしろ、実現しないと恥ずかしいし・・・口にすることで夢の重みが軽くなるタイプの人間もいるだろう。

そして・・・多くの場合、夢は夢のままひっそりと墓場に埋まるのである。

積極的に事あるごとに言うやり方もある。やりたいことをやりたいと言うことはやるための第一歩のようなものだからだ。

特に自分一人では実現できない夢の場合、言わなければ始らない場合がある。

もちろん・・・無言で実現する場合もある。ただし、多くの場合、高倉健である。

愛の告白は・・・「君と二人で生きて行きたい」という夢の実現にはかかせないのだ。

もちろん、相手があることなので人によってはただ頷くだけで達成されたりもする。

このドラマの結末は・・・ある意味、無責任である。

しかし、責任あるドラマの結末なんて・・・そう滅多にあるものではないのだ。

物語の登場人物が物語の後でどうなろうと・・・知ったこっちゃないわけである。

ただ・・・お茶の間に・・・なんとなく希望を抱かせることができれば・・・それはそれで成功した結末と言えるだろう。

「臨床医ではなく研究医として渡米したい」というかほりの夢の裏にはもう一つの決意が隠されていた。

「高校生の時に祖母がガンで死んで・・・ガンを治療できる研究がしたい」と思ったかほり。

その「夢」は研究医になるまでには語られたことだったのかもしれない。

しかし、研究医になった以上、夢の実現が夢になってしまったのである。

その道半ばで挫折を強いられたかほりは本来の夢を見失ってしまったのである。

一方で「夢らしい夢」を持たない丈太郎と出会ったかほりは限られた可能性の中でもがく丈太郎に自分にはないものを感じるのだった。

ないものねだりはたちまち恋に飛躍するのだった。

常にマイペースの丈太郎だったが・・・ガンの免疫治療の研究に挫折しながら、地域医療に不可欠な医師であるかほりはまぶしいほどの高嶺の花であるにもかかわらず、まったく頓着しないほどの男である・・・しかし、常に夢を語られ続けてついに染まってしまうのだった。

「俺も夢が欲しいちゃ」

標準語圏では標準語、地方に来たら方言・・・染まりやすい男なのである。

一方、かほりは故郷に帰っても方言に戻らない女なのだった。

二人はそれぞれの夢に向かって走りはじめる。

すると・・・たちまち、恋は置いていかれるのである。

この違うベクトルをどうするのか・・・物凄いアクロバットが展開されるのだが・・・まあ、シリアスな恋愛ドラマはこうあるべきなのである。

丈太郎の住居の軒先にはベゴニアが置かれている。

ベゴニアの花言葉は「親切・丁寧」である。

丈太郎は親切で丁寧な男である。そのために地域の人々に愛されている。

老いた農夫は大河内欣治(ミッキー・カーチス)は丈太郎に「荒れた田の復活法」を伝授する。

「早くても三年かかるぞ・・・」

「三年か・・・」

実家の金物屋が廃業した四万十市地域おこし協力隊隊長・藤井順一(桐谷健太)にとっては背水の陣である。丈太郎にも覚悟を決める時は近づいていた。

母親が病気のために生地である岡山に一時帰郷していた地域おこし課課長の日下哲也(松重豊)は何食わぬ顔で戻ってくる。

「もう・・・帰ってこないかと思いました」

「いや・・・ここが私の故郷ですから」

この時点で丈太郎の未来は決まってしまったのだ。

かほりと丈太郎は衝突する。

「あたしあたし」

「あたしってだれだよ」

丈太郎を襲うかほりである。

ガンの免疫治療の研究医に戻るか、地域医療に尽くす臨床医を続けるか・・・迷うかほり。

「好きにすればいいじゃないか」

「そんな無責任なことを言わないで・・・私はあなたとちがうんだから」

「どういう意味だよ」

「私には責任があるもの」

「そんなこと言って・・・本当は研究医になって成功する自信がないんじゃないの」

「なんですって・・・私には夢が・・・」

「夢ってなんだよ・・・言いたきゃ言えよ」

「・・・もういい」

痴話喧嘩である。

島田さより(国仲涼子)はボランティアを続けることにより、心に余裕ができたのである。

問題に正面からぶつかる決意ができたのだった。

「昨日の晩御飯なんだか・・・覚えている」

「忘れたよ」

「今は子供がいるからあれだけど・・・そうやって何もかも忘れて行くあなたとこれからも生きて行く意味が私にはわからない」

「なんだよ・・・何か文句があるのか」

「いつまでもあると思うな、晩御飯ってことよ」

「え・・・」

「離婚とかしたら・・・信用金庫とかでは・・・出世に響くんでしょうね」

「ええ・・・」

「私、出て行こうと思うちょるんよ」

「えええ・・・そんな僕と彼女と彼女の生きる道みたいなこと言われても・・・わかった・・・は、話し合おう・・・今夜は早く帰るちゃ」

「今夜はおでんちゃ」

「おでんか・・・おでんはいいな・・・」

結局・・・主導権の問題らしい。

まあ、家庭を守るのが主婦の役目でいる以上・・・主導権は妻が握るべきなのである。

夫の久志(矢柴俊博)はたやすく折れる男だった。今までは虚勢を張っていたのだった。

そして、さよりはストレス解消のための喫煙をやめる決心をしたのだった。

こうしてまた一人、煙草農家を愛する人が消滅したのだった。

ベゴニアの花言葉は「愛の告白」である。

「おれおれ・・・」

「おれおれってだれよ」

二人はカヌーに・・・久しぶりに乗った。

季節は流れている冬の気配の漂う四万十川。

二人は無言で流れて行く。

「私はガンで死んだおばあちゃんの仇をうちたかったの」

「うてばいいじゃないか・・・ガンを撲滅しても犯罪者にはならないんだし・・・」

「・・・」

「思いきって飛びこんじゃえばいいんだよ」

「この季節だと・・・それは無理だから」

かほりは決意した。

かほりの上司である東京医療科学大学がん研究センター教授の岡島(中丸新将)は後任の医師を手配した。

「しぇんしぇい・・・行かないで・・・」という病人たち。

しかし・・・かほりは「私には夢があります」と渡米への思いを語る。

その演説に胸をうたれたナース青山(田口淳之介)は「先生はノーベル賞とるかもしれないですよ・・・」とデレるのだった。

かほりは感動した。

かほりの送別会・・・。

四番ピッチャー松本弘樹(柄本佑)の医学療法士の専門学校への入学祝いを兼ねているのである。

なんとなく立ち直ったナース森下(香椎由宇)とメンバー最年少なのでまだまだ其処が浅い市会議員の娘の今井春菜(木村文乃)も顔をそろえる。

その席で丈太郎は・・・四万十市への永住宣言をするのだった。

「俺の作った米が世界に輸出される日をめざします」

丈太郎はようやく夢を得たのである。

行きつけの店の忍びのマスターも思わずもらい泣きをするのだった。

かほりは東京へ。

丈太郎は四万十で・・・それぞれの夢を追う。

別れの夜である。

「クリスマスツリーを飾るんでしょ・・・できたら写真メールしてよ」

「いいよ・・・お前も東京タワーのクリスマスツリーの写真送ってくれ」

「わかった・・・」

「・・・」

「・・・」

「じゃあな・・・」

「・・・」

恋の天使は静かに弓を置きました・・・。

「見送りに行かないのか」と順一。

「だって・・・空港まで往復六時間だぜ~」

「だけど・・・」

「ざまな(大)荷物があるわけでなし・・・」

「・・・」

「とにかく・・・早く収穫までこぎつけないと・・・俺たち・・・夢はあれどもプータローなんだから」

「それを言うなちゃ~」

東京に着いたかほりは爆弾宣言である。

「私は教授の下では研究いたしません」

「なんだ・・・ドクターX見たのか・・・。しかし、私以外に君に研究させる人間いないと思うよ」

「私も・・・かってはそう思っていました。しかし、自分の夢である以上、もう誰にも邪魔されたくないんです」

「・・・」

こうして・・・かほりも夢を追うプータローになったのである。

その道は遥で険しいのである。

二人のプータローにもクリスマス本番がやってくる。

≪東京タワーのクリスマスツリーどうなった≫

≪いそがしいんだもん≫

≪明日になったらなくなっちゃうじゃん≫

≪だって・・・恋人だらけだよ≫

≪ツリーが見たい。ツリーが見たい。ツリーが見たい≫

≪しょうがないなあ・・・もう≫

恋人たちに囲まれて東京タワーのクリスマスツリーを撮るかほり。

待ち構えていた丈太郎。

「よかった・・・気をきかせて東京スカイツリーに行かれたらどうしようかと思ったよ」

「何してんのよ」

「ほら・・・行方不明だったひまわり・・・近所の田中さんが鉢植えにしてたんだ」

「それをみせにわざわざ・・・」

「車で片道15時間かけてね」

「なにしにきたのよ」

「逢いにきたんだよ」

「なんで・・・」

「逢いたかったから」

「・・・私も逢いたかった」

そして・・・夢はあるけど無職の二人は・・・一夜の恋に我を忘れるのである。

二人は今・・・遠く離れてしまえば愛はおわるという常識にちょっとさからってみたい年頃なのだった。

とにかく・・・「アキハバラ@DEEP」(2006年)以来の生田斗真のまともな役柄の主人公が全うされたことに乾杯なのだった。ひ、久しぶりだな~。まあ、「イケパラ」とか「うぬぼれ」とか脇役ではいい味だしてたんですけど~。6年に一度って・・・。

これはこれで完結してると思うが続編は認めます。・・・何様なんだよっ。

それで・・・四万十市の町おこしは少しはどうにかなったのかな・・・。

ま・・・すべては順番だからな。

関連するキッドのブログ→第9話のレビュー

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2012年12月25日 (火)

夢の結婚式費用0円、恋人に囁くメリークリスマスPRICELESS(木村拓哉)

生放送で雪山遭難キターッ・・・もうそれだけで満足です。

たとえ札幌ドーム裏で・・・遭難寸前でもね~。

だって・・・雪山遭難が好きだから・・・。

おいっ・・・それって・・・いろいろとダメだろ・・・。

だって、クリスマスに嘘はつけないじゃないか。

悪魔なのにかっ。

・・・札幌、零下10℃でございますか。

皆さま、暖かくしてお過ごしください。

じいや出しとけば・・・問題発言がすべてうやむやになると思うなよ~。

で、『PRICELE$S?あるわけねぇだろ、んなもん!?・最終回(全10話)』(フジテレビ20121224PM9~)脚本・古家和尚、演出・鈴木雅之を見た。ああ、ハードだったこのシーズンも頂上が見えて来たなあ。そして・・・もうすぐ2012年も終るのだなあ。とりあえず、最大余震もほどほどに収まり・・・長く続く戦いの日々もようやくスタートラインに立ったのだな。心休まる日は遠いが・・・希望の光だけは灯ったよ。世知辛い人々とゆとりある人々がなんとかおりあいをつけて仲良くできるように・・・と祈るばかりです。

とりあえず・・・歯を磨き、口を濯ぐ三人である。

榎本小太郎(藤ヶ谷太輔)が率いるMiracle Electronicsの1507人の元社員に押しかけられて困惑する金田一社長(木村拓哉)、役員の二階堂(香里奈)、平のモアイ(中井貴一)である。

「どうするんですか」

「どうしよう」

「ガラガラ・・・ペッ」

・・・なのである。

「みんな・・・金田一さんの下で働きたいんです」と榎本は発狂したようなことを言うのである。

「そんなこと言ったって・・・ハピネス魔法瓶、ほぼ解散状態だし・・・」

「何か、新しいことを始めればいいじゃないですか」

「とりあえず・・・社員登録しておきましょうか・・・そして自宅待機してもらなわないと近所迷惑ですから」と対策案を告げる二階堂だった。ある意味、門前払いである。

「もう、しょうがないな、金田一・・・頼ってきたものをむげにはできねえよ」

「わかりました・・・渡世の義理人情ですね」・・・結局、発狂した1507人を預かることにした金田一である。もう、社長というより親分の領域なのだった。

そして、社員というか組員の認証を始めた金田一二階堂を残し、モアイは状況把握に乗り出すのだった。

一方、無人の社屋で茫然自失の大屋敷社長(藤木直人)である。

「一日で社員全員が退職するなんて・・・前代未聞すぎる・・・ギネスブックにのるかな」

「社長・・・おいたわしや・・・」と忠義の士となった財前専務(イッセー尾形)は提案する。「こうなったら・・・私が金田一に頭を下げて社員を返してもらってきます」

「それはやめてくれ・・・敗者にだって自尊心はあるもの」

「・・・私は・・・前社長からお仕えして四十年・・・ただ一度だけ前社長の言い付けに背きました・・・それはあなたこそ・・・社長にふさわしいお方だと思ったからです」

「・・・すると・・・君は・・・父の遺言を・・・」

「聞いていましたとも・・・地獄耳なんですから・・・」

大屋敷前社長(中村敦夫)の遺言に背き、「社長の器ではない統一郎」を後継者と認めた財前。おそらく長子相続主義者なのだろう。

ちなみにドラマの設定では金田一(38)、大屋敷(40)である。

実年齢は木村拓哉が1972年11月13日生れの40歳。

藤木直人が1972年の7月19日生れなので確かに少しだけお兄さんなのだった。

まあ・・・多くの40才にとってそんなにかっこいい40才の兄弟がいるわけないだろう・・・なのだが仕方ない事には実在するのである。けして、自分の夫とか父親と比較しないでください。・・・危険です。

とにかく、実年齢設定の方がなぜ・・・大屋敷(父)が浮気したのか・・・リアルだったと思える。・・・分からない人はお父さんやお母さんや施設の大人の人に聞いてみよう。

とにかく・・・弟との手段を選ばぬ一方的な戦いに敗れ、何もかもを失った気分になった大屋敷は力なく会社を去るのだった。

朝から一切の業務が停止された大企業は噂となり、マスコミが押し掛ける事態。

モアイはその場にやってくるが大屋敷とはすれ違う。

一人悄然として取り残された財前はモアイに土下座するのだった。

「お願いだ・・・社長を・・・坊ちゃんを助けてやってください」

モアイは唖然とするばかりだった。

なす術なく幸福荘に戻るモアイは「困っちゃったよ・・・財前さんに大屋敷社長を助けてくれって泣きつかれちゃって・・・しゃ、社長~」

大屋敷は幸福荘を訪れていた。

金田一と大屋敷の最後の対決である。

「私は君に負けた・・・」

「そんな・・・別に戦争していたわけじゃないですから」

「いいや・・・私は君と・・・いや・・・前社長の残した言葉と戦争をしていたんだ・・・」

「前社長の残した言葉って?」

「お前は社長の器じゃない。ミラクル魔法瓶の社長として本当にふさわしいのはお前の腹違いの弟の金田一二三男だ・・・という遺言です」

「え・・・」

「君は私の腹違いの弟なのだ」

「ええーっ」

「どういことですかっ・・・」と二階堂。

「か、隠し子ってことじゃないのか」とモアイ。

「ふ、不義密通ですか・・・」

「何時代だよっ」

「じゃ・・・金田一さんは妾腹の生れ・・・側室にできた子」

「だから、何時代の生れなんだよ・・・君は」

金田一も大人である・・・一瞬ですべての事情を悟ったのだった。

「じゃ・・・あなたは・・・お兄さん」

「そうだ・・・」

「そうか・・・なんだか・・・すっきりしましたよ・・・つまり、これって・・・兄弟喧嘩だったんですね」

「そんなことに・・・私は社員1507人を巻きこんでこの様だ・・・」

「それは・・・ちょっと・・・やりすぎちゃいましたね」

「兄弟だわ・・・」「兄弟だな・・」と大屋敷金田一兄弟の血縁を感じる二階堂モアイだった。

「とにかく・・・父の言葉に逆らって敗北した以上・・・父の残したものはすべて・・・君のものだ・・・」

「え・・・ちょっと待ってくださいよ」

自宅に帰ろうとしない大屋敷のために一夜の宿を提供する金田一である。

そして、モアイは2号室の怪人・大島陽輝(渋川清彦)の熱い吐息を浴びせられ、二階堂は3号室の富沢萌 (小嶋陽菜)のアイドル伝説を朝まで拝聴し、金田一は1号室の占い師・豪田武雄(酒井敏也)に「生き別れの兄弟と再会する相」が出ていると占われるのだった。

翌朝・・・大屋敷は姿をくらましていた。

「さがさなくて・・・いいんですか・・・」

「いや・・・その前にやらなけりゃいけないことがある」

「兄弟喧嘩の後始末だな・・・」

こうして・・・仲良しトリオはMiracle Electronicsの再生に乗り出すのだった。

しかし・・・退職した人々の大屋敷社長への不信感は根強い。

二階堂と榎本が個別訪問するが人々はなすなす説得に応じない。

一方、金田一は再建のための資金調達を広瀬ファンド社長の広瀬遼一(草刈正雄)に申し込む。

「いくら・・・君の頼みでも・・・今、Miracle Electronicsに投資する投資家はいない・・・リスクが大きすぎるのだ・・・私も自分の会社をつぶすわけにはいかないからな」

突破の糸口が見いだせないまま幸福荘に戻った金田一二階堂。

しかし・・・「特許訴訟」の件を担当していたモアイは朗報を持ちかえる。

「大屋敷社長が・・・訴訟を取り下げていた」

「そうか・・・じゃ、究極の魔法瓶をまた作れるんですね」

馴染みのバー「キングスコート」で一息つく仲良しトリオ。

「俺・・・いいこと思いついちゃいました」

「ボクも・・・思いついたことがある」

「私もなんですけど」

「ミラクル魔法瓶で・・・究極の魔法瓶を作るんです」

「あ、ボクもそう思っていたのに・・・」

「私も~私も~」

お茶の間もみんな思いついてましたよ。

さっそく・・・説得に乗り出す金田一・・・しぶっていた工場主たちも・・・結局、賛同するのだった。だって・・・仕事しなくちゃおまんまの食いあげだもんね。

「そうなると・・・新・究極の魔法瓶は保温期間を三日にしないとな」と断言するミラクル製作所の辻所長(志賀廣太郎)だった。

こうして・・・Miracle Electronicsは社をあげてミラクル魔法瓶を作るのである。

他の部門・・・たとえば家電とかは・・・という疑問はラブコメ・モードで遮蔽されます。

そして、たちまち完成するミラクルな究極の魔法瓶・・・。

流通に乗るとたちまち・・・新製品紹介のカリスマ記者「ネクストONE」の能見実(香川照之)が嗅ぎつけるのだった。・・・どんだけ魔法瓶が好きなんだ能見記者・・・である。

もちろん、ミラクルな究極の魔法瓶は大ヒット。なし崩し的にMiracle Electronicsは旧社名・ミラクル魔法瓶に戻るのだった。

もちろん、ミラクルハピネス魔法瓶とかほっかほっか魔法瓶とかほっともっと魔法瓶とかはぴまて魔法瓶とか・・・ネーミング案はあったと思われる。しかし・・・まあ、本来、ミラクル魔法瓶なんだし、魔法瓶しか作ってないんだからいいんじゃないか・・・ということだったのだろう。

評判を聞き付けた金田一の元カノの広瀬遙子(蓮佛美沙子)はパパにおねだりするのだった。

「カレの会社・・・好調みたいよ~」

娘に甘い父親は即座に融資を復活の日なのだった。

「人生は素晴らしい」のである。

さて・・・ラブコメモードに乗ったので会社が軌道にのった祝杯をあげる前に待ち合わせをするなかよしトリオ。

何故か・・・恋人たちであふれる広場である。

最初に金田一。次に二階堂がやってくる。

「今日は・・・クリスマス・イブですね」

「そうだね」

見つめ合う二人・・・ラブ。しかし、到着するモアイ・・・コメである。

万歳・・・そして黙祷だな。

その夜、神社では神の子を八百万の神のうちとする我が国ならではの祭りが展開していた。

そして・・・モアイはミニカーを手に入れ、金田一はサインボールを回収する。

二階堂はノーコンだった。

ついに・・・金田一は大屋敷を迎えに行く日が来たのを知った。

大屋敷はホームレスの聖地に居た。

金田一は大屋敷をその日暮らしのフルコースに導くのだった。

そこへやってくる金田一の救い主である鞠丘貫太(前田旺志郎)両太(田中奏生)兄弟。

二組の兄弟は豚汁を食べる。

兄は弟にニンジンを与え、弟は兄に肉を与える。

世の中には仲の良い兄弟もいれば・・・仲の悪い兄弟もいるだろう。

しかし、同胞として助けあう方が幸せであるに決まっているのである。

大屋敷は・・・ようやく・・・そのことに気がつくのだった。

人は自分が「愚か者」であると知ってこそ「愚かさ」を学ぶことができるのだ。

そして・・・すべてのものに名前がある意味を悟るのである。

そうでなければ失敗は成功の母になれないのだ。

異母兄弟は初めて一つ屋根の下で眠りに着く。

「明日はクリスマスだね」

「ええ」

「君はサンタクロースは何歳まで信じていた」

「うちは貧乏だったので・・・小学校二年の時に母親がプレゼントは千円までとクギをさしてきて・・・」

「僕は小学校六年生だ・・・でも・・・僕のサンタは毎年、辞書だの、英語の教材だの・・・ろくなものをくれなかったよ・・・ああ・・・でも一度だけ・・・グロープをもらったことがあった・・・うれしかったけど・・・結局、父とキャッチボールは一度もしていない」

「・・・」思いあたる金田一だった。

社員一同を集めた金田一はこれまでのすべてを物語るのだった。

呆然とする社員一同。

最後に大屋敷が壇上に立つ。

「私のくだらない嫉妬に皆さんを巻きこんですみませんでした」

しかし・・・事情を知った人々は涙を流すのだった。

「それじゃしょうがねえ」

「そりゃ、ないわな」

「そんな、ありえないよな」

「愛人の子を後継者にするだなんて・・・」

「全部、先代が悪いんじゃないか・・・」

「社長・・・あんたは何も悪くないぞ・・・」

「そうだ・・・あんたが社長でいい」

「今後は・・・兄弟仲良くしろよ」

拍手喝采なのだった。

愛人の子は速やかに日陰に戻っていくのだった。

「本当にいいのか・・・一緒に・・・」

「いえ・・・僕には僕のやりたいことがありますから・・・兄貴・・・そうそう・・・これ・・・兄貴に預けておきますよ・・・僕が父親からもらったたったひとつのプレゼント・・・」

金田一はサインボールを投げた。

大屋敷はそれをキャッチした。

二人は微笑んだ。

エンディングに流れ込むなかよし三人組である。

「やりたいことってなんなんだ」

「それはこれから考えるんですよ」

「あ、やっぱり」

「こすると願いがなんでもかなう魔法瓶ってどうでしょう」

「どうでしょうって・・・そりゃ、魔法のランプでしょう」

「なになに・・・そんなのあるの・・・」

「えーっ・・・知らないんですか」

「うん」

「だから・・・魔法のランプがあって・・・こすると・・・中からモアイさんが」

「モアイさんがって・・・なんだよ」

・・・一年後。

どこかの雪山の奥地。

雪穴から魔法瓶を掘りだす三人。

「やった・・・熱いよ」

「今日でもう一週間ですよ・・・もう今日は12月24日ですから」

「・・・あ、俺、いいこと思いついちゃった」

「ボクもだよ・・・今度はボクに先にいわせろよ」

「じゃ・・・せえので言いましょう」

「せえの・・・」

「メリークリスマス」

「メリークリスマス」

「どうか良いお年を・・・」

「えーっ・・・忘年会終りですかあ、モアイさん」

「まったく・・・しょうがないなあ、モアイさんは」

「なんだよっ・・・しょうがないってなんだよっ」

「とりあえず・・・もう一回埋めましょう」

「えー、まだやるの・・・」

「もう寒くて死んじゃいますよ~」

「いや・・・ギネスブックにのせるなら10日とかの方がキリがいいですから」

関連するキッドのブログ→第9話のレビュー

An010sごっこガーデン。聖なる雪山遭難セット。アンナサインボールかえってきた~、弟くんにショベルカープレゼント~。ふみくんジャガーはなかったけど・・・大満足の最終回だったぴょん。結局、たわいない話だけどクスクス笑えて幸せな気分が残る・・・そういうドラマって素敵なのぴょん。一厘さん(夏木マリ大先輩)が来ていたシャツのようにこれは夢なのよね~。幸せな夢・・・そして目覚めればちょっとさみしい夢・・・Jumpin' Jack FlashはThe Rolling Stonesがスマスマゲストに来た時に絶対歌ってほしいぴょん、じいや、招聘してぴょんぴょんぴょ~ん」まこうっひょーーーっ。フジッキー社長が返り咲いてよかったのでしゅ~。財前部長も忠義の人でめでたしめでたしなのだじょ~。みんないい人になったのに・・・モアイさんの妻と娘は腹黒いまま・・・モアイさんが成功したら戻ってくるのかしらん・・・それまでにモアイさんが変なラブに目覚めないことを祈るばかりなのでしゅ~。じいや、雪合戦するからもっとふらしちくり~・・・むふふ、このボールを雪の中に入れて~とくうものよりも人にこだわった金田一社長、全社員の名前を覚えることで再出発する大屋敷社長・・・そして・・・本当は兄弟仲良くと言いたかったらしい先代・・・遺言はちゃんと書かないとダメですよね~、マンション爆破するのはもっとダメですけどね~。警察何してんだと大人気ないと知りつつ言っておきますよ~。でも、ハッピーエンド最高っす・・・ダブル兄弟とか仕掛けは結構計算があったんすよね~・・・やはりそういうタイプの脚本家なんだね、じいや、七面鳥おかわりください~みのむしみなさん、よいお年を~るるるちーず悪夢ちゃんです・・・メリークリスマスですシャブリ誕生日にあわせて特許出願していたらライバル社に抜かれるのでは~とハラハラしたのでありました~。じいや~豚が生きている豚汁おかわりくーださいなのでありますikasama4師走本番ですな。年賀状の出し忘れにご注意ください・・・あるわけないと思っていると意外にありますぞ~ (; ̄∀ ̄)ゞmariメリークリスマス。シナリオに沿ったレビューできました。何はなくてもポジティブですよねエリメリークリスマス!世界の兄弟姉妹&一人っ子がみんな幸せでありますように・・・

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2012年12月24日 (月)

なぜかと問うても答えはないから入試をぶっつぶすふにゃふにゃですよ(長澤まさみ)

秋ドラマも終盤戦である。

次々と最終回を迎えるドラマの数々・・・今回はかなりのインパクトが続いていく・・・その中でまだ・・・もう一週あるのかよ・・・というこのドラマ。

ここまで視聴してきたものは・・・終っちゃうのかよ・・・本当に終っちゃうのかよ・・・と複雑な気持ちになっているはずである。

ついにヒロインが仮面を脱ぎ捨て・・・告白も半ばでつづくである。

こんなとこで・・・ですかーっと絶叫したものも多いだろう。

まあ・・・ミステリの謎解き告白としてはまだ・・・序の口である。

それにしても充実しすぎだよね・・・半分・・・夏ドラマだったら・・・終っていることに文句を言っても仕方ないのよ。もう・・・夏のことは忘れなさい。過去に留まり続けていることに意味なんてないのよ。

そんなことを彼女に冷たい視線を浴びせられつつ言われてみたくない人にはこのドラマの魅力は半減するかもしれませんな。

で、『・第12回なのに最終回じゃないんだぜ』(フジテレビ20121222PM2310~)脚本・湊かなえ、演出・星護を見た。それでもついにここまで来たよな。「彼」(姜暢雄)が杏子(長澤まさみ)の恋人ですでに死者であることが明らかになったのである。そして・・・杏子の供述に嘘がないのなら・・・「彼」と一高は無関係だということである。杏子はただ・・・日本の学校制度について知りたかっただけなのである。その動機は「ここにはいない人の心を知りたい」という単純明快なものである。なぜなら・・・「彼」は「死」という秘密のベールに包まれているのだから。・・・彼を死に追いやった事件は四年前に起きているのである。彼の部屋の新聞記事には第一志望の高校に不合格となった高校生が自殺したことが報じられているが公立高校とあるだけで学校名は特定されていない。そして自殺した生徒の親が開示請求をしたことで採点ミスが発覚。採点ミスに関わった「彼」は酒に溺れ、自殺とも事故とも判断できない状況の中、酩酊状態で車に轢かれ死亡したのだった。

さすがに・・・一高関係者なら誰かが事情を知っているだろう。少なくとも五年前に坂本(高橋ひとみ)や荻野(斉木しげる)は一高に在籍していたのである。

「彼」の四年前の事件と、田辺淳一(横山幸汰→柾木玲弥)の兄の光一(中村倫也)の五年前の事件は無関係であると思われる。

このままで行くと・・・杏子は誰も殺さないし・・・学校を爆破したりはしなさそうだ・・・いや、そうとも言えんぞ・・・「復讐相手は誰でも良い」という考え方は今、流行中だからな。

まあ・・・それが「復讐」と呼べるかどうかは別として。

【高校入試をぶっつぶす★12】

1:名無しの権兵衛

復讐するは誰にあり?

2:名無しの権兵衛

>>1

復讐するは人それぞれにあり

試験当日の夜は更けて行く・・・。

的場校長(山本圭)と入試部長の荻野の問答は続いていく。

「そもそも・・・この掲示板に書き込んでいる名無しの権兵衛たちは・・・現行入試の何が不満なんだろうか?」

「入学制度自体に・・・でしょうか」

「しかし・・・学力でランク分けせずに・・・底辺に足並みをそろえていたら・・・国を担う優秀な人材が育たないではないか・・・人口十億人の隣国の超エリートにいいようにふりまわされて・・・国が滅ぶよ」

「しかし・・・学力だけが人間の優劣をつけるものでもないでしょう」

「そんなの詭弁だよ。エリートは常に少数派だ・・・頭の良い奴が冷血漢で、頭の悪い奴が心が豊かな人間だなんて・・・バカのやっかみ以外の何物でもないだろう」

「いや・・・校長はそこまでおっしゃってませんが・・・」

「すまん・・・つい口がすべった・・・」

「いえ・・・我々の使命は人間をなるべくバカにしないことですから・・・」

「とにかく・・・頑張って勉強したものを否定してどうするってことだ」

「ランクの低い学校に通っているものは頑張っていないと・・・」

「いやいや・・・人間は皆、能力に差があるのだ。それぞれがその能力の範囲で努力する。バカはバカなりに努力して少しバカでなくなる。その努力は褒められるべきだ。しかし・・・そのことを学力の判定の場に持ち込んだら・・・意味不明になるだろう。努力と合否の判定は別のものじゃないか」

「じゃ・・・バカはどこで評価されるんですか」

「親が家で褒めてやればいい・・・親バカってのはそのためにある言葉だろう。あるいはバカはバカなりに自画自賛すればいいんだ。自画自賛っていうのは昔からバカのすることなんだから」

「・・・」

「昔はみんなそうだったろう・・・かけっこだって・・・たとえビリだったとしても・・・がんばったねっておふくろは褒めてくれたよ」

「うちの親もへたくそな似顔絵をいつまでも居間に飾ってくれていました」

「高校入試だって・・・それと同じじゃないのか・・・」

「・・・」

・・・分かったこと。的場校長は足が遅かった。荻野は絵が下手だった。

五年前・・・光一が「不合格」だったことで感じた絶望感とは比較にならないようだ。

光一が結果を受け入れられなかったのは・・・自己採点が自分より4点も低かったものが・・・「合格」していたからである。

「校長・・・ぶっつぶしたいのは入試そのものではなく・・・たとえば採点の仕方といった入試にまつわる何かではないか・・・とは考えられませんか」

「そういえば・・・うちでも五年前に採点ミスがあって・・・我々も処分を受けたっけ・・・」

「五年前・・・四年前では・・・」

「ちょっと待て・・・五年前だったか・・・四年前だったか」

「そこ・・・わりと重要ですけど・・・首謀者は本年度の受験生ではなく過去に採点ミスの被害を受けた者かもしれません」

「被害と言っても・・・合否には関係なかったじゃないか」

「本当に・・・そうなんですか」

荻野・・・直接関係してなかったか・・・あるいは校長の強弁に驚いたのか・・・判断不能のリアクションである。

「荻野くん・・・こちら側の人間がそういうことは言っちゃいかんだろう・・・新聞にも書いてあっただろう・・・もしも合否がひっくり返っていたのならマスコミがとっくに調べて・・・公表しているよ」

「あ・・・そうですね」

納得したのか・・・一時退却なのか不明である。

もう・・・迫真の演技だな。

「しかし・・・それでも・・・採点ミスに対する抗議という理由は充分に考えられるな。それならば・・・どんな妨害を受けようとこちらのルールを貫き通すのみだ・・・よし・・・決めた。みんなを呼んできてくれ」

不合格者・光一は語る・・・「そして・・・僕は今年六月、入試の結果に疑問を抱いた人が県に開示請求をして採点ミスが発覚したという記事を見つけた。そこで・・・僕も入試の結果を開示請求する決意をした・・・」

おい・・・二つの事件は一緒なのか・・・四年前なのか・・・五年前なのか・・・分からなくなってきたぞ・・・。

しかし・・・さすがに・・・「彼」が一高の教師で職場の同僚ならこの後の各人のリアクションが・・・。

おい・・・忘れるなよ・・・彼らはみんな嘘つきだってことを・・・。

そうだったな。

55:名無しの権兵衛

こちら側の人間・・・こちらのルール

56:名無しの権兵衛

四月自殺の記事 六月開示の記事 十一月採点ミスの発覚・・・これは同じ年度の他県の話なのか?

もう一人の不合格者である村井(篠田光亮)の激怒は続いていた。

「たった一日で・・・その後の三年間が・・・いや、人生が決まるんです・・・それをあなたたちは分かってるんですか・・・みどり先生・・・痴話げんかなんかでもめてる場合じゃないでしよう・・・ましてや・・・石川・・・恋仇を邪魔するために・・・受験を妨害するなんて絶対に許されることじゃない・・・」

少しひるむ石川衣里奈(山崎紘菜)だったが・・・いや・・・恋の成就だって大事だよね。

しかし・・・みどり(南沢奈央)は不合格者なので・・・村井の言いたいことは分かったらしい。

この合格したものとそうでないものの谷間の問題はこの後も展開して行く。

「入試をぶっつぶすなんて・・・とんでもないことだ・・・だけど・・・僕には少し期待する部分もあった・・・一連の事件を引き起こして・・・制度自体を何かいい方向に転ずる・・・そういう目的があって・・・何事かを成し遂げようとしているのではないかと・・・でも、今はそう思えません。一体、何がしたいんですか・・・説明してください・・・春山先生

坂本「えーっ」

宮下(小松利昌)「ちょっと・・・ちょっとちょっと」

小西(徳山秀典)「勘違いじゃないのか」

水野(阪田マサノブ)「・・・」

杏子「何を説明しろと・・・」

そこへ絶妙のタイミングで荻野がやってくる。これは入るタイミングを伺っていたと考えていいだろう。

荻野は松島(羽場裕一)に石川を自宅に送り届け、そのまま帰宅するように指示する。

これにみどりは「セクハラ疑惑捏造の恐れあり」と進言し、同行を申し出る。

痴話げんか延長線の危惧も囁かれるが荻野の判断で松島、みどり、石川の退場が決まる。

この状況で・・・松島とみどりが素直に退場するのは怪しいと言えば怪しい。

しかし、受験生の親である松島と、石川と恋のバトル中のみどりの退場は自然の流れとも言えるだろう。

残留するのは・・・杏子、その肩を意味ありげにつかむ荻野、・・・坂本、宮下、相田(中尾明慶)の一高OBトリオ、エリート・小西、不合格者・村井。そして的場校長と上条教頭(清水一彰)である。

本部に集合した教師たち・・・そして最後に杏子が覚悟を決めた面持ちで入室する。

坂本「村井先生が今回の事件の犯人は春山先生だって・・・」

的場「春山先生・・・本当ですか」

杏子「私が何をしたと言いたいんですか」

村井「貼り紙です」

村井は試験会場準備中の杏子の不審な行動について指摘する。

しかし・・・杏子は「あなたはこの事件に関係してないの?」と聞き返す。

「僕は知りません・・・」と応ずる村井。

「貼り紙をしたのは私ではありません・・・しかし、事件に加担していたことは認めます」

激しく動揺したのは・・・小西だった。ま、好きだったからな。

そして・・・杏子は語りはじめる。

事件の中心人物は・・・学校外部にいる・・・お茶の間的には田辺淳一(15)受験番号46である。

学校内部には協力者が少なくとも3人いる。

断定できないのは中心人物からそれぞれが指令を受けて別個に活動する組織だから構成メンバーを特定できないため。

携帯電話を仕込んだのは協力者の一人石川。

それを偶然察知した杏子は石川を庇うために「杏子LOVE」のステッカーを残す。

中心人物に杏子の携帯電話を廊下に置くことを提案。

中心人物はそれをロッカーに移動。

目的は試験終了後に携帯を鳴らし回答用紙への細工を円滑に行うためだった。

杏子の任務は合言葉で確認しあった中心人物に回答用紙を二枚配布し、回収時に白紙を用いて紛失させること。

しかし・・・アクシデントが発生し回収は困難になる。

よって芝田麻美(美山加恋)の事案は無関係。

ネットでの試験問題の流出などは杏子はノータッチ。

石川の暴走には驚く。

貼り紙が自分の仕業ではない以上、教師の内部協力者が別にいることを指摘。

・・・以上が杏子の協力だった。

第三の協力者がだれであるかを・・・探り合う教師たち。

しかし・・・生徒との不適切な関係を指摘された相田以外は平常心を装うのだった。

60:名無しの権兵衛 

これは・・・荻野で決定? 

61:名無しの権兵衛 

書き込みをあおっていたのは松島じゃね? 

62:名無しの権兵衛 

坂本のロッカーの貼り紙はみどり? 

63:名無しの権兵衛 

教室の貼り紙は宮下? 

64:名無しの権兵衛 

答案の回収と細工は水野?・・・注意事項が小西なら全員、クロか・・・

小西は杏子に「動機」について尋ねる。

「目的は学校について・・・知るためです・・・そこにいたるまでの心情は皆さんには理解してもらえないかもしれません」

「それは・・・聞いてみなければわからない」

杏子は「過去」を開示するのだった。

鎌倉の長谷観音にある経蔵の輪蔵(まわり堂)・・・修学旅行の添乗員だった杏子はそこで喫煙しようとする生徒を注意する。

輪蔵には一切経が収められており、輪を一回回すだけで一切経を読んだのと同じ功徳があるというバカ向けの装置である。

そんな有り難い場所で喫煙とはもってのほかなのである。

たちまち、杏子を襲って口封じをしようとする生徒たちだったが・・・そこに「彼」が現れる。

熱血教師の寺島だった。

杏子の当時の同僚である徳原優介の先輩でもあった「彼」は杏子をデートに誘うのだった。

やりたいさかりだったのだ。・・・適齢期っていいなさい。

たちまち・・・恋人関係となった二人。

しかし・・・四年前の四月。「彼」が勤務する高校で不合格となった受験生が自殺。

十一月に採点ミスが発覚する。

「合格していれば・・・息子は・・・」と親に詰られた「彼」は鬱状態になり・・・不慮の死を遂げてしまうのだった。

「だから・・・なの」

「そうです・・・高校入試をぶっつぶすための協力者になったのです」

結局・・・杏子はここで・・・帰国子女として・・・日本の高校を理解しようとしたという最初の説明を翻さないのである。

ただし・・・それは・・・せっかく一高に合格したのに一高を愛していない生徒たちに失望し、問題教師・坂本を代表とする一高OB教師が採点ミスを重く受け止めることもなく、一校卒をただひたすら自慢し、その他を見下してバカ騒ぎしていることに唖然とし、不合格したらしたでそのことに呪縛される・・・人々の不毛な姿を発見しただけだったという皮肉を伴うのだった。

この過程で・・・一高を不合格になったことで空回りしていた村井が救済された模様である。

的場「学校は・・・優秀なトラブルメーカーよりも扱いやすいバカを求めているんだ」

村井「そうだったんですか・・・杏子先生・・・帰国子女にはわからないとか・・・失礼なことを言ってすみませんでした」

「いいえ・・・失礼なのは・・・思ったことをそのまま言っている私の方ですから・・・そして・・・帰国子女にはわかるまいは彼の口癖でしたから・・・でも・・・私も言ってみたかった・・・たとえ・・・採点ミスで受験生が自殺したとしても・・・同じ過ちをくりかえさないために・・・立ち直って教師を続けるべきだと・・・彼に・・・しかし・・・彼は死んだのです」

99:名無しの権兵衛

バカ・・・バカ・・・「彼」のバカ・・・。

100:名無しの権兵衛

バカは死ななきゃなおらない・・・。

101:名無しの権兵衛

このスレは100を越えたので書き込めません。

新しいスレをたててください。

関連するキッドのブログ→第11回のレビュー

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2012年12月23日 (日)

アナタはワタシ、ワタシはアナタ、だから一緒にもげっ~悪夢ちゃん覚醒(北川景子)

晴れた日には永遠が見えるわけだが・・・。

輪廻転生が教義から削除されてしまったキリスト教では「我々は何者か我々はどこからきてどこへ行くのか」という問いに答えがない。

だからこそ、西洋世界で科学は発展してしまったのである。

逆に曼荼羅の世界を見てしまった東洋世界では限りない停滞と妄想が花開く。

東洋人は西洋のめくるめく物質的発展に憧れ、西洋人は東洋の奥深い精神的瞑想に憧れるのである。

まあ、どっちもどっちだな。

グローバル化の進展で東西は混じり合う。

そのカオスの果てに何かが生まれるのか。

それとも果ての果てがくるのか。

東西の果てに棲む私たちにはなじみ深い問題である。

しかし・・・クリスマスには讃美歌を歌い、お正月には神社仏閣に詣でる。

私たちはなんでもありなのである。

で、『・最終回(全11話)』(日本テレビ20121222PM09~)原案・恩田陸、脚本・大森寿美男、演出・佐久間紀佳を見た。人にはそれぞれ世界観というものがある。それぞれの世界観は共通している部分もあるし、相違している部分もある。世界観はそれぞれの個性と密接に関係している。世界をどのように見ているのかが個性そのものと言っていいだろう。盲人にとって世界は暗黒だし、聴覚障害者にとって世界は静寂である。そして、心の不自由な人にとって世界はなんともいえないものなのである。歯の不自由な人にとっては世界はかたいものばかりだ・・・もういいだろう。

歴史に不自由なものは過去に学ぶことが少なく、自然科学に不自由なものは迷信深い。・・・まだ言うのか。しかし・・・現実に不自由なものが夢の中でも不自由とは限らない。夢の中では空を飛べないものが空を飛ぶからである。

時に人はそこに可能性を見出すのである。

悪夢先生こと彩未(北川景子)が自分の予知夢によって警察に逮捕されてしまったと勘違いした悪夢ちゃんこと古藤結衣子(木村真那月)はショックで意識を喪失してしまう。

普通の人間なら一過性のものである意識喪失が・・・集合的無意識という神の領域に接合された超能力者である悪夢ちゃんにとっては永続的なものになる。

悪夢ちゃんは眠り姫ちゃんになってしまったのだった。

悪夢ちゃんの祖父である古藤教授(小日向文世)は「孫は・・・無意識の世界に行ってしまったのかもしれない」と語る。

「目ざまし時計をかけてもだめなんですか」

「意識の世界は捨てられ、肉体だけがこちらに残されているのだ・・・おそらく・・・このまま肉体は滅びるだろう」

しかし、教え子の一人が危機的状況になってしまっても教師としての悪夢先生はたくさんの教え子たちのことも考えなければいけないのだ。

明恵小学校は冬の学習発表会の季節なのだ。

しかし、悪夢先生が担任を受け持つ5年2組の児童たちは・・・異常な知的水準にあるので「児童誘拐事件の真相」だの「行方不明の犯人の動向」だのを研究発表すると言いだし、悪夢先生をたじろがせるのだった。

「そんなの発表できるはずないっしょ、学校の空気読みなさい」

すると・・・児童たちは・・・空席に視線を注ぐ。

悪夢ちゃんの不在について児童たちは意識せずにはいられないのである。

事件の関係者である近藤七海(大友花恋)は言う。

「そんなにこわくはなかった・・・優しいおばあさんが世話をしてくれたし・・・」

七海の無意識に接触している悪夢先生はそれがシスターマリカ(藤村志保)だと知っているのだった。

養護教諭ライダー・琴葉(優香)に相談した悪夢先生は・・・再び・・・悪夢ちゃんの病室を訪ねる。

「悪夢ちゃんの夢札を見せてください・・・」

「しかし、私はここを離れるわけには・・・」

「夢札を貸してもらうだけでいいのです」

海の藻屑と消えた志岐(GACKT)の研究所に助手(和田正人)を呼び出した二人のサイコパスは志岐の「獏」で悪夢ちゃんの悪夢を視聴する。

予知夢の中でシスターマリカは教会に火をかけて自殺を図ろうとしていた。

ついにシスターマリカとの対決を決意する悪夢先生だった。

悪夢先生にとってシスターマリカは一種の聖域で・・・タブーだったのである。

やがて・・・真相が明らかになる。

「未来を示した絵」を描いていたチビ悪夢先生(平澤宏々路)は「人身売買組織に属していた児童養護施設・夢見る羊の家の前施設長をシスターマリカが殺害している絵」を描いていたのだった。

施設の子供たちを守るために悪魔に魂を売った前施設長を殺害したシスターマリカは「予知絵」を封印したのである。

しかし・・・組織はシスターマリカの犯罪を知り・・・結局、シスターマリカは組織に従うことになるのだった。すべては・・・子供たちの命を守るためだったのである。

結局、人身売買に関わることになったシスターマリカは苦悶の日々を送るのである。

成長した悪夢先生が罪を問いに現れた時、シスターマリカは「死」を決意したのである。

おそらく・・・人生にも信仰にも疲れてしまったのだろう。

だが・・・予知夢ですでにシスターマリカの行動を呼んでいた悪夢先生は焼身自殺を阻止し、交際を開始したらしい琴葉&助手は消火活動に励むのだった。

警視庁を代表して春山刑事(田中哲司)は養子縁組サイト「Kids talent models Agency」を経営するシスターX(能世あんな)を確保するのだった。

「今度は・・・少なくとも・・・組織の尻尾くらいは捕まえて見せる」と宣言する春山刑事。

しかし・・・巨大な悪の組織はそう簡単には壊滅できないのである。

けれど・・・悪夢先生にとってはとりあえず、当面の危機が去れば、それでいいのである。

なんてったっていざとなれば超能力が発動するのだ。

残されたのは悪夢ちゃんのサルベージであった。

悪夢先生は・・・教会で入手した一枚の絵を古藤教授に見せる。

それは・・・悪夢ちゃんの母で・・・悪夢先生の幼馴染の菜実子(三本采香)が描いた「ゆめのけ」(声=玉井詩織)であった。

悪夢先生が菜実子の飼い犬・ユメノスケを欲しがったので・・・その代わりとして贈られた「絵」だったのである。

教授はついにすべての真相を明かす。

それは・・・悪夢ちゃんの出生の秘密だった。

ちび悪夢先生の予知夢

教壇に立つ悪夢先生。

そして・・・「冬の学習発表会はミュージカルがやりたい」と元気はつらつな悪夢ちゃん。

「あれは誰・・・」とちび菜実子。

「あれは菜実子ちゃんの子供」

「私は・・・どこにいるの」

「菜実子ちゃんはいないの・・・死んじゃったから」

恐ろしい予言に茫然とするちび菜実子だった。

そして・・・菜実子の母親(吉倉あおい)は死亡し、悪夢先生は菜実子に責められて記憶を失う。

成長した菜実子は悪夢先生を責めたことを後悔するまでに成長する。

やがて高校生となり、予言通りに死に至る病を発症した菜実子は悪夢先生の悪夢を実現するために何者かの子を宿す。

そして、菜実子の教師だった甘澤(キムラ緑子)に将来の悪夢先生の指導を頼むのだった。

教授は娘に託された孫を育てた教授は・・・「運命」に従って悪夢ちゃんを甘澤校長と悪夢先生とに邂逅させるのだった。

「すると・・・ユメノケは・・・死んで無意識の世界に帰った残留思念としての菜実子ちゃん」

「無意識の世界は死後の世界なのか・・・」

「いいえ・・・無意識の世界は生前の世界であり、今、現在であり、そして死後の世界なのです」

「あの世だな」

「あの世でもありこの世でもあるのです」

「・・・どうして君にはそんなことが分かるんだ・・・」

「分かったのではありません・・・ただ知っているだけ・・・」

「なぜ・・・泣いている・・・」

「だって・・・私はずっと・・・菜実子ちゃんの優しさに包まれていたんですよ」

「私のところにはちっとも来てくれないのにな」

「きっと・・・来ていますよ・・・ただ忘れているだけ・・・」

「君は明晰夢が見られる超能力者だからか・・・」

「・・・」

「だとしたら・・・君はもはや神にも等しい人間じゃないか・・・」

「いいえ・・・私はただの新米教師です・・・だからひきこもっている生徒を無意識から引きずり出して見せます」

悪夢先生はレム睡眠に落ちた。

無意識に潜むゆめのけ=あの世の菜実子の力を借りて、無意識に溶け込んだ悪夢ちゃんを自分の明晰夢に召還する悪夢先生。

「先生・・・どうしてここに・・・」

「あなたを連れ戻しに来たのよ」

悪夢先生の背中で本心を告げる悪夢ちゃん。

「しぇんしぇい・・・私は怖い・・・私の悪夢が誰かを不幸にすることが・・・」

「確かに・・・この世に悪夢は存在する・・・でも・・・未来は自分の手で変えられるのよ」

「本当・・・?」

「本当よ・・・」

ここは悪夢先生の世界である。

悪夢先生にはどんな願いでも叶えることができるのだ。

そこで・・・悪夢先生は・・・悪夢ちゃんの悪夢をすべて甘い夢に変換するのである。

もちろん・・・それは「現実」ではない。

しかし・・・子供を導くために大人は嘘をつくものなのである。

たとえ・・・世界が邪悪な悪魔の支配する地獄だったとしても・・・正義は必ず勝つと教えるのが教育というものだからだ。

悪夢ちゃんは・・・不仲の親子が仲良くなり、嫉妬深い性格の女の子が慈悲深くなり、死すべき運命のものが助かる甘い幻想に浸るのだった。

「ね・・・現実は自分の力で変えられるのよ」

「うん・・・」

「そして・・・これからはいつだって私があなたの傍にいるわ・・・だってあなたは・・・私の家族になるために生れてきたんだから」

「・・・しぇんしぇい・・・おかあさん・・・」

無意識の世界から悪夢ちゃんは現世に帰還した。

そこには・・・クラスメートたちが待っていた。

悪夢ちゃんの長い悪夢は終ったのだ。

しょして どこまでも

ちゅじゅく夢を見た

天使が舞い降りてきた

しょして どこまでも

ちゅじゅく空のもとで

自由になりたい~

そして・・・見事な音痴(の演技)を披露する悪夢ちゃんだった。

(エピローグ)

飛鳥時代に創られた法隆寺大宝蔵院の銅造観音菩薩立像は悪夢を良い夢へ変えるというご利益があると信じられたため・・・夢違観音(ゆめちがいかんのん)の別名がある。それは庶民に受けたらしく、全国にのれん分けされているのだ。

その一つに参る・・・教師と教え子であり・・・養母と養子である彩未と結衣子。

そこに彩未の恋人で・・・結衣子の実の父親である志岐がやってくる。

夢のようなハッピーエンドなのである。

もちろん・・・それは・・・世界が悪夢先生の夢に過ぎないからなのだ。 

悪夢先生は今、暗い児童養護施設で売られる時を待っている憐れな幼子なのである。 

一番、仲のよかった男の子が先に買い手が付き、売られてしまったので・・・仕方なく絵を書きはじめるのだった。 

理想の恋人である夢王子の絵を・・・。

関連するキッドのブログ→第10話のレビュー

Ck001悪夢ちゃんガーデン特設セット。くう高校入試で気絶していたので更新遅くなっちゃったのです。さてさて、小学生がたくさん登場するけれど・・・これは大人のためのドラマでしたね。子供の前で大人がどうあるべきか・・・子供にとって大人とは何か・・・そして、大人はいつ子供でなくなるのか・・・様々な含蓄がありましたーーーっ。腹をわったサイコパス万歳ちーずえ~と、今#6です。結局、夢王子は高校生と・・・さしつかえなくロリコンですかね・・・なんとか年内には最終回まで・・・大金を拾ったらどうしよう・・・やはり・・・届けるべきでしょうか・・・五千円までは神様がくれたお小遣いじゃダメですか?・・・ダメですよねシャブリすべてはフィクション・・・悪夢ちゃんと悪夢先生と夢王子の夢のスリーショットも夢じゃ夢じゃ夢でござ~る。とにかく、これは良いドラマだったのでありましたikasama4聖なる養母と聖なる幼女・・・じゃなかった養女の物語でしたな~

333end_2一時停止が苦手の人専用。※自動的に消滅いたします。

(じいや)

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2012年12月22日 (土)

どうせリアルからは逃げられないわけだが・・・ガールズ&パンツァーとか新世界より

昼ほどの昼はなく、夜ほどの夜はないわけだが・・・。

二日連続の谷間なのである。

考えてみると2009年以来の年末にブログの記事を書くという行為をしていて・・・なんとなく落ち着かないのである。

2010年も2011年も12月の記事がないのだな。

今日は・・・「悪女たちのメス2」の記事を書くつもりで・・・「ハナアオイ(ラバテラ)の花言葉は喜んで・・・(仲間由紀恵)」というタイトルも考えていたのだが・・・なんか・・・う、撃たないで・・・関連かと思うと妙に気がのらないのである。

今季は名作ぞろいで少し、面白いことに不感症気味なのかもしれない。

で・・・「ヨシヒコ」で「勇者ヨシヒコ~宇宙戦争」という妄想展開も考えたが・・・長編になりそうなので恐怖を感じました。

谷間に咲く花じゃないよな・・・。

なにしろ・・・まだ「悪魔ちゃん」も「高校入試」も「プライスレス」も「平清盛」も「遅ひま」残っているのであまり、集中力を切らすわけにもいかない。

そこで・・・今季の息抜きポイントともいうべきアニメ二作を取り上げることにする。

いつもいつも・・・膨大なアニメが生産されているわけだが・・・心から満足できる作品は少ないのである。

ま・・・結局、一応全部チェックはするんですけどね~。

で、『ガールズ&パンツァー・第1回~』(TOKYO MXなど20121009AM01~)シリーズ構成・脚本・吉田玲子、監督・水島努を見た。とにかく・・・異常なほどの萌え要素てんこもりである。気がつかなかった人に恥ずかしながら報告するが・・・「高校入試」のレビュー記事中の「夜の花戦車」妄想は・・・このアニメに影響されています・・・どうでもいいわっ。コンシューマ・ゲームではゲーム中にネーミングするタイプのものがある。まあ・・・ドラクエ以来の「名前を入力してください」だが・・・シミュレーション・ゲームの場合、ユニットすべてにネーミングができるタイプがあるのだな・・・。キッドは「大戦略」的なゲームのネーミングは基本的にアイドルにしていたものだ。つまり、「黒魔道士」が「佐伯日菜子」だったりするわけである。もちろん「三号戦車」に「山口百恵」が乗っていたり、「こんごう」の艦長が「加護亜依」だったり、「F-16」のパイロットが「ガッキー」だったりするわけである・・・まあ、つい最近までやってたな・・・っていうか明らかに変態だぞ・・・で、「あ、前敦のM163対空自走砲・・・撃破されちまった・・・地味だけど貴重な対空戦力が・・・」とかつぶやいていたわけである。・・・なにやってんだよ。

そんな男子・・・の夢を完全に現実のものとしたのが・・・アニメだがな・・・この作品なのだ。

「戦車道」という架空の乙女のたしなみがあって・・・女子高校生たちが・・・日々、戦車による団体対戦競技に青春の情熱を傾けている。

ヒロインは戦車道家元の家に生まれながら理由あって一度は「戦車道」に挫折し、普通の女子高生生活を送っていたのだが・・・親友たちに誘われて・・・再び、戦車チームの指揮をとることになるのだ・・・。

「大切なクラスメートの笑顔のために・・・がんばって勝利をつかみましょう」・・・なのである。

戦車一台に・・・車種にもよるが3~5名程度の乗員が必要となる。

十台1チームなら、四十人前後までにキャラクターは膨れ上がるのである。

そのキャラクターが皆、「その他」ではないので一種のAKB方式なのだ。

しかも・・・あくまで乙女のたしなみなので・・・全員女子なのだ~。もう萌えを通り越して笑うのである。

そして・・・ヒロインが搭乗する戦車が・・・ジャーマン・グレー(灰色塗装)のIV号戦車D型なのだね~。痛いところついてくるよね~。

さらには・・・いかにもな・・・対抗する各学園の敵チームたち・・・。

プラウダ高校のT-34を主体とした戦車隊が雪原を「カチューシャ」を歌いながら走破してくるのだからねえ・・・ぞくぞくというかむくむくというかそわそわした気分になります。

未完成のタミヤのプラモを倉庫から取り出して改造したい気持ちを必死におさえなくてはならない・・・恐ろしいアニメでございます。

や、やめてーっ。

今も鳴り響く、天才・畑亜貴作詩のエンディング・テーマ「Enter Enter MISSION!」が鳴り響いております。

で、『新世界より・第1回~』(テレビ朝日20120929AM0030~)原作・貴志祐介、シリーズ構成・十川誠志、監督・石浜真史を見た。こちらは・・・第29回(2008年)日本SF大賞受賞作品のアニメ化である。原作者は最近では「防犯探偵・榎本シリーズ」が「鍵のかかった部屋」としてドラマ化されており・・・ミステリもSFも書くタイプである。

舞台は1000年後の日本である。「呪力」と呼ばれる超能力が人類に発現したことにより、まったくの異世界と化した未来。

ヒロインの早季(声=種田梨沙)が12才の頃から・・・物語はスタートする。

好奇心旺盛な子供たちは・・・禁断の地へ迷い込み・・・隠された歴史を知ってしまうことになるのだ。

そこには・・・世界を滅ぼしかねない「呪力の暴走」をいかに封じ込めるかという主題が展開されていく。

「呪力」は単なる念力と言ったものではなく・・・時には生物の遺伝子を変化させ、全く新しい生命体を出現させたり、想像を越えたエネルギー源になったりする。

つまり・・・遺伝子工学やら核開発が人体そのもので行われるという仕掛けである。

禁断の地には「外来種」と呼ばれるバケネズミたちが独自の文明を構築して・・・人間社会と関係しながら・・・各種族間で抗争を繰り広げている。

早季たちは抗争にまきこまれ・・・「カミサマ(バケネズミによる人類の呼称)」として一群を指揮する破目に陥るのである。

数々の冒険を突破し、九死に一生を得て・・・生還した子供たちだが・・・その経験はその後に暗い影を投げる。

大長編なので・・・現在は14才になった思春期の早季が描かれているところ。

早季が思いを寄せる冒険仲間の瞬(声=村瀬歩)は「橋本・アッペルバウム症候群」と呼ばれる奇病に罹患してしまう。「呪力」が抑制できなくなり・・・周辺の環境を無意識に改変してしまうという恐ろしい病である。

行方不明になった・・・瞬を捜索した早季は末期症状のために業魔と化した「彼」と遭遇するのだった。

「一体・・・どうしたの・・・」

「僕は・・・業魔になったんだ・・・」

「そんなこと・・・どうでもいい・・・あなたを助けたい・・・」

「治療法はない・・・そうだ」

「私・・・私があの時(禁断の地での冒険)・・・あなたの封印された呪力を戻したから・・・だからなの」

「僕のために・・・両親も・・・死んだ・・・これ以上、僕の愛する人が死ぬのを見たくない」

「瞬・・・」

どす黒いファンタジーが展開して・・・うっとりなのである。

虚構に逃げ込んでもいつかは「死」につかまる憐れな人間たちである。

せめて・・・妄想に萌えることこそが慰めというものだからな。

関連するキッドのブログ→ルパン三世 カリオストロの城

今日は一日“アニソン”三昧Z

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2012年12月21日 (金)

なんじゃこりゃ的な相棒Elevenの世界へ・・・はいぃ(水谷豊)

うわあ・・・久しぶりの本当の谷間だなあ・・・。

目移りしちゃうほど・・・谷間番組が並んでいる。

「ドクターX」とかな・・・終っちゃってるしな。「結婚しない」とか終ってる上にどうでもいいしな。

「純と愛」は分析対象としては面白いが・・・その前に「家政婦のミタ」を論じなければならない。

まあ、「女王の教室」↘「演歌の女王」↘「学校ではおしえてくれないこと」の後の爆発の余韻なんだな・・・きっと。

「リミット-刑事の現場2-」↗「曲げられない女」↗ときて「リバウンド」↘だったので・・・良い感じの起伏なんだな。

まあ、ここ二作は「父帰る」(菊池寛)のプロローグをやっているようなものだが。

「ハエ女」「ピン女のメリークリスマス」は女優的にはそそられるが・・・ラブコメとしてはもうひとつだったしなあ。

で・・・結局、「相棒」かよっ。

で、『相棒Eleven・第9~10回』(テレビ朝日20121012PM9~)脚本・輿水泰弘、演出・安養寺工を見た。来年の元日スペシャルが不思議系の太田愛・脚本なので・・・メイン・ライターの年末・前後篇スペシャルである。しかし・・・ものすごくオカルト系に仕上げてきている。今季はすでに「幽霊」の話(第7話「幽霊屋敷」)があったわけである。もちろん、単なる「夢」の話という逃げ道はできているのだが・・・杉下右京(水谷豊)あまりにも「幽霊」に憧れすぎなのである。

突然、キノコ狩りにいってキノコ料理を恋人の悦子(真飛聖)に御馳走しようと思い立ったカイト(成宮寛貴)である。ところが・・・キノコ狩りの名所で瀕死の重傷を負って放置され、通報によって救急車で病院に搬送される。一時は危篤状態だが・・・覚醒すると記憶喪失になっている・・・相棒が事件に巻き込まれ、相棒不在の年末なのだった。

冷酷で俗悪な官僚として描かれる警察庁次長の父親・甲斐峯秋(石坂浩二)は瀕死の息子を見舞いにもこないわけだが・・・心のパパとなっている右京は恋人よりも早く、病室にかけつけるのだった。

実年齢で言うと・・・水谷豊(60)、成宮寛貴(30)で親子であっておかしくない年齢差である。どうしても二人には擬似親子の匂いがある。

孤高の天才である杉下右京が得られなかったものを得ようともがいているようにも見えるこのシリーズなのだな。

なにしろ・・・右京は一目でカイトを気に入り・・・欲したわけなのだから。

同時に・・・カイトはあまりにも非人間的な出世の権化である父親に心底悩んでいるわけである。

二人は・・・足らざるものを補おうとしているのだ。

ある意味、ちょっと不気味な心情を隠し持つ二人なのである。

ところが・・・今回の犯人たちはそれを上回る人非人モードを漂わせます。

「一体、なぜ、カイトは暴行されたのか・・・」・・・真実を求めて瀕死のカイトの発見現場に姿を見せる右京。「警察官に対する殺人未遂」を視野に捜一トリオも捜査に合流。

謎の女性の通報に使われた公衆電話。

右京はそこから一番近い「美味しいキノコの森」へと足を踏み入れる。

森の奥には・・・怪しい人々の集う正体不明の「馬鹿(まろく)庵」が建っていたのだった。

実は・・・この施設は一種の宗教施設である。

事件には死亡した馬鹿庵の主人・伏木田(前田昌明)がかかわっているのだが・・・ものすごい前歴の信者を抱えているので・・・そういう人だったというのは近所の噂にもっとなっているはずだと思う。

しかし・・・そのあたりは伏せて・・・事件は展開していくのである。

しかも・・・カイトが収容された青梅市中央病院のちょっとお茶目な看護師ルミ(尾高杏奈)からはカイトが握っていた毛髪をプレゼントされるという・・・「おやぁ」な伏線もあります。

しかも・・・ルミはその後・・・姿を消してしまうのです。

そこに・・・なにが・・・いや・・・そこは何もなく・・・ただ出番がなかっただけなのです。

なにしろ・・・「まろく庵」には本命ゲスト・ヒロインである伏木田の娘の「お嬢」こと真智子(柴本幸)が控えているのです。ついでにどうやら虐待少女あがりの長尾恭子(梶原ひかり)がいます。さらには・・・庵主亡き後・・・「まろく庵」を守っている男たちのリーダー格が生方豊茂(山本學)です。

右京のバックアップメンバーが検索すると生方は保険金がらみで妻を殺害した前科者であり、その他の男たちも覚せい剤やら障害やらの逮捕歴のある理由ありの男たちなのである。

彼らに共通しているのは・・・「狂信者」だと直感する右京。

いや・・・お茶の間的にはよく分かりませんが・・・右京が直感する限り間違いないのだな。

最初はカイトに会ったこともないという・・・怪しい人々ですが・・・通報の電話の声とお嬢の声紋が一致するなどの証拠をつきつけられ・・・生方は「俺がやった」と白状。

その動機は・・・「長尾恭子がカイトに強姦されそうになったからだ」という衝撃の展開。

その証拠にカイトの握っていた毛髪は恭子のものだった・・・。

カイトは森の中で変なキノコを食べてバッド・トリップを見知らぬ少女を襲ったのだった・・・わけではなくて・・・それは嘘だったのだ。

記憶を取り戻したカイトは「確かに首をしめたが・・・それは車の中だった」と証言する。

森の中で強姦未遂したのではなく・・・車の中で・・・ということは・・・強姦未遂→正当防衛で暴行ではなくて暴行→無意識での反撃だった可能性があると右京は宣言。

「なんの証拠があるのです・・・」というお嬢。

「それは・・・この森のどこかに即身仏が埋まっているからです」

お茶の間の99%の魂が体を抜けて空に溶けて行った瞬間です。

もちろん・・・ここまでのヒント・・・「鈴の音」、「竹筒」、「なんとなく宗教関係」、「お嬢の父親の不在」から・・・入定ミイラ・・・すなわち即身仏を想定していたオカルト好きの人も多かったかもしれません。

なんでもありの密教の世界では「空海」の時代から「ミイラになったら不老不死」というおバカな信仰が根強いからである。

しかも・・・この伏木田はミイラになったら衆生を救済できる超・仏になれると妄想した新興宗教の教祖なのである。

そして・・・結構、荒んだ過去を過ごしてきたメンバーたちはそれを「本気で信じちゃった」狂信者たちなのだった。

明治以後、即身仏のシステムそのものが禁止されて、そもそも、即身仏化のために周囲の協力を要するために自殺幇助罪に触れるため、宗教的行為そのものが犯罪に直結しているのである。

「みなさんの気持ちは尊重したいのですが・・・犯罪である以上、見逃すわけにはいかないのです」

「ちぇっ・・・あいつとおんなじこといいやがる」と吐き捨てるように言う生方。

つまり・・・即身仏になるために土中の屍櫃(かろうと)から伏木田が響かせた鈴の音を聞きつけたカイトは・・・人命救助しようとして信者たちに抹殺されようとしたのだった。

それでは本末転倒なのでお嬢がそれを制止し・・・通報したのが本当のところなのだった。

「だから・・・殺しておくべきだったんだ」

「・・・」

お茶の間は充分、唖然だったのだが・・・この後、超・仏となった教祖がカイトの記憶障害を緩和するという幻想が挿入され・・・茫然となるのである。

なんだ・・・どこかの宗教のステルス・マーケティングなのか。

それは・・・やばいんじゃないか。

まあ・・・こういう狂信者は実在するので・・・という警句として考えておくことにする。

ちなみに・・・先達者として即身仏になったとという伝承のある空海であるが・・・「火葬」されたことが記録に残ってます。

まあ・・・高齢化対策として・・・「即身仏のすすめ」が役所から回覧されてきたらちょっと面白いけどねえ。

もちろん・・・右京はプライバシーの侵害など違法捜査の常習犯なので・・・目的達成のためには手段を選ばない確信犯たちの気持ちはよく分かるのです。

まあ・・・物凄い後味の悪さを残して2012年の相棒は終了したのである。

それにしても・・・柴本幸の演じた狂信者の娘の狂信者・・・不気味すぎる。

ぞくぞくしましたぞ。

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2012年12月20日 (木)

戦う人の心を誰もが分かっているなら戦う人の心はあんなには燃えないだろう(松山ケンイチ)

「武力」と「統治」は切っても切れない関係で結ばれている。

もちろん・・・現代人は「信義」というものが「武力」以上に重要だ・・・と言うだろう。

それは「信頼」に基づく一種の相互不可侵条約のようなものである。

しかし、この国とて、生存を賭けてつい67年前まで残虐な戦争をしていたのである。

世界にいたっては未だにどこかで戦をしているのだ。

列島にまがりなりにも国家ができたのは「和」によるものではなく・・・侵略者による蹂躙の果ての結果である。

もちろん、雅なる皇室がその残虐な征服者の末裔であることは言うまでもない。

現代の「平和憲法」さえもが広島や長崎に原爆を投下し、沖縄を焦土と化し、東京を焼け野原に変えた連合軍によって制定されたものである。

しかし、寄せては返す波のように戦の世と和の世はせめぎ合う。

平安が長く続いたから源平の合戦があった。

戦国時代が長く続いたから太平の世が築かれる。

平清盛もまたその流れの中に生きた一人の男に過ぎないだろう。

しかし・・・清盛がいなければまったく違う世が出現していたのかもしれない。

人にそのような感慨を抱かせるものを・・・人は英雄と呼ぶ。

平清盛はまさに英雄なのである。

で、『平清盛・第49回』(NHK総合20121216PM8~)脚本・藤本有紀、演出・柴田岳志を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は燃えに燃えて真っ白な灰になる寸前の平清盛入道描き下ろしイラスト大公開でございます。「もはや王家の犬ではない」「もはや平安ではない」「我が身さえこそ動がるれ」「熱いの・・・」「わしにもわからぬのじゃ」この世とあの世の間で・・・幽鬼と化した英雄の末路にただただ涙でございますなーーーーーっ。ご臨終まで後一週間です。

Tairakiyomori47治承四年(1180年)の年の瀬、平清盛は平安京・六波羅に戻った。東国の源氏の乱は清盛自慢の子供たちによって近江・美濃国境で一応の防衛戦に持ち込むことが可能となる。関東の制覇に乗り出した源頼朝は関東北部に残る平氏勢力の制圧にかかり、佐竹秀義を下している。頼朝は御家人制度を創設し、朝廷の命令抜きで領土の拡大と分配を開始したのである。平将門以来、繰り返し夢見られた関東武士の独立の悲願に再び火がついたのだった。これに呼応するように鬼が棲むと噂される四国では水軍を率いる河野氏が反乱の狼煙を上げる。明けて治承五年(1181年)正月、独立の気風強い九州各地の豪族が勢力争いを開始する。本格的な源平合戦の序章が始ったのである。甲信越地方では甲斐の武田氏と信濃の木曽氏が鎌倉の源氏の棟梁に応じて領土での割拠を開始する。これに対し清盛は越後平氏の城資永に信濃・甲斐の賊軍討伐を命じ、奥州の藤原秀衡には源頼朝追討を命じる。さらに東方派遣軍、西方派遣軍を編成するために近畿地方の惣官職を創設し、後継者の平宗盛を任じて臨戦体勢を整えようと考えた。しかし、傀儡とした高倉天皇が一月十四日に崩御し、万事に窮したのである。それでも、源平の勝敗の行方はまだ定かではなかった。だが・・・清盛自身が二十七日病を発する。そして・・・閏二月四日・・・64年の生涯の幕を閉じるのである。

平安京は寒気に包まれていた。

内裏にも火の気はあったが・・・高倉天皇の回復を願い、力を使い果たした上西門院統子の居室には暗闇に包まれている。

浅い眠りから目覚めた統子は室内に妖気を感じて身を起こす。

回廊に八条院暲子が佇んでいた。

陰陽師の装束の一つである黒衣に身を包んだ八条院は青白い燐光に包まれている。

「姉上・・・決着の時が参りましたぞ・・・」

「・・・」と上西門院は無言で立ち上がった。祈祷のための白衣を着たままである。

黒と白・・・二人の姉妹は闇の中で対峙する。

先手をとったのは八条院だった。その手には真の宝鏡の一つ、ニニギの鏡が握られていた。「あめにぎしくににぎしあまつひこひこほのににぎ」とニニギの真名を唱える八条院はアマテラスが天孫降臨させた神将軍の呪力で、上西門院の動きを呪縛しようとしていたのである。

しかし・・・霊力にかけては上西門院が数段の上手である。

この日の「こと」はすでに予測されており、動じる気配は微塵もない。

上西門院は白衣の胸元をはだけると、胸乳を露わにした。

虚をつかれた八条院は姉の胸元から発する光に目を焼かれる。

「おのれ・・・」叫びをあげたのは八条院ではなく・・・八条院に憑依していた何か禍々しいものである。

上西門院は首から勾玉によってつりさげられたもうひとつの宝鏡である真経津鏡をかざした。「やくもたつひさすあまひさすてらしてかむいさりましやつばしげりおおみたま」と上西門院は照魔の呪を唱える。

金色の光が八条院を包み込んでいた。

のけぞって倒れた八条院の身体から黒い瘴気が立ち上る。

それは異形の神の姿の影を一瞬示すと発散した。

上西門院は気を吐いた。

呼吸を整えると「小宰相」とおのれに仕える女房の名を呼んだ。

おそらく、八条院の結界に呪縛されていたのであろう小宰相は乱れた呼吸で返事をする。

「妾の妹が伏しておる・・・看取れ・・・」

「これは・・・八条院様・・・」

「大事ない・・・気を失っておるだけじゃ・・・ようやく・・・妹をこちらに取り戻したところじゃ・・・」

上西門院は南東の方角に目を転じた。東の妖魔からの刺客はそちらにも出現しているはずだった。

その頃、六波羅の平氏殿では屋敷内に現れた亡霊武者と平氏の武者たちが斬り結んでいた。

奥の院では清盛が熱にうなされていた。

平時子が枕頭で結界を張っている。その手には清盛の前の妻から送られた琵琶が握られていた。

「お力をお貸しくだされませ・・・」

時子は姉と慕っていた高階御前の真名を唱える。

それに応じて琵琶は退魔の音色を奏でるのだった。

その周囲では平氏の武者たちが攻めよせる幻影の軍勢と白刃をきらめかせ合っている。

「父上と母上をお守りせよ」と宗盛が叫ぶ。

「輪になるのじゃ・・・まんまるになって・・・盾となれ」と知盛が命ずる。

その先に平通盛、平教盛の兄弟が火炎弾を投じながら群がる悪霊をなぎ倒す姿がある。

平家屋敷の各所で火の手が上がりつつあった。

郎党どもは主のつけた火を消すのに大わらわである。

その騒ぎは朝が訪れるまで続くのだった。

清盛は朦朧とした意識の中で呟く。

「ものども・・・かかれ・・・ひいては・・・まけぞ」

その老いた顔には微笑が浮かんでいる。

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2012年12月19日 (水)

いつも目の前で青い鳥が歌っていたんだよ(生田斗真)ジョリジョリとするゴーイング・マイ・ホーム~我が家路を往く(阿部寛)

先発した「ゴーイング マイ ホーム」が全十話で最終回を迎え、次週は「遅咲きのひまわり」が最終回である。

2012年の秋ドラマも次々とフィナーレを迎えて行く。

今季の火曜日のフジテレビのドラマは実に見事なアンサンブルだったと思う。

「ゴマホ」も「遅ひま」も「心の拠り所」の話である。

大雑把に言えば、「ゴマホ」は「家」、「遅ひま」は「故郷」がその核心にある。

「ゴマホ」は裏表になるNHKの「シングルマザーズ」(脚本・永井愛)というやや刺激的なホームドラマと競合し、視聴率的には苦戦したが日本のドラマ史上に残る傑作ホームドラマに仕上がっている。

「人は親から生まれ、一人で死んでいく」というシンプルなテーマをこれでもかとたたみかけ、ほとんど茫然とするほどである。

一方の「遅ひま」はそのシンプルなテーマさえ、実現することが難しくなってしまった・・・とある世代を淡々と描いていく。

情報が過多になり、自分が何者かを見失う時代なのである。

もちろん、自分は自分に決まっているのだが・・・人々はついそれを疑い不安になる。

どちらのドラマも昨年、異常な視聴率を獲得した自分が家族を愛しているかどうか自信がない父親を描いたホームドラマ「家政婦のミタ」(日本テレビ)の回答編にもなっていることは言うまでもない。

信じようと信じまいとあなたは今、生きています・・・ということである。

で、『遅咲きのひまわり~ボクの人生、リニューアル~・第9回』(フジテレビ20121218PM9~)脚本・橋部敦子、演出・植田泰史を見た。四万十市から見ればまぶしいほどの大都市が高知市である。先週は・・・不倫の玩具として我を見失った市会議員の娘の今井春菜(木村文乃)と実家の金物屋の廃業が決まり切羽詰った四万十市地域おこし協力隊隊長・藤井順一(桐谷健太)が心の憂さを捨てるために高知市に旅立ったのである。旅の恥をかき捨てるためだ。こういう田舎者を見て見ぬふりをするのが都会人の努めなのである。捜索を担当した異邦人(栃木県出身)である三年契約の四万十市役所臨時職員の小平丈太郎(生田斗真)は都会の闇に遭難しかかった二人を無事救助して四万十市に連れ戻すのだった。

そして・・・今回は・・・残留していた四番ピッチャー松本弘樹(柄本佑)が高知市の病院で飲んだくれの父親(日野陽仁)の手術に付き添い、二階堂かほり(真木よう子)は自分を地方に追いやった大学教授から呼び出され、高知市出身の看護師・森下彩花(香椎由宇)はついに謎めいた過去を示すために高知市行きなのである。

もちろん、丈太郎は何故か、お供をするのである。

なぜなら・・・丈太郎はみんなのアイドルなのである。

主要登場人物で・・・一番よろめく危険を犯していた島田さより(国仲涼子)は高知にはいかない・・・なにしろ・・・四万十市にすでに家庭がある身の上なのである。

さよりはゴールを決めているくせにそのボールをもう一度入れなおそうとする不届き者なのである。

しかし・・・その迷いの嵐は過ぎ去り、さよりは新たな生き方を模索し始めている・・・それはおそらく最終回で明らかになるのだろう。

丈太郎は流れ者である。宇都宮~東京~四万十と流れてきたのである。

東京ではついに花開かなかった丈太郎の隠れた才能がここ四万十では咲こうとしているらしい。

地域おこし課課長の日下哲也(松重豊)は丈太郎を早朝の川釣りに誘う。

「寒いでしょう」

「四国にも雪が降るんですね」

「降りますよ・・・毎年ね・・・」

「日下さんは岡山からここにきて・・・ずっと四万十市に住もうっていつ決めたんですか」

「さあ・・・もう忘れましたね・・・何十年も前のことですから」

丈太郎の中にこの土地にいる居心地の良さが芽生えていた。

それはたとえば・・・足を負傷してしまい一時的に農作業ができなくなった大河内欣治(ミッキー・カーチス)の代行をしている時にも感じる。

素人の丈太郎が大河内の指導で曲がりながらも作物を育てることができた。

そして「世話になったな・・・」と感謝される。

近所の人々は無料で農作物を分けてくれたりする。

人の顔色をうかがって生きて来たわけではない丈太郎だが・・・ここでは人の気持ちがよくわかるのである。

それは・・・長い下積み生活が丈太郎に優秀な「使用人」の能力を開花させたかのようだった。

丈太郎は何のとりえもない男から「使える男」になってしまったのだった。

自分では自分が見えないので自覚はないのである。

しかし・・・今回・・・ずっと引っ張ってきたナース森下の秘密も・・・丈太郎は特別に教えてもらえるのだった。

不治の病で逝った素晴らしい恋人の思い出という「難病映画」のその後を語りだすナース森下。

「素晴らしい外科医が彼氏だった・・・でもガンで死んじゃって・・・心にポッカリ穴があいちゃった・・・それから心機一転しようと四万十市に行ったけど・・・涙がとまらないし、彼のことも忘れられない・・・でもね・・・あなたがきてくれて・・・ようやく・・・誰かに話そうと思った・・・あなたがきてくれて・・・本当によかった・・・」

呆然とする丈太郎。しかし・・・東京のオフィスで何年も派遣社員として働いた丈太郎は四国の人間にとっては貴公子も同然なのである。

神にも等しい存在だから告解が可能なのである。

男たちで鍋を囲み・・・丈太郎が「ただで野菜をくれるなんてみんないい人だよな」と言えば、弘樹も順一もニヤニヤしながら口をそろえるのだ。「誰もがもらえるわけじゃない・・・お前が特別だからさ・・・」

同様に・・・四万十市出身ながら・・・出世したヒロインがかほりなのである。

ナース森下も「王子様」と「王女様」は結ばれるべくして結ばれると信じている。

だから・・・「過去の告白」のために丈太郎を「彼氏の月命日の墓参り」につきあわせることについてかほりに了承を求めるのだった。

かほりと丈太郎はそれほど自分たちが特別だと思っているわけではないが・・・周囲がそうなので知らず知らずのうちに接近していくのだ。

高知市行きの車に同乗した弘樹は・・・実はかほりと交際したいと願っているのであるが・・・自然体でイチャイチャするかほりと丈太郎を見て出る幕なしと恨みっこなしで引き下がるのだった。

・・・これを見て四国行きを決意する派遣社員は多いと思うが・・・誰もが丈太郎になれるわけではないので・・・念のため。

つまり・・・丈太郎は不遇の時代に磨きこまれ、四万十市にぴったりの男になっていたのだった。

そんな王子と王女の間に・・・悪魔が罠を仕掛けにくる。

「才能がない」とかほりを四国に左遷した大学教授のお気に入りの研究医がセクハラで問題を起こしたために欠員が生じ、研究室に戻れと言ってきたのである。

ずっと・・・東京に戻りたくて鬱屈していたかほりがようやく・・・目の前の患者を救うことに喜びを見出している時なのである。

「どうしろって言うのよね」

「・・・わからないよ・・・かほりはどうしたんだい?」

「わかんなくなっちゃった・・・今は目の前にやりたいこと・・・やらなければいけないことがたくさんありすぎて・・・」

「ふ~ん」

しかし・・・王女の言葉は必ずや王子を目覚めさせるのである。

一人、野原を抜けて行く丈太郎は目の前の景色の正体に気がつくのだった。

「ここは・・・田んぼじゃないか・・・」

丈太郎には田んぼの声が聞こえたのだ。

「耕してくれよう」

・・・丈太郎の前に道は開かれた。

「ええっ・・・本当に米作りするの・・・」

「うん」

「素人が大丈夫なの」

「それより・・・お前はどうするの・・・」

「わかんない」

「俺はお前がいなくなるのいやだな・・・」

「え・・・」

ある日突然、二人だまるの・・・である。

いよいよ・・・結末の時・・・若者たちが皆幸せになりますようにと・・・祈るばかりなのだった。なにしろ・・・生田斗真にとって・・・ファンが待ち望んだ久しぶりの良い役なんだから・・・。ハッピーエンドでないとね~。

で、『ゴーイング マイ ホーム最終回(全10話)』(フジテレビ20121218PM10~)脚本・演出・是枝裕和を見た。往年の名画に「我が道を往く(Going My Way)」(1944年パラマウント映画)がある。ビング・クロスビーが教会を立て直す若い神父を演じアカデミー賞を得た。「宗教」という定型を持たない我が国では換骨奪胎は難しいのだが・・・このドラマには当然のようにその匂いがある。主人公の良多(阿部寛)は・・・ただそこにいるだけの男だが・・・なんだかんだと周囲を癒していくのである。最初に指摘した通りに良多の妻であり萌江(蒔田彩珠)の母でありキャリア・ウーマンでもある沙江(山口智子)は生い立ちによる屈折から破綻する一歩手前を彷徨っていたのである。しかし・・・その破綻はついに物語られることはなく・・・沙江はいつの間にか癒されてしまう。もちろん・・・癒したのはただ背が高いだけの男である夫の良多なのである。

このドラマのスパイスであり、もっとも感じの悪い登場人物である姉の多希子(YOU)でさえもが弟についてこう語る。

「いたらいたで・・・邪魔くさいけど・・・いないと寂しいのよね」

そんな良多にもわだかまりはある。

それは良多よりもかなり遣り手だった・・・父親・栄輔(夏八木勲)との確執だった。

なにしろ・・・栄輔は好色漢で・・・良多の母親の敏子(吉行和子)を泣かせているのである。

大好きな母親と大好きな父親の不和によって・・・良多の心もまた屈折して行く。

それは両親を持つすべての人間が少なからず抱える心の葛藤だろう。

良多は栄輔のような「男」にもなれた・・・しかし、ならないのである。

しかし・・・だからこそ・・・良多は妻子を悲しませる男にはなれないのである。

そのために・・・実の父親・治(西田敏行)以上に栄輔を慕う菜穂(宮﨑あおい)の心も癒してしまう。

奈穂は栄輔から良多の悪口を吹き込まれて最初は良多に冷淡な態度を示すが・・・「背が高いだけの男」に癒され・・・栄輔の悪口がすべて溺愛に近い愛情から発していた事を悟るのである。

それはやがて・・・実の父親への確執さえもほどいていくのだった。

そういう「流れ」は何一つ具体的には描かれないのだが・・・クーナという架空の存在を追及する人々の動きによってそれとなく察することができる仕組みになっている。

栄輔と相思相愛だったのに結ばれなかった奈穂の母親「くみ」の残した言葉が二人をつないでいく。

「世界は目に見えるものだけでできているわけではない」

「後悔するのはそこに愛があったからだ」

「クーナ」

くりかえされるこのキーワードはそれぞれにわだかまりを抱える人々の心に次々と沁みて行くのである。

それを体現するのが良多なのである。

良多は味のわからない男である。

高いところに手が届く以外には使い勝手もよくない。

クリエイターであるにもかかわらずクリエイティブな感じがしない。

しかし・・・クーナという存在を知ればたちまち信じることができる男なのである。

人々には見えないクーナが彼にははっきりと見えるし、会話さえかわすことができる。

だからこそ・・・「ぺろぺろぺろんちょ」というくだらないCMで父親を最後に笑わせることができる。

友達を失って心が冷える娘とクーナを捜しに森へ行くことができる。

夫に家出された母子家庭の奈穂と大地(大西利空)と夢中になって遊ぶことができる。

孫が遊びに来ないと寂しくて死んじゃいそうになる母のあまり上等でない手料理が大好物なのだ。

そして・・・料理の苦手な母親(りりィ)を憎んでいた妻に「お母さん、料理を教えてあげる」とまで言わしめるのである。

ついにはクーナ(阿部サダヲ)までもが「俺も今度生れてくるときはあんたみたいな大きな人間になりたいよ」とつぶやくのだ。

そして・・・ただ隣にいるだけで娘が川口春奈のバカリズムの心も癒しているのだった。

「遺伝子は・・・」

遺伝子は嘘をつけないので・・・栄輔の孫である萌江と治の戸籍上の娘である奈穂は・・・。

通夜と告別式の準備に追われる坪井家。

俗物である坪井敏子(吉行和子)と伊藤多希子(YOU)の母娘はこの期に及んで・・・菜穂を栄輔の愛人か愛人の娘と信じて疑わない。

その修羅場を回避するのは・・・突然、登場した栄輔の弟で・・・良多の叔父(小野武彦)である。

彼は酔いどれてとんでもない発言連発なのであるが・・・周囲がそれをなだめることですべての不祥事はうやむやになっていくのである。

困った人間こそがこの世に求められているのだな。

良多の血を引く萌江には弔問に訪れたクーナたちの姿がはっきりと見える。

見えないものが見えたっていいのである。

それが人間というものじゃないか。

りんどうの花は亡きものを悼む心をあるがままに受け止めるのだ。

良多は父親の頬の髭の感触で・・・幼き日に心から愛した父親との日々を思い出し慟哭する。

ごく普通の男である。

その普通の男をそっと慰める沙江。

ごく普通の女である。

そんな普通の男や女が世界を作っている。

そんな普通の男や女に子供がいる。

これほど心がやすまることがあるだろうか。

そして・・・家路に着く良多と萌江はクーナの別れの言葉を風の中に聞く。

沙江は寒さに震える良多のために・・・クーナの帽子を浮かべた温かいスープを作るのだ。

やがて・・・悠久の時が流れて行きます。

奈穂が確執のある父親と生れた家にたどり着くほどに。

「ただいま・・・」

「いいなあ・・・それ・・・もう一度いってくれ・・・」

「お母さんに言ったのよ・・・」

「いいじゃないか・・・な・・・な」

「・・・ただいま」

やみに燃えし かがり火は

炎今は 鎮まりて

眠れ安く いこえよと

さそうごとく 消えゆけば

安き御手に 守られて

いざや 楽しき 夢を見ん

夢を見ん

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天使テンメイ様のクーナを消化した話

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2012年12月18日 (火)

荒巻鮭1尾980円(歳末特価)、誰もいなくなってさっぱりした感じPRICELESS(木村拓哉)

人間は感情的な動物である。

かって・・・大陸は列強の草刈場であった。

刈られまくった大陸の怨みは深い。

しかし、それをすべての列強にぶつけることはできない。

そのために・・・もっとも立場の弱い国を攻めるのである。

お前のものは根こそぎ本来、俺のものだ」という論理である。

だから返してもらうぞ

「いくらなんでも理不尽な・・・」

我々はあくまで中立なのでお互いによく話し合って・・・

問答無用

「土下座しますから許してください」

愛国無罪、領海侵犯、一党独裁、領空侵犯

あー、それはやりすぎね

ちっ

民主化暴動

・・・

「・・・よかった」

このドラマの語る物語こそ・・・我々の心から願うところなのである。

まあ・・・世界はそれほど甘くはないですが。

で、『PRICELE$S?あるわけねぇだろ、んなもん!?・第9回』(フジテレビ20121217PM9~)脚本・古家和尚、演出・平野眞を見た。さて、月9モードのサービスは終了していよいよ、兄弟対決の本番である。もちろん、兄弟対決といえば「カインとアベル」である。公式の設定で言うと統一郎(40)で金田一(38)なのであるが・・・長男誕生している間もないというのに・・・別の女を愛しちゃった大屋敷巌(中村敦夫)・・・すべての「まちがい」はここにあるわけであるが・・・死者を鞭打つことはできないのだな。

カインは弟のアベルが神の祝福を受けたことに怒りの気持ちを覚えた。

カインは弟に告げる。

「荒野に行こう」

そして、荒野でカインは弟を殺害する。

「旧約聖書」における兄弟間の両親(神)に対する愛をめぐる葛藤はカインコンプレックスを生じさせた。もちろん、嫉妬に身を焦がす人間はあらゆるものに嫉妬するのである。兄が弟に嫉妬しても問題はないのである。

しかし・・・何事も度を越してはいけないのである。

嫉妬の炎は多くの場合、わが身を焼き尽くします。

最終回がクリスマス・イブである以上・・・そうした修羅場は救いの御子によって必ずや修復されることでしょうが。

結局・・・ハピネス魔法瓶は広瀬ファンド社長の広瀬遼一(草刈正雄)から融資を受けられたらしい。設備投資によって経営危機は回避され・・・ビジネスとして軌道に乗ったのである。

金田一社長(木村拓哉)、役員の二階堂(香里奈)、平の(中井貴一)はビジネス・スーツを新調し、オフィスビルの一室に大会議室を構え、幸福荘の朝食には鮭だの卵焼きだのがつくようになったのだった。

自称アイドルの富沢萌(小嶋陽菜) もご相伴にあずかるのだった。

しかし・・・異母弟である金田一を心の底から憎悪するMiracle Electronics社長・大屋敷統一郎(藤木直人)はこの時を待っていたのだった。

当然のことだが・・・ハピネス魔法瓶はミラクル魔法瓶の開発した技術を勝手に転用しているわけである。

「捨ててあったから拾っただけ・・・」というのは特許の分野では通用しないのである。

「究極の魔法瓶」の技術はMiracle Electronicsが特許を取得し、保有しているのだった。その特許権をハピネス魔法瓶は明らかに侵害しているのである。

佃法律事務所所長でMiracle Electronicsの顧問弁護士を勤める佃基夫(近江谷太朗)は金田一に口頭で「つまり、あなた方にあの魔法瓶を取り扱う権利はありません。よって、Miracle Electronics社は御社を特許権侵害で提訴するとともに、『究極の魔法瓶』の販売差し止めの仮処分を求めることに決定いたしました」と伝えるのだった。

「何・・・決定してくれちゃってんの・・・」と金田一は唖然とするのだった。

鮭の切り身の大小にこだわっている場合ではなくなったのである。

「基礎技術は応用したが・・・完成したのは我々じゃないか」とミラクル製作所の辻所長(志賀廣太郎)は憤慨するのだったが、おそらく、ネットで意見を聞いてみた二階堂は「法律的には私たちが物凄く不利みたいですよ・・・なにしろ・・・向こうは専門の弁護士そろえてきて勝ち目はないって・・・みんな答えてくれました」と悲観的である。

しかし・・・そんな常識が通用する金田一ではない。

「大丈夫でしょう・・・負けません」なのである。

だが・・・大丈夫ではなかったのである。勝てないのである。

ハピネス魔法瓶は事実上の営業停止に追い込まれてしまうのだった。

金田一社長の息の音を止めようとする大屋敷社長はさらにかってのミラクル魔法瓶の下請けだったハピネス魔法瓶関連企業の切り崩しを開始するのだった。

担当は榎本小太郎(藤ヶ谷太輔)である。

しかし・・・大屋敷の強引な経営合理化で切り捨てられた人々はそう簡単にはなびかないのである。

「帰ってくれ・・・あんたんところに戻る気はない」

「・・・」

罵声を浴びせられめげる小太郎は社内つぶやきシステムにぼやくのだった。

(榎本)・・・おこられちゃった

(蟹江)・・・堪忍。堪忍。

(黒田)・・・がんばれ( ・∀・)つ旦~~

その頃、元恋人のピンチに広瀬遙子(蓮佛美沙子)は父親の元へ様子を伺いに来る。

「ハピネス魔法瓶・・・大丈夫なの・・・?」

しかし、広瀬社長は思うところがあるのだった。

故・大屋敷社長と親交のあった広瀬社長は・・・正妻の子である大屋敷社長と、愛人の子である金田一社長が異母兄弟であることを推察していたのだった。

そのために・・・和解の道を探り、二人の社長を呼び出すのだった。

「ここは・・・どうかね・・・お互いの利益を最優先して・・・Miracle Electronicsは訴えを取り下げる・・・ハピネス魔法瓶は売り上げの8%を特許料として支払うっていうことでどうだろうか・・・両者に出資している私の顔を立ててもらえないだろうか」

「残念ながら・・・この件に妥協の余地はないのです・・・経営者として決断したことですから」

「・・・」

「あまりに・・・むちゃくちゃでしょう・・・」と金田一。

「むちゃくちゃなのは君の方だ・・・後は裁判で決着をつけよう」と大屋敷。

「・・・」と広瀬社長は大屋敷の態度に明らかなカインコンプレックスの兆候をとらえるのだった。

こうして・・・善意の第三者として広瀬社長がお膳立てした交渉は決裂した。

金田一は・・・大屋敷がなぜ、そこまで自分を憎むのかは知らないものの明らかな敵意を感じて・・・受けて立つ決意を固めるのだった。

しかし・・・状況は厳しいのである。

訴訟沙汰の噂により、ハピネス傘下の関連企業はその他の請負仕事もままならなくなっていた。

あくまで徹底抗戦の決意をした金田一とそれに賛意を示す二階堂・・・しかし、二人より状況を把握したモアイは反対意見を述べる。

「ここは・・・一時退却するべきだ・・・」

「どうしてですか・・・我々には非がないじゃないですか・・・」

「だが・・・国民を飢え死にさせることはできないじゃないか・・・」

「欲しがりません・・・勝つまでは・・・じゃダメなんですか」

「みんな・・・超・腹ペコなんだよ・・・」

過労のために倒れるモアイだった。風評被害で仕事のなくなった関連企業を支援するために関係各所への説明に尽力したあげくのことである。

事情を知った金田一はたちまち、発想を転換するのだった。

大屋敷社長に面会を申し出るのである。

「ハピネス魔法瓶は魔法瓶事業から完全撤退します・・・その代わり・・・Miracle Electronicsで『究極の魔法瓶』の製造販売を継続してください」

「すべての成功をただで我々に渡すというのか」

「はい・・・大切なのは・・・みんなが『究極の魔法瓶』を作り続けることができる・・・そういう状況ですから・・・」

「しかし・・・君はそれですべてを失うんだぞ」

「平気です・・・ふりだしに戻るだけですし・・・どうか、それで勘弁してください」

土下座して謝罪理由のない謝罪をする金田一である。

「わかった・・・考えてみよう」

大屋敷の温情なき温情に感謝する金田一だった。

「ありがとうございます」

帰りがけに榎本と出会った金田一は後事を託すのだった。

関連企業の社長たちは「いまさらそんなことはできない」と金田一の説明に反抗する。

「俺たちは・・・あんたと一緒に働きたいんだ」

「・・・」

そこへ、モアイがかけつける。

「この男が一番そうしたいんです・・・皆さん、そこをわかってやってください」

社長たちはうなだれるのだった。

また・・・振り出しに戻った三人であった。

「しかし・・・あの大屋敷って人・・・どんな人なんだろう」と素朴な疑問を口にする金田一。

「自分勝手で強引で・・・他人に迷惑をかけても平気なところはあなたにそっくり・・・でもあの人は寂しい人だと思う・・・」と二階堂。

「へえ・・・俺に似てるのか・・・」と不思議に思う金田一だった。

兄弟だからさ・・・と応ずるお茶の間なのである。

しかし・・・カインコンプレックスによって人格を支配された大屋敷の暴走はとまらないのだった。

あくまで魔法瓶事業は再開せず、人材は再配置して飼い殺し扱いにするのだった。

「そんな・・・約束がちがいます」と異議を唱える榎本。

「決定するのは私だ。君達の代わりはいくらでも居る」と宣告する大屋敷。

(榎本)・・・ひどすぎる

(蟹江)・・・堪忍できねえ

(黒田)・・・限度をこえてる

(エリ)・・・優良な製品を放棄するなんて狂気の沙汰でスー。

(船村)・・・この会社・・・もうダメだろう・・・働き場所として

(八木)・・・ε-( ̄ヘ ̄)┌ ダミダコリャ…

(榎本)・・・俺たちはただの歯車じゃない!

(鳥飼)・・・そうだよな

(犬養)・・・もうやるしかないな

(時田)・・・一揆じゃ

(広島)・・・いいや、大脱走じゃ~!

すべてを見通した広瀬社長はMiracle Electronicsへの融資を打ち切るのだった。

「なぜです・・・ハピネス魔法瓶で生じた損失など・・・我が社がいくらでも穴埋めしますよ・・・冷静なあなたらしくもない・・・」

「冷静さを失っているのは君の方だろう。私情に溺れて利益を損失に変えてはビジネスは成立しないよ」

「私はあくまで経営者として合理的な判断を・・・」

「君がつぶしたかったのは・・・ハピネス魔法瓶ではなく・・・君と君の母親を裏切って、父親が愛人に産ませた君の実の弟の存在なのだろう」

「・・・」

絶対に他人には知られたくない心情を見抜かれて我を失う大屋敷だった。

そして・・・Miracle Electronicsは1507人の社員が全員、退職したのだった。

大屋敷の心には散髪が終わった時のような晴れ晴れとした気持ちが生じる。

「ふふふ・・・もう・・・俺は誰も背負ってないんだな」

「いいえ・・・私がおります」と忠義を見せる財前(イッセー尾形)だった。

そして・・・榎本が率いるMiracle Electronics元社員一同は幸福荘を訪れる。

仲良く歯磨きしていたハピネス・トリオは・・・口から歯磨き粉を垂らすのだった。

「これ・・・近所迷惑ですよね」

「そうだなあ・・・」

「じゃ・・・とりあえず・・・中でお茶でも・・・」

「入れるわけないだろう、こんな大人数」と決める一厘(夏木マリ)だった。

まさに・・・一同爆笑の「あるわけねぇだろ、んなもん!?」展開である。万歳三唱するしかないぞ。

来週はライブでみんなで歌うのか?

フミくん、ジャガーかっ。

ワンツー。

Jumpin' Jack Flash/The Rolling Stones

世界はずっと嵐の中

どしゃぶり続きのど真ん中

だけど気にすることはない

これは本当のことじゃない

テレビのドラマに決まってる

あるわけねぇだろ、んなもん!?

あるわけねぇだろ、んなもん!?

あるわけねぇだろ、んなもん!?

関連するキッドのブログ→第8話のレビュー

An009
ごっこガーデン。ケチャップついてるは見逃せないセット。アンナアハハハハハ・・・そうきたのかーーーーぴょんぴょんぴょ~ん。それにしても自動ドアじゃないところにぶつかりすぎ~。ダーリンのおでこが心配ぴょん。ハピネス魔法瓶の仲良しトリオが仲良くしているだけで幸せぴょ~ん。こんな会社なら残業も休日出勤も苦にならないよね~・・・っていうか出社前も退社後も社員一同一緒だった~。毎日が合宿な会社・・・楽しそうだぴょ~ん・・・じいや、朝は和食にしてね~・・・お味噌汁はワカメでいいぴょんよ~まこ社員全員退職しちゃうとは・・・もはや民族大移動みたいだじょ~。それにしても・・・さびしいさびしいさびしい社長・・・本当に社長の器じゃなかったのかも・・・どうしようもない先代だけど・・・単に可愛いまじめな息子に重荷を背負わせたくなかっただけなのかもと故人にかわって弁解しておきましゅう~・・・次男はお気楽に背負えちゃうタイプだから~・・・あ・・・お気楽社長かっくう心と心が通い合い・・・お互いを察し合うハピネス陣営・・・それに対しミラクル社長はただただ心を閉ざしていく・・・そして最後は裁判沙汰・・・ここはあの弁護士が登場しなければ絶対勝ち目がないところだよ。父親への屈折した思いをひたすら異母弟にぶつける異母兄・・・もう心の病の域だよね~。カインは最後はさすらいの人になる定め・・・統一郎もセンチメンタル・ジャーニーに旅立つのかな~みのむし「いよいよ、最終回シーズンるるるちーずまだまだ悪夢ちゃんですが・・・口ゆすいできていいですか・・・は心にのこりましたmariシナリオに沿ったレビューできました・・・生放送・・・何するのかしら?ikasama4今年の風邪はしつこいので皆さんご注意ください・・・うがいはしないとシャブリうおう・・・社長の幼少時が・・・コドモ警察のスマートさん(秋元黎)とは~。さすがは・・・コドモ警察一の美少年だよね~・・・あ、飯綱くん、ここでしちゃダメだよ~・・・じいや、ちょっとアレしちゃいました・・・××処理ロイドキターッ

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2012年12月17日 (月)

スチューデントEVSティーチャーM・・・そしてアベンジャーXふにゃふにゃ(長澤まさみ)

「それは・・・お前だっ」と指差した先にいるのは誰か・・・物凄いひきである。

「いよっ、日本一」と大向こうから声がかかりそうである。

佳境だなあ、佳境にきちゃってます。

で・・・先週まで日曜日に不敵な存在感のアレが居座っていたのだが・・・あの方もお戻りになり、谷間に突入である。

大河ドラマの復帰も考えたが・・・スケジュール的にこちらを繰り上げることにした。

ともかく・・・現在はテレビが「選挙一色」である。

我が家でも激しい論戦がくりひろげられ早朝から「自民圧勝」を掲げたキッドは家族に総攻撃され、泣きながら荒廃した密林の書斎残骸で記事を書いています。

だって「圧勝」するものはしちゃうんだからしょうがないじゃないですかーーーっ。

お察しします。(じいや)

正しいことを言ったものが石を投げられる・・・それが人生だよ。(悪魔)

おーいおいおい。(泣き虫)

もちろん、すべては消去法である。

官僚支配からの脱却を夢見て「ハトポッポ~市民運動家~塾生」がくりひろげた失政の数々で失うものが多すぎたのである。

しかも未曾有の大災害があり、「助けてください」「かならずなんとかしますから」「・・・」「がんばったけどなんともなりませんでした」では困るのである。

無風状態ではガマ親分も凧を飛ばすことができずに本当によかったと思う。

「沖縄だって本当は中国の領土だ」と嘯く怪しい活動家を支持する中国政府に譲歩を続ける柳腰政府では困るのである。

「沖縄県民は我慢の限界にきている」というが「福島県民だって我慢の限界にきている」・・・そしてそれら全員にいい顔してたら「一部の活動家に配慮して暴動も肯定」する中国政府と同じなのである。

まさに・・・世界は瀬戸際に立っている。

日本ではいつ東海大地震がきて、西日本が壊滅するかわからんし、関東直下型なら首都壊滅、富士山噴火なら日本沈没である。・・・おいっ。・・・そして日本全国津々浦々放射能汚染である。・・・まだ言うか。

とにかく・・・今はがむしゃらに前へ進むしかないのである。

トンネルは補修しなければならないし、いつメルトダウンするかわからない原発を再稼働しなければならない。憲法を改正して米国との軍事同盟を強化し、中国を封じ込めなければならない。日韓の軍事同盟を強化し、竹島はなんなら韓国に売却し、その上で日韓同盟軍を竹島に駐留させればいい話である。その上で北朝鮮を解放して飢死しまくっている人々を救援しなければならない。偉大なる指導者には東京ディズニーランドの年間フリーパスを贈呈してあげてもいい。・・・いい加減にしておけよ。

そして、その場その場の景気をあげて、弱者保護はきりすてまくる・・・そうでなければみんな死ぬぞ~と思うのである。どちらにしろ・・・団塊の老人たちを手厚く保護するなんて無理なんだから。

親が子の面倒を見れば子も親の面倒を見るだろう。しかし、できることには限度もあるし、個人差もあるのが普通じゃないか。

自由民主党と民主党ではわかりにくい。本当は自民が共和を名乗ればスムーズだが・・・それは無理っぽいので民主は共和民主党を名乗ると良いと思うよ。自民党VS共民党で対米追従型同志の対立軸は鮮明になるはずだ。

共産党は反米党、社民は北朝鮮支援党でいいんじゃないかな。なにしろ、頭の中は仮想敵国における反日教育レベルなんだから。

その他はみんな・・・地方分権独立党でいいんじゃないかな。大阪派とか、東京派とかで。パフォマ党とか、言いたい放題党でもいいよね。みんな言うだけ番長の集まりなんだから。・・・そりゃ、お前だろうがっ。

弱者切り捨て、格差拡大ならテロリストが万歳三唱だが・・・そんな根性があれば弱者にはならないのである。

まあ、キッドの言うことなので気にしないでください。

新・与党は他に誰もいないからお前だということを肝に銘じてやってもらいたいよね。

所詮、高校入試で人生が決まってしまう国家のあれやこれやなんだから。・・・そこかっ。

で、『・第11回なのに最終回じゃないんだぜ』(フジテレビ20121215PM2310~)脚本・湊かなえ、演出・星護を見た。久しぶりの全13話ワンクールのドラマである。もっとも各話の放送時間は普通の連続ドラマより短い。ただし、濃密な番組内時空間はやろうと思えばいくらでも引きのばせる仕組みである。前回は一高を受験するだけで疎外されてしまう芝田麻美にスポットライトを当てたわけだが・・・その気になればそれだけの理由で麻美を疎外してしまうクラスメートたちにスポットライトを当てることもできるのである。それだって見たいさ。見せてほしいさと思える濃厚さ。トレビアンである。

そして・・・少しずつ姿を見せる高校入試テロの実態と実行者たち。

はたして wirepuller(黒幕)は誰なのか・・・そしてその人はすました顔してババンバ~ンなのか・・・。誠に持って楽しみなんだな。

高校入試で本当に人生が決まるかどうかは疑問だ・・・と思う人がいるかもしれない。

しかし、能力別で仕分けられた以上、学歴社会ではかなりの可能性が絞られる。

学歴社会(笑)の人も多いだろう。しかし・・・オリンピックで金メダルをとったり、大ヒットを飛ばすアーティストになれない多くのものはその「範囲内」で生きて行く宿命なのである。

大企業・・・たとえば報道機関に属するものたちの学歴を見れば学歴社会なんて歴然じゃないか(笑)・・・。

今回はその辺の誰もが知っているがあまりドラマでは語られないことが・・・赤裸々に語られます。

痛い・・・これは痛いよね。痛すぎるよね。救いは・・・あるのかな。

多分・・・ないと思う。

さて・・・学校内は二分される。

次々と応接室に引き寄せられていく他の教師たち・・・。

最後まで本部に残るのは別格の二人。

第一のMである的場校長(58)、そして入試部長の荻野M正夫(55)である。

校長と荻野は同世代感覚を持っていると校長は思う。

しかし・・・パソコンを操作できない校長と操作できる荻野。

二人の間には明らかに暗くて深い河があるのだな。

校長「手書きでも間に合う物を何でもパソコンで作ってくる若い教員たちをいかがなものかと思っていたがそう思われてんのは逆に俺の方かもしれんな」

荻野「そんなことありませんよ・・・パソコンに頼っていてはいざ停電の時に文書ひとつかけないことになりますからね。手書きのできる校長は貴重です」

校長「掲示板か・・・ここに文章を書く連中は誰に読まそうとしてんのかね」

荻野「不特定多数・・・広く言えば世間ですね」

校長「しかし・・・こんなに場当たり的で付和雷同的で一方的な独白のようなものにはたして価値なんてあるのかね」

荻野「民意というものはすべからくそういうものではないでしょうか」

校長「つまり・・・根回しとか、権謀術策抜きでゴリ押しか・・・なあ・・・我々の時はもっと・・・目標にむかって論理的な説得とか、裏取引とかで要求を貫徹する姿勢があったよな」

荻野「公務員の待遇改善は急務でしたからね」

校長「そうだ・・・あたかも他の就職がなかったから教職についたとでも言うように教員の地位は地におちていた・・・結婚相手を捜すのだって一苦労だったよ。賃上げ、技能向上のための研修旅行、産休に育休・・・すべて我々が戦って勝ち取った権利だ」

荻野「そうですね・・・義務を負わされるのだから権利を主張してそれなりの権益を得る・・・それが人間というものです。まあ、権利ばかりを主張して義務をないがしろにする・・・そういう不心得者は別として・・・」

校長「そうだろう・・・我々はそうして今の教育制度を作ってきたんだ・・・若い女の先生はその制度を利用するくせに・・・組合活動には非協力的だ・・・誰のおかげで楽ができると思ってんだってことだよな」

荻野「まあ・・・時代の流れと申しますか」

校長「それにしてもだ・・・この掲示板に埒もない事を書きつづっている連中は・・・こんなことで世界を変えられると本気で思っているのかね」

荻野「さあ・・・世界を変える気があるのかどうかも判別不能ですからね・・・」

学校の頂点に立ち保守に凝り固まったものとそうではないらしいものの静かなる決闘である。

もう・・・痺れますな。

本編では・・・この初老の男たちの会話は・・・別の世代の強烈な本音の告白とせめぎ合いながら綴られていく。

もう、魔法にかかったように時間が流れて行くのだが・・・妄想では分解していくしかないのである。

二人と対極の世代となるのが・・・現役受験生の田辺淳一(15)である。

彼が高校入試テロの実行犯であることは前回、明らかになっている。

淳一は一高よりもワンランク上の私立・清煌学院に合格していることに・・・不合格だった松島の息子・良隆(15)が気付く。

そういう彼を「高みの見物をしているもの」と誰かが捉える。

しかし、彼は「復讐者」なのである。

事情は明らかではないが・・・的場校長たちが作り上げた教育制度の中で・・・なんらかの事件が発生し・・・田辺家は崩壊したのである。

弟が試験の答案を用いてなんらかの破壊工作を企てたと知ったのは事件の当事者である兄の田辺光一(20)だ。

彼は一高を受験し、不合格となった。

そこには「事件」があり・・・その事情を光一は高校の放送部で作りはじめた習作のドキュメンタリー・プログラムを作る過程で知ってしまうのである。

それを彼は「不運」と捉え絶望したらしい。

「あなたにとって高校入試とは?」

「人生が決まる日」

自身がレポーターを勤めるドキュメンタリーの中で四年前の彼は語る。

「2009年6月27日の毎朝新聞にて公立高校入試の採点ミスがあったことが判明したという小さな記事が載っていた・・・僕がこの記事に興味を抱いたのには理由がある・・・それは僕も志望する高校に・・・不合格になったからである」

彼は人生を振り返る。

「・・・僕の父親も親戚もこの学校を卒業した。だから、僕も当たり前のようにここに入るものだと思っていた。勉強は苦手じゃなかったけれど勉強をせずにここに入れるほど天才じゃなかったから努力をした。小さいころから走るのが速かったから中学では陸上部に入ろうと思ったが運動部に入ると勉強をする時間がなくなると父親から反対され情報部に入った。 おかげでパソコンの扱いは上達したし勉強をする時間もじゅうぶんにあり模試も この学校に対してA判定を付けてもらえるようになった。・・・しかし、それはあくまで模試の結果であって合格通知をもらわなければA判定など何の意味も持たない。大学入試と違い高校入試は合格最低点が発表されるわけではない・・・だから、不合格になっても合格まで あと 何点足りなかったのかということは分からない。これは 一説によると公立高校を 明確なランク付けさせないためだといわれている。・・・ただ、そうは言っても おおよその目安というものはあり僕が受けた高校に関しては5教科の平均90点がボーダーラインだといわれていた・・・そして、自己採点の結果僕の平均点は91点だった」

開示された試験の結果と自分の答案を確認した彼は・・・引き籠るのである。

その理由はまだ明かされないのだが・・・。

一高生になれなかったショックはそれほどに大きいのである。

的場校長と・・・田辺淳一の間に横たわる43年の歳月のようにそれは暗く重いものらしい。

そして・・・それは・・・くりかえされてきた制度にまつわる怨念の集積でもある。

本部からさほど離れていない応接室では・・・ポーカーフェイスを貫く主人公・復讐者・春山杏子(28)が、体育教師・相田(28)とともに問題生徒・石川衣里奈(17)の事情聴取をしている。

明らかになっていく高校入試テロの実行犯の一人・・・衣里奈の犯行の軌跡。

そして・・・明るみに出る相田と衣里奈の不適切な関係。

「だめじゃないのお」

「頼む・・・他の先生には内緒にしてくれ」

「ていうか・・・言えないわあ」

それにしても・・・相田がかってこんなにモテキな役柄を演じたことがあっただろうか。

いや、ない・・・セーラー服のまさみに命と引き換えに泣いてもらえたぐらいである。

しかし・・・この世界では相田は一高卒業生という絶対的モテカードを持っているらしい。

衣里奈は単に女子高生として体育教師との肉体関係を至高のものとしているように見えるが実はそうではない。

相田の浮気を知って・・・なお・・・その浮気相手との小旅行を粉砕するためにテロの実行犯となったこと・・・試験でトラブルが発生すれば旅行中止・・・には理由があるのだ。

それは一高生としてのプライドである。

一高卒の相田には一高生の自分こそがふさわしいという自信があるのである。

だから・・・最初の浮気相手と勘違いした杏子などちゃんちゃらおかしいのである。

なにしろ、杏子は帰国子女で出身校的にどこの馬の骨か・・・という感じだからだ。

衣里奈はその信念に従って、簡単に盗める英語教科主任の坂本(48)の携帯を盗み、教室に仕掛けたのである。

高校入試テロへの参加は掲示板での勧誘に衣里奈が自発的に応じたものだった。

そして・・・別の実行犯からのメールで試験内容を知り、それを掲示板に書き込んでいたのである。

つまり・・・実行犯は彼女だけではないらしい。

さらに衣里奈は学校に居残り・・・実況中継を続けたのだった。

そして・・・55番の点数流出も・・・衣里奈の仕業だった。

ところで・・・ドラマ冒頭で杏子は小西俊也(33)からデートに誘われてそれを軽くいなすシーンがある。

復讐者としての杏子は情報入手のために様々な手段を使っているだろう。

相田ともなんらかのそれらしい行為がなかったとも言い切れない。

ただし、衣里奈は旅行代理店出身だからという理由で杏子を浮気相手と推察していたのだが・・・途中で・・・黒幕らしき人物が浮気相手を音楽教師・みどり(25)だと教えられたのだ。

もちろん・・・素知らぬ顔でそれを教えたのは杏子本人だと邪推できます。

さて・・・みどりも菫ヶ丘高校出身で相田の相手としては相応しくないと衣里奈は断定する。

「やめて・・・みどり先生と旅行なんかにいかないで」

そこへ立ち聞きしていたみどりが乱入、仁王立ちで修羅場宣言である。

「やめないわよ・・・」

たちまち巻き起こるオスをめぐるメス同志の闘争。

一同爆笑ポイントですが見苦しいので割愛させていただきます。

「このくされ生徒」

「この三流教師」

「あたしなんかすごい感じでやってるんだから」

「ばっかじゃねーのカレがアタシを何度も求めるのよ」

「うがぁぁぁぁぁぁ」

「きぃぃぃぃぃぃぃぃ」

・・・なのである。

その醜態に耐えかねたのが・・・三高出身のために・・・来年の契約もおぼつかない・・・数学教師・村井(25)だったのだ。

「いい加減にしろっ!・・・今日は大事な高校入試の日じゃないですか・・・」

その気迫に唖然とする一同。

「僕はこの橘第一高等学校にずっと憧れていた。小学生のころから運動は苦手だったし歌も縦笛も下手だったけど勉強は特に算数は大好きだった。でもゆとり教育なんていうできない子供に足並みを揃えるような授業はちっとも楽しくなくて・・・勉強が好きな人たちだけが集まる所で思い切り、算数を・・・数学をやりたいと思ってた。中学に入ると僕はその三年間を楽しむことよりも一高に入ることを目指して勉強した。そんな僕に付けられたあだ名はガリ勉。すごいでしょ。 もうとっくに死語になっているような言葉なのに。ガリ勉は中1の夏前からすでにいじめの標的にされていた。不登校にこそならなかったけど神経性の頭痛や胃炎に悩まされるようになって。病院で処方された薬を飲むと思考回路が止まってしまい気が付けば僕の成績は惨憺たるものになっていた。それでも僕は一高を目指して勉強をした。願書も当然 一高に出すはずだった。だけど中三の三者面談で担任は僕に一高は難しい・・・と言った。滑り止めに私立を受けておくならいいが公立一本に絞るなら家から近くレベルもそこそこの三高にしておいた方がいいと。そのころ、うちの父親はリストラされたばかりで私立なんてとんでもないことだった。ましてや・・・中学浪人なんて。それでも僕は一高を受けたいって抵抗したけど15歳の子供に選択権なんてなく・・・言われたとおりに三高を受けることにした。入試の当日問題用紙を開くとどの問題も明確な答えが浮かんできた。書くスピードが追い付かなくなるくらいだった。得意な数学だけじゃない。苦手な英語や国語も単語や構文はすらすら出てくるし書けない漢字など一問もなかった。だけど、そうやって問題がスムーズに解ければ解けるほど僕の胸は苦しくなっていった。なぜだか分かりますか?・・・ 一高を受けていても合格したんじゃないかという確信が強まっていったからです。・・・自己採点の結果僕の5教科の平均点は94点だった。・・・だけど、僕は望みをかなえることができなかったんです」

【高校入試をぶっつぶす★11】

1:名無しの権兵衛

(つд⊂)エーン

2:名無しの権兵衛

>>1

泣くな・・・。

・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・

55:名無しの権兵衛

泣いた・・・

56:名無しの権兵衛

日本中が涙した

・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・

60:名無しの権兵衛

む、むらいーーーーつД`)・゚・。・゚゚・*:.。

61:名無しの権兵衛

号泣

62:名無しの権兵衛

みんな泣きすぎ・・・でも泣きました

63:名無しの権兵衛

(´;ω;`)ウウ・・・人生が二度あれば・・・な

64:名無しの権兵衛

涙が止まりません

・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・

97:名無しの権兵衛

泣くしかない

98:名無しの権兵衛

(ノ_-。)もう犯人なんてどうでもいい・・・。

99:名無しの権兵衛

つ再現率高すぎ・・・だが、もらい泣き

100:名無しの権兵衛

なくのだ

みんなで

だきあって

101:名無しの権兵衛

このスレは100を越えたので書き込めません。

新しいスレをたててください。

関連するキッドのブログ→第10話のレビュー

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2012年12月16日 (日)

悪夢ちゃん昏睡~シンデレラはパエトーンの夢を見るか・・・もげっ(北川景子)

もう少し予算があったらよかったのにな・・・という展開だったな。

とにかく・・・相手は巨悪である。

ほとんど・・・ショッカーとか、パンサークローとか、ブラック・ゴーストレベルの悪の組織なのである。

現実にそのレベルの組織と言うと、中国共産党の工作組織や、北朝鮮人民共和国の工作組織ということになるだろう。

もちろん・・・西欧諸国にも伝統の秘密結社や悪名高いCIAもあるのだが・・・さすがに日本国内で児童誘拐は実行しないだろうと推定できる。

その他に日本には「ヤクザ」が米国には「マフィア」がいるが・・・これはある程度、公権力に抑圧された組織になっている。

また「養子縁組=人身売買」の組織の中には宗教的に善悪定かでないものもある。

実際に日本国の国民を拉致誘拐したことが明らかになっている朝鮮民主主義人民共和国の凶悪さは異常と言っていい。しかし、その国を友好国としている中国も本質的には同じと言っていいだろう。

日本は自分自身を「白」とする独善的なものながら欧米諸国からそこそこ「人身売買」に関わっている国として糾弾されているのが現状である。日本は国際的な人身売買の「受け入れ国」「中継国」「送り出し国」の三つの要素すべてで有罪とされているのだ。もちろん、実際は無罪の国なんてどこにもないわけである。

これは「売春」を徹底的に弾圧していない以上、どこからかだれかが「売春対象」を調達してくるビジネスが成立するわけで・・・たとえば大物芸人が・・・そういう風俗店について語ることの是非について問うようなものである。

本人たちは「だって現実にあるんだからしょうがないだろっ」って言うかもしれない。

なにしろ・・・どんなに立派な国であっても・・・金銭目当てで家族ぐるみで連続殺人を決行し逮捕されたら自分で自分の首を絞めちゃう国民とか、突然、自分の母親を殺して学校で銃を乱射して大量殺人を実行する国民とかは出現するのである。

たまたま、ガス田ガス田ってうるさいから国境線を塗り替えることに決めて、領海侵犯、領空心配を発狂したようにはじめる国家があってもちっともおかしくないのである。

他人の国から中学生を拉致監禁する国が戦略核を保持するご時勢なのである。

そういう意味では世界はまさに悪夢なのである。

ここでは「児童の国際的な人身売買組織」と「超科学を軍事目的で真剣に研究している国家」と「善意の養子縁組支援組織」がカオスになって存在していると思われる。

そういう組織と・・・日本国の公権力が渡りあう以上・・・物凄い組織と組織の戦いとして描ければベターなのであるが・・・ここでは一介の刑事が物凄い決断力で・・・凶悪事件を解決したことになっている。

画竜点睛を欠くとはこのことか・・・。

で、『・第10回』(日本テレビ20121215PM09~)原案・恩田陸、脚本・大森寿美男、演出・佐久間紀佳を見た。これまで指摘してきたように悪夢ちゃんの予知夢と悪夢先生の未来改変は場合によっては宇宙を消滅させる危機をはらんでいる。なぜなら未来は絶対に改変出来ない場合があり、それを改変するということは宇宙を破壊することと同じ場合があるからだ。ここまで・・・悪夢ちゃんこと古藤結衣子(木村真那月)の夢はデフォルメ(誇張)されたイメージとして超科学の夢記録装置「獏」によってAV化されており、悪夢先生こと彩未(北川景子)はそれを解釈することで事件を解決してきたのだが・・・実際は未来を改変したのではなく、改変されたように見えて本来予定された未来だったと言い逃れることも可能な表現になっている。さらに悪夢先生と化した彩未はある意味、超絶サイキックとして描かれつつあったのだが・・・今回はトーンダウンである。

ものすごいことやってきたのに・・・「私はそんなにすごくないんですよう」と弁解しちゃってます。

しかし、意識を集中するだけであらゆる人間の無意識にコンタクトできるんだから・・・情報戦においてはほとんど全知全能なわけですが・・・。

「中国の首脳部は本当のところ・・・どうなの?」

「2050年までにハワイ以西はすべて中国の領土にするつもりです」

「ひえーっ」・・・なのである。

悪夢ちゃん、悪夢先生を入手するために各国諜報機関は物凄い争奪戦を繰り広げること確実なのである。

で・・・今回、案の定・・・志岐貴(GACKT)は悪夢先生に対する愛の使徒であることを明らかにするわけだが・・・もう、悪夢ちゃんの存在を公表した時点で取り返しのつかない失策を犯していることは明らかなのである。

しかし・・・まあ、キュリー夫人が人道に対する罪で死刑になっていない以上、科学者のやることは人道的でなくてもしょうがないということなのでしょうな。

さて、とにかく・・・現時点では謎の組織は二つあると言っていい。

一つはトミー・リー(川平慈英)の組織する某国工作員チーム。彼らの目的は超・戦略的人体兵器である悪夢ちゃんの入手である。

もう一つは児童誘拐も辞さない養子縁組サイト「Kids talent models Agency」を経営するシスターX(能世あんな)の属する組織である。この組織に児童養護施設「夢見る羊の家」施設長で悪夢先生の養育者であったシスターマリカ(藤村志保)が属しているかどうかは謎である。シスターマリカは知らぬうちに人身売買組織の隠れ蓑として施設を利用されているだけかもしれない。

トミー・リーの組織があざらしマスクを着用しているので・・・シスターXの組織とはなんらかの関係がある可能性はある。

ともかく・・・トミー・リーの組織と接触した志岐は・・・緊急避難のために悪夢ちゃんを連れ込んだ悪夢先生の部屋を急襲するのである。

拳銃を示して「一緒に来てくれ」という志岐に悪夢先生は断固拒否の姿勢を貫く。

志岐は悪夢先生の決意にたじろぎ、二人の予知能力者は脱出する。

二人が逃げたのは明恵小学校の保健室であった。

翌日の職員室で教師たちが不安を口にする。各クラスから一人ずつ児童が行方不明となったままだからである。悪夢先生が担任を受け持つ5年2組からも近藤七海(大友花恋)が消えているのだ。

児童たちは・・・悪夢先生の隠された能力を知るものが中心に・・・「はやく七海を助けてほしい」と期待が集まる。

教師としての自覚に目覚めた悪夢先生は・・・唯一の手掛かりである志岐の犯行を告発しに授業をさぼって警察に赴く。

しかし・・・対応した刑事は女児誘拐犯を志岐の協力で逮捕した過去のある春山(田中哲司)で悪夢先生の訴えを証拠不十分として退ける。

仕方なく悪夢先生は明晰夢により、七海の無意識にコンタクトするのだった。

そこに登場したのは七海を海に連れ去ろうとするシスターマリカだった。

児童養護施設「夢見る羊の家」を訪ね、マリカを追及する悪夢先生だったが・・・マリカは「児童施設の子供たちを危険な目にあわせることはできない」と悪夢先生を退ける。そこにシスターXも現れるが・・・悪夢先生の直感は冴えわたらないのである。

その頃、養護教諭ライダー・琴葉(優香)によって古藤教授(小日向文世)の元に送り届けられた悪夢ちゃんは新たな夢を見ていた。

悪夢ちゃんの悪夢

シンデレラとなった悪夢先生は船上で夢王子である志岐とダンスを踊る。

しかし、ガラスの靴はかかとが折れ・・・悪夢先生は灰かぶり姫となる。

「君は現実を思い知るだろう」

冷酷に告げる志岐をふたご座流星群の星降る船上でカボチャで殴り倒し、志岐は海の藻屑と消える。

殺人犯として警察に逮捕される悪夢先生だった。

最後の手段として志岐へ会いに行く決意を固めた悪夢ちゃんは夢の内容を告げずに阻止する。

「しぇんしぇい・・・あの人のところに行っては駄目・・・」

そのために決意が鈍る悪夢先生だった。

しかし、その夜、何者かによって悪夢ちゃんは誘拐されてしまうのだった。

琴葉とともにかけつけた悪夢先生は夢判断を行う。

そして・・・流星群とオリオン座から・・・船の航路を割り出し、誘拐船を特定するのだった。

船はいかにも東アジアの工作員が利用するような貨物船「龍鶴」だった。

かよわい女教師が二人・・・国際的な誘拐犯に挑むのである。

これ以上、無謀ことがあるだろうか。いや、ない。

しかし、まんまと誘拐船に乗り込む二人。

「私が・・・騒ぎを起こすから・・・その間に悪夢ちゃんを救出して・・・」

「でも・・・あなたは人殺しをしてはだめよ」

「わかっている・・・約束する」

そして・・・悪夢先生はかぼちゃ色の船の備品である浮標を凶器としてとりあげるのだった。

悪夢先生を待ち構える志岐。

「せっかくだから・・・ダンスをするかい・・・」

「あなたも・・・夢札を見たのね」

「そうだ・・・そして君はここに来た・・・君はもしかしたら・・・」

「そうよ・・・私も悪夢ちゃんだったのよ・・・でも私は明晰夢の中に能力を封印した・・・そして人の心を読むことができなくなった・・・だから・・・あなたを信じてしまった・・・あなたのような人を愛してしまったのよ」

「それを聞くことができて・・・うれしいよ・・・さあ、時間だ」

シンデレラ・ストーリーは基本的に女性の男性に対する依存願望を示していると言われる。所謂、人生の丸投げである。そのストーリーを否定すればある意味で男性は存在価値を失うのである。一方でシンデレラ・ストーリーは他力本願ながら不幸な境遇からの自立も意味している。魔法が解けた後でも・・・王子が自分を捜す手掛かりを残すからである。自分本来の姿を示すことが幸福につながることを暗示しているのだ。

しかし、その夜はふたご座流星群の夜だった。

ふたご座の双子は半神半人である。神である兄と人である弟。弟は死すべき運命だったが兄の情けにより神の恩寵を受け、神としての寿命を受ける。

これは悪夢先生と志岐の関係を暗示している。

また、ふたご座流星群のスターダストの本体は小惑星のパエトーンである。

パエトーンは父アポローンの太陽の馬車に乗り、自分が神の子であることを証明しようとして制御不能になり、地上に大災害をもたらした末に雷神で神々の王ゼウスに雷の矢で射落とされてしまう。

神である悪夢先生に詰られた志岐は自ら墜死することによってその罪を購う定めなのだった。

志岐が海の藻屑に消えるとどこからともなく刑事たちが現れる。

志岐は自らが誘拐犯になることにより、警察を呼び寄せたのだった。

ここは・・・海上保安庁の巡視船が停船命令を出すシーンがあればスペクタクルだったんだよなあ。

演出力不足となりました・・・まあ、夢落ちの可能性は含んでいますけれどね。

なにしろ・・・今回の悪夢先生の行動は校長先生(キムラ緑子)の指摘通りに教師として逸脱しすぎてますから~。

そして・・・児童たちは無事救出され・・・何故か学校に戻ってくるのだった。

子供が行方不明になってるんだから・・・親が半狂乱だろうに・・・。

ここも「夢」でないと演出がおかしいことになりますな。

しかし、何よりも凄いのは助手(和田正人)の長い告白である。

「すべては悪夢ちゃんと悪夢先生を守るための行動だったんです。志岐先輩は悪夢先生を殺すとあいつらに脅されていたんだ・・・そして先生はあなたを・・・」

「そんな・・・馬鹿な・・・」

警察から解放され七海の無事を確認して自宅に戻った悪夢先生は残されていた拳銃を取り上げる。

それは水鉄砲だった。

「シンデレラが王子を殺しちゃダメじゃないか・・・」

自らの姿の映る鏡を水鉄砲で撃ちながら・・・。

涙する悪夢先生は自責の念に苛まれるのだった。

同時に・・・「悪夢先生が志岐を殺してしまった」と誤解した悪夢ちゃんはショックで昏睡状態に陥る。

「医学的に問題はない」と医師は告げるが・・・悪夢ちゃんは覚醒する気配を示さない。

はたして・・・誘拐組織は実在するのか。

シスターマリカは敵か味方か。

そして・・・志岐は本当に死んだのか。

大いなる謎を残して物語は最後の夢へと向かうのである。

関連するキッドのブログ→第9回「皆夢」のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はこちらへ→くう様の悪夢ちゃん

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2012年12月15日 (土)

大奥~慶安四年のフィナーレ~1651年と書いていろこいと覚えるのじゃ(多部未華子)

年号を覚えるにはゴロあわせが一番である。

なくよ(794年)うぐいすへいあんきょうである。

徳川幕府三代将軍家光の死亡年がテストに出ることはまずないと思うがこの年は由井正雪が慶安の変を起こす年でもある。

女・将軍家光とお万の方の色恋の終焉が1651年で「いろこい」の年であると覚えるのはこの「大奥~誕生~」がなければけして成立しなかったと思う。・・・いや、別に誰も成立したとは認めてないぞ。

正史では家光の死と慶安の変は密接につながっている。

戦があれば出世ができるという戦国の夢を見た浪人たちが新将軍・家綱(11才)を侮り幕府転覆をはかる・・・その夢が潰えた時・・・誠の太平の世が訪れるのである。

どのような時代を好むかは人それぞれであろう。

しかし・・・平和の世は何事にも代えがたいと感じる人は多い。

キッドは憲法は絶対に改正しなければならない(自衛戦争のための戦力の保持と交戦権の明文化)と思うが・・・それはあくまで来るべき東アジア大戦の開戦を回避するためであるとも思う。

備えあれば憂いなしなのである。

もちろん、いつかは必ずメルトダウンする原子力発電所を絶対安全だと信じるのは愚かなことだが、丸腰で拳銃を持った相手に「銃を捨てろ」と言っても捨ててもらえるとは限らないのだ。

家光の残した幕府(軍事独裁政権)は由井正雪の反乱(慶安の変)を鎮圧する。

「武は武をもって制するしかない」・・・それが現実というものなのである。

とにかく「色恋終って慶安の変」なのである。

で、『大奥 ~誕生~[有功・家光篇]・最終回(全10話)』(TBSテレビ20121214PM10~)原作・よしながふみ、脚本・神山由美子、演出・金子文紀を見た。「デカワンコ」で花森一子(多部未華子)の幼少期を演じ、女・家光の幼少期も演じた庵原涼香が再び登場。チビ上様・徳川家綱を演じて超絶的にかわいい女将軍の誕生となる。「痛い・・・」ほど抱きしめたくなるお万の方(堺雅人)の気持ちは痛いほどわかるのである。全編に渡って脚本・演出ともそつがなく・・・傑作の域に達した本作・・・この面白さが分からない人ははっきり言って馬鹿だと思う。・・・そこまで言わなくてもいいだろう・・・お前は春日局かっ。

さて・・・正史と逆転史がなぜ・・・相似して行くのか・・・という疑問を感じる人はいるかもしれない。

基本的に世界はすでに完結していて現在とか過去や未来は人間がそう感じているものに過ぎないと言う考え方がある。

いわゆる決定論である。

そこには自由意志は存在しない。

朝、パンにいちごジャムを塗るか、マーマレードにするかを自分が決めているというのは錯覚でそれはあらかじめさだめられている事柄にすぎない。

それに対する一つの反証が・・・不確定性原理である。

世界は可能性の数だけ存在するという考え方と言ってもいいだろう。

つまり、朝はイチゴジャムだった世界とマーマレードだった世界は分岐し、同時に存在するという考え方である。

まあ、どちらであっても日常生活にさほど影響はありません。

しかし・・・男子の死亡率が80%という奇病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」の蔓延があった世界(逆転史)となかった世界(正史)が隣り合っているという発想はこの無限に分岐する平行世界観を拠り所とするのである。

春日局(麻生祐未)は「この国が滅ぶ」と予感するのだが、大奥内の文書を担当する御右筆の村瀬正資(尾美としのり)は「この国は滅びないのではないか」と推察する。

なぜなのか・・・それは結局、彼らの生きる世界が我々の生きる世界と近接しているからである・・・ということなのだ。

だから・・・これだけ「違うこと」があっても結局、「似たようなもの」になっていくのである。

こちらの歴史には存在しない万里小路有功が出現するが・・・結局、こちらの世界のお万の方の役割を担って行く。こちらの世界では慶安四年まで存命していた家光は赤面疱瘡によって早世するが・・・遺児の女・家光が慶安四年まで存命することになる・・・こういう辻褄あわせが歴史改変SFの醍醐味なのである。

もちろん・・・歴史を知らなくても楽しめるドラマだが、知っていればより面白いし、面白がるために歴史を知りたくなる・・・そういう知的好奇心が脈打つドラマなのだな。

つまり・・・そうならない人は・・・基本的に知的ではない・・・ということになるのだ。

もちろん・・・そういう知性がなくても生きて行くことに不自由はないのである。

逆に・・・そんなことで貴重な時間を無駄にしない方が生きやすいという考え方もあります。

どちらを選ぶかは自由ですが・・・決定論的にはそれはすでに確定していることなのです。

・・・さあ、きりがないので本題に入ります。

正史では寛永十一年(1634年)に死んでいる稲葉正勝(平山浩行)は逆転史では早世した家光の影武者となって・・・女・家光の後見役となっていく。実の母である春日局の補佐であったとしても女・家光の幼少から死去までをずっと見守っていくのである。

その間に実の息子である稲葉正則(西山潤)の死に目にも会えず、家督を継ぐことになる娘(山本舞香)に名乗りもあげることができない。

春日局が逝去し、女将軍となった家光に出家して大奥を去ることを許されるのであるが・・・正勝はそうしない・・・なぜならば・・・正勝は家光を愛してしまったからである。物凄いプラトニック・ラブなのである。

女・家光とお万の方の愛の苦悶をお茶の間は楽しんでいたわけだが・・・ある意味では最も苦悶していたのは正勝だったということなのだな。

なにしろ・・・正勝は女・家光とは褥を共にすることはなかったのだから。

どんなにか、抱きたかったことか・・・。

だから・・・正勝はお万の方の苦しみを理解しつつ・・・「まだまだじゃの」と思っていたに違いないのである。

そんな夫の心も知らず・・・ひたすらに生還を待ち続けた正妻・お雪(南沢奈央)なのだ・・・憐れだが・・・一同爆笑のポイントでもあります。

だから・・・死後に届く夫からの手紙は実に奥の深い「詫び状」なのである。

もう涙流しながら笑うか、微笑みながら泣くかしか・・ないのである。

さて・・・時は少し遡る。

逆転史ではやや曖昧にしてあるが・・・玉栄ことお玉の方(田中聖)と女・家光との娘・徳子姫(後の徳川綱吉)が誕生するのは正史では正保三年(1646年)である。

家綱(千代姫)・・・寛永十八年(1641年)生れ・・・父・お楽

綱重(長子姫)・・・寛永二十一年/正保元年(1644年)生れ・・・父・お夏

であり・・・逆転史では三女である。

玉栄はお万の方の望み通りに女・家光の子の父になったのだから・・・当然、我が子が将軍の座につけると考える。

しかし・・・お万の方は長幼の序を持ちだして・・・玉栄を諌めるのである。

もちろん・・・額面通りに受け止めてもいいが・・・父を失い後ろ盾のなくなった長女の千代姫が「お万の方・・・大好き」と攻め立てるのである。お万の方に・・・正勝的プラトニック・ラブが芽生えていたことは言うまでもない。

そんなお万の方を正勝は「ふふふ」と笑って見ていたはずである。

算術が苦手の千代姫がお万の方の教えにだけは一生懸命に耳を傾けるのである。

たとえ玉栄の子であろうとお万の方が愛してしまった千代姫には叶わない。まして・・・お夏の子なんてもっての他なのであった。

「良いですか・・・一石とは一年間に人が食べる米の量でございます。一反の田から米一石が得られまする。俵に詰めますと3俵でおよそ1石でございます。一人扶持と申しますのは人を一人養うための米を与えることなので3俵ということになりますが、人は米だけでは生きていけないので5俵与えます。つまり、一人扶持は5俵になります・・・それでは三人扶持では米は何俵になりますか・・・」

「五の五の五で・・・十五俵かのう・・・」

「ご名答でございまする・・・さすがは千代姫さま」

「うふふ」

「あはは」

・・・なのである。

こうして次期将軍(お世継ぎ)は千代姫様で決定なのであった。

そして・・・時は流れる。

それは人知を越えた定めの時なのである。

正史の家光が逝去した慶安四年(1861年)、女・家光は突然の病に倒れる。

この時代は生れ年を一才と数える数え年であるため・・・千代姫は御年十一歳になっている。

お万の方が大奥に閉じ込められて十年以上の歳月が過ぎていた。

「後継者は誰がよいかの・・・」

「上様のお父上、家光公は長幼の序によって将軍におなりあそばした・・・無益な争いをさけるためには・・・千代姫様でなくてはなりませぬ」

「お玉の子でなくて・・・よいのか・・・」

「御意にございまする」

「ふふふ・・・有功よ・・・そなたは余にとって特別な存在であった・・・しかし、余には三人の特別な存在があった・・・わかるか・・・」

「春日局様と・・・正勝様ですな」

「そうじゃ・・・春日局は母・・・正勝が父であった・・・余は追い腹(殉死)は禁ずるが・・・正勝だけには許そうと思う・・・」

「愛でございますね」

「愛じゃ・・・そちには許さぬぞ・・・そちには千代姫の父となって・・・余の分まで生きてもらわねばならぬ・・・」

「・・・」

「有功・・・余のわがままを許してくれるかえ・・・」

「私の心は永遠にあなた様のものや」

「有功・・・ああ・・・永遠が見え・・・」

「・・・上様・・・上様・・・上様~」

こうして・・・お万の方こと万里小路有功と千恵姫こと女・徳川家光の色恋は終ったのである。

残された大奥総取締役のお万の方は・・・稲葉正勝がそうしたように・・・千代姫こと徳川幕府四代将軍・家綱とともに愛の日々を送っていくのだ。

追い腹を許された正勝は介錯も用いず、見事に腹を切り、微笑みながら絶命する。

余人には窺い知れぬ・・・強烈な愛の証である。

ものすごく痛いですから。

こうして・・・このドラマは終焉を迎える。

その後は劇場版「大奥~永遠~」に引き継がれるわけだが・・・ここでは正史のその後を記しておく。

玉栄は出家し、桂昌院となる。その子・綱吉は上野国館林藩二十五万国の藩主となる。

お夏も出家し、順性院となる。その子・綱重は甲斐国甲府藩二十五万国の藩主となる。

綱重は延宝六年(1678年)に死去。順性院は天和三年(1683年)まで生きる。

家綱は延宝八年(1680年)に死去。

綱吉が第五代将軍となる・・・。

逆転史でも桂昌院(玉栄)が女将軍の父となる予言が成就することになるのだろう。

しかし、それはまた別の物語なのである。

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Mako014sごっこガーデン、大奥~フィナーレパーティー~会場。まこ「おててつないでおしろをゆけばみんなかわいつばめになって~とののおなりですずがなる~ああ~おおおくにすずがなる~のでしゅ。皆のもの苦しゅうないのです~。ウルウル二人の恋は終ったけれど~、お万の方の愛の暮らしは続いていくのでチビ上様モードで対応しましゅ~。世界で一番パパが好きは全国のお父さん心の願いに即応するのだじょ~。じいや~フライドチキンおかわりでしゅ~くう大河ドラマにエールを送るすごろく賛歌・・・玉栄も千代姫もすごろくラブなのです~。しかし、千代姫がしたいすごろくは絵がついた方かもね~。最後の最後に今生の別れを持ってくるなんてナイス演出だわ~。史実を愛するものとしてはこの流れの果てで・・・吉宗版を見たかった気もします。また違う味わいがあるかも~。この世界では男女逆転のまま・・・女・坂本龍馬とか、女・明治天皇とか、女・山本五十六とか、女・ヒットラーとかが登場するのか・・・それとも女が主権をとることによってどこからかまったく別の世界になっていくのか・・・妄想とめどなく・・・ikasama4歴史を知るものにとって当然の結末なのに・・・新たなる感動を生む・・・歴史改変SFの魅力というか妄想の大勝利ですねえシャブリああ、長女の千代姫=庵原涼香、なんと、涼香ちゃんは家光の幼少と2役か!・・・すばらしい・・・あのね、 有功。有功とすごろくをしたい・・・きゃあきゃあ!・・・姫様ぁ~・・・ふぅ・・・毎週萌えどころが変わる大奥恐るべしmariシナリオに沿ったレビューできました~、じいや、シャンパンおかわりお願いします~エリ思えば遠くにきたものでスー。宇宙から帰ってきてたまには妹ごっこも楽しいですね。そして・・・女・家光を演じた多部先輩、掘り出し物ですね~。すご~い

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2012年12月14日 (金)

私たちは皆復讐をしている、私たちは皆嘘をついている、私たちは皆ふにゃふにゃ(長澤まさみ)

ついに躍り出た「復讐」の二文字。

そして、それぞれが抱える「孤独」・・・。

妄想が妄想を呼び、夜毎見る夢。

今回はついに「高校入試クーナ」を見てしまった。

杏子先生がクーナフィギュアになり、田辺(弟)のデスクに飾られているという・・・「悪夢」である。

隠されている人間関係がうっすらと浮かび始めた今回。

「希望」とか「夢」とか「絆」とか「愛」を歌い上げるよりも、「絶望」とか「悪夢のような現実」とか「疎外」とか「悪意」を呪いつぶやく方が時には望ましい。

人間は時には「いやなこと」を思い出して暗い気持ちになり・・・そして渋い顔で微笑むことが必要なのだ。

自分で自分の首を絞める前に・・・。

で、『・第10回』(フジテレビ20121208PM2310~)脚本・湊かなえ、演出・北川学を見た。前回・・・年齢一覧を振りかえってみたのだが・・・今回はその年齢や年齢差にいくつかの秘密があることをドラマそのものが醸し出してきた。このドラマの仕掛けのひとつである「一高村」の存在がおぼろげに浮かび上がってきたのである。学校教育の問題のひとつである閉鎖性がそれとなく暗示されるのだ。「一高」を卒業したものが「一高」で教師になる・・・つまり、「一高」が「世界のかなりの部分」をしめるものの存在である。多くの教師が「学校」を出て「学校」で働いているのだ。彼らに教えることができるのはそういう体験に基づく「基礎」なのである。それ以上を期待してはいけないのだな。

それでは年齢順に見てみよう。

第一のMである的場校長は(58)、そして入試部長の荻野M正夫は(55)である。

この二人はある意味、別格なのである。

しかし、荻野より年下なのに教頭職についている上条M勝(50)には同級生がいる。

同窓会会長の沢村(50)である。

実は・・・この二人・・・あまり同席しない。しかし・・・どこかで通じている気配があるのである。もちろん・・・それが善意の絆とは限らない。なにしろ、この世界では基本的に同年代は「ライバル」なのである。もちろん「仲間」であることもあるが・・・「仲間はずれの対象」でもあるのだ。

さて・・・今回、上条教頭と気脈を通じる場面がある問題教師・坂本は(48)だ。

坂本「(みどり先生が掲示版の存在を見つけたのは)入試を混乱させる作戦じゃないの?・・・掲示板の存在を知らなければ今頃、こんな話し合いをする必要なかったかもしれないじゃん」

上条「そう言われてみればそうだなあ」

上条が一高の三年生だった頃に坂本はフレッシュな新入生だったのである。仲手川くん(中井貴一)にあれやこれやしていた頃の高橋ひとみはそれなりにセクシーだったのだな・・・ま、「悪魔のKISS」の常盤貴子には負けるがな・・・誰が「ふぞろいの林檎たち」の話をしろと言った。・・・とにかくそんな先輩とぴちぴちの後輩だったわけだ。どんな先輩なんだよ。

さて、そんな坂本が卒業した後に入学したのが英語のM松島(45)なのだが・・・彼が最上級生になった時に一年生だったのが・・・社会のM水野(43)と美術のM宮下(43)なのである。

今回、水野は受験番号59番の松島の息子・良隆のプライベートを暴いてしまうのだが・・・。

水野「ちゃんとおっしゃったらどうですか・・・自分の息子が同窓会長の息子にいじめられてるってことを」

松島「息子のいじめのことなんか、入試にもあんたにも関係ないだろ」

生意気な後輩が先輩をちょっとおちょくってる感じがあります。

ちなみに・・・「ケータイ騒ぎの最中に55番が61番の答えをカンニング」という答案用紙に残された告発に対し、水野は「100%カンニングがなかったと言いきれます」と主張する。

もちろん・・・お茶の間は現場を見ているのでそれが「嘘」もしくは「カンニングを見逃したという責任を回避するための思い込み」と分かっているわけです。

さらに水野は「管理職なんて他人を蹴落としてなるものじゃないだろう」とつぶやくのだが・・・しっかり昇級試験のための勉強をしていたことはお茶の間にはお見通しなのである。先輩を追い抜く気、満々なのだ。

しかし、人生設計から言うとすでに高校生の父親である松島と・・・独身の水野・・・微妙な問題をはらんでいます。

そんな水野をおちょくるのが同級生の宮下。

水野「私は試験中の観察を通して59番松島良隆が55番沢村翔太をよく思っていないことがすぐに感じ取れました。原因はどうせ自分より成績のいい良隆君を翔太がやっかんでいたってとこでしょう」

宮下「松島さんの息子の姿が昔の自分とダブったってわけか」

水野は一高から東大に進学したわけで・・・一高の中での秀才。それに対して芸術系の宮下はこれだけズケズケものを言うので・・・やっかみグループではなく・・・それなりの友情を築いていた友人ともとれる発言をする。まあ、単にそういうキャラクターなのかもしれませんが。しかし・・・それに応じる水野は「うんもう・・・ 君、余計なこと、言うな」となんとなく気易い感じをみせるのだ。やはり、ちょっと仲良しさんっぽいのである。

ちなみに・・・宮下は家を新築して妻子もいるわけだが・・・その部分は隠されている。

ついでに坂本の娘も未登場である。一高卒業生であるし・・・適齢期なので・・・体育の相田(28)から音楽のMみどり(25)までのあたりでどちらかの同級生だった可能性がある。

このあたり・・・一高的世間の狭さが充分な伏線になりうるわけだ。

もしも、杏子(長澤Mまさみ)の回想の彼氏(姜暢雄)が一高OBなら坂本の娘との接点さえ生じるのである。

みどりの同級生なら・・・坂本母娘は一高に教師と生徒として存在していた時期があるわけで・・・おそらく相当な問題教師&生徒ぶりを発揮したことだろう。

さて・・・一高出身の教師にも転勤があり、松島が三高教師だった時代の教え子が数学のM村井(25)である。

菫ヶ丘高校出身のみどりと村井が同じ中学だったかは明らかではないし、沢村家の長男・哲也(25)との関係も不明である。

ただし・・・哲也は一高生時代に水野を「国家試験に挫折して教師になったくせに威張り腐って嫌なやつだった」と評している。

沢村家は長男の哲也、そして年齢・名前不詳の次男は共に一高生である。

次男はおそらく東京で学生生活を送っているのだろう。

そして・・・あの兄の田辺光一(20)の受験仲間だったと思われる。ただし、この点はまだ妄想の域である。

この時の問題に・・・水野と宮下が触れないのは他校にいて不在だったからだろう。

ただし、冒頭(初回)のこの事件に関する減給処分について反応したのは坂本、水野、宮下だったのだが・・・。

そして、みどりたちの世代はまだ教師になっていない。

杏子はまだ旅行代理店にいたのだろう。

すると、相田や小西、松島、坂本、教頭、荻野、校長は何かを知っていて口をつぐんでいる可能性があるわけである。

そして・・・このラインはすべて杏子の復讐のターゲットである可能性がある。

もちろん・・・今回の最後に田辺淳一(15)がついに口にする復讐のターゲットでもあるだろう。

少なくとも・・・「五年前の事件」に杏子の回想の彼氏が絡んでいれば・・・杏子と淳一はまぎれもなく共犯者である。

杏子が答案用紙を一枚着服し、46番の回答用紙をすり替え、掲示板に55番として掲示する。そして沢村を誘導してそれを発見させる。これによって沢村は不正の誘惑にかられるだろう・・・ということを二人は知っているのだ・・・と妄想できるわけである。

妄想ついでに言えば・・・沢村家に母親はいつも家に不在である。一体、何をしているのだろう。単にキャスティングされていないだけなのか。そして・・・次男の入試の際に父親が働いた不正が・・・長男の性格をどのように歪ませたのだろう。「お前は末っ子だから・・・何も知らない」という長男の抱える苦悶。その正体を早く教えてもらいたい。そしてどうやら不正抜きで入学した長男をなぜ・・・父親は冷淡に扱うのか・・・そこも興味深い。単なる気分的な差別なのかもしれないが・・・。とにかく・・・三男は末恐ろしいクズに育っているわけで・・・そうしてしまった責任は明らかに父親の溺愛にあるようなのである。第一に入試に付き添っていた父親は・・・仕事休んで何やってんだ。それとも無職なのか。一高卒業生ブランドで資産家の名家に入り婿しているんだったりして・・・。

そして・・・五年前の事件は・・・高校生だった田辺光一が調べ始めた後で・・・物凄い展開をした模様である。なにしろ・・・光一は引き籠りになり・・・母親は家出をして・・・父親はどうなったのかもわからない。つまり・・・田辺家は崩壊してしまったのだ。

だからこそ・・・田辺淳一は中学生的に・・・「復讐」を始めたのだろう。

【高校入試をぶっつぶす★10】

1:名無しの権兵衛

英語の答案用紙、55番が二枚あるんですってよ、奥さま。

2:名無しの権兵衛

>>1

まあ、面白いわね・・金の答案用紙と銀の答案用紙と本物答案用紙みたいなことになるのかしら。

職員室では疑心暗鬼が広がり、松島と水野がバトル。それは坂本とみどりの頂上決戦に。杏子が相田を愛している説まで浮上してなんくるないさ~のモテ期の極みである。しかし、みどりは相田と交際宣言である。っていうかリゾートホテルでやりまくり宣言なのだ~。みどり最高ーーーっ。

結局、水野提案で・・・教師たちの携帯電話が集められるが・・・二台あったらはい、それまでよなのだ。

さて・・・杏子の携帯を拾った村井ははたして本当に・・・中身をみなかったのでしょうか。

55:名無しの権兵衛

みるだろ。

56:名無しの権兵衛

みるよね。

そして・・・ついに新しく結成された水野・村井コンビによって石川確保である。

60:名無しの権兵衛

ばれちゃった

61:名無しの権兵衛

石川をあやつっていたのは誰かな?

62:名無しの権兵衛

あやつり人形なの?

63:名無しの権兵衛

ラジコンにのっちゃうの?

64:名無しの権兵衛

よ、木南、きなみ~。

石川と杏子は一瞬、二人だけの時間を過ごす。それから相田を召喚する。

その頃・・・麻美(美山加恋)は悲しみの淵に沈んでいた。

麻美は思い出す。

「ミルククレープおいしかったね」

「ジェラードも食べてみたくなくない」

「しぼりたてミルクだよね」

「・・・昨日、みんなでどこかに行ったの?」

「・・・本屋だよ」

「そうそう、参考書買いにね」

「・・・私も行きたかったな・・・」

「・・・だって麻美は一高受けるんでしょう」

そうか・・・一高受けるからハブなのか。

「こっちだって気を使ってんだから」

「こういうのがホントの友情じゃん」

「・・・ありがとう」

そうか・・・それが友情なのか。

***みさき***

試験中にケータイ鳴ったんだって?

大丈夫? 心配だよ~

***あさみ***

ありがとう

でも大丈夫

***みさき***

よかったね

***あさみ***

試験監督にケータイ出さなきゃ

失格だなんて聞いてませーんって言ってやったんだ

***みさき***

すごーい 麻美

ところで親は付き添いに来なかったの?

***あさみ***

来てたけどぜんっぜん役に立たなかったよ

***みさき***

麻美はあたしたちの自慢の友だちだよ

***あさみ***

ホントはネットでメチャクチャ叩かれてるから一高へ行くのが怖いんだ

***みさき***

できなかった子がやっかんでるだけじゃん

別々の学校になってもあたしたちは友だちだよ

困ったことがあったらいつでもメールしてよね

***あさみ***

あたしがんばって 一高 行くね!

***みさき***

がんばれ!

友達・・・本当の友達・・・私には友達がいる・・・私は一人じゃない。

97:名無しのあさみ

試験中にケータイ鳴らしちゃってゴメンね~

98:名無しの権兵衛

なりすましのあさみきたーーーーっヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ

99:名無しのあさみ

学校に圧力かけたから絶対合格

100:名無しの権兵衛

ハブ確定だな・・・ハブられて人生もうだめぽ

101:名無しの権兵衛

このスレは100を越えたので書き込めません。

新しいスレをたててください。

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2012年12月13日 (木)

燃やさないでどんなに叫んでもオレンジの炎静かに揺れるだけ(松山ケンイチ)

20世紀に生まれた多くの人が薩長による皇国史観の影響を受けている。

戦後、民主主義や西洋的合理主義がその流れを幾分変えたが、一度染められた思想というものはなかなかに根深いものだ。

日本史を彩る英雄たちの多くが賊軍の名のもとに歴史的迫害を受けていることは間違いない。

その最大の例が平清盛であることは疑いようのないことだ。

そもそも、鎌倉幕府の台頭により、その敵であった平清盛は充分に極悪非道に脚色されているのである。

それが・・・さらに武士という軍事独裁政権の指導者を善悪で色分けすることにより、悪玉としての色彩を強めて行くのである。

結果として・・・清盛の孫である安徳天皇を溺死に追い込み、源平合戦を終息させ、結局、兄・頼朝に粛清された源義経がこの時代の英雄ナンバーワンとなるのである。

一方で、勝てば官軍、一方で天皇の敵の敵ということで・・・義経が人気を博するのだった。

そのために・・・平清盛の偉大さを正面から地道に描くと・・・そんな清盛は知らないということになるのである。

そもそも・・・日本史の一つの分水嶺である平安京時代の終焉について歴史教育が不足しすぎなのである。

キッドは今の日本があるのは平清盛が実力主義・合理主義・貨幣経済を導入したからだと小学一年生に教えるべきだと思う。

それこそが脱・ゆとり教育というものだ。

平清盛をあがめよ・・・なのである。

まあ、大河史上に残る大傑作に対し、あまりに低視聴率なのが残念無念なんですけど。

ちなみにキッドの父方は平氏(坂東平氏)、母方は藤原(伊藤)氏である・・・結局、身内贔屓かよっ。

で、『・第48回』(NHK総合20121209PM8~)脚本・藤本有紀、演出・中野亮平を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は最終回直前の見果てぬ夢に溺れる平清盛描き下ろしイラスト大公開。欲にまみれ鬼気迫る清盛公の迫力満点でお得でございます。病中にあってなおこの画力・・・敬服つかまつる。次回は「最後の清盛」が大公開予定・・・今から楽しみでございますよ・・・だから私信はコメント欄でやれと何度言ったら・・・。

Tairakiyomori46平清盛は治承五年閏二月(1181年3月)に享年64でこの世を去る。その前年末、永年の夢であった新都・福原京で安徳天皇による新嘗祭を終えると各地での源氏の蜂起に対応するために平安京に還都する。構想十年、実現わずか半年の遷都の終了である。富士川の合戦の平氏方の敗走により、信濃、美濃、尾張と源氏のドミノ倒しのような蜂起が発生し、その火の手は山城国に接する近江にまで迫っていたのである。近江国では近江源氏の流れを組む山本冠者義経、柏木甲賀入道の兄弟が旗揚げしていた。十一月には平家の本拠地とも言える伊勢国へのルートを封鎖しており、平家筆頭家人とも言える伊藤忠清の兄である伊藤景家の軍勢が移動中に襲撃され、多くの武者が討ち死にしている。この事件と清盛の京への帰還はほとんど同時である。六波羅に戻った清盛が最初に命じたのは近江源氏の鎮圧であった。山本義経軍は水軍によって琵琶湖の水運ルートも遮断し、これによって平安京は北陸からの補給路を断たれることになる。さらに近江源氏軍は前進を重ね、近江国山城国の国境地帯であり、後白河院所縁の地である園城寺まで占領した。すでに平安京は最前線に晒されていたのである。清盛は四男の平知盛を大将軍とする追討軍を十二月に発した。知盛は清盛の武将としての才能を最も濃く受け継いだとされる名将である。知盛の丹波勢、重盛の遺児・資盛の越前勢、伊藤忠清の子、佐衛門尉忠綱、信濃守景清、平貞能の兄・平家継らの軍勢を率いて、園城寺を放火炎上させると近江源氏軍を西に追いやった。退却した近江源氏は土岐光長らの美濃源氏と合流すると再び西へ向かう。六波羅付近では摂津多田源氏の一族が謀反して近江勢を手引きし夜襲が敢行されるが清盛本陣はこれを撃退した。再び国境線に展開する近江源氏・美濃源氏の連合軍三千騎に対し、二千騎の知盛軍は窮地に陥るが清盛の八男淡路守清房が援軍を率いて到着、劣勢を覆し、連合軍に壊滅的打撃を与える。山本義経は根拠地山本山城に籠城するが十二月中旬に追討軍の猛攻を受けて敗走。土岐光長らと美濃国へと撤退する。追討軍は美濃に攻め込むが大和国南都で僧兵が蜂起したために軍を治める。南都の僧兵は平家方の武将で鳥羽天皇の落胤とされる妹尾太郎の軍兵を虐殺したのだった。十二月下旬、清盛は五男の平蔵人重衡を大将軍、清盛の弟教盛の嫡男・平中宮亮通盛を副将とする南都鎮撫軍を大和国に侵攻させる。南都の僧兵は各寺に立て籠り徹底抗戦の姿勢を示したが重衡は焼き打ちを敢行。大仏殿を始め各寺を全焼させ南都大衆を殲滅したのである。平家は再び武威を示し、仏罰を恐れる一部の貴族たちは恐怖した。

清盛は安徳帝とともに平安京に戻った。

そもそも・・・動乱の幕開けとなった以仁王の偽書の流出には忍びの力が働いている。その背後には誰がいるのだろうか。

清盛は平家忍びの棟梁とも言うべき朱雀を六波羅の奥の殿に呼び出した。

「後白河院であろうか・・・」

清盛の問いに朱雀は答える。

「法皇様は入道様に鼻を折られて以来、大人しくしておられます・・・また・・・八条院の陰陽師忍びはほとんどを殲滅いたしました・・・」

「では・・・誰か・・・」

「我が兄の追放に伴って関東に放った風馬の最後の報告によれば・・・関東各地には妖気が散在しているとのこと・・・」

「四方に散ったという・・・玉藻前の霊気か・・・」

「それらは各地で豪族たちに憑依し・・・心を燃やすそうです」

「心をな・・・」

「欲望に火をつけ・・・野心を抱かせ・・・恐れを忘れさせるのです」

「つまり・・・日の本が・・・もののけだらけになったということか・・・」

「風馬のつなぎ(連絡)が途絶えたことから・・・おそらく各地の平家忍びも皆、もののけの虜となったのでございましょう」

清盛は微笑んだ。

「面白いのう・・・」

「・・・」

「われら武士は・・・もののふ・・・つまりもののけの心をもった人ということだ・・・信西入道は死罪を復活させた・・・それは朝廷が臣に死を賜るという古来の法の復活に過ぎぬ。われら武士は殺生を戒める御仏の教えに帰依しながら・・・殺生を繰り返してきた。朝廷にとってまつろわぬ民は民ではなく・・・賊に過ぎぬからの・・・そうして・・・愚かな公家たちは安逸をむさぼり・・・歌だの舞だのにうつつを抜かしてきたのだ・・・我が父上も・・・我が祖父も皆・・・その矛盾・・・その偽りの法に従って殺戮を重ねて行った。生あるものを殺めて病まぬ心があろうか・・・のう・・・朱雀」

「・・・」

「そういう世を変えたいと願えば・・・己が変わらねばならぬ。そういう世を覆すために強くならねばならぬ・・・そして、わしは叔父を殺し、友を殺し、ついには帝を孫とする立場までのぼりつめた・・・その結果がこれじゃ・・・」

「あらゆるものが・・・わしを殺しにかかっておるようじゃ・・・」

「それが仏の教えというものでございましょう」

「ふむ・・・」

「因果応報でございます」

「ふふふ・・・さようじゃのう・・・こうなるようにしてきたからこうなっただけのことよな」

「・・・」

「入道様・・・いえ・・・伯父上様・・・我らしのびは・・・それをはじめに教えられるのではございませんか」

「そうじゃ・・・色即是空だからの・・・世の中を変えたと思うほど何一つ変わってはおらぬのかもしれぬ・・・」

「しかし・・・源氏と平氏が切磋琢磨し・・・きっとこの世を動かしましょう・・・皆が望む世を・・・作り上げるのです」

「それが修羅の世であってもか・・・」

「それを皆が望むのであれば・・・」

「玉藻前はこの国の外からやってきた災いであった・・・しかし・・・人はやがてそれに馴染み、それと共に生きるようになる・・・外からやってくるものを拒むわけにはいかぬ・・・しかし・・・かってこの国の民草が王家に支配されたように・・・さらなる災いが訪れるかもしれぬ・・・統子様が・・・かって申しておられた・・・強くなければ生きて行くことも叶わぬ世が来る・・・そのために民を強くするのがわが定めとな・・・」

「入道様が妖狐を滅ぼしたのも・・・それによって散じた妖気が再び災いを招くのも・・・すべては定めでございましょう」

「ふふふ・・・なかなか・・・くのいちの境地にはいたれぬのう・・・わしは男の子じゃからの」

「ほほほ」

「わしの宿命の終りも近い・・・最後にこの清盛の戦を・・・この世に示すのも一興じゃ・・・歌や舞などよりもわしの血は戦にむいておるのじゃから・・・」

清盛の血は火を招く超人の血である。

「知盛・・・重衡・・・戦上手な我が子らは皆、よき火炎魔神だわ・・・命ある限り、燃やしつくしてみるがよい」

「入道様あるかぎり・・・平家に敗北はございませぬからな」

「そうじゃ・・・源氏の小童どもに戦の恐ろしさをとくと教えてやらねばのう・・・」

清盛の命の炎は今、燃え尽きようとしていた。

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2012年12月12日 (水)

ハードルの低い女(木村文乃)VS仄暗い森の奥から(菅野莉央)

恋する女、恋して失敗する女、恋に溺れる女、恋してはいけない女・・・木村文乃の・・・この路線はいつまで続くのだろうか。

「だんだん」で舞子、「夏の恋は虹色に輝く」で二世女優、「蜜の味」で不倫中国人女医、「梅ちゃん先生」でやたらと男の影がある女、「浪花少年団」でヒロインの見合い相手に横恋慕する女、「黒の女教師」でダメダメな女教師・・・そして・・・ここである。ものすごく上品な顔立ちで・・・お嬢様役にはうってつけだが・・・必ず汚れ役である。

つまり・・・事務所が小さかったのだな。もはや25才で、ちょっと発掘されるのが遅すぎなんじゃないか。

一方、菅野莉央は子役あがりである。

何と言っても、20世紀末から続いたホラーブームの終焉を飾る映画「仄暗い水の底から」(2002年)で黒木瞳の娘・郁子役。水川あさみの幼少期である。そして、名作映画「ジョゼと虎と魚たち」(2003年)で主人公・ジョゼ(池脇千鶴)の幼少期を演ずる。ちなみに「ジョゼ」には新井浩文や江口のりこや中村靖日も出演している。この二本だけで永遠に残る子役と言える。

まもなく十代の終りであるが、貴重な脇役として、「オトメン」とか「任侠ヘルパー」とか数々のドラマに花を添えている。

今回の役柄も・・・名目上のヒロインである山口智子の心を映す鏡として重要な役柄なのだが充分に機能していると言えるだろう。

どちらの花もいつでも散ってしまいそうな花だが・・・末長く咲き誇ってもらいたいものだ。

で、『遅咲きのひまわり~ボクの人生、リニューアル~・第8回』(フジテレビ20121211PM9~)脚本・橋部敦子、演出・石川淳一を見た。高知市の人口はおよそ34万人である。人口3万5千人ほどの四万十市と比べれば一目瞭然の大都市である。東京都足立区の人口がおよそ68万人なのでその半分くらいの人が住んでいるわけである。ドラマの中で「東京」はよく口にされるが東京23区の一つの区でも高知市の倍の人が住んでいるのである。そういうものを実感しないまま・・・田舎で暮らしていくというのは・・・まあ、恐ろしいことだと思う。

で、人の多さになれるには・・・いきなり東京ではなくて神戸市くらいで手を打つといいと思う。神戸市は人口およそ154万人。100万人を越える大都市としては手頃なのではないか。それから大阪市に移っておよそ人口267万人。それから東京特別区人口およそ900万人にチャレンジすると体も順応するのではないかと思う・・・何のためにだよっ。

とにかく・・・高知市に行くのにも恐怖を感じる四万十市地域おこし協力隊隊長・藤井順一(桐谷健太)なのだが・・・どうやら勇気を出して電車に乗ったらしい。

と、同時に市会議員の娘の今井春菜(木村文乃)も四万十市から姿を消し・・・人々は「まさか駆け落ち」と噂するのだった。

順一と不倫寸前だった島田さより(国仲涼子)は「まさか、それはないと思う」と断言。

妹の二階堂かほり(真木よう子)は思わず怪訝な顔になる。

春菜と高知市在住の妻子ある大学講師・松浦徹(岡田浩暉)との出張不倫現場を目撃した看護師・森下彩花(香椎由宇)は「春菜は別の人と交際していたと思う」と言葉を濁して報告する。

かねてから春菜にアタックされていた三年契約の四万十市役所臨時職員の小平丈太郎(生田斗真)は驚愕するのだった。

「でも・・・順一は家のことで悩んでいて・・・そのことを分かってやれなかった俺が悪いのかも・・・」と丈太郎は悔やむのだった。

「いや・・・どう考えても、そりゃ、あんたの責任じゃないでしょ」と丈太郎を慰めるかほりだった。

順一の逃亡先の手掛かりを求めて順一の父で天神橋商店街の「ふじい金物店」主人・藤井利男(嶋田久作)を訪ねる順一。

「帝都にまではいかないと思う・・・中学生の時に家出して・・・切符は買ったのに高知市に行くことも出来ずに帰ってくるほどの根性なしだから・・・」

「じゃあ・・・もう、大人なんで高知市には行ったかもしれませんね」

「・・・」

噂を聞き付けて春菜の父・今井貞夫(大石吾朗)がふじい金物店に乗り込んでくる。

「うちの娘とかけおちしたんですか」

「いや・・・うちの息子はバカですけど他人様を巻き込むようなことはしないと思います」

「・・・」

とにかく・・・高知市に行ってみようと決心する丈太郎だった。

その頃・・・市民病院には四番ピッチャー松本弘樹(柄本佑)の父親(日野陽仁)が急患として運ばれてくるのだった。

藤井家、今井家、松本家と若者たちの親も苦難の日々を送っている。

「死んだ方がよかったな」という父親に「じゃ、救急車なんて呼ぶな」と応じる松本弘樹を「そんなこと言ったらもしもの時に悔むことになるよ」と叱る(平手打ちを含む)ナース森下だった。

高知市にやってきた丈太郎である。土地勘がない上に相手は高知県最大の都市なのだ・・・そんなに簡単に見つかったらリアリティーがないので二人を発見できないのである。

その頃・・・懲りずにまたもや妻子ある男の家を急襲しようとした春菜はクリスマス・ムード一色で仲睦まじい愛人一家を見ると気持ちがくじけて退散、高知駅周辺を彷徨っていたのだった。

そんな春菜に目を付けた標準語ペラペラの高知のチンピラ二人組である。

「おねーさん、どうしたの、おれらーとカラオケ行かんかー」

「先輩、無理ですよ、こんなきれーなおねーさん」

「コージ、だまっとかんかー」

「いく、いくー」

「おーっ、いいのりやね」

はっきり言おう。春菜はお酒が入ると下半身ゆるゆるなのである。

たちまち意気投合する春菜と高知市の若者・ハジメ(仮名)とコージ(仮名)だった。

一軒目でかなり酔った春菜は「もうウチをメチャクチャにして~」モードである。

「先輩~」

「くくく・・・わろうちゃいかんけど・・・やれるって・・・コージ・・・これはやれるって~」

「ううう・・・元気がでるちゃーーーー」

妄想ゲストの下半身のボルテージは高まりまくり、高知市の夜は熱く燃えるのだったが・・・。

そこへ・・・四万十出身者としての流れで遭遇してしまう順一だった。

順一は街頭でローカル・ソング「新々なかむら音頭」を絶唱中である。

雨の四万十川いかだで下りゃ

唄もヨサコイ晩に来い

水に流した夢まくら  ソレ

故里よいとこ中村よい町城下町

順一・・・ふるさと愛しすぎである。たちまち酔いがさめてガードが固くなる春菜だった。

「そりゃ、ないぜよ~」

「ジュンちゃんに言いつけちゃる~」

やる気満々だった妄想ゲスト出演の二人を残し逃走する順一と春菜だった。

地域おこし課課長の日下哲也(松重豊)から連絡を受け、ようやく二人と合流する丈太郎だった。

「なんで・・・黙って家出なんか・・・」

「お前は関係ないだろう・・・」

「関係ないことないだろう」

「どうせ・・・おれらーのこと田舎ものだと馬鹿にしてるくせに」

「そんなことないよ・・・」

「だけどいざとなったら栃木の実家に帰るんだろ・・・」

「帰る実家なんてないよ・・・弟が跡をついでるし・・・俺だっていくあてなんてないよ」

「え・・・そうなの」

「だけど・・・自由じゃないですか」

男二人に割って入る春菜だった。

「私なんか・・・親のいいなりで・・・頑張って不倫したけど・・・弄ばれただけで」

「えーっ」

この後、春菜の赤裸々な告白を聞く二人。

二人の脳裏には「処女じゃなかったのかよーーー」という言葉がうつろに響くのだった。

これは辛抱たまりません。

もう春菜はしょうがない娘なんだな~。

その頃、松本の父親は容態が急変、気道閉そくで絶命のピンチに陥っていた。

「院長を呼んでください」というかほりに厳しい眼差しを送るナース青山(田口淳之介)は院長からの指示が切開による気道解放であることを告げる。

「私、やったことありませんから」

「ドクターXですかっ」

「私が介助しますから」とナース森下が決意を促す。

覚悟を決めた「はじめての気道確保のための気管切開」に挑むのだった。

一方、高知市の三人は恐ろしい偶然で新しいお相手と浮気中の松浦と遭遇。

虚栄心のために丈太郎を婚約者だと告げる春菜に松浦はねっとりとからんでくる。

「君はラッセルは好きかい」

「バートランド・ラッセルは数学者であって文学者じゃないでしょう」

「・・・」

「生涯に四度結婚しているけどそれなりに筋の通った人だと思いますよ・・・下半身無節操のあんたより」

「なにをっ」

「しぇからしか~(九州地方の方言・問答無用の意)」

割り込んで松浦をぶっとばす順一だった。

二人を四万十市に連れ帰り、ホッと一息の丈太郎。

救命処置を成功させたかほりが待ち伏せていた。

昼間から祝杯をあげる二人。夜勤明けのかほりはそのまま眠り込み・・・二人の間に新たなる空気が流れ込むのだった。

ようやくかよっ。

で、『ゴーイング マイ ホーム第9回』(フジテレビ20121211PM10~)脚本・演出・是枝裕和を見た。坪井一家の味噌蔵探訪である。良多(阿部寛)、沙江(山口智子)、萌江(蒔田彩珠)は表面上はまったく見えないが危うい一家離散の危機を乗り越えてここに来たのである。萌江の心に疼く「死」への怯え。沙江の心にあいた「不信」と言う名の空洞。そして良多の持つ「未知」への憧憬。それらが・・・「クーナ」という共同幻想によって埋められたのである。今、三人は目に見えない「絆」を感じつつ「味噌」を味見するのだった。

「マヨネーズ以外にもおいしいものがあるのよ」

「そんなの知ってるさ」

「本当かしら」

「うふふ」

仲睦まじい家族だった。

味噌を勧めたのは夫(加瀬亮)に捨てられた菜穂(宮﨑あおい)だった。

捨てられた女が壊れかけた家族を知らず知らずのうちに修復したのである。

人間はこうして繋がっている。

「味噌の風味はその土地土地の様々な細菌によって醸し出されるんですよ」

味噌蔵の主の言葉が沙江の心に沁みるのである。

沙江は思わずアシスタントの潤(菅野莉央)を東京から呼び寄せる。

「思うところがあってね・・・」

「出番があって嬉しいです」

「・・・私、一人で料理を作ってたと思いこんでた・・・でも、違うのよね・・・お母さんとか、娘とか、あなたとか・・・いろいろな人がいて・・・私の料理になってるんだなあって」

「・・・ふふふ、私、細菌あつかいですか」

「なのよね~」

総合芸術の基本の境地である。

良多の夢は続いていく。

「クーナは目に見えないものを握ってるのかな」

「そうだよ・・・悲しみとか・・・憎しみとか・・・いろいろとこわいものをね。目に見えないものが素晴らしいものとは限らない」と告げる夢の中のクーナ(阿部サダヲ)である。

「そうか・・・」

「人間は・・・もっと畏れるべきなのさ・・・目に見えないものを・・・」

クーナの可愛い悪意に微笑む良多だった。

萌江は慈しんだクーナの人形をそっと返す。

そこにやってきた栄輔(夏八木勲)の幼なじみで菜穂の父親である治(西田敏行)である。

「おじいちゃん(栄輔)はもうすぐ死んじゃうの」

「誰が言ったの?」

「おじいちゃん・・・」

「そうか・・・でも人はみんないつか死ぬんだから・・・そんなに悲しいことじゃないんだよ」

「・・・」

「でも・・・早すぎると・・・悲しいかもしれない」

萌江がクラスメートの死に心を痛めているのを知ってか知らぬか不明ながら・・・治と萌江の心は通じ合う。

妻に先立たれ、今、親友にも先立たれようとしている治。

クラスメートを失い、今、祖父を失おうとしている萌江。

二人の心はひとつだった。

クーナの帽子が獣皮であると考えた良多は「本物かもしれない」と菜穂に告げにやってくる。

しかし、結局それを口にすることはないのだった。

帰ってきたクーナの人形を挟んで栞作りをする二人。

最高にエロティックな場面である。見えないけど見える人には見えるのである。

そして・・・クーナ捜しのイベントが始った。

人々はそれぞれの工夫でクーナを捕獲しようと森の中に踏み込んでいく。

自称クーナ研究家の錦織(古舘寛治)の罠は本格的で・・・。

「それじゃ・・・死んじゃうでしょう」

「生け捕りじゃないと駄目なのか」

「駄目でしょう」と一同に顰蹙を買うのだった。

しかし「やつらは仮住まいだから捕獲するのが難しいんだ。土地に遠慮しているからね。やつらを見習って人間ももっと遠慮するべきなんだよな」と語る錦織。

「はじめて良い事言った」と一同に褒められるのだった。

沙江の自慢のおにぎりで満足する参加者たち。

結局、クーナは見つからなかった。

秘境探索ものではお約束の場面がある。

固定された画面から、登場人物が画面外に歩き去る。

誰もいなくなった画面に怪しい影が動く・・・というものだ。

このドラマでは・・・そこには何も映らない。

なにしろ・・・相手は目に見えない存在だからである。

しかし・・・見える人には何かが見えるのだ。・・・病気なんじゃないかと心配される場合があるのでご注意ください。

森の中から戻ろうとした坪井一家と治、そして菜穂と息子の大地(大西利空)は道に迷ってしまう。

迷いの森の道なき道が開かれたのである。

「これは・・・」と記憶を頼りに治は森の奥に進む。渓流を渡るとそこはかって治たちがクーナを目撃した禁断の場所だった。

そこにはクーナの墓であるリンドウの花が群生していた。

「そうか・・・こんなにたくさん・・・死んじゃったのか・・・ごめん・・・ごめんな」

人間は強欲に増え続け、クーナは遠慮して減り続ける。

善悪を越えて哀愁が漂うのである。

良多の罠には・・・何かがかかるが・・・それは音はすれども姿は見えないものだった。

罠の下にはただ穴があいているだけだった。

「逃がしてあげて・・・」

「そうだね」

「捕まらなければ・・・また捜すことができるから」

「そうだね」

一同は森を後にする。

俗物である坪井敏子(吉行和子)と伊藤多希子(YOU)の母娘は東京で喪失する不安に耐えている。

多希子にお似合いの夫である健次(安田顕)はストーブを修理してゴルフバッグを入手した。できれば土地も欲しいらしい。

そして・・・栄輔は息子の作ったくだらないCMを見て微笑むと旅立ったのである。

この世とあの世をつなぐ目に見えない扉を開いて。

今際の言葉は「焼きそば」だった。

日本全国の老いた父や老いた母の年賀状作りを手伝い、リクエストに応えて焼きそばを作る・・・それほど若くない娘や息子に幸あれと祈る。

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2012年12月11日 (火)

バッティング・センターの接待1500円(クーポン使用)、ミラクルなトライアングルの座り心地PRICELESS(木村拓哉)

「彼女の気持ち」は・・・あえて、スパイとなって古巣に戻ったまであったのですが・・・。

なにしろ・・・なぜこんなことになったのか・・・絶対に追及するって言ってましたから。

それから単純に安定した仕事を求めているもう一人の自分もいるという展開。

しかし、単にもやもやっとした恋心でした~。

さすがだ。さすがは月9だよね~。

まあ・・・恋愛嫌いの皆さま対策として「仕事に対するやりがい」・・・とモアイは断じていましたが・・・断じて違います~。

「金田一二三男?いるわけないだろ、そんなやつ!?」というドラマになっている以上、そんな夢のような男がいたら、やはり女の子はメロメロなのですな。そしてメロメロにした以上、そんな夢のような男がメロメロになる・・・王道です。王道の月9です。

「まあ・・・このドラマに恋愛要素はいらない」などという人は「恋愛」なんて「空気」のようなものだと思っていない人なのかもしれません。

そもそも・・・このドラマの基本である・・・ライバル関係の異母兄弟。あの父親が二人の女性とただならぬ関係を持っているからこそ成立しているのですな。

キッドは今回の決着は・・・かなり途中経過だと思いますぞ。金田一は大屋敷よりも父親に似ているのですからな。

本妻が二階堂だとしても・・・愛人が広瀬になる可能性は大だと思いますぞ。なにしろ、大屋敷が金田一の存在を知らないくらいに金田一の母は身をひいて・・・なおかつ金田一産んじゃってるわけですから~。

まあ、あるわけないだろ、そんな月9でございますけど~。

で、『PRICELE$S?あるわけねぇだろ、んなもん!?・第8回』(フジテレビ20121210PM9~)脚本・古家和尚、演出・金井紘を見た。いきなり、二人の子役の出番確保のためかのように・・・社長ごっこである。同時に・・・金田一(木村拓哉)は年齢設定38才なので・・・こんな二人の父親であってもおかしくない年頃であることを暗示している。それなのに独身でこんなちゃらんぽらんな生き方をしていても動じない・・・ちょっと変な男であることも示しているのである。まあ、この年頃で子供のいない男の多くは・・・あんな子供がいたら可愛いだろうなあと思ってもらいたいよね~。少子化対策としてっ。

しかし・・・多くのそういう男たちが望んでそうなっているわけではないことは充分に妄想できる。

今はまだ男女雇用機会均等法の時代の過渡期なのである。結局、会社員がベースの国家としては・・・両親が会社員という家庭の在り方をずっと模索しているのだな。そして、親がそうであったものと・・・母親だけが専業主婦だけの家庭で育ったもののひずみが生じているのである。男性はそういう母親を女性に求めるし、女性は母親のようになりたい気持ちもある。しかし・・・結局は男女雇用機会均等法に沿った家庭を構築していくしかないのである。もちろん・・・二階堂(香里奈)はそのどちらでもない。二階堂は家庭の味を知らないのである。だからこそ・・・幻想の専業主婦や、幻想の共稼ぎに憧れるのである。しかし、農家の嫁ならば夫と田畑に出るのは当たり前だったりする。二階堂は単なる会社員と・・・パートナーと会社を経営する家庭人の間で悩むのである。

しかし・・・より大きな幸せを夢見て・・・彼女は選択するのだな。

それと・・・「恋」のテイストがたまたま一致する。

このドラマが「ベタなコメディー」のように見えてなかなか奥深いものであることを指摘しておきたい。

金田一の恋人である広瀬遙子(蓮佛美沙子)に「一緒に働いて一緒に暮らして彼を好きにならないなんてありえない」と断言されて・・・ショックを受けた二階堂だった。

なにしろ・・・生身の男より戦国武将の好きな女なのである。

金田一に抱かれる自分が想像できないのだ。

しかし・・・二人で一つの布団にくるまったあの時の胸の高まりが「抱いてほしい」ってことなのかと思いあたった二階堂は恥ずかしさのあまり・・・家を出るのだった。

面倒くさい女だとお思いでしょうが・・・人間なんてみんなこんなものですから~。

いわゆるひとつの「私、コレ(男)で会社をやめました」状態です。いつの時代のフレーズだよ。第一、アレは(女)だろう。思えば・・・禁煙時代の幕開けだったな。ソレとコレはどこかでつながってるよな。(上)の考えることだからな。

仲良しトリオの一角を失ったことにまったく気がつかない金田一だったが・・・モアイ(中井貴一)はなんとなく察しているのである。

だが・・・モアイは迷っていた。

このまま・・・ややこしい三角関係を続けるよりは・・・金田一を独占したいという思いがあったのだ・・・ないと思うぞ。

二階堂の人生に踏み込むことへの躊躇があったのである。

ともかく・・・そういう二人をなんとなく・・・妖怪とか魔女の類である大家の一厘(夏木マリ)は危ぶむ。

「ボヤボヤしてるとあの子は誰かのいい子になっちゃうよ」なのである。・・・それはリンダだろう。

「獣のように抱いて裸のあの子に火をつけてやればいいのさ」なのである。・・・そんなこと言ってないぞ~。

しかし・・・「ハピネス魔法瓶」には恐ろしい経営危機が訪れる。

ミラクル製作所の辻所長(志賀廣太郎)から・・・「真空炉が・・・再起不能な感じにぶっ壊れた」というのであった。ミラクル魔法瓶製造のための心臓部にあたる機械の故障で生産ラインがストップしてしまったのである。

「どうすれば・・・」

「設備投資に最低でも三千万円必要だ・・・」

「さ、三千万円・・・モアイさん・・・」

「あるわけないだろう・・・そんな金」

ない場合はあるところに行くしかない金田一。

広瀬ファンドの社長の広瀬遼一(草刈正雄)を訪ねるのである。しかし・・・草野球のユニフォームを来て・・・「三千万円貸してください」と言われて貸し出すほど広瀬は甘くないのだった。

「やっぱ・・・無理っすよね」

「いや・・・耳よりな話があるよ・・・『SEインダストリー』というベトナムの大企業が・・・君たちの魔法瓶に興味を持っていてね・・・今、ちょうど日本の企業との業務提携を模索しているんだが・・・実は窓口はうちがなってるんだ・・・で・・・各企業の参加するパーテイーを予定しているんだが・・・君たちも参加してみないか・・・もしも資産総額四兆円超の『SEインダストリー』と業務提携ができたら・・・三千万円なんてすぐに融資できるよ」

微笑む広瀬社長だった。

「モアイさん・・・超チャンスですかね」

「そうなったら超ラッキーだよ、金田一」

藁をも掴む思いの二人である。なにしろ、超自転車操業のハピネス魔法瓶なのである。一日生産がとまれば超在庫不足で超損失なのだ。

その頃・・・二階堂は街を彷徨っていた。おそらく、裏工作のプロ・財前(イッセー尾形)が常時監視しているのだろう。早速、触手伸ばすMiracle Electronicsの大屋敷社長(藤木直人)である。

「おれんとここないかっ」

「いくかっ」

一度は断る二階堂だった。

しかし・・・恋にやつれて家出しただけなので行くあてはないのだった。

その頃・・・ようやく二階堂の不在に不安を感じる社長と平。

「どうするんだ・・・彼女がいないと事務所の備品も買えないぞ・・・」

「きっと・・・すぐに帰ってきますよ」

しかし、3号室の富沢萌 (小嶋陽菜)は二階堂とは魂の姉妹なので・・・「その人が変なことをしたんじゃ・・・」とモアイを指差すのだった。

妙にうろたえるモアイだった。

きっと・・・眠っている二階堂によからぬことを二、三回してしまったのでは・・・と推定。

金田一は二階堂の帰還を信じていたがやってきたのは・・・広瀬(娘)だった。

「広瀬ファンドがお世話するSEインダストリーと日本企業のレセプション・パーティー(お見合いの宴)ですけど・・・ハピネス魔法瓶の担当・・・私になりました」

「高校入試」の相田先生にもっとも近い気分になる金田一だった。

しかし・・・「恋愛」と「仕事」を切り離して考えることができる・・・というかいい加減な金田一はすぐに金田一・モアイ・広瀬(娘)体制に順応するのだった。

寄り道して人気のホットドッグ店に試食に誘ったりもするのである。

その列には漫画喫茶で一夜を過ごし腹のへった野良犬・二階堂も並んでいたのだった。

二人に気がついた二階堂は頭に血が昇ってしまうのだった。

なにしろ・・・ハートに火がついているのである。

「私・・・今度、ハピネスの仕事を手伝うことになりました」・・・つい意地悪をしてしまう広瀬(娘)である。

しかし・・・金田一としては二階堂も掛け替えのない仲間である。

逃げ出す二階堂を捕まえるのだった。

「どういうことだよ・・・連絡もしないで・・・」

「そんな義務ないですから」

お茶の間・・・えーっ、あんた、一応、や、役員だろう。

しかし、恋する乙女にはそんな理屈は通じません。

「やめる気なのか」

「もともと・・・もっと安定した仕事をしたいって言ってるでしょう」

「じゃ・・・それまででいいから・・・」

お茶の間・・・いや・・・金田一、そこは君がいなくちゃにっちもさっちもブルドッグで・・・。

「もう・・・仕事決まってるんです」

もう・・・やぶれかぶれだよな。恋する乙女には原子力発電所とかまかせちゃだめだよね。

まあ、まかせないと思うぞ。

「そうか・・・おめでとう」・・・金田一、こらえたというか、売り言葉に買い言葉だな。

この痴話喧嘩は後に広瀬(社長令嬢)に重くのしかかってきます。

そして・・・二階堂は大屋敷社長のアシスタントに再就職である。大屋敷としては弟の玩具を取り上げていい気分なのだった。

やはり・・・この異母兄弟、本質的には似ているのだ。

そして・・・レセプションで激突である。

金田一、モアイ、広瀬VS大屋敷、財前、二階堂なのだった。

金田一はごちそうを前に恩人兄弟を思い出すが・・・二階堂は金田一と一緒に受けた屈辱を思い出すのだった。

そして・・・二人はやけ食いをするのだった・・・しないぞ。

金田一はSEインダストリーの代表者シン(川平慈英)と出会い・・・頬についたケチャップをぬぐうのだった。

金田一的には「むむ・・・好感触」だったらしい。

ここからはことあるごとにモアイとこそこそ話す金田一。

相手には失礼この上ない振る舞いだが・・・それがどうやら「可愛く見える」らしい。

なにしろ・・・天から恵まれたPちゃん的愛らしさを発散する男・・・それが金田一だからだ。

そんな金田一に「商品の性能」や「商品の価格」よりも「営業努力と言う名の接待」と言う名の人間関係構築が肝要だと・・・諭すモアイ。まあ、その道のプロだからである。

「接待とは・・・」と金田一が教えを乞えば「思いやり」と応えるモアイだった。

金田一は閃く。

「彼の手にはバットだこがありました」・・・相手のことを思いやってではなく・・・単に自分が野球好きだからである。シン氏の手のたこはゴルフだこだった。

バッティング・センターへゴーである。ちなみにベトナムは国際野球連盟の非加盟国である。ついでにアジアサッカー連盟には加盟している。ただし、シン氏は日本の留学経験があるから些少は野球について知っていると思われる。

しかし・・・シン氏は金田一の指導によって初体験でホームランをかっ飛ばすのだった。

これが「気持ちいいこと」かどうかは個人差があるが・・・シン氏は超気持ちよかったらしい。

一方、Miracle Electronicsは大屋敷のプランに基づき、二階堂が手配したゴルフで無難に接待をする。

「バッティング・センターでしごかれて肩がこりました」というシン氏に「温泉がありますよ」とそつなくフォローする財前。

しかし、シン氏は「そこにはバッティング・センターはありますか」と問う。

かなり、気に入ったらしい。

同行していた大屋敷側のスパイの榎本小太郎(藤ヶ谷太輔)と金田一側のスパイの疑いのある二階堂は顔を見合す。

「金田一さんですかね」

「超・金田一さんですよ」

一方、社長令嬢である広瀬(娘)は日本一の料亭の予約をするが・・・お嬢様育ちのうかつさで遠くにある本店を予約してしまうのだった。

「うわあ・・・どうしましょう・・・モアイさん」

「や、焼き肉かな・・・」

すると、シン氏が見かねて助け舟を出すのだった。

「私は料理には興味がないので・・・金田一さんが一番おいしいと思ったものを食べさせてください」

そこで・・・金田一は・・・ハビネス魔法瓶の原点である・・・焚きだしにシン氏を連れて行くのだった。

その日の焚きだしは豚汁うどんでした。

「会社を首になって帰る家もなくなってホームレスになった時・・・絶望から救ってくれたこの温もりが・・・私にとって最高のおいしいものでした」

やや・・・衛生問題を気にしたシン氏だったが・・・一口食べると・・・自分の苦労した少年時代が蘇る。

「私は昔、屋台のおばさんに・・・フォー(ベトナムうどん)をごちそうしてもらったことがありました。そのおいしさを思い出したました・・・これはウォンクワイ(美味しい)・・・とても美味いです」

超・超ラッキーなのだった。おっかなびっくり・・・うどんを食べていた広瀬(娘)は意外な成り行きに金田一の超能力を発見するのだった。

ただの遊び人ではない・・・広瀬(娘)は金田一の本質を見抜けなかった自分に自信を失うのである。

(私はこの人を幸せにできないかもしれない・・・だってこの人はすでに超・幸せな人だから)

社長令嬢としての微妙な屈折が広瀬(娘)を敗北感へと落ち込ませたのである。

そして・・・事務所に二階堂用のデスクが運び込まれた時に敗北は決定的になるのだった。

「彼」は広瀬(娘)ではなく・・・二階堂を待っている。

広瀬(娘)は確信したのだった。社長令嬢的常識として考えてそうなるのだった。

一方、大屋敷が政治家とのコネクションを活用して手配した超高級料亭でシン氏から焚きだしの話を聞いた二階堂。

「彼女」はシン氏の喜びに共感を感じてしまう。

「金田一さんは素晴らしい人だ」

「私もそれはよくわかっています」

二階堂はようやく・・・自分の恋心を素直に受け止める気持ちになったのだった。

シン氏という苦労人が・・・二階堂という苦労人に愛の七輪を与えたのだ。

火は上手に使えばとても便利なものだからである。

シン氏は日本での提携相手にハピネス魔法瓶を選択する。

・・・いや・・・家電は魔法瓶だけじゃないだろう・・・。

しかし、大屋敷は政治的圧力でその話をつぶすのだった。

それを知った二階堂は大屋敷に告げる。

「そんなのフェアじゃありません」

「私は反則はしてないよ・・・可能な限りの手をうった・・・経営者として当然のことだ」

「結果がよければそれでいいのかもしれませんが・・・金田一さんはプロセスも大切にする人です・・・社長と金田一さんの一番の違いはそこかもしれません・・・私はそんな金田一社長の下で働きたい・・・金田一さんが好きだから・・・短い間でしたが・・・お世話になりました」

「・・・」

(おまえは社長の器ではない)

父親の呪いの言葉が蘇る大屋敷社長だった。

広瀬社長はダンディーさんである。

箱入り娘を箱入りにしないように深窓の令嬢の窓は空けるに娘を慈しんでいる。

娘に好きな男ができればその男の人と成りを確かめた後でそっと背中を押す父親なのである。

しかし、そんな娘だからこそ・・・慎ましくも賢く育ってしまったのだった。

「彼の心には別の人が住んでるみたいなの・・・」

「じゃ・・・戦って勝ち取ればいい・・・」とは言わないのである。

深層心理では箱のふたも窓も閉めておきたいからである。

「そうか・・・それは辛いことだね」

SEインダストリーとの提携不調を報告に来た金田一と広瀬(娘)をあえて二人きりにする広瀬社長。

金田一は恋人関係の解消を口にしようとするが・・・広瀬(娘)はそれを制する。

「私・・・あなたをあなどっていたみたい・・・」

「・・・」

「だから・・・私、あなたとのお付き合いをやめにする・・・」

「・・・」

「だって・・・ふられるのは・・・社長令嬢には似合わないから・・・」

「・・・」

「さあ・・・おいきなさい・・・あなたが必要としている人のところへ・・・」

「・・・」

「さようなら、ふみくん」

「ありがとう、ようこちゃん」

まあ・・・清い交際の二人なので・・・あくまで社交辞令の応酬です。

今度は勝つ方にまわりたい・・・と心に誓う七瀬・・・いや、広瀬(娘)だった。

流れにのって、運命のパートナーであるヒロインを迎えに行く金田一。

「メシでも食べない?」

「どうせホットドッグでしょ」

「あのさ・・・温泉とか・・・混浴だった?」

「あるわけないでしょ、そんなこと」

金田一二階堂の復活である。

An008s
事務所の備品経費の無駄使いに激怒する二階堂だった。

「なんなんですかっ、この無駄の、す、巣窟は・・・」

「そ、それ・・・そ、そう・・・巣窟なんじゃ・・・」

しかし・・・自分の「席」には満足したようだ。その背後には「思いやり」が立っていたのだった。

しかし・・・三千万円の手当は未だついていないのだった。

だが・・・この三人が揃えばこわいものなしなのである。

なんてったって超・社長と、超・役員と、超・平社員のそろい踏みなんだから~

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An008
ごっこガーデン。会社発足記念撮影セット。アンナ普段着は絹の靴下よりも木綿の靴下が好きなのぴょん。新人監督の月9オマージュかしらね~。若いもんだってできますよ~みたいなぴょん。ふふふ・・・まさかと思うけどようこちゃん視点で見てた人はいませんよね~。ヒロインが恋の勝利者になるのは絶対、絶対、お約束なんですのぴょんぴょんぴょ~ん。もちろん、アンナは両方のヴァージョンで楽しむのぴょ~ん・・・じいや、次はせつないお別れごっこをするのぴょんぴょんぴょ~ん。衣装チェンジシクヨロ~まこ金田一さんが好きです!を・・・大屋敷社長に言うなんて~。う~ん、いけず~だじょ~。金田一ラブ攻撃にフジッキーのライフはゼロなのでしゅ~。諸悪の根源の前社長は草葉の陰で何を思っているのやら~。でも、最後はみんなハッピーになると信じてるのでしゅ。だってここは月9なんだもの~・・・むふふくうこの世に大切なものはきびしさなの・・・それとも優しさなの・・・どっちもなの~と思う私たちはジレンマに悩むのです。きびしい社長なら生き残っていけそうだし、やさしい社長なら毎日楽しい。どっちも満たす社長ははたして・・・ありやなしや~みのむし鬼がわらう話です~るるるちーずえーと、悪夢ちゃんです・・・子役ですからikasama4年賀状作ろうと思いまして裏表きれいな鉛筆使用・・・あのメロディーが頭からはなれない・・・mari「シナリオに沿ったレビュー取材中です・・・それにしても謎の前社長の女性関係・・・大屋敷A子さんと金田一B子さんのほかに・・・まさかとは思いますが二階堂C子さんと交際していた・・・なんてことはないでしょうね・・・まさかのスター・ウォーズ展開・・・あるわけないですか~・・・入稿完了です

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2012年12月10日 (月)

MONSTERSとは悪夢刑事とミラクルじゃない魔法瓶と暗い排水溝と11才で警官を殴って気絶させる男の子と完全防水ピアノのことですか?(山下智久)

はい、また、また、またお会いしましたね。

でも、残念なことに今夜が最終回なんですね。

最終回だけに・・・まともに勝負してきましたね。

なんと・・・二人の刑事は奥の手(インチキ)なしで犯人を追いつめましたよ。

やればできるのにやらない・・・おかしなおかしなおかしなスタッフの皆さんですね。

ま、そうなると普通の二時間サスペンスになってしまいました。

しかし・・・犯人は哀しい哀しい恋する男の子だったんですね。

最後に少年を犯人に持ってくるところ・・・私はとっても気に入りました。

まあ、女の子のためではなくて・・・男の子のためだともっとよかったと思いますよ。

解散総選挙のために一話短縮になって相当バタバタしたみたいですよ・・・初回も収録VTRがなくなったりといろいろと怪しい展開でしたねえ。

なにかの祟りかもしれません。

まあ・・・私がこんなことを言うのもおかしいおかしいおかしい話です。

さあ、もう時間が来ました。ドラマの後でまたお会いしましょうねえ。

で、『MONSTERS・第8回』(TBSテレビ20121209PM9~)脚本・蒔田光治、演出・福澤克雄・平野俊一を見た。冒頭は「悪夢ちゃん」が脚本家の無意識に働きかけて予知夢展開である。途中で・・・魔法瓶の水筒も登場して、舞台は森の中の村。ゲストは昼ドラマで情欲あふれる演技を見せたり、わがままなアイドルだったり、施設育ちだったり・・・不良少女と呼ばれて売店のおばさんだったり、結ばれない二人だったり・・・まあ、今季のいろいろなドラマが流入してましたーーーーっ。ま、早い話が出来の悪い「相棒」みたいなドラマだったわけですけれどーーーっ・・・それを言っちゃあダメだろっ。

いつものように平塚班に出勤した私(西園寺公輔=山下智久)は・・・台風が過ぎ去ったような室内に戦慄した。

そして・・・平塚刑事(香取慎吾)が残した置き手紙に喪失感を覚えた。

彼は私の元から去って行ったのだ。

別れの抱擁もなく、最後のキスもなく・・・って夢かーーーっ。

私は正式に平塚班の刑事となり、晴れて最愛の人・高野恵美嬢(柳原可奈子)と婚約。毎夜、二人の愛を確かめまくる充実した生活を送っていた。

あまりにも幸福であるために・・・それと荒淫の日々により・・・不安と疲労が重なってこのような夢を見たのかもしれない。

・・・と思って出勤したら・・・平塚刑事は本当に不在だったのだ。

私は平塚刑事を追って・・・本当は存在しない東京都西多摩郡水沢村へと向かったのだ。

冷たい雨の降る秋の終りのことだった。

その頃・・・水沢村出身の美人ピアニストである高林佳菜(佐津川愛美)は金田刑事(遠藤憲一)を訪ねていたという。水沢村での凱旋リサイタルを前に謎の脅迫状が届き、相談に訪れていたのである。

脅迫状とともに送られてきた布には恐ろしい毒薬ガリンキシンが含まれていた。

この毒薬は人を死に至らしめることもできるが、微量なら人を昏倒させることができるというなんだか適当に恐ろしい薬物なのである。

平塚刑事が水沢村へと向かったのはワケありの上司である松原健吉警視庁刑事部長(小木茂光)から特命を受けてのことだった。やはり・・・私たち二人は特命係なのだ。

20年前に・・・松原刑事部長が捜査を担当して迷宮入りになった事件の再捜査なのである。

驚くべきことに20年前から迷宮入りは続いていたのだ。

それは奇妙な誘拐事件だった。公害問題でいわくのあった工場から薬物が盗まれ、企業が脅迫されれたのである。そして、それは企業とは無関係の施設の孤児を誘拐し身代金が要求される事件に発展した。犯人の指定通りに身代金を山小屋に届けた地元の警察官鎌田巡査(六平直政)は何者かに後頭部を殴打され昏倒。周囲は警察官によって包囲されていたにも関わらず、小屋からは犯人も身代金も忽然として消失していたという。小屋は密室であり・・・事件は迷宮入りしたのである。その時に盗まれた薬物が・・・劇薬ガリンキシンだったのだ。

私はお茶目な性格なので平塚刑事の宿泊する部屋に先回りして忍びこみ、洋服ダンスに隠れてわっと驚かそうと思ったのだが・・・うっかり内側から開かないドアを閉めてしまい窒息しそうになっていた。異変に気がついて扉をあけてくれた平塚刑事は命の恩人である。私の脳裏に前世で殺されてロッカーに閉じ込められた記憶がよみがえった。あの頃は私も随分若かったものだ。

例によって平塚刑事は事件のことよりもファンである美人ピアニスト高林佳菜のことが気にかかっていたようだが・・・ともかく私たちは事件の関係者に会った。

身代金を奪われた鎌田巡査は今も現役の警察官だった。

そして・・・驚いたことに誘拐の被害者だった少年は無事に保護されて警察官になっていたのだった。

事件の時、少年はずっと気を失っていたと言う。

その日も事件の日と同じ冷たい雨が降っていた。

「あの日もこんな天気だったなあ・・・」

「ええ・・・雨が降ったりやんだりしてましたね」

何気なく関根純平巡査(中村蒼)が口にした言葉に・・・何故か、平塚刑事は目を光らせる。

そして・・・お茶の間は冒頭で・・・今日の犯人が誰かを知るのである。

関根巡査の言葉を鎌田巡査は繰り返す。

「そうだな・・・雨が降ったりやんだり・・・陰鬱な一日だった」

村で一番高級な宿泊施設である迎賓館。そこには寒村には似つかわしくないグランドピアノが置かれていた。

私は二歳の頃からピアノをたしなんでいる。二歳にはピアノは無理なんじゃないかと思う人は上流社会というものを知らないのだ。上流社会では二歳になったらピアノを習うものなのである。

平塚刑事のリクエストに応え、ショパンの「雨だれ」を弾き始めた私を・・・到着した美人ピアニストが押しのける。途中で交代させられた屈辱を私は一生忘れないだろう。上流社会の人間は執念深いのである。

彼女が華麗なるモーツァルトを奏ではじめると水沢村役場の職員で迎賓館の管理人である杉山ハツ子(広岡由里子)の悲鳴がそれを遮った。彼女も最後まで弾くことはできなかったのだ。私は心の中で喝采した。

悲鳴の原因は・・・ピアニストのパトロン・小田切龍三(芹澤名人)の変わり果てた姿だった。

小田切は何者かにナイフで刺され・・・そのナイフには猛毒ガリンキシンが塗布されていた。鑑識は現場に来ないが分析は早いというのがこのドラマにおける超不思議であることは言うまでもない。

こうして・・・脅迫事件は殺人事件へと発展したのである。

指輪はピアニストのものであるが・・・ピアニストはバッグごと盗まれたと証言する。

ピアニストの幼馴染である関根巡査や居合わせた管理人の杉山もその証言を裏付ける。

しかし・・・ピアニストのネックレスが変わっていることに気がついた平塚刑事はさりげなく問いかける。

「ネックレスが先ほどと違うようですが・・・」

「これは・・・バッグに入っていたのです・・・」

「バッグに・・・ですか」

部屋に戻った平塚刑事と私はどこからともなく聞こえるピアノの音に恐怖する。

私は幽霊などの怖いものに弱いのだ。

しかし・・・平塚刑事は物怖じせず・・・天井裏に隠された玩具のピアノを発見する。

雨漏りした雨だれがピアノを撃っていたのだった。

「どうやら・・・誰かの思い出の品物らしい・・・この事件には哀しい匂いがしますね」

「そうでしょうか」

「私は犯人が誰だか分かっています・・・おそらくバッグはこの近くに捨てられているでしょう・・・」

「犯人は・・・彼女ですね・・・」

「さすがです・・・西園寺さん・・・」

私は演奏を途中で断たれた怨みを胸に、証拠品を捜索した。私が捜そうと決めたものは必ず見つかる。それが私の怪物的な能力なのである。

バッグは雨に打たれ・・・森の中に置かれていた。

「あなたは・・・アリバイ作りのために・・・指輪を死体の下に置いた・・・しかし・・・指輪は二つあったのです・・・あなたが関根巡査に見せたのはこの指輪ですね・・・」

平塚刑事は死体の下にあった指輪と同じ指輪をバッグから取り出した。

ピアニストは無言で応じたが・・・到着した金田刑事が重要参考人として身柄を拘束したのである。

こうして事件は解決したに見えたのだが・・・平塚刑事は浮かない顔をした。

「バッグのあった場所に案内してください」

私は森の中を案内した。雨がやんでおり、先程は聞こえなかった水音が聞こえてくる。

「あれは・・・河音ですね・・・」

森の向こうには橋がかかっていた。

「ここから・・・投げ捨てれば証拠隠滅は確実だったのに・・・彼女はそうしなかった・・・つまり、彼女は犯人ではないということです」

「でも・・・この川、結構浅いですよ・・・ちょっと浚えば発見できそうな感じですけど・・・」

「西園寺さん・・・今回は時間延長なので・・・ここからもうひと山必要なのです」

怨念のためにできれば彼女に犯人であってほしいという私の願いは打ち砕かれたのである。

「お坊ちゃん育ちのあなたには・・・難しいかもしれません。しかし・・・想像してみてください。ここに・・・二人の親のない子供がいる。男の子と女の子です。二人はいつも一緒に励ましながら生きていた・・・」

私は想像力が豊かなのでたちまち・・・二人の気持ちになった。

ピアノが好きな女の子。見守る男の子。しかし・・・ピアノは玩具なのだ。

想像の中で二人はプリンセスとナイトだった。

幼い二人の心のときめきに私の涙腺は緩んだ。

「二人は・・・愛し合っていたのでしょうか」

「さあ・・・それはどうでしょう・・・あのピアノは誰かから施設に寄贈されたものだそうです・・・それが誰かを探ってみてくれますか」

「わかりました」

私はそういう捜しものが得意なのである。なにしろ・・・金にものを言わせて私立探偵を何人も雇っているのだ。

数分後、私の依頼を受けた探偵の一人がメールをしてきた。

「寄贈したのは・・・佳菜が師事したピアニストだそうです・・・」

私たちはそれが彼女と同行している音楽家の諏訪(西村和彦)だと知った。

「あの人は佳菜を好色な目で見ていました」

「いや・・・あの人は最近いつでも好色に見えてしまうのです・・・俳優が役柄で色眼鏡で見られるのは哀しいことです」

「反町さんなんかずっとポイズンですもんね」

「私もナマカとかニンニンとかオッハーとか言われますからね」

諏訪は金田班の刑事たちによって拘束されたが・・・犯行は否認するのだった。

そして・・・第二の殺人事件が発生したのである。

例の山小屋で・・・鎌田巡査が死体で発見されたのだった。死因は毒を塗ったナイフによる刺殺。第一発見者は関根巡査だった。

平塚刑事は近所の売店の店主である神田たみ子(いとうまい子)に目をつけた。

「あなたがここにいる以上・・・重要な手掛かりをもっているんですよね」

「そうです・・・鎌田巡査の水筒に入っていたのはお湯ではなく日本酒のお湯割りです」

「なるほど・・・」

どうやら・・・平塚刑事は事件の謎を解いたようだった。

「西園寺さん・・・まず・・・高林佳菜を呼んでくれますか」

「わかりました」

私の陰には西園寺家のシークレット部隊が常に配置されている。その一人が彼女を山小屋に案内する。

「あなたを疑ってすみませんでした」

「わびるためにこんなところに呼び出したんですか」

「いいえ・・・昔のことを思い出してもらうためです」

「・・・」

「あなたは・・・彼とここでよく遊んだそうですね」

「ええ・・・彼はかくれんぼが上手で・・・いつも私は見つけることができませんでした」

「なぜ・・・二人はここで慎ましく暮らしていくこができなかったのでしょう」

「夢を見ることを禁じられた子供ほど・・・見果てぬ夢を見るものでしょう」

「なるほど・・・あなたは夢を見て・・・そしてそれを彼は叶えたのですね」

「・・・なんのことか・・・わかりません」

「そんな風に彼を庇うなんて・・・あなたも彼を愛していたのでしょう」

「・・・」

彼女を送り出すと・・・平塚刑事は彼を呼び出すように指示をしたのです。

もう・・・私には結末が見えていたのでためらいもありました。しかし・・・刑事である以上・・・悪事を暴いて・・・検察に送り出さなければなりません。

私は彼を小屋へと連れてきました。

「二十年前、身代金誘拐事件を起こしたのはあなたですね。あなたは脅迫状を送り、ガリンキシンを盗み・・・そして11才のあなただけが通れる秘密の抜け穴を通って小屋に潜んでいた。そして・・・11才の子供とは思えない腕力で・・・鎌田巡査を気絶させた。それから・・・金を奪って抜け穴に潜んだのです。その穴は小さすぎて・・・捜査の盲点となってしまった。あなたはあたかも犯人が逃走に使ったかのようにボートを用意し・・・その側で発見されるのを待ったのですね。・・・ふったりやんだりする冷たい雨に打たれて・・・」

「・・・」

「・・・うっかり、口をすべらせたあなたは鎌田巡査の殺害を決意し・・・そのついでに彼女を苦しめているパトロンの小田切を同様の手口で殺害したのでしょう」

「証拠があるのですか・・・」

「あなたに指示されてピアノを購入した諏訪さんは使い残した現金を持っていました。しかし、それよりも・・・あなたが今回の犯行に使った道具はすべて・・・西園寺さんの組織が調べて購入日時や購入した人物が特定されているのです・・・」

「そんな・・・」

「それは・・・あなたでしたよ・・・」

「・・・」

「家宅捜索の令状をとるには充分の証拠です・・・そしてあなたの部屋からはガリンキシンが発見されました」

彼は微笑んだ。私は手錠をとりだした。幼い少年に手錠をかけるような苦い気分がしたが・・・私は刑事なのだ。

そこへ・・・彼女がやってきた。

「全部・・・私のためなの・・・」

「いや・・・ちがうよ」

二人の愛の囁きが私には聞こえた。

「私のこと好きなのね・・・」

「いつだって君だけを愛してる・・・」

そして、私はそんな二人の愛を引き裂いたのだ。

「気にすることありませんよ・・・私たちは刑事なのだから」

平塚刑事はそっと私の肩を抱くのだった。

しかし・・・その翌日・・・平塚刑事は姿を消した。

「しばらく修行の旅に出ます・・・捜さないでください」

そんな刑事はいないんじゃないか・・・と私はため息をついた・・・。

続編があったらどうしよう・・・と私の心は震えるのだった。

そういう私の心とは無関係に雨はすっかりあがっている。

悪人にも善人にも日差しは等しく降り注ぐのだ。

関連するキッドのブログ→第7話のレビュー

はい。お別れの時が来ましたね。どんなにひどい役、どんなにひどいキャラクター、どんなにひどいストーリーでもしばらく付き合うと名残惜しいのが人間というものなんですよ。

もう・・・平塚刑事や西園寺刑事に会えないと思うとほんのちょっぴりさびしいですね。

けれど次は心から楽しめるドラマに出られるともっともっともっと素敵だと思います。

それではみなさん・・・またいつかどこかでお会いしましょうね・・・サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ・・・。

Erioo8
世界縦断横断コンサート。

ピンク・クロス。

山P先輩とスーちゃんが

地球大気圏外より愛をこめて中継中。

お問い合わせは絶対しないでください。

C

※明日は午前中メンテナンスのために記事の更新が遅れる予定です。

ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

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2012年12月 9日 (日)

悪夢ちゃん大戦~聖なる海豹の営む少年少女を売る店もげっ(北川景子)

セルキーとは潜航艇に乗って列島の海岸に上陸し、子供を誘拐する半島工作員のことである・・・それ以上は言及しない。

セルキーはヨーロッパに伝わる子供を誘拐する精霊の一種である。また、カイムとは堕天使の一人でつぐみの皮をかぶった悪魔だ。

ここでのセルキーはあざらしの皮をかぶった海人族の一種で、スコットランドの北の海に棲息する異人の伝承に基づいている。海底や地底は魔族の巣窟と相場が決まっているのである。

また、ネット普及世界では先進国の法的拘束力がおよばない治外法権諸島のサーヴァーを暗示している。

銭形警部も歯が立たないのである。

ましてや、すっかりレギュラー化している春山刑事(田中哲司)ごときには対処のしようがないのだった。

闇に消える子供たちの実態が単独の変態のいきあたりばったりの行動によるものばかりだと思ったら大間違いである。

もちろん、サイコパス大戦である以上、彼らは「善意に基づいて子供を保護するために誘拐している可能性」もあるのである。

なぜなら・・・かならずしも法や役人は子供を保護者の虐待から救済できるとは限らないことは昨今の事例からも明らかである。

パチンコ屋の駐車場から熱中症で死にかけた子供を拉致し、子供のいない夫婦に配達する行為は必ずしも悪事とは言い切れない。

サイコパスたちはそうした善悪の間に棲む生き物だからである。

さて、セルキーは海豹の皮をかぶった海の精霊なのだが・・・。

時には人間と交尾し・・・半人半魚の怪物を生むこともふる。

そして、セルキーは場合によっては自分の産んだ怪物を人間の子供とそっと交換してしまうこともある。

あなたの子供がそうでないとは断言できないのだ。

妙に水泳が得意な子がいたら・・・用心するべきだろう・・・それ以上はやめておきなさい。

で、『・第9回』(日本テレビ20121208PM09~)原案・恩田陸、脚本・大森寿美男、演出・猪股隆一を見た。13.6%↘10.7%↗12.9%↘10.4%↗12.8%↘11.5%→11.5%→11.5%・・・脅威の固定客キターッ。まあ、見逃せないよね。今回は「風林火山」から今川義元の母・寿桂尼(藤村志保)登場である。児童養護施設「夢見る羊の家」の怪しいシスターである。そして、「曲げられない女」や「黄金の豚」にもゲストで登場した香里奈のシスターの能世あんなのシスターも登場するのだった。・・・シスター、シスターとそれが言いたいだけなのか。・・・二人の怪しい修道女は黒ミサしてそうなムードたちこめています。この聖なる魔女たちは・・・成敗されるよね。きっと、されるよねえ。

自分の一番遠い記憶

一番遠い過去を思い出すことは面白いことだ。キッドはさっきコンビニでコーヒーミルクのアイスクリームを買ったことを覚えているのだ・・・それはに、認知症発症なのでは・・・。

悪夢先生こと彩未(北川景子)のお題にそって「自分がゆめのけと最初に出会った光景」を描いた悪夢ちゃんこと古藤結衣子(木村真那月)だったのだが・・・それを見た明恵小学校5年2組の月本奈央(土岐瑞葵)と近藤七海(大友花恋)の仲良しコンビは悲鳴をあげるのだった。

二人は「NICORINA(ニコリーナ)」の読者モデルとして編集者(能世あんな)にスカウトされ、多くの少女たちとバスに乗せられ撮影会に参加したのだが・・・母親が出版社に問い合わせたところ・・・そのような事実はなかったのである。やがて奈央の引きこもってるおとなしいちょっとオタクな高校生(脇知弘)が二人の写真が無断掲載されている怪しいネット上のサイト「Kids talent models Aggendy」を発見するのだった・・・何を検索してたんだよっ。

そのサイトの挿絵・・・天使の翼の生えたブランコに乗る少女・・・と悪夢ちゃんの描いた風景画が合致していたのである。

「あなたも・・・スカウトされたの?」

「しょんなことないでしゅ」

事情を聞いた悪夢ちゃんはさっそく悪夢先生に相談するのだった。

サイコパスの養護教諭・琴葉(優香)とともにサイトをチェックした悪夢先生は「これは養子縁組の斡旋・・・養子ビジネスのサイトのようね」

「ある日、突然子供が誘拐されて新しい戸籍をつくられ外国に養子として売り飛ばされるという犯罪集団による人身売買システムですね・・・」

「この・・・サイトにのってた他の子と友達になったんですが・・・その子が消えてしまったんです・・・」

「買い手がついたのね」

「あなたたちも・・・さらわれちゃうかも・・・」

「・・・」

女児の恐怖をあおり楽しむ琴葉だった。

悪夢先生は悪夢ちゃんの描いた絵を見て・・・自分の記憶にも「それ」があることを思い出す。

古藤博士(小日向文世)を訪ねた悪夢先生は博士の昔の悪事・・・悪夢先生を研究材料にしたこと・・・にチクチクと棘を刺しながら、かって悪夢先生が保護されていた施設について問いただす。

過去の若気の至りについてあまり言及されたくない古藤博士は「直接、施設に行ってみたらどうだろう・・・」と提案するのだた。

「しぇんしぇいは・・・施設にいたの・・・」

「そうよ・・・」

「つらかったの」

「そんなことはないわよ」

「しぇんしぇいはつよいのね」

「あなただってつよいわよ」

「・・・」

「あなたにもきっと未来を変える力がある」

長い間のサイコパス生活の反動で急に前向きに傾いている悪夢先生だった。

シスターマリカ(藤村志保)が施設長となっている・・・悪夢先生が幼少期を過ごした施設。

そこに・・・あの天使の翼のブランコは確かに存在した。

「私を覚えているんですか・・・」

「あなたは特別な子だったもの・・・」

「私が・・・」

「あなたの絵は未来を予知していたのよ」

「・・・」

「同じ施設にいたコウスケ君の親の虐待を見抜いたのもあなただったし・・・」

「コウスケ君・・・あの子は・・・いまどこに・・・」

「さあ・・・先代の施設長の頃だったから・・・確か・・・どこかに養子としてもらわれていったはずだけど・・・」

「・・・」

その時、聖堂から姿を見せた修道女見習いは・・・あの怪しい編集者だったが・・・悪夢先生はそれを知るよしもなかったのである。

同時にシスターマリカは悪夢先生にとって「善なる存在」であるらしく・・・その正体を知ることを回避する傾向があるらしい。

お茶の間的には「限りなく灰色の施設」を後にした悪夢先生。

その頃、悪夢ちゃんは悪夢を見ていた。しかし、夢札マシーン「獏」は前回、古藤博士が過去を恥じて破壊してしまったのだ。

仕方なく・・・志岐貴(GACKT)の研究所を訪れる三人。

冷酷非情なサイコパスである志岐を頼らざるを得ない悪夢先生にとっては苦渋の選択である。

「確かに気になるな・・・」

「別にあなたの手を借りる必要はないのよ」

「水臭いな・・・僕も喜んで協力するさ」

「・・・」

月本奈央の無意識に接触した悪夢ちゃんの予知夢

海辺で誰かを待つ・・・月本奈央。

海中から目から光を発するあざらしが現れる。

あざらしの皮をかぶっていたのは美しい女の半魚人で・・・それはなぜか・・・シスターマリカに変貌する。

助手の山里(和田正人)も参加して夢判断が始るのだった。

「あれはスコットランドの北部オークニー諸島に伝わる妖精・・・人間に変身する伝説のアザラシ・・・セルキーだわ」

「スクプス(夢魔)の一種だな・・・誘惑して夢の中で行為におよび・・・受精する」

「人間と異種交接して子供を作る点では・・・そうね」

「つまり・・・子供を誘拐して・・・新しい戸籍を捏造し・・・海外に養子として売るのか」

「しかし・・・小学生では養子にするには記憶がありすぎる・・・」

「おそらく地下世界で性奴隷にされるのだろう」

「セルキーは美女って話なのに・・・なんで老女なんだ」

「何かの象徴なのよ」

シスターマリカが悪夢ちゃんの悪夢に登場したことを無意識に遠ざける悪夢先生だった。

「少女は手をあげてた・・・セルキーと知り合いなのか・・・」

「この格好は塾帰りかな・・・なんだって海豹の目が光るんだろう」

「ヘッドライト・・・そうか・・・セルキーじゃない・・・タクシーよ・・・彼女は塾の帰りにタクシーをひろって・・・誘拐されるんだよ」

「全国のタクシー運転手にごめんなさいをしないとな」

「少女を救出したお手柄のタクシー運転手だっていたんだから」

「これは・・・本当のタクシー運転手じゃないのよ・・・悪いタクシー運転手なの」

「やっぱり、タクシー運転手じゃないか」

同僚教員たちの出番を確保するために張り込みを命ずる悪夢先生だった。

しかし・・・教師たちは役立たずだった。

「見失いました」

「もげっ」

役に立ったのは・・・月本(兄)だった。

妹のSOSを受けて戦隊ヒーロー仲間に集合をかけ、誘拐タクシーを追跡させたのである。

元レディースだったらしい琴葉のバイクで追跡に加わる悪夢先生。

「私は青春時代心理学とスピード(麻薬ではない)を得ることで母親の支配から脱却したんです」

「もげっ」

邪悪なタクシーは戦隊ヒーロー日テレGアベンジャーズもどきによって包囲され・・・誘拐犯はかけつけた警察によって逮捕されたのだった。

「私が守るべき生徒を・・・おにいちゃんに守られてしまった・・・もげっ」

「なに・・・これ・・・夢なの・・・」と戦隊ヒーローたちに驚愕する琴葉。

「ある意味・・・現代日本の悪夢よ・・・っていうのはテレビ朝日が得意なことだから言ってるんですけどね」

「日テレとしてはね~」

捜査にあたった春山刑事は旧知の志岐に報告にやってくる。

「末端の運び屋を捕まえても・・・組織の尻尾すらつかめないのが実情です」

「日本の子供は世界でも人気があるそうですね」

「国際的なシンジケートですから・・・末端価格までは知りませんが・・・」

「しかし・・・日本で本当の親に育てられるより・・・幸せになった子供もいるかもしれない・・・」

「さあ・・・それはどうですか」

・・・あたかも自分自身がそうであったかのような口ぶりの志岐だった。

春山刑事が帰ると・・・謎の男たちが志岐の研究所に侵入する。

「あなたたちは・・・黒の男たちですか・・・」

「いいえ・・・私は投資家ですよ・・・先端技術の先物買いをするジョーンズというものです」

「なるほど・・・」

「あなたには・・・ぜひ・・・ある少女を手にいれてもらいたい・・・私たちが全面的にバックアップします・・・あなたとあなたの素晴らしい研究にね」

「ふふふ・・・ふほほ・・・ふぁっふぁふぁっ」

哄笑する魔人・志岐だった。

その頃、学校は騒然としていた。

近藤七海をはじめとして各クラスから一命ずつ女子児童が行方不明になっているのだった。

そして・・・悪夢ちゃんは新たな悪夢を見た。

それはあざらしマスクの男たちによって・・・悪夢ちゃん本人が攫われる夢だった。

「僕の研究所で・・・悪夢ちゃんを保護しよう・・・」

「おことわりするわ・・・」

「信用ないんだな・・・」

「あなたを信用して・・・もげってなったもの」

その夜・・・古藤博士の家は黒の男たちに襲撃される。

しかし・・・悪夢ちゃんは・・・悪夢先生のベッドに避難していたのだった。

だが・・・その部屋の合鍵を持つ志岐は二人の枕元に立つ。

「僕と一緒にきてくれ」

「裏切り者・・・」

「僕を信じてくれ・・・」

「信じられるか・・・」

「それでは仕方ない・・・」

志岐は拳銃を抜き出し・・・悪夢先生に突き付ける。

これは・・・夢なのか・・・それとも現実なのか・・・どちらにしろ、悪夢先生、能力封印気味である。

どうやら連続冒険活劇スタイルに移行するつもりらしい。

関連するキッドのブログ→第8話「マイ夢」のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の悪夢ちゃん

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2012年12月 8日 (土)

身も心も・・・身も心も・・・大奥~宿命~なのじゃ(多部未華子)

大震災後の最大余震襲来である。

気象庁発表によれば震源地は三陸沖で地震の規模(マグニチュード)は7.3と推定される。東京でも去年の三月を思い出させる長い揺れがあった。

東北から関東にかけて幅広く震度5弱の揺れがあり、宮城県には津波警報が発令された。

固唾を飲んでテレビ画面を注視する。

誰もが祈っただろう・・・どうか、助けてくださいと。

その対象は自分ではなく・・・不特定多数の誰かであっただろう。

偽善ではなく・・・そういう心を人間は備えている。

まもなく・・・総選挙である。その祈りの心を忘れずに投票に臨むがよろしかろう。

助けてくれそうな人を選ぶべきなのである。

まあ、すべては運命(さだめ)ですけどね~。

この間、散歩中に女子児童が乗った自転車二台とすれ違った。

「日本に生まれたくなかったよね~」

「どこがよかった~」

「パリとか~」

選挙権のない小学生の切実なぼやきをどうか真摯に受け止めていただきたいものです。

で、、『大奥 ~誕生~[有功・家光篇]・第9回』(TBSテレビ20121207PM10~)原作・よしながふみ、脚本・神山由美子、演出・渡瀬暁彦を見た。最終回を目前に様式美というか、あくまで綺麗にまとまっていると感じるこのドラマ。前回が春日局の死による旧時代の終了。今回は万里小路有功の大奥総取締の就任で新時代の幕開け。そして・・・最終回は・・・まあ、それはまた来週。たたみかけるような展開であっという間の一時間である。今季のドラマはまったく淀みがないな~・・・あ、アレを除いては~。

女・家光(多部未華子)による「女将軍宣言」・・・居並ぶ諸侯たちは声もなかった。

なにしろ・・・主だった大名たちも皆・・・男装した女子だったからである。

六人衆筆頭の松平信綱(段田安則)の嫡男/娘である松平輝綱/しず(小澤美和)がその代表であった・・・。

女子による相続が公のものとなり・・・男女逆転史は表舞台に躍り出る。

寛永二十年(1643年)に春日局が死去し、寛永二十一年十二月(1645年1月)に改元され、正保元年となるために西暦と元号がややこしいことになるのだが・・・そのためか・・・やや今が何年なのか・・・結構分かりにくくなっている。

前回は女公方お披露目は寛永二十一年(1944年)の八朔と考えたのだが、今回は寛永二十年(1944年)の秋に単なるお披露目があったと考えることにする。

正史では寛永二十一年(正保元年)五月(1944年6月)にお夏の方が徳川綱重を生んでいるので計算が合わなくなるからである。

逆転史なので・・・女家光の産んだ長子とお夏の方が生んだ綱重の誕生日が違っていても問題はないのだが・・・そこは歴史SFの醍醐味を大切にしたい。

逆転しているのに細部は同じというのが面白いところなのである。

難産であったために出産は早産だったのかもしれないが、女・家光がお夏の方(市川知宏)によって身ごもったのは春日局の死の前後であったと思われる。

なぜ、父親が特定できるのか・・・疑問を感じる人も多いと思うが、おそらくは月経周期による交代制がとられていたのであろう。月のものが来たら、精子供給者は交代するという仕組みである。月のものが遅れればそれは懐妊の兆候ということになる。

春日局の死後、実権を握った女家光は強権を発動して、愛するお万の方(堺雅人)に褥を命ずるのだが・・・時すでに遅く、女家光は妊娠していたのである。

冬が来て、寛永二十一年(正保元年)の正月には年始御礼儀があり、すでに女大名は女装で参列していることになる。

つわりに苦しみながら女・家光は将軍として政務をとるのである。

そして・・・夏にお夏の方を父とする長子(おそらく女・綱重・・・正史では幼名・長松)を出産するのであった。

女・家光は月経の再開を待って・・・お万の方を褥に呼ぶが・・・愛する女が他の男の子を二人も生したことにより・・・お万の心は折れていたのである。

正史の家光の政策はある意味、苛烈であった。

士農工商の身分制度の確立は田畑売買の禁止によって拍車がかかるし、島原の乱鎮圧では女子供皆殺しである。百姓・町人支配は圧政といっていいほど過酷である。また参勤交代制度を外様から譜代大名にまで拡大し、幕府権力によって徹底支配の制度を確立していく。

現代的視点で見れば軍事独裁の圧政であるが・・・そのために二百年におよぶ恒久平和をうちたてたのである。

女・家光にはさらに男子の死亡率が80%という奇病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」の蔓延という状況がある。

これに対し、大奥の男子を吉原に押し込め、強制的な公男娼制度を確立したことはもっともなことなのである。

基本的に江戸時代の封建制度は果てしない現状維持の継続を目指している。

たとえば・・・分家はそう簡単には許されない。あくまで長子相続である。なにしろ、富の分配量は決まっているのである。相続するのは本家のみが基本である。そのために次男以後は部屋住みの身分になるのである。

まあ、こちらの世界ではその心配はあまりないわけである。

ただし、長女以後は産む機械としてかなり、人権に問題のある扱いになっていく可能性はある。五人に一人は男子相続が可能となるわけだが・・・女だらけの世界ではかなり肩身がせまいことになると思われる。

このドラマが面白いのはそういう妄想がどこまでも広がっていくことだろう。

ちなみにこの世界では剣術指南役は澤村伝右衛門(内藤剛志)であるが、正史では言わずとしれた柳生宗矩(大和国柳生藩主)である。宗矩は正保三年(1646年)に死去するのでまだ存命中である。柳生藩はその後柳生三厳が相続するのだが・・・この世界では何人かいた宗矩の娘か、三厳の娘が相続するのかもしれない。そうなれば女柳生なのである。

女・柳生十兵衛・・・むひょ~ですな。

また、松平伊豆守は公儀隠密の影の支配者であるから・・・おいおい・・・服部半蔵影の軍団やら、伊賀の影丸なんかも・・・みんなくのいちになって・・・もういいだろう。

とにかく・・・女・家光は女将軍となり、二女の母となり・・・そして嫉妬の果てに心の折れたお万の方と対峙するのである。

たとえ他の男に身は抱かれても心はお万の方のものと・・・逢瀬を心待ちにしていた女・家光。

しかし・・・お万の方は男として・・・感情のおもむくままに身も心も女・家光を独占したかったのである。しかし・・・春日局から後事を託されたお万の理性はそれを許さないのだった。

「有功・・・そなたの腕に抱かれることを夜毎夢にみた・・・」

「上様・・・どうか・・・お褥を辞退させてくださいませ」

「・・・なんじゃ・・・他の男に抱かれた女など抱く気にならぬと申すか」

「・・・違うのや」

「・・・」

「上様の・・・肌をどれほど恋しく思ったやろう・・・こうして上様と二人きりになり・・・上様と褥をともにすることを・・・どれほど苦しく待ったことか・・・それは地獄の苦しみだったのや」

「・・・有功・・・わしを・・・わしの心を信じられぬと申すか・・・そのような哀しいことを申すのか」

「上様・・・それがしも・・・男なのでござる・・・上様の心だけやなくて・・・身も心も欲しいのや・・・上様にはお子があらっしゃる・・・けれど・・・それがしには・・・あなた様しかおりませぬ・・・。今夜、上様を抱いたとて・・・その後に続く地獄に耐えられぬかもしれませぬ・・・いつか上様を憎んでしまうかもしれませぬ・・・お願いでございます・・・どうか・・・この生き地獄から・・・男と女の恐ろしい業から・・・それがしを解き放ってくださりませ・・・」

「・・・よう・・・ようわかった・・・有功・・・そなたは・・・きっと男なのであろう・・・そしてわしは女じゃ・・・心の在り方がちがうのじゃな・・・それほどまでにそなたを苦しめて・・・すまなんだ」

二人は歌った。

言葉はむなしいけど

ぬくもりなら信じよう

涙は裏切るけど

優しさなら分かち合える

身も心も 身も心も

その頃、稲葉家では未だ夫(平山浩行)の死を受け入れぬ母親・雪(南沢奈央)を当主となった女・正則(山本舞香)がいさめていた。

「家光様の影武者はきっと・・・そなたの父上なのです」

「母上・・・いい加減、愚痴はおやめなされ・・・父上が生きていると申さぬならば父上はお亡くなりになったのです・・・それがまことのことなのです」

「・・・」

「宿命を受け入れぬものは・・・武家の家には不用です」

「・・・」

「稲葉家の当主として命じます・・・今後、世迷いごとは申さぬこと・・・返事は?」

「はい」

女・正則は家長として・・・覚悟を決め、なすべきことをした。女・正則は小田原藩十万石を背負って立つ大名なのである。もはや女として母に同情することは許されぬことなのだ。

娘の厳しさに母は涙したが女・正則は泣かなかった。春日局の血が流れているからである。

Mako012s正史と逆転史は男と女が入れ替わってもそこはかとなく相似して進行していく。正史ではまだ存命している三代将軍家光は側室たちに順調に子を産ませていくのだ。逆転史では側室は男になったが・・・その名は正史に準じるのである。

現在、四代将軍家綱、そして、六代将軍の母となる綱重までがこの世に生を受けたことになる。

次回はいよいよ・・・最終回。人相見の僧侶の予言通りになれば・・・玉栄(田中聖)もまた・・・将軍の父として子を授かるのである。そして・・・女・家光は・・・。正史の家光と同様に・・・。

関連するキッドのブログ→第8話のレビュー

Mako012_2ごっこガーデン。女将軍お披露目セット。まこすべてはさだめ・・・やってらんない時にすべてを丸くおさめる魔法の言葉なのでしゅ~。宿題を忘れたり、勉強をさぼったりしてもすべてはさだめなのだじょ~。有功さまにお種さえあればの~。八方丸くおさまったものを・・・切ないの~。涙ちょちょぎれるの~。ひとつにとけてああ~と言えればよかったのに・・・くうなんとも切なくて純情可憐なお二人ですなあ。上様はやってることは凄いけれど心は乙女・・・そして知性豊かな有功様も本質的に一本気な男子・・・もう・・・そんな固いこと言わないで・・・ふまじめに生きてもいいよって誰か言ってあげて~ikasama4もう・・・最終回のシーズンですか・・・来年は湊かなえですかシャブリ上様のお立場がいかに変わられようと私は…私の心はあの頃と少しも変わりませぬ・・・地震も揺れるが心も揺れる~mariシナリオに沿ったレビュー取材できましたお気楽復活の日はまだ遠い・・・

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2012年12月 7日 (金)

復讐は神のすることである・・・人は悪に悪で報いてはいけない・・・高校入試の悪魔はそう告げず(長澤まさみ)

試験は試練であるが・・・不合格であればそれもまた試練である。

過去も未来もすべては決定していて自由意思の介在する余地はない。

生きるべきものは生き、死すべきものは死す。

高校入試は通過点にすぎない。

すべてのことは最初からとりかえしがつかない。

しかし、失われたものへの感傷は時に世界を破壊する力を得る。

神の正義を信じれば信じるほど・・・信じられなくなっていく時が訪れるのである。

あるものは信仰を捨て・・・こう囁くであろう。

「復讐するは我にあり」と。

そういう人を悪魔は心から応援します。

で、『・第9回』(フジテレビ20121201PM2310~)脚本・湊かなえ、演出・北川学を見た。*7.7%↘*6.3%↗*7.0%↘*4.9%↗*7.2%↘*5.9%↗*7.3%↘*6.9%↗*7.8%・・・最高視聴率キターッ。*8.0%を越えるかどうか・・・スリリングである。もう・・・ずっと高校入試の前後の時空間に縛られていたい・・・と感じる人は変態です。しかし、容赦なく時は流れて行くのである。クリスマスを越えて高校入試は終っちゃうのだ。・・・ま、本当の高校入試はそれからですけどーーーっ。受験生の諸君、ドラマはほどほどにね。

そして・・・今回の白眉は・・・第四の回想であることは言うまでもない。

謎の男・・・寺島俊章(姜暢雄)・・・おそらく杏子(長澤まさみ)の恋人。

・・・おそらく県立橘第一高等学校の元・教師。

・・・おそらく自殺してこの世にはいない・・・決めつけるなよ。

問題教師・坂本(高橋ひとみ)が「責任は責任者にかかってくるのよ」と吐き捨てるのに対して杏子の回想魂が反応するのである。

これ以上なく絶望している男を励ます昔の杏子。

『誰もあなたを責めたりしていないじゃない・・・』

『いっそ・・・自分で責任を負えた方が良かったのかもな』

絶望だ。絶望だ。絶望先生だ。

さて・・・ここで公式のキャスト情報などから・・・年齢を整理してみよう。

管理職グループ

的場一郎校長(58)

入試部長・荻野正夫(55)・・・五年前の合格発表に登場。

上条勝教頭(50)・・・下痢気味。

父兄

同窓会会長・沢村(50)・・・息子は三人いる。

管理職候補教諭

英語採点責任者・英語教科主任の坂本(48)・・・五年前の合格発表に登場。

父兄でもある英語教師・松島(45)

第二試験会場監督責任者・水野(43)・・・東大卒。

顔が変な美術教師・宮下(43)

父兄

県会議員夫人・芝田昌子(38)

英語教師

ターゲットとしては一番の盲点・小西俊也(33)・・・県外の名門校・清煌学院出身。

復讐者・春山杏子(28)

下半身無節操

なんくるないさ~体育教師・相田(28)

部外者

旅行会社の徳原優介(28)・・・不法侵入の実績あり。杏子の元・同僚。

============(五年前に未成年)============

教員

掲示板の発見者・菫ヶ丘高校出身の音楽教師・みどり(25)

第二会場監督官・県立第三高校出身の数学教師・村井(25)

卒業生

沢村の長男で現在フリーター・哲也(25)

======(五年前に受験生)=======

おそらく沢村の次男(20)・・・未登場・・・妄想登場人物かよっ。

不合格者

受験生・淳一の兄の田辺光一(おそらく20)・・・田辺家にて生存を確認。

在校生

問題生徒・石川衣里奈(17)

受験生

兄の仇討ちに燃える田辺淳一(15)受験番号46

沢村の三男・異常人格の翔太(15)受験番号55

松島の息子・良隆(15)受験番号59

芝田の娘で携帯依存症の麻美(15)受験番号77

・・・この他にも麻美に淫靡な敵意を持つ女子生徒や・・・翔太にカンニングされた生徒、松島良隆の母、田辺兄弟の両親なども登場するわけだが・・・一応、事件には無関係と判断する。

杏子の回想に登場する男の年齢は不詳だが・・・現在28~33才の間くらいと予想する。

また・・・坂本には適齢期の娘で一高の卒業生がいるが・・・最悪の場合、交際相手が徳原の場合がある・・・どんな場合だよ。

さらに言えば・・・相田(中尾明慶)と徳原(倉貫匡弘)は同級生である可能性がある。

校内潜伏者が衣里奈(山崎紘菜)以外にいるとすれば・・・徳原である。

回想の男も同級生なら杏子との三角関係もありえる・・・だからどうありえるんだよっ。

徳原が何かしているとすると忍者だと思う・・・もういいぞ。

ちなみに社会科担当の水野は校内全域に盗聴器を仕掛けている可能性がある・・・趣味的にだと思う・・・根拠は・・・いろいろと事情を把握しすぎているような気がする・・・気分なのかよっ。

さて・・・このドラマの主軸は・・・復讐者である杏子が誰をどのようにして殺害するのか・・・なのであるが・・・そうなのか・・・。

その他にも妄想の入る余地はある。

みどりが水野に迫られて困っていたとする件。

水野は独身で・・・冒頭・・・用もないのにみどりの周辺に現れていた。

素直にみどりが相田とインディゴ・リゾートで密会する予定だったとすれば・・・試験会場の水野を困らせようとする動機はある。

どちらかといえば・・・女の敵は女でターゲットはやはり坂本のような気もするが・・・。

しかし・・・意図的に麻美の携帯を鳴らさせるのが目的なら・・・音楽学校時代のみどりとピアノに熱心だった小中学校時代の麻美になんらかの接点があることは充分に想像できる。

麻美の進学希望高校はみどりの母校なのである。

注意事項の貼り紙を「去年のもの」にするのはみどりにも可能であろう。

しかし・・・まあ・・・妄想の範囲内だな。

松島が・・・沢村の息子をなんとかして不合格にさせたい気持ちも・・・まあ・・・実行にまでは至らないような気がする。どうせなら・・・55番の解答を改竄しちゃえばいいし。

田辺淳一の英語の番号記入もれは単独犯でも可能だが・・・その後の経緯から・・・やはり・・・協力者がいる可能性は高い。

そうなると・・・やはり、荻野・杏子・衣里奈・淳一は共犯グループである可能性は高い。

しかし・・・それぞれの目的が一致しているとは限らないのだな。

石川衣里奈はもはや・・・相田とみどりをインディゴ・リゾートには行かせない一心かもしれない。ムラサキなら相田を手ごろな石で背後から叩きのめすところだからな。

みどり(菫ヶ丘)・村井(三高)・沢村長男(一高)の同級生トリオも怪しいのである。

結局、問題教師は坂本はみんなに怨まれていて・・・最後は全員がナイフで・・・どこかの急行列車かよっ。

ああ・・・妄想がとまらない。

【高校入試をぶっつぶす★9】

1:名無しの権兵衛

高校入ったらマーチングバンドとかに情熱燃やせばいいのに。

2:名無しの権兵衛

>>1

バトントワラーリングなら萌えるよな・・・ていうかアレみたね。

結局、本部の侵入者・・・誰だったんだよ。

職員室の杏子、坂本、宮下、小西、相田。

「なんで水野っちがよばれてんの」と宮下。

「今、問題になっているのは携帯の件だから」と解説者として定評のある小西。

「東大卒で管理職候補ナンバーワンなのにな」と宮下。

宮下と水野は同期である。

「携帯が鳴ったのは水野先生のせいじゃありませんよ」と杏子は水野を庇う。

ここで坂本は「じゃ・・・もう私たち帰っていいんじゃない」と問題発言である。

「沢村さん・・・息子の答案はほぼ満点だって言ってましたけど」と杏子は答案用紙問題に言及する。

「何、それ・・・大問題じゃない」と青ざめる坂本だった。

「どうしてですか・・・」と怪しくとぼける杏子。

「坂本先生は・・・いざとなったら・・・回答欄は埋まっていたが・・・誤答が多くて点数が低かったという処理をするつもりだったということさ・・・沢村さんが回答内容を把握していた場合、問題が生じるわけだ・・・なにしろ・・・沢村さんはあの顔で英語が得意なんだ」とイケメン解説者。

「こうなったら・・・55番は満点の方にするしかないわね」と坂本。

「じゃあ・・・46番は白紙で・・・0点扱いですか・・・」と杏子。

「それも不味いな・・・筆跡鑑定で・・・満点解答したのは・・・46番で・・・55番は最初のやつだということが明らかだし・・・」と解説者。

「だって・・・46番は受験番号の記入漏れでしょう・・・それで0点にするのよ」と坂本。

「もしかしたら・・・あの55番は・・・沢村さんが書きこんじゃったのでは・・・」

「証拠があるの・・・目撃でもしてたわけ」

「いえ・・・あくまで推測ですけど・・・」

「そんなこと言ったら名誉棄損で訴えられるわよ」

「覚悟してます・・・」

「あんたが覚悟したって責任は私にかかってくるのよ・・・これだから帰国子女は空気読めないって言われるの」

「でも・・・管理職希望の坂本先生なら・・・責任をとる覚悟はあるんじゃないの」と宮下。

「一番上に立った時なら・・・良いけど途中じゃ駄目なのよ・・・一番上に立てないじゃない」

「・・・さすがだね・・・言いきっちゃったよ」と宮下。なんだかんだと宮下は追従上手なのである。だが・・・ただのお調子者ではない。「これって・・・学校という組織を狙っているんじゃなくて・・・教員にたいする個人攻撃なのかもな」

「なによ・・・私を狙っているっていうの」と坂本。

「心当たりがありすぎるもんね~、坂本先生は・・・でもこれ見て・・・これ・・・もう部外者じゃなくて・・・ここにいる誰かが書きこんでいるとしか思えないんだけど」と宮下。

55:名無しの権兵衛

教師一名→事情聴取へ

56:名無しの権兵衛

その間に三名が脱出!

コンビニにて。松島、村井、みどり。

みどりはスイーツに夢中だ。

その時、松島の携帯電話に息子の良隆からメールの着信がある。

村井「急用かもしれないですよ」

勤務中のために遠慮した松島だったが・・・店外に出て携帯を操作する。

芝田夫人の麻美への送信と同様に操作画面や文面を見せない思わせぶりの演出である。

ミスリードか伏線か・・・まったく判別不能である。

少なくとも入試をぶっつぶす本線とは別に、「沢村息子の一高不合格を祈願する松島親子」とか「娘に一高に入学してもらわないと世間体がわるい芝田母」とか「管理職候補の足の引っ張りあい」とか支線は張り巡らされているわけである。

盗聴防止のための視聴覚教室。父兄である沢村と芝田。校長と入試部長。そして試験会場責任者の水野。

「娘が合格しても一高にはいかないと言うんです」と芝田夫人。

そもそも・・・水野と芝田母娘は最初の段階では対立していたはずだが・・・水野が貼り紙問題で譲歩したために・・・芝田夫人は水野の飼いならしにかかっているようだ。

そのために「掲示板に関しては警告と削除を求めます・・・そしていざとなったら警察に介入してもらうことも辞さない態度で臨みます・・・なにしろ・・・いわれなき中傷を受けているわけですから・・・娘さんについては入学が決まれば全力で対応することが教育者として当然のことだと考えます」という水野の提案を吟味した芝田夫人は・・・。

「自分の娘については特別扱いをする」という譲歩であると受け止め、たちまち態度を軟化させる。

その手のひらの返し方があざやかなので・・・芝田夫人と水野の間には何らかの情交があったのではないかと思わせるほどである。

結局、沢村も芝田夫人も・・・点数に関係なく息子や娘が・・・合格すると確信したようだ。

もし、そうならなかったらどうなるかということを二度のクレームで学校側に知らしめたつもりらしい。

そして・・・学校側もある程度、その方向で動く気満々なのである。

つまり・・・暗黙の了解が成立したと言えるだろう。

父兄と学校管理者は合意点に達したらしい。

つまり・・・試験結果の操作の密約が阿吽の呼吸で結ばれたのだ。

職員室組は・・・校内の不審者捜しに乗り出した。

杏子は小西とペアを組んでいる。

「この学校の教師がターゲットだとしたら狙われているのは誰だと思いますか」

「今、困っている人じゃないか・・・」

「やはり、管理職の先生たちでしょうか」

「まあ・・・困っているだろうけど・・・それほど追い詰められてはいないだろうね・・・なんていったっていざとなったら組織として保身に走るだろうから・・・一蓮托生ってやつさ」

「・・・」杏子の顔に複雑な表情が浮かぶ。

宮下と坂本は五歳の年の差カップルである。坂本が年上なのだ。

二人は・・・管理職同志の足の引っ張り合いについての可能性を話し合う。

しかし、管理職候補はいずれも一高OBであり、OB同志が結束した方が得だから可能性は低いという合意に達する。

この二人・・・実は息が合ってるのである。

その二人の周囲には不審者の気配があるが・・・その描き方は衣里奈ではないニュアンスがある。

盗聴して掲示板に書き込みをしている衣里奈とは別の誰かが校内にいる可能性を示唆しているようだ。まあ・・・ミスリードの可能性もあります。

とにかく・・・衣里奈にしろ、沢村や芝田にしろ・・・侵入しようと思えばいくらでも可能な無防備建築物なのである。

職員室に戻った英語採点チーム。

「なぜ入試をターゲットにしたか・・・それを考えるべきではないでしょうか」と再び怪しく杏子が提案する。

「それなら一高に落ちた人間が怪しいんじゃないの」と坂本。

「結局、一高OB以外が疑われるわけか・・・」と小西。

「清煌学院を出てる小西先生を疑うはずないじゃない・・・帰国子女の春山先生は一高の価値さえ分かってないから問題外だし・・・可能性としては・・・三高出身の村井先生とか・・・村井先生・・・数学を三高出身者に任せていいのかと父兄からクレームつけられたことあったし・・・みどりちゃんも一高落ちてるしね・・・私、試験の時、スカートが短いって注意したのよね・・・まさか、それを恨んでるんじゃ・・・」と坂本。

言葉を失う一同だった。

ここまでバカだと・・・杏子の復讐者としての決意も鈍るのではないかと危惧するほどである。

まあ・・・ターゲットとしては坂本先生は・・・やや弱い気もするのですなあ。

ものすごい・・・悪が・・・潜んでいるのかもしれない。そうなると・・・杏子の味方のように見える荻野・・・実は隠された過去があるかもしれないよねえ。

まあ・・・一人一人じゃ弱いから・・・やはり全員抹殺かな・・・何を期待しているんだよ。

コンビニ組は村井とみどりが一高に対するそこはかとない批判を展開し始める。

「あ・・・松島先生は別ですよ」

「買い出しの代金、おごったからって気を使わないでいいよ」

和気藹々の三人である。

60:名無しの権兵衛

教師もグルなんじゃね?

61:名無しの権兵衛

グルだよ・・・決まってる

62:名無しの権兵衛

誰だよ

63:名無しの権兵衛

それはMだよ

64:名無しの権兵衛

村井、みどり、宮下、水野、松島、正夫、勝、的場・・・M多すぎ

こうして・・・学校に残った教師たちは一同に会し・・・疑心暗鬼の職員会議が始る。

突然、松島に対する敵意を示す水野。

なぜか・・・松島の息子の沢村に対する告発が話題に上る。

そして・・・水野はなぜか・・・そのあたりの事情に精通しているのである。

残り四回・・・つまり、映画二本分残っているのである。

「高校入試の逆襲」、「最後の高校入試」ぐらいの波乱は充分に期待できる。

凄いぞ・・・ドラマ「高校入試」!

77:名無しの権兵衛

学校側が答案の改竄、点数の捏造、合格者の操作を決定!

78:名無しの権兵衛

試験なんで意味ないじゃん・・・

その頃、沢村家ではキモい兄貴とキモい弟がキモい会話を繰り広げている。

「お前・・・親父に泣きついてんのか」

「ママには言わないで」

「キモっ」

「兄貴・・・なんで掲示板のこと」

「フリーターなめんなよ・・・ネットなんてひましてるやつらしかやらねえよ・・・おまえ、カンニングもしてたのか」

「そんなこと・・・しないよ」

「おまえ・・・弱い奴にはとことんくらいつくタイプだもんな・・・このフリーターなんかみんな死ねって書いたのお前じゃないだろうな」

「こんなやばい掲示板に書き込んだりしないよ・・・だって受験生なんだぜ・・・」

「へえ・・・そうかねえ」

妄想的にはこの極キモ兄弟の間に田辺光一の友人であるちょっと気のいい沢村次男がいるはずなのだが・・・さてどうだろう。

そして・・・田辺家では・・・明らかに引き籠っている感じの田辺光一(中村倫也 )が登場である。

「淳一・・・お前・・・何かしているのか」

97:名無しの権兵衛

光一アブネ━━Σ(゚д゚;)━━!!

98:名無しの権兵衛

光一生きてたーーーーっヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ

99:名無しの権兵衛

光一出たーーーーーーーっ( ̄ロ ̄lll)

100:名無しの権兵衛

光一・・・・・・・・人気だな。この家、覗かれてんのかっ。

101:名無しの権兵衛

このスレは100を越えたので書き込めません。

新しいスレをたててください。

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2012年12月 6日 (木)

思い出を焼き尽くして進む源氏に懐かしく芽吹いていくもの(松山ケンイチ)

平清盛の人生の最後は大混乱の序章である。

長く続いた平安京の緩やかな全国支配が終焉し、地方勢力の蜂起による群雄割拠の時代が勃発したのである。

これを治めるためには強大な軍事力を維持する必要があった。

そのチャンスは源氏よりも平家の方にあったことは言うまでもない。

しかし、公家化した平家は清盛の死後、常に守勢に回る。

強大な軍事力を持ちながら常に攻めないのである。

戦争の基本は二つである。

一つは戦力の大きなものが勝つこと。

一つは先手必勝である。

平家は常に後手に回る。これは基本的に戦を忌み嫌うからである。

そして、源氏には軍神とも言うべき天才戦術家の源義経。

さらに、常に戦力比を優位にすることを優先する戦略の達人・源頼朝。

二人の異母兄弟がそろい踏みするのである。

平家は戦えば必ず負けることを繰り返し、後退に後退を重ね、ついには壇ノ浦に追い詰められていく。

で、『・第47回』(NHK総合20121202PM8~)脚本・藤本有紀、演出・中島由貴を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は源氏の棟梁・源義朝の後継者・源頼朝の武者姿描き下ろしイラスト大公開。凛々しい、そして若々しい源氏の絵姿・・・惚れ惚れでございます。清盛ファン絶叫、源氏贔屓のお茶の間大喝采の源氏のターン始りましたな。もはや・・・これまででございますなあ。

Tairakiyomori45治承四年(1180年)六月、福原遷都が実行され、日本史上もっとも短命と言える首都が誕生する。清盛の構想では福原・大輪田泊・経ヶ島をつなぐ一大都市が建設される予定だった。しかし、完成までに数年はかかる計画に対して清盛の余命はあまりにも短かったのである。やがて以仁王の反乱に乗じた武装蜂起が全国におよび、鎮圧に失敗した安徳天皇を頂く平家王朝は平安京に還幸せざるをえなくなるのだった。八月、源義朝の遺児・源頼朝は配流地の伊豆で挙兵し、平家方の桓武平氏庶流で伊豆国目代の山木兼隆を討つ。頼朝軍は相模国で平家方の大庭景親・伊東祐親の連合軍に急襲され、石橋山の戦いで敗北、大庭氏の一族・梶原景時の裏切りによって九死に一生を得ると安房国に逃れる。ここで平時忠の継室・藤原領子の策謀によって京を追われた時忠の次男・平時家を娘婿に迎えた上総広常は頼朝軍に合流。下総の千葉常胤も頼朝に従い軍勢は二万騎に膨れ上がった。十月には武蔵国に入り、平家方に属していた畠山重忠などが寝返って続々と参陣。頼朝は父・義朝の所縁の地・鎌倉に本営を構える。この頃、信濃国では頼朝の従兄弟・木曽義仲が挙兵し、甲斐国では甲斐源氏の武田信義が呼応する。一方、清盛は総大将を重盛の嫡男・平維盛とする頼朝追討軍を九月には派遣することに決していた。しかし、各地で徴兵しつつ東進する平家方の進軍速度は遅く、駿河国に到達したのは十月中旬となっていた。関東における平家方の大庭氏、伊東氏は頼朝軍によって各個撃破され、富士川西岸に布陣した維盛軍は孤軍となっていた。これに対し頼朝軍には甲斐源氏軍も合流し、十万騎に膨れ上がる。追討軍であるにも関わらず平家軍は進軍を中止し、頼朝軍が姿を見せると戦わず撤退したのである。源氏は平氏の総崩れ状態の退却を「水鳥の羽音に驚いて逃げ出した」と嘲笑する。この一戦で平家の武家としての高名は地に落ちた。戦勝に湧く頼朝軍に奥州から馳せ参じた源義経が劇的に合流するのだった。結果として清盛は人生の最後を畿内防衛戦に追われることとなる。

各地に散った平の忍びは情勢を福原に伝える。しかし、その情報は途絶えがちだった。

忍びたちは土着化し、ついには各地の豪族に仕えるようになっていったのである。

継母に陥れられ都落ちした平時家も平の忍びを伴っていた。京のくのいちの頭である朱雀は異母姉であるが・・・時家の都落ちには同情的だった。そのために配下のくのいちの一人・風馬を時家に従わせていた。時家はこれを愛人としたが、風馬の画策で房総半島の実力者の一人、上総家の婿に収まることができた。上総家にとって従四位下右少将の時家は充分すぎるほどの貴人だった。義父となった上総広常は上総権介で従六位下相当だったのである。

風馬を頭とする時家の忍び郎党は時家が上総家で珍重されるために手段を選ばなかった。

頼朝は時家の存在を知ると・・・ただちに鎌倉に召しだした。

都を離れて長い頼朝にとって前年に都落ちしたばかりの時家は貴重な情報源だった。

富士川の戦いの後、関東の経営に乗り出した頼朝は平時家を非公式の相談役とする。

権謀術策に優れた平時忠を父に持つ時家は策士だった。やがて・・・風馬の組織した忍びたちは頼朝の忍びと化して行く。

一方、逝去したばかりの重盛を父に持つ維盛は命からがら退却していった。甲斐源氏は戦勝の後に甲斐に戻り、頼朝軍は反転して関東の制覇に向かったために追撃者はなかったのだが、平氏の惨敗を聞き、退却路の源氏が次々と蜂起したのである。

平の忍びが分散化して勢力を弱めたのに対し、近江青墓を根拠とする源氏忍びは活性化していた。以仁王の偽書が出回ったのはすべて源氏しのびの暗躍による。

十一月には尾張国、美濃国の源氏が蜂起し、敗兵となった平氏軍は落ち武者狩りの憂き目を見る。

御曹司大事の侍大将・伊藤忠清は近江の源氏蜂起も近いとみて伊賀路を選んだ。

平しのびの本拠地である伊賀でさえも・・・油断はできない状況に伊藤忠清は蒼ざめた。

八条院の放った陰陽師たちが潜伏していたのだった。

九月に都を発った平維盛の親衛隊は千騎だったが・・・都にたどり着いたのはわずかに十騎だったという。

清盛はこの大惨敗を喫した平維盛に流罪、忠清に死罪を賜るべきだった。

しかし・・・重盛の忘れ形見である維盛、父の代からの侍大将忠清を罰するには・・・清盛は老い果てていたのだった。

朱雀の報告を受けた清盛は大和田の海を眺めていた。

「・・・もはや・・・これまでじゃな・・・」

「・・・」

「京にもどらねばなるまい・・・」

十二月を待たず・・・清盛は福原遷都を断念した。

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2012年12月 5日 (水)

そして、姉の浮気相手はいなくなった(真木よう子)VSごめんなさい・・・悪いとは思っていないけどと彼は言った(宮﨑あおい)

急に身近な誰かがいなくなるのは応えるものだ。

人間工学的にそうなのである。

認知のドーパミンの分泌不足になるのである。

その人の顔に、声に、匂いに、ぬくもりに、味になじめばなじむほど・・・たとえばうんざりしたりしていも・・・刺激を失えば反応を失うのである。

知っているものが発する安心感を脳が感じられなくなり、それが不安を呼び、過剰な不快感を生みだすようになる。

鬱のメカニズムである。

家族や友人、職場仲間、近所の人にペット・・・ありとあらゆる馴染み深いもの。

そういうものから逃れたい人は認知力が弱かったり、認知のドーパミンのメカニズムに機能障害がある可能性がある。

だが・・・そういう機構を知っていたとしても・・・誰かがいないことで寂しくなったり、何もかもを捨て去りたくなったりするのが人間という厄介な生き物なのである。

キッドは大画面にはあまりなじめない。

程よい画面であまり横へ横へと広がらない画面で・・・ちまちまとテレビを見ていたい。

それが一番、安心できるのだ。

人類が滅亡しても生きていける気さえします。

で、『遅咲きのひまわり~ボクの人生、リニューアル~・第7回』(フジテレビ20121204PM9~)脚本・橋部敦子、演出・植田泰史を見た。第2回の記事で四万十市の人口を3万5千人ほどと書いたがドラマではおよそ3万6千人と言っていた。まあ、この場合は誤差の範囲内と考える。しかし、4万10人を目指す場合、後、4千人か、後、5千人かは結構重要な問題かもしれない。なにしろ、スポンサーが高知県だからな。あれかな・・・やはり「四万十市ばかりでなく高知県全体の話題も盛り込めませんかね」とか言われてるのかな。帽子パンの件・・・営業の人、御苦労さまです。

青春物語で脇役の誰かが死ぬ(主に自殺)のはお約束だが、禁じ手でもある・・・安直さが滲み出るからである。初回にいきなり世話好きの近所の老婆(倍賞美津子)を殺したドラマである・・・今回は予告編まで四万十市地域おこし協力隊隊長・藤井順一(桐谷健太)の生死不明を引っ張るわけだが・・・死なないと思う。いや、タイトルで歌う姿が出てくる度に「こいつもう死んでるんだぜ・・・」とお茶の間に思わせるのは反則だと考えるからである。

三年契約の四万十市役所臨時職員の小平丈太郎(生田斗真)は二階堂かほり(真木よう子)と川でひと泳ぎした後でお茶を飲むのだった。

そこへ四番ピッチャー松本弘樹(柄本佑)がやってきて合流する。

「俺・・・彼女の部屋から出たんだ・・・」

丈太郎が片思いしている看護師・森下彩花(香椎由宇)についてである。

丈太郎に言っているのか・・・十年前に別れたかほりに言っているのか・・・微妙なところである。

しかし丈太郎は素直に「でも・・・俺・・・彩花さんにふられちゃったんだ・・・」

「・・・」

「誰も愛せない・・・って言われて・・・」

「そんなこと言われたの・・・」と反応するかほりだった。

とにかく、丈太郎は市民病院リハビリアシスタントの弘樹と大河内欣治(ミッキー・カーチス)が三歩歩けたことを抱き合って喜んだり・・・因縁の野球対決をついに果たしたりと・・・仲良し度を高めたのであった。

現在の状況はこんな感じである。

丈太郎→→→←←←弘樹

丈太郎→→・・・・・←←かほり

丈太郎→→→→・・・←彩花

丈太郎→・・・・・・・←市会議員の娘の今井春菜(木村文乃)

丈太郎→→・・・・・・・←順一

丈太郎・・・・・・・・・・・・妹に異常な嫉妬心を燃やす島田さより(国仲涼子)

さよりはついにかほりに心情をこぼす。

「私はあたしより頭がよかった・・・あんたより・・・ちやほやされてたし」

「それで・・・私が東京行って医者になって戻ってきたことが腹立たしいの」

「東京に行くなんて・・・思いつかなかった・・・この町で幸せになるのが当然だと思っていた」

「それを・・・頭が悪いって言うんじゃないの・・・」

「むきーっ」

中年男に弄ばれた春菜は両親の決めたお見合い結婚路線に乗せられ、そのコースの先輩である。さよりに問いかける。

「お見合い結婚して・・・幸せになれますか」

「私は幸せよ」

「うそくさい」

「むきーっ」

病気をかかえる夫のために擬似愛妻弁当を作ったのに食べてもらえない上にちょっとコーヒーを飲んで帰ってきたら咎められて。

「むきーっ」

そんな・・・さよりをあくまでお姫様のようにあがめる順一。

二人はボランティアでわけありの男と女が一夜を過ごす民宿でついに一線を越えようとする・・・先週越えてなかったのかよっ。

高校時代にできなかったさよりとのツーショット撮影をせがむ順一。

成り行きでさよりの唇を奪う順一。

順一の唇を奪い返すさより。

獣のように貪りあう二人・・・と思ったらさよりの結婚指輪で萎える順一だった。

・・・獣根性なさすぎるだろっ。

もう、許す気満々だったさより。

「むきーっ」である。

順一と丈太郎の関係も冷えていた。

丈太郎→→←←←商店街のおっさんたち

順一→→→→・・・・・商店街のおっさんたち

・・・だからである。

その頃・・・ナース森下は悶々とした夜を過ごし・・・自傷である。

ナース森下も自殺要員なのである。

しかし・・・森下と丈太郎。かほりと弘樹のパートナー・チェンジもそこはかとなくありのムードなのであるが・・・「サンリバー」の忍びのマスターはうっかりカップを落してぶちこわしである。このシーンのためのタメ・・・長かったな。

そして・・・新しい土地で新しい人生を切り開こうとする丈太郎と・・・新天地をどうしても夢見ることができない心の底から臆病な順一の心はすれ違って行く。

「今、人口3万6000人だから・・・4万10人を目指すのって・・・どう?」

「・・・頼むよ」

商店街の人々の意見を聞いて・・・それを順一に伝えようとする丈太郎だが・・・。

順一はすでに・・・不在だったのである。

二夜連続・・・抱いてくれたらいいのに展開万歳。

で、『行為んく・・・荒淫苦・・・香インク・・・コーインク・・・コ▼▼ーインク▼▼・・・だからどうしたいんだよ・・・ゴーイング マイ ホーム第8回』(フジテレビ20121204PM10~)脚本・演出・是枝裕和を見た。ついにレム睡眠行動障害を発症する良多(阿部寛)だった。弱いものを苛めたいという心理は猫時代の名残なので誰もがもっている。「いじめはいけない」と言えば言うほど夢の中では「クーナを虐待している」のが人間というものなのだ。

キッドと同様に萌江(蒔田彩珠)もまたが気になって仕方ないので窓辺のに心を奪われてしまうのだった。を使いたいだけだろうっ。

「ごんぎつね/新美南吉」(1932年)

(ダイジェスト開始)

兵十(ひょうじゅう)が母親のために獲った魚を悪戯心で逃がしてしまったきつねのごん。

兵十の母親の葬儀で事情を知り気が咎めるのだった。

お詫びのために兵十の家に魚介類を届けるのだが兵十は魚泥棒の容疑で取り調べを受ける。

兵十はきつねの悪戯に業をにやし・・・ごんを火縄銃で撃つ。

しかし・・・ごんの運んだ栗で・・・ごんの意図に気がつく兵十。

「おまいか・・・」

「・・・」

(ダイジェスト終了)

「この時、ごんは哀しかったんですか・・・それともうれしかったんですか」

「それ・・・先月の教材ですよね」と萌江の時間差攻撃にたじろぐ杓子定規な担任教師・園田(千葉雅子)であった。また・・・有名人の母親に怒鳴りこまれたらどうしようと・・・「手袋を買いに/新美南吉」(1943年)を貸しだしてお茶を濁すのだった。

(ダイジェスト開始)

寒くなったので子狐に手袋を買ってやろうと思った母狐。

子供の手を人間の手に化けさせて店の戸から手だけ出すように指示する。

うっかり狐の手を出してしまった子狐だったが・・・現金払いだったために手袋を購入できる。

「人間って優しいね」

「お金を持っていればね」

(ダイジェスト終了)・・・おい・・・なんですか・・・オチ違うんじゃないか・・・解釈の問題です。

問題生徒を早く送り出したい園田だった。

まつたけをマヨネーズで食べる良多。

「いいんじゃないの」と良多の父(夏八木勲)。

「いや・・・いくらなんでも・・・それはねーな」と沙江(山口智子)。

そんな場面ないだろう・・・いや、妄想的にはマヨまつたけ美味しくいただきました。

そして・・・一家は三人で仲良く・・・長野の田舎町に向かうのだった。

こういう時に限って隣の小林(バカリズム)は姿を見せないのだった。

タクシーの徳永は「誰にも褒めてもらえなかったら自画自賛するしかないよね」

良多は姉(YOU)を思い出す。

「お母さんたら・・・お父さんを愛しているのよね・・・私、そこまで夫のこと愛してないなと思って」

「だから・・・夫と子供たちを残してプチ家出ですか・・・厄介な人だな」

「なによ」

「健次(安田顕)くんの焚きこみごはんおいしそうだったな」

「姉の旦那なんだから・・・さん付しなさいよ」

「・・・まったく」

こういう姉がいなくてホッとしたものも・・・実在する姉を思い出してゲンナリした人もきっといると思われる。

そういう姉本人は自分がそうだとはけして思わなかったもします。

ついに対面する・・・沙江と菜穂(宮﨑あおい)・・・和気藹々である。

しかし・・・クーナのイベントの打ち合わせを終えて坪井一家を送り出した菜穂の表情は曇る。

ふりかえったら良多は「なんだ・・・俺に気があるのか」と誤解するところだが・・・今回は菜穂が捨てられた女であることが明らかになる回なのである。

リアルに菜穂を捨てられる男は芸能界広しといえどもそうは多くないが・・・。

菜穂の失踪中の夫・めぐむ(加瀬亮)である。・・・おまいかっ。

しかも・・・あやしげな母娘凛・のん登場である。

めぐむは酪農家に住み込みで働いているらしい。

「そうか・・・大地(大西利空)も小学生か」

「この辺は・・・めぐむに似てるよ」

「そうかな・・・」

「サッカーやってる」

「ふうん・・・町どうなってる?」

「今、4997人」

「だから言ったんだよ・・・ダムなんか造ったってろくなことないって」

「そうだね・・・」

「あの町はもうだめさ」

「・・・だから(私を)捨てたの?」

「俺は(町のために)やれることはやったもの」

「私はそんな風には捨てられない・・・生れ育った場所だし」

「俺はあんまりいい思い出ないんだ・・・あそこに」

「(私とのことも)・・・」

「やり直したかったんだ」

「別の人とってこと・・・」

「・・・」

「一緒に暮らしてるの?」

「・・・なんか菜穂らしくないな」

「らしくないって・・・(私ってどういう感じなの)」

のらりくらりと肝心なことは言わない悪い男だった。

そして・・・きっと・・・菜穂は要領の悪い女なのである。

歩み去る菜穂はこらえきれずに振り返る。

「なんで黙って出て行ったの?」

「すまない・・・でも、俺・・・後悔してないんだ」

菜穂の涙に落ちない男を演じられる人も少ないよね。

ひどい男であるが・・・菜穂はそういうタイプに弱いらしい。

傷心して帰った菜穂はさすがに歯型コレクターの父親(西田敏行)に甘えるのだった。

「人口一人増やそうと思ったんだけど・・・失敗しちゃった」

「そんなやつ・・・あきらめちゃって・・・次にいけばいいよ」

「後悔してないって言われちゃった」

「・・・」

「なんだっけ・・・お母さんの口癖・・・」

「後悔というのはかってそこに愛があった証拠だ」

「それってなんかの小説の引用なのかしら・・・」

「トイレの日めくりのカレンダーの今日の一言だよ・・・母さん、気にいってその日のやつだけとっておいたんだ」

「誰の言葉なの・・・」

「北欧に伝わる諺だってよ」

「じゃあ・・・やっぱりクーナの言葉かしら」

「・・・」

そして・・・いよいよ・・・クーナ探索の日がやってくるのだった。

結局・・・萌江と菜穂がヒロインなんだよな。

まあ、二人を裏で繋いでいるのは沙江だけどな。

・・・おまいにとってはな。それより再現率高めな・・・。

いじれないよなあ・・・これは。

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2012年12月 4日 (火)

返品された1200万円の商品の下取り価格8万円、追いかけてきてほしい人が来なかった夜の暗さPRICELESS(木村拓哉)

月9なのである。

こらえきれずに恋心は芽生えるのである。

だってだってなんだもんなのである。

わがままは社長の罪、それを許さないのは役員の罪・・・的な。

もちろん、あくまでビジネス・パートナーとしてのやりきれなさとして無理矢理捉えることも可能だが・・・月9だからそれは無理なのだ~。

だって・・・「あなたも彼が好きなんでしょう」と問われて「あるわけないでしょ・・・そんなの」とタイトルで応答していますから~。

好きになっちゃったんだよね~。

ま、ヒロインだからな。

まあな・・・乙女が平泉成と比較されて、平泉成と対抗して、平泉成を選択されたら、どうしていいかわからなくなるよな。

まして、ライバルであるモアイに同情されちゃあねえ。

なにしろ・・・お茶の間は忘れがちだがドブネズミみたいな人生を生きて来たヒロインなんだから~。

しかし・・・能天気な主人公が心を改めることは考えられないので、結局、ヒロインがしょうがないなあ・・・もうと言うしかないんだよね。きっと、そうだよね。

戦国武将で言うと・・・豊臣秀吉(モアイ)ばかり可愛がる織田信長(社長)に対する明智光秀(ヒロイン)みたいな展開ですけれど~。

で、『PRICELE$S?あるわけねぇだろ、んなもん!?・第7回』(フジテレビ20121203PM9~)脚本・古家和尚、演出・鈴木雅之を見た。ビジネスマンでないとややわかりにく構図がいくつかあると思う。ものすごくシンプルに分析すると・・・かってミラクル魔法瓶はミラクル製作所に開発のリーダーシップをとらせ、製品の製造はおよそ10社の下請け工場が分業していたらしい。工場そのものの生産力は町工場的にあまりかわらないとすると・・・ミラクル製作所のおよそ10倍の生産量が確保できたと言えるだろう。ハピネス魔法瓶の「究極の魔法瓶」は200×2(最初の生産量は半月分)×10で4000台である。これが完売するようだと月商2億4000万円、年商28億8000万円になります。まあ、究極の魔法瓶が年間4万8000個売れたとして~。一方、町工場の社員が10名とした場合、およそ100名の人間を「ミラクル魔法瓶→Miracle Electronics」は経営合理化で切り捨てているわけである。大屋敷社長(藤木直人)は「一人を犠牲にしても・・・」などと譬え話をするわけですから・・・魔法瓶部門だけでも「百人」を路頭に迷わせていることを忘れてはならないだろう。

さて・・・六万円の魔法瓶の購買層は第一に超富裕層だろう・・・つまり、すべてにおいて最高級品をなんとなく買うわけである。しかし・・・実際には「趣味人の一点豪華買い」が主流なのではないだろうか。他は質素に暮らすが「魔法瓶だけには金を惜しまない」というひとである。そういう人が五万人いるかどうかだよな。

そこは・・・ものすごく・・・微妙だ。

しかし・・・どうやら・・・全国紙であるらしいビジネス・ペーパー。この宣伝力はかなりあるようだ。その人気コーナーである「ネクスト・ワン」の推薦商品なら必ず買うという流れがあるわけである。

しかし・・・そういうものは基本的に一過性である。

一発大ヒットを放ったハピネス魔法瓶が年末に大量在庫を抱えて・・・頭を抱える未来がないわけではない。しかし・・・その時返品されるのは200個ではなくて何万個である。・・・絶対に寝る場所ありません。ま・・・そういう心配はさておいて・・・。なにしろ・・・おそらく・・・この物語はクリスマス頃には決着していそうですから~。

しかし、今回、幸福荘のハピネス魔法瓶に収納された魔法瓶は199個である。

大雑把な二人は「凄くないですか・・・一個もうれないなんて・・・」と金田一社長(木村拓哉)。

「とにかく・・・二百個もあったら眠れないから廊下に置かせてもらおう」と平のモアイ(中井貴一)。

「絶対、駄目」と大家の鞠丘一厘(夏木マリ)と呑気な展開である。

しかし、数字にうるさい二階堂彩矢(香里奈)は「199個しかない」と事実を確認するのだった。ここで・・・決算の問題が発生しているのだが・・・まあ、ドラマなので・・・アレなのである。たとえ・・・200個完売したとしても・・・大量生産に踏み切るためには・・・予算がアレなのである。材料費もない自転車操業なんだからなあ。しかし・・・そこは月9的展開で目をつぶるのが大人というものでございます。・・・じいやかっ。

とにかく・・・足りない一個は新製品紹介のカリスマ記者「ネクストONE」の能見実(香川照之)のデスクの上にあった。

ハピネス魔法瓶の「究極の魔法瓶」を絶賛である。

記事の掲載されたビジネス・ペーパーが発行されるや・・・話題は沸騰するのであった。

そうとは知らぬ・・・ハピネス魔法瓶経理担当重役の二階堂はリサイクルショップに二束三文で売り飛ばす算段をつけていた。

とりあえず・・・寝る場所が欲しかったのだ。

その総額は8万円である。

「いくらなんでも・・・」と青ざめるモアイ。

しかし、無情にも199個の究極の魔法瓶を乗せトラックは走り去・・・ろうとしたのだが、ここに起死回生の大量発注の電話がかかってくるのだった。

買い戻すのに8万円プラスアルファがかかったはずだが・・・そこは二階堂が値切ったことは間違いない。

人気爆発の秘密を知った三人。

次々と舞い込む注文に歓喜する金田一はすぐに「拡大再生産」という企業の論理にとびつくのだった。

ミラクル製作所の辻所長(志賀廣太郎)を通じて・・・かってのミラクル魔法瓶の下請け工場の社長たちを集合させたのだった。

幸福荘の一室に集うおっさんたち・・・もはや怪しい宗教団体の匂いがします。

「社長の金田一です・・・一緒にみんなで究極の魔法瓶作ってください」

社長たちと顔なじみのモアイも頭を下げる。

「こいつ・・・この年でヒラなんだよな」と辻は笑いをとるのである。

その気になる社長たちであった。なにしろ・・・ミラクルから切られて切羽詰っているからわらにもすがる思いなのである。

まさに・・・金田一は救世主なのだった。だから・・・やはり・・・これは一種の宗教なのである。

だって・・・奇跡なんてものは宗教的なものですからーーーっ。

その宗教的な熱狂の中・・・一人覚醒していたのは・・・二階堂だった。

しかし・・・その冷静さは一種の個人的情熱に支えられていたのである。

もちろん・・・二階堂は自分の心にどんな炎が燃え始めているのか・・・まだ気がつかないのである。

祝杯をあげるために・・・馴染みのバー「キングスコート」に向かう金田一とモアイ。

そこには金田一を一目見ようと能見記者がやってくる。

「次は何を作るのですか」

「無計画です」

「ビジネスは・・・継続することが肝心ですよ」

能見記者は数多くの成功者を見て来た目でモアイを値踏みするのだった。

能見記者は新製品以外に関しては目が節穴だった。

その頃、二階堂は一人・・・急激に拡大した組織を運営するために作業の分担と行程表を作成していたのだった。

コストダウンのプロである二階堂は逆算して企業を運営する能力が芽生えていたのである。

一応、営業のプロである金田一は「自分にはできないことをする」二階堂を賞賛する。

評価された二階堂の心は着火するのだった。

その頃、ハピネス魔法瓶の最初の成功について話し合う二組の者どもがいた。

一組は合理化の鬼・大屋敷社長と裏工作のプロ・財前(イッセー尾形)である。

「なんとか・・・しちゃいますか」

「いや・・・彼は必ず破綻する・・・放っておきなさい。ゴミはいくら拾ってもゴミなのだから」

もう一組は金田一の一応の恋人・広瀬遙子(蓮佛美沙子)とその父親・広瀬ファンドの社長の広瀬遼一(草刈正雄)だった。

「うれしそうだね」

「彼が・・・うまくやってるみたいだから」

「そう・・・彼は魅力的な男だからね」と怪しく微笑む広瀬(父)だった。・・・いつまでも二枚目だな。

広瀬社長は金田一社長がうまくやっているかどうかには言及しないのである。

社長だらけのドラマなのだった。

財前は・・・榎本小太郎(藤ヶ谷太輔)に金田一に関する情報収集を命じる。

さっそく・・・金田一に接近する榎本。

金田一はその意図を悟り・・・責めることはしないがうるさいハエを追い払うようにあしらう。

この辺り・・・金田一はただの御人好しではないのである。

榎本の心中にも複雑な思いが渦巻くのだった。

一方、火がついてしまったために・・・暴走を開始する二階堂。

ハピネス魔法瓶を存続させるためにはコストダウンのための量産化・・・つまり合理化が必要なのである。

そのために・・・生産力の低い相馬工業の社長(平泉成)と衝突してしまうのだった。

「量産してください」

「無理なものは無理なんだ」

二人に割って入り宥めるモアイだった。モアイは調整役としてのプロなのである。

もちろん・・・経理としてはプロだが・・・生産工程のデザイナーとしては素人の二階堂である。不備の多い作業工程の見直しを迫られる。

もう、お気づきですね。

二階堂は「彼」のために・・・会社を成功させたい一心の「女」になってしまったのだ。

そんな二階堂を単に仕事に夢中すぎると感じるような金田一だった。

部下を慰安する意図で食事に誘うのである。

それは・・・二人の最初のビジネスでその後フランチャイズ化されたホットドッグ屋の視察を兼ねていた。

しかし・・・焚きだしを一緒に食べることに比べたら・・・デート色は強いのだった。

「彼」と食事をする喜びがどんどん湧いてくる二階堂なのである。

そこへ・・・月9的に偶然やってくる広瀬(娘)である。

仕事に夢中の金田一はそっけなく二人を置き去りにして去っていく。

まあ、ある意味、三角関係から脱出するずるい男に見えなくもないのである。

残された二人。

「あなたも・・・金田一さんが・・・好きなんでしょう」

「あるわけないです・・・そんなこと・・・」

しかし、二階堂は焦げ臭い匂いを幽かに感じるのだった。

昼間働く二人に対して何やら毎晩飲んでいるモアイである。そんなモアイに危機感を感じる二階堂。

「彼」のビジネスの邪魔になったらどうしようと思うのである。

そして・・・彼女は徹夜でコストダウンに取り組むのである。

そんな二階堂にざっくばらんに接近する金田一。悪意はないのだが・・・ものすごく悪い男なのである。

冬の寒さがつらぬく・・・幸福荘の一室で・・・ひとつのふとんをかぶり・・・「彼」のぬくもりを感じて、二階堂は目の前に炎が燃え出して煙が目に沁みるのだった。

(うわ・・・なんだ・・・こりゃ・・・)

「そ、そりゃ、い、いーすたーとうじゃないか」

モアイが寝ぼけて、恋のボヤはひとまず鎮火である。

この瞬間、二階堂の深層心理ではもはやモアイは最悪の邪魔者として位置づけられたのである。

素人の運営する作業工程に綻びが発生する。

納品に停滞が発生したのだった。

商品が届かないためにクレームの電話が店舗から届く。

在庫不足は信用問題にかかわってくる。

一国一城の主である各工場の社長たちにも不協和音が生じる。

「足をひっぱられちゃかなわねえな」

「なんだ・・・おれのことか」

原因は相馬の工場の作業の遅延だった。

「迷惑かけて悪かったな・・・」

身を引こうとする相馬に「彼」のビジネスにとっての障害となるからと冷たい言葉を投げる二階堂。

「やめてもらった方がいいかも」

しかし・・・肝心の「彼」は「切り捨てるなんてできません・・・一人でもやめるなら・・・もう魔法瓶を作ることなんて意味がない・・・すべてやめにします」と宣言するのだった。

二階堂とともにお茶の間一同驚愕である。

「できない子を捨てる親なんて最悪でしょう。あっちの子が優秀だから・・・もらうとか、こっちの子は使えないので売るとか・・・そんなの家族としては最低です」

「いや・・・会社は家庭じゃないぞ」

「ぼくはみんなではじめたことはみんなでやりとげたい・・・その方が楽しいもの」

「だって・・・金田一さんの会社がつぶれちゃいますよ」

「そんな会社ならいらない」

一度ホームレスになったために・・・こわいものがなくなってしまった金田一。

そこから・・・はいあがろうとしてきたドブネズミの二階堂には理解しがたいのである。

しかし・・・彼女はそんな彼に恋をしているのだった。

ここからは・・・二階堂は「自分」と「恋心」の間でずっとずっとめまいを感じ続けるのである。

いたるところから出火状態なのである。火災報知機が鳴りっぱなしなのである。

そこで突然、存在感を露わにするモアイだった。

モアイは夜の営業で社長たちの事情を把握していたのだった。

「相馬さんのところの作業の遅れは設備に問題があるからなんだ」

「そうなんですか・・・もっと教えてください」

かっての上司モアイに縋る金田一である。

二階堂を置き去りにして・・・社長とヒラは立て直し策を講じ始めるのだった。

そうなれば・・・素人の二階堂の出る幕はないのである。

「なんのために・・・私は6万円の製品価格を5万4千円まで引き下げたと思っているの」

しかし・・・それを金田一にぶつけることはできないのである。

だって・・・それはありえないことなのだから。

男たちの結束によって再び軌道に乗りはじめる「究極の魔法瓶」の生産。

金田一は廃棄物処理場から拾い上げた最初のミラクル魔法瓶を示す。

「これを作った皆さんだから・・・お願いしたんです・・・これは古いけれど・・・今でも輝いている・・・ぼくにとって宝物なのです」

教祖の発言にうっとりする信者一同に馴染めない二階堂だった。

工場同士の資産の運用で急場をしのぎ・・・究極の魔法瓶の価格は5万6千円に落ち着いた。

二階堂抜きで作られた行程表で生産は軌道に乗ったのだった。

祝杯をあげる男たち。

しかし、二階堂は火照る心身をもてあますのだった。

一人・・・店を抜け出し風にあたる二階堂。

そんな二階堂を気遣ってやってきたのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・モアイだった。

モアイじゃだめだろう・・・恋の消防自動車は「彼」なのだ。

二階堂の心は全焼である。

順調に進展するハピネス魔法瓶。スパイである榎本も微笑む展開である。

社長たちの心はまとまり、相馬などは「まるで先代社長みたいな男だ」と大屋敷社長には絶対に聞かせられないセリフを言いだすのだった。

モアイと傘下の社長たちは超社長となった金田一についに・・・社長室をプレゼントするのだった。

社長の椅子に座り・・・有頂天になる金田一。

その頃・・・二階堂は焼け跡を残し・・・何もない青空へ向かって新しい一歩を踏み出すのだった。

ワンツー。

Jumpin' Jack Flash/The Rolling Stones

私は泳ぎを忘れた人魚姫

渚に打ち上げられて

死んだ気分

足で歩いたことなんてないから

転びまくって

たちまち血まみれになっちゃうの

パンなんて乾きすぎでしょ

恋の矢が胸をつらぬいて

プロポーションが良くなったみたい

さあ、胸のふるえを止めてちょうだい

見えるのはあなただけなの

抱いてくれたらいいのに

抱いてくれたらいいのに

抱いてくれたらいいのに

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An007ごっこガーデン。返品の多い愛の巣セット。アンナモアイさんはダーリンのひるまない心を賛美してくれたのぴょ~ん。ものすごい重圧に耐えてそれに向かう心はきっと震えているのぴょん。でも歯をくいしばって立ち向かう・・・あ~ん、まぶしいぴょんぴょんぴょん。感じるままにレビューに立ち向かうのでしばらくお待ちください・・・レビューできましたぴょん・・・じいや、うちの魔法瓶はおいくら・・・6億円なの・・・ふたにダイヤがついてるからなのね・・・だそうだぴょん・・・そしてリピなのぴょんまこ毎週が15分拡大なのでしゅ~。拡大時間がなかったら出番のない人がいるかもと思うとドキドキだじょ~。今回は金田一社長のターンで大屋敷社長は様子見でホッと一息でしゅ。フジッキーファンのためにも最後は兄弟仲良くなりますように・・・二階堂も早く帰ってきてくだしゃ~いくう今回はちょっとハピネス魔法瓶が魔法の国みたいなことに・・・彩矢にとってモアイさんが恋のライバルになるなんて・・・恐ろしいことだよね・・・でも・・・ミラクルじゃない彩矢がきっと最後はミラクルになるんじゃないかな~・・・脱現実ではなくて超現実的に~・・・彩矢の早期復帰を希望するよ~みのむし師走です~年末年始のSPドラマもお楽しみ~るるるちーずえーと・・・悪夢ちゃんですikasama4皆さん、年賀状の進行具合はどうでしょう・・・ふうmariシナリオに沿ったレビュー取材しました~・・・三人そろって一人前の三人なのに二階堂抜けて大丈夫かしら?

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2012年12月 3日 (月)

MONSTERSとは「相棒8最終回スペシャル・神の憂鬱」で伊達香警視を演じた絶対に負けない女(水野美紀)のことですか?(山下智久)

はい、またお会いしましたね。

今回は・・・なんと犯人サイドはほぼ完璧なんですね。アリバイがないのは惜しいですねえ。

こわいこわいこわい、殺人者を演じる女優さんは大手芸能事務所を独立してから、いろいろと苦労しているという噂のある人なので・・・迫力がありますね。

その前はあまり大きくない事務所にいて、写真雑誌のグラビアモデルなんかもなさってたんですね。

真っ赤な真っ赤な真っ赤なブルマなんかをはいていたりしていたそうです。

それから二十年、息の長い女優さんになりましたね。

日本では数少ないアクションの出来る女優さんでもありますよ。

それから最近では映画でヌードも披露しています。

このような体を張って演技ができる女優さん、大事に大事にしてもらいたいですねえ。

それにしても、殺す気に満ち溢れて、用意周到に手袋まではめて、どうして携帯電話の電源切り忘れたんでしょうねえ。

人間はそういううっかりをついしてしまうものなんでしょうか。意外とそうなのかもしれませんねえ。

それから・・・いろいろと画策するためにあんな目立つ美人さんが現場付近をうろうろしていて誰にも見つからなかったというのも面白いですねえ。

もう、いたるところで監視カメラに映っているんじゃないでしょうか。

このあたりの詰めの甘さはこのドラマならではの面白さです。さすがですね。

さあ、時間が来ましたよ。ドラマの後でまたお会いしましょう。

で、『MONSTERS・第7回』(TBSテレビ20121202PM9~)脚本・蒔田光治、演出・福澤克雄・大澤祐樹を見た。ゲストの水野美紀が本格的にゴールデンの連続ドラマでゲスト主演するのは2010年以来である。そういう意味でも今回は貴重な作品であると言える。もちろん・・・登場した瞬間から間違いなく犯人だ。

今回はいきなり、法廷シーンから始る。

殺人事件の証人として召喚された平塚刑事(香取慎吾)だった。

裁判長(山上賢治)から「けして嘘をつかないでください」と言われ、不安になる平塚。

殺人現場から逃走してきた被告・沢村(大沢健)と五円玉を拾おうとしていた平塚は衝突してしまったのである。

若手の政治家の沢村の恋人でもある弁護士の藤川(水野美紀)は質問する。

「あなたはその時、落ちていた五円玉を拾おうとしていましたね」

「申し訳ありません。裁判長・・・私は供述調書で嘘を述べました・・・五円玉を拾っていたと言うのは嘘で・・・落ちていた五円玉をネコババしようとしていたのです・・・さすがは優秀な弁護士さんです・・・まるでどこかで私を見ていたように私の隠していたことを見抜くとは・・・」

「いえ・・・ただ拾ったんだから・・・落ちていたと思っただけです・・・あの・・・そこ重要ですか」

「重要だと思います・・・なにしろ・・・刑事が横領罪を告白するほどですから・・・」

弁護人と証人の間に火花が散るのを確かに感じた西園寺刑事(山下智久)だった。

被害者は「Gジャーナル」記者の二階堂(榊英雄)である。

実際は有名人のスキャンダルをネタに強請を行う不良ジャーナリストで、沢村も過去の賄賂の事実をネタに金銭を要求されていたのである。

殺害当日も・・・二階堂と面会するために出版社に行き、社内で死体となっていた被害者の第一発見者となった。

動転した二階堂は出版社を飛びだし、たまたま五円玉をネコババしようとしていた平塚刑事に衝突し、その後でたまたまかかってきた恋人の藤川弁護士からの電話で我を取り戻すと・・・藤川とともに出版社に戻り、二階堂が死んでいることを確認。警察に通報したのだった。

そして、状況などから・・・沢村は容疑者として取り調べを受け、犯行を否認したまま起訴されてしまったらしい・・・そもそも・・・検察が起訴にふみきるかどうかも微妙なところである。

しかし・・・犯行現場には沢村の私物であるキーホルダーが落ちていたのが一応、証拠になったのだった。

そして、出版社の金庫からは沢村についてのスキャンダルの資料が発見されたのである。

容疑者否認のまま起訴というのもなくはない。

しかし・・・平塚は沢村に呼び出されたという藤川弁護士の嘘を見破ってしまったのだった。

「西園寺さん・・・御手数ですが・・・弁護士さんの過去を洗ってみてくれませんか」

「真犯人は・・・弁護士さんなんですか」

「さすがは西園寺さん・・・第7話ともなると話が早いですね」

「そうおっしゃると思って事前に調べておきました・・・藤川弁護士は絶対に負けない弁護士と評判ですが・・・勝訴するために証人に偽証させているという黒い噂があるそうです」

「なるほど・・・二階堂がそれを理由に強請をかけた可能性がありますね」

「しかも・・・藤川弁護士には犯行時のアリバイがありません」

「いつもはアリバイにこだわる脚本家が・・・今回は濡れ衣工作に力を注いだというわけですか」

「偽証の件・・・裏をとりますか・・・」

「その必要はないでしょう・・・彼女は致命的なミスをいくつか犯していますから・・・」

犯行時間・・・犯行現場のビルの管理人(田口主将)は現場を立ち去る不審な女性を目撃していた。その時、女性から音楽が流れ出したと言う。

その音楽とは「タンタンタン、タンタンタン、タンタタンタタン」というメロディーだったという。

藤川弁護士は「Gジャーナル」事務員の小島とよ子(大谷英子)が休日にも関わらず、勤務先にやってきたことから・・・彼女が真犯人の可能性があることを追及しはじめる。

しかし・・・管理人は・・・「あっ・・・目撃したのはこの人じゃないけど・・・歌は思い出しました・・・確か・・・ハッピーライフ、ハッピーホーム、トマホークという歌です」

「有名な住宅会社・トマホークのCMソングですね」

「どうして・・・私を見て歌うんです」と小島。

「なんで歌うんだろう・・・俺」と管理人。

それは・・・結婚後、CMのような素敵な家に住みたいという恋人たちが着信音にしているものだった。

「僕も・・・彼女との携帯電話・・・それにしています」となかなかプロポーズに応じてくれない恋人のことを思い出しブルーになる西園寺だった。

「沢村さんと藤川弁護士の着信音もそれでしたね」と追及する平塚をあっさりと交わす藤川である。

「だって・・・ブームですから・・・たくさんの人が着信音にしているでしょう。たとえばドヴォルザークの「新世界より」が着信音だったとしてもこの世にクラシック音楽の好きな人がどれだけいると思うのですか・・・単にかぶっているだけでそんなもの証拠になりません」

もちろん・・・第一の証拠は前座なのである。

「今回は・・・犯人は本当に致命的なミスを犯しているんです」

「・・・」

「沢村さんのこのキーホルダーは実はアルミン酸ストロンチウム系の蓄光物質を使用した暗闇でドッキリのキーホルダーなんですよ」

「それがどうしたの・・・」

「藤川さん・・・あなたは沢村さんと犯行現場に戻った時・・・暗闇で何も見えないとおっしゃった・・・」

「・・・」

「ところが・・・このキーホルダーが落ちていたら絶対に見えるんです・・・なにしろピッカピカなんだから」

「・・・」

「つまり・・・最初はなかったものが・・・警察の現場検証で発見されたということは・・・誰かが置いたということです。沢村さんの持ち物をはずして・・・現場におけるのはあなたしかいないでしょう」

「いえ・・・沢村は私と一緒に現場にいたのだから・・・その時、落ちたのかもしれないじゃないですか」

「・・・沢村さんの弁護がんばってください」

「・・・」

「もしも・・・彼が有罪になったら・・・どうするつもりですか」

「彼は・・・こっそり私にだけ賄賂のことを教えてくれたりする甘ちゃんだから・・・獄中結婚してくれると思うの・・・知ってる・・・彼の家は資産家で・・・彼はまもなく何百億円もの遺産を相続するのよ・・・放ってはおけないでしょう・・・優良物件ですもの・・・」

「あなたは・・・素晴らしい女性だ・・・」

「なにしろ・・・絶対負けない女だから・・・そしてあなたは逮捕しても犯人が必ず証拠不十分で無罪になる刑事・・・弁護士にとっては美味しい存在なのよね」

「おほめいただき・・・光栄です」

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はい、またしても迷宮入りでしたね。

といいますか、今回は冤罪成立になるのかもしれませんよ。

こわいですね。おそろしいですね。魔性の女ですね。

魔性といえば・・・「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」(1994年)がありますね。ここでプラピと共演しているトム・クルーズも甘いマスクの二枚目ですねえ。

トム・クルーズといえば「ミッション・インポッシブル」シリーズでもおなじみですが・・・「トップガン」(1986年)という青春映画の佳作にも主演しています。

これなんかもいいですねえ。山Pがクールなパイロットになって日本の空を守るためにドンパチやりつつ、恋もする。「海猿」シリーズと同じ位ひっぱりまくれそうですよ。

「愛と青春のスクランブル」・・・もう、泣けてきそうです。

さあ、来週はいよいよ最終回。また、お会いしましょうね・・・サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

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2012年12月 2日 (日)

悪夢先生もげっ(北川景子)VS悪夢ちゃんでしゅ(木村真那月)死を告げる女精バンシーさっ(原幹恵)

今回は一種の解明編である。

しかし、謎が解かれると大いなる謎が残るものである。

結局・・・武戸井彩未(北川景子)は物凄い超能力者じゃないか・・・。

それはそれとして・・・連続殺人犯とバンシーの一人二役でキューティーハニー(原幹恵)降臨である。

どちらにしろ・・・無垢なるアンドロイドのやることなので許してもらいたい。

なんで・・・架空の登場人物を弁護してるんだよ。

バンシーはヨーロッパに広く分布する「白い女の妖異」のアイルランド版である。古のアイルランド語ではバン(嘆き)シー(女)で要するに「泣き女」である。

スコットランドではケルト語のバン(女)シー(妖精)で「妖女」となる。

基本的に「死を告げる霊」だが、吉凶を占い、吉兆の場合は白衣、凶兆の場合は黒衣となる。

バンシーは白衣なので一種の守護霊として現れる。つまり、「正しき行いをしたものの死」を前触れるのである。

まもなく、死ぬものの周囲に出現し、訪れる死を悼んで泣く為に目は赤く充血しているのだった。

生者にとって善人にしろ、悪人にしろ・・・死は恐ろしい場合があり、いつしかバンシーも妖怪の仲間入りをしてしまったのである。

単なる女死神と化したバンシーは灰色のマントを身にまとい、勇者の血にまみれた帷子を海辺で選択する姿で示される。

バンシーはこの世とあの世をつなぐという意味では一種の亡霊であり、またあの世からの使者なのである。

ヨーロッパの様々な地方では単なる魔女として受け取られることもある。

これは時には魔女たちがバンシーを召喚したと称するためだろう。

原幹恵が演じれば・・・妖艶な死の呪いをかけるバンシーが出現することになるのだな。

で、『・第8回』(日本テレビ20121201PM09~)原案・恩田陸、脚本・大森寿美男、演出・佐久間紀佳を見た。心の闇とはある意味、無意識のことである。そういう意味では今回は主人公の心の闇が解明されてしまったわけである。このままでは超能力者・悪夢先生が誕生してしまうのである。同時に謎に包まれていた古藤博士(小日向文世)の心の闇も明らかになったのだが・・・最後にもう一人、謎の男が残っている。

それが・・・博士の助手・志岐貴(GACKT)であることは言うまでもない。

冷酷非情なサイコパスとして描かれる志岐もおそらく心の闇を抱えているだろう。

ここからは・・・夢王子(GACKT=二役)が単なる彩未の理想像なのか・・・ユメノケ(声=玉井詩織)が古藤家の愛犬ユメノスケの夢想化だったようになんらかの現実の反映なのかが明らかになるだろう。たぶん、志岐の心の闇が解明された時・・・物語は大団円を迎えるのだろう。

次から次へと水準以上に知的な女子が登場する明恵小学校5年2組。今回のスポットライトは樋口杏奈(春名風花)に当たる。

樋口家の秘密

教室で「他人には触れられたくない事情がある」と断言した安奈。安奈の父親(近江谷太朗)はレム睡眠行動障害によって夜毎、夢の中の行動を体現してしまうのだった。そのために母親(雛形あきこ)や安奈は眠っている父親に暴力をふるわれることもある。

「一体どんな夢を見ているの」という妻の問いかけに口を閉ざす夫。

父親の夢には何か恐ろしい現実が隠されていると直感で悟った安奈はプライバシーを重視する女児になっているのだった。

顔に痣を作って登校してきた安奈を噂好きな女児たちは「御稲荷さんみたい」と評するのだった。

「それを言うならお岩さんだろう・・・」とツッコミをつぶやく安奈。四谷怪談の愛好家らしい。

サイコパス愛好家の養護教諭・琴葉(優香)は一目で「児童虐待」を疑うのだった。

一方、学校に辞表を提出した彩未。

急に辞められても困るのでサイコパスである校長(キムラ緑子)は説得力を総動員して慰留するのだった。

「私は強欲だったのです」

「意味不明ですね」

「私はサイコパスなのです」

「・・・教師として失格だと」

「はい」

「しかし、児童たちは学ぶために今日も教室に来ているんですよ」

「後任が決まるまでは教壇に立ちます」

「全く意味不明だわ」

「もげっ」

「サイコパスとして教壇に立つつもりですか。それなら辞める理由が分かりません。途中で投げ出すというのなら・・・あなたは児童たちにそれを納得させなければなりません。教師として教壇に立つ以上・・・あなたは児童たちを導かねばならないからです」

「・・・わかりました」

教室では警察関係者からネットに流出した写真によって古藤結衣子(木村真那月)が予知夢者ではないかという疑いを強めた児童たちが待っていた。

そして、古藤結衣子は欠席だった。

いろいろな心労のために彩未は安奈の顔の痣にはまったく気がつかないのだった。

「これはここだけの話にしてください・・・私はサイコパスな気質なので時々、変な夢を見ます。その夢をあの頭のおかしな科学者に使われてしまったのです。世間を騒がせた責任をとって先生は先生を辞めるつもりです」

このことを絶対誰かに言わずにはいられない児童一同だった。

古藤博士は志岐の研究所に怒鳴りこむ。

「結衣子を世間の晒しものにする気か・・・」

「それは警察の杜撰な情報管理の問題でしょう」

「君には関係ないとでも言うのか」

「問題の原点を問われるのであれば・・・そもそも、あなたがすべての原因でしょう。あなたは自分の家族を研究材料にして・・・結局、彼女の能力を研ぎ澄ましてしまったのではないですか。あなたに科学者としての探究心が皆無だったなんて言わせませんよ。そして探究心とは野心そのものではありませんか」

志岐に論破されて言葉を失う古藤博士。まさにそれは事実だったからである。

ムシャクシャした教授は自分の発明した機械に八つ当たりして鬱憤をはらすサイコパスとしての本性を明らかにするのだった。

彩未&琴葉のサイコパス・コンビは樋口家に家庭訪問を敢行。

安奈の母親は虐待ではないことを説明するのだった。

一種の睡眠障害であるために志岐の研究所を訪れる母娘。

「レム睡眠行動障害なら・・・薬剤投与で症状は緩和します」とアドバイスをする志岐。

そこで・・・安奈は結衣子と出会う。

「安心して・・・あなたのことは誰にも言わない」

「安奈ちゃんは学校が嫌いなのでしゅか」

「私は世界のトップになりたいの。そういう人はみんな自己中心的性格だと思う。学校はそういう人間を嫌うでしょう。自己中心的な人間を排除するくせに、自己中心的な人間を崇拝するという矛盾を人間は抱えている。誰と誰が仲良しさんだとか、都の条例で悪書追放とか・・・風林火山かっ、ての・・・私はそういうものに煩わされたくないだけ・・・だから、あなたがどんな人間であろうが・・・私には関係ないのよ・・・おわかりになって?」

「なんとなく・・・わかりましゅた」

そういう二人を彩未は痛ましげに見守るのだった。

担任教師として古藤博士に結衣子の不登校を告げる彩未。

「私は・・・教師をやめるつもりです・・・」

「なぜだ・・・なぜなんだ・・・」

「私が人殺しだからです・・・」

「それは・・・違う・・・それは幻想(ファンタジー)なんだ」

「もげっ」

こうして・・・封印された過去が明らかになる。

施設で育っていた彩未は「予知夢」を見ると噂されている幼女だった。

すでに夢札マシーンを開発していた若き古藤博士はそれを解明するために彩未と接近し、そのために妻である詩都子(吉倉あおい)と娘の菜実子(三本采香)を利用する。彩未の心を開かせようとする魂胆だったのである。

古藤博士は予知夢の存在を否定するつもりだったが・・・幼い元祖悪夢ちゃんの彩未(平澤宏々路)は超絶サイキックだった。

詩都子が鉄道事故で死亡することを予知してしまったのだった。

予知夢の映像を見た彩未と菜実子は幼さゆえに夢と現実の区別がつかずに衝撃を受ける。

菜実子は彩未が母を殺したと信じて彩未を責め、彩未も菜実子の母親を殺したのは自分だと信じた。

そして・・・その恐ろしさの余りに記憶を封じ込めたのだった。

彩未の心の闇は擬似記憶によって形成されていたのだった。

すべての悪の素因は・・・古藤博士だったのである。

「私は君の記憶を取り戻し・・・それは夢だと言ってあげたかった・・・」

「っていうか・・・まずは御免っていえよ」

しかし・・・夢札マシーンを発明するほどの自己中心的なサイコパスでマッドサイエンティストの古藤博士の辞書には「謝罪」の二文字はなかったのて゛ある。

「え・・・なんで~」なのである。

「・・・」

「しかし・・・因果応報なのか・・・君が菜実子になんらかの影響を与えたのか・・・孫の結衣子が君と同じように悪夢ちゃんになってしまったのだ」

「・・・」

「だから・・・君が教師になったと知ってなんとかしてもらおうと思って・・・」

「お前な・・・」

しかし、自らがサイコパスである彩未はサイコパスに何を言っても無駄だと悟ったのだった。

そして・・・ついに安奈の無意識にコンタクトした結衣子は悪夢を見てしまう。

結衣子は彩未に救援を求めるのだった。

悪夢ちゃんと悪夢先生の新タッグ結成である。

安奈の父親の無意識を直感した安奈の無意識を覗いた悪夢ちゃんの予知夢

夢の中で父親は弓を引くようなジェスチャー(パントマイム)を繰り返す(安奈の記憶の残滓)・・・そして浴室では灰色のマントを身にまとい緑色の服を着た謎の女(原幹恵)が父親の血に染まったシャツを洗う。そして、謎の女に従いプラットホームにいる父親を突き落とし轢死させる安奈。

無残な轢死体に顔をそむけるサイコパスとしては気の弱い博士の助手の助手の山里(和田正人)だった。

「おそらく・・・あの女は父親の記憶に残る人物だろう」

「悪夢ちゃんが安奈ちゃんの無意識を通じて父親の無意識にまで接触したのね」

「しぇんしぇい・・・安奈ちゃんをたしゅけて・・・」

「彼女が殺すとは限らない。あなたの御婆さんが私のような子供を助けるために命を落としたように・・・」

「え・・・何のこと・・・」

その頃・・・安奈の父親は妻にすべてを告白していた。

高級クラブで悪い女にひっかかったこと。そして、その女にそそのかされて上司を自殺にみせかけて殺したことなどである。

安奈の父親もまたサイコパスだったのだ。

「自首する」という父親に殺意を持つ妻。彼女もまたサイコパスだった。殺人者の家族になることを恐れた彼女は夫を自殺に見せかけて殺害しようと決意するのである。

しかし・・・能力を全開にした悪夢先生は・・・夢の中でその犯行時刻を突き止めるのだった。

犯行寸前に安奈の母親を制する彩未。

「すべて・・・安奈のためなんです」

「勝手に子供の未来を暗くしないで・・・彼女は世界のトップを狙う気なんだから」

反対側のプラットホームでオリンピックの金メダリストのパフォーマンスを真似する安奈。

こうして・・・安奈の父親は警察に出頭し・・・黒幕だった連続殺人犯の完全なるサイコパスの悪女も逮捕されるのだった。それはバンシー(原幹恵=二役)だったのである。

しかし・・・事件を解決した彩未の活躍によって志岐は彼女こそが完全なる予知夢使いであることを知ってしまうのだった。

志岐の闇の心は妖しく疼くのである。

そして・・・彩未は教師として復活した。

「それは児童を納得させることができなかったからということですか」

「いいえ・・・私がやり残したことがあると思ったからです」

宣言する彩未にいろいろな意味で微笑む校長だった。

悪夢先生と白黒馬の夢王子との最後の決戦が近づいていた。

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2012年12月 1日 (土)

惨い世を避けるためには惨くあらねばならないという説なのじゃ(多部未華子)

歴史的に見ても、エンターティメントの世界でも徳川家光が人気を博すことはあまりない。

大日本帝国時代にはそもそも賊軍である徳川家に対する評価が低いわけである。

帝国が滅亡して象徴天皇制が始り、米国的な擬似民主主義のもとで一番再評価されたのは徳川家康であろう。

なんといっても明治維新以後、内戦、日清日露の戦争、第一次世界大戦、日中戦争、太平洋戦争と戦争に明け暮れた帝国で疲弊した民衆は・・・戦乱の世を治めて・・・平和の世の礎を築いた戦国武将として家康を見直したわけである。

その方向性がとにもかくにも1945年から続く、長い平時をこの国にもたらしたわけだ。

何が何でも戦争はしない・・・戦後の指導者たちはその一事だけは忘れなかった。

しかし、時は流れ・・・時代は変わった。

世界は豊かになり、その豊かさに溺れ、強欲になっている。

保護者である米国の国力が低下し、仮想敵国である中国は一党独裁の維持のために国内の矛盾を対外政策で解決しようという意欲を見せ始めた。

世界平和を維持するために相当な覚悟が必要とされる時代になってきたのである。

徳川家康は日本の平和のために関ヶ原の合戦(1600年)を行った。

二代目である徳川秀忠は日本の平和のために大阪の陣(1614-5年)を行った。

そして、三代目徳川家光は日本の平和のために島原の乱(1637年)の鎮圧を行った。

・・・ここである。家光は三代目で・・・将軍職は世襲、そして行ったのは主に弾圧。

これでは・・・人気者になれない。

しかしだ・・・家光以後・・・1868年に大政奉還がなされるまで・・・二百年以上の太平の世を生みだしたのは本当は誰なのか・・・ねえ。

徳川家光の政治こそ・・・今、もっとも再検証が必要なのではないかと考える。

で、『大奥 ~誕生~[有功・家光篇]・第8回』(TBSテレビ20121130PM10~)原作・よしながふみ、脚本・神山由美子、演出・渡瀬暁彦を見た。早いもので・・・この物語もいよいよ残り二回である。ここで・・・物語の牽引役であった春日局(麻生祐未)が去るという見事な構成だと思う。早い話・・・正史的には春日局が唯一そのまんまだったということだ。つまり、物凄い架空の話であるこのドラマをリアルに支えていたのが春日局だったのだなあ。春日局が正史的に存在しているが故に「十七世紀に日本が滅亡してしまいそうな話」が妙に生々しかったのである。春日局が去った後は完全に架空世界になっていくと言っても過言ではない。

このドラマで初めて春日局に出会った幼い視聴者もいるであろう。

春日局がただの意地悪ばあさんではないということを理解してくれたかどうか・・・そこが肝心だと思う。

男子の死亡率が80%という奇病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」がついに大奥で発生。

お万の方(堺雅人)は罹患したお楽の方(窪田正孝)を春日局の御部屋に隔離し看病することを提案する。

病床の春日局はこれを了承し・・・お万は若い頃に憧れた弱者救済の道を得るのだった。

「あっしのような下賤のものによくしてくださって・・・」

「お楽様は将軍家の姫君の父・・・当然のことでござる」

「しかし・・・あなた様にとってあっしは憎い恋仇じゃございませんか」

「はよう・・・元気になって拙者にやきもちをやかせるがよかろう」

「ふ・・・あなた様は本当に仏様のようなお方だ」

春日局の指図で柿を食したお楽の方はそれを最後に息を引き取った。

お楽の方の死を知った女・家光(多部未華子)は表情を変えなかった。

女・家光が案じるのは春日局の容態である。

お万の方の意を受けて褥に侍る玉栄(田中聖)は不思議に思った。

「愛するお方と引き裂かれて怨みに思うのが人情やあらへんか」

「そうじゃのう・・・じゃが・・・お万と妾を引きあわせてくれたのも春日じゃ・・・生きていてうれしいとか楽しいとか・・・そういうことを知ることもなかった妾に心を与えてくれた・・・憎さもつまるところ愛しさのようなもの・・・今となっては春日局は妾にとって母のごときものなのかもしれぬ・・・」

「・・・」

「この世は地獄のようなもの。妾の父とて将軍となって最初にしたことは弟を殺すことじゃったそうな。そうしなければ父が殺されていたじゃろう。そうなれば・・・妾も生れて来ずにすんだのじゃがのう。もはや・・・こうして生きているのじゃ・・・何かをして生きて行かねば死んだものはただ憐れなばかりじゃろ」

「上様・・・あなた様はお偉いお人や」

「あたりまえじゃ・・・我が父は将軍ぞ」

女・家光は玉栄の子種を入手した。

その頃、母である雪(南沢奈央)の看病も虚しく、稲葉正勝(平山浩行)の跡を継いだ正則(西山潤)は赤面疱瘡で命を落とした。大名の正室として雪は娘の野乃(山本舞香)を男装させ身代わりに仕立てる。

雪もまた為すべきことを為す武家の女だったのである。

偽将軍である稲葉正勝と女・家光の父の家光の代からの側近・六人衆(若年寄)はいよいよ・・・女系継承を公認する時が来たのを知った。

唯一の反対者である春日局の命は風前の灯だった。

誠心誠意の看病を続けるお万に・・・春日局はついに心を許す。

「私の父は・・・謀反人だった・・・私の心にある父の面影は磔になった骸じゃ・・・齢四才の私は城主の娘から一転、山中を逃げまどう家なき子になったのじゃ」

Mako011ss  春日局の父・斉藤利三は美濃守護代の一族であった。主家が滅んで後に明智光秀の重臣となり、丹波黒井城城主となった。天正十年(1582年)に本能寺の変で光秀に従い織田信長を討ち、続く山崎の合戦で秀吉に敗れたのである。

春日局の母は信長配下の武将・稲葉一鉄の娘である。その縁で一鉄の嫡男・稲葉重道の養女となった春日局は重道の婿養子である稲葉正成の継室となる。

そして慶長二年(1597年)に正勝を出産するのである。

稲葉正成は関ヶ原の合戦の功労者・小早川秀秋の配下にあったが、慶長七年に小早川氏は断絶。浪人となる。そして、慶長九年、春日局は家光の乳母の公募に応じて家康の目にとまり採用となるのだった。一説によれば春日局は家康の愛人となり、稲葉家を去ったのだと言う。春日局は二十六歳だった。

以来・・・春日局は天下を治めた徳川家のために生涯を費やしたのだ。

「さぞや・・・私をお怨みでしょうな」

春日局はお万に問うた。

「確かにお怨み申し上げた・・・しかし今はありがたいと思っておりまする」

「・・・そはなにゆえか」

「私は公家育ち・・・衆生の救済を夢見ても・・・苦しみというものを知りませんでした・・・しかし、あなた様のおかげで苦しみを知った。苦しみを知ってはじめて・・・心から苦しむものに寄り添うことができるようになったような気がいたします」

「そなたは・・・やさしいのう・・・修羅の世界を生きる私を憐れんでくださるか・・・」

「あなたのお苦しみにくらべたら・・・平和の世しか知らぬそれがしの苦しみなどいかほどのものでありましょう」

「・・・この私が亡きあと・・・上様を御助けくださいましょうか」

「無論、命にかえても・・・おつかえいたしまする」

「一切衆生悉有仏性」(私も仏になれますか?)

「如来常住」(あなたはすでに仏です)

こうして・・・春日局は旅立った。

寛永二十年(1643年)九月のことであった。

春日局の菩提寺は麟祥院である。東京都文京区春日にある。

東京を東西に横断する春日通りはその町の名に由来する。

春日局の名残である。

それだけの功績があったということだろう。

明けて寛永二十一年の八月。

恒例の八朔の行事で・・・女・家光は女将軍としてお目見えした。

この日より正史の時代は終り、逆転史が始ったのである。

お万の方は大奥総取締役となっていた。

新たなる時代の幕開けだった。

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Mako010 ごっこガーデン。女将軍お目見えセット。まこ苦しゅうない。苦しゅうないぞ・・・女将軍じゃじゃじゃじゃーんと登場でしゅ~。特製御着物は帯が苦しくないようにワンタッチで御着替え出来るのだじょ~。なにしろ・・・江戸名物はまだまだ食べつくしていないのでしゅから~。お楽も憐れじゃったが、春日も憐れ・・・そして千熊くんはメガ憐れ~。うるうる祭りでお腹ペコペコでしゅう。今夜は牡蠣鍋にしてくだしゃいくう閉じ込められた男と閉じ込めた女・・・二人を看取った有功・・・表の家光、奥のお万の方・・・二人がどんな新時代を築いていくのか・・・クライマックスはもうすぐそこまで来ています・・・われ泣き濡れてカニ鍋も希望ikasama4松平伊豆守といえば・・・隠密使いですな・・・きっと公儀隠密もくのいち中心になるんですな・・・光秀と利三の親戚関係は諸説あって謎ですねえ・・・利三の母が光秀の姉だとか姪だとか妹だとか継室だとか・・・敗者の歴史は謎につつまれてしまうという一例ですなシャブリわしは将軍という名の人柱・・・カッコエエわ~mariシナリオに沿ったレビューを取材中ですよ・・・有功野望ありことでしょうか?

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