犯人は高校入試、被害者は恋人、だからふにゃふにゃっとぶっつぶしました(長澤まさみ)
2012年、最後の記事にする予定ではなかったのだが・・・多重人格一同、地獄に一時帰還したために予定が狂ってしまった。
しかし、「高校入試」が2012年の最後を飾るにふさわしい傑作ドラマであったことは間違いないと思いまして。
ミステリの場合は結末を迎えれば他愛もない話になってしまうのだが・・・ついに・・・復讐を果たさずに終わったヒロインの燻り続ける復讐心が香り立つ幕切れがトレビアンでございました。
教育者としての美しい心と・・・人それぞれに眠る狂気。
両者が一体となって・・・一高の物語は第二章に突入したと妄想できますな。
で、『高校入試・最終回(全13話)』(フジテレビ20121229PM2310~)脚本・湊かなえ、演出・星護を見た。結局・・・「彼」(姜暢雄)と一高は無関係であったらしい。「彼」の高校は具体性には乏しいのであるが・・・他県の一高に準じる高校だったのだろう。そういう意味では杏子(長澤まさみ)の復讐も実は「序章」あるいは「準備段階」と考えることができるのである。
まあ・・・あくまで妄想上は。
杏子の「犯行宣言」によって・・・。
からみあった事件は・・・単なる「出来事」と「入試をぶっつぶすグループの犯行」に分別される。
「彼と・・・彼の職業である教師について・・・もっと知りたいと考えた私は・・・教師になりました。しかし・・・教師になっても・・・もちろん・・・彼の心には届かなかった。仕事としては旅行代理店の業務より楽にさえ感じられた。しかし・・・いくつかの疑念は生じました。その閉鎖性、その事無かれ主義・・・そうした者の中に秘された部分があるのではないか・・・。その時、私は一つのサイトに巡り合ったのです」
田辺淳一(横山幸汰→柾木玲弥)の兄の光一(中村倫也)の「高校入試についてのドキュメンタリー」を掲載したブログ。
そこで・・・光一は・・・英語に受験番号を記入し忘れるという単純ミスで不合格となったことを報告する。
いくつかの事例から「現場の試験監督によれば・・・そういう場合に救済措置があったこと」をあげて・・・光一は自分の不運を嘆くのだった。
本部に集合した教師たちにとってそのドキュメンタリーそのものは既存のものだった。
話題になったドキュメンタリーによって開示請求が殺到し・・・採点ミスまでが発覚した過去があったからだ。それが「彼」の事件とどう関わるのかは不問になっている。
「彼としては・・・良かったじゃない・・・前向きで・・・」と坂本。
「そうでしょうか・・・」
杏子は・・・ブログのコメント欄を開く。
そこには執拗なまでにブログの管理人である光一を攻撃するコメントが残されていた。
「このブログの管理人はその後・・・精神的に病んで・・・高校を中退し・・・管理人はその弟に引き継がれました」
「・・・つまり・・・弟が兄の復讐を・・・」と宮下。
「受験番号46は・・・攻撃コメントの主体となった一人が一高の教師だということも割り出しました」
「俺ではない」と水野。
「それは・・・私です」と荻野。
ついに黒幕の自白となるのだった。
「そんな・・・」と村井。
「私が・・・受験番号46の兄に〇点をつけたのです。それは要綱にそった正しい判断だったと今も思っています。しかし・・・彼のブログを発見し・・・自分の判断が最善のものではなかったことを指摘されて・・・私は自己正当化をするためにおかしくなってしまったのです。ただただ・・・彼が間違いで私が間違っていないことを主張するために・・・心ない攻撃を続けていたのです・・・そして・・・ある日、病み崩れた彼と遭遇して・・・自分が大人として取り返しのつかない行為をしていることに気がついたのです。しかし・・・もはやおそかった・・・」
「すると・・・最後の共犯者は・・・」と小西。
「そうです・・・私です」
「荻野先生・・・あなたなら・・・私をあの会場に配置することが可能ですものね・・・」
「そうです。私は受験番号46、杏子先生、そして生徒の石川を誘導して・・・すべての事件を仕組みました・・・まあ・・・張り出した答案を同窓会会長が発見したのは・・・計算外でしたけどね」
「一体・・・なんでそんなことを・・・」と教頭。
「校長・・・あなたに・・・忘れているものを思い出して欲しかったからです・・・」
「・・・そうなのか」
おそらく・・・合否の判定をめぐって・・・校長と荻野の間には暗黙の了解があったのである。
そして・・・荻野の正義の一矢は・・・校長の胸を突き刺したのだった。
合格発表の日。
受験番号46は合格者の一覧にはなかった。
同志である杏子と淳一は密会する。
「結局・・・僕たちのしたことは何だったのでしょう・・・」
「過去の清算・・・と言ったらきれいごとに聞こえますか」
「兄は・・・自分の気持ちを踏みにじったと僕を詰りました・・・なにしろ・・・僕は安全圏から・・・爆撃をしたようなものですから・・・しかし・・・そんな僕に兄はありがとうと言ってくれました」
「私の相手は・・・語る言葉を持たないから・・・私の行動をどう考えるか・・・わからない。でも・・・私は結局、守られてしまった。すべての責任はある一人の人(校長)が負ってしまったから・・・。そうなってみると私に残された責任の取り方は一つしかないように思える」
「兄は・・・通信制高校からやり直すそうです」
「私は・・・サクラサク、サクラチルを繰り返す・・・この学校と言う舞台で・・・しばらくは教師を続けるでしょう」
「・・・いい先生になれるといいですね」
「さあ・・・それはどうかしら・・・」
一つの通過点を経て・・・それぞれの人生の幕が上がる。
杏子の心はけして晴れやかではない。
人格的に問題のある芝田麻美(美山加恋)や、沢村翔太を受け持つ担任教師として教壇に立つのである。
果たして・・・教師として「彼」のように生徒に愛情を持って接することができるかどうか。
杏子には自信がなかった。
それでも杏子は祝福せずにはいられない。
「入学おめでとうございます」・・・と。
関連するキッドのブログ→第12回のレビュー
| 固定リンク
コメント
最後まで楽しませてもらったドラマでしたー^^
本当に面白かったわ。
連ドラを見る醍醐味っていうのがありましたね。
終わってみればフジばかり優秀な年だった気がします。
じいや、今年もお疲れ様でした。
年越しそばは届きましたでしょうか。
どうぞ、良い年をお迎えくださいませ。
来年もよろしくお願いします^^
投稿: くう | 2012年12月31日 (月) 23時33分
けして・・・明るくない音楽で
始る新学期・・・。
実に意味深なのでございますよね。
いくつもの謎がちりばめられて
明らかになったもの・・・
闇に隠されたもの・・・
ミステリとしては反則の部分も・・・
それが許される・・・素晴らしいドラマでしたな。
キッド的に言えば
沢村三男はさらに
破滅的な高校生活を送ることになるし
それは松島長男と
芝田長女の三角関係として
波乱万丈高校大パニックな展開となると
妄想できますが・・・それはまた別の物語でございましょう。
さらに言えば・・・光一は通信制に行くが淳一は定時制に行くのだと考えます。
経済的にね・・・。
そういう意味では傷だらけの兄弟なのですな。
黒幕のターゲットが黒幕自身だったという幕切れは
流石でございましたね。
今年のフジテレビはチャレンジャーでしたな。
いつか実りあるだろうと考えます。
くう様、復帰して一年目、
毎回、ご支援ありがとうございました。
感謝、感謝でございます。
平成財閥百段おせちをお召し上がりくださいますように。
ゆく年・・・来る年・・・
あけましておめでとうこざいます。
本年もよろしくおつきあいくださりますように。
投稿: キッド | 2013年1月 1日 (火) 02時18分