悪夢ちゃん大戦~聖なる海豹の営む少年少女を売る店もげっ(北川景子)
セルキーとは潜航艇に乗って列島の海岸に上陸し、子供を誘拐する半島工作員のことである・・・それ以上は言及しない。
セルキーはヨーロッパに伝わる子供を誘拐する精霊の一種である。また、カイムとは堕天使の一人でつぐみの皮をかぶった悪魔だ。
ここでのセルキーはあざらしの皮をかぶった海人族の一種で、スコットランドの北の海に棲息する異人の伝承に基づいている。海底や地底は魔族の巣窟と相場が決まっているのである。
また、ネット普及世界では先進国の法的拘束力がおよばない治外法権諸島のサーヴァーを暗示している。
銭形警部も歯が立たないのである。
ましてや、すっかりレギュラー化している春山刑事(田中哲司)ごときには対処のしようがないのだった。
闇に消える子供たちの実態が単独の変態のいきあたりばったりの行動によるものばかりだと思ったら大間違いである。
もちろん、サイコパス大戦である以上、彼らは「善意に基づいて子供を保護するために誘拐している可能性」もあるのである。
なぜなら・・・かならずしも法や役人は子供を保護者の虐待から救済できるとは限らないことは昨今の事例からも明らかである。
パチンコ屋の駐車場から熱中症で死にかけた子供を拉致し、子供のいない夫婦に配達する行為は必ずしも悪事とは言い切れない。
サイコパスたちはそうした善悪の間に棲む生き物だからである。
さて、セルキーは海豹の皮をかぶった海の精霊なのだが・・・。
時には人間と交尾し・・・半人半魚の怪物を生むこともふる。
そして、セルキーは場合によっては自分の産んだ怪物を人間の子供とそっと交換してしまうこともある。
あなたの子供がそうでないとは断言できないのだ。
妙に水泳が得意な子がいたら・・・用心するべきだろう・・・それ以上はやめておきなさい。
で、『悪夢ちゃん・第9回』(日本テレビ20121208PM09~)原案・恩田陸、脚本・大森寿美男、演出・猪股隆一を見た。13.6%↘10.7%↗12.9%↘10.4%↗12.8%↘11.5%→11.5%→11.5%・・・脅威の固定客キターッ。まあ、見逃せないよね。今回は「風林火山」から今川義元の母・寿桂尼(藤村志保)登場である。児童養護施設「夢見る羊の家」の怪しいシスターである。そして、「曲げられない女」や「黄金の豚」にもゲストで登場した香里奈のシスターの能世あんなのシスターも登場するのだった。・・・シスター、シスターとそれが言いたいだけなのか。・・・二人の怪しい修道女は黒ミサしてそうなムードたちこめています。この聖なる魔女たちは・・・成敗されるよね。きっと、されるよねえ。
「自分の一番遠い記憶」
一番遠い過去を思い出すことは面白いことだ。キッドはさっきコンビニでコーヒーミルクのアイスクリームを買ったことを覚えているのだ・・・それはに、認知症発症なのでは・・・。
悪夢先生こと彩未(北川景子)のお題にそって「自分がゆめのけと最初に出会った光景」を描いた悪夢ちゃんこと古藤結衣子(木村真那月)だったのだが・・・それを見た明恵小学校5年2組の月本奈央(土岐瑞葵)と近藤七海(大友花恋)の仲良しコンビは悲鳴をあげるのだった。
二人は「NICORINA(ニコリーナ)」の読者モデルとして編集者(能世あんな)にスカウトされ、多くの少女たちとバスに乗せられ撮影会に参加したのだが・・・母親が出版社に問い合わせたところ・・・そのような事実はなかったのである。やがて奈央の引きこもってるおとなしいちょっとオタクな高校生(脇知弘)が二人の写真が無断掲載されている怪しいネット上のサイト「Kids talent models Aggendy」を発見するのだった・・・何を検索してたんだよっ。
そのサイトの挿絵・・・天使の翼の生えたブランコに乗る少女・・・と悪夢ちゃんの描いた風景画が合致していたのである。
「あなたも・・・スカウトされたの?」
「しょんなことないでしゅ」
事情を聞いた悪夢ちゃんはさっそく悪夢先生に相談するのだった。
サイコパスの養護教諭・琴葉(優香)とともにサイトをチェックした悪夢先生は「これは養子縁組の斡旋・・・養子ビジネスのサイトのようね」
「ある日、突然子供が誘拐されて新しい戸籍をつくられ外国に養子として売り飛ばされるという犯罪集団による人身売買システムですね・・・」
「この・・・サイトにのってた他の子と友達になったんですが・・・その子が消えてしまったんです・・・」
「買い手がついたのね」
「あなたたちも・・・さらわれちゃうかも・・・」
「・・・」
女児の恐怖をあおり楽しむ琴葉だった。
悪夢先生は悪夢ちゃんの描いた絵を見て・・・自分の記憶にも「それ」があることを思い出す。
古藤博士(小日向文世)を訪ねた悪夢先生は博士の昔の悪事・・・悪夢先生を研究材料にしたこと・・・にチクチクと棘を刺しながら、かって悪夢先生が保護されていた施設について問いただす。
過去の若気の至りについてあまり言及されたくない古藤博士は「直接、施設に行ってみたらどうだろう・・・」と提案するのだた。
「しぇんしぇいは・・・施設にいたの・・・」
「そうよ・・・」
「つらかったの」
「そんなことはないわよ」
「しぇんしぇいはつよいのね」
「あなただってつよいわよ」
「・・・」
「あなたにもきっと未来を変える力がある」
長い間のサイコパス生活の反動で急に前向きに傾いている悪夢先生だった。
シスターマリカ(藤村志保)が施設長となっている・・・悪夢先生が幼少期を過ごした施設。
そこに・・・あの天使の翼のブランコは確かに存在した。
「私を覚えているんですか・・・」
「あなたは特別な子だったもの・・・」
「私が・・・」
「あなたの絵は未来を予知していたのよ」
「・・・」
「同じ施設にいたコウスケ君の親の虐待を見抜いたのもあなただったし・・・」
「コウスケ君・・・あの子は・・・いまどこに・・・」
「さあ・・・先代の施設長の頃だったから・・・確か・・・どこかに養子としてもらわれていったはずだけど・・・」
「・・・」
その時、聖堂から姿を見せた修道女見習いは・・・あの怪しい編集者だったが・・・悪夢先生はそれを知るよしもなかったのである。
同時にシスターマリカは悪夢先生にとって「善なる存在」であるらしく・・・その正体を知ることを回避する傾向があるらしい。
お茶の間的には「限りなく灰色の施設」を後にした悪夢先生。
その頃、悪夢ちゃんは悪夢を見ていた。しかし、夢札マシーン「獏」は前回、古藤博士が過去を恥じて破壊してしまったのだ。
仕方なく・・・志岐貴(GACKT)の研究所を訪れる三人。
冷酷非情なサイコパスである志岐を頼らざるを得ない悪夢先生にとっては苦渋の選択である。
「確かに気になるな・・・」
「別にあなたの手を借りる必要はないのよ」
「水臭いな・・・僕も喜んで協力するさ」
「・・・」
月本奈央の無意識に接触した悪夢ちゃんの予知夢
海辺で誰かを待つ・・・月本奈央。
海中から目から光を発するあざらしが現れる。
あざらしの皮をかぶっていたのは美しい女の半魚人で・・・それはなぜか・・・シスターマリカに変貌する。
助手の山里(和田正人)も参加して夢判断が始るのだった。
「あれはスコットランドの北部オークニー諸島に伝わる妖精・・・人間に変身する伝説のアザラシ・・・セルキーだわ」
「スクプス(夢魔)の一種だな・・・誘惑して夢の中で行為におよび・・・受精する」
「人間と異種交接して子供を作る点では・・・そうね」
「つまり・・・子供を誘拐して・・・新しい戸籍を捏造し・・・海外に養子として売るのか」
「しかし・・・小学生では養子にするには記憶がありすぎる・・・」
「おそらく地下世界で性奴隷にされるのだろう」
「セルキーは美女って話なのに・・・なんで老女なんだ」
「何かの象徴なのよ」
シスターマリカが悪夢ちゃんの悪夢に登場したことを無意識に遠ざける悪夢先生だった。
「少女は手をあげてた・・・セルキーと知り合いなのか・・・」
「この格好は塾帰りかな・・・なんだって海豹の目が光るんだろう」
「ヘッドライト・・・そうか・・・セルキーじゃない・・・タクシーよ・・・彼女は塾の帰りにタクシーをひろって・・・誘拐されるんだよ」
「全国のタクシー運転手にごめんなさいをしないとな」
「少女を救出したお手柄のタクシー運転手だっていたんだから」
「これは・・・本当のタクシー運転手じゃないのよ・・・悪いタクシー運転手なの」
「やっぱり、タクシー運転手じゃないか」
同僚教員たちの出番を確保するために張り込みを命ずる悪夢先生だった。
しかし・・・教師たちは役立たずだった。
「見失いました」
「もげっ」
役に立ったのは・・・月本(兄)だった。
妹のSOSを受けて戦隊ヒーロー仲間に集合をかけ、誘拐タクシーを追跡させたのである。
元レディースだったらしい琴葉のバイクで追跡に加わる悪夢先生。
「私は青春時代心理学とスピード(麻薬ではない)を得ることで母親の支配から脱却したんです」
「もげっ」
邪悪なタクシーは戦隊ヒーロー日テレGアベンジャーズもどきによって包囲され・・・誘拐犯はかけつけた警察によって逮捕されたのだった。
「私が守るべき生徒を・・・おにいちゃんに守られてしまった・・・もげっ」
「なに・・・これ・・・夢なの・・・」と戦隊ヒーローたちに驚愕する琴葉。
「ある意味・・・現代日本の悪夢よ・・・っていうのはテレビ朝日が得意なことだから言ってるんですけどね」
「日テレとしてはね~」
捜査にあたった春山刑事は旧知の志岐に報告にやってくる。
「末端の運び屋を捕まえても・・・組織の尻尾すらつかめないのが実情です」
「日本の子供は世界でも人気があるそうですね」
「国際的なシンジケートですから・・・末端価格までは知りませんが・・・」
「しかし・・・日本で本当の親に育てられるより・・・幸せになった子供もいるかもしれない・・・」
「さあ・・・それはどうですか」
・・・あたかも自分自身がそうであったかのような口ぶりの志岐だった。
春山刑事が帰ると・・・謎の男たちが志岐の研究所に侵入する。
「あなたたちは・・・黒の男たちですか・・・」
「いいえ・・・私は投資家ですよ・・・先端技術の先物買いをするジョーンズというものです」
「なるほど・・・」
「あなたには・・・ぜひ・・・ある少女を手にいれてもらいたい・・・私たちが全面的にバックアップします・・・あなたとあなたの素晴らしい研究にね」
「ふふふ・・・ふほほ・・・ふぁっふぁふぁっ」
哄笑する魔人・志岐だった。
その頃、学校は騒然としていた。
近藤七海をはじめとして各クラスから一命ずつ女子児童が行方不明になっているのだった。
そして・・・悪夢ちゃんは新たな悪夢を見た。
それはあざらしマスクの男たちによって・・・悪夢ちゃん本人が攫われる夢だった。
「僕の研究所で・・・悪夢ちゃんを保護しよう・・・」
「おことわりするわ・・・」
「信用ないんだな・・・」
「あなたを信用して・・・もげってなったもの」
その夜・・・古藤博士の家は黒の男たちに襲撃される。
しかし・・・悪夢ちゃんは・・・悪夢先生のベッドに避難していたのだった。
だが・・・その部屋の合鍵を持つ志岐は二人の枕元に立つ。
「僕と一緒にきてくれ」
「裏切り者・・・」
「僕を信じてくれ・・・」
「信じられるか・・・」
「それでは仕方ない・・・」
志岐は拳銃を抜き出し・・・悪夢先生に突き付ける。
これは・・・夢なのか・・・それとも現実なのか・・・どちらにしろ、悪夢先生、能力封印気味である。
どうやら連続冒険活劇スタイルに移行するつもりらしい。
関連するキッドのブログ→第8話「マイ夢」のレビュー
シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の悪夢ちゃん
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