私たちは皆復讐をしている、私たちは皆嘘をついている、私たちは皆ふにゃふにゃ(長澤まさみ)
ついに躍り出た「復讐」の二文字。
そして、それぞれが抱える「孤独」・・・。
妄想が妄想を呼び、夜毎見る夢。
今回はついに「高校入試クーナ」を見てしまった。
杏子先生がクーナフィギュアになり、田辺(弟)のデスクに飾られているという・・・「悪夢」である。
隠されている人間関係がうっすらと浮かび始めた今回。
「希望」とか「夢」とか「絆」とか「愛」を歌い上げるよりも、「絶望」とか「悪夢のような現実」とか「疎外」とか「悪意」を呪いつぶやく方が時には望ましい。
人間は時には「いやなこと」を思い出して暗い気持ちになり・・・そして渋い顔で微笑むことが必要なのだ。
自分で自分の首を絞める前に・・・。
で、『高校入試・第10回』(フジテレビ20121208PM2310~)脚本・湊かなえ、演出・北川学を見た。前回・・・年齢一覧を振りかえってみたのだが・・・今回はその年齢や年齢差にいくつかの秘密があることをドラマそのものが醸し出してきた。このドラマの仕掛けのひとつである「一高村」の存在がおぼろげに浮かび上がってきたのである。学校教育の問題のひとつである閉鎖性がそれとなく暗示されるのだ。「一高」を卒業したものが「一高」で教師になる・・・つまり、「一高」が「世界のかなりの部分」をしめるものの存在である。多くの教師が「学校」を出て「学校」で働いているのだ。彼らに教えることができるのはそういう体験に基づく「基礎」なのである。それ以上を期待してはいけないのだな。
それでは年齢順に見てみよう。
第一のMである的場校長は(58)、そして入試部長の荻野M正夫は(55)である。
この二人はある意味、別格なのである。
しかし、荻野より年下なのに教頭職についている上条M勝(50)には同級生がいる。
同窓会会長の沢村(50)である。
実は・・・この二人・・・あまり同席しない。しかし・・・どこかで通じている気配があるのである。もちろん・・・それが善意の絆とは限らない。なにしろ、この世界では基本的に同年代は「ライバル」なのである。もちろん「仲間」であることもあるが・・・「仲間はずれの対象」でもあるのだ。
さて・・・今回、上条教頭と気脈を通じる場面がある問題教師・坂本は(48)だ。
坂本「(みどり先生が掲示版の存在を見つけたのは)入試を混乱させる作戦じゃないの?・・・掲示板の存在を知らなければ今頃、こんな話し合いをする必要なかったかもしれないじゃん」
上条「そう言われてみればそうだなあ」
上条が一高の三年生だった頃に坂本はフレッシュな新入生だったのである。仲手川くん(中井貴一)にあれやこれやしていた頃の高橋ひとみはそれなりにセクシーだったのだな・・・ま、「悪魔のKISS」の常盤貴子には負けるがな・・・誰が「ふぞろいの林檎たち」の話をしろと言った。・・・とにかくそんな先輩とぴちぴちの後輩だったわけだ。どんな先輩なんだよ。
さて、そんな坂本が卒業した後に入学したのが英語のM松島(45)なのだが・・・彼が最上級生になった時に一年生だったのが・・・社会のM水野(43)と美術のM宮下(43)なのである。
今回、水野は受験番号59番の松島の息子・良隆のプライベートを暴いてしまうのだが・・・。
水野「ちゃんとおっしゃったらどうですか・・・自分の息子が同窓会長の息子にいじめられてるってことを」
松島「息子のいじめのことなんか、入試にもあんたにも関係ないだろ」
生意気な後輩が先輩をちょっとおちょくってる感じがあります。
ちなみに・・・「ケータイ騒ぎの最中に55番が61番の答えをカンニング」という答案用紙に残された告発に対し、水野は「100%カンニングがなかったと言いきれます」と主張する。
もちろん・・・お茶の間は現場を見ているのでそれが「嘘」もしくは「カンニングを見逃したという責任を回避するための思い込み」と分かっているわけです。
さらに水野は「管理職なんて他人を蹴落としてなるものじゃないだろう」とつぶやくのだが・・・しっかり昇級試験のための勉強をしていたことはお茶の間にはお見通しなのである。先輩を追い抜く気、満々なのだ。
しかし、人生設計から言うとすでに高校生の父親である松島と・・・独身の水野・・・微妙な問題をはらんでいます。
そんな水野をおちょくるのが同級生の宮下。
水野「私は試験中の観察を通して59番松島良隆が55番沢村翔太をよく思っていないことがすぐに感じ取れました。原因はどうせ自分より成績のいい良隆君を翔太がやっかんでいたってとこでしょう」
宮下「松島さんの息子の姿が昔の自分とダブったってわけか」
水野は一高から東大に進学したわけで・・・一高の中での秀才。それに対して芸術系の宮下はこれだけズケズケものを言うので・・・やっかみグループではなく・・・それなりの友情を築いていた友人ともとれる発言をする。まあ、単にそういうキャラクターなのかもしれませんが。しかし・・・それに応じる水野は「うんもう・・・ 君、余計なこと、言うな」となんとなく気易い感じをみせるのだ。やはり、ちょっと仲良しさんっぽいのである。
ちなみに・・・宮下は家を新築して妻子もいるわけだが・・・その部分は隠されている。
ついでに坂本の娘も未登場である。一高卒業生であるし・・・適齢期なので・・・体育の相田(28)から音楽のMみどり(25)までのあたりでどちらかの同級生だった可能性がある。
このあたり・・・一高的世間の狭さが充分な伏線になりうるわけだ。
もしも、杏子(長澤Mまさみ)の回想の彼氏(姜暢雄)が一高OBなら坂本の娘との接点さえ生じるのである。
みどりの同級生なら・・・坂本母娘は一高に教師と生徒として存在していた時期があるわけで・・・おそらく相当な問題教師&生徒ぶりを発揮したことだろう。
さて・・・一高出身の教師にも転勤があり、松島が三高教師だった時代の教え子が数学のM村井(25)である。
菫ヶ丘高校出身のみどりと村井が同じ中学だったかは明らかではないし、沢村家の長男・哲也(25)との関係も不明である。
ただし・・・哲也は一高生時代に水野を「国家試験に挫折して教師になったくせに威張り腐って嫌なやつだった」と評している。
沢村家は長男の哲也、そして年齢・名前不詳の次男は共に一高生である。
次男はおそらく東京で学生生活を送っているのだろう。
そして・・・あの兄の田辺光一(20)の受験仲間だったと思われる。ただし、この点はまだ妄想の域である。
この時の問題に・・・水野と宮下が触れないのは他校にいて不在だったからだろう。
ただし、冒頭(初回)のこの事件に関する減給処分について反応したのは坂本、水野、宮下だったのだが・・・。
そして、みどりたちの世代はまだ教師になっていない。
杏子はまだ旅行代理店にいたのだろう。
すると、相田や小西、松島、坂本、教頭、荻野、校長は何かを知っていて口をつぐんでいる可能性があるわけである。
そして・・・このラインはすべて杏子の復讐のターゲットである可能性がある。
もちろん・・・今回の最後に田辺淳一(15)がついに口にする復讐のターゲットでもあるだろう。
少なくとも・・・「五年前の事件」に杏子の回想の彼氏が絡んでいれば・・・杏子と淳一はまぎれもなく共犯者である。
杏子が答案用紙を一枚着服し、46番の回答用紙をすり替え、掲示板に55番として掲示する。そして沢村を誘導してそれを発見させる。これによって沢村は不正の誘惑にかられるだろう・・・ということを二人は知っているのだ・・・と妄想できるわけである。
妄想ついでに言えば・・・沢村家に母親はいつも家に不在である。一体、何をしているのだろう。単にキャスティングされていないだけなのか。そして・・・次男の入試の際に父親が働いた不正が・・・長男の性格をどのように歪ませたのだろう。「お前は末っ子だから・・・何も知らない」という長男の抱える苦悶。その正体を早く教えてもらいたい。そしてどうやら不正抜きで入学した長男をなぜ・・・父親は冷淡に扱うのか・・・そこも興味深い。単なる気分的な差別なのかもしれないが・・・。とにかく・・・三男は末恐ろしいクズに育っているわけで・・・そうしてしまった責任は明らかに父親の溺愛にあるようなのである。第一に入試に付き添っていた父親は・・・仕事休んで何やってんだ。それとも無職なのか。一高卒業生ブランドで資産家の名家に入り婿しているんだったりして・・・。
そして・・・五年前の事件は・・・高校生だった田辺光一が調べ始めた後で・・・物凄い展開をした模様である。なにしろ・・・光一は引き籠りになり・・・母親は家出をして・・・父親はどうなったのかもわからない。つまり・・・田辺家は崩壊してしまったのだ。
だからこそ・・・田辺淳一は中学生的に・・・「復讐」を始めたのだろう。
【高校入試をぶっつぶす★10】
1:名無しの権兵衛
英語の答案用紙、55番が二枚あるんですってよ、奥さま。
2:名無しの権兵衛
>>1
まあ、面白いわね・・金の答案用紙と銀の答案用紙と本物答案用紙みたいなことになるのかしら。
職員室では疑心暗鬼が広がり、松島と水野がバトル。それは坂本とみどりの頂上決戦に。杏子が相田を愛している説まで浮上してなんくるないさ~のモテ期の極みである。しかし、みどりは相田と交際宣言である。っていうかリゾートホテルでやりまくり宣言なのだ~。みどり最高ーーーっ。
結局、水野提案で・・・教師たちの携帯電話が集められるが・・・二台あったらはい、それまでよなのだ。
さて・・・杏子の携帯を拾った村井ははたして本当に・・・中身をみなかったのでしょうか。
55:名無しの権兵衛
みるだろ。
56:名無しの権兵衛
みるよね。
そして・・・ついに新しく結成された水野・村井コンビによって石川確保である。
60:名無しの権兵衛
ばれちゃった
61:名無しの権兵衛
石川をあやつっていたのは誰かな?
62:名無しの権兵衛
あやつり人形なの?
63:名無しの権兵衛
ラジコンにのっちゃうの?
64:名無しの権兵衛
よ、木南、きなみ~。
石川と杏子は一瞬、二人だけの時間を過ごす。それから相田を召喚する。
その頃・・・麻美(美山加恋)は悲しみの淵に沈んでいた。
麻美は思い出す。
「ミルククレープおいしかったね」
「ジェラードも食べてみたくなくない」
「しぼりたてミルクだよね」
「・・・昨日、みんなでどこかに行ったの?」
「・・・本屋だよ」
「そうそう、参考書買いにね」
「・・・私も行きたかったな・・・」
「・・・だって麻美は一高受けるんでしょう」
そうか・・・一高受けるからハブなのか。
「こっちだって気を使ってんだから」
「こういうのがホントの友情じゃん」
「・・・ありがとう」
そうか・・・それが友情なのか。
***みさき***
試験中にケータイ鳴ったんだって?
大丈夫? 心配だよ~
***あさみ***
ありがとう
でも大丈夫
***みさき***
よかったね
***あさみ***
試験監督にケータイ出さなきゃ
失格だなんて聞いてませーんって言ってやったんだ
***みさき***
すごーい 麻美
ところで親は付き添いに来なかったの?
***あさみ***
来てたけどぜんっぜん役に立たなかったよ
***みさき***
麻美はあたしたちの自慢の友だちだよ
***あさみ***
ホントはネットでメチャクチャ叩かれてるから一高へ行くのが怖いんだ
***みさき***
できなかった子がやっかんでるだけじゃん
別々の学校になってもあたしたちは友だちだよ
困ったことがあったらいつでもメールしてよね
***あさみ***
あたしがんばって 一高 行くね!
***みさき***
がんばれ!
友達・・・本当の友達・・・私には友達がいる・・・私は一人じゃない。
97:名無しのあさみ
試験中にケータイ鳴らしちゃってゴメンね~
98:名無しの権兵衛
なりすましのあさみきたーーーーっヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ
99:名無しのあさみ
学校に圧力かけたから絶対合格
100:名無しの権兵衛
ハブ確定だな・・・ハブられて人生もうだめぽ
101:名無しの権兵衛
このスレは100を越えたので書き込めません。
新しいスレをたててください。
関連するキッドのブログ→第9話のレビュー
| 固定リンク
コメント
キッドさん、こんにちは
先日は素敵なコメントをありがとうございました。
私も心から幸あれとお祈りしたいです
DB4鈴木杏ちゃんの名前が見当たらなかったのが、ちょっと不憫でしたわ。
(理由がなんとなく分かるところがまた・・・)
ダンスの綾瀬さんはチョイ役だったからいいか・・・
まあ、アレもいろんな意味で楽しかったですが、
私にとって、今季のドラマの双璧はこの「高校入試」と「ゴーイング」でした。
両方とも地味と言えば地味だし、これといったすごい事件が起こるわけでもない。
ファンタジーなんだけど、妙にリアルに突き刺さってくるところもあるんですよね。
特に「高校入試」は、本で読んだら(あっという間に読めてしまいそうだし)、
良く出来た話だけど、ここまで面白くはないような気がします。
ひとりひとりにちゃんとしたキャラクターがあって、
まるでその場にいるようにも思わせてくれますよね。
こんなに続きが気になるドラマって、いつ以来だろう?
ツイッターやブログでの犯人探しや事件の整理も楽しかったですわ。
(その節は、キッドさんにも大変お世話になっています!!)
「ゴーイング」も映像はすごく綺麗だし、
流れる時間がゆったりしているのが大好きでした。
でも映画の二時間では表現できないような大事なメッセージもちゃんとあって、
あまり上手く説明できないんですが、エンドロールでは毎回涙ぐんでいました。
また、この主題歌も世界観に合ってるんですよね~
久々の山口智子さんでしたが、演技が自然で、
時々ドキュメンタリーを観ている錯覚に陥る瞬間があって、すごい、と思いましたわ。
(是枝監督なので、そういう撮り方なのかもしれないですけど)
W阿部さんの可愛らしさを再認識させられるドラマでもありましたけどね。
今は一話完結のドラマが主流で、それはそれで見やすくて良いんだけれど、
連続ドラマならではの楽しさを感じることができて、嬉しかったです。
年末はどうしてもバタバタしそう・・・と、
こんな時期のコメントとなってしまいました。
最終回もまだなのに、申し訳ありません。
気が早くて申し訳ないですが、よいお年をお迎えくださいね

来年もよろしくお願いします
投稿: mi-nuts | 2012年12月14日 (金) 12時01分
ふふふ・・・第13話については
いろいろと候補があって・・・なんなんですよねえ。
現在の鈴木杏の場合、今回の恋人役と
ある意味・・・同じことになって
しかし・・・幼馴染殺人事件はあってもいいんですけど。
それなら綾瀬はるかでやりたいな~とか。
相武紗季の悪女殺人事件もあるよな~とか
黒木メイサの白虎隊殺人事件もありだよな~とか
蒼井優の処女殺人事件も捨てがたいとか
香里奈で令嬢殺人事件とか・・・まあ、アレですな。
ふふふ・・・「高校入試」と「ゴマホ」は
完全保存版級ですな。
あらゆる意味で凄いですからな。
小説「高校入試」は読み出したら徹夜ですな。
毎回、一話からリピートしていると
もう今回なんか五時間くらいかかります。
ゴーイングはメッセージ性もありますが
好きな回をたまに見たくなるジャンル。
キッドは「ハロウィン風の回」をHDに残してあります。
気持ちが荒んだら見ると癒されると思うので。
エンドロールはいいですね。
まあ、キッドは赤い▲に魅了されていますけど。
主題歌は「SONGS」版を抜き出しています。
槇原敬之としては「Hungry Spider」以来の名曲ですな。
まあ・・・人間も基本は小さな生き物ですからな。
山口智子は美人ではないのに魅力的なキャラクターとして存在感が抜群ですからこの役柄にはぴったりですね。
ハンサムでお坊ちゃんな夫に
修羅場育ちでタフだけど繊細な妻・・・
なかなかのとりあわせです。
いかにも萌江が育ちそうですものね。
味噌蔵のくだりとかもはやドラマではない感じですものね。
阿部阿部はまあ・・・スターウォーズ的ですよね。
みなぎる緊張感と
ずーっと弛緩しているある意味、対極の二つのドラマ。
両方とも連続ドラマとして秀逸だったのが
うれしいですねえ。
今年も折にふれてコメントをくださり
ありがとうございました。
充実した年の瀬をお過ごしくださるようお祈りもうしあげます。
投稿: キッド | 2012年12月14日 (金) 16時15分