悪夢先生もげっ(北川景子)VS悪夢ちゃんでしゅ(木村真那月)死を告げる女精バンシーさっ(原幹恵)
今回は一種の解明編である。
しかし、謎が解かれると大いなる謎が残るものである。
結局・・・武戸井彩未(北川景子)は物凄い超能力者じゃないか・・・。
それはそれとして・・・連続殺人犯とバンシーの一人二役でキューティーハニー(原幹恵)降臨である。
どちらにしろ・・・無垢なるアンドロイドのやることなので許してもらいたい。
なんで・・・架空の登場人物を弁護してるんだよ。
バンシーはヨーロッパに広く分布する「白い女の妖異」のアイルランド版である。古のアイルランド語ではバン(嘆き)シー(女)で要するに「泣き女」である。
スコットランドではケルト語のバン(女)シー(妖精)で「妖女」となる。
基本的に「死を告げる霊」だが、吉凶を占い、吉兆の場合は白衣、凶兆の場合は黒衣となる。
バンシーは白衣なので一種の守護霊として現れる。つまり、「正しき行いをしたものの死」を前触れるのである。
まもなく、死ぬものの周囲に出現し、訪れる死を悼んで泣く為に目は赤く充血しているのだった。
生者にとって善人にしろ、悪人にしろ・・・死は恐ろしい場合があり、いつしかバンシーも妖怪の仲間入りをしてしまったのである。
単なる女死神と化したバンシーは灰色のマントを身にまとい、勇者の血にまみれた帷子を海辺で選択する姿で示される。
バンシーはこの世とあの世をつなぐという意味では一種の亡霊であり、またあの世からの使者なのである。
ヨーロッパの様々な地方では単なる魔女として受け取られることもある。
これは時には魔女たちがバンシーを召喚したと称するためだろう。
原幹恵が演じれば・・・妖艶な死の呪いをかけるバンシーが出現することになるのだな。
で、『悪夢ちゃん・第8回』(日本テレビ20121201PM09~)原案・恩田陸、脚本・大森寿美男、演出・佐久間紀佳を見た。心の闇とはある意味、無意識のことである。そういう意味では今回は主人公の心の闇が解明されてしまったわけである。このままでは超能力者・悪夢先生が誕生してしまうのである。同時に謎に包まれていた古藤博士(小日向文世)の心の闇も明らかになったのだが・・・最後にもう一人、謎の男が残っている。
それが・・・博士の助手・志岐貴(GACKT)であることは言うまでもない。
冷酷非情なサイコパスとして描かれる志岐もおそらく心の闇を抱えているだろう。
ここからは・・・夢王子(GACKT=二役)が単なる彩未の理想像なのか・・・ユメノケ(声=玉井詩織)が古藤家の愛犬ユメノスケの夢想化だったようになんらかの現実の反映なのかが明らかになるだろう。たぶん、志岐の心の闇が解明された時・・・物語は大団円を迎えるのだろう。
次から次へと水準以上に知的な女子が登場する明恵小学校5年2組。今回のスポットライトは樋口杏奈(春名風花)に当たる。
樋口家の秘密
教室で「他人には触れられたくない事情がある」と断言した安奈。安奈の父親(近江谷太朗)はレム睡眠行動障害によって夜毎、夢の中の行動を体現してしまうのだった。そのために母親(雛形あきこ)や安奈は眠っている父親に暴力をふるわれることもある。
「一体どんな夢を見ているの」という妻の問いかけに口を閉ざす夫。
父親の夢には何か恐ろしい現実が隠されていると直感で悟った安奈はプライバシーを重視する女児になっているのだった。
顔に痣を作って登校してきた安奈を噂好きな女児たちは「御稲荷さんみたい」と評するのだった。
「それを言うならお岩さんだろう・・・」とツッコミをつぶやく安奈。四谷怪談の愛好家らしい。
サイコパス愛好家の養護教諭・琴葉(優香)は一目で「児童虐待」を疑うのだった。
一方、学校に辞表を提出した彩未。
急に辞められても困るのでサイコパスである校長(キムラ緑子)は説得力を総動員して慰留するのだった。
「私は強欲だったのです」
「意味不明ですね」
「私はサイコパスなのです」
「・・・教師として失格だと」
「はい」
「しかし、児童たちは学ぶために今日も教室に来ているんですよ」
「後任が決まるまでは教壇に立ちます」
「全く意味不明だわ」
「もげっ」
「サイコパスとして教壇に立つつもりですか。それなら辞める理由が分かりません。途中で投げ出すというのなら・・・あなたは児童たちにそれを納得させなければなりません。教師として教壇に立つ以上・・・あなたは児童たちを導かねばならないからです」
「・・・わかりました」
教室では警察関係者からネットに流出した写真によって古藤結衣子(木村真那月)が予知夢者ではないかという疑いを強めた児童たちが待っていた。
そして、古藤結衣子は欠席だった。
いろいろな心労のために彩未は安奈の顔の痣にはまったく気がつかないのだった。
「これはここだけの話にしてください・・・私はサイコパスな気質なので時々、変な夢を見ます。その夢をあの頭のおかしな科学者に使われてしまったのです。世間を騒がせた責任をとって先生は先生を辞めるつもりです」
このことを絶対誰かに言わずにはいられない児童一同だった。
古藤博士は志岐の研究所に怒鳴りこむ。
「結衣子を世間の晒しものにする気か・・・」
「それは警察の杜撰な情報管理の問題でしょう」
「君には関係ないとでも言うのか」
「問題の原点を問われるのであれば・・・そもそも、あなたがすべての原因でしょう。あなたは自分の家族を研究材料にして・・・結局、彼女の能力を研ぎ澄ましてしまったのではないですか。あなたに科学者としての探究心が皆無だったなんて言わせませんよ。そして探究心とは野心そのものではありませんか」
志岐に論破されて言葉を失う古藤博士。まさにそれは事実だったからである。
ムシャクシャした教授は自分の発明した機械に八つ当たりして鬱憤をはらすサイコパスとしての本性を明らかにするのだった。
彩未&琴葉のサイコパス・コンビは樋口家に家庭訪問を敢行。
安奈の母親は虐待ではないことを説明するのだった。
一種の睡眠障害であるために志岐の研究所を訪れる母娘。
「レム睡眠行動障害なら・・・薬剤投与で症状は緩和します」とアドバイスをする志岐。
そこで・・・安奈は結衣子と出会う。
「安心して・・・あなたのことは誰にも言わない」
「安奈ちゃんは学校が嫌いなのでしゅか」
「私は世界のトップになりたいの。そういう人はみんな自己中心的性格だと思う。学校はそういう人間を嫌うでしょう。自己中心的な人間を排除するくせに、自己中心的な人間を崇拝するという矛盾を人間は抱えている。誰と誰が仲良しさんだとか、都の条例で悪書追放とか・・・風林火山かっ、ての・・・私はそういうものに煩わされたくないだけ・・・だから、あなたがどんな人間であろうが・・・私には関係ないのよ・・・おわかりになって?」
「なんとなく・・・わかりましゅた」
そういう二人を彩未は痛ましげに見守るのだった。
担任教師として古藤博士に結衣子の不登校を告げる彩未。
「私は・・・教師をやめるつもりです・・・」
「なぜだ・・・なぜなんだ・・・」
「私が人殺しだからです・・・」
「それは・・・違う・・・それは幻想(ファンタジー)なんだ」
「もげっ」
こうして・・・封印された過去が明らかになる。
施設で育っていた彩未は「予知夢」を見ると噂されている幼女だった。
すでに夢札マシーンを開発していた若き古藤博士はそれを解明するために彩未と接近し、そのために妻である詩都子(吉倉あおい)と娘の菜実子(三本采香)を利用する。彩未の心を開かせようとする魂胆だったのである。
古藤博士は予知夢の存在を否定するつもりだったが・・・幼い元祖悪夢ちゃんの彩未(平澤宏々路)は超絶サイキックだった。
詩都子が鉄道事故で死亡することを予知してしまったのだった。
予知夢の映像を見た彩未と菜実子は幼さゆえに夢と現実の区別がつかずに衝撃を受ける。
菜実子は彩未が母を殺したと信じて彩未を責め、彩未も菜実子の母親を殺したのは自分だと信じた。
そして・・・その恐ろしさの余りに記憶を封じ込めたのだった。
彩未の心の闇は擬似記憶によって形成されていたのだった。
すべての悪の素因は・・・古藤博士だったのである。
「私は君の記憶を取り戻し・・・それは夢だと言ってあげたかった・・・」
「っていうか・・・まずは御免っていえよ」
しかし・・・夢札マシーンを発明するほどの自己中心的なサイコパスでマッドサイエンティストの古藤博士の辞書には「謝罪」の二文字はなかったのて゛ある。
「え・・・なんで~」なのである。
「・・・」
「しかし・・・因果応報なのか・・・君が菜実子になんらかの影響を与えたのか・・・孫の結衣子が君と同じように悪夢ちゃんになってしまったのだ」
「・・・」
「だから・・・君が教師になったと知ってなんとかしてもらおうと思って・・・」
「お前な・・・」
しかし、自らがサイコパスである彩未はサイコパスに何を言っても無駄だと悟ったのだった。
そして・・・ついに安奈の無意識にコンタクトした結衣子は悪夢を見てしまう。
結衣子は彩未に救援を求めるのだった。
悪夢ちゃんと悪夢先生の新タッグ結成である。
安奈の父親の無意識を直感した安奈の無意識を覗いた悪夢ちゃんの予知夢
夢の中で父親は弓を引くようなジェスチャー(パントマイム)を繰り返す(安奈の記憶の残滓)・・・そして浴室では灰色のマントを身にまとい緑色の服を着た謎の女(原幹恵)が父親の血に染まったシャツを洗う。そして、謎の女に従いプラットホームにいる父親を突き落とし轢死させる安奈。
無残な轢死体に顔をそむけるサイコパスとしては気の弱い博士の助手の助手の山里(和田正人)だった。
「おそらく・・・あの女は父親の記憶に残る人物だろう」
「悪夢ちゃんが安奈ちゃんの無意識を通じて父親の無意識にまで接触したのね」
「しぇんしぇい・・・安奈ちゃんをたしゅけて・・・」
「彼女が殺すとは限らない。あなたの御婆さんが私のような子供を助けるために命を落としたように・・・」
「え・・・何のこと・・・」
その頃・・・安奈の父親は妻にすべてを告白していた。
高級クラブで悪い女にひっかかったこと。そして、その女にそそのかされて上司を自殺にみせかけて殺したことなどである。
安奈の父親もまたサイコパスだったのだ。
「自首する」という父親に殺意を持つ妻。彼女もまたサイコパスだった。殺人者の家族になることを恐れた彼女は夫を自殺に見せかけて殺害しようと決意するのである。
しかし・・・能力を全開にした悪夢先生は・・・夢の中でその犯行時刻を突き止めるのだった。
犯行寸前に安奈の母親を制する彩未。
「すべて・・・安奈のためなんです」
「勝手に子供の未来を暗くしないで・・・彼女は世界のトップを狙う気なんだから」
反対側のプラットホームでオリンピックの金メダリストのパフォーマンスを真似する安奈。
こうして・・・安奈の父親は警察に出頭し・・・黒幕だった連続殺人犯の完全なるサイコパスの悪女も逮捕されるのだった。それはバンシー(原幹恵=二役)だったのである。
しかし・・・事件を解決した彩未の活躍によって志岐は彼女こそが完全なる予知夢使いであることを知ってしまうのだった。
志岐の闇の心は妖しく疼くのである。
そして・・・彩未は教師として復活した。
「それは児童を納得させることができなかったからということですか」
「いいえ・・・私がやり残したことがあると思ったからです」
宣言する彩未にいろいろな意味で微笑む校長だった。
悪夢先生と白黒馬の夢王子との最後の決戦が近づいていた。
関連するキッドのブログ→第7話「ブー夢」のレビュー
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コメント
いつもたのしく見ています
「もげっ」が好きです(ω)フフフ
投稿: はるかぜちゃん(ω) | 2012年12月 2日 (日) 18時56分
見てくれてありがとうございます。
「もげっ」は素晴らしいですね。ふふふ。
投稿: キッド | 2012年12月 2日 (日) 23時40分
モ…モッ…モッp…もげっ。
モ…モー…モーツァルT…もげっ。
青は藍より出でて、偉大なもげっを残す。
ていうか、今回「このお嬢さんだれだっけ、きっと有名」と思って調べたらはるかぜちゃん(ω)だった(ついり十カ条で知っていた)。こんにちは。
それはちょっと違うけどこういう、他のドラマに出ていた人を知ったり調べたりするのが面白いんだよなー。
『花嫁のれん』から『悪夢ちゃん』、『花嫁のれん』から『純と愛』とか。
投稿: 幻灯機 | 2012年12月 9日 (日) 14時02分
もげっ→悪夢先生は
人の成長とか
いくつになってもかわらないとか
様々な思いが高まりますな。
はるかぜちゃんは
早熟な子みたいですが
のんびりまったりおおきくなってもらいたいもので
ございます。
なにしろ三つ子の魂百までですからねえ。
「花嫁のれん」(フジテレビ2010~11)
神楽幸→古藤結衣子
瀬野有紀子→桐野富士子
ですな~。
二人とも薄倖そうでなによりでございますよねえ。
末長く活躍してもらいたいと考えまする。
投稿: キッド | 2012年12月 9日 (日) 17時20分