ドナティ彗星が次に来るのは39世紀だべし・・・(綾瀬はるか)
彗星と言えばハレー彗星だが・・・1858年に観測されたのはドナティ彗星である。
ハレー彗星は周期彗星に分類され、その周期はおよそ76年。1986年に地球に接近したので次は2061年の予定である。およそ半世紀後である。
一方、ドナティー彗星は非周期彗星に分類され、予測では3811年に再接近が予測されているが・・・確実に帰ってくるとは限らないわけである。
まあ、1800年後の話なので鬼一同爆笑なのだな。
ちなみに八重は明治四十三年(1910年)に65歳でハレー彗星接近にも遭遇することになる。
ちょっと思うのだがこの辺りまで吉田里琴で良かったんじゃないか。
で、『八重の桜・第4回』(NHK総合20130127PM8~)作・山本むつみ、演出・加藤拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は篤姫の二人の養父、一橋派の薩摩藩第11代藩主・島津斉彬と従一位左大臣の公家・近衛忠煕、そして将軍家茂誕生の立役者・彦根藩の第15代藩主にして幕府大老の井伊直弼の三大イラスト描き下ろしでお得でございます。早くも斉彬様昇天でございますな。もうすぐ直弼も逝きますが・・・忠煕様は明治三十一年没(1898年)・・・もう少しで20世紀だったのに・・・。まあ・・・そこはかとなく91歳まで生きる渋とさが滲み出ておりますなあ。
第13代将軍・徳川家定に嫡子がなかったために将軍継嗣問題が起こり、後継者として一橋慶喜を推す一橋派と徳川慶福(後の家茂)を推す南紀派の暗闘が開始される。一橋派には水戸藩の元藩主・徳川斉昭、薩摩藩主・島津斉彬など改革派の大名が顔をそろえ、これに対し保守的な譜代大名が南紀派を形成していたのである。ここに黒船が来航し外圧による開港問題が発生すると尊王攘夷を唱える水戸藩や密貿易が幕府の貿易独占に阻害されることを危惧する薩摩藩がますます幕政に関与するべく圧力を強めて来た。安政五年(1858年)春、南紀派の首領・井伊直弼は大老に就任する。そして無勅許の条約調印と家茂の将軍継嗣指名という外交と内政の難題を処断する。養女・篤姫を家定の大奥に送り込み、一橋派の勝利を目論んだ島津斉彬の野望は虚しく七月には逝去し、水戸藩、尾張藩、福井藩など一橋派の大名は隠居・謹慎などに追い込まれる。窮地にたった水戸藩は京の公家を巻きこんでを朝廷工作により戊午の密勅を得るが、これを謀反と断じた幕府は安政の大獄と呼ばれる反乱分子の粛清を開始するのだった。一年に及ぶ大弾圧により、一橋派は壊滅。家定の死を受けて将軍家茂が誕生する。
会津藩の身分は羽織の紐色(上士・中士)、半襟の色(下士)で区分されている。山本家は二等上士の身分で紐色は黒色だった。砲術師範という特殊な家柄であり、外様(武官)としては無役であるが近習(文官)として一種の臨時手当があったものと思われる。
会津藩には樋口氏は何家かあるが、山本覚馬の最初の妻となった樋口うらの実家は家格として四等上士で近習のお勘定頭、紐色は花色紐であったのだろう。
家格が上の山本家、しかも文官から武官の家に嫁いだうらには些少の緊張があったはずである。
しかし、姑のさくにとってうらはそつのない嫁に感じられた。
だが・・・樋口の名のある家から来た以上・・・うらはくのいちであった。
会津藩の樋口家にも樋口光武、樋口光訓など・・・中原氏族樋口兼光を遠祖とする名乗りがある。兼光は義仲四天王の一人であり、戦国時代には直江兼続という一流の忍びを生みだした一族の祖である。
山本家が武田の軍師・山本勘介の末裔であるように、樋口家は上杉の軍師・直江兼続の末裔なのである。
同時に樋口家は公儀隠密との関係も深く、うらの実家が幕府の草の一族である可能性もある。
しかし、会津松平家は幕府の親藩という家風であり、公儀隠密が嗅ぎまわるような秘事はなかった。徳川幕府の太平の夢の間に・・・おそらく忍びとしては土着化してしまったと思われる。
だが・・・自身が藤原のくのいちであるさくはけして用心をおこたらない。
菜の栽培、食の支度、様々な山本の家風を嫁に仕込みながら・・・さくはうらの所作を観察している。
嫁ぎ先の暮らしに些少、気を張っている様子はあるもののさくはうらの所作に優れたものを感じ取っていた。
包丁さばきから味加減まで・・・俊敏さや賢明さは明らかであった。
「うら様・・・」
「・・・母上様」
「護身の技は何をたしなみなさる」
「小太刀でございます」
「さようか」
「・・・」
さくは飾り棚のこけしを無造作にうらに放り投げる。
うらは右手でそれをとらえた。
「よがんべ・・・」
「んだべした」
次の瞬間、さくはいつのまにか取りだした木の独楽を礫として放つ。
うらはよどみなくそれをこけしで撃ち払った。
「はっ」
さくの両手が上下左右に十字を描く。
うらは交差するように飛来する独楽をこけしで薙ぎ払う。
「うんうん」とさくは微笑んで頷く。
伊賀十字打ち手裏剣術に応ずる心得がある以上・・・やはり・・・うらは公儀隠密かもしれぬ・・・さくは判断する。
その時、うらはすでに独楽をひろいあつめていた。
「めんごい独楽だなし」
「だべ・・・我がこしらえた」
やはり・・・なかなかの嫁が来たようだとさくは考える。
「わがさ娘の八重は裁縫がおんずくねぇ・・・教えてくんつぇ」
「へえ・・・」
その時、さくは男たちの帰ってくる足音を聞いた。
同時にうらは気配を感じ取ったようだ。
くのいちの嫁と姑は夕餉の支度にとりかかった。
関連するキッドのブログ→第三話のレビュー
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コメント
御三卿をつくることで
将軍家を独占しようと画策する紀州家に
宮家の血を引く将軍を作ろうと画策する水戸家
いわば幕府と朝廷の代理戦争のようなものですな
そういえば会津藩といえば
源義光を開祖とし甲斐武田に
そして会津藩に伝えられた門外不出の殿中武術があり
それが後に大東流合気柔術で有名な武田惣角
そして西郷頼母の養子であるあの西郷四郎を輩出したのですから
会津藩士の武術に対する自信は相当なものだったのでしょうな
そういえば骨法も同じ流れになりますかな
それらの者達が武芸の限りを尽くして
会津のために奔走する
楽しみですなぁ ̄∇ ̄
投稿: ikasama4 | 2013年1月30日 (水) 01時22分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
世の中に矛盾の種は尽きまじでございますよねえ。
そもそも紀州家の興した御三卿に
水戸家から養子が送り込まれるという矛盾。
幕府が血脈により身分を確定しようとすれば
朝廷の方の血が尊いというものが現れる矛盾。
血脈が必ずしも実力を伴わないから
実力主義を主張するものが
高貴な血脈を利用する矛盾。
妄想世界では魔眼の篤姫が
多くのものの心をとろかせている頃。
テレビ東京の「終電バイバイ」には
鼠小僧の墓が登場し、
あの将軍の出番終了を嘆くかのようでございました。
血がものをいう安定は
そういう矛盾を蓄積して
一挙に爆発・・・血で血を洗うのですよねえ。
近代史に突入すると
登場人物の子孫が濃厚に存命していらっしゃるので
妄想もおそるおそる展開せざるを得ないのですが・・・。
・・・まあ、いざとなったら人には裏の顔があるという
一点で責任を転嫁するまでですけれど~。
東北は戦国時代、安土桃山時代の間にそして幕政下でも
目まぐるしく支配者の変わった地。
滅亡した一族あり、土着した一族ありで
様々な闇の血も潜んでいたと考えます。
嫁と姑が天皇のくのいちと公儀隠密だったなんて
まったく日常茶飯事だと思われ・・・。
そうなると嫁姑のいさかいも
尊王攘夷と開国佐幕の争いに発展したりして・・・。
ふふふ・・・会津藩にうごめく
体術家たちの暗闘・・・ワクワクしますねえ。
武田もいれば内藤もいる
山本がいれば西郷もいる
樋口がいれば神保もいる
どのような秘伝を伝える武道家が
虎視眈々と出番を待っているのか・・・胸が高鳴ります。
惣角がらみでは銭形警視や銭形警部の祖先というか・・・子孫の登場だけは予定しています。
まあ・・・妄想的にはなんですけれど~(; ̄∀ ̄)ゞ
投稿: キッド | 2013年1月30日 (水) 04時06分