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2013年1月31日 (木)

シェアハウスの女(水川あさみ)と異星の人(大泉洋)と異性の思い人(谷原章介)と実はお嬢様(木南晴夏)

カオル(川口春奈)のあてつけのキスはいいのか。

また、それ目当ての通りすがりの人が大量に発生するからな。

200万アクセス目前なので少数精鋭で・・・。

今回は「と」なんだろう。

「と」は将来性があるよね。

・・・それは将棋の話か。

なんか、発展性とか絆とかもあるし。前のめり感もあるでしょ。

ととと・・・か。

うん・・・とととっ。「お」の支援が必要だろ・・・。おっととと。

もう、いいだろう。

で、『シェアハウスの恋人・第3回』(日本テレビ20130130PM10~)脚本・山岡真介、水橋文美江、演出・吉野洋を見た。問題は宇宙人である川木辰平(大泉洋)の母星である「1979 ZU-3」だよなあ。脚本家が惑星と恒星の区別がついているかどうか・・・心配だよなあ。・・・そこからかよ。女の子って「星の多くは太陽みたいな恒星なんだよ」って説明してもピンと来ないこと多いんだよねえ。「月が太陽光の反射で光っている」ように「金星や火星が光っていて・・・その他の星とは違うんだ」っていうのも聞き流すよね。「火星人」はギャグだと思うけど・・・本気だったらどうしようかと思うしねえ。「アルタイル(わし座α星=彦星)に王子様が住んでいるのよね」って・・・燃え尽きるわ。・・・そこまで蔑まなくても。今回、共同執筆だぜ。じゃ、文系かっ。

地球のように人が住める太陽系外の惑星を発見するために本格的な調査が始ったのは21世紀にはいってからである。そのために地球型惑星探査機としてCOROT、ケプラーなどが打ち上げられている。COROTは2009年にいっかくじゅう座の恒星CoRoT-7に直系が地球の1.7倍のCoRoT-7bを発見した。地球からの距離は490光年である。また、2012年に地球から620光年のケプラー22にはハビタブルゾーン(生命居住可能領域)に惑星ケプラー22bが存在する可能性があると発表されている。

400光年の彼方、おうし座プレアデス星団(すばるぼし)の向こう側にあり、地球からの距離500光年の地球によく似た惑星1979 ZU-3・・・検索できませんっ。

でも、本人が言ってるんだから・・・きっとあるんだろう・・・少なくとも脚本家の脳内宇宙には・・・。

シェアハウスでは家賃もシェアするのである。

三人住んでいて家賃を二人で払うのは不合理なので・・・桜井雪哉(谷原章介)の就職運動に熱中する独身OL・津山汐(水川あさみ)と宇宙人だった。

片思いの連鎖は桜井が妻子ありながら「辰平を愛してる」宣言をして・・・宇宙人が汐に片思い、汐が桜井に片思い、桜井が宇宙人に片思いで一方通行の三角関係成立である。

汐は桜井の就職先に頭を悩ませるが、職場の隣の席の望月メグ(木南晴夏)が本社の専務の娘であり、強力なコネクションを持っていることを知り、協力を仰ぐ。

面接用のスーツまで購入し、お膳立てをしたのに面接を拒否した桜井のために宇宙人が代理として面接を受け、「身投げ覚悟で働く」「体を売る気で勤める」などと日本語翻訳機能の限界のために不合格となるのだった。

地球人への変身は一回しかできないものと推定される。

まさか・・・地球人型宇宙人ということはないだろうな。それは確率的に奇跡だよな。

いや・・・宇宙不死鳥伝説的にはありじゃないか。

一方、お嬢様・望月メグは物凄い職業的な無能さを発揮し、その尻拭いに奔走する破目となった汐。

まるでやる気のないメグ、かわいいよメグ、かわいいよである。

挙句の果てにメグから「どうしてこんなにつまらない仕事のために頑張れるんですか」と問われ精神を失調するのだった。

しかし、率先して手押し車を押したりしてお嬢様らしい誠意を見せるメグには気がつかないのだ。

その夜、桜井を問い詰める宇宙人。

「どうして面接を受けなかったんですか」

「スーツが嫌いなんだ・・・」

「なぜです・・・」

「俺は18年の間、スーツを着て働いた。結婚して10年、夫としてスーツを着て働いた。息子が生れて六年、父親としてスーツを着て働いた。そしてある朝、妻に言われたんだ。あなたって本当につまらない男ね・・・と。そして、俺はスーツが嫌いになった」

妻(須藤理彩)の好感度が今世紀最大レベルで下がった瞬間である。

ひどいことをしたのは・・・桜井ではなく・・・その妻だったのだった。

言葉を失う宇宙人。

そこで汐が涙で乱入する。

「一言・・・良いですか。頑張っても報われない人はどうすればいいんですか。もてる男は余裕ありですか。私は今日もつまらない仕事を頑張っちゃいました。自分のこともままならないのに・・・就職の世話なんかしてしようとしてすいませんでした」

家を飛び出した汐を追跡装置でトランスポートする宇宙人。そして桜井。

桜井の差し出したハンカチを受け取る汐だった。

「明日・・・早いんだ・・・とっとと帰ろう」

「え・・・」

「バイトだから・・・」

こうして弁当屋で桜井は働きだしたのだった。

その頃、男女雇用均等法の社会に叛旗を翻す汐の弟の大学生・サザエさん万歳の凪(中島裕翔)はそのカツオ根性に鉄槌を下されて、恋人の錦野カオル(川口春奈)に別の男とのキスを見せつけられた上に捨てられるのだった・・・まあ、当然だな。

カオルのいい加減な行動。脚本家・・・若い女の子に全く興味ないんだな。女流だからな。だから共作だって。

そして、NASAで働く夫を持つ火星人の元女優(もたいまさこ)は宇宙人と異星人同志の交流を深めて行く。・・・ここは引っ張るんだな。女流だからな。・・・共作。孫(鈴木福)もいる火星人。異種交配か・・・いややはり不死鳥伝説(宇宙には人類と同祖のヒューマノイドが広く分布しているという仮説)か・・・。SFかっ。パンスペルミア説かっ。

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2013年1月30日 (水)

書店員ミチルの秘密の部屋の真夏の夜の夢(戸田恵梨香)

「の、の、の、の、の」・・・「の」が五つ~。・・・多すぎだろう。

やはり、平仮名では一、二を争う可愛さだな。「の」は。

争うのは何だよ。・・・「く」だ。いや・・・「へ」だろう。・・・「く」・・・「へ」・・・喧嘩すんなよ。

やはり、「の」だな。うん、「の」だ。

いい加減にしておけよ。

で、『書店員ミチルの身の上話・第4回』(NHK総合201301292255~)原作・佐藤正午、脚本・演出・合津直枝を見た。長崎から飛行機に乗って羽田に着いたミチルは一夜が十日になり、二十日を過ぎても故郷に戻らなかったのです。ナレーションを勤めるミチルの未来の夫(大森南朋)はいつになったら登場するんだと茫然としている人はきっと多いだろうな。ののの・・・じゃなかった・・・ふふふ。

「お姉ちゃん、もう帰ってこないよ」と妹の千秋(波瑠)がつぶやく。

「そんなことないだろう・・・有り金が尽きたら戻るしかないじゃないか」と父親の継徳(平田満)は声を荒げる。

しかし・・・ミチルは宝くじ1等に当選し、2億円を入手していたのだった。

この時点で経済的に父親を圧倒していたのである。

銀行は金を神と崇める施設である。みつば銀行お客様サービス課の山本(堀杏子)は神に仕える巫女として2億円預金者のミチル(戸田恵梨香)にホストクラブのホストのような恭しい態度で応接するのだった。

高額当選した者の不安や疑問の解消に役立つよう弁護士・心理カウンセラー・ファイナンシャルプランナーなど専門家のアドバイスを基に作成された「宝くじ読本」を供物として差し出されるミチルである。

「何と言っても高額でございます。くれぐれもお間違いのないよう1,000万円以上の高額当選者の方にはそのような手引書をお渡ししております」

ミチルは生れてこのかた・・・このような恭しい態度で崇められたことは一度もなかった。

不倫相手の豊増一樹(新井浩文)によるお姫様扱いに心が揺れたミチルにとって、この応接は甘美そのものである。

「まずは当選金を安全な場所に置くことですが・・・古川様は全額、当行にお預けいただけましたのですでにクリアされたと申せます。しかし・・・古川様は今、極度の興奮状態にあると存じ上げます。興奮にまかせて当選したことをあちこちでお話になったり、大盤振る舞いをなさったり、急いで仕事をお辞めになったりすることはお控えくださりますように。極力、以前と変わらない生活を心がけてくださることをお勧めいたします」

「・・・」

「ご当選なさったことは古川様を人生の勝利者にしたわけではありません」

「・・・」

「当選したことを誰に伝えるのかはくれぐれも慎重にお考えくださいませ。人間は秘密を守れない生き物だということをお忘れなきように・・・」

「はい」

ミチルはこうして野に放たれたのだった。

そんな事とは露知らず・・・すでにミチルの心では過去の世界となった長崎で「夏休みのキャンプ」でのミチルとの情事を腰が抜けるほど楽しむつもりだった上林宝飾店の後継者の久太郎(柄本佑)が今にもカクカクと腰を振りそうな勢いでミチルの同僚で実生活では妻の初山春子(安藤サクラ)に縋っていた。

「ねえ・・・ミチルちゃんから・・・何か連絡ありませんか・・・僕はたっぷりセックスする予定が狂って気がおかしくなりそうなんです・・・僕は何かミチルちゃんを怒らせたのではないでしょうか」

「さあ・・・そんなことはないと思いますが・・・」

ミチルが豊増一樹とのセックス満喫旅行に出かけたこと以外は知らない春子は答えに窮するのだった。

さすがに「他の人とセックス三昧です・・・」とは言えないからである。

痺れを切らした久太郎はミチルよりも古株の店員・タテブーこと立石武子(濱田マリ)を問い詰める。

豊増一樹のもう一人の浮気相手であるタテブーは久太郎と話すうちにミチルと豊増一樹の関係を一瞬疑う。

その気配で久太郎は漸くミチルの不可解な行動の裏に男の影を感じるのだった。

一方、ミチルは愛人の豊増一樹に秘密を打ち明けようと考える。

しかし、豊増一樹が「夏休みに妻の実家で過ごすためにしばらく会えない」切り出したことで我に帰るのである。

自分を遊び相手と考えている男に重大な秘密をもらすのは危険なのだ。

秘密を分かちえない男との関係は虚しい。

自明の理を今更ながら思い知るミチルだった。

しかし・・・とミチルは思う。

2億円あるんだから・・・とりあえずいいか。

大金には男を忘れさせる価値があるのだった。

そんなミチルに二人の怪しい女が接近する。もちろん、特に怪しいわけではないが、資産家はすべての人間は怪しいと考えるべきなのである。そうでないと人知れず埋められてしまう可能性があるからだ。

一人はミチルが仮住まいする部屋の主で幼馴染の竹井輝夫(高良健吾)の大学の後輩である高倉恵利香(寺島咲)である。

ミチルは竹井が同性愛者と思いこんでいたので恵利香は女友達の女友達という認識だった。

一方で美人行員の山本はミチルの担当者としてアドバイスをする。

「心機一転、東京で新生活を始めたらいかがですか。幸せをつかむ絶好のチャンスが目の前にあるのかもしれませんよ」

山本にとってミチルの預金は運用対象である。美味く運用して将来はスイスに行きたいと考えているのかもしれないのだった。

しかし、ミチルはその気になった。

ミチルが引っ越すと言うと竹井は顔を曇らせ、恵利香は顔を輝かせる。

恵利香はミチルの引っ越しを積極的に支援するのだった。

「小さい頃の竹井先輩はどんな人だったんですか・・・」

「いつも歌ってたな・・・私の後を追いかけてね・・・女の子みたいで・・・まるで妹のように・・・好きだった歌は・・・」

骨まで溶けるような

テキーラみたいなキスをして

夜空もむせかえる

激しいダンスを踊りましょう

カリビアン・ナイト もっと私を見て

燃えつくすように

「ユーミンの真夏の夜の夢ですか・・・」

やがて・・・引っ越しの手伝いなどをしてくれた恵利香に少し心を許すミチル。

「ミチルさんは・・・竹井先輩の恋人なのかと思ってました」

(なわけないでしょ・・・竹井はゲイなのに)

「だけど・・・違うんですね」

(当たり前でしょ・・・竹井はゲイなんだから)

「私・・・竹井先輩とつきあってるんです」

(あっそう・・・えーっ・・・竹井はゲイなのに)

「私・・・ミチルさんの新生活を応援しますから・・・ミチルさんも私を応援してください」

(いや・・・それは・・・竹井はゲイ・・・のはず)

果たして・・・竹井はゲイではないのか・・・それとも恵利香は付き合っているつもりでただのお友達なのか・・・いや・・・やはり・・・竹井はミチルを神とあがめるストーカー的な熱愛者なんじゃないのかな。

もっとも・・・竹井が何であれ、恵利子がどうであれ・・・ミチルにはどうってことのない話である。

なにしろ・・・ミチルは2億円の預金がある女なのだ。

一応、豊増一樹と家具もない部屋の床の上でそこそこ燃えるようなセックスもしたりして・・・。

なんだかんだと家具も揃った頃。

恵利香は引っ越し祝いとしてガラスの器をミチルに贈った。

いかにも・・・重量、硬度的に凶器になりそうなアイテムなのである。

その夜、ミチルの部屋でささやかなお祝いをするために竹井の到着を待っている二人・・・。

そこへ・・・どのように嗅ぎつけたのか・・・久太郎が出現したのだった。

「僕だよ・・・ミチル・・・いるんだろう・・・開けてくれよ」

ミチルにとって過去の亡霊が出現したようなものだった。

そして・・・次週・・・久太郎は本当に亡霊になるらしい。

もう・・・夜更けのドラマとしては殿堂入りの面白さでございます。

濡れ手に粟の2億円の預金通帳を持っている女のタイトロープな感じ半端なしだから。

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2013年1月29日 (火)

マルクス主義の弁証法的論理学はブルジョア哲学を人間的認識の凶悪な敵として暴露する(佐藤江梨子)

S・N・ヴィノグラードフ、A・F・クジミン共著「論理学入門」が悪魔の支配する帝国だったソ連の洗脳力にあふれた教科書であったことは言うまでもないだろう。

その悪魔的に一同爆笑の内容は読解力があれば「お笑いの基本原理」として有用であることはまちがいない。

それは東西冷戦の果てに「絶対に負けないはずのソヴィエト社会主義共和国連邦」が滅亡したという「理由も根拠もなくただ受け入れることしかできない事実」(brute fact)によって実証されているのである。

つまり「愚かであることほど面白いことはない」ということだな。

しかし、まぎれもない事実を受け入れることのできない人というものはいるもので、いまだに「その論理」の正しさを疑わない人は多い。

1991年にソ連は解体され消滅した。

高校時代の教諭から「論理学入門」をもらった男を演ずる二代目中村獅童の実年齢が40歳であることから、このプレゼントはそうした見果てぬ夢を見続けるものからの工作活動的思想教育の一環と見ることができる。

革命的悪魔レーニンの恐怖支配の美しい残滓なのである。

冷酷な忍び笑いが聞こえてくるようではないか。

悪魔としては同胞の偉大なる手腕に拍手喝采せざるをえない。

ドラマでとりあげられる三段論法は互いに無矛盾な命題からなる形式論理による推論の一種である。

「女はバカである」(A=B)

「あなたは女である」(C=A)

「だからあなたはバカである」(C=B)

・・・こういう感じだ。しかし、前提である「女がバカである」ことが否定されればこの推論が無意味になることは言うまでもない。

そこで新たな演繹が必要となる。

「女は人間である」

「人間はバカである」

「だから女はバカである」

・・・しかし、「人間がバカである」ことに疑義を唱えるものもいるだろう。

そこでさらに新たなる演繹が必要となる。

「人間は悪魔ではない」

「悪魔はバカではない」

「だから人間はバカである」

それでも「悪魔がバカではない」ことを疑うものがいるかもしれない。

そうなれば悪魔は「すべての真なる思考は根拠づけられているべきであるという法則である充足理由律」を示さなければならない。

黒い翼を広げ、尖った尻尾を見せて、地獄の業火で懐疑主義者を焼却してみせるのである。

残るのは悪魔の哄笑のみである。

私の古き友はつぶやくだろう。「すべての論理は非論理的なものである」・・・と。

現代論理学の使徒であるルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインは次のように結論する。「世界がどのようになっているか、でなく、世界があるということ、これが謎である。そしてその謎は解明することがおそらくできない。しかし人間はその謎に挑み続けるだろう。問いかけることも答えることもできないがゆえに」・・・。

で、『ビブリア古書堂の事件手帖・第3回』(フジテレビ20130128PM9~)原作・三上延、脚本・相沢友子、演出・宮木正悟を見た。ドラマの中のメイン・ディッシュである「論理学入門」(靑木文庫)については親愛なる天使テンメイ様がその1その2と親切丁寧に手ほどきしてくださっているので推奨させていただきます。天使なので悪魔同志よりも暖かい視点にあふれておりますぞ。

一冊の本によって人生観が変わる。

そういう経験のある人が幸せなのか不幸せなのか・・・不明である。

しかし、数多くの本がいつの間にか一冊の本によって人生観が変わることを抑止するということはあるだろう。

そういう体験が人にとって幸せなのか不幸せなのかも不明である。

ただし、そういう人間は一冊の本によって人生観が変わった人を蔑む傾向にあると考える。

ビブリア古書堂の周辺には東京矯正管区に属する横浜刑務所やその管理下にある横須賀刑務支所がある。その何れかの施設から受刑者が脱走し、周辺地域は異常な緊張に包まれていた。

そんな折、来客した男・坂口昌志(中村獅童)はどこかあわただしい雰囲気で「論理学入門」の買い取りを希望する。活字恐怖症のアルバイト店員の大輔(AKIRA)と店主の栞子(剛力彩芽)が応対するが、男は「査定の時間」を惜しむように翌日の再来店を約して立ち去るのだった。

売値で500円と査定した「論理学入門」に「私本閲読許可証」を発見した栞子は持ち主が受刑者だった可能性を示唆する。

来店していた「CAFE甘庵」店長の藤波(鈴木浩介)は「脱走中の殺人犯かもしれない」と鎌倉駅周辺の目撃情報を語る。脱走犯の人相風体は坂口と一致していた。

ビブリア古書堂の住居部分に棲むせどり屋(古書転売業者)の志田肇(高橋克実)も議論に加わり、坂口が脱走犯だった場合に備え、栞子を店頭から排除し、自宅軟禁することが決定される。

まもなく、坂口の妻を名乗る坂口しのぶ(佐藤江梨子)が来店し、「論理学入門」を引き取ることを申し出る。

応対した大輔はしのぶの勢いに押され、「論理学入門」を持ち逃げされてしまうのだった。

弟の無断売却した漫画全集を三万円で姉が買い戻す「泣くな、はらちゃん」とは落差ある対応だったな。っていうか・・・展開かぶりすぎだろう。っていうかライバル会社におされて二番煎じを始めたあの殿さま会社は変な帽子にこだわりすぎだろう。アイドルたちはともかく、萌江にまで変な帽子をかぶせるなんて。加藤あいダケに変なことをさせ続けるのに限界があったのはもちろんだが・・・なりふりかまわなさすぎるっ。まあ、教職員と同様に公社も触手の浸食しやすい部分だからな・・・。

・・・雑談はもういいか。

ともかく、店員としての自覚の足りない大輔を論理的に攻める栞子だった。

「本は一時的にお客様からお預かりしているものです」(第一の前提)

「お客様は昌志さんで、自称・妻のしのぶさんではありません」(第二の前提)

「ですから、しのぶさんに本を返却するのは間違ってます」(演繹的結論)

・・・三段論法によって己の非を悟った大輔は志田とともにしのぶさんの勤務先である横浜のクラブ「ベイエデン」に向かうのだった。

・・・脱走犯から栞子を保護する件はいいのか。

・・・まあ、元祖キューティーハニー・サトエリのいるクラブに行きたい気持ちに論理的整合性は不要だよな。

そして・・・二人はおしゃべりが過ぎるホステスしのぶから「坂口夫妻のなれそめ」に遡る長いおのろけを聞かされるのだった。

かけだしのホステスだったしのぶが職業適性についての悩みを客の昌志に打ち明けると彼は愛読書の「論理学入門」を持ち出したのである。

・・・君は言ったね。

「ホステスはバカには向かない職業である」

「私はバカだ」

「だから私はホステスに向いていない」

・・・と。しかし、私はこのように思う。

「君の論理は三段論法である」

「三段論法はバカには使えない」

「だから君はバカじゃない」

こうしてしのぶは昌志に口説かれたのだった。

しのぶは昌志がかってお寺で修行していたこと。

そこで「論理学入門」を愛読していたこと。

二人の幸せいっぱいの結婚生活。

最近、夫の態度が変わったこと。

夫が大量の書籍を大手の古書売買業者「BOOK PALACE」に売り払ったこと。

残しておいた思い出深い「論理学入門」まで売ろうとしたこと。

だから・・・どうしてもとりもどしたかったこと。

二人の人生のすべてを語りきったのである。

ともかく・・・二人の男はこうして「論理学入門」を取り戻したのだった。

「しかし・・・寺かよ」

「それを信じるなんてバカみたいですよね」

「バカみたいじゃなく、そのものズバリのバカだよ」

だが、二人の話を聞いた栞子は「その他の売却された本」に事件の真相が隠されていると断言するのだった。

志田の友人である笠井菊哉(田中圭)の交際力で物件の調査が秘密裏に行われることになる。

昌志の蔵書だった「月刊 日本のお寺」に読めば抜かれるはずの在庫管理用のスリップが残されているのを発見した栞子は見出された真実に納得するのだった。

やがて・・・昌志が再来店する時刻がめぐってくる。

「100円で買い取る」という栞子に同意する昌志。

しかし、渡されたコインを昌志は落してしまうのだった。

「お客様・・・お話ください・・・お客様は本が読めなくなってしまったのではないのでしょうか」

「そうです・・・私は失明するのです・・・本は誰かに読まれてこそ・・・本でしょう・・・だから・・・私は本を売ることにしたのです」

「そんなの論理的じゃないわ・・・」

しのぶが現れた。

「だって、あなたが読めなくても、私が読むもの。読んであなたに聞かせるもの・・・」

「・・・」

全員がしのぶの朗読力に疑問をもって凍りついた瞬間である。

しかし、昌志はしのぶの愛に包まれて生きることを決意したのだった。

そして・・・一つの告白をする。

「実は隠していたことがもうひとつある。私は前科者で、寺で修行していたのではなく、刑務所で刑期を勤めていたのだ」

「そんなこと・・・ずっと前から知ってたよ・・・だって私はバカじゃないんでしょ・・・バカじゃなければ誰だってわかることでしょ」

「・・・」

二人は寄り添って去っていった。

「論理学入門」には類推についても説明がある。特定の事物に基づく情報を他の特定の事物へそれらの間の何らかの類似に基づいて適用する認知過程が類推である。

「私たちとあの二人はちょっと似てますね」と栞子。

「・・・」と押し黙る大輔。

「昌志さんは本が読めなくなるのでしのぶさんが朗読するのでしょう」

「・・・」

「大輔さんは活字恐怖症なので私が本について話します」

「・・・」

「だからといって私たちはお二人のように仲の良い夫婦じゃありませんけどね」

もやもやとする大輔だった。

このように類推は論理的誤謬を含む可能性が高く論証力としては弱い論理なのである。

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2013年1月28日 (月)

ドナティ彗星が次に来るのは39世紀だべし・・・(綾瀬はるか)

彗星と言えばハレー彗星だが・・・1858年に観測されたのはドナティ彗星である。

ハレー彗星は周期彗星に分類され、その周期はおよそ76年。1986年に地球に接近したので次は2061年の予定である。およそ半世紀後である。

一方、ドナティー彗星は非周期彗星に分類され、予測では3811年に再接近が予測されているが・・・確実に帰ってくるとは限らないわけである。

まあ、1800年後の話なので鬼一同爆笑なのだな。

ちなみに八重は明治四十三年(1910年)に65歳でハレー彗星接近にも遭遇することになる。

ちょっと思うのだがこの辺りまで吉田里琴で良かったんじゃないか。

で、『八重の桜・第4回』(NHK総合20130127PM8~)作・山本むつみ、演出・加藤拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は篤姫の二人の養父、一橋派の薩摩藩第11代藩主・島津斉彬と従一位左大臣の公家・近衛忠煕、そして将軍家茂誕生の立役者・彦根藩の第15代藩主にして幕府大老の井伊直弼の三大イラスト描き下ろしでお得でございます。早くも斉彬様昇天でございますな。もうすぐ直弼も逝きますが・・・忠煕様は明治三十一年没(1898年)・・・もう少しで20世紀だったのに・・・。まあ・・・そこはかとなく91歳まで生きる渋とさが滲み出ておりますなあ。

Yaeden004_2 第13代将軍・徳川家定に嫡子がなかったために将軍継嗣問題が起こり、後継者として一橋慶喜を推す一橋派と徳川慶福(後の家茂)を推す南紀派の暗闘が開始される。一橋派には水戸藩の元藩主・徳川斉昭、薩摩藩主・島津斉彬など改革派の大名が顔をそろえ、これに対し保守的な譜代大名が南紀派を形成していたのである。ここに黒船が来航し外圧による開港問題が発生すると尊王攘夷を唱える水戸藩や密貿易が幕府の貿易独占に阻害されることを危惧する薩摩藩がますます幕政に関与するべく圧力を強めて来た。安政五年(1858年)春、南紀派の首領・井伊直弼は大老に就任する。そして無勅許の条約調印と家茂の将軍継嗣指名という外交と内政の難題を処断する。養女・篤姫を家定の大奥に送り込み、一橋派の勝利を目論んだ島津斉彬の野望は虚しく七月には逝去し、水戸藩、尾張藩、福井藩など一橋派の大名は隠居・謹慎などに追い込まれる。窮地にたった水戸藩は京の公家を巻きこんでを朝廷工作により戊午の密勅を得るが、これを謀反と断じた幕府は安政の大獄と呼ばれる反乱分子の粛清を開始するのだった。一年に及ぶ大弾圧により、一橋派は壊滅。家定の死を受けて将軍家茂が誕生する。

会津藩の身分は羽織の紐色(上士・中士)、半襟の色(下士)で区分されている。山本家は二等上士の身分で紐色は黒色だった。砲術師範という特殊な家柄であり、外様(武官)としては無役であるが近習(文官)として一種の臨時手当があったものと思われる。

会津藩には樋口氏は何家かあるが、山本覚馬の最初の妻となった樋口うらの実家は家格として四等上士で近習のお勘定頭、紐色は花色紐であったのだろう。

家格が上の山本家、しかも文官から武官の家に嫁いだうらには些少の緊張があったはずである。

しかし、姑のさくにとってうらはそつのない嫁に感じられた。

だが・・・樋口の名のある家から来た以上・・・うらはくのいちであった。

会津藩の樋口家にも樋口光武、樋口光訓など・・・中原氏族樋口兼光を遠祖とする名乗りがある。兼光は義仲四天王の一人であり、戦国時代には直江兼続という一流の忍びを生みだした一族の祖である。

山本家が武田の軍師・山本勘介の末裔であるように、樋口家は上杉の軍師・直江兼続の末裔なのである。

同時に樋口家は公儀隠密との関係も深く、うらの実家が幕府の草の一族である可能性もある。

しかし、会津松平家は幕府の親藩という家風であり、公儀隠密が嗅ぎまわるような秘事はなかった。徳川幕府の太平の夢の間に・・・おそらく忍びとしては土着化してしまったと思われる。

だが・・・自身が藤原のくのいちであるさくはけして用心をおこたらない。

菜の栽培、食の支度、様々な山本の家風を嫁に仕込みながら・・・さくはうらの所作を観察している。

嫁ぎ先の暮らしに些少、気を張っている様子はあるもののさくはうらの所作に優れたものを感じ取っていた。

包丁さばきから味加減まで・・・俊敏さや賢明さは明らかであった。

「うら様・・・」

「・・・母上様」

「護身の技は何をたしなみなさる」

「小太刀でございます」

「さようか」

「・・・」

さくは飾り棚のこけしを無造作にうらに放り投げる。

うらは右手でそれをとらえた。

「よがんべ・・・」

「んだべした」

次の瞬間、さくはいつのまにか取りだした木の独楽を礫として放つ。

うらはよどみなくそれをこけしで撃ち払った。

「はっ」

さくの両手が上下左右に十字を描く。

うらは交差するように飛来する独楽をこけしで薙ぎ払う。

「うんうん」とさくは微笑んで頷く。

伊賀十字打ち手裏剣術に応ずる心得がある以上・・・やはり・・・うらは公儀隠密かもしれぬ・・・さくは判断する。

その時、うらはすでに独楽をひろいあつめていた。

「めんごい独楽だなし」

「だべ・・・我がこしらえた」

やはり・・・なかなかの嫁が来たようだとさくは考える。

「わがさ娘の八重は裁縫がおんずくねぇ・・・教えてくんつぇ」

「へえ・・・」

その時、さくは男たちの帰ってくる足音を聞いた。

同時にうらは気配を感じ取ったようだ。

くのいちの嫁と姑は夕餉の支度にとりかかった。

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篤姫の安政五年の頃

龍馬伝の安政五年の頃

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2013年1月27日 (日)

この胸のときめきを神様(麻生久美子)に伝えたい(長瀬智也)

二次元の虚構世界から三次元の虚構世界へ・・・。

これほど虚しいフィクションは滅多にあるものではないのか・・・それとも普遍的なものなのか。

とにかく・・・夢にまで見た世界がそこにあるのだな。

「ウルトラマン」に熱中する子供なら怪獣ガバドンが出現するところだし、ガンダム世代なら「コロニー」が落下してくるわけである。

そして、もたらされるのはこの世の破壊である。

当然のように「はらちゃん」もこの世をぶっこわすわけである。

しかし・・・極私的漫画の主人公だから・・・破壊するのは創造神の小さな小さな世界なのである。

ああ、ロマンスです。ロマンスが繰り広げられています。

それはそれとして2013年冬ドラマのラインナップは・・・。

(日)「八重の桜」脚本・山本むつみ

(月)「ビブリア古書堂の事件手帖」脚本・相沢友子

(火)「書店員ミチルの身の上話」脚本・合津直枝

(水)「シェアハウスの恋人」脚本・水橋文美江

(木)「最高の離婚」脚本・坂元裕二

(金)「夜行観覧車」脚本・奥寺佐渡子

(土)「泣くな、はらちゃん」脚本・岡田惠和

・・・となっている。実力派のヴェテランが男女そろって・・・基本的にロマンスを繰り広げている。大河ドラマは別として、オリジナルが三本、原作ありが三本。それぞれの脚本家の力量もそれに応じているというところだろう。

選択の傾向としてファンタジー色が濃くなっている。現実というフィクションが薄明な感じを示しているからだろう。世界的な飢餓、世界的な貧困、世界的な抗争、世界的な混沌が夜明けとともに押し寄せてくるのだな。

っていうか、結局、谷間ないのかよっ。

で、『泣くな、はらちゃん・第2回』(日本テレビ20130126PM9~)脚本・岡田惠和、演出・菅原伸太郎を見た。理解力と虚構力は似て非なるものである。このドラマを解する子供たちはかなりの理解力とそれに準じた虚構力を要求されるだろう。物心とは別に幼いころからぬいぐるみと話し、お絵かきをしながら物語を構築したり、そこにあるものをないと信じたり、そこにないものをあると感じたりする・・・そういう力が要求されるわけである。

そんな力があったってなくたって人は生きていけるのだが・・・あればあったで煩わしいし、ないとなれば人生は味気ないものになる・・・何かを楽しむためには不可欠な能力ではある。

そういう力を強化してしまうドラマであることは間違いないな。

かまぼこ工場「ふなまる水産」で働く薄倖そうな女・越前さん(麻生久美子)の棲む三次元の世界。

パートのおばちゃんたちの中ではやや若い越前さんはパートのおばちゃんたちのたくましくも傲慢な態度に今日も圧迫を受けている。「与えられた仕事くらいはきちんとやろう」という勤勉さが自堕落で適当なおばちゃんたちには全く通じないのである。

結局はおばちゃんたちの鼻息に吹き飛ばされるしかない小心者である。

そんな越前さんに忌々しさを感じる悪魔さんこと紺野清美(忽那汐里)だった。「正論を吐くなら吐くで最後まで貫徹しろ」と憤慨するのである。

しかし、越前さんよりやや若い悪魔さんが感情的になるのは越前さんが恋仇だからなのである。

悪魔さんが片思いをしているのはふなまる水産の若手社員・田中くん(丸山隆平)で、田中くんは越前さんに片思いをしているのだった。

悪魔さん→田中くん→越前さんである。

恋模様は他にも田中くんの上司の玉田(光石研)→謎のパートリーダー・矢口百合子(薬師丸ひろ子)が垣間見える。

矢口は明らかに一般常識とは異なる「何か」を秘めた存在である。

今回は「はらちゃん消失」の三人目の目撃者となる。

しかも、はっきりと消失を目前で確認しながら・・・動じないのだ。

もちろん・・・俗なる超能力であるテレポーテーション(瞬間移動)を信じているだけかもしれないが・・・越前さんの愛読するコミック「矢東薫子漫画全集」と「矢」が共通していたり、「はらちゃん」の存在をある程度、解明している様子があり・・・二次元三次元境界になんらかの関与をしている人物だと推定できる。

一方、越前さんの内的宇宙の表出物である極私的コミック「泣くな、はらちゃん」はノートの中に二次元的世界を実在させている。

そこでは「はらちゃん」(長瀬智也)、「ユキ姉」(奥貫薫)、「マキヒロ」(賀来賢人)、「あっくん」(清水優)、「笑いおじさん」(甲本雅裕)たち、コミックの登場人物たちがドリンク各種はあるけれどおつまみの存在しない居酒屋で不機嫌な造物主・越前さんに翻弄されて生きているのだった。

そんなある日、システムは明らかにされないがノートに対する物理的な衝撃により、二次元=三次元境界線を突破する奇跡が起きて、越前さんの世界に実体化した「はらちゃん」はノートが広げられるまで三次元世界に滞在することができるようになる。

「はらちゃん」は「造物主」である越前さんに直接影響を与え・・・ギターの弦とメロディーを二次元世界に持ち帰ることに成功するのだった。

しかし、それと同時に「はらちゃん」の内的宇宙も変化の兆しを見せるのだった。

越前さんのことを思うだけで胸が痛むようになってしまったのだ。

神様にいてほしいとお願いすると

神様はずっと一緒にいると答えてくれた

だけど神様は約束を守ったりはしない

いつの間にかどこかに行ってしまったんだ

越前さんの世界では本社から「新作のかまぼこ」のアイデア募集が通達された。

社員は強制参加で、パートタイマーは一応参加をお願いされるのである。

その上で、越前さんの母親(白石加代子)から「娘がマンガを描いている」と聞いた玉田は「新作のかまぼこアイデア募集」の告知ポスターをノーギャラで描くように一応依頼するのだった。

軽く興味を示した田中くんに悪魔さんの越前さんに対する嫉妬心は燃えあがるのだった。

とにかく頼まれたら断れない越前さんだった。

何よりも越前さんがつくる「かまぼこ」と悪魔さんのつくる「かまぼこ」と長沼さん(稲川実代子)のつくる「かまぼこ」が同じ値段で売られているというのがこの世の不条理なのである。

やがて・・・越前さんの極悪な弟・越前ひろし(菅田将暉)が矢東薫子漫画全集を換金するために盗み出した弾みで・・・この世に召還される「はらちゃん」だった。

越前さんの生みの親である越前秀子に泥棒と間違われ、家を出た「はらちゃん」はこちらの神の運命の糸で結ばれる田中くんと遭遇。

田中くんから猫と「マンガの猫」を教えられ、奇妙ななつかしさを感じる「はらちゃん」だった。

一方、かまぼこ工場では神と悪魔のハルマゲドン第一章が始っていた。

「私はあなたみたいな人が嫌い。え、なんでっていうその顔も嫌い。イライラするわ。世の中のことなんて自分には関係ないみたいな。私なんかまるで。私なんか全然。私なんかさっぱり。私なんてとんでもない。そのくせ、自意識バリバリ強くて、傷付くのを極度に恐れて、・・・そして自分だけを愛している」

「どうして・・・そこまで私に対して攻撃的なの・・・」

もちろん、越前さんを好きな田中くんを好きだからである。

「ちゃんとやってください。やるんならちゃんとやれっていうことです。嫌なら断れ・・・やるならちゃんとやれってことですよ」

「・・・」

「私もやるから・・・かまぼこポスター戦争勃発です。宣戦布告です」

「・・・」

「一度くらい本気で勝負しなさいよ」

悪魔さんが退出すると漸く「その勝負、お断りします」とささやく越前さんだった。

そこへ矢口百合子の制止を振りきって「はらちゃん」が乱入してくるのだった。

「なんですか・・・これ・・・マンガですか」

「悪かったわね・・・マンガで・・・すみませんでした」

「どうして神様・・・いや越前さんがあやまるんですか」

「・・・」

「越前さん・・・悪魔さんと戦うんですよね」

「戦いません」

「それはダメです。神様だからご存じでしょうが私はいつも言ってますよね。仕事なんだからちゃんとやろうよって・・・」

それは・・・越前さんが書いた「はらちゃん」のセリフなのだった。

「もういいです・・・分かりました・・・描きなおします・・・それでいいんでしょう」

「ありがとうございます」

「なんで・・・私に構うんですか」

「あなたのことが気になって気になって仕方ないのです。逢いたくなって逢いたくなってそして胸が痛いのです」

「そりゃ・・・恋かもしれないね・・・はらちゃん」と矢口百合子が口をはさむ。

「なんて・・・ピュアなんだ」と「はらちゃん」を知能に不自由な人と思っているらしい田中さん。

「これは恋ですか・・・越前さんは恋をしていないのですか」

「してません・・・」

「片思いだね・・・はらちゃん」と断定する矢口百合子だった。

そこへ玉田が警官(小松和重)を連れてやってきて連行されてしまう「はらちゃん」だった。

貧しい一家が三十円でもやしを買いインスタント豚もやしを食べ終わるほどの間を置いて、留置場に「はらちゃん」を訪ねる矢口百合子・・・。

「百合子さん・・・さっきの話の続きをしてください」

「恋には片思いと両思いがあるんだよ」

「片思いって悲しいですね・・・」

「そうとは限らないよ・・・美しいのさ・・・片思いは・・・この世界はほとんど片思いでできているんだから」

いにしえの昔・・・何千万人もの人々を片思いさせたスーパーアイドルが言うか・・・である。

「大事なものなんですね・・・大切にします・・・片思い」

その時、帰宅した越前さんがノートを開き、「はらちゃん」は二次元の世界に強制帰還してしまう。

だが・・・百合子は「うんうん」と頷くのだった。何者なんだ・・・百合子。

自分の造形物である「はらちゃん」によって心を動かされた越前さんはやる気を出してかまぼこポスターに取り組むのだった。

仕事が一段落した越前さんは「矢東薫子漫画全集1~8巻」の消失に気がつき愕然とする。

その衝撃で再び、召還される「はらちゃん」だった。

「はらちゃん」の登場に愕然とする越前さんだったが・・・「大切な漫画を捜しましょう」という「はらちゃん」の言葉に心を動かされる。

「好きなんですよね・・・その漫画に片思いしているんですよね・・・美しいんです・・・大切なことなんです・・・片思いは・・・」

手をとりあって走り出す二人だった。

愛してるって口に出さなくてもいい

ただそばにいてくれるだけでいい

永遠でなくたって構わない

そのうち・・・心は静まるから

古本屋で「矢東薫子漫画全集1~8巻」は売りに出されていた。

現在、古物の売買には身分証明書が必要なので弟の犯行は即座に判明するわけだが・・・それは不問にしたらしい越前さん。

三万円で買い戻すのだった。

御礼に「はらちゃん」にかまぼこを買い与えるのだった。

その二人の後ろ姿を目撃する田中くん。

いつもの場所で歌う悪魔さん(サングラス・ヴァージョン)に遭遇する。

恋の歌とか嫌いなんだよね

恋するために生まれて来たとかあり得ない

でも 恋をした でも 片思い

そんな自分に笑う

「良い歌ですね」と悪魔さんの正体を知らぬまま・・・微笑みかける田中くんだった。

その頃、この世には帰る場所のない「はらちゃん」ととりあえず別れようとする越前さん。

どこまでもついてくる「はらちゃん」にその場に留まるように命じる。

角を曲がって越前さんがノートを開いたために消失する「はらちゃん」・・・。

何故か・・・胸が高鳴る越前さんだった。

まあ・・・知能が不自由な人を路上に置き去りにすることに些少は問題もあるわけだが。

しかし・・・「はらちゃん」はもう自分の世界に帰還して・・・仲間たちにかまぼこを分け与えていたのだった。

一人残されてロンリー

結局あるのはメモリー

すべてが終わったみたいだけど

現実感はまるでなし

ただたださびしいだけ

ただただ胸がはりさけそう

できれば神様を信じたい

そして神様に信じてもらいたい

結局、この世ではかまぼこポスター大戦で越前さんが悪魔さんに圧勝し・・・あの世では頬にハートの烙印を捺された「はらちゃん」が神様との両思いを夢見るのだった。

そして今夜も世界の片隅で誰かがエルヴィス・プレスリーを思い出す。

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2013年1月26日 (土)

はぶるしかないよね(吉田里琴)はぶるわよ(夏木マリ)坂の下から上から疎外(堀内敬子)

鉄壁なトライアングル達成だな。

まさに遠藤母娘(鈴木京香・杉咲花)包囲網の輪は閉じられたのだった。

飛んで火にいる夏の虫である。

出発地と目的地がほぼ同じの遊園地の遊具のように、家庭環境を整えた純度100%の虚栄の女は・・・。

家族を道連れに地獄の底に堕ちて行くのだな。

素晴らしい地獄絵図である。

映画「東京家族」(2013年)の山田洋次監督は少年期を満州で過ごし、敗戦後に帰国したために大陸における日本人による中国人差別を目撃しており、そこから「歴史を学ぶこと」を訴えかける。

しかし、そういう歴史観は諸刃の刃である。

支配する者が支配される者に対し驕ることは自然なことだという考え方が脱落するからである。

支配される者か支配する側にまわれば新たな差別は発生するわけである。

支配することの愚を説く場合は常に支配される愚を念頭に置かなければならない。

「いじめなんてする方もされる方も不幸だ」という考え方は「いじめられているもの」には何の救いにもならないのである。

誰もが「ふられてもふられてもめげない」フーテンの寅次郎のようには生きられない。

支配されないためには支配するしかないのが現実なのである。

そういう教えは痛烈であることが望ましい。

もちろん・・・支配もせず、支配もされない恐ろしいほどの緊張関係こそが生きがいの人を誰も止めることはできないのだが。

で、『・第2回』(TBSテレビ20130125PM10~)原作・湊かなえ、脚本・奥寺佐渡子、演出・塚原あゆ子を見た。遊園地の観覧車には老若男女も乗車し、富めるものも貧しきものも健康なものも病弱なものも頂点の光景を見ることができる。時には事故が発生し、宙釣りのまま、人々が不安にかられることもある。もしも・・・そのまま、忘れられてしまえば乗客は餓死する恐れも発生する。場合によっては駕籠から降りて鉄塔を降下するものもいるだろう・・・誰が小説「観覧車/篠田節子」の話をしろと言った。・・・建設されてはリバースされて解体される観覧車。最後は一体誰が乗り込んでどんな景色を見ることになるのか・・・観覧車愛好家は固唾をのんで見守るのだった。

観覧車「ハーバー・アイ」の建設が始った四年前・・・。優しい人と結婚し、素直な子供にも恵まれ、誰もがあこがれるヒバリヒルズ・・・高級住宅地ひばりヶ丘に新居を構えた遠藤真弓(鈴木京香)は愚かで虚栄心に満ちている上にそれを自覚しない憐れな女である。

周囲からは犬小屋に犬一家が引っ越してきたと嘲笑されていることにも気がつかないし、坂の上でも坂の下で孤立していることにも気がつかない。

自分の虚栄心を満たすために娘の彩花(杉咲花)に強要した私立中学受験に娘が失敗した後も・・・せっかく親切にしてくれた隣家の高橋淳子(石田ゆり子)の次男・慎司(中川大志)が受験に成功したことに嫉妬こそすれ・・・娘の心のケアなどには気が向かない。

そのために淳子との友情の約束を反故にして疎遠になるほどである。

結果として、ひばりヶ丘の自治会婦人部の部長・小島さと子(夏木マリ)の遠回しの退去命令を聞き逃し、参加料10万円の「新婦お披露目会」に着物で参加するべきところを洋服着用で会席してしまうのだった。

「テーブルマナーは大丈夫ですか」

「ナイフとフォークは外側からお使いになって・・・」

「フィンガーボウルの水はお飲みになってはいけませんよ」

「お手元をご用意した方がよろしかったかしら・・・」

と小島夫人にいらぬ気遣いをさせてしまうのであった。

場違いで闖入者で世界が違うということを諭す地域の人々・・・。

しかし・・・遠藤夫人にはそういう有り難い助言も馬の耳に念仏なのである。

憐れに感じて慈愛の心でよりそってくれた高橋夫人に「私ったら意地を張ったり、遠慮深い性格なので教えを乞わなかったために恥をかいてしまったわ・・・」と問題の棚上げをするのだった。

仕方なく「私がそれとなく教えておくべきでした・・・」と謝罪する高橋夫人だった。

遠藤夫人の孤立ぶりは娘の小学校以来だったのであろう。娘の彩花には村田志保(吉田里琴)や佐伯南(岡本夏美)やその他(町田佳代)の仲良しトリオがいるにも関わらず、母親仲間は一人もいないのである。

坂の下の公立・浦浜中学校の生徒の親たちとひばりヶ丘の住人とは違うという自意識が遠藤夫人から放射されまくっているのである。

当然、坂の下の親たちも遠藤夫人を疎外する。

母親に似て呑気な彩花はまだ「アイドルに似ている隣の男の子と同じ中学に行けずに残念だった・・・」という程度だったのだが・・・ほぼ実年齢を演じる中学一年の志保は虎視眈々と差別を始めるきっかけを待っていたのだった。

「私立中学に落ちて・・・本当に良かったよね」

無邪気にはしゃぐ仲良しトリオの目は笑ってはいなかったのである。

やがて・・・バスケット部に所属する彩花と清修学院中等部の慎司。

志保の目に慎司が映った瞬間から・・・亀裂は始ったのだった。

「かっこいいよね・・・」

「・・・」

恋心を隠すのに必死な彩花に気易く声をかける慎司。

「なになに・・・知り合いなの」

「・・・知らないよ」

失敗したものと成功したもの・・・ほのかな思いと手の届かないものへの屈折した気持ちから思わず嘘をつく彩花だった。

帰り道にバスで再会した彩花は意を決して「友達のために・・・」とまたもや心を隠しつつ慎司のメルアドをゲットするのだった。

しかし、その後ろ姿を志保が冷たい視線で監視していたことは言うまでもないだろう。

志保は清修学院中等部の友人から慎司の住所を聞き出していた。

事件発生の2013年1月22日の三年前の春から夏にかけて・・・坂の下にも坂の上にも居場所のない一家の孤立はもっとも弱い部分から危機に落ち込んでいく。

「なぜ・・・知らないなんて言ったの・・・」

「・・・」

「ひばりヶ丘で一番ちっちゃい家の向かいの家だって言うから慎司くんの家すぐわかったよ」

「・・・」

「まさか・・・その家が彩花の家だったなんてねえ」

「・・・」

「どうして・・・隠していたの・・・慎司くんのことが好きなの?」

「そんなことないよ」

「ああ、よかった・・・じゃあ、応援してくれるよね・・・私と慎司くんとのこと・・・」

「うん」

彩花の曇りのない心に暗い影が宿ったのである。

高橋家の長男・良幸(安田章大)が京都大学医学部に合格したために・・・慎司用に部屋を改装する整形外科病院長である高橋弘幸(田中哲司)は内装業者としてやってきたヤマベ工務店営業部勤務の遠藤啓介(宮迫博之)に独立開業のための資金融資の話を持ちかける。

「とりあえず・・・1000万円ほどでどうですか」

「そんな・・・」

10万円の社交用の支出もままならぬ家計を思い、啓介の心は揺れる。

普段着という概念の存在しないひばりヶ丘の服飾に対応したために預金残高が限りなくゼロに近くなり蒼ざめた真弓はパートの仕事を始めるのだった。

そして、その自己反省なき心は残酷な言葉を娘になげかける。

「私立学校に受かってたら大変だったわ」

「公立学校で良かったかもしれない」

「あなたは行きたかったかもしれないけど・・・」

(行かせたかったのはあんたでしょう)という言葉を飲みこむ彩花だった。

ひばりヶ丘からただ一人パートに出かける真弓の前に謎のパートタイマー田中晶子(堀内敬子)が現れる。田中はひばりヶ丘に特殊な感情を抱いているのだった。

なぜなら・・・晶子は高橋夫人の妹だったのである。

そんなある日、高橋家の釣り行に誘われる遠藤家。

慎司に対する屈折した感情となんとなく部活をさぼれない空気に同行を拒む彩花だった。

河原ではちょっとした事故があり、高橋家の暗部が少しだけ晒される。

遠藤夫人は高橋夫人が後妻であり、長男とは血がつながっていないことを知るのだった。

そして・・・夫同志は融資について踏み込んでいく展開である。

坂の上に自転車をこいであがるのは苦行である。

息を切らし・・・帰宅した彩花は不安に包まれている。

仲良しトリオが自分抜きで何か計画している気配を感じたのである。

まさか・・・と思う気持ちがある。

しかし・・・中学受験と失敗以来・・・溝が生じたことは彩花にも感じられる。

そこへ・・・無頓着な母親から電話がある。

「今度、浦浜中学の女子と・・・清修学院の男子で合コンがあるんですって・・・そういう話は言ってね」

・・・・(はぶられた、私ははぶられた)・・・・

彩花の幸せな季節は終焉した。

そして・・・無垢な高橋家長女で清修学院生徒の高橋比奈子(宮﨑香蓮)はとどめの記念写真を送信するのだった。

それは・・・受験前に比奈子の制服でコスプレした彩花の思い出の一枚だった。

彩花は何かをメチャクチャにしないではいられなくなった。

三年後・・・遠藤啓介は死亡した。

「すごいよ・・・テレビ局も来ている」

「騒がないで・・・」

「何よ・・・自分が一番、知りたいくせに・・・」

「あんなに仲良くしてくれた高橋さんのことなのよ」

「・・・仲良しだったのはあんただけでしょ」

彩花はものすごく悪い子に育っていた。

はたして、それが自分のせいなのかどうか・・・遠藤夫人は自覚しているのかはまだ不明である。

結城刑事(高橋克典)は遠藤家を訪問する。

「お隣のご主人は亡くなりました・・・息子さんがどこにいるか知りませんか」

「・・・私、犯人を見たような気がします」と言い出す遠藤夫人。

その頃、入院中の高橋夫人は・・・娘と妹と藤川刑事(南圭介)の目を盗み、病院から失踪しようとしていた。

ちなみに藤川刑事といえば「しにがみのバラッド。」(テレビ東京2007年)の第一回ゲストであり、「メイちゃんの執事」(フジテレビ2009年)の執事・築地である。吉田里琴と縁の深い刑事だと言えよう。

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2013年1月25日 (金)

テトリスの如く嵌めまくる男(綾野剛)と内縁の妻(真木よう子)と会話したい男(瑛太)と最高の離婚(尾野真千子)

ああ、デリカシーのない男と何千回言われたことだろうか。

父親はよく「頭に浮かんだことをそのまま口にしてはいけないよ」と諭してくれたが・・・まったく効果なかったのだな。

だって言いたいことを言わないと気持ちが悪くなってしまうんですもの。

そういう意味で・・・このブログという奴はそこそこ無責任で、そこそこ一方的で、精神安定剤としては申し分ないのである。

いつだってよかれと思いアドバイスしてもそれが常に最善とは限らない。

もちろん、悪魔の言うことなので最悪の方がふさわしいわけである。

だが、「クラシック/JUDY AND MARY」が「やすっぽい花柄の便座カバーのような音楽」に聞こえる一瞬はきっとあると考える。そして、時にはそういうカバーを愛しく感じるのだ。デリカシーのない花が開いているから。

で、『最高の離婚・第3回』(フジテレビ20130124PM10~)脚本・坂元裕二、演出・並木道子を見た。たとえばインタビュアーというものは他人の話を聞くのが役割である。さらに言えば聞き出すわけである。概ね、人は話たがるものであるが・・・そうでない人も多い。また、話したいことと聞きたいことは概ね食い違う。たとえば「恥ずかしい話」を聞きたい時にはまず、「その話をすでに知っている」ことが好ましい。つまり、相手がどこかで誰かには話しているわけである。次に第三者、もしくはインタビュアーがそれに類した話を先にすることである。ただし、あくまでインパクトは話し手の方があることが肝心である。「より面白い話」を持っていると相手に思わせることが必要だからだ。そして「話」を聞きだした後で、「さすがにそんな面白い話は他にはないですよね・・・」と付け加える。そこからが本題なのである。もちろん・・・そういう基本が常に成功するとは限らない。懇切丁寧にインタビューしても「君とは二度と仕事をしたくない」とか「今度会ったらただしゃおかない」とか怨みのこもった目で見られることはままあるのだ。ただただ真面目に仕事をしていただけだったとしても。

連続ドラマでは継続的な視聴が望ましいが・・・記憶力があった方がより好ましいだろう。

たとえば・・・合コンで男と知り合った星野結夏(尾野真千子)がはじめてのデートで映画に一分遅刻する場面。

「一分なら・・・いいじゃないですか」と結夏が言うと男は「その一分の間にとても重要なことがあるかもしれないじゃないですか」とデートそのものを中止する。

当然、別れた元夫の濱崎光生(瑛太)の結夏が「いつも映画に遅刻する」ことを愚痴っていた場面を想起することで一つの「流れ」ができる。

それは世界一うざい男である光生にも賛成する男がいるということだったり・・・結夏という女はつくづくルーズな女だということだったり・・・光生よりも新しい男の方が結夏に対して淡泊だったり、冷酷だったり、どうでもいいと考えていたりするということだったり・・・映画を途中から見て平気な女なんて死ねばいいのにだったり・・・もっといい女だったら映画が終わる頃に来ても平気だよなあということだったりするのだな。

離婚してすぐに故郷に帰り、昔の男(波岡一喜)を訪ねたりした結夏だったが、実家にはなんとなく居づらくて、元夫の祖母(八千草薫)の誕生祝い出席を口実にしばらく奇妙な同居生活を始める。

近所に元夫の同棲相手の上原灯里(真木よう子)が夫婦で引っ越ししてきたためになんとなく知り合って行く二組のカップル。

特に元夫は灯里の主人である上原諒(綾野剛)とはやたらと遭遇するのである。

そして、諒にもてる秘訣を聞き出そうとしていた元夫は懲りずに草野球に参加したためにまたしてもぎっくり腰を再発してしまう。癖になるのだな。

芋虫と化して自宅に戻った元夫と諒。そこに元夫の祖母に気に入られた灯里と元妻が立ち話もなんだからと戻ってくるのである。

ついに実現した元夫と昔の同棲相手とその夫と元妻の記憶力のない人にはかなりややこしい同席の場である。

しかも・・・上原灯里が知ってか知らずか、上原諒は婚姻届を未提出らしい。

つまり、元妻と元夫と昔の同棲相手とその内縁の夫の同席なのである。

話の流れから・・・元妻は灯里が元夫の昔の恋人と気がついて「別れてすぐに昔の女とヨリを戻そうとするなんて最低」と言うのだが、自分が昔の恋人と和気藹々していたことはもちろん異次元の彼方なのである。

ささいなことで喧嘩する元妻と元夫は「喧嘩なんてしたことがない」という上原夫妻を疑いの眼差しで見つめる。

なんとか、そういう話をしようと・・・上原諒は内縁の妻の昔話にたどり着く。

「そう言えば・・・昔の彼氏にすごく怒っていた話があったよね・・・死ねばいいのに・・・とか思ったって酔った時に話してたよね」

「その話は・・・」

「・・・」

危険な方向に口をつぐむ賢い女が二人。

しかし、愚かな男は火の中に飛びこまずにはいられないのだった。

「どんなひどいことを・・・その人はしたって言うんですか・・・」

覚悟を決めて思い出を語りはじめる灯里だった。

「私は青森県八戸の漁師の娘として生を受けました・・・」

そこからかよっ。

「私は父親が大好きでした。海の香りのする父の帰りを待って海をずっと眺めているような娘だったのです。そんな父は私が14歳の時に亡くなりました。海で鮫に襲われ船から投げ出され八時間後に遺体となって発見されたのです。それから私はぼんやりすることが多くなりました。世界から太陽が消えたような気分だったのです。そんなある日、とある有線放送で当時流行していた歌が流れてきたのです」

恋しい人 震える想いは 今も 生きてるわ

この街の どこかで 強く風が吹いたら

切ない日々も キレイな空の色に 染まる

恋しい人 震える想いを のせて いつまでも 夢の中にいて

「その歌は私の心に陽光のように注がれたのです。私はその光を頼りにこの世に戻ってきたのでした。それ以来、私には彼女のような歌手になるという大それた夢が芽生えたのです。大学生になった私は歌手になるという夢とそんなの無理に決まっているという諦めで揺れていました。逃げるように男の人と付き合ってみたりしたのです。でも・・・どうしても夢は捨てがたく・・・思い切って恋人に話してみようと思ったのです。その日、私は思い出の曲を乙女チックにエンドレスで聞きながら恋人の帰りを待ったのです。恋人は帰ってくるなり言いました・・・なんだか、やすっぽい花柄の便座カバーのような音楽だね・・・と」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「思わず、部屋を飛び出してしまった私です・・・しかし、恋人にとってその曲がそう聞こえてしまったのは仕方のないことだったと思うしかありません・・・気をとりなおして部屋に戻ると彼は映画「ジョーズ」を見ていました・・・そして、笑いながら言ったのです・・・鮫に食べられて死ぬのだけは絶対いやだよねーーーって」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「私は・・・思いました・・・恋人が悪いわけじゃない・・・結局、恋人だって他人なんだから・・・で、その日のうちに荷物をまとめて部屋を出たのです」

「・・・」

「・・・」

「・・・帰ろうか」

「うん」

まあ、大抵の惨事というのは間が悪いことで発生するんだけどね。

地震とか、津波とか、飛行機事故とか、武装勢力の襲撃とか、貿易赤字とかありとあらゆる禍は・・・間が悪いんだよね。

そして・・・間の悪さは生まれつきだったりもするんだな。

やればやるほどストーカーであるにもかかわらず・・・どうしても本人に謝罪したい元夫。

しかし・・・その謝罪の仕方が「全く記憶にないんだけど・・・ごめんなさい」である。

当然、ドアもあけない灯里だった。

元夫がすごすごと引き上げようとすると・・・内縁の夫の愛人の一人で、内縁の夫の教え子でもある有村千尋(小野ゆり子)が石を投げて逃げ出すのである。

「愛人たちよ・・・はばたくのだーーーっ」とは言わずに無言で逃げ出す千尋。

うかつな元夫にもまるでストーカー的な自分が窓ガラス割っちゃいました的誤解を受けることが直感できたのです。

仕方なく犯人を追いかける元夫。

「どうしてあんなことを・・・」

器物破損である。しかし、それを咎めることは灯里にとってどうなのか・・・もはや元夫には判断つかない。

「あの人が自分は特別みたいな顔してるから・・・」

「・・・」

「あの二人・・・結婚してないのよ」

「ええっ」

「だから・・・私も不倫じゃないし・・・あなたが略奪しても不倫じゃないわけ」

「・・・」

「どうなのよ・・・やる気あるの・・・ないの」

「・・・」

やる気はあるのだがやり方のわからない元夫なのである。

フェイスブックも暇を持て余す小牧歯科医院の歯科衛生士の海野菜那(芹那)に教えてもらわないとできない男なのである。

その頃、生れついてやり方を知っている内縁の夫は愛人の一人である雑貨屋の光永詩織(大谷英子)・・・と思ったらさらに新しい愛人(遊井亮子)とラブホテルで交接したあとのまどろみで悪夢を見ていた。っていうか今度は人妻相手かな。

「どうしたの・・・浮気に罪悪感でもあるの・・・私は爽快感しかないんだけど」

「さあ・・・ただテトリスをしているみたいに果てがないんだよね・・・ゲームとしてこれは」

「・・・」

「はめては消して、またはめて」

冬の中目黒に落ちて消える冷たい雪が降っている。

これ以上、サイコパスのストーカー行為がエスカレートしないように石を間違った相手に返す怖いもの知らずの内縁の妻。

元夫はなすすべなくそれを受け取る。

「大回しの縄とびをみんながとんでいるのに・・・ぼくが入るとつっかえてしまう・・・ぼくにはどうしたらいいのか・・・わからない・・・ぼくは・・・どうしたらいいのかわからない男」

発達障害の人だったのか・・・と茫然とする・・・あるいは戦慄を感じる内縁の妻だった。

再現率高いぞ・・・し、仕方ないだろう・・・も、文句のない出来栄えなんだから。

爆笑、爆笑、また爆笑だもんな。

ところで・・・この流れだと・・・元妻の提出した離婚届、書類に不備があって受理されなかったんじゃ・・・。

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2013年1月24日 (木)

彼女がセクシャルハラスメントされるかどうか、エッグベネディクトを賭けますか?(木南晴夏)

別にエッグベネディクトは賭けてないだろう。

エッグベネディクトのポイントはやはり、オランデーズソースということになる。

フランス料理的にオランダ風のソースということである。

素材は泡立てた卵黄、溶かしバター、レモン汁、塩・コショウである。

ほぼ、マヨネーズだが、調理中に熱を加えることによって独特の風味があると言われる。

冷凍ものが市販されています。

もちろん・・・醤油に各種あるようにオランデーズソースもそれぞれである。

早い話が日本人が卵がけご飯を食べる時に醤油をたらすことは基本・・・みたいな話でございます。

で、『シェアハウスの恋人・第2回』(日本テレビ20130123PM10~)脚本・水橋文美江、演出・南雲聖一を見た。30歳の独身OL・津山汐(水川あさみ)はさびしい宇宙人である川木辰平(大泉洋)と公園で拾った謎のホームレス・桜井雪哉(谷原章介)をシェアハウスの空き部屋に収納する。実は雪哉は妻(須藤理彩)と子(君野夢真)を残して蒸発した男だった。

子は父親を慕っているようだが、妻は「死ね」と書いて離婚届を郵送してくるほど夫を憎んでるのだった。

その手紙を雪哉に渡すかどうかで悩む汐。

雪哉の子に「パパをかっこよくして届ける」と約束しているのだが・・・単に雪哉に一目惚れをしてできたら抱いてほしいだけのさびしい女なのである。

こうして・・・さびしい女とさびしい男とさびしい宇宙人の奇妙な同居生活が始ったのである。

早くに母親を亡くしたために姉が母親代わりだった汐の弟の大学生・凪(中島裕翔)は深層心理では姉に一生処女でいてもらいたいという奇妙なシスター・コンプレックスを抱いているために姉と男たちとの同居生活が不快で仕方ない。

できれは檻に入れて監禁したいのだが・・・そうするほどに心が自由ではないために「不潔なシェアハウス生活」を断念するように姉に忠告する。

凪の恋人の錦野カオル(川口春奈)は凪の変態的心理を見抜きつつ、面白半分でシェアハウスからの雪哉追い出し作戦を立案、実行する。

おそらく暇なのであろう。

作戦その一「冷蔵庫の中のものを勝手に飲まないというルールを雪哉が破ったことにするためにビールを捨ててしまう」

作戦その二「借金をしないというルールを雪哉が破ったことにするために料金着払いでアダルトソフト『団地妻よれよれ』を発注する」

作戦その三「部屋に異性を連れ込まないというルールを雪哉が破ったことにするために雪哉の部屋に侵入して女物の衣装を配置する」

しかし、雪哉をかばう宇宙人によって作戦は失敗。ついには汐の勝負パンツをまぜたために偽装工作が発覚してしまうのだった。

人を罪に陥れることに熱中するカオルが異常人格であることには異議がないだろう。

一方、宇宙人の勤務するスーパーマーケットの古株のパートタイマー寺坂(もたいまさこ)は実は火星人だった。

火星の地下コロニーからは地球に多数の工作員が潜入していることは周知の事実である。

超古代文明時代の分岐で遺伝子的には人類と同祖である火星人は地球人に紛れ込めば見分けがつかない。

これに対し宇宙人は変態して地球人に偽装していると思われる。

「そのあたりのことをくわしく話し合おう」ともちかけられ宇宙人は逡巡するのだった。

火星人もおそらく暇なのであろう。

二人の異星人は『団地妻よれよれ』について詳細な情報交換をするのだった。

「団地妻といえば」

「白川和子」

「女子高生といえば」

「片桐夕子」

「女教師といえば」

「風祭ゆき」

「まほろ・・・」

「まほろ・・・」

汐の職場では営業先の顧客がセクハラ体質であることから、汐の同僚の望月メグ(木南晴夏)が汐がセクハラ対象になるかどうかの賭けが行われた。

ちなみにメグは「セクハラされない」に賭け、昼食代を浮かせることに成功したと妄想できる。

職場の人々も暇で退屈していたのだった。

おそらく、イスラム過激派が急襲してこないからだろう。

そのような暇をもてあました人々の退屈しのぎの日々。

汐は雪哉のリクエストに応え、イングリッシュ・マフィンにハムとポーチドエッグをのせオランデーズソースをかけたエッグベネディクトを調理する。

無口ながら朝食を口にした雪哉に「はじめて手作り料理を好きな男に食べてもらえた」幸せに浸る汐。

人間はささやかな幸せを感じる幸せな生き物なのだ。

しかし、その夜、雪哉は宇宙人を背後からあすなろ抱きで攻撃し、「やはり・・・あんたが好きだ」と愛を告白する。

目撃した汐は唇をかみしめるのだった。

人間は本当に愚かで悲しい生命体なのだ。

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2013年1月23日 (水)

書店員ミチルの身の上話の身の下話の終焉、金の入り目が縁の切れ目ですか?(戸田恵梨香)

大島弓子の「ノン・レガート」で、主人公は宝くじ3000万円が当たり、弁財天にお賽銭を1円投入。

これに対し弁財天は「だめだわ・・・あんた・・・」とつぶやく。

このドラマの主人公のミチル(戸田恵梨香)の無軌道な生き方に・・・同期入社の春子(安藤サクラ)は「あんた・・・このままじゃ駄目かもしれない」と忠告する。

つまり、安藤サクラは弁財天の転生なのである・・・それはどうかな。

まあ、フィクションの系譜的にはそうなると考える。

前回までは原作者の願望のままに性欲に支配されて我を忘れていたミチルだったが・・・ついに「大金」という「全能の力」に接し、ますます我を失うのである。

あは・・・あははははははははははははははははははははははっ。

で、『書店員ミチルの身の上話・第3回』(NHK総合201301222255~)原作・佐藤正午、脚本・演出・合津直枝を見た。出版社の光潤社営業部主任・豊増一樹(新井浩文)とのアバンチュールのために上京してしまった長崎の広林堂書店の店員・古川ミチルはだらだらと帰郷を十日間も伸ばし、ほぼ無断欠勤、ほぼ無断外泊の日々を過ごしたあげくに預金全額引き出しという父親の釣り船店ふるかわ丸主人(平田満)による兵糧攻めに遭うのだった。そのために・・・茫然自失のまま・・・なんとなく同僚たちに頼まれた宝くじの当選確認のために最寄りの宝くじ売り場に立ち寄るのだった。

「あ・・・お譲さん・・・おめでとうございます・・・高額当選、1等2億円です・・・」

「え」

「1等の当たりくじを生きているうちに拝めるなんて・・・」

バラくじにたいして「すりかえ用のくじ」を宝くじ売り場のおばちゃんは確実に一枚用意しているにちがいないという妄想を越えて・・・当たりくじを拝む東京の宝くじ売り場の女(田島令子)だった。

「換金はみつば銀行で・・・」

急激な体温の上昇により乾燥したミチルはアバンチュールのことも失念し、当選発表の掲載された新聞を購入すると東京の寄宿先である幼馴染の大学生・竹井輝夫(高良健吾)の部屋に戻るのだった。

1等2億円07組165874

「07組・・・165・・・874・・・・・・・・07組・・・16・・・58・・・74・・・・07組16587・・・4」

どう見ても当たっているのである。

その日から読む本

おめでとうございます。今あなたは、突然訪れた幸運に驚きと喜びを感じていることでしょう。同時に初めての経験を前にして、少しばかり不安をおぼえているかもしれません。

このハンドブックは、そんな不安や疑問の解消に役立つよう、弁護士、臨床心理士、ファイナンシャルプランナーといった専門家のアドバイスを得て作成されたものです。内容的には、当せん直後から徐々にやっていくべきことが順を追って書かれています。

ただし、このハンドブックで触れているのはごく一般的なことですので、当せん者が現在から将来にかけて直面するかもしれない、すべての不安やトラブルを想定したものではありません。そして当せん金の使いみちなどに関する最終決定の責任は、言うまでもなくあなた自身にあります。このハンドブックを読みながら、それらをゆっくり整理していきましょう。

もはや・・・行き交うすべての人々が凶悪な強盗に思えてなりません。

あのサラリーマンも、あの主婦も、三輪車の幼児も私の当たりくじを狙っているのです。

できるだけ・・・一人になりたい気分のミチルである。

その頃、故郷では一樹のもう一人の愛人・タテブーこと立石武子(濱田マリ)がミチルのことではなく、ミチルに購入を頼んだ宝クジのことを思い出しています。

「あ・・・今日は宝くじの当選発表・・・」

ミチルの上司の沢田早苗(浅田美代子)も「あの娘はどうでもいいけど・・・宝くじは回収しないとね」

すぐにミチルに郵送するように春子に指示する二人だった。

待ち合わせのしゃぶしゃぷ屋で待ちぼうけを食らう一樹。仕方なく電話である。

「ミチルちゃん・・・どうしたの・・・具合でも悪いの・・・」

「あ・・・あの・・・私・・・なんだか・・・クラクラしちゃって・・・」

「大丈夫・・・?」

「・・・ええ」

「じゃ・・・今日はゆっくり寝て・・・明日電話してね」

「・・・ありがとう」

ミチルは幼い日の亡き母(鍵本景子)の神・イエス・キリストへの祈りをふと回想する。

「私が死んだあともこの子をお護り下さい。どうか・・・この子が幸せになりますように。
どうか・・・お護り下さい」

(この世に産んだお母さん・・・私、幸せになれるかも・・・)

この世に生れた子供の多くは・・・自分が幸せだとはたいして思っていないわけなのだな。

なにしろ・・・ほとんどの子供たちは宝くじで高額当選しないのである。

幸せって高額当選だけですか・・・いや、失言でした。それだけに決まってますよね。

第一部

今すぐやっておきたいこと、やってはいけないこと(中略)

第二部

落ち着いてから考えること

1.当選者にしかわからない悩み、知っておこう

・ひとりでも人に話せば、うわさが広まるのは覚悟しよう

その時、長崎の春子から電話が・・・。

ミチルが応答するとすかさず割り込むタテブーだった。

「私たちの宝くじのことだけど・・・買ってないなんてことはないでしょうね」

「買いました」

「どこで・・・買ったの・・・」

「東京です」

ミチルは嘘をついた。もう、嘘をつかずにはいられないのである。買ったのは長崎のバスストップ前の宝くじ売り場の女(大島蓉子)からだった。

宝くじ売り場の配役・・・濃厚だな。

「あきれた・・・あの日から東京に行ってたの・・・まあ・・・いいわ。私と沢田さんが五千円でそれぞれ16枚、初山(春子)さんが三千円で10枚、全部で42枚・・・ちゃんとあるわよね」

「あ・・・多分」

「じゃあ・・・すぐ送ってちょうだい」

「お釣りの200円もね・・・沢田さんの200円は餞別だって」

「わかりました・・・」

ミチルは・・・強烈な誘惑にかられながら・・・もちろん、持ち逃げのである・・・とりあえず枚数をチェックする。

10枚・・・10枚・・・10枚・・・10枚・・・2枚・・・42枚・・・おや。

当選した宝くじは・・・サイフにしまってある。

宝くじは43枚あったのである。

(なぜだ・・・なぜなんだ)

そこへ、家主の竹井が大学の友人の高倉恵利香(寺島咲)を連れて帰宅するのである。

「ミチルさん、宝くじよく買うんですか」

(なぜだ・・・なぜなんだ・・・)

「でも変わった人たちですね・・・宝くじを他人に買わせるなんて・・・万が一1等が当たったらどうやって分けるつもりなんでしょう」

(なぜだ・・・なぜなんだ)

「ミチルちゃん、トマト洗って・・・」

(なぜだ・・・なぜなんだ)

「竹井先輩ってどんな子供だったんですか」

(なぜだ・・・なぜなんだ)

「ミチルちゃん・・・おいしくなかった?」

「わ・・・私・・・デザート買ってくる・・・」

疑問を解決するために外出して一人になるミチルだった。

・・・その頃、ミチルの交際相手である上林久太郎(柄本佑)は春子を待ち伏せしていた。

「ミチルちゃんがあんな嘘までついてどうして休み取ったのかって事を考えると・・・僕ってちょっと駄目っていうか・・・鈍感なところあるでしょ・・・きっとミチルちゃん僕に言えない悩みがあったんだと思うんだ・・・僕・・・それに気付いてやれなくて・・・それで・・・ ミチルちゃんが帰ってきたらちゃんと話し合って2人でやり直そうと思って・・・僕たちやり直せるかな」

「きっとできると思いますよ・・・」

あくまで当たり障りのない春子だった。

タテブーは一樹とのツーショット写真を見ながら自慰にふける。

沢田は当選を夢見ながら母親を介護する。

ミチルの妹の千秋(波瑠)は父親をなじるのだった。

「兵糧攻めってひどくない・・・姉ちゃんが初めて自分からなんか始めたんだから・・・優しく見守ってあげればいいのに・・・姉ちゃん、本当は短大に進学したかったのに・・・勝手に就職も決めちゃったり・・・」

「広林堂で上等じゃないか・・・何が悪い」

親の心、子知らずというが・・・親の心をはるかに越えた事態というものは存在するのだった。

しゃぶしゃぶを食べそこなった一樹は妻の妙子(遊井亮子)から精のつく料理を強要されていた。不妊治療に励む妻にとって今夜は自力本願の日にあたるのだった。

鬼女の騎上位で30過ぎて半端なく劣化しつつある精子を搾りとられる一樹・・・。どうやら・・・かかせない一樹の濡れ場らしい。描写するのも憚れる激しさだった。

ガシガシガシガシガシ・・・・・。

夜の公園のベンチに一人・・・ミチルは考える。

(あの日・・・宝くじを買おうとして・・・預かった一万三千円を出して・・・そしたら一樹さんを発見して・・・お釣りを100円もらって・・・)

電卓を出して計算するミチル。

12900÷300=43

(400円あるはずのおつりが100円だったのは・・・一枚余計に買ってたからか・・・)

つまり・・・ここにミチルのものである1等のクジが一枚とそうでない八等300円が4枚入ったほぼハズレクジの42枚があったのだった。

ミチルは42枚の宝くじと後腐れのないようにお釣りの200円を春山宛で宅配便にするのだった。

ミチルの頭には打ち上げ花火が上がり続けている。

(お母さん・・・ミチルは幸せになってもいいんだよね)

ミチルと2億円の旅が始まるのだった。

もちろん、そこは疑心暗鬼の棲む世界なのである。

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2013年1月22日 (火)

自分の生れつきをそんなに悲しんではいない(水野絵梨奈)

じゃ、悲しいことは悲しいんだな・・・。

小山清は明治四十四年(1911年)の生れである。

つまり、生きていると数えで103歳になる。しかし、享年53歳で亡くなっている。

亡くなる7年前に失語症になり、まもなく幼い娘と息子を残し夫人に先立たれている。

「落穂拾ひ」は失語症になる数年前に発表され、その前後三年連続で芥川賞の候補となったが受賞は逸した。

まあ、いろいろな意味で悲しむべき事象はあったと思われる。

どちらにしろ、半世紀前の話である。

自己憐憫は愚か者のすることだが、他人の感傷に浸るのは読書のたしなみの許容範囲となる。

そんなに悲しんではいないが悲しんでいる人は他人の悲しみを求めている人に受けるものなのである。

で、『ビブリア古書堂の事件手帖・第2回』(フジテレビ20130121PM9~)原作・三上延、脚本・相沢友子、演出・松山博昭を見た。「落穂拾い」といえば19世紀のフランスの画家・ジャン=フランソワ・ミレーの油彩作品である。いろいろな意味で貧しい人々が収穫の終わった麦畑で落穂を拾い糧とするという題材である。落ちこぼれそうな人が落ちこぼれているものを拾うのだ。それを皮肉と感じるか、醍醐味と感じるかは人それぞれでいいと思う。

ビブリア古書堂の住居部分に棲むせどり屋(古書転売業者)の志田肇(高橋克実)は一冊の文庫を通りすがりの女子高校生・小菅奈緒(水野絵梨奈)に盗まれてしまう。

新潮文庫の「落穂拾ひ・聖アンデルセン/小山清」は志田にとってお守り代わりの一冊だった。

失職し、家族にも去られた志田がホームレスに転落する直前、自宅から持ち出した唯一の品で・・・幸福だった頃の記憶につながる愛読書だったのである。

しかし・・・女子高校生にとっては縁のなさそうな古書がなぜ盗まれたのか。

活字恐怖症のアルバイト店員の大輔(AKIRA)は例によって店主の栞子(剛力彩芽)と一冊の本にまつわる謎の解明に乗り出すのだった。

もちろん、この話で一番、超常現象的と言えるのは次の部分だろう。

志田の友人である笠井菊哉(田中圭)が女子高生が衝突したために転倒した志田の自転車の積荷を拾い集めていると・・・。

「すみません・・・ハサミをお持ちではないですか」

「・・・持ってますけど・・・」

「ちょっと貸していただけますか・・・」

このように見ず知らずの女子高生にハサミをねだられるわけである。

生れてから一度もそういう体験はないな。まあ、ハサミはほぼ持ち歩かないわけだが。

ま、それはそれとして・・・盗まれた本が新潮文庫だったことから・・・栞はひとつの仮説を提示する。

新潮文庫は公式ホームページで自ら解説するほど本の中に焦げ茶色の紐が入ってることを特徴としている。所謂、スピン(栞紐)付なのである。

「女子高生がバスストップに向かって走る理由はただ一つ・・・好きな人にお手製のお菓子をラッピングして誕生祝いに届けるためです」

「え」

再び・・・超常現象が発生するが・・・ここは恐ろしいラノベの世界なのでこういうことは日常茶飯事と言ってもいいのだ。

「アクシデントで転ぶのは定番ですが・・・現実的には好きな相手ではなくて変なおじさんの自転車にぶつかっちゃうこともあるのです」

「はあ」

「そのために・・・ラッピングが壊れてしまい・・・彼女はかわいいヒモが必要となったのでしょう。新潮文庫のスピンは充分にかわいいヒモとして代用できます」

「・・・」

「笠井さんは貸したハサミが冷たく濡れていたと言いました。ホラーではないのでゴーストの仕業ではなくお菓子の鮮度を保つ為の保冷剤の上に置かれていたと考える方が自然でしょう」

「自然」

「そして・・・おそらく・・・彼女は失恋しています。好きな人にバカじゃねえのとか言われて泣きながらその場を走り去ったので本を返しそびれてしまったのです・・・彼女はそんなに悪い子じゃないと思う」

「・・・・・・」

不可解に思いながらも問題のバスストップを捜索した大輔は性格に問題のあるイケメン高校生(浅香航大)を発見してしまうのだった。

「あの・・・まさか・・・ここで誕生日のプレゼントをもらってませんよね」

「もらわないよ・・・あんなブスからもらえるかよ」

「あ・・・それはラノベの世界では・・・」

「えーと、クラスでは浮いてるというか、好みのタイプじゃないから拒否しましたけど・・・なにか」

クラスメートは浅墓で残酷な性格だったので見ず知らずのうすらヒゲをはやした男に小菅奈緒の個人情報を面白がってもらすのだった。

仕方なく、大輔は「本を返してください・・・待ってます」とメールするのだった。

それぞれの出番確保のための喫茶店シーンを割愛して・・・しばらく、間を置いて本を返却にくる悲しい女子高生だった。

「この本の作者って私小説家のくせに願望丸出しですよね」

「私小説というのは私のフィクションということだからね・・・ありのままじゃないんだよ」

「でも欲しいものが手に入らないことが分かっていて欲しがるというのは泣けますよね」

「そうだね・・・私も悲しい元ホームレスだから・・・その意見には賛成だ」

「これ・・・おわびの気持ちです」

悲しい女子高生は悲しいせどり屋に悲しい小説家が作中で理想の女性から贈られる爪切りと耳かきをプレゼントするのだった。

「主人公はきっと・・・爪がのびて先が黒ずんで、耳垢がたまった不潔な感じの貧しい小説家だったんでしょうねえ」

「悲しいよなあ」

「悲しいですね」

そして・・・二人はさめざめと泣き濡れるのだった。

ちなみに悲しい女子高生は準レギュラーらしいがダンサーなのでそのうち踊りださないかと心配である。

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2013年1月21日 (月)

マッチョ、マッチョマ~ン、だけんじょ、凝視せねばならぬものはならぬのです(綾瀬はるか)

現在の銃には弾丸があり、弾丸には薬莢がつきものである。

しかし、そうした形式が発明されたのは天保七年(1836年)頃であり、実用段階に達したのが弘化七年(1847年)頃で、普及したのは安政五年(1858年)頃になる。

これによって坂本龍馬はガンマンになることが可能になったのだ。

それまでは基本的に弾丸と火薬は別々に装填されていた。

弾丸と火薬を装填しやすいように紙で包んだものがハトロン(紙早合)である。

八重の成長はまさに銃の進化の過程だったのである。

銃が身近なものであれば不要な説明をいちいちしなければならないのは不便なことである。

キッドは「銃社会が不幸だ」とは思わない。包丁一本あれば殺そうと思えばかなり殺せるからである。

銃を規制したら次は包丁を規制するのだろうか。

小学校に包丁持った男が乱入してきても児童を守るために女教師が携行している44マグナムで闖入者を射殺できる社会はそれはそれでいい社会だと考える。

・・・それまでっ。

で、『八重の桜・第3回』(NHK総合20130120PM8~)作・山本むつみ、演出・加藤拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は「Macho, macho man  I gotta be a macho man」な陸奥国会津藩士・山本覚馬と「弾丸の行方を目で追いなさい」のメソッドを披露する元・但馬国出石藩士・川崎尚之助の二大イケメン描き下ろし大公開でお得でございます。やはり、姫様より「漢」が先でございましたな~。よろしいのです。マイペースでお願いします。

Yaeden003 安政二年(1855年)十月、関東南部にM7クラスの直下型地震が発生。世に言う安政の大地震である。家屋一万戸以上が倒壊、大火災が発生し、死者は一万人を越えたと言われる。水戸藩邸にいた戸田忠太夫や藤田東湖なども死亡している。攘夷派の水戸藩主・徳川斉昭にとっては痛恨の一撃だった。安政三年(1856年)秋、米国は徳川幕府に対し駐日総領事ハリスを下田に来航させ通商の自由・通貨交換比率の取り決めをついての交渉を開始する。日米交渉は一年間続き、ついに安政四年(1857年)秋に日米間の条約となる下田条約が締結される。ハリスは江戸城に登場し、将軍に米国大統領ピアースの親書を提出する。これより、本格的な日米修好通商条約の交渉が開始されることになるのだった。この許しを幕府が朝廷に求め、朝廷が条約調印を拒否することによって幕末の混乱が開幕するのである。開国派と攘夷派、尊皇派と佐幕派は入り乱れて血みどろの抗争を展開するのだった。明治維新までいよいよ残り十年なのである。その頃、会津藩ではお上にたてついた山本覚馬が一年間の禁足処分となっていたのだった。

「武の極意とはなんでございましょう」と八重は米俵を担ぎながら言った。

「心・技・体の鍛錬じゃ」と兄の覚馬は答えた。

二人は半裸である。初夏の日差しが裏庭に差し込んでいる。兄の覚馬は両手に一俵ずつ米俵を持ち、振り上げては下ろす。発達した筋肉が躍動する。

八重は両手で一俵の米俵を担ぎあげては下ろしている。

膨らみかけた胸が幽かに揺れる。

山本家の居候となった元・但馬国出石藩士・川崎尚之助は茫然として二人の筋肉鍛錬のための稽古を見つめていた。

「シン・ギ・タイとはなんでございましょう」

「心とは心の動きを研ぎ澄まし、御することじゃ。何を目指すのか、何を為そうとするのか、そのための道筋はどうあるべきか、また、機に臨んで的確に為すべきことを為すために不動の心を養うことじゃ。技とはより理にかなった働きをするために手順や足さばき、ものの流れを支配することじゃ。体とはそれらを身を持って行うための力を養うことじゃ・・・今、しておるのは身体に力を与える鍛錬じゃが、それをするための技があり、そしてそれを成し遂げる心があるのじゃ」

「さすれば・・・兄上のように鉄砲を放てまするか」

「いかにも・・・刀を使うためにはそれを使う心を鍛えねばならぬ。それがもっともふさわしい技を磨かねばならぬ。そして、それがもっとも強くあるべき力を養わねばならぬのだ」

「武は膂力でございますな」

「その通りじゃ・・・同じ刀を持っても人よりも早く、人よりも強く、人よりも正確に相手を斬り殺すためには心・技・体が優れていなければならぬ」

「心得ました」

「鉄砲とて同じじゃ・・・鉄砲を相手より早く撃ち放つために、相手より正確に撃ち放つために、相手より優位に立つために・・・心技体は不可欠なのじゃ」

「承知」

見ているだけで息がつまるような鍛錬をしながら・・・平然と会話を交わす二人に尚之助はなにか常人離れした存在を感じるのだった。

これが・・・噂の鉄砲忍びというものか・・・。

先代藩主・仙石政美の逝去の時代から続く、但馬国出石藩のお家騒動に嫌気がさして俸禄を辞し、会津藩までやってきた尚之助だったが・・・この異常な兄妹の存在感に圧倒され恍惚となっている今日、この頃なのであった。

その時、八つの鐘がなった。

「よし・・・それまで」

覚馬が軒下に俵を積むと、八重はその上に俵を軽々と積み置く。

鍛え抜かれた二人の肉体美に・・・尚之助はチャーム(魅了)の魔法をかけられていた。

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篤姫の安政大地震の頃

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2013年1月20日 (日)

泣くな、はらちゃん(長瀬智也)と言ってもきっと泣くのよね(麻生久美子)

♪~しゃくなげの花をください。五本の束でください。お金ならあります。ウチにはそんなもりありゃしねえ。おととい来やがれ。・・・そうですか。・・・誰が三日月くんの歌を歌えといった。

ちなみにしゃくなげの花言葉は「危険」「警戒せよ」である。割と好きな花だと言える。

五本の束だと「危険」「警戒」「危険」「警戒」「キ・ケ・ン」って感じだな。

もちろん・・・麻生久美子は美しい女優である。

美しいということはそれだけで悪の香りがするものなのでしゃくなげはその警告を伝える花としてふさわしいのだ。

一方で長瀬智也といえば・・・白線流しの大河内渉、池袋ウエストゲートパークの真島誠と二枚目と三枚目どちらのキャラもできる貴重な帝国武将である。しかし・・・最近では後者の方が圧倒的に面白い。つまり、「歌姫」よりも「うぬぼれ刑事」なのである。

だから・・・マンガの世界の住人という今回のキャラクター設定は絶対に面白いと断言できるのだ。

そして長瀬智也×麻生久美子なら絶対にロマンチックである。

まさに期待を裏切らない仕上がりでございます。

で、『泣くな、はらちゃん・第1回』(日本テレビ20130119PM9~)脚本・岡田惠和、演出・菅原伸太郎を見た。例によっていかにも津波に襲われそうな港町である。おそらく三浦半島風なのであろう。かまぼこ工場「ふなまる水産」で働く薄倖そうな女・越前さん(麻生久美子)はパートのおばちゃんたちと折り合いが悪く、物凄くフラストレーションがたまっている。そんな越前さんを謎のパートリーダー・矢口百合子(薬師丸ひろ子)は生温かく見守るのである。

ちなみに作中に矢東薫子漫画全集が登場し、越前さんの描く極私的愚痴マンガ日記の「泣くな、はらちゃん」と相似したキャラが描かれている。

単に・・・お手本なのかもしれないが・・・一世を風靡した創作者が零落してパートタイマーになっているのはよくあることである。

矢口か、越前さんのどちらかが矢東だったのかもしれない。

そんな越前さんに現実世界で思いを寄せるのがタニシじゃなくてふなまる水産の社員・田中くん(丸山隆平)である。「ボーイズ・オン・ザ・ラン」で新境地を開いていて存在感がある。

そんな田中くんに想いを寄せているのが越前さんの同僚の紺野清美(忽那汐里)である。シンガー・ソング・ライターなのでかまぼこを作るのは仮の姿なのである。

田中くんへの恋を歌ったのはこんな歌。

恋の歌とか嫌いなんだよね

どれもみな同じ

わからない

歌いたくない

似合わない

でも恋をした

でも片思い

一瞬の笑顔と・・・越前さんと田中くんに向ける屈折した表情でそれを表現する紺野清美・・・なかなかなのである。

パートのおばさんたちは世知辛い。弱いものは踏みつけにして生きている現実の世界の住人である。

越前さんはそんなおばさんたちに踏みつぶされると怨み辛みを鉛筆書きの自家製コミックにぶつけるのだった。

だから・・・コミック「泣くな、はらちゃん」の主人公・はらちゃん(長瀬智也)の棲むノート内宇宙は暗く呪詛に満ちた居酒屋で・・・はらちゃんは呪いの歌を歌うのだ。

世界中の敵に降参します

戦う意志はありません

世界中の人の幸せを祈ります

誰の邪魔もしません

静かにしています

だからお願い

そっとしておいて

おかしいですか?

人はみなそれぞれちがうものでしょ

冒険でしょでしょ

でしょでしょでしょ・・・と。

越前さんが憲法九条的な毒を吐き終わるとノートは閉じられる。

そらに きらきら おほしさま

みんな スヤスヤ ねむるころ

みんなは キャラを 脱ぎ捨てて

おどる マンガの チャチャチャ

・・・を始めるのだった。

その中でいかにも越前さんの分身であるユキ姉(奥貫薫)はビール・サイダー・カクテル・ウイスキー・ハイボールなどを背に世界の危機と神様の存在についてはらちゃんに語るのだった。

「この世界の外には神様の棲む世界があるの」

「・・・」

「そこではギターの弦が六本で・・・歌にはメロディーがあるのよ」

「・・・」

「私・・・そこに行ったことがあるもの」

「・・・」

「神様が・・・暗い気持ちになれば・・・この世界も暗くなる」

しかし・・・内的宇宙の住人たちには夢のような話でしかない。

ところが・・・越前さんの破壊的な家族たちは・・・ノートを粗末にすることで異次元の扉を開いてしまうのだった。・・・なんでだよ。

越前さんの弟・ひろし(菅田将暉)はあろうことか・・・姉のノートを窓から投げ捨てる人でなしぶりを発揮するのである。

こうして・・・現実世界と虚構世界の境界線は破綻し・・・その亀裂から「はらちゃん」はこちらへと侵入したのである。・・・たまにあることなのだな。

こちらの神様のはからいにより・・・たちまち運命に導かれて田中くんと遭遇し、「神様」である越前さんに接近する「はらちゃん」だった。

田中くんの上司の玉田(光石研)は一目で純朴な「はらちゃん」を気に入り、雇用する気になるのだった・・・こちらの世界はどんだけ人手不足なんだ・・・。やはり、みんな海岸線を警戒中だからか。ここにいる人たちは基本、捨て鉢なのか。

「神様、幸せになってください」とストレートに直訴する「はらちゃん」・・・。

たちまち、警官(小松和重)のお世話になってしまうのだった。

謎のパートタイマーである矢口百合子は留置施設の「はらちゃん」に告げる。

「あなたはまちがっている・・・世界を変えようと思ったら自分が変わらないとだめよ」

なぜか・・・矢口は・・・いつでも自信満々なのである。何様なんだ。まさか・・・高倉健に背負われた過去があるのか。「お父さん怖いよ。何か来るよ。大勢でお父さんを殺しにくるよ」とか予言してたのか。

・・・おい。

お約束で越前さんがノートを開くと・・・漫画世界に召還されてしまうらしい。

留置施設から忽然と姿を消す「はらちゃん」だった。

「はらちゃん」の乱入でさらにストレスを感じた越前さんは作品世界に暴力の風を吹かせる。

「殺すしかない」から「死ね」に飛躍してマシンガンが連射されるのだった。

ダダダダダダダダダダダ

ダダダダダダダダダダダ

ダダダダダダダダダダダ

ダダダダダダダダダダダ

ハチの巣になるキャラクターたちだった。

今度は越前さんの母親の秀子(白石加代子)がノートをハエ叩きとして使用し、二次元三次元境界線は再び破損する。・・・まあ、よくあることだよな。「ハレンチ学園」とかだな。「ドラ」とか「クレ」とかでは逆流日常茶飯事だしな。今度はきゃりーぱみゅぱみゅだしな。

今度は紺野清美と遭遇した「はらちゃん」・・・紺野の弾き語りにより「メロディー」を入手したのだった。

そして・・・ふたたび越前さんに迫るのだった。

「神様が幸せになるために・・・命をかけてなんでもします」宣言である。

「あなた・・・何者なの」

「「はらちゃん」です」

驚いた越前さんだが・・・足元にノートを発見・・・恥辱で赤面するのだった。

「勝手に読んだのね・・・」

「この世界は素晴らしい・・・ギターの弦は六本あるし・・・歌にはメロディーがあります」

「何言ってんのよ・・・」

その場を立ち去った越前さん。

ノートを開くと・・・紺野清美の前から消失する「はらちゃん」だった。

警官に続き、紺野も異常現象の体験者となったのである。

自宅に戻った越前さんはふと・・・ギターの弦を描き加え、♪~も描き添える。

こうして「泣くな、はらちゃん」の世界にメロディーが生まれたのだった。

だからお願い

かかわらないで

そっとしておいてくださいな

後ろ向きな歌詞を恋の歌のメロディーで明るく歌い上げるマンガの世界の仲間たちだった。・・・不憫だな。そして、かわいいよ、はらちゃんかわいいよである。

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2013年1月19日 (土)

夜行観覧車に乗って小六から中三まで(杉咲花)お手並み拝見(吉田里琴)

思い切ったキャスティングである。

時間の錯綜というのはドラマではよくある手段だが・・・大河ドラマなどの場合は少年時代から老年時代までを描くので慣れないと違和感がつきものである。

今回はミステリで2010年~2013年という四年間の歳月が横たわっているらしい。

大人の四年間は鈴木京香(44)にしろ石田ゆり子(43)にしろ・・・なんとでもなるわけである。

しかし、小学校六年生から中学三年生までを演じる杉咲花(15)はなかなかに大変そうだ。

おなじく同級生の中川大志(14)もであるな。

だからでっかい小学生と思うしかないのだな。

ちなみにおなじく同級生である吉田里琴(13)は軽く大人びた小学生を演じている。

ちなみに中学生の宮崎香蓮(19)、高校生の安田章大(28)もなんとか・・・ね。

で、『・第1回』(TBSテレビ20130118PM10~)原作・湊かなえ、脚本・奥寺佐渡子、演出・塚原あゆ子を見た。横浜の架空の高級住宅地・ひばりヶ丘をめぐるサスペンスである。坂の下から来た遠藤一家は上昇志向の強い主婦・遠藤真弓(鈴木京香)の虚栄によってお屋敷街の片隅の駐車場跡地に新築の家を購入し、引っ越してくるのだった。分相応という言葉を知らない女の悲劇の始りである。

そういう身の程知らずの母親の犠牲となるのが小学六年生の娘・彩花(杉咲花)である。ちなみに夫は建設会社に勤務するサラリーマンで35年の住宅ローンの返済に迫られる啓介(宮迫博之)である。

坂の下に棲む人々と自分たちは階層が違うと信じているひばりヶ丘の女主人が小島さと子(夏木マリ)である。異物として侵入してきた遠藤家が禍々しくてならないのである。

がさつで社交辞令という言葉を知らない遠藤真弓はいきなり、引っ越し前の挨拶もせずに大量のゴミを出して顰蹙を買い・・・小島夫人に目をつけられてしまうのだった。

そんなさと子を庇うのは週末にインスタントラーメンを食べる貧民街の出身ながら、病院を経営する整形外科医・高橋弘幸(田中哲司)の夫人となった淳子(石田ゆり子)である。

家の配置関係で言うと【【【【【【【小島家】】】】】】】【遠藤家【道路】【【【高橋家】】】となっている。

高橋家には彩花と同級生の慎司(中川大志)、彩花の目指す私立中学に通う比奈子(宮﨑香蓮)、医大を目指す受験生・良幸(安田章大)がいるのだった。

高橋家も新参者であったが、夫の職業と妻の貧民あがりながらにそつのない社交力でひばりヶ丘にはそれなりに馴染んでいるらしい。

海の見える方向に日本最大級の観覧車が構築されていく間に、遠藤家もそれなりにひばりヶ丘に溶け込んでいくのだが・・・無神経な母親と違い、格差社会の荒波に彩花は少しずつ病んでいくのだった。

引っ越してから引っ越しの挨拶。

無神経で無遠慮なゴミ出しにより、早くもマークされてしまった遠藤夫人の挨拶回りは誰にも取り合われない。

助け舟をだした高橋夫人は「挨拶回りは小島家から」というルールを教授する。

坂の上から娘を車で小学校に送迎する遠藤夫人。

受かってもいない「私立中学になってもみんな仲良くしてほしい」などと空気をまったく読まない発言で彩花のクラスメートに接する。

「セレブになっても公立においでよ~」と彩花の同級生の村田志保(吉田里琴)は優しく気付かないフリをするのだった。

やがてひばりヶ丘ではチャリティーバザーが開催。

夫の会社のタオルやら、使い古しのぬいぐるみを出品しようとした遠藤夫人は高級ブランド品のならぶバザーに立ちすくむ。

ニヤニヤしながら小島夫人は「あらあら、遠藤さんは何をお持ちくださったのかしら・・・」

そこへやってくる高橋夫人。

彩花は「お母さんがマジ庶民なんです~」と縋るのだった。

憐れに思った高橋夫人はそっと自分の出品するものを半分手渡してくれるのだった。

思わず「神様、仏様、高橋様」と拝む遠藤夫人である。

実年齢では一つ下だが物凄くかっこいい高橋家の次男に恋心を感じる彩花。

小島家の音楽界に招待され、姉のピアノに弟のヴァイオリンという姉妹演奏にうっとりなのだが・・・自分以外の子供たちがすべてプレイヤーであることに物凄いいたたまれなさを感じるのだった。

屈辱を感じて小島家を去る彩花を遠藤夫人は事情も知らずに礼儀をわきまえないと小島夫人の前に引き戻す。

「まさか・・・なんの音楽的素養のない御令嬢がいらっしゃるとは思わなかったもので・・・可哀相なことをしました」と嘯く小島夫人。

「ピ、ピアノがひけないと・・・ふ、普通じゃないとおっしゃるの」と蒼白になる遠藤夫人。・・・いい加減学習すればいいのに・・・。まあ、ハトポッポを首相にしてしまう国家の庶民だからな。

そこへ高橋夫人がやってきて・・・彩花と簡単な連弾を披露してその場を取り繕ってくれるのだった。

「なんと・・・御礼をしたらよいのやら」という遠藤夫人に「じゃ、一緒にカップラーメン食べて」ともちかける高橋夫人。

実は庶民出身だった高橋夫人は遠藤夫人と友情関係を結ぶことを提案するのである。

遠藤夫人は「幸せ」を満喫するのだった。

やがて・・・家族ぐるみの交際が始まる。

しかし・・・蜜月は長く続かないのが人生というものなのである。

坂の上の私立中学に挑んだ二人の子供たち・・・。

雪の舞う・・・合格発表の日。

彩花は不合格となり、慎司は合格してしまう。

虚栄心にあふれる遠藤夫人は悔しくて悔しくて二度と心から微笑むことはできないのだった。

そして・・・四年の歳月が過ぎる。

2013年1月22日の夜・・・。

コンビニに買い物に出かけた遠藤夫人の右手には包帯が巻かれている。

夫の啓介は玄関を閉めて震えている。

娘の彩花は積木くずし風になっている。

高橋夫人は居間で泣き伏している。

そして・・・庭には高橋弘幸が何者かに後頭部を殴られ倒れている。

中学生となった慎司は行方不明である。

結城哲也刑事(高橋克典)は「顔見知りの犯行」を疑いつつ殺人事件の捜査を開始するのだった。

予告編で見る限り、吉田里琴は来週も出番があるのだった。

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2013年1月18日 (金)

昔の同棲相手(真木よう子)に死ねばいいのにって思われちゃう男(瑛太)と最高の離婚(尾野真千子)

なにしろ、見た目は瑛太なのであれだけ常軌を逸した愚痴をこぼしまくっておきながら、歯科衛生士の海野菜那(芹那)に「かわいい」と好かれる男の主人公。

しかし・・・誰もが納得のうざい感じを醸し出す・・・瑛太・・・さすがなのである。

それが・・・分からない人は・・・実際、うざい人なんだろうなあ・・・。

そして、そういう人は結構、いるんだろうなあ。

退屈で、自信過剰で、独りよがりで、鈍感で、うざい人は世の中にあふれているからなあ。

「人質の人命第一」などと言ってる側から強行突入されて・・・「え」と思っちゃう人も多いんだろうなあ。

で、『最高の離婚・第2回』(フジテレビ20130117PM10~)脚本・坂元裕二、演出・並木道子を見た。日本一うざいくせに性欲だけは人並みにある濱崎光生(瑛太)は離婚して一人暮らし、これ幸いとティッシュを片手にエロDVD鑑賞に奔るのだった。そして、突然、虚脱するのだった。しかし、自分に何か落ち度があったとは全く思わないのだった。なぜなら、彼は他人にも心があるとは思ったこともないのである。

なにしろ、祖母の濱崎亜以子(八千草薫)が尖ったものがあると孫の光生が誰かを刺殺するのではと危惧するほどの人間性のなさを示している主人公なのである。

姉の智世(市川実和子)に「きっと結夏さんはあなたが迎えに来るのを待っている」と促されて離婚した妻の実家のある富士山に見下ろされる街へ向かうバランスボールにやつあたりして指を痛めた光生だった。

元妻の家族もまたバランスボールをこよなく愛する雄大な家族だった。

荒波にもまれるように翻弄される光生。

元妻は「制服でラブホに入って補導された元カレ」とイチャイチャしたりしているのである。

「え、お前たち喧嘩してんの」

「離婚したのよ」

「えーっ、料理が下手すぎたからかあ」

「なによ・・・そんなにひどくないわよ」

「旅行先で僕のカニを食べたんです・・・」

「そりゃあ・・・ひどい」

「だからって帰るまで一言も口聞かないのよ、せっかく露天風呂だったのに別々に入ったりして」

「お前、一緒にお風呂入るの好きだもんなあ」

「・・・」

おおらかで素敵な元妻の故郷だった。

お互いの家族の手前、離婚の事実をなんとなく隠す二人。

元妻は仲のいい光生の祖母の誕生会に出席したりするのである。

光生は必死にものわかりのいい元夫を演じようとする。

「すっきりしたのよ・・・離婚して・・・」

「・・・」

「あなたは変わらないと思ったし・・・」

「・・・」

「別に変ってほしいとも思わないし・・・」

そして合コンに出かけて行く妻だった。

しかし・・・光生には希望があった。

昔の同棲相手であるコンノさんこと上原灯里(真木よう子)の夫である上原諒(綾野剛)が女をとっかえひっかえしている事実から・・・脈ありと感じた光生は矢も盾もたまらず上原家を訪問するのだった。

「コンノさん」

「上原です」

「コンノさん」

「上原です」

「コンノさん」

「上原です」

「コンノさん、いや、灯里。君はあの頃、輝いていたじゃないか・・・僕とガラガラの美術展やガラガラの映画館をめぐっていたあの青春の日々。あの日の君に戻ってもらいたくて・・・いや・・・これは口説いてるとかそういうんじゃないんだ・・・ただ僕は力になりたいんだ」

「私、あなたと付き合っていて楽しかったことが何一つないの。別れる時は死ねばいいのにって思ってた。まったくあなたは変わっていないのね。ひどい過去を勝手にいい思い出にしないでよ。私、彼(綾野剛)に逢うまでにも恋はしたけれど・・・恋に落ちたことはなかったのね。彼は親友の恋人だったけれどどうしても彼が欲しくて奪ったの。あなたとしたようなニセモノの恋じゃなくてホンモノの恋をしたからなの。彼がどこで何をしたって好きなものは好きなのよ。それは退屈な人といるより素敵なことなの。妻っていうはね。彼の告別式で喪主になれればそれでいいのよ。だってだからこその妻なんですから」

呆然とする光生だった。

もちろん・・・内心はそんなのすべて間違ってるとか思っているのである。

だが・・・「なんでもう少しだらだらしてくれないかな」とか悠長な抗議をしても虚しいのである。危険な現場に出かけていって修羅場に巻き込まれては穏便にはすまないのが現実というものなのだから。

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2013年1月17日 (木)

シェアハウスの恋人のロングロングケーキなテイスト(水川あさみ)

先週は「書店員ミチルの身の上話」に大島弓子の「ノン・レガート」がなんとなく思い出されたのだが・・・今回は大島弓子の「ロングロングケーキ」が匂い立つ「シェアハウスの恋人」である。

みんな・・・大島弓子を愛読しているんだな~。

別にパクるつもりはなくてもなんとなく滲み出てしまうんだな~と生温かく思うのだった。

さて・・・ここまでかなりの2013年冬ドラマの幕が開いたのだが・・・一日一作だとかなりあまる感じになっている。

で、今回は「シェアハウスの恋人」に「ミチル」を付属させておく。

来週の予定は・・・。

(日)「八重の桜」

(月)「ビブリア」

(火)「ミチル」

(水)「シェアハウス」

になる予定です。つまり、「ハンチョウ」「サキ」「ラストホープ」「いつか陽のあたる場所で」はレビューしない方向なのであしからず。

まあ、来週の「シェアハウス」の感じで水曜、谷間にできれば短評の可能性もあります。

で、『シェアハウスの恋人・第1回』(日本テレビ20130116PM10~)脚本・水橋文美江、演出・南雲聖一を見た。大島弓子の「ロングロングケーキ」は親友のシシオを愛するバイセクシュアルのコタと地球外生命体の「宇 宙人」の変装完全無欠美少女をめぐる永遠の青春賛歌である。妄想を激しく刺激する妄想的傑作と言えます。で・・・おそらく男→女で変換されたのがこのドラマなんですな・・・あくまで妄想的にでございます。

主人公の津山汐(水川あさみ)は特に起伏のない二十代を過ごし、三十歳になった瞬間に左遷され、小さな営業所に配属される。事務機械・・・主にコピー機を扱う会社のOLである。

島流しになった先にはふてぶてしいタイプの望月メグ(木南晴夏)がいます。

これは「犬飼さんちの犬」でおなじみの展開ですな。

もちろん・・・メグは火田七瀬の世を忍ぶ仮の姿である。

≪とばされました≫≪とばされました≫≪こんな場所へ≫

汐の心にひしめく寂寥感に七瀬は同情するのだった。

しかし・・・顔に笑顔の仮面をかぶり、平常心を装う汐を慰めることはできない。そんなことをしたらテレパシストである正体がバレてしまうからである。

・・・いい加減にしておけよ。

そんな汐の悲哀を感知したものが広大な宇宙にもう一体いた。

さびしい宇宙人であるそれは川木辰平(大泉洋)という人間に変態して地球に降下する。

そして、河原にて汐と接近遭遇を果たすのだが汐はそのことの記憶があいまいになる。

シェアハウスで再会した宇宙人にマフラーをプレゼントしたことさえ、忘れているのである。

宇宙人はスーパーマーケットに就職するが・・・その優秀さを古株のパートタイマー寺坂(もたいまさこ)は疑う。

「最近のことを知らないのよ・・・前科者じゃないかしら」

「あの・・・エグザイルと結婚した胸の大きい子みたいな」

「ああ~、前科があるってバレたらどうしよう~とかウジウジするやつね」

「だったら前科者と縁を切りなさいよって話よね~」

「犯罪者なのに被害者面したヒロインって何様なのよね~」

・・・おばさんたちの話はとりとめないのだった。

シェアハウスのもう一人の住人・山吹(三浦理恵子)が40歳になった記念に恋人と同居を始めたために空き室が発生。

40歳独身の山吹を見下すと同時に心の支えにしていた汐は激しく気落ちするのだった。

そんな・・・汐はコンビニの店員・桜井雪哉(谷原章介)に片思いをしていたのだが・・・雪哉はコンビニを首になりホームレスにまで身を落していた。

(さすがに・・・ホームレスの男とは・・・)と自重する汐。

しかし・・・そんな汐の元に雪哉の息子・空知(君野夢真)が届けられる。

空知は・・・汐の弟の凪(中島裕翔)と結婚を前提に交際している大学生の錦野カオル(川口春奈)がアルバイトしているピアノ教室の元生徒で・・・雪哉と別居して長野でチーズを作っている妻の櫻井真希(須藤理彩)に無断で上京してきたのだった。

「近所のコンビニで働いていた」という空知の父親の写真は・・・汐の片思いの相手だったのだ。

思わず走り出す汐。

いかにもバカップルな凪とカオルの青春ぶりがうらやましく・・・片思いの相手が妻子ある男性であったことがうらめしく・・・でもホームレスにまで落ちぶれているなら自分にもワンチャンスあるかとあさましく・・・心は動いたのである。

しかし、雪哉は他人の迷惑考えずに飛び込み自殺を考えていた。

「なんで死のうとするんですか」

「関係ないだろう」

「もう関係あるんです」

どこからともなく現れた宇宙人と雪哉を捕獲する汐だった。

そして・・・長距離バスで長野に帰る空知には「お父さんを必ずお届けするから・・・」とよくわからない約束をかわすのである。

だが・・・なにやら鬱屈した雪哉は一筋縄ではいかない相手だった。

宇宙人「惑星では何が好きですか」

雪哉「しいて言えば土星かな」

風呂に入れてきれいになった雪哉にうっとりとする汐。

しかし・・・ちょっと目を離すと雪哉は宇宙人とキスを始めるのである。おえっ。

ああーっ、やっぱりねえ、大島弓子のテイストなんだね~。

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で、『書店員ミチルの身の上話・第2回』(NHK総合201301152255~)原作・佐藤正午、脚本・演出・合津直枝を見た。目が覚めたらもう八時過ぎてたんです。始発の飛行機で長崎に帰ろうと思っていたのに。しょうがない私(戸田恵梨香)です。でも、豊増一樹さん(新井浩文)と前夜、はげしく愛し合ったので仕方なかったんです。もう、明日は別れなきゃと思うと何度も何度も欲しくなるんです。その気持ち分かるでしょ。でも彼ったらあんなにがんばったのに朝はさっさと一人で出勤しちゃって・・・タフなんです。それとも奥さんがこわくて外泊できなかったのかしら。そういうところもかわいい気がします。テーブルの上には現金が置かれていて、結構大金なんです。きっと彼は出張費とかを水増し請求して着服しているんだわ・・・と思うとその健気な感じがますます愛おしい私でした。仕方がないので東京の大学に通っている男の子の部屋を訪ねました。竹井輝夫(高良健吾)くんは私の言うことは何でも叶えてくれるすごくいい子なんです。二人で買い物をしてようやく制服を脱いだ私は気持ちがウキウキしてきました。こうなったら東京でもっともっと楽しみたい気分です。シーとかランドとかにもいってみようかな。そこで同僚の春子(安藤サクラ)に電話でお願いしちゃったんです。「東京で・・・急病になったからもろもろよろしく~」ってことで。私は知らなかったんだけど長崎では職場のみんなや、父親(平田満)や妹(波瑠)、そして恋人の久太郎(柄本佑)とかが大騒ぎだったみたい。でも・・・彼に電話すると昼間から逢ってくれるというのでとにかくラブホに突入したんです。「私服もかわいいね」と彼はほめてくれました。「なんだか・・・地元では騒いでいるみたいなの・・・ちょっと東京に来ただけなのに・・・」「それは君が凄く魅力的だからだよ・・・」と彼は言葉巧みに私を気持ちよくしてくれます。それだけでなく、昨日の夜にあんなにあんなに愛し合ったのにもう大きくなっているものを押しつけてくるんです。私も部屋に入った瞬間から濡れそぼっていたのであわてて下着を脱いじゃいました。とにかく・・・入れるもの入れて出すもの出さないと落ち着かないってことあるでしょう。彼はすごくタフだし、テクニシャンだし、私は行って行って行きまくるのでした。・・・で、彼と逢ったり、逢えない日は東京見物したりしてあっという間に十日がすぎてしまったんです。本当に楽しい時はあっという間、性交中は時間感覚おかしくなりますよねえ。ところが・・・キャッシュカードが突然使えなくなっちゃいました。春子に電話したら・・・「あんた・・・このままでは・・・もう駄目かもしれないよ・・・職場は解雇されちゃうし、オヤジさんカンカンで預金を通帳で全額下ろしちやったって・・・」・・・ええーっと私は腰が抜けそうになりました。なんでまたそんな大変なことになっているのか・・・ただただ私は自分に正直であろうとしただけなのに・・・。とにかく・・・目の前にあった宝くじ売り場に行きました。職場のみんなから頼まれた宝くじがあたっていたら・・・少しはご機嫌をとれるかも・・・と思ったからでした。ところが・・・宝クジ売り場のお姉さんが言うことにゃ・・・「お譲さん、おめでとうございます一等2億円の当選です・・・」・・・私は下半身がじゅっと音をたてて融けたような気分になっちゃいました。さあ・・・いよい来週からは宝くじがあたった女の波乱が幕開けするんですよ~。

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2013年1月16日 (水)

ラストホープの相葉雅紀、なんちゃって多部未華子、紫の薔薇の田辺誠一、地所を見に行く桜庭ななみ、夢の共演サトエリA子、みんなまとめて取材しちゃうぞ(前田亜紀)

なんだろう・・・月9比較で300%増しくらいの火9キャストの充満感・・・。

息苦しいほどにキャラがひしめき合っています。

もう、誰の何を見ていいのやら・・・唖然としますな。

もう、誰か助けてくださーーーいと叫びたくなりましたよ。

しかも・・・いかにも海外ドラマのパクリ系ですがなにか・・・と開き直った態度。

いっそ清々しいと言ったらいいのか・・・そうなら満足なのか。

で、『ラストホープ(LAST HOPE)・第1回』(フジテレビ20130115PM9~)脚本・浜田秀哉、演出・葉山裕記を見た。ちなみに海外ドラマ「コールドケース迷宮事件簿」によく似たドラマ「絶対零度」の脚本も書いている脚本家である。生きる望みを託すべき最先端の医療技術と優秀な医師の揃った海外ドラマ「シカゴホープ」にそっくりなドラマになる可能性は充分にあります。ま、ところかわればしなかわるというからいいではないか、いいではないか。

帝都大学医学部附属病院高度先端医療センターは「医者にさじを投げられた患者を救う究極の医療」を売りにした病院の客寄せパンダ部門である。そのセンター長である鳴瀬哲司(髙嶋政宏)は「サキ」にたぶらかされそうな弟とは違い、「絶体絶命の患者を救えば大手柄、殺しても誰も文句は言わない」と嘯くのである。

しかし・・・「救わなくていい患者なんていない」の情熱で・・・各地からはみ出し者だが優秀な医師をかき集めてきたのだった。

そして・・・驚くべきことに・・・全員が過去にトラウマを持つ設定です。明らかに盛り込みすぎです。しかも・・・今回はそのプロローグ部分を全員チラ見せ~。もう、誰がセーラー服を着て、誰の子供が死んで、誰のお腹に傷があるのかもわからなくなってしまいそうです・・・それはさすがに分かるだろう。

要となるのは医療チームの変態ぶりに翻弄される外来担当看護師・時田真希(桜庭ななみ)の世にもまれなかわいさです。かわいいよ、ナースななみかわいいよ・・・ですので本編がある程度バタバタしていても大丈夫です。

手術担当看護師・今井麻衣(江口のりこ)の鼻で笑う感じもアクセントになっています。

ま、それはそれとして・・・天才町医師の波多野邦夫(平田満)の息子の卓巳(相葉雅紀)は盲腸の手術もこなせる内科医で自称・総合医・・・つまり、何でも屋で・・・三時のおやつだけはどうしても食べたい性格です。ま・・・相葉くんのすることなので許してあげてください。

一方、さすがのなんちゃって女子高生も披露で初回から大サービスの橘歩美(多部未華子)は改名しなければならないほどの暗い過去を持つ元・救命医。しかも専門は脳神経外科医というクール・ビューティーです。もう、ツンデレで間違いなしのお約束キャラです。

心臓も消化器も切れてロボットでも切れる。高木淳二(田辺誠一)はアメリカ帰りのシャア。すべての女性とベッドを共にすることを願う涙もろい男。

「子は鎹だから、ママは僕を金づちで打ったんだね」と恐ろしいオチの落語を得意とした亡き息子を忍ぶ研究医・古牧利明(小日向文世)・・・。そのためにクローン技術で息子を再生することに一生を捧げているようである。ある意味、マッドでございます。

失明から回復し、医療は算術に目覚めた神経眼科医・副島雅臣(北村有起哉)は金払いのいい客が重い病気にかかることを心から望んでいるおぼっちゃまである。テロリストや税金の人ではありません。

そして・・・今回はゲスト患者・やたらとガンに蝕まれた男・宮本(佐藤祐基)の妻と言っているが婚姻届未提出の森田理沙子(佐藤江梨子)と胸揺らせ合戦を繰り広げる萩原雪代(小池栄子)は血液内科医である。バツイチ、子持ちだが親権なしでギャンブル愛好家というおなじみの設定である。

「もう15回、余命宣告されているんです」

「いろいろとかかるので保険が効かないので700万円になります」

「最先端医療対応保険に入っとけという話ですよね」

「ええ・・・ゆとりがあれば」

「失敗したら踏み倒せますか・・・」

「保証人たくさんつけてもらえないと手術はできません」

「そういう時代ですか」

「そういう時代です」

「失敗したらと思うと入籍できません」

「成功したらこっそり区役所に出しちゃえばいいんですよ」

「何があったんです」

「心配しないで・・・予断を許さない状況だから」

「ええーっ・・・心も胸も揺れる~」

「私だって負けないわよ~、ひとつ先輩として~」

「ぷるぷるぶるん」

「ぷるんぷるん」

・・・いい加減にしとけや。

「しまった・・・輸血回復待ちしてたら時間たりなくなっちゃった」

「私、後40分かかる~」

「俺、一時間・・・」

「残り一時間ちょっとじゃ無理だな」

「大丈夫です・・・同時にアタックすればいいんです」

「なるほど・・・ジェットストリュームアタックだな、マッシュ、オルテガ」

「いや、あれはちょっと違うでしょ」

「私はララア」

「さあ、心臓を動かす時間が来ましたよ~」

「初回は動く方にカシオミニを賭けてもいい」

「え・・・高木さんと萩原さんってできてるんですか」

「いや・・・一回だけ性交しただけなんだって」

「認めたくないものだな若さゆえのあや・・・」

「一人くらいは死ぬのかな・・・」

「死なない方にカシオミニを賭ける人いませんか~」

以上・・・何かと嗅ぎまわる雑誌記者・宇田朋子(前田亜季)のとりとめない取材でお届けしました。

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2013年1月15日 (火)

ビブリア古書堂の事件手帖はTバックとかOバックとかニップレスとは無関係です(剛力彩芽)

ことわるまでもないだろう。

いや・・・「スマスマ」のSMAPと壇蜜と嗣永桃子の即興風コントがちょっと面白かったものですから~。

中居「なんか、言いたいことありますか?」

壇蜜「かっこいいポーズを決めてもらいたい」

中居「どんなポーズ?」

壇蜜「私が悪役になるのでゴレンジャーみたく・・・」

嗣永桃子が人質になり、「後ろも前もTバックにしてやろうか」・・・まあ、前はTフロントだが・・・「ニップレスをはがしてやろうか」などと下ネタで脅迫する壇蜜。

スマレンジャーが次々とアタックするが・・・みんな壇蜜のセクシー電波の虜となってしまう。

最後に赤スマレンジャー(木村拓哉)が中二病系のポーズを決めた後・・・。

「そんなこといって・・・知っているぞ・・・お前は服部栄養専門学校卒業で調理師免許持ってるだろうがっ」(由緒正しいプロフィール記載事項)を決めると壇蜜がノックアウト。

「テクニカルクラス(テクニカルコース)でした・・・」

これに木村拓哉は「なに・・・テクニカルクロス」と聞き間違えでダメ押しするのだった。

テクニカルクロス・・・激しい妄想渦巻くフレーズすぎる・・・。

・・・おい、もういいか?

で、『ビブリア古書堂の事件手帖・第1回』(フジテレビ20130114PM9~)原作・三上延、脚本・相沢友子、演出・松山博昭を見た。「大切なことはすべて君が教えてくれた」「アスコーマーチ〜明日香工業高校物語〜」「Wの悲劇」と武井咲のおしゃれ小鉢としてキャリアを積んだ剛力彩芽がついに月9ヒロインである。なんかのしあがった感じバリバリでございます。そういうイメージも含めて女優なので・・・頑張ってもらいたい気がします。まあ・・・本当に微妙な顔立ちなので・・・大変だと思いますがーーーっ。

そんな剛力彩芽が演ずるのは鎌倉の片隅で営業している古本屋「ビブリア古書堂」の店主・篠川栞子である。古書に関して並外れた知識を持つ・・・原作的には長髪・スリム・巨乳のヒロインである。もちろん・・・原作は原作。ドラマはドラマなのでイメージ違いすぎでも構わないのだな。かっては長い髪がトレードマークだった女優なので伸ばしてくるかと思ったが伸ばしてきませんでしたーーーっ。巨乳はなろうと思えばなれる時代でもあえてならないのも生きる道ですからなーーーっ。

とにかく・・・セピア色の店内でタイトルバックでは本がバラバラと崩れ落ちる・・・あの日を思い出してぞっとしたことは特筆しておきますーーーっ。

・・・絶叫しすぎじゃないか・・・。

ちなみにビブリアとはラテン語でバイブル(聖書)のことだ。

さて・・・そんな彼女の前に一人の男が現れる。

幼い頃のトラウマで本を読もうとすると眩暈を感じる障害者・五浦大輔(AKIRA)である。

原作最大のエラーだと思うが・・・つまり教科書も読めないわけで・・・進学も難しいだろうなあ・・・という設定である。

まあ・・・スマホなら大丈夫というのならそれ以後は大丈夫で・・・いや、逆にキャラとして成立しない・・・。

つまり、無理のある設定の極みなのでございます。

本が読めないか・・・そうだったら・・・いいよなあ。一日三冊として一年でおよそ千冊、十年で一万冊・・・それだけの読書の時間を他に使ってたら・・・もっと充実したリアルな人生送れたかもなあ・・・何を後悔しているんだ。

とにかく・・・そういう設定の年齢不詳の無職の男・大輔は祖母(赤座美代子)の遺物である大量の書籍を古書店に持ち込むのだった。

その一部である岩波書店「漱石全集・新書版」の一冊「第八巻・それから/夏目漱石」に目を留める栞子・・・。

「この本は・・・愛のミステリを含んでいます・・・」と目を輝かせるのである。

「はあ・・・?」と一刻も早く換金したい大輔はイラッとする。

しかし・・・今は亡き祖母の人生と・・・母(松坂慶子)の出生の秘密が解き明かされるにつれ・・・何故か・・・栞子に心を奪われる大輔なのだった。

本好きでおっとりとした栞子と・・・がさつだが読書に憧れる大輔はないものねだりで魅かれあうという常套手段なのだが・・・この点はちょっと微妙だったよな。

まあ・・・大輔に関しては原作からしてキャラ設定のミスがあるのだから仕方ないか。

やがて・・・祖母の葬儀に現れた見知らぬ老人こそが・・・実の祖父だと気がつく大輔だった。

「つまり・・・祖母は不倫をして・・・その結果、母が生まれて・・・戸籍上の祖父とはまったく似ていない僕が生まれたということか・・・おじいちゃんのことあまり、知らなくてよかった~。知ってたらきっと憐れな感じですものね~。それにしてもばあちゃん、不義密通とはやるもんだ・・・」

「いえ・・・その・・・それからは・・・明治の文豪の文学ですから・・・もう少し・・・文学的な話で」

「明治時代の知的階級の葛藤が・・・戦後の昭和では庶民レベルまで落ちてきたということですよね・・・しかし・・・文京区春日二丁目は広かったな・・・」

「鎌倉から東京下町まで結構ありますもんね、下調べ充分にしても二、三日くらいは滞在しないと調べきれませんよねえ。パッと言って半日で捜し尽くすのも無理な話です」

「母が松田優作が長井代助を演じた森田芳光監督の「それから」(1985年公開)を見ていたんで助かりました。不倫相手が藤谷美和子で、その夫が小林薫のやつ・・・」

こうして・・・最初の事件は解決する。

しかし・・・よくわからないが・・・大輔に魅かれたらしい栞子は古書店への就職を大輔に持ちかける。

警備員の仕事に朝ドラマの主人公の父親同様に偏見を持つ大輔だったが・・・古書店の従業員でも不服ではないようだった。

「そのかわり・・・僕にもっと本の話を聞かせてください・・・」

いい年をして読み聞かせをおねだりする大輔。

そして渡りに船のヒロインなのである。

こ・・・これは・・・微妙だな。微妙すぎるなーーーっ。

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2013年1月14日 (月)

百年の時は一瞬に過ぎぬのでございます(綾瀬はるか)

さて、前にも述べたが、数え年の問題である。

現在は満年齢が日常的で・・・数えで何歳になるかは問われない。

しかし、1902年に年齢計算ニ関スル法律が定められ、ゆっくりと廃れてていくまで、年齢と言えば数え年であった。

現在の八重の時代はもちろん数え年である。

数え年は零歳というものがなく、生れた年が一歳である。

何月生れでも翌年の正月が来たら二歳となる。

十二月三十一日に生れたら翌年の一月一日には生後二日で二歳なのである。

八重は弘化二年十一月三日(1845年12月1日)生れである。

そのために安政三年(1856年)の十月には満十歳だが、数え年では十二歳である。

もちろん・・・10~12歳を演じるには綾瀬はるか満27歳は育ち過ぎだが、大河ドラマではお約束がある。

主人公が今、何歳かは外見で判断してはいけません。特に女児についてはね。

だからせめて数え12歳と考えて・・・ギリギリじゃないかと思った方が身のためなのである。

吉田松陰も百年は一瞬だと言っているわけだしね。

きっと安政七年で数え16歳くらいになれば気にならなくなりますから~。

で、『八重の桜・第2回』(NHK総合20130113PM8~)作・山本むつみ、演出・加藤拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は本作のヒロイン・山本八重の描き下ろし第一弾イラスト大公開でお得でございます。画伯は歴代綾瀬はるかを描き続けておりますれば・・・流石でございます。あ、あいくるしい・・・。

Yaeden002 嘉永七年(1854~1855年)は十一月に安政元年に改元される。この年、吉田松陰は伊豆下田にてペリー艦隊に密航しようとして失敗。自ら自首したことにより事が露見して長州藩で幽閉の身となる。明けて安政二年には松下村塾の主催者となり多数の過激派を育成することになる。一方、弟子である松陰の罪に連座して佐久間象山も信濃松代藩にて幽囚の身となる。かくて私塾憎山書院は解散の運びとなった。勝海舟はこの年、長崎海軍伝習所の一期生となって江戸を離れる。こうして数え二十九歳になっていた山本覚馬は安政三年に会津に戻るのである。この時会津藩主は第9代・松平容保となっている。美濃高須藩第10代藩主・松平義建の子として生れ、会津藩に養子となり、先代藩主の娘・敏姫十四歳と婚義が整っていた。一方で上総飯野藩第9代藩主・保科正丕の娘として生れ先代藩主の養女となり豊前中津藩第8代藩主・奥平昌服に嫁いだ義理の姉・煕姫が離縁となって会津に戻っている。ちなみに中津藩は新政府軍の一員として会津攻めに参加することになる。しかし・・・それまでにはまだ十余年の間がある。尊王攘夷の嵐はまだ・・・会津には訪れていなかった。

山本家当主・山本権八と八重は北の山に入っていた。会津磐梯山である。

鉄砲術は平地での戦いを主とするが、鉄砲しのびの術は基本的に山岳戦である。

山の気に触れ、自然と一体化することにより、己の本性を磨くことが肝心となる。

下手な鉄砲も数撃てば当たるというが、上手となるためには一撃必殺でなければならない。

その鍛錬の相手は熊である。急所を射ぬかなければ射手に危険が及ぶことは言うまでもない。

山本権八は武士であったが山の民との交流があった。

際の神を跨ぐと言われるマタギの民は古くからの狩猟民である。鉄砲伝来の後には弓矢を銃に変え、独自の鉄砲文化を築いている。

山を越え密林に踏み込んだ父娘は陸奥国のマタギ小屋にたどり着く。

「おや・・・山本様、今年は早い御着きだんべな」

マタギの狩りの本場は冬である。

八重は男装をしている。マタギの一族には女人禁制の掟を守るものが多いからである。

「倅に山を教えねばならぬ」

「おや・・・まだ倅様のおられたか・・・」

「年の離れた恥かきっ子だ・・・」

「今年はオヤカタの若いものが二、三頭出ているで・・・お気をつけくだされなんしょ」

「さすけねえ」

マタギの伝蔵は権八の古い馴染みだった。

マタギにとって神聖な狩り場に入るために武士といえども儀式を受けなければならなかった。

「クマイカムイ、オオカムイ、カムイシカ、トイセコッチャカムイ、カムイノシシ、ヤマノカムイ、ヤチノカムイ・・・」

マタギの古き神へ捧げる祝詞を唱え、ススキで邪を払うと許しが出た。

「オヤカタはこの山の主のような熊だ・・・その息子が成獣になって山さ出没するということだ」

「それを撃つのげ」

「撃つ」

父娘は再び獣道に足を踏み入れた。

すでに山に入って三日三晩が過ぎている。

獣の残した糞を追い、野宿を重ねることで二人からは人里の匂いが消えている。

権八は娘の初めての獲物を狙い定めていた。

三頭の若熊のうち、ジロウと名付けた熊を追い詰めて行く。

「若い熊だが用心せねばならぬ。風下から近づき火縄の匂いを消せねばな」

「わがた」

「おめの鉄砲ならば間は詰めねばならね。必中せねば命さないと思え」

「・・・」

八重は頷いた。その瞳に獣性が浮かぶの確かめた権八は「行け」と指示する。

八重は待ち伏せのための位置に着いた。その動きは野生の猿の如く、俊敏である。

生い茂る梢の音もほとんどたてない。娘の動きに舌を巻きながら権八は援護の位置につく。娘がしくじれば、援護射撃は間を置かずなさねばならなかった。

八重の気が揺らぐのを研ぎ澄まされた父の神経が感じ取る。

「来たか」

次の瞬間、銃声が響いた。

森は静寂に包まれている。八重は一撃で熊を射殺していた。

「見事だ・・・」

思わず讃嘆の言葉が父の口から洩れる。

「かたじげね」

恥じらうように八重が頭を下げた。

二人は獲物に祈りの言葉を捧げ解体作業にとりかかった。

猛烈な臭気を浴びながら二人は激しく唾液を分泌した。

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2013年1月13日 (日)

黒くぬれたらカラマーゾフの兄弟(高梨臨)

なんで、ドストエフスキーなんだよ・・・と誰もが言いたいエレーン。

しかも、「Paint It, Black/The Rolling Stones」(1966年)である。

ちなみに「カラマーゾフ」のネーミングは1866年ロシア皇帝アレクサンドルニ世を狙撃して暗殺未遂事件を起こしたドミトリイ・カラコーゾフに由来するという説がある。

「カラマーゾフの兄弟」の出版が1880年ということから辻褄はあっている。

ただし、テロリストになるのはドミートリイではなく、アレクセイであったらしい・・・ただし、作者死亡のために第二部が書かれなかったので真偽のほどは永遠の謎である。

さて、「カラ」とは「暗黒神カーリー」の名が起源にある。つまり「黒」なのである。

カラマーゾフは「黒塗り」というニュアンスを持つ。

黒は「無政府主義者」の色であることは言うまでもない。

「カラマーゾフの兄弟」の挿入曲が「黒くぬれ」であるのは・・・そういうことなのだ。

今や、目に見えない汚染物質で黒く塗られたわが国土である。

神が死にゆく時代の物語は語るにふさわしいのかもしれない。

で、『カラマーゾフの兄弟・第1回』(フジテレビ20130112PM1110~)原作・フョードル・ドストエフスキー、脚本・旺季志ずか、演出・都築淳一を見た。「女帝」や「正義の味方」など秀作のある脚本家であるが最近は「ストロベリーナイ」「Wの悲劇」とやや低調。ここらで一発かな。まあ・・・カラスは啼いています。ちなみにカラスのカラも黒という意味です。

冒頭は取調室である。黒澤家で起きた殺人事件を捜査する名もなき刑事(滝藤賢一)なのである。被害者は黒沢家の当主・文蔵(吉田鋼太郎)で容疑者は三人の息子。

取り調べ中にそれぞれが近所から出前を頼んでいる。カツ丼が出ないのだった。

カレーライスを意地汚く食べるのが長男の満(斎藤工)である。失業中の遊び人。最近、投資に失敗して多額の借金があるらしい。最近、父親に借金を申し込んで断られている。

パスタを忙しなく食べるのが次男の勲(市原隼人)。優秀な弁護士で「医療ミスした医師を守るのがわがビジネス」となかなかに不道徳な言動をする。不出来な腹違いの兄には複雑な感情を抱いているらしい。

オムライスをのんびりと食べるのが三男の涼(林遣都)。園田志朗(小野寺昭)教授のお気に入りの医大生である。原作では一番ピュアなポジションだが・・・そういうイノセンスな役を最近やってないので・・・ちょっとね。ひとくせありげにみえてしまって問題あります。ここはミスキャストになるのか・・・純白の狂気を花開かせるのか・・・難しいところだな。恋人のリーザ役にあたる人物が未登場である。入院患者設定かな。

とにかく、容疑者として黒いのは長男だが・・・二人の母親・黒澤詩織(安藤サクラ)は20年前に自殺しており・・・夫である文蔵のひどい仕打ちが前提にあるので・・・動機は次男・三男にも充分にあるわけです。

そもそも文蔵は資産家であるが・・・かなりの嫌われ者で・・・三男が通りがかりのいじめられっ子を助け、黒澤家のものだと名乗っただけで「死ねっ」と噛みつかれるほど・・・悪名高い人物なのである。

だったら・・・容疑者、もっといるだろうとは問わないでください。

ともかく・・・取調室で時は遡り・・・黒澤家の秘密が暴かれていくという趣向になっています。

長男の満の恋人で原作のカチェリーナにあたるのが遠藤加奈子(高梨臨)で・・・加奈子には次男の勲が思いを寄せています。出番多いといいよね~。

しかし、長男は放蕩息子なので原作のアグラフェーナにあたる父親の愛人・吉岡久留美(芳賀優里亜)にもちょっかいを出しています。妖艶な美人なのかどうかキャスティングとしてはここが一番微妙だな。

「殺したいと思ったんだろ・・・」

「ずっと殺してやりたいと思ってました・・・でも・・・殺しませんよ、親だから」

ま、ドストエフスキーなんて無理・・・と言う人はものはためしで見てみるといいかもね~。

新潮文庫だと上中下三巻だし、岩波文庫だと全四巻だしね~。

赤い扉が見えたら黒くぬりたい

色なんていらない 黒だけでいい

夏色の娘たちが通り過ぎる間

闇の彼方へ私は顔をそむけていたい

なにもかもが黒くそまればいい

なにもかもが闇に堕ちればいい

ヨウ素131は八日で半減し

セシウム137は三十年で半減し

プルトニウム239は二万四千年で半減し

黒はどこまでも黒だから

紅い扉を黒く塗りたい

花の色など見たくもない

夏の光と輝く乙女たち

顔をそむけて凍りついて一人

顔も体も黒く塗りたい

夢も希望も感じたくない

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2013年1月12日 (土)

信長のシェフ(玉森裕太)に胸乳触られちゃいました・・・てぃひっ(志田未来)

そこかよっ。

そこしかないじゃないか。

ま、いきなり怪しい戦国時代にタイムスリップだからな。

どうせ、コミック原作なんだからいいじゃないか。

だけど・・・信長様が出るんだぜ・・・少しは時代考証がな・・・。

なんか・・・三好勢と戦ってたけどな。

永禄十一年(1568年)だと・・・三好勢じゃなくて・・・上洛開始の六角義賢戦だよな。

ルイス・フロイスに逢うのは永禄十二年だしな。

ま・・・タイムスリップだからな・・・戦国時代のようなものに行ってるんだよ、きっと。

で、『信長のシェフ・第1回』(テレビ朝日20130111PM11~)原作・西村ミツル、脚本・深沢正樹、演出・兼﨑涼介を見た。なんとなく平成年間から戦国時代のようなものにタイムスリップしてしまったらしいケン(玉森裕太)なのである。なんだか記憶をいろいろと失っているのでよくわからないのだが・・・かなり腕のいい料理人だったらしい。もう・・・設定そのものがおぼろげである。ただし・・・記憶には謎の女(香椎由宇)の面影だけが残っている。

とにかく、出現したのは戦の最中で・・・織田信長(及川光博)、森可成(宇梶剛士)、くのいち楓(芦名星)などが誰ともつかない敵とどこともつかない場所で白兵戦を展開している。

命からがら戦闘現場から脱出したケンは野盗に襲われ、どことも知れぬ崖から転落してしまう。

そんな、ケンを助けたのは男装した刀鍛冶の夏(志田未来)だった。

ふとした偶然で夏の胸に触れたケンは夏が女だと気がつくのだった。

夏の家で一息ついていると友軍からはぐれた木下藤吉郎(ゴリ)がやってきて、またもや修羅場に。

しかし、かけつけた織田信長にあやういところを救われるのだった。

信長・・・かけつけちゃうのか・・・。

不審人物として一刀両断になるところを「すごくおいしい料理を作るんで殺さないでください」と夏が哀願・・・。

信長は今、上洛戦の途中なのか、京に入っているのかもわからないが・・・どこぞの城で料理勝負を命じられるのだった。

信長の料理人を鴨料理で打ち負かしたケン。

料理勝負に負けた戦国時代風の料理長(きたろう)の命乞いをする。

「あなたは・・・役に立つ人を斬らない方だと聞いてます」

・・・妙に歴史に詳しいケンだった。

「それならば・・・ルイス・フロイスを感動させる料理を作ってみよ」

正史より一年早く、フロイスと遭遇している信長の命に従い、ポルトガルの郷土料理で郷愁を誘うケンだった。

「なつかしい故郷を思い出して・・・神の教えをつたえる決心が深まりました」

そんなフロイスに真心を見た信長だった。

ケンは調子に乗って金平糖から綿菓子も作って見せるのだった。

信長はケンにご褒美として金平糖を渡す。

ケンから金平糖をもらった夏は「てぃひっ」と言います。

かわいいよ、夏かわいいよ・・・です。

・・・ま、これ以上、言及するところはありません。

あ・・・明智光秀(稲垣吾郎)を忘れてた。

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13歳のハローワーク

JIN~仁~

戦国自衛隊1549

さて・・・と手抜きついでに昨日のニュースについてのメモを残しておこう。

Senkaku005 日本国固有の領土である尖閣諸島をめぐる中国共産党帝国の侵略的挑発行動の問題である。いよいよ、中国が軍用機を出没させたというニュースだった。日本では各局、様々な形でその模様を短く伝えている。

それを俯瞰してみよう。

NHK総合「防衛省関係者によりますと、10日午前、東シナ海の海上に設定された日本の防空識別圏に、中国の軍用機を含む十数機が接近しました。このうちの一部が防空識別圏の内側に入ったため、航空自衛隊の戦闘機がスクランブル=緊急発進したということです。中国機は、まもなく防空識別圏の外に出て、領空侵犯はなかったということです」

日本テレビ「複数の政府関係者によると、10日午後、中国空軍の複数の戦闘機が尖閣諸島北方の領空の外側にある防空識別圏を飛行し、自衛隊のレーダーがキャッチした。航空自衛隊がF15戦闘機を緊急発進させたが、現場に到着した時にはすでに飛び去っていたという。領空侵犯はなかった。飛行が確認されたのは中国空軍の戦闘機2種類で、その数は十数機だったという。数機ごとに編隊を組み、3回にわたって防空識別圏に入った。去年12月以降、中国のプロペラ機による領空侵犯などが相次いでいるが、今回は戦闘機で、しかも機数が多いことから、防衛省は警戒を強めている」

TBSテレビ「10日、沖縄県の尖閣諸島周辺に戦闘機など複数の中国軍機が接近し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進していたことが明らかになりました。 政府関係者によりますと、10日、戦闘機を含む複数の中国軍機が尖閣諸島の北およそ180キロの東シナ海に設定された日本の防空識別圏に入り、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進しました。領空侵犯はしていないということです。尖閣諸島周辺では去年から中国の国家海洋局所属のプロペラ機が領空侵犯するなど頻繁に接近していますが、中国軍機の接近が明らかになったのは初めてです」

フジテレビ「中国軍の戦闘機などが、尖閣諸島北側の日本の防空識別圏内を飛行していたことが分かりました。中国軍の航空機が10日、沖縄県の尖閣諸島の北の海上を飛行し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進した問題で、中国軍機には、対艦ミサイル搭載の戦闘攻撃機が含まれるとみられることがわかった。複数の政府関係者によると、中国軍機など数機の航空機が、10日午前から夕方にかけて、尖閣諸島の北の日本が設定した防空識別圏内を飛行したため、航空自衛隊の「F-15」戦闘機が緊急発進した。領空侵犯はなかった。FNNの取材では、自衛隊のレーダーで確認した東シナ海を飛行する中国機は、対艦ミサイル搭載の戦闘攻撃機「JH-7」など、少なくとも3種類の十数機程度とみられるという」

テレビ朝日 「政府関係者によりますと、10日、多数の中国軍機が尖閣諸島の北側、日本の防空識別圏内を飛行しているのを自衛隊のレーダーが捉えました。このため、航空自衛隊のF-15戦闘機がスクランブル発進しました。その後、中国軍機は領空侵犯することはなく、防空識別圏から離れたということです。尖閣諸島周辺では、中国の国家海洋局所属の航空機が年末から年始にかけて相次いで飛来しています」

各局・・・それぞれのニュアンスがありますな。このうち、自衛隊のF-15に触れたのが、日本テレビ、フジテレビ、テレビ朝日。中国軍のJH-7に触れたのはフジテレビのみ。

まあ、実際にそうだったのかどうかは謎に包まれているわけですが・・・各局の姿勢がちょっと感じられたりいたします。

NHKやTBSは完全な及び腰でございましょう。もう可能な限り刺激はしない方針ですな。

フジテレビは少し、勇み足かもしれませんな。

ちなみに「F-15」はイーグル戦闘機ですが日本仕様の「F-15J」だと思われます。最高速度マッハ2.5と言われています。空対空ミサイル・スパロー完備です。

一方、「JH-7」は戦闘爆撃機で最高速度はマッハ1.7に少し足りないくらい、YJ-8K対艦ミサイルを装備可能です。

つまり、日本の艦船を攻撃できる機体ということですな。

性能的には「F-15」が充分に迎撃できる「JH-7」という図式になっています。

しかし、中国軍にはロシアからの輸入物などで「F-15J」に対抗できる機体があり、複数の機種にそれがあったかどうかは不明なのですな。

とにかく・・・短い中途半端なニュースだけれども・・・中国軍が段階的に圧力を強めているということは確実だと考えることはできます。

ま、だからどうした・・・ってことなんですけどね。

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2013年1月11日 (金)

日本一うざい夫(瑛太)・・・無自覚と最高の離婚(尾野真千子)

まあ、饒舌だからってうざいとは限らないと思うが・・・周囲の人々がさすがに困るレベルである。

祖母の濱崎亜以子(八千草薫)が「将来は犯罪者になるしかない」と推察していた孫・濱崎光生(瑛太)・・・。

本人に自覚がないというのは・・・本当に恐ろしく面白いのである。

動物が好きな人間に悪い人はいないというが・・・始末に負えない人間も多いのだな。

そういう変な男が踊り出すラブコメ・・・これは見逃せないなあ。

で、でっていう『最高の離婚・第1回』(フジテレビ20130110PM10~)脚本・坂元裕二、演出・宮本理江子を見た。「わたしたちの教科書」「mother」ととぎれどぎれに傑作を書き下ろす脚本家なのだが・・・ここのところ・・・ハズレないのだな。もう凄い脚本家になっちゃったのかもしれないなあ。

とにかく・・・日常生活の不満を小牧歯科医院の歯科衛生士・海野菜那(芹那)相手に治療中にぶちまける光生である。もう歯科医院一同、生きた心地がしないレベルの不気味さである。

「ドアを閉めないんです。ドアは開け閉めするからドアでしょ。妻の好きな三浦春馬はドアの開け閉めはキチンとすると思うんですよ。洗面所が濡れていても平気なんですよ。いやでしょ、水滴の跡とか、タオルがしわしわになっていたりしたら、窓を閉めるときに網戸を閉めないんですよ。季節とか関係ないでしょ。なにか不純なものが紛れ込まないように窓を開けても網戸があるということに安心感があるわけですよ。東京じゃ真冬だって蚊はいるんです。富士山のふもとじゃどうかしらないが東京は冬でも網戸は網戸なんですよ。ああ、できたら猫とだけ暮らしたいですよ。結婚生活なんて一年中梅雨みたいなもんですよ。そして拷問ですよ。ギザギザの石畳に座って膝の上の石を乗せられて無実の罪を白状させられるような日々ですよ。野球なんて最高にばかばかしいでしょ。バットでボールを打って何が楽しいんだか。スポーツなんて競馬で充分ですよ。だって馬が走るんですよ。最高でしょう。第73回菊花賞(2012年)を見ましたか。父ステイゴールドよりも母の父メジロマックィーンの血が濃いのか芦毛のゴールドシップが直線で持ったまま先頭に立つと他馬を寄せ付けず押し切って皐月賞に続いて二冠制覇ですよ。映画を見るために待ち合わせすれば必ず遅刻なんですよ。しかも始っちゃった映画を平気で見るんですよ。冒頭十分見逃してばっかりですよ。映画は全部ミステリになっちゃうんですよ。引き出しだっていつも開けっ放し、洗濯物は干しっ放しです。け、結婚生活ってみんなこんなもんなんですか」

夫以外の夫の家族とは気の合う妻・濱崎結夏(尾野真千子)に夫の祖母は言う。

「女は損よねえ・・・女は好きになっちゃうと男を許してばかり・・・男は好きになると許せなくなるのよねえ」

「わが軍の被害は甚大ですね」

「あんな子を好きになってくれて・・・有り難いと思っているのよ」

「えへへ・・・」

妻は夫の祖母の興したクリーニング店を引き継ぎ、夫は自動販売機設置会社の営業をしている。そのつきあいで草野球をした夫は運動不足がたたり軽いギックリ腰を発症。

学生時代の恋人であるアロマ系のマッサージ師の上原灯里(真木よう子)に再会する。

繊細なマッサージのテクニックでたちまち・・・昔の恋に燃えあがる夫。

光生と灯里・・・明るい感じの二人がなぜ別れたかはいまのところ、伏せられている。しかし、夫・光生の性格が一朝一夕で出来たとは思えず・・・ものすごく相手を傷つけていることは間違いないのである。そして・・・そのことをきっと彼は無自覚なのだ。

とにかく・・・積極的に昔の同棲相手にアタックを開始する光生なのだった。

その頃、光生の周囲には自転車に乗った色男・上原諒(綾野剛)が出没する。

ガールフレンド(小野ゆり子)とさりげなくいちゃいちゃする姿は光生の妄想を激しくかきたてるのだった。

光生と灯里が食事中に震度4の地震が発生。

光生は唐突に妻との出会いを語りはじめる。

「あの日・・・僕は神保町の勤め先から当時住んでいた府中のアパートまで30キロメートルを帰宅難民として歩いていました・・・ふと・・・得意先の受付の女の子が目にとまったんです・・・なんとなく声をかけて・・・なにしろ特別な日だったので・・・なんとなく気持ちがハイになって・・・なんとなくやすらいで・・・なんとなく手をつないだりして・・・好きとか嫌いとかじゃなくて・・・なんとなく一緒に暮らし始めたんです」

「・・・いい思い出じゃないですか」

「・・・え」

光生は口説き損なったのだった。

そんなある日、光生は灯里から夫を紹介される。

もちろん・・・それは上原諒なのだった。

軽い喪失感を感じつつ帰宅した光生を待ちうけていたのは妻の「離婚届出してきた」の一言だった。

「意味わかんないんだけど・・・」

「あなたには・・・一生わからないかもね」

あの地震の日、夫のために料理を作っていた妻は揺れる部屋で軽く足の裏を切ってしまった。

その時、夫が妻に送ったメール。

「盆栽は大丈夫かな?」

・・・突然、一人寝の身の上となった光生だった。

あはは。あはははは。あははははははははは。

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2013年1月10日 (木)

あたしはとてもおつむが軽い~書店員ミチルの身の上話~ノン・レガート(戸田恵梨香)

NHKの(火)は小説原作ドラマの二本立てである。

女性作家と男性作家の二本立てでどちらもまあまあの滑り出しなのである。

こんな女がいたらいいなあ・・・という男性の願望まるだしのヒロインを描いたのがコチラで非常にわかりやすい。

っていうか・・・「ゴマホ」では大人しくしていた新井浩文はまたしてもどんな女でも寝てしまうキャラとして復活なのである。

だけど・・・すごい説得力なんだよな。なんか・・・ある種の電波かフェロモン出してるとしか思えない。

なにしろ、戸田恵梨香とのディープキスなんか、そのまま違うジャンルの導入部分でもいいほどにリアルでエロティックなのだな。

まあ・・・とにかく・・・今夜はコチラで。

で、『書店員ミチルの身の上話・第1回』(NHK総合201301082255~)原作・佐藤正午、脚本・演出・合津直枝を見た。脚本・演出はプロデューサーでもあり、是枝裕和監督の映画「幻の光」の企画・プロデュースを担当したりしている。映画「落下する夕方」では監督。まあ・・・基本的に淡々としているわけだ。もう、これは好みの問題なのだな。

で、出身地の長崎の「女の子のような女」を淡々と描いた原作を淡々とドラマ化なのだな。

宝くじにあたったことで女の子が幸か不幸か違う生活を手にする話と言えば大島弓子「ノン・レガート」(1985年)が思い出されるのだが・・・ほぼの延長線上にある作品であるだろう。

ただし・・・いかにも処女な大島弓子のヒロイン19歳・小松菜晴子とちがって・・・。

25歳・古川ミチル(戸田恵梨香)は・・・。

あたしは とても おつむが軽い

あんたは とても 心が軽い

二人並べて よくよく 見れば

どちらも いいとこ あほう鳥

・・・な感じなのである。

ちなみに「ノン・レガート」は音楽用語で・・・ニュアンスとしては音をつなげるレガート(通常スラーを用いて表される)をしないがスタッカートよりは長いという中途半端な感じになります。

つまり・・・すべらかではないが歯切れがいいわけでもないという人生の機微ですな。

もっとも・・・流されるように生きて行くという点では二人の主人公はすごく似ています。

長崎の書店員・ミチルは平凡な女である。

一年くらい交際している上林久太郎(柄本佑)は誕生日のプレゼントにミチルの父親が愛用しそうな高級つりざおを選ぶようなガッカリさ加減で、近所の大学生・竹井輝夫(高良健吾)はストーカーモードでなんとなくつきまとう。なぜなら潜在する稀有な魅力があるからなのだ。

そんなミチルの心を鷲掴みにするのが東京の出版社から出張してくる豊増一樹(新井浩文)である。

妻子あるこの男に「ミチルちゃんの幸せに加担したい」とかなんとか甘い言葉を囁かれて出張の度に関係を結んでいる。

そんなある日、出張が一ヶ月空くと知ったミチルは急に男と別れがたくなり・・・男と一緒に空路、東京へやってきてしまうのだった。

なにしろ・・・「虫歯の治療に行く」と言ったまま、書店を後にしてこの顛末なのである。

凧だ・・・ミチルは凧なのだ・・・しかも糸が切れてます。

まあ・・・それだけだと・・・盛り上がらないので・・・もうすぐ、職場の仲間に頼まれて購入した宝くじが一等2億円の高額当選をすることになるのです。

行方不明のミチルのために田舎では一騒動持ち上がっているが・・・とにかく今は「男」とうっとりしたいミチル・・・波乱万丈の生涯はもうすぐです。

まあ・・・これは楽しいよね。

宝くじは連番で買うべきか・・・バラで買うべきか・・・ミチルは頓着しませんが・・・。

見極めたいあなたは天使テンメイ様の数学記事を参照なされますように。

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2013年1月 9日 (水)

年末年始に死亡中ですが何か(姜暢雄)リコリスの花言葉は再会~サキ~(仲間由紀恵)

2012年秋ドラマは「高校入試」で杏子(長澤まさみ)の恋人で不審死の寺島俊章(姜暢雄)で幕を閉じ、2013年冬ドラマは「サキ」でサキ(仲間由紀恵)に操られ中川肇(姜暢雄)の自殺で幕開けである。

ある意味、今日はの風が吹いてます。

さて・・・もちろん・・・2011年の冬ドラマは「美しい隣人」だけではなかったが・・・不吉なことではこのドラマが一番インパクトがありますな。

最終回の2011年3月15日22時31分には静岡県富士宮市で震度6強の静岡県東部地震が発生して一時中断したりしている。

もちろん・・・自然現象とテレビドラマの間には何の因果関係もありませんが悪魔的な妄想は可能なのですな。

呪いというものはえてしてそうしたものなのですから。

さて・・・今回はどんな恐ろしい事態が起こるのか・・・楽しみでございます。

人々は忘れやすい・・・しかし忘れなければ生きていけない人々もいる。

あの日の放射能に汚染された瓦礫は一兆円の費用をかけて集積したとしても葬る場所さえありません。

いくら人々が目をそむけてもあるものはあるのです。

呪われた土地がいつか清められる日を信じて生きる人々に新しい冬がやってきます。

で、『サキ・第1回』(フジテレビ20130108PM10~)脚本・渡辺千穂、演出・今井和久を見た。本ブログの休止中のドラマ『美しい隣人』の主人公だけがスピン・オフした展開らしい。ちなみに前作の脚本は「大奥~誕生~」の神山由美子である。今回は「泣かないと決めた日」「名前をなくした女神」などいろいろな意味で問題のある脚本家にチェンジしています。

この場合のヒロイン・サキは・・・「エコエコアザラク」シリーズの黒井ミサや「富江」シリーズの富江と同様にある意味で超常現象的な存在と考えるべきでしょうな。

確かに・・・「美しい隣人」のマイヤー沙紀(仮名)筧沙季(本名)の旧姓は網浜沙季だったわけですが・・・あれだけの事件をひきおこしながら何処かに消えた奇妙なヒロインが・・・網浜サキとして蘇る・・・もはや・・・魔物と言っても過言ではないのでございます。

前回、沙季は愛児・隼人を失い、失わなかったものに物凄い攻撃を仕掛けるわけですが、今回は何故か・・・雑誌記者の新田隼人(三浦翔平)に生き別れだった姉として名乗りをあげるのです。まさか・・・名前が同じなのに・・・生きている隼人を恨んでいるわけではないでしょうな・・・なにしろ、魔物なので怒りの矛先がどこに向かうか人間には予測不可能ですからなーーーっ。

新米の雑誌記者である隼人はプライベートな過去に触れた記事を雑誌に掲載する。

それは・・・自分が生まれる七年前に経済的苦境に陥った両親が捨てた姉の話だった。

職場の先輩の濱田直美(内田有紀)が危惧した通りに自称「姉」が殺到するのだが・・・その中に港南総合病院小児科看護師のサキ(仲間由紀恵)がいた。サキは捨てられた姉だけが知っている事実を知っており・・・懐疑的だった隼人もいつしか本当の「姉ちゃん」と信じるようになっていた。

だが・・・お茶の間はみんな・・・彼女がサキだと知っているのである。

高層マンションの最上階に居を構える沙紀は・・・「法律」「医学」「心理学」「料理」の本に囲まれながらロッキングチェアに揺られる。

その目は獲物を求めて暗い輝きを放つ魔獣のようである。

実際、事情は不明であるが・・・サキに明らかに心理的に誘導されて青年・中川肇は31年の生涯を飛びおり自殺で閉じるのだった。

サキは中川の生年の1982年ものの赤ワインとステーキで彼の死を祝うのだった。

隼人の恋人の野中百合香(黒川芽以)は無邪気に「ずっと捜していたお姉さんが見つかってよかったじゃない」と喜ぶのであるが・・・喜んでいる場合ではないのである。

どうやらサキは浦ヶ浜法律事務所所属の弁護士・野村康介(萩原聖人)や港南総合病院理事長・須藤繁之(高嶋政伸)にも狙いを定めているらしい。

かたや・・・真面目な弁護士・・・。かたや・・・家族思いの病院経営者。

一体、彼らはどのようにサキの逆鱗にふれたのだろうか・・・。

とにかく・・・早くもサキは彼らの心に魔の触手をからめ始めている。

おそらく・・・前作よりも魔術的な世界が展開するのは必至だろう。

サキの食卓には墓場にこそふさわしい・・・シロバナヒガンバナ(リコリス)が飾られているのだから。

病院の廊下で病気の弟に嫉妬する幼女にサキはそっと囁きかける。

「私にはよくわかるわ・・・先に生れたことで損ばかりしているあなたの気持ち・・・」

子供なんかイチコロの魔性の女なのである。

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2013年1月 8日 (火)

ATARUのラスボスですが何か?(堀北真希)←平塚班←アナコンダ←アップデートしました(栗山千明)

さて・・・映画化決定なのだが・・・タイトルが「ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL」(仮)である。

「ATARUの初恋」がアレッサンドロ・カロリナ・マドカ(堀北真希)なら、舞子(栗山千明)は二人目の女なのか。

それとも第三の女が登場するのか・・・まあ、そんな先まで妄想しなくても・・・。

とにかく・・・正月だからといって、四時間もやって事件未解決のままなんてあこぎにもほどがある。

まあ、面白いからいいんですけど~。

で、『ATARU スペシャル〜ニューヨークからの挑戦状!!〜』(TBSテレビ20130106PM7~)脚本・櫻井武晴、演出・韓哲(他)を見た。前半は警察を退職し、捨て山探偵社を開業した舞子とレギュラーシーズンの回想で綴る一種の総集編である。メインとなるのは体調不良で参加しなかった鑑識課・機動鑑識係・石川唯(光宗薫)の不在の説明とピンチヒッターの36歳で2人の子持ちだが若く見える美魔女設定の水野流美(島崎遥香)の紹介である。・・・何に時間を使ってんだよ・・・。

ニューヨークのATARUは我が家が気にかかる。

日本・・・東京・・・パパとママ・・・そして弟の猪口介TASUKU【岡田将生】が棲む家。

ラリー井上【村上弘明】はATARUの不調が気にかかっていた。

ストレスは軽減されているのに出力が低下しているのである。

「チューニングが必要なのか」とラリーは行動データを解析する。

舞子はビラまき営業中に事件に遭遇する。

ナイフで刺した加害者は下川由美【竹富聖花】、ナイフで刺された被害者は南保【井出卓也】・・・二人は初対面だった。

探偵社のアパ・・・マンションの借主である警視庁捜査一課第四強行犯第12係沢班主任・沢俊一警部補【北村一輝】はオンラインゲーム『戦記・ホーテ』のアイテム「よろい」と「つるぎ」をめぐるトラブルだと説明する。

「アイテムを盗んだ犯人を盗まれた女が刺した」

「なんで犯人が分かったんですか」

「誰か密告者がいたらしい」

「密告者って・・・」

「女にはストーカーがいたらしい」

ストーカーはバーテンダーのTASUKUだった。

舞子のストーカーで沢班の松島光輝巡査部長【庄野崎謙】は「女の子の写真をこっそりとったり、後をつけたり、部屋の前でうろうろしたり、好きになったら誰だってやるでしょう」と主張するが、第四強行犯第12係係長・中津川【嶋田久作】が密かに頷いた他は否定される。

TASUKUがATARUの弟だとは知らぬ間にアプローチを開始する舞子。

しかし・・・事件は思わぬ方向に発展していく。

笹井純子【佐津川愛美】にストーキングしていた島明秀【永井努】が何者かに殺害されたのである。

ニューヨークで事件のニュースをキャッチしたATARUはただちに事件の捜査に着手する。

弟の身に危機が迫ることを予測したのである。

鑑識課・科捜研連絡係の渥見怜志【田中哲司】は「とても変わった殺し方なのね。腹を何度も刺してから手のひらを刺しているのね。でも、過去の事件に類似した手口はないのね~」

「あります・・・日本のデータベースにありません・・・米国にあります・・・十字架殺人事件」

ATARUの帰還に感極まる舞子。

舞子の弟の蛯名昇【玉森裕太】は早速、事件をネットで検索する。

「確かに類似した事件があるようです」

「コピーキャット【模倣犯】か・・・」

「そういえば・・・ストーカーのバーテンダーは教会に通ってました」

二時間ドラマ的には間違いなくTASUKUが犯人だが・・・今回はシークレット・ゲスト展開である。

第二の殺人事件が発生する。

内田智子【渡辺舞】にストーキングしていた堀川勉【狩野謙】が同様の手口で殺害されるのである。

やがて・・・二人のストーカー被害者が同じ「ストーカー被害者の相談サイト」にアクセスしていたことが判明する。

そして・・・そこにはストーカーとしてTASUKUの名があがっていた。

TASUKUのボディガードとして名乗りをあげた舞子。

実際に命を狙われるTASUKU。

しかし、ATARUがその命を救う。

【兄】【障害者として両親の愛を一人占めにした】【重くてうざい兄】

TASUKUはATARUを憎んでいた。

【ちがう】【かわいい弟】【家族】【愛】

二人の心を気遣う沢だった。

逮捕した襲撃者の一人、時田次郎【渡辺大知】 の端末からオンラインゲーム『戦記・ホーテ』にアクセスした捜査員たちはスペシャル・メニューの存在を知る。

そこでは「ストーカー」を現実の世界で殺せば大量のゲーム内賞金が手に入る殺人ゲーム「ストーカー・キラー」が展開していたのだった。

バイクで逃走した犯人を追跡する照会センターの犬飼甲子郎【中村靖日】の活躍で塚原治【遠藤要】の正体を割り出した捜査陣。

オンラインゲーム『戦記・ホーテ』に塚原のパスワードでアクセスした舞子は残金を減らしまくり、塚原をおびき出す。

強敵を相手にATARU・TASUKU兄弟の連携プレーが炸裂する。

しかし・・・塚原は死体となって発見されるのだった。

塚原を殺したのは時田だった。

「賞金をハッキングによって奪われた時田が・・・塚原を殺したんだ・・・」

「じゃ・・・あれは誰なんです・・・密告者は・・・裏メニューのプログラマーは・・・そして最後の対戦相手は・・・」

「すべて・・・謎のアドレスを持つ人物の犯行だ・・・」とラリー。

ロンドンの不可触領域にあるサーバーを経由したアクセス相手をFBIは探知していた。

最終的な端末のIPアドレスはイギリスの航空会社の賓客用ラウンジに置かれたコンピューターのものだった。

【ハッカー】≫≫≫【東京】≫≫≫【ロンドン】≫≫≫【東京】≫≫≫【ゲーマー】≫≫≫【ストーカー】≫≫≫【被害者】≫≫≫【キラー】≫≫≫【コマンダー】

そして・・・防犯カメラに向かって一人の女が微笑んでいた。

「彼女は・・・ATARUと同じ能力を持った・・・訓練生だった」

「アレッサンドロ・カロリナ・マドカ」

「・・・ブラジル人です」

「日本の警察としてはお手上げの領域だ・・・」

マドカはメッセージを残していた。

【アタル・・・あなただって犯罪者になることができるはずよ】

マドカはすでに出国して消息不明だった。

沢は慄然とした。

舞子は空港でATARUにぬいぐるみのネズミらしきものをプレゼントした。

沢はマスタード【二本目】をもらった。

ミッションは完了していない・・・すべては始ったばかりなのだった。

【追記】

おいっ・・・各方面から指摘があったんだが、ATARU【中居正広】を忘れてるぞ。

あ・・・ATARU【チョコザイ】だと思ってた。

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大奥

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2013年1月 7日 (月)

八重の桜の花言葉は理知に富んだ教育なのです(綾瀬はるか)

若殿の松平容保(綾野剛)に苦境を救われた山本八重子(幼少時・鈴木梨央)は感激する。

私の事 武士らしいど

卑怯やねえど 仰せになった

私 お役に立ちてえ

いつか 強くなって若殿様に 御恩さ 返してえ

兄つぁま 私 鉄砲さ やりてえ

・・・これは名演。まるで綾瀬はるかが乗り移ったようだった。

このブログを始めてから三度目の大河ドラマの幕末である。

しかし、今回は明治に突入して行く話なのだ。

なにしろ・・・主人公は昭和七年(1932年)まで生きぬきますからーーーっ。

幕末から明治は鬼門である。「篤姫」はなんとか完走したが・・・「龍馬伝」と「坂の上の雲」はブログ休止中に完結してしまった・・・。明治になると妄想が妄想ですまなくなるからなのか・・・。

はたして・・・今回はどうなりますやら。

で、『八重の・第1回』(NHK総合20130106PM8~)作・山本むつみ、演出・加藤拓を見た。ほぼ、NHK専属の脚本家である。「ゲゲゲの女房」(2010年)の成功が記憶に新しい。「御宿かわせみ」とか「慶次郎縁側日記」も良かったよね。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は水戸徳川家・高須松平家・会津松平家の系図付の上で攘夷派・徳川斉昭、佐幕派・松平容敬の寿命もあるから二大描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。

Yaeden001甲斐武田家の軍師・山本勘介の末裔を名乗る家系はいくつかあるが・・・これは徳川家康が武田家滅亡後に遺臣たちを積極的に登用したためである。勘介直系ではないにしても駿河国から三河国に広がる山本一族の裔が徳川家の家臣団に組み込まれていったのは事実である。山本八重もまたその血脈を受け継いでいる。八重は弘化二年(1845年)十一月の生れである。弘化五年、孝明天皇の代始のため改元となる。その嘉永五年(1852年)二月陸奥会津藩の第8代藩主・松平容敬は死去し、会津松平家第9代は養子の松平容保が継承する。八重はこの時数えて八歳であった。まもなく、十七歳年上の兄・山本覚馬は江戸にて佐久間象山の塾に学ぶ。洋式砲術の研鑽を積み、会津に帰藩後、日新館教授となり蘭学を伝えることになる。その遊学中の嘉永七年(1854年)一月、日本開国任務を帯びたペリー提督が旗艦サスケハナ号など7隻の軍艦を率いて再来日。幕府は三月に日米和親条約を調印する。尊王攘夷運動が高まり、幕末の混乱が萌芽する・・・明治維新まで後、14年。八重十歳の春だった。

会津藩の鉄砲指南役・山本権八は山本勘介を開祖とする甲州流軍学をもって藩に仕えた一族の末裔である。勘介の血脈はその弟、娘婿などによって幾筋かにわかれ、越前松平家、越後長岡牧野家などの家臣となっていた。

その中でも武田鉄砲忍びの流れを汲む山本家に生まれた八重は当然、鉄砲くのいちであった。

徳川太平の世を経て、伝来の鉄砲術は「火縄銃」の技術の伝承に尽きている。

しかし、火薬を扱うことのできる技術はそれだけでも科学の素養を必要とする。

鉄砲術とはすなわち、銃器銃弾の作成、その効果的運用までを含むのである。

だが、西洋では火縄銃は点火の方法がマッチロック式からホイールロック式にそしてフリントロック式へと着実に進化し、雷管の発明により武器としての性能を高めて行った。

18世紀のオランダの制式採用銃であるゲベール銃は雷管式で命中精度は火縄銃に劣るものの射程距離、威力ともに上回る。日本では文政十三年(1831年)に高島流砲術の始祖である秋帆が最初に使用したと言われる。

高島秋帆は密貿易の罪を問われ獄中にあったが・・・各藩はこぞってその教えを受けたと言われる。

やがてライフリング(施条)技術が開発されるとゲベール銃(滑空式)に代わってフランス式のミニエー銃(施条式)が主流となる。英国のエンフィールド銃、米国のスプリングフィールド銃など・・・小銃はライフルの時代となったのである。

そして、前装式から後装式のスナイドル銃によってほぼ一つの完成形となる。

幕末とは銃器の進化の歴史なのである。

後に山本八重子の愛用するスペンサー銃(管状弾倉装填式の手動レバーアクションライフル)はまだ完成途上であった。それは安政六年(1860年)に完成する。

十歳の八重が使用するのはまだ古式ゆかしい火縄銃であった。

山本家には古式の銃器の絵図が伝わっている。

その中に戦国時代に使用された短筒の図面があり、八重は独自の工夫で七歳の時にそれを試作したことがある。

射程距離は短かったが野兎などはしとめることができた。

兎の鍋をつつきながら、権八は遅くできた末の娘に目を細めた。

「おめは・・・筋がええ」

「んだか・・・」

「鉄砲撃つのは楽しいか・・・」

「おもしれえ・・・」

「ならば・・・おめは・・・絶えて久しい鉄砲くのいちさ・・・なるといいべ」

「てっぽうくのいち・・・」

「んだ・・・戦の世ならば・・・それで飯が食える」

「戦なんてあるのだろうか・・・」

「さ・・・それは・・・わからね・・・だども・・・熊はいつでもおるからの」

「熊っこか・・・」

八重は熊の巨大な体躯を思い浮かべて身ぶるいした。

権八は声をあげて笑った。

「数えで十二になったら・・・山さ入って熊さ狩るぞ」

「熊狩り・・・」

八重の瞳に今度は燃えるものがあった。

権八は娘の無邪気な表情の変化を楽しんだ。

徳川幕府の安寧の夢はまだ破られていなかったのだ。

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龍馬伝~嘉永七年の頃

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2013年1月 6日 (日)

スティングみたいなラッキーセブン~騙しの初心者たち~その微妙な手口(松本潤)

さて、今回はズバリ映画「スティング」(1973年)みたいなことがしてみたかったらしい。

で、タイトルの元ネタは「スティング」のネタ本であるとされる「The Big Con: The Story of the Confidence Man(騙しの天才たち:その華麗なる手口)/David Maurer」から頂いてみた。

要するに「詐欺をもって詐欺を征する話」である。

まあ、現代のギャングたちが「オレオレ詐欺」で稼いでいるのは「スティング」が悪いという考え方もありますな。

気がつけば・・・「スティング」も40年前の映画である。ジョージ・ロイ・ヒル監督が没して十年も経つんだもんな・・・。

ひょっとすると名画愛好家でなければ・・・お若い人の中にはその存在さえ知らない人も多いかも・・・。

お正月は・・・深夜にそういう映画もたまには流してほしいよね。ま、レンタルすればいいんだけどね~。

ま、だからこそ・・・「スティング」ごっこは許されるという考え方もありますがーーーっ。

で、『スペシャル』(フジテレビ20130103PM9~)脚本・井上由美子、演出・松山博昭を見た。悪はそもそも知的なものなので・・・ことさらにコン・ゲーム(知能犯罪)というのもおかしい話なのだが・・・ジャンルというものはそういうものなのだな。あえて分けているのである。「ゼブラーマン」で浅野さんの考える「実力を行使しないことが善」みたいな白黒はっきりつけた考え方なのである。で、ビッグ・コンと言えば大がかりな詐欺ということになる。「ニセの場所、ニセの人々を本物だと信じ込ませる」のがポイントである。誰にって・・・そりゃカモ(騙される人)にである。

一般的に騙されるのは正直者と相場が決まっているが・・・実はそうでもない。

カモというのは・・・「不利を有利に変えようとするもの」なのである。

たとえば・・・「息子の示談金をふりこむおばあちゃん」は「息子が罪を償うべきだと考える正直者」ではなく「息子の犯した罪を消せるものなら消したいという欲望にかられるもの」と考えることができるわけである。

詐欺師というのはそういう人の邪心につけこむ犯罪者なのである。

まあ・・・悪魔の言うことなので聞き流してください。

今回はラッキーセブン探偵社は詐欺に詐欺で応じようとする。それ自体は痛快なことなのだが・・・正義の味方が犯罪を犯してはまずいので・・・そこをなんとか言い逃れなければならないのである。

公序良俗を守るドラマ作りって苦しいのよね。

依頼者は湧永勝(中丸雄一)・・・老舗和菓子店の三代目だった。

しかし、二代目経営者の湧永隆造(平田満)は巨大な負債を残して失踪してしまったのだった。

「僕もボンボンですが父もボンボンなのです・・・自殺したりしないかと心配なんです」

北品川ラッキー探偵社の藤崎瞳子社長(松嶋菜々子)は鼻の聞く犬こと時多駿太郎(松本潤)と木のぼりの上手な猿こと新田輝(瑛太)に隆造の捜索を命じるのだった。

聞き込みをすると浮かび上がったのが・・・二代目経営者に親切な天才経済学者の天野教授(及川光博)だった。

その美人秘書である栗原みづき(石原さとみ)に「ジャスミンの香り」を嗅ぎつけた俊太郎は胸をときめかせるのだった。

隆造は天野教授の経営セミナーに足繁く通い、秘書のみづきとも交際していたらしい。

そして・・・どうやら狙われるのはガードの甘い二代目経営者ばかりらしい。

そこで「レストラン」を経営する二代目経営者に変装した俊太郎はセミナーに潜入捜査を開始する。

そこへ天野に恨みを抱く被害者が襲撃、期せずしてみづきの身を守ることになった俊太郎は探偵の本分を忘れて色恋方面に流れ始めるのだった。

ついに隆造が天野の前に姿を見せる。

しかし、暴力的な闇の組織と繋がっている天野には屈強な非合法ガードマンが付随していたのだ。

返り討ちになりそうな隆造を俊太郎は鍛えた格闘技でなんとか救出する。

「天野から紹介された金融業者から融資を受けるために五千万円の保証金が必要だと言われて・・・用意したんです・・・そしたら・・・振り込まれるはずの金が振り込まれなくて・・・金融会社に行ったらもぬけのからでした・・・」

「・・・」

「私がバカでした」と隆造は飛び降り自殺を図るのだった。

目の前で隆造に飛びおりられた俊太郎はものすごくもやもやするのだった。

その頃、警察は詐欺事件の黒幕の磯部(嶋田久作)を取り逃がすが、末端の情報提供者を確保する。

桐原由貴(吹石一恵)は一計を案じ、探偵・旭淳平(大泉洋)を留置場に送り込むのだった。

そうなのか・・・そうでも妄想しないと警察の留置場が狭すぎるんだよ。

ボギー「世界には留置場は星の数ほどあるのによりによってなぜここにきた」

・・・という運命ではダメですか。・・・絶対にダメだ。

淳平はしがない探偵であることを情報提供者に信じ込ませることに成功し、磯部への接触ルートを割り出すのだった。

復讐心に燃えた俊太郎は天野から五千万円を騙し取ろうとするが・・・所長は「それ、犯罪だから」と認めない。

そんなことで妥協することのできないお子様な俊太郎はビッグ・ストア詐欺を開始する。

廃屋を「レストラン」に改造し、店を担保に天野から五千万円を融資してもらう作戦である。

一週間はかかりそうな改装工事を一日で終えるために水野飛鳥(仲里依紗)と茅野メイ(入来茉里)もかけつける。

ゼブラクイーンなみの底力で「レストラン」は完成するのだった。

ふふふ・・・昨日は瑛太、一昨日は仲里依紗・・・の記事になっているのが「流れ」というものです。

まあ・・・命の恩人の俊太郎と愛人の天野の間で揺れる秘書みづきの女心の挿入もあるのだが・・・まあ、あくまで彩り程度である。

ここからは・・・「お金を騙し取ろう」とする者同士のいわば「カモ」VS「カモ」の対決である。

俊太郎は「三億円を借りるための保証金の一部を融資してもらい五千万円をだまし取ろう」としているし、天野は「保証金の一部である二千五百万と担保にとった店をだまし取ろう」とするのである。

しかし、小切手では・・・俊太郎は勝てないのだった。

そこへ・・・新田が投資会社の営業員として乱入する。

「もっといい融資先があります」と話に割り込むのだった。

別室に行った俊太郎と新田に・・・天野が割り込む。

「その融資先はやめた方がいい。倒産寸前の会社だから・・・その男は詐欺師ですよ」

「ちくしょう・・・今日はこの辺にしといてやる」と退散する新田。

「先生の情報のおかげで助かりました」

「いえ・・・それでは契約を・・・」

「先生、今ので急にこわくなりました・・・先生を疑うわけではないのですが・・・現金でお願いできませんか」

「いいでしょう・・・」

天野は五千万円を用意する。

そこへ社長が登場である。

「そこまでよ・・・」

「どういうことです・・・」

「あなたと磯部がつながったということ」

「・・・」

「あなたが先ほど入手した情報は私の部下の筑紫(角野卓造)が流したでたらめの情報なの・・・その情報をあなたがどうしって知ったのか・・・通信履歴でわかるのよ・・・なにしろ・・・向こうでは後藤刑事(金田明夫)が磯部を逮捕しているし・・・」

「あなたは私が逮捕するからです・・・」と桐原刑事が手錠を取り出すのだった。

「そりゃ・・・まいったな・・・しかし・・・こりゃ、囮捜査だから・・・違法だろう・・・」

「なんですか・・・それ・・・」と桐原刑事。

「さあ・・・知りません」と社長。

「知らないって・・・五千万円・・・そこにあるだろう・・・」

「この五千万円って・・・湧永隆造さんの五千万円なので・・・私の方から返却しておきますよ」

「なんだって・・・」

「とにかく・・・被害総額何十億円の事件だから・・・五千万円くらい辻褄合わなくても警察としては構わないと判断します」

「そりゃ・・・無茶だ」

「だまれ・・・極悪人・・とっとと歩け」

「ひーっ」

「まあ・・・相当、甘い結末だけど・・・お正月だからいいわよね・・・俊太郎、何か言うことあるでしょう」

「ごめんなさい」

「まあ・・・でも・・・末っ子の我がままをフォローするのがラッキーセブンですものね。みんなも適当に出番あったし、まあまあの出来だったわよね」

「そうですね」とあきらかに共犯なのにお目こぼしされたらしいみづきは頷くのだった。

とどめの一撃(スティング)である。

まあ・・・お正月なのでこのくらいにしとくけどね。

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2013年1月 5日 (土)

愛を置き去りにできない傷だらけの天使たちのまほろ駅前多田便利軒(瑛太)

年末放映映画じゃないか・・・。

順不同でお送りしています。

とにかくこれの続編をテレビ東京は連続ドラマ化である。

まあ、真夜中のカーボーイ的というか、傷だらけの天使みたいなドラマって・・・永遠にあるんだよな。

男が男を愛する限りな・・・おいっ。

同性愛でも、擬似兄弟愛でもなく・・・身を寄せ合うしかない男と男のものがなしいものがたりである。

で、『まほろ駅前多田便利軒(2011年公開)』(テレビ東京201212310030~)原作・三浦しをん、脚本・監督・大森立嗣を見た。監督は劇中で路線バスが間引き運転をしていないか確かめたがる男を演じる麿赤兒の息子、劇中の弁当屋・囲炉裏屋亭主を演じる大森南朋の兄である・・・アット・ホームかっ。このトリオは「ゲルマニウムの夜」(2005年)でも達成されています。・・・仲良し家族かっ。

さて・・・まほろといえば・・・素晴らしいという意味のまほらの活用形である。幻想のまほろ市のモデルは東京都町田市らしい・・・。町田と言えば首都に最も近い田舎町なのである。ほとんど神奈川県といってもいいくらいである。なにしろ、路線バスは神奈川中央交通なのである。神奈中が走ってるのになぜ・・・東京なのだと思うのだな。

そういう・・・どこかわびしい感じが好きな人にはたまらない仕上がりになっています。

多田便利軒を細々と経営する多田啓介(瑛太)はバツイチの独身である。

便利屋なのでマリ(田中遥奈)の母親(中村優子)から愛犬のチワワを預かる仕事を引き受ける。

その夜、チワワを逃がしかかるが・・・中学生時代の同級生・行天春彦(松田龍平)と再会し事無きを得る。

啓介は事故で行天の小指を切断しかけた過去があり、その負い目からホームレスに転落した彼をなんとなく拾ってしまうのだった。

チワワの飼い主母娘は夜逃げをしてしまう。

「殺して捨てても文句は言われないよ」という行天。

「本気かよっ」と怒る啓介だった。

啓介は専門家に電話をかける。

「チワワが震えてるんですが・・・大丈夫でしょうか」

「そういう生き物なんです」

「でもすごく震えてて」

「チワワが震えているのは生きている証拠。震えないのは死んだチワワだけです」

「本気かよっ」と怒る啓介だった。

啓介は癇癪持ちだが・・・心は優しいのである。

そんな啓介を行天は生温かく見守るためにやってきたらしい。

まもなく夜逃げ母娘の行方を確かめた二人。

飼い主のマリに行天は「もう・・・君の家では犬は買えない。君の母親はこのおっさんに犬を押しつけたんだ」と本当のことをありのままに言うタイプの男である。

「犬の飼い主は君だから・・・君が決めていいよ・・・お母さんにおじさんが頼んでもいいし」とあくまで常識的にふるまう啓介。

「優しい飼い主を捜してください」とマリは覚悟を決めるのだった。

行天が飼い主を募集すると応募してきたのは自称コロンビア人娼婦のルル(片岡礼子)だった。

「外事警察」でふっとんだ黒の天使はここに転生である。

娼婦に偏見を持つ啓介は可愛いチワワを譲渡することに躊躇するのだった。

ルルのルームメイトであるハイシー(鈴木杏)はチワワがもらえないと知ると立腹するほど落胆するのだった。

かっての「青い鳥」の天使は・・・自称コロンビア人娼婦を演じさせたら天下一品である。ある意味、素晴らしいことだな。

ルルの部屋のドアの建てつけを修理しに来た二人はトイレで麻薬を発見する。

そこへルルの情夫である麻薬密売人のシンちゃん(松尾スズキ)がやってくる。

啓介はシンちゃんと縁を切ることを条件にチワワをルルに譲るのだった。

「俺たちには仕事だけど・・・ハイシーにとってチワワは希望だからな」と行天は嘯く。

そんなある日、啓介は行天の元妻・凪子(本上まなみ)に出会う。

「彼は両親に虐待されて育った子供なんです」と語りだす凪子。

凪子は同性愛者で妊娠するために精子提供者の行天と擬装結婚をしたのだった。

啓介は行天を詰る。

「同じバツイチなのに・・・俺の子供は死んで・・・お前の子供は生きている・・・不公平じゃないか・・・」

啓介は居眠りしている間に我が子が発熱して死んでしまった過去を持つのである。

その頃・・・まほろ市では小学生による麻薬の密売が横行していたのだった。

相手が相手なのでまほろ署刑事の早坂(岸部一徳)も手を焼くのだった。

やがてハイシーのストーカーである山下(柄本佑)に刺される行天。

しかし・・・天使なので死なないのである。

そんな感じで二人は・・・仲良く便利屋を続けているのです。

ものすごいダイジェストだなっ。

とやかく言う人はいるだろうけどね。

君は俺への愛を置き去りにしたりしないよな。

俺に君への愛を置き去りにさせたりしないよな。

とやかく言う人はいるだろうけどさ。

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椿三十郎

あしたの、喜多善男

ヴォイス

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2013年1月 4日 (金)

ゼブラーマン~ゼブラシティの逆襲、出しちゃいなよ早く~(仲里依紗)

新年早々・・・そこかよっ。

まあ、三が日も終りましたしな。

年末年始の谷間の映画である。

待ちに待ったコレなのである。

まあ・・・申し分のない出来なので・・・あまり多くは語りませんがーーーっ。

で、『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-(2010年公開)』(TBSテレビ201201030257~)脚本・宮藤官九郎、演出・三池崇史を見た。ゼブラーマンこと小学校教諭・市川新市(哀川翔)が凶悪なエイリアン(声=水樹奈々)から地球を守ってより15年の歳月が立っていた。本物の変身ヒーローとして実名報道された男は仕事も家庭も失い孤独なヒーローとなったあげく、超能力も失ってしまう・・・危機を感じた日本政府は市川の能力を回復するべく最先端科学による人体実験を試みる。

その結果、抜け殻となったヒーローは記憶を失い・・・2025年の東京メガロポリス通称・ゼブラシティで覚醒する。

ゼブラシティでは治安の維持のためにゼブラタイムという一日二回朝夕五分の粛清タイムが儲けられ、警官は市民の射殺権を行使していた。この恐怖政治のために犯罪数は激減。なにしろ・・・守られるべき市民(主に弱者)の数が激減したからである。

ここはゼブラシティ 本能の街

ここはゼブラシティ なんでもありさ

5分だけ、5分だけ、スッキリしたいわ

ゼブラに染まれ 私は ゼブラクイーン

アンタのお墓も ゼブラに塗っちゃうわ

ゼブラシティ知事の相原公蔵(ガダルカナル・タカ)の娘であるゼブラクイーンこと相原ユイ(仲里依紗)は暴力という善の神として市民の上に君臨していたのだった。

自分が誰かも分からないゼブラーマンは粛清の餌食になりかかるが・・・基本は不死身のヒーローなので100発以上の銃弾を浴びながら存命し、ボランティアの市場純市(田中直樹)に救助される。

瀕死の状態でゼブラーマンが搬送されたのは郊外にある救護施設「白馬の家」だった。

主催者はかっての教え子である浅野さんこと浅野晋平(安河内ナオキ→井上正大)である。

浅野さんは暴力全否定の医師に成りたい看護師に成長していた。

浅野さんは一目でゼブラーマンに気付くが記憶を失ったゼブラーマンは「お医者さんじゃないのに手術するなんて・・・」とぼやくのだった。

市場はかってTV版「ゼブラーマン」でヒーローを演じた俳優(前作では渡洋史だったのでおそらくリメイク版なのであろう)だった。

市場秘蔵のDVDを見せられたゼブラーマンだったがやはり記憶は蘇らない。

群れを離れた シマウマは

東京砂漠で なに思う

愛する地球を 緑に染める

怪しく光る悪いヤツ

「俺の背中に立つんじゃねえ」

ゼブラ ゼブラ 白黒つけろ

ゼブラ ゼブラ ゼブラーマン

とゼットの人(水木一郎)が歌っても無駄なのだった。

しかし、エイリアンを胎内に封じ込めたかっての教え子の一人すみれ25歳(永野芽郁)に接触することで正義の力を取り戻すのだった。

エイリアンこそが・・・ゼブラーマンの力の根源だったのである。

その頃、ライバル歌手の美咲美香(スザンヌ)を撲殺したゼブラクイーンは追悼ライブを開催する。その根源的な悪の心はさらなるパワーを求めてすみれを狙うのだった。

下僕の新実(阿部力)とともに「白馬の家」を急襲するゼブラポリス軍団。

白馬となったゼブラーマンと黒馬となったゼブラクイーンの秘密が今、暴かれる。

鉛筆を突き刺すのが趣味の天才科学者・岸田美穂(マメ山田)はゼブラーマンを遠心分離器にかけ、白い正義と黒い悪を分離することに成功したのだった。

その結果、誕生したのがゼブラクイーンだったのである。

ゼブラクイーンはゼブラーマンの心の影なのである。

すみれは遠心分離機により、人間とエイリアンに分解されてしまう。

その結果、凶悪な緑のエイリアンは復活するのである。

それを退治することで世界的な救世主になることを目論んだゼブラクイーンだったが・・・エイリアンの力は強大で太刀打ちできないのだった。

ゼブラクイーンを救うために盾となった下僕に思わず涙を流すゼブラクイーン・・・。

声を聞かせて ひとりにしないで

私の噓を見拔いて

こぼれ落ちる この涙の意味を教えて

ゼブラーマンは廃墟から一組の寝具を取り出し枕を並べるのだった。

「お前にはまだ涙が残っていた・・・奴を倒すために・・・合体するしかない」

「なんでだよっ」と突っ込む隙もなく突っ込まれたゼブラクイーン。

そして・・・真のゼブラーマンは復活する。

最終決戦である。

「白黒つけることで人は幸せになれるんですか・・・」と浅野さんに問うゼブラーマン。

浅野さんは黙して語らない。

やがて・・・すべてを飲みこんだゼブラーマンは「白黒つけられないので丸く収めました」と捨て台詞を残すと宇宙の彼方へと去っていくのだった。

ありがとう・・・ありがとう・・・ゼブラーマン。

報われないからこそヒーローなんだもんね。

来年は二本立てでお願いします。

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2013年1月 3日 (木)

山本八重(綾瀬はるか)を待ちながら・・・母・妻・娘が自害してから36年生きた男(北大路欣也)

今年の大河ドラマの主人公は山本勘介の子孫で会津藩士の娘である山本八重である。

山本八重は鉄砲くのいちだったので戊辰戦争には舶来のスペンサー銃で参戦している。

その艶やかな姿は早くも予告編でお茶の間を魅了しているわけだが・・・その前哨戦である。

会津藩といえば・・・言わずとしれた白虎隊なのである。

そして・・・その心情を想像するだけで気が遠くなる会津藩家老の西郷頼母なのだった。

最近では「白虎隊」(テレビ朝日2007年)という作品があった。

「白虎隊」はもちろん・・・娯楽作品としてはまあまあの出来だったが・・・とにかくあまり心にフィットしない仕上がりだった。

それに比べて本作は西郷頼母の心情に関しては見事なまでに描ききっている・・・まあ、長時間なので。

「その日」の彼の心情は察するのが憚られるものなのである。

で、『新春ワイド時代劇・白虎隊〜敗れざる者たち』(テレビ東京20130102PM5~)脚本・ジェームス三木、監督・重光亨彦を見た。西郷隆盛と西郷頼母は同族であるが南北朝時代(14世紀)には分岐した遥か遠い血脈である。500年の時を経て・・・維新政府軍と賊軍に分かれて対峙することが時の流れのおかしみというものであろう。

西郷頼母(北大路欣也)が家老として使えるのは会津藩主・松平容保(伊藤英明)である。

幕末、容保が京都守護職に就任することを辞退するように進言したのが・・・頼母だった。

その理由は主に藩の経済的な問題であったが・・・どうなるかわからない政局の行方を案じたことも窺がわれる。

当然、容保の怒りを買い、家老職を解かれることになる。

ドラマでは反骨の武士として容保を頼母は諌め続けるのである。

一方で・・・2007年の「白虎隊」では西郷頼母を演じた小林稔侍がもう一人の家老・萱野権兵衛となって「西郷家は多産の家系」というように西郷家は子女に満ちており・・・家長としての頼母が描かれていく。

その主なメンバーは、母・律子(渡辺美佐子)、妻・千恵子(黒木瞳)、妹・眉寿子(国仲涼子)、妹・由布子(前田亜季)、娘・細布子(八木優希→未来穂香)、娘・瀑布子(江良陽彩→大森絢音)・・・錚々たる顔ぶれである。

結局、頼母の危惧は現実のものとなり・・・会津藩は賊軍の汚名を着て戊辰戦争に追い込まれていく。

もちろん・・・のるかそるか・・・は世の常なのであるが・・・頼母としては家老職に復帰を許されたことは充分に苦いものであっただろう。

慶応四年(1868年)・・・頼母は奥羽越列藩同盟を率いて東山道先鋒総督府参謀の伊地知正治、板垣退助の率いる新政府軍を白河城で迎撃する。兵力は列藩同盟軍が三倍以上を要したが、新政府軍の装備と戦術の卓越によってあっけなく敗れる。

頼母は数度に渡って白河城奪還を試みるが・・・失敗し、総督を罷免されてしまう。

続けて二本松城の戦いにも破れ列藩同盟は瓦解する。

会津藩は孤立し・・・若松城(鶴ヶ城)を中心に防衛戦を張るが、政府軍はまたしても戦線を電撃的に突破し、圧倒的な火力で攻撃を行い予備兵力であった白虎隊までを投入した会津藩兵を殲滅する。

籠城を覚悟した頼母が足手まといになるのを嫌った一族子女21名の自害に接したのはこの時である。

頼母の次女・瀑布子(13歳)の辞世

手をとりて ともに行なば まよはじよ いざたどらまし死出の山みち

頼母の長女・細布子(16歳)の辞世

武士の道と聞きしをたよりにて 思いたちぬる黄泉の旅かな

会津藩は降伏した。藩主・容保は明治26年まで生存。日光東照宮の宮司となる。

頼母は土方歳三と合流し、函館で捕縛・・・後に許され明治36年(1903年)まで存命。

容保が宮司となった際には禰宜となった。

やはり・・・その胸中は全く想像することが憚れるものなのである。

人はまだ現世に生きていても魂が地獄に落ちることがある。(ダンテ「神曲・地獄篇」三十三歌)

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2013年1月 2日 (水)

終りなきお茶会のおひらきタイムをご存じですか?(水谷豊)

さて・・・恒例の相棒チェックである。

相棒ライターの中でも独特なムードで押してくるこの脚本家。

今回もお茶の間を妖しい世界に迷い込ませる仕掛けが抜群でございます。

その上で・・・今回は殺人あり、公安警察の暗躍あり、美少女の神隠しあり・・・歴史の暗部ありと盛り沢山。

57年の時の流れを経て・・・杉下右京が暴いて暴いて暴きまくるのです。

元日スペシャルとしてはベスト3に入るのでは・・・?

で、『相棒Eleven元日スペシャル「アリス」・第11話』(テレビ朝日20130101PM9~)脚本・太田愛、演出・和泉聖治を見た。昭和二十年(1945年)に大日本帝国は消滅し、連合軍に占領された日本国は新生のための一歩を標す。戦後の混乱期の中で様々な善悪が織りなされる。あるものにとっての福音はあるものにとって不幸であるのはいつの時代も同じである。

昭和二十二年(1947年)、憲法14条により貴族制度が禁止され、日本から華族という身分は消えた。華族たちは既得権益を失い斜陽するのである。

昭和二十五年(1950年)、相続税法が改正され、貧富の差を解消するために累進課税の比率が高められる。農地改革、財閥解体とともに旧華族の没落に拍車がかかる。助かったのは占領軍の目が届かなかった山林王だけであった。

昭和二十九年(1954年)、警察法改正により、地方自治警察が統合され、警察庁が発足する。一部反体制派は秘密警察の再来を危惧して議会は大混乱となるが法案は衆議院を通過し公布、施行に至る。禍福は糾える縄の如しである。

華族の没落と・・・戦後警察発足・・・この二つの歴史的事実が・・・その「事件」に影を落とすのだった。

2012年のクリスマス・イヴ・・・ロンドンで一人の老婆が息をひきとる。

後輩の弁護士・石川(遠藤たつお)から連絡を受けた杉下右京(水谷豊)は逝去した朋子(酒井和歌子→上間美緒)の残した遺言「ヒナギクじゃなかった。茜が危ない。あの子を助けて」を受け取り・・・朋子の実家に残る二百郷(におごう)茜(波瑠)を訪ねる。

朋子は茜の大叔母にあたった。

現在は養蜂業を営む二百郷家のある東京郊外の早蕨村。

右京が享(成宮寛貴)とともに到着すると・・・何者かが・・・屋敷に侵入して家探しをするという事件がすでに始っていたのだった。

やがて・・・二人は・・・二百郷家にかって起こった神隠し事件の謎の解明に取り組むことになる。

57年前の昭和三十年(1955年)のクリスマスイヴ。朋子の父・二百郷(におごう)洋蔵(伊藤聡)が経営する早蕨ホテルには元子爵令嬢の橘瑠璃子(広瀬アリス)が滞在していた。瑠璃子は朋子と森へ散策に出かけ・・・忽然と姿を消してしまうのだった。

その夜、ホテルが不審火によって出火、全焼し、朋子の両親と身元不明の男性の死体が残された。

忠実な執事(中原丈雄)と女中(藤田弓子)に守られてひっそりと暮らす茜にも胸に秘めた密かな思いがあり・・・周囲には怪しい影が暗躍する。

その頃・・・公文書(私設歴史)館の警備員が何者かによって殺害される事件が発生する。

捜査に乗り出した捜査一課トリオは・・・警察庁の秘密組織の影を感じるのだった。

ここからは次々に繰り出される文書捜査である。

旧華族の残した備忘録、宿泊名簿、神隠しの捜査資料、公文書館の閲覧記録・・・右京は資料探偵として・・・時間の壁を突破し・・・過去の事件と現在の事件をつなぐ核心に迫っていくのだった。

それによって暴かれる・・・旧華族の子孫(滝藤賢一)の歪んだ欲望、右京の激昂サービス、甲斐享を一撃で倒す公安秘密組織員(本宮泰風)の非合法活動、突然応援に来た享の同期の柔道三段の婦人警官・大石(松本若菜)、右京のそっくりさんである法務官僚・国枝秘録の存在、それを隠滅しようとする警察庁次長・甲斐峯秋警視監(石坂浩二)の策謀。旧華族の隠し財産を隠匿した早蕨ホテルの秘密の倉庫。そして・・・純情可憐な令嬢に何が起こったか。滅多に見れない捜一トリオの銃撃戦。一服もられる角田課長の部下たち。怒涛です。怒涛の展開です。

神隠しにあった瑠璃子の残した英国式スクラップブックに残された「不思議の国のアリス」の謎が解き明かされた時・・・秘密の扉が開くのである。

A_mad_teapartyそれは月下美人・・・闇に咲く花(8323987)の悲しい末路を示していたのだった。

戦争によって孤児となった少年と・・・戦後十年を経て幸せな少女時代に終止符をうたれた令嬢との・・・悲劇の幕が下りるまで・・・息もつかせぬ展開である。

もう・・・なんか・・・お年玉たくさんもらった小学生のような気分になりましたよ。

永遠に続く六時のお茶会に紛れ込んだような・・・ね。

きっと国枝と右京は遠い親戚なんだろうな。恐るべき遺伝子である。

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2013年1月 1日 (火)

2013年、冬ドラマを待ちながら(キッド)

あけましておめでとうございます。

昨年末は地獄でノロウイルスの大流行があり小悪魔たちが全滅したりしてやや多忙でした。

まあ、地獄の生き物なので48時間くらいで復活するんですけどね。

今年も皆さまが素晴らしい一年を過ごされるように多重人格一同お祈りいたします。

さて・・・昨年は終盤に「シニカレ」というなかなかのダーク・ファンタジーがあって・・・これは「高校入試」とキッドの中ではリンクしています。

「シニカレ」の「彼女」の「愛」というのは結局、ドラマの基本なのでございますよね。

しかし・・・昨今、そういう愛の表現はなかなかに難しい。

そういう意味では・・・さすがに「極めた感じ」がありましたな。

ある意味・・・最高傑作かもしれない。

で・・・「高校入試」のヒロインの「愛」もまたそうでなければならない。

「愛」そのものは描かれなくても・・・そういう「とりかえしのつかなさ」を心に秘めているヒロインだから、どんなことをしても理解できる・・・そういうお約束なのでございます。

とにかく・・・「シニカレ」を見て・・・ああ、そんな風に愛されたことがあった・・・あるいは、愛したことがあったと遠い目ができればお迎えは近いと申せましょう。

さてさて・・・2013年の冬ドラマには・・・どんな「愛」が潜んでいるのか・・・楽しみです。

もちろん・・・このブログは徹頭徹尾、平身低頭で愛だけを求め続けているのでございます。

(日)これはもうね。綾瀬はるかで幕末から明治ですからね。「八重の桜」でございましょうとも。そこに愛があるに決まってるわけで。オダギリジョーもでるジョー。

(月)相沢友子脚本で・・・原作ありなら・・・固いのですな。千秋と上戸彩を因数分解したような顔立ちと微妙なスタイル、そしてあまりのプッシュぶりになかなか評価が定まらない剛力彩芽の分水嶺となるでしょうね。できれば愛してみたい・・・「ビブリア古書堂の事件手帖」・・・はたして田中圭の運命は・・・? 水野絵梨奈も殺されちゃうの?・・・そこかよっ。

(火)・・・きてます。桜庭ななみの「ラストホープ」、渡辺千穂(脚本)の「サキ」、浅野温子の「いつか陽のあたる場所で」・・・もう、火曜日は愛があふれる予感。場合によっては選べないので谷間になるか・・・それとも合津直枝(脚本)で戸田恵梨香の「書店員ミチルの身の上話」で二夜連続書店もの・・・。こんなところでかぶるのかよっ。「コドモ警視」もあるよ。

(水)水橋文美江(脚本)の「シェアハウスの恋人」、シェアハウスで面白かったことないんだなあ。そういう習俗そのものが苦手なのかもしれない。雑居なんだもんな。想像するだけで息苦しい。でも川口春奈と雑居だぞ・・・そ、それは愛なのかな。

(木)「あぽやん」の桐谷美玲は見るが・・・レビューはどうかな。そろそろ駄作が来てもおかしくない坂元裕二(脚本)の「最高の離婚」・・・メンバー濃すぎるよな。八千草薫さんとか。まだ可愛かったらいかにとやせん。

(金)「夜行観覧車」・・・まあ、「高校入試」であれだけの脚本家としての力量を見せつけた原作者の原作を脚本家がどうするのか・・・見ものだわな。しかし・・・「まほろ駅前番外地」(テレビ東京)はここでも瑛太だし、大根仁(演出)で・・・真木よう子、臼田あさみ、山本舞香・・・愛は確実にあります。

(土)「泣くな、はらちゃん」VS「カラマーゾフの兄弟」岡田惠和(脚本)VSドストエフスキー(原作)である。もう・・・この両枠は奇想天外を逸脱しているな。

ちなみに(日)は「とんび」内野聖陽と「dinner」江口洋介ががっぷりよつである。男臭すぎるだろう・・・。

・・・こうして見ると・・・冬ドラマも秋に続いて殺す気満々だな・・・。

さすがに・・・二期連続で・・・体力的にもたないので・・・厳選が求められます。

まあ・・・とにかく・・・今夜は「相棒」を見るとして・・・。

Hc0012001H☆C恒例雪山新年会。

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