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2013年1月13日 (日)

黒くぬれたらカラマーゾフの兄弟(高梨臨)

なんで、ドストエフスキーなんだよ・・・と誰もが言いたいエレーン。

しかも、「Paint It, Black/The Rolling Stones」(1966年)である。

ちなみに「カラマーゾフ」のネーミングは1866年ロシア皇帝アレクサンドルニ世を狙撃して暗殺未遂事件を起こしたドミトリイ・カラコーゾフに由来するという説がある。

「カラマーゾフの兄弟」の出版が1880年ということから辻褄はあっている。

ただし、テロリストになるのはドミートリイではなく、アレクセイであったらしい・・・ただし、作者死亡のために第二部が書かれなかったので真偽のほどは永遠の謎である。

さて、「カラ」とは「暗黒神カーリー」の名が起源にある。つまり「黒」なのである。

カラマーゾフは「黒塗り」というニュアンスを持つ。

黒は「無政府主義者」の色であることは言うまでもない。

「カラマーゾフの兄弟」の挿入曲が「黒くぬれ」であるのは・・・そういうことなのだ。

今や、目に見えない汚染物質で黒く塗られたわが国土である。

神が死にゆく時代の物語は語るにふさわしいのかもしれない。

で、『カラマーゾフの兄弟・第1回』(フジテレビ20130112PM1110~)原作・フョードル・ドストエフスキー、脚本・旺季志ずか、演出・都築淳一を見た。「女帝」や「正義の味方」など秀作のある脚本家であるが最近は「ストロベリーナイ」「Wの悲劇」とやや低調。ここらで一発かな。まあ・・・カラスは啼いています。ちなみにカラスのカラも黒という意味です。

冒頭は取調室である。黒澤家で起きた殺人事件を捜査する名もなき刑事(滝藤賢一)なのである。被害者は黒沢家の当主・文蔵(吉田鋼太郎)で容疑者は三人の息子。

取り調べ中にそれぞれが近所から出前を頼んでいる。カツ丼が出ないのだった。

カレーライスを意地汚く食べるのが長男の満(斎藤工)である。失業中の遊び人。最近、投資に失敗して多額の借金があるらしい。最近、父親に借金を申し込んで断られている。

パスタを忙しなく食べるのが次男の勲(市原隼人)。優秀な弁護士で「医療ミスした医師を守るのがわがビジネス」となかなかに不道徳な言動をする。不出来な腹違いの兄には複雑な感情を抱いているらしい。

オムライスをのんびりと食べるのが三男の涼(林遣都)。園田志朗(小野寺昭)教授のお気に入りの医大生である。原作では一番ピュアなポジションだが・・・そういうイノセンスな役を最近やってないので・・・ちょっとね。ひとくせありげにみえてしまって問題あります。ここはミスキャストになるのか・・・純白の狂気を花開かせるのか・・・難しいところだな。恋人のリーザ役にあたる人物が未登場である。入院患者設定かな。

とにかく、容疑者として黒いのは長男だが・・・二人の母親・黒澤詩織(安藤サクラ)は20年前に自殺しており・・・夫である文蔵のひどい仕打ちが前提にあるので・・・動機は次男・三男にも充分にあるわけです。

そもそも文蔵は資産家であるが・・・かなりの嫌われ者で・・・三男が通りがかりのいじめられっ子を助け、黒澤家のものだと名乗っただけで「死ねっ」と噛みつかれるほど・・・悪名高い人物なのである。

だったら・・・容疑者、もっといるだろうとは問わないでください。

ともかく・・・取調室で時は遡り・・・黒澤家の秘密が暴かれていくという趣向になっています。

長男の満の恋人で原作のカチェリーナにあたるのが遠藤加奈子(高梨臨)で・・・加奈子には次男の勲が思いを寄せています。出番多いといいよね~。

しかし、長男は放蕩息子なので原作のアグラフェーナにあたる父親の愛人・吉岡久留美(芳賀優里亜)にもちょっかいを出しています。妖艶な美人なのかどうかキャスティングとしてはここが一番微妙だな。

「殺したいと思ったんだろ・・・」

「ずっと殺してやりたいと思ってました・・・でも・・・殺しませんよ、親だから」

ま、ドストエフスキーなんて無理・・・と言う人はものはためしで見てみるといいかもね~。

新潮文庫だと上中下三巻だし、岩波文庫だと全四巻だしね~。

赤い扉が見えたら黒くぬりたい

色なんていらない 黒だけでいい

夏色の娘たちが通り過ぎる間

闇の彼方へ私は顔をそむけていたい

なにもかもが黒くそまればいい

なにもかもが闇に堕ちればいい

ヨウ素131は八日で半減し

セシウム137は三十年で半減し

プルトニウム239は二万四千年で半減し

黒はどこまでも黒だから

紅い扉を黒く塗りたい

花の色など見たくもない

夏の光と輝く乙女たち

顔をそむけて凍りついて一人

顔も体も黒く塗りたい

夢も希望も感じたくない

関連するキッドのブログ→ドクロゲキ

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様のカラマーゾフの兄弟

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