昔の同棲相手(真木よう子)に死ねばいいのにって思われちゃう男(瑛太)と最高の離婚(尾野真千子)
なにしろ、見た目は瑛太なのであれだけ常軌を逸した愚痴をこぼしまくっておきながら、歯科衛生士の海野菜那(芹那)に「かわいい」と好かれる男の主人公。
しかし・・・誰もが納得のうざい感じを醸し出す・・・瑛太・・・さすがなのである。
それが・・・分からない人は・・・実際、うざい人なんだろうなあ・・・。
そして、そういう人は結構、いるんだろうなあ。
退屈で、自信過剰で、独りよがりで、鈍感で、うざい人は世の中にあふれているからなあ。
「人質の人命第一」などと言ってる側から強行突入されて・・・「え」と思っちゃう人も多いんだろうなあ。
で、『最高の離婚・第2回』(フジテレビ20130117PM10~)脚本・坂元裕二、演出・並木道子を見た。日本一うざいくせに性欲だけは人並みにある濱崎光生(瑛太)は離婚して一人暮らし、これ幸いとティッシュを片手にエロDVD鑑賞に奔るのだった。そして、突然、虚脱するのだった。しかし、自分に何か落ち度があったとは全く思わないのだった。なぜなら、彼は他人にも心があるとは思ったこともないのである。
なにしろ、祖母の濱崎亜以子(八千草薫)が尖ったものがあると孫の光生が誰かを刺殺するのではと危惧するほどの人間性のなさを示している主人公なのである。
姉の智世(市川実和子)に「きっと結夏さんはあなたが迎えに来るのを待っている」と促されて離婚した妻の実家のある富士山に見下ろされる街へ向かうバランスボールにやつあたりして指を痛めた光生だった。
元妻の家族もまたバランスボールをこよなく愛する雄大な家族だった。
荒波にもまれるように翻弄される光生。
元妻は「制服でラブホに入って補導された元カレ」とイチャイチャしたりしているのである。
「え、お前たち喧嘩してんの」
「離婚したのよ」
「えーっ、料理が下手すぎたからかあ」
「なによ・・・そんなにひどくないわよ」
「旅行先で僕のカニを食べたんです・・・」
「そりゃあ・・・ひどい」
「だからって帰るまで一言も口聞かないのよ、せっかく露天風呂だったのに別々に入ったりして」
「お前、一緒にお風呂入るの好きだもんなあ」
「・・・」
おおらかで素敵な元妻の故郷だった。
お互いの家族の手前、離婚の事実をなんとなく隠す二人。
元妻は仲のいい光生の祖母の誕生会に出席したりするのである。
光生は必死にものわかりのいい元夫を演じようとする。
「すっきりしたのよ・・・離婚して・・・」
「・・・」
「あなたは変わらないと思ったし・・・」
「・・・」
「別に変ってほしいとも思わないし・・・」
そして合コンに出かけて行く妻だった。
しかし・・・光生には希望があった。
昔の同棲相手であるコンノさんこと上原灯里(真木よう子)の夫である上原諒(綾野剛)が女をとっかえひっかえしている事実から・・・脈ありと感じた光生は矢も盾もたまらず上原家を訪問するのだった。
「コンノさん」
「上原です」
「コンノさん」
「上原です」
「コンノさん」
「上原です」
「コンノさん、いや、灯里。君はあの頃、輝いていたじゃないか・・・僕とガラガラの美術展やガラガラの映画館をめぐっていたあの青春の日々。あの日の君に戻ってもらいたくて・・・いや・・・これは口説いてるとかそういうんじゃないんだ・・・ただ僕は力になりたいんだ」
「私、あなたと付き合っていて楽しかったことが何一つないの。別れる時は死ねばいいのにって思ってた。まったくあなたは変わっていないのね。ひどい過去を勝手にいい思い出にしないでよ。私、彼(綾野剛)に逢うまでにも恋はしたけれど・・・恋に落ちたことはなかったのね。彼は親友の恋人だったけれどどうしても彼が欲しくて奪ったの。あなたとしたようなニセモノの恋じゃなくてホンモノの恋をしたからなの。彼がどこで何をしたって好きなものは好きなのよ。それは退屈な人といるより素敵なことなの。妻っていうはね。彼の告別式で喪主になれればそれでいいのよ。だってだからこその妻なんですから」
呆然とする光生だった。
もちろん・・・内心はそんなのすべて間違ってるとか思っているのである。
だが・・・「なんでもう少しだらだらしてくれないかな」とか悠長な抗議をしても虚しいのである。危険な現場に出かけていって修羅場に巻き込まれては穏便にはすまないのが現実というものなのだから。
関連するキッドのブログ→第一話のレビュー
シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の最高の離婚
| 固定リンク
コメント