フライパン殺人事件に国家権力が介入したら宝くじで2億円が当たったことがバレるのです(戸田恵梨香)
書店員ミチルの父親は・・・ミチルの婚約者がミチルの長めの夏休みを終わらせることに期待した。しかし、終ったのは夏休みではなく彼だったのである。
ミチルは平凡な女だと言うが・・・相当に依存心が強いくせに頑固な一面を見せるという・・・かなり厄介な女である。
ヒロシマはよしだたくろうを生み、ナガサキはさだまさしを生んだ。フクシマが誰かを生むのは確実だが・・・ナガサキはミチルも産んだのだった。
しかし、ミチルを責めるのは酷なのである。
宝くじ高額当選者という重荷を背負った上に、自分の部屋でなんとなくうとましい男がちょっとした女友達に殺されちゃったのである。
もう、どうしていいのかわからないのが普通だ・・・そうなのか。
まあ・・・「嫌なこと」を人にまかせたらそのうち「とんでもないこと」になるよという警句なのである。
だが・・・人々はつい専門家という他人に頼りたがるのだな。
殺人をゴルゴ13に頼んだり、耳掃除を恋人に頼んだりする。
どちらもそれなりのリスクがあることにご注意ください。
で、『書店員ミチルの身の上話・第5回』(NHK総合201302052255~)原作・佐藤正午、脚本・演出・合津直枝を見た。ここまで不完全で自堕落な女ミチルを完璧なまでに緻密に描いているこのドラマ。実によどみないのである。だからミチルのだらしなさが、無責任さが、自分勝手な恐怖や不安が・・・脈打って・・・ミチル、かわいいよ、ミチルに終始するのである。戸田恵梨香の魅力炸裂なのだった。
「久太郎(柄本佑)が突然やってきたんです。私の中ではすっかり昔の男になっていた生れ故郷・長崎のしがない時計屋の息子です。私のことが好きだって言うのですが、一緒に寝てもファミレスでハンバーグを食べるほどの味気ない思いが残るばかり。自分がおかわり自由のコーヒーになったようなみじめな気分を感じさせる男なのです。それでもかっての私には私のような女にとってはそんな男がお似合いなのかもしれないという気分がありました。いざとなったらこいつでもいいやみたいな。しかし、私は昔の私ではありません。みつば銀行に2億円預金している女なのです。しかも、妻のある東京の男・一樹さん(新井浩文)に田舎に埋もれさせておくのは勿体ない宝石のような人と言われたほどの女なのです。私の秘密の部屋に突然、おしかけてきて長崎に帰ろうとか言われても困惑するばかりの私でした。私が気になったのはどうして久太郎がこの部屋のことを知ったのだろう・・・そればかりなのでした。ところが久太郎は肝心のことにはなかなか答えません。私の魚臭い父親(平田満)が心配しているとか、自分のどこが悪かったのかとかどうでもいいことを話し続けるのです。久太郎にいいも悪いもありません。私にとっては何もないから食べるカップラーメンのようなものなのです。探偵でも雇ったのかしら・・・それとも犬のように嗅ぎつけたのかしら・・・私には久太郎がこの部屋にたどりついた方法がちっとも思い浮かばないのです。すると久太郎は幼馴染の竹井(高良健吾)の後輩の恵利香(寺島咲)が引っ越し祝いにプレゼントしてくれたクリスタルの果物鉢を灰皿代わりに使いながら煙草を吸って言うのです。一樹さんからこの部屋のことを聞きだしたというのです。一樹さんのことを教えたのはタテブー(濱田マリ)だというのです。確かにタテブーも一樹さんに憧れているようでしたからありえないことではありません。でも、あしたまなあーなって言っちゃいそうなタテブーを一樹さんが抱いている姿はあまり想像できませんでした。おえって感じです。久太郎は一樹さんがほんの遊びで私と付き合っているのに東京に引っ越したりして迷惑している風なことまで言うのです。私はまさか、久太郎が一樹さんの家に乗り込んで一樹さんをぶんなぐって私の居場所を白状させたとは思いませんでしたが、勝手な思い込みで私と一樹さんの愛を踏みにじるような久太郎の口調に腹が立ちました。その上、久太郎はさもそれが正しいような口ぶりで私を長崎に連れ戻そうとするのです。一緒に帰ろう・・・一緒に帰ろうって・・・私は久太郎は乱暴なことはしない男だと見くびっていたのですが・・・息を荒げて私に迫ってくる久太郎を初めて恐ろしいと思ったのです。帰ってどうなると言うのでしょう。そこには退屈で空虚な長崎の生活が待っているだけなのです。私はたまらなく嫌な気持ちになりました。その時、ガンと音がしてドサッと何かが倒れました。何かの足しになるだろうと一緒にいてもらった恵利香が可愛いフライパンを持って立っていました。どうやら可愛いフライパンで久太郎を一撃したようです。私はフライパンがへこんだりしなかったか・・・それが心配になりました。ふと気がつくと久太郎が倒れています。久太郎はクリスタルの器で頭を打ったのでしょう。その頭からはドクドクと血が流れています。せっかくの新居が血で汚れてしまうと思ったと同時に大変なことがおこったような気持ちも感じました。後頭部を損傷した久太郎は脳が破壊されてビクビク痙攣したかと思うとまるで死んだように静かになったのです。こういう時はどうするんだっけと思いました。ああ、救急車を呼ぶんだっけ。でも私は生れてから一度も救急車なんか読んだことはありません。そういうことは億劫です。私は億劫なことは面倒くさく感じる性質で面倒くさいことは嫌なのです。だから、誰か救急車を呼んでくれたらいいのになあと思いました。フライパンを握りしめて震えている恵利香がそうするべきだとも思いました。だって当事者なんですもの。そこへ竹井がやってきました。東京では部屋にいる時にも鍵をかけなきゃだめだよと優しい声で言う竹井ですが、私だってそのくらいのことは分かります。私はようやく用事を頼める家来が来たことにホッとして救急車を呼んでほしいと言いました。ところが竹井は死んだ人間を病院に運んでも仕方ないと言い出すのです。わたしは久太郎が死んだことよりも竹井が私に逆らったことがショックでした。それなら警察に通報させようとすると竹井はそれもだめだと言います。そんなことをしたら私にとってよくないことになると言うのです。私には意味がわかりません。確かに私の部屋で人が死んでいるけれど殺されたのは久太郎で、殺したのは恵利香です。私には何の関係もないではないですか。しかし、竹井は私の心を読んだように言うのです。警察というのは何もかも調べる。久太郎のことも。久太郎が何しに来たのか。部屋を教えたのは誰か。部屋の中に何があったのか。部屋の持ち主のかばんに何が入っているか。かばんの中には2億円の貯金通帳が入っています。高額当選者の手引きには当選したことは秘密にするべきだと書かれていました。テレビや新聞や雑誌があることないことを書きだすとひょっとしたら秘密がバレてしまうかもしれません。私は初めて恐怖を感じました。久太郎が死んだことよりも宝くじに当選したことがバレることの方がこわいことなのです。とてもとてもこわいことなのです。私は困ったことになったことが理解できたのです。すると竹井はすべてなかったことにしようと言い出すのです。久太郎が来なかったことにすれば・・・久太郎がこの部屋で死ぬことはなかった。確かにそうすれば警察に何も言う必要はありません。宝くじに当選したことがみんなにバレずにすむことになります。でもそんなことができるでしょうか。しかし、恵利香は早速、久太郎の死体に靴を履かせました。まるで人殺しのような眼つきをして果物鉢と灰皿の区別のつかないような男は死んでもしょうがないなどとつぶやいています。それから竹井と恵利香は部屋を掃除してくれました。竹井は久太郎の死体はどこかに捨ててしまえばいいのだと言いながら久太郎の携帯電話でなにやらメールを打っています。お茶の間の人は指紋が指紋がとざわついているでしょうが私には思いもよらないことでした。私が学習教室の車で運ぶのかと聞くと・・・恵利香が竹井が今、働いているのは料理関係の仕事だと言うのです。竹井は竹井のことに興味のない私について自嘲してから・・・これからは自分に頼るしかないのだと私に言いました。その時、私は竹井の中に何か太くてたくましいものが眠っていることに気がついたのです・・・女の子だったような竹井が男の部分を隠しているようなのです。・・・そのためでしょうか・・・私はこれから先何か恐ろしい事が待っているのではないかと心が震えるのでした」
関連するキッドのブログ→第4話のレビュー
シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の書店員ミチルの身の上話
| 固定リンク
コメント
事情聴取風な芸風(笑)
そして「男の部分」で締めるなんて、
キッドさんの腕の見せどころを深く感じながら、
手が震えるほど笑うしかないのでした(≧∇≦)ノ彡バンバン!
投稿: mana | 2013年2月 6日 (水) 15時49分
|||-_||シャンプーブロー~mana様、いらっしゃいませ~トリートメント|||-_||
遠い遠い南の島から
津波が押し寄せるのを待つ今日この頃です。
レーダー照射を待つ自衛官より
ゆとりがありますな。
そして、終るとミチルの心で
満たされてしまうこのドラマ。
もう、いっぱいいっぱいなのですな。
実に素晴らしい作品に仕上がっていると感じます。
その拙い感想を受けてくれる方がいるのは
この上なき喜びでございますねえ。(・o・)ゞ
投稿: キッド | 2013年2月 6日 (水) 16時09分
まさか『冷たい熱帯魚』みたいになってくるとは第一話からは想像できませんでした(←解体はしてないだろ。いやあの女トモダチのてきぱき具合が…)。
そして、あんなにブス演技(表情)の素養があるとは…。
投稿: 幻灯機 | 2013年2月 6日 (水) 21時57分
✪マジックランタン✪~幻灯機様、いらっしゃいませ~✪マジックランタン✪
バブル華やかな頃、「魚」の養殖は
かなりあぶく銭をもたらしていたみたいですからな。
毎日が高額当選の勢いでございます。
高級魚なら解体してなんぼですが。
高級熱帯魚は解体している場合ではないのですな。
まして顧客を解体してはなんのこっちゃですよね。
「死体」を前に動じないものと
胃の中がでんぐりがえるもの。
世の中は様々でございますねえ。
ブスだろうがゲロしてようが
かわいいよ、ミチルかわいいよでございます。
天晴ですな。
投稿: キッド | 2013年2月 6日 (水) 22時16分