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2013年3月14日 (木)

希望の虹をおいかけて果てない宇宙へ煩悩の舟でトモダチと(水川あさみ)

(木)は「離婚」、(金)は「夜行」、(土)は「はらちゃん」、(日)は「幕末」、(月)は「古書」、(火)は「ミチル」・・・緊張感みなぎる一週間で・・・(水)は振り返れば息継ぎポイントだったのだな。

いまさらの「シェアハウス」、ヒロインは「ホタルノヒカリ」の焼き直し、いい大人が幼児のように「恋」をして、センス・オブ・ワンダーのかけらもない「宇宙人」登場・・・。脱力しないではいられない擬似SF展開である。

しかし・・・まあ、「SF」のようなものは・・・テレビドラマの常套手段なのである。

「ファンタジー」としては初回と、最終回間際の二話でしか、具体的に語られない小心ぶりで・・・レーティングも青息吐息だった。

ただ・・・トータルで考えれば・・・それなりのチャレンジはあったわけで、何よりも・・・「空気」のようなドラマもあってもいいのだという主張は一部愛好家にはフィットしたかもしれない。

滅んでしまった異星の人と地球人女性の恋の成就という・・・ものすごく感情移入しにくい主題である。

もちろん、最初に触れた「ロングロングケーキ」の完成度には遠くおよばない出来ではあったが、アニメ「レインボー戦隊ロビン」(1966年)のヴァリエーションとしてはそれなりに楽しめたと思う。

で、『シェアハウスの恋人・最終回(全9話)』(日本テレビ20130313PM10~)脚本・山岡真介、水橋文美江、演出・南雲聖一を見た。「レインボー戦隊ロビン」では天変地異によって破滅することが判明したパルタ星の人々が移住の地として地球を選定し、侵略という手法で作戦を開始する。スパイとして地球に送り込まれたパルタ星人が地球人女性を愛してしまったことで異星人/地球人ハーフのロビンが誕生するのである。子供には難しいメロドラマ展開があまり受けなかったのでコミックは恐ろしいことに未完である。しかし、紆余曲折あってパルタ星の民主化勢力が独裁者を倒し、ロビンと協力して消滅する惑星から住民たちを脱出させ、拉致監禁されていたロビンの両親の生死などともに一大スペクタクルを展開するアニメは衝撃的だった。

その衝撃の余波は主題歌「ロビンの宇宙旅行」を戸川純が替え唄にして「恋のコリーダ」(1994年)として発表するほどだったのである。時差28年である。

単純に願望の話だが・・・辰平が誰も信じないが本当に宇宙人だったという姑息なギャグよりも、最初からSFXを駆使して、一つの惑星の消滅と・・・阿鼻叫喚の地獄絵図をはっきりとみせて・・・ただ一人、生き残り、百光年の孤独の旅路を進む宇宙人が地球のたった一人の女性に精神感応して・・・ヒューマノイドに擬態・・・そして、とんでもなく淡々と地球の暮らしを始めるという展開が見たかった。

まあ、日本テレビ史上、そういう願望が実現したことはないのだが。

単純に考えれば、「レインボー戦隊ロビン」のパルタ星は半島の独裁者国家がモデルだし、その滅亡によって生じる難民問題は今も国際関係を複雑にしているわけだし、発表から世紀をまたいで拉致被害者の実在が明らかになるなど・・・フィクションの真髄を提示している傑作なのである。それと肩を並べるのはかなり困難な話なのである。

・・・さあ、もういい加減にチャンネルを修正しろよ。

かなたに赤く 太陽燃えて

遥かに広がる バラ色の雲

故郷の惑星を失い、同胞がゼロという想像するだに恐ろしい宇宙人の孤独に匹敵するほど、さびしい電波を放射していた独身OL・津山汐(水川あさみ)と擬似地球人・川木辰平(大泉洋)はいろいろあってついに相互通信可能な両思いとなったのである。

朝からイチャイチャがとまらないので、かっての汐の憧れの人で、辰平をプラトニックに愛していた櫻井雪哉(谷原章介)は微笑みながら教育的指導を行うのだった。

「いいから、さっさと朝食を作れ・・・仕事に遅刻するぞ」

異常な繊細さによって妻の心ない一言で妻子を捨て出奔していた雪哉だったが、自分より「さびしい二人」によってすっかり癒されていたのだった。

雪哉は食品サービスの正社員となり、辰平はスーパーマーケットのアルバイト、そして、汐には危機に瀕したコピー機販売の営業所の仕事がある。

閉鎖を免れるために目標50件の新規開拓掲げる汐の営業所。しかし、特技・新規開拓をマスターした本社の専務の娘のメグ(木南晴夏)の活躍により、前途に希望の光が見えて来たのだった。

「有能だねえ」と杉ノ原所長(半海一晃)と一同が絶賛するが「皆さんが無能すぎるんです」とかわいいよ、メグかわいいよなのだった。

正気を取り戻した雪哉は妻の真希(須藤理彩)と話し合いの場を設ける。

同席した汐と辰平は恋愛の初歩段階では何をすればいいのかと素朴に質問する。

その結果、なんとなく、ダブル・デートになだれ込む四人。もう脱力してしまっているのでどんな緩い展開でもなし崩し的に受け入れるお茶の間なのだろう。

み、みんな生きてるか・・・。

お、おう・・・なんとかな。

い、生きてまーす。

・・・なのだな。

サーカスを楽しむ四人・・・。

汐と辰平は純粋にデートを楽しみ、真希は雪哉の表情に夫の知らない一面を発見してしまう。

「私・・・あなたにもっと苦労を分けてほしかった」

「家族には苦労をかけたくなかった」

「・・・一人で出て行くなんて」

「・・・つまらない男だったから」

案の定、バカヤローな櫻井夫妻だった。

辰平がサーカスの象にマフラーを奪われたために「私が手編みで新しいのを作ってあげる」と約束する汐。

そんな二人を心配そうに見つめる雪哉。

なにしろ・・・故郷の同胞の生存者と連絡がついて・・・次の満月の夜に辰平は地球を去る予定なのである。

そうとは知らない汐はマフラーを編みつつ、「捨てた息子」の幼稚園の卒園式に出席することを逡巡する雪哉に「抱きしめてあげればいいじゃないですか」とアドバイスするのだった。

雪哉は空知(君野夢真)を抱きしめるのだった。

汐は「お父さんを返す」という空知との約束を厳守したのである。もますごくなんとなくだが・・・人柄の勝利というものなのだろう。

「ものすごくシャイで・・・少子化がすすんでいる同胞との合流」をあっさりと打ち明ける辰平。

「私と宇宙人仲間のどっちを取るの?」とは言わない汐。

あっさりと「別れ」を受け入れるのだった。

これは一種の難病ものの変形と言えるだろう。「宇宙人が宇宙に帰還する」のは「不治の病の人が死ぬ」のと同じことなので・・・愛するものは受け入れるしかないのである。

ウソの火星人・香苗(もたいまさこ)との別れの儀式、下半身はお見せできませんのイニシエーションを交わした辰平は転移ポイントへと向かう。

やはり、別れがつらくて素直になれない汐を雪哉が励ます。「人を愛した喜びがあるなら相手にそれを伝えるのは人としての礼儀なのだ・・・」なのである。

黄昏の河口で・・・顔を傾け、唇を突き出しファースト・コンタクトをする二人の異星人。

「ボクの星ではチューは三回するのが作法なんだ・・・」

・・・と言い残し、ビーム転移してしまう辰平だった。

「いつでも君を見守っている」という辰平の言葉を信じて営業に励む汐はついに目標を達成し、奇跡の営業所の一員となったのである。

櫻井夫妻も再スタートを切り・・・シェアハウスには出戻りの山吹さん(三浦理恵子)と・・・同居人の不在の間に恋人のカオル(川口春奈)を連れ込んでイチャイチャしているに違いない凪(中島裕翔)が入居していた。

爽やかで寂しい休日の昼下がり。

「妻が料理をさせてくれないから台所を借りに来た」と雪哉がやってくる。

そして・・・「生き残った同胞がカップルで・・・イチャイチャしまくるんで・・・帰ってきました・・・」と辰平が登場する。

ほのぼのと嬉しい汐なのである。もちろん・・・某建設関連会社がスポンサーのこのドラマがシェアハウスのステマであることは言うまでもない。

良心に従い「誰もがシェアハウスで幸せになれるわけではないこと」は断言しておきたい。

何があったか覚えてないの

右手にハンマー握りしめ

朝の光が眩しくて

横たわった男を照らす

床の血痕拭いつつ

子供の頃を思い出す

関連するキッドのブログ→第8話のレビュー

第7話「ロッキー・ホラー・ショー」

第6話「巴里のアメリカ人」

第5話「ローマの休日」

第4話「冬の星座」

第3話「ハビタブルゾーン」

第2話「エッグベネディクト」

第1話「ロングロングケーキ」

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