ピンクの部屋の女(木南晴夏)、図書室の女(川口春奈)、そしてビジネス・ホテルの女(水川あさみ)
異星の人をめぐるラブロマンスの歴史は古い。
日本には「かぐや姫」があるし、天孫が降臨して現地女性とまぐわいまくるのが神話の主題だったりする。
異文化コミュニケーションは変化をもたらすので刺激的なのである。
アニメ「レインボー戦隊ロビン」では惑星衝突により、故郷の惑星が滅びる異星人が地球侵略に乗り出す背景で、異星人のスパイと地球人が恋におちる。
広大な銀河に散開した地球人型宇宙人の子孫が地球人であるという仮説の元、交尾繁殖可能な宇宙人がゴロゴロしていたりする。
まったく、DNA配列は異なるが快感と言う点で、性交のようなものが可能であるという話もある。
「未知との遭遇」や「2001年宇宙の旅」では宇宙人こそが神である。
「ET」では宇宙人の迷子が地球の子供たちにひろわれる。
「マクロス」では地球人の歌姫は汎銀河系規模でモテモテである。
そういう意味で宇宙人と地球人が恋におちたってなんの問題もない。
問題なのはそれをよくあることとしない感性なのである。
まあ、好きな異性を異星の人に奪われたりすればその怨みは深く、戦争に突入する場合もあるかもしれないが。
で、『シェアハウスの恋人・第8回』(日本テレビ20130306PM10~)脚本・山岡真介、水橋文美江、演出・中島悟を見た。自分が常識と思っていることが常識ではないことはよくあることである。私の知人には「UFOって何?」と根本的な質問をする人もいるし、「中国も地球にあるの?」と聞く人もいる。そういう人に「星には恒星と惑星と衛星があってね」と一から説明しても無駄なのである。「月は太陽に照らされていて」と説明している途中で「そんなことを知らなくても生きていける」とか言われると納得するしかない。まあ、「学校で教えてくれることを学ばないで教えてくれないことばかりに興味がある人は多い」としか言いようがないのである。
「頭の上を危険なオスプレーが飛んでいる」ことが不快だと吐き捨てる能天気なニュース・ショーのコメンテーターがいるわけだが、それに乗っている人は戦場で命のやり取りをする人々である。なぜやりとりをするかといえば、それは自国の権益と平和を守るためなのである。一国をあげて隣国の国民を苛め対象にするための洗脳教育をしている国家があるこんな世の中でいざというときのために味方が訓練をすることに異議を唱えるのは地球に住んでいるのに地球の自転を否定することに匹敵する愚かな行為だと考える。
世界のいたるところで現実に戦争が行われているのにいつまで無縁のことだと考えているのだ。
・・・的にあなたの隣に宇宙人がいる話である。・・・そうなのかっ?
恋愛に不自由な女・汐(水川あさみ)は好きな人に振り向かれず、そうでもない人から好きだと言われてちょっといいかなと思ってしまう自分をもてあまし、複雑な人間関係のシェアハウスから逃亡してビジネスホテルで一夜を明かす。
汐が消えた夜、股間が光り出した辰平。まさにホタルノヒカリ状態である。
ついに・・・雪哉(谷原章介)は宇宙人あるいは妖怪人間の実在を信じることになった。
そして、凪(中島裕翔)は辰平が汐が好きで、汐は雪哉が好きで、雪哉が辰平を好きと言うシェアハウスの三角関係の実態を漸く把握するのだった。
今回は一部愛好家が視聴する最大の要因であるメグ(木南晴夏)とカオル(川口春奈)が両輪で活躍する。本来なら、メグのターンであるがおそらく無理矢理、一話に二話分詰め込んだのである。そのためにテンポはいい感じだった。
汐の勤めるコピー機販売のための営業所が閉鎖勧告を受ける事態が発生する。
汐は空元気を出すのだが、メグにはそれがいかにも無理しているように見えるのだった。メグは汐になついて少し好意を持っているのである。
雪哉は紡ぎ出されたシェアハウス的連帯感に動かされたのか・・・辰平の異常事態を汐に知らせるために汐の職場までやってくる。
しかし、混乱している汐は頑なに「辰平に対する恋心」を否定し、「シェアハウスなんて何の意味もなかった」と断言してしまうのだった。
汐にとって「雪哉への恋」に続いて「仕事」も失うのは耐え難いことであり、藁にもすがる思いで営業をかけるのだが、あきらかに性的欲望処理的な目的の水曜だけにどうでしょう的な男(戸次重幸)にひっかかる。男は意味不明な楽屋落ちを連発し、一部ファンを満足させるという最悪な展開をするが、「他人とは思えない」辰平がやってきて、汐の貞操の危機を救うのだった。
汐を憐れに思ったメグは本社専務の娘として豪邸に連れ帰り、ピンクでベビーエロな自室で汐の心の整理をするのだった。
「私も、好きな人がいたのに別に好きな人ができて困惑したことありますよ・・・幼稚園の時ですけどね」
違う恋愛時間軸を過ごすメグと話のかみ合わない汐は仕事の話に逃避するのだった。
「なんとか・・・本社の人に話できないかしら」
「パパなら下の階にいますよ」
汐は上司の立場を利用し、部下の親である雲の上の人にコンタクトするのだった。
「どのくらい新規契約がとれたら閉鎖回避ができますか」
「50件くらい」
淡々として笑顔を絶やさないメグパパは無理難題をふっかけるのだった。
しかし、汐によってビジネスの面白さに開眼したメグにとってそれは些細なことだったらしい。
無敵のお嬢様オーラで新規契約とりまくりなのである。
♪~メグは「新規契約」の特技を身に付けた。
こうして、営業所には希望の光が灯ったのである。
一方、辰平の光は同胞からの呼び出しスーパー光信号だったらしい。
再び、発光した辰平は宇宙の彼方からのメッセージを受け取る。
「イキテルカ」
「イキテル」
「ワレワレモイキテル」
「ゼンメツシタカトオモッタ」
「ドッコイイキテイル」
「タクサンカ」
「タクサンダ」
「ウレシイ」
「ゴウリュウスルカ」
「シタイ」
「ムカエヲマテ」
孤独な宇宙人は孤独ではなくなったのだった。
事情を聞いた雪哉は春の近さを感じ取った。
「一話短縮の勢いで卒業シーズンなんだな」
「おって知らせがあってピックアップしてもらうつもりです」
「別れの季節って事務的になりがちだよな」
辰平との別離を覚悟した雪哉はとりあえず連絡先を聞くのだった。
圧縮されて、次の展開に入ったドラマは凪とカオルのパートに移行する。
ムニャラクティイキリャ
チャスカクナタイスカイニンチス
カワリムスンノカマキキタ
ハピラニチャイツタニャウパクタ
・・・という辰平の星のヒット曲を録音した凪はカオルに相談をもちかける。
「はぴらきって聞いたことあるよな」
「ハピマテとラキスタみたいな」
「いや、ハピラニだった」
「なんだか・・・ケチュア語みたい・・・」
「けつあご・・・」
「誰がミスター・ジャイアンツじゃ・・・古代インカ帝国の言語よ」
「ケーナとか、アルパカとか、コンドルとか、マテ茶とかのあれか・・・」
「インカを作ったアヌンナキは宇宙人とも言うわ」
「アヌンナキは中東のシュメールとかバビロンの神だよ・・・インカはヤナムカ・トゥタニャムカだよ・・・太陽神インティの息子のパチャカマック、マンコカパック、ウィラコチャとかね」
「ナスカの地上絵的に宇宙人万歳だ」
辰平故郷星と南米降臨星の同祖説に基づき、カオルが神田の古書店で購入した「ケチュア-スペイン辞書」で翻訳を試みる凪。
一話短縮の展開高速化によってなし崩し的にわだかまりがとけた二人ははじめてのくちづけを図書室で交わすのだった。
カオル、キス・シーン・サービスの無駄使いである。
どんだけ貢献するんだよ。帝国相手なので前回よりオブラートな演出。
もしも、時間があったなら
少し、お話しませんか
もしも、お急ぎでないのなら
星でも見ながらお茶しましょう
あの星がきっと運命の星
二人の愛を永遠にする印
大地が滅んでいく夜に
二人は愛を確かめた
・・・凪から辰平の歌の意味を知った汐は「最初の夜にプレゼントしたマフラーのこと」を思い出すのだった。
突然、素直になった汐はシェアハウスに戻ることを決意する。なにしろ、ホテル代がかかりすぎるのである。
「私、辰平さんが好きです」
「僕は汐ちゃんが好きだ」
「これって・・・両思いですよね」
「はらちゃんか」
「どうしたらいいんでしょう」
「抱きしめろ」と指導する雪哉だった。
「ただいま」
「おかえり」
バカヤローな二人を見つめて雪哉もまた自分のことを「つまらない」と言った妻に真意を確かめる決意をしたのだった。
「つまらない男だからつまらないと云ったのよ」とミもフタもなかったらどうしようと思うと震えの止まらない・・・繊細で臆病で傷付きやすい雪哉だった。
しかし・・・スーパー光通信は現地到着時間を伝えてくるのだった。
「マンゲツノヨルニムカエニイキマス」
はたして・・・どんな結末が待っているのか・・・ここまできたら仕方ない気分で付き合うのである。
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