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2013年4月30日 (火)

ガリレオとオカルトちゃんととある呪いの強電磁場発生器砲(大島優子)

ツンデレというものは基本的には「好き」と言う代わりに「嫌い」と言う人である。

しかし、うっかり、「好き」と言ってしまい、たんなるツンツンではなくデレデレであることが判明する。

ズケズケものを言う人が急にモジモジする場合はズケモジとは言わないが、ツンデレの一種ではないだろうか。

ツンツンする代わりにモジモジするのでモジデレなのか。

昨日までなかった言葉が今日はある。

そういう不確かな道具で・・・人は意志の疎通を図ろうとする。

しかし、「好意」一つ伝えようとしても、かなりの困難が予想される。

それは相手の反応が気になるからである。

もしも・・・「好意」を受け取ってもらえなかったら。嘲笑されたら。嫌悪されたら。拒絶されたら。憂慮されたら。無反応だったら。誤解されたら。無限の可能性が呪縛を生む。

予想がつかないことは恐怖を生む。まだ見ぬ未来に怖気づくのである。怯えで口が重くなるのだ。

できれば無心になって「好意」を伝えたい。

しかし、心がなければ「好意」もないのである。

で、『ガリレオ(第2シーズン)・第3回』(フジテレビ20130422PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、演出・澤田鎌作を見た。小学生時代から子役・ジュニアアイドルとして活動し、芸歴16年くらいの24歳、大島優子がゲスト出演である。ミステリのゲストは加害者が一番、無難なわけだが、それなりにデメリットもある。なんといっても悪役である。また、それなりに演技力も要求される。次に被害者があるが・・・死体になってしまうと出番が少ないのが難点である。全裸で解剖されたりするとそれなりに汚れ役になる。アイドル的な立場の女優の場合は「被害者や加害者の関係者」で「何者かに狙われている」つまり「ターゲット」という手がある。「守られるべき立場」というのが地位向上にも役立つ場合がある。つまり・・・それなりに美味しいのである。

今回は「話がかみ合わない」という話である。そのために過剰に「一方的に話す人々」が演出されている。「日本人は右傾化している」という韓国人を「韓国人はバカである」と日本人が思うようなものだ。しかし、「バカにバカと言ってもしょうがない」ので言わない日本人は多いと思う。

フェイドインすると青空で・・・ティルトダウン(パンダウン)して橋の下を流れる川面・・・ズーム・アップするとうつ伏せの着衣の水死体・・・ブラック・アウト。

まったく断りなく時間は遡上し・・・死体発生前の時間に遡上し再びフェイド・イン。

こういう時系列を乱す使い方は好みが分かれるところである。

告別式らしい現場であるが・・・弔われているのは女性で・・・死因は手首を切って自殺。

そこにオカルトちゃんこと岸谷美砂警部補(吉高由里子)が登場する。死者は大学のサークルの先輩らしい。オカルトちゃんは大学時代のサークル仲間と弔問に訪れている。オカルトちゃんより事情通の彼女たちは死んだ白井冴子(陽月華)先輩についてそれとなく噂する。真偽のほどは確かではないがそういう情報は鵜呑みにされやすい。

やがて・・・白井の勤務先のデータ復旧サービスのベンチャー会社ペンマックスの社長・早見達郎(近江谷太朗)が焼香をすますと足早に立ち去ろうとする。

しかし・・・突然、狂態を示すのである。

まるで何者かに話しかけられているように「やめてくれ・・・ゆるしてくれ・・・」などと叫び、逃げるように去っていったのである。

場面は変わり、ガリレオこと湯川学帝都大学理工学部物理学科准教授(福山雅治)が研究室で思案している模様である。

「ビーフシチュー・・・麻婆豆腐・・・とろろ芋・・・」

後にわかることだが、ガリレオは絶対粘度を密度で割った動粘度を指標とすることを食物を使った実験で講義しようと計画し、相応しい料理を考えているのである。

おそらく、料理が管のなかを自重で通過する速度でも計測して比較する気なのだろう。

「ここに料理の本はなかったかな・・・」とクリちゃんこと万年助手・栗林宏美(渡辺けい)に尋ねる。

しかし、クリちゃんはテレビのニュースにすでに天敵であるオカルトちゃんを発見し、興奮してガリレオの問いには答えない。

「ほら・・・あいつですよ・・・あんなところで・・・間抜けそうな顔して」

オカルトちゃんは発見された遺体を川に引き上げているところだった。ここで死体が早見社長であることがわかり、最初に時系列の乱れがあったことが明らかになる。時系列的な論理の乱れによる揺さぶりであるが・・・そういう記憶の整理をしないものにとっては意味不明な演出である。

ガリレオはテレビをオフにする。

「何するんです・・・」

「君は彼女が嫌いなんだろう・・・」

「いえ・・・いつもだとかならず反論されるので彼女の顔を見ながら罵倒したかったのです」

「・・・」

「あ、私の器の小ささを笑いましたね」

「いや・・・笑ったりはしない」

「器が小さいとは思ったんだ・・・」

ここで示されているのは物体には粘度の差異があり、言いたい相手に言いたいことが言えない人間が個人差はあるが存在するということだ。

生前に早見社長の狂態を目撃したオカルトちゃんは同僚の太田川稔刑事(澤部佑)には理解できない直感で・・・白井先輩の自殺との関連を洞察する。

そのためにペンマックスの社員に対して事情聴取に赴くのだった。

その結果、早見社長と白井先輩が愛人関係にあり、白井先輩は失恋して自殺、早見社長は呪いによって死者の声を聞き、発狂して自殺したというオカルト・ラインが浮上したのである。

その時、ガリレオから「ネバネバした料理について何か知らないか」と質問の電話がある。

オカルトちゃんが混乱している間に、社内でも混乱が発生する。

社員の一人である加山幸宏(宮本大誠)が突然暴れ出したのである。彼もまた幻聴を聞いて錯乱したのだった。制止しようとしたオカルトちゃんはカッターナイフで臀部を刺されてしまうのだった。

「お尻・・・私のお尻に穴が・・・なんじゃこりゃあ」

オカルトちゃんは尻からの出血にクラクラするのだった。

幸い・・・軽傷だったが入院治療を受けたオカルトちゃん。

おしゃべりな友人たちが「イケメン医師にお尻丸出しで二針縫われて意気消沈する」オカルトちゃんをからかう。「恋愛経験がゼロだもんね・・・ゼロじゃないもん・・・ああ、法学部のナカジマくんね・・・恋すると態度が変わるものね・・・物言いも遠回しになって・・・意味不明で・・・結局・・・告白しても通じなくて撃沈だったわよね」などと容赦ないのだった。

続けてやってきたのはガリレオである。

「いつからいたんですかっ」

「刺されたと聞いては見舞いにこないわけにはいかなかったが、退院するのでは必要なかったな・・・」

「呪いで人が死んでいるんです・・・私も呪われているのかも・・・」

オカルトちゃんの話すオカルト的な部分に釣られるガリレオだった。

「ツタンカーメンの発掘に伴うファラオの呪いについて知りたければ山岸凉子の『ツタンカーメン』(1996年)を読むといい・・・」

「幽霊の声が聞こえたみたいなんです・・・変な音を聞いた社員もいたし・・・」

「他人には聞こえず、特定の人物だけが聞こえる声か・・・」

ガリレオは・・・超音波で鋭い指向性を持たせる音響システムの研究室をオカルトちゃんに示す。

「これが・・・幽霊の声の正体ですか」

「いや・・・耳をふさいでも聞こえるからこれではない」

「消去法ですか・・・他には」

「今はない」

「なんじゃ・・・そりゃ・・・」

オカルトちゃんは幻聴の可能性について社長の遺体を解剖した東京都監察医務院監察医アイザック(安原マリック勇人)の所見を紹介する。

「様々な要因により発狂している場合とか・・・身体的な不調・・・特殊状況下における正常な反応・・・感覚遮断とか・・・強電磁場に置かれた場合とか・・・」

「それは物理学の領域だ」

たちまち、可能性について試算を開始するガリレオだった。

「仮説を立証するために実験が必要だ・・・三日の猶予をくれ」

しかし、焦らされると弱いオカルトちゃんは泥酔して・・・ガリレオを夜襲するのだった。

「こんなに遅くまで・・・私のために・・・」

「いや・・・特に君のためではない」

「ムニャムニャ」

「ここで寝るな」

「・・・ナカジマく~ん」

「・・・」

仕方なくオカルトちゃんに毛布をかけるガリレオだった。

もちろん、それなりの行為をしたと妄想できる。

めくるめく時が流れて・・・不快な耳鳴りや異音を聞いた社員・脇坂睦美(大島優子)を実験対象として側頭部にマイクを装着、清掃員に変装したオカルトちゃんと太田川刑事が監視する中で・・・怪奇現象「呪いの声」を待つ。

やがて・・・異音が発生する。

刑事たちが擬装したスピーカーで睦美だけに聞こえる音を拡声する。

ここまではハイテクだが最後はオカルトちゃんの観察力勝負というローテク展開である。

しかし・・・オカルトちゃんはシステム・エンジニアの小中(松尾諭)の不審な動きを見逃さなかった。小中が手元の機器を操作すると音は停止したのである。

「確保」

逃亡を図った小中は逮捕され、装置は押収される。

それは・・・マイクロ波聴覚効果(フレイ効果)によって頭蓋内に音を送信できる電磁波照射装置だった。指向性の高い低周波を脳内に送りこみ、音を感じさせる超兵器である。

これによって小中は特定の人物に呪いの声を聴かせていたのだった。

本来は冷戦時に特定の人物を洗脳するために開発されたテクノロジーである。

小中の動機は・・・脇坂睦美に好意を寄せる異性の排除だった。

愛人を自殺に追い込んだ社長は睦美を狙っていたために「幻聴発生器」によって「許さない・・・あなたを絶対に許さない・・・呪ってやる・・・あの世から呪ってやる」を聴かされて発狂したのである。

そして・・・オカルトちゃんのお尻を刺した社員は睦美と親しくしたためにターゲットとされて「次はお前の番だ・・・呪ってやる・・・お前を殺してやる」という女の声を聞かされたのだった。

そして・・・睦美に対しては無意識に働きかけるサブリミナル効果を狙って「コナカユキヒデを愛している」を加工した音声を照射していたのだった。

「なんで・・・そんな不確実なことをしたのかはさっぱりわからない」

「私は分かるような気がします・・・恋愛ってそういうものじゃないかしら」

「ナカジマくんのことか」

「・・・なんで知ってるんですかーーーーーーーーーーっ」

一種のイチャイチャである。

「好きだ」と一言 云えずに流されてた

途切れることない 永い夏の日々が

明日も二人を 焦がしてくれるから

優しい風吹けば 笑う君 青空 白い雲

(「永い夏(Long Summer)」)

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天使による数式的アプローチ→テンメイ様のガリレオ~数式篇~

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2013年4月29日 (月)

南北戦争が駄目なら普墺戦争があるさでごぜえやす(綾瀬はるか)

南北戦争で使用された新型銃・スペンサー銃は画期的な後装式連発ライフル銃であったが、スペンサー社の倒産、権利を買ったウインチェスター社の思惑があり、輸入が困難な状態にあった。

薩摩や長州はこれに準じたミニエー銃(仏国)、スナイドル銃(英国)への武装更新に着手していたために、価格は高騰した。

出遅れた感のある会津藩が・・・プロイセンのシュンドナールドゲベール銃(ドライゼ銃)に着目したのは山本覚馬の面目躍如というところだろう。

1866年にヨーロッパではドイツ連邦を離反したプロイセン王国と連邦の中核であったオーストリア帝国との間で普墺戦争が勃発した。

この時、威力を発揮したのがプロイセンのドライゼ銃である。

オーストリア軍の銃歩兵が立ったまま、戦闘したのに対し、ドライゼ銃は伏射ち連射が可能であり、オーストリア軍に壊滅的打撃を与え、戦争を早期に集結させたのである。

これによって匍匐前進、伏射狙撃という戦術が生まれたのだった。

しかし、地球の反対側に発注した新型銃は会津軍の戦争には間に合わなかった。

後に銃代金の未払いを巡ってレーマンハルトマン商会と旧会津藩には一悶着生じるのだった。

しかし、陸軍省を通じての交渉などを経てドイツの死の商人たちは日本軍部に食い込んでいく。

黒い幽霊たちは転んでもただでは起きないのである。

で、『八重の桜・第17回』(NHK総合20130428PM8~)作・山本むつみ、演出・一木正恵を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は山本覚馬、八重の弟・山本三郎描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。戦死順で父・権八に先立つ不孝をお許しくださいなのですな。いよいよ、登場人物たちが死んで死んで死にまくる季節がそこまで・・・。しかし、あくまでマイペースでお願いいたします。

Yaeden017 慶応二年(1866年)十二月、孝明天皇の崩御により、一年の間に将軍と天皇が死亡するという事態が生じる。明けて慶応三年(1867年)一月、明治天皇が即位する。16歳(満14歳)の少年天皇の誕生である。実母・中山慶子の父・権大納言忠能はかって長州藩と呼応した疑いで蟄居処分となっていたが朝廷に復帰。新帝誕生とともに長州藩の巻き返しは確実なものとなったのである。幕府も新将軍・慶喜の時代となり、前帝の妹であり、前将軍の正室である皇女和宮の公武合体のための降嫁は虚しいものとなった。徳川慶喜の父は水戸・徳川斉昭であり、母は有栖川宮吉子女王である。関白・二条斉敬の母は斉昭の姉であり、慶喜とは従兄弟となる。また和宮の元婚約者・有栖川宮熾仁(たるひと)親王は吉子女王の兄・韶仁(つなひと)親王の子・有栖川宮幟仁(たかひと)親王の子であり、血縁であった。宮家・公家の血族を持つ慶喜は幕末の混迷をさらに深める要因となっていく。慶喜の異母弟であり斉昭の十九男の喜徳は慶応三年三月、会津藩主・松平容保の養子となって会津藩の運命をより過酷なものに追いやって行く。五月、土佐藩士・乾退助は京都・小松帯刀の屋敷で薩摩藩士・西郷吉之助と密会。薩摩土佐討幕の密約を契する。土佐藩主・山内容堂はこれに同意したとされる。長州薩摩同盟に続き、薩摩土佐同盟が成立したことにより、討幕はついに現実の色彩を帯びてきたのである。

山本覚馬は瀬戸内海を東に向かう船上にあった。岩倉友山暗殺失敗の後でもはや、開戦は必至と悟った藩主・容保の命を受け、新型銃の調達を長崎で果たした帰路である。すでに視力回復は絶望的なものとなり、忍び頭の任は解かれていた。会津在京忍びの生き残りである斉藤一が護衛を勤めている。

乗客に見慣れた顔を発見する。

科学忍者隊の坂本龍馬だった。同道しているのは薩摩のくのいちであり、大奥しのびでもある仲野である。

「これは・・・山本様・・・」と声をかけてきたのは龍馬だった。

「・・・」相手に気がついて覚馬は苦虫をかみつぶした顔となった。

「勝様が残念がっていましたぞ・・・覚馬め、曇っているのは目だけではなかったかと」

「・・・」揶揄された覚馬には返す言葉はなかった。藩内でも知る者の少ない眼病のことを指摘されたことに軽い驚きを覚えただけである。

「人はつまらぬものですな・・・家に縛られ、藩に縛られ、国家に縛られる」

「家を守り、藩を守り、国家を守ってこそ・・・人ではないのか」

「さあ・・・それで守れるものならば・・・忍びたちの死は無駄死にではなかったと申せましょうな」

「・・・」覚馬は龍馬の口調に単なる揶揄ではなく義憤があることを感じ取った。龍馬は覚馬を責めているのである。

「主命じゃ・・・あの者たちはみな・・・藩命に殉じたのだ・・・」

「つまらんのう・・・拙者のように・・・家も捨て、藩も捨て、国家も捨ててこそ・・・面白く生きることができるとは思わんかのう・・・」

「それが・・・科学忍者の道か・・・」

「山本様の師匠でもある象山先生の教えじゃき・・・」

「・・・」

「このくのいちは・・・大奥の忍びじゃが・・・山本様より、よほど道理がわかっちょる」

くのいちは目で龍馬を牽制しつつ、覚馬にむかって微笑んだ。

「このくのいちの主は恐ろしいお方やき・・・薩摩藩も幕府もない世の中を生みだそうとしておるんじゃ・・・しかも・・・そうなると知っちょるお方じゃ」

「なんだと・・・」

「長崎で・・・山本様が贈られたハルトマン商会のスペンサー銃はのう・・・拙者からのプレゼントじゃ・・・兄弟子に申し上げる・・・御身大切になされよ・・・」

茫然とした覚馬が目を龍馬に戻すと、その姿は消えていた。

はっとした覚馬が目を転じるとくのいち仲野の姿もない。

二人の天才忍者は船上から姿を消していた。

舷側から身を乗り出した覚馬は海上に立つ二人を見た。

何か・・・黒いものがその足元にあった。

「科学忍法・・・海中戦艦くじら丸」

龍馬の言葉を残して二人は海中に没するのだった。覚馬は白昼夢を見ている気になった。

・・・覚馬から贈られたスペンサー銃を構え、八重は樹上にいた。

一人、また一人と会津くのいち衆に追い立てられた草の者が射程距離に現れる。

八重は淡々とそれらのものを一撃で仕留めて行く。

「兄上・・・この銃はいい銃です・・・発射の後の煙と反動が凄いのは惜しいところでごぜえやすが・・・」

八重は手作りの弾装を入れ替えた。

会津の山野に轟音が響く。

「しかし・・・これほどの忍びのものが里に入り込んでいるとは・・・油断なんねえな」

八重が引き金を引く度にまた一人、異国の忍びが散って行く。

そして八重の心には冷え冷えしたものが入り込んでくるのだった。

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2013年4月28日 (日)

あまちゃん、四回目の土曜日(能年玲奈)

あまちゃんもあっという間に四週目に突入である。

先は長いというものの、もう1/6近くが消化されてしまったのである。

視聴率も20%越えでスタートし、内容に至っては見逃せない毎日、見逃せない再放送の勢いである。

ドラマの中の現在は2008年の夏から秋に至っており、おそらく第13週くらいまで高校二年~三年のアキを描き、夏ドラマの季節には高校卒業ということになるのではないか。

そうなると・・・ひょっとして・・・2011年には届かない可能性があるのだな。

いや・・・それはないか・・・2013年には届かないかもしれないけどなあ。

というか、届かなくてもいいなあ・・・と思うのだった。

半年休んで第二部スタートすればいいじゃん。

「ちゅらさん」を越えちゃえばいいのさ。

で、『連続テレビ小説・あまちゃん・第4週』(NHK総合20130422AM8~)脚本・宮藤官九郎、演出・井上剛を見た。岩手県北三陸市(フィクション)の高校に転校し、海女見習いとして本格的なスタートを切ったアキ(能年玲奈)だったが、不注意で沖に流されてしまい、祖母の夏(宮本信子)の怒りを買い、潜水禁止を言い渡されてしまう。アホの子の母である春子(小泉今日子)は娘を見守りつつ、24年間音信不通だった夏との関係修復に熱中するのだった。海に潜れず悶々とするアキだったが、親友となったユイ(橋本愛)の夢が「東京でアイドルになること」と知り吃驚仰天する。しかし、ストーブことダメ兄のヒロシ(小池徹平)のためにださいミス北鉄になったユイの輝きを見て・・・発奮するのだった。そして、夏に直談判して再び、潜ることを許される。次なる試練は「海女のシーズンオフまでにウニを一個でも採集すること」だった。そんなアキの前に奴らが現れるのだった。

月曜日 やつらが電車にのってやってきた(村杉蝉之介)

一部地域ではおタクの皆さまのことを「おまいら」などと呼称するわけだが、鉄道ファンやアイドル・ファンと自己同一化はできないので、この記事でそういう人々をやつらと呼称することをお許しください。観光協会の臨時職員となったヒロシの作ったホームページに掲載された「ミス北鉄・足立ユイの動画」(一部リニューアル・・・再生回数はカウントされません)が一部愛好家に注目され・・・とある土曜日にやつらがやってきたのである。

北三陸駅の副駅長・吉田正義(荒川良々)は電車にすし詰めになってやってきた奴らに慄いたのだった。

「ユイちゃんはどこですか」

「ユイちゃんは」

「ユイちゃんはどこですか」

カメラを構え、特殊な臭気を漂わせ、奴らは集団で襲いかかってくるのだった。

観光協会のビルから降車乗客数をカウントしていた観光協会々長・菅原保(吹越満)はただならぬ人数の集団に度肝を抜かれるのだった。

北三陸駅の駅長・大向大吉(杉本哲太)は興奮して叫ぶのだった。

「上げ潮じゃーーーっ・・・ユイちゃんはまだかーーーっ」

「まだ・・・眠ってます・・・土曜日なんで・・・」と電話を片手に応じるヒロシ。

「起こせーーーっ」目が血走る大吉だった。

やつらはたちまち、街を浸食していく。祭り以外で観光客を見たことのない商店街の人々は恐怖してシャッターを閉じるのだった。

喫茶「リアス」から春子は娘のアキに電話をかける。

「うに丼売りきれちゃったのよ・・・追加お願い」

「何個・・・」

「とりあえず120個」

「じぇじぇじぇ」

「無理よね~」

そこへ・・・安部小百合(片桐はいり)がまめぶの鍋を持って駆けつけるのだった。

「ただ今、ミス北鉄の足立ユイさんを乗せた列車が畑野駅を出ました」

「おおううおう」とどよめく奴らだった。

追加のウニ丼を持って駅に着いたアキは電車が満員で、ユイが奴らに包囲されているのを見て驚愕するのだった。

「視線ください」

「ツーショット禁止です」

何故かやつらを仕切っているのはアイドルヲタクのヒビ木一郎(村杉蝉之介)である。

やつらの嵐が過ぎ去った後、くたくたになったK3NSP(北三陸を何とかすっぺ)サミットのメンバーたちはスナック「梨明日」に集うのだった。

ウニ丼を作り続けた夏ばっぱは腰を痛めていた。

「今日だけで一千万円の経済効果がありました」と発表する観光協会の職員・栗原しおり(安藤玉恵)・・・。

「ホームページってすごいな」と茫然とする菅原。

「いや・・・ホームページというより・・・ユイちゃんの潜在能力の高さですよ」

何故か、集いに参加しているヒビ木一郎だった。

「明日は・・・日曜日だぞ」

「こわい」と怖じけづく人々。

「何いってるだ」と口から泡を飛ばす大吉だった。「いつ、街おこしをする・・・今でしょ」

大吉は・・・今こそ勝負の時と人々に総攻撃を指示する。そして・・・。

「ユイちゃん・・・明日も頼む・・・」と土下座するのだった。一同も頭を下げる。

大人たちに頭を下げられたユイは逡巡しつつ受けて立つのだった。

そして、翌日ははじめてのジャンケン大会もこなしたのである。

「かっけえ・・・ユイちゃん・・・アイドルみたいだ」

「アイドルじゃないよ・・・笑って握手してジャンケンしただけだもの・・・こんなことで浮かれていられない」

クールなユイをますます尊敬するアキだった。

「でも・・・やっぱり・・・凄いよ・・・ユイちゃん見てたらオラもがんばんべってやる気さ出るもの」

見つめ合うアキとユイ。こうして・・・北三陸市に新しい風が吹いたのだった。

火曜日 北三陸、告白前に散って(小池徹平)

海女を始めて二ヶ月・・・。未だに一個のウニも獲っていないアキ・・・。

さすがに落ち込むのだった。

そんなアキに純情可憐な下心満載でインタビューにやってきたヒロシ。

しかし、長内かつ枝(木野花)、熊谷美寿々(美保純)、今野弥生(渡辺えり)たちは心配を口にする。

「なんだっけ、子、牛・・・」

「トラウマですか・・・」

「よく、わかったわね・・・一度溺れかけたんで・・・いざとなるとその時の恐怖が蘇ってパックマン・・・」

「パニックになるんですね」

それでもヒロシはアキにアプローチするが・・・アキは「サイナラ」と帰ってしまうのだった。

眠れない夜・・・アキは母の高校時代の勉強部屋を探検するのだった。

1983年~84年。そこにはアキの知らない世界が保存されていた。そして舘ひろしは昔も今もあまり変わっていないことを知るのだった。

録音できるマイク付カセットデッキで・・・高校生の春子(有村架純)が録音したテレビ番組のカセットテープで「君に、胸キュン。/YMO」(1983年)を聴いてみるアキ。

「・・・キュン・・・キュン・・・」

お茶の間の一部愛好家が「アキに、胸キュン。」である。

そんなアキの後ろ姿をこっそりと見守る春子だった。

連日、アキをインタビューしに来るヒロシ。そして、連日、ウニが獲れないアキだった。

「ストーブさん、仕事楽しいですか・・・あ・・・興味ないのに訊いちゃった」

「ストーブさんて・・・興味ないって・・・」

「あ・・・ごめんなさい・・・海に入ると気持ちが正直になるっていうか・・・」

「父はホッとしているみたい・・・息子が無職じゃ世間体が悪いから・・・」

「そうだろうか・・・世間体を気にしているなら・・・おらの前でストーブさんを殴ったりしないっぺ。子供がかわいくない親なんていないっぺ」

ウニが獲れない落ち込みからなんとか気を紛らわせようとするアキ。

そして・・・せめて何かみんなの力になりたいと思うアキだった。

「おら・・・インタビューに応えてみる」

「そ、そう」

「ここは袖ケ浦です。最北端の海女がいます。おらも海女の天野秋です。でもオラはまだ一個もウニをとれません。えと・・・後、何をしゃべればいいのかな・・・そうそう、ここらでは吃驚した時にじぇじぇっと言います」

そこへ夏が乱入する。

「組合長さんがサザエくれたど・・・食うべ」

「食う・・・食う・・・」

サザエに釣られてインタビューのことを忘れるアキだった。

アキ、かわいいよアキである。

その夜、アキのインタビューを動画として公開するために編集作業をしていたヒロシは・・・。

「アマノアマノアキデス・・・アマノアマノアキデス・・・アマノアマノアキデス」

頭にウニがわいてしまうのだった。

そして、スナック「梨明日」に駆け込むヒロシ。

春子にむかって「好きです」と言えば血相を変える大吉である。

「ちがうわよ・・・」

「じゃ、私なの」とびっくりして標準語になる弥生だった。

「娘のアキよね・・・」

「そうです・・・今、頭の中がアキちゃんでいっぱいになって探りを入れようと春子さんのところにきたんです」

「認めません」

「えーーーっ・・・どうして」

「いや、おらの経験では海女は男を知ると深くもぐれるようになる・・・つまり処女膜が破瓜してタンクブロー浮上が困難なことに・・・」と横やりを入れる弥生。

「下ネタはそこまでよ」

「理由を言ってください・・・彼女が高校生だからですか・・・」

「ちがうわよ・・・23歳にもなってフラフラしているようなあなたに可愛い娘を預けるわけないじゃないの」

「う・・・」瞬殺されるヒロシだった。「わかりました・・・この気持ちは胸にしまっておきます・・・でも、でも、僕が、僕がアキちゃんのファン1号ですから・・・それだけは譲れませんから~」

泣きながら店を飛び出すヒロシ。もちろん、彼を追う者は店内にはいなかった。

しかし・・・ヒロシの放った恋の矢は意外なところへ刺さったのである。

巡りきた週末・・・やつらは袖が浜を目指したのだった。かってアキをブスと断定したヒビキ一郎が先頭に立っていた。

「アキちゃんはどこですか」

「アキちゃんは」

「アキちゃんはどこですか」

ホームページのアキの動画を見たやつらはリアルタイムで「萌え~」になってしまったのだ。ヒビキ一郎も現実のアキはブスだと思うが動画のアキには「萌え~」なのである。

おなべのフタで防御するアキにやつらは群がって襲いかかるのだった。

アキは心から恐怖した。

水曜日 落ち武者も影武者も武者のうち(でんでん)

ヒロシの恋の怨念によって突然、ちょっとだけ人気者になったアキ。

動画のアクセス数もユイ100万回に対し、10万回を越える勢いなのだった。

「訛って笑って」

「急に訛れって言われてもおら困っちまうだ」

「訛ってる~」

それなりに萌えるやつらだった。

「しかし・・・アキはブスっていうほどのことはないだども普通の高校生だっぺ・・・なしてだ」と疑問を呈する夏ぱっぱ。

「相乗効果ですよ。ユイちゃんは美少女ですがちょっと近寄りがたいものがあった・・・そこへ・・・どこにでもいるような素朴な女の子が登場。ユイちゃんの17歳とは思えない美貌に対してアキちゃんの16歳とは思えない子供っぽさがキタってことは、北三陸がキタってことなんです。なまってるアホなブスが来る・・・これがキターッてことです」

「ブスは言いすぎだっぺ」

言葉の過ぎるキモオタを糾弾するヴェテラン海女軍団だった。

アキ人気によって観光客が三割増しの袖が浜。漁協の組合長の長内六郎(でんでん)も「これはアキちゃんにボーナス出さねばな」と恵比須顔である。

しかし、アキの顔色は冴えない。海女シーズン終了まで後一週間。未だにウニを一個も獲れていないアキだった。

「もう、奥の手しかない・・・」海女軍団は目配せしあうのだった。

今日もアキは浜辺の人気者である。

「アキちゃん、ウニ獲ってきて」

「アキちゃん」

「アキちゃん、ウニ獲ってきて」

美寿々は「この子はまだ見習いだから・・・」と庇うが・・・アキは「今日は獲れそうな気がする」と海に入るのだった。

しかし・・・もう一歩のところで手が届かない。

ところが・・・浮上してきたアキの網の中には・・・ウニが入っていたのだった。

「おや、アキちゃん、ついにウニを獲ったか」と口々にアキを讃える海女たち。

「じぇじぇ・・・」

獲った覚えのないウニが網に入ったことで・・・獲った気になるアキだった。

アホの子の極みなのだった。

喜び勇んで夏と春子に報告するアキ。

「本当に自分で獲ったの」

「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん、はい」

「なんじゃ、そりゃ」

「無我夢中でいつ獲ったか記憶がない」

「ひょっとしたらウニが自分で網に入ってきたのかも」

「なわけないでしょ。ウニは手も足もないんだから」

疑念を示す春子に夏は訳知り顔で笑みを浮かべる。

「アキの普段の行いがいいから・・・潮が運んでくれたのかもしれんぞ」

夏に言われてその気になるアキだった。

しかし・・・ネタはすぐに割れるのだった。

海中で安部小百合(片桐はいり)がウニを網に入れてくれたのである。

「そんなのインチキだっ」とアホの子だけに不服なアキである。

「勘違いするな・・・海女はサービス業だ・・・若い女の子に獲ってもらうことを喜ぶお客さんがいるなら・・・サービスしてあげる・・・それが銭を稼ぐってことだぞ。お客さんが喜んでまたきてくれる。それが観光海女の生きる道だべ」

夏の正論に反論できないアキだったが・・・どうしても不満が残るのだった。

「それじゃ・・・安部(あんべ)ちゃんが・・・落ち武者みたいでねえか」

アキの一言を受け流す海女軍団・・・しかし、組合長だけはひっかかるのだった。

「いや・・・それは落ち武者でなくて・・・影武者だんべ・・・」

しかし・・・そういう細かいことにはこだわらないのが女というものだった。

「ま・・・どっちでもいいか」と言葉を濁す組合長である。

アキよりもずっと観光客へのサービスに徹するユイ。

それに対して・・・ウニも獲れない自分は・・・。

海が好きで・・・海に潜るのが好きで・・・ウニを獲ろうとするのが好きなアキ。

しかし・・・それだけでは何かが足りないと感じるアキだった。

アキ・・・それはウニだよ・・・とお茶の間はアホの子に教えたい気持ちでいっぱいになるのである。

木曜日 卒業アルバム、強襲(片桐はいり)

一部愛好家熱狂のかわいい幼女がアキのウニを食べるために遠方からやってきた。

曇りのない瞳で見つめられ、「ウニ、おいしい」と言われたアキはついに心が折れるのだった。

「本当は・・・あそこにいるおばちゃんが・・・こっそり海の中で渡してくれるの・・・だから・・・ごちそうさまはあの人にいってあげて・・・」

「うん・・・ごちそうさま」

思わず漂う微妙な空気である。

海女たちは海女小屋でアキを責め立てるのだった。

「あんな夢を壊すようなこと言ったらダメだ」

「でもウソつくのはいやだ」

「アキちゃんの獲ったウニが食べたくて遠くからやってきた人に失礼だ」

「・・・」

「安部ちゃんだって立場がないべ・・・最後の花道だってのに」

「最後って・・・」

実はこのシーズンを最後に海女を引退して、宇都宮のデパートで岩手名物のまめぶを扱うカフェの担当者になる安部だった。

推進者は元夫の大吉である。

「安部ちゃんのまめぶが・・・一番おいしいと思う・・・まめぶとしては・・・」と語る大吉。

まさかと思うが・・・春子狙いのために・・・元妻を追い払う魂胆なのではと邪推が浮かばないではない展開である。

アキは割り切れぬ思いに耐えかねてラブレター禁止でポスターを盗まれる勢いのユイに相談してみるのだった。

「需要と供給のバランスとれてるでしょ」とクールに応じるユイ。「お客さんはアキちゃんのウニが食べたい・・・アキちゃんは海に潜りたい・・・それで上手くいくんだからそれでいいじゃない」

「ユイちゃんは・・・握手とか、写真撮影とか・・・楽しいの?」

「楽しいわけじゃないけど・・・私にそういうことが求められているんだから・・・期待には応えたいと思う」

アキはユイの言動に大人を感じるのだった。

「お客さんだってダルダルのおばさんより、かわいいユイちゃんに獲ってもらった方がうれしいでしょ」

「ダルダルって・・・」アキはそのフレーズに受けて相談内容を忘れるのだった。

次に喫茶「リアス」の春子を訪ねたアキは流れで「アイドル」について話すのだった。

ユイのアイドル的なことについて話したアキだったが・・・何故か春子の逆鱗に触れてしまうのである。

「ママの若い頃のアイドルって誰だった・・・ママの憧れのアイドルって聖子ちゃん・・・」

「なんだってえ」

「町で一番最初に聖子ちゃんカットにしたって・・・安部ちゃんが・・・」

「昔の話よ・・・中学生の頃の」

「その頃の写真見たい・・・」

「ないわよ・・・」

「一枚くらいあるでしょ・・・」

「なによ・・・この子はアイドルアイドルって・・・海女の次はアイドルになりたいとか言うんじゃないでしょうね」

「そんなこと・・・」

「あなたみたいなブスになれるわけないでしょ・・・」

娘にブスと言うママもママだが、ママにブスと言われる娘も娘なのだった。

カウンターで凍りつく・・・琥珀掘りの小田勉(塩見三省)・・・。

「ごめん・・・言いすぎた」

しかし、涙が止まらないアキだった。

「泣くなよ」

そこへ・・・大吉がやってくる。

「どうした・・・アキちゃん・・・泣いたりして」

「泣いてねえ・・・」

「いや・・・泣いてるべ」

たまらず店を飛び出すアキだった。

「うおおおおおおおおおおおお」

思わず自転車をかっとばして北鉄よりも早く袖が浜にたどり着くアキだった。

クーラーがこわれたらスカート扇風機をするほどキレやすい母だったが・・・かってないほどのキレ方が気になるアキは・・・春子の過去を知る同級生の安部を訪ねるのだった。

そして・・・卒業アルバムを見せてもらう。聖子ちゃんカットで小首をかしげた昔の春子は・・・今のユイのような美少女だった。

「でも・・・どうして私のこと・・・ブスって言うほど怒ったのかな・・・ただ、昔の写真を見せてって言っただけなのに・・・」

その一言を聞くと、蒼ざめる安部だった。

アキはママには何か恐ろしい秘密があると・・・勘付いてしまうのだった。

秘密を求めて・・・アキは真夜中のドアを開けるのだった。

春子の勉強机の引き出しには・・・なにやらノートがある。

思わず手を出したアキの背後から春子が声をかけるのだった。

「なに・・・してんのよ」

アキはあまりの恐怖で石になるのだった。

金曜日 何してくれちゃったんだよ、ストーブ(荒川良々)

Am004 「ごめんなさい・・・ママ」

春子の青春の秘密の部屋で死を覚悟するアキ。

しかし、アキを突き飛ばすように部屋に入ってきた春子は時を越えて昔の春子に戻るのだった。

「うわあ・・・吉川・・・凄い肩幅・・・安全地帯・・・聖子ちゃん・・・ジャガー横田、なんじゃこりゃ・・・うわあ・・・菅原くんとの交換日記・・・しかも三日でやめちゃってるし・・・変な子だねえ・・・私って変な子だったよねえ・・・」

「ママ・・・」

「ちょっと・・・この部屋でママって言うのはやめてよ・・・この部屋にいる時の私は・・・あなたのママになるなんて・・・思ってもいなかったんだから・・・あれ・・・なんだこれ・・・ゲームだよ・・・安部ちゃんのだよ・・・24年間借りっぱなしだよ・・・いやだ・・・返さなくちゃ・・・今、何時?」

「じぇじぇ・・・今から?」

「行かないよ・・・夜中だもの・・・ねえ・・・ちょっと散歩しようか」

「・・・」

真夜中に海へ向かう母と娘・・・。アキは戸惑いながら狂躁的な母親に従うのだった。

「ここはねえ・・・私の秘密基地・・・おばあちゃんとケンカした時にここに隠れてたんだ」

春子は青春の落書きをアキに見せるのだった。東京・・・表参道・・・原宿・・・海死ねウニ死ね・・・愛羅武勇・・・舞蹴蛇苦尊・・・それは1981年・・・春子16歳まで遡る過去への旅だった。春子とアキは時を越えて同じ年齢になったのだった。

18歳で家を出た春子。それからアキを生むまでには8年の歳月が流れている。家出前の春子の秘密も恐ろしいが・・・家出後の春子の過去も想像するのが恐ろしいものである。

「田舎が嫌いだったんだ」

「ユイちゃんみたい・・・」

「そうかあ・・・そうかもねえ」

「ユイちゃん、高校卒業したら東京さ行くって」

「あんたはどうなの・・・東京に帰りたい?」

「ううん」

「そう・・・よかった・・・」

「え・・・なにが」

「なんでもないよ・・・帰ろうか・・・家に・・・」

「ハルちゃん・・・」

「なんだって・・・」

「だってママって言っちゃいけないんだべ」

「あははは」

「はるちゃ~ん」

「あははははははははは」

その夜・・・春子は長く潜る秘訣をアキに伝授するのだった。

「あのね・・・人間は脳で酸素を一番消費するの・・・だから海の中では何にも考えないこと」

「なーんだ・・・それなら・・・楽勝じゃん・・・」

すっかり安心して眠るアキ。

春子は我が子ながらアホの子だと思い・・・アホの子ほどかわいいという言葉をかみしめるのだった。

決意を秘めて・・・アキは夏に・・・九月三十日の・・・シーズン最後の日・・・船で沖に出る「本気獲り」への参加を申し出る。

「だめだって言ってもついてくるんだべ・・・」

夏はアキの願いを聞くのだった。

しかし・・・本気獲りにエントリーできるのは一家に一人の決まりだった。

それを知ったアキは天野家の代表になってしまったことを知るのだった。

たちまち・・・襲いかかるプレッシャーだった。

そんなアキの前にヒロシが現れる。

「アキちゃんが心配なんだ・・・」

「なして・・・」

「アキちゃんが好きなんだ・・・」

生まれて初めて告白されたアキの心は木端微塵になるのだった。

「うわあ・・・考えちゃだめ・・・考えちゃ駄目なのに・・・なんてことしてくれたのよ、ストーブ」

駆け去るアキだった。

通りすがりの吉田は獲り残されたヒロシに「残念でしたねえ」と言った。

海女の口開けと呼ばれる・・・本気獲りの前夜。

アキはまったく眠れなくなってしまったのだ。

「ウニが一匹・・・ウニが二匹・・・」「好きだ」「ウニが一匹・・・ウニが二匹」「好きだ」

「好きだ」「好きだ」「好きだ」「じぇじぇじぇーっ」

土曜日 私ウニを獲りました(能年玲奈)

「予定通り、本日は海女の口開けを開催します」

引退する安部小百合の涙のアナウンスが響く。

アキにとってのラスト・チャンス。

本気獲りの日。アキは一睡もできずに朝を迎えてしまった。

乱獲防止のために・・・いつもは限定した地域でウニを獲っていた海女たちが・・・この日は獲り放題の漁業権を行使するのだった。そのために・・・海女クラブのOBなども参加して本気でウニを獲りまくるのである。液晶テレビが買えるほど獲るのだった。

ヒロシもカメラを構えて職務を遂行する。

そして・・・海女の群れを乗せた船は沖へと漕ぎ出すのだった。

船を送り出した夏ばっぱは監視小屋へ向かう。先着していた春子ママは双眼鏡でアキの姿を見守るのだった。

サイレンが鳴り・・・次々と海に潜る海女たち・・・。

しかし・・・アキは足がすくんでしまう。

今日は・・・みんなが本気だから・・・溺れても助けてもらえない・・・そう思うと恐怖が沸き起こる。

「こわかったら・・・無理しなくていいぞ」と優しく声をかける組合長。「いつもの海と違って水温も低いし・・・潮の流れも速いから・・・」

しかし、アキはついに心を決める。

「おら・・・いく・・・安部ちゃんと約束したんだ・・・自力でウニをとって安心して宇都宮に行ってもらうって・・・」

秋の海にアキは身を投げた。

「うわ・・・冷ゃっこい・・・」

そして・・・アキは潜った。

考えるな・・・考えるな・・・いつしか・・・アキははじめて・・・海に落ちた日のことを思い出す。

夏ばっぱは言った。

「考えるな」

「考えたってどうにもならねえ」

「何も考えるな」

一番大切なことを夏ばっぱは最初に教えてくれたのだった。

アキは潜る。アキは潜る。そしてついにウニを掴んだ・・・しかし、つかみ損ねた。

海の底へ沈むウニをアキはおいかける。

海女たちは危険を感じてアキを止めにかかる。

その制止をふりきってアキは潜る。

あぶないよ・・・。

大丈夫、きっと獲れる・・・。

そして・・・アキは「はじめてのウニ」を確保した。

その様子を夏は双眼鏡で確認して顔を綻ばせる。

「獲ったど・・・」

「ホント・・・ホントだ・・・掴んでる」

春子は晴れ晴れとした気持ちを感じる。

起承転結で言えば四週目は一つのフィナーレである。

それは長いフリの後で一つのウニによって決着するのだった。

アキは「ごめんね・・・五百円しか稼げなかった・・・」と謝る。

しかし、夏は「アキのはじめてのウニだ・・・天野家にとっては一生もんだ・・・」

そこへユイがやってきてアキを祝福する。抱き合って喜ぶ二人の少女。

「アキちゃんの獲ったウニは・・・」

「まざっちゃったかも・・・」

「ここにござる」

アキは袖が浜の希望の星なのである。

アキのとったウニはお宝あつかいなのだった。

・・・アキの獲ったたったひとつのウニは海の神様に奉納される。

春子は三方に載せられたウニの記念写真を撮るのだ。

もうなんだか・・・ドキュメンタリーを見ているようだった。

こうしてゴールド・クロー安部は北三陸を去って行ったのである。

関連するキッドのブログ→第三週のレビュー

【おしらせ】ココログで障害が発生している模様。トップ記事の表示が遅い。コメント・TB受付画面が表示されないなど不具合が報告されています。皆さまにはご迷惑をおかけして申し訳ありません。

【追記】2013年4月28日未明に発生した障害は夜更けに復旧した模様です。公式発表はありませんがココログに代わって御不便をおかけした読者の皆さまにお詫び申し上げます。すいやせんでしたっ。

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2013年4月27日 (土)

おもしろうてやがて悲しきテレポート(染谷将太)

無免許医と言えばコミック「ブラック・ジャック/手塚治虫」(1973年)なわけだが、小説「雲の階段/渡辺淳一」(1982年)もおなじみの原作である。

無医村で無資格の人間が医療行為をして人命救助をしたら善なのか悪なのか・・・よくわからないという話である。

手先の器用じゃない医師の問題もある。

まあ、プロ棋士が人工知能に敗北する時代である。

ロボット医師でないと手術できない時代はすぐそこまで来ているのかもしれない。

ボトルシップを作るように外科手術を行う高卒の事務員・相川三郎に長谷川博己、年上の看護婦・鈴木明子に稲森いずみ、年下のお嬢様・田坂亜希子に木村文乃・・・爆笑の医療ドラマ開幕である。まあ、笑うのは悪魔ですけれど。ま、レビューはしませんが~。

一方で、観月ありさ(独身36歳)が主演するマジな婚活ドラマ・・・「ご縁ハンター」・・・婚活ドラマの最高峰かもしれないがレビューはしないのだった。

ただ、言いたいのは観月ありさの真面目な上司・海藤部長を演じているのがマキタスポーツだと言うことだ。

「君にはもっと輝いてもらいたい」などと真面目な顔で言われても爆笑するしかないのである。

で、『みんな!エスパーだよ!・第3回』(テレビ東京201304270012~)原作・若杉公徳、脚本・田中眞一、演出・入江悠を見た。謎の超能力者フィールドが発生中の愛知県東三河・・・謎の教授(安田顕)は「地球の未来のために超能力者を結集しなければならない」とつぶやくのだが・・・東三河では下世話な超能力者たちがトータリタリアニズム(全体主義)よりもインデュビデュアリズム(個人主義)を重視する態度で次々に覚醒しているのであった。

エロい目的がないとその気にならないテレキネシスト・永野輝光(マキタスポーツ)、清楚な外見の転校生・浅見紗英(真野恵里菜)の処女を守ることが世界を救うことだと信じるテレパシスト・鴨川嘉郎(染谷将太)、純情可憐な不良少女のテレパシスト・平野美由紀(夏帆)はお互いの能力に魅かれあうように集い・・・仲間意識で結ばれ始めていた。

おりしも・・・身体だけを瞬間的に空間移動できるエスパーが誕生していた。

バスケットボール部の万年補欠の榎本洋介(深水元基)である。

彼は登校途上で便意を催し、自宅トイレに全裸でテレポーテーションしてしまったのである。

もはや・・・濃厚に漂う下ネタ全開の気配なのだった。

≪浅見さん≫≪浅見さん≫≪浅見さん≫≪私はあなたの崇拝者です≫

◎また・・・かよ◎

≪浅見さん≫≪浅見さん≫≪浅見さん≫≪私はあなたの守護者です≫

◎うるさいな◎

≪浅見さん≫≪浅見さん≫≪浅見紗英≫≪紗英・・・≫

「うるさいんだよっ・・・浅見、浅見って・・・」

ついにこらえきれずに鴨川の胸倉をつかむ美由紀だった。

弾みで喫茶「シーホース」の水がこぼれ、鴨川の股間を濡らす。

「あ、ごめん、悪かったな」

美由紀は根が優しすぎる女だった。幼馴染の鴨川を子犬のように可愛がる気持ちがあるのだった。

あわてて、ハンカチで鴨川の股間を拭うのである。

「あ、いいよ・・・大丈夫」

「そんなことないで、濡れとるで」

そこへ、鴨川の意中の人、浅見がやってくる。

いかにも鴨川の下半身に奉仕をしているような美由紀という情景を目撃するのだった。

<まあ、昼間からハードね><鴨川くん、濡れてるのね><ひょっとしてスボンの中身も濡れてるんじゃない><内も外も><べちょべちょ><ぐちょぐちょ><勃起><射精><パンツ>

≪ああ≫≪また≫≪まただ≫≪また誤解≫≪誤解されて≫≪これは≫≪違うんです≫≪変な意味じゃないんです≫≪ただ勃起してるんです≫≪もう≫≪美由紀でもいいか≫

◎なんだとっ◎

「おい、こらっ」

その瞬間、鴨川の勃起した巨根はズボンをつきやぶり、美由紀の顔面を激しく殴打するのだった。

◎なに、しやがるんだよ◎

<まあ><すごいプレー><チンコビンタかよ>

≪うわあ≫≪うわああ≫≪うわあああああああああああああああああ≫

恥辱にまみれ、シーホースを飛び出す鴨川だった。

シーホースのマスター輝光は常に念動力でスカートをめくる風を吹かせている。

今日も快調にパンチラしまくる美由紀と浅見だった。

二人とも健康的で安産型の太ももが眩しいのである。

浅見はともかく美由紀は「見えそうだけど絶対に見えない女子高生のミニスカートの常識」を越えて下着を見せて見せて見せまくりますが、フィギュアスケートのコスチュームのことを考えればそんなにエロいわけでありませんが・・・それなりにエロいのでした。

いや、浅田真央だってな・・・それ以上は言わないのが花ですぞ。

学校では今日も人気ナンバーワンの江崎先輩(武田航平)の華麗なるプレーに女生徒たちの黄色い嬌声があがる。

その中には浅見の姿もある。

それを舞台の袖から悩ましく見つめる鴨川。

しかし、浅見を邪な視線で見つめる男がもう一人いた。テレポーター洋介である。

{転校性か}{かわいいな}{俺もいいとこ見せて}{あの子とセックス}{ダンクダンクダンク}{ドリブルドリブルドリブル}

洋介の妄想の中で突いて突いて突きまくられて絶頂を迎える浅見だった。

妄想の中とはいえ体当たりの艶技である。

{ようし}{あのリバウンド}{俺がもらった}

ゴールに向かって全裸でテレポートする洋介だった・・・。

たちまち、阿鼻叫喚の体育館。

「しまった・・・」

あわててボールで陰部を隠す洋介。

「こら、ボールにチンポをこすりつけたらあかんで」

注意するコーチ。

「あの人、チンチンブラブラさせとるで」

「きゃー」

「やだー」

「うそー」

騒ぎの中、鴨川だけは気がついていた。

≪あの人もエスパーだ≫≪テレポーターだ≫≪なんであの人が≫

早速、尾行を開始する鴨川。しかし、洋介の心の中は浅見に対する邪悪な欲望で渦巻いているのだった。

≪ひ≫≪ひどい≫≪浅見さんになんてことを≫

その日、バトミントン部の部室で浅見が一人になることを知った洋介は密室にテレポートをする計画を立てるのだった。

≪なんとかせんといかん≫

あせる鴨川・・・。しかし、親友のヤス(柄本時生)は実在するAV-DVDはオカズとして貸してくれるが、それ以外ではまったく頼りにならない。ちなみに、つるまん少女・板野有紀、着エロ極限点・新井エリーに続いて今回は潮吹失禁巨乳メイド・さとう遥希である。

あわてふためく鴨川のところに美由紀がやってくる。

「大変なんだよ」

「落ち着けって」

「そうだ・・・もうあの人に頼るしかない」

鴨川はいざとなったら頼りになる輝光を呼び出すのだった・・・信頼関係なのである。絆なのである。どこが・・・なのかは問わないでください。

合流した三人はバトミントン部の合鍵を輝光の念動力で入手しようとする。

「やる気がわかん」

「あれは・・・更衣室の鍵なんですよ・・・更衣室には下着があります」

「なにっ・・・」

「しかも・・・スケスケのヒモパンで・・・脱ぎたてのホカホカです」

「沁みはどうだ・・・沁みは・・・」

「もう、滲みまくってますよ」

「おい・・・それは言いすぎだろう」

と根が真面目な美由紀が突っ込むが合鍵は空中を浮遊してくるのだった。テレキネシスによる物品呼び寄せである。

その頃、浅見は部室で着替えサービス中である。

妄想を膨らませて洋介は部室めがけてテレポーテーションを実行。

しかし、タイミング悪く、着替え終わった浅見は退室するところだった。

{ええー}{なんてことだ}{このままじゃ}

「手ぶらじゃ帰れん・・・なにか戦利品を・・・お・・・これは転校性の脱ぎたての制服」

興奮した洋介は女装モードに突入するのだった。まさに男はみんな変態状態である。

さらに・・・洋介は浅見の携帯電話に注目する。

これまでの経験から、肛門内のものは一緒に移動できることが判明しているので・・・携帯電話の肛門への挿入にチャレンジするのだった。

かなり痛いので妄想の助けを借りるためにロシア人・セルゲイ(アダム・トレル)との男色を妄想する洋介。まさに男はみんな変態状態である。いや・・・この場合は一部愛好家限定である。

とにかく・・・肛門に浅見の携帯電話を挿入してお持ち帰りしようと洋介が奮闘努力しているところへ・・・乱入する三人だった。

「おえっ」となる美由紀だった。

「ああー、携帯が・・・携帯が・・・」

「なんじゃ、お前たち」

「とりかえしてください・・・携帯を・・・あれにはハメ撮り動画とかが入ってます」

「なにっ」

「嘘もええ加減にせえよ」

心身虚脱の携帯電話を巡る念力と括約筋のある意味、超能力合戦があり・・・テレポートで脱出する洋介。

しかし、精神感応で逃げ場を読みとる鴨川の手からは逃れられない。

ついに屋上に追い詰められた洋介だった。

「お前たち・・・なんで・・・俺を・・・」

「能力をそんなことに使ったらダメなんです・・・僕たちは地球を救うことができるんだ」

しかし、洋介は輝光の念力に着目するのだった。

「二人が手を組んだら・・・世界中の女を手中にできる」

「そうじゃないって」

とにかく・・・携帯電話は無事に取り戻すことができた。

浅見は何故か変な匂いのする携帯電話を・・・何も知らずに使用する。

「ああ・・・俺のケツの中に入っていたかと思うと・・・アヌスに囁かれているような気がする・・・」

洋介は詩人だった。

こうして・・・エスパーは四人になった。

荒廃していたエンディングも・・・エスパーたちが記念撮影をするやや楽しいものに進化した。

人類の未来はストッキングをかぶって夜道を歩く程度には明るい兆しを見せ始めたようだ。

揺れ続ける世界でエスパーたちよ、来週もまた笑わせてください。

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2013年4月26日 (金)

俺(伊藤英明)と俺(坂口憲二)のダブルス〜二人の刑事と馬鹿にできないナポリタンと私(新垣結衣)

まだ、一本化できないのか・・・。

いや、これで最後だろう。

深夜ドラマがまだ残っているけどな。

あまり、執着するとくたびれるだけだからな。

「進撃の巨人」の実写版で予想される妄想配役リストとか考えている暇なくなるしな。

そんなことを考えてどうするんだよっ。

江頭2:50はかかせないよな。エスパー伊東もな。それから、柄本佑と江本時生兄弟、じゃ明(父)も。荒川良々、澤部佑、流れでおしゃべりクソ野郎(品川祐)、それなら有吉弘行もあるよな。ダブルスの二人も資格はあるよな。ムロツヨシとかな。綾野剛もあるんじゃないか・・・。判断基準が判らんわっ。食べられるならせめて・・・あの巨人に・・・ってあるよな、きっと。・・・ないわ。

「悪の華」みたいに女子の体操着泥棒しちゃう中学生が色気ブスに弱み握られて悶々とする物語に引用されてしまうボードレールって憐れだよな。死人に口なしとはこのことだよな。

し・・・うっとりしている人もいるんだから・・・やめときな。

興味があるのは女体の神秘だけ・・・成績不良、体育も苦手だけどそこそこイケメンって・・・永遠の妄想詐偽だよな。・・・それを言ったら何もかもやってくれたなあだよ。

で、『ダブルス〜二人の刑事・第1~2回』(テレビ朝日20130406PM9~)脚本・尾崎将也、演出・塚本塚本連平を見た。まあ、昔から・・・あるっていえばある刑事コンビものだが・・・ここまでキャラがかぶっている二人というのも新鮮なのかもしれない。まあ、「海猿」と「医龍」が刑事になりました・・・ってことだよな。で、話は「冤罪復讐」「オレオレ詐欺」と実録あるある展開である。ここまで無難だと・・・警察ものでさえない気がする。TBSの月8オリジナルものを見ている感じだ。つまり限りなく水戸黄門に近い刑事ものである。その中でちょっと運の悪い女性刑事を演じる宮田亜紀刑事(夏菜)・・・ひきずってますな。借りた300万円がトラックの荷台にすっとんで・・・走るトラックを追いかけて行くとか・・・朝の悪夢の続きを見ているようだな。日下刑事(内田有紀)と何やらワケありの須藤刑事(杉本哲太)とか・・・あまりにも教科書通りなんとじゃないのか。「俺たちの勲章」(1975年)、「噂の刑事トミーとマツ」(1979年)、「あぶない刑事」(1986年)、「ダブルスコア」(2002年)・・・まあ、なんとなく間隔を置いてくるべきものがきたって感じ。もう少し、リアルな感じも欲しいけどね。中学の同級生が刑事になって再会、たまたま犯人逮捕している途中で別の事件に巻き込まれる。たまたま歩いていると容疑者に遭遇。そのまま潜入捜査をしてたちまち犯人組織を一網打尽。たまたま死体を発見。たまたま爆発五秒前。「手」を使いすぎて「足」になってしまったみたいな感じだなあ。まず・・・犯罪者の気持ちになってまったく新しい犯罪を考えるところから始めた作品を一本くらいやってくれるといいかもしれないのだ。その犯罪が現実の世界で模倣されてこそのフィクションではないか。・・・おいっ。

関連するキッドのブログ→純と愛

で、『日曜劇場 空飛ぶ広報室・第2回』(TBSテレビ20130421PM9~)原作・有川浩、脚本・野木亜紀子、演出・土井裕泰を見た。「空飛ぶ広報室~概要と魅力」にはガツガツのテレビ局ディレクター・ガッキーと子犬のような自衛官・綾野剛のほのぼの恋愛ドラマとあります。・・・どんな資料だよっ。

報道記者時代、容疑者の妻に対して徹底的な取材攻勢をかけた帝都テレビの稲葉リカ(新垣結衣)は逮捕された容疑者が不起訴となり、真犯人の登場で冤罪が明らかになった時に・・・すでに無実の男の妻を発狂させ、廃人に追い込んだ女として指弾され、訴追され、示談になったものの左遷を余儀なくされて情報番組「帝都イブニング」のディレクターとなったのである。

「私は・・・職務に忠実だっただけ・・・ただ運が悪かっただけ・・・」と必死に自己弁護するリカだったが・・・心は折れる寸前だった。実際・・・辞職に追い込まれるポジションだよな。

リカを拾ったチーフディレクターの阿久津(生瀬勝久)は言わば恩人である。

その恩を感じないリカを阿久津は生温かく見守る覚悟らしい。

報道部に返り咲きたい一心で特ダネを求めるリカは防衛省航空幕僚監部総務部広報室の「記者会見シミュレーション会場」に紛れ込み、模擬事件である「自衛隊機墜落」を実際の事件と勘違いして鋭く取材して・・・「本物みたいだった」と広報室長の鷺坂正司1等空佐(柴田恭兵)に感謝されるのである。

ギャフンなのである。ガツガツしてギャフン・・・これで1時間。ガッキー、かわいいよ、ガッキーなのだった。

そんなガッキーに子犬のように頭を撫でられた元・ブルーインパルス(航空自衛隊松島基地第4航空団第11飛行隊所属曲技飛行隊)のT-4(ドルフィン)の搭乗員でTACネーム・スカイだった空井大祐広報室所属2等空尉(綾野剛)はパイロットくずれだけにまだまだ広報室員としては未熟なのだった。

今回のスカイの特別ミッション(指令)はリカを広報室の懇親会に招待すること。

「あの・・・リカさんともう少し・・・お近づきになりたいと思いまして」

「・・・」(ドキドキ)

「週末にお食事でもご一緒願えませんか・・・」

「・・・」(ソワソワ)

「広報室の懇親会があるのでご招待したいのですが・・・」

ギャフンである。

「話の順番が違うでしょうがっ」と怒りを教育的指導に変換するリカだった。

今週の航空ファン・サービスは陸自の誇る国産戦術輸送機・C-1である。完全武装の空挺隊員45名(一個小隊)を輸送できる主力輸送機だが、導入から30年でかなり老朽化しているのと、航続距離の短さが難点となっている。これまで四機が事故によって損傷し、十九名の隊員が殉職している。

「飛行機は車と違ってバックできませんから・・・滑走路に入る前の整備点検は大切なんです」

「そうなんだ・・・」

子犬スカイの懸命のサービスを受け流すリカであった。

リカは淡々と業務をこなすのだが・・・国民的ベストセラー作家の言う文化的どぶさらい事業的な情報番組のグルメ・リポートを明らかに侮蔑していた。

街角グルメの仙人の異名をとるチーフディレクター阿久津はお高くとまったリカをギャフンと言わせるために・・・「そんな仕事をしているようでは・・・一生使いものにならねえな」と毒づくのだった。

もちろん、聞く耳はもたないリカなのだった。

そんな・・・リカを御誘いするために再度アタックするスカイ・・・。

意地悪な報道局記者・香塚ともみ(三倉茉奈)がリカの古傷を弄ぶ場面に遭遇してしまう。

スカイはリカを励まそうと言葉をかける。

「ナポリタン・・・おいしそうでしたね・・・」

素材編集中のリカのVTRを見ての感想だった。

「あんまり、おいしそうなので・・・お店に行って食べちゃいました・・・僕、子供の舌なんで甘くてうれしかった・・・」

「・・・甘かったの?」

「食べてないんですか・・・?」

「忙しかったから・・・」

何の変哲もない・・・と思っていたナポリタンの味に特徴があった。

リカは思わず・・・試食に出かけるのだった。

店主は説明する。

「先代からのレシピなんですよ。甘口に作るのは。お子様の口に合うように・・・。大人の方にはタバスコをお勧めします。大人の味になります」

「・・・美味しい・・・でも辛い」

「お口なおしのために・・・クリーミーなコールスロー・サラダをお付けしています」

「爽やかだ・・・甘い・・・美味しい・・・辛い・・・爽やかだ」

「ファミリーが楽しんでいただけるようにというのが・・・先代からの教えです」

(馬鹿だ・・・私は浅学非才で馬鹿丸出しで・・・勘違い高飛車クソムシだったんだ・・・)

「私は・・・馬鹿です・・・今の今まで自分が馬鹿だってことにも気がつかない大馬鹿野郎だったんです」

リカはスカイの前で泣くのだった。

「いや・・・野郎じゃないですよ・・・リカさんは女性じゃないですか」

スカイ・・・いろいろと間違っているけど正解なのだった。

リカは編集をやりなおし、VTRの差し替えを願い出る。

仙人は首を縦にふらないが・・・スタッフ一同、リカの土下座に萌えてしまうのだった。

ナポリタンを作ったシェフはオンエアを見て笑顔になった。

「人間が作って人間が食べるナポリタン。人間が作って人間が見るテレビ番組。私も・・・一人の人間・・・」

「そして、人間を守るのが自衛官の仕事なのです」

雷に打たれるリカだった。

感謝の眼差しをスカイにそそぐリカ。

「あの・・・考えたんですけど・・・自衛隊機に乗ってみようという企画はどうでしょうか。あの・・・タレントさんとかに・・・マッハを体験してもらったら・・・理解が広まると思うんです」

「・・・前向きですね・・・」

「・・・そうですよ・・・航空機は基本、バックできませんから」

「パイロットの夢はあきらめても・・・」

「僕の人生はまだまだこれからだと・・・思うことにしたのです」

スカイは微笑む。そしてリカも・・・。

始りましたな・・・。恋の空中戦が・・・。

まあ、ロック・オンされてるのはスカイですけれど。

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Sk001a まこちゃんガーデン・専用飛行場。まこC-1輸送機を発注したのにじいやが間違えてしゅごい戦闘機が来ちゃいました~。スカイロイドのAIは感激して操縦席でひきこもりになっちゃったのでしゅ~。先週は無免許で爆撃機の操縦をマスターしたので、今日はヘリコプターを一発、こなしてみるのだじょ~くうたちまちデレたリカちゃんでした・・・これで主人公、ヒロインともに爽やかなキャラクターに・・・。勇猛果敢で支離滅裂な男と浅学非才で馬鹿丸出しの女の愛と青春の旅立ちなのねえ。はたして・・・旅路の果てにどんな結末が待っているのか・・・楽しみになってきたよ~シャブリ獣医の血を引く水野美紀さん演じる柚木3等空佐。つまらないというよりつぶれてるというオヤジ的なツッコミが受ける~。メレブ(ムロツヨシ)は新しく覚えた呪文をケンタウロス(綾野剛)にかけてみるといいのにと思うのでありました~

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2013年4月25日 (木)

家族ゲーム~朝目が覚めたら息子は悪魔の飼い犬に~(櫻井翔)

幼子が母親に殺されて埋められる世界である。

すぐそこにある危機は本人にとっては死ぬか生きるかの瀬戸際なのである。

死んだ方がマシだと思うほどの人生もなく消えて行く命。

認知症の母親はそういうニュースを見るとつぶやく。

「こんな母親、ぶち殺してやりたいわ」

「どうやって殺すの・・・」

「本当には殺さないわよ。そんなことしたら、あなただって困るでしょう」

「そうでもないよ」

「恐ろしい子ねえ」

とにかく、それでも地球は回るのである。

すべての終焉を迎えるまでは・・・。

で、『家族ゲーム・第2回』(フジテレビ20130424PM10~)原作・本間洋平、脚本・武藤将吾、演出・佐藤祐市を見た。「東大合格率100%」のキャッチコピーに魅かれ、家庭教師・吉本荒野(櫻井翔)と契約した沼田家。大手企業に勤める沼田一茂(板尾創路)は謎の女・浅海舞香(忽那汐里) と社内恋愛中。家族にはあまり興味がない。妻の佳代子(鈴木保奈美)は前世紀の専業主婦である。ネットでの株取引を趣味として生きているのか死んでいるのかわからないような生き方をしている。最上飛鳥(北原里英)というセックスフレンドがいる長男の沼田慎一(神木隆之介)は県内トップの成邦館高校2年生で陸上競技でも好成績をおさめ優秀な人間としてもてはやされてる。しかし、自分以外の人間に対して冷淡な性格である。そんな家族に囲まれて、吉本が勉強を教えるのは登校拒否をしている問題児・沼田茂之(浦上晟周)・・・中学3年生の次男だった。

授業中に下痢をして脱糞してしまったことからいじめの対象となった茂之はこわくて学校にいけないのだった。

吉本は尾行や盗撮などによって家族のプライバシーを調査した後で、茂之に暴行を加え、「一週間、学校に休まずに行けたら家庭教師を辞める」と約束させる。吉本は茂之の父親とは「違約金1000万円」の契約を取り交わし、家族の退路を断つことに余念がない。

「先生は本当に人を殺したことがあるんですか」

「あるよ」

吉本は地獄の気配を漂わすのだった。

登校一日目、机には罵詈雑言が悪戯書きされており、椅子は瞬間接着剤で固定された無数の画鋲で針山地獄となっていた。茂之は凶悪な同級生たちが恐ろしくて教師に報告することもできないのだった。休憩時間には因縁をつけられ三万円を要求される。

茂之は「不気味な家庭教師を追い出すために一週間だけ耐える覚悟」だった。

しかし、吉本は凶悪な同級生たちに入れ知恵をして暴行行為をエスカレートさせるのだった。

茂之はそんなこととは知らずに「今日された凶悪な虐待行為についての作文」を国語の課題として家庭教師に命じられる。

茂之は慎一に借金を申し込む。恐喝行為を感じ取る慎一だったが黙って五千円を貸し与えるのだった。

朝食時に慎一は「茂之はまたいじめられている」と両親に報告する。

しかし、両親は特に何かをするわけではなかった。妻は夫に頼り、夫は妻に一任したからである。

登校二日目、茂之に対する残虐な非道な行為は「残金徴収」と称する肉体的暴行に変っていた。

傷だらけで戻った茂之を見て、母親は悲鳴をあげるが、吉本は課外授業と称して茂之を連れ出す。

二人を尾行した慎一は茂之に頭突きを伝授する吉本を見て両親に報告する。

「やられたらやりかえせか」と興奮する兄弟の父親だった。

吉本は暴力を伴う教育的指導を行う。

「領海侵犯をされても黙っていれば・・・いつかは相手が飽きると思うか」

「・・・」

「相手に恐怖を与えなければ滅亡するまで続くんだよ・・・お前でたとえるなら・・・おまえが死ぬまでやつらは楽しむんだ」

「死」をおそろしいことと感じるタイプの茂之はついに頭突きを会得するのだった。

登校三日目、狂犬たちの暴行に対し、一撃を加えた茂之は吉本の用意した逃走ルートを死に物狂いで逃げるのだった。

逃げ切った茂之を誉めた吉本は飼育が次の段階に入ったことを感じ、狂犬たちに新しい暴行現場を示唆する。

茂之への飼育計画を順調に進めながら、吉本は両親に対する調査も怠らない。

父親の浮気の気配をつきとめ、母親の空虚な近所付き合いを詰る。

「友達親子とか言うじゃないですか・・・あれって要するに育児放棄ってことですよね」

「私がそうだとおっしゃりたいの・・・」

「そんな風に聞こえましたか・・・最近、ご主人、妙に色気づいてますよね」

「何をおっしゃりたいの」

「ただ、感じたままのことを」

登校四日目、場所を変えた狂犬たちは茂之に対して電撃を食らわせるなど暴行の陰湿さを深めるのだった。もはや、リンチである。

興味本位で吉本を尾行した慎一は弟の集団暴行現場を目撃する。

「とめないのかよ」

「だまってろよ」

「死んだらどうすんだ」

「いいじゃないか・・・今までだって見て見ぬふりをしてたんだから・・・」

「・・・」

「殺されそうなやつの気持ち・・・お前にわかるのか」

「考えたこともないよ」

「そうだろうとも・・・」

暴行現場を微笑んで撮影する吉本。

「いいねえ・・・」

「狂ってやがる」

狂犬たちが去った後で、兄は弟の名前を呼んだ。

登校五日目・・・。体操をして朝食をご相伴に預かる吉本の日程が変わる。

「なんで・・・今日はこないんだ」といぶかる父親。

「もう・・・監視する必要がなくなったからだろう」と嘯く慎一。

思わしげに子供部屋を見つめる無力な母親。

しかし・・・吉本はやってきた。

「どうしたんだ・・・登校時間をとっくにすぎてるぞ」

「いかない・・・もう、負けでいいです・・・」

「そうか、じゃ、俺の犬になるんだな」

「はい・・・」

「じゃあ、学校に行け・・・」

「そんな・・・約束が違うじゃないですか」

「違わない。お前は犬だから・・・俺の言うことは何でも聞くんだ」

吉本は力づくで茂之を連れ出すのだった。

校門前で泣きじゃくり倒れ伏す茂之。

「やめて・・・死にたくない・・・先生の言う通りだよ・・・あいつら僕が死ぬまで・・・いじめを楽しむんだ・・・僕は殺される」

「そうか・・・死にたくないか」

「・・・」

「つまり、生きたいんだな」

「・・・」

「いいねえ・・・命を大切にするのは人として正しい事だよ・・・よく、理解したね。何かご褒美をあげないとなあ」

憐れな子犬を悪魔は撫でまわす。

教室に茂之とともに現れた吉本。

始業前のひと時を利用して・・・生徒たちに告知する。

「私は茂之くんの家庭教師です・・・」

そして、坂本は生徒たちの一人一人に宛名つきの封筒を渡すのだった。

「今日は、茂之くんの気持ちを代弁しにきました。大便といってもうんこはもらしませんよ」

おやじギャグに冷たい生徒たち。気を取り直す吉本。勝手に脱線するなよ。

「・・・今度苛められたら、茂之くんは自殺するそうです。皆さんの手元にあるのと同じ遺書を自宅に残します」

「・・・そんな、俺たちは無関係じゃないか」

「君たちは犯罪を黙認してたんだろう」

「犯罪ってなんだよ」

「暴行傷害は立派な犯罪ですよ・・・証拠もあります」

「これは脅迫じゃないか」

「そうですよ。しかし、私は君たちの親でもなければ教師でもありません」

「・・・」

「いいですか・・・今度、茂之くんが苦しむようなことがあれば・・・皆さんの人生が滅茶苦茶になることを覚悟してください・・・以上です・・・」

静まりかえる教室。茂之の椅子は壊れていた。茂之はそれを教師に報告することができた。

暴力教室は沈黙の教室に変わったのである。

もちろん、茂之がターゲットにならなくなった以上、次の生贄が選ばれるのだが、それは別の話なのだ。死ぬか生きるかの瀬戸際に他人の面倒を見てはいけないと津波が教えてくれただろう。てんでこに逃げるしかないのである。

地獄から生還した気分を味わう茂之。

「勘違いするなよ・・・お前は俺の犬なんだからな」

「・・・わん」

僕は知っている

僕は知っている

昔に戻ってやりなおすことはできない

昔に戻ってやりなおすことはできない

それだけは絶対確かなことなんだ

闇の中で誰かが吉本を訴追する。

父親は浮気をして、母親は浮気の証拠を噛みしめる。

とにかく、吉本よりも優位に立とうと・・・慎一はセックスフレンドの兄が東大生であることを利用して・・・吉本の学生時代の写真を入手する。

本当の吉本荒野は忍成修吾に似た男だった。

「あんた・・・一体誰なんだ」

しかし・・・吉本は少しも騒がない。

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2013年4月24日 (水)

目に映るすべてのものがすべてのメッセージとは限らないのです。(香取慎吾)

幽(かす)かな彼女でございます。

わかりやすいのは面白さの重要な要素だ。

しかし、わかりやすすぎればつまらなくなってしまう。

人間の感覚はなかなかに手強いのである。

「幽霊」というフィクションは古くからの「手」だ。

「教師」というフィクションも同様である。

アイディアの基本であるプラス思考で、「幽霊」+「教師」を実行中。

倉本聰の脚本で「あなただけ今晩は」(フジテレビ1975年)があり、これは「幽霊」+「夫」である。

1990年には映画「ゴースト/ニューヨークの幻」があって、これは「幽霊」+「妻」である。

最近では「ゴーストママ捜査線」(日本テレビ2012年)が「幽霊」+「息子」だった。

「ゴーストママ捜査線」では「息子の父」の「担任教師の幽霊」が登場し、ある意味では「幽かな彼女」の直近の先行系になっている。

こういう場合にはどれほど先行作品を研究し、理解しているかがひとつの焦点になってくる。

「教師」が現実に存在するフィクションであるのに対し、「幽霊」は架空のフィクションであると言える。

そういう意味では「幽霊」の自由度は高い。その分、「わかりにくさ」の要素になるわけである。

「わかる/わからない」の微妙なバランスを維持しつつ・・・熱血教師もの・・・というありふれた素材を「幽霊」がなかなか巧妙に再生している。

「幽かな彼女」はそういうドラマだ。・・・ま、今回は幽霊がちょっと活躍しすぎましたがーーーっ。

で、『幽かな彼女・第3回』(フジテレビ20130423PM10~)脚本・古家和尚、演出・白木啓一郎を見た。生者である世田谷区立小原南中学校の新任教師・神山暁(香取慎吾)は霊感が強くて幽霊を視認できる特殊な存在である。しかし、かっていじめ問題の対処に失敗して問題をこじらせた過去があり、生徒指導に対して消極的になっている。しかし、赴任先の下宿でアカネ(杏)という元教師の地縛霊と出会い・・・その情熱に影響されて・・・少しずつ生徒との信頼関係を築きつつあるのである。

神山先生が担任を受け持つ3年2組は生徒数30名。副担任の河合千穂(前田敦子)はミニスカートから足を出してもクールな心は出さない裏表のある性格で生徒を指導する気持ちは微塵もない仮面教師である。

第一話で不登校の相田(神宮寺勇太)をアカネのともだちである浮遊霊・吉岡さん(佐藤二朗)の協力で立ち直らせた神山先生。第二話では相田の幼馴染の岡本(未来穂香)が経済格差によって窮地に陥ったところを「抜き打ち持ち物検査」で存在しないものを没収するという機転によって救い・・・少なくとも二人の窮地を救ったのだった。

しかし、「抜き打ち持ち物検査」の実行により、クラス全体の好感度は下がり、クラスの女子グループのリーダー・京塚りさ(山本舞香)からは敵視され反抗的態度をとられることになる。

しかし、直観力に優れた生徒たちは神山先生の変化を見抜いていた。

その一人で、仏教関係の宗教者を祖父に持ち、神山先生と同様に霊能力者である森野小夜(森迫永依)は積極的なアプローチを開始する。神山先生の下宿を急襲してきたのだった。

「いや・・・それは・・・ちょっと」

昨今では女子中学生が男性教諭の家庭訪問は禁断の領域になっている。なにしろ、ふしだらな教師による性的な不祥事が後を絶たないからだ。

「まずいですよ・・・一人で来たら・・・」

「一人じゃないじゃないですか」

「え・・・」

小夜がアカネの存在が見えることを知り、うっかり領海侵犯を許す神山先生だった。

「君にも彼女が見えるのですか・・・」

「ええ、先生も霊的存在が見えることは知ってました。でも、先生は生徒に興味がないようなので放置していたんです。でも・・・最近、先生の態度が変わってきたので・・・ちょっと関わりをもってみようと思いました」

「・・・」

小夜はアカネが地縛霊として部屋から出られない事情を知ると深く同情する。

こうして、神山先生は小夜とも信頼関係を築く。なにしろ、霊能力者同志なのである。

現在の信頼獲得度は3/30・・・一割の生徒から優良教師として認知された神山先生だった。

何か含むところがある小原南中学校副校長の霧澤和泉(真矢みき)は生徒に対して教師の評価アンケートを実地し、評価の高い順に面談を実施する。神川先生の順番はなかなか回って来ず、意外なことに生徒から人気があると思われていた河合先生も評価は低かった。河合先生は生徒たちに内面を見透かされていたのだった。

3年2組の男子生徒の一人、根津(森本慎太郎)は制服の着崩し方から明らかに反抗的な生徒だが、小夜とは幼馴染である。小夜の神山先生への接近に危惧を感じるのだった。

「教師に接近しすぎるのはどうかと思うな」

「思ったより悪い先生じゃないよ」

「そういうのが一番危険なんだよ」

根津には教師に対して何かわだかまりがあるのだった。

一方で面倒見のいい男子生徒・手嶋健太郎(岩橋玄樹)は相田や、岡本の問題を解決した神山先生の手腕を好感を持って見守っていた。

そんな時、手嶋が密かに想いを寄せる柚木明日香(広瀬すず)に一つの問題が発生しようとしていた。

柚木明日香は冴えないサラリーマンの父親(相島一之)への反発から華やかな芸能界に憧れモデルを目指していた。しかし、専属モデルのオーディションではなかなか採用に至らず、あせりを覚えていたのである。

ちなみに・・・明日香を演じる広瀬すずは「35歳の高校生」で高校生を演じている広瀬アリスの実の妹で・・・広瀬姉妹は揃って雑誌「Seventeen」の専属モデルである。

再び、神山先生の家庭訪問をした小夜は・・・祖父から地縛霊の地縛を解く秘義を教わってきていた・・・どういう一家なんだよっ。

「浮遊霊が根なし草っていうか、動物的だとすれば・・・地縛霊は植物的で・・・土地に根付いているのです」

「根っこなんてないですよ」

「意識を集中してみてください・・・霊気が霊糸となって顕現するはずです・・・」

「おおっ・・・」

神山先生はアカネが霊的に畳の下の床板に根付いていることを発見するのだった。

その床板を切り出すことで・・・アカネは床板を生者が持ち歩けば携帯幽霊として外出可能になったのである。

ただし、アカネが霊的に存在するのはやはり部屋自体に由来するために・・・長期外出には限界があるのだった。部屋でないと霊的パワーが充電できないのである。もう、後は霊的充電器の開発が必要なのだな。

小夜が板きれを持ち数十年ぶりに外出したアカネはテレビでしか知ることのできなかった現世の光景に感動する。

しかし、その時、小夜は明日香を見かける。明日香は自称・芸能事務所のスカウトマン・冬木健(渡邉紘平)に声をかけられていた。

アカネは冬木に悪い残留思念が憑依していることに気が付き、不審を抱く。

「それは・・・生きている人間の怨みの念の残留物だから・・・霊能力者であっても生者には見えないのです」と解説する吉岡さん。

アカネから解放されて一人きりになった神山先生は久しぶりにオ・・・お城作りに熱中していた。

「生徒が騙されているかもしれない」と心配するアカネ。

「浮き沈みの激しい世界ですから・・・成功できなかったものの怨みがあるのは当たり前じゃないのかな」と妙に芸能界に詳しい神山先生だった。

しかし、クラスメートとして明日香を案じる岡本からも「クラスメートにもモデルとしてデビューするって公言してるし、もしものことがあったら・・・助けてあげてほしい」と頼まれた神山先生は念のために声をかけるのだった。

「君はモデルの仕事をしているんだって」

「先生には関係ありません」

「いや・・・もしものことがあったら心配だから・・・先生の宛先をメールリストに加えておいてくれないか」

「私がだまされてるって言うんですか」

「・・・」

「親と同じですね・・・私の可能性をつぶさないでください」

「・・・」

「私はつまらない大人になりたくないんです」

「先生はつまらなそうに見えるかもしれないが・・・そうでもないんだよ」

「・・・」

交渉決裂である。

スカウトマンは明日香の家庭までやってきて明日香のちょっと頭の悪い母親を説得することに成功するのだった。

いやあ、未成年のモデルのためのテスト撮影に同行しない親は・・・世間をなめきってるよね。

もちろん、怪しいプロダクションはもう少し手順を踏んで徐々に水着撮影に持って行くし、そうじゃない場合は単なる変態集団か、その筋の人か、娘に売春させちゃう両親か・・・だものね。

アカネ、岡本、手嶋の危惧通りにまんまとだまされ、マンションの一室で薄い水着着用を強要される明日香だった。

絶対絶命の明日香はトイレに逃げ込み、時間を稼ぐ。

そこへ手嶋から着信があった。

「明日香・・・がんばれ」

「・・・助けて・・・助けて・・・」

明らかに変態集団であることを露呈した男たちはトイレのドアをこじあけにかかるのだった。

手嶋からの連絡を受けた神山先生は携帯幽霊アカネとともに・・・性的情欲に支配された悪魔のマンションに駆け付ける。

もちろん、扉は閉ざされているがアカネは意外と強大な力を発揮するのだった。

板きれを郵便受けから投げ込むと、おそらく男たちに玩具にされた少女たちの怨念を増幅し、物凄いポルターガイスト現象を巻き起こす。

男たちはおそらくお茶の間以上の怪奇現象を目撃したのである。

できれば幻の火に包まれ、死の恐怖を味わうところまで演出するとさらに良かったな。

とにかく、業火に焼かれたように見えたのは幻で男たちが逃げ去った後には何の形跡も残っていないようだった。

明日香もなぜ助かったのか不明だったろうと考える。

しかし、神山先生に助けられたことは間違いないのだった。

「よかったね・・・」

「ちっともよくない・・・私なんか・・・もうおわりだ」

「そんなことない。君にはまだ長い未来がある。未来なんてみえないことだらけだよ。みえることだけがすべてだと思ったらこんなにつまらないことはないんだ・・・みえないから失敗する・・・だけど・・・それがおもしろいんじゃないのかな・・・一度失敗したくらいでおわりだなんて・・・それこそつまらないんじゃないですか」

「・・・」

家に戻った明日香に父親が声をかける。

「父さんは昔、パイロットになりたかったんだ・・・でもなれなくて・・・サラリーマンになった・・・そして母さんと結婚して、お前が生まれた。でも父さんは人生をつまらないと思ったことはないぞ・・・明日香の父さんになれて・・・それだけですごく嬉しくてすごく面白くてすごく楽しいから」

翌日、明日香は元気に登校した。

「どうだった・・・モデルのテスト」

「駄目だった・・・私、だまされちやったみたい。でも、次、がんばるから大丈夫だよ」

神山先生の面談の順番がやってきた。

「評判は凄くわるいけれど・・・新任なのに二人の生徒から信頼されている・・・面白いですね」

実はすでに支持率5/30でおよそ17%の信頼を確保している神山先生だった。

「副校長は・・・どうして・・・こんなアンケートをとったんですか」

「ただ・・・先生たちのことを知りたかったから」

副校長はまだ何やら目論んでいるようだった。

生徒たちからの評価が一番低かったのは河合先生だった・・・。

「意外でした。私、まだ未熟なんで・・・いろいろと生徒に迷惑かけているみたいで・・・これからはもっと頑張ろうと思います・・・」

狂躁的に言葉を紡ぐ河合先生に生徒たちの評価を読み上げる副校長。

「うわべだけをとりつくろっている。生徒に関心がない。生徒を見下している・・・」

「・・・」

「先生は本当は先生になりたくなかったんじゃないですか・・・」

河合先生の顔から偽りの微笑みが消える。

「そうですよ・・・私に言わせればおかしいのは・・・副校長ですよ・・・弁護士の資格があるのになんで学校なんかに来たんですか・・・」

「昔、私は中学校ですごく情熱的な先生に出会ったのよ・・・私・・・その先生に感謝している・・・」

「私にどうしろって言うんです」

「やめる前に・・・たった一人でもいいから・・・生徒に感謝されるような先生になってください・・・お願いしますよ、河合先生」

河合先生は頑な表情を崩さない。

その頃、アカネは神山先生に新たなる難題を持ち出していた。

「私・・・学校にいきたいの・・・」

「・・・」

「学校に行けば・・・忘れていた記憶を思い出すかもしれないから・・・」

戸惑う・・・神山先生だった。

これだけは言える。芸能界は実力世界である。実力が伴わなければ水着はどんどん薄くなるのが定めなのである。

しかし、薄い水着あるいは全裸から這い上がる人もいます。

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2013年4月23日 (火)

ガリレオとオカルトちゃん(吉高由里子)と水神使いの少女(川口春奈)

悪夢ちゃんで始り、はらちゃん、あまちゃんと来たちゃんをつければ概ねかわいいシリーズ。

ついにオカルト刑事・オカルトちゃん登場である。

みんな、目ざといな。

業界ではちゃん付けでお友達の鉄則があるわけだが、キッドはキッドと呼び捨てか、キッドさんだった・・・。

そんなに可愛くなかったですかーーーっ。

・・・そこかよっ。可愛がってもらいたかったのかよっ。

ちなみにガッキー(空飛ぶ広報室)、吉高(ガリレオ)と二夜連続、タカビーちゃんが続くわけだが・・・二夜連続で泣きを入れ、可愛い子ちゃんに変身である。

もう少し、高飛車を継続してほしかったですなーーーっ。

趣味の問題だろう・・・「みんエス」があるだろう・・・。

「みんなサディストだよ」みたいな言い方やめなさい。

ともかく、吉高かわいいよ、吉高で川口かわいいよ、川口の展開にひれ伏すしかないのである。

で、『ガリレオ(第2シーズン)・第2回』(フジテレビ20130422PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、演出・西坂瑞城を見た。冒頭に三角形が登場し、それがチョココロネ(イタリア語で角笛を意味するコルネ型の菓子パン)にオーバーラップする。前回に通じて三角形にこだわった演出である。今回はガリレオこと湯川学帝都大学理工学部物理学科准教授(福山雅治)と警視庁貝塚北警察署のオカルトちゃんこと岸谷美砂警部補(吉高由里子)に加えてゲスト女子高校生・真瀬加奈子(川口春奈)がトライアングルを形成していることは言うまでもない。

さらに言えば、クライム・ストーリーは被害者と加害者そしてその他の第三者で常に三角関係が生じているということも言える。

第三者には、警察のような捜査関係者も含まれれば、テレビや新聞などの報道関係者や、被害者家族や・・・加害者家族も含まれる。

今回は・・・第三者としてはもっともありふれた立場の者を隠匿しながらストーリーが展開していく。

それは「犯人しか知り得ない事実を知るもの」としてミスリードを誘うわけである。

もちろん・・・それが誰であるかはすぐに判明するのだが・・・加害者や被害者の家族と違い微妙な関係であることが捜査を混乱させるのである。

中学時代からの女友達と中学時代によく利用した門パンこと門松パン店を訪れた真瀬加奈子は中学時代の先輩から交際を申し込まれる。

「どうするの・・・」と問われた加奈子は水晶のペンダントを取り出すのだった。

「水神(みずがみ)様に聞いてみる・・・」と答える加奈子。

「水神様、水神様・・・彼と付き合ってもいいか・・・お伺いしてもいいですか・・・」

手から垂らされた水晶は揺れ出すのだった。揺れるのは肯定の標しなのだった。

「水神様、水神様・・・彼と付き合ってもいいですか・・・」

水晶は揺れない。それは否定の標しだった。

加奈子は先輩の申し込みをお断りしたのだった。

それからまもなく・・・加奈子が子供の頃に可愛がってもらった近所の老婦人が死亡する。

被害者宅から隠し財産の金の延べ棒がなくなっていたために強盗殺人事件の可能性ありと見立てる捜査陣。捜査に当たっていた岸谷警部補は犯行現場を通りかかった加奈子の態度に不審なものを感じ・・・張り込みを開始する。

夜更けに家を出た加奈子を尾行した岸谷警部補は・・・加奈子が被害者の飼い犬クリの死骸を発見したところを目撃する。

「なぜ・・・ここに犬の死骸があることを・・・知ったの」

「水神様が・・・導いてくれたのです」

捜査報告書にありのままを書いた岸谷警部補は・・・同僚の太田川稔刑事(澤部佑)から「オカルトちゃん」と揶揄される。

太田川の階級は不明だが、巡査部長以下であることが予想され、階級社会である以上、敬語を使うのは太田川の方であるが・・・太田川の言動は年下のキャリアに対する反発がこめられていると思われる。

「重大な事実の発見と水神様のお告げの因果関係を証明してくれる学者」を求めて母校である帝都大学を彷徨った岸谷は二度と逢わないと誓った湯川准教授の講義教室に迷い込んでしまう。最前列が女子大生で埋まると噂された湯川の講義は前シリーズよりパワーアップして、受講生が全員、女子大生になっている。

「君は二度と・・・僕とは逢わないと誓ったんじゃないのか」

教室内での問題発言に・・・学生たちから注目の視線を浴びる岸谷だった。

岸谷から事件の概要を聞かされたガリレオは加奈子の行動を「ダウジングの一種」であると推測する。

オカルトちゃんはオカルトちゃんのくせに「ダウジング」という言葉を知らなかった。ダウジング探偵を見習うべきだな。ジャンル違いすぎるだろう。

ダウジングは「地下に眠る特異物を特定する神秘的な技術」である。

世界各地で地下水脈や、地下鉱脈などを地上から探知する技法として発達してきたが、ベトナム戦争での米軍の地雷探知に用いられたという噂まであるのに科学的に実証されたことのない人類にとって未知の技術なのである。

「それは・・・インチキなんじゃ・・・」

口をはさんだのはガリレオの万年助手・栗林宏美(渡辺けい)だった。

ガリレオ本人はメトロノームを使った共振現象の実験に夢中だったのである。

バラバラにスタートしたメトロノームの振り子がやがてお互いに作用しあい、ひきこまれ一つのリズムを刻む神秘的な現象に遠野みさき(逢沢りな)などの湯川ゼミの学生達は歓声をあげ、実は不思議なことに感じやすいオカルトちゃんも言い知れぬ興奮を感じるのだった。

「とにかく・・・水晶のお告げで愛犬クリちゃんの死骸が見つかったことは事実なんです」

「クリちゃん・・・俺の学生時代のあだ名だ・・・」

オカルトちゃんからクリちゃんへ・・・バトンは渡されたのである。渡されるかっ。

実はオカルト現象に対しては科学者としての探究心が燃えあがるのがガリレオである。

オカルトちゃんが加奈子から借り受けた水晶のペンダントを示されるや否や、夜の現場検証に向かうのである。この時点ですでにオカルトちゃんは主導権をガリレオに奪われており、かなり濃厚な肉体的接触があったと思われる。

途中ではオカルトちゃんがガリレオの腕をとってせがむシーンもあるが・・・そこでオカルトちゃんが浮かべる表情は「ちょっとはしたなかったかな」という自制の気持ちと恥じらいなのである。

早速、周辺の電圧などを測定したガリレオはクリちゃんの亡きがらの捨てられていたゴミ箱の中に首をつっこむ熱心さで観察する。

「高圧電線の類もないし、その夜は無風、地下水道や道路標識などにも関連性は認められない」

「消去法ですね・・・で、何か判りましたか」

「ハハハハ、さっぱりわからない、ハハハハ、実に面白い、ハハハハ」

ガリレオの哄笑サービス終了である。

現場の状況から、犯人は被害者と顔なじみで、一度室内で被害者を殺害、クリちゃんを毒殺した後で、犯行現場に戻り、室内を物色の後、犬の死体を持ち去ったと推定された。

犬の歯からは人の血液が検出され・・・犬の遺棄はそれを隠すためではないかと思われる。

そのために・・・犬を発見した加奈子に嫌疑がかかるが、加奈子のDNAは一致しなかった・・・と推測される。

ここで新たなる東京都監察医務院監察医アイザック(安原マリック勇人)が登場し、前シリーズの監察医城ノ内桜子(真矢みき)が登場せずに「幽かな彼女」で彼女が化粧濃い目の副校長先生をやっていることがなんとなく確認できるのである。何を確認してんだよ。

アイザックは単純に加奈子が犯人と関係していることを推察するのだった。

もちろん・・・ガリレオは単純な可能性に気がつくのである。

彼女が第三者である可能性である。つまり犯行の目撃者である。

そして・・・被害者と顔見知りの加害者であった場合。被害者が目撃者の顔見知りである以上、加害者も目撃者の顔見知りである可能性は高まる。

目撃者が加害者を庇うのはミステリの王道なのである。

その仮説を立証するために・・・ガリレオは実験を決意する。

ガリレオから宇宙開発機構の実験施設に呼び出されたオカルト刑事と加奈子。

「これはなんですか」

「物体の振動速度を非接触で測定できる装置だ。振り子の三次元振動速度を光学的アプローチで解析するためにレンタルしている」

「・・・」

これはレーザードップラー振動速度計である。物体の振動は、常に一方向とは限らず、3次元的に複雑な動きをしているため、これを高精度で計測・解析するために光型レーザードップラー振動計を三台組み合わせ、対象物体の振動速度、振動方向を同時に三次元測定する装置なのだ。

「・・・とにかく・・・何かが測定できるんですね」

そして・・・ガリレオは加奈子に問う。

「君は犬の死骸をみつけてもいいかどうか・・・水神様に訊ねたのか」

「・・・はい」

「それならば・・・犯人の名前を訊ねてもいいかどうか・・・伺ってみたまえ・・・」

水神はイエスと反応する。

そこで・・・こっくりさんなどのオートマテイスム的占いや交霊術に使用されるウイ・ジャ・ボード(文字盤)で犯人名の特定が開始される。

しかし、加奈子はそれをすることに心理的な抵抗があるようだった。

ガリレオは加奈子を相手にしてもじんましんが発症しないことから「君は大人だ・・・そして犯罪者を特定することはけしてまちがいではないはずだ」と励ますのだった。

「か」の文字の上で水晶は揺れる。

そして・・・ついにガリレオは水晶が振動する原因を測定によってとらえるのだった。

「仮説は実証された」と観測を終えるガリレオ。

「えー・・・そんな途中じゃないですか」

「後は・・・警察の仕事だ・・・犯人は彼女が教えてくれるだろう」

加奈子は水神様のお告げによって門松パン屋の主人の名を示すのだった。

オカルトちゃんが門松を訪問すると動揺した門松は逃亡を図る。

門松の足には犬の噛み傷があり、門松のDNAはクリの歯に残った血液と一致し、門松の家からは金が発見される。そして・・・借金苦のための犯行を門松は自供するのだった。

加奈子は塾の帰り路でクリを遺棄する門松の姿を目撃したのだった。

親しい人を殺害したのが親しい人だった。

少女的な感傷と・・・慎重な性格によって・・・加奈子は目撃証言をすることに踏み切れなかったのだった。

「でも・・・ダウジングについての証明ができていません」

オカルトちゃんはガリレオに食い下がる。

「このままじゃ・・・報告書が書けません」

オカルトちゃんはおねだりの姿勢でガリレオに食い下がるのだった。

「つまり・・・彼女は自問自答していたのだ。彼女は最初から犬が死んでいたと証言しているのがその証拠だ。彼女は行動を起こすべきか否やをもう一人の自分と相談する・・・交際を求めた男性を拒絶したのは・・・彼女の潜在的な意識が彼の欠点を見抜いていたに過ぎない。そういう時、彼女は悩み抜いた後で痙攣するんだよ」

「痙攣・・・」

「筋肉運動は自覚的にコントロールできる随意運動と不随意運動に分別される。しかし、しゃっくりのように不覚筋動が起こる場合がある。ダウジングなども一種の筋肉疲労の結果の弛緩によるものだと解釈できるのだ。彼女の筋肉は正しい決断をした場合・・・不覚筋動を起こしていると推察できる。私は実験によってそれを測定したのだ。確かに彼女には不覚筋動が認められた。それは彼女にとって無意識の行動なのだ。だが・・・水神様に依存している彼女にはそれが自然で論理的な解決手段として機能することになる。決意して彼女は身震いする。そして、痙攣の振動は水晶に伝播し・・・ペンダントが揺れることになる」

「それについて・・・もう少しくわしく・・・」

「君もしっているはずだ・・・オーガズムと同じだよ・・・絶頂に達した時の秘部の急速な収縮運動・・・あれも不覚筋動なのだ」

「ああ・・・」

もちろん・・・二人がその後でそれを実験してみたことは言うまでもないだろう。

累積的な性的緊張からの突然の解放による深い歓喜をともなう心身のわななきを・・・。

加奈子は一人、水神様に問う。

「刑事たちはあれで信用したでしょうか」

水神は振動を開始した。

真実と虚偽そして神秘のおりなすトライアングル。

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ホワイトボードにピンクのマジックの数式に挑む天使→テンメイ様のガリレオの数式的アプローチ

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2013年4月22日 (月)

御九穴より御出血、まことにもっておそれいり候でごぜえやす(綾瀬はるか)

睦仁親王(明治天皇)の母は孝明天皇の典侍の中山慶子である。

睦仁親王は孝明天皇の女御の九条夙子(英照皇太后)の養子となり、皇太子の立場にあった。

以後も中山慶子は孝明天皇の側に仕えている。

慶応二年十二月(1867年1月)、孝明天皇は天然痘を発症し、重態となる。

中山慶子の父・中山忠能は娘と絶えず音信を交わし、日記「正心誠意」に孝明天皇の病状を詳しく記述している。

孝明天皇は一度、「葛湯一碗、唐きび団子三つ、お粥半碗と大根おろし」などを食するまでに回復するが、容態は急変し、「昨夜より御大便度々御通し、御容体御宜しからず、御えづき強く御召し上がり物御食されず」状態となり、ついには「御九穴より御出血」して、「25日戌刻」崩御なされたのだった。

小康状態の後の病状急変に、その死の直後から、毒殺説、刺殺説など様々な憶測がながれた。

しかし、真相は未だに定かではない。

で、『八重の桜・第16回』(NHK総合20130421PM8~)作・山本むつみ、演出・清水拓哉を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は銃後を守る妻の鏡・山本家の嫁にして山本覚馬の一粒種・みねの母・うら様の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。そこにきたかーーーっでございましたね。山本家の女としては山本八重に続いて二人目。なんとなく、「ドラゴン桜」とか「華麗なる一族」を彷彿としましたぞ~。いよいよ来週は1867年に突入し・・・もう明治の足音が聞こえてまいりました~・・・しかし、あくまでマイペースでお願いします。

Yaeden016 慶応二年(1866年)七月、十四代将軍家茂薨去。幕府は将軍不在のまま、対長州内戦を継続することになり、たちまち、窮地に追い込まれる。軍事革新に成功した長州は各方面で幕府軍を撃破し、周辺諸藩は長州側に寝返ってしまう。八月に徳川宗家を継承した一橋慶喜は戦況不利と見て老中・板倉勝静らの将軍職継承を固辞し続ける。敗戦の将となることを嫌ったのである。慶喜は軍艦奉行に再登用した米国帰りの勝海舟を特使として長州に派遣、英国帰りの井上聞多(馨)らと談判した勝は九月に和議を成立させる。しかし、長州藩は小倉藩への攻撃のみは続行する。この停戦協定違反を幕府側は傍観した。一方、財政逼迫にあえぐ会津藩では領内に一揆の気配が濃厚となり、一刻も早い京都守護職の任務完了が求められていた。将軍空位を受けて前幕府政事総裁職にあった福井藩前藩主・松平春嶽は再び薩摩藩と連携し雄藩連合による参預会議の復活を模索する。しかし、この機をとらえて慶喜は朝廷から将軍宣下を受けると十二月五日、第15代徳川将軍位を受諾する。慶喜はフランス行使・レオン・ロッシュと密約を交わし、多額の経済援助を引きだすことに成功していた。慶喜はその資金を基に幕政の刷新を目論んでいたのである。さらに関白二条家と、有栖川宮家の姻戚関係を持つ慶喜は将軍兼任関白という意表をついた公武合体の最終形態を視野に入れていたのである。しかし、将軍就任後の十二月二十五日に孝明天皇の崩御という非常事態が発生し、時代の混乱は一気に武力倒幕へと加速していくのであった。その後の成り行きを観察すると慶喜は抜群の政治力を持っていたが武力ゼロの武将であったと言える。

会津藩の江戸藩邸は火が消えたようになっている。本来は会津藩における中央(幕府)への出張所的機能を持つ江戸藩邸は京都守護職の拝命により、人材不足になっていた。そんな折、国許からは領内不穏の知らせがあり、藩主の留守を預かる留守居役たちはさらなる人材派遣を迫られたのである。江戸詰勘定役の中野平内の娘・中野竹子らまでが駆り出される始末であった。

密命を帯びた中野竹子は国許に戻り、隠し目付けの指揮をとることになっていた。

京都守護職拝命以来、重税を課せられた会津藩農民は逼迫し、追い詰められていた。

そのために各村で謀議が行われている形跡が報告され、情報収集の必要に迫られていた。本来の目付けたちは皆、京都に振り向けられており、領内は手薄になっていたのである。

中野竹子は領内のくのいちたちを結集し、任務に当たることになっていた。

その最中、城下で大火が発生したのである。

会津若松城の奥の間では留守を預かる照姫が顔を曇らせている。

「竹子・・・よく参った・・・しかし、少し間に合わなんだな」

「この度の火災はやはり放火でございますか・・・まさか・・・百姓どもがそのような大それたことを・・・」

「八重・・・申せ・・・」

「ご領内に不審なものどもが流入している気配がごぜえますだ」

「なんと・・・まさか・・・」

「上方よりの隠密と思われまする」

「そのようなことが・・・」

「長州では幕府方が大敗北を喫していると伺いやす・・・もはや、その前触れがご領内に入り込んでおるのでごんす」

「それでは・・・」

「狩らねばなりますまい」

竹子は予想以上の深刻な事態に蒼ざめた。

京都における会津藩はさらに深刻な事態に直面していた。

山本覚馬は京都に配置したすべての忍びを召集している。

「なんと・・・帝が・・・御不快である・・・と」

山本覚馬は最前列で平服していたが、思わずつぶやいていた。

目の前の黒頭巾の忍びの発した言葉があまりにも重大な事実だったからである。

「余が直々に確かめたことだ・・・」

「・・・」

「御所警護に四鬼と呼ばれるしのびがあることはそなたも聞き及んでおろう」

「は・・・」

「それらは毒も盛られてすべて果てておった・・・」

「なんと・・・」

「そんなことができるのは・・・天皇の忍びの長しかおらぬ・・・」

「まさか・・・」

「もはや・・・会津は風前の灯じゃ・・・死に物狂いでかからねばならぬ・・・」

「・・・」

「今宵・・・全力を挙げて岩倉を討つ・・・余も忍んでまいる」

「おそれおおいことでございます」

「皆の者、余に命をあずけよ」

黒頭巾の松平容保は忍びたちに告げた・・・。

師走のおし迫る岩倉村には雪がちらついていた。

結界をやぶるために暗闘が繰り返され、ほとんどの会津忍びが野辺に骸をさらしている。

くのいち朝日の嬌声だけが、道しるべであった。

岩倉屋敷の奥の間で友山は朝日を抱いていたのだった。

たどり着いたのは・・・角馬と斉藤一そして・・・黒頭巾の容保のみである。

合図が交わされ、必殺の三方陣を作った三人の忍びは血の匂いを消すために温存した忍び刀を抜き放った。

無言のまま、寝屋に殺到する。

「ひ」と朝日が苦悶の声を上げる。

朝日は友山と交合したまま、友山とともに串刺しとなっていた。

「会津卍固め・・・」と言葉を残し、朝日は絶命する。

「すまぬ・・・」と黒頭巾の容保はくのいちの屍を見下ろしてつぶやいた。

「参りましょう」と覚馬が即した。「殿が生きて戻らねばこの者の死が無駄になりまする」

「帰り道も恐ろしかろうな・・・」と容保が嘯いた時には三人の忍びは小屋を脱していた。

覚馬は温存していた拳銃を抜き放つ。闇の中に銃声がこだました。

静まり返った友山の寝所にこそりと音がする。

友山の亡骸は突然しぼみはじめる。まるで最初から中身がなかったように皮だけが乾いた音を立てて崩れて行くのである。

やがて、無惨なくのいち朝日の死体が乱暴におしのけられる。

「堀河忍法・・・空蝉」

寝具の下からはい出してきたのは友山だった。

「ほんまに・・・えげつないことしやはるわ・・・みちのくの蝦夷はんは・・・おお、かわいそうにのう・・・」

友山は血を流し縮んでいく女の秘所をまさぐった。

「あわれやの・・・まだここは温いのになあ・・・」

三人の会津忍びはついに結界を突破した。

しかし・・・勝負には最初から敗れていたのだった。

京都における会津忍びはほぼ殲滅され・・・岩倉友山は無傷だった。

そして・・・御所には岩倉が育てた新たなる四鬼が配置されていた。

彼らの任務は新しき帝をお守りすることにあった。

京の都人はまだ帝の崩御を知らされず・・・年の瀬を迎えようとしている。

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2013年4月21日 (日)

あまちゃん、第三の土曜日(宮本信子)

頑なな女と言えば映画「第三の男」(1949年)のアンナ・シュミット(アリダ・ヴァリ)である。

何に頑ななのかと言えば・・・惚れた男を愛し抜くのである。

その男がどれほど悪人であっても、その男が死んだとしても心変わりをしないのである。

それは・・・多くの男たちが死んだ時代の後で・・・生き残った男たちの心をとらえたのだった。

宮本信子はその戦争が終わる年に生まれた女である。

「第三の男」が日本で公開された1952年には七歳になっている。

そしておそろく、彼女が思春期の頃には「第三の男」は不朽の名作のポジションについていただろう。

「マルサの女」の動じない女には頑なな女の面影がある。

そして・・・「あまちゃん」の夏ばっぱもまたその系譜に属していると妄想できるのだった。

頑なな夏を娘の春子は心底、慕っているわけだが・・・あまりにも突き放されるので頑なにすね続けるのだった。

孫は祖母と母の間で苦悶するのだが・・・もちろん、由緒正しい朝ドラマのヒロインとしてそれなりに頑なな女の子であるに違いない。

チターの奏でる軽快なハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)のテーマは頑なな女にこそ似合う。

このドラマのすっとぼけたテーマも頑なな女にお似合いだと考える。

で、、『連続テレビ小説・あまちゃん・第3週』(NHK総合20130415AM8~)脚本・宮藤官九郎、演出・吉田照幸を見た。夏休み限定の海女見習いとして夏を過ごしたアキ(能年玲奈)だったが二学期の始業式が迫り、母との約束を守って東京に戻る決意を固める。しかし、母の春子(小泉今日子)の方がいろいろと心に抱えていることがあり・・・故郷を去りがたい気持ちでいっぱいになっていたのであった。すべては春子の心にくすぶる母の夏(宮本信子)恋しさに帰するのである。春子は娘のためを口実に北三陸残留を決断するのだった。

月曜日 忘れさられそうな男(尾美としのり)

去ったと思った孫娘の帰還に手放しで喜ぶ夏。しかし、母であり娘である春子はその麗しい情景にたちまち不機嫌になるのであった。春子はそのふてぶてしい態度の裏に痛々しい心ほ隠しているのである。いわゆる構ってくれなきゃすねちゃうタイプなのである。しかも恐ろしい事には構われすぎるとうざったくなるという始末に負えないキャラクターらしい。娘と母の間に割って入り・・・24年越しのわだかまりをぶちまける春子だった。

「仮にも娘がよ・・・家出しようっていうんだから・・・ウソでもいいから止めなさいよ。それが母親ってもんじやないの。私・・・来てくれるの待ってたんだから。それなのに引きとめにもこないから仕方なく東京へ行くことになっちゃったじゃないの」

「止めたらいかなかったのか」

「そりゃ、行くわよ、でも止められて行くのと、止められもせずに行くのとじゃ、気分の持ちようがちがうじゃないの」

「去るものは追わずだ」

「ウソでもいいから来なさいよ・・・なんで来てくれなかったの」

「ワカメを取らねばなんねかった」

「ワカメとムスメとどっちが大切なのよ」

「そりゃ・・・ワカメだ・・・ワカメは増えるけど娘は増えねえから」

「・・・」

こうしてアキは北三陸高校に転入し、足立ユイ(橋本愛)のクラスメートになるのだった。

アキは本名・黒川秋なのだが・・・通称・天野アキらしい。

ついに「ただいま」と言った春子。こじれた気持ちは残しつつ、すっかりスナック梨明日のママとして定着しているのだった。

夏・春子・アキの家族は充実した日々を過ごすのである。

ただ一人、納得がいかないのは・・・春子の夫で、アキの父親である黒川正宗(尾美としのり)である。

「手紙読んだけど・・・」

「だから・・・私は母とのことで手いっぱいなのよ」

「いや・・・それはわかったんだけど・・・」

「だけど・・・なに」

「手紙に俺のこと・・・名前さえ書いてないんだよ・・・なんで離婚したいのか・・・さっぱりわからない」

「ガリレオかっ・・・」

「俺はどうすりゃ・・・いいんだ」

「まず・・・家族第一って考えを捨てなさいよっ」

とりあえず・・・春子の心は母・夏のことで手一杯なのであった。

その間隙に乗じて大吉(杉本哲太)はアキに自転車を買い与えたりして・・・すっかり北三陸の父気どりなのである。

春子もまんざらでもない風だったりして・・・痛い子なのに魔性の女という独自の路線を展開していくのである。

再び、海女見習いに戻ったアキ。しかし・・・海に眠るウニにはなかなか手が届かない。

深度が問題というよりは・・・ひょっとしたら・・・生きた獲物を取れない症候群なのでは~。

火曜日 ヒロシです。ヒロシです。ヒロシです。(小池徹平)

アキは見えない壁に阻まれているように・・・ウニに届かない日々を過ごす。

「ウニだと思うから獲れねえんだ・・・ゼニだと思え」

夏のアドバイスも虚しく・・・修行を始めてからまだ一個もウニを獲れないアキなのだった。

アキが帰らなかったと春子から聞いたヒロシ(小池徹平)は海女の浜辺へやってくる。

どうやら・・・アキが気になるヒロシなのであった。

しかし・・・「あっ・・・ユイちゃんのお兄ちゃんの・・・足立・・・」と名前さえ思い出せないアキ。

「ヒロシです」

行く先々で名前を思い出してもらえないヒロシは海女の弥生(渡辺えり)に「えーと足立なんだっけ」と言われ「ヒロシってそんなに難しい名前ですか」とついに小さくキレるのだった。

アキは今日もチャレンジするが・・・相変わらず収穫量はゼロのままだった。

「ウニが少ないんですが・・・」

「うじゃうじやいるよ」

「どうしてとれないんですか」

「さあて・・・なしてだべ」

はたして・・・単にとろいのか・・・それとも別の理由があるのかはまだ謎である。

今回は海底から500円硬貨を拾ってくる始末である。

やはり・・・心理的なものなんじゃないかっ。

それはさておき、祖母・娘・孫の三人暮らしはそれなりに変化に富んでくる。

朝ごはん。夏はごはんに干物。春子はトースト。アキはトーストに干物である。

昼はアキは登校。夏はウニ丼を車内販売。春子は喫茶・リアス。しかし、洗いものはしない。

夜は曜日によって・・・スナック梨明日のローテーションがあり、夏とアキや、春子とアキの夕食となる。アキ一人の夕食になる時は・・・スナック菓子ですますらしい。

日曜日は三人がそろうわけだが・・・おそらく春子が作ったらしいパエリアのようなものが食卓を飾る。

夏は春子の意外な面を見た気がするが・・・孫娘はさらに意外なことを言うのであった。

「パパは何でも作れるんだ・・・」

「パパ・・・?」

「料理が趣味なのよ・・・」と春子はなぜか鬱屈した表情を浮かべる。まさか・・・自分より料理が上手いのが気に入らないんじゃないだろうな。しかし、春子の場合はありえるのである。なにしろこじられやすい気質なのだ。

そんな穏やかな日々が続いていたのだったが・・・ある日。

夏から「潮の変わり目だから・・・潜るのは午後四時まで」と釘をさされたにも関わらず、夢中になって潜り続けたアキは・・・流された上に海藻に足を取られて身動きできなくなってしまう。

ついに来た。アホの子危機一髪である。

夏が発見して、美寿々(美保純)が救助したものの・・・アキは溺死寸前だった。

「アキ・・・どうして言い付けが守らねえ」

「・・・」

「なんて甘ちゃんだっ・・・海女失格だ・・・」

「・・・」

「もう潜ることは許さねえ」

夏の怒りに絶句するアキ。

そこへ春子が乱入である。

「ちょっと・・・その言い方はないんじゃないの。危ない目にあって学ぶことがあるってあなたこの前おっしゃってましたよね。アキはね。覚悟を決めて海女になるって決めたんです。それを一回くらいミスしただけで、やめろってどういうことですか。あなたのそういうものいいがこの年頃の娘をどんだけ傷つけるか、全くわかってないんだから、もう」

・・・最後は自分の話なのである。

ともかく・・・アキの海女生活に暗雲がたちこめるのだった。

水曜日 北三陸を何とかすっぺサミット議長(杉本哲太)

ドラマの中は日曜日である。

またまた夏とこじれた春子は不貞寝。

アキは謹慎処分でウニ丼売りの少女となるのだった。このまま死んでしまいそうな鬱な少女と化したのである。

そして、夏は怪しい「K3NSP」会議に出席・・・要するに北三陸の町おこしを話し合う会議なのだ。

主導するのは駅長の大吉である。

データ的に人口も観光客も減少し・・・観光収入が危機に瀕しているのだった。

そこで「北の海女」「北三陸鉄道」に続く第三の名物を考えるのが議題となる。

「まめぶ」「琥珀」のおなじみの展開があって・・・なんとなく険悪な観光協会の会長・菅原保(吹越満)・・・春子の同級生だったからか・・・「みんな!エスパーだよ!」的なことでもあったのか・・・のジオラマ言及に対して「お前もろう人形にしてやろうか」でお茶の間の笑いを取りに来る大吉だった。

対抗して「なんも言えねえ」を発射する副駅長(荒川良々)である。

この回、ほぼ全面的に悲しい会議室コントになってます。

その頃、喫茶・リアスにはアキを求めてさすらうヒロシがやってくる。

春子も起き出して店に出たらしい。

そこへ・・・襲来する鉄道を愛好する若者たちの軍団。

≪オムライス≫≪ポテトサラダ≫≪ナポリタン≫≪クリームソーダ≫≪ミルクシェイキ≫≪ミックスサンド≫≪カレーライス≫≪うんちく≫≪あーだこーだ≫≪ですよね≫≪おタクさあ≫≪うみねこ号≫≪キハ100系≫≪こたつ列車≫≪どーたらこーたら≫≪さんりくしおさい≫≪36-1100形≫≪さんりくがた≫≪キハ58系気動車ジョイフルトレイン≫≪山田線≫≪宝くじ号≫≪おっ≫≪定刻≫≪定刻≫≪定刻≫≪んんん≫

リアスは突然、戦場となったのだった。

会議では・・・ターゲットとして電車バカや写真小僧を取り込む発案がなされたが・・・不毛のまま、場所替えとなったのだった。

鉄オタや撮り鉄の嵐の去ったリアスでは春子とヒロシが撤収作業をしていた。

そこへ・・・アキがウニ弁完売で帰陣する。思わず胸が高鳴るヒロシ。

しかし、なだれ込むサミット・メンバー。

「若いものの意見も聞いてみよう」と大吉が問えば「ありきたりですがミスコンとか・・・」というヒロシの発言が即決採用されてしまう。

さらにネーミングとなるや・・・リアス!→出たり引っ込んだりしてるから!→ミス不思議の国のリアス!→いいね!→ミス不思議の海女のリアス!→電車の要素も入れていこう!→ミス赤字!→なんでやねん!→ミス脱線!→おいおい!→ミスダイヤの乱れ!→こらこら!→・・・ミス北鉄→ミス人身事故!→どついたろか!→ミスつり革!→アキちゃん~なんのこっちゃ!→ミス痴漢!→ちょっとちょっと→運転ミス!→春ちゃんまで~・・・ちょっと待て・・・足立く~ん・・・今なんて・・・?

・・・という訳で、ヒロシ発案大吉採用の「ミス北鉄コンテスト」が開催される事になった。

こうして、北三陸の長い日曜日は終ったのである。

木曜日 私はね、ストーブの父さんなんですよ(平泉成)

Am003 「ミス北鉄コンテスト」の開催が決定し、一部関係者の中で話題となるのだった。それでいいのか、街おこしである。大吉は春子を推奨するのだが・・・ミセスである。

一方で海女禁止令により失意の日々を過ごすアキ。

そんなアキにユイからのお呼ばれのお誘いがある。

北三陸駅から北鉄で一時間の畑野駅。袖が浜よりものどかな村に足立家はあるのだが・・・大邸宅である。田舎にはよくあることだな。

ユイの母は元・岩手めんこい風テレビの局アナ出身のよしえ(八木亜希子)である。クリスマスネタがあれば明石家サンタ展開があるのか。ちなみに八木アナとキョンキョンとは学年一緒だ。

よしえはフランス料理でアキをもてなすのだった。教師時代に春子の恩師だったユイの父・功(平泉成)は「君のお母さんはツッパリだった」と爆弾発言をするのだが・・・。

「ツッパリ・・・?」とアホの子には通じず不発に終わるのだった。

そこへ・・・明らかにアキ目当てで帰宅するヒロシ。

たちまち・・・険悪な空気が立ち込める。

「あいつはストーブの前から動かないんだ・・・まったくいい年をしてだらしない」

いきなり説教を始めるヒロシの父だった。

なんとかしようと口を挟むアキ。

「でも監視小屋で・・・私の命の恩人なんです」

「なんだ・・・監視小屋ってのは」

「もう、やめた」

(じぇじぇじぇ)

「まったく・・・お前ってやつは・・・」

「うっせえ、じじい」

炸裂する父の鉄拳制裁である。鉄拳アニメはどうしたのか。

自分の一言が招いた展開に・・・あわてふためくアキ。

そこへ・・・ゴージャスなアントレのサーロインステーキが登場・・・。

とても食べられたものではなかったが・・・あまりの美味に・・・完食してしまうアキだった。

アキ、かわいいよアキなのだった。

金曜日 北国のなんてったってアイドル(橋本愛)

いつの間にか雪解けしていた春子と夏だった。

唖然とするアキなのである。

一方、大吉によって才能を発掘されたヒロシは観光協会でとりあえず働くことになった。ウェブ担当なのだが・・・ちゃっちゃっと北三陸のホームページを作成する才能を発揮するのだった。

フィクションですがコチラ→北三陸市観光協会ホームページ

ミス北鉄にエントリーした栗原しおり(安藤玉恵)はクリック投票をしまくって厳重注意されるのだった。

ユイは兄の発案したイベントということもあり、兄の就職の件もあって関係者の懇願でエントリーすることになる。

「本当はしたくないんだ・・・黒歴史になるし」

「く、黒歴史・・・」

「こんなダサイミスコン・・・」

「どうして・・・」

「あのね・・・私には夢があるの・・・」

「・・・」

「どうしようかな・・・絶対に秘密だよ」

友達と秘密の共有・・・アキにとっては憧れの世界だった。

「私・・・東京でアイドルになるの・・・」

(じぇじぇじぇ)

アキにとっては大それた夢すぎてなんのことだかわからないのだった。そんな馬鹿な・・・という他はないのである。

しかし、ユイはホームから北鉄のトンネルに向かって夢を叫ぶ。

「アイドルになりたああああああああああい」

そのはじけた感じにアキはまたもやユイに惚れ直す。

ユイは「かっけー」のだ。それに比べて自分は・・・。

海に潜りたいのに潜れない。悶々としたアキは昔のアキに戻りつつあった。

不眠症の襲来である。アキもまたデリケートな女の子だったのである。

そして・・・その夜、天野家の二階を探検したアキは見てはいけないものを見てしまうのだった。

変な髪形の呪いのチェック柄の男の子たち・・・変な髪形の呪いの女の子・・・変な肩パットの呪いの男の子・・・そして呪いの猫の免許証・・・呪いのそいやそいや・・・呪いのダブルカセットデッキ・・・それは呪われた母の青春時代の巨大タイムカプセルなのである。

母の秘密の部屋の光と影。

アキは念仏を唱えて記憶を封印するしかなかった・・・。

鬱屈したアキを・・・ユイの壮大な夢が・・・春子のちょっと残念な青春の輝きが猛烈に揺さぶるのだった。

土曜日 私は勇気の出るサインをもらった(能年玲奈)

北三陸秋祭り開催である。

華やかで巨大な山車が町を彩る。

アキは焼きそば係である。

そして・・・「ミス北鉄」の発表。どうやら出来レースだったらしい・・・。

栄冠に輝いたのはもちろん・・・ユイだった。

水着審査を固唾をのんで待ち望んだ一部愛好家をうっちゃる服装自由というルール。

「すごいね・・・あんたの友達・・・グランプリだよ・・・」

「うん・・・」

「あんたも・・・ガッツださなきゃだよ」

「・・・」

「やりたいことはやるっきゃないんだよ」

「・・・それがツッパリ・・・」

「じぇ」

山車に乗ったユイはアキに手を振る。

アキもうれしくて手を振り返す。

アキのハートに火がついたのだった。

「ユイちゃん・・・サインしてけろ」

「サイン?」

すらすらとサインを書くユイだった。

「サイン・・・あったの・・・」

「うん・・・でも・・・頼まれて書いたのははじめて・・・」

デビュー前から・・・いやデビューが決まる前から・・・いやいやデビューの話すらなくてもサインを考えておくのは基本ですな。

秋祭りが終わり・・・海女のシーズンオフは目前である。

アキはユイにもらったサインをお守りに夏に対峙する。

「おら潜りてえ」

「駄目だ」

「もう、ぜってえ、溺れねえからあ」

「・・・お前は海女である前におらの大事な孫だ・・・死なれたら困る・・・」

婆デレだった。

そこで披露される長内家の悲劇。

かつ枝(木野花)と六郎(でんでん)の息子・克也(小林優斗)は16年前に海で溺れて亡くなっていたのだった。

「そういえば・・・顔を見ないと思った」とうっかり口にする春子だった。

娘の失言をカバーする夏だった。

「アキ・・・残された人間の辛さを考えろ」

「・・・」

「海を甘く見るな」

「ごめんなさい」

「先輩たちの言うことさ聞くか」

「はい・・・」

「よし・・・じゃこうすっぺ。海女のシーズンも今月いっぱいだ。今月中にウニが一個でも採れたら・・・おめえを海女として認めてやる」

アキははたして・・・見えない壁を突破できるのか・・・。

しかし・・・その頃・・・北三陸の町には異変が起きていたのだった。

呪われた集団が続々と駅のホームに降り立ったのである。(つづく)

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2013年4月20日 (土)

墜落するTAKE FIVE〜俺たちは愛を盗めるか〜(唐沢寿明)お天気お姉さんと悪女(黒川芽以)寝室(夏帆)と浴室(真野恵里菜)であはん。

・・・また三本立てかよっ。

いや、「でたらめヒーロー」に美人局の女で上野なつひ登場だし、窃盗犯がらみで「確証~警視庁捜査3課」も対比記事の可能性があり、五本立てになるところでした。

誰に言いわけしてんだよっ。

まあ、とにかく、「TAKE FIVE」が明らかに失敗作なので・・・(金)は一本化が可能ですし・・・今回は「お天気お姉さん」のゲストがあれだったので・・・一応言及しますが・・・来週からは「AED」に一本化されます。

すると・・・今季は・・・。

(日)八重の桜(NHK総合)

(月)ガリレオ(フジテレビ)

(火)幽かな彼女(フジテレビ)

(水)家族ゲーム(フジテレビ)

(木)空飛ぶ広報室(TBSテレビ)

(金)みんな!エスパーだよ!(テレビ東京)

(土)あまちゃん(NHK総合)

・・・というラインナップに・・・日テレもテレ朝も抜きか・・・。

っていうか・・・またまた谷間なしかよ~っ。

で、『TAKE FIVE〜俺たちは愛を盗めるか〜・第1回』(TBSテレビ20130419PM10~)原案・櫻井武晴、脚本・藤井清美(他)、演出・岡本伸吾を見た。「確証」では「殺人犯は素人だが、窃盗犯は玄人だ」というゴルゴ13を完全否定する名言が生まれるわけだが、こちらでは、「殺人犯は悪だが窃盗犯は殺人犯ほど悪くない」という全く意味不明なことを主人公が口にすることがすでに窮屈なのである。怪盗ものというエンターティメントで窮屈な感じがしたらもはや終りなのだな。

「トカゲ」で潜入した刑事が一人死に、一人生き残ったことで同僚たちにうとまれるというありそうな展開をリアルに描けなかったことでドラマ全体がトーンダウンしたように・・・犯罪に偽善を持ち込んだらアウトなのである。

「なぜ、盗むの?」「そこにお宝があるからさ」が基本中の基本だからな。

さらに、人間関係を複雑にするために・・・偶然の連続を実行である。

泥棒だけどいい人は・・・あれこれ理屈をつけて描くものではないのである。

犯罪者によって愛する者を奪われた刑事(松雪泰子)ははまり役だけにもったいない感じだし、犯罪者をやらせたら絶妙の男(唐沢寿明)もオシャレ泥棒みたいな感じで中途半端なのだ。

昔の泥棒仲間の息子が女(吉田羊)のために詐欺的投資信託を行った銀行頭取のために破滅。孫に乞われて引退していた泥棒家業を再開する主人公と・・・彼に復讐を誓う刑事の追いかけっこはルパン三世と銭形警部のような爽やかで仄かな愛には届かないと断言しておく。

まあ、その他の豪華なキャスティングもまとめて溝に捨てた感じである。

もちろん、気楽に楽しむ分にはそこそこ面白いとも言える。もう好みの問題ですからねえ。

キッドはとにかく「五分ですませ」とか「NG出し過ぎ」とか「五拍子って一拍あまりなのか」などと考えていたタイトルがお蔵入りで残念な気持ちです。

娑婆荼毘駑馬銅鑼欲しかった~盗っちゃった~犯っちゃった~

関連するキッドのブログ→不毛地帯

Mother

で、『お天気お姉さん・第2回』(テレビ朝日20130419PM1115~)脚本・大石静、演出・片山修を見た。ゲスト犯罪者に夫を愛人と共謀して殺害する小竹菜々役で黒川芽以登場である。もうそういう定位置なのかよっ。まあ、「サキ」で無難な脇役やってるより、楽しいけどな。「25歳の高校生」とかやってもらいたいよな。まあ、タレント行政的に無理なんだけどな。お天気姉さん安倍晴子(武井咲)は天涯孤独で最終学歴が焼津三中であることなどが判明し、少しずつ過去がほどかれていく。アプローチ役は橋本茜(佐々木希)で実はいい女子アナなのではないかと匂わせ始めている。まあ、犯人が逮捕後も共犯者と罪のなすりつけあい合戦を展開するので脚本の底意地の悪さは油断できないわけである。

「恩人に対する礼節を忘れるな」三平(佐々木蔵之介)

「すみません・・・ゆとり世代なもので・・・」豪太(大倉忠義)

「時代のせいにするなよ」といった展開も無理がなくていいのだな。

とにかく、セリフが書けることで一安心するほど・・・他が水準に達していない作品が多いんだよな。

今回は・・・一酸化炭素中毒で自殺したように見えた被害者が、妻と「ブロッケン現象」(大気光学現象の一種で影の周囲の霧などに光が散乱して、虹に似た光の輪が発現する)と記念撮影していたことが・・・晴子の気を引くのである。

件の山にブロッケン現象観測に向かった晴子たち一行は山中で二酸化炭素中毒なかかる。

産業廃棄物から発生した腐食性二酸化炭素が原因である。

「1986年、カメルーンのニオス湖で発生した火山性の湖水爆発により、二酸化炭素雲が発生し、住民に多数の死者が出ています・・・」

晴子は何故か、蝋燭が灯る気象図書館で調べた例を淡々と語るのだった。

被害者は最初に二酸化炭素中毒で意識朦朧となり、一酸化中毒で止めをさされたのである。

「君は神か・・・」と賛美するらくだにヒロインは「気象予報士です」と釘をさす。

ひこうき雲のメロディーがヒロインを賞賛するのである・・・幻聴だろうっ。

まあ、とにかく・・・普通に面白い。面白いのだが・・・レビューはここまでにしておきたい。

関連するキッドのブログ→第1話のレビュー

で、『みんな!エスパーだよ!・第2回』(テレビ東京201304130019~)原作・若杉公徳、脚本・田中眞一、演出・入江悠を見た。監督が変わって教授(安田顕)は助手の秋山多香子(神楽坂恵)の乳にアプローチしなくなりました。監督(夫)の特権的演出許可だったのかよっ。・・・とそんなことも楽しいこの作品である。最初にお断りしておくがこのブログはキッドの妄想で構成されているのでご注意ください・・・今更、何言ってんだ。

謎の超能力発生フィールド現象が発生する愛知県東三河。

教授は「すでに地球は人類の手にあまる崩壊の危機にある・・・超能力者を結集するしか、未来は開かれない」と断言するのだが・・・エスパーたちはそういう高尚な気持ちとはほぼ無縁に生きているのだった。

今夜もテレキネシスト(念動力者)のカフェレストラン「シーホース」のマスター・永野輝光(マキタスポーツ)は女子高校生・平野美由紀(夏帆)をイメージしながら自慰行為に励むのだった。

念力波動は空間を超越して、寝室の美由紀を襲うのである。

「あ・・・」睡眠中の美由紀は性的な刺激で感応し、夢の中で身悶えるのだった。

(ああ・・・感じる・・・そこは感じる・・・ああ・・・そこも感じる・・・なんなの・・・これはなんなの・・・感じたことのない・・・快感・・・波のように押し寄せて・・・体の奥が熱くて・・・疼いて・・・気持ちいい・・・気持ちいいの・・・あそこが・・・濡れていく・・・あふれていくの・・・ああ・・・天にむかって飛んでいくような・・・海の底に潜って行くような・・・ほとばしる・・・わたしのからだ・・・)

輝光の射精により、呪縛から解放された美由紀は覚醒する。

美由紀の陰部はしたたかに愛の蜜をあふれさせているのだった。

「ラ、ラブ・ジュース・・・」

不良だが・・・実は純情可憐な美由紀は一人戸惑うのだった。

テレパシストとして目覚めた鴨川嘉郎(染谷将太)は唯一、その力で善行を施し、正義のヒーローになりたいと願うのだが、悲しいかな嘉郎には何が善で、何が悪かの判別はつかないのである。

ただ・・・超能力をエロい目的にしか使わない輝光のようにはなりたくないと思うのである。

しかし、春風の悪戯でマドンナの浅見紗英(真野恵里菜)のパンチラを見ては巨大な陰茎を屹立させ、ズボンを突き破り、机をおしのける若さゆえの欲望は隠せないのだった。

そして・・・悪い事とは知りながらついマドンナの心を読み、「また勃起してるのか」「また私でオナニーか」と思われていることを知り、恥いるのだった。

朝食を食べていても父(イジリー岡田)と母(筒井真理子)の強烈なセックスの回想が初心な心を揺さぶる日々なのであった。

そんなある日、美由紀にも精神感応力が発現していることを知った嘉郎は幼馴染の彼女と初体験をする可能性にうっとりするのだった。

なにしろ・・・お互いがしたければこれ以上ない以心伝心なのである。

しかし、美由紀の心はボーイフレンドの嘉山(中尾明慶)にあった。一度、彼の「とにかくやりたいだけ」の生な性衝動を読心して心に火傷を負った美由紀だが・・・実はあれは幻想で本当の嘉山は「優しい男」だと思いこもうと努力していたのである。

待ち行けばすれ違う男全員の欲望が注ぎ込まれる美少女である美由紀し心を閉ざすしかない。

≪お≫≪いい女≫≪ビッチ≫≪やれる≫≪巨乳≫≪もみたい≫≪もませてくれないか≫≪ぶちまける≫≪もう何度も何度も≫≪しゃぶらせて≫≪しゃぶって≫≪射精≫≪あびせたい≫≪犯す≫

「やめてーーーーっ」と耳と心を覆う美由紀だった。

そんな美由紀に対して再度、性交渉を挑むことを決意する嘉山。今度は自分の趣味であるSM道具を駆使して・・・主導権を握ろうと試みる。

コスプレ装備のラブホテルに連れ込んでナース姿で緊縛した美由紀を苛めつつ犯して犯して犯しまくろうと計画するのである。

その心を読んだ嘉郎は幼馴染の危機に心がざわつくのだった。しかし、一人では心細く・・・仕方なく輝光に応援を求める。

「あ・・・お腹が痛い」

姑息な手段でラブホに美由紀を連れ込もうとする嘉山。

素人童貞の輝光は「そんな見え透いた手口でひっかかる女がおるもんか」と断定するのだが、不良だが純情可憐な美由紀はまんまとひっかかってしまうのだった。

私もそうやって結ばれた実在のカップルを知っています。・・・お前、誰だよっ。

仕方なく、美由紀と嘉山がしけこんだ部屋の隣の部屋に男二人でチェック・インした嘉郎と輝光。

「さすってくれ・・・さすってくれ・・・」とベッドで要求する嘉山。

「ここ・・・ここが痛いの・・・」と心配して応ずる美由紀。

嘉山のそこそこ巨根な急所まではわずかの距離である。

「もそっと下ずら・・・」と性的銭ゲバと化す嘉山。

(だめだ・・・このままでは・・・幼馴染の貞操が・・・毒牙に・・・)と追い詰められた嘉郎は受動的精神感応者から、能動的精神感応者へと能力を拡大させるのだった。

≪美由紀ちゃん・・・美由紀ちゃん≫

≪嘉郎・・・?≫

≪駄目だよ・・・君は騙されてる・・・嘉山の心を読んでみればわかる≫

≪いや・・・私は普通の女の子になりたいんだに・・・嘉山の愛を信じるって決めたんだがや≫

≪美由紀ちゃん≫

切羽詰った嘉郎は輝光にテレキネシスによる金縛りを要求する。

身動きのできなくなった美由紀に・・・嘉山はついにやりまくるチャンスが来たと確信する。

そしてSM道具を取り出すのだった。

「なにそれ・・・」

「これで・・・たっぷりかわいがってやる・・・すぐに気持ちよくなるだがね」

「えーっ」

なだれ込む嘉山の心。

≪縛って≫≪乳を縛って≫≪股間に縄をくいこませ≫≪蝋燭≫≪鞭打ち≫≪プレー≫≪スカトロも≫≪飲む尿≫≪それそれ≫≪放つ尿≫≪それそれそれ≫

「へ、変態・・・」

美由紀の心は絶望の崖っぷちに立たされたのだった。

そこへ、嘉郎と輝明が乱入し、美由紀の救出に成功するのだった。

乙女心を踏みにじられた美由紀は嘉山を半殺しプレーで昇天させるのだった。

≪あ、美由紀痛い≫≪美由紀のパンツ≫≪あ、痛い≫≪パンツ≫≪美由紀≫≪パンツ≪痛い≪美由紀≫≫≫

ラブホを出ると三人は犬の散歩中のマドンナに遭遇。

≪ま・・・ハードなのね≫

「誤解だーーーーっ」

まあ、理想と現実の境界は誤解の墓場ですからな。

ともかく・・・シーホースに落ち着いた三人。

「一体、どうなってんの・・・」

「僕たちはエスパーになったんだよ」

「・・・」

見つめ合う二人。

その頃、輝光は嘉山のSM道具一式を略奪してご満悦だった。

その夜、マドンナをイメージしてSMプレーを堪能する輝光。

バスルームのマドンナは衝撃に襲われるのだった。

「あ・・・なにこれ・・・あ・・・痛い・・・痛いけれど・・・痺れるような快感が・・・あ・・・そこはだめ・・・あ、そんなところに指をいれたらだめ~・・・ああ、胸にロープがくいこむような気がする~・・・なんなのこれは・・・あ、あ、あああーーーっ・・・とぶっ」

少なくとも入浴シーンにおいては「家族八景」を凌駕したらしい。

マドンナが未知の快感に弄ばれている時・・・美由紀の心には虚無が押し寄せていた。

そして町では・・・新たなエスパーがまた一人・・・衣服を残して消失するのだった。

とにかく、夏帆、どこまでいくんだ夏帆・・・で恵里菜あんたもかーーーなのだね。

二人の女優魂に万歳三唱するしかありません。

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2013年4月19日 (金)

押忍!!ふんどし部!の漢(古田新太)35歳の高校生(米倉涼子)空飛ぶ広報室の子犬(綾野剛)と私(新垣結衣)

・・・そこからかよっ。

深夜アニメとかも始って、深夜ドラマも最果てまで入れると結構な数なんだよな。

魔王様がコンビニでアルバイトなんていう恐ろしさを知らないものもございますな。

タニショーが前期、コンビニで働いてたからな。

内容はともかく世紀末に何も起きなかった「北斗の拳」のパロディー・アニメは主題歌でちょっと笑ったぞ。

ケンシローとかラオーとかトキがコンビニでバイトしてるんだよな。

で、「お弁当・・・アタアタアタアタアタアタタタタタ・・・あたためますか?」

・・・もう、いいか。

とにかく、「トカゲ」が案の定ガッカリな出来だったので漸く、ガッキーの定位置が決まりました。

残る空き曜日は(金)のみである。春ドラマも意外と濃いのだった。

で、『押忍!!ふんどし部!・第1回』(TOKYO MX(他)201304160130~)原作・細川徹、脚本・山名宏和、演出・根本和政を見た。細川徹脚本・河原雅彦演出による同名舞台作品のドラマ化である。河原雅彦といえば「アキハバラ@DEEP」(2006年)の脚本だがそういうふざけた感じはかなり煮詰まっている。しかし、まあ、舞台で面白いのとテレビで面白いのは違うのである。けれど・・・この時間、このチャンネルなら・・・許容範囲は広がるのであり、そういう意味ではチープさも少し愛おしい。

途中で・・・「モテキ」に登場したあのタイムマシーンが登場する。そこには「モテ」とか、「持ち出し禁止」とか書いてあるのである。そして、「モテキ」で成功した・・・突然、主人公が踊り出す演出・・・なども正々堂々とパクリ、さらには歌いだしたりするのである。

物語は聖エルモス学園の学園祭で伝説となっている「白ふん流し」の復活を目指すイケメン高校生たちの青春譚なのだが・・・本筋はさておき、ふんどし部を熱血指導するふんどし部のOBである車先輩を演ずるのが古田新太である。いきなり、白いふんどし一丁で登場し、途中ではそのふんどしも脱いでしまい、全裸で熱く「白ふん流し」を語るのである。これぞ、古田新太なのだ。ちなみに「白ふん流し」を断固として嫌悪する理事長を堀内敬子が演じています。

関連するキッドのブログ→モテキ

で、『35歳の高校生・第1回』(日本テレビ20130413PM9~)脚本・山浦雅大、演出・佐久間紀佳を見た。「あまちゃん」がなければレビュー対象になったが・・・学園物ラッシュの春ドラマの中で・・・埋没である。基本的に「古田新太がふんどし」になるのと「米倉涼子がセーラー服」を着るのは同じような気がします・・・違うだろっ。とにかく、例によってなんだかわからないけれどスペシャリストな感じの米倉くんが今回はなんちゃって高校生になって問題の多い川浜市立国木田高等学校に転校してくる・・・そして、いろいろと問題を解決するという趣向です。もちろん、またその手かよっ・・・なのでございました。

黒幕は教育長の阿佐田(渡哲也)である。

開口一番「ともだち、100人作りたい」と抱負を語る転校性。

小学生のような高校生たちは嘲笑で彼女を迎えるのだった。

第一のともだち候補は3年A組・長谷川里奈(広瀬アリス)・・・高校入試に失敗し、ランクの低いココへきたことが両親の不和の原因だと思いつめリストカットをくりかえしたあげく、当然のように教室内で孤立・・・便所飯(トイレの個室で昼食を食べること)をからかわれ、ついには自殺未遂である。

両親は母(山下容莉枝)と父(山崎一)で小料理屋を経営している。仕事が忙しいために娘にかまってやれず・・・そのことが娘を追い詰めていると考える優しい両親だった。

つまり・・・里奈は単に勘違いをしているのだった。

その誤解を解くために「両親の前でリストカットをしてみせろ」とアドバイスする高校生の二倍の人生経験がある馬場亜矢子(米倉涼子)だった。

こうして、馬場は友達第一号を獲得して、美味しい手作りお弁当を分けてもらうのだった。

まあ・・・特に語る言葉はありませんが・・・「夜行観覧車」の高校生役から宮崎香蓮が不良高校生役でココに来ています。

ついでに「闇金ウシジマくん」でAV女優あがりの女を演じていい味だしていた片瀬那奈が発狂している感じのスクールカウンセラー長崎あかりを怪演していて微笑ましい感じ。

まあ・・・「ごくせん」狙いなのかもねえ。シリーズ化するには転校すればいいんだしねえ。

関連するキッドのブログ→ドクターX

で、『日曜劇場 空飛ぶ広報室・第1回』(TBSテレビ20130414PM9~)原作・有川浩、脚本・野木亜紀子、演出・土井裕泰を見た。フジテレビが日9ドラマから撤退して、牙城を守った感じの日曜劇場なのだった。しかし、レビューは(木)枠で。同じ原作者のドラマ「フリーター、家を買う。」の時はブログ休眠中だったためにレビューができずに残念だったのである。あれはまずまずのドラマだった。で、こちらもまずまずの仕上がりである。少なくとも日本に戦力を持つ組織が存在していることをお茶の間に再認識させる意義はあると考える。たとえ・・・本人たちが「軍隊ではなく自衛隊です」と言わざるを得ないとしても。

ちなみにいかに、「ジエイタイ」を国際語へと推進しようとも、Japan Self-Defense ForcesのForcesは軍隊と和訳できます。

とっとと憲法を改正してこの国際的に意味不明の状態を解消するべきである。

それはともかくとして、国際法上は軍隊である自衛隊は内閣総理大臣が最高指揮監督権を有し、防衛省が統括しています。

自衛隊はさらに陸上自衛隊、海上自衛隊、そして航空自衛隊の三自衛隊として運用されているのです。

航空自衛隊は主権国家たる日本の平和と独立を守り、主として空において行動し、日本を防衛するための軍事組織である。

本作の主人公の一人、空井大祐・防衛省航空幕僚監部総務部広報室所属2等空尉(綾野剛)はその一員で・・・元はブルーインパルス(航空自衛隊松島基地第4航空団第11飛行隊所属曲技飛行隊)のT-4(ドルフィン)の搭乗員でTACネーム・スカイだったのであった。

広報室広報班の任務は「愛される航空自衛隊を広く国民の皆さまに認知していただくこと」なのである。もちろん、広報といえども情報機関であり、その隠された任務が防衛活動における国内の世情の誘導であることは言うまでもない。国民の指示がなければ軍事行動に支障が生じるのは古今東西、普遍の鉄則だからである。

防衛のための戦闘行動で敵を殺傷して人殺し呼ばわりされてはたまらないからである。

しかし、無知で常識のない本作のヒロイン、帝都テレビ情報局の情報番組「帝都イブニング」のディレクター・稲葉リカ(新垣結衣)は「戦闘機は殺人兵器だし、その搭乗員は人殺し」と言って憚らない超ド級のアホの子なのであった。

もちろん、ガッキー、かわいいよガッキーなのである。

そんな、アホを矯正するために・・・チーフディレクターの阿久津(生瀬勝久)はリカを防衛省航空幕僚監部総務部広報室担当にするという荒療治を決断するのであった。

一方、広報室の広報室長兼報道担当官である鷺坂正司1等空佐(柴田恭兵)は交通事故によってパイロット勤務が不可となり、腑抜けとなった空井2尉に喝を入れるために・・・帝都テレビの窓口担当に起用する。

こうして・・・腑抜けの空井2尉とアホの子のリカは運命の出会いをするのだった。

「今度の担当者ってどうなの」

「相当、痛い子らしいよ」

広報室報道班の柚木3佐(水野美紀)や広報班の片山1尉(要潤)、比嘉1曹(ムロツヨシ)らは噂話に余念がないのだった。

ちなみに階級的には偉い順に・・・鷺坂1佐→柚木3佐→片山1尉→空井2尉→比嘉1曹となります。もちろん、リカは民間人なので階級外。戦略シミュレーション・ゲームなら階級補正をもらえないポジションである。ガンダムで言えばフラウ・ボゥみたいな。・・・そういう話じゃないと思うぞ。

リカはかって報道局に在籍していた頃に不祥事を起こし、左遷されて情報局に移ったのだが、その頃から痛さは航空自衛隊にも聞こえていたらしい。どんだけ痛かったんだよ。

リカが報道局への復帰を希望する言動をすれば、かっての同僚で報道局記者の香塚ともみ(三倉茉奈)は蔑みの眼差しで見つめるほどなのである。

・・・本当に何をしでかしたんだよ。しかし、それはまだ秘されている。

リカは「特ダネ」を求めて・・・広報室を訪れるのだが・・・そんなものが転がっているわけはないのである。

そして・・・「自衛隊は人殺し集団」と発言し、空井2尉は逆上である。

まったく、反省の必要を感じないリカだったが・・・空井2尉の過去をリサーチして・・・番組の名物コーナー「制服シリーズ」の素材としてロック・オンするのだった。

一方で空井2尉は「詐欺師鷺坂」の異名を持つ鷺坂1佐から説諭される。

「怒ってもいい・・・しかし、自衛隊の本分は・・・専守防衛である・・・暴言に対して暴言で応じてはならないのだ・・・あくまで民間人相手には自衛隊の意義を理解してもらうための最善の説得行動に徹せよ」なのである。

まあ・・・どこまで言っても意味不明なのだがな。攻撃されても反撃できないなんて、そんな世の中じゃ・・・。

そんな折、帝都テレビの人気ドラマ「報道記者、走る!」でヘリコプターによる救出場面での航空自衛隊に対する協力依頼の話が持ち上がる。

「主演のキリーこと桐谷隆史(桐谷健太)の人気にあやかって航空自衛隊の好感度アップ」を狙う鷺坂1佐は空井2尉とともに奔走する。交渉役として間に立ったリカもいつしか彼らの情熱に共感を感じるのだった。

ドラマ班のミスで「衣装のヘルメットが揃わない事件」が発生し、スケジュールの延長を求めるドラマ班ディレクターに恫喝の匂いを嗅ぎとるや・・・「それは脅しです」と反駁するほどなのである。

空井2尉の機転でその場をしのいだ広報室。しかし・・・リカは転倒した空井2尉の足の負傷の後遺症が思ったより深いことに気がつく。

そして・・・自分を取材用カメラで撮影するリカの意図を察した空井2尉は子犬のように泣き崩れるのだった。

「そんなものを撮って・・・楽しいのですか」

言葉を失ったリカは・・・そっと空井2尉の頭を撫でるのだった。

空井2尉、かわいいよ空井2尉・・・なのかよっ。

関連するキッドのブログ→リーガル・ハイ

最高の離婚

Ggsk001 ごっこガーデン。スカイ撫でセット。まこカメラやマイクも恐ろしい武器なのでしゅ~。しょんなこともわからないリカはジャーナリスト失格なのだじょ~。それはともかくとしてスカイロイドはなでてなでてなでまくるのでしゅ。気分はムツゴロウしゃま~なの~いい子~いい子~くう撃てるけど撃たないそれが専守防衛の掟・・・山は死にますか~。海は死にますか~。空は死にますか~。順番待ちはここが先頭ですか~。何分待ちですか~ikasama4ストレートな新垣さん、クールな綾野さん、そしてあぶない刑事のミックス加減が抜群ですね。次回も楽しみたいと思いますシャブリ「・・・紛らわしいのよ 言い方が!・・・翌日のガリレオのゲルマニウムより一足早く、勘違いオチ達成~。F4ファントムが現役で21世紀の日本の空の守りは大丈夫なのかでありました~

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2013年4月18日 (木)

リアル鬼ごっこ THE ORIGIN的佐藤だから(吉田里琴)私(大後寿々花)とあなた(荒井萌)の第二楽章・・・家族ゲームかあ・・・いいねえ(櫻井翔)

そこからかよっ。

しかし、ゲストで中学生役というからには触れないわけにはいかないだろう。クラブの皆さまのためにもですな。

第二楽章は第一楽章をじっくりみたいよね。

さて、これで・・・。

(土)「あまちゃん」

(日)「八重の桜」

(月)「ガリレオ」

(火)「幽かな彼女」

(水)「家族ゲーム」

というところまで埋まってしまったわけである。残り、(木)と(金)でどちらかにガッキーが来るとなると・・・残り1枠である。

三期連続、谷間なしって・・・久しぶりに言おう。

殺す気かっ。

で、『リアル鬼ごっこ THE ORIGIN・第2回』(首都圏トライアングル加盟局20130417AM1~)原作・山田悠介、脚本・宮本武史・おかざきさとこ、演出・副島宏司を見た。柄本明が谷村美月の胸をまさぐることで毎度おなじみの「リアル鬼ごっこ」である。今回はチバテレビ(他)でオンエアしている。そんな危険なコンテンツに・・・なのであるが、映画版で谷村美月の演じる主人公の妹・佐藤愛はこちらでは清水富美加が演じている。ちなみに主人公は佐藤翼(本郷奏多)である。未来世界、ある王国に絶対君主制的な独裁者の王様がいて・・・自分と同じ佐藤という姓のものを減らすために・・・全国の佐藤さんを狩る鬼ごっこ制度を開始する。一定時間のゲーム中に鬼に捕まった佐藤さんは死刑に処せられるのである。佐藤翼は陸上部に所属するごく普通の大学生だが・・・佐藤なので逃げて逃げて逃げまくるのだった。

今回は休憩中に一人の女子中学生と知り合うことになる。

万引きをしながら逃亡する少女。

「なんで・・・そんなことをするんだ」と問う翼に・・・。

「わかるわけない・・・ただ佐藤というだけで・・・逃げるしかない私の気持ちなんか・・・」

「俺も佐藤だよ」

佐藤翼は女子中学生・佐藤恭子(吉田里琴)の家を訪ねるのだった。「夜行観覧車」と違って美少女モードでの登場である。

「一人暮らしなのか・・・」

「父親がいるけど・・・滅多に家にいないの・・・」

「じゃ・・・一人で逃げてたのか」

「私なんか・・・いたら・・・足手まといだから」

しかし・・・逃走ルートを検討しているところへ・・・恭子の父親は帰宅するのだった。

「どうして・・・帰って来たの・・・」

「無事でよかった・・・」

抱き合う父娘だった。翼も不仲になっている父親に会いに行く決心をする。

しかし・・・父親はその夜、鬼に捕まってしまったのである。

翼は生き別れになっている妹を捜しながら、果てしない逃亡の日々を続けるのだ。

Cr001 ごっこガーデン地下・執事専用控室。

まこ「怪しいチャンネルで滅多に見れない本郷奏多くんチェックをしていたのしゅ・・・すると怪しい人々が集まって何やら怪しい集いをしていたのでしゅ~・・・一体、あれは何だったのでしょうか・・・そういえば・・・山田太郎ものがたり・・・花田少年史 幽霊と秘密のトンネル・・・・・オー!マイ・ガール!! ・・・・・・ハガネの女・・リーガル・ハイ・・・・・・・ビューティフルレイン・・・・・「メイちゃんの執事」・・・・・・・ギネ・・・・・・・・・・・・・・夜行観覧車などでも同じようなことがあったのでしゅ・・・じぇじぇじぇ

シャブリこれはいい中学生なのでありました~。家族ゲームもいいのでした~

で、『ドラマ10第二楽章・第1回』(NHK総合20130416PM10~)脚本・金子ありさ、演出・岡田健を見た。ヴァイオリンの実技の試験で「そこまで音がきているんでもう一度最初から弾かせてください」と突然口走る主人公・白瀬茉莉(大後寿々花)・・・それに応じて順番待ちをしていた遠藤奈津美(荒井萌)が突然、演奏を開始・・・審査員たちは唖然とするが二人の友情はそこから始ったのです・・・という展開に茫然とする方も多いと思いますがそれが脚本・金子ありさですのでスルーしてやってください。やがて親友となった二人。しかし、奈津美は音楽仲間(谷原章介)の子を妊娠・出産してヴァイオリニストの道をあきらめ・・・茉莉はそこそこ有名なヴァイオリニストとなる。ちょっとしたいざこざで不仲になっていた二人が・・・16年ぶりに再会して・・・色恋沙汰と女の友情の間でいろいろともやもやしていく模様。まあ、回想シーンだけが楽しみというドラマにならないことを祈るばかりでございます。

関連するキッドのブログ→セクシーボイス アンド ロボ

で、『家族ゲーム・第1回』(フジテレビ20130417PM10~)原作・本間洋平、脚本・武藤将吾、演出・佐藤祐市を見た。なによりも・・・松田優作のヴァージョンがあるわけである。あの地獄の獣のような・・・悪魔で野獣な感じが・・・バンビにできるのかが心配だったわけである。しかし、それは杞憂だったようだ。よく考えればバンビは野生動物だったのだ。たとえ・・・草食系だとしても野獣は野獣なのである。

高級住宅地の一角に・・・大手企業に勤める沼田一茂(板尾創路)のそれなりに立派な家がある。

家族は・・・美人で実家がそれなりに裕福であるらしい専業主婦の佳代子(鈴木保奈美)・・・。

長男でそれなりに優秀な高校生の慎一(神木隆之介)・・・。

そして・・・「ボーイズ・オン・ザ・ラン」で不憫な少年・宍戸修を演じた浦上晟周が演じる次男・沼田茂之である。

茂之は兄と比較して成績が芳しくない上に、ある日を境に不登校になっていた。

沼田家は問題解決のために七人目の家庭教師として・・・「東大合格率100%」と称する吉本荒野(櫻井翔)を招聘するのだった。

「息子を登校させて・・・できれば兄と同じ高校に入学させてほしい・・・」と言うのが父親の希望である。

しかし、その言葉はどこか空虚である。父親も母親も長男もどこか・・・仮面をかぶっている気配が漂っている。

そんな家族に対して・・・新しい家庭教師は天使のように振る舞いながら・・・引受けるかどうかを面談して決めるという・・・雇用主に対して選択権を与えない態度に出るのだった。

基本的に自分以外の他人を見下している主人の一茂はまんまと挑発に乗り、「五日間で次男が登校を再開したら十万円のボーナスを払う」と約束してしまうのだった。

家族全員に会うために長男を「母危篤」の嘘メールでおびき出した謎の家庭教師。

しかし、長男は汗一つかがずにやってくる。

母親は何事も人まかせである。しかも・・・爪をかむ癖があるのだ。

だが・・・お茶の間は謎の家庭教師その人が恐ろしい心の闇を抱えていることを・・・それとなく示されるのである。

彼は暗い森の中を彷徨い血まみれの手で叫ぶ・・・過去を持っているのである。

沼田家の人々は恐ろしい魔性の者を知らぬ間に引き入れてしまったのである。

茂之は拒むが軽い暴力で恫喝され・・・とりあえず家庭教師を受け入れる。

しかし・・・いざとなれば引き籠ればすむとたかをくくっているのである。

家庭教師・吉本荒野は早速、行動を開始する・・・その基本は情報収集だった。

沼田家の人々を尾行し・・・その私生活を記録していくのである。

ついには・・・茂之のクラスメート全員にインタビューまで試みるのだった。

そして・・・茂之が授業中に教室で大便を排便してしまったこと。

それ以来、いじめの対象になっていること。

たった一人の友人に裏切られたこと。

友人はアイドルの写真集が目当てで茂之に近付いたこと。

今ではいじめる側にまわっていること。

・・・というような茂之の事情を把握してしまうのである。

一方で茂之を「クズ」と決めつける父親は会社では人事部に籍を置き、かっての同僚を冷酷非情にリストラし、それに喜びを感じる男であることが明らかになる。

ちなみにリストラされる男(宮川一朗太)は映画「家族ゲーム」(監督/脚本・森田芳光)で茂之役を演じている。

しかし、「口出しは無用」「違約した場合は一千万円の支払い義務」という契約書にサインしてしまううかつさも持っている。

そして・・・そんな父親には謎の女・浅海舞香(忽那汐里)が接近してくるのだった。

茂之は家庭教師に心を許したふりを演じ、次の日、ドアを閉ざして完全に拒絶する悪賢さを見せる。

しかし、家庭教師はリフォーム業者に命じて、窓を密封し、ドアを二重扉に改造し・・・茂之を監禁するという行動に出るのだった。

母親はおろおろするが・・・けして事態を打開しようとはしない。

父親はリフォーム費用が高額であることだけが気になるのだった。

長男はつぶやく。

「父も母も子供に愛情なんかもってないんだよ」

しかし、家庭教師は微笑んで「いいねえ」と嘯くのだった。

そして次男にドア越しに誘惑の言葉を紡ぐ。

「ねえ、賭けをしないか・・・約束の日までに部屋を出たら・・・学校に行く。そうでなかったらなんでも言うことをきくよ」

「誰かを殺せと言ったら殺すのかよ」

「殺しますよ」

室内にインスタント食品があるものの、排尿・排便に窮する次男。

「あけろ」

「負けを認めるかい」

「いやだ」

ついに・・・自分の部屋で排便してしまう茂之だった。

「俺は・・・クラスのみんなから茂之について聞いてみた」

「うるさい・・・」

「キモイ。バカ。ウンコ野郎。死ね。ははは、ひどいよなあ・・・でも・・・一人だけ、茂之に謝りたい・・・もう一度友達になりたいって奴がいたな・・・変わった奴もいるもんだなあ」

母親はその状況でも事態を打開しようとしない。

「息子より世間体かよははのんきだね」などとつぶやく家庭教師だった。・・・一部修正したな。温情的妄想です。あくまでペケ×ポン的にだけどな。

やがて・・・茂之は親友になりすました家庭教師の言葉に踊らされ・・・最後の希望を持って登校することになる。

しかし・・・そこで待っていたのは希望を打ち砕く悪魔の姦計だった。

「ちぇ・・・なんで登校してくんだよ・・・賭けにまけちゃったじゃないか」

「どういうことだよ」

「お前の家庭教師と賭けをしたんだよ・・・パスワードと交換で・・・」

「なんで・・・お前は・・・俺を・・・裏切・・・」

「ウンコ野郎だからさ」

打ちのめされて帰宅する茂之。

吉本荒野はボーナスの十万円を手にしていた。

「なんてことすんだよ」

「言っただろう・・・誰にだって希望はあるんだよ・・・だけどな・・・世の中は想像を絶するほど残酷なんだ・・・だから強くなれ」

そして・・・吉本は狂ったように暴れまくるのだった。

恐怖におびえる沼田家の人々。

吉本は母親に新たなる賭けを申し込む。

「どうです・・・これから一週間、茂之くんが毎日登校できるかどうか・・・もしできるようなら・・・私の役割は終りですから・・・この家から出て行きますよ」

「・・・」

「本当かよ」と応じたのは茂之だった。

「本当さ・・・さあ・・・じゃあ、授業をはじめようか」

茂之はとりあえず従って見せるのだった。

子供は思わず尋ねる。

「あんた・・・人を殺したことがあるの」

「あるよ」

・・・吉本義明(鹿賀丈史)、吉本勝(松田優作)、吉本剛(長渕剛)・・・歴代吉本に新たに吉本荒野(櫻井翔)が加わった。

新たな家庭教師・吉本が誕生してみると・・・いろいろな面影が思い出されるのだった。破天荒な教師であるGTOとか、破天荒な家政婦とか・・・原点は家族ゲームにあったのだなあ・・・と。

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2013年4月17日 (水)

平等のルールを守るのは自由の翼を守るためなのです。(香取慎吾)

法とは制度であり、制度とは社会であり、社会とは人間である。

そして人間とは人と人である。

人にはルールは無用である。

人はどこまでも平等でどこまでも自由な存在だからだ。

人と人間の果てしなき戦いは今日も続いていく。

なぜなら、人間の自由と平等を守るために法が存在するからである。

で、『幽かな彼女・第2回』(フジテレビ20130416PM10~)脚本・古家和尚、演出・白木啓一郎を見た。やはり、ゲーム性に富んだ脚本家なのだな。もちろん、この場合は筋立ての話である。クイズはゲームの一種である。ちなみに、ゲームがクイズの一種であると言う場合もある。すべての言葉は「鶏が先か卵が先か」という問題を孕んでいるからだ。とにかく、一つの主題が提示される。今回は「信頼」ということでいいだろう。

筋立ての基本は構成である。主題である「信頼」から問いと答えで成立する二分割の構成を作ってみる。「人が人を信頼するのはいかなる時か」と問い、「お互いが信頼する時である」という答えを想定して見る。

そこでは・・・「人と人がいて、同時に信頼し合うことの可能性」が問われることになる。

構成者はここで手掛かりを求めてしばらく彷徨うであろう。

時には古き命題の森を訪問する。

今回は「鶏が先か、卵が先か・・・」という問題が浮上する。

この問題は「無限」にまつわっている。

「鶏が卵を生む。卵が鶏を生む。鶏卵鶏卵鶏卵鶏卵・・・」という「流れ」である。

ここに「信頼」を挿入すると・・・「先生が生徒を信頼するのが先か、生徒が先生を信頼するのが先か」という新たなるテーマが生まれるのである。

この脚本家はそういうゲームを楽しむタイプなのである。

教育評論家の後藤田(ふせえり)がテレビで「現代の教師へアドバイス」をしている。

授業中に生徒を注意して肩に手を置くのは「体罰」だし、男性教師が女子生徒を見つめたら「セクハラ」で、生徒一人と教師一人が同じ部屋にいる場合、教師が扉を閉じたら「監禁」となる。

「生徒と教師が信頼しあっていた時代」に生きていた女教師の幽霊であるアカネ(杏)にはそのアドバイスが意味不明すぎるのである。

熊本城・姫路城・名古屋城のプラモデルの箱が背後に積まれた棚をアカネの向こうに透視しつつ、霊感教師・神山暁(香取慎吾)はアカネの疑問に反発する。

「今はそういう時代なんだよ」

新しい経済成長を模索するこの国では当然のこととして貧富の差が拡大することが予想される。

しかし、経済の停滞中にはある程度の経済的豊かさが共有されており、逆に貧困層が少数化している場合がある。

経済的な豊かさはある程度まで社会的強者であることを保証する。

小学生時代に家庭が貧困であるがゆえに「着たきりすずめ」であることを俗悪な教師に揶揄されて心に傷を負い、その言動によって同級生からの迫害を経験した3年2組の女子生徒・岡本香奈(未来穂香)は・・・安全保障策としてクラス内で高い地位につくグループに所属することを必要としていた。

しかし、小料理屋を経営する母(春木みさよ)の懐具合は相変わらずさびしく、店を手伝う香奈にもそのことは充分に判っている。父親は政治家、母親はPTA会長である京塚理沙(山本舞香)をリーダーとするグループでの交際費の捻出は香奈にとってかなりの負担であった。お揃いのアクセサリーを購入するにも、一緒にお茶するにもお小遣いは不足気味なのだった。

そんな香奈の苦肉の策が、校内の生徒用ロッカーの空間使用権を切り売りすることだった。

理沙の私物を香奈のロッカーに置かせることで貧困による「つきあいの悪さ」の「埋め合わせ」をしていたのである。

ここで・・・「校則を遵守させることが生徒の将来のためであるという信念」を持つ学年主任で3年3組の岩名先生(高嶋政宏)の教育的指導が波紋を投げかけることになる。

共有スペースに置かれたロッカーの私物を没収することで知らぬ間に香奈を窮地に追い込むのだった。

早速、弁護士同伴で学校にやってくる理沙の母親(宮地雅子)は「校則というローカル・ルールよりも憲法で保障された基本的人権を守るべき」という論理で理沙に対する処分の取り消しと岩名先生の謝罪を要求する。

校長や、3年2組の担任である神山先生や、副担任の河合千穂(前田敦子)が対応に屈する中、副校長の霧澤和泉(真矢みき)だけは「校則違反を反省できないようでは転校を視野に対応を考えたい」と言葉穏やかに恫喝で攻撃的姿勢を見せる。

母親の権力が通じないと知った理沙は没収された香水「ワルキューレ」(市価・7200円相当)の弁償を香奈に求めるのだった。

岩名先生は霧沢副校長に恩義を感じるが、弁護士出身の副校長は「あなたのためにやったことではありません・・・親も親なら、教師も教師なのでは・・・」と疑問を呈する。

つまり、「生徒、親、教師の信頼関係の崩壊」について言及しているわけである。

これがまた別のゲームであることが今回の結末で明らかになる。

幽霊たちの協力で神山先生との信頼関係を構築した相田(神宮寺勇太)はクラス内での香奈の窮状を読みとり、神山先生に支援要請を行うのだった。

浮遊霊の吉岡さん(佐藤二朗)から事情を聞いた地縛霊のアカネは早速、神山先生に対応を促すのだった。しかし・・・かって生徒のいじめ問題の処理を誤った過去を持つ神山先生を逡巡する。

「俺は生徒から信頼されてないし、生徒を信頼することもできないんだ」

「そんな・・・鶏が先か卵が先か・・・みたいなこと言ってないで親子丼にして食べちゃいなさい」

「なんだよ・・・それ」

どちらが突然変異をしやすいかという遺伝形質的な問題ではなく、複雑な問題を論理の飛躍で処理する「彼女」の言動に唖然とする神山先生だった。

しかし、「死んでいるから何もできない」アカネの心情に心を動かされてしまう神山先生なのである。あるいは・・・アカネの特技である「食べ物の味を抜く呪い」に対する「対スピリッツ霊魂防御姿勢」を取らざるをえなかったのかもしれない。よせ鍋で肉団子のうまみを抜かれてはたまらないのだ。

家庭訪問をして・・・アカネの事情を知る神山先生。

「香水を返してよ」

「それは京塚理沙さんが心から反省しないと・・・」

「先生は私たちの事情を甘く見過ぎだよ」

「しかし、香水を返しても根本的な解決にはならないと思う」

「私には京塚グループの庇護が必要なの」

「それが・・・負担になってるんじゃないのか」

「よりよい選択の問題じゃないんだよ、どちらが最悪じゃないかの問題なの」

状況は複雑で「生徒をとことん守る」難しさを感じる神山先生。

やがて・・・追い詰められた香奈は学校を欠席する。

アパートの家賃の使い込みを考える香奈だったが・・・最後の最後で思いとどまるのだった。学校よりも家庭を選択する苦渋の決断だった。

ここまでが・・・ミステリにおける状況の提示である。

事件をどのように解決するか・・・はお茶の間の楽しみの一つになっている。

もちろん、多くのお茶の間は「意外な結末」を期待するだけでよいのである。

「持ち物検査」「没収された香水」「香奈への救済」がヒントになっている。

このゲームに対する神山先生のファール・プレイは「抜き打ちの持ち物検査の実施」であった。

学校の暗黙の了解による「持ち物検査」は「予告して実施」という「信頼関係不在のための妥協的骨抜き案」を逸脱する行為だった。

それを神山先生は「一人の生徒を守りきる」ために敢行するのだった。

香奈の鞄にさりげなく香水を戻し・・・再び没収する神山先生。

これによって・・・香奈は理沙に対して弁償の意志があったことを示すことができたのである。

理沙は香奈の「貢献」に報いる。そして神山先生を憎むのだった。

副担任の河合先生は神山先生の投じた一石に舌うちをする。自分が面倒なことに巻き込まれるのは厄介なことだからである。

「一体、誰を信じようというのよ・・・私を信じるのだけはやめて」なのである。

何も知らない岩名先生は「嫌われ役を買って出るのは教師の役目だ」と一応の好意を示す。自分の心情に一致したからである。

副校長は生徒に対し「教師の評価についての無記名アンケート」を実施する。

神山先生には・・・「最悪」という評価も「いい先生」という評価も寄せられる。

副校長は主題を解説する。

「教師は親や生徒のモラルの低下を嘆き、親や生徒は教師の質の低下を呪う・・・そして信頼関係は失われていった・・・しかし、どちらが先にそうしたのか。それは鶏が先か卵が先かと論じるのと同じ、食料として考えれば親子丼は問題なく食べられるってこと」

そして、もう一つのゲームの「ヒント」を出す。

「昔、ある人がそう言ってた」

可能性として・・・アカネが副校長の関係者であることが暗示されるのである。

もしも・・・アカネが副校長の恩師であれば・・・享年25のアカネはかなり昔の先生だったことになる。

一件落着の後で・・・ついに霊感生徒であるらしい・・・森野小夜(森迫永依)は自分の能力を神山先生に顕示するのであった。

しかし、キャスティング的に・・・この世のならぬものを共有する禁断の教師と生徒の関係に発展する可能性はあまりないと思う。

とにかく、「幽かな彼女」は「空飛ぶ広報室」や「35歳の高校生」を抑えて(火)を確保したのだった。

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2013年4月16日 (火)

ガリレオ(福山雅治)使い(柴咲コウ)の後継者(吉高由里子)VS教祖(大沢たかお)

ドラマ・シリーズとしての「ガリレオ」の魅力の一つはガリレオこと物理学者・湯川学(福山雅治)と内海薫刑事(柴咲コウ)のほのかな恋愛モードである。

このほのかな恋愛モードというのはなかなかに得難いものである。

成功例としては「トリック」の上田(阿部寛)と山田(仲間由紀恵)とか、「モップガール」の大友(谷原章介)と長谷川(北川景子)とかがある。

結ばれそうだがあくまで結ばれる前の段階でどちらもが片思いしているようで実は両思いのようでしかし男と女と言う関係以上に深く結びついているようなそうでもないような不思議な二人。

こういう二人とミステリの相性は抜群だったりする。

そういう魅力をあっさり捨て去るというのはかなり大胆な行動と言える。よほど、柴咲コウのスケジュールがハードなのだろう。

しかし、主人公がパートナーをチェンジしてリフレッシュし、倦怠感を脱するという手法も「相棒」シリーズが明らかにしているだろう。右京と亀山の愛を信じていた一部愛好家は裏切られた気分を味わうかもしれないが、本質的な面白さはそれほど変わらなかったりするのが恋愛の醍醐味なのである。・・・恋愛じゃないだろう。

とにかく・・・バッサリと変わるのではなく・・・前妻の内海刑事から後妻の岸谷美砂警部補(吉高由里子)へのパートナー・チェンジは丁寧に描かれている。相当に神経を使っていることは微笑ましい感じである。

まあ、原作的には本来のパートナーは草薙俊平刑事(北村一輝)だったわけで・・・ドラマ的にはお約束の展開と言えないこともないのだった。

六月に公開予定の新作映画「真夏の方程式」ではパートナーは岸谷警部補であるらしい。まあ、そういうこともお約束の展開なんだな。

第一シリーズのレギュラーとしては弓削刑事(品川祐)や監察医・城ノ内桜子(真矢みき)も未登場である。しかし、万年助手の栗林宏美(渡辺いっけい)は健在だった・・・やはり、なくてはならないキャラクターは「彼」なのかもしれない。

で、『ガリレオ(第2シリーズ)・第1回』(フジテレビ20130415PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、演出・西坂瑞城を見た。湯川学は帝都大学理工学部の准教授であり、本来の相棒である草薙刑事は大学の同期生である。草薙の栄転によって湯川を受け継いだ内海刑事は二人のエリートに対して交通課で叩き上げて捜査課に転属してきた庶民タイプであった。そういう意味で帝都大学法学部卒業のエリート刑事である岸谷警部補は本来の原作ポジションに回帰したとも言えるのである。

さて、雑誌記者(西原亜希)の見守る中、蒲田の雑居ビルにある新興宗教団体『クアイの会』の支部の一室で、教祖・連崎至光(大沢たかお)が信者の一人に≪送念≫という秘義を行い、信者を五階の窓から転落死させるという事件が起こる。

同僚の太田川稔刑事(澤部佑)とともに捜査にあたった内海刑事は直感的に事件には裏があることを嗅ぎつける。人事異動により米国に派遣が決まっている内海刑事は、草薙刑事の指示により、新人刑事・岸谷美砂を特殊な事件解決のためのアドバイザー「変人ガリレオ」担当にするために湯川の研究室へと向かうのだった。

実験中の湯川を「ガリレオ使い」である内海は近況報告をしつつ手際よく「事件」に向かって誘導する。

「私・・・先生のせいで米国のオクラホマで変な事件担当になったんです」

「・・・」

「で、今後は先生の担当は先生の後輩でもある岸谷警部補になったんです」

「・・・」

「それから怪事件が起きたんです・・・犯人は被害者に指一本触れずに念を送って墜落死させてしまったと主張しています」

状況を飲みこめない岸谷警部補は思わず二人に割り込む。

「どうして・・・捜査内容を民間人に漏洩するんです・・・第一、念を送るなんてありえないし」

「ありえない?」

内海の顔には魚がえさに食いついた釣り師の表情が浮かぶのだった。

「世界には多数の奇跡に関する報告があり、それらの中には公式の宗教機関で公式に奇跡と認定されたものもある。しかし、奇跡も現象である以上、実際には物理的解明が可能であるものがほとんどだ。繰り返す奇跡は再現性が高いと言え、そうである以上、科学的に実証できる可能性がある」

湯川を釣りあげた確信で内海は止めをさすのだった。

「つまり・・・?」

「実に、面白い」

湯川の釣り方を伝授した内海は新人刑事・岸谷警部補に恋人・・・いや・・・変人を託すのである。

・・・これで旧シリーズの一部愛好家へのサービスは終了であり、充分に満足できる展開だったと考える。

ちなみにガリレオとは16~17世紀のイタリアの物理学者・ガリレオ・ガリレイに由来する仇名であることは言うまでもない・・・そこからなのかよっ。・・・丁寧さが伝染しました。

法学部出身で理工系男子を見下しているらしい岸谷は湯川に対する不信感でいっぱいだったが・・・とりあえず宗教団体の本部であるクアイの里へ二人で向うのだった。

雑誌記者の目撃情報により、教祖の犯行は立件できないためにすでに釈放されている。

奇跡を目の前で見た雑誌記者は信者になってしまったらしい。

二人は「現代文明を否定した自然回帰タイプの宗教施設」で教団の幹部たちと面会をする。

教祖の連崎至光や妻の小夜子(奥貫薫)、教団幹部(梶原善)たちは穏やかに二人を迎え入れる。

しかし、至光は「科学が人間を不幸にする・・・」と湯川の存在意義を問いかける。

「科学の時計を100年戻したら、地球の人口の90%は死滅するのです」と応じる湯川。

「人類を70億人にも増やし、さらに高齢化をもたらしたのは科学そのものです。はたしてそれが万人に幸福をもたらしたでしょうか・・・」と譲らない至高。

大河ドラマ「龍馬伝」の方の坂本龍馬と「仁」の仁先生の顔合わせなので充分に豪華なのだった。

結局、論より証拠ということで・・・≪送念≫を体験することになる湯川と岸谷警部補だった。

支部と同じような作りの修行道場で教祖から≪念≫を送られる二人。

体が温かいもので包まれたように感じた岸谷警部補は奇跡体験に涙を流して感動するのだった。

「奇跡は存在したんですね」

自分の感覚を信じて疑わない岸谷警部に湯川は哄笑で応じるのだった。

「ははははははは」

「どうしたんですか」

「・・・さっぱり、わからない」

しかし、宗教が「信じること」から始るように、科学は「疑うこと」から始るのだった。

湯川は体温の上昇と・・・被害者の目が白濁していたこと・・・そして、岸谷警部補が流した涙から・・・すでに仮説を組み立て始めていた。

おりしも、中国では「鳥インフルエンザ流行」のニュースがあり、中国政府が「日本人の好きな生卵かけごはん」を危険なメニューに指定したのである。

(じゃ・・・レンジでチンして温泉たまごに・・・)

湯川のガリレオ脳の作動スイッチがオンになったのであった。

ただちに・・・検証行動に移ったガリレオは磁石式コンパスを使って、≪苦≫と≪愛≫の里の周辺を捜索する。

【体感温度の一時的上昇】【事件現場の窓の亀裂】【苦痛にあえぐ被害者】【雷雨】【停電】【落雷の有無】【事件直後の停電】【大電力の使用】【ブレーカー】【快感と苦痛】【強弱の変化】【白濁した眼球】【温泉たまご】【加熱方式】【帝国陸軍の殺人兵器研究】【電子レンジ】【マイクロウエーブ照射装置】【血液を沸騰させるほどの高熱の発生による苦痛】【風力発電】【電力不足】【電源の確保】【電源コード】【電磁波の発生】【ナビゲーション】【指針】【隠された装置】

「奇跡の謎は解明された」と岸谷警部補に告げる湯川。

だが、例によって「犯人の動機」などには興味がない湯川。

しかし、岸谷警部補は内海と同様に悪を憎む情熱を秘めた刑事だった。被害者と・・・クアイの会のライバル宗教団体との関係を突き止めるのである。

「湯川先生・・・科学だって人類社会に貢献してこそのものでしょう・・・地震だけを研究して防災の役に立たなかったら何の意味もないじゃないですか・・・先生の力で・・・彼らの悪を暴いてください」

湯川が年下の女性のこういう挑発に弱いのも実に明らかなことなのである。

そして・・・再び、教団本部に乗り込んだ湯川は身体を張ってマイクロウェープ放射装置の「強」状態に耐えてみせるのだった。

「ここに・・・それがある・・・」

ついに秘密兵器は暴かれたのである。

教祖は何も知らなかった。黒幕は・・・健康器具製作会社を経営していたエンジニアである妻・小夜子だったのである。

苦悩する教祖・・・彼は踊らされていた自分を自ら殺人兵器に投じて罰するのだった。

しかし、凶器によって被害者を死に至らしめた以上、教団を罪に問うことは可能だった。

口封じのために殺される可能性に思い至った岸谷警部補はあわてて応援を要請するのである。

しかし、二人を見守っていた内海がすでに同僚の刑事たちと現場に接近していたことは言うまでもないだろう。

ついに・・・内海の渡米の日がやってきた。

旅立ちの挨拶にやってきた内海に・・・意外にもプレゼントを用意していた湯川。

しかも・・・指輪用の宝石ケースである。

内海の心にさざ波がたったことは言うまでもない。

しかし・・・。

「餞別だ・・・」

「なんですか・・・これ」

「草薙から君の誕生日は3月2日だと聞いた。ゲルマニウムの元素番号は32番だ。ゲルマニウムは健康にいいという説もある。しかもその結晶構造はダイヤモンド構造だぞ」

「・・・さっぱりわからない」

こうして仄かな恋愛モードを維持しつつ内海が去った後で、岸谷がコーヒーの差し入れを持って事件の報告にやってくる。

もちろん、内海と同様に岸谷もすでに湯川に対する仄かな恋愛モードに入っているのである。

事件解決後のコーヒー二人で飲もうと・・・なのであった。

しかし、湯川は・・・。

「報告はもう聞いた。それに君は間違っている。地震学者は地震学のエキスパートであるべきで、防災学は防災学者が極めるべきだ。僕は僕の興味を引くものに対してのみ興味を持つのであって事件捜査、つまり刑事の仕事、つまり刑事、つまり君にはまったく 興味がない」

「きーっ・・・もう絶対ここには来ません」

地団駄を踏みつつ退散する・・・岸谷・・・しかし、その足元は湯川のアドバイスに従ってハイヒールからローヒールに変化しているのだった。

刑事は刑事としてベストを尽くさねばならないからである。

こうして・・・変な科学者と感じやすい刑事の新たなる物語はまずまずのスタートをきったのです。

だから、湯川は岸谷ののこしていったコーヒーを賞味して満足そうに微笑むのである。

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2013年4月15日 (月)

戦争と云わんよりほとんど遊猟の感なきにあらずでごぜえやす(綾瀬はるか)

第二次長州征討の戦で、芸州口と呼ばれる戦場の幕府軍側先鋒を勤めた藩に第16代(最後)の藩主・井伊直憲の彦根藩がある。その軍法はいわゆる「井伊の赤備え」である。

彦根藩兵は軍法に法り、法螺貝と陣太鼓を鳴らしながら、周防国と安芸国の国境・小瀬川付近まで前進し、長州の遊撃隊など参謀・大村益次郎揮下の諸部隊の待ち伏せ攻撃に逢う。

散開したミニエー銃武装歩兵は井伊の赤備えを淡々と射殺した。

幕臣の戸川安宅(残花)は維新後の著書「幕末小史」の中でその模様を「戦争と云わんよりほとんど遊猟の感なきにあらず」と記している。

こうして、彦根藩兵は一瞬で壊滅したのである。

「合戦しようと思って来たら戦争だった・・・」という感じである。

その他の戦場でも同様の展開があり・・・幕府軍が苦戦を強いられる中・・・総司令官である幕府14代将軍徳川家茂が病死してしまうのである。

近代戦争であれば、司令官が交代すれば済む話だが、合戦の最中に将が死ねば味方は総崩れになる定めなのである。

将軍の死を知った各方面軍の指揮官は次々と戦線を離脱するのだった。

後継した徳川慶喜が出陣すると敗残兵が続々と敗走してきたわけである。

家茂は江戸で留守を守る正室の皇女・和宮に京土産としての遺品を残す。

うつせみの唐織衣なにかせむ 綾も錦も君ありてこそ

(夫の贈り物である西陣織の衣を着て見せる相手が不在では何の意味もないことだ)と和宮が詠んだとされる歌が残念な結果を辛うじて慰めるのだった。

まあ、虚しく散った兵たちは美しくまとめられても甲斐はないのである。

で、『八重の桜・第15回』(NHK総合20130414PM8~)作・山本むつみ、演出・清水拓哉を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は会津藩主・松平容保のお気に入り藩士で家禄千二百石の家老・神保内蔵助の長男・神保修理長輝のイラスト描き下ろし大公開でお得でございます。ここからは悲劇悲劇の一本道ですが、神保修理とその美しい妻・雪子の末路を思えば今から涙があふれんばかりの今日この頃でございますなーーーっ。だがしかしけれども、けしておねだりしているわけではございませんぞ~っ。

Yaeden015 で、いよいよ徳川幕府崩壊の分岐点、慶応二年(1866年)に突入である。幕府は前年から長州の完全降伏を求めて圧力を強めて行くがその間に着々と戦争準備を整える長州軍事政権である。なにしろ・・・正月には坂本龍馬の仲介により薩長同盟の密約が成立してしまうのである。その直後に朝廷は長州処分の勅許を発するのであった。しかし・・・第二次長州征伐が開始されるのは半年後の六月になってからである。長州はその間に軍備を整えると同時に周辺諸藩に対して戦略的互恵関係を深めていたのであった。味方の裏切りによって大敗北を喫した関ヶ原の怨みを今、晴らさんと新・長州軍は幕府軍の到着を待ち構えていたのである。六月七日、瀬戸内海の周防大島で戦闘が開始される。幕府軍は慶応元年暮れに米国から到着したばかりのバーク型木造スループ軍艦「富士山丸」を旗艦とした艦隊で松山藩兵の部隊を上陸させ、島民を殺戮し、一時大島を占領するが高杉晋作の指揮する軍艦丙寅丸の夜襲作戦によって撃退されてしまう。芸州口では彦根藩兵と高田藩兵が小瀬川で壊滅し、渡河してきた長州軍と紀州・幕府連合軍が膠着状態に陥ってしまう。攻撃側が守備しているのでは勝てる戦も勝てないのであった。長州藩と津和野藩の境界である石州口では津和野藩が長州側に寝返り、長州軍は津和野を素通りして幕府側の拠点となっている浜田藩を奇襲する。幕府軍は各個撃破され、七月上旬、浜田城は包囲され、十八日に幕府軍は松江藩領まで撤退する。九州の諸軍を集めた小倉口の幕府軍は老中小笠原長行に率いられた大軍勢であったが集結に手間取っていた。大島口の海戦で勝利を収めた高杉晋作は坂本龍馬の海援隊と合流。長州海軍の総力たる丙寅丸・癸亥丸・丙辰丸・乙丑丸・庚申丸の五隻により幕府側陣地を艦砲射撃で粉砕、幕府の輸送船団を壊滅させつつ、六月中旬から七月初旬にかけて幕府本陣などに上陸乱入を繰り返し、幕府軍の戦意を喪失させるに至る。そして・・・七月二十日、将軍・家茂は大坂城にて薨去し・・・七月二十七日、徳川宗家を一橋慶喜が相続する。慶喜は八月十二日を出陣と定めるがすでに幕府軍は各方面指揮官が戦線を離脱・・・つまり全面的に敗北していたのである。八月二十八日、朝廷は長州征討の停止を発するのだった。

時は・・・幕府転覆の始る慶応二年正月に遡行する。会津藩宿舎にて京都における会津忍びの棟梁となっている山本覚馬は諜報戦の敗北を悟っていた。

敵対していた薩摩藩と長州藩が密かに同盟を組んでいたことをそれが成立するまでまったくつかめていなかったのである。

しかも、その情報をもたらしたのは今はなき佐久間象山門下の兄弟子にあたる勝海舟からの使いの者であった。

あろうことか・・・その者は会津藩京都宿舎の覚馬の寝所に忍び入ってきたのだった。

眼病を患い、視力が衰えたとはいえ・・・山本覚馬は会津一の鉄砲忍びである。しかし、その男は全く気配を絶って覚馬の枕元に侍っていたのであった。

「お静かに願いまする・・・拙者、幕府軍艦奉行・勝海舟の手のものでございます」

「・・・なんと・・・勝様の・・・」

それまでまったく気配を示さなかったものが突如として異様な圧力で覚馬の行動を制していた。覚馬の感じたことのない気迫である。

「昨年、おとりつぶしになった神戸海軍操練所の塾頭を勤めました坂本と申します・・・」

覚馬は初対面だったがその名を聞き知っていた。坂本龍馬は佐久間象山の門下生であり、覚馬にとっては弟弟子にあたる。しかも・・・覚馬は龍馬の正体もおぼろげに推察している。

「すると・・・そなたが科学忍者隊の隊長か・・・」

「いかにも・・・」

覚馬は龍馬が気を緩めたのを感じる。思わず覚馬自身も息を吐く。

「何用か・・・」

「勝先生からの託をお伝えします」

「・・・」

「薩摩と長州の同盟成る・・・このことよくよく吟味して・・・画策(はか)れ・・・とのことでございます」

「なにっ・・・」

思わず覚馬は声を震わせた。すぐには信じられぬ話だった。

「勝先生は・・・一藩の命運ではなく、日の本の将来を案じて・・・山本様にこれを伝えよと申されました・・・」

「会津を捨てよ・・・と申されるか・・・」

「さて・・・それは・・・拙者はただの使いでございますれば・・・」

「ううむ・・・これはとくと思案しなければならぬ・・・」

「それと・・・これは余計なおせっかいと申すものですが・・・」

「・・・なにかね」

「会津の忍びはあまりにも・・・つたなきもの・・・手痛い目に会わぬうちに・・・お控えなされ・・・」

「・・・む・・・われらをあなどるかっ」

覚馬は龍馬の不躾な物言いに声を荒げる。

しかし、その瞬間、龍馬はすでに枕元にはいない。まるで幽霊であったように消失してしまっている。

「・・・恐ろしい奴・・・」

覚馬はなおも闇の中で気配を探るが・・・龍馬はすでに退散してしまったようである。

覚馬は寝床に身を起こした。薩摩が長州と同盟した・・・その恐ろしい情報の真偽を確かめなければならない。

しかし・・・と覚馬は考える。それが真なれば・・・もはや会津藩の運命は過酷と言う他はない。

覚馬は背筋が凍りつく思いを感じる。

会津藩宿舎を張っていた公儀隠密たちは・・・忍び出た龍馬を補足していた。

さすがに・・・公儀隠密たちは薩摩と長州の秘事について核心に迫っている。

その中心人物が龍馬であることも探知しているのである。

当代の服部半蔵である公儀隠密頭・音羽の三蔵は会津にも疑惑の目を向けていた。

その夜、三蔵は坂本龍馬の暗殺を決意した。

伏見奉行所に配置された公儀隠密軍団は密命を受け、科学忍者隊本部寺田屋の急襲作戦を開始する。

藤原のくのいちお龍が異変に気がついた時、伊賀卍の陣の包囲は完了していた。

「龍馬はん・・・」

会津藩宿舎から戻ったばかりの龍馬は・・・長門府中藩から派遣された忍びの慎蔵に目配せをする。

「ここは・・・逃げるが勝ちじゃ」

「拙者が参る」

「いや・・・まずは科学忍法火の鳥じゃ・・・」

龍馬が言い終るや否や、寺田屋周辺には巨大な火柱が幾筋も噴出する。

その火炎の中を二人の忍びは伏見薩摩藩邸目指して走り出す。

二人をめがけて幕府の犬たちは忍び刀を抜いて殺到する。

龍馬はスミス&ウエッソンのリボルバー・ナンバーワンを取り出し、たちまち、三人を射殺する。

しかし、四人目の黒く塗られた刀は龍馬の指を切り払っていた。

龍馬は迸る己の鮮血を見ながら左手でリボルバー・ナンバーツーの引き金を引く。

修羅場と化した京都の夜は更けて行く・・・。

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2013年4月14日 (日)

あまちゃん、ハートの2の土曜日(小泉今日子)とリーガル・ハイ・スペシャルの美しすぎる裁判官様(広末涼子)

最初にトランプについての俗説について久しぶりに言及したい。

トランプには四種類のスートと呼ばれる要素がある。いわゆる、スペード、ハート、クラブ、ダイヤである。

これは四季に対応しており、スペード(冬)、ハート(春)、クラブ(夏)、ダイヤ(秋)である。

スペードは基本的に冬の常緑樹あるいは針葉樹のシンボルであり、ハートは春の生命力の息吹、クラブは夏の青葉茂れる広葉樹、ダイヤは秋の果実であることは言うまでもない。

スートはA~Kまでの各13枚で構成されている。

13×4で52枚である。

これに一週間を示す7をかけると364枚になる。

ジョーカーを足して365枚。つまり一年の日数である。

さらにエキストラ・ジョーカーを加えれば366枚でこれは閏年に対応している。

つまり、52枚のカードは52週間を示しているのである。

だから・・・スペードのAは冬の第一週を暗示している。そしてジョーカーは大みそかのカードなのである。

占いという未来予知の技法によれば・・・トランプでも簡単に一年の間に起こりえる「何か」を予測する啓示を受けることが可能なのである。

たとえば・・・今年、「運命」の出会いをするとすれば・・・「いつか」を占う時にトランプから任意の一枚を抜き取ればいいのである。

それがハートの2だったら・・・春の第二週・・・つまり、一月一日を起点にした場合、第15週目の四月の上旬にその一週間がめぐってくるのである。

もちろん、予測が的中するかどうかは・・・本人の魔力の有無が関わってくることは言うまでもない。

もしも、はずれたら、少なくともその人に魔力が無いことは証明されるだろう。

さて、個人の運命とは別に世界の色彩というものもある。

ハートの2はダブルハートであり、色恋の出会いの季節を象徴していたりする。

春の第二週はそういう季節なのである。新学期が始り、世界は出会いに満ちているからだ。

まあ・・・あくまで悪魔の言うことなのであしからず。

で、『連続テレビ小説・あまちゃん・第2週』(NHK総合20130408AM8~)脚本・宮藤官九郎、演出・井上剛を見た。夏休みも近いある日、「祖母危篤」のしらせを受けた高校生のアキ(能年玲奈)は母親の春子(小泉)とともに岩手県の北三陸市(架空)にやってくる。しかし、祖母の夏(宮本信子)はピンピンしており、現役の海女としてアキを魅了するのだった。結婚生活に行き詰まりを感じていた母の春子は嫌っていた故郷にずるずると居座り、アキは母の故郷に東京では感じられなかった居心地の良さを感じるのだった。そして・・・夏休み限定の新人海女としての新生活を始めるのである。

月曜日 私、海女見習いになりました(能年玲奈)

もちろん、ずっと都会で暮らしてきたアキが海女の仕事をすぐにこなせるわけもなく、修行の日々が始るのである。しかし・・・アキにとっては何もかもが楽しいのである。浜辺の清掃もウキウキするし、ウニの殻の投棄もワクワクするのである。なにしろ・・・アホの子なのである。だが・・・学校の授業よりもお客さんに名物まめぶ汁を勧めたり、ウニ丼を車内販売したり、ウニの殻を剝いたりすることの方がリアルに感じる年頃なのである。

そして・・・夏とはいえ冷たい北の海で潜水の訓練することはアキの中で眠っていたチャレンジ精神を呼び覚ますのだった。

何よりも祖母とその仲間の海女たちと一緒にいることは刺激的なのだった。

生きている実感にひたって・・・食事中に眠り込んでしまうほどの充実した一日。

母の春子は我が子の異常な馴染み方にあきれるのだった。

母の母である夏はそんな春子の心の闇をノックする。

「おめえは・・・これからどうすんだ?」

「私・・・離婚することにしました・・・」

結婚したことも知らされていなかった母の母は離婚すると言われても言葉を失うばかりである。

「私・・・タクシー運転手と結婚したんだ・・・とってもいい人だったけど別れることにしました」

母の母の言葉を待つ母。実は春子は夏にいつも何かを期待しているのだった。

「気にすんな・・・北三陸では離婚とワカメは腐るほどある」

夏の言葉は春子をいつも戸惑わせる。期待した言葉ではないからなのだが・・・何を期待していたのかも判らないのが春子なのだった。春子はとにかく・・・「ここではないどこか」を求めて永遠に彷徨う迷子のような性格なのである。

「こっちで暮らすのなら・・・スナックで働けばいい。生活費くらい稼げっど」

そして、夏の言葉はいつも現実的なのだった。春子はそういう「現実」がいつだって苦手なのである。

「いやよ・・・変な目で見られるに決まってるし」

「どうせ、もう変な目で見られてるべ・・・それなら話のタネとして金を稼いだ方がマシさ」

なんか違うとは思いながら春子は夏に逆らうことはできないのだった。逆らうことができないから逃げ出したのである。

スナック「梨明日」の臨時雇いのママとなった春子に早速常連客がつく。

どうやら・・・春子に惚れているらしい大吉(杉本哲太)である。

しかし、大吉はノンアルコール体質なのだった。腹がジャボジャボになるまでウーロン茶ロックを飲むばかり。

「なんで・・・東京なんかへ行ったんだ」

「この街が嫌いだからよ」

「日の暮れの公園でギターを弾いてたら、なんだか忘れ物をしている気になった・・・幸せって奴を一緒に探してあげるって・・・あの日、ショッピングセンターの屋上で新沼謙治が歌ってた・・・あの頃のみんなは輝いていたっぺ」

そして大吉はカラオケで「嫁に来ないか」ではなく、「ゴーストバスターズ」を歌い出すのだった。

(懐かしいけど・・・明らかに選曲ミスだろう・・・しかも歌えてねえし)と心の中で突っ込む春子。

その頃、イボリーではなかったが、タクシー運転手だったことで明らかにパラレルワールドの住人らしい春子の夫・黒川正宗(尾美としのり)がついに北三陸市に姿を見せるのだった。いよっ、待ってました!・・・転校生っ。男女屋!と大向こうから声がかかるのである。

火曜日 俺は一匹モータリー(尾美としのり)

離婚届を投函した直後に春子は夫の正宗と再会する。

寝耳に水の離婚沙汰に正宗は戸惑いを隠せないのだった。

春子は不満があっても口に出せずに鬱屈し、爆発するタイプなのである。

それにしても・・・何をしでかしても春子の堂々たる存在感。どこまでいってもキョンキョンはキョンキョンなのだった。

春子の夫が個人タクシーの自家使用で乗り込んできたことはたちまち町の噂となる。

「じぇじぇじぇじぇ( ‘ jjjj ’ )」と血相を変える大吉。

しかし、所詮は他人事と北三陸駅の副駅長・吉田正義(荒川良々)は「じぇじぇ」としか驚かないのだった。

そして・・・「コレカンタン・・・ゴーストバスターズ!」とカラオケを適当に歌いこなすのである。

一方で・・・海女の古い写真を見たアキは上半身が裸のスタイルに驚く。

「新人は・・・みんな胸を出して潜るんだ・・・抵抗が少なくて深く潜れるから・・・」という漁協の組合長・長内六郎(でんでん)の説明を真に受けたアキは・・・露出に耐えるほど胸に自信がないために・・・海女になることを断念しかかるのである。

「おばあちゃん・・・私・・・海女やめる」

「なんだって・・・」

結局、組合長にかつがれていただけだったアキ。

しかし・・・それが祖母と祖父のなれそめ話につながって行くのだった。

客寄せのために上半身裸にされた海女たちに漁師たちは憤慨したのである。

「俺たちが漁に出ている間、拝めないものを客に拝ませるとは何事なのだ」なのだ。

若きの海女の夏は若き日の漁師の天野忠兵衛(蟹江敬三)の男っぷりの良さに惚れて二人は結ばれたらしい。

とにかく、乳は露出しない方向で進むらしくお茶の間の一部愛好家は落胆である。最初から期待すんなよっ。

アキの一瞬、揺らいだ決心も元通りになり、海女の修行は再開されるのだった。

そこへ・・・アキの父の正宗が乱入する。

正宗としては・・・春子とアキがいないなと思っていたら、春子とは離婚沙汰、高校生の娘は海女候補生になっており・・・憤懣やるかたないのである。

「こんなところでなにやってんだ」

「ごめんなさい・・・」

正宗の怒り爆発に怯えるアキ・・・そこへ割り込む夏だった。

「なんですか・・・」

「海女クラブの会長です・・・」

「関係ない人は黙っていてください」

「この子の祖母です」

「ええっ」

「春子の母です」

「えええっ」

「はじめまして・・・」

「えええええええええええええええええええええええ」

「一人娘とやる時は親の承諾得にゃならぬ」の古き掟によって封印される正宗の理由なき反抗だった。

「あの・・・私は・・・娘さんと結婚させてもらってまして」

「なんでも離婚するとか」

「いや・・・もう・・・私はまったくそんなつもりは」

しどろもどろになる正宗の背後でジャボーンと効果音が・・・。

荒海や アキが飛び込む 水の音・・・なのである。

「じぇ」・・・唖然とする一同だった。

水曜日 馴染めない人はいつだってどこだって馴染めないのです(小池徹平)

再び、海に飛び込んだアキを監視小屋から見守っていた足立洋(小池)だった。

どうやら・・・アキにちょっと興味を持ったらしい。

漁業に現れるとアキと言葉を交わすのだった。

「あの・・・」

「ユイちゃんのお兄ちゃん」

いつの間にか美少女・足立ユイ(橋本愛)の家族関係まで精通しているアキだった。

それほどまでに北三陸市はアキの体質に合っているらしい。

「この間は・・・溺れた時にサイレン鳴らしてもらったし・・・」

「今日は・・・スイスイ泳いでいたから・・・サイレン鳴らさなかったよ・・・」

アキの溌溂とした元気さが洋にはなんだか眩しいらしい・・・。

一方、夏の家では神妙に仏壇に手を合わせる正宗。

いきなり・・・結婚の挨拶もないままに・・・離婚についての協議に突入である。

春子の生死不明の父親がいないことはまだしも救いであった。

「なんでこんなとこまで来たのよ」

「だって・・・君が急にいなくなるから・・・」

「急じゃないでしょ・・・予感があったでしょ・・・」

「いや・・・なんとなく機嫌が悪そうだとは思ってたけど・・・まさか離婚とか・・・」

とにかく・・・正宗の何かが春子をイラッとさせたらしい。

しかし・・・おそらく、その苛立ちは春子だけが分かる特殊なものであることが想像できるのだった。春子はいつでももやもやしていてもやもやが何かを自分でもわからずにもやもやしているタイプなのである。そうだ・・・困った女なのである。しかし、キョンキョンだからかなり面倒くさい女でも許されるのだった。

とにかく・・・一方的に離婚への同意を求められる正宗。

しかし、事情を聞いた大吉は不覚にも敵に塩を送ってしまうのだった。

「離婚届けの判子は黒川姓でないとダメなんだ」

「なんでよ・・・離婚して天野に戻るんだから天野でいいでしょ」

「いや・・・離婚届けを出す時点はまだ黒川さんだから~」

春子・・・アホの子の母親ならでは・・・である。

そのためにもやもやしつつ、首の皮一枚つながる正宗だった。

なんとなく・・・スナックに移動した正宗は微妙な思いの大吉を相手にグラスを重ねる。

「僕は・・・家族を大切にするってことはいつも一緒にいることだって思ってました」

そこで海女の弥生(渡辺えり)が意見する。

「おらの父ちゃんは漁師で半年は家を空けんのよ・・・父ちゃんが帰ってくると母ちゃんは喜ぶけんど・・・一週間もするとうざくなんのよ・・・年柄年中顔つきあわせてたら・・・うんざりするってことだ」

「・・・でも・・・僕は・・・彼女と離婚しません」

そして・・・帰りたいのに帰れない若き日の春子(有村架純)との出会いを語る正宗。

「な、なにーーっ」と突然、激昂する大吉。しかし、実は正宗は空手の有段者であり、格闘技に精通しており、なんなく大吉を関節技で確保するのだった。

「タクシー強盗対策で護身術を習ってます」

「んごーーーーっ」と突然酔い潰れる大吉だった。

ウーロン茶とウーロン割りの置き違え事件だった。よくあることである。ねーよっ。

とにかく・・・母も、娘も、夫も・・・そして大吉も・・・春子の難解なもやもやに手を焼いていることは間違いないのだった。そういう困ったちゃんを堂々と演じきるキョンキョン、圧倒的じゃないかっ。

とにかく・・・琥珀掘りの小田勉(塩見三省)は大吉に含むところがあるようだった。なにしろ・・・大吉にはいつも琥珀話の腰を折られているからな。小田勉は明らかに置き違えを見切っていたぞ。

こうして・・・アキをめぐる家庭環境はほぼ明らかになったのだった。何を考えているのか判らない母親と何を考えているんだかわからない父親に挟まれて何を考えたらいいのかわからない子供になってしまっていたのであるねえ。

木曜日 さよなら、パパ(能年玲奈)

モヤモヤするママとモヤモヤするママに手を焼くパパのしがらみに縛られて鬱屈していたアキ。しかし、その日暮らしの海女である夏の手ほどきで「今を生きる喜び」を感じてしまったのである。その輝きは両親には眩しいものだった。

浜辺で生き生きと活動する娘を遠くから見守るパパとママだった。

「あんなに華やいでいるアキをはじめてみたよ」

「私も・・・ずっとこの街にいたら・・・あんなふうに天真爛漫でいられたのかな」

「それはどうかな」

「そうだよねえ・・・無理だよねえ・・・絶対・・・あんな風には生きられないんだよねえ」

「・・・」

「私のできないことを娘が平気でやれるって・・・なんだかうらやましいわあ」

「どうしてもモヤモヤしちゃうんだな」

「どうしてもモヤモヤしちゃうのよ」

正宗にとって・・・春子の面倒臭さは今に始ったことではないはずだ。

しかし、厄介な人ほど手放せないものなのである。

というか・・・正宗にとって春子はなくてはならない人なのだ。そして・・・春子にとってはそうでもないところが・・・モヤモヤするわけである。

とにかく・・・つかず離れずにいること・・・それが正宗の精一杯なのである。

春子は・・・究極の甘えん坊なのだった。

そして・・・スナックでは春子と洋の甘えん坊対決が繰り広げられるのだった。

「どうして出戻っちゃったわけ・・・」

「この街では駄目だったけど、東京に出たらなんとかなると思ってた。でもやはり、駄目だった・・・俺に合う場所って日本にはないかな・・・って思うんだ」

「わかるよ・・・その感じ。田舎で駄目な奴は都会でも駄目なんだよね。で、田舎でなんとかなってる奴は都会でもなんとかなるんだよねえ。私・・・思うんだ・・・結局、場所がどうとかじゃなくて・・・その人の問題なんだってね」

春子は自分のことを話しているだけなのだが、洋にとっても図星なのだった。

しかし、二人が意気投合することはないのである。

なにしろ・・・二人とも自分のことがとことん好きな甘えん坊同志なんですら~。

とにかく・・・そんな面倒くさい母親とそれをもてあます父親との間で亀甲縛りになっていたアキは・・・「ウニは銭だ」と断言する単純明快な祖母によって解放されてしまったのである。

一度、自由の味を知ったらそれを失うことはできないのだった。

結局、妻と娘を一時放置するしかないと覚悟した正宗は東京に戻ることになった。

そんな父親をなんとなく見送りに来るアキである。

「まだいたんだ・・・」

「・・・」

「パパがいなくて大丈夫か・・・」

「ママがいるから平気・・・」

「ママと何、話してんだ」

「パパのこととか・・・」

「俺のこと・・・」

「大体悪口・・・」

「・・・とにかく・・・元気でな・・・ママのこと頼んだぞ・・・」

「また来るの・・・?」

「・・・」

「じゃあ・・・パパが今度来る時までに潜れるようになってる・・・」

「うん・・・頑張れ」

(頼りないパパでごめん・・・ママにそれほど愛されていないパパでごめん)と娘に心の中で手を合わせる正宗だった。

せつない思いを胸に一人陸奥を南下する正宗。

アキは誓いの通りに潜水時間を伸ばす特訓に励むのであった。

そこに突然、未だに色香漂う熊谷美寿々(美保純)狙いらしいカメラ小僧・ヒビキ・イチロー(村杉蝉之介)が現れるのだった。

もちろん、夏をはじめとする海女にとっては風物詩にすぎない写真愛好家なのである。

いかし、過剰反応する春子は我が子を守るために痴漢警報を発令するのだった。

その騒ぎの中、潜水に夢中になったアキはあっという間に沖に流されてしまうのである。

「ねえ・・・何分だった・・・あれ・・・ここ・・・どこ?」

かわいいよ、アキかわいいよ・・・でも危ないよ、アキ危ないよである。

だが・・・天真爛漫なものにはツキが味方するのがこの世の定めなのである。

通りがかりの漁船に無事救助されるアキだった。

金曜日 東京から来た変な子と友達になっちゃった(橋本愛)

ついに海女潜水標準記録である1分をクリアしたアキ。本格的にウニの採取を開始するのであった。

ウニが獲れそうで獲れなかったりする潜水演技も見事にこなし・・・ついに海女ちゃんへの道を歩みだしたのだ。

しかし・・・時は流れて、いつしか夏休みも終盤である。アキの海女生活のタイムリミットは迫っているのだった。

そんなある日、アキの憧れの美少女・足立ユイを撮影するカメラ小僧ヒビキに遭遇する。

「ブス」と言われてもアキにはピンと来ないらしい。なにしろ、アキは浴衣姿のユイの可愛さに男目線でぞっこんなのである。

しかし、ヒビキの取り持つ縁でアキはユイと親しく会話ができるようになったのだ。

こうして・・・標準語が堪能な北三陸の美少女と、方言が堪能な都会のアホの子は仲良しになったのだった。

「アキちゃんちは東京のどこなの」

「世田谷」

「うそ~、シモキタ? サンチャ?」

「その辺」

「すご~い・・・下北沢って毎日、演劇とかロックとかやってるでしょ・・・秋葉原ってアイドルだらけなんでしょ・・・井の頭公園でボートに乗った恋人たちは絶対別れちゃうんでしょ・・・渋谷は読モだらけで、裏原はスターでいっぱいで、ブクロサイコーなんでしょ・・・ね、ね、そうなんでしょう」

「いやあ・・・あんまり行ったことないから~」

集落の境界線しか知らない人々は果てることを知らない東京の町連続体をイメージできないものである。成田に降り立った外人でさえ、上野駅や東京駅に着くまで延々と続く市街地にあきれ果てるのが普通なのである。

アキは東京人として地方人のユイに東京を語る言葉に不自由するのだった。

しかし、ユイは東京人に地方の良さを見せるツボを心得ているのだった。

北三陸祭りの準備風景に案内されたアキはたちまち祭りの虜になるのだった。

(この祭りが始る頃にはここにはいないのか・・・)

アキの心には一足早い秋風が吹きこむのである。

大好きなユイから東京への憧れを語られるアキは知性に目覚めつつあった。

(私の知らない東京をユイちゃんは知ってる・・・だけど・・・ユイちゃんは・・・北三陸の海のことを知らないのかもしれないな・・・私がどんなにか北三陸の海のことを好きか・・・知らないかもしれないな・・・)

母の故郷へやってきたアキ。そこで目を開いたアキは・・・大人への旅を始めたのである。

それは・・・なんと楽しく、実りある旅だっただろう・・・。

その旅がもうすぐ終わってしまう。

アキの心は淋しさを知ったのである。

土曜日 ごらん、地下の闇の中で琥珀が光っている、琥珀の声を聞いてごらん(塩見三省)

誰がラピュタの話をしろとっ。北三陸の地から離れがたく、北三陸のすべてを知っておきたくて・・・ついに琥珀掘りの地下採掘場まで見学したアキだった。

しかし、無情にも時は流れ、夏休みの最終日がやってくるのだった。

いや・・・とにかく・・・受験生だったら・・・夏全開で海女生活していたら・・・もう、志望校は無理だよね~。

・・・とはアキはこれっぽっちも思わない。

「おら、東京さ、帰りだぐねえ」の一心である。

そんなアキの心情をモヤモヤのプロである春子は見抜いているのである。

そして・・・できれば夏に・・・自分とアキ引き留めてもらいたいと思っている。

しかし、夏は徹底した自由放任主義者だった。

「去るものは追わず・・・来るものは拒まず」の精神は揺るがない。

実は・・・娘も孫も可愛くて可愛くて仕方ないことはさすがの宮本信子、全身全霊で表現するのだが・・・そういうセリフはないのである。

アキは来年またやってくると言うが・・・そういう口約束は信用しない海女たちであった。せっかくの新人海女が去っていく・・・それがただただ悔しいのだった。

夏は最初に出会った時のようにアキの口にとれたてのウニを運ぶ。

祖母と孫の魂のふれあいである。

洋は東京生活の時に貯めたカレーショップのサービス券を餞別に代えるのだった。

やがて、別れのホーム。

春子は夏をまねて見た。

「あんたが決めればいいんだよ」

「帰って・・・パパとママと三人で暮らす・・・」

「本当にそれでいいの・・・」

夏は見送りに来なかった。

大吉は裁量権の許す限り・・・発車時間を延長するが・・・春子にプロポーズするガッツを見せることはできなかった。

東京へ向かって走り出す北三陸鉄道・・・。

しかし、母と娘は乗車しませんでした・・・。

「おばあちゃん・・・ただいま・・・」

「・・・」

抱き合う祖母と孫だった。

しかし、もちろん、二人の娘であり母である春子のモヤモヤはけして晴れたりしないのである。困った人なのである。だが、もちろんそこがいい。

関連するキッドのブログ→第一週のレビュー

で、『土曜プレミアム特別企画・リーガル・ハイ・スペシャル』(フジテレビ20130413PM9~)脚本・古沢良太、演出・石川淳一を見た。これだけ期待させておいて、その期待に見事に応えるコンテンツがかってあっただろうか。物凄く過去に遡らないとない気がします。それほどまでに古美門研介(堺雅人)と黛真知子(新垣結衣)のタッグは魅力的なのだな・・・と思うばかりである。いじめという・・・絶対根絶できない人類のあるいは生命現象そのものの病巣に肉薄しながら最後は「お前の音痴は金輪際治らない」という一言で腹がよじれるほど笑わせてくれるのだから全面降伏である。絶対にいじめられていたと思われる古美門、完璧なまでにいじめられていたのにまったく気がつかない黛、そして・・・いじめられていたが法の完璧な守護者となった鉄仮面で女王様の裁判長・別府敏子(広末涼子)、変な髪形と偽りの微笑みの下にいじめられ体質を隠蔽する公立うさぎがおか中学校2年C組担任教師・藤井みなみ(榮倉奈々)、史上最強の新人弁護士・勅使河原勲(北大路欣也)、最後の最後までモンスター・ペアレントの正体を隠し続ける母親・小暮秀美(堀内敬子)・・・そして・・・加害者でもあり被害者でもある少年・和彦(末岡拓人)・・・ゲストたちも筆舌に尽くしがたい面白さである。だから・・・もう書きません。

「あなたを監置します」

「かんち?」

「カンチ?」

「監置か・・・初めて見るな」

「カーンチ」

「それはセックスしよう・・・だろ」

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2013年4月13日 (土)

黒魔法の少女・・・お天気お姉さんだよ(武井咲)ゆとり刑事くんだよ(大倉忠義)VSみんな!エスパーだよ!(染谷将太)パンチラ胸乳もみしだかれはじめました(夏帆)推定自慰(真野恵里菜)

エコエコアザラク・・・気象予報士だぜ。

新たなる黒井ミサが・・・単なるお天気キャスターだってばさ。

それにしても・・・すごいリレーになってるよな・・・変なお天気お姉さん(武井咲)→テレパシスト(夏帆)→ヴァンパイア(大政絢)→GARO(魔界騎士)である。最後、仲間違いじゃないか。

しかも、みんな黒井ミサとは無関係なんだぜ。なぜだ、なぜ、なんだ。一人くらい黒井ミサでもいいじゃないか。

まあ、まあ・・・。なだめるメガネの人になだめられてたまるかっ・・・はらちゃん見てない人にはわからない話はやめなさい。

とにかく・・・(金)の恐ろしさは良くわかったよ・・・これに「TAKE FIVE」も来るんだな・・・。

もう・・・ここはとりあえず・・・昔の火曜日体制で・・・や、やめて、それだけはやめて・・・来週、決めます。

とにもかくにもバニラモニカジャンボコクうまミルクを食べるしかあるまい・・・ステマかっ。・・・モナカかっ。

で、『金曜ナイトドラマ・お天気お姉さん・第1話』(テレビ朝日20130412PM1115~)脚本・大石静、演出・片山修を見た。ドラマに恵まれない武井咲が漸く、まともな脚本家を与えられたのだった。まあ、私ってブスだったの人も時々、微妙だが・・・今回はミステリ要素もあり、らくだと壇蜜が変態部分を吸収するので初回としては適度な仕上がりになっている。ほっとくとどんどんよろめいていくので注意が必要だけどな。

黒マントをまとい・・・魔法少女のように登場するスッピン式のヒロイン、安倍晴子(武井咲)は安倍晴明系の陰陽師的資質を備えたお天気キャスターである。そもそも、自然科学的方法による現象の観察及び測定の成果に基く現象の予想の発表をする気象予報士は魔法使いの一員なのだな。

過去の情報を統合して未来の現象を推定するのは実に魔術的なものだからである。

死体の一部を収集して新たなる生命の誕生を即するが如しなのだ・・・全然ちがうよっ。

ともかく・・・スキャンダル発覚で急遽、前のお天気キャスターの降板を余儀なくされた情報番組「モーニングZ」が発掘した天才・気象予報士の晴子は制御するのがなかなかに困難そうな謎めいた女なのである。

実質上のヒロインである警視庁捜査一課の新人刑事・青木豪太(大倉忠義)は連続放火事件の張り込み中に勇み足で誤認逮捕を犯しそうになるのだが・・・容疑者の男(温水洋一)を救ったのが通りすがりの晴子だった。

「その人は放火犯人ではありません・・・犯人は・・・雷雨によって自然発生したプラズマと思われる球電現象によるものです」

「き、きゅうでん・・・」

刑事たちの目の前で確率的にはあり得ないほど稀な球電発光体が発生し、連続放火事件は幕を閉じるのである。もちろん、球電現象は未解明の事象なのであくまでフィクションである。

やがて、主人公の晴子とヒロインの豪太は職業の壁を突破して数々のありえない事件を解決していくことになるのだろう。

豪太をとりまく人々もそつなく配置されている。人柄の良さが偲ばれる上司の亀岡刑事(高知東生)、ちょっと嫌な感じの先輩・遠藤刑事(丸山智己)、そして、「女に裏切られて死体としか会話できなくなった」監察医の三雲三平(佐々木蔵之介)である。

そして、豪太や三雲の行きつけのスナック「蜜の味」のママが服部栄養専門学校出身で嗣永桃子のものまねをレパートリーにする蜜代(壇蜜)である。女性は皆、彼女のようになりたがるのだが、男性が全員、彼女のことがタイプだとは限らないのである。しかし、絶対、タイプではないと断言できるかというとそうでもないのだ。・・・何がいいたいのかっ。

実は・・・晴子は蜜代の家に下宿しているのだった。

そして、らくだは一目で晴子に心を奪われてしまったらしい。

一方で・・・朝の情報番組「モーニングZ」のその他の人々もよどみない布陣である。

視聴率とネット上の評判だけが指針のプロデューサー原口蘭(笛木優子)は「クビ」と言った後で「即採用」の臨機応変さが身上である。ふりまわされる担当ディレクター染谷(野間口徹)だった。

そして、看板女子アナウンサー・橋本茜(佐々木希)は舌っ足らずの・・・いや・・・したたかな感じを漂わせるのだった。ふにゃんにゃにゃん。

まあ、このメンバーでなんとなく・・・楽しめます。

記念すべき第一作の犯人ゲストは愛人殺しの男(升毅)である。

遺体発見現場とは離れた場所にいたのを豪太が目撃してしまい・・・アリバイが成立してしまいそうになるのだが・・・晴子が真相を見抜くのだった。

「音波は波である以上、屈折します。そして気温が高いほど音速は早くなるのです。昼間は太陽光によって地表が温められ、上空にいくほど温度が低くなります。しかし、夜になって雲も風もなければ放射冷却がおこり地表が冷やされ、上空の空気の方が暖かくなるのです。この接地逆転層の発生によって、音は上空を高速で伝播し、遠くで汽笛が聞こえるのです・・・悲鳴も殺人現場より遠く離れた遺体発見現場まで届いて・・・目撃者たちは誤解したのです・・・すぐ近くで事件があったのだと・・・」

「私は・・・彼女を愛していた・・・しかし、家庭も大事だったのです・・・遠くで汽笛を聞きながら・・・何も悪い事がなかったこの街で・・・ずっとふたまたかけていたかった・・・」

こうして・・・新米刑事とお天気お姉さんはコンビを結成したのだった。

ま、ある意味・・・軽くて浅いガリレオ的ミステリですなーーーっ。だが、そこがくつろげる。

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で、『みんな!エスパーだよ!・第1回』(テレビ東京201304130012~)原作・若杉公徳、脚本・田中眞一、演出・園子温を見た。青年誌コミックが原作なので・・・青年的エロスに満ちている。「ラスト・シンデレラ」ではまったく勃起できないがコチラでは激しく屹立するのが男子というものなのである。いやあんなのである。まあ、男と女の間には所詮、深くて暗い河が流れているのだな。

三河(原作では九州)のど田舎に住む男子高校生・鴨川嘉郎(染谷将太)はそこそこ妄想に彩られた日常を過ごしていた。幼馴染のかわいい顔してパイオツカイデーなヤンキー・平野美由紀(夏帆)にパンチラありでどつかれ、東京から転校してきた清楚な感じのクラスメイト・浅見紗英(真野恵里菜)を聖なるオナペットとして愛する平凡な生活。

しかし・・・とある日を境に鴨川嘉郎に超能力が発現する。

≪・・・ああ、パイオツカイデー≫

≪カイデー≫≪おっぱ≫≪巨乳≫

≪もみしだ≫≪ブラ≫≪紐≫≪ジャー≫≪もみもみ≫≪乳輪≫≪ブラ≫≪透けて≫≪線≫≪ふくよか≫≪ぱい≫≪おっ≫≪おっ≫≪胸≫≪乳首≫≪カイデー≫

「うわあ・・・オレ、テレパシストになっちゃったーーーっ」

興奮する鴨川嘉郎だった。彼は自分も憧れのヒーローになれるかもしれないと希望に胸を萌やしたのだった。

しかし・・・この現象は地域的なもので・・・鴨川嘉郎の周囲では多数のエスパーが発生していたのだった。

研究者である教授(安田顕)は現地入りして、助手の秋山多香子(神楽坂恵)の胸乳をまさぐりながら調査を開始するのだった。

監督「もっと・・・大胆に揉んで・・・そうそう、右行って・・・左行って・・・そして両乳をぐぐっと・・・」

安田「監督・・・いいんですかあ」

監督「ボクの妻の乳だ・・・遠慮しないで揉みたまえ」

・・・あくまで妄想である。

高校生たちが入り浸る田舎のカフェレストラン「シーホース(海馬)」のマスター・永野輝光(マキタスポーツ)は鴨川嘉郎の良き相談相手だったが・・・嘉郎の母親(筒井真理子)を永年のオナペットとして愛用しているエロマスターである。彼は咥えこみ型電動ヴァィブレーターでの自慰行為中に手淫を行わずしてピストン運動を可能とする念動力(サイコキネシス)を発現させる。その超能力は性的衝動と連動しているためにエロ目的にしか使用できないのだった。海馬濁ればシーボーズである・・・意味不明な言動は慎みなさい。

人気者の先輩・榎本洋介(深水元基)がエスパーかもしれないと夢見た鴨川嘉郎だったが、念動力者が輝光だと知り、ちょっとガッカリするのだった。

その頃、発情した不良仲間の嘉山(中尾明慶)に性的行為を求められた美由紀は突然、精神感応力に目覚める。

「愛してる」≪やらしてくれだがや≫≪乳もんで≫≪挿入してえのだがや≫

「ふざけんなーーーっ」(え)(なに)(いま)(心の声が)(聞こえたよ)

とにかく、美由紀は嘉山の魔手と魔羅から逃れるのだった。

一方で・・・仕方なく輝光のエロエスパー修行に付き合う鴨川嘉郎・・・もちろん・・・そういうことも嫌いではないのだった。

そして・・・つい・・・憧れのマドンナ・浅見紗英の心を覗いてしまうことに・・・。

≪鴨川嘉郎≫≪鴨川≫≪鴨川ねえ≫≪≪≪あいつ、絶対、私でオナニーしてるよな≫≫≫≪鴨川の野郎≫≪鴨川≫

清純な外見に秘められたドス黒く毒々しい本心・・・。

鴨川嘉郎は今、大人の階段を昇ったのである。

監督はリレー式であるが・・・とりあえず、最高の夜のエンターティメント誕生である。

オンエアのない地域の心ある男子の皆さん・・・か、可哀相・・・。

とりあえず・・・これだけは言っておきたい。夏帆、かわいいよ夏帆・・・。

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砂時計

SPEC

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2013年4月12日 (金)

ラスト・シンデレラ(篠原涼子)と王子様A(三浦春馬)と王子様B(藤木直人)

とにかく、木曜日は空いたな。

とにかく、今は(土)が問題だな。「リーガル・ハイ」のスペシャル・・・(土)はやめてほしかったぜっ。

今日、やってくれればよかったのになーーーっ。

まあ、それはそれとして・・・。

なんで・・・今、これなのか・・・と言えばきっと「今度は愛妻家」(2010年)のせいなんだな。

まあ、なくはないのかもしれないが・・・とにかくなんだか10年前のドラマを見ている感じが物凄くしますなーーーっ。

少なくとも「川柳」でオチの部分に二重の意味がないのはペケ×ポン的にアウトだよな。

・・・そこかよっ。

で、『木曜劇場ラスト♡シンデレラ・第1回』(フジテレビ20130411PM10~)脚本・中谷まゆみ、演出・田中亮を見た。もうすぐ40歳の独身女性のための甘いラブ・ストーリーである。それだけだとなんなので、40歳過ぎてバツイチの女性とか、40歳過ぎて倦怠期の既婚女性とかを女友達として配置しています。路線で言えば「結婚しない」であろう。ソコでは菅野美穂(35)、天海祐希(45)だったのを・・・篠原涼子(39)に一本化したのだな。脚本家は「WATER BOYS」の後はこれといったヒットがなく、舞台中心の活動になっていたのだが、「今度は愛妻家」が映画化されてなんとなく呼び戻されたのだろう。だから、セリフが芝居じみているのは軽くスルーするしかないのである。

朝、目が覚めたら顎にヒゲが生えていた・・・。大手チェーンの美容室の副店長である美容師・遠山桜(篠原涼子)は職人気質の独身女性。おしゃれのアドバイザーとしては腕利きだが自分自身はまったくおしゃれでないというありえない存在である。なにしろ、パーティー用のコスチューム一着も持たず、食事は鍋で即席ラーメンがベースである。そして、プライベートは主に飲酒で飲んで飲んで飲むのである。今回は初回というのに番組の半分は飲んでいる有様である。そういう不健康な生活をしているのでホルモンのバランスが崩れヒゲが生えるのだった。

勤務先の美容室『HAPPY-GO-LUCKY』吉祥寺店に新店長がやってくる。昔馴染みの立花凛太郎(藤木直人)で、「女は男をたてなければ存在価値がない」という男尊女卑主義者で桜にとっては天敵である。「恥じらいがあるのにベッドでは娼婦」というAVが好きらしいが・・・そういう男は珍しいというのが女流にはわからないのだな。恥じらって恥じらって恥じらい尽くすのがセクシーなんだよっ・・・お前はな。

凜太郎は「遠山桜」をもじって桜を「金さん」と呼ぶらしい。誰もが「遠山の金さん」を知っていると思ったら大間違いである。まあ、そういう世代は最初から相手にしてないのだな。

まあ・・・「好きな子にちょっかい出すタイプ」と桜が喝破しているので・・・なんなのだが・・・それでも気がつかない人のためにあえて言えば・・・凜太郎は桜にぞっこん惚れているのである。

そのために桜と同様に独身なのである。つまり・・・最初から桜の王子様なのだった。

しかし、ドラマである以上、桜はまったくそのことに気が付いていないという前提で話は進行していく。

で、とにかく、遣り手の女である以上、女友達はつきもので・・・とにかく色情狂でセックスなしでは眠れない自称・セックス病の長谷川志麻(飯島直子)と夫に一年以上抱いてもらえない専業主婦・武内美樹(大塚寧々)が花を添える。志摩は欲求不満の果てにいきなり美樹の夫である公平(遠藤章造)を食っちまいます。

さて・・・当事者である桜と凜太郎がお互いの気持ちに気がつかないという甘い展開の中、凜太郎を狙っている美容室の顧客の大神千代子(菜々緒)だけが、その気配を察知し、ストレートに邪魔者を排除すると云う展開です。

人前で泣けなくなったらもう大人・・・などというセンスのかけらもない川柳もどきがこれみよがしにちりばめられますが・・・視聴者頼みなのでいい恋愛川柳を応募してあげるといいでしょう。つまり、あえて敷居をさげていると解釈するしかありません。

千代子の差し金で若い男女のお見合いパーティーに紛れ込んだ桜は・・・誰にも相手にされず・・・飲んで飲んで飲んで・・・酔いどれます。そして・・・千代子の用意した市川由衣も一蹴する・・・市川・・・堕ちるところまで堕ちたのか・・・ジゴロの・・・プロのBMXライダー・佐伯広斗(三浦春馬)と一夜を共にしてしまうのだった。

「ねえ、シンデレラ、僕とつきあってよ」

「ぎょえええええっ・・・あなたは王子様なの・・・」

・・・こうして桜はAとB、二人の王子様の間で春から夏までロマンチックな季節を過ごすらしい。

まあ・・・どっちに転んでもそこそこ幸せになれそうだ。そうでない場合は最後は死んで・・・みんなに「いい女だったのに・・・もったいない」と言ってもらえるのかもしれない。

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Kmm001 妄想映画・まこちゃんの女怪盗シリーズ「セーラー服探偵くう」快調撮影中。

まこじぇじぇじぇーっ。この作品にはもったいないのでフジッキーもハルマーもいただいていくのでしゅ~。セーラー服探偵よ、今回はまこちゃんの勝ちですのよ~・・・また逢う日まで・・・腕を磨いて待っていらっしゃ~い~・・・じぇっじぇっじぇ~

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2013年4月11日 (木)

クロユリ団地〜序章〜(佐津川愛美)へと続くST 警視庁科学特捜班(志田未来)・・・続かねえよっ。

すでに映画化とパチンコ化が決定しているという「クロユリ団地」シリーズ・・・。

スタッフのどす黒い心の闇が滲み出て怪しいホラーの匂いがする・・・。

ちなみにクロユリの花言葉は「恋の呪い」である。

一方で、主要人物たちが全員、心を病んでいるというクライム・ストーリーの「ST 警視庁科学特捜班」である。

これで三夜連続、「死後の世界」関連である。

春のお彼岸も終ったし、東京では桜も散ったのにな・・・。

まあ・・・いつ、核ミサイルがとんできてもおかしくないご時勢である。

「死の予感」に怯えながら・・・「死後の世界」を妄想することは・・・心を病んだ現代人にとって一種の快楽と言えるだろう・・・言えるかっ。

で、『クロユリ団地〜序章〜・第1回』(TBSテレビ201309100228~)企画・秋元康、脚本・加藤淳也(他)、演出・中田秀夫を見た。「リング」の中田と「着信アリ」の秋元のタッグである。映画版では前田敦子と成宮寛貴が恐怖の世界の主人公となるのだが、こちらではその前段が語られるらしい。とりあえず、団地に住む子供たちをそんなに怖がらせてどうするつもり・・・というくらい・・・団地住人を見下している姿勢があります。そういうどす黒さが好きな人にはたまらないだろう。

新進気鋭のカメラマン・井村陽介(駿河太郎)が撮影中のスタジオに・・・訃報が届く。

たった一人の肉親である妹・♯村奈緒美(松岡恵望子)が変死したという。

担当した松浦刑事(諏訪太朗)によれば事件性はないと云う。

♯村奈緒美は団地の階上から墜落していて自殺として処理されたらしい。

♯村・・・井村だろうっ。・・・呪われた感じを表現しています・・・そうなのか・・・。

キキ村奈緒美は・・・呪いが深まったな・・・そういうことです。

キキ木寸奈緒美は・・・もういいよ。

井村奈緒美は保育園の保母さんだったが、葬儀に現れた奈緒美の同僚・倉本葉子(佐津川愛美)は最近・・・奈緒美の様子がおかしかったと告げる。

遺品の整理のために♯村陽介は妹の部屋を訪れる。・・・兄貴も呪われたのか・・・。

団地団地団地団地団地団地仄暗い団地団地みすぼらしい団地団地団地薄汚れた団地団地団地紙魚だらけの団地団地団地団地団地団地団地団地団地団地団地団地団地団地団地団地呪われた団地団地団地団地母子家庭が似合う団地団地団地団地団地・・・クロユリ団地である。

キキ村陽介が撮影したモデルの写真に呪いがかかっている悪夢から覚醒した・・・陽介は・・・保育園に遺された奈緒美の私物を返還に来た葉子と再会する。

妹の棲んでいた団地の部屋で・・・故人を偲ぶ二人。

そこへ・・・落下する奈緒美の姿を目撃した不動産屋の佐竹(森下能幸)がやってくる。

「わ・・・私は・・・み・・・見ました・・・卍になって死んでたあの人・・・卍の死体に・・・あの人にアレがしがみついて・・・後頭部からドクドクと血が流れて・・・ひ・・・いる・・・アレがまだ・・・そこにいる・・・悪い事は言いません・・・この部屋には近づかない方がいい・・・ひーっ・・・ひーっ・・・・ああああああ卍卍卍」

突然、こけつまろびつ逃走する佐竹。

唖然とする・・・陽介と葉子・・・。

しかし、すでに陽介はキキ木寸陽介なことになっているようだ・・・。

団地団地団地団地団地団地クロユリ団地団地団地恐怖団地団地呪われた団地団地団地団地逢魔ヶ時の団地団地深夜の団地・・・。

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最後から二番目の恋

最終特快

で、『ST 警視庁科学特捜班』(日本テレビ20130410PM9~)原作・今野敏、脚本・渡辺雄介、演出・佐藤東弥を見た。できればシリーズ化したい感じのスペシャルドラマである。一応、豪華メンバーだが・・・もう一味欲しい感じ。脚本とか・・・犯人のキャスティングとかねえ。単発なら犯人役は芦名星でよかったんじゃないか。

一歩も部屋を出られない捜査官と言えば「リモート」(2002年)の氷室光三郎(堂本光一)が想起されるのだが・・・演出家は一緒である。

あの時は婦人警官・くるみ(深田恭子)が氷室の手足となったわけだが・・・今回はチームである。

それもかなり入り組んだ関係になっている。チームを編成するのが三枝参事官(渡辺篤郎)で・・・包容力のある大人である。

科学特捜班の班長でキャリアの百合根警部(岡田将生)である。優秀な人材だが・・・完璧を求めるあまりに常に自信を喪失しているというリーダー向きではないキャラクターである。

そのためにベテランの菊川吾郎刑事(田中哲司)が補佐役兼捜査一課との連絡役として配置されている。

ここで漸く・・・対人恐怖症で引き籠りの捜査官であり、法医学担当者である赤城左門(藤原竜也)が登場する。

つまり、赤城をお守りするために百合根がいて、その百合根を菊川がお守りするのである。

どんだけ・・・自立していないんだ・・・みんな。

そして・・・三枝参事官もすぐに辞表を提出する百合根警部を「君にしかできない仕事だ」と慰労したりするのである。

百合根と同期のキャリアであり、すでに管理官となっている池田(林遣都)は・・・百合根を完全に見下しているのだった。林遣都はこういう役の方が似合うな。

さて・・・実働部隊である。実質上のヒロインである青山翔(志田未来)は性別不詳で秩序恐怖症を病んでおり、整頓された部屋にいるだけで発狂しそうになるが、プロファイラーとしては天才的能力があり、ほぼ、超能力のレベルで犯罪の核心に迫る。しかし、直感のなせるワザなので説得力は常にゼロなのである。

結城翠(芦名星)は異常聴覚者で閉所恐怖症。遠距離から会話を聞きとり、微妙な声の変化から嘘さえも見抜く。しかし、科学的根拠がないために証拠としては採用されない。

黒崎勇治(窪田正孝)は異常嗅覚者で先端恐怖症。空手の有段者で尖ったものをむけた相手を半殺しにする。アドレナリンさえ嗅ぎわけるデカワンコの進化系である。基本的に山吹としか話せない。

山吹才蔵(三宅弘城)は兼業僧侶。不眠症のために捜査をしていない時には僧侶をしている。比較的ノーマルな人格で・・・黒崎の保護者的役割もこなすのだった。

まあ・・・ある意味、物凄いポンコツチームである。

そのチームが存続をかけて挑むのが「暴力団組織のボスの愛人連続殺人事件」である。

当然、犯人もまたかなりポンコツなのであるが・・・ポンコツとポンコツで歯車がかみ合って行く・・・という展開なのである。

この辺りはもっと笑わせることができると思うが・・・どう考えてもコメディーの題材をシリアスに作っているので全く笑えないのだった。

とにかく・・・最終的にはチームの友情が深まるのである。

捜査官たちの友情なんかどうでもいいから・・・淡々と事件を解決すればいいのに・・・と考えたりしてはいけません。人格を疑われますから。

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2013年4月10日 (水)

幽かな彼女(杏)と霊感教師(香取慎吾)と鴨、京都へ行く。(松下奈緒)

さて・・・ガッキーが来る予定の火曜日なのだが・・・東映ドラマとも言うべき、時代錯誤な「鴨、京都へ行く」はさておき、「幽かな彼女」は普通に面白いのだった。

こ、困るよね。

なんていうか・・・脚本家はSMAPのメンバーの使い方を心得ている感じだな。

原作が仇だった「37際で医者になった僕」は別として、「任侠ヘルパー」(2009年)、「PRICELESS〜あるわけねぇだろ、んなもん!〜」(2012年)、そしてこことオリジナルではハズレなしである。

ヒーロー、些少キズあり・・・という基本設定が上手いのかもしれない。

火曜日は明けて深夜に「どホラー」がTBSである。魔都・京都から、幽霊先生、そして真夜中の恐怖と・・・段々とこわくなっていくというのはなんだか楽しいのである。

・・・というわけで・・・火曜日はペンディングだ。

とにかく、(日)八重の桜、(月)ガリレオ、(土)あまちゃんが決まっている以上、残り四枠は熾烈な争いなんだな。

・・・っていうか、今季も谷間はなしですかーーーっ。

で、『鴨、京都へ行く。〜老舗旅館の女将日記〜・第1回』(フジテレビ20130409PM9~)脚本・森ハヤシ、演出・永山耕三を見た。いろいろな意味で残念な感じである。まず、京都の老舗旅館が残念な感じだし、財務省のキャリア官僚が残念な感じである。ついに・・・初回では官僚を退職するところまでは描かれないのだが・・・この展開で京都オール・ロケならば二束の草鞋を履き続けるのは無理なのである。だから、来週は退職すると思うが・・・それならそこまでは今回、きっちり描くべきだろう。それとも・・・このスタッフはこのふたつの職業が両立すると本気で考えているのかな。

伝統を守って老舗旅館を守ってきた女将(市毛良枝)が急死、京都が肌に合わずに東京大学を経て財務省の官僚となった上羽鴨(松下奈緒)は女友達にそそのかされて週末だけのオーナーとして三億円の借金がある実家の旅館のリニューアルを敢行するのだった。

老舗旅館の経営権を狙う外資系企業のコンサルタント・衣川周平(椎名桔平)は「鴨がネギを背負ってきた」と目を輝かすのであった。衣川の狙いは旅館を経営破綻に追い込み、安く買いたたくことなのだ。

衣川に煽てられ、非情に軽い気持ちで経営合理化に乗り出す鴨は・・・「お金では買えない伝統」をあっさり「破壊」してしまう。

まあ・・・いくら急死したとしても本当に鴨の母親が優秀な経営者なら・・・こういうことにはならないのである。

第一、娘はきっちり型にはめられるのが普通どす。

なにしろ・・・伝統を継続するというのは一朝一夕では不可能だからです。

まあ・・・東京の人間にとっては・・・単なる地方都市の一つに過ぎない京都に住む人々がそういう自覚を持っていないのが面白いところで・・・いわば鴨はその代表として、古都を粉砕していく過程はなかなかに楽しいのである。

しかし、結局、従業員一同が総員退職して・・・逆襲されてしまう。

まあ・・・沈みゆく船とは言え・・・そんなことは生活経済的にあり得ないわけですがね。

ご都合主義の極みだよな。

となると後は・・・女将の会の鈴風(若村麻由美)だの、仲居頭の鞠子(かたせ梨乃 )だの、仲居の紗江(堀内敬子)だの、小娘の優梨愛(岡本あずさ)だの、慇懃無礼で上から目線の怖いお姉さんたちが、主人公を追い込みまくり、主人公はずーっと涙目で過ごすことになるわけである。

京都出身で、そういう感じの好きな一部愛好家にはたまらない展開かもしれません。

まあ・・・全国的にはどうでもいいわな。

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ブラックボード

で、『幽かな彼女・第1回』(フジテレビ201304092210~)脚本・古家和尚、演出・白木啓一郎を見た。一応、「鴨」はコメディーと銘打っているわけだが、ほとんど笑うところがないのに対し、こちらはファンタジーだが笑いどころ満載である。まあ、「ゴーストバスターズ」が好きかどうかという好みの問題は当然あります。

死後の世界が少なくとも、主人公の主観ではあるとしか思えないのに、自分の正気も一応疑っているクールな展開だ。

小原南中学校3年2組担任の神山暁先生(香取慎吾)は所謂一つの霊感体質で、幽霊が見えまくりで困っちゃうタイプなのである。しかし、それは単に自分の頭がとうかなっちゃってるだけだと疑う心も維持しているのである。その上で、浮遊霊やら、地縛霊とかがうようよとしている世界で生きているためにそれなりに対処方法も心得ているのだった。

懐には常に数珠を忍ばせ、お清めのために大量の塩をストックしているのだった。

小原南中学に赴任するために引っ越したマンション「メゾン羽生」の304号室には・・・元・教師の幽霊が地縛霊として棲みついていて・・・アカネ(杏)と名乗る。人懐っこい彼女はやたらと神山暁先生にかまってもらいたがるのである。

そういう人恋しい幽霊がうざい神山暁先生は塩盛りでアカネを責め立てるのだった。

「どうだ・・・どんな感じだ」

「あ、あつい・・・あついんです」

「おとなしくしていろ」

「あ・・・ゆ、ゆるして・・・」

「ふっふふふ」

・・・それじゃ、変態だろう。

しかし・・・自分の死因も忘れてしまったアカネだが・・・熱血教師としての思いだけは強く、生徒に対して消極的な神山暁先生を叱咤激励したりもする。

実は、神山暁先生もかっては熱血教師だったのだが・・・生徒のいじめ問題に介入して問題をエスカレートさせてしまい、いじめられていた生徒からなじられて・・・意気消沈してしまった過去があるのだった。

そして、なぜかその部屋に地縛され、部屋から一歩も出られないアカネに同情の気持ちを抱いたりするのである。

しかし、アカネには浮遊霊の友人の吉岡さん(佐藤二朗)がいて、町の噂話には精通していたりもするのだった。

小原南中学校には副担任の河合千穂(前田敦子)もいて、時々、観察眼の鋭いところを見せ、それなりのキャリアを感じさせたりもする。

もちろん、タテブーにしか見えなくなってしまった大原操緒先生(濱田マリ)もいるのだった。

だが、なんといってもいかにも遣り手な感じの元弁護士という霧澤和泉副校長(真矢みき)は「学校は責任はとれませんが、不正は正します」と言った感じで・・・合理主義を貫き・・・実は人情家である神山暁先生とは対立する気満々なのである。いつもほろ酔い気分という設定なのか・・・いや、単なる厚塗りなんじゃないか・・・若づくりしすぎてるっていう役柄なんだと考えます。

そして・・・3年2組にはちょっとクールな京塚りさ(山本舞香)、少女信長・野本香織(荒川ちか)、不気味なものが見える森野小夜(森迫永依)など時代劇もこなせるジュニアあがりの皆さんをはじめとしたおなじみさんが多数そろっています。

となりの3年1組には本間綾乃(黒崎レイナ)もいます。シャブリ様、ありがとうございます。

で、今回の主役生徒は相田拓途(神宮寺勇太)で、まあ、帝国的な展開です。

仲良しだった祖父の死以来・・・淋しさを埋めるために・・・不良高校生と交際を始めた相田拓途・・・神山暁先生としては関わり合いは避けたかったのですが・・・噂を聞いてなんとか部屋を出て相田拓途を指導したいという、アカネの無駄な努力に感じ入り、ついに重い腰を上げるのです。

吉岡さんは浮遊霊として・・・かなりの霊力を持ち・・・漂泊する霊群を利用して、たちまち相田拓途の居所を突き止めたり、相田拓途のおじいさんの幽霊の声色を使ったりして、神山暁先生を強力にバックアップするのでした。

ちなみに吉岡さんの彼女のメグミ(上間美緒)は本当は「黒の教師」で事故死した葵なんじゃ・・・。この世界では記憶とか曖昧みたいだし・・・。

「神社の賽銭なんか盗んだら・・・バチがあたるぞ、ただの幽霊と違って神霊は執念深いのが多いからな」

「・・・」

「おじいさんが死んでさびしいのはわかるが・・・先生はちゃんとお前のこと見てるからな・・・言いたいことがあったら言えばいいさ・・・」

「・・・」

言葉はなかったけれど先生と生徒の心には少し通路ができたようです。

こうして・・・霊能教師・神山暁先生と幽霊のアカネとの甘い同棲生活がスタートしたのです。

・・・そこかよっ。

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MONSTERS

絶対泣かないと決めた日

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2013年4月 9日 (火)

The Rite(ザ・ライト -エクソシストの真実-)光が闇を隠す儀式(アンソニー・ホプキンス)

つまり、光はけして闇を消し去ったりはしないのである。

光が輝いていようといまいと闇はすべてを満たしている。

光が神の支配するものなら、宇宙を圧倒的に支配しているのが闇であることは言うまでもないだろう。

神と悪魔の永遠の戦いは常に悪魔が勝利し、最後も悪魔が勝って終るのだ。

だからといって、神の栄光に傷がつくものではない。

なにしろ、光は一瞬、輝きを放つからこそ美しいのである。

人間の生命もまた同じである。

神によって約束された永遠の命を慰めに感じるものも多いが、悪魔が誘惑する永遠の地獄の苦しみもまあ、似たようなものですぞ。

で、『ザ・ライト -エクソシストの真実-(2011年劇場公開作品)』(TBSテレビ201304070218~)原作・マット・バグリオ、脚本・マイケル・ペトローニ、監督・ミカエル・ハフストロームを見た。春の谷間も終了である。洋画を一本くらいいれたかったので手頃なコレにしておく。コンクラーベによってベネディクト16世からフランシスコに移譲されたローマ教皇のカトリック教会的な悪魔とそれを追い払うエクソシストの物語である。神と悪魔の戦いと言えば狭義にはコレを指すのであるが、もちろん、プロテスタントも悪魔を追い出すし、異教徒の神は悪魔そのものだったりもするし、わが辺境の列島でも邪気は古来、祓いの対象である。また精神医学の世界では悪魔なんて病気にすぎないということになる。失礼極まりないことである。

クールな若者であるマイケル(コリン・オドナヒュー)は葬儀社の仕事を継承することに疑問を覚え、神学生となる。しかし、クールである以上、神の実在など最初から信じてはいない。彼は幼くして母親を亡くし、すでに神にはうんざりしていたのである。

だが、21世紀になって活発化したカトリック教会の敵(サタン)である悪魔勢力のために、バチカンではエクソシストの養成が急務となり、マイケルはその候補生とされてしまう。

「神を信じていないのに悪魔が信じられるか」というマイケルにカトリック教会は論より証拠とばかりに実戦配備のヴェテラン・エクソシストであるルーカス神父(アンソニー・ホプキンス)の元へとマイケルを送り出すのだった。

猫の町ローマの片隅で細々とエクソシストとして献身するルーカス神父に対し、「疑うもの」としての心を捨てきれないマイケル。ルーカス神父が対決する悪魔憑依中の少女・ロザリア(マルタ・ガスティーニ)の悪魔を祓うよりも、彼女を精神科医師に受診させるべきだと主張する。

そんなマイケルに接近する悪魔憑きの弟を持つジャーナリスト・アンジェリーナ(アリシー・ブラガ)は弟を見捨てた思いから・・・真実を探求しようとする。

やがて、悪魔憑きの少年からマイケルは父・イシュトヴァン(ルトガー・ハウアー)の死を予告される。悪魔たちはみんな地獄耳なのである。

予告通りに父を失うマイケル。やがて、悪魔の化身であるカエルや赤い目のロバの幻覚に襲われるようになったのだった。

一方、父親の子を宿した妊婦であるロザリアはルーカス神父の必死の悪霊(デーモン)退散の祈りも虚しく母子ともども呪いのゴキブリの餌食となってしまう。

失意のルーカス神父の心の空洞に悪魔(デビル)は憑依するのだった。

「神父様・・・私のお人形を祝福して・・・」

ローマを見下ろす小高い丘で幼女に話しかけられたルーカス神父は裸足だった。

そして、幼女を殴り倒すのである。

救いを求めてやってきたマイケルは頼みのルーカス神父が悪魔に憑依されたことを知り、驚愕する。

しかし、悪魔の標的は大天使ミカエルの魂を宿すマイケルだったのである。

マイケルはアンジェリーナとともにルーカス神父に憑依した悪魔と対峙する。

「お前の信じるものは神ではない・・・なぜならお前は私の子だからだ・・・」

幼いマイケルを残して他界した母親を怨むマイケルの心は悪魔の手の内にあった。

しかし・・・マイケルは最後に誘惑を断ち切るのだった。

「我を信じよ・・・」

「私は・・・お前を・・・悪魔を信じる・・・だから神も信じる」

「また・・・そういう感じかよ」

信仰に目覚め、神の加護を受けたマイケルは悪魔を圧倒する。

「名を名乗れ・・・」

「我が名は・・・バール・・・」

「神の御名において命じる、バールよ立ち去れ・・・」

「口惜しや~」

こうして、神の使徒は例によって一時的な勝利をおさめるのだった。

バールとはカナン(シリア)の地を支配した雷神である。

カナンの地を支配したヤーベの民(ユダヤ民族)は「偉大なるバアル」(バール・ゼブル)を「蠅の王」(バール・ゼブブ)に落としめたのだった。

バール、ベルセブル、ベルゼビュートは偉大なる魔王の変名である。

たとえ、神がその名を封印しようとしても、人の口を閉じさせることはできないのである。

そして、神と悪魔の素晴らしいゲームは明日も続くのだった。

いかにも半減期が人間の平均寿命よりも長い放射性物質を人為で制御できるかのように教会は神の勝利を嘯くのである。

しかし・・・現実を知るものは絶望を抱くしか道はないのだった。

なに・・・滅びる時は一瞬である。それほど怖れることはない。

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2013年4月 8日 (月)

鹿児島海ノ侵犯アリ赤間関ノ入寇アリ、夷狄猖獗ノ極、切歯扼腕シ国ヲ憂ウでごぜえやす(綾瀬はるか)

天皇の妹である和宮を14代将軍・徳川家茂に嫁がせ、公武合体を推進させた司令塔として・・・佐幕派とみなされ、攘夷志士の暗殺対象となった岩倉友山は長州勢の京からの駆逐によってようやく一息ついた。

そして、再び天才的な政治家としての力量を発揮し始める。そして朝廷への意見書「叢裡鳴虫」を示すのだった。

その冒頭で・・・「攘夷の未だならざること」を「朝廷を欺瞞する幕吏の処置の失策」と断定する。

そして、自ら推進した和宮の婚姻について、「皇妹の江戸にあるは誠に無用の事たり」と断じるのである。

この辺りのことが「変わり身の早さ」を疑われる要因になるのだが、早い話が情勢を分析し、その時期に最も適切な判断を下しているにすぎない。

凡夫がそれについていけないだけなのである。

とにもかくにもこの鋭利な刃物のような策略家がいなければ、明治維新などなかった・・・と言えるのだった。

「異国の船によって、鹿児島や下関は攻められっぱなしではないか、ああ、何をやっているのだ」

岩倉卿は憂国の思いで猛烈に時世を痛むのだった。

で、『八重の桜・第14回』(NHK総合20130407PM8~)作・山本むつみ、演出・加藤拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに花嫁となり、本作品のヒロインとして春爛漫の表舞台に躍り出る山本八重の新妻ヴァージョンと正四位下前左近衛権中将にして村上源氏の血を引く暗黒公卿・岩倉友山こと岩倉具視の二大イラスト描き下ろし展開でワンダフルでございます。八重、かわいいよ八重でございまするな~。次々とフラグがたちまくるので追い立てられる気分でございましょうが、画伯におかれましてはあくまでマイペースでお願いいたします。

Yaeden014 1865年4月、南軍の首都リッチモンドが陥落し、リー将軍が降伏。米国における南北戦争は北軍の勝利によって集結した。武器商人たちは無用になった中古商品の転売先を求めることになる。元治二年四月(1865年5月)、政情不安を受けて慶応に改元。慶応元年となり閏五月、第14代将軍・徳川家茂が三度目の上洛。第二次長州征伐の名目上の出馬のためであった。これより家茂はその逝去に至るまで大坂城に留まることになる。前年に将軍後見職を免ぜられ、禁裏御守衛総督となった一橋慶喜はこの年に政務輔翼を命じられている。孝明天皇を補佐する中川宮と関白・二条斉敬を中心とした朝廷と、一橋慶喜、京都守護職・松平容保、京都所司代・松平定敬の幕府代理は京都政権とも言える複雑な立場に置かれ、江戸における幕府官僚には疑心暗鬼による危機感が芽生えることになる。しかし、この体制によって開国法案ともいえる安政五カ国条約の勅許も得られ、公武合体は一応の成果を収めるのである。しかし、幕府と朝廷による権力抗争が本格化すると、朝廷と幕府のパイプ役である一橋・会津・桑名体制はたちまち、その存在意義を失うのであった。そうした矛盾を内包しつつ、第二次長州征伐の準備に朝廷と幕府は束の間の合意をもって邁進して行く・・・。しかし、将軍家茂の余命は半年、孝明天皇は一年を残すのみなのである。

大坂城の居室で・・・家茂は一人になった・・・。

この年、家茂は数えで二十歳となる。十三歳で将軍となってから七年の月日が過ぎていた。皇女和宮を正室に迎えてから五年になるが、未だ二人の間に子はない。それどころか家茂にはまだ後継者が一人もいないのである。養子とした徳川茂承は二歳年上である。そのために上洛中も将軍としての勤めを果たさなければならなかった。

大奥を支配する天璋院によって選抜された大奥側女衆が大坂城の奥の間に待機している。しかし、家茂は疲れていた。

家茂は懐中から呼子を取り出し、一振りする。

音もなく忍びのものが現れた。

当代の公儀隠密頭・服部半蔵である。

「三蔵・・・」

家茂は当代半蔵のあだ名を呼んだ。養母・篤姫から受け継いだ隠密頭の支配権によってもっとも心を許せるものが・・・忍びの三蔵だったのである。

「ここに・・・」

「物語などせよ・・・」と家茂は命じた。

「何をご所望なされるか」

「上方の忍びどもはいかにあるか・・・」

「この三蔵・・・上様のご警護をつかまつりますれば・・・噂話ほどにしか存じませぬ」

「それでよい・・・」

「上方には・・・もはや、公儀隠密の手は及びませぬ・・・」

「そうか」

「しかしながら・・・天璋院様の支配による薩摩忍びが代理を務めまする。大奥くのいちの仲野はその一人でござりまする」

「おお・・・あの女か・・・」

家茂は一度、伽ぎを命じた仲野の味を思い浮かべる。

「京の町には薩摩忍びの他に、長州しのび、土佐しのびなども潜んでおりますが、やはり天皇しのびが力をもっておりまする・・・」

「一橋や・・・会津はどうじゃ・・・」

「ふふふ・・・水戸しのびも壊滅し、会津にいたっては・・・所詮、国許の隠し目付け程度のもの・・・児戯に等しゅうございましょう」

「さようか・・・」

「憐れにも・・・ただ踊らされるのみ・・・と申しましょう」

「会津藩預かりの新撰組などは浮き名を流していると聞くぞ・・・」

「あれは・・・所詮ははぐれた忍びのふきだまりのようなものですからな・・・川面に浮かぶ木の葉のようにやがて消えゆく宿命でございましょう」

「はかないのう・・・」

「天皇の忍びとやらはそれほどに・・・手強いか・・・」

「内裏には古来、四鬼と申す忍びが潜んでいるそうでございます」

「うむ」

「家康公以来・・・数多くの公儀隠密が挑みましたが・・・未だその正体を暴いたものはありませぬ」

「隠密たちは・・・どうなったのじゃ」

「帰ったものは一人もおりませぬ・・・」

「それは・・・おそろしいの・・・」

「御意」

「余は不思議であった・・・なぜ・・・徳川の世にあって・・・朝廷が存続しておるのか・・・それが理由か・・・」

「さようでございます。将軍家も上忍である以上、後に先にも実力があるばかりなのでございます」

「義母上様の実力があってもか・・・」

「さあ・・・上に立つものはそれぞれの思惑がございましょうからな・・・」

「ふふふ・・・三蔵・・・上にたっているのは余であるぞ・・・」

「これはしたり・・・三蔵めの口がすべりました・・・」

「よいわ・・・余が飾り物であることなど・・・先刻承知のことじゃからのう・・・」

「・・・」

「さて・・・飾り物は飾り物の勤めをしなければならぬ・・・さがってよいぞ・・・」

将軍が奥の間に向うために立ちあがった時、すでに居室には三蔵の姿はない。

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2013年4月 7日 (日)

あまちゃん、はじめての土曜日(有村架純)

親の心、子知らずと言うが、親だって子供の心を知ることはできない。

しかし、記憶力に優れていれば・・・自分の子供時代をヒントにすることはできる。

もちろん、子供は親のコピーではないので、自分の子供時代そのままではない。

だが・・・子供だからこう考えるかもしれないなあ・・・と推察することはできるのである。

だが、多くの親はそれほど記憶力に恵まれていないので・・・子供の心を読み切れなかったりするのである。

逆に、子供は親の心を空想することができる。

何よりも・・・子供時代の終りとは自分の親にも子供時代があったと推察することによってスタートする場合が多い。

しかし、多くの子供は空想力に欠けるのでそのことに思い当らなかったりする。

そこでドラマによって・・・それに気付く人もいるだろう。

意識されにくい当然のことを示すこと・・・それはドラマの効用の一つだし、「手」なのである。

ヒロインのアキ(能年玲奈)の母・春子(小泉今日子)が少女時代の春子(有村架純)、幼女時代の春子(豊嶋花→田附未衣愛)を用意して・・・お茶の間にじっくりと自分の過去を見せることは素晴らしいことなのである。

春休みの少年少女は親にも青春時代があったことを仄めかし、親たちには自分にも恥ずかしい過去があることを思い出させる・・・クドカンの手際が冴えわたる第1週なのである。

で、『連続テレビ小説・あまちゃん・第1週』(NHK総合20130401AM8~)脚本・宮藤官九郎、演出・井上剛を見た。「あまちゃん」を一日に何度も見てしまう人も多いだろう。そのくらい、魅力的な世界が展開しているのである。ヒロインはいかにも朝ドラマのヒロインだし、ヒロインの母親はいかにも悩める大人である。そしてヒロインの祖母はいかにもツンデレなのである。その・・・ある意味、お約束の設定が・・・クドカンによって魔法の人間関係を形成している。そこに浸っていたい気持ちは理解できる。そしてまた、クドカンである以上、姑息なコネタは散りばめられているのが前提でスタッフたちもその遊び心に乗せられていることがよくわかる。そしてキャストたちはのびのびとしかし、ひたむきに存在感を示していく。一人として使い捨てのキャラクターがいない気配。それを世界はなんとかって呼ぶんじゃないか。

月曜日 私は娘と故郷に真っ赤なスカートで(小泉今日子)

天野春子は理由があって・・・捨てた故郷に・・・娘を連れて帰ってきた。

時間の止まった国のリアス海岸は何事もなかったように春子を迎える。

故郷・北三陸市(架空)は岩手県の三陸海岸に実在しない過疎の田舎町である。

時は大震災発生の三年前である2008年。

春子が開通したばかりの北三陸鉄道に乗って家出してから24年が経過しても、故郷の人々は昨日別れたかのように親しく接してくるのだった。

ただし、春子を見送った高校の先輩・大向大吉(東出昌大)は北三陸駅の駅長(杉本哲太)になっていた。家出した高校生の春子(有村架純)が高校生の娘のいる母親(小泉今日子)になっているのだから・・・やはり時は流れていたのだった。

春子が帰郷した理由は表面上は・・・大向駅長からの「母危篤」のメールだったが・・・それが「嘘」であることは春子にもわかっている。春子は本音を隠しているが・・・なんらかの事情があり・・・春子は鬱屈しているのである。

その事情の一つが「暗くて、主体性がなくて、消極的で、いるのかいないのかわからない」実の娘の存在であるらしい。

しかし、娘のアキ(能年玲奈)は・・・春子が忌み嫌う北三陸市と波長があったらしく・・・急に生き生きとし始めるのだった。はじめての郷土料理「まめぶ」にもなじみ・・・標準語の「えっ」にあたる「じぇ」もたちまちマスターしてしまうのだった。

何よりも春子が苦手とする春子の母親で海女の夏(宮本信子)を気に入ってしまう。

春子は意外な成り行きに驚くのだった。

火曜日 私はウニを八個食べました(能年玲奈)

アキは初対面の夏からウニを振る舞われるが・・・母の春子と祖母の夏の間に穏やかではない感情がわだかまっているのを感じる。アキが孫だと知ると春子は一個五百円のウニ代を請求してきたのである。家族割引付とはいえ美味しいウニをただで食べられないのは困る・・・と困惑するアキだった。説明しよう・・・アキはちょっとアホの子である。

顔文字「(‘ j ’)」が「じぇ」であることを知り、「(‘ jj ’)」が「じぇじぇ」で「(‘ jjj ’)」が「じぇじぇじぇ」であることを知るアキだった。

そして、やたらと親切な駅長さんが母の高校時代の同級生である安部小百合(片桐はいり)と24年前に結婚し、24年前に離婚してバツイチであることを知るのだった。

そんな駅長は春子に・・・「夏の後継者として海女になってけろ」と土下座して哀願するのである。

過疎の町、北三陸市にとって「海女」は重要な観光資源だったのだ。

しかし・・・後継者不足に悩んでいたのである。

アキはウニ取り婆が妖怪ではなかったことに気がつくのだった。もう一度、説明しておきますが・・・アキは古のモ娘でたとえるなら辻ちゃんレベルの愛すべきアホの子です。

そして・・・すでにお茶の間には「かわいいよ、アキかわいいよ」の魔法がかかっています。

水曜日 娘は何かを隠していると思いました(宮本信子)

アキを連れて帰ろうとした春子は娘に拒否されて途方に暮れているように見えて・・・実は最初から途方に暮れているのではないかと野生の勘で察する夏。ナレーション担当者は時々、テレパシー能力があるような気配を感じさせるのだ。

居場所のない春子はクドカンワールドではふてくされた人間の溜まり場として描かれるパチンコ遊技場に入り浸り・・・そこで、都会から脱落してきた若者・足立ヒロシ(小池徹平)と知り合う。重要な登場人物らしいがその正体はまだ不明である。年齢的にはアキの恋人候補なのであろうが、その母親がキョンキョンだけにそっちができてもおかしくないのが恐ろしいのだった。愛があれば年の差なんてだし。ちなみに素顔の能年玲奈の憧れのアイドルは・・・非情に不確実な情報なのでここに詳しくは記述しない。お嬢様が不快になる可能性があるとじいやから審議のランプが点灯中なのだった。

北三陸市からの脱出を試みる春子を何故か阻止する駅長さんである。

その頃、アキは夏ばあちゃんの生活ぶりに心を奪われていたのだった。

午前4時起床。洗顔~散歩。

午前4時半~作業小屋でウニ丼の仕込開始。出来上がった丼を駅長の車で北三陸駅へ。

午前9時~喫茶「リアス」開店。

午前10時~浜へ出て海女として潜水採取業務。

正午~ウニ丼を北三陸鉄道車内にて販売。

午後の短い休息。

午後3時~日没まで潜海女として潜水採取業務。

午後7時半~スナック「梨明日」開店。午後11時半閉店。

午前0時半頃就寝。

ハードスケジュールである。しかし、アキにはその暮らしぶりがとても充実したものに見えるらしい。

アキにはそれが不思議でならないのだった。

「ねえ・・・おばあちゃんはなんで・・・海に潜るの?」

「理由を問うのは哲学的な解答を欲しているからか、否や」

「簡単にお願いします」

「そりゃ・・・海に潜ったら面白いし、なんてったってお金になるもの」

「お金って・・・ウニのこと」

「ウニもあるし・・・宝物もあるし」

アキは海の底に憧れを感じて目を輝かせるのだった。

しかし・・・都会育ちのアキにとっては海は未知の場所である。

海を覗き込んでみても・・・何をどうすればいいかわからないのである。

「見るまえに跳べ/大江健三郎(1958年)攻撃!」

夏はアキを船上から海へ突き落とした。

木曜日 仄暗い海の底から(豊嶋花(6)→田附未衣愛(13))

自分の母親が、自分の娘を、海に突き落とすのを遠望した春子は忌まわしい過去をフラッシュ・バックする。

海女の娘に生まれたものは海女になるのが運命である恐ろしい海辺の町の世界。

たとえ、海が苦手でも、体が弱くても、そんなのは関係ないのである。

海に生きることができなければ死ぬだけという掟なのだった。

そして・・・春子は夏に・・・地獄の海へ放り出されたのだった。

その怨みは今も春子の心を締め付けているのである。

娘のアキもまた・・・心に恐ろしい傷を受けて・・・そして海の呪いをかけられてしまう。

春子は絶望感を伴う恐怖に襲われるのだった。

しかし・・・アキはニコニコして海からあがってくるのだった。説明しよう。アホの子なのである。

「海さ、へえったらよけいなことなんじょ、考えるヒマさねえ、考えたって仕方ねえ。無我夢中でやるしかないべ。そしたらなんとかなんべさ。人間、死にたくねえもんだし、死んだら死んだで仕方ねえもんな」

「うん、めちゃめちゃ気持ちよかった~」

意気投合する祖母と孫だった。

そして、春子は唖然として・・・やがて深刻な疎外感に襲われるのだった。母にも娘にも見放された気分になったのである。

「娘に・・・何すんのよ・・・あんたもなにしてんのよ」・・・地団駄を踏む春子だった。

夏ばあちゃんの海女仲間たちはアキにあることないこと吹き込むのだった。

「春子ちゃんは積木くずしだから・・・」

「・・・」

「あ・・・知らないか、保積ペペの娘が不良になっちゃうやつ」

「そりゃ、丸出だめ夫でねえの。穂積隆信だってばさ」

「あんれ、そうじゃったっけ」

「そんでも・・・なして東京さ帰んないだべさ」

「旦那と上手くいってないのかは~」

アキはアホの子なりに母親を庇うのだった。

「それは・・・私のせいかもしれないです・・・私が地味で暗くて協調性も個性も華もないパッとしない子だから・・・」

「あんれ・・・誰が言ったのそんなこと・・・」

「・・・ママ」

「じぇじぇじぇーっ」

アホの子なので母親の墓穴を掘ってしまうのである。

その頃、夏と春子は24年ぶりの直接対決の時を迎えていた。

母「まったく、お前は四十五にもなって」

娘「四十二です・・・娘の年も覚えてないのかよ」

母「何が娘だ・・・結婚したことも子供を生んだことも音沙汰なしで」

娘「そっちだって・・・父ちゃん死んだこと知らせなかったでしょうが」

母「あん?」(これは・・・実は父ちゃん生きているフラグか?)

娘「久しぶりに帰ったのにお帰りの言葉もない」

母「ただいまって言わないもんにおかえりがいえますか」

口の達者な母親に言い負けてプチ家出をする春子だった。

たどり着いたのは昔からの春子の隠れ家である小さな灯台。

その路面には春子の呪詛の言葉が沁みついている。

海死ね

婆死ね

東京・・・表参道・・・銀座・原宿・六本木・・・から最も遠い辺境の街で流した悔し涙。

そういう春子の屈折した思いとは裏腹にアキはノリノリで夏ばあちゃんの仕事を手伝うのだった。

金曜日 ずっとあなたが好きだった(杉本哲太)

北三陸鉄道でウニ丼販売中のアキは乗車してきた美少女に心を奪われる。

足立ユイ(橋本愛)登場である。父親の足立功(平泉成)は北三陸高校の元教師で春子の恩師であり、現在は岩手県議会議員という地元の名士。

ユイお譲さんは標準語も堪能で、すっかり土地に馴染んで訛り始めたアキと並ぶとどっちが都会育ちだかわからなくなってしまうのだった。

アキはアホの子の本能で・・・ユイの特別な何かを感じ取るのだった。

ちなみに・・・当然のことながら・・・パチンコ屋で春子が知り合った足立ヒロシとユイは兄妹なのである。

ついでに・・・ヒロシの現在の仕事は密漁船の監視をするアルバイトである。

さて・・・やたらと春子に駅長さんがまとわりつくのは・・・下心があったらしい。

「どうして・・・都会に出て行かなかったの?」と問う春子に「お前が帰ってくるのをずっと待ってたんだっぺさ」と愛の告白である。

しかし・・・はぐらかされたのかどうか・・・春子の反応は微妙だった。しかし、まんざらでもないと判断する駅長だった。・・・下心が露呈したので敬称略となりました。

そんな駅長の恋の話はともかくとして、夏ばあちゃんの手伝いをするうちに・・・アキにも知性のようなものが芽生え始めていた。

そして・・・海がきれいで、ウニが美味しくて、乗客が少なくて乗りやすい電車のある・・・この街が存亡の危機にあることを感じ取ったのである。

なんとか・・・したいとアキは思う。

でも何ができるだろう・・・。

どうしていいのか・・・わからない。

そうだ・・・そういう時は・・・何も考えずに海に飛び込むんだ。

アホの子がすることなので良い子の皆さんは真似をしてはいけません。

土曜日 海女さんデビューが決まっちゃった、そん時、私は家を出た(有村架純)

監視していたヒロシの通報で海に駆け付けた祖母と母の前でアキは・・・。

「私、海女になる」と宣言するのだった。

春子よりもさらに商品価値の高い高校生海女の誕生に有頂天になる地元の一同だった。

しかし、当然、春子は待ったをかけるのだった。

「海女さんなんて・・・そんな簡単になれるもんじゃないよ」

「やってみなくちゃ・・・わからないもん」

「なんで・・・あんたは・・・私の娘なのに・・・私の嫌いなものばかり・・・好きになるのよ・・・」

そして・・・ついに語られる春子の家出の真相。

24年前のあの日。北三陸鉄道リアス線の開通式で演説していた・・・当時の北三陸市長(北見敏之)はその前夜・・・天野家を訪れていたのである。

高校生の春子(有村架純)に観光振興のための海女デビューを即しに来たのだった。

春子はうろたえる。幼い春子(豊嶋花)は海女の母親を岸辺で待つのがたまらなく嫌だった。今度は沈んだまま母親が帰ってこないのではと不安で不安で仕方なかったのである。

春子の恐怖心は根付き、小学生(田附未衣愛)となって母親に海女としての実地訓練を受けるようになっても・・・海が少しも好きになれなかったのである。

そして・・・今、このままでは嫌いな海女に強制的にさせられてしまう。

追い詰められた春子は故郷を捨てるしかなかったのである。

「ママ・・・すごい・・・それから・・・一度も帰らなかったなんて・・・」

「だから・・・毎日、家に帰ってくる人と結婚したかったのよ・・・実際、結婚してみると毎日帰ってきても・・・もやしの落ちる音が聞こえるような家庭も・・・煮詰まりすぎちゃった感があるけどねー、そうね、結婚だってなんだってやってみなきゃアレかもね・・・わかった・・・やりたいなら・・・やりなさい・・・でも・・・条件がある。海女をやるのは夏休みの間だけ・・・新学期になったら高校に戻って・・・ちゃんと卒業できるように頑張ること・・・いいわね」

娘・春子の決断に密かに頷く母・夏だった。

子を思わない母などいないのである。

いなくなった娘を・・・母はどれほど思っていたかは・・・まだ語られない。

しかし・・・春子のために用意した海女装束は24年の時の流れを越えて新品同様のまま保管されていたのだった。

かくて・・・都会の学校で黄金の豚となり、存在さえ消滅しかけていたアキは・・・田舎の海であまちゃんへの第一歩を踏み出したのだった。

ああ、面白い。

Am002 関連するキッドのブログ→第一回のレビュー

まこちゃんランド特設ステージ。

まこじいやにジオラマ作ってもらいました・・・

くうこ、これ1/2スケールだよね・・・

シャブリ「心の檻から自由になってリアス線に轢かれたら危険があぶないのでありましたーーーっ

じいや「原子炉内臓H☆Cゲージなので絶対安全ですぞ~」

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2013年4月 6日 (土)

ざっと、火怨・北の英雄 アテルイ伝~SP 警視庁警備部警護課第四係・野望篇・革命篇~リバース警視庁捜査一課チームZ~少女信長(荒川ちか)

ざっとしすぎだろう・・・。

っていうか、女信長まだ前篇じゃないか・・・。

見るべきものは見た気がいたします。

・・・そこかっ。

とにかく・・・「あまちゃん」効果で谷間がどんどんなくなっているのでございます。

脳内ハードディスクがパンパンなんだな。

とにかく、処理しないとうざくて仕方ないと・・・。

ご理解いただけましたかな。

いつか、解き放たれる時が来るんだな・・・。

さ、それは保証できません。

まあ、それもそうか・・・。

で、『火怨 北の耀星アテルイ・前・後篇』(NHK総合20130323PM9~)原作・高橋克彦、脚本・西岡琢也、演出・佐藤峰世(他)を見た。NHKBSプレミアムのBS時代劇からのお下がり放送である。八世紀~九世紀の東北地方の王アテルイと大和朝廷の桓武天皇との攻防を描いた擬似歴史ものである。なにしろ、歴史そのものが非情に不透明なのでほとんど幻想に近いドラマであることは言うまでもない。題材を生かした小説としては高橋克彦の作品よりも 「陸奥の対決 小説・蝦夷征服史/豊田有恒」(1976年)の方が内容に厚みがあります。それは好みの問題だろう。

Ate001_2 大和朝廷という制度がいつの時代にどこまでの地理的な範囲で権力を保持していたかは諸説あるわけである。桓武天皇は云わずと知れた平安京の初代天皇になるわけだが、ここではその権力が北は東北の南部、南は九州までを支配下に治めていたという前提に立つ。七世紀に起こった大陸・半島・列島を巻き込んだ動乱で滅びた半島国家の百済からは同盟を結んでいた列島の大和に多くのものが避難してきた。これは大和朝廷にも少なからず動揺を与え、八世紀には内乱を招く。この後に誕生した桓武天皇政権は当然、軍事的色彩が強かったわけである。大陸からの圧力に抗するために領土拡大は至上命題であり、そのために未開の東北地方が侵略対象となったことは言うまでもない。それは時代の必然だったのである。沖縄の一部県民が日本と言う国家に同化することに抵抗があるように、東北地方にもそれはある。しかし、日本としての一体感はずっと強いとも言えるだろう。それが歴史と言うものだからである。どこからどこまでが日本なのか・・・という問題はいつでも誰が自分を日本人と感じるかということなのである。いつの時代にも「日本人ではありたくない日本人」というものは存在する。しかし、突き詰めて言えば「では何人になりたいのか?」という問いかけが必ず生じるのである。無国籍というものはロマンに過ぎないからだ。しかし、時に権力者は個人に対して否応なく無慈悲である。その時、武器をとって戦うか、それが本当に本人の望むことなのかは永遠に問われ続けられることだろう。そのために人々は「世界」を見る必要がある。近隣には米国や中国がある。はたして・・・あなたはそれらの国で幸せになれますか?

とにかく・・・およそ1200年前・・・桓武天皇(近藤正臣)の支配を拒絶したアテルイ(大沢たかお)やモレ(北村一輝)の一族はまつろわぬ民として征夷大将軍・坂上田村麻呂(高嶋政宏)の遠征軍に敗北し、処刑されたのだった。そして、現代に至るのである。問題は何一つ変わってはいないと考える。

大仏開眼

で、『SP THE MOTION PICTURE~・野望篇(2010年公開)・革命編(2011年公開)』(フジテレビ20130329PM9~)脚本・金城一紀、監督・波多野貴文を見た。連続ドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(2007年)の続編および完結編である。基本的には職業ドラマなのでいくらでも続けることは可能だが・・・もういいのだろう。

ここで描かれるのは権力者の護衛者が権力者となることを夢見る物語である。

同時にそれは「正義」というものの哲学に迫って行くことになる。

警護課第四係機動警護班隊員の尾形係長(堤真一)は政争に敗れてスキャンダルにまみれて死んだ父親の復讐を遂げるために腐敗した政治家の長である麻田内閣総理大臣(山本圭)の汚職を暴力的に公開する一部官僚チームの陰謀に加わる。しかし、同志であった伊達國雄幹事長(香川照之)の目指した大義は政治の粛清ではなく、新たなる権力の奪取であった。

誰もが幸福になる制度などというのが幻想であることは言うまでもない。

なにしろ、人間の中には「みんなが幸せになるのは絶対にいやだ」という者が存在するからである。

そういう者は時には中立者として出現する。

もちろん、井上薫巡査部長(岡田准一)や笹本絵里巡査部長(真木よう子)がその一方の代表であり、ヒーローとして職務を忠実に遂行するのである。

「やっつけちゃいましょう」と彼らはかりそめの勝利を得る。しかし・・・もう一方の代表であり、永遠の敵対者である闇に棲む人々は一瞬、姿を消すだけなのである。神と悪魔の戦争が永遠に続くのにはこういう理由があるのです。

SP

で、『金曜ロードSHOW!・リバース警視庁捜査一課チームZ』(日本テレビ20130405PM9~)脚本・酒井直行、演出・岩本仁志を見た。そもそも、2013年1月16日に発生した「アルジェリア人質拘束事件」によって封印されていた作品である。なぜ、現実の出来事をフィクションに持ち込むのか、局が腰が引けているからである。しかし、内容はなんとか・・・刑事ものの伝統を絶やさないようにしようというこの局のいつものあがきでサスペンスもどきなので・・・このままお蔵入りでも良かったのにと思わないでもない。

独居老人が孤独死していたので遺された金を盗み、目撃者を自殺に見せかけて殺害する凶悪な女子大生を原田夏希が、犠牲となる少女を竹富聖花が演じている。

まさに、松坂桃李、杏の無駄遣いと言えるだろう。

テロ発生で人質が爆弾着衣を着せられてダメなら、踏切事故発生だって駄目なんじゃないの?・・・とは中学生ではないので云わない。

黒の女教師

で、『女信長・前篇』(フジテレビ20130405PM9~)原作・佐藤賢一、脚本・橋本裕志、演出・武内英樹を見た。時代劇不足の昨今・・・こんなもんでもいいか・・・というおバカな時代劇だが・・・「信長のシェフ」より、少し真面目です。「大奥」の奥深さには足りませんな。

ただし・・・少女信長(荒川ちか)の可愛さは必見。

もちろん、上戸彩も多部未華子も巻いたお約束のサラシがあるからでございます。

女優の階段登りましたな~。天晴。

なんていうか・・・浪費四部作・・・みたいな。

とにもかくにも・・・やべっち、ご結婚おめでとうございます。

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2013年4月 5日 (金)

でたらめヒーロー(佐藤隆太)、コンビニ店員(本仮屋ユイカ)、ハローワーク職員(原幹恵)、警官(塚本高史)、スマートさん(秋元黎)

おい、最後は小学生でいいだろう。

とにかく、先行スタートでホッとしたな。

視聴はするけどレギュラー・レビューはしない仕上がりだったもんな。

とにかく・・・こういう物語を作るセンスが基本的にないスタッフだと云うことは判明した。

まあ、深夜番組としてはまあまあだけどな。

悪くはないけど・・・良くはない・・・というのは駄目ってことだよな。

B級スタッフにはB級作品が作れないっていうことがなぜわからないのかっ。

で、『でたらめヒーロー・第1回』(日本テレビ201304042358~)脚本・根津理香、演出・国本雅広を見た。「ライフ」や「絶対彼氏〜完全無欠の恋人ロボット〜」など内向的で自分本位なヒロインを感傷的に描いた脚本家である。当然のことながら・・・社会の底辺を描くことになる。久しぶりの登場でオリジナルなのにほとんど進歩の跡が見られないのは残念なことだなあ。しかし、構成力やセリフにはそれなりにセンスがあるので評価に困るタイプなのである。この作品で殻が破れるといいのだな。ヒロインのコンビニ店員・倉田夏輝(本仮屋ユイカ)程度にハローワークの職員・白井麻里(原幹恵)にも奥行きがあって初回からそれを感じさせないとねえ。

世の中に冷たくされて

一人ボッチで泣いた夜

もうだめだと思うことは

今まで何度でもあった

・・・無職で三十歳を越えた久住健太(佐藤隆太)は社会のクズである。

クズの証明①、闇の金融の人に300万円の借金がある。

しかも、返済方法について一切考える気配がないし、唯一の行動がすでに50万円借りてる悪友の警察官・丹波修司(塚本高史)へさらに借金を申し込むことなのである。

クズの証明②、ハローワークで紹介された紹介先の面接に出向かない。

キューティーハニーに「頑張りましょう」と言われて頑張らない男なんてクズに決まっている。

クズの証明③、老女を突き飛ばしておいて悪態をつく。

本仮屋ユイカに「あやまりなさい」と言われてあやまらない男は最低のクズである。

クズの証明④、唯一の肉親であり親代わりで育ててくれた姉の子供・久住大地(秋元黎)の貯金通帳を勝手に持ち出し、200万円ほどの全額をおろしてしまう。

クズの証明⑤、借金返済のために100万円ほど足りないために競馬の本命に一点買いで全額つっこむ。クズだ、それはクズすぎる。同じ、日本国民を本土の人とか、本土の人じゃない人とか区別してしまうニュース・キャスターと同じ位にクズである。

クズの証明⑥、子供が母親からもらったドロップを強奪する。・・・こういうクズは実在するが主人公である以上、クズに徹してはダメなんだな。もちろん、起承転結で最後に救うのはもちろんだが・・・序盤から憎めないところも見せないと・・・。脚本も演出も主演者もそういう点が分かっていないとしか思えない。

しかし・・・そのドロップは天才科学者・久住恭子博士(ちすん)が開発したファンタジーなスーパー覚醒剤であり、なぜか、健太だけを超人に覚醒させるのだった。

闇の金融の人に命じられ、組織暴力団の麻薬倉庫への潜入を命じられた健太はあっさりと捕縛され・・・最後の思い出にとドロップを口にする。

たちまち、発生する超人化現象。健太は拳銃の弾丸よりも早く行動し、空高く跳躍し、一撃で人間を宙に舞わせる腕力を発揮するのだった。

駆けつけた丹波はおかげで組織暴力団と麻薬を盗んで逃げた闇の金融の人を一網打尽にして大手柄をあげ、健太は借金生活を脱するのだった。

味をしめた丹波はコスプレ合コン用の衣装を健太に着用させ・・・コンビニ強盗事件の現場に送り込むのであった。

コンビニ店員・夏輝の通報で逃げそこなった犯人は思い出作りのために、夏輝の肉体を暴力的に堪能しようとする。

しかし、健太がやってきて・・・その思いは遂げられなかったのである。

「ありがとう・・・」とつぶやき、勝手にヒーローに「ゴーグルZ2号」と命名する夏輝だった。

夏輝が素晴らしいインターネットの世界にアップした動画を見て、クスリの効き目が10分だと発見する丹波だった。

薬物効果の反動で激しい消耗感に襲われる健太。

そこに見知らぬ弁護士・小暮(升毅)がやってくる。

「あなたのお姉さんは事故で他界され・・・遺言で遺児の大地くんをあなたに託すと申されています」

「そんな・・・」

家に戻ると・・・大地は亡き母のために・・・バースデー・ケーキを用意していたのだった。

「死んじゃった人間に誕生日なんてないんだよ」

「でも・・・約束したんだ・・・ボクがケーキを作ってあげるって・・・」

「・・・」

子供には着火しにくいライターを取り上げて・・・キャンドルに火を点じる健太。

クソッタレの世界のため

全てのクズ共のために

終わらない歌を歌おう

ハッピー・バースデイ・ディア・お母さん・・・。

その頃、いかにも怪しい北洋製薬株式会社代表取締役社長・黒木慶(小日向文世)は日本全土を射程距離に収める核ミサイルを配置するような眼差しで部下に久住恭子博士の遺児の捜索を命じていたのだった。

こうして・・・日本のヒーロー史上にまた一人、ニューフェイスが誕生したのである。

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2013年4月 4日 (木)

母。わが子へ~冥途の土産にメイド・カフェ~・・・ちゅるちゅるさん感涙(朝倉あき)

彼女が「純と愛」の地獄からもっとも早く涅槃に至ったと言えるのではないか。

残酷な現実によって心洗われるドラマに登場である。

そして・・・恐ろしい苦境から脱出する役柄なのだった。

朝倉あきは1991年度組である。

ここは夏帆の世代だが・・・上に凄いのが揃っていてややおされぎみである。

他に岡本玲、瀧本美織、逢沢りな、波瑠、真野恵里菜、板野友美などがいる。

第6回東宝「シンデレラ」オーディション(2006年)のファイナリストだが、グランプリの黒瀬真奈美は引退、審査員特別賞の増元裕子も引退している。審査員・・・。

選ばれなかった朝倉アキは「てっぱん」と「純と愛」でヒロインの親友役を確保したり、そこそこのヒロインを演じたりして、しぶとく生き残っている。

女優のルックスは・・・顔立ちと輪郭に左右される。朝倉あきは顔立ちは申し分ないタイプ。しかし、なかなかに最終選考に残れない輪郭なのである。しかし、女優としては逆に大成する場合がある。松嶋菜々子とかね。

もちろん・・・キッドにとっては凄く萌えるタイプなのだった。

で、『春のドラマ特別企画・母。わが子へ』(TBSテレビ20130331PM9~)脚本・井沢満、演出・竹園元を見た。大ヴェテランの脚本に「リセット~本当のしあわせの見つけ方~」の演出家である。オーソドックスだが眠たくはならない。そこそこエッジが効いているのである。「家族八景」とか「コドモ警察」とかのプロデューサーでもあるセンスのなせる技だろう。

門間崇史(仲村トオル)は頑なな男である。住宅関連企業の営業マンとして実績を積んでいるが結婚生活は破綻しかかっている。妻子との距離感が掴めずに傲慢に振る舞い、妻の燎子(紺野まひる )小学生の息子を連れて実家に戻り別居中だった。自分に落ち度はないと放置していると離婚届が送付されてきたのである。

そんな長男を案じるのは入院中の母・千勢(八千草薫 )である。

東日本大震災で一人暮らしの宮城県の家を失い・・・長男の家に転居したのだが・・・そのことが夫婦仲をこじらせたのではないかと案じている。

長男の気難しさを母は知悉しているのだった。

まだ幼い頃、長男は弟を連れて家出をしたことがあった。

夫を事故で亡くした若き日の千勢(越智静香)に再婚話があったからだった。

この強情な息子のために千勢は再婚を断念したのである。

そして歳月が過ぎた・・・千勢は末期がんで病床にある。震災で家と多くの知己を失った千勢にとって気がかりは二人の息子だった。

頑なな長男と、大らか過ぎる次男。やんちゃで手のかかる次男の拓海(玉山鉄二)は東京で消息不明なのである。

崇史は母親が弟ばかりを可愛がると嫉妬したりもするのである。しかも拓海は兄に借金の不始末を残したまま、行方不明なのだった。

長男は離婚、次男は行方不明。死んでも死にきれない心地の母だった。

ついに病院を抜け出した母親は・・・次男と電話で話した時に聞こえた「秋葉原駅のアナウンス」だけを頼りに病の身で捜索を開始するのだった・・・。

最高の離婚」では孫夫婦の離婚を食い止めようとした八千草薫が、今度は息子夫婦の復縁を画策するのだった。八千草薫が決意した以上、関係夫婦は別れたくても別れられない宿命なのだった。

やがて・・・「冥途の土産にメイド・カフェに行ってみたい」と名言を残した千勢は・・・秋葉薔薇のメイド天使あくあ(小池里奈)の導きにより・・・地下アイドル・プロデューサーになっていた拓海と再会を果たすのだった。

「やあ・・・母ちゃん、元気そうだね」

「私・・・もうすぐ死ぬのよ」

「(‘ j ’)(‘ j ’)(‘ j ’)・・・」

母の願いをかなえて同行した崇史は駄目な弟の号泣に胸が疼くのである。

(また・・・弟ばかり贔屓して・・・)とこの期に及んで嫉妬する崇史だった。

弟も駄目な奴だが・・・兄もそこそこ駄目な奴なのである。

駄目な男を支えない女は駄目なのであるが、駄目な女を支えない男も駄目だというテーマが流れ始めるのだった。なにしろ、世の中は本当は駄目な奴らで成立しているからだ。

男と女が支え合うのが理想だが・・・駄目な方を支えてやらないとカップルは成立しないのが真相なのである。

もちろん・・・人はいつでも駄目というわけではないというのがポイントになります。

ずーっと駄目な奴はどこまでいっても駄目なので関わらないようにしましょう。

さて・・・とにかく駄目な二人を支えるために千勢は壮大なプロジェクトによって残りの人生を過ごすことになる。

それは・・・「最後の家族旅行」だった。

痛み止めの薬と旅程にそって病院を確保しつつ・・・夫の生前に家族四人で行った旅行先「松島」をキャンピング・カーで目指す母と二人の息子の旅路である。

その旅の途中、紛れ込むのが・・・雛(朝倉あき)なのである。

未婚だが妊娠している美容師の雛は帰郷中に悪阻で長距離バスを途中下車していたのである。

なんとなく・・・雛をピックアップしてしまう門間一家だった。

「男に逃げられたんだろう」と無遠慮に聞く拓海。

「助けてもらってあれですけど・・・人を傷つけて喜ぶのが趣味なんですか」

「(‘ j ’)・・・」

やがて・・・雛が尋ねるのは・・・雛に対して虐待を重ねた鬼母(冨樫真) であることを知り、本当は優しい拓海の心は揺れ動くのである。

「この女だったら・・・俺にも支えられるかもしれない」・・・出来のいい兄をもって実は劣等感に悩んでいた拓海は福音を得たのだった。

予定外の拾いものをしつつ、母は崇史のために崇史の妻の実家を偶然を装って通りかかる。

そして・・・崇史の妻にこっそりと自分のスマートフォンを託すのだった。

温泉混浴で両性へのサービスを果たした後、拓海と雛は鬼母の元へと向かう。

「中学を出て、東京に行ったきり・・・今更何の用なの」

「私がいなかったら幸せになれるんでしょう」

「お金ね・・・お金ならないわ」

「そうよ・・・お金ちょうだいよ」

決裂する母娘だった。

このままでは・・・お腹の子は堕胎されてしまう・・・。拓海は突然、決意するのだった。

「結婚してくれ」

「(‘ j ’)(‘ j ’)(‘ j ’)・・・」

やがて・・・四人は故郷にたどり着く。

そこには荒涼とした風景が広がっていた。

人が人と身を寄せ合うしかないことを悟らせる景色。

「純と愛」の世界から来た雛はそれを実感したのだった。

つまり、これはある意味「あまちゃん」の先行系なのだな。

そして・・・母は松島で・・・生涯を終えるのだった。

「母ちゃん・・・」

またしても号泣する拓海。

「まだ・・・お義母さんって呼んでないのに・・・」

とつぶやく雛。

崇史は押し寄せる寂寥感に身悶える。

旅は終り・・・崇史は人気のない我が家へ戻る。

その時、着信があって・・・亡き母からのメールが届くのだった。

「手のかかる拓海のためにかかりきりになるたび・・・あなたにさびしい思いをさせてごめんなさい。だから最後のメールはあなただけに送ります。さようなら・・・母より。わが子へ」

涙が止まらない崇史・・・そこへ再び母から着信がある。

電話に出たのは・・・別居中の妻だった。

「君が・・・母から頼まれたのか・・・」

「・・・」

崇史は漸く・・・言うべき言葉を口にする。

「帰ってきてくれ・・・一人はさびしすぎるから・・・」

そこには駄目な男を支える女がいたのだった。

こうして・・・人類はもう少し存続していく。

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2013年4月 3日 (水)

2013年、春ドラマを待ちながら(キッド)

裏庭の桜もすっかり葉桜である。

朝からシトシトと無情の雨が降って、花を散らす頃・・・。

幻想の路面電車だけが桜並木を抜けて行くのである。

あまちゃんの母の故郷はまだまだこれから、桜の季節か・・・ドラマの中は夏だけどな。

っていうか・・・二日目は書かないのかっ。母(小泉今日子)と祖母(宮本信子)の演技力炸裂の静かなる決闘とか、若き日の母(有村架純)またまたサービスとか、ヒロインオーラ爆発寸前の娘(能年玲奈)とか、土下座する元夫婦(杉本哲太・片桐はいり)とか、二枚目枠は東出昌大だけなのかとか、( ‘ j ’ )の秘密とか、うに丼とか・・・書きどころ満載だろっ。

いや・・・危険な匂いがしますから~。

で、って言うし・・・。春子が・・・。

とにかく、(日)は「八重の桜」でいいんだな・・・。

いやあ・・・ガッキーだぜ~。しかも・・・空飛んじゃうんだぜ・・・。

じゃ、「空飛ぶ広報室」にするか・・・いや、谷間待ちで・・・。

(月)「ガリレオ」で・・・。今回、「確証~警視庁捜査3課」は同時スタートなんだな。榮倉奈々と黒川智花だから1回くらいは書きたいな。

(火)ここは「幽かな彼女」が脚本・古家和尚で4/9スタート・・・前田敦子が出る・・・そして大後寿々花と荒井萌の「第二楽章」が4/16スタートだ・・・脚本・金子ありさだけどな。場合によっては中田秀夫監督の「クロユリ団地~序章~」かも・・・佐津川愛美だし。あるいは・・・谷間か・・・日曜日のガッキーが来るには手頃だぜ。

(水)は新枠の「家族ゲーム」・・・バンビと一と忽那汐里・・・脚本次第で面白くなるかも・・・言わば日曜日から戦術的撤退をしてきたわけだからな・・・。敗走かもしれんぞ。「雲の階段」の稲森いずみと木村文乃はいいのかよ・・・いい。雲の階段は確実に踏み抜くと思う。

(木)「筋肉バカ二人」・・・違うだろう・・・殺されるぞ・・・「ダブルス~二人の刑事」は「梅ちゃん」の脚本家・尾崎将也と「純」のヒロイン・夏菜というある意味、夢の顔合わせだけどな。普通、コンビ刑事は知性派と体力派とかだよな。「バカとバカ」では毎回恐ろしいことに・・・。伊藤が正統派バカで坂口が邪道なバカなんだと予想。なんだか・・・面白そうに思えて来た。脱法ドラッグネタは絶対にやってもらいたいよね。

おい・・・「ダブルス」にするのかよっ。いや・・・松田翔太、松岡昌宏、蓮佛美沙子、ミムラという組み合わせ的には「潜入探偵トカゲ」も魅力的・・・。フジッキーもいるから篠原涼子の「ラスト・シンデレラ」ははずせない気がする・・・大塚寧々と菜々緒も出るし・・・。されど「最高の離婚」の後だからな・・・かなりハードル高し・・・。本命はマスターとアニの「でたらめヒーロー」だっ。本仮屋ユイカと原幹恵も出るし・・・。

混戦だな。っていうか・・・木更津キャッツアイの香り高い春なんだな。

・・・海荷の「タンクトップファイター」は?・・・あんぱんち様次第で一回くらいは・・・。

(金)は脚本・櫻井武晴で唐沢寿明と松雪泰子の「TAKE FIVE~俺たちは愛を盗めるか~」・・・。探偵ものと怪盗ものは期待するだけ無駄な感じがするけどな。脚本・大石静で武井咲の「お天気お姉さん」にもその気配はあるよね。じゃ、園子温監督でサトリンの「みんな!エスパーだよ!」か・・・異議なし・・・夏帆だし・・・テレビ東京なんですけれども~。

(土)「35歳の高校生」・・・パス~、パス~、パス~・・・でも視聴率はそこそこ獲りそう。じゃ、「間違われちゃった男」かっ。オジーもキターッ!・・・ぶっさんは、ねえ、ぶっさんは~。とにかく土曜日は谷間候補っていうか・・・「あまちゃん」の日になりそうだよね~。きっとなるよね~。

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Hc002 H☆C恒例の桜の園の宴。

まこ様の春ドラマ

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2013年4月 2日 (火)

あまちゃん、もしも明日が・・・(‘ j ’)ノ ならば(能年玲奈)

1984年と言えば・・・日本の平均寿命が男女とも世界一になった年である。

今となってはめでたいのかどうかもよくわからない。

クドカンは夏には14歳の中学生になっている。

この年、最大のヒット曲は聖子でもチェッカーズでもなく「もしも明日が・・・/わらべ」だった。

それから24年後の2008年。クドカンは「未来講師めぐる」と「流星の絆」を書いている。

それから3年後の2011年、東日本大震災である。

それから2年後の2013年が現在である。

つまり「24年後の2008年」は「2011年の3年前」なのである。

終盤・・・物語は(‘ j ’)ノなことになるのだろうか。

そういう不気味なものを孕みながらそよ風のような朝ドラマ始りました。

で、『連続テレビ小説・あまちゃん・第1回』(NHK総合20130401AM8~)脚本・宮藤官九郎、演出・井上剛を見た。「ちりとてちん」(2007年)の演出家なので安心して見ることができるのだった。ヒロインの天野アキを演じるのは1993年生れの能年玲奈でつまり、序盤はなんちゃって高校生なのであるが、なんちゃって中学生もできそうだぞ。旅先に制服で登場なのは・・・祖母危篤の知らせを聞いて駆けつけたからで喪服代わりなのである。全く説明されないが筋は通っている。

ちなみに・・・もうきれいさっぱり忘れるつもりだったのだが、筋の全く通っていないこの枠の前番組のヒロインからの「恒例のバトンタッチ」についてメモを残しておきたい。

そのためには前番組の前番組から書く必要があるだろう。

梅ちゃん「始れば終るよ・・・撮影はどう?」

純「・・・遊川さんに怒られてつらいです」

そして・・・半年後。

純「・・・撮影はどう?」

あまちゃん「楽しいです」

純「・・・これから放送が始まると、いろんな意見が入ってくると思うけど、負けないで楽しんで頑張ってほしい」

あまちゃん「鉛のバトンが重くのしかかってきたのを実感しました。引き継いで頑張っていきます~」

・・・前期のヒロイン、やはり大変だったんだな。

そんな夏菜の生まれる五年前の1984年7月1日。

岩手県の架空の都市・北三陸市(モデルは久慈市らしい)から18歳の天野春子(有村架純)は開通したてのローカル鉄道に乗って旅立つのだった。

願いがかなって冒頭で有村架純登場である。

しかも、爆笑のかまちんカットである。

松田聖子の出生名・蒲池法子に由来するヘア・スタイルであることは言うまでもないだろう。・・・いや、ほとんどの人が知らないか・・・忘れてるぞ。

ちなみに「時間の国のアリス/松田聖子」は五月にリリース。「涙のリクエスト/チェッカーズ」は一月にリリース。「俺ら東京さ行ぐだ/吉幾三」は十一月にリリースである。

この年、小泉今日子は9枚目のシングル「渚のはいから人魚」から「迷宮のアンドローラ」、「ヤマトナデシコ七変化」「The Stardust Memory」と連続してオリコンヒットチャート1位を獲得している。

ついでにドラマでは二歳年上の役設定の北三陸駅の駅長・大向大吉(杉本哲太)は実際には同学年で、歌手デビューも同じ1982年である。所属グループ紅麗威甦の最後のアルバム「ヨ・ロ・シ・ク四」の発表後、俳優への道を歩み始めた転機の年だった。

そして、今回は未登場だがアキの父親を演じる尾美としのりも同学年。尾美は1982年に映画「転校生」で女男を名演したことは言うまでもない。

さらに言えば・・・1984年はヒロインの祖母・天野夏を演じる宮本信子の亡き夫・伊丹十三が「お葬式」を監督しているのだった。

1984年・・・嗚呼、昭和五十九年である。

Am001 しかし、懐かしい時代は一瞬に過ぎ去り、吉幾三が再評価されたIKZOブームの2008年がやってくる。この年の夏には『崖の上のポニョ』が劇場公開され、「崖の上のポニョ/大橋のぞみ&藤岡藤巻」がそこそこヒットするのだった・・・なんでそこなんだよっ。

大吉からの「お母さんが倒れた危篤だYO(‘ j ’)ノ 喪服あるか?」のメールを76通受けて春子(小泉今日子)は娘のアキを連れて24年ぶりに故郷の街へ戻って来たのである。

長い乗換の果てにローカル鉄道で母の生まれた街にやってきたアキはいかにも由緒正しい汚れなき朝ドラのヒロインなのだった。ちなみに挿入されるアニメーションは鉄拳・担当である。

「これがリアス式海岸・・・でも最近の教科書ではリアス海岸なのね」

北三陸市は海辺の町だった。

アキを出迎えたのはかつ枝(木野花)、弥生(渡辺えり)、美寿々(美保純)、小百合(片桐はいり)という・・・層々たる海女軍団である。漁協の組合長でかつ枝の夫の六郎(でんでん)を加えればもう鉄壁の布陣と言えるだろう。

郷土料理の甘いとも辛いともつかない微妙な美味のまめぶを食べても「まめぶっ」と一言言うだけで一輪の花として引き立つ申し分のないおもてなし環境なのだった。

その表情の一つ一つが「かわいいよ、アキかわいいよ」に誘導されていくのである。

これを見ている前期のヒロインはうらやましくてうらやましくて涙目なんじゃないのかーーーっ。

・・・それはさておき・・・徐々に「赤羽ちゃん」モードに突入して行くアキの母親であった。そして・・・母の夏の危篤が大吉の嘘だと喝破するのだった。

「軽い危篤なんだ・・・」

「メールの(‘ j ’)ノ の時点でアウトなんだよ・・・だから赤いスカートはいてきたんだぜ」

倹しい実家に戻ると・・・お湯を沸かすコンロに火が入ったままである。

「これは・・・味噌汁作ろうとして、わかめが切れてるのに気がついて・・・ちょっと海まで採りにいったね・・・」

推察した春子に命じられ、アキは祖母を海まで捜しに出るのだった。

坂の下の海。駆け降りる女子高生。その控えめな胸のふくらみ・・・。

そそるじゃありませんかーーーっ。

申し分ないじゃありませんかーーーっ。

そして、アキはワカメを首に巻いた海女の夏(宮本信子)にウニをプレゼントしてもらうのだった。

アキは母の故郷が・・・そして祖母が凄く好きになったらしい。

見える・・・私にも見えるぞ・・・今年の紅白歌合戦でアイドルになったヒロインが熱唱している姿が・・・。

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鍵のかかった部屋

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2013年4月 1日 (月)

不戰而屈人之兵、善之善者也でごぜえやす(綾瀬はるか)

「戦わずして勝つのが孫子の兵法」と西郷吉之助が言ったかどうかは別として・・・。

前六世紀に孫武が示したと云われる「孫子」を後漢・魏の曹操が解釈した「魏武注孫子」が所謂、「孫子・十三篇」であり、吉田松陰なども解説書を記している。

まあ、言わば教養ある武士の必読書である。

「是故百戰百勝、非善之善者也。不戰而屈人之兵、善之善者也」は「謀攻篇」からの引用である。

(百戦して百勝することが最善とは言えない。戦わずして敵を降伏させることが善の善なるものだ)と云うような軍事力の優位性による戦闘行為の抑止、あるいは恫喝外交の考え方である。

言わば、「核実験」とか「弾道ミサイル実験」をしてみせて、「援助しろよな」と言うのも孫子の兵法の応用と言えなくもない。

当然のことだが、相手が屈服してこその戦略と言える。

中華人民共産党帝国が我が国領海を冒すのも同様である。

悲しいが、相手と軍事力競争に応じるしか対抗手段はないのである。

孫子の兵法に従えば「敵を知り己を知れば百戦危うからず」でつまり「勝てない戦はしない」のであるから。

結局、我慢比べなのである。我慢できずに先に手を出したら負けであることは言うまでもない。

もちろん、「先手必勝」の教えもある。

だが、「先手必勝」はあくまで、最初の一撃で敵を壊滅できる場合のみに成立する。

総力戦の場合、真珠湾を奇襲した程度では駄目なのである。

で、『八重の桜・第13回』(NHK総合20130330PM8~)作・山本むつみ、演出・末永創を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はただ今、幕府内において海軍事を巡っての権力闘争中であり、名ばかりの海軍奉行・勝海舟と家録1600石で会津藩家老家の中でも大老級の名門・田中家の当主・田中土佐守玄清の二大描き下ろしイラスト一挙公開です。B作が来たので小堺も欲しいところですなーーーっ。いえいえ、けしておねだりではありませんぞ~。画伯におかれましては、あくまでマイペースでお願い申しあげます。

Yaeden013 元治元年(1864年)七月の禁門の変で長州軍が敗北した頃、長州藩の国でも難事が降りかかっていた。前年に攘夷決行のための下関事件があり、その報復として英国軍9隻、仏国軍3隻、蘭国軍4隻、米国軍1隻、全17隻からなる四カ国連合艦隊が八月に下関戦争を勃発させるのである。艦砲射撃による一斉攻撃で長州軍は壊滅的打撃を受ける。長州藩は四カ国に対して無条件降伏する。長州藩の攘夷論者は一掃され、保守的な俗論党が一時主導権を握ることになり、幕府に対して恭順の姿勢を示す。一方、幕府は長州征討の勅命を受け、前尾張藩主徳川慶勝を総督、越前藩主松平茂昭を副総督、薩摩藩士西郷隆盛を参謀に任じて長州征伐を計画する。最終的には36藩から15万の兵力を動員し、十一月に長州への進軍を開始する。これに対して長州は自ら敗北を宣言し、家老の切腹など征討軍の要求を受諾する。幕府は長州の取りつぶしを望んだが、征討軍は停戦を決め、十二月には総督による撤兵令が下された。前線の指揮官たちは兵力の損耗を恐れたのである。幕府軍の解散に乗じ、長州藩では高杉晋作が決起し、挙兵によって俗論党の打破を目指すことになる。そしてついに奇兵隊などが長州正規軍を打ち破り、長州藩は再び倒幕の狼煙をあげるのだった。

佐久間象山の死によって闇に潜んだ科学忍者隊は海軍奉行・勝海舟によって再編されつつあった。その隊長は言わずと知れた浪人・坂本龍馬である。勝海舟は龍馬に命じて東海道の電信線設備を開始していた。

すでに有線電信技術が開発されて20余年、ペリーが将軍家に電信機器を献上して十年が過ぎている。海舟象山共同開発による科学忍法・電気狼煙の術は実用化されていたのである。

影の出資者は言わずと知れた大奥総帥・篤姫である。

江戸・京都の通信は公儀隠密による早飛脚でも片道四日が限度であった。京都の情報が江戸に伝わり、反応が帰るまで八日間を要したのである。

すでに大奥忍びの加勢を得た海舟は江戸・浜松間を開通させ、科学忍者隊の下部組織である海援隊は京都尾張間を開通させている。

幕府長州軍が広島に陣を張っている頃、海援隊は東へ、大奥忍び軍は西へ、東海道五十三次の三十五番目の宿場町・御油宿に向かって疾走していたのだった。

やがて、坂本龍馬は大奥忍びの棟梁・瀧山配下の仲野と邂逅した。

もちろん、龍馬が仲野と一夜を共にしたことは間違いない。

「こちら、江戸」

「こちら、京都」

符牒による電信であるが解読してお届けする。

「勝か・・・篤姫じゃ」

「感度良好でございます」

「例の件・・・いかがなった」

「お指図の通りに、西郷参謀には長州征討に手心を加えるよう申し伝えました」

「それでよい・・・」

「しかし、幕府のためには・・・長州を取りつぶした方が良いのではありませんか」

「安房守・・・そちはアホウじゃの・・・ここで長州がつぶされたら次は薩摩じゃ・・・そうなれば仏蘭西国にたぶらかされている幕府閣僚によってこの国が売られてしまうわ」

「確かに・・・」

「良いか・・・護国などというものは一筋縄ではいかぬのじゃ・・・」

「肝に命じます」

「これから・・・たくさんの血が流され・・・凄惨な慟哭もあり・・・幕府も長州も薩摩もなくなって日本の夜明けが来るのじゃ・・・」

一瞬にして江戸と京都をつなぐ科学忍法の驚異よりも・・・勝海舟は篤姫の天心通の術に恐怖を感じるのだった。

関連するキッドのブログ→第12話のレビュー

篤姫→元治元年の頃

龍馬→元治元年の頃

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