母。わが子へ~冥途の土産にメイド・カフェ~・・・ちゅるちゅるさん感涙(朝倉あき)
彼女が「純と愛」の地獄からもっとも早く涅槃に至ったと言えるのではないか。
残酷な現実によって心洗われるドラマに登場である。
そして・・・恐ろしい苦境から脱出する役柄なのだった。
朝倉あきは1991年度組である。
ここは夏帆の世代だが・・・上に凄いのが揃っていてややおされぎみである。
他に岡本玲、瀧本美織、逢沢りな、波瑠、真野恵里菜、板野友美などがいる。
第6回東宝「シンデレラ」オーディション(2006年)のファイナリストだが、グランプリの黒瀬真奈美は引退、審査員特別賞の増元裕子も引退している。審査員・・・。
選ばれなかった朝倉アキは「てっぱん」と「純と愛」でヒロインの親友役を確保したり、そこそこのヒロインを演じたりして、しぶとく生き残っている。
女優のルックスは・・・顔立ちと輪郭に左右される。朝倉あきは顔立ちは申し分ないタイプ。しかし、なかなかに最終選考に残れない輪郭なのである。しかし、女優としては逆に大成する場合がある。松嶋菜々子とかね。
もちろん・・・キッドにとっては凄く萌えるタイプなのだった。
で、『春のドラマ特別企画・母。わが子へ』(TBSテレビ20130331PM9~)脚本・井沢満、演出・竹園元を見た。大ヴェテランの脚本に「リセット~本当のしあわせの見つけ方~」の演出家である。オーソドックスだが眠たくはならない。そこそこエッジが効いているのである。「家族八景」とか「コドモ警察」とかのプロデューサーでもあるセンスのなせる技だろう。
門間崇史(仲村トオル)は頑なな男である。住宅関連企業の営業マンとして実績を積んでいるが結婚生活は破綻しかかっている。妻子との距離感が掴めずに傲慢に振る舞い、妻の燎子(紺野まひる )小学生の息子を連れて実家に戻り別居中だった。自分に落ち度はないと放置していると離婚届が送付されてきたのである。
そんな長男を案じるのは入院中の母・千勢(八千草薫 )である。
東日本大震災で一人暮らしの宮城県の家を失い・・・長男の家に転居したのだが・・・そのことが夫婦仲をこじらせたのではないかと案じている。
長男の気難しさを母は知悉しているのだった。
まだ幼い頃、長男は弟を連れて家出をしたことがあった。
夫を事故で亡くした若き日の千勢(越智静香)に再婚話があったからだった。
この強情な息子のために千勢は再婚を断念したのである。
そして歳月が過ぎた・・・千勢は末期がんで病床にある。震災で家と多くの知己を失った千勢にとって気がかりは二人の息子だった。
頑なな長男と、大らか過ぎる次男。やんちゃで手のかかる次男の拓海(玉山鉄二)は東京で消息不明なのである。
崇史は母親が弟ばかりを可愛がると嫉妬したりもするのである。しかも拓海は兄に借金の不始末を残したまま、行方不明なのだった。
長男は離婚、次男は行方不明。死んでも死にきれない心地の母だった。
ついに病院を抜け出した母親は・・・次男と電話で話した時に聞こえた「秋葉原駅のアナウンス」だけを頼りに病の身で捜索を開始するのだった・・・。
「最高の離婚」では孫夫婦の離婚を食い止めようとした八千草薫が、今度は息子夫婦の復縁を画策するのだった。八千草薫が決意した以上、関係夫婦は別れたくても別れられない宿命なのだった。
やがて・・・「冥途の土産にメイド・カフェに行ってみたい」と名言を残した千勢は・・・秋葉薔薇のメイド天使あくあ(小池里奈)の導きにより・・・地下アイドル・プロデューサーになっていた拓海と再会を果たすのだった。
「やあ・・・母ちゃん、元気そうだね」
「私・・・もうすぐ死ぬのよ」
「(‘ j ’)(‘ j ’)(‘ j ’)・・・」
母の願いをかなえて同行した崇史は駄目な弟の号泣に胸が疼くのである。
(また・・・弟ばかり贔屓して・・・)とこの期に及んで嫉妬する崇史だった。
弟も駄目な奴だが・・・兄もそこそこ駄目な奴なのである。
駄目な男を支えない女は駄目なのであるが、駄目な女を支えない男も駄目だというテーマが流れ始めるのだった。なにしろ、世の中は本当は駄目な奴らで成立しているからだ。
男と女が支え合うのが理想だが・・・駄目な方を支えてやらないとカップルは成立しないのが真相なのである。
もちろん・・・人はいつでも駄目というわけではないというのがポイントになります。
ずーっと駄目な奴はどこまでいっても駄目なので関わらないようにしましょう。
さて・・・とにかく駄目な二人を支えるために千勢は壮大なプロジェクトによって残りの人生を過ごすことになる。
それは・・・「最後の家族旅行」だった。
痛み止めの薬と旅程にそって病院を確保しつつ・・・夫の生前に家族四人で行った旅行先「松島」をキャンピング・カーで目指す母と二人の息子の旅路である。
その旅の途中、紛れ込むのが・・・雛(朝倉あき)なのである。
未婚だが妊娠している美容師の雛は帰郷中に悪阻で長距離バスを途中下車していたのである。
なんとなく・・・雛をピックアップしてしまう門間一家だった。
「男に逃げられたんだろう」と無遠慮に聞く拓海。
「助けてもらってあれですけど・・・人を傷つけて喜ぶのが趣味なんですか」
「(‘ j ’)・・・」
やがて・・・雛が尋ねるのは・・・雛に対して虐待を重ねた鬼母(冨樫真) であることを知り、本当は優しい拓海の心は揺れ動くのである。
「この女だったら・・・俺にも支えられるかもしれない」・・・出来のいい兄をもって実は劣等感に悩んでいた拓海は福音を得たのだった。
予定外の拾いものをしつつ、母は崇史のために崇史の妻の実家を偶然を装って通りかかる。
そして・・・崇史の妻にこっそりと自分のスマートフォンを託すのだった。
温泉混浴で両性へのサービスを果たした後、拓海と雛は鬼母の元へと向かう。
「中学を出て、東京に行ったきり・・・今更何の用なの」
「私がいなかったら幸せになれるんでしょう」
「お金ね・・・お金ならないわ」
「そうよ・・・お金ちょうだいよ」
決裂する母娘だった。
このままでは・・・お腹の子は堕胎されてしまう・・・。拓海は突然、決意するのだった。
「結婚してくれ」
「(‘ j ’)(‘ j ’)(‘ j ’)・・・」
やがて・・・四人は故郷にたどり着く。
そこには荒涼とした風景が広がっていた。
人が人と身を寄せ合うしかないことを悟らせる景色。
「純と愛」の世界から来た雛はそれを実感したのだった。
つまり、これはある意味「あまちゃん」の先行系なのだな。
そして・・・母は松島で・・・生涯を終えるのだった。
「母ちゃん・・・」
またしても号泣する拓海。
「まだ・・・お義母さんって呼んでないのに・・・」
とつぶやく雛。
崇史は押し寄せる寂寥感に身悶える。
旅は終り・・・崇史は人気のない我が家へ戻る。
その時、着信があって・・・亡き母からのメールが届くのだった。
「手のかかる拓海のためにかかりきりになるたび・・・あなたにさびしい思いをさせてごめんなさい。だから最後のメールはあなただけに送ります。さようなら・・・母より。わが子へ」
涙が止まらない崇史・・・そこへ再び母から着信がある。
電話に出たのは・・・別居中の妻だった。
「君が・・・母から頼まれたのか・・・」
「・・・」
崇史は漸く・・・言うべき言葉を口にする。
「帰ってきてくれ・・・一人はさびしすぎるから・・・」
そこには駄目な男を支える女がいたのだった。
こうして・・・人類はもう少し存続していく。
関連するキッドのブログ→とめはねっ! 鈴里高校書道部
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