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2013年4月 9日 (火)

The Rite(ザ・ライト -エクソシストの真実-)光が闇を隠す儀式(アンソニー・ホプキンス)

つまり、光はけして闇を消し去ったりはしないのである。

光が輝いていようといまいと闇はすべてを満たしている。

光が神の支配するものなら、宇宙を圧倒的に支配しているのが闇であることは言うまでもないだろう。

神と悪魔の永遠の戦いは常に悪魔が勝利し、最後も悪魔が勝って終るのだ。

だからといって、神の栄光に傷がつくものではない。

なにしろ、光は一瞬、輝きを放つからこそ美しいのである。

人間の生命もまた同じである。

神によって約束された永遠の命を慰めに感じるものも多いが、悪魔が誘惑する永遠の地獄の苦しみもまあ、似たようなものですぞ。

で、『ザ・ライト -エクソシストの真実-(2011年劇場公開作品)』(TBSテレビ201304070218~)原作・マット・バグリオ、脚本・マイケル・ペトローニ、監督・ミカエル・ハフストロームを見た。春の谷間も終了である。洋画を一本くらいいれたかったので手頃なコレにしておく。コンクラーベによってベネディクト16世からフランシスコに移譲されたローマ教皇のカトリック教会的な悪魔とそれを追い払うエクソシストの物語である。神と悪魔の戦いと言えば狭義にはコレを指すのであるが、もちろん、プロテスタントも悪魔を追い出すし、異教徒の神は悪魔そのものだったりもするし、わが辺境の列島でも邪気は古来、祓いの対象である。また精神医学の世界では悪魔なんて病気にすぎないということになる。失礼極まりないことである。

クールな若者であるマイケル(コリン・オドナヒュー)は葬儀社の仕事を継承することに疑問を覚え、神学生となる。しかし、クールである以上、神の実在など最初から信じてはいない。彼は幼くして母親を亡くし、すでに神にはうんざりしていたのである。

だが、21世紀になって活発化したカトリック教会の敵(サタン)である悪魔勢力のために、バチカンではエクソシストの養成が急務となり、マイケルはその候補生とされてしまう。

「神を信じていないのに悪魔が信じられるか」というマイケルにカトリック教会は論より証拠とばかりに実戦配備のヴェテラン・エクソシストであるルーカス神父(アンソニー・ホプキンス)の元へとマイケルを送り出すのだった。

猫の町ローマの片隅で細々とエクソシストとして献身するルーカス神父に対し、「疑うもの」としての心を捨てきれないマイケル。ルーカス神父が対決する悪魔憑依中の少女・ロザリア(マルタ・ガスティーニ)の悪魔を祓うよりも、彼女を精神科医師に受診させるべきだと主張する。

そんなマイケルに接近する悪魔憑きの弟を持つジャーナリスト・アンジェリーナ(アリシー・ブラガ)は弟を見捨てた思いから・・・真実を探求しようとする。

やがて、悪魔憑きの少年からマイケルは父・イシュトヴァン(ルトガー・ハウアー)の死を予告される。悪魔たちはみんな地獄耳なのである。

予告通りに父を失うマイケル。やがて、悪魔の化身であるカエルや赤い目のロバの幻覚に襲われるようになったのだった。

一方、父親の子を宿した妊婦であるロザリアはルーカス神父の必死の悪霊(デーモン)退散の祈りも虚しく母子ともども呪いのゴキブリの餌食となってしまう。

失意のルーカス神父の心の空洞に悪魔(デビル)は憑依するのだった。

「神父様・・・私のお人形を祝福して・・・」

ローマを見下ろす小高い丘で幼女に話しかけられたルーカス神父は裸足だった。

そして、幼女を殴り倒すのである。

救いを求めてやってきたマイケルは頼みのルーカス神父が悪魔に憑依されたことを知り、驚愕する。

しかし、悪魔の標的は大天使ミカエルの魂を宿すマイケルだったのである。

マイケルはアンジェリーナとともにルーカス神父に憑依した悪魔と対峙する。

「お前の信じるものは神ではない・・・なぜならお前は私の子だからだ・・・」

幼いマイケルを残して他界した母親を怨むマイケルの心は悪魔の手の内にあった。

しかし・・・マイケルは最後に誘惑を断ち切るのだった。

「我を信じよ・・・」

「私は・・・お前を・・・悪魔を信じる・・・だから神も信じる」

「また・・・そういう感じかよ」

信仰に目覚め、神の加護を受けたマイケルは悪魔を圧倒する。

「名を名乗れ・・・」

「我が名は・・・バール・・・」

「神の御名において命じる、バールよ立ち去れ・・・」

「口惜しや~」

こうして、神の使徒は例によって一時的な勝利をおさめるのだった。

バールとはカナン(シリア)の地を支配した雷神である。

カナンの地を支配したヤーベの民(ユダヤ民族)は「偉大なるバアル」(バール・ゼブル)を「蠅の王」(バール・ゼブブ)に落としめたのだった。

バール、ベルセブル、ベルゼビュートは偉大なる魔王の変名である。

たとえ、神がその名を封印しようとしても、人の口を閉じさせることはできないのである。

そして、神と悪魔の素晴らしいゲームは明日も続くのだった。

いかにも半減期が人間の平均寿命よりも長い放射性物質を人為で制御できるかのように教会は神の勝利を嘯くのである。

しかし・・・現実を知るものは絶望を抱くしか道はないのだった。

なに・・・滅びる時は一瞬である。それほど怖れることはない。

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