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2013年5月31日 (金)

私のお墓の前に苺大福をお供えしてください~ありがとうブラックホーク(新垣結衣)

幽かに「あまちゃん」の香りがするんだが・・・。ユイ(橋本愛)が元歌を歌ってなかったか?

見逃してくれよ~。

・・・ついに来たプラックホーク回。航空自衛隊はUH-60でもUH-60Jで愛称はロクマルらしい。

ブラックホークといえば映画「ブラックホーク・ダウン」(2001年)だけに墜落しないかとヒヤヒヤしたぞ。

しかし、ヘリコプターと言えば風。風と言えばパンチラなのに・・・なぜ、ガッキーはミニスカをはかないのかっ。

それは・・・明日な。

だって、ただ今、ローカルで再放送中の「太陽にほえろ!」(1973年)の第102話「愛が終わった朝」(脚本・市川森一)なんて冒頭から雨に濡れたシンコ(関根恵子)が呼び出されたボス(石原裕次郎)の部屋でお着替え・・・下着姿をサービス、サービスなんだぜ。もう、小学生男子はノックアウト間違いなしなんだ。

ふっ・・・時代がな。・・・大体、何と比較してんだよ。

とにかく・・・不謹慎だといろいろとさしさわるドラマなんだよ。察しろよっ。

わかった。・・・「みんエス」まで我慢する。

それにしても・・・連係するU-125AとUH-60J・・・かっこよかったなあ。

うん、かっこよかった。

もう、それだけで満足だよな。

「海猿」みたいな「航空自衛隊物語」・・・見たいよねえ。

で、『日曜劇場 空飛ぶ広報室・第7回』(TBSテレビ20130526PM9~)原作・有川浩、脚本・野木亜紀子、演出・山室大輔を見た。まあ、ドラマだからアレなんだけど・・・情報番組でここまで自衛隊関係に入れ込んでいる局が見当たらないのだが。NHKなんてもう少し、防衛問題に時間を割くべきなんだよな。来るべき本土防衛に備えて何が足りていて何が足りていないのか・・・国民の皆さまに告知する必要があるのではないかしら。とにかく、中国政府は別としても中国軍はやる気満々だし、軍の暴走なんてえものはお約束なんだからな。

とにかく、帝都テレビの情報番組「帝都イブニング」の稲葉リカ・ディレクター(新垣結衣)は防衛省航空幕僚監部総務部広報室に緊密取材を敢行するのである。特に広報官のスカイこと空井大祐2等空尉(綾野剛)には公私ともに興味津々なのである。ま、ある意味甚だしく公私混同の気配もあります。

今回、広報室の面々に稲ぴょんとまで親しまれているリカが取材するのは・・・広報室が製作する航空自衛隊の自衛官募集のためのプロモーション・ビデオである。

そもそも、古においては広報とはパプリック・リレーションズ(PR)の訳であり、宣伝(CM=コマーシャル・メッセージ)とは一線を画するものなのだが、最近はその定義も曖昧である。

広報と宣伝の間に広告(advertisement)という言葉もあり、その境界線をさらに不明確にする。

新聞に意見広告を掲載すればそれがあたかも報道の一種であるような錯覚さえ受け手に与えるわけである。

情報のジャンルを分別するためにメディア・リテラシー(受け手の読み書き能力の向上)が求められるのは言うまでもないが、国家戦略としては世論の誘導についても考慮する必要がある。

国際関係を円滑に進めるためにも対外的な広報活動は必要だし、国内活動をスムーズに進めるためには広報活動によって国民の理解を求めなければならない。

それが一般教養として根付くまでには地道な努力が必要なのである。

めざせ、小学生のなりたい職業・第一位・航空自衛官なのである。

それはちょっと・・・と目をそらすあなたは・・・愛国心が完全に欠如しています。

・・・それはどうかな。

まあ、人間、向き不向きがありますからね。

かって・・・航空自衛官に顔をそむけるどころか・・・まったく無関心だったリカだったが・・・スカイや広報室の人間と顔を合わせるうちに・・・忘れてはいけないことがそこにあることを感じ始める。そして、それはリカの意識さえも変革していくのだった。

帝都テレビの報道局記者・香塚ともみ(三倉茉奈)は左遷されたかっての同僚のリカに優越感を感じたいのだが・・・新しい職場で生き生きと働くリカに違和感を覚えるのだった。

「どうしてよ・・・あんな文化のどぶさらい事業みたいな情報局でやる気がでるわけ?」

「村上春樹かよっ」とツッコミながら、共通の友人である藤枝敏生アナウンサー(桐山漣)は「取材対象に真摯に向き合えば・・・どんな出来事にも価値は生じてくる・・・あいつは何かをつかんだんじゃないのかな・・・それがうらやましく思える時があるよ」

ともみは藤枝アナの指摘に戸惑うのだった。

広報室でリカは鷺坂室長(柴田恭兵)に素朴な疑問を投げかける。

「公的な機関があえて・・・職務を広告宣伝する意味があるのでしょうか」

「それは微妙な質問ですね。しかし、ひとつの組織が活動する時に・・・その現場で周囲の人々に理解されている場合と・・・そうでない場合、どちらが効率的だと思いますか。我々はかって・・・人を助ける力を持ちながら・・・それを使用することを許されなかったことさえあるのです」

「平成七年(1995年)の阪神淡路大震災における救援活動ですね」

「その通り、法的整備が遅れ、肝心な時に自衛隊が出動できないという事態が発生しました」

「しかし、その後、法整備が充分に進んだとは言えませんよね」

「その通りです。しかし、自衛隊に対する意識は確実に変化してきたと言えるでしょう」

「それは次の大災害発生に備えたことになるのでしょうか」

「求められずに助けるのと・・・求められて助けるのとでは結果に大きく差が出るとは思いませんか」

「救助のために差し伸べた手を掴んでもらえるかどうか・・・ということでしょうか」

「そうです・・・そのために我々は皆さまの自衛隊であることをアピールしなければならないのです」

その後、何をアピールするべきかを検討した広報室では航空救難団(通称・メディック)の存在に注目する。

百里基地の救難隊への打ち合わせに同行したリカは佐伯1等空尉(鈴木亮平)へのインタビューによって「家族を持つ隊員が家族を残して生命の危機が生じる現場へ出動する意味」に疑問を感じるのだった。

「いざという時に家族を残して現場に行くのが仕事ですから」

「もしもの場合のことは考えないのですか」

「死なないようにするために・・・訓練するのです」

猛特訓するメディック志願者たちと・・・家族の写真を大切にする佐伯隊員の心情をつかみかねるリカ。

そこで佐伯隊員は家族からもらった神社のお守りとは別にもう一つのお守りを示す。

「お母さんを助けてくれてありがとう」

それはかって救難活動によって救助した女性の子供からの感謝の手紙だった。

「こういうことがある以上、職務を遂行しないわけにはいきません」

リカは正解のない迷いの森に踏み込んだような気がした。

片山1等空尉(要潤)の発案により・・・おしゃれなバーに屯する若者たちが実は救難隊員だった・・・という趣向のプロモーション・ビデオが製作される。

しかし、できあがった作品に航空幕僚監部航空幕僚長・浅野(モト冬樹)を始めとする幹部たちは眉をひそめる。

「飲酒運転になるんじゃないか」

「ウーロン茶です」

「しかし・・・バーで遊んでいたわけでしょ・・・」

「・・・」

作品はボツになった。

一方、撮影に参加した柚木 (水野美紀)とリカはバーでつかのまのガールズトークを楽しむのだった。

「スカートなんかはいたから・・・つかれたよ」

「しかし・・・乙女心が少しは顔を出したんじゃないですか」

「稲ぴょんはどうなのよ・・・」

「私は・・・乙女心全開でアタックしたら玉砕したばかりです」

「玉砕はいかんねえ・・・せめて戦術的撤退にしないと」

スカイに拒絶されたリカはますます仕事にのめり込む。

職務の全うと家族との絆について・・・最も気になる題材について踏み込む決心をしたリカだった。

不治の病を抱える病床の妻を残し、阪神淡路大震災時の出動に備えて待機態勢中に・・・妻の容態が急変・・・その最後を看取ることができなかった鷺坂へのインタビューを行うのである。

「妻に最後に会ったのは・・・死の前日のことでした・・・次に見舞いに来るときは苺大福を買ってきてと妻は云いました。そして・・・次の日の早朝・・・阪神淡路大震災が発生したのです。私は出動のための待機体制に入りました。その最中に病院から知らせが入ったのです。北北西に進路をとれっと叫びたかった。彼女の元へ飛んで行きたかった。しかし、私は行きませんでした。でも・・・最後の日に妻は笑顔で私を送り出してくれましたし・・・私も笑顔で応えることができた・・・それだけが慰めです。任務が終了し・・・私は苺大福を求めて街を彷徨いました。どこもかしこも売り切れてました。でも、たとえ売っていたとしても・・・食べて喜んでくれる人はもういなかったんですけどね」

亡き妻の鷺坂雪子(霧島れいか)の遺したスケッチ・ブックを抱きしめる鷺坂だった。

「途中、なんで東京キッドブラザースをまぜたんですか」

「すみません・・・慟哭しそうになったので」

立ち会っていたスカイはすでに慟哭していた。

追えば追うほど・・・その心に手が届かない気になるリカだった。

「こんな取材に意味があったんでしょうか・・・ただ鷺坂さんの古傷に触れただけのような気がします」

上司であるチーフディレクターの阿久津(生瀬勝久)に教えを請うリカ。

「これをオンエアの素材と考えるかどうかは別として・・・お前の中で何かが変わったら・・・それには意義があるのじゃないか」

「・・・」

「しかし・・・対象に深入りするのは危険だぞ。対象も自分も見失う恐れがあるからな」

阿久津はリカの成長を優しく見守る理想の上司なのである。ただし、自分の家庭は破綻の危機にあるのだった。

その時、ともみからリカに緊急連絡が入る。

「事故があって・・・ものすごいヘリが飛んできたんだけど・・・どこの所属かわかる?」

「ヘリだけなの?」

「ものすごい飛行機も一緒に飛んでる」

「それはおそらく・・・救難捜索機のU-125Aね。UH-60Jヘリコプターとユニットを組んでいるので航空自衛隊の救難団所属だと思うわ。データを送るので確認して」

広報室では各局の報道をチェック中。

「山岳救助隊だと思われているな」

「百里基地の救難隊なのに・・・」

しかし・・・帝都テレビの記者だけが正しい事実を伝えるのだった。

「見事な救援活動をしたのは航空自衛隊の百里基地から出動した救難隊のヘリコプターと双発ジェット機の模様です」

「やった・・・」喜ぶ広報室のメンバーたち。無料の広告を獲得したのである。

「稲ぴょんだ・・・稲ぴょんです」憑かれたように直感を口走るスカイだった。

自分たちのことを理解してくれる人がいる。感動はスカイを走らせるのだった。

スカイは全力疾走でリカの元へ走り込む。

「僕と乾杯してください」

「え」

「もう・・・遠慮なんかしていられない・・・リカさんと一杯やりたい気分なんです」

「・・・」

二人は祝杯を酌み交わすのだった。そこへ通りかかる女連れの藤枝アナウンサー。

彼がリカの恋人だと勘違いしているスカイはあわてふためくのだった。

「また・・・違う女を連れてる・・・友達としてはいい奴なんだけどねえ」と淡々と語るリカ。

誤解が解けたスカイは成層圏を離脱した気分を感じるのだった。

「僕・・・月へ到着しそうな気分です」

「え・・・」

理解に苦しみながら微笑みを返すリカ。

リカとスカイ・・・二人が一つの障壁を乗り越えた瞬間だった。

関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

Sk006 H☆Cドラマスペシャル「行け!救難隊」妄想撮影中。

まこ稲ぴょん稲ぴょんとぴょんぴょんはねる空井くんがかわゆいのだジョ~。まこのハートはキュンキュンなのでしゅ~。鷺坂夫妻の愛の絆の洗礼を受けた二人・・・男と女では感じ方が違うかもしれないけれど・・・そこは愛の力でノリノリになるのでしゅか~?・・・まこたちは女子救難隊員として遭難者を救って救って救いまくるのでしゅ~。エリ姉ちゃんはドクターヘリごっこで慣れてるみたいでしゅよ~

くう泣かされちゃうよね~・・・ベタな鷺坂さんの愛妻物語で涙・・・そして、スカイを愛するが故に航空自衛隊を愛し・・・航空自衛隊を愛するが故にヘリコプターを愛し・・・詳しくなっちゃったから・・・彼らの存在を知らしめることができたリカに涙・・・そして・・・誤解が解けて喜ぶ空井くんの清々しさに爽やかな気持ちになったよ・・・それにしても八重の桜でも泣きまくりここでも泣く綾野くん・・・涙枯れ果てそう・・・

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2013年5月30日 (木)

家族ゲーム~父と子に美女貂蝉を与える作戦~(櫻井翔)

擬似歴史小説である「三国志演義」の系譜に登場する中国四大美女の一人、貂蝉(ちょうせん)・・・。

権力者・董卓とその養子で天下無双の英雄・呂布の父・養子関係を引き裂くために送り込まれた絶世の美女である。

貂蝉は父と子の両方に愛の罠(美女計)を仕掛け、二人の協力関係の破壊工作(離間計)に成功する。

貂蝉の愛に溺れた呂布は養父・董卓の殺害に至るのだった。

虚構史上有名なこの計略は「美女連環の計」とも呼ばれている。

一つの獲物を二人のプレイヤーに争わせる計略は三国志演義において「二虎競食の計」や「駆虎呑狼の計」などにも見られる。いずれも呂布がらみで「はめられまくる男」なのですな。

ゲームには協力ゲームと非協力ゲームがあるが、協力ゲームの中で三人目のプレイヤーが「漁夫の利」を目指すのがこの作戦である。

たとえば仮に中国の総合力が2で、米国が2、日本が1だった場合、中国は協力が合意されている日米同盟に対してマイナス1ポイントとなる。そのために中国は日米同盟を解消させ、米国と対等、日本にプラス1ポイントと優位を確立するためにありとあらゆる計略を駆使するのである。

できれば、米国と日本を争わせ、お互いに1ポイントを消失させ、中国2、米国1、日本0を目指すのが理想である。

こうなれば日米同盟が復活しても2対1で中国の優勢は動かない。

世界各国はそういうゲームをしているのでございます。

で、『家族ゲーム・第7回』(フジテレビ20130529PM10~)原作・本間洋平、脚本・武藤将吾、演出・岩田和行を見た。協力ゲームの中で交渉は重要な要素である。結婚もまた協力ゲームであると言える。結婚そのものには役割分担における厳密なルールはない。男女が合意によって婚姻届を提出すれば結婚は成立する。しかし、実際には様々な暗黙の了解があるのである。たとえば・・・経済的な負担と家庭経営の分業である。もちろん、個人企業経営の場合は古くから男女の差異は少ないと考えることができる。農家では男手が重視されるものの農作業を夫婦共同ですることは日常的である。田植えには早乙女がつきものだったのする。また「髪結の亭主」がヒモの様相を呈したりもするわけである。しかし、経済界の「男社会」は歴史的にかなり長い期間を支配している。それによって専業主婦が誕生したのである。

沼田家の主婦・佳代子(鈴木保奈美)は昭和43年(1968年)生まれである。昭和40年代は経済成長による労働力不足のために夫婦共稼ぎの家庭が増加し、「鍵っ子」という流行語も生まれている。中流家庭では夫の経済力に依存できる家庭は一種のステイタスを持っていたのである。つまり、そのシンボルが「サザエさん」なのだ。

一般的には専業主婦は二通りの女子を育てると言える。一つは「母親を理想として自分も専業主婦を目指す女子」、もう一つは「母親の夫に対する経済的依存を嫌悪し、経済的自立を目指す女子」である。これには女子の地位向上が密接に関係し、「主婦業の職業化」や「夫の家事・育児参加」なとが叫ばれるようになる。

そうした潮流の中で労働力不足解消のために昭和60年(1985年)五月に男女雇用機会均等法が成立し、翌年四月に施行される。

この時、ドラマの佳代子は18歳になっている。

原作の家族ゲームは発表が昭和56年(1981年)であり、佳代子がドラマ公式の43歳もしくは2013年から逆算した45歳だとすると・・・佳代子は昭和十年代の生まれで・・・つまり・・・太平洋戦争の前に生まれているキャラクターであり・・・現代の主婦としてはものすごく浮いている感じがするのは否めない。まあ、発表当時、30代前半の原作者には四十代の恵まれた専業主婦がそのように見えていたのだろう。

しかし・・・戦前から続く良妻賢母的発想は今も継続されており、そういう存在が皆無とは言えないのが許容範囲というものなのである。

「専業主婦」を「女性」の「理想のライフコース」とする女性は昭和62年(1987年)には34%で平成14年(2002年)には18%に減少している。

しかし、2009年には20代の女性が「専業主婦」を理想とすることに36%の賛意を示しているという調査結果がある。

この傾向は夫が高学歴であるほど高まる・・・つまり「セレブ」に憧れているわけである。

しかし、長期の不況により・・・男性の低所得化はかなり進行しており・・・女子の願望と男子の現実がマッチしないという深刻な事態を招いているのである。

そういうわけで・・・「セレブ」風だけど実は「火の車」の沼田夫人は現代でも面白がる対象としては無難と言えるのだろう。

まあ、小バブルが始ってつかのまの好景気に一息つく時代にバブル前兆時代のこの原作はシンクロ率が高まっているのだな。

父親が企業経営者で箱入り娘だった沼田夫人は父親の経営する企業と取引のあった高学歴の正社員・沼田と父親の勧めに従い見合い結婚する。

沼田慎一(神木隆之介)と沼田茂之(浦上晟周)の二児に恵まれ、それなりに幸福な家庭を築いてきた。

しかし、夫・沼田一茂(板尾創路)はモラルに問題があり、経理をめぐる不正が発覚し、不祥事として営業部から人事部へ左遷される。娘の夫を経営企業の後継者として考えていた父親は娘に夫婦関係の解消を求める。物凄い唯我独尊ぶりである。

しかし、佳代子は築きあげた家庭を守るためにこの指導を拒否するのだった。

そして、何故か、この経緯を夫に伏せるのである。

そこまでして守った家庭を顧みない夫に対して佳代子が違和感を持つのは当然だが・・・そのために経済的自立を証券取引によって果たそうとする佳代子は・・・一種のスポイルされたキャラクターであり・・・「世間知らずのお譲さんのままおばさんになってしまった」女なのである。

他人の不幸を糧とする快楽主義者と・・・本物の吉本荒野(忍成修吾)の母親(佐藤直子)から指摘される田子雄大(櫻井翔)にとって佳代子を破滅させることは児戯にも等しい雑事だったのだ。

ここで・・・浅海舞香であり立花真希もある怪しい女(忽那汐里)が示した田子雄大の過去が・・・雄大本人の記憶では吉本荒野のものと置換されていることが示される。

教え子を苛めて自殺に追い込んだのは田子雄大ではなく・・・吉本荒野だったと少なくとも雄大は思っているらしい。

もちろん、どちらが真実なのかはお茶の間の好みの問題なのである。

株取引による損失補てんをニセ吉本荒野からの融資でしのいだ佳代子だったが、「簡単に経済的自立を得たい」という欲望に負けて株の信用取引を続け、ついに1000万円の損失を出してしまうのだった。

佳代子にとってそれは「絶望的な金額」だったのである。

母親のそのような窮状を知らず、年上の美女である立花真希の誘惑にしっかりとはまりこんだ長男の慎一。

「女はこわいよ・・・」というニセ吉本の邪悪な忠告には耳を貸さず、真希との逢瀬にのぼせあがるのだった。

そんな・・・真希は「あなたの父親を説得して・・・吉本の危険性を認知させる」と言い出すのだった。

すでにニセ吉本との戦いを放棄した慎一には父親と真希との関係に対しての漠然とした嫉妬による不安が生じるばかりである。

一方、妻の窮状にまったく気がつかない一茂はリストラ相手に剛腕を振るいながら、部下に対しても高圧的態度を崩さない。妻に対しても肉体的接触で屈服させようという傲慢ぶりである。

そんな一茂にニセ吉本は「はっきりと決別するために浅海舞香と逢うこと」を提案するのだった。もちろん・・・実は一茂の下心を煽っているのである。

実は真希である舞香と密会した一茂は・・・。

「妻とはもう終わりだ・・・君とやりなおしたい」

「・・・」と無言で応じる舞香。

そこへ慎一が乱入して父親の愛人を強奪していく。

「なんだ・・・お前たち、どういう関係なんだ」

「みっともないんだよ」

慎一に突き飛ばされて惨めな醜態をさらす一茂だった。

慎一は真希を取り戻して高揚するのだった。

そんな二人の抱擁を慎一のセックスフレンドの最上飛鳥(北原里英)が目撃していた。

怒りに燃えた飛鳥はニセ吉本から渡された慎一の万引きの証拠写真を成邦館高校の教師に示す。

下半身にもやもやしたものを残したまま帰宅した一茂は無人のように見える自宅で晩酌を始める。

そこへ・・・乱入したニセ吉本は・・・一茂を無視して家宅捜索を開始し、自殺を躊躇している佳代子を浴室で発見する。

「僕がお母さんの代わりに死にます」と再び「死んで借金返済してあげます」作戦を決行するニセ吉本。

騒ぎを聞きつけ「お前たち何やってるんだ」と立ちすくむ一茂。

「奥さんは株式取引の失敗で一千万円の損失を出してしまい自殺を図っているのです。それというのもあなたの不祥事で実家から縁を切られた奥さんには返済の当てがないからです」

「何を云っているんだ」と茫然とする一茂。

そこへ佳代子の両親がやってくる。

「なんでだ」と一茂。

「僕が懇願して一千万円を用意してもらいました」

「なんで・・・そこまで」と佳代子。

しかし、佳代子の両親の用意した一千万円の融資を拒絶する一茂だった。

「これは家族の問題です」

「しかし・・・娘をそこまで追い込んだのは君ではないのか」と佳代子の父親。

「私は悪事を働いたわけではない」と過去の不祥事を経済活動の一環と嘯く一茂。

「君は・・・変わらんな」と撤退する佳代子の両親だった。

「あなた・・・どうするつもりなんです」

「なんとでもなる」

「いい加減に・・・本心で向き合ったらどうです」とニセ吉本が迫る。

「何を云ってる・・・」

「父親として・・・母親として・・・子供たちに真摯に向き合わないから・・・子供が大人になれないんですよ・・・」

「家庭教師風情が何を云ってる」

「ちゃんと家族になってください・・・このまま家族ごっこを続ければ・・・この家庭は崩壊します」

「なんだと」

「僕が崩壊させちゃいますよ・・・」

ニセ吉本の言動は一茂の理解を越えていた。なぜ、そんなことをしなければならないのか・・・意味不明だからである。

しかし・・・狂人に意味を求めても無駄なのである。

狂った理想に向けて狂い続けるのが優秀な狂人というものだからである。

立ち聞きする慎一も茂之も唖然とするばかりだった。

ニセ吉本の指導により、いじめられっ子ではなくなり、かってのいじめっ子のリーダーである山尾泰司(西本銀二郎)を孤立化させた茂之だったが・・・新たなる仲間たちから山尾をいじめることを提案され・・・戸惑っている。

そして・・・慎一は何もかも忘れて真希との待ち合わせ場所に向かう。

しかし・・・そこで慎一が見たのは・・・ニセ吉本と和やかに談笑する真希の姿だった。

「ふふふ・・・もうすぐフィナーレなんだよ」

悪魔の顔をのぞかせるニセ吉本だった。

藤子不二雄Ⓐの毒々しい悪意に満ちた魔的なキャラクターそのものである櫻井翔の存在感が爆発中なのである。

CGによって原色を強調し加工された現実の街の風景がまさに・・・悪夢そのものに見えてきましたなあ。

風は金鎚、雨は槍衾

苦悩に満ちた十字架に

手のひらで繋がれたみんな

そのハートに釘を打ってやる

堕天使たちの体から

色とりどりの血がほとばしる

ごらん

恐怖を感じたものたちの

大きく広がった顔を

クローズアップで

青い弾丸で青空を撃つ

はりつけられたみんなが

業火の中で

燃えあがる

青い弾丸で青空を撃つ

関連するキッドのブログ→第6回のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の家族ゲーム

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2013年5月29日 (水)

愚かなるものはひとりぼっちで高みにあって死ぬまで愚かなことをするのです(香取慎吾)

人は夢想する。

人はそれぞれの世界を夢見る。

愚か者とは他人の夢を認めないもの。

自分の夢の正しさを信じるもの。

愚か者はそれを理想という。

愚か者はいつしか、他人の悪夢に触れて、飲みこまれる宿命。

人は愚か者を悼む。

そして、あるものは愚か者となり、そうでないものは用心深くなる。

いつだって丘の上には愚か者が佇んでいる。

で、『幽かな彼女・第8回』(フジテレビ20130528PM10~)脚本・古家和尚、演出・星野和成を見た。学校教育研究家・後藤田法子(ふせえり)が久しぶりの登場である。研究家である以上、言葉を定義しなければならい。今回は【ハブる】を解説する。グループの構成員を多数派の合意によって登録抹消することである。【ハブく】は省くに通じる。無駄を殺ぐことである。日本には古来から村八分という制度があり、仲間はずれを成すことはある意味、合法である。後藤田定義としてはこれは【いじめ】ではないらしい。【ハブること】は対象を固定化せず【持ち回り】であるから・・・というのがその理由である。もちろん、【組織】によって受けられる恩恵から排除されることは好ましい状態ではないので、【持ち回り】という安全装置が解除されやすいことは言うまでもない。

人は集団行動によって弱肉強食の世界を生き抜いてきた生物であるために、孤立化は死を意味する。同時に集団を維持するためには平和共存が必要となり、集団を維持するために阻害となる要素を排除する必要に迫られる。

基本的に人間関係は常に緊張を伴うものである。

緊張するのが嫌な人は・・・大変ですな。

幽霊であるアカネ(杏)は後藤田から学ぼうとするが・・・もう一つ理解できない。なぜなら・・・基本的に死んでいるからである。しかし、アカネの霊現象はかなり電気的なものらしく電子機器のオンオフが可能なほどに上達している。

アカネの無責任な「教育的情熱」に感化されて、かっての過ちによって生じた用心深さを失った神山先生(香取慎吾)は再び、生徒たちのいじめ行動に介入する勇気を得た。

おりしも・・・神山先生の「正しい生徒指導」によって世田谷区立小原南中学校3年2組には軋轢が生じていた。

クラスを自主的に組織化していた京塚りさ(山本舞香)は組織に綻びが生じていることを感じ、その修復に乗り出したのである。

京塚りさの目標は神山先生の排除であるが直接的な攻撃は避け、神山先生の影響下にあると思われる森野小夜(森迫永依)を標的とする。

しかし、神山先生と小夜の関係が霊感教師と霊感生徒という超常現象的なものであったことは京塚りさのあずかり知らぬことであった。

霊的存在との交流を好む小夜にとって人間関係そのものが苦痛であり、京塚りさは徒党を組んで小夜を囲い込むことが「嫌がらせ」以上の効果をあげないことに苛立ちを感じる。

ここで・・・京塚りさの得意な家庭環境が示される。

父親が政治家、母親がPTA会長という両親で、冷酷な性格の兄と姉がいる。

国立大学の有名付属小学校に在籍していたが、そこで標的とされ、凌辱された過去がある。

「脱衣」を強要されたりさがどのように応じたかは未詳であるが、何らかの事件があり、公立学校に転校したらしい。

そのことを家族は恥辱と考えており、りさは家庭内で緩やかな蔑みの対象となっている。

りさの学級組織化は防衛行動の一種であり、すでに闇に落ちた心理の一部は常に死の恐怖を感じているのだった。

神山先生はそのハチの巣に無造作に手を突っ込んでいるのである。

同様の心の闇を抱え、強靭な精神を持つ3年2組副担任の河合先生は事態の悪化を避けるために「生徒たちの人間関係に介入せずに見て見ぬフリをすること」を進言する。

しかし、「馬鹿」であることを選択した神山先生にはその誠意は届かない。

一方でついに正体を明らかにし始めた3学年副主任の窪内先生(林泰文)は悪意とも善意ともつかぬ感想を漏らす。

「あなたの意見は正しいが・・・生徒たちの動向を楽しむ趣味に欠けている」

河合先生の防衛意識は窪内先生に「邪悪な意志」を感じる。

常に周囲の敵意に配慮することは支配者にとって欠かせぬ行動原理である。窪内先生の不在中に理科準備室に侵入した河合先生は・・・おそらく生徒たちのネット上のパスワードなどをコレクションした窪内先生のプライバシー侵害データを発見するのだった。

新たに神山傘下に下った根津亮介(森本慎太郎)はかって小夜の霊能力に助けられた恩義から・・・小夜の窮状を神山先生に訴えるのだった。

アカネと相談した神山先生は・・・「幽かな彼女」に唆されて・・・かっての「失敗の路」を再び歩き出すのだった。

「このクラスには・・・いじめがあるようです。私にはそれを解決する力があるのかどうかわかりません。しかし、人がいやがることをするのは間違っていると思います。そしてそれを見て見ぬふりをするのもいじめだと思います。私は皆さんがそう考えてくれることを信じて・・・皆さんを見守りたいと思います」

先生が去った後で・・・携帯霊場によって出動中のアカネが見守る中、りさの反撃が始る。

「ちょっと一緒に来てくれない」

しかし、ここで神山傘下の相田(神宮寺勇太)が待ったをかけるのだった。

「いやがっているんだからやめなよ」

「なに・・・あんたケンカ売ってんの」

「いやがっているのがわかっているならやめるべきだし、わからないなら馬鹿だろう」と根津。

手嶋(岩橋玄樹)、香織(荒川ちか)、明日香(広瀬すず)、風(柴田杏花)、香奈(未来穂香)なども無言の圧力をりさに加える。

「香奈・・・あんたもそっち側なの」とりさはかっての子分を睨む。

少数派に転じたりさは配下を連れて教室を脱出するのだった。

ここは一度目のエンディングと言っていいだろう。しかし、リアルなストーリーはここからである。

盲目的に生徒を信じるアカネはリサの跡を追う。

しかし・・・悲しい幽霊の性で・・・強烈な霊的記憶を刺激され・・・アカネは彷徨を開始するのだった。

その頃、云うべきことを云って自己満足した神山先生は最も危険な状態を放置したまま、かねてからの懸案だった・・・アカネの過去問題について副校長の霧澤和泉(真矢みき)と対峙するのだった。

「不思議ね・・・いつか、あなたにそう問われる日が来るような気がしていました」

霧沢の記憶は27年前の昭和六十一年(1986年)に遡る。

霧沢は中学三年生であり、クラスの不良生徒から迫害されていた。

その生徒は大物政治家の息子で神山先生の下宿に一人暮らしをしていた「ワタナベジュンヤ」だった。

そして滝沢茜は・・・担任の教師だったのである。東京都中野区て教師も葬式ごっこに加わった中野富士見中学自殺事件が発生し、岡田有希子が墜落死し、チェルノブイリで原子力発電所が爆発した年である。

引き籠っていたワタナベジュンヤと話をしようとした茜は・・・ナイフで脅された霧沢に学校に呼び出され刺殺されてしまう。

自宅に逃げ戻ったジュンヤを幽霊となって追いかけた茜は罪の意識に慄くジュンヤを慰めるうちに自縛霊アカネと化してしまったらしい。

霧沢の回想は学校と下宿を結ぶ霊的回廊になんらかの影響を与えたらしく・・・携帯霊場から・・・アカネは解き放たれてしまう。

アカネを見失った神山は茫然とするのだった。

一方、りさは下川千夏(関紫優)、東川奈々子(浅川梨奈)、田嶋萌(田辺桃子)、矢沢舞(飯豊まりえ)などの手下を集め、下校時の小夜が一人になったところを狙い、公衆便所に拉致する。

そこで小夜の全裸動画を撮影しようとしたりさは拒絶されるとナイフを抜き出すのだった。

その行動に怯えた矢沢舞が「それはやりすぎだよ・・・そこまでやったら私たちついていけないよ」と日和見的発言をすると、りさはついに狂気を露呈する。

「ならば・・・お前も敵だ」

斬りつけられ悲鳴を上げる舞。飛散する鮮血。

「お前たちも敵か?」

親分の気迫に戦慄を感じる子分一同だった。

3年2組アンダーグラウンド世界に地獄の風が吹き始めるのだった。

もはや、りさは「黙れ!俗物」(ハマーン・カーン)と言い出すレベルだな。

だからガンダムは禁止だと何度云ったら・・・。

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2013年5月28日 (火)

旅烏ガリレオ漫遊記~烏天狗と濡れていた女(香椎由宇)

そろそろと思っていた湯川ゼミの学生がらみの事件発生である。

原作では事件の設定が全く違うのでレギュラー出演者に対するサービス回と言える。

湯川ゼミには逢沢りな(21)と吉倉あおい(18)という二人の美少女が配置されているのだが、役柄は遠野みさき(22)、上杉萌子(21)となっている。学年は不明であるがみさきが先輩で萌子が後輩という設定かもしれない。

逢沢りなはゴーオンイエローからやや伸び悩んで最近では「ゴットタン」でヒム子がおねえだという設定のドッキリシリーズでだまされ役や仕掛け人までやっている。「ぼくの夏休み」ではヒロイン(有村架純)の恋仇役である。相武紗季のラインにいるのだが相武紗季より正統派の美少女であるのがネックなのかもしれない。

吉倉あおいは「ピチレモン」のモデルあがりである。これもまた正統派である。最近では「大奥~誕生」で口封じで殺される女郎・よつ葉とか、「悪夢ちゃん」の母・祖母二役で助走中と言う感じ。今回はゼミの留守番役で・・・ゼミの中では湯川准教授のお伴を勤める逢沢りなに一歩引いたポジションになっている。

逢沢りなは夏帆や滝本美織のいる1991年度組。サバイバルレースも本格化である。

吉倉あおいは二階堂ふみ、川口春奈、土屋太鳳、広瀬アリス、岡本杏理、福田麻由子など強豪ひしめく1994年度組である。しかし、まだ先は長いのだった。朝ドラマ「あまちゃん」の二人、能年玲奈(1993年度組)と橋本愛(1995年度組)に挟まれています。

美少女たちの生き残りもそれなのに大変なのだよなあ。

で、『ガリレオ(第2シーズン)・第7回』(フジテレビ20130527PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖・仁志光佑、演出・西坂瑞城を見た。ある程度、リアルなミステリには警察制度の壁が付きまとう。刑事は管轄外の事件に簡単に介入できないのである。そのために素人探偵の出番となるのだが・・・素人がやたらと犯罪がらむのはそれはそれでリアリティーがなくなるわけである。そういう意味では犯罪捜査に物理学的なアドバイスをする科学者という設定がいかにもナイス・アイディアであることが分かるだろう。今回は相棒のオカルト刑事ちゃん・岸谷美砂警部補(吉高由里子)の手を離れ、旅先で事件に遭遇するガリレオだった。

茨城県での学会を終え、万年助手の栗林宏美(渡辺いっけい)の愛車でゼミの学生・遠野みさき(逢沢りな)の故郷に寄り道をするガリレオこと帝都大学物理学科准教授・湯川学(福山雅治)である。

みさきの故郷・御座位岳(ございだけ・フィクション)の麓に差し掛かったところで栗林の車はパンクし、タイヤの交換作業をすることになる。折しも通り雨があり、濡れそぼる栗林。たまたま通りかかった赤い車の女が傘を貸してくれた。

「しかし・・・」と遠慮するガリレオに女は「二本ありますから」と親切に申し出る。

赤い車は走り去り、タイヤの交換作業を終えた一行は御座位橋を渡り、御座位神社にやってくる。

「御座位岳の祠に烏天狗のミイラがあります・・・」という言葉に誘われて、オカルト事象解明が趣味のガリレオは寄り道を決意したのである。もちろん、魅力的なみさきに誘われたので断りきれないという事情もある。栗林に隠れて情事をしてもいいと考えるガリレオである。

しかし・・・御座位岳の祠への路は閉ざされ立ち入り禁止になっていた。

そして、地元の警察官・合田武彦(渡部豪太)が現れ「お待ちしていました」と言う。

「ごめんなさい」とガリレオに謝るみさき・・・実は合田とは幼馴染であるみさきは「怪事件」の調査協力を会田に頼まれ、ガリレオを巻き込んだのだった。

「怪事件」とは・・・「烏天狗のミイラ」にまつわる事件だった。

御座位神社の神主が「烏天狗がミイラを取り返しに来る」と祠をコンクリートで封印してしまったのが三週間前。しかし、二週間前に神主は祠の前で白骨死体となって発見される。地元の警察は神主は心臓の持病があり・・・発作によって病死・・・鳥葬的に白骨化したもので事件性はないと判断していた。

「しかし・・・この辺りには烏天狗が壁を通り抜けるという言い伝えがあります・・・もしも、祠の中にミイラがなかったら・・・神主は烏天狗に殺された可能性があります」

21世紀の人とは思えない迷信ぶりにガリレオは・・・少し興味を持ったのだった。

祠の中を現状維持しながら、コンクリートの壁の向こうを調査するための道具をみさきはあらかじめ準備していたのである。

恐縮しているみさきをじっくりと賞味しながら、調査を承諾するガリレオ。・・・邪な妄想はほどほどにな。

そこへ・・・合田とみさきの共通の友人、小島結衣(香椎由宇)が現れる。結衣はガリレオに傘を貸してくれた赤い車の女だった。何故か結衣は雨に濡れて震えていた。

実は神主の最後の姿を見たのは結衣だった。

「あいつも話せばきっとわかってくれる」とコンクリートで固めた祠の前で神主は語ったと言う。

ファイバースコープの調査の結果、祠の中は空であることが判明する。

烏天狗のミイラは消失していたのである。

その時、結衣が家族と連絡がとれないと言いだし、自宅に戻ることになる。心配したみさきは同行を申し出る。

折しも土砂崩れのために道路が封鎖され・・・御座位の里は陸の孤島と化すのだった。

そして・・・結衣は自宅で両親の死体を発見するのだった。

父親は散弾銃で射殺され、母親は絞殺死体となっていた。そして壁には墨痕鮮やかに「烏天狗」の署名が・・・。しかも・・・犯行現場は密室だった。犯行に使われた猟銃は庭で発見された。またしても壁を通り抜けた烏天狗の仕業なのか・・・。

こうして・・・事件は烏天狗連続殺人事件となったのである。

しかし、間髪をおかずに・・・烏天狗のミイラの写真を分析したガリレオは「ここに年輪があります・・・これは木片を利用したニセモノです」と断定する。

そして・・・「ミイラが最初から・・・ニセモノだとしたら・・・そしてそれが盗まれたとしたら・・・神主は・・・ミイラを盗んだ相手と交渉してとりもどすまで・・・ミイラの不在を隠すために祠を封印したのかもしれません・・・」

「そういえば・・・神社には金髪の不良が居候していて・・・しばらく前から所在不明です」

・・・まあ、そういう人間がいたら・・・最初から「事件」だけどな。

普通なら・・・この事件と・・・結衣の両親の死には関連があるわけだが・・・今回はまったく不連続殺人事件となっています。

結衣の両親殺害の現状保存を県警本部から伝えられた合田はガリレオにさらなる協力を求める。

現状の写真を見せた合田は・・・結衣の家族について語りだすのだった。

どう考えても・・・犯罪者にしか見えない警察官だが・・・単なる純朴な若者だったのである。

「実は・・・結衣の父親は本当の父親ではないのです。結衣の父親はこのあたりでは有名な実業家なのですが・・・評判のあまりよくない男なのです。結衣の母親は子連れでこの男と結婚したのです。血のつながらない結衣は・・・あの美しさです。幼い頃から性的虐待を受けていました。母親はそれを見て見ぬフリをしていたのです。しかし・・・結衣はそんな母親を強く慕っていました。あの男だけが死んだのなら・・・結衣の犯行も疑われるところですが・・・母親も殺されたとなると結衣が犯人とは思えません」

「そういう話にはまったく興味がないが・・・犯行現場について気になることがあるので・・・研究室に分析させてみる」

結衣につきそうみさきはショックを受けた幼馴染を慰める。

こういう場合、みさきが犯人である可能性はかなり高いのだが・・・そういう展開にはならないのである。

さて・・・今回の出番確保のために湯川の研究室を訪れるオカルトちゃん。

一部お茶の間が復帰を熱望する前相棒の内海刑事(柴咲コウ)が赴任中の米国からガリレオにプレゼントしたティラノザウルスの骨格模型を勝手に組み立てながら・・・調査費用の領収書に書かれた専門用語を経理にもわかるように湯川ゼミの学生たちに但し書きをつけさせていたのである。

そこへ・・・ガリレオから通信が入る。

ガリレオは学生たちに「ロッキングチェア」と「人体」のシミュレーション用三次元モデル化を命じ、オカルトちゃんにはある人物の戸籍の洗い出しを依頼するのだった。

「え~、面倒くさいなあ」

「君は・・・誰にことわって模型を勝手に組み立てているんだね」

「・・・よろこんで」

この時点で・・・ガリレオの今夜のお相手目標がみさきから結衣にチェンジしたことに疑いの余地はないのだった。

やがて・・・道路は開通した。

「今夜はここに一泊することにした」と栗林とみさきを先に返すガリレオ。

「しかし・・・先生は明日、講義があります」

「君に代行を頼む」

目の色が変わる栗林。ガッカリするみさきだった。

そして・・・ガリレオは結衣と合田を殺害現場に招く。

「結論から言おう・・・結衣さんの御両親は・・・無理心中したと考えられる」

「え・・・」と驚く合田。結衣はうなだれるのだった。

「事業に行き詰っていた小島氏はなんらかの事情で小島夫人を絞殺した後で・・・足で引き金を引いて猟銃による自殺を決行したのだ。なぜなら・・・ロッキングチェアに死体が着座したままなのがその証拠だ。誰かに射殺されたならロッキングチェアは反動で揺れ、その揺れによって死体は前方に投げ出されると解析されている。そうならなかったのは小島氏が自ら引き金を引いたために作用反作用が相殺されて・・・ロッキングチェアを揺らさなかったからなのだ。それでは結衣さん・・・君にとって都合が悪かったのだろう。夫人の首に小島氏の血を付着させ、猟銃を庭になげた君は・・・犯人が小島氏を殺した後で・・・母親を絞殺したように偽装した。我を忘れた君は雨に濡れてしまい・・・我々の前に濡れそぼった体で現れたのだ。そして・・・烏天狗の話を聞いた君はみさき君を車に待たせ、さらに密室トリックの擬装を行ったのだ・・・はっきり言ってやりすぎだった。なぜ・・・君がそんなことをしたのかというと・・・小島氏と君には養子縁組がなされていなかったのだ。小島氏と夫婦である君の母親が先に死んだ場合、君には遺産の相続権が消失してしまう。小島氏が死んで夫人が遺産を相続してから・・・母親が死ねば君に相続権がある。だから・・・死の順番を偽装する必要が君にはある」

「・・・」

「だが・・・これはあくまで推測だ・・・君は正直に混乱して現場を荒らしたと言えば云い・・・」

「・・・え」

「合田くん・・・君は警官である前に・・・一人の女を守りたい男であるだろう・・・私の話は聞かなかったことにしたまえ・・・それが騎士道精神というものだ」

「・・・え」

「あの・・・私・・・烏天狗って書いちゃってますけど・・・」

「すべて・・・錯乱状態だったと言い切るのだ」

「・・・」

「さあ・・・私の話は以上だ。私は何も聞かなかったことにする。それでは結衣くん・・・警察が来る前に君の運転で・・・二人きりになれる宿に案内してくれないかな」

ガリレオの好意に甘える気になった結衣は喜んで身を捧げるのだった。あの因業な父親に汚されることに比べたらガリレオとベッドを共にすることは天国の喜びだからである。

翌日、喜び勇んで教壇に立った栗林は閑散とした教室で「悲しい原因には哀しい結果が伴う」ことを悟るのだった。

他の人はどうか知らないがキッドにとってガリレオとは相手よりどりみどりの酒池肉林のプレイボーイ話なのだな。

だって・・・ミステリ的にはやや弱いところがあるのに・・・ガリレオが今宵のお相手をいかに確保したかについては非常に整合性があるではないか・・・そりゃ、お前にとってはな。

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2013年5月27日 (月)

帰り来ん時ぞ母の待ちし頃儚き便り聞くへかりけりでごぜえやす(綾瀬はるか)

もうすぐ帰ってくるであろうと母が待っているだろうに・・・届くのが訃報であるのも運命というものだろう。

切腹のために辞世の残る神保修理長輝である。

外交と戦争は対外交渉の両輪である。

しかし、未熟な組織ほどその不透明な境界に摩擦を生じやすい。

戦争状態に突入するということはすなわち交渉決裂であるという考え方は愚直と言わざるを得ない。

勝利するにせよ、敗北するにせよ、常に戦後を念頭に置かなければ戦略とは言わないのである。

外交力を持つものを戦時下において断罪するということは抜刀して鞘を捨てるに等しい。

もちろん、殲滅か玉砕かという二者択一ならば論を待たない。

しかし、歴史上そのようなことは稀なのである。

敗北の後に必ずや敗残者があるのが歴史というものだ。

しかし、武士道が死す事である以上、死を命じられれば死ぬしか道はないのも確かなことである。

士であるがゆえに死を選ぶが人として母に詫びる。

神保修理の辞世はそれなりに理にかなっている。

しかし、残された妻・雪子がその後、戦争の混乱の中で新政府軍の兵士に凌辱されて晒しものにされ、一人淋しく自決する運命にあることはまったく念頭になかったと推測できる。

で、『八重の桜・第21回』(NHK総合20130526PM8~)作・山本むつみ、演出・一木正恵を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は哀しみだらけの会津の女たちの筆頭とも言える家老・神保修理の妻・雪子、修理の父親で天王山で真木和泉を自死に追い込んだ神保内蔵助、そして後の文学博士にして小泉八雲の同僚・秋月悌次郎の三大イラスト描き下ろしでお得でございます。鳥羽伏見の戦争を前・後篇で分けてくるとは意外でしたなあ。そして・・・夫の死に併せて妻の描き下ろし乙でございました。ああ、ああ、修理と雪。修羅と雪。修羅雪姫でございますねえ。

Yaeden021 慶応四年(1868年)一月三日に鳥羽街道と伏見で戦端が開かれた旧幕府軍と新政府軍の戦闘は新政府軍の一方的な勝利に終わった。一月四日、大阪湾に停泊中の幕府海軍所属の開陽丸(軍艦頭・榎本武揚)は薩摩藩所属の軍艦・春日丸と輸送船・翔鳳丸を発見し追撃戦を展開。春日丸は快速を利して逃亡したが機関の故障した翔鳳丸は座礁して自焼に追い込まれた。朝廷は仁和寺宮嘉彰親王を征討大将軍に任命し錦旗を与え新政府軍に官軍の呼称を認めた。これによって京にあった各藩の軍兵は続々と官軍側に参戦する。鳥羽海道において賊軍となった旧幕府軍は富ノ森へ撤退。伏見方面には官軍として土佐軍が出陣し賊軍は撤退を余儀なくされる。五日、敗退を重ねる賊軍は淀城付近に集結するが、旧幕府老中・稲葉正邦の淀藩は新政府軍に恭順の姿勢を示し、賊軍の入城を拒否。追撃を受けた賊軍はまたもや壊滅的打撃を受ける。六日、橋本に撤退した賊軍主力に対して対岸の山崎高浜に布陣した藤堂高潔の津藩が官軍に寝返り、賊軍を砲撃。ついに旧幕府軍は崩壊する。慶喜は開丸で江戸に逃亡し、残された賊軍将兵は戦線を離脱。七日、朝廷が旧幕府軍に対して朝敵を宣言。九日、空城となった大坂城に官軍が入場。尾張より西は官軍の統治下となる。これによって旧幕府は名実ともに日本を代表する政府として認知されなくなった。十五日、徳川慶喜は主戦論者の小栗上野介を解任。二十五日、新政府と諸外国代表が交渉し諸外国は局外中立を宣言する。二月となり官軍は賊軍討伐のために東征を開始。十二日、慶喜は江戸城を退去。二十二日、江戸会津藩上屋敷において敗戦の責により神保修理は切腹する。三月一日、関東防衛のために近藤勇の甲陽鎮撫隊が出陣する。

闇の中をドラキュラ・ナポレオンの血族・レオン・ロシュ・フランス公使を乗せた馬車が進む。闇の血を受けたものはそれぞれの資質において活動期と休眠期を繰り返す。今、ロシュは休眠期を迎えていた。血の支配が弱まり、幕府に根を張ったヴァンパイアの組織は一時的に停滞している。その機に乗じて、篤姫配下の科学忍者隊・薩摩忍び・土御門しのびの連合忍者部隊はくのいち頭幾島の指揮の元、吸血鬼狩りを開始していた。ロシュの一族はその手に追われて海路での脱出を図っている。

ロシュ本体は取り逃がしたが、淀城では土御門藤子が率いる京のくのいち部隊が浄化に成功し、山崎ではお琴とくぐり衆が津藩の砲台を守る吸血鬼を殲滅した。

これにより幕府軍の吸血鬼部隊は敗走を重ねている。

ロシェは最後の一手として見廻組の佐々木只三郎らに浄化された慶喜の奪還を命じていた。

佐々木只三郎は有翼となった三人の隊士とともに淀川沿いの戦線を離脱し、大坂城を目指していた。しかし、慶喜は幾島に伴われ大坂城から開陽丸船上に移転している。

無人の天守閣で翼をおさめた佐々木只三郎は死地に落ちたことを悟った。

「佐々木殿・・・待ちかねたぞ」

「これはしたり・・・慶喜様はどこへ参られた」

「くのいち仲野と科学忍者隊・・・龍馬様の仇討ちつかまつる」

「くのいち風情が小癪なことを申す」

闇の見廻組に科学忍者隊が斬りかかった。無造作に受け止めた見廻組隊士が叫んでのけぞる。

「ふふふ・・・科学忍者隊の忍者刀はすべて銀製の聖なる剣よ。食らえ」

仲野は龍馬の遺したリボルバーを抜き放つ。

「大奥秘伝・十字架連射」

早打ちで銀の弾丸六発が十字架の形で撃ちこまれる。

佐々木は胸に十字架の形を弾痕で刻まれた。

「お・・・の・・・れ」

佐々木は黒い蝙蝠の翼を広げ両の吸血牙をむき出しにする。

次の瞬間、塵となって消え果てた。

息を吐いて仲野は周囲を伺う。

天守閣に残っているのは味方だけであった。闇の見廻組は全滅した。

京都山中で眠りにつく龍馬の顔に微笑みが浮かぶ。闇の父の呪縛が解かれフリーな吸血鬼となったためである。

京都市内の薩摩屋敷には山本覚馬が幽閉されていた。

牢内は闇に包まれていたがすでに視力を失った覚馬には不自由はない。

束縛はなく、牢内とはいえ軟禁状態である。

くのいちの小田時榮が身の回りの世話を焼く。

そして、時々、盲目のくのいちのお市が現れて盲目忍びの技の伝授を受けるのが日課だった。

「山本様はうまれついてのめくら(盲者)ではございませんが・・・」と市は教える。

「しのびの心得あれば・・・それなりの応じ方がございます」

「・・・」

「短筒の狙いはいかがでございましょう・・・敵を見て放ちましょうか」

「気じゃな・・・」

「いかにもさようでございます。妾の刀術も同じこと。気で斬るのです」

「・・・」

「さあ・・・耳をすましなされ。両の耳で・・・音を見るのでございます」

「汝の息が聞こえる・・・そこか・・・」

覚馬は指鉄砲を向けた。闇の中で市が微笑む。

「命中・・・でございます」

江戸では遅咲きの梅が咲いている。

「梅が香っているな・・・」

用意された座敷で神保修理は独り言をつぶやいた。

部屋は無人である。

「桃の花も咲いているだろう・・・」

修理の独白は続く。

「桜は去年が見おさめじゃったな・・・」

脳裏に分かれて久しい新妻の雪の顔が浮かぶ。

修理は口元に笑みを浮かべた。

「未練じゃのう・・・」

作法に則り腹を十字に切り裂いた修理は死力を振り絞って刃を返す。激痛が心気を乱す中、歯ぎしりの音が響く。

「む」

頸動脈を探りあてた修理は最後の力をこめて己の生命を解放した。

闇に消える意識。

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篤姫→慶応四年二月

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2013年5月26日 (日)

あまちゃん、八つ目の土曜日(能年玲奈)

今週は圧巻だったなあ・・・。

まさに夢は現実となり、現実は夢となる・・・である。

もっともキッドのブログでは夢も現実もフィクションに過ぎないというのが前提である。

起承転結起承転結で二度目の結となる第八週目。

もっとも、週末は引くという要素があるので常に結直前とか、起直後の感じも必ずあるわけである。

また、構成論的には六カ月を二ヶ月づつ序破急でまとめるという考え方もある。

来週は五月の終りが来るので序盤の終了にあたる。また・・・盛り上がるのだ。

今週はクドカン監督の映画があって宣伝のために古のブラウン管にクドカンが露出していたわけだが・・・ヒロインの失恋、親友との三角家系に批判の声ありである。「すみませんね・・・へっへっへ」と笑っている大きな中学生クドカン・・・なんだかかわいいぞ。

「何もいいことがなかった」とヒロインが思っていた東京から・・・北三陸にやってきて・・・「いろいろなものを入手した」と思ったここまで。

しかし・・・手にしたものが滑り落ちて行くのが今週のメイン・テーマである。

その喪失の連打にお茶の間は阿鼻叫喚なのであるが・・・それこそが青春の序章ですからな。

なにしろ・・・「あまちゃん」というタイトルのドラマなのである。

「あまちゃん」だからこそ・・・いろいろと楽しいし、「あまちゃん」だからこそダメージが大きいのである。

二度目の起承転結の本当のタイトルをおさらいしておく。

第5週「おら、先輩が好きだ!

第6週「おらのじっちゃん、大暴れ

第7週「おらのママに歴史あり

第8週「おら、ドキドキがとまんねぇ」

そして次なる第9週は「おらの大失恋」である。トドメを刺しにくるのだな。

で、『連続テレビ小説・あまちゃん・第8週』(NHK総合20130520AM8~)脚本・宮藤官九郎、演出・吉田照幸を見た。1984年の夏・・・北三陸から東京に旅立った一人の女子高校生・天野春子(小泉今日子)・・・。そして2008年の夏。春子は一人娘のアキ(能年玲奈)を連れて故郷の街へ。東京で何があったのかは不透明ながら・・・アキは母親の故郷で祖母である海女の夏(宮本信子)に出会って海女の見習いになり、アイドル志望のユイ(橋本愛)に出会って春子がアイドル志望だったことを知る。そして南部ダイバーの種市先輩(福士蒼汰)と出会い初恋をする。17歳になったアキは長い幼年期を終えて・・・ついに青春の始りを感じるのだった。気がつけば祖父・忠兵衛(蟹江敬三)や父・正宗(尾美としのり)も集い、賑やかになった天野家。しかし・・・永遠に続くものなどこの世にはないことをアキは思い知ることになるのである。

月曜日 さよなら、大好きなおじいちゃん(蟹江敬三)

青葉茂る夏、実りの秋を通じて多くの収穫を得たアキ。北三陸に来てから半年が過ぎていた。そして・・・季節は十一月の終り。ここから・・・北三陸のアキの最初の冬が始るのである。「あまちゃん」の謎の一つである「春子の青春」の前半部分(家出するまでの真相)が明らかになり・・・おそらく後半のヒントになっているだろう1986年の架空のヒット曲「潮騒のメモリー」が披露される。家出した若き日の春子(有村架純)がその二年後にこの歌とどのように出会うのか・・・その謎解きはまだまだ先の話なのだろう。しかし、アキは初めて聞いた母の歌声に痺れるほどの感動を覚えるのだった。

送別会から一夜明けて終日休養した翌日、遠洋航海に出る忠兵衛の旅立ちの日が来た。羽織袴の正装で遺影を撮影する忠兵衛。せっかくだから家族撮影をすることに。しかし、別離が悲しい夏ばっぱである。

「一緒に写真撮ろうよ」とアキ。

「子供みたいに拗ねて」と春子。

「しょうがねえ・・・夏さんが来ないなら家族写真は中止だ・・・家長の夏さんがいなくちゃ・・・意味がない」と忠兵衛。

漸く気持ちを抑えて夏はウニ丼工場から出てくるのだった。

「パパも早く・・・」とアキに呼ばれて「え・・・いいの」と正宗。

「なに・・・遠慮してんのよ」と春子に言われ、恋のライバル大吉(杉本哲太)や、漁協の組合長(でんでん)や海女のかつ枝(木野花)、事務員の花巻珠子(伊勢志摩)らに背中を押されて天野一家に加わる黒川正宗だった。

向かって左から春子、忠兵衛、夏、アキ、正宗・・・五人の記念撮影だった。

この五人が再び会う日が来るのだろうか・・・それは新たなる謎である。

しかし、まだまだ幼いアキにはそれほどの不安はない。

「死なないで帰ってきてけろ」と明るい笑顔を心臓に不安のある忠兵衛に向けるのだった。

送別会で聞いた娘の歌声を思い出しながら、大吉の運転する車で北三陸の海辺を走る忠兵衛。向かうは遠いインド洋なのである。

忠兵衛の去った北三陸の街にもクリスマス・シーズンがやってきた。

夏は孫と一緒にはじめてクリスマス・ツリーを飾る喜びに一瞬、淋しさを忘れる。

アキは潜水士の資格を取るための勉強を頑張っていた。

しかし、鰤(ぶり)を(ししょう)と読んでいるようでは筆記試験の道は険しいのである。

「頑張っている天野は好きだ・・・でもテストは百点満点で三点だ」と磯野先生(皆川猿時)に言われて「じぇじぇっ」となるアキだった。

その頃、アキの恋の行方を案じたユイは種市先輩を待ち伏せていたのだった。

「ちょっと・・・アキのこと・・・どう思っているのよ」

「そっちには関係ないべ」

「関係あるわよ・・・私たちはいちれんたくおなんだから」

「一蓮托生(いちれんたくしょう)だろ」とツッコミを入れる通りすがりのヒロシことユイの兄・足立洋だった。ユイ・・・アキのアホの子が感染したのか。

「天野は・・・頑張ってると思ってる」

「は、出たよ。私、頑張ってるって言葉が嫌い。頑張ってるってことは報われていないってことでしょ。アキちゃんはあんたのことが好きなのに・・・頑張ってるって言葉でごまかして・・・」

「・・・」

「・・・」

交渉決裂だが・・・なんだか妙なムードが二人の間に漂うのだった。

そして・・・終電なので二人は一緒の電車で帰っていったのである。

スナック「梨明日」ではアキが試験勉強に打ち込む横で大人たちが下世話な会話を楽しむのだった。

「誰よ・・・」と水口琢磨(松田龍平)の存在が気になる春子ママだった。今夜のシフトは春子と美寿々(美保純)が接客である。琥珀掘りの小田勉(塩見三省)の弟子と聞き・・・眉をひそめる春子。

「怪しい・・・勉さんに学ぶことなんてないでしょ」

「いや・・・ないこともないだろ」と保(吹越満)・・・。

「何よ」

「すぐにはさっと出てこないけどな」

「水口琢磨って・・・ミズタクか・・・」と春子。

「水炊きみたいだな」と大吉。

ちょっと受ける客一同。

「そんなに面白いですか」

「いや・・・それほどでもない」と吉田(荒川良々)

「ねえ、独身なの・・・」と美寿々。

「がっついちゃだめよ~」と春子。

「僕・・・年下駄目なんですよ」

「え~。私年下に見える~?」

下世話に盛り上がる一同だった。

「うっせえな」とアキ。「人が勉強してるんだから静かにしてけろ」

「スナックで受験勉強してる方がおかしいんだよ」と保。

唇を尖らせるアキに話しかけるミズタク。

「潜水士の資格をとって将来どうするの」

「わかんね・・・一年中海に潜っていたいから資格とるんだ」

「でも・・・君、すごい人気でしょう・・・訛りすぎる海女とかってテレビにも出ていたし、もったいないと思うな。普通に可愛いし・・・もっと知らない世界を見てみたいと思わないの」

「なんだこいつ・・・」

「こいつって・・・」

「何言ってるのか・・・さっぱりわかんね」

「普通にかわいいって言われて喜ぶ親はいないわよ・・・異常にかわいいって思ってんだから」

ついこの間、娘にむかって「ブス」って言っていた情緒不安定な母だった。

「そのぐらいにしてください」と割って入るヒロシだった。

「君は・・・」

「マネージャーです」

なんとなく火花散る二人だった。

何気なく磨いていた琥珀から8500万年前の樹液に包まれた蟻を発見するミズタク。

「初めて見た」と感動する勉に「やめちまえ」とつぶやく吉田だった。

そこへ・・・正宗がやってくる。

「アキ、お待たせ~」

「おそいよ~」

「ごめ~ん、また道間違えちゃった・・・」

アキのお迎えに来た正宗だった。すっかり天野家にいついている正宗なのである。

さりげなく正宗について聴きこむミズタク・・・やはりアキに異常な関心を抱いているのだった。

いつの間にか・・・アキと仲良しのパパに戻っている二人を見て・・・春子の不可解な破壊衝動が噴火するのである。

次の日・・・朝食時にお迎え場所の相談をするベッタリ父娘に釘を刺す春子。

「ちゃんと電車で帰ってきなさい・・・ママはパパと大事な話がありますから・・・」

どこまで行ってもよくわからない春子の離婚願望が・・・ついに審判の日を設定したらしい。

不安に慄く・・・正宗だった。

お茶の間にもほとんどわからない春子の心の闇・・・その全容が解明されるのは一体いつのことなのだろうか。

まさか・・・正宗はアキの本当の父親ではなかったりして・・・。

まあ・・・すべての愛妻家にとって妻に離婚を言い出されることほど恐ろしいものはないのだが。そして・・・不安定な女心はクドカンの基本的な主題でもある。二重人格のこけし(加藤あい)、情緒不安定の女教師(薬師丸ひろ子)、男になっちゃう女(篠原涼子)、よろめき続けるバスガイド(伊東美咲)、スーパー戦隊になっちゃうタクシー運転手(小泉今日子)・・・枚挙にいとまがないのである。基本、こわいものみたさなんだな。

火曜日 さよなら、大好きなお父さん(尾美としのり)

「君に、胸キュン。/イエロー・マジック・オーケストラ」で始るアキの夢。

いきなり、夢だとことわるナレーション(宮本信子)である。準備室で「ずぶんとつきあってくれ・・・ずぶんは天野が好きだ・・・」と種市先輩に告白されるアキ。「おらも先輩が好きだ」と応じたアキに種市先輩がキスしようとすると場面は真っ白い水中に変わり南部ダイバーの潜水服着用のためにヘルメットが邪魔で口付けできない二人。例によって磯野先生が天野~天野~と叫ぶと・・・覚醒するアキだった。

目覚めれば喫茶「リアス」のカウンターである。シフトは夏ばっぱ。

「おら・・・夢見てた」

「どんな夢・・・」と訊くユイ。

「えへへ・・・種市先輩に告白されてキスしそうになった・・・」

カウンターでニヤニヤする吉田くん。血相を変えるヒロシ。

「いい加減に目を覚まして・・・」

「おら・・・今、目が覚めたとこだ」

「そういう意味じゃくて・・・今は大事な時でしょ」

「そうだ・・・一月に試験がある・・・」

「それも大事だけど・・・私たちJJガールズのことよ・・・」

「知名度があがって一段落したんだよな・・・ここで人気が低迷するのはジモドル(地元アイドル)にはありがちなことなんだ」と分析するのはヒビキ一郎(村杉蝉之介)である。

とあるネットの掲示板には・・・書き込みがあった。

【訛りすぎる海女~アキちゃん~★3】

621:名無しのウニさん

朝、目が覚めたらウニの言葉が理解できるようになった・・・

622:名無しのウニさん

アキって誰・・・?

623:名無しのウニさん

彼氏できたらしい

624:名無しのウニさん

終了~

625:名無しのウニさん

ブスwwwwww

「・・・天狗になってんじゃないの・・・ブス」と掲示板を読み上げるヒビキに襲いかかるアキ。

「なに言ってんだ・・・まだ彼氏なんていねえし・・・お前にブスって言われる筋合いはねえ」

「お、おれじゃないよ・・・書き込みだよお」

「なんとかしないと・・・来年は北三陸鉄道リアス線開通二十五周年だし・・・」と吉田。

「ところで・・・駅長(大吉)は・・・」とヒロシ。

「なんだか・・・きたてつより大事な会議があるそうだ」

大吉は・・・天野家で・・・春子と正宗の離婚協議に参加していた。

離婚届を前に春子を問い糺す正宗。

「未だに・・・いつ春子さんに嫌われたのかわからない」

「正宗さんは・・・そのままでいいの・・・変わらなくちゃいけないのは私なの」

「だったら・・・僕も一緒に変わるよ」

「だめなのよ・・・正宗さんは東京での本当の私を知ってるもの・・・24年前に捨てた故郷に戻って母親や地元の人と向き合うためには・・・東京の本当の私を一度捨てなければならないの・・・」

「さっぱりわからない」

「だって・・・正宗さんは私のこと全部知ってるでしょ」

「確かに・・・君のことを知っているのは世界で僕一人だろう・・・」

「だから・・・私のことは嘘でもいいから忘れてください・・・」

相変わらず何を言っているかまったく不明の春子だったが・・・大吉にとっては何故か・・・敗北感が湧き上がる二人の会話である。

(俺の知らない春子ちゃんのことをこの癖っ毛の童顔野郎はすべて知っている・・・俺の知っている春子ちゃんのことはこの間、こいつに全部話してしまった・・・ああ、俺はなんておしゃべり豚野郎なんだ・・・・)

大吉の苦悩・・・面白すぎるのだった。

「じゃ・・・せめて・・・クリスマスイヴまでは三人で・・・」

「だめ・・・」

「だって・・・サンタクロースどうするの・・・」

「あ」・・・はっとする春子であった。

その頃、喫茶「リアス」でも・・・アキの言葉に一同が腰を抜かしていた。

「今年もサンタさんにお手紙書いたけど・・・引っ越したんで来てくれるかどうか、心配だ」

「本気で言ってるの・・・アキちゃん」

626:名無しのウニさん

サンタがいるとか・・・天然ボケかましてんなよ

この天然ブスwwwwww

やはり書き込んでいたヒビキだった。

「サンタはいるもん・・・信じていれば来てくれるもん」

「そんなこといったら河童はどうなんだよ」と吉田。

「河童は関係ないべ」

「河童も天狗もUFOもツチノコも関係あるよ」

「おら、海坊主を見た」と夏ばっぱ。

「じゃ、心霊写真は・・・」とヒロシ。

「金縛り、金縛りは」とアキ。

「私・・・なんにもみてない」と落ち込むユイ。

「なんだこれは・・・何の話だ」とまとめつつ叫ぶ吉田だった。

そして・・・2008年のクリスマスイヴがやってきた。

夏ばっぱが腰を抜かすほどに・・・サンタクロースに特殊メイクで仮装した正宗。

春子に離婚届を渡すと・・・秘密の小部屋に向かう正宗サンタ。

アキはアホの子全開で寝ていたが気配に気づき、正宗のマフラーを攫む。

「サンタさん・・・よく・・・ここがわかったね」

「サンタが知らない道なんてないよ・・・アキちゃん」

「プレゼントありがとう・・・」

「君のお父さんからメッセージを預かっています・・・アキ、お父さんとお母さんは別れて暮らすことにしたよ・・・」

「それが・・・二人のためにいいことなら・・・」

「サンタはそう思わないけどな・・・とにかく・・・お母さんのことをよろしく頼む・・・それからお父さんはいつだってアキのお父さんだから・・・困ったことがあったらすぐに頼りなさい・・・メリー・クリスマス、アキ・・・」

正宗サンタの言葉をこっそりと盗み聞きする春子だった。

「何もこんな夜更けに・・・」と敵に塩を送る大吉。

「だめよ・・・気がかわるかもしれないから」と春子。

正宗は夏ばっぱにマラソンランナーの遺言のような別れのあいさつをする。

「ウニ・・・おいしゅうございました・・・ブリ大根おいしゅうございました・・・まめぶ汁おいしゅうございました・・・」

「春子ちゃんのことは俺にまかせてくれ」

「まかせはしませんが・・・」の言葉に何故か激しく頷く春子。「これからも天野家を見守ってやってください」

「俺・・・明日からあんたのことはマサって呼ぶ」

「いませんけどね」

「心で呼ぶ」

リュックを背負って玄関に立つ正宗。

「また・・・個人に逆戻りか・・・」

「そんなこと言わないで・・・」

「春子さん・・・幸せにしてあげられずごめんなさい」

「私こそ・・・身勝手な女ですみません・・・なんだか泣けて来た」

もう・・・超銀河的に意味不明な春子だった。

正宗が去った後で・・・起き出してくるアキ。

「サンタさんは・・・」

「ソリに乗って帰っちゃったよ」

「なんだあ・・・ママはプレゼントもらったの・・・」

「うん・・・」

正宗・・・春子にも毎年プレゼントしてたのか・・・。

春子は離婚届けを握りしめ・・・そっと結婚指輪を外す。

そして・・・なぜか隠した指で愛おしげにリングを撫でるのだった。

水曜日 さよなら、初恋の先輩(福士蒼汰)

このタイトルがおかしいと思う人は多いかもしれないが・・・お茶の間的には・・・もっと早く、アキの初恋が実らないことを悟っていたはずである。種市先輩はいつだって・・・アキではなくユイを見ていたのだから。

それよりもさよならしたのは2009年の一月である。前日の泣き笑いのクリスマスから一挙に2009年の二月に話は進み、五月まで続くという雪景色に北三陸市は装いを新たにしているのである。大晦日とか、除夜の鐘とか、お正月とかの描写は加速の最中に消え失せたのだな。お年玉をめぐってアキが「お年玉・・・お年玉」とアホの子全開であたふたわななく姿は妄想で補完しなければならないし・・・「絶対合格」「絶対デート」と秘密の部屋に貼られたアキの猛勉強・・・そして試験本番なども・・・すべてスルーなのだった。そういう時間稼ぎが必要ないほど・・・クドカンワールドは面白全開なのだな。

しかし・・・失われてしまった「あまちゃん」の2009年一月・・・なんだか惜しい気持ちがします。一日眠り込んで一曜日すっとばした気分です。

とにかく・・・アキがサンタにもらったプレゼントは携帯音楽プレーヤーで・・・すっかりアキのお気に入りのアイテムになっているのである。授業中も平気で愛用なのである。

そして・・・潜水士の試験の合否の発表から話は再開する。

「青木、大野、坂本以外は全員合格」と物凄い発表方式を選択した磯野先生。

「おらは・・・おらは・・・」とアホの子。

「不合格でねえんだから合格だべ」

「わーい、やった~」と教室を飛び出すアキだった。

「そこまで・・・自由かっ」と茫然とする教室内の一同だった。

プールにやってきたアキは種市先輩の元へ駆け寄ろうとして水中に没するのだった。

「天野?・・・天野~」

磯野先生に髪を拭いてもらうアキ。制服はびしょぬれである。

「よくやったな・・・」とアキの合格を讃える種市先輩。

アキは慌てふためきながら先輩に接近する。

「しょれより・・・合格・・・やくしょく・・・約束・・・デートしてけろ」

「あ・・・ああ・・・そのうち」

「今日がいいです・・・おら・・・しょのために・・・がんばったんで・・・」

その時・・・種市先輩の脳裏に閃くユキのフラッシュカット。

≪頑張れってなんですか・・・アキちゃんのことどう思っているんですか≫

「頑張ればいいってもんじゃないべ」と思わず口走る種市先輩だった。

この時点でアキの初恋は玉砕したわけだが・・・無論、アキ自身はアホの子なので全く気がつかないのである。

アホの子をこよなく愛する人々は涙を流しつつアウトの赤い旗を掲げるのであった。

制服から滴り落ちる水滴は時の涙なのである。

かわいいよ、アキかわいいよなのだな。

一方、北鉄では存立の危機に追い込まれた大吉があせっていた。

「廃線ってどういうことですか」

「いや・・・決定したわけじゃないよ・・・そういう話がね・・・出たってだけで」と応じるのは岩手県議会議員であり、ヒロシとユイの父である足立功(平泉成)である。

「誰がそんなことを・・・」

「市長だよ・・・彼はモータリゼーション推進派だから・・・」

「しかし・・・北三陸の足がなくなります」

「バスで賄えるそうだ」

「バスガス爆発」とバスを呪う吉田だった。

そこで・・・大吉は・・・かって足立議員と勉が話していた「雪景色の北鉄・お座敷列車構想」を想起する。

「アキちゃんと・・・ユイちゃんを」

「また・・・あの娘たちに頼る気」と血相を変える春子だった。

「今度だけだから・・・」と哀願する大吉だった。

「とにかく・・・アキは三月一杯でアイドル活動やめさせますから」

「どうです・・・足立先生・・・」と春子を無視して必死の形相の大吉である。

「お座敷列車か・・・もうかるよ・・・もりあがるよ・・・」

足立先生・・・なんだか生臭いぞ。

緊急招集されたアキとユイ。アキはずぶ濡れの制服をジャージに着替えて・・・真っ赤な真っ赤な女の子サービスである。

「というわけで・・・お座敷列車でアキちゃんとユイちゃんが・・・日頃の感謝の思いを伝えます・・・実行までのドキュメントを・・・」と大吉。

「5時だべわんこチャンネルで特集します」と岩手こっちゃこいテレビのディレクター・池田一平(野間口徹)がすでにカメラを回しているのだった。

「北鉄に畳をひいてお座敷に改造するの」と説明する観光協会の栗原しおり(安藤玉恵)・・・。映画「探偵はBARにいる」のお色気担当がこの辺りから助走を始めています。

「北鉄に誰か住むのけ?」とアホの子で快調に飛ばすアキ。

「座敷わらし・・・座敷わらしが走るんでしょ」と必死に対抗するユイだった。

「私・・・そんなに難しいこと言った?」

「今の座敷わらしの件はカットでお願いします」とボケに失敗したことを冷静に判断するユイだった。

「そこで・・・君たち二人には・・・」とヒロシが口を出す。

「JJガールズで~す」とどうやら一月に練習したらしい二人。

「その・・・JJガールズには・・・」

「なんだか・・・JJガールズってださくない」とユイ。

「どうして・・・」

「なんだかお兄ちゃんが口にしたら急にださく思えて来た」

「なんだとっ」

「なに・・・きれてんのよ」

「きれてない」

長州小力をはさみながら兄妹喧嘩を始める二人を諌める足立先生。

「そういうことは家でやりなさい」

突然、泣きだす大吉。

「どうしたんですか」

「みんなが・・・北鉄のために・・・あんなに熱くなってくれていると思うと泣けて来た」

茫然とする一同だった。

「とにかく・・・女子高校生なんでお酌とかはできませんが・・・」

「なんだ・・・つまらんな」と足立先生・・・娘の前なのに生臭いのだった。

「ゲームをしたり・・・最後に歌を・・・」

「歌ですって・・・」と会議場はスナック「梨明日」にチェンジする。

すでに懸命に選曲を開始するユイである。

「おら・・・じいちゃんの送別会でママが歌った歌がいい」とアキはユイの家でネットから合法ダウンロードした「潮騒のメモリー」が携帯音楽プレーヤーに入っていることを示すのだった。

「あなた・・・歌えるの・・・小学校の学芸会以来じゃない・・・」何故か・・・難癖をつけ始める春子だった。まだまだ心の傷は深いらしい。

「歌えるもん・・・」と意地を張るアキ。

♪・・・来てよ その火を 飛び越えて

砂に書いた アイ ミス ユー・・・

何とも言えない・・・アキのはじめてのカラオケだった。

木曜日 さよなら、初めて好きになってくれた人(小池徹平)

スナック「梨明日」でアキが歌い終わると吉田はつぶやく。

「なんか・・・笑えるほど下手ではないっていうか」

「ありがとうございます」

「いや・・・誉めてないぞ」

しかし、勉だけは熱狂的な拍手を送るのだった。

そこへ弥生(渡辺えり)がやってくる。

「誰が歌ってたの・・・ジャイアンリサイタルかと思った・・・あ、アキか」

口をとがらせるアキ・・・気不味い雰囲気にユイが割り込む。

「あの・・・私の歌も聞いてください」

流れ出す「時をかける少女/原田知世」(1983年)・・・。

「これは期待できそうだ・・・」

「なにしろ妹はボイス・トレーニングのレッスン受けてますから」

♪・・・あなた私のもとから

突然消えたりしないでね・・・

これは・・・原田知世のものまねとしてはかなり完成度が高いけどな~。

特に体の揺れ方・・・ポリゴンのお人形さんみたいだ・・・。

頭をかかえるスタッフたち・・・。

しかし、勉さんは熱狂。笑顔で応えるユイだった。

「もうとにかく・・・明日からここで特訓だ」と急に張り切りだす弥生。

「弥生さん・・・」

「弥生さんはね・・・北三陸の越路吹雪って呼ばれているのよ」と春子。

♪・・・あなたの燃える手で

私を抱きしめて・・・

越路吹雪が「愛の賛歌」を紅白歌合戦で歌ったのは1969年のことだった。渡辺えりは当時、中学生である。

こうして・・・歌の特訓が始ったのだった。

アキは高音になると白目をむく・・・ユイは基本的に声量に問題があるという設定らしい。

三月になり・・・アキは不安だった。

種市先輩があの日から素っ気ないのである。

授業で指導にきてくれた種市先輩の排気のための首ふり運動も上手くまねられず、ビートたけしのものまねになってしまうのだった。

「だれが肩をゆすれって言った・・・コマネチか」とツッコむ磯野先生。

アキのビートたけしのものまねも片手コマネチ付でかなりの完成度の高さだった。

アキからそのことを聞かされたユイは種市先輩に待ち伏せ攻撃をかけるのだった。

壁にもたれて潜むユイはかなり妖艶である。

「なんで、アキちゃんに・・・努力すればいいってもんじゃないなんて往ったの」

「それは・・・そっちが・・・」

「そっちってなによ。ずぶんのことはずぶんって言ってそっちって・・・私は場所かっ」

「じゃ・・・ユイ・・・」

「・・・はい・・・」

「俺と・・・」

アキの失恋のダメ押しであり・・・次なる喪失の前触れだった。

今日も「歌の特訓」は続く。しかし・・・種市先輩の呼び出しに応じて飛び出すアキだった。

「どうしたの・・・」

「デート・・・デート」

「デートって・・・」ユイの表情は曇るのだった。

そして・・・ヒロシは蒼ざめるのである。

ヒロシが観光協会に立ち寄ると・・・そこには幻のサウンドに乗って「Get Wild/TM NETWORK」(1987年)を踊る栗原しおりの姿があった。

「あの・・・違うんです・・・これは・・・あの・・・すごく開放的な気分になって・・・頭の中に音楽がシティー・ハンター的に・・・死にたい・・・」

一方、アキと種市先輩は改装中のお座敷列車の車庫に来ていた。

「勝手に入っていいのか」

「下見ですから・・・」

「下見って」

「ここで・・・ユイちゃんと二人で歌うんです」

「お前たち・・・本当に仲がいいのな・・・」

「最初に会った時は近寄りがたくって・・・ここで本を読んでて・・・話してみたら気が合って・・・親友になりました・・・」

「天野・・・大事な話があるんだ・・・」

その時、突然消える証明。

「キャッ・・・」と種市先輩に飛び付くアキだった。

吉田が車庫を閉めたのだ。

折しもスナック「梨明日」ではデート場所談義が・・・。

勉「ないよなあ・・・国道沿いはモーテルばっかだし」

春子「ちょっとやめてよ・・・高校生いるんだかから」

ユイ「別に平気ですよ」

保「デートかあ・・・モーテルしかないよな」

春子「ちょっと・・・」

ユイ「平気です」

吉田「モーテル」

春子「ちっ」

ユイ「ちょっとイラっとしてきた」

そして・・・ヒロシは・・・「飲みませんか」としおりを誘う。

これはもう・・・二人は国道沿いに向かって・・・。

錯綜する場面。スナック「梨明日」の話題は東京のデートスポットに・・・。

保「東京だと原宿とか・・・」

春子「東京にいると・・・原宿とか・・・特にはねえ」

ユイ「原宿には裏と表があるって本当ですか。芸能人は裏に住んでいるんですよね。クレープ屋で並んでいるとスカウトされるんですよね」

春子「それは・・・どうかな」

ミズタク「クレープ屋周辺はキャッチも多いから気をつけた方がいい」

ミズタクを見つめるユイ。

車庫に閉じ込められた二人。一斗缶でたき火である。

突然、「潮騒のメモリー」を歌い出すアキ。

「おい・・・アキ」

「この歌・・・ユイちゃんと歌うんです」

「たまげた・・・ぶっ壊れたかと思ったべ・・・」

「潮騒のメモリーっていうんです」

「潮騒って三島由紀夫の小説だべ。火を飛び越えてこいってその中のセリフな。火を飛び越えて恋人同志が抱き合うんだ・・・」

予告編のこの場面・・・すっかり妄想シーンと思いきや・・・現実である。ものすごくもっていった感じがあります。してやられてますな。

その時、突然鳴りだす携帯電話の呼び出し音。吉田の忘れものだった。

あわてて・・・携帯電話を拾う・・・種市先輩。

ふりむけばアキがたき火の向こう側にいる。

「先輩、アキは今、たき火を飛び越えて・・・先輩の腕の中に飛び込みます」

「おい・・・天野・・・それは違・・・」

「アキ、いきまあす」

助走に入ったアキ。しかし・・・忘れ物を取りに来た吉田が三倍のスピードで追い抜いていく。

その頃、スナック「梨明日」では大吉が「ジャンプ/ヴァンヘイレン」(1984年)を披露していった。

「ああああああああああああああああ」

「おらをおしのけて・・・」

「ジャンプ!」

勢いで種市を突き倒す吉田。

携帯ライトで照らす先には「火の用心」のポスターが貼られていた。

「すみません・・・」と謝罪する種市先輩。

こうして・・・アキの潮騒ジャンプは未遂に終わったのだった。

とにかく・・・アキの中ではせつない恋心が爆発寸前らしい。

その気持ちを抑えきれないアキがかわいいよ、アキかわいいよなのである。

金曜日 さよなら、はじめての親友(橋本愛)

相変わらず白目が治らないアキだった。

「ユイちゃんはもっと声を張れ・・・アキはもっと押さえろ」

弥生の歌唱指導にも熱がこもる。

「アキ・・・いい加減に白目直しなさいよ・・・テレビに映せないわよね」と春子。

「ギリギリアウトですね」と池田ディレクター。

何故かレッスンをじっくりと観察するミズタク・・・。

3月18日に運行が決定した開通25周年記念のお座敷列車。

その日は北三陸高校の卒業式の翌日で・・・種市先輩の上京の日でもあった。

お一人様5000円のチケットは発売数時間で完売し、臨時便の増発が決定。三往復でのべ210名の乗客を動員。売り上げは105万円で・・・スパルタンXでプロジェクトAの大吉は悪い笑顔が止まらないのだった。

そして・・・会議に遅刻してきたヒロシとしおりは吉田に関係を疑われる。

「昨日と同じ服で同伴出勤、お二人は出来ているんですか」

「・・・」

「そんなのどうだっていいでしょう」

ちょっと不満そうなしおりだった。

そんな生臭いカップルを完成間近のジオラマの山の青葉は静かに見つめるのだった。

歌うことの難しさに悩む「潮騒のメモリーズ」のユイ。

「上手く歌おうとしすぎてもダメだし・・・下手過ぎれば寒いし・・・難しいのよねえ」

悩み過ぎである。一方のアキは携帯電話をチェック中。

「でも・・・おら・・・楽しみだ・・・」

「楽しみ・・・」と何かのスイッチが入る。

「だってきれいな景色みながら北鉄さ乗って、歌を歌ったりするんだべ・・・楽しいに決まってる・・・ああ、種市先輩も見に来ればいいのに・・・先輩は東京さ行くけど・・・いつか帰ってくるって言うし・・・」

「ちょっと・・・もっと真面目にやってよ。アキちゃんにとっては青春の思い出作りかもしれないけど・・・あたしにとってはこれがスタートラインなんだ・・・遊びじゃないんだーっ」

ユイにはじめて怒鳴られたアキはびっくりしてしまうのだった。

「・・・ごめん」

「・・・あ・・・私の方こそ・・・ごめんなさい。今のなしにして・・・また・・・やっちゃった・・・私、いつもこうなのよね。本番に弱いっていうか・・・プレッシャーに弱いっていうか・・・てんぱっちやって・・・本当にごめん・・・」

「あの・・・おら・・・」

「おい・・・大丈夫か」観察していた大吉が二人に声をかける。

「あ・・・あのなんでもねえ」と精一杯とりつくろうアキ。

「電車くるぞ・・・」

「うん」

「アキちゃん・・・ちょっと一人になりたいから・・・先に帰って・・・」

「・・・うん」

親友のアキに怒鳴られてうろたえまくるアキ。なにしろ・・・アキにはユイがなぜ怒っているのか理解できないのである。

(潮騒のメモリーズってグループ名が気に入らないのかなあ)

いろいろと考えるアキは気が着くと帰宅。気が着くと秘密の小部屋に。

(ひょっとして浮かれて種市先輩の話したから・・・)

しかし、種市先輩の顔を思い出すとたちまち気分がなごむアキだった。

スーパー早打ちで「友達とケンカして凹んでます」とメールを送信するアキ。

しかし・・・待てど暮らせど返信はないのだった。

階下から母の呼ぶ声がする。

ユイの母の足立よしえ(八木亜希子)が来ていた。

「なんで・・・」

「これ持ってきてくれたの・・・」と春子は潮騒のメモリーズの手作り衣装を見せるのだった。

「サイズ直すので・・・」

「早く着てみて・・・」

母親に急かされて着替えるアキ。

「サイズどうかしら・・・」

「ピッタリです」

「でも・・・ちょっとスカート短いかしらね・・・パンツが見えたら大変だし」

「見せパンはいとけば大丈夫よ・・・アキ、そうしなさい、見せパンはきなさい」

「これ・・・デザインもユイちゃんのお母さんが・・・」

「ううん・・・ユイが絵を描いたのよ」

ユイが描いたデザイン画を披露するよしえだった。

「ユイはねえ・・・アキちゃんにとっても感謝してるのよ・・・毎日歌ってるしね・・・あの子も殻をこわそうと頑張ってたけど・・・あの顔でしょ・・・お人形さんていうか、蠟人形の舘みたいな。でもアキちゃんがいてくれて信じられないような恥ずかしいことを平気でするから自分も恥ずかしさを忘れられるみたいな・・・ユイと友達になってくれて本当にありがとう」

「友達・・・友達・・・うばっ・・・」

感激のあまりジャイアント・ロボ化するアキだった。

泣きだしたアキをなだめる春子とよしえ・・・すっかりママ友である。

「え・・・おら・・・え・・・がんばる・・・え・・・」

「ほら・・・そんなとこで鼻水拭かないで・・・泣くなら衣装着替えなさい」

「ちょっと待ってユイに写真送るから・・・あの子喜ぶと思うのよね」

「いいわね。撮ってもらいなさい、撮ってもらいなさい」

「え・・・おら・・・え・・・おら・・・ありがと・・・え」

秘密の部屋に戻り、ユイに電話するアキ。

「うん・・・送られてきたよ」

「変な顔してるでしょ・・・」

「うん・・・変な顔・・・お母さんはもう帰った」

「ううん・・・下で振付の練習している」

ピンクレディー世代の二人の母親はノリノリだった。

「私たちも踊るの?」

「おら・・・明日から・・・もっと頑張るから」

「ううん・・・いいのよ・・・アキちゃんは今のままで・・・」

「じゃ・・・また明日」

「うん」

電話を終えたユイは立ちあがる。

駅には・・・種市先輩が待っていた。

「おまたせ・・・」

そして二人は国道方面に消えて行ったのだった。

いつまで待ってもアキには返信が届かない・・・。

こうして・・・アキは大好きな祖父、アキを大好きな父、初恋の人、アキを初めて好きになった人、そして親友をすべて失ったのだった。北三陸でアキが掴んだ幸せをすべて失くしたようなものである。まさに・・・ふりだしにもどる。

そして恐ろしい事にそのことにアキは全く気がついていないのである。

そして・・・「信じられないことばかりあるの」・・・なのである。「もしかしたらもしかしたらそうなのかしら」・・・なのだった。ああ・・・どうなる・・・ビューティーペアの駆け巡る青春。

お昼のリアクション担当高瀬アナウンサーも眉をひそめ唇をかみしめる展開である。

土曜日 世界の裏側でアキが叫ぶ(能年玲奈)

ある晴れた日の午後・・・アキはかわいい北三陸鉄道を自転車で抜き去っていた。

世界では同時多発的にあらゆることが起きている。

今、この瞬間に生まれるものがいれば死ぬものもいる。

世界を滅亡させるスーパーフールのウイルスが今、突然変異を起こしたのかもしれないし、街角の向こうに未来の恋人が佇んでいるかもしれない。

同じように見える出来事も視点を変えればまったく違う意味を持つかもしれない。

ドラマではありふれた趣向だが・・・クドカンはその名手である。

木更津キャッツアイ」では巧妙に世界の裏表が仕組まれていた。

今、アキは自転車を疾走させている。それには理由がある。

アキが現実だと思っていた世界のその裏側にアキとともにお茶の間は導かれていくのです。

Am008 お座敷列車の出発進行まで残り一週間。雪深い北三陸にも春の気配が忍びよっていた。

春は恋の季節である。大吉はついにフリーになった春子に猛然とアタックをする。

「今夜、お座敷列車の試運転に・・・春ちゃんを招待したい・・・」

しかし・・・春子にはまったくその気がないのである。いや・・・その気があったとしても・・・その気があるのかどうか・・・全く読めない女・・・それが春子なのだ。

しかし、大吉のアプローチは吉田が「世界で一番有名なネズミ」に似ているかもしれないネズミの絵をお座敷列車車両に発見したことでチャラになるのだった。

試運転中止である。

ネイルアートで小指が「白」のしおりはヒロシといい感じになっている。

ヒロシが退廃的な感じなのかどうかはもはや不明な感じになっている。

そして・・・不倫、略奪愛、駆け落ちのキャリアを持つ美寿々は自称年上好きのミズタクに狙いを定め・・・せっかくの弟子を奪い取られないかと勉の心に波風をたてるのであった。

そういう恋の風が吹き始めている北三陸で・・・アキとユイは振付の練習に集中しているのだった。

春子が「そこはもっと激しい方がいいんじゃないの」と口出ししても・・・「そんな相撲みたいなポーズはいらない」と聞く耳もたないアキだった。

生れてからずっとサンタがいないとは思わないアキである。世界には一度もクリスマスプレゼントをもらえない子がいるとは夢にも思わない幸せな子供。

いじめられているのに気がつかないある意味幸せな子供。

好きな人に好きな人がいるなんて思いもつかないとんでもなく幸せな子供である。

「ユイちゃんは・・・高校卒業したら東京行くの・・・」

「うん」

「いいなあ・・・」

「アキちゃん・・・東京は嫌いなんじゃ」

「うん・・・でも、今、ちょっぴり懐かしい・・・」

「種市先輩・・・」

「うん・・・でも・・・今更、東京に戻るなんて言えないし・・・おら、遠距離恋愛なんかできるんだろうか」

「・・・種市先輩の気持ち・・・確かめた方がいいよ・・・あの人、なかなか本音を言わない人だから・・・」

「え」

なんでユイがそんなことを言うのか・・・全くわからないアキだった。

ユイはいろいろな意味で言いたいことが言えず・・・困り果て・・・退散するのである。

だから・・・アキは種市先輩を準備室に呼び出すのだった。

それは夢にまで見た・・・告白のシーンである。

「あの先輩・・・おら・・・先輩のことが好きだ」

夢と違って告白するのはアキだった。

「そうか・・・ありがとう・・・」

「だから・・・先輩が東京に行く前に・・・安心してえ・・・正式に付き合ってるって先輩の口から聞きたい」

「それは・・・無理だ」

「じぇ・・・」

「天野の期待にはこたえられない」

「そう・・・そうだよね・・・せっかく東京さ行くのに・・・故郷に彼女がいちゃ・・・重いから」

「それは違う・・・好きな子がいる・・・そう言えば誰だかわかるべ」

いや・・・種市・・・それはアキには無理な相談だ。

「わかんね」

「ユイだ・・・俺はユイが好きなんだ。っていうかユイとつきあっている。もうバリバリ交際中だ・・・」

「そんな・・・いつから・・・」

「あれは・・・俺が高校二年のことだ・・・電車で見かけてバリバリ可愛くておったまげた」

「そんなに前から・・・」

「でも・・・学年も違うし・・・話すきっかけもないし・・・遠くから見ているだけでいいと思っていた」

「おらと同じ・・・」

「そしたら・・・天野がやってきて・・・一緒にユイが来て・・・話せるようになってバリバリうれしかった・・・」

「じぇ・・・」

「クリスマスの日に・・・俺の態度が煮え切らないと怒られた」

「じぇじえ・・・」

「そして・・・お座敷列車の下見をした日・・・思い切って告白した」

「じぇじぇじぇ・・・」

もはや立っていられないほどの衝撃を感じるアキだった。

あの日・・・種市先輩は・・・。

「俺とつきあってくれ」と言った。

「そんなの無理」とユイは言った。

「アキのことがあるから・・・我慢しようと思った。でも、アキがいるからユイと付き合えないのはアキに失礼だと思った。だって・・・それはアキさえいなくなればと思うのと同じだから」

「やっぱり無理よ」

「・・・」

「東京・・・どこに住むの・・・練馬とか・・・」

「お台場だ・・・会社の寮があるから・・・」

「・・・お・・・お台場・・・」

ユイは目がくらんだのだった。

「いいわ・・・つきあう・・・でも・・・アキちゃんには内緒よ・・・それから・・・付き合うのは東京に行ってから・・・」

それから何があったのか・・・アキには記憶がない。

ただ「ばか~」と叫んでいた。

先輩を好きになったなら・・・先輩も好きになってくれると思っていたアキ。

今、アキは世界が残酷な顔をしていることを生まれて初めて知ったのである。

アキの漕ぐ自転車は物理の法則を越えて離陸し、滑空を始める。

これは夢・・・それとも幻・・・。

(種市先輩の馬鹿。ユイちゃんのバカ。私のバカバカバカ~)

そして・・・アキは・・・またもまたもまたも海に落ちちゃいました。

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2013年5月25日 (土)

みんな!もうすぐ父の日だよ!処女教師(森田彩華)VS処女生徒(夏帆)

二週間の御無沙汰でした。

五月だというのに真夏のような日差し。太陽表面の活動が活発化しているからな。

磁気嵐が吹き荒れているのだ。

キッドの体内磁石の針も微妙に乱れるのだな。

しかし・・・このドラマが始れば東京ローカルの華も嵐も踏み越えて多重人格一同全員集合なのだ。

キンキンのチョン、ポールがチョンなのである。

・・・いつの時代の話なんだよっ。

とにかく世界の共通言語は英語でも笑顔でもなくて・・・パンチラで勃起なんだな・・・ここでは。

そして・・・今宵は団鬼六先生もご照覧あれ。

で、『みんな!エスパーだよ!・第6回』(テレビ東京201305250012~)原作・若杉公徳、脚本・演出・園子温を見た。超自然現象によって愛知県立東三河の地に特殊な宇宙線が照射され、ある条件を満たしたものに超能力が発現する。異端の研究者・浅見教授(安田顕)の予言通り、超能力者たちは次々に覚醒して行く。しかし、そのためにど田舎に転校することを余儀なくされた教授の娘・紗英(真野恵里菜)は東京在住の恋人テツヤ(岩崎拓馬)に冷淡にあしらわれわが身の不遇を嘆いていた。しかし・・・真の危機はすぐそこまで迫っていたのである。

愛知県立東三河高校の悩める女生徒・平野美由紀には新たなる懊悩が生じていた。

「嘉郎・・・嘉郎・・・嘉郎」

最近、幼馴染の鴨川嘉郎(染谷将太)のことが頭を離れないのである。

(嘉郎・・・嘉郎・・・嘉郎・・・なんで嘉郎のことばかり考えてしまうのだろう)

朝ドラマ「あまちゃん」のアキ(能年玲奈)と並ぶアホの子ヒロインである美由紀にはその理由がわからない。

美由紀、かわいいよ美由紀なのである。

しかし、嘉郎の心は東京からの転校生である紗英のことで占められていた。

嘉郎には精神感応(テレパシー)の超能力が覚醒していたがストイックな性格のために・・・紗英の心を控えている。あるいは紗英が自分のことを「変態オナニー野郎」だと思っていることに耐えられないのだった。

(浅見さん・・・浅見さん・・・浅見さん)

やはり、精神感応者である美由紀には嘉郎の心が読めるのだった。

今日も溜まり場である喫茶「シーホース」に紗英と女友達がやってくる。

どうやら・・・話題は「父親との喧嘩」らしかった。

「気にすることないよ・・・私だって父親とはいつも喧嘩してるしさ」と女友達のユウコ(伊藤沙莉)やレナ(村田唯)たちが紗英をなだめているらしい。

聞き耳を立てつつ嘉郎は思う。

(浅見さん・・・父親と喧嘩してるのか・・・可哀相に・・・なんとか慰めてやりたいものだ・・・もしもボクが浅見さんの恋人だったら・・・お父さんに意見してやれるのに・・・お父さん、僕の浅見さんに優しくしてください・・・そして浅見さんを僕のお嫁さんにください)

だが・・・美由紀には紗英の本心が分かっていた。

(クソオヤジのクソ仕事のためにクソ田舎にやってきたせいでテツヤともうまくいかなくなったしクラスにはクソ野郎しかいないし本当に最低だ最低だ最低だ)

(浅見さん・・・浅見さん・・・浅見さん)

(クソクソクソクソ)

「・・・嘉郎・・・」と言いかけてやめる美由紀だった。

美由紀、せつないよ美由紀である。

ヤンキー風だからヤリマン風に見える美由紀だが・・・実は純情可憐な女子なのだった。

青春とはある意味無縁の念動力(サイコキネシス)の持ち主である「シーホース」のマスター・永野輝光(マキタスポーツ)はさりげなく美由紀たちの会話に加わる。

「そんな風に父親を悪く云ったらあかんて・・・みんなだって元は父親の精子から生まれてきたんだに」

結局、下ネタが言いたいだけのマスターだった。

(クソオヤジ)

同志であるマスターのあまりの恥態に俯く嘉郎だった。

例によって親友のヤス(柄本時生)とAV探索の旅に出た嘉郎は・・・街で二人の教師に出会う。

社会科教師の林先生(矢柴俊博)と英語科教師の夏目先生(森田彩華)だった。

二人を見て、突然、ヤスは「不倫教師の妄想」にかられるのだった。

「おい・・・あの二人・・・不倫だに」

「え・・・だって・・・先生たちは二人とも独身だぜ・・・」と素朴な疑問を呈する嘉郎。

しかし、異常な性的興奮にとりつかれたヤスは二人を罵りはじめるのだった。

「先生・・・やりまくってるんですか・・・やりまくってるんでしょ・・・もうハメハメのズッコンバッコンのギシギシのあはんうふんなんでしょう」

「おい・・・やめろや」

あわててヤスを制止しようとする嘉郎。しかし、ヤスの暴走は止まらない。

「アヘアヘでねちょねちょでぬちょぬちょで・・・」

突然、夏目先生が手を差し出して・・・股間を握りつぶすポーズを作る。

するとヤスは苦悶して倒れ、地面でのたうちまわるのだった。

「いてててててて・・・」

「おい・・・ヤス、どうした・・・」

二人の教師は嘲笑を残して去っていく。二人の行く先では男たちが股間を抑えて蹲り、女たちは突然起こったつむじ風でスカートをまくられてパンチラを強要されるのである。

「まさか・・・先生たちも・・・エスパー・・・」唖然とする嘉郎だった。

その頃、シーホースには教授の助手である秋山多香子(神楽坂恵)が現れていた。

その→巨乳に思わずエロ念力を発動して「手を触れないで乳揉んじゃいました」を敢行するマスター。

しかし、秋山助手は無表情にふりかえると「あなた・・・エスパーですね」とつぶやくのだった。

恐慌に襲われたマスターは思わず店外へ逃走する。

しかし、秋山助手は無表情のまま、疾走して追いかけてくるのだった。

心の疾しさに急かされて逃げるマスター、追跡する秋山助手。

逃げくたびれたマスターは逆襲に転じようとするが秋山助手は格闘技の使い手だった。

「一緒に来てもらいます」と秋山助手に告げられ警察に突き出されると怯えるマスター。

再び・・・逃げ出したマスターを秋山助手は追わない。

なぜなら・・・マスターが階段から転落することを予知したからである。

秋山助手は未来を知ることができる超能力者だったのだ。

一方、街を一人彷徨う美由紀。

(嘉郎・・・嘉郎・・・ああ、また嘉郎のことを考えちょった・・・なんで・・・そんなに嘉郎のことが気になるんじゃろう・・・なんだか無性に守ってやりたくなるんだに・・・)

そこへ嘉郎がやってくる。

「美由紀ちゃん・・・なんで僕の名前を呼んでるの」

「お前のことなんて呼んでないだに」

「うそ・・・今、嘉郎って」

「呼んでない」

「呼んだ」

「呼んでない」

「呼んだ」

「呼んでない・・・」

二人は言い争いながら地面に倒れたマスターを発見する。

「どうしたんだがや」

「あ・・・あの女が・・・」

階段の上に立つ秋山助手。

「あなたたちにも来てもらいます・・・エスパーの皆さんにお知らせがあるのです」

「ええ・・・」唖然とする三人。

教授は秋山助手の未来予知によって予測されたエスパーたちを研究室に招いた。

メンバーは嘉郎の仲間たちだった。

嘉郎と美由紀とマスター。そして全裸テレポーターの榎本洋介先輩(深水元基)、サイコメトラー・フリーターの石崎英雄(鈴之助)、見えすぎる透視能力者の矢部直也(柾木玲弥)だった。

教授は超能力発現現象についての私見を述べる。

「惑星直列中に月食が起こる時、特殊な宇宙線が一定地域にふりそそいで・・・人間の潜在能力を開花させるのです。かって米国ミネソタ州のダルースでも19世紀に同様のことが起こりました」

嘉郎は話がスケールアップして・・・ヒーロー願望が燃えさかるのだった。

「しかし・・・誰もが超能力に目覚めるわけではありません」

(やはり・・・僕は選ばれしもの・・・)

「条件は三つあると推定されます」

(条件・・・)

「一つは童貞あるいは処女・・・つまり性体験がないことです」

(え・・・)

(え・・・美由紀ちゃん)

(どう見てもヤリマンなのに)

(ヤリマンて・・・お前ら)

(美由紀ちゃんが・・・処女)

(膜・・・確認)

(あ・・・)

(マスター)

(じじい)

(童貞)

(童貞じじい)

「ああー・・・俺くらい体験豊富だと逆に童貞みたいな感じになるんだに・・・」

(童貞)

(童貞ハゲ)

(童貞エロ)

(童貞ハゲエロジジイ)

「第二に・・・宇宙線が注がれた時に性的なエクスタシーを感じていること」

(それって・・・オナニーか)

(オナニー)

(あ・・・美由紀ちゃん・・・)

(処女のオナニー)

(処女なのにオナっちゃうのかっ)

(ま・・・まん・・・・ず・・・・)

俯く美由紀だった。

「第三になんらかのコンプレックスを抱えていること・・・劣等コンプレックス、性的コンプレックス・・・まあ、感情の複合体であるコンプレックスを持っていない人間は皆無と言っていいでしょう」

「じや、結局・・・童貞でオナニーしていたら誰でもエスパーになれるってことですか」

「そうです・・・秋山くんの場合は胸を見られることに特別な恥のコンプレックスがあったので胸を見つめられると予知能力が発動するようになりました」

(え)

(この人もエスパー)

(巨乳なのに)

(巨乳なのに処女)

(いや・・・美由紀ちゃんも巨乳なのに処女だに)

(膜・・・確認済み)

「超能力者同志は魅かれあう。しかし・・・同時にそれは危険なことなのです。愛はたやすく憎しみに変わるからです。前回の発生期にはエスパーは全員・・・消えました」

「なぜです」

「エスパー同志がつぶし合ったからです」

「なんで・・・」

「人間は欲望に弱い生き物です・・・突然、圧倒的な力を手に入れた人間は・・・その弱さゆえに己を見失うのです・・・」

「そんな馬鹿な・・・」

「すでに・・・ESP専用の掲示板・猫チャンネルに・・・危険な書き込みが増えています」

【みんな!エスパーだよ★12】

665:名無しのニャアタイプ

朝、目が覚めたら猫の言葉が理解できるようになった・・・

666:名無しのニャアタイプ

>>665 死ね

「これは単なる猫好きのサイトなんじゃ・・・」

「そうではありません・・・皆さんは生命の危険に直面しているのです・・・今こそ、団結しなければならないのです」

・・・しかし、エスパーたちは気がのらないのだった。

「そんなことを言われてもな」

「バイト忙しいな」

「俺・・・エロいことにしか・・・」

「まあ・・・そういうことで」

「どういうことだよ」と一人、興奮する嘉郎だった。

「みんな・・・頑張って世界を救おうよ・・・」

しかし・・・嘉郎と美由紀を残して去っていく仲間たち。

「じゃ・・・私もここで・・・」と美由紀も家路に着く。

沈黙して歩み去る嘉郎。

「じゃあなあ・・・」

「・・・」

「嘉郎・・・またなあ」

「・・・」

「おーい・・・じゃあなああああ」

名残惜しい美由紀は最後はぴょんぴょんはねるのだった。

2013年度アホの子大賞でアキと激しいデッドヒートを繰り広げる美由紀だった。

その頃・・・悪の超能力者として目覚めた二人の教師は・・・一方的に宣戦布告をするのだった。

自我が肥大して・・・暗黒面に落ちた二人は・・・その他の超能力者の殲滅を目指し・・・教授の娘である紗英を誘拐し・・・超能力者たちをおびき出すことにしたのである。

誘拐されて・・・緊縛される紗英であった。

凌辱荒縄縛り監禁→パンチラ放置される紗英だった。

嘉郎の携帯電話に送信される・・・画像メール。

たちまち勃起する嘉郎・・・ヒロインのビンチを救うためのヒーロー魂が燃えあがるのだった。

しかし・・・駆けつけてくれたのは美由紀だけだった。

「美由紀ちゃん・・・どうして」

「呼ばれたからさ・・・さあ・・・助けにいくんだろう」

二人は敵地に向かって走り出す。

待ちかまえていた二人の教師。

「え・・・先生」

「お前たちが・・・超能力者だったのか・・・」

「なんで・・・浅見さんにあんなひどいことを・・・っていうか・・・二人とも童貞と処女なんですか」

「お前らだって・・・童貞と処女だろうが・・・」

「目を覚ましてください・・・超能力は世界を救うためにあるんです」

「ばかものが・・・救う価値のある世界などどこにもないわ」

林先生は念力で美由紀のスカートをまくる。

「きゃ・・・」

(あ・・・勃起しただに)

「なんで勃起してんだよ」

「ふふふ・・・見たか・・・俺は風を操る男」

夏目先生は念力で嘉郎の陰嚢を捻るのだった。

「いてて・・・」

「夏目先生は男の急所を狙い撃ちできるのだ」

「嘉郎・・・」

「すごく痛い・・・」

「無理だよ・・・私たちの能力じゃ勝てないよ」

「くじけるな・・・」

マスターの声がした。

「ヒーロー戦隊参上」

「みんな・・・きてくれたんだ」

「正義のためだ・・・」

(秋山さんのおっぱいを触らせてもらえる)

(巨乳万歳)

(成功報酬)

(膜・・・確認)

「・・・お、お前たち・・・」

「そうだ・・・秋山さんと美由紀ちゃんは・・・夏目先生を・・・女には金玉がないから」

「なるほど・・・」

「残りのみんなは林先生を・・・」

たちまち始るバトルアクションである。

しかし、お茶の間の視線はなんとか縄を解こうとする紗英の艶っぽい動きに釘付けになるのだった。

「一体・・・何が起こっているの・・・」

「浅見さん・・・助けに来ただに」

「鴨川くん・・・」

嘉郎たちは辛うじて勝利をおさめたのだった。

教授は娘を平手打ちにする。

「あれほど・・・危険だから注意しろといったのに・・・」

しかし・・・逆上する紗英だった。

「何言ってんのよ・・・お父さんこそ・・・わけのわからない研究ばかりして・・・お母さんが死んだ時だって・・・何が超能力よ・・・馬鹿じゃないの・・・こんなオナニー野郎や、全裸変態男や、不良女や、チビや、木偶の坊や、童貞じじいを集めて・・・なんなのよ・・・頭おかしいんじゃないの・・・こんなクソ田舎・・・大っ嫌い」

誰よりも痛烈に打ちのめされる嘉郎だった。

美由紀もかける言葉が見つからないのである。

虚しい決着の後で・・・いろいろな意味で一人脱力する美由紀。

そこへ・・・ヤスがやってくる。

「どうした・・・たまってるのか」

ヤス・・・お前・・・。まさか・・・。いや、ヤスは単に美由紀の股間が見たかったのだろうと思う。

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2013年5月24日 (金)

ドルフィンに搭乗していたあなたが今も見えるテーブルごしに(新垣結衣)

ここでユーミンなのかよっ。

勘違いで片思いした男が勘違いで女を失恋させる。

こんな悲しい出来事がかってあっただろうか。

いくらでもあるわっ。

焼け仕事に燃えて高い評価を得る・・・それもまた人生だ。

そんなことばかりやってるから出生率がなあ。

今こそ、富国強兵の時だ。・・・立てよ、若者!・・・おいっ。

ジーク、ドルフィン。ジーク、ドルフィン。ジーク、ドルフィン。

何の話だよ・・・。

で、『日曜劇場 空飛ぶ広報室・第6回』(TBSテレビ20130519PM9~)原作・有川浩、脚本・野木亜紀子、演出・福田亮介を見た。14.0%↘13.5%↘11.6%↘11.2%↘10.6%と下降していた視聴率が↗13.4%である。一体どこだっ・・・キャナメなのか・・・メレブなのか。それともセラフィンを演じた歌って踊って釣れるアイドル・グループ「つりビット」に釣られたのか・・・。それとも主人公のガッキーが恋に敗れ仕事に目覚めたのが効を奏したのか。まさかと・・・思うが純国産機であるドルフィンことT-4の勝利なのか・・・。まさか、自衛隊機なのに・・・一切、武装がない・・・ってことが受けたんじゃないだろうな。練習機とは言え・・・武装ゼロってなんだよ・・・。何を練習するんだよ。軍隊は武装あってなんぼじゃないのかよ。

飛行技術ばかり上手になって・・・かよ・・・。

ちなみにスペック的には・・・T-4は最速マッハ0.9である。音速出せないジェット機なんてなあ。

ま、いいじゃないかっ。

邪悪でギャルギャルしいAD・佐藤珠輝(大川藍)のライバル排除策略によって・・・。

リカ(新垣結衣)と局アナの藤枝敏生(桐山漣)が交際中だと信じ込んだスカイ(綾野剛)・・・。

せっかく、リカが「プライベートで・・・二人で・・・お酒を飲みませんか・・・」と勇気を出してはじめてのお誘いをしたのに・・・「それはやめておきます」とへたれるスカイ。

「じぇじぇじぇ・・・」と落胆したリカは仕事で我を忘れるのだった。

あまちゃんは土曜日まで禁止だぜ。

しかし、アキと比べて両思いなので・・・最後はシンデレラ・ハネムーンに決まっているのである。

だから・・・あまちゃん禁止だよお。

暑いのです・・・急に夏なのです・・・まともに頭が回らないのです。

誰が夏ばっぱ(ナレーション)をやれといった。

そんな・・・リカに「そろそろ・・・後輩の指導をしてくれ・・・」と今回のテーマを告げる上司の阿久津(帝都テレビ)であった。

まさか・・・失恋の原因がAD佐藤にあるとは夢にも思わないリカだったが・・・仕事に没頭していたいので「後輩の指導」は拒絶するのだった。

「自分のことだけで精一杯なんです」・・・リカの偽らざる心境である。

一方、広報室では新たなる人間関係の袋小路が展開していた。

優秀な魔法使いメレブじゃなかった防衛省航空幕僚監部総務部広報室広報班の比嘉哲広1等空曹が昇進試験を受けないのである。

「それは広報室の七不思議のひとつなの・・・ぎゃおおおおおおおおおっ」と吠える柚木3等空佐(水野美紀)である。

「他に槙3等空佐に彼女がいる・・・」があると言われるが槙(高橋努)には本当は恋人などいないのだった。

「他に生徒が消える開かずの教室の話があるだろう」

「ま、魔王様」

「七不思議なのに六個しか話がなくて七番目を知ったら地獄行きなんだろう・・・なんとかして七番目を知って地獄に帰りたいのだが・・・」

「ま、魔・・・」

ローカル局の深夜アニメの話はそこまでだっ。

なぜ・・・優秀な人が昇任試験を受けないのか・・・リカはヒントを鷺坂1等空佐(柴田恭兵)におねだりするのだった。

「そうだな・・・昇進して・・・幹部になると三年ごとに・・・人事移動がある・・・と言っておくよ」

しかし、元は報道部の記者であるリカにはピンと来たのだった。

「つまり・・・一つの職種にとどまれないってことですね・・・官公庁にありがちなスペシャリストが育たない体質っていうか・・・メレブは魔法使いを極めたいわけですね」

「うん・・・半分正解・・・それからヨシヒコも禁止」

一方・・・比嘉が昇任試験を受けない理由を全く誤解して・・・怨んでいる男がいた。

片山1等空尉(要潤)である・・・かっては比嘉に指導を受けた若輩者だったが・・・比嘉が昇進試験を受けないことを・・・幹部になって重責を担う気構えが不足しているのだと思いこんでいる。上昇志向の強い片山は・・・それが人間として我慢ならないことだった。責任回避は軟弱者のなせることだからである。

比嘉が広報室のノウハウを蓄積し、後輩の指導に役立てたいと深謀遠慮を巡らしていることに思い至らないのである。

二人の軋轢になんとなく気がつく・・・スカイとリカ。

自分たちのことはさておき・・・二人の共同作業で・・・片山と比嘉のすれ違いを修復しようと試みるのだった。

折しも・・・片山は短慮が災いして凡ミスを連発。

スカイは比嘉がそつなくミスをカバーする力量があるのを知って感激する。

「ふたりが力をあわせるべきだと思いませんか」

「そうね」・・・私が力を合わせたいのはあんたとだよ・・・という言葉を隠して同意するリカ。

たとえ・・・片思いでも側にいたい・・・女心の未練なのだった。

そこへ・・・陸自がNGを出したアイドルグループ・セラフィン(つりビット)のPVの話が舞い込んでくる。

スカイは片山と比嘉に協力を要請する。

「みんなで一緒にやりましょうよ・・・やりたい仕事をやりたい人とやれる時間は限られているんですから」

スカイの情熱に負けてわだかまりを解く・・・二人だった。

片山にも・・・比嘉が出世したくない本当の理由が理解できたのだった。

パイロット関係に強いスカイ。企画力のある片山。調整力のある比嘉。

三人が一丸になって取り組み「アイドル上空を教育飛行隊のT-4編隊が飛翔」という企画が実現するのだった。

「あれにのっていたんですね」

「そうです・・・T-4は僕の夢の始りでした。ブルーインパルスの機体も曲芸飛行用の特殊仕様ではありますがT-4なんです・・・だから・・・僕にとってT-4は夢そのものでもあったんです・・・」

少年のような顔で語るスカイに見とれるリカだった。

その気配を察した片山と比嘉はスカイを唆す。

「リカちゃん・・・いい女になってきたじゃないか」

「でも・・・彼女には恋人がいるんです」

「馬鹿だな・・・そんなの関係ない。やりたいことをやりたい人とやれる時間は限られているんだぜ」

「・・・」

専守防衛の枠をはみ出した男たちの会話だった。

その頃、リカは決意を表明する。

「私・・・彼女を指導することにしました・・・グルメでも自衛隊でも・・・彼女を連れて行きます」

「自衛隊がいいです~」とAD佐藤。

しかし・・・佐藤のギャルギャルしさを見定めた阿久津は結論する。

「じゃ・・・グルメで」

適材適所・・・それはリーダーの資質が問われるポイントだからである。

そして・・・片思い同志のエレメントは・・・「しむらうしろうしろ~」的に「リカちゃん本当はすきすきす~」と小学生レベルのお茶の間を興奮させ続けるのだった。

ドリフも禁止な。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

Sk005 H☆C新曲PV撮影中。まこ平成財閥屋敷の七不思議・・・夜中にトイレまで遠すぎておねしょをしちゃうのだじょ~。ま、まこの話じやありましぇ~ん。きゃあああああああっ。それにしても・・・もどかしい・・・稲ぴょんと空井くん・・・みんなAD佐藤の悪意なき妄言が悪いのでしゅ~。まあ、本当に悪意がないかどうかは・・・女の子ならみんなわかりましゅね~。それでは聞いてください。ピンクとブルーとパープルの三色イルカの恋の物語・・・

くうそうだよね~・・・恋愛は時には奪うことも大切だよ~。お互いに奪われるのを待っているうちに・・・時が過ぎることほど虚しいことはないもんね~。命短し恋せよ男子だよね~。仕事にも前向きで・・・そして信頼できるパートナーであるリカとスカイ。まあ・・・お似合いのカップルがもどかしいのはお約束ですけどね~・・・もどかしくないと最終回ですからなあ・・・とにかく・・・あまちゃんより一足早く3/11に到着するドラマ・・・一体どうなってしまうんだろうか・・・

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2013年5月23日 (木)

家族ゲーム~奥様、百万円をどうぞ作戦~(櫻井翔)

前回に続いて買収工作である。

少女を買収した金額は伏せられていたが、専業主婦の買収金額は100万円だった。

売春婦が性欲の処理に有効な職業であることの是非はともかくとして、お金の威力が絶大であることをこのドラマはここまで全く否定していない。

スポンサー様からの広告費で製作されているドラマである以上、それを否定しても虚しいばかりだしな。

つまるところ、世界とはお金のやりとりなのである。

そういうゲームなのである。

たとえば・・・「メルトダウンの悲劇」を目の前で見ている人々が、「危険な原発」の続行を求めるのも「将来失うかもしれない巨大な損失よりも明日手に入る小銭が欲しい」と損得勘定をするからである。もはや、中国発の有害物質入り農作物で一億総猫踊りを踊る日が近くても、1円でも安いキャベツを求める人々の群れは絶えない。農業の抜本的改革を叫びながら、農薬入り作物を作り続ける農民を手厚く保護するのがお金を集めては配る人々の譲れない一線なのである。安全保障よりも金が欲しい人々はあれだけ日本政府に唾を吐きながら、中国の支配は断固拒否すると宣言するのだった。どうかしてるぜ。

自民党本部は「絶対に米国の指示通りにする」と公言しながら沖縄支部の「絶対に米国の指示通りにはしない」という公言に目をつぶり、その件についてはあえて触れないという寝技を繰り出す。

それもすべては金のためである。

そういう「金がすべての世の中が神や悪魔の大好物である」ことは間違いないだろう。

もちろん・・・家族ゲームはニードフルシングスの手の内にあるのだ。

で、『家族ゲーム・第6回』(フジテレビ20130522PM10~)原作・本間洋平、脚本・武藤将吾、演出・佐藤祐市を見た。ゲームの要素に「主導権争い」というものがある。つまり、全体をプレイヤーが自分の欲望に忠実に従わせるために、意志の決定機関をどのように制圧するかというゲームである。代表的なものに選挙や、暗殺がある。政党政治の組織というものは暗殺を防止するシステムとも言える。たとえば総裁を暗殺しても政党は存続するから無駄だと言う意志表示である。そうでない場合は暗殺は有効な手段である。アドルフさえいなければと思うからこそ、総統暗殺計画は立案されるのだ。

沼田家の長男・沼田慎一(神木隆之介)はある時点まで、沼田家の支配に成功していたと言えるだろう。経済力を持つ父親の沼田一茂(板尾創路)は優秀な長男に期待を賭け、忠実に沼田家に必要な金銭を運搬する奴隷として慎一の期待に応えている。専業主婦である母親の佳代子(鈴木保奈美)はつつがなく衣食住を提供し、慎一に快適な生活を与える女中として申し分ない。不出来な次男の沼田茂之(浦上晟周)は慎一自身の優越性を証明し、優越感を満足させる貴重な愛玩物である。まさに慎一にとって沼田家は支配下にある安住の領土だったのである。もちろん、領土外で慎一が「死ね」と言った人間が自殺未遂をしようがしまいが知ったこっちゃないのである。

そこへ・・・闖入者である家庭教師・吉本荒野(櫻井翔)が出現する。

彼は出来が悪く瀕死だった弟を強行的な手段で再生し、本人曰く「今まで味わったことのない幸せを感じる」までに至らせた。弟の不幸=幸せだった慎一にとって弟が幸福になることは自分の幸福感が目減りすることに他ならないのだった。

支配者として推移を見守る慎一は・・・表面的には穏やかだった沼田夫婦に亀裂を入れ、経済的にも生活的にも慎一から安穏な日々を奪い取ろうとする吉本の所業に強烈な不快感を抱くのだった。

慎一にとって吉本は領土に一方的に侵入し、慎一の家族に対する支配権を奪取し、支配者として君臨しようとする侵略者に他ならない。

さらに・・・吉本は慎一を屈服させ、慎一をも支配下におさめる気配満々なのであった。

慎一は総力を結集し、本土防衛戦を実行するしかない苦境に追い込まれていた。

しかし、圧倒的な情報収集能力を持つ吉本のために防戦一方の慎一。

平和ボケした慎一は拠点を失い、自らの「万引き」「器物破損」「傷害」などの犯罪の証拠さえも吉本に握られてしまう。

風前の灯である慎一の前に自称「吉本荒野の犠牲者」を名乗る女・立花真希(忽那汐里)が現れ、共闘を申し出る。

藁にもすがる思いで真希の手をつかんだ慎一は・・・本当の吉本荒野(忍成修吾)の母親(佐藤直子)を訪ね・・・ついに起死回生の情報「田子雄大の過去」を手に入れる。

吉本荒野は本当の吉本荒野の同僚中学教師であった田子雄大だったのだ。

そして・・・本当の吉本荒野が優秀で人気のある教師だったのに対し、田子雄大は無能で孤立した教師であったという・・・過去の職場仲間の証言を入手する。

田子は教え子の家庭問題の処理に失敗し、それを問題化しようとした吉本荒野を殺害しようとして昏睡状態に追いやり、教え子をいじめて自殺に追い込んだという推測を両親に告げたのである。

これで・・・沼田家は俺のものだと確信する慎一。

「こいつは人殺しなんだ・・・そんな奴は家から追い出してくれ」

しかし、吉本はまったく動じない。

「そんな推測で犯罪者扱いされても困る」

そして・・・実は立花真希であった愛人との復縁をちらつかされ、情欲に支配された父親は・・・。

「そうだ・・・推測だけで人を判断してはいけない」

さらに・・・株の損失を吉本からの資金提供で切り抜けた母親は・・・。

「吉本先生がそんな悪人だなんて・・・まったく見当違いよ・・・」

もちろん・・・弟は・・・。

「吉本先生は生命の恩人だ・・・たとえ犯罪者だったとしても僕は吉本先生を必要とする」

まったく・・・慎一にはなびかなかったのである。

「なんだそりゃ・・・俺は・・・本当の息子だぞ・・・家族より他人を信じるのかよ・・・どうかしてるぜ・・・お前ら」

ついに本性を剥きだす慎一。

「家族取られちゃった・・・」と慎一は正体不明の女・立花真希に縋るのだった。

一方、慎一に叛旗を翻された吉本は着々と次の一手を打つのであった。

慎一が証拠隠滅を成し遂げたと思った・・・慎一の犯罪の証拠写真は・・・当然のことながらいくらでもコピーがあったのだった。

その写真の一枚を・・・吉本は・・・慎一のセックスフレンドの最上飛鳥(北原里英)に渡すのだった。

理想の家族を求める吉本の狂気は留まることを知らないのだった。

歌のような歌を歌ってやる

言葉のような言葉で話しかけるのさ

革ジャン、ゴスロリ、鎖帷子

それが自己主張なんだって

さあ支配者をチェンジしようぜ

いつだってやりたいことをやる

それが俺の流儀なのさ

俺は裸だ

すべてをさらけだす

装ったやつらなんか

信じない

隠している部分に何かあることぐらい

お見通しなのさ

さあ・・・白状するなら

今しかないぜ

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2013年5月22日 (水)

懺悔の値打ちもないけれど・・・悔い改めることはできるのです(香取慎吾)

大魔王さまの昏睡準備とか闇の聖母の理由なき憤怒とか魔界が多忙の上に、5/22の前にアクセス数が2ゾロを突破してしまったために次の3ゾロまであまりにも遠いとモチベーションの下がった悪魔が地上に不在中ですので、聖なるハートブレイカーがお送りしています・・・些少は説教くさいかもしれないのでご注意ください。

懺悔は罪を自覚してこそ、成立します。そこに罪の意識がなければ告白には至らないのです。

しかし、罪とは思わないが、失敗したと思った時にリセットボタンを押すことはできる。

気持ちを切り替えるのはそれほど悪い事ではないでしょう。

しかし、時にはそれを罪と感じる人もいます。

とりかえしのつかないことをして悔い改めるものを許さないという考え方もあります。

この結婚は失敗だと思うのでやりなおしたい・・・そういう気持ちを否定する制度は確かに存在する。

つまり、やりなおすことは罪なのです。

結局、神と悪魔の戦いは・・・こだわり続ける人とこだわらない人の軋轢なんだぜ。

で、『幽かな彼女・第7回』(フジテレビ20130521PM10~)脚本・古家和尚、演出・白木啓一郎を見た。佳境である。「正しき道」を歩む「愛の伝道師」である神山先生(香取慎吾)はかって・・・道を誤り、迷える子羊を悪魔の群れに追い立てて、その生命を脅かしてしまった過去があった。その忌まわしい記憶を封印して・・・再び、正しき道を歩み始めた神山先生。しかし、過去の喜びが勇気を与えるように・・・過去の苦しみは怖じけを呼び覚ます。正しき道を歩むために・・・忌まわしい過去と対面する必要に迫られる神山先生だった。人は皆、それぞれの路を往くものだから。

世田谷区立小原南中学校3年2組の問題児、根津亮介(森本慎太郎)がサッカー部所属の手嶋健太郎(岩橋玄樹)に一方的な暴行を加える事件が発生した。

教師たちの追及に亮介は口を閉ざす。

きっかけは子供に「愛の結晶であることを知らせるために両親がなれそめを話して聞かせよう」という大原先生(濱田マリ)のちょっと恥ずかしいプリントだったが、皮肉にも大原先生はそのことを知らずに・・・担任の神山先生の指導力不足を嘆くのだった。もう、濱田マリはそういう役しかやらせてもらえないんだな。悪気がない分悪い・・・みたいな。

亮介は両親に対して・・・悪感情を持っており、プリントを捨て・・・「正しき両親」を信じる健太郎に咎められ、逆上したのである。

悪魔は至る所に罠をはり、正しきものも悪しきものも等しく地獄に導くものだからである。

地縛霊であるアカネ(杏)に導かれ、正しき道を歩みだした霊感教師でもある神山先生は守るべき子供の守り方を知らぬ愚かさを悔い改め、問題の本質を見極めようとする。

そして、正しき道によって得た子供たちの神山信仰は深まり、増殖した神山信徒たちは神山に情報をもたらすのだった。

一方、「正しいけれど恥ずかしい」大原先生のプリントに戸惑いを感じた母親たちは「我が子に語る愛などない」と学校側にクレームをつける。副校長の霧沢は法的に問題ある家庭の例をあげ、「結婚生活に失敗する親の間違い」を子供に「押しつけることは許されない」と「正論」で応じるのだった。

しかし、正邪が織りなすこの世界でその論理はもちろん、正しくはあるが間違っている。邪であるが間違っていない道があるからである。

しかし、正義のためにはその道を退ける必要があると法の番人は考えるものなのである。

悪法もまた法なりが基本だからである。

そのために「法」には「償い」と「許し」が含まれている。

幼子に「償い」と「許し」を教えることも伝道師の使命なのである。

それは本来、親の役目であるが、親のたらざる部分を補うのが教師である。

使徒である生徒たちのもたらす情報によって・・・亮介も小学生の頃にはサッカークラブで健太郎の良きライバルだったと知った神山先生は・・・本人に探りを入れてみるのだった。

「なぜ・・・君はサッカーをやらないのです・・・昔はエース候補だったと聞きましたよ」

「俺は作られたエースだったのさ・・・親がコーチに金を渡して・・・贔屓されていただけだったんだ・・・親がリストラされてから・・・急に扱いが悪くなった。そんな薄汚いチームでサッカーなんかやってられるかよ」

(こいつすごいバカだな)と神山先生は思ったが、バカな子羊に正しい道を教え諭すのが教師の役割である以上、口を噤むのである。

その頃、教師に正しい道を見出せない副担任の河合先生(前田敦子)は転職のために出版社の面接試験を受け、自分の考えの甘さを指摘されまくり、火だるまになってしまうのだった。

「学生気分の抜けないあまちゃん」である河合先生はゲームセンターに避難するのだった。

河合先生に恋する林先生(北山宏光)は思わず補導する。

神山先生の元へ救いを求める河合先生と林先生。

「面接官がハズレだった。私の素晴らしいセンスをちっともわかろうとしない。この世は終っている」という河合先生に「人のせいにするのはよくない」と正しい道を求める林先生。

そもそも・・・河合先生の見かけの可愛さに恋している林先生が、河合先生の内面を指導できる可能性はあまりにも少ないのだった。

神山先生とアカネは若さゆえの過ちというものを感じるのだった。

そんな神山先生の元へ一通のハガキが届く。かっての教え子からの「教育実習を受けている」という報告だった。

しかし・・・その教え子こそ・・・神山先生が稚拙な指導によっていじめを悪化させ・・・自殺未遂に追い込んだ生徒・・・広田かすみだった。

「彼女は立派に立ち直ったんだから・・・連絡してみなさい」

「いや・・・その前にやるべきことがある。時にはあたってくだけることも大切でしょう」

神山先生は・・・過去の過ちと向き合うために・・・現在の自分の指導力を生徒にぶつける必要があった。かっての失敗が無駄になっていないことを確認するためである。

一方、ついに悪霊であることを明らかにした浮遊霊の吉岡さん(佐藤二朗)は恋人の浮遊霊メグミ(上間美緒)とともに神山先生の下宿先であるメゾン羽生管理人の進藤(趙珉和)に憑依し、お腹が壊れるまで食料を過剰摂取させるという悪行三昧のついでに・・・健太郎と話がしてみたいというアカネの希望を叶えるのだった。

幽霊に正邪を求めてはいけない。彼らはもはや死んでいるからである。

しかし、正しき道を求めるアカネは健太郎に正しく健やかな魂を見出すのだった。

健太郎は生きながら地獄に落ちた亮介に救いの手を差し伸べようとしていたのである。

ついに・・・「正しき教えの路」を見出した神山先生は呪われたクロユリ団地前に・・・亮介を呼び出すのであった。

「何の用だよ」

「あなたと喧嘩しに来たのです」

「・・・」

「結局、あなたは自分の実力を信じることができず・・・親のせいにして逃げている卑怯者なんじゃないですか・・・」

「喧嘩売ってんのか」

「最初に言いました」

「・・・」

神山先生は亮介を健太郎の元へ導くのである。

「決着をつけようぜ・・・俺からボールを取ってみろよ」

ボールは友達さ作戦である。

亮介がすねてひねこびて無為の時を過ごしている間、精進した健太郎は圧倒的な実力差を見せつける。

悔しくて殴りかかった亮介を一撃でノックアウトする健太郎。

「精進している俺が・・・お前に喧嘩で負けるかよ・・・そんなのサッカーに失礼だろ」

亮介はついに敗北を悟るのだった。

自分が蔑んだ世界は・・・実ははるかな高みにあったのである。

亮介が蔑んでいたのは自分自身だったのだ。

悔い改めた亮介は差し出された正しい友の手によって正しい世界に引き戻されたのだった。

神山先生は漸く・・・かっての犠牲者に会いに行く覚悟ができたのだった。

美しく成長した広田かすみ(大友花恋→波瑠)は冷たい視線でかっての担任教師を見つめる。

「まさか・・・会いにくるとは思いませんでした。それに・・・まだ先生をやっているとは意外です」

「すみません」

「先生の謝罪を受け入れる気はありません。私は先生を一生許しませんから。先生は私を守ると言いながら・・・私を追い詰めた。だから・・・私は生徒たちを守れる教師になろうと決心したのです。私には守ってもらいたい生徒の気持ちがわかりますから。だからといって先生に感謝する気持ちはないということを伝えたかったのです」

「私は・・・あなたを応援しています」

訣別する二人。

かすみには見えないアカネは神山先生を慰める。

「ごめん・・・てっきり水に流してくれると思ってた」

「あやまる必要はないよ・・・お前のおかげで俺は・・・ようやく・・・彼女に頭を下げることができたんだ・・・過つのは愚かなことだが・・・過ちから何も学ばないのはもっと愚かなことだろう・・・」

犯罪者が犯罪被害者に謝罪しても・・・誠意は伝わらなくて当然である。

罪の刻印の消えることは未来永劫ないのである。

ただ世界が償いを受け入れ許しを与えるだけのことだ。

アカネの奪われた生命がけして戻らぬ如く。

その頃・・・神山信徒たちの描きつつある生温かい理想郷に違和感を感じる悪魔の使徒である京塚りさ(山本舞香)は神山先生と霊感の絆で結ばれた森野小夜(森迫永依)を利用して新たな陰謀を画策するのだった。

正しき神の使徒と悪しき神の使徒の最終戦争は目前に迫っている。

しかし、正しかろうが悪かろうが神は必ず勝利するのである。

勝ったものが神なのだから。

・・・お前、やっぱり聖なるハートブレイカーの皮をかぶった悪魔だろう。

関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の幽かな彼女

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2013年5月21日 (火)

くつろぎの貴公子ガリレオ~ほろ苦いコーヒー仄暗いホログラフィー(夏川結衣)

三次元の幻に執着する人がいる。

二次元ではなくて・・・三次元なら幻でなくなるわけではないというのに。

たとえば・・・ガリレオの公式では・・・「今だけ3Dオープニング中」である。

おそらく・・・六話オンリーなのである。

方式はアナグリフ式(青赤メガネをかける奴)だろう。前々世紀からある立体写真の技法である。

ディズニーランドではじめて偏光フィルター式を見た時は楽しかったなあ。

一方で裸眼で見える三次元映像といえばホログラフィーである。

まあ、ちょっと見方にコツがいるステレオグラムもある。

ものが立体的に視えるというのは基本的に両眼視差によるものである。

単眼では遠近感がつかめないというが片目だけでもなんとなく立体は見えるような気もする。

しかし、それは眼球や首を動かしているのだな。

だが、ホログラフィーは立体的な映像なのである。

何と言っても奥行きや膨らみがあるのだ。

それは素晴らしいことなんだなあ・・・。

まあ、やはり幻なんだけどなあ。

で、『ガリレオ(第2シーズン)・第6回』(フジテレビ20130520PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、演出・金井紘を見た。第2シーズンは変化球投げすぎというお茶の間のためにかなり、直球が来ました。しかも、今回は被害者も加害者も女科学者である。これは・・・素晴らしい。初回の女技術者も素晴らしかったが・・・やはり、悪の研究者の方が痺れますな。やはり、放射能を発見し、再生不良性貧血で死去したマリ・キュリーの幻影があるわけである。ある意味、広島で10万人焼き殺した女だからな。それは責めすぎじゃないのか。いや、別に責めてないよ。悪魔的には尊敬に値する部類だ。それが科学というものじゃないか。何に使うかは人次第だもの。

エイトマンの水沢博士(光線兵器レーザーの開発者)ぐらいの穏便な比喩にしておけよ。

・・・吐いた唾液は飲みこめないんだよ。

・・・ま、いいか。

前シリーズ・ヒロインとやたらと比較されて心身ともに疲れた妄想刑事ことオカルトちゃん・岸谷美砂警部補(吉高由里子)はネットで「登山仲間募集」に応じ・・・初心者でも安全な女性だけの山歩きツアーに参加したのであった。・・・オカルトちゃん・・・一人参加である。第三章登場の由加里(原田佳奈)とか、聡子(松岡璃奈子)とかは付き合ってくれなかったのか。

ツアー参加者の一人は有名企業の研究員・篠田真希(遊井亮子)で、ペンションに先着していたオカルトちゃんやペンション・オーナーの藤村伸一(おかやまはじめ)への挨拶もそこそこに「疲れ」を理由に部屋にこもってしまう。篠田真希の上司であり、ツアーの主催者である主任研究者・野木祐子(夏川結衣)が到着しても姿を見せない。夕食の時間になり、心配になった野木と同行を求められたオカルトちゃんは様子を見に行くが部屋には鍵がかかっている。念のため、外から窓の鍵を確かめたが・・・外から見るかぎりクレセントロックがかかっていた。やがて、入浴時間となり、野木祐子が入浴。

「いいお風呂で湯船で寝ちゃいそうになった」

湯上りの一言が今回のキーワードであり、続いて今回の最大の見どころであるオカルトちゃんの入浴シーンのサービスである・・・そこかよっ。

しかし・・・そこで・・・オカルトちゃんは・・・意外なものを発見する。

オカルトちゃんは理系ではないが・・・帝都大学物理学科准教授・湯川学(福山雅治)の後輩のガリ勉ちゃんでもある。ガリ勉ちゃんは意外なことを知っているものなのだ。

「お風呂で体に泡がつくのは・・・一番風呂の人だけ・・・」

それなのに・・・二番目のオカルトちゃんに・・・過飽和になった空気が分離した泡が着いたのである。

つまり・・・篠田真希は湯船につからなかったのである。

「なぜ・・・彼女は嘘をついたのか」

その後、篠田真希が窓を開けて失踪しているのが発覚する。やがて・・・篠田真希はつり橋から落下した墜落死体として川中で発見される。

地元警察は自殺と判断したが・・・オカルトちゃんは野木祐子による他殺を疑うのだった。

ガリレオの研究室では低温超伝導による超伝導電磁石リニアジェットコースターの実験が楽しく行われていた。

この遊園地的な実験はやはりサービス・ポイントなのだな。

しかし、科学の基礎実験をガリレオが相撲の四股にたとえたことは湯川ゼミの女学生・遠野みさき(逢沢りな)や上杉萌子(吉倉あおい)には不評だった。そろそろ、ゼミの学生がらみのネタがあっても良い頃だからであろう。

しかし、サービスは私がしたとばかりに・・・「密室失踪事件」の解明を迫るオカルトちゃんだった。

「しかも・・・容疑者は美人科学者です」

「実に面白い」

ガリレオだけでなく、万年助手の栗林宏美(渡辺いっけい)も目を輝かすのだった。

オカルトちゃんの仮説は「野木が入浴時間を利用して篠田を部屋から連れ出し橋から突き落とした」というものだった。

検証のためにペンションを訪れたガリレオとオカルトちゃんは早速、一戦交えた後で・・・犯行が時間内に可能かどうか再現を試みる。物理学者としては超人的な体力のガリレオに刑事としてはかなり体力不足のオカルトちゃんはふりまわされる。しかし、時間的に犯行は不可能という結果に・・・。落胆したオカルトちゃんは二戦目を要求するが、ガリレオは「二度続けて抱きたくなる女はいない」と嘯くのだった。それはゴルゴ13だろう。いい加減にしておけよ。

「今度は・・・本人に会いたい」とオカルトちゃんに求めるガリレオだった。

結婚できない男ですかっ」とパン屋の思い出にひたるオカルトちゃんである。・・・おい、完全に意味不明だぞ。

野木博士の元を訪ねたガリレオは・・・オカルトちゃんを無視して・・・科学者としてお互いを賛美しあうのだった。

「湯川先生は科学を志すものとして憧憬の対象です」

「野木博士、あなたの研究も素晴らしい。2つの波の振幅・位相によって干渉縞を作ることが出来るような相互にコヒーレントな関係になりたいですな」

「量子光学的には電磁波の振幅と位相とを同時に正確に定めることは不可能なので現実には完全にコヒーレントな光は存在しませんけどね」

「本質的にはインコヒーレントでもスペクトル幅が非常に狭いレーザーのような一般にコヒーレントと考えられている光源でよろしいでしょう」

「・・・」高次元で口説きあう二人の研究者から取り残された理系ではないオカルトちゃんだった。

「最後に一つだけ・・・あなたはペンションで湯船につかりましたか・・・」

「いいえ・・・あの日はシャワーですませました」

「嘘・・・」

訴追の根拠を否定され・・・茫然とするオカルトちゃん。

しかし・・・ガリレオは逆に疑いを深めたのだった。

オカルトちゃんには嘘をつく理由がなく・・・野木博士にはそれがあるということだからだ。

「美味しいコーヒーを御馳走様でした・・・」

早速、ガリレオは野木博士のストーカーとなる。その結果、野木博士が分不相応な高額ショッピングをしている事実に突き当たる。

オカルトちゃんは「完全犯罪を遂行して自分に御褒美でしょうか」と想像する。

しかし・・・ガリレオはそこに野木博士の苦悩を見たのだった。

「彼女は・・・研究の成果を悪用して・・・ストレスを感じている」

そこで・・・オカルトちゃんの集めた野木博士の業績を・・・スマスマの香取慎吾のコントと連動した高級家具売り場で分析したガリレオは・・・高級家具を黒板代わりにして計算を始め・・・オカルトちゃんを失神させるのだった。

そして・・・ついに実証実験を開始するガリレオ。

それは・・・フォログラムシールによるガリレオ三次元映像として結晶するのだった・・・。

「彼女は・・・出来の良すぎる弟子を呼び出して殺し、それから彼女は・・・窓に・・・施錠された鍵の立体映像シールを貼ったのだ。そして・・・ペンションにやってきた。入浴中にしたのは・・・シールの回収だ・・・それなら充分に可能だ。全裸でも可能だが・・・おそらく着衣のままだったのだろう」

ガリレオは今回は・・・不幸な女のナイトではなかったのだろうか・・・いや、やはりナイトだったのだ。

「上司である・・・私よりも遥かな高みを目指すあの子が憎かったのよ。だから・・・殺した。殺したら楽になると思っていた。私が愚かだったわ。あれから・・・私は・・・自分の研究を自分で汚したことで・・・眠れない夜を過ごしている。ホログラフィーが一つ。ホログラフィーが二つ。ホログラフィーが三つ・・・」

「彼女があんなに苦しんでいるとは思いませんでした・・・先生が・・・自分に御褒美なんていうから・・・極悪人だと思ってましたよ」

「ご褒美って言ったのは君だろう」

「違います」

ガリレオは・・・嘘をつかない女は・・・都合の悪い事は忘れる女だと確認した。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

天使による数式的アプローチはコチラへ→テンメイ様のガリレオ2

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2013年5月20日 (月)

父兄の教え給いし鉄砲に会津心の魂やこめなむでごぜえやす(綾瀬はるか)

ま、ご愛敬だな。

中野竹子の辞世とされる「もののふのたけき心にくらぶれば数にも入らぬ我が身ながらも」に対応して、川崎八重が「父兄の教え給いし筒弓に会津心の弾やこめなん」と詠んだという趣向である。

八重の和歌は「明日よりはいづこの誰か眺むらんなれし大城に残す月影」が有名だが・・・虚実の境界線を漂うわけである。

そもそも、世界はフィクションで満ちている。

諏訪信仰は全国に二万五千の社を持つと言われる人気の「神」である。

で、その神は建御名方神(たけみなかたのかみ)である。

しかし、この神は建御雷神との戦争に敗れた神である。敗走を重ねて諏訪湖に追い詰められ、全面降伏して命乞いをした。そして、諏訪の地より出ないことを条件に命を永らえたという神なのである。

おい・・・と思う。そういう神に戦勝祈願して大丈夫か・・・という話である。

しかし、そういう神だからこそ拝む価値があるのだ。

ものすごい人気なのである。

なにしろ・・・戦に負けても命が助かった方がいい・・・そういう考え方があるからである。

もう、その潔くない姿勢は天晴という他はない。

だから、日本人の本質は国破れて山河あり、一億玉砕はスローガンなのである。

戦後の繁栄を見よ・・・ということなのだな。

とにかく・・・会津藩の妻たちは・・・そういう神に神頼みをした・・・という話だ。

会津の諏方神社は「諏訪大社」の「訪」を「方」に変えている。これは本家に憚ったためであるとされる。どこまでも・・・長いものに巻かれる神なのである。

で、『八重の桜・第20回』(NHK総合20130519PM8~)作・山本むつみ、演出・加藤拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに来た本当は江戸藩邸と大阪藩邸住まいで・・・会津に戻ったのは鳥羽伏見の敗戦後である・・・中野竹子描き下ろしイラスト大公開である。まあ・・・江戸への帰路、船上で落命したはずの林権助が伏見の陣中で散ったりして定説をいろいろと覆す気満々のこのドラマである。ヒロインの隠された歴史を発掘しすぎて・・・いろいろと妄想が膨らみ過ぎている気配がございますな。主戦場の鳥羽街道を描かず、伏見の攻防のみでしたが・・・幕末ものとしては戦がそこそこ描かれるのがこのドラマの醍醐味ですねえ。まあ、会津戦争についてはプレマップしすぎですけれど~。往年の角川映画みたいだったらどうしよう・・・。

Yaeden020 慶応三年十二月十三日、徳川慶喜は二条城を出て大坂城に退去した。新政府では越前藩・松平春嶽と薩摩藩・大久保利通の間で徳川家に対する処遇の駆け引きが行われていた。大藩として徳川家を新政府に参与させるか・・・領地返上させ政治生命を断つかである。二十四日、結局、「領地返上」は「領地取り調べ」という曖昧な形で決着する。二十五日、江戸薩摩藩邸を庄内藩士が焼き打ちする事件が発生する。二十八日に急報が両勢力に届く。この日、岩倉具視は参与から議定に昇進する。江戸で旧幕府と新政府の衝突が発生したことにより、恭順の姿勢に綻びが入った慶喜は懊悩の末に開戦を決断する。慶応四年一月(1868年)に大坂の幕府軍は戦闘準備を開始した。二日に京都を目指して徳川軍は淀城から北上。この知らせを受けて三日、新政府は会議で越前藩や尾張藩の反対を退け「徳川征討」を決定する。夕刻に伏見に幕府軍が進出。別働隊は鳥羽街道を進行する。下鳥羽で街道を封鎖した薩摩軍と徳川軍先鋒が衝突し、鳥羽伏見の戦いと呼ばれる戊辰戦争の最初の戦闘が発生する。徳川軍は一万五千の兵力を集中することができず、五千に満たない薩摩軍の火力に総崩れとなって惨敗する。日和見を決め込んでいた各藩は急速に新政府に従うことになった。五日、淀城に退却しようとした徳川軍を淀藩が拒絶、敗走は決定的なものとなる。六日、徹底抗戦を叫ぶ将兵を残し、慶喜は大坂城を脱出する。

「なじょして・・・鉄砲がつかぬ・・・」と山本覚馬はつぶやいた。

京の学問所には鳥羽・伏見の砲声が轟いていた。

「海路は・・・薩摩長州が押さえている模様でございます」と答えたのはくのいちの小田時榮だった。丹波の忍びの一族小田家のものだが・・・もはや、岩倉具視の息のかかった忍びと言えるだろう。

すでに・・・無明の闇の中にいる覚馬にはそこから逃れる術はなかった。

「それでは・・・会津はどうなる・・・」

覚馬は歯ぎしりをした。

「岩倉様は申しました・・・もはや・・・幕府もなく、会津藩もない・・・これから始る新しき国の礎に覚馬様もお力添えをくださるように・・・とのことです」

「俺に・・・裏切れというのか・・・幕府を・・・殿を・・・会津の家を・・・」

「しかし・・・天子様を裏切ってはおりませぬ・・・」

「う・・・」

「たとえ・・・ご若年とはいえ・・・帝は帝でございますぞ・・・先の帝には覚馬様のお殿様も忠勤を尽くしたではございませんか・・・」

「しかし・・・」

「勝てば官軍でございます・・・そして・・・今の幕府は負けるべくして負けるのでございます」

「そなた・・・おそろしいことを言うな」

「スメラミコトのくのいちでございますれば・・・」

覚馬は自決について考える。しかし・・・闇の中から・・・声がするのであった。

「やまと・・・だましい・・・は永遠に不滅です」・・・吉田松陰が・・・。

「この国を・・・西洋列強の食い物にしてはならん」・・・佐久間象山が・・・。

「世界を相手にせねばならんのです・・・」・・・坂本龍馬が・・・。

科学忍者隊の死者の声が覚馬をこの世にとどめた。

もっとも・・・坂本龍馬は闇の血を受け、京都北方の山中に埋められたまま・・・生と死の間を未だ彷徨っている。

薩摩軍の猛火を浴び、徳川軍は敗走を始めている。

会津諏方神社は八坂刀売神という妃神も祭っている。

八坂刀売神は渡りの神であり、社はその氏子である会津のくのいちたちの集会場でもある。家老の家柄である諏訪頼信からの早飛脚が集会中のくのいちにもたらされたのは一月も半ばのことであった。

会津くの一の長である照姫は悲報を読み上げた・・・。

「鳥羽伏見の戦で・・・幕府方は・・・負けたそうでございます」

一同の息が乱れる。

照姫は死者の名を読みあげる。

百名を越える死者の中に・・・縁者の名を聞いたものは呻き、喘ぐ。

八重はただ・・・唇をかみしめた。

「来るなら来い・・・」

その思いがあふれ出る。

くのいちたちはしのびのいくさの評議を始めた・・・。

すでに・・・会津は雪景色となっている。

関連するキッドのブログ→第19話のレビュー

篤姫伝→鳥羽伏見の戦い

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2013年5月19日 (日)

あまちゃん、七巡目の土曜日(有村架純)

重厚な布陣である。

ヒロイン(能年玲奈)、ヒロインの親友(橋本愛)、ヒロインの母親(小泉今日子)、ヒロインの祖母(宮本信子)・・・スターだらけの運動会である。しかもこれに・・・ヒロインの母親の若き日の姿(有村架純)が加わってダメ押しなのである。野球で言えば1番~5番まで三割バッターみたいな、サッカーで言えば半分ストライカーみたいな、相撲で言えば横綱五人みたいな・・・もう、いいんじゃないか。

とにかく、もう、このキャスティングだけで大成功みたいな感じ・・・。

ヒロインの母親の少女時代じゃ・・・出番少ないんじゃないかと・・・心配していた有村架純だが、これでもかと押してくるので・・・全く杞憂だったのだな。

そして、キョンキョンの往年のファンにも・・・時々、若き日のキョンキョンを彷彿とさせる有村架純の存在感爆発なのである。

さて・・・第七週は・・・起承転結起承転にあたるわけだが・・・その「転」が実に静かに厳かに描かれている。

本来は、老夫婦、若夫婦、孫娘の五人家族でもおかしくなかったのに・・・24年間バラバラだった人々が・・・ついに勢ぞろいしたわけである。離散すれば集合し、集合すれば離散する理がある以上、今度はまた離れて行くわけだな。

そういう人々をつないでいるのが・・・ヒロインの母親の若き日の姿なのである。

ヒロインにとっては最大の謎である母親・・・その姿をお茶の間は・・・ヒロインの若き日の姿を知る地元の皆さんと一緒に堪能できるのだ。

とにかく・・・ヒロインの母親の謎は・・・家出前までが明らかになったのだった。

後は・・・ヒロインが生まれるまでの空白の8年なのである。

まだまだ・・・有村架純の出番はたっぷり残されているのだった。

で、『連続テレビ小説・あまちゃん・第7週』(NHK総合20130513AM8~)脚本・宮藤官九郎、演出・梶原登城を見た。海女のアキなのにちっとも海に潜らない・・・という人も多いだろうが・・・なんてったってシーズン・オフなのである。その分、スタッフ・ロールのある月曜日はオープニングに海女シーンがたっぷり盛り込まれていて見どころとなっている。ウニも見れるし、ジャンピング・アキ・フラッシュも楽しいのである。これだけ味のあるオープニングも最近では珍しいのではないか。今週のサブ・テーマは「おらのママに歴史あり」であるが、ほとんどの人が「おらのママに黒歴史あり」だと思っているにちがいない。しかも「おらのママに黒歴史あり(前篇)」なのである。それでも一週間に横たわるのだな。アキ(能年玲奈)はここまで「海女ちゃん」になり「北三陸のアイドル」になり「南部ダイバー」になり「初恋の人に告白」までして急成長してきたわけだが、ここで一息ついて・・・ママの青春に寄り添うのである。同時に一年に10日しかいない祖父・忠兵衛(蟹江敬三)とあわただしく仲良くなり、なんとなくうざい父親・黒川正宗(尾美としのり)をそれなりにうざがり、乙女となった祖母・夏(宮本信子)の心情を思いやる。そして・・・至る所で母・春子(小泉今日子)を始めとした祖父母・両親のDNAが流れているところを垣間見せるのである。その「血」は色濃く流れているのだなあ・・・これがっ。

月曜日 ウニ725匹・・・新記録が出た眠れない夜さ(能年玲奈)

アキの17歳のバースディー・パーティーは正宗がリクエストした「潮騒のメモリー」のイントロとともに凄惨な修羅場と化したのだった。マイクを持ったまま凍りつく春子。「知ってるか、正宗くん・・・春子は昔、芸能人になりたくて家出したんだぞ」という忠兵衛の一言は・・・春子の過去ついて触れないできた店内の一同を沈黙させるのである。

「じぇ、それ本当・・・じぇじぇ、知らなかった・・・じぇじぇじぇ、かつえさん知ってたの・・・弥生さんは・・・みすずさんは・・・」

「アキ・・・いい加減にして・・・みんな、腫れものにさわらないように・・・気を使ってだまってんのよ・・・察しなさいよ・・・田舎ってのは腫れものに触んないから腫れがいつまでも引かないのよ・・・」

「そんな俺たちは別に」とゴースト・バスターズも封印されて戸惑う大吉(杉本哲太)。

「じゃ・・・なんで今の今まで私に歌わせないのよ・・・ここはスナックでしょ・・・飲んで歌ってやさぐれるところでしょ」

「いや・・・それは春子ちゃんが歌いたくなかんべと思って」

「ほ・ら・ね」

地雷を踏んだと悟ったアキはすでに瀕死の忠兵衛の元に避難するのであった。

その夜、アホの子であるアキは「ママが昔アイドルになりたかったこと」に思いを巡らせ・・・眠れなくなってしまうのだった。

そして・・・「アイドル」と言う言葉に敏感で、「アイドル」を毛嫌いして、「アイドル」について被害妄想を発症する「ママ」について思い当たるのだった。

ウニが・・・725匹になった時、夜明けが来た。

一方、正宗はすっかり、天野家に棲みついていた。春子も不機嫌ながら妻としておかわりに応えたりしているのだ。こ、この戸籍上の夫婦は・・・夫婦生活はどうなっているのだ。

一方、アキは寝不足でありながら・・・種市先輩(福士蒼汰)のお着替えはすかさずチェック、いつの間にか先輩もミサンガをしていることを発見し、胸がときめきまくるのだった。

そんな二人を磯野先生(皆川猿時)は教師の枠を超えて冷やかすのだった。

「うわ・・・お前ら・・・付き合ってんのか・・・アッチッチなのか・・・スクープ、スクープ、スクープ~」

ここでアキは(うるせえ、デブだな)と宮本信子の天下御免のナレーションで毒づくのである。この手法もすごい発明だと思う。もう、なんでもありだもんな。

そこへユイがやってきて・・・。

「今まで・・・ママの歌、一回も聞いたことなかった」というアキに「私、パパから昔のこと・・・いろいろ聞いちゃった・・・」とすっかり情報通のユイなのである。

足立家の美味しいケーキを食べながら・・・ユイの父(平泉成)に昔の写真を見せてもらうアキ。スケバンの春子の担任というよりも追っかけの空気が漂うユイの父だった。

「天野春子は・・・のど自慢嵐だったんだ・・・」

地元で、宮古で、花巻で・・・春子は優勝し、わんこそば一年分などを獲得していたらしい。

続いて漁協を訪れたアキは組合長(でんでん)たちから昔の春子の話を聞く。歌の上手な春子のためにカラオケ・セットまで買ったのである。忠兵衛は出漁前には必ず春子に宴会で歌わせていたというのだった。

「まあ、忠兵衛さんは春子をすごく可愛がってた・・・まあ、一年に十日のことだけどな・・・夏さんとは母娘喧嘩もしてたが・・・そりゃ、ほとんど母一人子一人だからな」

とにかく・・・春子は昔は歌が得意の少女で・・・今の春子とは別人みたいだったらしい。

しかし・・・にわかに信じがたいアキである。

さらに・・・ユイは「どうやら・・・アキちゃんのお母さんはオーディションも受けたらしい」と報告してくるのだった。

母の秘密の部屋で・・・オーディション書類用の写真を捜してみるアキ。

「何を捜しているのかな」

ふりむけば、春子が・・・古いアルバムを持って立っていた。

こうして黒歴史の扉は開かれたのだった。

火曜日 かまちんカットで首かしげ濃厚でハードなグラフィティー(小泉今日子)

ついに覚悟を決めた春子は・・・隠していた青春の思い出をアキに語りはじめる・・・。

しかし、それは走り出したら止まらない、全開バリバリの夜の始りだったのである。

「アイドルっていってもねえ・・・80年代のアイドルは今のアイドルとは違うのよ・・・モーニング娘(2008年当時のリーダーは高橋愛、10年続いた紅白出場を逃した年)とかAKB48(2008年は第一回の選抜総選挙前で翌年のブレーク直前であり紅白出場もなし)とか・・・そういう感じじゃないし、今みたいにアイドルとか、女優とか、アーティストとか、グラビアアイドルとかって棲み分けもなくて・・・アイドルが全部やってたわけ・・・なんてったって百恵ちゃんね。歌手で女優で映画スターで水着もやりますみたいなっ・・・そんで、ピンクレディーとかキャンディーズとかも凄い人気で・・・」

アキが春子の止まらない汽車に翻弄されている頃・・・。

スナック梨明日では男たちが・・・正宗を囲んでいた。

春子が初恋の相手である第三セクター大吉やジオラマ保(吹越満)はともかく、吉田(荒川良々)までが何故かすごんで正宗にからむ。っていうかもはや吉田くんではなくていつもの荒川良々本人だけどな。ストーブ・ヒロシ(小池徹平)はなだめ役である。

しかし、空手の有段者である正宗は平然としているのだった。

「春ちゃんが家出するまでの経緯を話せっていうから呼び出しに応じたけど・・・なにしろ、こっちだって話したくてうずうずしてたんだ・・・あれは北三陸鉄道の開通直前の・・・六月だったな・・・まだ高校生だった春ちゃん(有村架純)が同級生の保(落合モトキ)と俺んところにきた。とにかく、この時間の壁がなかなかに対スキャンダル防御としては有効だったわけだが・・・それはそれとして・・・春ちゃんは俺に・・・君でもスターだよ!の応募のための・・・デモ・テープをくれたんだ・・・いつか・・・宝物になるってな・・・だけど俺にとってはその時すでに宝物だったさ・・・」

大吉の歌も大都会のように果てしない・・・のだった。

一方、スナックも休み、徹底抗戦状態で「松田聖子の章」に突入する春子。

聞き役に徹するアキが精も根もつき果てた頃、漸く、松田聖子に憧れてパーマをかけた春子の話になるのだった。

「でも・・・パーマかけたくらいじゃ・・・何もかわらないのよね・・・お母さん(夏)を怒らせるくらいでさ。でも・・・どうしても・・・アイドルになりたくて・・・オーディションに応募したりしたのよ・・・ダサいでしょ・・・」

「そんなことね・・・その・・・あの・・・ちょっと痛い子だと思うけど」

「言葉選んでそれかよっ」

「でも・・・今のママとは違う人みたいだ・・・めんごくて・・・」

「・・・そうかな」

そして・・・当時、春子がダビングして周囲の人々に配った「1984年5月のデモテープ」が発掘されるのである。

「聞いてみる」

「でも・・・今度にしよう」

「・・・」

「黙って聞くつもり?」

「へへへ」

「じゃ・・・もう、今、聞いちゃうか」

これほど楽しいアホの子と痛いママの会話がかってあっただろうか。

「しかし、時間切れです。15分ってすごく短いですよね」と夏ばっぱのナレーションである。

レベルを越えたナレ展開に後番組の「あさイチ」司会の有働由美子チーフ・アナウンサーも井ノ原快彦も大爆笑なのだった。

水曜日 運命の七月一日・・・これっきりだとは思わなかったよ(杉本哲太)

さみだれは・・・みどりいろ かなしくさせたよ

恋をして・・・淋しくて・・・

ラジカセから流れ出す・・・春子の「初恋/村下孝蔵」・・・。

「本当は百恵ちゃんが歌いたかったけどカラオケがそれしかなかったんだ」

アキは初めて聞く春子の歌声に茫然となるのだった。

24年前・・・24歳若い夏の「ラーメンは塩にするか味噌にするか」攻撃を潜り抜け、春子が吹きこんだデモンストレーション・テープである。

醤油という選択肢はなかったらしい・・・。

そして・・・若き日の大吉(東出昌大)は春子が自分に初恋しているとウキウキした気持ちを抱きながら迫る別離の日に気がつかないのだった。

「見て・・・見て・・・書類選考受かったよ・・・」

春子は大吉に「合格通知」を見せるのだった。

「今度の土曜日、東京に行くんだ」

「母ちゃんには・・・言ったのか」

「・・・まだ」

なかなか言い出せない春子はついに六月三十日の夜を迎える。

夏は当然、反対するのだった。

「私、アイドルになりたいの・・・」

「土曜日・・・学校はどうする・・・」

「十週連続勝ち抜いたら・・・スターになれるんだ・・・学校は休む」

「毎週、学校休むのけ」

「どうせ・・・十週は無理だよ・・・でも一週や二週で落ちたくねえ」

「馬鹿・・・なんだその言い草は・・・本気だと思って聞いてたら・・・最初から負ける気なのか・・・馬鹿馬鹿しい・・・そんなら、やめろ・・・やるんなら・・・勝て・・・十週勝ち抜け・・・ゼロか十かどっちかだ」

「ごめん・・・母ちゃん・・・私・・・やっぱり行く」

「なら・・・勝手にしろ・・・後のことは母ちゃんにまかせろ・・・」

「ありがとう・・・母ちゃん・・・」

心が通い合った夏と春子・・・しかし、話は第一週の土曜日にリンクするのだった。

夏が春子の許しを得た直後に当時の北三陸市長(北見敏之)がやってきたのであった。

観光海女としてすでに注目を集めていた春子に「観光の目玉」として北三陸鉄道リアス線の開通式以後も活動してもらいたいと依頼する市長。

これに夏ばっぱは「後は私が娘に言ってきかせますから・・・」と応ずるのだった。

そして・・・無言の行を決め込む夏だった。

「こりゃ・・・出ていけっていってるのと同じだよね」

「・・・」

「アキはどう思うの・・・」

「両方だべ・・・頑張れ・・・っていう気持ちと・・・淋しいから出て行くなって気持ちと・・・」

大正解である。

しかし・・・こじれている春子は素直には頷かない・・・。

「なんで・・・そう思うのよ」

そんなことを説明しろと言われても無理なアホな子だった。

「わがんね・・・」

「あんた・・・最近都合が悪くなると方言使うよね」

春子はどんどんこじれていくのだった。

「ママ・・・私が生まれなかった方かよかった・・・?」

「なんでよ・・・」

「だって・・・私が生まれたからアイドルをあきらめたのかと思って」

「違うわよ・・・私、あんたを生んだ時・・・もう25歳なんだから・・・あんたとは関係ありません」

「じゃ・・・なんで・・・」

「それは・・・さあ・・・いろいろよ」

そのいろいろのところをくわしく・・・というお茶の間の願いは当分、お預けになるらしい。

一方、スナックでは大吉が悪酔いしているのであった。

「あんとき・・・俺が春ちゃんを引きとめてれば・・・こんな男にひっかからずに済んだのに・・・」

「春ちゃんを待ち続けて独身を貫いてるんですよね」と吉田。

「あれ・・・たしか・・・結婚してましたよね」と正宗。

安部小百合(片桐はいり)のことは吉田に隠しているらしい大吉だった。

・・・好きだよと言えずに初恋は

遠くで僕はいつでも君を探してた・・・

その頃、娘に昔話を聞いてもらい、かなりすっきりした春子は夏に「お腹すいちゃったあ」とすっかり娘気分で甘えるのだった。

しかし・・・定期的な健康診断で体の不調を指摘された忠兵衛は春子に決心を伝えるのだった。

「俺は・・・漁師を引退することにした」

「じゃ・・・ずっと、家にいるの」

と素直に喜ぶアキ。

しかし・・・春子は67歳になる父親に「老いの影」を発見し・・・突然、心が揺れるのだ。

木曜日 ママが娘に嫉妬したってこともあるかもね(橋本愛)

世代別ということで言えば天野家の三代記展開である。

第一世代の忠兵衛と夏は・・・漁協に出向き、組合長の長内六郎(でんでん)・かつ枝(木野花)夫妻に引退の挨拶をする。11月30日のはえ縄漁船の乗り組みを解消して・・・陸の上での就職を目指すのだった。

第二世代の春子は・・・初恋の人である大吉と書類上の夫である正宗とともに喫茶「リアス」でランチタイムをとっていた。仲良く肩を並べる大吉と正宗である。しかし、正宗が北三陸の求人誌を見ていることは見逃さないのだった。

「居座る気なの」と不機嫌になる春子。

「とにかく面接いってくる」

ナポリタンのセット料金800円を置いて立ち去る正宗に大吉は「鋼鉄のハート」を感じるのだった。

「昨日、いろいろと昔の話をしちゃった・・・ごめん」

「いいのよ・・・聞かれなかったから話さなかっただけだから・・・私も娘と話しちゃった・・・痛いっていわれちゃったけどね・・・ま、どうかしてるぜっと思われてもしょうがないけどね」

「どうかしてるとは・・・思わない・・・俺は春ちゃんがスターになったら、一日駅長をやってもらうつもりで24年間すごしてきた・・・な、勉さん・・・」

琥珀掘りの小田勉(塩見三省)は頷く・・・。いつにない存在感だが・・・これはある意味、新人登場の前フリなのである。こういう気遣いが半端ないのだな。

第三世代のアキは親友のユイちゃん(橋本愛)と放課後トークである。

「そうなんだ・・・いろいろと話がきけたんだね」

「ママがアイドル目指してたなんて・・・おらおったまげた」

「それで・・・複雑なんだよね・・・自分はアイドルになれなかったのに・・・娘がアイドルみたいにちやほやされたら嫉妬するよね」

「ママが・・・おらに嫉妬・・・そんな・・・ありえねえ・・・」

「そうかな・・・」

クールなユイにはいろいろなことがお見通しなのである。

しかし・・・自分のことは自分では見えないので、ユイの頭の中はもはや・・・ローカルテレビ番組「五時だべわんこちゃんねる略してごじわん」においてアキとユイの作るアイドル・グループのユニット名のことで一杯なのだった。

じぇじぇをおしゃれに進化させたJJガールズ・・・昔懐かしいABBAを意識したAMMA・・・イカ娘みたいなウニ娘・・・ついでにユニクロみたいなウニクロと暴走していくユイ。

すでに決めポーズも出来上がっている。「J」を両手で作るユイだが・・・それは「し」だった。

淡々とつっこむ種市先輩である。

忠兵衛と夏は・・・就職先として紹介されたスーパーマーケットの鮮魚売り場へ・・・。スーパー「サンデイマーケット」の主任(須藤公一)は・・・池袋ウエストゲートパークの「電波くん」である。電波おタクも似合うが・・・鮮魚売り場主任もお似合いなのである。しかし・・・陸に上がった海坊主である忠兵衛の前途は多難の気配がある。

「残業は千円」

「残尿・・・」

「すみません・・・うちの人・・・遠洋まぐろ一本だったのでちょっと金銭感覚がグローバルなんです」

喫茶「リアス」に寄り道をするアキとユイ。

「ママちょっと向こういってて」と内緒話を始める二人。

春子はふてくされて勉と琥珀を磨き始める。しかし末席で聞き耳は立てるのだった。

「でさ・・・どう思う」

「ユニット名のこと・・・」

「そっちじゃなくて・・・」

「種市先輩に気持ちは伝えたの・・・」

「今度、試験に受かったらデートしてもらえるんで・・・そこで伝える方向で」

「でも・・・付き合うことになっても先輩、三月になったら東京だよ・・・遠距離恋愛だよ・・・我慢できるの」

そんな先のことをアホの子は想像もできないのだった。

「なんなら・・・東京に行ってつきあっちゃえば・・・私も東京に行くし・・・そしたら二人でアイドル目指そうよ・・・」

飛躍するユイの言葉を聞き咎めたのは勉さんだった。勉さんに即されて話に割り込む春子。

「ちょっと待ってよ・・・海女はどうするの・・・来年も潜るって言ってたじゃない・・・ユイちゃんもウチには複雑な事情があるんだから・・・」

「離婚調停中なんですよね」

「・・・だから・・・私だってようやく、夫と別れてこっちで暮らす決心をね」

そこへ・・・就職の決まった正宗が・・・忠兵衛や夏とともにやってくる。

「採用されちゃった・・・明日からこっちでタクシーころがします」

「俺も明日からスーパーの店員さんだべ」

「なによ・・・なによ・・・こっちに住む気・・・」

「お義母さんの許しももらったし・・・」

「来るものは拒まずだ」

「えーっ」とうろたえるアキと春子だった。

そのまま・・・爽やかな五人家族の朝の風景になだれ込み・・・男たちとアキを送り出してもういちど朝食の席につくまで和やかに進行してから夏を相手にノリツッコミを始める春子。

「おかしいよね。これ、おかしいよね・・・死んだと思ってた人と・・・別れた人を今、いってらっしゃいって笑顔で送り出してたよね・・・仲良し五人家族みたいだよね」

「にぎやかでいいじゃないか」

「って・・・お母さん、半年前まで一人暮らしだったのに・・・今、五人家族みたいなことになってるよね」

「半年で五人なら、一年で二十五人か」

「どういう計算なのよ・・・っていうか・・・おかしいよ、絶対変だよ」

「気に入らなかったら出て行けばええ・・・」

「え・・・」

「おらは・・・忠さんさえいたらそれでええから」

自分が一番でないとたちまちへそを曲げる春子だった。

「私いなかったらスナックまわらないし・・・アキがいなかったら海女クラブ困るでしょ」

「そんなものやめたっていいさ」

「ああ・・・そうですか」たちまちこじれる春子だった。「じゃ、私も好きにさせてもらいます」

「どこさ・・・いぐ・・・」

「パチンコで~す」

一人残された夏は・・・我が子の面倒臭さにため息をつくのだった。それでも・・・夏は幸せだった。24年ぶりに訪れた夏の束の間の安らぎの日々・・・。

金曜日 漁師と漁師の嫁と漁師の娘と漁師の孫娘(松田龍平)

達者だよなあ・・・流れるような語り口だよ。

「父ちゃんだけでいい」と嫉妬深い春子を立腹させる夏。

ふてくされた春子はパチンコ三昧である。

「というわけで・・・久しぶりに出勤してきました」と喫茶「リアス」のカウンターに立つ夏ばっぱ。

今日は商工会長の今野あつし(菅原大吉)・弥生(渡辺えり)夫妻が客になっている。話題は春子と正宗の話になっていく。

「最近・・・春ちゃんは機嫌悪いねえ」と弥生。

ここで片隅の吉田のツッコミが始る。

「まあ、機嫌が悪いか、すっごく機嫌が悪いか、どっちかですけどね」

「あの・・・旦那っていうか、黒川さん・・・悪い人じゃないけど・・・なんかいらっとくるよね」

そこで夏は正宗がパンツを洗ってもらったことに感激し、夏とパンツの記念撮影をしたエピソードを披露する。

「本当に悪い人じゃないんだけど時々なぐってやりたくなる感じがする」

「そこまで言われるんだったら悪い人の方がいいよね」

「だけど・・・どうしてそんな悪い人と春子ちゃんは結婚したんだべ」とあつし。

「ついに悪い人になっちまった・・・」

「そりゃ・・・安定感だべ」と夏。「なにしろ・・・不安定な漁師の家庭に育ってっから・・・」

「ところで・・・あんた誰?」

ここで最初からいた水口琢磨(松田龍平)が注目を集める。

勉さんは・・・「昨日、俺の弟子になった水口くん・・・琥珀について一晩語り明かしたよ」

「大学で考古学を勉強してまして・・・」と物静かに自己紹介する水口だった。

「怪しい・・・町おこしのアイディアを盗みに来た八戸市のスパイでねえか・・・」と弥生。

「それだったら・・・勉さんと一緒にいてもしょうがない」

「それもそうだな・・・いや、冗談だ」

そんなたわいないやりとりにもどこか幸せを感じる夏だった。

その頃・・・春子はこっそり・・・父親の仕事ぶりを偵察に来たのだった。

しかし・・・忠兵衛は主任と揉めている最中である。

「だけど、おめえ・・・これはまだ半額にするにゃ・・・惜しいだろ」

「タイムサービスなんで・・・みんな半額なんですよ」

「しかし、そんなことしたら漁師が泣くぞ」

「お客さんが喜ぶからいいんですよ・・・まったく面倒なじじいだな」

電波くんの辛辣な口調に複雑な気持ちになる春子だった。

夜・・・茶の間で居眠りする忠兵衛に・・・声をかけようとして・・・何も言えない春子。

「お父さん、おでん作ってあるから食べてね」

それだけ言ってスナック「梨明日」に出勤する。

今度はアキがやってきて忠兵衛に甘えるのだった。

「じいちゃん、英語さ教えてけろ」

「俺の英語はカナダ訛りだけどな」

「なんで・・・?」

「英語圏ではカナダの女が一番、積極的なんだ・・・カナダからの手紙見るか」

「見ないっ」とアキ。まあ、その後は後ろから前からどうぞになるからな。アホの子の本能で回避なんだな。

「We are living in a mortalization society.(私たちはモータリゼーションの社会で暮らしています)」

アキ・・・本当に高校生なのか・・・。

幸せな・・・天野家の日々・・・しかし、それはたちまち崩れ去るのだった。

口は悪いが人のいい主任から・・・夏の携帯に緊急連絡が。

「え・・・ウチの人が・・・いなくなった」

「休憩に出て行ったまま・・・帰って来ないんです・・・あ、店の方に支障はないんですけど・・・お年もお年なんで・・・もしものことがあったら大変ですから」

「すみません・・・心あたりを捜してみます」

忠兵衛行方不明の知らせは北三陸を駆け抜ける。

悪気もなく新婚旅行が日帰りだった祖父母夫妻について「貧乏くせえ」などと言っていたアキもパチンコ中の春子に電話するのである。

「じっちゃん、いなくなった」

「嫌な予感がしてたのよね・・・」

「ママ・・・よく聞こえない・・・どこさ、いるの」

「今、そっちにいくから」

「イルカリーチじゃ」

「ママ、おじいちゃん、大丈夫だべか」

「だ、大丈夫みたい・・・」

「ドル箱もってこい」

店内に父親を発見して微笑む春子。気がついてうつむく忠兵衛だった。

大吉や正宗、長内夫婦も加わっての事情聴取である。

「責任感の強い忠兵衛さんが職場放棄するなんて・・・事情があるんだべ」

「仕事さ・・・きつかったか・・・」

「いや・・・むしろ・・・楽すぎるんだ」

「船さ・・・乗りたいんだべ・・・海が恋しくなったんだべ」と正鵠を射す夏。

「さすがは・・・お見通しか・・・」と忠兵衛。

「だめよ・・・絶対駄目・・・医者にとめられてるんでしょ」と春子。

「今度、海に出たら命の保証はねえって言われた」と夏。

「精密検査受けた方がいいですよ」と正宗。

ようやくポイントをみつけた忠兵衛は声を荒げる。

「自分の体のことは自分が一番わかってる・・・」

しんとなった一同に気が差す忠兵衛。

「いや・・・海に出てた方が・・・その・・・気が張って調子いいんだ・・・陸にいると気が緩んで・・・老けこむような気がして・・・」

たまりかねて・・・夏が家を出る。そっとアキを追いかけさせる春子。

「だから・・・俺は船さ・・・乗る」

「次の船はインド洋だぞ・・・」

「それに・・・乗る・・・」

「せめて・・・温泉には行ってあげなよ・・・」

「いや・・・別れがつらくなるだけだ・・・」

わがままは男の罪・・・それを許し続けた夏だったのだ。

土曜日 24年ぶりに娘の歌を聞いた夫と私(宮本信子)

「ばあちゃん・・・大丈夫・・・」とオロオロするアキ。

「漁師の嫁になって・・・悔やむのはこういう時だ」と夏。

「すまねえ・・・」と頭を下げる忠兵衛。

「おら・・・思ったよりじじいでなかったみたいだ・・・でも陸(おか)にいたら本当にじいさんになっちまう・・・そしたら夏さんもばあさんだ・・・おら、それが耐えられねえ・・・夏さんにはいつまでもばあさんになってほしくねえ・・・」

「とっくに・・・ばあさんだ・・・」

「お母さん・・・」

「ああ・・・もう、去るものは追わずだ」

「今度で最後にするから」

「去年も一昨年も同じこと言ってたろうが・・・写真館さ、電話してけろ・・・遺影を撮りなおさねば・・・どこでくたばってもいいようにさ」

「去年も一昨年も同じこと言われたなあ・・・」

遺影の秘密の理由である。

こうして・・・夏と忠兵衛の甘い老後の暮らしはお預けとなったのだった。

たちまち・・・別れの夜がきて・・・スナック「梨明日」は送別会々場である。

今度はお呼ばれした磯野先生だった。

「醜態をさらして悪かった・・・俺は海に戻るけど・・・天野家のことをみんな・・・よろしく頼みます」

言われて立ち上がる春子とアキ、そして夏・・・さらに正宗だった。

四人は深々と頭を下げる。

宴会なのでアキはなんだかうれしそうだが・・・夏の表情は硬いのだった。

複雑な表情の春子。

一旦お開きとなって・・・店の外に出る一同。

残された春子と夏。

「母さん・・・本当にいいの」

「仕方ないべ・・・去るものは追わずだ・・・」

「またそれ・・・去る者だって追いかけてこないのは淋しいもんだよ」

「また・・・勝手なことを・・・」

春子の心に巣食う・・・大好きな母親と・・・大好きな父親と・・・そしてどうしてもアイドルに憧れざるを得ない淋しさ・・・。

しかし・・・忠兵衛は新たなる客を引き連れて二次会に突入するのだった。

ユイの父親や・・・琥珀コンビもやってきた。

「僕なんていていいんですかね・・・部外者なのに」

「俺だって・・・部外者さ」と勉さん。

忠兵衛はアキとユイと一服しに店の外に出る。

「おじいちゃん・・・遠洋漁業ってそんなに楽しいの・・・」

「楽しくはないさ・・・毎日同じ男たちと同じ飯食って狭い寝床で寝て・・・」

「だったら・・・どうして・・・行くの・・・」

「そうだなあ・・・陸にいたら・・・俺はただの日本人だ・・・日本人として測られる・・・でも、海さ出たら・・・何にも考えなくてすむ・・・中国の鳥は中国語しゃべらんし、アメリカの魚は英語しゃべらん。俺も日本語を話さない。鳥は鳥類だし、魚は魚類で、おら人類だ」

「なんだか・・・かっけえ」

「かっけえ?」

「かっこいいってことですよ」と通訳するユイだった。

「人間どこでくたばったっていいのさ」

「くたばっちゃいやだ・・・」

「そうか・・・アキは北三陸が好きか・・・」

「一番好きだ・・・」

「それじゃ・・・北三陸に俺も帰ってくるよ」

そこでアキは吉田くんに売店をあけさせ・・・ミサンガを購入するのだった。

「ああ・・・海女クラブで・・・」と言いかける忠兵衛を制するユイ。

「それを言っちゃうと効き目が半減しちゃいますよ」

「へへへ・・・おそろいだ・・・」

忠兵衛と種市先輩もお揃いだが・・・それでいいのか・・・アキ。

Am007 そこへ・・・正宗がやってくる。

「大変だ・・・ママがカラオケ歌うって言ってる・・・」

「じぇじぇじぇ」

「一番だけね・・・一番だけ」

来てよその火を飛び越えて

「潮騒のメモリーか」「クドカンが五分で作詩したと言う」「潮騒・・・谷口千吉監督・久保明・青山京子共演(1954年制作)、森永健次郎監督・浜田光夫・吉永小百合共演(1964年制作)、西河克己監督・三浦友和・山口百恵共演(1975年制作)、小谷承靖監督・鶴見辰吾・堀ちえみ共演(1985年制作)などがある・・・原作・三島由紀夫な」「砂に書くのはラブレター」
「アイ ミス ユーは桑田」「北へ帰るは北帰行」「低気圧は高気圧」「北ウイング」「誰にも会わずにキャッシング」

囁きの中で夏は思う・・・娘が歌うのは・・・別れの門出を祝うためか・・・それともなんとか・・・この母を慰めようとしているのか・・・夏は思い出す・・・遠く過ぎたあの日も娘は歌っていた。海に行った夫。都会に行った娘。でも・・・今夜は二人ともここにいる。それでいい。それでいいんだ。夏の顔はいつしか和らぐ。それが宿命とあきらめて。

ジョニーに伝えて千円返してとかタクシー捕まえてとか・・・

(変な歌・・・)と思いつつ、いつもは不機嫌でがさつな母の初めて聞く歌声がとても素敵に響いて・・・スポットライトを浴びた母親が輝いて見えるアキだった。

「かっけぇぇぇぇぇ」・・・アキは遠洋漁業の漁師に傾きかけた照準を・・・アイドルに設定しなおすのだった。アホの子は目の前のキラキラしたものを欲しがるのだ。

ここも北なのにもっとかよ。このクドさがクドカン。

Aマイナーのアルペジオを誰が弾くんだよ。

アイム ソーリーってあやまっちゃったよ・・・。

その川乗り越えて川になっちゃったよ・・・。

三途の川ってそこにはいないぞ・・・きっと。忘却の水が流れてるしな。アホのマーメイドなら。

人魚姫の友達か・・・。

北三陸の秋の夜は終ろうとしていた。来週は2008年が幕を下ろすのか・・・。

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2013年5月18日 (土)

私が殺した依頼人~探偵はBARにいる~(大泉洋)

「世界卓球」のために「みんな!エスパーだよ!」一回休みである。

ええーっと思ったよ。

ここまでスルーの「放課後グルーヴ」(高梨臨)でも良かったのだが、第4話が「前篇」なので中途半端なんだな。実写版「荒川アンダー ザ ブリッジ」の監督・脚本・編集の人が相変わらずスタイリッシュ過剰で鼻につく監督・脚本・編集をしていて少し苦言になるかと思うと・・・「みんエス」の日の気分じゃないんだよね。そこそこ面白くもあるじゃないか。・・・こういうのってパーフェクトじゃないとダメなんだよな。

放送延期になっていた「事件屋稼業」も寺尾聰(65歳)がいくらなんでもだったからなあ。杉本歯科医と深町丈太郎は同級生なんだぜ・・・佐藤江梨子(31歳)との腐れ縁のような友情関係が・・・意味不明なものに・・・。

まったく・・・ハードボイルドじゃないんだよな・・・。

ま、ハードボイルドということで・・・谷間にはこれを。

で、『日曜洋画劇場特別企画・探偵はBARにいる(2011年公開)』(テレビ朝日20130512PM9~)原作・東直己、脚本・古沢良太(他)、監督・橋本一を見た。主人公はハードボイルド・ミステリの探偵というよりはルパン三世実写版みたいな感じである。途中で何度か感情を爆発させ・・・我を失ってものにあたる場面があり・・・好みが分かれるところである。もちろん、キッドはそれについては全否定。しらけるもんな。その点を除けば・・・「強くなければ生きていけない・・・優しくなければ生きて行く値打ちがない」という一種の鉄則はまあまあ貫かれていて、そこそこハードボイルドな気分に浸ることができる。特に最後の依頼人(小雪)の描写はこれぞハードボイルドだった。つまり・・・情けのために非情になることこそ・・・真髄だからである。

【私は近藤恵(吉高由里子)、しがない外国人相手の観光ガイドよ。まあ、大した仕事じゃないけど・・・故郷の北海道札幌でスナック勤めをしているよりはマシかもしれない。私の姉はススキノの飲食店ビル「皆楽会館」でスナックをやってたのさ。父親違いだし、年の離れた姉だったけど・・・世間で言うほど折り合いが悪いわけじゃなかった。母親の百合子(竹下景子)ちゃんはなんていうかしらないけどさ。で、放火事件があって姉ちゃんが死んじゃったと知った時はとてもとても悲しい気持ちになったわけ。私の親父とは違う姉ちゃん(街田しおん)の本当の父親は霧島敏夫(西田敏行)で元はサヨクの運動家だったけど・・・結局、札幌の裏社会の親分衆の一人になったってわけ。私だって何度かあったけど・・・ものすごく面白いおじいちゃんって感じだったわ。姉ちゃんが死んだのは田口晃っていう不良が放火したのが原因だけど・・・裏じゃ地上げ屋がからんでいて・・・いろいろ噂があったわけ。だけど・・・田口っていうバカはすぐにシンナー中毒で死んじゃった。死人に口なしってわけよ。姉の父親の霧島は姉の死をすごく嘆いてさ・・・真相を暴いてやるってすごく美人の奥さん(小雪)に語っていたの。高級クラブ「コンチェルト」のママで沙織って人よ。本当に美人なんだって。ただの美人じゃなくて・・・ぞっとするほどの美人ってやつ。ところがある雪の夜にさ・・・霧島親分は不良に絡まれて黒いワンボックスカーに連れ込まれそうになっていた女の子を助けようとして逆に撲殺されちゃったのね。年寄りの冷や水ってわけ。

それから・・・いつもいきつけのバーの名刺を配っている探偵(大泉洋)に電話がかかってきたわけ・・・電話の相手はね・・・「近藤京子」って名乗った。そうよ・・・私の死んだ姉ちゃんの名前。死者からの電話ってわけ。そうね。そんなわけない。でも・・・オレオレ詐欺が成立するのって・・・結局、電話じゃ・・・親に子供だって思いこませることができるってことでしょう。電話の声なら、私だって姉ちゃんになれるかもしれないし、すごい美人の沙織さんにだってなれるかもしれない。そこがミソなわけよ。

で、探偵は相棒の高田って人と「振り込まれた着手料の十万円」に魅かれて「依頼人」の指示に従うわけ。私が思うに探偵よりも高田さん(松田龍平)の方が探偵家業には向いていると思うの。なにしろ、車と話ができるし、喧嘩も強いし、すごく頼りになりそうな感じ。でも、高田さんは本当は北大農学部の人らしいわ。つまり、インテリなのよね。私なんて一目惚れしちゃいそうな感じ。

それから・・・探偵は「死んでいる依頼人」の電話がある度に指示通り動いて・・・その度にひどい目にあっちゃうのよね。

「カトウ」って男に会いに行くと雪の穴に埋められちゃうしね。北海道で雪に埋まったら普通は死ぬけどさ・・・探偵だから死なないの。探偵はタフだからでしょう。カトウ(高嶋政伸)ってさ、暴力団・花岡組のヒットマンよ。

それから探偵は放火事件の犯人の両親に会いに行くの。父親の田口幸平(有薗芳記)はろくでなしだったけど・・・母親の田口康子(阿知波悟美)は息子を亡くして沈んでいた。探偵は子を思う母の思いには弱いものなのよ。

で・・・今度は息子が所属していた私設の更生施設・則天道場に行くわけ。だけどそこは花岡組の息のかかった構成員養成所だったわけ。指導者の佐山(波岡一喜)は拳銃を乱射するは、カトウもやってくるわで大騒ぎ。でも、いざとなったら高田が大活躍するから・・・九死に一生を得るわけ。

でも・・・探偵は奥歯が抜けちゃうし、高田さんも骨折しちゃうのよ。

それでも・・・探偵は依頼人に従って今度は南って弁護士に会いに行くの。

南(中村育二)は政治家ともつきあいのある敏腕弁護士だけど裏では花岡組の顧問もする闇社会の住人なのね。

そして・・・探偵はついに沙織さんと出会うのよ。

その時までには大筋は読めていたんだと思う。まず・・・地上げの話があって・・・立ち退きに応じない人たちがいた。そこで田口が放火して・・・姉ちゃんが死んだ。姉ちゃんを殺した田口は口封じで殺された。真相を暴こうとした姉ちゃんの本当の父親の霧島親分も殺された・・・こういうことね。

探偵は沙織さんが・・・霧島親分の仇を討とうとしてるって考えたのね。

そんで・・・ちょっとやりすぎちゃったのよ・・・田口の父親が田口が誰に殺されたのかの証拠を持っていることを突き止めるの。

でも・・・そのために・・・田口の父親はともかくとして・・・何の罪もない田口の母親までがカトウに殺されてしまうわけ。

探偵はものすごく甘ちゃんで・・・そういう「無実の人が犠牲になる」みたいな話にすごく弱いのよ。

ところが・・・依頼人だと思っていた沙織さんが・・・関西の暴力団の大物・岩淵恭輔(石橋蓮司)の息子・貢(本宮泰風)と再婚する予定だとわかるの・・・。

そして花岡組のバックに岩淵がいることも・・・仲のいい地元ヤクザの桐原組の若頭(松重豊)から聞き出すわけ。

依頼人だと思っていた沙織さんが・・・実は黒幕だった。ハードボイルドでは一種の定石よね。じゃ・・・本当の依頼人は誰なのか。当然、探偵は思うわけ。殺された近藤京子に妹がいたことをね。

同時に探偵は沙織さんに裏切られた気分になるの。調査をしている間に殺された霧島親分の人柄が好きになっていたのね。そんな親分を裏切った沙織さんがますます許せなかったの。

「一件から手を引くように」と探偵さんは瀕死になって身動きがとれないほど痛めつけられても・・・手を引かなかった。

そして、例の依頼人の指示に従って小樽に決定的な証拠を捜しにやってくる。

その日は沙織さんの結婚式だったのね。

でも・・・そんな証拠はなかった。やはり・・・依頼人は沙織さんだったのよ。

「やめてくれ・・・俺はあんたのために・・・爺さんの形見の時計まで駄目にしたんだぞ・・・」

探偵は札幌にいる「復讐の花嫁」に電話をした。

「ごめんね・・・あなたのおかげで誰に復讐すればいいか・・・すべてわかったの・・・ありがとう」

沙織さんはまず・・・カトウを殺した。

微笑んで銃で撃ったの。見事な腕前だけど・・・当然でしょう。沙織さんは裏街道を昇りつめた極道の妻なんですもの。それから・・・汚い弁護士の南も射殺して・・・花婿を射殺して・・・花婿の父を射殺した。バーン、バーン、バーン。

見事な腕前で全員即死だったって言うわ。

誇り高い笑顔を見せて復讐を遂げた沙織さんは一発だけ残った銃弾で微笑んでわが身の始末をつけたの。

探偵の連絡を受けて高田さんが駆けつけた時にはすべてが終わっていた。

悪い奴はみんな死んで・・・復讐の花嫁は・・・血まみれの骸になっていたの。

探偵ときたら肝心の時には札幌に向かう電車の中にいたのよ。

結局、探偵は依頼人を守れなかった。やはり、探偵失格よね。でも、沙織さんは感謝の意をこめて・・・霧島親分の形見の時計を探偵に残したそうよ。最後までかっこいい女だったみたい。

さあ・・・これで私の話はおしまい。そうよ・・・最後まで私の出番はなかったの。

これだけは言えるわよね。私、目当てで映画館に来た人はきっとすごく怒ったかもしれない。

でも、それがハードボイルドってものなのよ。

電話の声が私だと思った人は・・・娘からの助けて電話にはご用心・・・】

まあ、沙織が整形した近藤恵であるという考え方もある。それはそれでハードボイルドだ。

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2013年5月17日 (金)

せつない恋心をパトリオットで迎撃された私(新垣結衣)

パトリオット・ミサイルのパトリオットとは愛国者の意味である。

米国製で日米を始めとして韓国、台湾、ドイツ、イスラエルなど世界各国で運用されている。

地対空ミサイルとして形式名は「MIM-104」で愛称がパトリオットである。

日本のマスメディア各社はこの愛称を呼称しているが、航空自衛隊では英語の発音に近い、ペトリオット表記を採用している。

パトリオットはミサイル発射システムの総称でもある。

弾道ミサイルの迎撃システムはPAC-3形態となる。基本的にはレーダー車が目標をとらえ、射撃管制車が情報を処理し、発射機車両からミサイルを発射するという流れである。

パトリオット部隊が展開するということはこれらの車両が迎撃のために発射地点に移動することを指す。

いつ、飛来してくるかわからない弾道ミサイルに対して、そんな悠長なことでいいのかと思われるが、弾道ミサイルの発射の兆候は衛星により監視されているので・・・ある程度の余裕はあるとされる。

日本はPAC-3に更新中であるが、前世代のPAC-2は迎撃率が40~70%程度とされており、撃たれれば完全に迎撃できるというものではない。

完璧な兵器などないのである。

しかし、東京、大阪、名古屋、福岡の目標に対して50%の迎撃が成功すれば・・・半分の都市は無傷ですむのである。何もしないよりましなことは確実なのだな。

ちなみに韓国は予算不足のためにPAC-2が配備中なのである。必死なのである。

だが、2009年の北朝鮮のミサイル危機では日本もほとんど実弾が配備されていない実態が明らかになった。

その後、配備は進み、一応の配置が完了されたとされるが・・・その後、北朝鮮のミサイル性能が向上していることは言うまでもない。

攻撃されなければ無用の長物だが・・・攻撃された時、「あったらよかったのに」では困ると考える。

自然災害対策と同様に備えあれば憂いが少し減るにすぎないが・・・「もったいない精神」を発揮してばかりいるといつか痛い目を見ると思う。

で、『日曜劇場 空飛ぶ広報室・第5回』(TBSテレビ20130516PM9~)原作・有川浩、脚本・野木亜紀子、演出・土井裕泰を見た。ドラマの中でチーフディレクターの阿久津(生瀬勝久)が「高射隊と言われてもお茶の間にはピンとこない・・・わかりやすく説明しないとな・・・」と語るのであるが・・・その後、一切説明のないまま、ドラマは進行していく。なんだろう・・・この空虚感は・・・。もちろん・・・スカイ(綾野剛)とリカ(新垣結衣)のお互いに片思いのじれったさと・・・次々に邪魔に入るAD・佐藤珠輝(大川藍)や局アナの藤枝敏生(桐山漣)の活躍は丁寧に描かれるわけで・・・脚本家かっ・・・と思う他ないわけである。もう少し、がんばろうね。

せめて・・・今回のメインイベントである高射隊の訓練が何から何を守るための訓練かぐらいは伝えようよ。

誰かに配慮が必要なら・・・この企画、やらなくても良かったんじゃないか?

とにかく・・・目的もわからないまま・・・防衛省航空幕僚監部総務部広報室・報道班の柚木典子3等空佐(水野美紀)が窓口となる「パトリオット高射部隊の公開訓練」が展開していくのだった。

防衛大学校での先輩・後輩であり、同僚の柚木と槙博巳3等空佐(高橋努)は気持ちがすれ違い、険悪なムードになっている。

このストーリーが微妙なのは・・・柚木の問題が、セクシャル・ハラスメントによるトラウマであるのに対し、槙博巳3等空佐(高橋努)は単なる片思いに過ぎないということであろう。

過去の部下の男性下士官との確執から女として自然に振る舞えなくなってしまった柚木に対して男性隊員たちが痛々しく感じるのは勝手だが・・・槙は単純に告白して玉砕することを恐れる単なる腰抜け野郎なのである。

その間をとりもとうとする・・・スカイと・・・ドキドキしながらプライベートに駆り出されるリカ。

ある意味、ちょっと気持ち悪いぞ。

なにしろ・・・槙はゴリライモなのである。時々、二枚目のようなセリフがあって・・・ひょっとしたら笑いをとりにきているのかもしれないが・・・あまりにも不明瞭で・・・本当に気持ち悪いのである。

単純に恋愛ものとしてみせたいなら・・・槙は要潤が演じるべきだよな。

水野美紀に要潤が思いを伝えられないならわかる・・・水野美紀がその気になってもおかしくないからだ。

しかし・・・高橋努では出口が見えないのである。

まあ・・・「電車男」だって成立したんだから・・・あったっていいけどさ。だけど・・・映画版はともかく、伊藤淳史と伊東美咲の恋なんて本当は完全な妄想だからな。

まだ・・・市川海老蔵(35歳)に恋する大谷直子(63歳)の方が笑えると思う。・・・そこかよっ。

とにかく・・・二組の片思いカップルの描写に時間を使っているので肝心の柚木典子3等空佐の「過去を乗り越えて行く姿」はかなり抽象的なものになっている。

単なるテレビ局の一員に過ぎないリカがいつの間にか、広報室の人間のようになっているのはご愛敬である。なにしろ・・・他局の記者たちが一同に集められているのに、リカだけは公開訓練の報道担当官に同行しているのだ。どんな特権階級なんだよ。

やがて・・・神の配剤によるアクシデントが発生する。

集合地点に移動中の高射隊の車両が、道を間違え、ユーターンしようとして部隊同志の接触事故を起こすのである。

事故は軽度だったが、車両点検のためにスケジュールに支障がでる。

ここで・・・勇み足の記者が「ミサイルの発射機が事故を起こして・・・もしも爆発したらどうするんです」と説明にあたる柚木に迫る。

そこで・・・リカが割ってはいる。「まさか・・・配布された資料に目を通していない方がいると思いませんが・・・今回の訓練では実弾は使用していませんよね」

「もちろん・・・ダミーです・・・なんなら・・・私が後でぶんなげてみせましょうか」

和む記者一同だった。

まあ、ドラマだからお茶の間的にはそれでいいが・・・この訓練は弾道ミサイルの迎撃のための展開訓練なのである。

30分展開が遅れたらミサイルが着弾してしまいます。

だから・・・ここで記者が質問すべきは・・・「これが本番だったら・・・東京全滅していますよね」なのである。

そして・・・航空自衛隊としてはある意味、大失態なのだな。

ま・・・脚本家・・・だからな。

さて・・・そういう点には目をつぶって・・・いよいよ、クライマックスである。

ほとんど・・・情感だけで持って行くわけだが・・・柚木と確執があった古賀義正空曹長→准空尉(的場浩司)があまりにも適役であり、見事に押し切っていくのである。

現場責任者の柚木に若い女性士官の中島和美2等空尉(小泉麻耶)が生き生きと事故の経過について報告する。

その態度に・・・かっての部下だった古賀准空尉の変貌を感じる柚木。

女性士官に対し下士官の古賀は今度は上手く接しているようだった。

そういう思いを抱きながら古賀に上官として声をかける柚木。

「昇進なされたのですね・・・あの頃の私は右も左も知らない小娘で苦労をかけました」

「つまらないプライドで部隊の任務を停滞させることがあってはならないと・・・自分なりに考えました」

古賀の表情に浮かぶ謝罪の気持ち。

しかし、現在の上官である若い女性士官の態度で古賀の気持ちは柚木に充分伝わったのである。

「柚木三佐・・・お疲れ様でした」

「古賀准尉・・・御苦労様でした」

敬礼を交わす二人は・・・お互いの呪縛から脱したのである。

すべての成り行きを理解したリカは感動するのだった。

そんなリカの気持ちを知ってか知らずか・・・夜明けの空を見上げるスカイ。

「きれいな朝やけですね」

「あの雲の上の空はもっときれいなんでしょうね」

「高度を上げれば上げるほど青が濃くなっていくんです。宇宙の高みを感じます」

「いいなあ」

「いえ・・・地上だって素敵じゃないですか・・・たくさんの人がいて・・・そして、この空を・・・見たい人と二人でみることができる」

「え・・・」

これを口説き文句と言わず何を言うである。

すでにスカイに恋しているリカだが・・・さらに・・・深い所まで落下である。

そのために・・・勇気を出して告白するのだった。

「あの・・・今度・・・二人で・・・お酒飲みませんか」

「それは・・・プライベートでということですか」

「はい」

「それは・・・やめておきます」

なにしろ・・・すでにリカには恋人がいて・・・とてもかなわないと思いこんでいるスカイなのであった。

専守防衛どころではなく、交戦権の放棄まるだしなのだった。

リカとスカイの恋の成就のためにも憲法九条は改正すべきなのである。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

Sk004 まこちゃんランド防空大演習会場。まこス、スカイのあほたこまんじゅう~。メロメロにしておいて完全拒否とはいけずがすぎるのだじょ~。おそろいのF-15Jボールペンをマンガ家(矢作兼)から取り戻す根性があるくせに・・・なんでイケメン・アナウンサーに決闘を申し込まないのでしゅか~。しょしたらリカも♪ケンカをやめて~私のために争わないで~と女王様気分を味わえるのに~

くうだよね~・・・いくら、ガッキーが月9女優だからって・・・ここは日9だもんねえ。まあ、演出がビューティフルライフとかGOOD LUCK!!の人だから・・・ある程度はしょうがないけど・・・ほどほどにねえ~

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2013年5月16日 (木)

家族ゲーム~女子中学生を買収する作戦~(櫻井翔)

ゲームに熱中するものとしないものがいる。

そんなことは大昔から歴然としている。

たとえば、狩猟は獣を殺すゲームである。

基本は食料を得ることだが、害獣駆除という名目もあり、あるいは獲物(トロフィー)の首を飾るためだったりもする。

農業もまた、天候などの自然現象を相手にした収穫ゲームであり、一粒の種から多数の実りを得る投資ゲームでもある。

プレイヤーは敵(獲物や作物)と戦う喜びを得るし、競争相手(狩人仲間や隣人)との勝負を楽しんだりもする。

そういうゲームに参加しないものは・・・基本的に怠惰なものと呼ばれる。

やがて、人類は戦争ゲームという刺激を手に入れる。

やはり、獣相手よりも人間相手の方がフェアなプレイが楽しめるからだ。

しかし、戦争ゲームには終わりがある。相手がいなくなったらそれで終わりなのだ。

そして、敗れたものは死んでしまう場合も多い。

訪れたつかのまの平和の中で・・・人々はチェスや将棋や囲碁を生みだす。

退屈さを忘れるためにギャンブルを生みだす。

人を楽しませるゲームを始めるものもいれば、人の疑問に応えるゲームを始めるものもいる。

だから・・・人類が生みだしたものはすべてゲームなのである。

「家族ゲーム」にはそういう深遠な問題が含まれているが・・・実際は氷山の一角を垣間見せているにすぎないとキッドは考える。

だからこそ・・・原作で、映画で、ドラマで描かれる度にゲームの内容は変わって行くのである。

「受験戦争」というゲームや、「幸福な家族を作る」ゲーム、「本当の自分を知る」ゲーム、「神と悪魔」のゲーム、「弱肉強食」のゲーム、「平和共存」のゲーム、「個性化」ゲーム、「制度化」ゲーム、「現実逃避」ゲーム、「妄想」ゲーム・・・果てなきゲームの万華鏡の中で・・・「家族ゲーム」はそれぞれのゲームに対する思いを反映していく。

だからこそ・・・「家族ゲーム」はつかみどころがない。

そして・・・常に違う話になっていくのだな。

人々はふと思う。「ゲーム」と「現実」・・・どちらがより面白いゲームなのかと。

それは非常にスリリングなゲームのスタート・ラインだったりします。

で、『家族ゲーム・第5回』(フジテレビ20130515PM10~)原作・本間洋平、脚本・武藤将吾、演出・岩田和行を見た。人生ゲームには様々な要素がある。たとえばゴールは経済的成功と没落がある。その負け組が行きつく先が「貧乏農場」だったりもするわけである。そして、「貧乏農場」が「開拓地」と名称変更したりするのがまた「言葉狩りのゲーム」だったりするわけだ。ゲームの要素の中に「結婚」や「出産」という家族作りがあることは言うまでもない。この場合、ゲームの醍醐味として・・・プレイヤーは全く平等に人生を戦うことができる。そこには生まれつきの家柄や、容姿や遺伝的差異はほとんど影響されず・・・驚くべき「平等」が実現している。ある意味で「家族ゲーム」とは「人生ゲーム」のこの部分である。では・・・「家族ゲーム」の家族の運命を支配しているのは何だろうか。それは・・・ルーレットである。「人生ゲーム」の「家族たち」は「ルーレット」に為す術もなく、人生を翻弄されるのだ。その非情さが愉快であることは言うまでもないのであった。

もちろん、「家族ゲーム」の主人公は単なるルーレットではない。彼もまたプレイヤーの一人である。しかし、彼は普通のプレイヤーではない。ボード・ゲームで言うならば・・・家族たちを乗せるあの車に彼は最初からのっていないようなのだ。そして・・・いつの間にか、他のプレイヤーの車に便乗しているのである。ルーレットを回しながら・・・プレイヤーは周囲を伺う。このヒッチ・ハイカーは誰なんだ。しかし・・・そんな人間はいないのだ。その恐ろしさこそ・・・「家族ゲーム」の魅力なのである。

だから、悪魔のような家庭教師・吉本荒野(櫻井翔)は虚飾に満ち、崩壊寸前のごく普通の家庭・沼田家にもぐりこみ、さまざまな暗躍を開始するのだった。

もちろん、崩壊寸前というのはあくまで吉本の視点である。

家庭をそれほど顧みない夫。家族にある程度距離を置く妻。成績優秀でスポーツマンだがどこか怜悧な兄。なんとなく落ちこぼれてそこはかとなく苛められている弟。そんな家族だっていくらでも崩壊しないで存続していたりするのが人間社会というものだ。

吉本は基本的に気が狂っているので・・・自分の理想に沿わない家庭は破壊して再構築するべきだという信念を持っているだけである。

ある意味、沼田家は呼び込んだ悪魔に目をつけられた不運な一家なのである。

吉本がいつかは沼田家に救いをもたらしてくれるなどと期待していると火傷しますからご注意ください。

次男の沼田茂之(浦上晟周)はとなりのクラスの美少女・真野さくら(有川結女)からラブレターを受け取り、有頂天になる。さくらは成績も優秀であり、なんとか対等に付き合いたいという欲望にかられ、茂之の学力は驚異的に向上するのだった。

しかし、さくらは茂之のかっての親友だった園田満(松島海斗)にも好意を抱いていると言いだし、二人を呼び出す。

「私は二人とも好きなの・・・どちらか一人に決められないから・・・今度の試験で勝った人と付き合うことにする」

「そんな・・・」もしも敗北したらという恐怖で申し出に応じることを渋る茂之。

しかし・・・満は即座に応じるのだった。

このままでは戦わずして敗北すると悟った茂之はあわてて参戦を申し出るのだった。

そして、ますます勉強に勢を出すのだった。

けれど・・・試験直前に二人は「単なる遊びよ」と女友達に話すさくらの言葉を聞いてしまう。

二人は激しく落胆するが・・・どうせならさくらを見返してやろう・・・と決意を新たにするのだった。

そして・・・結果は茂之が勝利する。

「おめでとう・・・茂之くん」

「ただのゲームさ・・・君と付き合う気なんてない」

茂之はさくらに一矢を報いるのだった。

だが・・・最初からすべては吉本の計画通りだったのである。吉本はさくらと契約を交わしていたのだった。まんまと茂之の成績をアップさせた吉本は成功報酬をさくらに支払うのだった。

「でも」とさくらは予防線を張る。「もしも・・・このまま、茂之くんが県内トップ校・成邦館高校に受かるようなことになったら・・・私、すべてを告白してしまうかも」

つまり、交際相手としては茂之にその資格があるということである。

「その時は・・・君の方から告白してやってくれ」と応じる吉本。もちろん、そんなことは吉本にとってどうでもいいことだからだ。

そもそも・・・金銭目当てで男子の心を弄ぶような女は推奨できる交際相手とは言えないという考え方もあるが・・・ここでは吉本はそれさえも考えていない。要するにニンジンを買って茂之の前にぶらさげて・・・それが目論見通りに馬力アップにつながったということにすぎないのだ。

こうして・・・家庭教師として有能さを示した吉本に・・・父親の沼田一茂(板尾創路)はボーナスを支給するのだった。

妻の佳代子(鈴木保奈美)の冷たい態度の裏に吉本の画策があるとも知らず、一茂は有能な家庭教師に心を許し始めていた。

一方で、孤独な佳代子の心をつかみ、株売買によるマネーゲームへと佳代子を誘導する吉本。夫への失望が吉本の画策によるものとも思わず、吉本に心を奪われつつあったのである。

吉本の指示により若干の金を儲けた佳代子はよりリスクの高い銘柄へとたやすく誘導されていく。

安住の地である家庭を吉本に浸食されていることをただ一人、自覚するのは長男の沼田慎一(神木隆之介)のみである。

吉本は慎一を勝手に「恐ろしいモンスター」として定義し、日々、その攻略方法を練っていることが気違いじみた独白によってお茶の間に知らされる。純朴な一部お茶の間の人々はうっかりそれを鵜呑みにしたりするのである。

吉本はお茶の間さえも洗脳する恐ろしさを秘めているのだった。

孤立無援の慎一の前に・・・かって悪魔の家庭教師・吉本によって一家を葬られた「吉本荒野を訴える会」の管理人・立花真希(忽那汐里)が現れる。

真希は吉本への復讐を誓い、慎一へ共闘を申し出る。

しかし、お茶の間は真希が・・・一茂の不倫相手である浅海舞香であると知っている。

また・・・罠を仕掛けているのかと思っていると・・・慎一には「一茂と舞香の路上キス画像」が配信されてくるのだった。

そんなことをするのは吉本に決まっているが・・・その意図はまたもや謎に包まれるのだった。

慎一は・・・真希を問いつめる。

「吉本の情報を得るために・・・あなたのお父さんを利用するつもりだった」と怪しい真意を告げるのだった。

「私が海外に留学中に吉本は弟の家庭教師として立花家に入り込み、母を騙して株式投資によって大損害を与え・・・家族三人を一家心中に追い込んだのです・・・帰国した私は吉本の行方を追って・・・あなたの家にもぐりこもうと考えました・・・そしてあなたのお父さんを誘惑したのです」

慎一は真希の言葉を信用する。愚かな父親の浮気問題よりも・・・眼下の敵を倒す武器を得ることを優先したのである。

慎一は真希の指示に従い、吉本を尾行し、吉本がさくらに金銭を支払う場面を盗撮することに成功する。

「このことを茂之が知ったら・・・あんたのことをどう思うかな」と逆襲に転じる慎一。

しかし、吉本はあわてず騒がず、人気のない場所へと慎一を誘いこむ。

「そのカメラをこっちに渡せ」という吉本。

「渡すもんか」という慎一。

「どうせ・・・あの女の言うなりになっているだけだろう」

「・・・」

「立花真希だよ」

「私のことを知っていたの」

隠れて二人を盗撮していた真希が姿を見せる。

「俺は教え子のことはすべて調べるんだ。教え子の父親に近付いた怪しい女のことを調べないわけないだろう」

「・・・なぜ・・・私の家族を殺したの」

「殺したのはお前だろう」

「・・・」

「お前は元々どうしようもない不良で海外に追い出された。そのことで家族を恨んでいた。家族が経済的危機に陥り、留学費用の捻出ができなくなった時・・・死ね、死んで生命保険で払えと言ったのはお前じゃないか・・・ここにお前の両親の最後の言葉が記録してあるよ・・・お前への怨みがこもった言葉がな・・・聞いてみなよ」

もはや・・・どこまで真実なのか不明の吉本の言葉。

しかし、真希はその記録媒体を求めて吉本に近づく。

吉本は暴力で真希のカメラを奪い取る。

「そんな録音してるわけないだろう」なのである。

打ちひしがれる真希・・・そういう演技をしているようでもある。

混乱した慎一に詰め寄る吉本。思わず護身用ナイフを振りかざす慎一。

「刺してみろよ・・・お前は想像力がないから・・・刺すとどうなるか・・・分らないだろう」

自ら、刺されにいく吉本。ある意味、ヤクザの常套手段である。

流血。

「ほら・・・血が出ただろう・・・刺したら血が出るんだよ・・・お前に判るか・・・この世に居場所がないと感じるほどにおいつめられた人間の痛み、苦しみ、悲しみが・・・お前にはわからない・・・だって、お前には想像力がないからだ・・・だから俺がおしえてやるよ・・・本当の絶望がどんなものかを」

血まみれの狂人を前にしてただ恐怖する慎一だった。

吉本は少女を買った証拠写真を押収すると去っていく。

取り残された慎一にセックスフレンドの最上飛鳥(北原里英)から着信がある。

慎一に「死ね」と言われた陸上部の補欠が部室で首を吊ったという連絡だった。

慎一は茫然と立ちすくむのだった。

「これも・・・あいつの罠なのか・・・」・・・もはや、吉本の狂気に巻き込まれ、何を信じたらいいのかわからなくなった慎一だった。

何かを信じるのも狂気の沙汰だが・・・何も信じないのも狂気の範疇である。

なにしろ・・・そもそも・・・人類なんて全員、狂っているかもしれないのだから。

吉本は理想の人間を形成する家庭教師である。しかし、その理想はあくまで吉本の理想である。理想達成のために吉本は他の人間がどうなろうと知ったこっちゃないのである。たとえ・・・教え子の人格が崩壊しようとも・・・理想の人間にするためならば吉本にとってなんの問題もないからだ。

家族ゲームとはそういう極限の思想ゲームなのである。

これだけ、吉本の狂気の様を見せられても・・・まだ、きっと本当はすごくいい人なんだと思っている人は・・・ある意味、すごく幸せな人と言える。

外の世界は凍りつき

内なる世界は汗だく

男と女はつつきあい

メロディーとリズムがからみあう

幼子は泣き叫ぶ

もしも行くと言うのなら

幼子は泣き叫ぶ

おいていかないでと

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2013年5月15日 (水)

非常識で無責任で自堕落な親の暴走を取り締まる法律はないのです(香取慎吾)

非常識で無責任で自堕落な韓国の大統領を取り締まる法律もないけどな。

暴言をもって暴言を制することができるのか・・・物議を醸されるのが嫌な人たちの渋い顔が思いやられるのだった。

しかし、向こうは米国議会のお墨付き、こちらは地方都市の一首長である。

しかし、言いたいことが言えることがこの国の唯一の取り柄である以上、言った方が面白いのである。

全世界の奴隷である日本国民に失うものなどないはずではないか。

敗戦国民=奴隷は有史以来の鉄則なのである。

だからといってすべての凶事を日本の所為にされてたまるかよ・・・だよな。

まあ、そんなことして・・・また世界のお高い方々を敵に回してどうする・・・という考え方もあります。

大津波でメルトダウンが起きてからでないと・・・絶対に安全なことなどないことがわからないように・・・侵略されて虐殺されてからでないと戦争を放棄する無意味さがわからないのが人間だけれども。

北朝鮮による拉致被害者の悲劇を放置し続ける最大公約数的な幸福の在り処がいつか覆される日が来ることを祈願いたします。

で、『幽かな彼女・第6回』(フジテレビ20130514PM10~)脚本・古家和尚、演出・田中耕司を見た。男女雇用機会均等法によってもっとも基盤を脅かされているのが結婚制度という売春制度であろう。男性が女性の性的能力を一生拘束契約するという前提が崩壊しつつあるのである。かっては熟年離婚とか、定年退職離婚とかがその兆しを見せていたわけだが、リストラ離婚とか、不正規雇用離婚とかはその証明だろう。経済能力の消失が縁の切れ目なのである。いや、そんなことはなく結婚とは愛の証であるという考え方もあるが・・・そういう虚構妄想で満たされる障害者は問題外とさせていただく。とにかく・・・非常識で無責任で自堕落な人は喫煙者という構図だけは絶対に許さない・・・そこかよっ。

【ジョン・レノン】は1980年に満40歳で射殺されたザ・ビートルズの元メンバーである。前衛芸術家で安田財閥の系譜に属する後妻のオノ・ヨーコの別荘が軽井沢にあったために来日して度々滞在した。この世界ではジョンは浮遊霊となって軽井沢でコンサートを開催しているらしい。その場面が映像化されないのはいろいろと支障があるからだと推察される。生前に「キリスト教はいずれ滅びる」と断言したジョンだけに死後の世界での生活様式はそういうこともありえると推察可能である。「ヘイ・ジュード/ザ・ビートルズ」(1968年)はジョンと前妻との破局について悩むジョンの長男・ジュリアンを励ますためにポール・マッカートニーが作ったというのが定説となっている。

ヘイ・ジュード

そんなにへこむなよ

なるようにしかならないって

リラックスすればいい

それができるのは

君だけなんだから

【吉岡さん】(佐藤二朗)は浮遊霊であるために同じく浮遊霊の恋人・メグミ(上間美緒)と軽井沢でのジョン・レノン(浮遊霊)のライブを聴きに行くため、東京を留守にする。そのために今回の事件に関与することができなくなってしまう。

【野本香織】(荒川ちか)は世田谷区立小原南中学校3年2組の学級委員。剣道の達人であり、本気を出せばモップで人が殺せる実力の持ち主。しかし、離婚する予定の両親の不和に悩んでいる。野本氏、野本夫人は「娘が望む方が養育する」と言いつつ、「娘の養育を相手に押し付け合っている」のが実態であり、それを知った香織は「自分はいらない子」という心境に到達している。

【石田航】(松井健太)は3年2組の生徒。密かに香織と付き合っているが性的に未熟なために肉体交渉には至っていない。精神的に不安定になった香織が拠り所を求めて性的関係を希求しても断固として応じないが、相手に馬乗りになられるとさすがに拒絶はできないらしい。

【石田夫人】は航の母親。航を凌辱しようとする香織を自宅の子供部屋で目撃して激昂し、学校に連絡する。担任教師たちに「私の息子が誘惑されたんです」と訴える。

【野本夫人】は香織の母親。勤務先の上司と不倫関係にあり、情事が忙しいので学校の呼び出しに応じない。「母親である前に雌犬なんです」と言って恥じない享楽的精神の持ち主。娘が孤独を感じていることを全く顧みない個人主義者である。

【石田氏&野本氏】は二人の父親だが、家庭のことには口出ししない前世紀の遺物的男性。石田氏に至っては登場場面さえない。

【岡本香奈】(未来穂香)は3年2組の生徒。根は優しいが下世話な小料理屋の娘であるために浮いた話を黙っていることができない困った性格。忘れ物を取りに来たために「香織と航の交際発覚事件」を知り、クラス全員に話してしまう。

【葉山風】(柴田杏花)は3年2組の生徒。香奈とともに「事件」を知るが、思慮深い性格のために・・・同じ優等生である香織の身の上を案じ、担任教師に注意を促す。

【神山暁】(香取慎吾)は3年2組の担任教師。このドラマの主人公である。問題解決のために香織の両親との面談を申し出るが「両親はもうすぐ離婚します。父は仕事が忙しく家庭に興味はなく、母は勤務先の上司と不倫中で今頃、ラブホテルでセックスしていると思います。そんな両親と会っても得るところはないと思います」と香織に意見されて言葉を失うのだった。

【朴槿恵】(韓国大統領)は対北朝鮮最前線であり、強い軍事同盟である米韓同盟を盾に朝鮮半島統一後の利益確保と不法占拠中の竹島を自国領土化することの正当化を目指し、弱い日米同盟を破綻させ日本の孤立化を画策するために「従軍慰安婦問題」などで日本を誹謗中傷しつつ、米中韓の枠組みで東アジアの主導権を握り韓国の富国強兵を目指す反日主義者。自国の態度を顧みず日本を右傾化呼ばわりする危険な指導者である。2013年、セクハラ行為をした疑いのある尹昶重報道官を更迭して鼻息が荒い。このドラマには登場しない。

【橋下徹】(大阪市長・日本維新の会共同代表)は「いわゆる従軍慰安婦は必要だった」と発言し、物議を醸した弁護士。2013年、「現在の日本では貧困のために売春をしている女性は皆無」かどうかは別として「みんながやっていたことを日本だけがやっていたみたいなことをいわれたら反論せざるをえない」というのは敗戦国国民で世界の家畜人種のくせに一人前に喋るなという一部世界的風潮に一石を投じたと言える。このドラマには登場しない。

【京塚りさ】(山本舞香)は3年2組の生徒。両親のペットを自称する問題児。自分以外のことでクラスが盛り上がるのを好まない。香織を心配する風に「急に人間らしく振る舞うな。優等生は勉強だけやってろ」と釘を刺す。

【森野小夜】(森迫永依)は3年2組の生徒で近所のお寺である斉願寺住職の娘の霊能力者。霊界事情に詳しく、霊場の分離で地縛霊を一時的に解放できることを指導したりする。記憶を失った地縛霊のアカネに同情し、その正体を探るために携帯霊場の床板を持ってアカネと外出する。しかし、不慮の事故により、駆け落ちする香織とカバンの取り間違え事件が発生。アカネを霊的エネルギー切れによる存在消滅の危機に陥れる。

【アカネ】(杏)は神山先生の下宿先であるマンション「メゾン羽生」の304号室に住み着いている地縛霊。神山先生の調査で27年前、小原南中に「滝沢茜」という職員がいたことが判明したが、アカネとの関係は不明。腹に致命傷と思われる刺し傷がある。自分探しの散歩中に床板の入ったカバンを香織が持ち去ったために二人の逃避行に付き合う羽目となる。霊界電話で神山先生に連絡を取るが、霊力不足のために不良に関わった二人を助けることもできない。ただし、香織は実践的剣道の達人であったために自力で不良を撃退するのだった。体を捧げて航を拘束しようする香織の重たい感じと、性的行為に自信がないために拒絶する航の「僕は君を大切にしたい」という高尚な発言に青春の息吹を感じつつ・・・霊的電池切れで一旦消滅する。しかし、アカネと生徒たちの身を案じ、救出に駆けつけた神山先生が「部屋の霊気」を少し帯電させていたために霊的一命をとりとめる。ただし、実際にはすでに死んでいる。

【通りすがりの警官】は廃墟で一夜を明かした香織と航を発見し保護する。警官の連絡により、神山先生は早期発見を達成するのだった。おそらく、ある種の超能力の持ち主であると考えられる。

【河合千穂】(前田敦子)は3年2組副担任。教職に魅力を感じることができずに転職活動中。連絡のとれない野本夫人の投げやりで無責任な態度に腹を立て「お前みたいなバカがいるから教師の仕事が増える」と絶叫。職員室を沈黙させる。

【大原操緒】(濱田マリ)は年1組担任。不惑でありながら独身のために不純異性交遊を認めることはできないが結婚生活の愛は夢見る四十歳である。「子供に愛の結晶であることを知らせるために両親がなれそめを話して聞かせよう」というちょっと恥ずかしい呼びかけをプリントにして配布する。

【霧澤和泉】(真矢みき)は副校長。弁護士資格を持ち、離婚経験者であるために野本夫人の言動を否定しないが「未成年の子供に母親の幸福の犠牲になれというのは脅迫行為にあたる」と指摘する。大原のプリントに「それぞれの家庭の事情を無視した横暴な押し付け」と反発するりさの眼差しに過去に起きた凶悪事件を想起するが・・・その詳細は次回以後に持ち越されるのだった。

【根津亮介】(森本慎太郎)は3年2組の不良生徒。屋上が好き。教室内で暴力を振るって次回への引きに貢献する。

【SMAP】はドラマの主題歌「Joy!!」を歌うグループ。

止まらないサイクルも

切り開くのは

他でもないのさ 自ら

神山先生「親がどうのなんて関係ない!・・・つらい現実から逃げてたってしかたないんだよ!・・・だから、お前が強くなれるなら、あんな親のことなんて嫌いになったっていい。・・・お前が強くなるしかないんだよ」

香織(とめどなく流れる涙)

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の幽かな彼女

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2013年5月14日 (火)

はったり屋ガリレオ~通じ合うツインズと通じ合おうと思いまして(桐谷美玲)

さて、母の日も終了である。

両親のうち、父でない方が母である。

他殺死体の場合、被害者以外の全人類の中に加害者がいる。

そして、真犯人ではない人以外が犯人である。

犯人を見つけるためには犯人以外が犯人ではないことを証明すればいい。

なんとなく・・無理な気がするのはキッドだけだろうか・・・。

しかし、ミステリとは不可能とも思えるこの作業を達成してしまうフィクションなのである。

まあ、リアル・警察はこの不可能とも思える作業を職務として行っているわけで、ある程度成果があれば凄いとも思えるのだった。

とにかく・・犯罪者は罪を犯した時点でルール違反というミスを犯しているわけで・・・そのミスを取り返そうとして失点を重ねるという話なのである。

だから、未解決事件の犯人とは犯罪を犯罪と思わない人物なのではないかと妄想できるのだった。

しかし、そういう人物は犯行を繰り返し、発覚のリスクは高まるのである。

不可能とも思える犯人の特定が可能なのはそういう理由があると思いまして。

で、『ガリレオ(第2シーズン)・第5回』(フジテレビ20130513PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、演出・澤田鎌作を見た。2012年の某「世界で最も美しい顔100人」ランキングの第12位である桐谷美玲が一人二役の一卵性双生児役で登場する。ダブル桐谷美玲なのだが、犯人役が桐谷健太なのでトリプル桐谷になっている。桐谷は全国にある地名で桐谷氏も様々なルーツがあるが・・・大阪府出身の桐谷健太と千葉県出身の桐谷美玲は口元がすごく似ている気がする。キッドはこれを密かに桐谷の富士山型と呼んでいる・・・どうでも良すぎる情報だぞっ。前回もそうだったが・・・ガリレオこと湯川学(福山雅治)は基本的に美女を守る騎士である。今回も天才物理学者というよりははったり屋のプレイボーイと言う趣である。すでに、妄想刑事ことオカルトちゃん・岸谷美砂警部補(吉高由里子)は毒牙にかけて賞味してしまったので、関心はもっぱらゲストにむけられているのだろう。今回はもちろん「ふたごプレイ」を目指しているのである。オカルトちゃんがいつもよりヒステリックなのはガリレオのよからぬ目論見に嫉妬して、しかも欲求不満だからなのである。

さて、キッドの妄想はさておき・・・東京都内で傷害事件が発生する。被害者は磯谷若菜(桐谷美玲)、アンティーク・ショップの経営者である。頭部をハンマーで殴られ、意識不明の重体である。発見者は若菜の夫の和宏(桐谷健太)である。経営コンサルタントである和宏は都内で講演中、若菜の双子の妹・春菜(桐谷美玲)から連絡を受け、部下の山下(清水優)とともに自宅に戻ったところ・・・床に倒れた被害者を発見したのだった。

問題は長野県在住の春菜の電話の内容だった。「姉が襲われて・・・犯人の顔をテレパシーよって画像受信した」と言うのである。

このままでは・・・またもや、変な刑事のレッテルを張られてしまう・・・とオカルトちゃんはガリレオに泣きつくのだった。

「双子のテレパシーを科学的に証明してください」

「興味深いが・・・時間がない・・・」とガリレオ。しかし、被害者の妹である春菜を紹介すると「双子における特殊なコミュニケーションについて実証してみるのは意義がある」と言い出すのである。もはや、科学的探究心というよりは下心丸出しなのである。

双子という特殊な発生形態の人類には「神秘的な精神共有性」があるという過去の記録に基づき、とりあえず、犯人の似顔絵を描かせてみるガリレオ。

しかし・・・春菜は絵心がないために微妙な似顔絵が完成してしまう。

それなら・・・似顔絵の専門家に任せればいいのだが・・・事情が超心理学がらみなだけに二の足を踏むオカルトちゃんらしい。

そこで・・・夫の和宏に関係者の顔写真を集めてもらうように協力を要請する。

もしも、犯人が関係者の中にいれば春菜が認知できるかもしれないという発想だが、もしも、該当者がいても・・・目撃者証言としての採用は困難だ。

しかし、該当者はいなかった。

ここで、お茶の間は実行犯は別にいるが、犯行を示唆したのが和宏であることを知る。

病室の若菜の殺害を和宏が試みるからである。

しかし、一度は看護婦(恒吉梨絵)に発見され、二度目はガリレオたちに阻止されてしまう。

吸入マスクをはずしている現場でオカルトちゃんは「何をしていたのか」と問う。

「キスをしてた・・・夫婦なんだからいいでしょう」

「眠れる森の美女は・・・王子のキスで目を覚ますといいますからな」

ロマンチックに感じたまま、同意したガリレオだったが・・・後ろ暗いところのある和宏は動揺を隠すために気色ばむ。

「からかっているんですか・・・私は・・・犯人を捜すために・・・協力したのに・・・あなたにとっては・・・妻は実験材料でしかないんですか」

その時、壁に貼られた関係者一同の写真の中から一葉の写真が剥がれ落ちる。

それは・・・仲人とともに写る和宏・若菜夫妻の結婚式の写真だった。

ガリレオはこっそりと春菜と会話を交わす。

「双子だからといって必ずしも同じ言動をとるとは限らない・・・同じ時刻に別々の場所でシチューを作ったとしても・・・あなたは独身で・・・若菜さんは既婚者だ」

「そうですね・・・私は若菜が和宏さんと結婚したのが意外でした・・・だって彼の優しさはうわべだけのものだと私には思えたから・・・」

「なるほど」

すでに・・・「双子のテレパシーの実証」は困難と考えたガリレオは・・・双子への同情という名の下心でプレイボーイならではの壮大なブラフをかまし始めるのだった。

プレイボーイというものはターゲットの心を奪うためにはあることないことかますのが基本だからである。

まったく無関係な設備で・・・春菜の脳内電磁波変化を分析すると言いだし、さらには最新の設備で春菜の脳内画像情報をスキャンすると言うのである。

すべては・・・恋仇である和宏を陥れる罠なのである。

現在では脳内情報の画像出力は未開分野ということになっています。

しかし・・・科学に弱い和宏はプレッシャーに負け、実行犯である後藤剛志(渋川清彦)に春菜の殺害を依頼するのだった。すべては妻の財産を狙った犯行だった。和宏は経営コンサルタントなのに自社の経営に失敗して、多額の負債を抱えており、しかも浮気が発覚して妻から離婚を切り出されていたのだった。

まあ・・・関係者の聞き込みで浮かびあがりそうな周辺の事情です。

そして、警察には・・・和宏が犯人だと仮定して・・・写真を集められなかった関係者の洗い出し捜査を提案したのである。

和宏が隠しているのが・・・犯人だった。そして・・・和宏が常連客となっている店の利用者に和宏とツーショットで写る後藤が捜査線上にあがる。

一方で、春菜を総動員体制で警護する刑事たち。

ドラマなので・・・あまり深く考えないでおくのが身のためである。

ハンマーを持って現れた後藤はたちまち逮捕されてしまうのだった。

そして・・・後藤は・・・似顔絵と似た特徴を持った男だった。

「テレパシーはやはりあるんです」というオカルトちゃん。

「それは・・・潜在意識の悪戯だよ」と聞き流すガリレオ。

その時・・・春菜から若菜が意識を取り戻したと連絡が入る。

しめた・・・と思うガリレオだった。

悦楽のチャンスを伺うために・・・見舞いに訪れたガリレオ。

初対面のガリレオに対して「湯川さん・・・」と親愛の情を示す春菜。

(無意識でも聴覚は覚醒していた可能性がある・・・病院でのやりとりを記憶していたのだろう・・・あるいは双子にありがちな悪戯心で二人で示し合わせているのかも)と冷静に分析しつつ、舌なめずりしたガリレオは・・・。

「実に面白い」と結ぶのだった。

なにしろ・・・二人の遊びに付き合う気満々だからである。そして開かれるめくるめくふたごっちな世界への扉。

オカルトちゃんはムキキーッなのだ。

かわいいよ、オカルトちゃん、かわいいよである。お茶の間の御婦人方は我慢してもらうしかない殿方サービス専用キャスティングである。男なんてみんな基本そんなものですからな。

ちなみに神秘学的には念波とは心霊波と考えられる。

単純に言うと人間の魂は母体とへその緒で繋がっているわけだが、出産と同時に無線状態になるわけである。しかし、二卵性双生児の場合は魂の分割が行われ、出産後も有線で結ばれているということになる。双子の精神感応力が特殊であるのは魂を共有しているからである。心霊波を伝える超次元有線は東京-長野県の距離などものともしないことは言うまでもないだろう。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

天使による数式的アプローチはコチラへ→テンメイ様のガリレオ2

平成財閥執事控室・地下・じいやの情報制御の小部屋通路

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2013年5月13日 (月)

向かうところを定めし後は修羅か極楽かにお供申し奉るべく存じ候でごぜえやす(綾瀬はるか)

「時代の変化に従い、大政を奉還いたします」と徳川慶喜が朝廷に奏上した日。

徳川慶喜、松平容保、松平定敬の三名の誅戮の密勅が下されていた。

虚々実々のフィクションである歴史というものの不可解さの一つの極みであろう。

幕末の司令塔の一人、坂本龍馬の死もまた謎に包まれている。

そもそも・・・龍馬は「大政奉還」の仕掛け人の一人である。

龍馬から後藤象二朗へ。後藤象二朗から山内容堂へ。山内容堂から徳川慶喜へとその「施策」は伝播した。

一方で、テロリストとして指名手配されている坂本龍馬を実質、保護しているのは薩摩藩であった。

大政奉還と討幕挙兵の間で旗色不鮮明な坂本龍馬の命は風前の灯に見える。

死の数日前に・・・幕府の大目付・永井玄蕃と会談したことを薩摩の軍事顧問・安保清康(林謙三)への手紙に認めた坂本龍馬は・・・龍馬との面会に訪れた安保の到着を待たずに凶刃に倒れる。

誰が殺してもおかしくない状況で殺された男。

龍馬がこの物語に不在なのは・・・もちろん、定説とされる下手人が会津藩出身の旗本・佐々木只三郎と見廻組によるものだということなのだろう。

主人公グループが英雄殺しに絡んでいることをあえて避けた作劇なのである。

とにかく・・・名のある佐久間象山の門下生の死亡率は高いのである。

そして・・・内戦の幕はきっておとされたのだった。

で、『八重の桜・第19回』(NHK総合20130512PM8~)作・山本むつみ、演出・末永創を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は死亡直前の会津藩大砲奉行・林権助とやがて洋式牧場経営の第一人者として名を残す会津藩士・広沢富次郎の二大イラスト描き下ろしでお得でございます。間に合いましたな~・・・小田嬢も待ち遠しい今日この頃、しかし、あくまでマイペースでお願いします。

Yaeden019 慶応三年(1867年)十月十三日日、徳川慶喜は諸藩重臣に大政奉還の意向を伝え、十四日に明治天皇に奏上。その夜に明治天皇は討幕の密勅を下し、十五日日に大政奉還の勅許も下す。明治天皇の朝廷はもちろん、一枚岩ではない。しかし、将軍位継承問題に発した朝廷の派閥争いは長州派に属する中山家の娘を母とする明治天皇の即位により、反一橋によって決着しようとしていたのである。篤姫の養家であり、薩摩派である近衛家も復権し、朝廷は薩摩・長州連合の支配するところとなっていく。水戸徳川派の摂政・二条家は排除され、幕府の実権を剥奪するための工作が朝廷内部で進行する。薩摩藩兵は大坂から京都へ進出。旧幕府側に圧力をかける。慶応三年十二月九日(1868年1月3日)ついに薩長は牙をむき、尾張徳川家、土佐山内家、越前松平家を従えて、朝廷クーデターを実行する、この政変によって、旧幕府の政治は終焉し、実質的に新政府が誕生したと言える。江戸幕府は廃止され、京都守護職、京都所司代も同様に廃された。薩摩藩主・島津忠義は議定となり、還俗した岩倉具視は参与となった。慶応三年十二月十四日、「王政復古の大号令」が発せられる。慶喜の目論んだ態勢立て直しのための時間稼ぎの目論見はわずか二ヶ月で潰えたのだった。京都の旧幕府軍に残された道は大坂への一時撤退である。

フランスの闇の一族の血を浄化された徳川慶喜が幼児に退行していた頃、密命を受けた吸血鬼部隊は龍馬暗殺の実行を継続していた。

実行部隊は旗本師弟を中心に構成された見廻組員である。慶喜から闇の血を受けた佐々木只三郎は感染期を克服し、半人半妖の特質を獲得している。

只三郎と六人の吸血鬼は科学忍者隊の張った結界を突破し、龍馬の根拠地である近江屋に突入する。

異変に気がついた龍馬は長州との連絡役である中岡慎太郎に声をかける。

「何かが殺しにきよるぜよ」

慎太郎が太刀を取り上げた際にはすでに侵入者が部屋に突入していた。

抜刀し一撃を受け止めた慎太郎は叫びながら、敵を切り裂く。

しかし、切り裂かれた敵はひるまずに慎太郎の右腕を切り飛ばす。

「お」と呻いた慎太郎は左手で突きを入れ、敵を壁に縫い付ける。

龍馬はS&W32口径5連発を抜き放ち、侵入した敵に発砲する。しかし、敵は銃弾を受けてもそのまま突進し、龍馬の胸に赤い薔薇の花を開かせた。

「なんじゃ・・・こいつら」

無言で殺到する敵が妖異であることに気がついた龍馬は胸に剣を突き刺したまま、篤姫から贈られた聖短剣を懐からとりだした。

すでに戦闘力を奪われた慎太郎は横たわり、標的は龍馬だけとなっていた。

超人的な戦闘力で二人の敵を塵と変えた龍馬だったが、背後から佐々木只三郎が首筋に噛みつくのを許してしまうのだった。

その瞬間、前方の敵が龍馬の頭部を切り裂いた。

龍馬の手から聖なるナイフが滑り落ちる。

刺客たちは周囲から殺気が迫るのを感じ、瀕死の龍馬と慎太郎を残し、近江屋からの脱出にかかる。

大奥忍びの仲野が現場に到着した時、龍馬にはすでに変化の兆候が見られた。

「龍馬・・・」

「しくじった・・・かまれたきに・・・」

蒼ざめた龍馬は不死の旅人へと変貌しつつあった。

その頃、視力をほとんど失った山本覚馬の京都洋学所に一人のくのいちが訪れていた。

「兄・小田勝太郎の使いのものでごさいます」

「小田殿の・・・」

小田家は丹波の宮仕えの一族であり、もちろん、天皇のしのびであった。

会津藩主・容保が先帝の寵愛を受けていた頃、山本覚馬は知遇を得ていたのである。

「このたびは・・・お気の毒なことになられまして・・・」

お気の毒なことが・・・眼病のことなのか・・・幕府と会津藩の尋常ならざる窮地のことなのか・・・覚馬は一瞬迷う。

「お身の回りの世話をせよ・・・と申しつかりましたんどす」

それでは・・・目のことか。いや・・・このご時世、やってきたのは目付けとしてであろうと覚馬は考える。

「なにかとご不自由でございましょう」

無言のままの覚馬を残し、台所に立った女は膳の支度を始めたようだった。

「そなた・・・名を何と申す・・・」

「時榮と申します」

その声を頼りに間を詰めた覚馬はくのいち小田時榮の背後に立つ。

「下の世話も」やくのかと言いかけた覚馬は言葉を飲み込んだ。

後ろ手にまわしたくのいちの右手は袴ごしに覚馬の陽根を攫んでいた。

急所からもたらされた快感に覚馬は一瞬で痺れてしまう。

「兄からは覚馬様のお気の召すままにお仕えせよと申しつかっておりまする」

覚馬は息を飲み、ふりかえったくのいちが屹立したものを取りだすままにして立ちすくんだ。

時世が変わろうとしていた。

関連するキッドのブログ→第18話のレビュー

篤姫→慶応三年十二月の頃

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2013年5月12日 (日)

あまちゃん、六番目の土曜日(小泉今日子)

六番目と言えば・・・小夜子である。

ドラマとしては2000年の春ドラマ(NHK教育)で・・・謎の転校生(栗山千明)が登場する。

ヒロイン(鈴木杏)の母親を演じるのは美保純である。

懐かしい少年ドラマシリーズのオマージュに満ちた作品だが・・・このドラマ愛の詩シリーズも懐かしいものになってしまった。

しかし、「転校生」の物語は永遠に続くのである。

さて、ドラマはもちろんフィクションだが・・・このブログにおいては書き手であるキッドもまたフィクションである。

そして、今、ブログを読んでいるあなたもフィクションである。

もちろん、それを現実と考えるのはあなたの自由だが・・・ここでは仮にあなたの現実をレベル1のフィクションとしておく。

レベル1のフィクションの世界ではどこかにリアルなキッドがいるはずだとあなたは想像できるだろう。

そこには美保純だとか小泉今日子もいるのである。

しかし・・・レベル1から見ると芸能界というフィクションは少しフィクションの濃度が濃いのではないかと考える。

そこであえて・・・これをレベル2のフィクションとしよう。実はこのキッドはここにいます。

リアルなキッドとブログ上のキッドはある意味、別人ですからな。

同様に、女優・小泉今日子とリアル・小泉今日子もある意味別人なのである。

さらに・・・美保純と「六番目の小夜子」の役を演じる美保純は別人で、また「あまちゃん」に登場する熊谷美寿々(美保純)も別人である。

実はドラマ「六番目の小夜子」には原作があり、小説「六番目の小夜子」はまた別次元に存在するのだが・・・ここは単純にドラマや小説は並列的なレベル3のフィクションだと考える。

これがフィクションについての基本である。

レベル1のリアル・小泉今日子。レベル2の女優・小泉今日子。レベル3の天野春子(小泉今日子)が同時に存在しているのだ。

この区別がつかないと・・・基本的に精神の正常さが疑われるのである。

レベル2あたりでスキャンダルが発生して、レベル3がいろいろと影響を受けるのは・・・この精神異常な人々が原因なのは言うまでもない。

もちろん、レベル2ではそういう精神異常の人々の弱みに付け込んでビジネスを展開しているので善悪の問題ではないことをお断りしておく。

リアルな人間のメンタルなんてフィクションの前では脆いものだという考え方もあります。

さて・・・そういうフィクションの構造の中で・・・レベル3はレベル2やレベル1にいろいろと租借するのが普通である。

たとえば・・・ドラマ(レベル3)の中では現実(レベル1)の西暦のようなものが使われていて「2008年」だったりする。そして・・・芸能界(レベル2)でアイドルだった松田聖子のようなアイドルが存在するのである。しかし、アイドルの小泉今日子は不在らしい。

そのことがドラマのフィクション性を高めるし、同時に芸能界の小泉今日子のフィクション性も証明する。

つまり・・・ドラマの中では芸能人・小泉今日子がいなくても問題ないのである。

今回、天野春子(小泉今日子)はカラオケで「潮騒のメモリー」をリクエストされる。

1984年の映画の主題歌だが・・・レベル1のほとんどの人が知らない曲なのである。

しかし、レベル2の脚本家・クドカンは知っているだろう。

なぜなら・・・「潮騒のメモリー」はドラマ・オリジナルのフィクションだからである。

どんな歌で・・・オリジナルは誰が歌っているのか・・・凄く楽しみである。

もちろん、レベル2のキッドはそれを知っているが・・・あえてここでは述べないのだ。

さあ・・・前フリはそんなものである。言いたいことはここからのレビューはレベル4のフィクションということである。レベル3のドラマから派生した妄想だからである。それを前提としてお楽しみください。

で、『連続テレビ小説・あまちゃん・第6週』(NHK総合20130506AM8~)脚本・宮藤官九郎、演出・吉田照幸を見た。2008年の夏休み、東京の高校2年生・アキ(能年玲奈)は母の春子(小泉今日子)に連れられ、北三陸市にやってきた。祖母・天野夏(宮本信子)に憧れたアキは日本最北端の海女の一人となったが海女のシーズンは終了し、潜りたい一心で潜水土木課に転入し、今度は潜水士の資格獲得を目指す。しかし、観光海女を紹介するホームページから火が付き、アキはネット・アイドルの一人となってしまう。突然の人気に戸惑うアキ。そこへ・・・アキが死んだと思っていた祖父の天野忠兵衛(蟹江敬三)が帰還したのだった。

月曜日 友達の家はなんか面白い(橋本愛)

橋本愛と言えば川崎愛を思い出すな。ついでに奈良沙緒理を思い出す。「胸キュン セントポーリア女学院」からの「王様げーむ」である。今だったらアウトのゲームだよな。奈良沙緒理がロボットを操縦していた「鉄甲機ミカヅキ」には杉本哲太と神木隆之介が父子役で出ていたんだよなあ。あれも2000年のことだったのだなあ。と思っていると慎ましく足を閉じて車内に乗っている足立ユイ(橋本愛)の隣でおまたをおっぴろげたアキは「じぇ」を連発するのだった。「じぇじぇじぇ」というセリフに字幕が(お化け)と出る。「ゲゲゲ」と言えば妖怪である。しかし、ユイには意味不明だ。アホの子の演技に開眼したとしか思えない能年玲奈は快調にボケ倒す。「じぇじぇじぇじぇ」(あの人)「じぇじぇじぇじぇじぇ」(おじいちゃん)・・・これに対してクールに「あの人がどうかしたの」とツッコむユイで・・・すでにコンビネーションが確立されはじめている。しかし、「あの人」はさらに怪訝な顔をするばかりである。アキと祖父の初めての対面であるが・・・祖父はアキの顔も知らない設定である。2008年であるから地球の果てからでも電話が通じる時代で・・・夏と忠兵衛が連絡を取り合い、ある程度事情を知っていてもおかしくはないが・・・知っていてもおとぼけを決め込む夫婦であるかもしれない。

とにかくアキにとっての「お化け」は家路をたどり、アキはおっかなびっくり尾行するのである。

いきなり、アキ、かわいいよアキの連打なのである。

天野家では常にノイローゼ気味の春子が夏の「老いらくの恋の噂」を気にして問いつめまくっている。

しかし、夏は豪快に笑い飛ばすばかりである。

なにしろ、牽牛と織姫で言えば今夜は七夕なのである。

そこへ・・・一年のうち355日を遠洋航海で過ごす夏の夫が帰ってくるのだった。

「お帰り~」

「ただいま~」

「なんなの・・・なんなの・・・なんなのよ・・・これは」ノイローゼからヒステリーに移行する春子だった。

「春子が帰ってきたんだ」

「おお、そうか・・・久しぶりだな~」

幼子を愛おしむように春子の顔を両手で揉みしだく忠兵衛だった。

「なんなの・・・なんなの・・・なんなのよ」

「孫も生まれた」

「おお、そうか・・・春子に似てるの~」

「お、おじいちゃん・・・死んだんじゃなかったの」

「何言ってんだ・・・生きてるに決まってる」

そこへユイが訪ねてくる。

「アキちゃん、大丈夫?」

「おじいちゃん・・・生きてた」

「なんなの・・・なんなの・・・なんなのよ」

そこへ・・・大吉(杉本哲太)、弥生(渡辺えり)、かつ枝(木野花)、六郎(でんでん)、美寿々(美保純)なども忠兵衛の無事帰還を祝うためにかけつける。町の商工会長・今野あつし(菅原大吉)はうっかり、喪服で登場する。

つまり・・・忠兵衛は死んでいなかったのである。お茶の間のほとんどの人は「流れ」から忠兵衛が死んでいないことを予測していたが・・・そういう能力のない一部お茶の間の人々の気持ちを代弁して春子は叫び続けるのだった。

「なんなのよなんなのよなんなのよなんなのよ」

アキはおじいちゃんが生きていることを素直に喜び、「南部ダイバー」を合唱する。

たちまち・・・仲間はずれになっていることに怒りだす春子。

「あんたは・・・ユイちゃんと二階に行ってなさい」

「でも」

「私は両親に話があります。なんなの・・・なんなのよ・・・なんだってんのよ」

仕方なく、二階に上がるアキとユイ。

「アキちゃんちって面白いね」とクールにつっこむユイが・・・春子の青春の遺産に気が付き絶叫するのだった。

「ええーっ、聖子ちゃん・・・お宝・・・お宝・・・POMB(フィクション)って何?」

それは「つちやかおり」だ。

一方、お酒を飲んで認識力の低下した娘をおいて束の間の逢瀬を楽しむ老夫婦だった。

「私はさ・・・父の日にはさ・・・ウソ(フィクション)でもネクタイとかさ・・・それなのにさ、なんなのよ」

「生きていてよかったっぺ」と周囲に言われ・・・ようやく気を鎮める春子。

「じゃ・・・お父さんにお帰りなさいっていいなさい」

「うん・・・」

しかし・・・両親はいないのだった。

そこへ・・・ユイにお泊まりを申し込まれ、はじめて友達を家に泊める喜び爆発のアキが下りてくる。

「あのね、ユイちゃんがね」

「なんなのなんなのなんなのなんなのなんなの」

「じぇ」

火曜日 怪しいものではありません(野間口徹)

今週のサブタイトルは「おらのじっちゃん、大暴れ」なのであるが・・・あまり、大暴れしてないのではないかという方も多いだろう。しかし、一年に十日しかいない夫婦の営みはそれは物凄いものなのである。まさに夏の体の上下で忠兵衛が大暴れしていることは言うまでもない。

そういう一夜が明けて、食卓を囲む忠兵衛、夏、春子、アキそしてユイ・・・に加えて11人ぐらいいる天野家の朝食。アキはトーストに紅鮭乗せている。すでにアキ=能年玲奈くらいに確立した存在感である。ユイもほぼユイなのであるが・・・時々、変な帽子をかぶっていたりする気がしないでもないポジションである。そういう時にレベル2の橋本愛が菅原保(吹越満)の高校時代を演じている落合モトキとデート熱愛報道されたりするとモトキのブログは炎上し、一部レベル1の人々は失恋気分を味わったりするわけだが、基本的に「あまちゃん」の世界に影響はないのである。もしも、レベル1の橋本愛が妊娠したりしてもロケスケジュールから言ってギリギリ大丈夫なわけである。だが、レベル2の人々はそれなりにあせったり、ヤキモキしたりしてそれはそれなりに面白いのだった。レベル3のフィクションの登場人物を演じるレベル2の役者もそれぞれにある程度は影響しあう。米倉涼子が35歳の女子高生を演じるのは問題ないが16歳の高校生を演じるとなるとそれなりに無理があるのである。外見だけでなく・・・役柄も役者に影響されることは避けられない。「最後から二番目の恋」や「マンハッタンラブストーリー」に登場する女優・小泉今日子のキャラクターが各レベルに波及してしまうことも避けられない。役者はどんな役でも演じられるにせよ、ある程度、お茶の間の期待にも応える必要がある。繊細でヤンキーで面倒くさいキョンキョンが見たい人のために・・・ある程度天野春子は繊細でヤンキーで面倒くさい女になってしまうのだ。

死んだと勝手に思い込んでいた父親が生きていて、母親と仲良くしているのを見た春子はなんとなく・・・紙の上だけの夫婦で・・・気分的には夫でない黒川正宗(尾美としのり)に電話をするのだった。正宗が電話を禁じられている以上、かけているのは春子なのである。

春子と正宗のわかるようでわからない夫婦関係は・・・基本的に愛情表現がストレートな正宗とストレートな愛情表現を信じられない屈折した春子との軋轢によるものであろう。

今回・・・忠兵衛が「アキがもう少し小さかったら・・・抱っこして舐めまわすことができるのに」と表現し、アキが我慢しながら「なめてもいいよ」と言うのがひとつのフリとして機能している。家族における愛情表現の限度の微妙なところをクドカンが怪しくつついていることは間違いない。

それは女子高校生にとっては気持ち悪いが、とある高橋家ではそれほどでもなかったこととか、ファザコンとか、父親にとってはいつまでも娘とお風呂に入りたいさという本音を沸騰させるのだ。

ともかく・・・なんらかのトラウマによって不信感の強い春子は・・・夫と娘の関係も疑うし、そういうことを疑う自分も疑うしでいろいろとノイローゼになるのだった。

仕方なく・・・正宗は愛おしい娘の写真を見て我慢するしかないのだ。

何を我慢するのかはそれぞれの指向性で変わります。

「44年間で440日しか一緒にいない夫婦」の話にヒロシ(小池徹平)は不安を感じる。アキが共感しているからである。ヒロシにとってアキはストーブなのである。ストーブのストーカーであるヒロシはいつもアキの側から離れたくない男なのだった。

アキの視点でカテゴリーを作ると、正宗=ヒロシ、忠兵衛(南部ダイバー)=ヘルメット先輩(南部ダイバー)となる。

そういうある種の陰湿な大人たちの妄想から離れ、アキは南部ダイバーとして水中で覚醒する。

「もっと空気抜け」という磯野心平先生(皆川猿時)のアドバイス対しても「うっせえ」と眠っているヤンキーの血を呼び覚ますほど・・・水の中のアキは解放されるのだった。

そんなアキがやっばり可愛い忠兵衛はOBとして授業に乱入するのだった。

大先輩を前にヘルメット先輩こと種市浩一(福士蒼汰)も「南部ダイバー」を熱唱する。

しかし・・・何やら悪だくみをしている大吉との約束の時間に遅刻し、駅へと向かうアキである。

そこには高価そうなケーキと美味しそうな紅茶。そして薄いサングラスの男がアキとユイを待っていたのだった。

レベル1~2の岩手めんこいテレビに影響されたレベル3の岩手こっちゃこいテレビ(フィクション)のディレクター・池田一平(野間口徹)だった。ローカルテレビのディレクターもいろいろだ。大学卒業して地元に就職した者もいれば、東京で修行してから地方に落ち着くものもある。そういう様々なディレクターたちの顔が思い浮かぶものばかりではないとキッドは妄想するのだった。

しかし、そういう人から見れば赤いマフラーの男はきっと怪しく見えるに違いない。

水曜日 るいがとひなきすにとひなきす(小池徹平)

「君たちにすれていない魅力を感じた。一回、テレビに出てみないか」

ディレクター池田は出演交渉にやってきたのだった。アキとユイの背後には大吉と吉田(荒川良々)、ストーブと菅原が舌なめずりして勢ぞろいである。

「5時だべ わんこチャンネルっていう情報番組で一度、君たちを紹介したいんだ・・・」

「福田萌(福田萌)ちゃんが司会しているやつですね」とユイ。

「そうそう」

「スタイリストはつくんですか・・・メイクは・・・素材VTRの事前チェックは・・・」と矢継ぎ早に質問を重ねるユイにたじたじとなる池田だった。

「アキちゃんはどうかな・・・」と水を向ける大吉。

「おら・・・母ちゃんさ、聞いてみないと・・・」

「うん・・・わかってる・・・そしてお母さんが反対するのもわかってる・・・しかし、そこは俺がどんな汚い手を使っても説得するから」と我を忘れる大吉だった。

二人きりになったアキとユイ。

「アキちゃんは・・・どう思うの」

アキは何故か「アイドルと言う言葉」を毛嫌いする母のことをユイに話してみた。

「ブスには無理だって言われた」

「・・・ひどい」

「やっぱり・・・ひどいかな」

「アキちゃん、ブスじゃないよ」

「大丈夫・・・そこんとこは乗り越えたから」

「っていうか・・・アキちゃんのお母さん、アイドルを誤解してるよ。アイドルは可愛いからってなれるもんじゃない。いや、むしろ可愛くない子が可愛い子を追いぬいていくのがアイドルなの。だから・・・アキちゃんにはアイドルの素質がある・・・あれ、なんか、アキちゃんが可愛くないみたいなことに・・・ううん、そうじゃ、なくって・・・アキちゃんはただのブスじゃないってことを・・・」

そこへ喫茶「リアス」に出勤してくる春子が登場。そそくさと退場するアキとユイだった。

春子を待ちかまえる村おこしカルテット(四人組)である。

「なんだって・・・」

「だから・・・テレビがね」

「なにが・・・」

「取材したいって・・・」

「なにを・・・」

「その・・・」

「スタイリストはつくんですか・・・メイクは・・・素材VTRの事前チェックは・・・」と矢継ぎ早に質問を重ねる春子。くりかえしのギャグである。三つが基本なので三回目があります。

春子は心配なのは・・・アキよりもユイだと言う。

「昔の私を見ているようで・・・痛々しいのよね」と決めつける春子。

しかし・・・だれもヤンキーの春子と優等生のユイの共通点を認められないのだった。

「アキはね・・・田舎が大好きだからいいのよ・・・みんなに喜ばれるならって・・・一生懸命にやると思う。だけど、ユイちゃんは東京狙いなの・・・モチベーションが違うのよ・・・そのあたりのこと・・・ちゃんと責任もって対応できるの・・・」

実は少し間違っているのだが・・・大体あっている春子の直感。

目先のことしか考えていないカルテットは返答に屈する。

そこで、ストーブが「僕がマネージャーになりますから」と名乗りをあげる。

「マネージャー」という言葉にカチンとくる春子である。それまでの冷静な分析は忘れ、目の前の敵を粉砕することに全力を注ぐのだった。

「あんたに冷静な判断なんてできるわけないじゃん。ユイちゃんのお兄さんだし・・・アキのこと、好きなわけだし・・・」

「それは・・・少し忘れます・・・アキちゃんは試験勉強に集中したいみたいだし」

「違うねえ・・・アキは別に好きな人がいるんだねえ」

ハッと我を取り戻した春子だったが・・・時すでに遅く、一人の若者を暗黒面に突き落としていたのだった。

「はじめての共同作業です」

アキは実習でストーブ先輩とコンビを組んでウキウキである。

潜水したアキをいつもの窓からストーカーと化したストーブが見つめる。

ストーブの思いつめた目に恐怖を感じたアキはパニックに陥って排気を忘れるのだった。

いつものように浮上するアキ。

そんな二人をユイは心配そうに見まもるのだった。

木曜日 北三陸一のワルと呼ばれた女子高生(有村架純)

・・・どんだけ悪かったんだよ。

浮上したアキが「ストーブ」と一言つぶやき、アキがどこかのストーブを消し忘れていると誤解した磯野先生がドキドキするコントがあって・・・ストーブはストーブ前に。父の足立先生(平泉成)は舌うちするが・・・母の足立夫人(八木亜希子)は「そっとしておいてください」と牽制する。

ヒロシが引き籠ったと知り、アキは春子を詰るのだった。

「なんて・・・デリカスーのないことすんだ・・・」

春子は軽く受け流す。

「ここにはデリカスーはないの・・・下世話があるだけなの・・・それより・・・ヘルメット先輩とはどうなのよ」

「しっ・・・そこにいるの・・・」

試験勉強を先輩に教わっているアキだった。

しかし、先輩は何故か、アキを待っているユイに視線を注ぐ。

1、ユイのことが気になる

2、ユイに一度振られている

3、ユイを一度振ったが気になりだした

様々な憶測が広がるところである。

だが、邪な大人たちは高校生らしい恋愛模様に昔を懐かしむ。

レベル1のクドカンが好きだったレベル2の斉藤由貴のデビュー曲「卒業」の歌詞を巡るコントが展開される。

「制服の胸のボタンを下級生たちに・・・」

1、狙われ

2、捩られ

3、値切られ

4、ねだられ

5、ねぶられ

1985年の曲なので・・・春子の家出後の話である。

さて、ここで登場する斉藤由貴はレベル2でもあり、実はレベル4でもある。つまり、レベル3のドラマの中の芸能人だからである。作品である「卒業」はレベル5となる。すでにフィクションであるのでドラマの中の「卒業/斉藤由貴」が1984年春の発売でも構わないのである。

そして、それについて語るこのレビューは今、レベル6にある。

勉強を終えユイとデビューについて相談するために帰宅したアキを忠兵衛と夏の夫婦喧嘩が待っている。帰国四日目で倦怠期に突入していたのだった。

大吟醸「海鳴」に合うのは「ブリの照り焼き」か「ブリ大根」かで揉めた挙句、家を飛び出す忠兵衛だった。

仕方なく・・・二階に上がるアキとユイ。

その頃、スナック「梨明日」には足立先生が訪れていた。

「私・・・心配なんですよ・・・アキやユイちゃんが・・・ちやほやされて・・・やがて傷付くことになるんじゃないかと」

「スケバンのお前と・・・担任の私が・・・お互いの娘のことで相談してるなんて・・・妙だな」

「パーマか天然パーマかでいつも一触即発でしたものね・・・」

「私は・・・年の離れた娘が可愛くてね・・・本人のやりたいようにやらせたい・・・それだけなんだ・・・しかし、娘は芸能界でやっていけるのかね」

「それは・・・本人次第だと思いますけどね・・・」

しかし・・・言葉を濁す春子。自分が失敗したんだからユイも失敗するに決まっている・・・むしろ、そうあるべきだと春子の暗黒面が囁いているのは間違いない。

だが、それを世間では老婆心とも呼ぶのである。

海女たちと酒を飲む忠兵衛・・・いつしか、夏がいてくれる幸せについて語りだす。振り返るとそこには大吟醸が置かれている。

秘密の部屋ではユイが本音を打ち明ける。

「私、テレビに出たい・・・田舎にいて遅れをとっているんだから・・・利用できるなら田舎だって利用するし、方言だって喋る・・・おら、ユイだっぺ」

「すっげえ、ユイちゃん、田舎の人みたいだ」

「田舎の人だべしたん」

「おら、決めた・・・ユイちゃんとテレビさ出る」

「いいの」

「まかしてけろ」

やがて忠兵衛が帰ってくる。夏ばっぱは「ブリ大根」も「ブリの照り焼き」も用意していたのだった。

レベル3には愛があふれているのだ。

金曜日 私の娘は母・女子アナウンサーの血統です(八木亜希子)

両家の親が出席しての最終的な打ち合わせである。

しかし・・・心のどこかの部分が・・・自分ではなくて自分の娘がテレビに出ることに抵抗があり、同時に娘が危険にさらされることへの警戒心があり、疑心暗鬼と化す春子だった。

けれど・・・足立夫人は「スタイリストは・・・」のくりかえしのギャグを決めた後で鷹揚に構える。なにしろ、ローカル局の女子アナといえども、レベル4の人間なのである。演じるのはレベル2でも女子アナの八木亜希子だけに実にレベルの幅が広いのだった。

一方、なんてったってアイドルだった小泉今日子が演じるおそらくアイドルになれなかった元ヤンキー春子の存在の危うさは不安定過ぎて超絶的であることは言うまでもない。

「テレビに出て・・・素顔をお茶の間に晒せば・・・あぶない輩がよってたかって来ることになるのよ。窓に投石、ピンポンダッシュ、盗聴、盗撮、ストーカー、ひっそり停まる黒いワンボックスカー、アキ、あんた本当に大丈夫?」

「じぇじぇじぇ・・・」

「お母さん、やめてください、アキちゃん泣いちゃってます」

「そんなに心配なさらなくても大丈夫ですよ」

春子は足立母娘に自分の娘を庇われて逆上するのだった。

「私が一番、心配なのはユイちゃんなんです・・・田舎で人気者になって・・・背中押されて都会に行って・・・痛い目見るんじゃないかって」

「心配しないでけろ・・・私、ずぶんのことはわかっているつもりだべさ。だから・・・温かく見守ってけろ」

クールに方言で逆襲され、言葉を失う春子だった。

春子はユイの中に自分を見ていたが・・・ユイは春子なんてただの友達のお母さんだったのである。

「それじゃ・・・そういうことで・・・」

このままではなんか負けた気がする。ヤンキーの本能によって春子は戦場に踏みとどまる。

「き、期限を決めましょう。こういうことはけじめが大事なんだから」

「さ、三年でどうだ」と希望を述べる大吉。

「長すぎる・・・来年の春まで。高校二年生の間は町おこしに協力させますが・・・そこできっぱりやめさせます」

ユイは無言である。一同はそれで春子か納得するのならいいかと賛同するのだった。

春子は辛うじて崩れそうなプライドを維持したのである。

長めのスカートにかけて負けるわけにはいかないのだ。・・・もう面白すぎよ、春子。

やがて・・・レベル4のテレビ局による取材が始った。レベル3の人々はハレの日を迎えて化粧濃い目、ヴォルテージ高めで対応するのだった。

もちろん・・・その中に春子の姿はない。

春子はあくまでレベル3から離れないのである。

忠兵衛と夏ばっぱはレベル5でいい思い出を作ったのだった。

ユイは「琥珀」のことも忘れずに小田勉(塩見三省)へ洞窟の恩を返すのだった。

アキも精一杯、おどおどするのだった。

最後はレベル1のリーマンショックを反映した臨時ニュースで遮られるが・・・アキとユイはローカル・テレビでデビューを果たした。

ネットの趣味的なファンから・・・テレビの不特定多数へ・・・二人のファンは拡大した。

幹線道路で渋滞が起こるほどだったのだ。ドラマ「あまちゃん」人気でレベル1のロケ地にゴールデンウイーク中、観光客が殺到した如しである。

またしてもウニ丼を完売したアキはくたくたになって帰宅。すると、そこには・・・見慣れた個人タクシーが駐車していたのだった。

土曜日 歌ってよ、「潮騒のメモリー」を(尾美としのり)

「なんで・・・来たの・・・」

「なんでって・・・明日、お前の誕生日だから・・・」

父の言葉はアキに三つの「じぇ」を発生させる。

一つ、自分の誕生日を忘れていた。

一つ、父が誕生日を覚えていた。

そして・・・もう一つはアキの妄想に基づくものだった。

ドラマの中の登場人物の妄想はレベル4で・・・ドラマの中の現実の解釈とも言える。

その日、ヘルメット先輩からミサンガをプレゼントされたアキは・・・先輩が誕生日と知ってプレゼントをしてくれたのだと思いこんだのだった。

春子が帰宅して正宗といつもの一悶着が発生していたが・・・アキはそれを確認したくて先輩に電話しようとして、電話番号を知らないことに気がつく。

思わず、ユイに電話をするアキ。

「それ・・・本当に誕生日のプレゼントなの」と冷静なユイ。しかし、知り合いから先輩の連絡先を聞いてみることを約束してくれるのだった。

Am006 幸せな気分でレベル5の夢の世界に飛ぶアキ。

先輩と愛のミサンガの交歓である。しかし、例によって相手が別人に代わるお約束の展開があって・・・今回は磯野先生である。

目覚めると正宗が添い寝をしているのだった。

「いやああああああああああああああああああああああああ」

全国の娘を愛する父親の心に突き刺さる年頃の娘の父親拒否である。

正宗は「父親としての権利」を主張するが、春子、夏、アキに変態扱いされ、忠兵衛にも「親しき仲にも礼儀あり」と釘を刺されるのだった。

娘を愛するようには娘に愛してもらえない父親。宿命である。

わきまえなければならないのだった。

翌日もウニ丼を売りまくったアキ。

しかし・・・その日はうれしいサプライズが用意されていたのだった。

関係者一同によるバースデイ・パーティー・・・。アキは「おいわい・・・私の・・・誕生日・・・おいわい」とパニックに陥る。そしてユイはヘルメット先輩を連れてきてくれたのだった。

一同は二人を冷やかす。ただ一人ストーブだけはやけ酒を呷るのだった。

別室でツーショットを決めるアキとヘルメット。

「ごめん・・・誕生日って知らなかったんだ」

「でも・・・これ・・・」

「それは試験が近いから・・・願をかけたらいいだろうと」

アキの妄想は間違いだったが・・・先輩の気遣いはさらにうれしいことだった。

そこでアキは勇気を振り絞る。

「あの・・・もし・・・試験に受かったら・・・デートしてけろ」

逡巡するヘルメット。

不安に慄く・・・アキ。

「デートな・・・考えておく」

アキはたちまち嬉しくて嬉しくてたまらなくなるのだった。

大吉のゴーストバスターズや、忠兵衛・夏夫妻のデュエットが終わり・・・忠兵衛は春子に歌をせがむ。

仕方なく・・・応じた春子だったが・・・正宗の選曲した曲のイントロが流れると・・・。

「やっぱり、歌えない」

「なんだ・・・昔はいつも歌ってくれたじゃないか・・・知ってるか、正宗くん・・・春子はアイドルになるって言って家出したんだぞ」

「え」と驚くユイとアキ。

そして、凍りつくパーティー会場。

レベル1のほとんどの人にとっては案の定なのだが・・・レベル3の春子にとってそれは絶対に触れてもらいたくない過去だったらしい。

いよいよ・・・来週は春子の黒歴史が明らかになるのだな。

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2013年5月11日 (土)

みんな!もうすぐ母の日だよ!・・・処女ブリっ子(真野恵里菜)VS処女ヤンキー(夏帆)

春ドラマの圧巻は「みんな!エスパーだよ!」なのだが、朝ドラマは「あまちゃん」である。

「あまちゃん」は岩手県が今の処、舞台となっていて・・・「みんな!エスパーだよ!」は愛知県が舞台。

田舎の片隅の物語である。

そこに転校性がやってくるのだな。

「あまちゃん」ではアキ(能年玲奈)・・・こちらでは浅見さん(真野恵里菜)である。

アキは母(小泉今日子)に連れられてやってくるが・・・浅見さんは父(安田顕)と一緒である。

アキは親友となるユイ(橋本愛)にめぐりあい、浅見さんはヤンキーの美由紀(夏帆)に巡り合う。

アキはヒロシ(小池徹平)に一目惚れされて、浅見さんは嘉郎(染谷将太)のマドンナとなる。

ある意味、二つのドラマは双子のようにそっくりだ・・・どこがだよっ。

いや、少なくともかなり似ている。・・・おまえ的にはな。

それはコインの裏表・・・青春の光と影なのだ。

時には娼婦のように・・・時にはこの世に生んだお母さんのように・・・世界が愛に満ちていることを告げるドラマなのである。

とにかく・・・週末はタイトなのである。

で、『みんな!エスパーだよ!・第5回』(テレビ東京201305110012~)原作・若杉公徳、脚本・演出・鈴木太一を見た。なぜか、性行為はタブーなのである。性行為がなければ誰も存在しないにも関わらずだ。限りなく神聖なものがなぜそこはかとなく汚らわしいのか。そこには無知や無教養が関わってくるし、性的コンプレックスや、制度の抑圧も無関係ではない。何よりも・・・聖母信仰と・・・近親相姦の問題が多いに問題となってくるだろう。しかし・・・普通の人々は・・・まあ、母親の愛に包まれて・・・男子はお母さんみたいな女の子を伴侶にしたいと願い、女子はお母さんのような母親になりたいと夢見る・・・それでそこそこ幸せになれるらしい。

その幸せを手にしていない男が今回の主役である。

フリーターの英雄(鈴之助)は母子家庭で育ち、母親を三年前になくしていた。

少年時代、スナック明美を経営していた母親(宮田早苗)と従業員の男(下條アトム)の会話が英雄の心の傷となっていた。

「ねえ・・・しようよ」

「昨日もしただろう・・・今日は疲れた・・・明日にしよう」

「きっとだよ」

母が「男に抱かれること」に不潔なものを感じた英雄は・・・処女しか抱けない男になってしまったのである。

今度こそ・・・「処女だ」と思って付き合いだした女・マリコ(田代さやか)との初めての夜。

突如、愛知県東三河地方を襲う超能力発現現象によって・・・サイコメトリー(物質的残留思念読みとり)の能力が覚醒する英雄。

渡された男ものの部屋着から・・・マリコの過去の男関係を読みとる英雄。

「ねえ・・・しようよ・・・」

「俺は・・・ヤリマンとはセックスせん」

「ひでぶ」

愛知県東三河地方に悲しきサイコメトラー英雄が誕生したのである。

一方・・・超能力によって世界を救い、ヒロインである処女の転校性・浅見紗英(真野恵里菜)のヒーローとなることを夢見る嘉郎(染谷将太)は親友のヤス(柄本時生)から借りた星美りかのアダルト・ビデオを母親(筒井真理子)に発見され、父親(イジリー岡田)とそれを見た両親が刺激されて濃厚なセックスをしたことを知り、朝からげんなりする悲しきテレパシストである。

超能力者である仲間は続々と見つかるのだが、すれちがう男がすべて自分に性的妄想を抱くために鬱になっているテレパシストの平野美由紀(夏帆)、エロいことにしか発動しない念力者の永野輝光(マキタスポーツ)、全裸でしかテレポートできない故に露出狂としか思えない榎本洋介先輩(深水元基)、焦点を調節できない透視能力者・矢部(柾木玲弥)と・・・ヒーローの仲間としてはかなり問題があるのである。

夜の繁華街で・・・「エスパーはいませんか」と思わず絶叫する嘉郎。

ふと振り返ると狂人を見る目で自分を見ている浅見さんと目が合うのだった。

(ちがう・・・ちがうんだ・・・浅見さん)

その時、夜の風が吹いて・・・浅見さんのスカートがめくれあがり・・・純白の下着が嘉郎の目に飛び込む。

たちまち・・・勃起する嘉郎だった。

(ちがう・・・ちがうんだ・・・浅見さん)

何が違うのかは不明である。

喫茶「シーホース」でヤスが語りかける。

「どうだった・・・星美りか」

「母ちゃんにとられた・・・」

「母ちゃんか・・・気不味いよな」

高校生の会話に割り込むマスターのテルさんこと輝光。

「そりゃ、違うで・・・俺たちはみんな母ちゃんのエロスによって生み出されたんだ・・・それを忘れちゃいかん」

「なるほど・・・早速、義理の母シリーズを借り出してきます」

レンタルビデオ屋に走るヤス。

残された嘉郎は美由紀にぼやく。

「これじゃ・・・いつまでたってもヒーローになれん」

「そんなの・・・最初から無理だよ」

「そんなことないて・・・俺たちには凄い能力があるんだ」

「こんな能力・・・なんの役にもたたない」

「そんなことない・・・美由紀ちゃんは取り柄が他にもあるけど・・・俺にははじめて取り柄ができたんだに」

「あたしだって取り柄なんか・・・」

その時、例によって風が吹いて美由紀の下着がパンチラされるのだった。

たちまち勃起する嘉郎だった。

そこで・・・店内にいた英雄たちの会話が耳に入る。

「俺・・・左手で触ると・・・その品物の持ち主の過去が頭に浮かんでくるんだ」

(サイコメトラーだ)

興奮する嘉郎。

そこに浅見さんが女友達のユウコ(伊藤沙莉)やレナ(村田唯)とやってくる。

「そうだ・・・合コンしましょう」

思わず提案する嘉郎・・・みんな暇だったのでボーリングをすることになる。

念力でいいところを見せようとするテルさんはガーターなのにストライクを連発する。

嘉郎は心を読んでいることを浅見さんに気付かれないように会話を避ける。

浅見さんがボールを拭う姿を「娼婦が少年を弄ぶようだに」と讃えるテルさんだった。

美由紀はそんな浅見さんの心を読むのだった。

≪ああ・・・こんな田舎の合コン・・・レベルが低すぎて話にならんわ≫

浅見さんのドス黒さに目を見張る美由紀。表層意識を誘導するために訊いてみる。

「あのさ・・・あんた処女なの」

≪なんだ・・・このヤンキー女≫

「よく・・・わからないけど・・・」

「セックスしてるのかってことだに」

≪少なくともあんたよりいいセックスしてるわよ≫

「あいつら・・・あんたのことを処女だって思っているんだ・・・だからあいつらの前では処女のふりしてやってくれないか・・・」

≪いわれなくたって・・・私は今でも処女ぶってるけど≫

「・・・あんた・・・ある意味、おもしろい女だに」

なぜか・・・浅見さんに好意を感じる美由紀だった。美由紀の心の広さは海の如しである。

そんな・・・女たちのやりとりも知らず・・・英雄を勧誘しようとする嘉郎。

「素晴らしい力で世界を救うのに協力してほしいだに・・・サイコメトラーがいれば犯罪事件をすぐに解決できるだがや」

「そんなことに興味はない」

つれない・・・英雄だった。

「知りたくもない事・・・知ってどうする」

「その気持ち・・・分る」

英雄に共感する美由紀。しかし、あきらめきれない嘉郎は英雄の家を訪ね・・・英雄のトラウマの原因となっている男と出会うのだった。

英雄と男は険悪だった。

嘉郎は男に事情を聴く。

「英雄君は・・・英雄君の母親と私の関係を誤解してるんです・・・英雄君は・・・彼の父親が死んだ後・・・母親が彼のためにだけ生きていたことを知らないんだ」

嘉郎と美由紀にとっては・・・男の言葉に嘘がないのは明白な事実なのだった。

「何か・・・お母さんの遺品はありませんか・・・それがあれば・・・きっと・・・お母さんの気持ちが伝わると思うんです」

男は怪訝に思ったが・・・店に残っていた母親のグローブを取りだすのだった。

しかし・・・英雄は汚らわしいものとしてそれに触れようとはしない。

「全員集合だ」

こうして・・・店にエスパーたちが集う。

「男の仲間なんか・・・欲しくないが・・・あの男は・・・母親の愛を冒涜しとる・・・それは認められんだに」

その時、行きずりのパンチラが発生する。

全員勃起する男たち。顔をそむける紅一点の美由紀。

「勃起を否定せんで・・・」

「そうだで・・・みんな勃起と母ちゃんから生まれて来たんだに・・・」

「はいはい・・・」

適当に合わせる優しい美由紀だった。

美由紀、天使だよ美由紀である。

小悪魔・浅見さんとの両輪が世界を回していくのだな。

矢部くんの透視で・・・英雄が自宅でオナニー中であることを確認したエスパーたち。

裏窓の鍵をテルさんのサスコキネシスで解錠するために・・・嘉郎がエロい妄想を炸裂させる。

「この部屋に昔住んでた女子大生はあそこを鍵におしつけてオナニーばかりして大学を辞めたんだに・・・」

「おおお・・・」

しかし、騒ぎに気がついた英雄が鍵を抑える。すかさず、全裸テレポートで英雄の背後にジャンプする榎本先輩。

顔をそむけつつ・・・「最初からそれでよかったで」とツッコム美由紀。

恐怖に襲われた英雄は夜の街を逃走する。

しかし、行く手を阻むエスパー軍団である。

テルさんは新必殺技・TENGA連射砲を放つのだった。

ついに疲れ果てた英雄は倒れる。

「あんたの気持・・・分かる・・・けど・・・力を抜いて」

優しく囁きかける美由紀に・・・ふと心を許す英雄だった。

その手に母親のグローブを触れさせる美由紀。

「まるで狼に避妊具をかぶせる娼婦のようだに」と美由紀を賛美するテルさんだった。

霊的な電撃が走り・・・強力な残留思念により過去世界に連結された英雄。

美由紀と嘉郎は英雄の心を通じて母親の霊が降臨したことを悟るのだった。

幼い英雄とキャッチボールをする亡き母親。

しかし・・・母親の悲しさで練習相手としては不足である。

そこで・・・男とキャッチボールの特訓をする母親。

「ねえ・・・【キャッチボール】しよう」

英雄は自分の誤解を悟るのだった。

誤解した英雄は母親を拒絶した。

「ねえ、キャッチボールしよう・・・」

「嫌だ」

「私・・・上手になったんだよ」

残念そうな母親。

「ごめん・・・母ちゃん・・・ごめん」

幻の河川敷で・・・母の投げるボールをキャッチする英雄。

そのボールを母に投げ返すと母は大リーガー野茂のトルネード投法までマスターしていたのだった。

「母ちゃん・・・」

「英雄・・・バイバイ」

英雄の負の感情複合体は反転し・・・母親の愛で満たされる。

そして、母は時空連続体の彼方に溶けて逝ったのだった。

新たなる同志を迎えてエスパーたちの心にまた・・・新たなる絆が生まれたのである。

その頃・・・教授(安田顕)は助手(神楽坂恵)の胸を背後から激しく揉みしだいていた。

「事態は急速に動いている・・・」

そこへ、娘の浅見さんがやってくる。

「お父さん・・・私、もうこんな田舎の生活・・・耐えられない」

父は・・・何を考えてか・・・助手の胸に手を置いたまま・・・無言だった。

もはや、笑いあり、涙ありで・・・名作の香り高くなってきたのである。

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2013年5月10日 (金)

エレメント(二機編隊)になった彼(綾野剛)と私(新垣結衣)

航空機の戦闘単位は単機の次がエレメント(二機編隊)である。

一機がエレメントのリーダー(指揮機)となり、基本的には先行、一機がウイングマン(僚機)として後方支援の位置につく。

二個エレメントでフライト(小隊)を構成する。つまり、一個小隊は四機編成となる。

フライトが三~四個小隊が集まってスコードロン(飛行中隊)となり、12~16機編成。

スコードロンが二個中隊で航空群となる。

この場合、戦闘機なら戦闘機、爆撃なら爆撃で種類別に編成される。

戦闘機中隊や爆撃機中隊、偵察飛行隊、警戒飛行隊、対潜飛行隊など複数の飛行隊が集まって基地ごとに航空団が編成される。

エレメントリーダーは基本的に敵との遭遇にさらされるが、敵が後方に出現すればウイングマンの危機は高まる。戦術的に単機よりも編隊の方が有利であり、生存率は高まる。エレメントのパイロットはお互いの命を預け合っていることになる。

で、『日曜劇場 空飛ぶ広報室・第4回』(TBSテレビ20130505PM9~)原作・有川浩、脚本・野木亜紀子、演出・山室大輔を見た。女性/男性の特質の定義は難しい。生殖に関して言えば生殖に要する時間が女性の方が圧倒的に長いことは明白なのだが、それ以外の性差は統計論的な記述の域を出ない。たとえば、今回、鷺坂正司 1等空佐(柴田恭兵)は柚木典子3等空佐(水野美紀)の資料整理の仕事ぶりについて「女性らしく細やかだ」と表現する。また柚木3佐は「男性らしく振る舞うためにがさつな言動をする」わけだが、女性が細やかで男性ががさつなんていうことは絶対に認められないと考える。

基本的にキッドは女性はがさつで男性はこまやかだと思うからである。・・・そっちかよっ。

もちろん、ドラマとしてそういう「表現」をすることは問題ないが、脚本家の課題として表面上はそう言いながら、逆のこと語るという手法も研究してもらいたい。

演出上でもたとえば、柚木3佐を演じる水野美紀はアクション女優指向があるから、一般の女性よりもトレーニングに対する意識はある。しかし、ブランクがありながら、男子学生相手に圧倒するほどの剣道の達人である以上、屋上の腕立て伏せは柚木がもっと超人的な体力を持っている如く見えるように明示しなければならない。アングルや編集によってスピード感や筋力の強さはいくらでも演出できる。

脚本の深みや演出のリアリズムはより面白くしようと全力を尽くしているか・・・という姿勢が常に問われるのである。

「自衛官の恋愛事情」に焦点をあてた帝都テレビの情報番組「帝都イブニング」のディレクター・稲葉リカ(新垣結衣)の企画は好評を得た。そこでリカは女性自衛官に焦点をあてた企画を立案し、柚木3佐に協力を求める。しかし、柚木は「私に女性らしさを求めても無駄だ」と素っ気ない。

そこへ「帝都イブニング」のAD・佐藤珠輝(大川藍)から着信があり、成り行きで「帝都テレビ」女性陣と防衛省航空幕僚監部総務部広報室の男性陣による合コンがセッティングされる運びとなる。

その席で珠輝はスカイこと空井大祐2等空尉(綾野剛)に激しくアタックする。リカはその様子を「私の子犬は人気があるなあ」という気持ちで眺めるのだった。

失恋続きの片山1等空尉(要潤)はまるでこの時代の人間ではないような空虚さで女性陣にドン引きされるのだった。浮いてる男を演じてさらに浮いた感じがするってどんだけ場になじまないんだよ。

スカイは「タレントに戦闘機の飛行体験をさせる企画」をバラエティー番組に売り込むが、お笑い芸人が「罰ゲーム」として乗り込むという設定が鷺坂正司 1等空佐の意に添わなかったらしい。自衛隊のお固い方針もそうだが、ドラマ班側のバラエティー・ショーのエンターティメントを見下した感がありありで爆笑である。「罰ゲーム」でも航空自衛隊の崇高な使命と力量を親近感をもって表現することは充分に可能であり、企画不成立の理由としてはまったく成立していない。

一方で報道部でノロ・ウイルス患者が多数発生、なんだ、みんなで生カキでも食ったのか。

チーフディレクターの阿久津(生瀬勝久)から古巣へのヘルプを命じられるリカ。

古巣の報道局には外部からヘッド・ハンティングされた変な上司が配属されていて、妙な男尊女卑指向を展開している。

「女に厳しく、男に優しい」というその姿勢は・・・同性愛者か、よほど女に痛い目にあった人間特有のもので・・・そんな人間に報道部の記者は務まらないと思うが・・・そこはドラマである。

まあ、オウム真理教事件で殺人に加担したTBSテレビの考える報道部なので少し、自虐的なのかもしれない。

かってのライバル香塚ともみ(三倉茉奈)がトイレで泣くくらいなので、女性に対する嗜虐性のある変態野郎という可能性もある新上司。

男子社員の後輩よりも原稿をはげしく「添削」されたリカは、カッとなって、次回、男子社員との原稿のすり替えを実行し、変態上司をはめて恥をかかせることに成功し、情報局に突っ返されたのだった。

キッドは構成作家時代、ディレクターに一言一句でも訂正されたら言論封殺として「じゃ、自分で書け」と帰ることにしていました。ただし、誤字脱字を指摘された時は土下座します。

というわけで・・・挫折したリカとスカイである。

スカイはちょっとリカの顔が見たくなるが、二人の障害物として設定されているらしい珠輝が、やはり同様のポジションである局アナの藤枝敏生(桐山漣)と食事中のリカを示して「二人は出来ているみたいですよ」とあることないこと喋るのである。

通俗的だが・・・まあ、いいか。

広報室にやってきて変態上司撃退の武勇談を語るリカだったが、過去に男女差別によるトラウマがあるらしい柚木は珍しく感情を爆発させる。

「お譲さんがいい気になって・・・そんなことで敵を作って相手をやりこめたら他人に迷惑がかかることもあるし・・・そういう言動がまったく通じない世界もある」

説教されて唖然としたリカに鷺坂は柚木の過去についてレクチャーするのだった。

「軍隊組織・・・いや、自衛隊ほど男所帯はそうありませんから・・・しかも、彼女は初期の女性幹部としてかなり苦労しちゃったんですよ」

「しかし、男女雇用機会均等法は・・・労働力不足解消のための国策でしょう・・・兵力不足を補うために女性の採用は欠かせないのではないですか」

「勉強しましたね・・・しかし、現場には現場の問題があります。下士官には教養のない愚鈍なものもありますしね・・・まあ、お偉い士官に対する下士官のエリートお坊ちゃま扱いはいつの時代にもあるのですが、それが女性ともなると「特別扱い」はエスカレートする。それに折り合う必要がある女性士官が融通のきかないタイプだったりすると軋轢が深まってこじれるんですよ」

「柚木さんも私と同じ、面倒くさい女だったんですか」

「自覚してるのかよっ」

そんな二人のやりとりに柚木と同じ報道班の槙博巳3等空佐(高橋努)が加わるのだった。

美女と野獣のコントのくりかえし。

「けつがかゆいんだよっ」

「けつって言わないでください」

「はいはい、風紀委員殿」

階級は同じだが、槙は防衛大学で柚木の後輩だった。

「昔は・・・すごく素敵な人だったんです」

ポメラニアン風の民間人と交際しているフリをしているが・・・槙はずっと柚木に片思いをしているのだった。しかし、とてもじゃないが告白はできないという女々しい性格なのである。

70倍とも言われる難関を突破して防衛大学を卒業後、士官として配属された部隊で柚木は部下と衝突し、悩んだ末に円形脱毛症となったところを鷺坂が引き取ったらしい。

なにしろ・・・戦闘終結後のイラクに派遣されたり、海上給油活動をしたり、中国やロシアの偵察機に対する警戒出動をしたりと後方支援などの活動があるとはいえ、交戦したことのない軍隊・・・自衛隊である。

同じ釜の飯は食っても同じ敵弾の下ではすごさないのでまだ絆は薄いのである。

敵の捕虜を虐待して尋問するレベルになると連帯感も強すぎになってしまうわけだが・・・基本的にはセクシャル・ハラスメントの域と言える。

もちろん、部下の男性側に悪意があるとは限らず、要するに感情的なもつれなのである。

結局、柚木は「女を捨てること」によって精神の安定を保つことに成功したのだった。

リカのストレートな言動は袖木の心を揺さぶり、頭皮を抑圧するのだった。

まあ、そういう軋轢は男女を問わず、どこの世界にだってある。キッドの先輩の一人は「何も面白いこと思いつかん」と言って円形脱毛症になったし、キッドも一日に三人のディレクターに説教されて胃に穴が開いたことがあります。蕁麻疹になったり、心臓が止まったりいろいろと症状は違うようですな。

とにかく・・・ガッツある二人の女性の化学作用による変化を期待した鷺坂はスカイと槙に一計を授けるのだった。

嘘の二日酔いでダウンした二人に代わって「リカの防衛大学校見学」のガイドを命じられた柚木。

リカと柚木の珍道中が始るのだった。スカイと槙は二人を背後からそっと見守るのである。

最寄駅からバスに乗らずに防衛大学まで徒歩を強要する柚木。

「これはいじめ体験ですか」

「いじめじゃないよ。しごきだよ」

「違いがわかりません」

到着した防衛大学校でレクチャーをする柚木。

「学費も寮費も無料の上に給料も支給される・・・すべて税金なんだ。その分、朝から晩まで分刻みで実技・座学でしごかれる。運動部所属も必修なのだ」

「ひい・・・」と想像するだけでバテるリカだった。

そこへ・・・剣道場でのしごきに耐えかねてベソを書く女子大学校生に遭遇する二人。

防衛大学校1年生の岩崎千鶴(石橋菜津美)である。

声をかけようとするリカを制止する柚木。

「税金の無駄使いにならないようにやめたい奴は早めにやめた方がいい」

「そんな・・・みんなやめちゃったらどうするんですか」

「私はやめません」と割って入る泣き虫女子だった。

「じゃ、なんでメソメソしてんだよ」

「男子に体力でかなわなくてくやしいから泣いてるんじゃありません。そんなことで泣いちゃう自分がくやしいんです」

「そうか」

立ち去ろうとする柚木をリカが引きとめる。

「聞くだけ聞いて・・・それきりですか・・・なんか、言葉をかけてくださいよ・・・女の先輩として」

「言葉なんかないよ。男も女もない世界だから」

「私、女も武器にしたくないし、女を捨てたくもない。人間として普通に働きたいだけなんです」

「それは・・・人、それぞれだから・・・」

そこで・・・槙が柚木に竹刀を渡して言うのだった。

「先輩はいつも・・・訓練は昨日の自分を越えるためにある・・・って言ってましたよね。彼女に明日の自分の姿を見せてやったらどうですか」

挑発に応じる柚木だった。

剣道場で男子学生たちを次々に打ち負かす柚木・・・達人だったのである。

凄い女性の先輩の存在に勇気をもらう泣き虫女子だった。

「ご指導、ありがとうございました」と礼である。

もう、涙がとまりません。

そういう女性の職場の問題とは別に・・・もやもやしていたスカイとリカは海を眺めて気分転換をするのだった。

「これ・・・おみやげとしてどうですか・・・F-15ボールペン」

「うわっ・・・黄色いの欲しかったんだ」

「自分は・・・稲葉さんを同志だと思っています。挫折した者同士・・・エレメントを組みませんか・・・」

「エレメント?」

「ああ、航空自衛隊では二機で編隊を組むことをエレメントって言うんですよ」

「・・・」

まさか・・・プロポーズじゃないだろうなと自制するリカだった。・・・正解。

一件落着でちょっとイチャイチャする二人なのである。

しかし・・・柚木の心の傷はそんなに簡単に癒せはしないのだった。

原作はともかく・・・こういう話は脚本家の実力が問われるんだよなあ。

特に男女の差異の話は脚本家自身の観点がセリフに色濃く反映する。もう少し熟考してもらいたい気がする。

次回は千歳基地時代の部下で柚木と確執があった古賀義正空曹長(的場浩司)との再会である。航空自衛隊習志野分屯基地第1高射群第1高射隊で現在は准空尉に昇進しているらしい。

エリートの柚木と違って、下士官の古賀は尉官待遇でも三尉より下なのである。

ちなみに・・・空自なのに地上車両と思う人がいるかもしれないが、一部対空兵器(高射砲など)は空自の管轄に属する。

はたして、槙が痛々しいと考える柚木の「男性風素行装い症候群」は克服できるのか・・・どんな心の病なんだよ。

期待しつつ待機したい。

関連するキッドのブログ→第3話のレビュー

Sk003 まこちゃん大将の防衛日誌。

まこ本日は防衛大学校に行ったのでありましゅ~。しょして、食堂へのまこかま丼の大量納入契約をしたのでしゅ。おみやげにまこちゃん特製特大ボールペンをゲットしたのだじょ~

くう新米士官をたたきあげのベテラン下士官がお守する・・・その構図に柚木3佐はのれなかったんだよねえ。こういう問題は学歴社会にはつきものなんだよな、きっと。でも、勉強ができるのは優秀さの証拠。人間関係も要領だからねえ。普遍的な問題だけどここまでこじれるのは特殊なケースのような気がするよ~

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2013年5月 9日 (木)

家族ゲーム~死んでお詫び申し上げる作戦~(櫻井翔)

正体不明の登場人物のことをあれこれ考えるゲームである。

推理するというのは古典的なゲームなのだ。

もちろん、ゲームで推理力が要求されるという考え方もある。

たとえば、サッカーで言うと、一点リードしているチームがもう一点獲りに行くか(攻撃的)、一点リードを引いて守るか(守備的)・・・どちらにするかということをお互いの監督は読み合うわけである。

負けているチームの監督の立場で言えば、相手が守備的ならば、攻撃的に出ることが有利になる。同点を目指すことに集中できるわけである。しかし、相手が攻撃的だと、攻撃的に出ればもう一点失ってリードを広げられるリスクが高まる。

サッカーの場合はさらに得点差とか得失点差とか勝ち点の問題が生じる。それによって相手の監督がもう一点、獲りに来るか、その場合、最悪、引き分けでいいと考えるか、あるいは何が何でも勝ち点3を欲しがるかなどという推測が可能になる。

こうした相手との駆け引きの中で、監督は手持ちのカードから交代選手を選択するゲームを行う。

世界にはゲームが満ちており、人生はゲームという考え方もあるし、人生ゲームもある。

家族ゲームの楽しさは・・・一体、誰が何のためにどのようなゲームをしているのか・・・まったく不明なことだろう。

その中で・・・物語の主人公は宣言するのだ。

「これは家族ゲーム。・・・家族ゲームなんだよ」と・・・。

途方にくれる登場人物や一部お茶の間・・・。いいですねえ。

で、『家族ゲーム・第4回』(フジテレビ20130508PM10~)原作・本間洋平、脚本・武藤将吾、演出・佐藤祐市を見た。たとえば世界をゲームとしてとらえることができるかどうかは個人的な資質や教養にも影響される。「人生はゲームじゃない」というのはけだし名言だし、時にはゲームでも有効な戦略である。もちろん、人生がゲームでないわけはなく、本質的には間違いである。しかし、他のゲームと人生ゲームを差別化するゲームでは一種の必勝法的な効果がある。だが、たとえば受験戦争というゲームはそれだけでは勝てない。過去のゲーム結果や、選択の範囲などをゲーム的に検討する必要があるからだ。恋愛ゲームや結婚ゲームが成立する以上、家族ゲームも存在する。しかし、多くの人間が家族の一員として個性を獲得するために・・・それがゲームだとは認識しにくいだけである。

生存ゲームや、生活ゲームの中で夫婦ゲームがあり、子育てゲームがある。そして子供は人生ゲームのプレイヤーとしてある程度、ハンデをもらいながら、成長ゲームを展開していくのだ。

朝、何時に起きるかのゲームがあり、朝食は何を食べるかのゲームがある。米国は日本とのゲームで中国の軍事活動にイエローカードを出す。中国は北朝鮮に資産凍結というイエローカードを出す。米国は日本に共同会見をしないというカードを切り、韓国には共同会見をするというカードを切る。韓国は日本が国際社会に復帰しないようにあらゆる手段を尽くすし、日本は国際社会の顔色をうかがいつつ、なんとか孤立しないように努力する。円安で自動車産業は黒字となり、燃料代は高騰して国内の自動車利用者は赤字を覚悟する。時々、規制値を超える放射線量が計測されるが、できれば福島県産の食材の方が中国産より安全だと主張したいゲームがあり、そういうことは日常生活とは無関係だと無視するゲームがある。

「人生はゲームではない」と断言しても、「人生の必勝法がある」と言われると心が動く人がいれば、それはもはやゲームなのだ。

悪魔のような家庭教師・吉本荒野(櫻井翔)は虚飾に満ち、崩壊寸前のごく普通の家庭・沼田家にもぐりこみ、さまざまな暗躍を開始するのだった。

一体、彼は何がしたいのか・・・お茶の間は戸惑いつつ、いろいろ想像して楽しむゲームなのである。

クラスメートの虐待によって瀕死だった次男の沼田茂之(浦上晟周)を自爆攻撃を前提とした脅迫によって救出し、さらに「だれも参加しないお誕生日会作戦」によって犬化した茂之に対して飼い主としてのポジションを獲得した吉本は・・・夫・沼田一茂(板尾創路)の浮気相手・浅海舞香(忽那汐里)との会話を家族全員に聞かせて亀裂を深める。しかし、妻・佳代子(鈴木保奈美)は夫に絶望しながらも・・・仮面夫婦を演じ続けるのだった。

一茂は「盗聴」の仕掛け人を吉本ではないかと疑うが「盗聴テープを拾った」だとか「長男のパソコンで再生したために操作ミスで音声記録されてしまった」とか「死んで許しを乞う」などと支離滅裂なことを言って誤魔化す。

「まあ・・・元はといえば俺が悪いんだから」

「ですよね」

・・・なのである。

一方で・・・佳代子に対しては「奥さんを裏切るなんて許せなかったから・・・やりました」と犯行を一部自供する。しかし、近所の主婦に対して「一茂の浮気画像」が配信されたことについては舞香の嫌がらせではないかと誘導するのだった。

お茶の間の一部は・・・舞香は吉本の共犯者、あるいは駒であると推測するのだが、決定的な証拠は示されない。

吉本の画策に気が付き、一番、お茶の間の立場に近いのが長男の沼田慎一(神木隆之介)である。彼は素晴らしいインターネット上に「吉本荒野の被害者の会」というサイトを発見し、管理人のマキにメールを送付する。

「私も被害者です。吉本荒野の情報が知りたい」

「あなたが信頼できる人間かどうか。いくつか、質問させてください。まず、あなたのプロフィールをお知らせください」

「沼田慎一・・・高校生です・・・中学生の弟が吉本荒野の虜になってしまいました」

「あなたには信頼できる人がいますか?」

「両親も信頼できるし、学校にも信頼できる先生や、仲間がいます」

「それは嘘ですね。信頼できる人がいるのなら、このサイトに相談する必要はない。嘘をつく人は信用できません」

「失礼しました。本当は私は誰も信じることができない人間です。むしろ、周囲の人間を見下しています・・・しかし、吉本には弱みを握られているのです」

「正直に話してくれたので、同志として認めます」

こうして慎一は吉本の過去について知る糸口をつかんだ・・・と思いこんだ。

吉本の存在に危険を感じ、ストレスをため込んだ慎一は万引きを繰り返したり、セックスフレンドの最上飛鳥(北原里英)と愛のない行為をしたり、教師の自転車のタイヤをナイフで切り裂いたりして、集中力を欠き、学校の成績も下降線を描く。

かたや、一応の安全を確保した次男の茂之は吉本の指導に盲目的に従い、成績も向上し始める。

そんなある日、クラスの違う女子・真野さくら(有川結女)から手紙を手渡される。

初めてもらった女子からの手紙に有頂天になる茂之。

「クラスが違ってしまいましたが・・・元気ですか・・・新しいクラスになじめるように頑張ってください」

ラブレターとは言えないまでも好意的な文面にその気になる茂之を、吉本は適当に煽って行く。

吉本の恋の手ほどきに従い、デートのためにインラインスケートの練習を始める茂之。

ついに、真野さくらをデートに誘い、OKの返事を受け取るのだった。

真野さくらは・・・かって、茂之を裏切った園田満(松島海斗)の幼馴染でもあった。明らかに不穏な空気が漂い、「自殺のゲーム」において、「茂之のブラフ(はったり)」を読んだ山尾泰司(西本銀二郎 )はいじめを再開する。

しかし、茂之は「真野さくらとのデートの約束」だけは身体を張って守るのだった。

一方で、家庭崩壊を回避するために浮気相手の舞香との別れを選択する一茂。

「好きなのに・・・」と舞香は去り際に一茂に路上キスをするのだった。

そんなモヤモヤした気持ちを抱く一茂と佳代子に・・・茂之の恋について話す吉本。

「二人のデートをこっそりのぞいてみませんか」

「そんなこと・・・茂之が嫌がるだろう」という一茂への反発から「行ってみる」と承諾する佳代子だった。

これまでの悪意に満ちた展開から・・・恐ろしい結末を予感させる茂之とさくらのはじめてのデート。

しかし、転んだ茂之をさくらが優しく助け起こしたりしてほのぼのした初恋ムードで進行して行く。

慎一も合流して・・・デートを見守る三人。

しかし・・・スケート場を後にした中学生カップルは・・・コーヒーの美味しいラウンジに向かう。

そこは・・・若き日の一茂が佳代子にプロポーズした場所だった。

父親譲りの癖でストローでジュースを泡立てる茂之。

「つきあってください」

「いいよ・・・」

・・・とどう考えても怪しい展開なのだった。

しかし、佳代子の日記を読んでこの場所を選んだという吉本に・・・何故か、感謝する佳代子。眠っていた甘い記憶を呼び覚まされたのだった。

そして・・・雨も降っていないのに傘を持って一茂の会社で夫を待ち伏せする佳代子。

その姿に不気味なものを感じず、やはり甘酸っぱいものを感じる一茂なのである。

二人は手をつないで家路をたどるのだった。

そんな結末に疑問を感じる慎一だった。

「結局、あんたは両親を仲違させて、それから関係を修復して・・・母に恩を売るつもりなのか」

「・・・50点だな」

「・・・」

「これは・・・家族ゲームなんだよ」

その頃、近所の主婦たちには一茂と舞香のキス画像が配信されていた。

それを見せられてショックを受ける佳代子。

「一体何をした・・・」

「夫に無関心な妻じゃ・・・インパクトが小さいからね・・・愛しているからこそ・・・憎しみが生まれるのさ・・・」

「そんなことして・・・何の意味が・・・」

「だから・・・ゲームなんだよ・・・家族の危機を・・・家族が乗り越えられるかどうかのさ」

「意味ないじゃないか・・・そんなことをしなくたって家族は家族じゃないか」

「そんなことはないのさ。過去をはっきりと認識してこそ現在が確実なものになるんだ・・・たとえば歴史教育だ・・・最も大切なのは現代に続く歴史認識なのに・・・日本の教育は肝心なことを教えていない。日本人がなぜ、世界に対して奴隷のように卑屈なのか、その要因である敗戦と占領、その要因である開戦と敗因、その要因である世界の状況と帝国の選択・・・英霊たちの宗教的な慰霊にもクレームをつけられる世界のゲームを理解するためには・・・家族ゲームが必要なんだよ」

「か、関係ないだろう」

「関係なくないんだよ・・・無知が無理解を生み、無理解はいわれなき悪意を生むんだ・・・なぜ一国の首相が暗殺されたのか・・・その暗殺者の心情について理解し・・・馬鹿な韓国人や馬鹿な中国人や馬鹿な米国人の言うことにも一理あることを馬鹿な日本人は学ばないと・・・またゲームに負けることになるのさ」

興奮した吉本が過去の記憶に襲われるのをお茶の間は垣間見る。

教師の姿の吉本は・・・とある生徒に何か後ろめたい過去を持っているらしい。

しかし、吉本は即座に立ち直る。唖然とする慎一。

「何を言っているのか・・・わからない」

「わかろうとわかるまいと・・・もうゲームは始っているのさ・・・泣きごとを言っても無駄なんだよ」

吉本は・・・慎一のパソコンを破壊し・・・慎一の携帯を取り上げる。

「余計な詮索はやめろと言ったじゃないか・・・変なサイトにアクセスしちゃ駄目だよ」

しかし・・・慎一はすでに新しい携帯を用意していた。

「あなたに言われた通りにして正解でした・・・吉本はサイトのことを知ってました」

初めて、吉本に一矢報いたと確信する慎一。

同志であるマキと初めての顔合わせの現場に向かう。

「はじめまして・・・」

慎一以外の家族はそれが誰かを知っている。

しかし・・・慎一は知らないのである。

マキは・・・舞香だった。

果たして・・・舞香は・・・敵なのか・・・味方なのか・・・一体、誰の。

ゲームはさらに難解になっていくのだった。

わかんね

おまいらが敵か味方か

わかんね

ウヨかサヨかも

わかんね

○か×かも

わかんね

おまいらはおまいらをアホの子って言う

死ねって言うけど殺すほどでもないって言う

それでもおまいらはロムる

それからおまいらはアクセスする

おまいらとおまいらは

重なって融合して

同じリズムのダンスを踊る

関連するキッドのブログ→第3話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の家族ゲーム

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2013年5月 8日 (水)

親父にも殴られたことがない人たちが親になる矛盾に寄り添うのです(香取慎吾)

幼少時に食事中に笑ったり、無断で買い食いしたり、ごめんなさいと言うべきところをすみませんと言ったりする度に父親によって窓から路上に放り出されていた人間にとって体罰とは何かということが根本的には不明である。

まして、体罰が原則的に禁止されて教育なんか成立するのか・・・と疑問に思うばかりである。

「息子がひどい不始末を犯して、担任の先生にお手打ちになりませんように」と毎朝、息子の顔もこれで見おさめかもしれないと母親が送り出すくらいで丁度いいのではないかと考える。どう考えてんだよっ。いつ、学校の先生は名字帯刀を許されたんだよ。

まあ、妄想はさておき、体罰を禁止しても世界は平和にはならないし、体罰を禁止しなくてもテロリストは育つと考える。

しかし、世の中と折り合うために教師は体罰を控えるべきだし、教育的指導の遂行と折り合うために鉄拳制裁の準備は整えておくべきだろう。

口で言ってわからない奴には拳で対話するしかないからだ。

「中国は少し、大人しくしていなさい」「米国は余計な口出しするな」と体罰の表面化の瀬戸際でせめぎ合うことが世界標準というものなのだ。

世界の素晴らしい教師たちがいろいろな生徒に感謝されますように。

で、『幽かな彼女・第5回』(フジテレビ20130507PM10~)脚本・古家和尚、演出・星野和成を見た。今回は完全なミステリ仕立てである。冒頭に事件が起き、その詳細は伏せられて、一体何が起きたのか・・・お茶の間はいろいろと妄想を膨らませることができるのだ。もちろん、一話完結式に了解できる範囲で結末は用意されているが、これまでの四回で描かれた人物の肖像やエピソードなども重要なヒントになっていて奥行きもある。犯人は意外な人物でミステリとしては反則だが・・・学園物のエンターティメントとしては許容範囲である。

【事件の発生】

放課後のパソコン教室。床に落ちた割れた眼鏡。顔面に傷を作った3年2組の男子生徒・藤江俊介(萩原利久)が3年3組担任の岩名清二先生(高嶋政宏)と対峙している。そこへ他の教師が通りかかり、岩名先生に体罰の疑いがかかる。体罰の有無については生徒の藤江は消極的に肯定し、岩名先生は否定する。しかし、岩名先生は藤江が負傷した経緯については口を閉ざすのである。

【事件の進展】

事件の報告を受けた藤江の父親(小木茂光)は新聞記者でもあり、子供を殴ったことさえない体罰厳禁主義者で、岩名先生を告発すると恫喝する。一方で教育委員会は事務職の轟木庸一郎(加藤虎ノ介)を派遣し、岩名先生の謹慎処分を要求し、「真実の解明」より「事態の鎮静化」を副校長の霧澤和泉(真矢みき)に要望する。これによって岩名先生は処分決定まで生徒との接触を禁じられる。

【真相解明のためのヒント】

岩名先生は生活指導には厳格だが一部の生徒には慕われている。

藤江は学力考査で第2位の成績上位者である。

学力学年トップの葉山風(柴田杏花)が図書室で何者かに見つめられている。

廊下にはナイフが落ちていた。

【捜査篇】

藤江が受け持ちの生徒だったために事件に関わる3年2組担任の神山暁(香取慎吾)先生。そして、やる気のない副担任の河合千穂(前田敦子)先生も巻き込まれてしまうのだった。

「岩名先生はかねてから藤江に好意を寄せており、ついに発情して行為に及ぼうとして言うことを聞かない藤江を殴打、藤江は殴打されたことは告白したがそれ以上のことは羞恥心のために言えないでいるのでは・・・」などと妄想しない霊感教師・神山先生は早速、事件のことを同棲中の生前は教師だったらしい地縛霊・アカネ(杏)に報告しようとする。

しかし、ある事情で悩んでいるアカネは「幽霊が電話をかけるコント」で神山先生をはぐらかすのだった。

「霊感生徒の森野小夜(森迫永依)ちゃんに電話のかけ方を教えてもらったんです」

アカネが部屋の電話に首をつっこむと、神山先生の携帯に「相手番号・4444444444から着信があるのだった。仕方なく神山が応答すると・・・。

「う・・・うううううう・・・うう」

と地獄の底からの呪われた呻き声が・・・。

要領を得ない神山先生は森野に相談する。事情を聴くために神山の部屋を訪れた森野を目撃した森野のストーカーである根津亮介(森本慎太郎)は無駄な嫉妬に悶え苦しむのだった。

「先生と不適切な関係はやめるべきだ・・・変に思われるぞ・・・」

「私は別に誰にどう思われようが平気よ」

「ちぇっ」

森野はアカネの心情を察するが当事者同志が解決するべき問題として無用なアドバイスはしないのだった。

一連のコントが終了している間、陰湿な教育委員会の下僕である轟木は「転職活動の周旋」を餌に河合先生に生徒に対するスパイ活動を依頼する。「体罰教師のレッテルを捏造するための情報収集」が目的である。こういう役をやらせたら右に出るものがいないな。圧倒的に暗鬱な存在感である。二人ともな。じゃ、どっちが左なんだよ。

教室では真相解明の最終ヒントとして、藤江に声をかけられた葉山が怯えて教室を飛び出す騒ぎが発生する。

先週、神山先生の使徒になった藤田ともみは自分だけ親友の葉山が問題を抱えていることを報告。そして自分だけ親友アタックを敢行するのだった。

「あの事件があった日に現場から風ちゃんが逃げてくるのを見たよ・・・何があったのか、教えて・・・相談にのるから」

「なによ・・・あなただって・・・私を憎んでいるくせに・・・」

二人の会話を立ち聞きした神山先生はまたしても判断に困るのだった。

しかし、アカネは今度は「インターネットにアクセスしてはまったコント」ではぐらかすのだった。

「どうしたんだよ・・・」

「インターネットにアクセスしたら・・・出られなくなりました」

辛うじてディスプレーから手を伸ばすアカネ。神山先生はマウスを使用してスクロールしてアカネを絞り出すのだった。

「いい加減に悩みを打ち明けてくれ」

「実は・・・お腹に刺し傷があるんです・・・つまり・・・誰かに刺されて死んだのかと思うと・・・それほどまでに・・・憎まれていた自分が恥ずかしいのです。いっそ、死にたいくらいです」

「死んでんじゃんか・・・第一、事故とか、人違いとか・・・逆恨みかもしれないじゃないか・・・」

アカネを慰める神山先生。どうやら気分は恋人きどりのようだ。

しかし、ついに神山先生は真相に近付き、河合先生とともに登校中の葉山に事情聴取を敢行するのだった。

「君は・・・怨まれてたのか・・・それとも逆恨みだったのか」

「私は・・・あやまろうと思ったんです・・・藤江くんにひどいことを言ったから」

葉山の回想。

「必死に努力したら・・・ナンバー2の座は確保したいんでしょ・・・他にとりえがないんだから」

「俺だって・・・がんばってんだよ」

ナイフを取りだす藤江。殺意の漲る表情。恐怖する葉山。

そこへ岩名先生が通りすがる。

「何をしてるんだ・・・」

あわてて逃げだす藤江。追いかける岩名先生。

・・・・「その後のことは知りません・・・」

神山先生は諭す。

「これだけは覚えていてください・・・言葉でも暴力は振るえるのです」

神山先生は葉山と藤江の対話の場を設定した。

【解明編】

「ひどいこと言ってごめんなさい」

謝罪した葉山に藤江は俯く。

「彼女はあやまった・・・許してやってくれないか」

藤江は首を振った。

「あやまるのは僕の方だ。僕は彼女を刺して殺そうとしたんだから。でも、岩名先生に見つかって、逃げて、転んだ。そして眼鏡は壊れ、顔面を打った。僕は弁解して、親にだけは言わないでくれって頼んだんだ・・・親は絶対に僕を許さないから」

「なぜ・・・そう思うんだい」

「うちの親は・・・話の通じない馬鹿だからさ」

呼び出された父親はうろたえた。

「あんたもあんただ・・・なんでもっと早く真相を話さないんだ」

「私は生徒を信じてましたから」

崖っぷちにたたされた父親は息子に怒りをぶつける。

「お前が・・・俺の言う通りにトップになって・・・こんなことさえしなければ・・・俺が恥をかくこともなかっ・・・」

そこで岩名先生の堪忍袋の緒が切れるのだった。

冥王星軌道周辺まで殴れ飛ばされる藤江の父親。

「なんで・・・そんな風に怒りを子供にぶつけるんだ・・・叱って、反省させて、許してあげるのと怒るのとはまったく違うことだということも知らないで新聞記者をしてるのか」

「すいませんでした~」

子供の前で威厳を失った父親の今後が心配されるのだった。もう、崖から身を投げるしかない状況だよな。

教育委員会の回しものである轟木は捨てゼリフを残す。

「しかし、岩名先生は問題教師ですな」

「穏便にすますのがそちらの方針ではなかったでしたか」と応じる弁護士資格を持つ副校長。

轟木は河合先生に目を向ける。

「報告書はどうなったかな」

「陰謀の証拠はシュレッダー行きと決まってますよね」

不敵に微笑む河合先生だった。

轟木は悪魔の尻尾を巻いて退散するのだった。

こうして・・・学園は何事もなかったように静けさを取り戻したのだった。

【エピローグ】

アカネの死の真相を探る決心をした神山先生は・・・学校の古い職員名簿に「茜」の名前を発見する。

人はみな、今日も傷付きやすい心を抱え、傷だらけになりつつも、なんとかかんとか生きて行く。それでいいと思う。

それでもどうにかなってやがて終るのが人生というものだから。

楽しまなきゃ損なのだ。

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2013年5月 7日 (火)

スポーツマン・ガリレオ~野球篇~曲解された私(中田有紀)

さて、ゴールデン・ウイークも終了である。

最後の日には都内では積乱雲が発達して、昼間から雷鳴が轟いていた。

見上げた雲から紫電が迸るのも見えた。

気分が浮き立ってくるのである。痺れるのだな。恐怖なのである。

どっちなんだよ・・・多重人格なので気にしないでください。

そういう気持ちと野球少年の気持ちは似ていると思う。

もちろん、サッカー少年やバスケットボール少年や、なんでもガンダムでたとえる少年にも似ている。

しかし、かって国民的スポーツといえば、相撲か野球という時代があり、それは見て楽しむスポーツとやって楽しむスポーツが一体となって巨人・大鵬・卵焼きの時代を形成したのである。

だから、雷光を見て楽しむ気持ちと野球少年の気持ちが相似しているというたとえは有効だと考える。

それは・・・どうかな。

国技というジャンルがあるのだから・・・家技というのがあってもいいだろう。なんとなく、一族が愛好するスポーツと言っても良い。そういう意味では我が家の国技は卓球であった。何人か国体選手も出している。しかし、キッドはあのピンポンが球からして苦手である。そして何とも言えない競技フィールドの狭さも嫌だ。卓球と聞いただけでなんだか体がムズムズと痒くなってくる。しかし、卓球の愛ちゃんは好きだ・・・だからなんなんだよ。

それに対して・・・野球はボールからして好きである。野球場も広々していて素晴らしい。キッドは野球場で迷子になったことがあるが・・・あのたとえようもない不安感。それだけでも野球は魅力的だと思う。

まあ・・・とにかく、野球の魅力を伝えるのに説明の必要な時代になったことは間違いないと考える。

説明は成功してないと思うぞ。

プロ野球選手の妻といえば女子アナが定番だが・・・「サラリーマンNEO」の慇懃無礼なサービス・カウンター嬢でおなじみ、「おはよん」のフリー・アナウンサー中田有紀様登場である。もう少し、冷たい視線をいただきたいところだったな。

で、『ガリレオ(第2シーズン)・第4回』(フジテレビ20130506PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、演出・西坂瑞城を見た。野球の投手が投げる球種には直球と変化球がある。直球が正しいボールなら変化球は邪なボールである。性格にたとえるなら曲がってるわけだし、気分なら落ち込んだりするわけである。しかし、打者にとっては変化球があることによって直球も魔球となっていく。つまり、選択肢が広がることによって予想がしにくくなるのである。・・・説明すればするほど難解になっていく話はもういいんじゃないか・・・。

とにかく・・・今回の話はスライダーなのである。

街を走行する車の群れ。そのうちの一台の車が電波を受信してメッセージを受け取る。運転手は「忘れ物がないか、もう一度確認して」とラジオ番組のパーソナリティーに言われて・・・なんとなく忘れ物をしたような気になっていく。しかし、それは本題ではないのだった。

ホテルの地下駐車場に車を停車させた運転手は突然、火災警報がなり、消火用スプリンクラーが散布する泡消火薬剤に視界を奪われる。しかし、彼は重要な人物ではない。

ホテルのラウンジで火災警報に驚き、席を立った一人の女性が今回の被害者だった。

しかし、ホテルの火災は警報機の誤作動で・・・実際には発生していなかった。

火災は・・・その女性が帰宅後に・・・起こった。一人暮らしの柳沢妙子(中田有紀)がソファでうたた寝をしている間に物置のストーブから出火。発生した一酸化炭素により・・・妙子は死亡したのであった。

別居中の妙子の夫・柳沢忠正(田辺誠一)から事情聴取をしたオカルトちゃんこと岸谷美砂警部補(吉高由里子)はアリバイを証明する人物の名を聴いて驚くのだった。

ガリレオこと湯川学帝都大学理工学部物理学科准教授(福山雅治)だったのである。

柳沢は戦力外通告をされたプロ野球選手で、トレーニング・パートナーの宗田祐輔(古田敦也)とともに・・・復活を目指してガリレオによる「科学的な投球フォームの解析に基づく指導」を受けていたのだ。

オカルトちゃんにはまったくピンとこないことだったが、部下・・・もうそう言っていいよな。要するに研修中のキャリア警部補であるオカルトちゃんは「ケイゾク」の柴田純と同じくすぐに警部になってさらにどこぞの署長になる身分なのである。そう描かないのは類似品になるのを避けるためなのだ・・・であり、エリート警部補のお守役である太田川稔刑事(澤部佑)は野球少年だったために・・・柳沢がかってはスター・プレイヤーであり、今は引退の瀬戸際にあることを察するのだった。

「どうして・・・別居してたんですか・・・」

「妻が・・・浮気したからだ・・・」

オカルトちゃんは・・・三角関係のもつれから何者かが放火殺人を行った可能性を視野に入れて捜査を開始する。

問題は誰が物置のストーブに点火したのか・・・だった。しかし、屋内には侵入者の存在を示す証拠はなかったのである。

アリバイの裏付けをとるためにオカルトちゃんは・・・今回、オカルト要素はないじゃないか・・・いや、幽霊による放火の線があるだろう・・・ガリレオの研究室を訪ねる。

自分の研究対象である柳沢が関わった事件であるために・・・ガリレオはいつになく積極的に真相解明に乗り出すのである。

問題のストーブを点検したガリレオは電子着火装置に注目する。

そして・・・火災現場に赴くのである。

そこで・・・付近の自動ドアが誰もいないのに開閉している現象に注目する。

ここで・・・本来なら受信機による測定がおこなわれる手順となるが・・・そこは省略して・・・早速、実証実験を行うガリレオだった。

違法な出力の電波による着火装置の起動実験だった。

「火災現場と幽霊自動ドアは同じ幹線道路の周辺に位置している。幹線道路を定期的に利用する車のドライバーが不法無線局あるいは違法無線局を運用し、通信距離を向上させるため、大出力の送信機用増幅器を使用した可能性がある」

「つまり、トラック野郎の違法電波が火災の原因ということですか」

「そうだ・・・彼らの違法行為が・・・彼女を死にいたらしめたのだ」

もちろん・・・犯人の特定は困難だ。しかし、すべての運送用車両の走行ルートを確認し、違法な装置を摘発できれば・・・過失致死罪は無理でもなんらかの罪には問えるかもしれない。

いずれにせよ・・・火災の原因が解明できればガリレオは満足なのであった。

ここまではストレートなのだが・・・ここから話は横道に曲がって行くのである。

ガリレオの解析の結果、投球フォームの欠陥が分かり、修正をほどこした柳沢が・・・精神的な不調に陥ってしまったのだった。

妻の浮気が原因で別居し、そのために妻は火災に遭遇して死亡した・・・それなのに浮気相手はぬくぬくと生きている・・・それが許せない柳沢なのである。

仕方なく、ガリレオは柳沢の妻の浮気の実態を追及することなり、いつもの捜査協力の返礼としてオカルトちゃんにお手伝いを強制するのだった。っていうか、もう飼育過程の段階なのか。

キャリア警察官僚の上司である草薙俊平(北村一輝)からガリレオ係として指名されているオカルトちゃんは従う他はないのだった。

ガリレオは柳沢の妻の愛車のボディが腐食していることに気がつく。

そして・・・周辺での化学薬品に関連した事故の有無を確認するのだった。

それは・・・あのホテルでの事件一件だった。駐車場に置かれていた車は消火薬剤を浴びて腐食されるに至ったのである。

やがて・・・ホテルのラウンジで柳沢の妻が会っていた人物が浮上する。

「結局、あいつは美人で高慢ちきな女でしたよ・・・全盛期の俺と結婚することをステータスと考えていたんだ・・・落ち目になった俺を見捨てて・・・浮気するなんて・・・最低でしょ・・・しかも高級な置時計なんか貢いで・・・しかも、それを突っ返されてたなんて」

「落ち目になった人間は物事を悪く考える・・・それこそが最低だと思う」

「なんだって・・・」

「あなたの奥さんが・・・コンタクトを取っていたのは台湾のプロ野球関係者ですよ」

「え・・・」

「彼女はあなたのために・・・台湾でのプロ野球選手としての再起というルートを作っていたのです・・・その日は・・・その交渉相手の誕生日だった。彼女は置き時計を贈り物として用意した。台湾では置時計を送るのは『送鐘』と言って人の最後を看取る『送終』と発音が同じになるためにタブーだということを知らなかったのです。彼女が贈り物を渡せなかったのはそのためです・・・」

説明しよう。プロ野球のストレートとは。日本のプロ野球↗大リーグのベースボールである。(例)松井秀喜。これに対してスライダーは。日本のプロ野球↗大リーグのベースボール↘日本のプロ野球である。(例)松井稼頭央。これに対して。日本のプロ野球↘野球賭博と八百長問題で揺れ続ける中華職業棒球大聯盟(台湾)。(例)中込伸。これはかなり凄いフォークボールと言えるのではないか。何の説明してんだよ。

「・・・そんな」

「あなたは・・・彼女を曲解してしまった・・・彼女は最後まであなたを愛していたのです」

「彼女は一言も・・・」

「精神的に追い込まれたあなたを・・・ぬかよろこびさせたくなかったのでは・・・確実な話になるまで伏せておきたかった・・・まあ、これはあくまで・・・可能性の一つですが・・・そういう女性だったかどうかは夫のあなたがご存じではないのかな」

「・・・」

「奥さまの愛は直球勝負、あなたはそれを曲球(くせだま)と読んで空振り三振したのです」

妻の愛を知り、その妻を失ったことを知り、号泣する柳沢だった。

柳沢はスワローズの入団テストを受けた。彼は青空を見上げ、妻が見守っていることを信じる。

そして、全盛期を思わせるスライダーを投げ込むのだった。

オカルトちゃんと一緒に成果を見届けるガリレオ。

「あれって・・・すごいんですか」

「実験は成功した」

キャッチャーミットに吸い込まれる白球。

まるで女を抱いてるみたい

匂いとぎれて 人群れに

紛れ溶けてもまだ分からない

いつか忘れてしまうこと

(「I can`t judge myself」)

・・・ガリレオは女性には優しい。

死者といえども知的な女王様の名誉を守るためには騎士道精神を発揮する。

前シリーズのお約束にもあったスポーツに親しむモードのガリレオも復活し、ヒロインも従者となってガリレオ・シリーズらしくなってきたが、ストーリーは「きらきらひかる」みたいだった。

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天使による流体力学などの数式的アプローチ→テンメイ様のガリレオ2

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2013年5月 6日 (月)

都をば霞とともにたちしかど秋風ぞ吹く白河の関でごぜえやす(綾瀬はるか)

八重が引用したのは平安時代中期の僧侶・能因(橘永愷)の和歌である。

都をば霞とともにたちしかど秋風ぞふく白河の関

(霞が立つ春の都を旅立ったのに白河の関に着いたら秋風が吹いていたよ)

つまり、遠いので半年も旅をしたという感慨を歌ったわけである。

基本的には交換日記で松田聖子の歌詞を引用する朝ドラマのヒロインの母と同じ感性なのである。

しかし、うろ覚えなので後半しか出てこないのが乙なのである。

千年に近い時を経て白河の関と京都との距離は縮まったが、江戸と京が半月の旅程であり、当然、みちのくはさらに遠い。

しかし、それから百年を待たずに旅は一日で終るものになる。

長州征討が失敗しても・・・会津が攻められる予測を立てたものは多くはなかっただろう。しかし、史実を知るものは朝廷が権力を握れば陸奥を征伐せずにはいられないのだと予感しただろう。

心ある会津の武士たちは来るべき攻防戦に備えて戦争準備を開始したことは言うまでもない。

しかし、会津が戦場になるにはまだ長い距離の壁があるとも考えたはずである。

だが・・・近代戦の速度や・・・幕府崩壊のインパクトは津波のように急速に迫ってくるのだった。

で、『八重の桜・第18回』(NHK総合20130505PM8~)作・山本むつみ、演出・一木正恵を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに登場、第15代将軍、逃げ足だけは誰よりも速かった徳川慶喜とヨーロッパ帰りの会津藩家老・山川大蔵重栄の二大イラスト描き下ろし展開でお得でございます。開戦前に一呼吸でなかなかにじらしますな。将軍と守護職・幕府側の二枚看板が揃って一安心でございました。大蔵はなんか成長した感じが伝わってきますねえ。まさに役者がそろってきた感じがいたしましたな。しかし、あくまでマイペースでお願いします。

Yaeden018 慶応三年(1867年)の夏、江戸から四国までの広範な地域でお陰参りを模したええじゃないか踊りが流行した。開港による諸物価の上昇や黒船来航以来の攘夷騒ぎ、さらに都や長州における合戦、一揆や打ちこわしの騒乱が発生し、社会不安は高まり、庶民はその抑圧に耐えかねて踊り狂ったのである。六月、薩摩の西郷吉之助は長州の山縣有朋と意見を交換し、武力討幕の意向を示した。さらに西郷は土佐の後藤象二郎と薩土同盟に従っての出兵を要請する。しかし、土佐藩主・山内容堂は武力討伐には二の足を踏み、方策を探るうちに坂本龍馬による大政奉還論に希望を見出す。言わば尊皇的佐幕派という微妙な立場に到達してしまったのである。交渉を重ねた薩摩は土佐の消極的態度に嫌気がさし、九月に薩土同盟を解消する。同時に薩摩藩主・久光の三男・珍彦が兵一千名を率いて大坂に布陣。挙兵準備を整えた薩摩に対し、後藤象二朗が徳川慶喜に対する「大政奉還建白書」を提出するまで挙兵延期を求める。薩摩はこれに応じながら、倒幕についての朝廷工作を勧めるのだった。戦争による敗北を極度に恐れる徳川慶喜は薩摩の圧力を感じ十月に大政奉還の意向を固める。薩摩・長州による武力討幕の密勅工作と幕府による大政奉還の上奏は先を争うように繰り広げられる。慶喜は大政奉還によって一息つけば徳川家を中心とした新政権の樹立は充分に可能だと読んだのである。しかし、そのような希望的観測は圧倒的な武力の前には成立しないのが普通なのだ。運命の十月十四日は目前に迫っていた。

京で会津忍びが殲滅されたように、江戸でも公儀隠密は薩摩忍びとの戦いに敗れつつあった。何よりも本来は味方である大奥くのいちが裏で敵対していることが響いていた。大奥を支配しているのは薩摩出身の篤姫であり、これに前将軍の紀州しのび、皇女和宮のおつきしのびが追従している。公儀隠密組織は至るところで寸断され、諜報組織としての力を失いつつあった。

当代服部半蔵が将軍警護のために京都にいるために留守をまかされた七蔵は次々と配下を葬られ、追い詰められていた。

七蔵は村垣淡路守を名乗る旗本を表の顔とする。先祖代々のお庭番であるが陽忍であり、当代半蔵である三蔵の配下であっても・・・江戸の闇を仕切る棟梁としては貫禄が不足していた。なにしろ、万延元年の遣米使節団の副使まで務めた官吏なのである。官僚としては一線を退いたために・・・忍びとしての大役を任された男だった。

薩摩の忍びに暗躍され、各所で騒動が起こる度に配下を失い、すでに孤立無援に等しい状態に追い込まれている。

そんな七蔵の屋敷を軍艦奉行兼海軍伝習掛という役職にありながら・・・何もしていないと評判の勝海舟が訪れた。

江戸は晩秋の季節である。

勝は七蔵より一回り若い。旗本としての身分は同程度だが・・・一応は長幼の序をわきまえている。

「めっきり冷え込んでまいりましたな・・・」

「さよう・・・」訪問の意図を測りかねて七蔵の口は重い。

「本日は・・・村垣淡路守様を訪ねてきたわけではありませぬ・・・」

「なんと・・・」

「やんごとなき方から谷中の七蔵への伝言を伝えにまいったってえ次第でさ」

「・・・」

「これ以上のお働きは無用・・・今後はお指図に従えとおおせでござる」

「・・・そなた・・・」

「拙者は大奥しのびの外使いでござる・・・」

「・・・しかと承った」

「では・・・御免・・・」

大政奉還を前にして江戸幕府の公儀隠密は活動を停止したのだった。

もはや・・・幕府に属する忍びは陸奥にしか存在しない状態である。

会津では留守を預かるくのいちたちの活躍で漸く、潜入したしのびの駆除をほぼ終えていた。

山本家に八重が帰還する。

留守を守っていた夫の大砲方頭取・川崎尚之助は妻をねぎらう。

「無事でなによりじゃ・・・」

「兄上よりいただいたスペンサー銃が威力を発揮いたしてごぜえやす」

「いよいよ・・・本格的に守りの手立てを考えねばならぬ・・・しかし・・・今宵は休め・・・」

「八重は・・・お情けをいただきたく存じやす・・・」

「八重殿・・・」

次の瞬間、尚之助は八重に組敷かれていた。

鉄砲しのびとしては名人の域に達した八重だが、尚之助と夫婦となってからはくのいちとして褥の腕も磨いている。

尚之助の下半身に伸びた手指は細やかにうごめき男の快感を引き出していく。

尚之助も負けじと八重の胸に吸いつくのだった。

「・・・」

「・・・」

かくて会津の夜は更けていくのだった。

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篤姫→慶応三年の頃

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2013年5月 5日 (日)

あまちゃん、五度目の土曜日(橋本愛)

ゴールデン・ウイークも残り僅かであるが、北三陸市(フィクション)には行ってみたいと思う。

しかし、海開き前なのでなまりすぎる海女ちゃん(フィクション)には会えないのである。

行くなら、やはり、七月かなあ・・・と考えたりする。

しかし、その頃には「第2部・東京編」(フィクション)がスタートしているかもしれず・・・やはり、あまちゃん(フィクション)に会えないかもしれない。

そういう「いらない心配」(妄想)をする今日、この頃。

あまちゃんは第一部第二章とも言うべき「南部ダイバー篇」に突入したのである。

勝手にサブタイトル(妄想)つけんなよ。

本当のサブタイトルは・・・。

第1週 おら、この海が好きだ!

第2週 おら、東京さ帰りたくねぇ

第3週 おら、友だちができた!

第4週 おら、ウニが獲りてぇ

第5週 おら、先輩が好きだ!

・・・となっています。ちなみに第6週は「おらのじっちゃん、大暴れ」・・・満を持して蟹江敬三なんだな。

で、『連続テレビ小説・あまちゃん・第5週』(NHK総合20130429AM8~)脚本・宮藤官九郎、演出・梶原登城を見た。日本最北端の海女(フィクション)のいる北三陸市袖ヶ浜のシーズン最終日、ついに宿願のうに一個を獲得したアキ(能年玲奈)だった。四週間に渡ってうに一個で話をもたせるとは・・・クドカンの魔力半端なしである。頑固一徹だがおとぼけも得意の祖母・天野夏(宮本信子)、ツッパリでたぶんアイドルになりそこねた母・春子(小泉今日子)に見守られたり、翻弄されたりしながら、アキの青春がこうして幕を開けたのだった。

月曜日 海女とまめぶ汁の旅立ち(能年玲奈)

海女のシーズン・オフに突入した2008年12月。袖ヶ浜駅から、安部小百合(片桐はいり)が宇都宮での「まめぶカフェ」経営のために旅立つ。その裏には元・夫の大向大吉(杉本哲太)の邪悪な下心が仄かに感じられるのだが、それもまた隠し味であって・・・基本的には爽やかな秋の送別のホーム。夏は「我慢すんな・・・行き詰ったら帰って来い」と見送る。一同も「そうだ・・・だめだったとしても安部ちゃんのせいじゃない、まめぶ汁が悪い」「来年もまた・・・一緒に潜ろう」などと温かい言葉をかける。海女のかつ枝(木野花)に即されてアキも「いつも見守ってくれてありがとう」と感謝の気持ちを示すのだった。

「発車の時刻・・・」を副駅長・吉田正義(荒川良々)を告げるが駅長の大吉が制止する。

大吉にとっての主役の春子が寝坊して遅刻していたからである。

駆けつけた春子は24年間借りっぱなしになっていたゲーム・ソフトを返却するのだった。

「ごめんね」

「私・・・春子さんが嫌いでした。私、女子大生に憧れてたんですよね。高校卒業まで海女をやって・・・仙台か東京の大学に進学するつもりだったのに・・・春子さんが家出して・・・最年少海女として・・・24年間・・・春子さんの代わりなんてできもしないのに・・・勝手に自分で思いこんで・・・」

「安部ちゃんは私とは全然違うよ・・・私、安部ちゃんみたいに優しくないし」

「でも・・・この三ヶ月・・・春子さんといろいろ話せて楽しかった。アキちゃんも素直で可愛かったし、24年間の埋め合わせができた気がする・・・春子さん、帰ってきてくれて本当にありがとう・・・そして・・・大吉さんをよろしくお願いします」

「えーっ、なんでそうなるのよっ」

「いやいや」と思惑通りの大吉だった。そんな泥臭い恋の駆け引きも田舎ならではなのである。

故郷発の北鉄の発車のベルは鳴り、安部ちゃんは旅立った。

今、万感の思いを込めて・・・アキは叫ぶ。「あんべちゃん、あんべちゃーん」

銀河鉄道999である。

代わりに出戻りで口の悪いシングル・マザー花巻珠子(伊勢志摩)が娘の鈴(小島一華)、琴(吉村美輝)を連れて漁協の後任事務員がやって来たのだった。

海に潜れなくなった海女たちはなんとなく意気消沈である。

今野弥生(渡辺えり)や熊谷美寿々(美保純)も琥珀掘りの小田勉(塩見三省)の指導で何故かミサンガ作りの内職をする始末である。

「まったく、海女ってのは夏の間だけビャービャーやかましくて、まるで蝉みてえだな」と毒づく出戻り珠子だった。

アキも夏の干し柿作りを手伝いながら「ああ、潜りてえ」とため息をつくのだった。

しかし、観光協会では異変が起きていた。

ダイレクトで表示されるらしいアクセス・カウンターが異様なカウント数をはじき出していたのである。

ミス北鉄の足立ユイ(橋本愛)の動画再生回数をなまりすぎる海女のアキの動画再生回数が追いぬいてしまったのだ。

はじめてのウニ捕獲の「やったーっ」というアキの叫びが全国ののべ百万人以上の人々に感動を与えてしまったのである。

「これは・・・すごいことになるんじゃないか」と観光協会会長の菅原保(吹越満)は蒼ざめる。

「僕が愛するアキちゃんだもの・・・当然さ」と思うウェブ担当のヒロシ(小池徹平)だった。

しかし・・・せっかくの海女ちゃん人気も・・・シーズン・オフでは盛り上がりにかける。

さっそく、緊急招集される「K3NSP」メンバーだった。

「なんでまた・・・こんなに人気になったんだろう」という疑問に応えるのはヒビキ一郎(村杉蝉之介)だった。ヒビキ、普段は一体どこで何やってんだ。

「少女の健気な姿を愛するのは日本人の伝統なんです。おしん、ハイジ、ナウシカです。その魂にアキちゃんの頑張る姿が火をつけたのです。ウサギとカメならカメを、アリとキリギリスならアリを、ハブとマングースならマングースを応援するのが大和魂です」

「うちのアキはマングースかよっ」と春子。

「いや、そもそもハブとマングースはたとえからして間違ってる」と吉田。

「僕はハブの巻き返しに期待したい・・・」と聞く耳を持たないヒビキだった。

その頃、ハブじゃなかったユイは琥珀の洞窟で叫んでいた。

「アキちゃんに負けるなんて・・・めっちゃくやしいーーー!」

大人たちの邪な作戦会議は続く。

「しかし・・・肝心の海女がシーズン・オフじゃな」

「昔、シーズン・オフには海女はチンドン屋代わりに担ぎ出されたことがあったな」と提案する夏ばっぱ。

「コスプレかっ」

「ユイちゃんとアキちゃんで海女の格好でウニ弁売ったらどうだべ」

「夢のコラボかっ」

「それはいい」と盛り上がるメンバー。

その頃、アキもまた琥珀の洞窟にやってきた。

「海さ、もぐりてえええええ」

それぞれの思惑が交錯する秋の始りだった。

火曜日 北鉄名物のウニ丼VSリアスのウニ丼なんて認めない(小泉今日子)

名は体を表すというのはネーミングの基本である。黒川秋が天野秋を名乗ることによって、天に昇るわけだ。海女(あま)のアキになって天の羽衣(あまのはごろも)を手に入れるからである。天野の三人の女たちは夏ばっぱ、春子ママ、秋と名付けられている。春は花咲く季節、夏本番、秋は実りの季節である。春子は花咲いたが実ったのは秋だった。春子は海女にはならなかったし・・・おそらくチヤホヤされてアイドルを目指したが、なれなかったのである。その代償として秋を生んだのだ。そして・・・アキは母がならなかった海女になり・・・そして母のなれなかったアイドルにもなる。アキは春子の夢の女なのだ。そして・・・春子はそんな夢に複雑な思いを抱くのだった。

十月は黄昏の国だが・・・土曜日を前に大吉のテンションは急上昇するのだった。

「もう、ミス北鉄のユイちゃんと海女のアキちゃんの夢のコラボなんですよ」

呼び出されたアキとユイの前で怪気炎をあげる北三陸駅員一同である。

「私たち・・・まだ引受けたわけじゃありません」

とユイは口下手なアキを庇って釘をさすのだった。

「でも・・・これは海女クラブにとってもすごく宣伝になるんだ。アキちゃんを見て海女の後継者が現れるかもしれないし・・・」

と吉田はやり手の芸能プロデューサーのようにアキを攻める。

「・・・私、やります。海女の格好でウニ丼売ればいいんだっぺ」

「平気なの、写真撮られたり、握手を求められたりするんだよ」

とユイは親友としてアキを心配する。

「そこは俺たちがしっかりガードするから」

と口をそろえる駅長と副駅長。

「なんなら・・・ユイちゃんも海女のコスプレしてもいい」

と阿漕な芸能プロダクションのマネージャーのような口ぶりの大吉。

「この辺で・・・勝負に出たらどうだろう」

顔色の変るユイ。

「私・・・やります」

ユイは負けず嫌いだった。

こうして・・・嵐の土曜日がやってきたのである。ユイ&アキのウニ丼売上大作戦は強烈な成果をあげたのだった。

肝心のウニも漁協の組合長・長内六郎(でんでん)が青森県に発注し、夏ばっぱは「でかした」と褒めるのだった。

戦場のようなウニ丼生産工場で例によって寝坊した春子は朝から一人不機嫌になるのだった。

動員数三千を越えた土曜日は終り、祝賀パーティーが開催される。

「こんなことは・・・北鉄開通のあの日以来です」と駅長。

「はじめて北鉄の収支で黒字というものを経験しました」と副駅長。

「乾杯」と発声する夏ばっぱ。

人々の笑顔でうれしくなるアキ。

しかし、一人春子だけは低気圧を発生させ、負のオーラを漲らせるのだった。

もう、面白くなくて面白くなくてプンプンなのである。

そして、大吉を呼び出してお説教するのだった。

「もう、明日からはやらせません」宣言だった。

もちろん・・・建前は「娘に汚れ仕事はさせられない」という親心なのである。

しかし、その裏には「自分のものである娘を勝手に使うな」とか「あんなに娘がちやほやされてなんだかくやしい」とか「ちやほやされたあげくの自分のあれやこれや」とか様々なネガティブな感情が渦巻いているのだった。春子はある意味、慢性ノイローゼで常時ヒステリーな女なのだ。

「海では海女やってもいいけども、海女の格好でウニ弁売るのはなんかちがうのよね」

そこへ夏とアキがやってくる。

「なんも、違わねえさ。観光海女はお客さんに喜んでもらってなんぼだべ」と信念をもって正論を述べる。

逆風を感じた春子はたちまち、矛先をアキに変えるのだった。

「あんたはそれでいいの・・・海女の格好でウニ丼売るのがあんたがやりたいことなの」

「・・・」言葉に詰まるアキだった。

気まぐれでその場その場を生きる母親に翻弄され続ける娘なのである。

観光協会会長と大吉はスナック「梨明日」でへそを曲げた春子の説得に当たる。

「何も・・・いつまでも若い二人に頼るつもりはない」

「あくまできっかけなんだ・・・さびれる一方だったこの街が活気づいたら、そこから先は大人たちが頑張るつもりだ」

「ユイちゃんとアキちゃんを主人公にした手作り漫画「ウニット」を書いてくるような不気味なやつらだけど・・・逢って話してみれば外見ほど変ではなかったよ」

「意外と真面目で礼儀正しいしな」

「とにかく・・・故郷が活気づくのは・・・なんであろうとありがたいもんなんだ」

「そういうものなの」

「春ちゃんが出て行って廃れたこの街が・・・春ちゃんがアキちゃんを連れて帰ってきて息を吹き返した・・・こんなにうれしいことはない・・・春ちゃん、本当に帰ってきてくれてありがとう」

「そんな・・・やめてよ」とすでに少し機嫌の治る春子だった。

しかし、母親に挫かれて意気消沈したアキは日曜日に戦線を離脱し、ウニ丼厨房に引き籠るのだった。

そんなアキを迎えに来るユイだった。

「やっぱり・・・キツかった?・・・写真とられたりして」

「そんなことはねえけど・・・お母さんに言われて・・・やっぱり、オラは潜るの好きなだけで・・・なんのとりえもないのに・・・あんなことしてはいけないんじゃねえかと・・・」

「何にもできない女の子が海女になってウニとったんだよ。それだけでかっけえことなんだよ」

「・・・」

「そんなに潜りたいんだ・・・じゃ、明日、一年中、潜れる方法を学校で教えてあげる。だから・・・今日は二人で頑張ろう」

「本当・・・そんな方法あるの・・・じゃ、おら、頑張る」

捨てる母親あれば拾う親友ありだった。

こうして・・・ユイ&アキは日曜日も120個のウニ丼を完売するのだった。

二人の女子高生は地域に多大な貢献をするのである。

そして・・・ユイは北三陸高校の一角にアキを案内するのだった。

そこで・・・アキは窓から見える光景に心を奪われるのだった。

水曜日 南部潜りに胸キュンのアキは聴く耳もたない女です(橋本愛)

ユイが案内したのは北三陸高校(フィクション)の潜水土木科の授業用プールだった。

潜水服から泡立つ気泡にアキは一目で心を奪われてしまう。

一生懸命、説明するユイの言葉も耳に入らないほどに宇宙飛行士のような潜水士に夢中になるアキだった。

そのために鉄拳アニメが伝統の「南部潜り」について説明するのだった。

伝統技術である「南部もぐり」は実際に海洋開発課のある県立種市高校が今も後継者を育成している実在の技術なのだった。

しかし、とにかく、潜ることに飢えたアキにとって目の前に潜っている人がいることが衝撃なのだった。しかも、そこは自分が通学している学校の中なのだった。

「うちの高校は普通科と潜水土木科があるんだよ・・・知らなかった?」

「じぇじぇじぇー、知らないよ~、聞いてないよ~」と小学生化し、アホの子に拍車のかかるアキである。

ともかく・・・アキを教室内に引っ張り込むユイ。

そこには熱血指導をする北三陸高校潜水土木科の教師・磯野心平(皆川猿時)がいたのだった。

「お・・・お前はなまりすぎる海女ちゃんじゃねえか」と気がつく磯野先生。

「これは何ですか」と素朴な疑問を発するアキに「潜水土木課は潜水士の資格も獲れる水中での土木作業を学ぶところだ・・・資格をとったら就職に有利だっぺ・・・あの生徒なんか・・・東京の建設会社への就職が内定している超エリートだ」

その時、浮上してくる潜水土木科三年生の種市浩一(福士蒼汰)・・・実在の高校名からのいただきですな・・・がヘルメットを脱ぐと・・・アキの胸キュンのボルテージはレッド・ゾーンに突入するのだった。

種市先輩に一目惚れしたアキだった。

「やべえ・・・」

たまらず、アキは逃げ出そうとする。

呼びとめるユイに磯野先生がかけた言葉が・・・。

「お・・・お前はよくみたらミス北鉄でねえか」

アキに遅れをとったユイはちょっと傷付くのだった。

そんな二人に爽やかな笑顔をむける種市先輩だった。

ただちに潜水土木課の入学案内を入手し、その中に種市先輩の写真を発見したアキは海女クラブで幸福感に包まれるのだった。

「何、見てんだ」

「えっへっへ・・・」

なのである。

そのうち、うとうとしたアキの見る夢は種市先輩の水中プロポーズ、ウニを開けば婚約指輪なのだった。アホの子なりに話が早いのだった。しかし、何故かアキは途中で海女の弥生に変身してしまうのだった。指が太くて指輪がはまらない悪夢である。

夢でうなされているアキを海女たちが起こす。

「どうした・・・」

「こわい夢みた・・・」

「どんな夢・・・」

「おらが弥生さんになる夢」

「夢でよかったな」と頷く一同。しかし、釈然としない弥生だった。

アキは早速、夏ぱっぱに相談をもちかける。

「潜水土木課って知ってる?」

「南部もぐりだべ・・・昔から女は北の海女、男は南部もぐりが北三陸の花だ。お前のじいちゃんも潜水土木課の卒業生だあ」

「えー・・・そうなの」

「なんだ、おめえ、南部もぐりさ、やりたいのけ」

「うん」

「無理無理、やっとこさウニ一個獲ったくらいで、海の中で力仕事なんてできるわけないべ・・・けんど・・・じいちゃんは喜ぶかもしれんなあ」

「もう・・・どっちなの。おらに南部もぐりやらしたいのか、やらしたくないのか」

「そんだなこと、お前の母ちゃんに相談してけろ・・・」

おとぼけを決め込む夏である。

その頃、スナック「梨明日」のママ・春子の前には恩師である岩手県議会議員の足立功(平泉成)が来店していた。

「それにしても北高一のスケバンがスナックのママになるとはねえ」

「やめてくださいよお、先生」

両側には教え子である大吉と菅原が着席している。

「家出する子はたくさんいたが・・・大抵はすぐに戻ってくるか、補導されるかなんだが・・・まさか、二十四年も行方不明になるとはなあ・・・」

「捜索願は出さなかったんですか」

「すぐに出そうとしたよ・・・しかし、この子の母親がお腹がすいたら帰ってきますと断言するもんだから・・・」

「ふふふ・・・お腹がすかなかったんですよねえ」

「とにかく、たいしたもんだ・・・そこへ行くとうちの息子なんて」

話題は息子のヒロシのことに・・・。

娘の彼氏としてはお断りしたことを忘れたようにヒロシを誉める春子だった。

「ヒロシ君はいい子ですよ・・・悪い子の私が言うんだから間違いありません」

「そうだねえ・・・暗いけど・・・根は真面目だし、自分の意見もしっかり言うし」

「何より、観光課でパソコン使えるのはヒロシくんだけなんで・・・なくてはならない存在です」

親バカで顔がほころぶ足立先生だった。そこへ・・・当の本人であるヒロシがやってくる。

「俺にはちっともお前の良さがわからんが・・・教え子たちがお前はいい子だって言うんだ・・・」

「なんだよ・・・それ」

少し氷解する足立父子だった。

毎日、潜水土木課を覗きにいくアキ。ユイが声をかけても気がつかないほどの熱中ぶりである。

「やはり・・・種市先輩が一番かっけえなあ。あの赤い潜水服」

「顔なんて見えないじゃない」

「動きで判るんだ」

「お前ら何してるんだ・・・」と二人の背後に種市先輩。

赤い潜水服の中身は磯野先生だった。・・・短いコントのオチだが長いコントのフリでもある。

木曜日 夢の中ではじめての告白する女に惚れられちまった男(福士蒼汰)

アキが種市先輩に恋をしていると悟ったユイはキューピッド心に点火するのだった。

「この子・・・南部潜りに興味があるみたいなんです」

「そうなのか?」

頷くアキだった。

話を聞いた磯野先生は早速、アキに体験潜水を許可するのだった。

「いきなり、大丈夫なんですか」

心配するユイだったが、アキはあっという間に潜水服を着装してしまうのだった。

「危なくないようにロープで固定するから」

磯野先生は簡単に説明をする。

「管で空気を送り込むから、自分で排気口を回して空気を抜くんだぞ・・・わかったな」

「あ・・・あ・・・」

まったく判っていないアキであった。

「大丈夫だ・・・体験潜水は浅いところでするから」と微笑む種市先輩。

うっとりとするアキである。

「本当に大丈夫ですか」

心配でたまらないのはユイだけだった。

ヘルメットだけで20キログラム、総重量70キログラムの潜水服を着て水中に没するアキ。

ホワイトボードで「大丈夫か」と尋ねる種市先輩に指でOKサインを出すアキだった。

さし延ばされた種市先輩の手をとって水中散歩をするアキ。

天にも昇る気持ちだった。胸がときめいて。胸が苦しくて・・・。

浮上するアキ・・・。

「どうした」とあわてる磯野先生。

「大丈夫です・・・でも胸が苦しくて・・・体が浮いて」

「だから・・・空気を抜かないと・・・空気がたまって浮くよ・・・どうして抜かないの・・・ああ、びっくりした」

準備室で二人になった種市先輩とアキである。

「しかし、変わってるな、潜水に興味があるなんて」

「ばあちゃんが・・・海女クラブの会長さしてて・・・海女になりたくて・・・東京から転校してきたんです」

「そうか・・・東京から・・・それなのになんで訛ってんだ」

「海女クラブでおばちゃんと話してばっかいるから」

「袖ヶ浜は訛りきついからな」

「先輩は・・・どうして潜水士になったんですか」

「うちは南部もぐりの家系だし、親は大学行けって言うけど、勉強苦手だし、海が好きだから」

「東京で就職するって・・・」

「羽田空港の滑走路の拡張工事だ・・・技術がいくら進歩しても土台は人の手で作らねばなんねえからな・・・それが、ずぶん(自分)らの仕事だっぺ」

「かっけえ・・・」

「そうか・・・」

「先輩は自分のことずぶんっていうんですね」

「そこかよっ・・・」

アキを駅で待っていたユイは何やら不機嫌である。

「兄貴にメールで呼び出されて・・・こんなものを渡されちゃったよ」

汚物を触るようにヒロシからアキへのラブレターを持つユイだった。

「やっぱり、ダメ」とラブレターをゴミ箱に捨てるユイだった。

「どうしたの・・・」とさっぱり状況のつかめないアキだった。

「だって・・・兄貴から親友へのラブレターなんてゾッとするわ」と複雑な気分を持て余す乙女なユイである。

二人が立ち去るとしっかりと状況を把握していた吉田はゴミ箱からラブレターを回収するのだった。

「読むよね」

だが、事態を予測したユイは戻ってきてラブレターを取り戻すのだった。

「というわけで・・・中身は読めませんでした」とスナック「梨明日」で報告する吉田。

「けしからんな」と口々に言う大吉と菅原。

しかし、春子は「別にいいのに・・・」と言うのだった。

「この間は娘の相手としては金輪際認めないって・・・」

「ええ~、そんこと言ったっけ」

その場、その場の気分で生きて行く春子だった。しかし、今回はおぼろげに記憶がよみがえるのだった。

「ああ、そう言えば・・・言ったかも」

「けちょんけちょんに言ってたべ」と弥生。

「でも・・・最近、アキがちやほやされるんで、ちょっと心配になって・・・悪い虫がつくよりは逆にヒロシくんならいいかなと思って・・・いい子だし」

「いや・・・女子高生にラブレターなんてヒロシもアウトだべ」

「そういえば・・・コレ持ってきちゃった・・・」

それは菅原と春子の高校時代の交換日記だった。

一日目 菅原から春子へ

「春ちゃんへ・・・今日から交換日記を始めます。つきあってるわけでもないのにこんなの変だって思うかもしれない。けれど僕は気にしない。男女の間にだって友情は成立すると思う。なんでも好きなことを書いてね」

     春子から菅原へ

「髪を切った私に違う人みたいと・・・あなたは少し照れたよう」

(「夏の扉/松田聖子」からの引用のみである)

二日目 菅原から春子へ

「春ちゃんへ。僕も松田聖子、大好きです。でも、春ちゃんの方がかわいいと思います」

     春子から菅原へ

「紅茶のおいしい喫茶店・・・」

(「ハロー・グッバイ/柏原よしえ」からの引用のみである)

三日目 菅原から春子へ

「涙のリクエスト・・・最後のリクエスト」

(「涙のリクエスト/チェッカーズ」からの引用のみである)

     春子から菅原へ

「LOVE IS OVER・・・悲しいけれど終わりにしよう」

(「ラヴ・イズ・オーヴァー/欧陽菲菲」からの引用のみである)

・・・青春それはなんだか恥ずかしいのだった。

青春の思い出で春子が盛り上がっている頃、アキは青春の真ん中にいたのだった。

お気に入りの「君に、胸キュン/YMO」を聴きながら・・・。

口ずさむ「キュン」が「ズブン」に変わっているアキだった。

夢で種市先輩と水中デート。ホワイトボードで「好きです」と告白。種市も「ずぶんも」と返して・・・はじめてのキス・・・しかし、ヘルメットとヘルメットが衝突。緊急浮上である。安否を気遣い叫ぶ磯野先生の声にうなされるアキだった。

うなされているアキの横で交換日記を秘密の部屋の机にしまおうとした春子は・・・潜水土木課への編入願書を発見してアキを叩き起こすのだった。

「なんなの・・・これ」

「あ・・・年度が間違っているのは美術さんへの発注ミスで・・・私がアホの子設定だからじゃないと思うんだ」

「そうじゃなくて・・・なんで潜水土木科なのよ」

「北高にあるんだ」

「知ってるわよ・・・私だって卒業生なんだから・・・」

「卒業してないべ」と真夜中に起こされていやいやながらも口を挟む夏だった。

「温水プールがあって一年中潜れるから」

「だからって・・・」

しかし・・・アキの固い決意を崩すのは容易でないと・・・春子にもそろそろ分かってきたのだった。

金曜日 南部ダイバーの世界へ、ようこそ(皆川猿時)

アキの潜水土木課への転入問題は関係者に波紋を投げかけるのだった。

海女仲間たちが、漁協が、観光課が、北鉄が危機感を持つのだった。

「なんで・・・南部もぐりさ、するのに皆さんの許可がいるんですか?」

急速に大人の階段を昇りはじめたアキはとりかこむ関係者一同に問いただす。

「いや・・・許可ってこともないけど・・・アキちゃんは今や、北三陸観光の目玉だからな」

「何も、南部潜りまでしなくても・・・」

「海女は飽きたのか」

と口々に疑問を呈する欲に目がくらんだ大人たち。

「海女は夏しかできないから・・・その他の季節は南部潜りさ・・・してえ」

「ウニは売りたくねえのか」

「そんなことねえ。ウニ丼売るのは好き・・・でも海女の格好で売るのはこっぱずかしい」

ここでヒビキが一言物申すのだった。

「何言ってんだ。露出が減るってことは収入減に直結しますよ。言っちゃいますと海女の衣装で普通の女の子が普通じゃなくなるんです。海女のアキちゃんだから遠くからわざわざ来る気になるんです・・・私服の高校生のウニ丼なんか」

「ああ、言っちゃったよ」と吉田。

「じゃ、南部もぐりの潜水服じゃダメですか」

一同がないないと首をふるのだった。

「ちょっと、イジリーさん」

「ヒビキです」

「本人の前で露出とか言わないでくださる。みんなも二言目には町おこしだのなんだのって・・・ウチの娘は皆さんの玩具じゃありませんから」

「どうせなら、スクール水着とか、体操服にブルマ」と言いかけたが言わなくてよかったと思うヒビキだった。

「そんな風に見世物になるようなら海女だってやめさせますから」

言いたい放題の春子に付け入る隙を見出す夏ばっぱだった。

「やめさせて・・・どうすんだ」

「そ、それは・・・」

「南部潜りさ、やらせるのか」

「本当、ママ、やっていいの」

「だから・・・明日、学校に行って先生からいろいろと聞いた上で・・・」

とりあえず、退散する春子。

ほくそ笑む夏ぱっぱだった。

関係者としてはアキが週末に海女の格好でウニ丼の車内販売さえしてくれればなんでもいいのである。

翌日、仕方なくアキと学校を訪問する春子。

磯野先生の説明を聞きつつ、男子ばかりなので女子の編入は学校としても喜ばしいという話になると・・・。

「そういう話はいいんです・・・だまされないんだから」

つまり・・・春子は・・・何か・・・そういうことで「だまされた」過去があるのだった。

そこへ種市先輩が姿を見せる。春子は何故か、気分がチェンジするのだった。

おそらく・・・種市先輩の何かが春子の心にフィットしたのだろう。

例の窓から水中作業を見る母娘。

娘の表情から・・・種市先輩への好意を読みとる春子だった。

「あれ・・・あの赤い潜水服がさっきの子だよね」

「ママ、判るの?」

「判るよ・・・すごく器用だもの・・・」

その時、背後から声をかける種市先輩だった。

長いコントのオチ終了である。

アキと春子は似たもの母子だった。赤い潜水服の中身はやはり磯野先生だった。

そんなことのあった帰り道。

「ママ・・・なつかしい?」

「そんなに思い出ないしねえ」

「でももてたんでしょ?」

「誰に聞いたのよ」

「ユイちゃんのお父さん・・・スケバンだったって」

「大したことないのよ」

「刃物もって小さい子を夜中におどかしてまわったの・・・」

「それは・・・なまはげ・・・」

スケバンを知らない娘にスケバンを教えるほどのゆとりはない春子だった。

その時、昔からの溜まり場にたむろする生徒たちが・・・春子の記憶を呼び覚ます。

不良たちとつるんでいた若き日の春子(有村架純)・・・そこへ若き日の大吉(東出昌大)がやってくる。

「俺は北鉄に就職が決まったんだ・・・春ちゃんが卒業する頃には運転手になって電車に乗せてやる・・・」

「なんだ、こいつ」と絡んでくる不良たち。

「ただの幼馴染よ」という春子。

「ただの幼馴染じゃねえ」と不良たちを軽く吹き飛ばす大吉。

その大吉の姿にときめいた・・・春子だった。

「ねえ、ママ・・・私、どうしても南部潜りさ、やりてえ」

「いいよ・・・なんだってスケバンになるよりマシだもんね」

「やったー、ママ、ありがと」

自転車に乗ってかっとんで帰るアキだった。

「・・・置き去りかよ」

娘の成長を眩しく感じる春子。

スナック梨明日でしみじみと語るのだった。

「大吉先輩も・・・変わったよねえ」

「しかし・・・アキちゃんにはどうしても観光海女をしてもらいたい」

「別に・・・わびしくてもいいんじゃないかな・・・私が嫌なのは・・・わびしいことで卑屈になることなのよ・・・たとえ、琥珀みたいにつまんないものだって・・・誇りを持っていれば・・・いつかきっと・・・良さがつたわるんじゃないかな・・・」

「つまんないって・・・」絶句する小田勉だった。

心に沁みるセリフを口にする春子だったが・・・あまり、深く考えているわけではないので騙されてはいけないのだった。

ついに・・・潜水土木課に編入したアキ。就職の決まった種市先輩も面倒を見てくれることになり、心は浮きたつのだった。

しかし・・・そこに待っていたのは「南部ダイバー」の歌の洗礼だったのである。

男臭い男たちの野太い歌声。「一番大きい声を出せるか競争だ、そりゃあ、もっとこい」と合いの手を入れる磯野先生。そして一緒に変な歌を熱唱する種市先輩。

現実の洗礼を受けてドン引きするアキだった。

土曜日 案の定、帰ってきた男(蟹江敬三)

海女と違って潜水服では鼻の頭がかゆくてもかけない・・・などいろいろなことを学ぶアキである。

毎朝、祖父の写真に手をあわせ、潜水作業の無事を祈るのが日課となっているのだった。

一方で、潜水士の資格を取ることを決意したアキは種市先輩に個別指導をしてもらい至福の時を過ごすのだった。

ちなみに潜水士の試験は筆記試験のみである。労働安全衛生法によって定められた潜水士免許に必要な知識を詰め込むのが試験勉強なのだ。そのために時々、居眠りしてしまうがそういう時は先輩が屈伸運動につきあってくれる。

そんなアキをユイは少し憂いを含んで温かく見守るのだった。

おそらく・・・その原因は・・・アキを駅で待ち伏せる兄のヒロシにあると思われる。

「潜水土木課に編入したんだって?」

試験問題を暗記中のアキの前に現れたヒロシ。

不意をつかれて面倒臭いと感じるアキだった。

そもそも・・・ヒロシは命の恩人なのだが・・・「好きだ」と告白されて以来・・・なんとなく鬱陶しい存在になっていたのだった。

まして・・・今、アキは種市先輩に夢中なのである。

「そろそろ・・・返事を聞かせてくれないか」

ああ、まただ・・・と思うアキだった。今は試験勉強に専念したいのに・・・。

「ストーブさん、いつも・・・なんか・・・間がわるいですね」

思わず口にした言葉に我ながら驚いて逃げ出すアキだった。

アキはアキなりに・・・ユイの兄であるヒロシには気を使っているのだった。

せっかく、就職したヒロシが元のストーブ前に戻ってしまったら可哀相だと思うのだった。

ちなみに・・・ストーカーの語源は・・・蒸気機関車に石炭をくべる火夫(ストーカー)なのである。まさにストーブとストーカーは紙一重なのだった。

愛している女に激しく拒絶されて・・・ストーカーに限りなく近い感じのストーブさんことヒロシだった。

そして・・・またしても眠れなくなったアキ。

しかし、これだけ悩むということはまったく脈がないわけではないのではないか・・・と思いがちなストーカーだったりするわけである。

だが、そのために・・・アキはあることを発見するのだった。

仏壇から・・・祖父の写真が消えていたのである。

思わず尋ねるアキに「片付けた」と素っ気なくこたえる夏ばっぱ。

アキはアホの子に潜在している直感力によって夏が何かを隠していることを嗅ぎ取るのだった。

Am005 そう言えば・・・とアキは思う、最近の夏ばっぱは妙にウキウキしている感じがある。ひょっとして、恋をしているのではないかとアキは自分と照らし合わせて考えるのだった。

そして、母に相談を持ちかけるのだった。

春子は最初はとりあわなかったが・・・確かに最近の夏は妙におしゃれだったり、化粧をしたりして怪しい態度を示したことに思い当るのだった。

やがて、喫茶「リアス」の客たちも乗ってきて、ついには漁協の組合長との不倫疑惑に発展するのだった。

「父が死んで一年なのにそんなことは許せない」と義憤にかられる春子だった。

自分がよくわからない理由で夫の黒川正宗(尾美としのり)を東京に置き去りにしていることはそれはそれこれはこれらしい。まあ、春子にそんなことを言っても無駄なのである。

しかも・・・父の天野忠兵衛(蟹江敬三)の不在についてはみんな言葉を濁しているのだが・・・春子とアキの母娘は死んだと思いこんでいるのだ。

そこで・・・春子はあれだけ反対していた海女衣装でのウニ丼販売にアキを向かわせ・・・その間に夏を問いつめる計画を実行するのだった。

「お母さん・・・話したいことがあるの・・・」

「なんだよ・・・急に・・・」

「大事な話なの」

その頃・・・車内販売でウニ丼を完売したアキは最後の一個を買った客の顔を見て驚愕するのだった。

「じぇじぇじぇじぇじぇーーーーっ」

「どうしたの、アキちゃん」と驚くユイ。

「じぇ・・・じぇじぇ・・・じぇじぇじぇ・・・・じぇじぇじぇじぇ・・・・」

「じぇ」の進化系、発展系を披露しながらアキは死んだはずの祖父の写真にそっくりの男から目を離せないのだった。

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2013年5月 4日 (土)

みんな!エスパーだよ!・・・空を見上げて笑うしかないわ(夏帆)

神の御心のままに

天空を歓喜の太陽が遷移するように

同胞よ 己が望むままに

ヒーローの如く 悦楽の勝利に向かって突き進め

(フリードリヒ・フォン・シラー「よろこんで」)

で、『みんな!エスパーだよ!・第4回』(テレビ東京201305030012~)原作・若杉公徳、脚本・演出・鈴木太一を見た。「ラスト・シンデレラ」が欲求不満のレディーたちの見果てぬ夢なら、こちらは欲求爆発の青少年の永遠の夢である。どちらも悲しいが・・・美しさでは断然こちらの方が勝っている。まあ、そう思うのは一部お茶の間だけでしょうがーーーっ。

突如として人の心を読む力、精神感応力(テレパシー)を得た鴨川嘉郎(染谷将太)。

犯罪者の心理を読み、取調室でカツ丼を食べ、凶悪なテロリストを追及して、世界で最も愛されるヒーローとなる・・・という夢を抱きつつ・・・愛知県立東三河高校に通うのだが・・・実際はクラスに居場所がない冴えない高校生なのだ。

東京からの転校性・浅見紗英(真野恵里菜)をマドンナとして仰ぎ、その純潔を守る決意は固いのだが・・・浅見さんのパンチラを見ると下半身も固くなってしまう悲しきテレパスである。

しかも・・・当の浅見さんからは怒髪天を突く勃起姿を度々目撃されて(また勃起してる)(また私でオナニーするんだろうな)(このオナニー野郎)と思われているのだった。

今日もまた、浅見さんの太ももからのパンチラで未使用ながら巨大な陰茎を勃起させ、机を跳ね上げる嘉郎だった。

幼馴染でやはりテレパスとなった平野美由紀からは(また浅見をオカズにしてオナニーか)と蔑まれてしまうのだった。

思わず勃起隠しのエビ姿勢で教室を飛び出す嘉郎。

「なんで勝手に心を読むんだよ」

(オカズにしとるだら)

「オカズになんかしてないだに」

(あそこをふくらませてるくせに)

「勃起はしちょるけどオカズにはしてないだに」

(あんたに・・・浅見は無理)

「なんで」

(東京から転校してきたんだ・・・経験豊富に決まってる・・・やりまくっとるだわ)

「そ、そんな・・・」

幼馴染の上にテレパス同志なのでまさしく気心の知れた美由紀の意見に動揺を隠せない嘉郎だった。田舎者にとっては「東京」の一言はすべてを委縮させるパワーを秘めているのだ。

早速、トイレに籠り、携帯電話で検索した嘉郎は・・・怪しいリサーチで「東京の女子高生の性体験率が40%を超えていることを知り、便器に携帯を放り出すほど愕然とする。

「・・・40%っていったらお天気お姉さんが傘の用意を忘れずに・・・っていう」

全裸になって傘をさした嘉郎は心の世界の中心で叫ぶのだった。

≪浅見さん・・・浅見さんは・・・処女だよね・・・処女じゃないと世界を救う意味ないもんね≫

全世界の悲しい男子がイエスと叫ぶのだった。

そして、もう童貞じゃない人々は笑いが止まらないのである。

ベーシストのシド・ヴィシャスが恋人ナンシー刺殺の容疑をかけられたまま、麻薬の大量摂取で死亡したことで伝説となったセックス・ピストルズは汚い言葉愛好家のアイドルであることは言うまでもない。

そして、若者というものはそういう夢で酔い痴れて踊り狂うのが基本なのだ。

ペニ・・・じゃなくて・・・ヴェニスに死すなのである。

一方、謎の教授(安田顕)はついにエスパーとのコンタクトに成功する。

矢部(征木玲弥)は透視能力(クリアボヤンス)の持ち主だった。

教授は助手の秋山多香子(神楽坂恵)の水鉄砲スケブラ試験体により、矢部の能力向上を画策するのだった。

一方でバス停でバスを待っていても通りすがりの田舎男に(あの女、ヤリマンだに)と性的侮辱を受け続ける自分の能力に鬱屈を感じる美由紀。

(こんな能力・・・消えてほしい)と願うのだった。

知りたくないことを知るのは地獄なのである。

ベンチに寝転んで見上げた青い空。

(世界か・・・)ふと嘉郎を思い出す美由紀だった。

そこへ、クラスメイトのユウコ(伊藤沙莉)やレナ(村田唯)とともに神聖な浅見さんがやってくる。

思わず、浅見さんの心にチューニングしてしまう美由紀。

話題はユウコがサカナクションのコンサートに男友達と行くというたわいのないものである。

「サカナクションを聴くとセックスしたくならない?」というユウコに適当に相槌を打つ浅見さんだが。

~~~<なにが、サカナクションだよ>~~~<トンソクみたいな顔して>~~~<このトンソクションが>~~~

渦巻く浅見さんの心の悪態が美由紀の心に響き渡るのだった。

ドス黒い浅見さんの正体を知って唖然とする美由紀である。

その頃、全裸のテレポーター・榎本洋介(深水元基)はマスキングを施し、「人類股間計画」なる浅見さんへのストーキングを敢行するのだった。

帰宅途中、誰かと携帯で会話する浅見さんの目の前に全裸の男が股間丸出しで出現したと思ったら消失。

浅見さんの携帯電話をアヌスに挿入した過去を持つ洋介は「僕のアナルに囁いてくれてありがとう」という感謝の気持ちを残していく。ただの変態野郎である。

唖然とする浅見さんだった。

喫茶「シーホース」では例によってAVを嘉郎に貸す親友のヤス(柄本時生)の姿があった。

今回のお薦めは「山川青空」である。しかし、それとは別に処女喪失のAVについて語りだすヤス。

たちまち、参加するマスターでテレキネシストの永野輝光(マキタスポーツ)だった。

「その処女、乳首は何色だった・・・?」

「黒でしたけど」

「あかん・・・それは偽物だがに・・・処女の乳首はピンクだがや」

「くそ・・・だまされた」

悔しがるヤスだった。処女どころか素人童貞である輝光だが・・・完全なる童貞であるヤスや嘉郎にとっては神とも言える存在だったのだ・・・。

(浅見さんは処女だからピンク)と即座に心に言い聞かせる嘉郎だった。

そこへ・・・美由紀がやってくる。

なんだかんだと幼馴染の嘉郎に対して保護欲がある美由紀は、浅見さんに嘉郎が傷つけられるのが心配なのだった。

「おまえ・・・浅見のことが本当に好きなのか」

(大好きだに)

「大好きなのか」

「あ、心を読んだらずるい・・・僕は美由紀ちゃんの心をなるべく読まんようにしているのに」

「しかし、あの女はお前の手にはおえんで・・・」

「なんでなんで・・・」と美由紀に詰め寄る嘉郎。

((だって浅見はドス黒いで))

≪どす黒い≫

「あ・・・しまった」思わずストレートに念じてしまった美由紀は、嘉郎が悟ってショックを受けたのを悟ったのであった。

《どす》≪黒い≫≪≪黒≫≫≪黒い≫《どす》

嘉郎は自我崩壊の嵐に翻弄されて風に舞う木の葉のようにくるくる回転しながら店を飛び出していくのだった。

嘉郎の心身を案じる美由紀に輝光が質問する。

「女の子って手扱きは恥ずかしいものなの?」

鉄拳制裁を加えるヤンキーな美由紀だった。

《ど》《どす》《どす黒》《ドス黒い》《男》《ドス黒い》《関係》《男と関係》《乳首が》《ドス黒い》

街を彷徨う嘉郎。

《嘘だ嘘だ嘘だドス黒いなんて《嘘》嘘らあ、嘘らあ、ウソら、ウソら、ウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソら《嘘だに》ウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソら《《嘘だに~》》ウソらウソらウソらウソらウソらウソらウソだに~~~》

《浅見さんは処女に決まってる》

テレパシストが人の心を疑うなんて・・・なんてストイックな話なんだ・・・。

しかし・・・このままではヒーローになってヒロインと結ばれてもヒロインの過去のあれやこれやが気になって幸せになれないと思い悩む嘉郎だった。

すべて・・・妄想のなせる業である。

翌日、学校でついに禁断の行為・・・マドンナ浅見さんの心にチューニングをあわせる嘉郎だった。

おりしも・・・話題は恋人の話である。

「付き合ってる人いるの?」

「そんなのいないよ」

《やった》天にも昇る気持ちの嘉郎。しかし・・・直後に飛び込んでくる浅見さんの心の声。

【【【私に彼氏がいないわけないだろうが】】】

《え・・・・【【【いないわけないだろうが】】】って・・・・いるってことかよ》

《彼氏=セックス・・・セックス終了・・・浅見さん終了・・・僕も終了・・・世界も終了》

《《《おわり》》》

世界は停止した。いや・・・世界の中で嘉郎が停止したのだった。

数万年、数億年の時を経て嘉郎を現世に呼び戻したのはいつの間にか帰宅した自分の部屋のつけっぱなしのテレビ番組グータンヌーボもどきだった。

『つきあうとすぐにセックスしたがる人いるけど・・・どうかなって思う』

彼氏=セックスではない。彼氏≠セックスだ。

嘉郎は希望の光に包まれた。

その希望の光は嘉郎を新たな同志の元へ導くのだった。

彼氏≠エッチでない以上、世界を救わねばならないのだ。

{ぼくにはみんなのすべてがみえる}

階段下の倉庫で孤独な昼食をとる透視能力者・矢部を発見する嘉郎。

矢部を演じるのはドラマ「高校入試」で兄の復讐のために仕掛け人となった受験生・田辺淳一を演じた柾木玲弥である。

新たな同志を得て自分を取り戻した嘉郎は浅見さんと恋人になる夢も再開するのだった。

「浅見さん・・・そろそろセックスしようか」

「えっ」

「でも・・・僕はセックスしたことがないんだ」

「そうなんだ」

「それどころか・・・浅見さんでオナニーしたこともないんだ」

「そうなの・・・私・・・誤解してた・・・ごめんなさい」

「いいんだよ・・・それに僕はともだちからAV借りてすごく勉強してるから期待していいよ」

「そうなの・・・楽しみ」

「ふふふ」

浮かれる嘉郎だった。妄想の赴くままにオナニーしそうな勢いである。

《いかん》

煩悩を忘れるために自転車で暴走する嘉郎。しかし・・・疑念が頭をもたげる。

《しかし本当に浅見さんは処女なのか》《処女に決まってる》《非処女》《処女》《非処女》《処女》《非処女》《処女》《非処女》《処女》《非処女》《処女》《非処女》《処女》・・・。

偶然、浅見さんと遭遇した。

「あ・・・処女・・・」

「え・・・」

「いや・・・僕は処女作を書いてます・・・浅見さんは書いてますか」

「書いてないけど・・・」

嘉郎ははじめて浅見さんと会話を交わしたのだった。

しかし・・・その時の浅見さんの心は【気持ち悪い】に尽きたのだった。

実際の浅見さんと会話をした嘉郎はさらに浅見さんの処女/非処女が切実な問題となったのだった。そう言う年頃なんだな。

ついに・・・美由紀に相談する嘉郎。

「浅見さんは処女なんじゃろうか」

「あの女は処女じゃないな」

「そんな・・・浅見さんは処女に決まっているろうが」

思わず美由紀の乳房につかみかかる嘉郎だった。

「なにすんだ」

「あ・・・おっぱい」

その時、天啓がひらめく嘉郎だった。

処女かどうかは乳首の色を見れば判る。

そして・・・今や・・・透視能力者が仲間にいるのである。

嘉郎と愉快な仲間たちは浅見さんの散歩コースの水辺にやってきた。

そして・・・矢部は・・・浅見さんの胸を見た。

嘉郎は矢部にピンクの旗と黒の旗を託していた。

振られたのは・・・ピンクの旗だった。

歓喜する男たち・・・。

その無邪気なふるまいに・・・美由紀は呆れながら微笑ましいものを感じるのだった。

見上げれば青い空・・・。

《そんなことで・・・世界が救えるかよ・・・アホか》

しかし・・・透視者・矢部が見たのは・・・ピンクの内臓だった。

矢部は見えすぎる男だったのだ。

だが・・・喜ぶ仲間たちを見て・・・矢部は温かいものが心に満ちるのを知った。

そして・・・浅見さんは恋人と破局して回想に浸るのだった。

出会いのあの日・・・はじめてのキス・・・そして、行為の後のベッドでの会話。

青春とは・・・美しい誤解で成立している時空間なのだった。

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Meg001 ロケ地紀行~じいやとリコロイド

情報提供***幻灯機様

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2013年5月 3日 (金)

空飛ぶ広報室と地雷を踏んだらさようならの私(新垣結衣)

地雷とは地上周辺に設置され、接近したものに反応して爆発する兵器である。

地雷を設置する費用と撤去する費用を攻撃と防御の経済的効果から考えた場合、設置した方が安価であることから、世界には地雷が蔓延している。

戦闘終了後の平時においても危険性が残ることから非人道的な兵器として認知されている。

戦時においては地雷は殺傷兵器として有効で多くの犠牲を生んでいる。

1973年にカンボジアの共産主義勢力・クメール・ルージュに拘束され処刑された報道写真家・一ノ瀬泰造の遺稿集「地雷を踏んだらサヨウナラ」(1978年)があるが、このタイトルは「ちょっとピンぼけ」で知られるハンガリー生れの写真家・ロバート・キャパが1954年に第一次インドシナ戦争の従軍取材中に地雷に触れて爆死したことを連想させる。

このような認識があれば「地雷を踏んじゃった」というたとえはかなり刺激的な言動であることは明白である。

使用の際には充分な注意が必要で「五輪招致運動中に競合国の批判をうっかり口にした都知事」のように危地に陥る覚悟が必要である。

地雷の脅威の関係者に「地雷を踏んじゃった」というたとえを用いる者は地雷を踏んじゃう場合があるのだ。

で、『日曜劇場 空飛ぶ広報室・第3回』(TBSテレビ20130428PM9~)原作・有川浩、脚本・野木亜紀子、演出・山室大輔を見た。ここまで視聴率的には14.0%↘13.5%↘11.6%とやや苦戦しているが・・・やはり、広報室が空を飛ばないのが問題なのだろう。これは原作の誇大広告的なタイトルに問題があるのであり、「飛ぶ教室/エーリッヒ・ケストナー」だって教室は飛んだりしないのである。「空飛ぶモンティーパイソン」とか「空飛ぶタイヤ」とか飛びもしないものに人はなぜ「空飛ぶ」を付けたがるのか理解しかねるのだった。「空飛ぶ円盤」に謝罪してもらいたい。・・・どこだよっ。

ドラマにおける空飛ぶ広報室とは防衛省航空幕僚監部総務部広報室のことである。

帝都テレビの情報番組「帝都イブニング」のディレクター・稲葉リカ(新垣結衣)は航空自衛隊の取材担当者となり、航空自衛隊の取材窓口である広報室の元・ブルーインパルス(航空自衛隊松島基地第4航空団第11飛行隊所属曲技飛行隊)のT-4(ドルフィン)の搭乗員でTACネーム・スカイだった空井大祐広報室所属2等空尉(綾野剛)と知り合って「空を飛ぶような思い」を抱くと言う物語である。

「軍人さんに恋をした私」の話をストレートに描けないのもいつまでも憲法を改正しない弊害だと考える・・・そこかよっ。

ともかく・・・「国民を守る組織である航空自衛隊」を「人殺し集団」であるという無知蒙昧な認識で取材したことを反省したリカはスカイに招待されて広報室の懇親会に参加するのだった。

「私・・・皆さんのことを誤解して・・・失礼なことをたくさん申し上げてしまい・・・ごめんなさいでした」

「まあまあ、そう固くならないで・・・イナピョン」とあくまで物腰柔らかい広報室長の鷺坂正司1等空佐(柴田恭兵)はリカを温かく迎える。

一癖も二癖もある広報室のメンバーはそれぞれの個性に応じてリカを歓迎する。

酒の席で話題は自然とメンバーの恋愛談議になり、リカを始めとした独身メンバーに「男女交際のススメ」をする鷺坂。

本人は自覚していないが・・・すっかり、スカイを「男」として意識しているリカは「航空自衛官って男としてどうかな」と問われ「そんな、スカイさんと私は交際していません」などと怪しい言動を口走るのだった。

もちろん、スカイ以外はいろいろと察してニヤニヤするのである。

「仕事が恋人です」と地雷原を回避するリカなのである。

どちらにしろ男女比が10:1で、世間の誤解もあり、自衛隊員の恋愛事情はそれなりに厳しいのだった。

ディレクターとして企画を捜していたリカは「自衛隊の恋愛」をテーマに取材を行うことを決意する。

試みに愛妻家である鷺坂や、失恋続きの片山1等空尉(要潤)にインタビューした素材を上司であるチーフディレクターの阿久津(生瀬勝久)に披露するリカ。

しかし、阿久津は・・・。

「つまらん・・・お前が何を伝えたいのか・・・さっぱりわからん」とにべもない。

にべもないって・・・判らない人多いんじゃないかな・・・じゃ、取り付く島もないで・・・尖閣諸島的にどうかな・・・じゃ、愛想がないで・・・まあ、無難かな。世知辛い世の中だよねえ。そうだよねえ。

阿久津が無愛想に言うからには教育的指導であると甘口ナポリタン事件で学んだリカは頭を悩ます。

取材中に鷺坂が「自衛官の結婚式」へ出席することを知ったリカは企画の目玉として撮影許可を申し込むのだった。

結婚するのは峰永圭介2等空尉(阿部丈二)で結婚相手は民間人の滝川安奈(川村ゆきえ)だった。川村ゆきえ・・・まほろ駅前番外地第3話のキャバクラ嬢に続いて見かけたぞ。美人で演技力もあるのだからもう少し売れるべきだよな。

新郎はTACネーム・ナッシュであり、スカイと同期のパイロットであった。

挫折したパイロットであるスカイとナッシュの間に微妙な空気の流れるのを感じたリカは・・・またしてもスカイの傷口に塩を塗りこんでしまったかと・・・不安を感じる。

そこで、リカの同期であり、潜在的なスカイのライバルである帝都テレビのアナウンサー・藤枝敏生(桐山漣)に愚痴ってみた。

「私・・・また地雷を踏んじゃったかも・・・」

「じ、自衛隊関係者に・・・そのたとえは・・・ま、不味いんじゃ・・・」

「・・・あ」

リカ、かわいいよリカなのだった。

しかし、リカの杞憂をよそに・・・再会したスカイとナッシュは熱い抱擁を交わすのだった。

合体しかねない勢いだった。

かって・・・負傷したスカイを「必ず戻ってこい」と励ましたナッシュ。

しかし、戻ってくることは不可能だったスカイ。

心のすれ違いによって生じていたお互いの気まずさは一瞬で氷解したのである。

「戦闘機は・・・着陸時に一番、敵に狙われやすいので減速を最小限にして着陸します」

ナッシュの操縦ぶりを熱く解説するスカイに・・・リカは胸キュンなのである。

ナッシュと安奈の結婚式当日。

スカイの元・上官である村瀬2等空佐(池内博之)から愛妻家・鷺坂の妻・雪子(霧島れいか)が15年前に他界していることを聞かされ、驚くリカだった。

ちなみに・・・このドラマにおける現在は2010年である。

朝のドラマ「あまちゃん」と同様にこのドラマもまた2011年のあの日に向かって行くドラマなのだ。

式の途中で・・・スカイとリカは新婦の両親が式場にいないことに気がつく。

不審に感じた二人が様子を見に行くと・・・新婦の父親の滝川紘一(佐野史郎)と母親の理恵子(原日出子)は夫婦喧嘩の真っ最中だった。

かねてから・・・自衛官に娘を嫁がせることに反対だった紘一の不満が再燃したのだった。

「もう知りません」と式場に戻る理恵子。

一人残された紘一にスカイは歩みよる。

「どうなされましたか・・・」

「娘を毎日、人殺しの訓練している男になんか・・・誰が好き好んで嫁にやるか」と暴言を吐く紘一だった。

「しかし・・・彼が敵を殺さなければあなたやあなたの娘さんが敵に殺されるかもしれないのです」と親友のために正論を述べるスカイ。

「そうです・・・命がけのお仕事です」と援護射撃をするリカ。

「そんなことはわかってる・・・命がけの仕事をしている男に娘を嫁がせるのが嫌なんだよ」

娘を思う父親の心情に絶句する若い二人だった。

しかし、大人気なさを恥じて紘一は式場に戻る。

そこで・・・詐欺師鷺坂に続いてスピーチの鷺坂の異名を持つ鷺坂が祝辞を述べるのだった。

「・・・夫婦ですから・・・夫婦喧嘩をすることもあるでしょう・・・しかし、夫はいつ何がおこるかわからない職業に従事しています・・・後悔しないように朝は笑顔で送り出してもらいたいと・・・自衛隊の披露宴のスピーチでは定番でそのように申します。しかし・・・私は思うのです。どんな職業だって同じことが言えるのではないかと・・・。そして、送り出す方だけではなく、送り出される方も笑顔で応えてもらいたい・・・そう願ってやみません・・・どうか末長くお幸せに・・・」

感動に包まれる会場。一番号泣したのはカメラマンの坂手はじめ(渋川清彦)だった。

こうして、スカイとリカの仲も少し接近したのである。

再び、広報室の懇親会に参加したリカ。

柚木典子3等空佐(水野美紀)と絡むうちにいつしか、酩酊してしまうのだった。

「わ、わたしは・・・スカイさんにあやまりたい・・・スカイさんに・・・ひどいことを言いました・・・スカイさん・・・ごめんなひゃい・・・」

柚木3佐をスカイと思いこんで抱きつくリカに唖然とする・・・広報室のメンバーだった。

全員が・・・リカのスカイへの恋情を疑わぬ中・・・もちろん、スカイだけは全く気がつかないのはお約束の展開である。

バカだ・・・航空バカなのだ。

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Sk002 ごっこガーデン・記念写真展示室。まこでました~、稲ぴょんのツンレレ(ろれつが回っていません)大作戦~。もはや、ガッキーは酔ったら爆笑女優と言っても良いのでは~。お酒は二十歳になってからなのでまこは飲んだことはありましぇんが~。飲んだらタリラリラ~ンになるのでしゅかね~。スカイはナッシュと合体しそうだし、リカは典子と合体しそう・・・そういう怪しいドラマだったの?ん?ん?」くう怪我の功名でスカイに親友の結婚式に出席できたことを感謝されるリカちゃん。地雷を踏んでも不発だったら命拾いだよね~。・・・おっと。それにしても・・・大河ドラマで泣かされ、これで癒される綾野剛ファン万歳の日曜日だよねえikasama4やはり、恭平ちゃんのドラマですな」「エリコードブルー3はまだでスーか?」シャブリおおおお!! 鷺坂室長の妻・雪子は 霧島れいかさんじゃーーーーっ!!・・・えええええ!! 霧島れいかさんがーーーーっ もういないぃ・・・・・mariリカは自分が八つ当たりしていたことを反省・・・柔らかくなってきたので見やすくなりましたね・・・そして、少しずつ立ち直る空井・・・二人はどうなるのかな?」 

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2013年5月 2日 (木)

家族ゲーム~それぞれに一つのそれぞれのキングダム~(櫻井翔)

牧伸二が丸子橋から多摩川に転落死する時代である。

チンチン電車は交通の邪魔だ

チンチン電車を廃止しろ

幼稚園の子供が大反対

チンチン獲られちゃ大変だ

あ~あ やんなっちゃった

あんがあんがあんが 驚いた

(昭和40年代の都電撤去計画の頃のやんなっちゃった節~荒川線を残し都電は消滅)

謹んでご冥福をお祈りします。

で、『家族ゲーム・第3回』(フジテレビ20130501PM10~)原作・本間洋平、脚本・武藤将吾、演出・岩田和行を見た。仮想空間のような街をゲームのキャラクターのように移動する主人公。すでにゲーム化された世界で人間もまたゲームの登場人物に過ぎなくなっていることを暗示している。そんなことはないと思うあなたほど実はゲームのサブ・キャラクターと化しているのです。まあ、悪魔がそう思うだけですけれども。

悪魔である家庭教師・吉本荒野(櫻井翔)は虚飾に満ち、崩壊寸前のごく普通の家庭・沼田家にもぐりこみ、さまざまな暗躍を開始する。

クラスメートに虐待されて登校拒否になっていた次男の沼田茂之(浦上晟周)に対しては虐待現場の証拠を抑え、クラスメート全員の将来性を人質にして脅迫することで虐待停止の合意を得るという強硬手段を行い、信任を勝ち取るのだった。

もちろん・・・その過程で茂之が虐待死してもそれはそれで仕方がないという料簡であるらしい。なにしろ、悪魔に人倫を求めても無意味なのだ。

悪魔によって生きながらえることを許されたと感じた茂之は自ら服従して悪魔の飼い犬となることを誓うのだった。

人はそれぞれの王国の王である・・・というのが個人主義の基本だが、そうした魂の在り方を悪魔が認めないことは言うまでもない。

王国の王たるものの魂を隷属させることこそ悪魔の本分なのである。

支配欲が強く、自らが擬似悪魔的である長男の沼田慎一(神木隆之介)は吉本の恐ろしさを肌で感じ、立場を逆転させるためにリサーチ活動を実行。吉本の過去を暴き、悪魔を支配下に置こうと逆襲する。

「あんたは吉本荒野じゃない」

別人(忍成修吾)である吉本荒野の写真を突きつけ、吉本に迫る慎一。しかし・・・。

「それは・・・俺の弟だよ・・・俺は荒野の兄の雄大だ」

あっさりと慎一の追及をかわす吉本だった。

吉本は慎一を昏睡状態の男が眠る病院に案内する。

「弟は東大を卒業して・・・子供の頃からの夢だった教師になった。もちろん、両親は反対したさ。教師は東大を卒業してまでなる職業じゃないってね。しかし、弟は教師になった・・・ところが事故でその夢が断たれてしまったのだ。だから、俺は弟のために、弟になり代わって教師をやっている」

「なんで・・・家庭教師なんだよ」

「俺には教員免許がないからだよ」

慎一はカードの切り方をしくじったのだった。そして、吉本もカードを切る。

「余計な詮索はお互いのためにならないと思うよ」

慎一は自分が万引きをしている証拠写真を突きつけられ蒼ざめるのだった。

「優等生の仮面を維持するのはストレスがかかることだけど・・・万引きは犯罪だからね」

吉本は悪魔の微笑みを浮かべる。

登校拒否状態を脱し、束の間の安らぎを得たような沼田家・・・。

しかし、悪魔の計画はそのような平安を許すものではない。

「今度の茂之くんの誕生日にはお誕生日会を開催したいと思います」

「た・・・誕生日会・・・」

「中学三年生にもなって・・・」

「それはないんじゃないか・・・」

「いいえ・・・これは茂之くんの将来のために絶対に有意義なことなのです」

さらに・・・吉本は家族それぞれに余興の披露をもちかける。

「御主人に聴きましたよ・・・フラダンスを習っているそうですね」

「奥さまに聴きましたよ・・・ギターの弾き語りをなさるそうですね」

夫婦は乗せられて、フラダンス仲間の主婦に協力を依頼したり、キャロルの名曲をおさらいしたりし始める。

慎一には「弟のおいたちの写真を使ったスライド・ショー編集」が命じられるのだった。

茂之は吉本の脅迫的行為によって遠巻きに茂之を見つめ、腫れもの扱いしているクラスメートに「お誕生会」の招待状を配布する。

クラスメートたちがいつわりの好意を寄せるのに気をよくして「幸せな気分」を感じるのだった。

一方、夫・沼田一茂(板尾創路)の浮気の気配に気付きながら、それを見て見ぬふりをする妻・佳代子(鈴木保奈美)・・・しかし、自宅に浮気相手である浅海舞香(忽那汐里)が夫の忘れものを届けにやってくる。

吉本の誘導で夕食を共にする沼田夫妻と愛人。

夫の挙動に不審なものを感じながらワインを飲み干す佳代子である。

一茂は怯えつつ、火遊びの快感に酔うのだった。

舞香はなんとなく悪魔に使われる魔女の様相を呈するのである。

一方、なんとか、吉本の弱みを発見しようとあがく慎一。

セックスフレンドの最上飛鳥(北原里英)とともに寝たきりの吉本荒野の病室に張り込む。

そこに吉本兄弟の関係者を名乗る女(佐藤直子)が現れる。

「実は・・・家に吉本雄大さんが・・・」

と事情を話す慎一。

「確かに・・・雄大は荒野の兄です・・・雄大の話は・・・事実です」

と応える女。

仕方なく立ち去る慎一に・・・女は一言だけ付け加える。

「気をつけて・・・あの男は悪魔ですから・・・」

慎一が立ち去った後で女は吉本からの電話を受ける。

「はい・・・来ました・・・言われた通りに応えました・・・あの・・・もう、私たちのことは放っておいてくれませんか・・・」

「それは・・・できません・・・彼は私の共犯者なんですから・・・そのことを忘れたくありません」

謎の言葉を残す吉本だった。

北野雄大で来たのは金八だとあからさまに偽名だからなのだな。

誕生日、当日。

招待客は一人もやってこなかった。

もちろん、吉本がクラスメートたちに「自由参加だから・・・来なくてもかまわない」と周知させたのである。

いつわりの友情という現実を突きつけられる茂之。

一方、慎一を連れて鑑賞室に入った吉本は沼田夫婦の亀裂を子供たちに見せつけるのだった。

再編集されたスライド・ショーには舞香に誘惑される一茂の言動が記録されていたのだった。

「今度はあの日の続きをしましょうね」

「続きって・・・」

「ラブホテルですよ」

「うひひ」

夫のあからさまな不実についに泣きだす妻。

「もしも・・・結婚しなかったら・・・子供たちを生まなかったら・・・私にはもっと幸せな人生があったかもしれません」

「・・・」

「今日だけは・・・言わせてもらいます」

妻はそれでも仮面をかぶり続ける宣言をするのだった。

「いいねえ・・・」と嘯く吉本。

「こんなことして・・・何になるんだ・・・」

「少なくとも・・・弟の危機を救ったのは私だ・・・何もしなかった君に私を責める資格はないだろう・・・」

「ちがう・・・そんなことはない」

「だったら・・・君のやり方でなんとかしてみせたらどうだい・・・この万引き野郎」

「・・・」

無惨な誕生会という現実から逃れて神社の裏の秘密基地に逃げ込む茂之。

そこには吉本が待っている。

「これが・・・お前の現実だ・・・家族からは見放され、友達は一人もいない・・・しかし、そうなったのはみんなお前の責任なのだ・・・」

精神的に追い込まれ、震えが止まらない茂之を泥濘に突き飛ばす吉本。

空虚になった茂之の精神に吉本は楔を打ち込むのだった。

「でも・・・俺は・・・俺だけはお前の味方だよ」

泥だらけの体を抱きしめられて茂之は身も心も吉本に捧げる快感に酔いしれるのだった。

その顔に幸福な微笑みが浮かぶ。

バパンババンバンバン

はあビバビバ

歯を磨けよ

ババンババンバンパン

はあビバノンノン

宿題忘れるなよ

いつまでかな

いつまでこの歌を歌い続ければいいのかな

いつまでなのかな

涙をぬぐいなよ

涙をぬぐうんだ

泣きはらした赤い瞳から流れ落ちる涙を

日曜日だ

明日は日曜日

血まみれの日曜日がやってくるから

ババンババンバンバン・・・

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2013年5月 1日 (水)

昨日があるから今日があるのです。今日があるから明日があるかもしれないのです(香取慎吾)おへそのサービスあります(杏)

コントといえばお笑いのイメージがあるが・・・本来は寸劇・・・短い芝居のことである。

ドラマはある意味でコントの積み重ねであると考えることができる。

今回はかなり、それを意識した構成になっている。

効果をあげているものもあるが・・・惜しい部分もある。

しかし、全体としてはかなりいい感じに仕上がっている。

できればすべてに笑いを求めたいところだが・・・そうなるとお茶の間もある程度、求められてしまうからな。

で、『幽かな彼女・第4回』(フジテレビ20130430PM10~)脚本・古家和尚、演出・星野和成を見た。今回は小原南中学校3年1組副担任で英語教師、ダンス部顧問の林邦彦先生(北山宏光)のフィーチャー回である。このために3年2組の生徒はダンス部に属する藤田ともみ(上白石萌歌)にスポットライトがあたる。藤田ともみは自称「運動も勉強も苦手でとりえがないタイプ」である。合わせ技で藤田ともみが憧れる学力ナンバーワンの生徒・葉山風(柴田杏花)もそれとなく存在を認知される仕組みになっている。

朝の職員会議のコント

ダンス部の朝練習の指導で遅れた林先生がハイテンションで入ってくる。

「いやーっ、生徒に教えるにせよ、ダンスって難しいけど楽しいですよね」

気まずい空気の教室。

「およびでない・・・およびでないね・・・こりゃまた失礼しました」

ここで副校長・霧澤和泉(真矢みき)が「課外活動の顧問を外部から招聘する制度を今週から試験的に行いたいと思います」

林「・・・ええーっ」

進路指導のコント~京塚りさ(山本舞香)篇~

りさ「あたしが一番って・・・先生、きらいなものから食べるタイプでしょ・・・」

神山暁(香取慎吾)先生「もしも、好きなものから食べるとしたら・・・」

りさ「きもっ・・・」

神山「・・・」

回想のコント

たった一度だけ、葉山に勉強を教えてもらった藤田はそれ以来、葉山の後ろをついていくひよこになってしまう。

葉山「あのさ・・・いい加減、うざいんだけど・・・」

藤田「・・・」

葉山「だって・・・あなたつまらないんだもの」

その時、藤田は心の底から「変わりたい」と思った。

葉山がそこまで読み込んでいたら・・・神である。

林先生と藤田の愛のコントその1

藤田「林先生、私にダンスを教えてください」

林「よし、おれのコーチは地獄だぞ」

物陰からお蝶夫人が嫉妬の目で二人を見る。

霊感教師と幽かな彼女のコント

アカネ(杏)「私、白装束(屍衣)じゃなくておしゃれな洋服が着たいんですけど」

神山「誰にも見えないんだから意味がないだろう」

吉岡さん(佐藤二朗)「着たい衣装を燃やすと着れる~」

神山「どんなシステムだよっ」

アカネ「買って、買って、燃やして、燃やして」

神山「帰らしてもらうわっ」

進路指導のコント~柚木明日香(広瀬すず)篇~

柚木「掘出学園一本で・・・」

神山「芸能コースですね」

袖木「あの・・・藤田ちゃんにもなんか言ってやってくださいよ」

神山「どうして」

柚木「あの子もさ、壁をのりこえようとしてると思うんだ」

神山「モデルとダンサーの魂の共感ですか・・・」

袖木「東宝シンデレラもそろそろ当り引かないとね~」

神山「おいおいっ」

林先生と藤田の愛のコントその2

お蝶夫人「最近、コーチと特訓しているそうじゃないの・・・成果をみせてもらうわ」

藤田「はあ・・・はあ・・・(なに・・・この・・・プレッシャーは・・・)はあはっはっはっ」

林「過呼吸かっ」

河合千穂(前田敦子)先生「やめときな・・・あんたの愛が藤田を追い詰めているんだ」

林「そんな・・・俺はただ・・・ダンスを・・・」

副校長「ナイス・アドバイス・・・」

河合「もう、猫とはおさらばさ」

副校長「そうかな・・・今度は負け犬のボイスチェンジャー仕様なんじゃない」

河合「・・・ちっ」

河合飲んだくれのコント

河合「酒~、なんだってんだ・・・あたいは局アナになりたかったんだよ~、学校の先生なんてやってられますかっつーの、泥酔しますよ~、酒乱ですよ~、また、誰かにかつがれちゃいますよ~、卒業したし、二十歳も過ぎたし、これが自由と言うものかしら自由になるとさびしいのかい、酒~、酒~、スイッチは喉の奥ですよーだっ」

幽霊女のお説教タイムのコント

アカネ「買ってよ~、燃やしてよ~」

神山「いい加減にしなさい」

林「クラゲのサラダに、回鍋肉、麻婆茄子、エビチリ、酢豚、黒酢あんかけやきそば、炒飯、ふかひれスープ、春巻、ごま団子、杏仁豆腐できました~」

神山「中華料理店かっ」

アカネ「いただきま~す」

神山「切り替え早っ」

林「そうですよね・・・切り替えないと・・・」

神山「アンケートワースト3の僕が言うのもなんですが・・・」

アカネ「時間は一瞬、出会いは一生です」

神山「以下同文です」

林「どういう意味ですか・・・」

神山「意味がなくても価値がある・・・生徒と一緒に流した汗・・・PRICELESS」

林先生と藤田の愛のコントその3

林「藤田・・・待ってるぞ」

藤田「コーチ・・・」

神山「変わりたいんだろう・・・変身したいならポーズは最後まで決めないと・・・」

藤田「魔法少女みたいに一瞬途中で全裸になったりしませんよ、私・・・本編(劇場公開作品)ならともかく」

神山「東宝かっ」

進路指導のコント~葉山篇~

葉山「私の学力、すでに高校卒業程度で、東大一発合格クラスですよ・・・進路指導なんて無意味じゃないですか」

神山「無意味でも・・・君の友達が変わろうとしていることには価値があるんじゃないかな」

葉山「ふっ・・・」

林先生と藤田の愛のコントその4

藤田「やりました、コーチ、やりましたよ・・・」

林先生「こんなに・・・うれしいことはない・・・」

お蝶夫人「今回は私の負けのようね・・・」

河合先生「ちっ・・・」

幽霊と霊感教師の買い物のコント

店員「・・・女装マニア?」

幽霊のおへそのコント

アカネ「お、おへその横にも・・・なんか穴が・・・」

進路指導のコント~根津(森本慎太郎)篇~

根津「先生、森野小夜(森迫永依)にはちょっかい出すなよ」

神山「なんだ~、好きなのか~」

根津「ち、ちがうよお」

予告のコント

森野「学校で私が見たのはナイフを持った幽霊・・・それとも中学入学後ついに不良になった永沢くん?」

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