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2013年5月 8日 (水)

親父にも殴られたことがない人たちが親になる矛盾に寄り添うのです(香取慎吾)

幼少時に食事中に笑ったり、無断で買い食いしたり、ごめんなさいと言うべきところをすみませんと言ったりする度に父親によって窓から路上に放り出されていた人間にとって体罰とは何かということが根本的には不明である。

まして、体罰が原則的に禁止されて教育なんか成立するのか・・・と疑問に思うばかりである。

「息子がひどい不始末を犯して、担任の先生にお手打ちになりませんように」と毎朝、息子の顔もこれで見おさめかもしれないと母親が送り出すくらいで丁度いいのではないかと考える。どう考えてんだよっ。いつ、学校の先生は名字帯刀を許されたんだよ。

まあ、妄想はさておき、体罰を禁止しても世界は平和にはならないし、体罰を禁止しなくてもテロリストは育つと考える。

しかし、世の中と折り合うために教師は体罰を控えるべきだし、教育的指導の遂行と折り合うために鉄拳制裁の準備は整えておくべきだろう。

口で言ってわからない奴には拳で対話するしかないからだ。

「中国は少し、大人しくしていなさい」「米国は余計な口出しするな」と体罰の表面化の瀬戸際でせめぎ合うことが世界標準というものなのだ。

世界の素晴らしい教師たちがいろいろな生徒に感謝されますように。

で、『幽かな彼女・第5回』(フジテレビ20130507PM10~)脚本・古家和尚、演出・星野和成を見た。今回は完全なミステリ仕立てである。冒頭に事件が起き、その詳細は伏せられて、一体何が起きたのか・・・お茶の間はいろいろと妄想を膨らませることができるのだ。もちろん、一話完結式に了解できる範囲で結末は用意されているが、これまでの四回で描かれた人物の肖像やエピソードなども重要なヒントになっていて奥行きもある。犯人は意外な人物でミステリとしては反則だが・・・学園物のエンターティメントとしては許容範囲である。

【事件の発生】

放課後のパソコン教室。床に落ちた割れた眼鏡。顔面に傷を作った3年2組の男子生徒・藤江俊介(萩原利久)が3年3組担任の岩名清二先生(高嶋政宏)と対峙している。そこへ他の教師が通りかかり、岩名先生に体罰の疑いがかかる。体罰の有無については生徒の藤江は消極的に肯定し、岩名先生は否定する。しかし、岩名先生は藤江が負傷した経緯については口を閉ざすのである。

【事件の進展】

事件の報告を受けた藤江の父親(小木茂光)は新聞記者でもあり、子供を殴ったことさえない体罰厳禁主義者で、岩名先生を告発すると恫喝する。一方で教育委員会は事務職の轟木庸一郎(加藤虎ノ介)を派遣し、岩名先生の謹慎処分を要求し、「真実の解明」より「事態の鎮静化」を副校長の霧澤和泉(真矢みき)に要望する。これによって岩名先生は処分決定まで生徒との接触を禁じられる。

【真相解明のためのヒント】

岩名先生は生活指導には厳格だが一部の生徒には慕われている。

藤江は学力考査で第2位の成績上位者である。

学力学年トップの葉山風(柴田杏花)が図書室で何者かに見つめられている。

廊下にはナイフが落ちていた。

【捜査篇】

藤江が受け持ちの生徒だったために事件に関わる3年2組担任の神山暁(香取慎吾)先生。そして、やる気のない副担任の河合千穂(前田敦子)先生も巻き込まれてしまうのだった。

「岩名先生はかねてから藤江に好意を寄せており、ついに発情して行為に及ぼうとして言うことを聞かない藤江を殴打、藤江は殴打されたことは告白したがそれ以上のことは羞恥心のために言えないでいるのでは・・・」などと妄想しない霊感教師・神山先生は早速、事件のことを同棲中の生前は教師だったらしい地縛霊・アカネ(杏)に報告しようとする。

しかし、ある事情で悩んでいるアカネは「幽霊が電話をかけるコント」で神山先生をはぐらかすのだった。

「霊感生徒の森野小夜(森迫永依)ちゃんに電話のかけ方を教えてもらったんです」

アカネが部屋の電話に首をつっこむと、神山先生の携帯に「相手番号・4444444444から着信があるのだった。仕方なく神山が応答すると・・・。

「う・・・うううううう・・・うう」

と地獄の底からの呪われた呻き声が・・・。

要領を得ない神山先生は森野に相談する。事情を聴くために神山の部屋を訪れた森野を目撃した森野のストーカーである根津亮介(森本慎太郎)は無駄な嫉妬に悶え苦しむのだった。

「先生と不適切な関係はやめるべきだ・・・変に思われるぞ・・・」

「私は別に誰にどう思われようが平気よ」

「ちぇっ」

森野はアカネの心情を察するが当事者同志が解決するべき問題として無用なアドバイスはしないのだった。

一連のコントが終了している間、陰湿な教育委員会の下僕である轟木は「転職活動の周旋」を餌に河合先生に生徒に対するスパイ活動を依頼する。「体罰教師のレッテルを捏造するための情報収集」が目的である。こういう役をやらせたら右に出るものがいないな。圧倒的に暗鬱な存在感である。二人ともな。じゃ、どっちが左なんだよ。

教室では真相解明の最終ヒントとして、藤江に声をかけられた葉山が怯えて教室を飛び出す騒ぎが発生する。

先週、神山先生の使徒になった藤田ともみは自分だけ親友の葉山が問題を抱えていることを報告。そして自分だけ親友アタックを敢行するのだった。

「あの事件があった日に現場から風ちゃんが逃げてくるのを見たよ・・・何があったのか、教えて・・・相談にのるから」

「なによ・・・あなただって・・・私を憎んでいるくせに・・・」

二人の会話を立ち聞きした神山先生はまたしても判断に困るのだった。

しかし、アカネは今度は「インターネットにアクセスしてはまったコント」ではぐらかすのだった。

「どうしたんだよ・・・」

「インターネットにアクセスしたら・・・出られなくなりました」

辛うじてディスプレーから手を伸ばすアカネ。神山先生はマウスを使用してスクロールしてアカネを絞り出すのだった。

「いい加減に悩みを打ち明けてくれ」

「実は・・・お腹に刺し傷があるんです・・・つまり・・・誰かに刺されて死んだのかと思うと・・・それほどまでに・・・憎まれていた自分が恥ずかしいのです。いっそ、死にたいくらいです」

「死んでんじゃんか・・・第一、事故とか、人違いとか・・・逆恨みかもしれないじゃないか・・・」

アカネを慰める神山先生。どうやら気分は恋人きどりのようだ。

しかし、ついに神山先生は真相に近付き、河合先生とともに登校中の葉山に事情聴取を敢行するのだった。

「君は・・・怨まれてたのか・・・それとも逆恨みだったのか」

「私は・・・あやまろうと思ったんです・・・藤江くんにひどいことを言ったから」

葉山の回想。

「必死に努力したら・・・ナンバー2の座は確保したいんでしょ・・・他にとりえがないんだから」

「俺だって・・・がんばってんだよ」

ナイフを取りだす藤江。殺意の漲る表情。恐怖する葉山。

そこへ岩名先生が通りすがる。

「何をしてるんだ・・・」

あわてて逃げだす藤江。追いかける岩名先生。

・・・・「その後のことは知りません・・・」

神山先生は諭す。

「これだけは覚えていてください・・・言葉でも暴力は振るえるのです」

神山先生は葉山と藤江の対話の場を設定した。

【解明編】

「ひどいこと言ってごめんなさい」

謝罪した葉山に藤江は俯く。

「彼女はあやまった・・・許してやってくれないか」

藤江は首を振った。

「あやまるのは僕の方だ。僕は彼女を刺して殺そうとしたんだから。でも、岩名先生に見つかって、逃げて、転んだ。そして眼鏡は壊れ、顔面を打った。僕は弁解して、親にだけは言わないでくれって頼んだんだ・・・親は絶対に僕を許さないから」

「なぜ・・・そう思うんだい」

「うちの親は・・・話の通じない馬鹿だからさ」

呼び出された父親はうろたえた。

「あんたもあんただ・・・なんでもっと早く真相を話さないんだ」

「私は生徒を信じてましたから」

崖っぷちにたたされた父親は息子に怒りをぶつける。

「お前が・・・俺の言う通りにトップになって・・・こんなことさえしなければ・・・俺が恥をかくこともなかっ・・・」

そこで岩名先生の堪忍袋の緒が切れるのだった。

冥王星軌道周辺まで殴れ飛ばされる藤江の父親。

「なんで・・・そんな風に怒りを子供にぶつけるんだ・・・叱って、反省させて、許してあげるのと怒るのとはまったく違うことだということも知らないで新聞記者をしてるのか」

「すいませんでした~」

子供の前で威厳を失った父親の今後が心配されるのだった。もう、崖から身を投げるしかない状況だよな。

教育委員会の回しものである轟木は捨てゼリフを残す。

「しかし、岩名先生は問題教師ですな」

「穏便にすますのがそちらの方針ではなかったでしたか」と応じる弁護士資格を持つ副校長。

轟木は河合先生に目を向ける。

「報告書はどうなったかな」

「陰謀の証拠はシュレッダー行きと決まってますよね」

不敵に微笑む河合先生だった。

轟木は悪魔の尻尾を巻いて退散するのだった。

こうして・・・学園は何事もなかったように静けさを取り戻したのだった。

【エピローグ】

アカネの死の真相を探る決心をした神山先生は・・・学校の古い職員名簿に「茜」の名前を発見する。

人はみな、今日も傷付きやすい心を抱え、傷だらけになりつつも、なんとかかんとか生きて行く。それでいいと思う。

それでもどうにかなってやがて終るのが人生というものだから。

楽しまなきゃ損なのだ。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の幽かな彼女

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コメント

「言葉も暴力なんです」
体罰ばかりがクローズアップされ心の傷は見えない分 発した本人は無意識でも受けとり手は深く傷ついていく…

そんな無意識な思いをズバッと
このドラマ いつもハッとする言葉があって 他の学園ドラマに比べると地味かもしれないけれど好きです

特に今回は見応えがあり満足感が高かったです
見てなかった人もキッドさんのレビューを読めばバッチリですね(*^o^*)

発表時は大人の事情が強いドラマな気がしましたが高嶋さん 真矢さん 脇を締める役者さんに見応えのあるシーンが用意されているせいか あまり気にならずに楽しんでます(^^)

学園ドラマ部分は王道でも
アカネのパートは意外性があって来週はもう二人に別れの危機があるんでしょうか?恋愛パートが好きなので来週も期待してます☆

投稿: chiru | 2013年5月 8日 (水) 08時02分

cherryblossomシンザンモノ↘シッソウニン↗・・・chiru様、いらっしゃ いませ・・・大ファンheart04

おほめの言葉、恐悦至極でございます。

厳密に言えば、「言葉」は道具ですから
「言葉」を使った暴力がありえるということになります。

また、ご存じのようにキッドは時には「暴力」を肯定しますので・・・。

「言葉を使った暴力で傷つく人もいる」というニュアンスで神山先生のセリフをとらえています。

ドラマとしてはそれが理解できるような流れが作られていたと考えるのでございます。

今季はキッドが取り上げているドラマはそれなりに
高水準の仕上がりになっていて
妄想の入り込む余地がないわけですが
特に「あまちゃん」「幽かな彼女」「家族ゲーム」
そして「みんな!エスパーだよ!」は
素晴らしい作品と言えるでしょう。
「ガリレオ」はセリフが
「空飛ぶ広報室」はセリフと構成がやや甘いくらいでしょうか。

昨日は「T5」と「35JK」をチェックしましたが
やはりどうしようもなく拙い出来で
駄目なものは最初から駄目なのでございます。

そういう意味で「幽かな彼女」は
切り口を変えてもきちんとしていることが
明示できるということなのです。

今回なんか「インターネットに拘束された幽霊をスクロールで救出する」というフリオチ(ショートコント)だけで100点をあげたいくらいディティールもトレビアンでしたし。

腕の確かな脇役陣に支えられて
主役の神山先生、ヒロインのアカネが
実に輝いてみえますよねえ。
これぞ、連続ドラマでございます。

生者と幽霊ですから・・・
ラブロマンスといえども結末は結婚ではないことが
基本的には確定しています。
まあ、かりそめの祝言というのもありますし
死後の世界で結ばれるというアクロバットや
実は河合先生はアカネの生まれ変わりだったというのも
ないわけではないですが。

しかし・・・なんとなくアカネを好きになってしまう
神山先生の気持ちはわかる・・・
ここがポイントですよねえ。

キッドも二人の幸せを願いつつ来週を待ちたいと考えまする~typhoon

投稿: キッド | 2013年5月 8日 (水) 15時29分

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