懺悔の値打ちもないけれど・・・悔い改めることはできるのです(香取慎吾)
大魔王さまの昏睡準備とか闇の聖母の理由なき憤怒とか魔界が多忙の上に、5/22の前にアクセス数が2ゾロを突破してしまったために次の3ゾロまであまりにも遠いとモチベーションの下がった悪魔が地上に不在中ですので、聖なるハートブレイカーがお送りしています・・・些少は説教くさいかもしれないのでご注意ください。
懺悔は罪を自覚してこそ、成立します。そこに罪の意識がなければ告白には至らないのです。
しかし、罪とは思わないが、失敗したと思った時にリセットボタンを押すことはできる。
気持ちを切り替えるのはそれほど悪い事ではないでしょう。
しかし、時にはそれを罪と感じる人もいます。
とりかえしのつかないことをして悔い改めるものを許さないという考え方もあります。
この結婚は失敗だと思うのでやりなおしたい・・・そういう気持ちを否定する制度は確かに存在する。
つまり、やりなおすことは罪なのです。
結局、神と悪魔の戦いは・・・こだわり続ける人とこだわらない人の軋轢なんだぜ。
で、『幽かな彼女・第7回』(フジテレビ20130521PM10~)脚本・古家和尚、演出・白木啓一郎を見た。佳境である。「正しき道」を歩む「愛の伝道師」である神山先生(香取慎吾)はかって・・・道を誤り、迷える子羊を悪魔の群れに追い立てて、その生命を脅かしてしまった過去があった。その忌まわしい記憶を封印して・・・再び、正しき道を歩み始めた神山先生。しかし、過去の喜びが勇気を与えるように・・・過去の苦しみは怖じけを呼び覚ます。正しき道を歩むために・・・忌まわしい過去と対面する必要に迫られる神山先生だった。人は皆、それぞれの路を往くものだから。
世田谷区立小原南中学校3年2組の問題児、根津亮介(森本慎太郎)がサッカー部所属の手嶋健太郎(岩橋玄樹)に一方的な暴行を加える事件が発生した。
教師たちの追及に亮介は口を閉ざす。
きっかけは子供に「愛の結晶であることを知らせるために両親がなれそめを話して聞かせよう」という大原先生(濱田マリ)のちょっと恥ずかしいプリントだったが、皮肉にも大原先生はそのことを知らずに・・・担任の神山先生の指導力不足を嘆くのだった。もう、濱田マリはそういう役しかやらせてもらえないんだな。悪気がない分悪い・・・みたいな。
亮介は両親に対して・・・悪感情を持っており、プリントを捨て・・・「正しき両親」を信じる健太郎に咎められ、逆上したのである。
悪魔は至る所に罠をはり、正しきものも悪しきものも等しく地獄に導くものだからである。
地縛霊であるアカネ(杏)に導かれ、正しき道を歩みだした霊感教師でもある神山先生は守るべき子供の守り方を知らぬ愚かさを悔い改め、問題の本質を見極めようとする。
そして、正しき道によって得た子供たちの神山信仰は深まり、増殖した神山信徒たちは神山に情報をもたらすのだった。
一方、「正しいけれど恥ずかしい」大原先生のプリントに戸惑いを感じた母親たちは「我が子に語る愛などない」と学校側にクレームをつける。副校長の霧沢は法的に問題ある家庭の例をあげ、「結婚生活に失敗する親の間違い」を子供に「押しつけることは許されない」と「正論」で応じるのだった。
しかし、正邪が織りなすこの世界でその論理はもちろん、正しくはあるが間違っている。邪であるが間違っていない道があるからである。
しかし、正義のためにはその道を退ける必要があると法の番人は考えるものなのである。
悪法もまた法なりが基本だからである。
そのために「法」には「償い」と「許し」が含まれている。
幼子に「償い」と「許し」を教えることも伝道師の使命なのである。
それは本来、親の役目であるが、親のたらざる部分を補うのが教師である。
使徒である生徒たちのもたらす情報によって・・・亮介も小学生の頃にはサッカークラブで健太郎の良きライバルだったと知った神山先生は・・・本人に探りを入れてみるのだった。
「なぜ・・・君はサッカーをやらないのです・・・昔はエース候補だったと聞きましたよ」
「俺は作られたエースだったのさ・・・親がコーチに金を渡して・・・贔屓されていただけだったんだ・・・親がリストラされてから・・・急に扱いが悪くなった。そんな薄汚いチームでサッカーなんかやってられるかよ」
(こいつすごいバカだな)と神山先生は思ったが、バカな子羊に正しい道を教え諭すのが教師の役割である以上、口を噤むのである。
その頃、教師に正しい道を見出せない副担任の河合先生(前田敦子)は転職のために出版社の面接試験を受け、自分の考えの甘さを指摘されまくり、火だるまになってしまうのだった。
「学生気分の抜けないあまちゃん」である河合先生はゲームセンターに避難するのだった。
河合先生に恋する林先生(北山宏光)は思わず補導する。
神山先生の元へ救いを求める河合先生と林先生。
「面接官がハズレだった。私の素晴らしいセンスをちっともわかろうとしない。この世は終っている」という河合先生に「人のせいにするのはよくない」と正しい道を求める林先生。
そもそも・・・河合先生の見かけの可愛さに恋している林先生が、河合先生の内面を指導できる可能性はあまりにも少ないのだった。
神山先生とアカネは若さゆえの過ちというものを感じるのだった。
そんな神山先生の元へ一通のハガキが届く。かっての教え子からの「教育実習を受けている」という報告だった。
しかし・・・その教え子こそ・・・神山先生が稚拙な指導によっていじめを悪化させ・・・自殺未遂に追い込んだ生徒・・・広田かすみだった。
「彼女は立派に立ち直ったんだから・・・連絡してみなさい」
「いや・・・その前にやるべきことがある。時にはあたってくだけることも大切でしょう」
神山先生は・・・過去の過ちと向き合うために・・・現在の自分の指導力を生徒にぶつける必要があった。かっての失敗が無駄になっていないことを確認するためである。
一方、ついに悪霊であることを明らかにした浮遊霊の吉岡さん(佐藤二朗)は恋人の浮遊霊メグミ(上間美緒)とともに神山先生の下宿先であるメゾン羽生管理人の進藤(趙珉和)に憑依し、お腹が壊れるまで食料を過剰摂取させるという悪行三昧のついでに・・・健太郎と話がしてみたいというアカネの希望を叶えるのだった。
幽霊に正邪を求めてはいけない。彼らはもはや死んでいるからである。
しかし、正しき道を求めるアカネは健太郎に正しく健やかな魂を見出すのだった。
健太郎は生きながら地獄に落ちた亮介に救いの手を差し伸べようとしていたのである。
ついに・・・「正しき教えの路」を見出した神山先生は呪われたクロユリ団地前に・・・亮介を呼び出すのであった。
「何の用だよ」
「あなたと喧嘩しに来たのです」
「・・・」
「結局、あなたは自分の実力を信じることができず・・・親のせいにして逃げている卑怯者なんじゃないですか・・・」
「喧嘩売ってんのか」
「最初に言いました」
「・・・」
神山先生は亮介を健太郎の元へ導くのである。
「決着をつけようぜ・・・俺からボールを取ってみろよ」
ボールは友達さ作戦である。
亮介がすねてひねこびて無為の時を過ごしている間、精進した健太郎は圧倒的な実力差を見せつける。
悔しくて殴りかかった亮介を一撃でノックアウトする健太郎。
「精進している俺が・・・お前に喧嘩で負けるかよ・・・そんなのサッカーに失礼だろ」
亮介はついに敗北を悟るのだった。
自分が蔑んだ世界は・・・実ははるかな高みにあったのである。
亮介が蔑んでいたのは自分自身だったのだ。
悔い改めた亮介は差し出された正しい友の手によって正しい世界に引き戻されたのだった。
神山先生は漸く・・・かっての犠牲者に会いに行く覚悟ができたのだった。
美しく成長した広田かすみ(大友花恋→波瑠)は冷たい視線でかっての担任教師を見つめる。
「まさか・・・会いにくるとは思いませんでした。それに・・・まだ先生をやっているとは意外です」
「すみません」
「先生の謝罪を受け入れる気はありません。私は先生を一生許しませんから。先生は私を守ると言いながら・・・私を追い詰めた。だから・・・私は生徒たちを守れる教師になろうと決心したのです。私には守ってもらいたい生徒の気持ちがわかりますから。だからといって先生に感謝する気持ちはないということを伝えたかったのです」
「私は・・・あなたを応援しています」
訣別する二人。
かすみには見えないアカネは神山先生を慰める。
「ごめん・・・てっきり水に流してくれると思ってた」
「あやまる必要はないよ・・・お前のおかげで俺は・・・ようやく・・・彼女に頭を下げることができたんだ・・・過つのは愚かなことだが・・・過ちから何も学ばないのはもっと愚かなことだろう・・・」
犯罪者が犯罪被害者に謝罪しても・・・誠意は伝わらなくて当然である。
罪の刻印の消えることは未来永劫ないのである。
ただ世界が償いを受け入れ許しを与えるだけのことだ。
アカネの奪われた生命がけして戻らぬ如く。
その頃・・・神山信徒たちの描きつつある生温かい理想郷に違和感を感じる悪魔の使徒である京塚りさ(山本舞香)は神山先生と霊感の絆で結ばれた森野小夜(森迫永依)を利用して新たな陰謀を画策するのだった。
正しき神の使徒と悪しき神の使徒の最終戦争は目前に迫っている。
しかし、正しかろうが悪かろうが神は必ず勝利するのである。
勝ったものが神なのだから。
・・・お前、やっぱり聖なるハートブレイカーの皮をかぶった悪魔だろう。
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