家族ゲーム~女子中学生を買収する作戦~(櫻井翔)
ゲームに熱中するものとしないものがいる。
そんなことは大昔から歴然としている。
たとえば、狩猟は獣を殺すゲームである。
基本は食料を得ることだが、害獣駆除という名目もあり、あるいは獲物(トロフィー)の首を飾るためだったりもする。
農業もまた、天候などの自然現象を相手にした収穫ゲームであり、一粒の種から多数の実りを得る投資ゲームでもある。
プレイヤーは敵(獲物や作物)と戦う喜びを得るし、競争相手(狩人仲間や隣人)との勝負を楽しんだりもする。
そういうゲームに参加しないものは・・・基本的に怠惰なものと呼ばれる。
やがて、人類は戦争ゲームという刺激を手に入れる。
やはり、獣相手よりも人間相手の方がフェアなプレイが楽しめるからだ。
しかし、戦争ゲームには終わりがある。相手がいなくなったらそれで終わりなのだ。
そして、敗れたものは死んでしまう場合も多い。
訪れたつかのまの平和の中で・・・人々はチェスや将棋や囲碁を生みだす。
退屈さを忘れるためにギャンブルを生みだす。
人を楽しませるゲームを始めるものもいれば、人の疑問に応えるゲームを始めるものもいる。
だから・・・人類が生みだしたものはすべてゲームなのである。
「家族ゲーム」にはそういう深遠な問題が含まれているが・・・実際は氷山の一角を垣間見せているにすぎないとキッドは考える。
だからこそ・・・原作で、映画で、ドラマで描かれる度にゲームの内容は変わって行くのである。
「受験戦争」というゲームや、「幸福な家族を作る」ゲーム、「本当の自分を知る」ゲーム、「神と悪魔」のゲーム、「弱肉強食」のゲーム、「平和共存」のゲーム、「個性化」ゲーム、「制度化」ゲーム、「現実逃避」ゲーム、「妄想」ゲーム・・・果てなきゲームの万華鏡の中で・・・「家族ゲーム」はそれぞれのゲームに対する思いを反映していく。
だからこそ・・・「家族ゲーム」はつかみどころがない。
そして・・・常に違う話になっていくのだな。
人々はふと思う。「ゲーム」と「現実」・・・どちらがより面白いゲームなのかと。
それは非常にスリリングなゲームのスタート・ラインだったりします。
で、『家族ゲーム・第5回』(フジテレビ20130515PM10~)原作・本間洋平、脚本・武藤将吾、演出・岩田和行を見た。人生ゲームには様々な要素がある。たとえばゴールは経済的成功と没落がある。その負け組が行きつく先が「貧乏農場」だったりもするわけである。そして、「貧乏農場」が「開拓地」と名称変更したりするのがまた「言葉狩りのゲーム」だったりするわけだ。ゲームの要素の中に「結婚」や「出産」という家族作りがあることは言うまでもない。この場合、ゲームの醍醐味として・・・プレイヤーは全く平等に人生を戦うことができる。そこには生まれつきの家柄や、容姿や遺伝的差異はほとんど影響されず・・・驚くべき「平等」が実現している。ある意味で「家族ゲーム」とは「人生ゲーム」のこの部分である。では・・・「家族ゲーム」の家族の運命を支配しているのは何だろうか。それは・・・ルーレットである。「人生ゲーム」の「家族たち」は「ルーレット」に為す術もなく、人生を翻弄されるのだ。その非情さが愉快であることは言うまでもないのであった。
もちろん、「家族ゲーム」の主人公は単なるルーレットではない。彼もまたプレイヤーの一人である。しかし、彼は普通のプレイヤーではない。ボード・ゲームで言うならば・・・家族たちを乗せるあの車に彼は最初からのっていないようなのだ。そして・・・いつの間にか、他のプレイヤーの車に便乗しているのである。ルーレットを回しながら・・・プレイヤーは周囲を伺う。このヒッチ・ハイカーは誰なんだ。しかし・・・そんな人間はいないのだ。その恐ろしさこそ・・・「家族ゲーム」の魅力なのである。
だから、悪魔のような家庭教師・吉本荒野(櫻井翔)は虚飾に満ち、崩壊寸前のごく普通の家庭・沼田家にもぐりこみ、さまざまな暗躍を開始するのだった。
もちろん、崩壊寸前というのはあくまで吉本の視点である。
家庭をそれほど顧みない夫。家族にある程度距離を置く妻。成績優秀でスポーツマンだがどこか怜悧な兄。なんとなく落ちこぼれてそこはかとなく苛められている弟。そんな家族だっていくらでも崩壊しないで存続していたりするのが人間社会というものだ。
吉本は基本的に気が狂っているので・・・自分の理想に沿わない家庭は破壊して再構築するべきだという信念を持っているだけである。
ある意味、沼田家は呼び込んだ悪魔に目をつけられた不運な一家なのである。
吉本がいつかは沼田家に救いをもたらしてくれるなどと期待していると火傷しますからご注意ください。
次男の沼田茂之(浦上晟周)はとなりのクラスの美少女・真野さくら(有川結女)からラブレターを受け取り、有頂天になる。さくらは成績も優秀であり、なんとか対等に付き合いたいという欲望にかられ、茂之の学力は驚異的に向上するのだった。
しかし、さくらは茂之のかっての親友だった園田満(松島海斗)にも好意を抱いていると言いだし、二人を呼び出す。
「私は二人とも好きなの・・・どちらか一人に決められないから・・・今度の試験で勝った人と付き合うことにする」
「そんな・・・」もしも敗北したらという恐怖で申し出に応じることを渋る茂之。
しかし・・・満は即座に応じるのだった。
このままでは戦わずして敗北すると悟った茂之はあわてて参戦を申し出るのだった。
そして、ますます勉強に勢を出すのだった。
けれど・・・試験直前に二人は「単なる遊びよ」と女友達に話すさくらの言葉を聞いてしまう。
二人は激しく落胆するが・・・どうせならさくらを見返してやろう・・・と決意を新たにするのだった。
そして・・・結果は茂之が勝利する。
「おめでとう・・・茂之くん」
「ただのゲームさ・・・君と付き合う気なんてない」
茂之はさくらに一矢を報いるのだった。
だが・・・最初からすべては吉本の計画通りだったのである。吉本はさくらと契約を交わしていたのだった。まんまと茂之の成績をアップさせた吉本は成功報酬をさくらに支払うのだった。
「でも」とさくらは予防線を張る。「もしも・・・このまま、茂之くんが県内トップ校・成邦館高校に受かるようなことになったら・・・私、すべてを告白してしまうかも」
つまり、交際相手としては茂之にその資格があるということである。
「その時は・・・君の方から告白してやってくれ」と応じる吉本。もちろん、そんなことは吉本にとってどうでもいいことだからだ。
そもそも・・・金銭目当てで男子の心を弄ぶような女は推奨できる交際相手とは言えないという考え方もあるが・・・ここでは吉本はそれさえも考えていない。要するにニンジンを買って茂之の前にぶらさげて・・・それが目論見通りに馬力アップにつながったということにすぎないのだ。
こうして・・・家庭教師として有能さを示した吉本に・・・父親の沼田一茂(板尾創路)はボーナスを支給するのだった。
妻の佳代子(鈴木保奈美)の冷たい態度の裏に吉本の画策があるとも知らず、一茂は有能な家庭教師に心を許し始めていた。
一方で、孤独な佳代子の心をつかみ、株売買によるマネーゲームへと佳代子を誘導する吉本。夫への失望が吉本の画策によるものとも思わず、吉本に心を奪われつつあったのである。
吉本の指示により若干の金を儲けた佳代子はよりリスクの高い銘柄へとたやすく誘導されていく。
安住の地である家庭を吉本に浸食されていることをただ一人、自覚するのは長男の沼田慎一(神木隆之介)のみである。
吉本は慎一を勝手に「恐ろしいモンスター」として定義し、日々、その攻略方法を練っていることが気違いじみた独白によってお茶の間に知らされる。純朴な一部お茶の間の人々はうっかりそれを鵜呑みにしたりするのである。
吉本はお茶の間さえも洗脳する恐ろしさを秘めているのだった。
孤立無援の慎一の前に・・・かって悪魔の家庭教師・吉本によって一家を葬られた「吉本荒野を訴える会」の管理人・立花真希(忽那汐里)が現れる。
真希は吉本への復讐を誓い、慎一へ共闘を申し出る。
しかし、お茶の間は真希が・・・一茂の不倫相手である浅海舞香であると知っている。
また・・・罠を仕掛けているのかと思っていると・・・慎一には「一茂と舞香の路上キス画像」が配信されてくるのだった。
そんなことをするのは吉本に決まっているが・・・その意図はまたもや謎に包まれるのだった。
慎一は・・・真希を問いつめる。
「吉本の情報を得るために・・・あなたのお父さんを利用するつもりだった」と怪しい真意を告げるのだった。
「私が海外に留学中に吉本は弟の家庭教師として立花家に入り込み、母を騙して株式投資によって大損害を与え・・・家族三人を一家心中に追い込んだのです・・・帰国した私は吉本の行方を追って・・・あなたの家にもぐりこもうと考えました・・・そしてあなたのお父さんを誘惑したのです」
慎一は真希の言葉を信用する。愚かな父親の浮気問題よりも・・・眼下の敵を倒す武器を得ることを優先したのである。
慎一は真希の指示に従い、吉本を尾行し、吉本がさくらに金銭を支払う場面を盗撮することに成功する。
「このことを茂之が知ったら・・・あんたのことをどう思うかな」と逆襲に転じる慎一。
しかし、吉本はあわてず騒がず、人気のない場所へと慎一を誘いこむ。
「そのカメラをこっちに渡せ」という吉本。
「渡すもんか」という慎一。
「どうせ・・・あの女の言うなりになっているだけだろう」
「・・・」
「立花真希だよ」
「私のことを知っていたの」
隠れて二人を盗撮していた真希が姿を見せる。
「俺は教え子のことはすべて調べるんだ。教え子の父親に近付いた怪しい女のことを調べないわけないだろう」
「・・・なぜ・・・私の家族を殺したの」
「殺したのはお前だろう」
「・・・」
「お前は元々どうしようもない不良で海外に追い出された。そのことで家族を恨んでいた。家族が経済的危機に陥り、留学費用の捻出ができなくなった時・・・死ね、死んで生命保険で払えと言ったのはお前じゃないか・・・ここにお前の両親の最後の言葉が記録してあるよ・・・お前への怨みがこもった言葉がな・・・聞いてみなよ」
もはや・・・どこまで真実なのか不明の吉本の言葉。
しかし、真希はその記録媒体を求めて吉本に近づく。
吉本は暴力で真希のカメラを奪い取る。
「そんな録音してるわけないだろう」なのである。
打ちひしがれる真希・・・そういう演技をしているようでもある。
混乱した慎一に詰め寄る吉本。思わず護身用ナイフを振りかざす慎一。
「刺してみろよ・・・お前は想像力がないから・・・刺すとどうなるか・・・分らないだろう」
自ら、刺されにいく吉本。ある意味、ヤクザの常套手段である。
流血。
「ほら・・・血が出ただろう・・・刺したら血が出るんだよ・・・お前に判るか・・・この世に居場所がないと感じるほどにおいつめられた人間の痛み、苦しみ、悲しみが・・・お前にはわからない・・・だって、お前には想像力がないからだ・・・だから俺がおしえてやるよ・・・本当の絶望がどんなものかを」
血まみれの狂人を前にしてただ恐怖する慎一だった。
吉本は少女を買った証拠写真を押収すると去っていく。
取り残された慎一にセックスフレンドの最上飛鳥(北原里英)から着信がある。
慎一に「死ね」と言われた陸上部の補欠が部室で首を吊ったという連絡だった。
慎一は茫然と立ちすくむのだった。
「これも・・・あいつの罠なのか・・・」・・・もはや、吉本の狂気に巻き込まれ、何を信じたらいいのかわからなくなった慎一だった。
何かを信じるのも狂気の沙汰だが・・・何も信じないのも狂気の範疇である。
なにしろ・・・そもそも・・・人類なんて全員、狂っているかもしれないのだから。
吉本は理想の人間を形成する家庭教師である。しかし、その理想はあくまで吉本の理想である。理想達成のために吉本は他の人間がどうなろうと知ったこっちゃないのである。たとえ・・・教え子の人格が崩壊しようとも・・・理想の人間にするためならば吉本にとってなんの問題もないからだ。
家族ゲームとはそういう極限の思想ゲームなのである。
これだけ、吉本の狂気の様を見せられても・・・まだ、きっと本当はすごくいい人なんだと思っている人は・・・ある意味、すごく幸せな人と言える。
外の世界は凍りつき
内なる世界は汗だく
男と女はつつきあい
メロディーとリズムがからみあう
幼子は泣き叫ぶ
もしも行くと言うのなら
幼子は泣き叫ぶ
おいていかないでと
関連するキッドのブログ→第4話のレビュー
シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様の家族ゲーム
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コメント
キッドさん、こんにちは
朝ドラと大河に大満足で、お腹一杯な一週間なのですが、
週の半ばに、なかなかスパイスが効いている「家族ゲーム」、いいですねえ~
原作小説は読んだものの、前ドラマも映画もほとんど覚えていないので、
比べようもなく、単純に面白いです
>吉本は慎一を勝手に「恐ろしいモンスター」として定義し、日々、その攻略方法を練っていることが気違いじみた独白によってお茶の間に知らされる。純朴な一部お茶の間の人々はうっかりそれを鵜呑みにしたりするのである。
なるほど、ドラマ自体に罠が仕掛けられているんですね。
それが、慎一の同級生の自殺未遂に繋がってくるわけですね・・・
今のところ、優しい悪魔さんも、吉本の仕込みだと思われますけど、
さすがに同級生は違うだろうし、先が見えない・・・
どれが真実で、どれが罠なのか、さっぱり分からない感じ。
面白いですねえ。
まあ、現実もトラップだらけ、のような気もしますが。
櫻井くんの演技が、鬼気迫っていることだけは、確かですよね
もうひとつ、「幽かな彼女」のほうは、
毎回、落とし所が絶妙だなー、と思います。
こちらもいろいろと考えさせられます。
どうしても親目線で見てしまうので、
キッドさんのタイトルを読むたびに、
なんだか申し訳ない気持ちになってしまいます
でも、「それ、ちょっと違うくね?」と言いたくなってしまう「高校生」に
視聴率では負けているんですよね
まあ、なんだかんだ言って、
(書いてるけど
)
春ドラマで一番楽しいのが「みんエス」だなんて、
口が裂けても言えませんわ
投稿: mi-nuts | 2013年5月17日 (金) 18時04分
そうなんでございますよねえ。
(月)~(土)「あまちゃん」
(日)「八重の桜」
でなんの問題もないんですが・・・。
そうなると
NHK総合専門レビューになってしまうのでございます。
ま、吹けば飛ぶようなブログなので
それでも問題ないわけですが
どうしてもバランスをとっちゃうわけですな。
「ガリレオ」は視聴率高い番組も一本くらい。
「幽かな彼女」は学園とホラーというもう大好きなコンビネーション。
「空飛ぶ広報室」はガッキーの甘いラブコメ。
「みんエス」は21世紀最高峰のドタバタSF。
そして「家族ゲーム」はもう何が何だかわからない怪しさがたまりません。
ただし・・・三期連続で谷間なしが続いており・・・キッドはかなりストレスがたまっています。
さて・・・「家族ゲーム」は
1980年代初頭の作品です。
2013年版ドラマが
原作をまったくひきずっていないかというと
沼田家の設定は
どこか・・・80年代のニューファミリー的様相を呈していて
「現代」の普通の「家庭」としてはかなり違和感があるのですな。
しかし、「普通」なんていう怪しい言葉はいつだって曖昧なもので
80年代にこういう家庭ではなかった家庭がある以上、
2013年にこういう家庭があったっていいわけですな。
ここが、一つのポイントです。
また・・・経済的な格差と・・・競争社会の抑圧が
作品の根底に流れていますが
それだって・・・今も昔も同じだと言えるわけです。
無意味な「原発反対」のデモンストレーションに
ノリノリだったりする一部大衆は
何一つ変わらずあの頃もいたわけですからな。
吉本の語る「歴史認識」とか「制度によって失われる個性」とかを古臭く感じるか、新鮮に感じるかは世代によって変わるでしょうが・・・
基本的には「狂気」なのですな。
なにしろ・・・吉本は「自分の信念」で「他人の生活」を改造していくわけですから・・・物凄くサイコな人間であることは間違いない。
現在はたまたま吉本のやり方で茂之が前より幸福になっているように見えますが
実際にはここまでの過程で死んでいてもおかしくなかったわけで
そうなったらそうなったで・・・
吉本はある意味、まったく平気だったろうと思うのですな。
そう思わないと・・・吉本の不気味さが楽しめませんからねえ。
しかし・・・一部お茶の間は「GTO」とか「ごくせん」と同じように滅茶苦茶やるけど
限度をわきまえてる・・・まともな人として
吉本に期待する。
ここが・・・一同爆笑ポイントなんですな。
吉本はそういう破天荒なキャラクターとは
一線を画していると考えます。
ある意味、人間ですらないかもしれませんぞ~。
吉本は基本的に・・・人間の幸福なんて
祈ってませんからねえ。
あるのは・・・吉本の考える理想の社会、
吉本の考える理想の母親、
吉本の考える理想の父親、
吉本の考える理想の子供・・・。
そういうタイプに・・・無理矢理、人間を押し込んでいく無慈悲な機械のようなプロセスなのですから。
もちろん・・・そうではないかもしれない。
しかし、今の処は見事に
「サキ2」の見失ってしまった・・・
狂人を相手にして一般人が勝てるわけがない・・・
そういう恐ろしさを醸し出しています。
「サキ」で言えば・・・慎一は「金麦の人」なのですな。
一人だけ・・・吉本の狂気に気が付いているのに
相手は「慎一こそが狂気」と信じて疑わない。
ここがこのドラマの醍醐味なんですな。
まあ・・・視聴率はある程度、伸び悩んで当然だと思います。
現実を疑わぬ人も多いのに・・・ドラマまで疑えるか・・・ということですな。
キャッツアイのバンビ以来・・・櫻井くんが目指してきた
どこか非人間的な人間らしさ・・・というものが
ついに開花したというところでしょう。
「山田太郎」とか「カバチタレ」で演じた
なんとなく・・・心がないような
うさんくさいキャラクターに・・・
吉本の狂気がいい感じに憑依したと言えるでしょう。
息の長い俳優だけが勝ちえる「役」の妙味でございます。
もう、ある意味、最高ですな。
がんばってこのまま「バンビ」を越えてもらいたいと考えます。
「幽かな彼女」は一作ごとに成長して行く脚本家の
いぶし銀の職人技が炸裂していますねえ。
基本的に「きれいごと」を否定しながら
「きれいなもの」そのものは肯定する。
そういう研ぎ澄まされたテクニックがあるのですな。
それを主人公がきちんと表現するので
見る人が見れば
「ちゃんとしてるな」と思えるわけです。
もちろん、見る人そのものが少ないので
視聴率は低迷する場合もありますが
「猫に小判」とか「豚に真珠」とか
そういう言葉は古からございますから~。
しかし・・・きちんと面白いので
最低の視聴率ははじき出さないのですな。
ふふふ・・・完璧な親なんか
いませんからな。
ただし・・・子供と親のどっちの味方をするべきかと
問われれば・・・子供でしかありえない。
なにしろ・・・子供を犠牲にする親は親とはいえないし
子供の犠牲になる親は・・・本望というものですし。
問題なのは・・・ある程度、子供を犠牲にしたとして
それを後ろめたく思わない親でしょうな。
まさに「殺すしかないね」というポイントでございましょう。
「高校生」は「げてもの」以外のなにものでもないので
げてもの好きな人はおおいんだよなあ・・・と
達観しておくのが一番ですぞ~。
逆にどんな「げてもの」を与えられても
魅力を失わない米倉くんが天晴なのですな。
ふふふ・・・誰もがこっそりと楽しむ「みんエス」
親は子に隠れ
子は親に隠れ
女は男に隠れ
男は女に隠れ
まるで「地下ドラマ」ですな。
まあ・・・ある意味、この枠の伝統なので
それはそれでトレビアンなのではないかと。
投稿: キッド | 2013年5月17日 (金) 20時02分