くつろぎの貴公子ガリレオ~ほろ苦いコーヒー仄暗いホログラフィー(夏川結衣)
三次元の幻に執着する人がいる。
二次元ではなくて・・・三次元なら幻でなくなるわけではないというのに。
たとえば・・・ガリレオの公式では・・・「今だけ3Dオープニング中」である。
おそらく・・・六話オンリーなのである。
方式はアナグリフ式(青赤メガネをかける奴)だろう。前々世紀からある立体写真の技法である。
ディズニーランドではじめて偏光フィルター式を見た時は楽しかったなあ。
一方で裸眼で見える三次元映像といえばホログラフィーである。
まあ、ちょっと見方にコツがいるステレオグラムもある。
ものが立体的に視えるというのは基本的に両眼視差によるものである。
単眼では遠近感がつかめないというが片目だけでもなんとなく立体は見えるような気もする。
しかし、それは眼球や首を動かしているのだな。
だが、ホログラフィーは立体的な映像なのである。
何と言っても奥行きや膨らみがあるのだ。
それは素晴らしいことなんだなあ・・・。
まあ、やはり幻なんだけどなあ。
で、『ガリレオ(第2シーズン)・第6回』(フジテレビ20130520PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、演出・金井紘を見た。第2シーズンは変化球投げすぎというお茶の間のためにかなり、直球が来ました。しかも、今回は被害者も加害者も女科学者である。これは・・・素晴らしい。初回の女技術者も素晴らしかったが・・・やはり、悪の研究者の方が痺れますな。やはり、放射能を発見し、再生不良性貧血で死去したマリ・キュリーの幻影があるわけである。ある意味、広島で10万人焼き殺した女だからな。それは責めすぎじゃないのか。いや、別に責めてないよ。悪魔的には尊敬に値する部類だ。それが科学というものじゃないか。何に使うかは人次第だもの。
エイトマンの水沢博士(光線兵器レーザーの開発者)ぐらいの穏便な比喩にしておけよ。
・・・吐いた唾液は飲みこめないんだよ。
・・・ま、いいか。
前シリーズ・ヒロインとやたらと比較されて心身ともに疲れた妄想刑事ことオカルトちゃん・岸谷美砂警部補(吉高由里子)はネットで「登山仲間募集」に応じ・・・初心者でも安全な女性だけの山歩きツアーに参加したのであった。・・・オカルトちゃん・・・一人参加である。第三章登場の由加里(原田佳奈)とか、聡子(松岡璃奈子)とかは付き合ってくれなかったのか。
ツアー参加者の一人は有名企業の研究員・篠田真希(遊井亮子)で、ペンションに先着していたオカルトちゃんやペンション・オーナーの藤村伸一(おかやまはじめ)への挨拶もそこそこに「疲れ」を理由に部屋にこもってしまう。篠田真希の上司であり、ツアーの主催者である主任研究者・野木祐子(夏川結衣)が到着しても姿を見せない。夕食の時間になり、心配になった野木と同行を求められたオカルトちゃんは様子を見に行くが部屋には鍵がかかっている。念のため、外から窓の鍵を確かめたが・・・外から見るかぎりクレセントロックがかかっていた。やがて、入浴時間となり、野木祐子が入浴。
「いいお風呂で湯船で寝ちゃいそうになった」
湯上りの一言が今回のキーワードであり、続いて今回の最大の見どころであるオカルトちゃんの入浴シーンのサービスである・・・そこかよっ。
しかし・・・そこで・・・オカルトちゃんは・・・意外なものを発見する。
オカルトちゃんは理系ではないが・・・帝都大学物理学科准教授・湯川学(福山雅治)の後輩のガリ勉ちゃんでもある。ガリ勉ちゃんは意外なことを知っているものなのだ。
「お風呂で体に泡がつくのは・・・一番風呂の人だけ・・・」
それなのに・・・二番目のオカルトちゃんに・・・過飽和になった空気が分離した泡が着いたのである。
つまり・・・篠田真希は湯船につからなかったのである。
「なぜ・・・彼女は嘘をついたのか」
その後、篠田真希が窓を開けて失踪しているのが発覚する。やがて・・・篠田真希はつり橋から落下した墜落死体として川中で発見される。
地元警察は自殺と判断したが・・・オカルトちゃんは野木祐子による他殺を疑うのだった。
ガリレオの研究室では低温超伝導による超伝導電磁石リニアジェットコースターの実験が楽しく行われていた。
この遊園地的な実験はやはりサービス・ポイントなのだな。
しかし、科学の基礎実験をガリレオが相撲の四股にたとえたことは湯川ゼミの女学生・遠野みさき(逢沢りな)や上杉萌子(吉倉あおい)には不評だった。そろそろ、ゼミの学生がらみのネタがあっても良い頃だからであろう。
しかし、サービスは私がしたとばかりに・・・「密室失踪事件」の解明を迫るオカルトちゃんだった。
「しかも・・・容疑者は美人科学者です」
「実に面白い」
ガリレオだけでなく、万年助手の栗林宏美(渡辺いっけい)も目を輝かすのだった。
オカルトちゃんの仮説は「野木が入浴時間を利用して篠田を部屋から連れ出し橋から突き落とした」というものだった。
検証のためにペンションを訪れたガリレオとオカルトちゃんは早速、一戦交えた後で・・・犯行が時間内に可能かどうか再現を試みる。物理学者としては超人的な体力のガリレオに刑事としてはかなり体力不足のオカルトちゃんはふりまわされる。しかし、時間的に犯行は不可能という結果に・・・。落胆したオカルトちゃんは二戦目を要求するが、ガリレオは「二度続けて抱きたくなる女はいない」と嘯くのだった。それはゴルゴ13だろう。いい加減にしておけよ。
「今度は・・・本人に会いたい」とオカルトちゃんに求めるガリレオだった。
「結婚できない男ですかっ」とパン屋の思い出にひたるオカルトちゃんである。・・・おい、完全に意味不明だぞ。
野木博士の元を訪ねたガリレオは・・・オカルトちゃんを無視して・・・科学者としてお互いを賛美しあうのだった。
「湯川先生は科学を志すものとして憧憬の対象です」
「野木博士、あなたの研究も素晴らしい。2つの波の振幅・位相によって干渉縞を作ることが出来るような相互にコヒーレントな関係になりたいですな」
「量子光学的には電磁波の振幅と位相とを同時に正確に定めることは不可能なので現実には完全にコヒーレントな光は存在しませんけどね」
「本質的にはインコヒーレントでもスペクトル幅が非常に狭いレーザーのような一般にコヒーレントと考えられている光源でよろしいでしょう」
「・・・」高次元で口説きあう二人の研究者から取り残された理系ではないオカルトちゃんだった。
「最後に一つだけ・・・あなたはペンションで湯船につかりましたか・・・」
「いいえ・・・あの日はシャワーですませました」
「嘘・・・」
訴追の根拠を否定され・・・茫然とするオカルトちゃん。
しかし・・・ガリレオは逆に疑いを深めたのだった。
オカルトちゃんには嘘をつく理由がなく・・・野木博士にはそれがあるということだからだ。
「美味しいコーヒーを御馳走様でした・・・」
早速、ガリレオは野木博士のストーカーとなる。その結果、野木博士が分不相応な高額ショッピングをしている事実に突き当たる。
オカルトちゃんは「完全犯罪を遂行して自分に御褒美でしょうか」と想像する。
しかし・・・ガリレオはそこに野木博士の苦悩を見たのだった。
「彼女は・・・研究の成果を悪用して・・・ストレスを感じている」
そこで・・・オカルトちゃんの集めた野木博士の業績を・・・スマスマの香取慎吾のコントと連動した高級家具売り場で分析したガリレオは・・・高級家具を黒板代わりにして計算を始め・・・オカルトちゃんを失神させるのだった。
そして・・・ついに実証実験を開始するガリレオ。
それは・・・フォログラムシールによるガリレオ三次元映像として結晶するのだった・・・。
「彼女は・・・出来の良すぎる弟子を呼び出して殺し、それから彼女は・・・窓に・・・施錠された鍵の立体映像シールを貼ったのだ。そして・・・ペンションにやってきた。入浴中にしたのは・・・シールの回収だ・・・それなら充分に可能だ。全裸でも可能だが・・・おそらく着衣のままだったのだろう」
ガリレオは今回は・・・不幸な女のナイトではなかったのだろうか・・・いや、やはりナイトだったのだ。
「上司である・・・私よりも遥かな高みを目指すあの子が憎かったのよ。だから・・・殺した。殺したら楽になると思っていた。私が愚かだったわ。あれから・・・私は・・・自分の研究を自分で汚したことで・・・眠れない夜を過ごしている。ホログラフィーが一つ。ホログラフィーが二つ。ホログラフィーが三つ・・・」
「彼女があんなに苦しんでいるとは思いませんでした・・・先生が・・・自分に御褒美なんていうから・・・極悪人だと思ってましたよ」
「ご褒美って言ったのは君だろう」
「違います」
ガリレオは・・・嘘をつかない女は・・・都合の悪い事は忘れる女だと確認した。
関連するキッドのブログ→第5話のレビュー
天使による数式的アプローチはコチラへ→テンメイ様のガリレオ2
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コメント
初回からちょっと微妙だなぁと思いながら見ていましたが
人情話、でたらめな数式と続き もう完全に気持ちが離れちゃいそうでした(^^;
今回はツッコミどころがあってもガリレオらしい話だったので まぁ満足感がありました
それにしても3話あたりまではヒロインを魅力的に視聴者にも馴染んでもらおうという制作者の意図を感じましたが 前回はとにかくうるさいだけだったし 今回も自分を卑下しつつの学歴自慢にうんざり
このままでは吉高さん貧乏くじひいたことになりそうでお気の毒です
ガリレオが終わって何を見ようかとチャンネルを変えていたら あれっ 見慣れた子役?が(^^)
里琴ちゃんが月曜ゴーデンに出演していたんですね!
途中からですが見ました
結構 良い役でしたよね ♪
年齢的に学園ものとか出演が限られてしまうのかもしれませんが リーガルのような才能爆発の役柄(リーガルの中でも1番好きな回でした)でもっとたくさん見たいし彼女の活躍を子役に疎い私ですが願ってます☆
投稿: chiru | 2013年5月21日 (火) 08時07分
ふふふ・・・一部お茶の間の皆さんに大不評の
第2シリーズですが
基本的にそれほど変わったとは思えないのですねえ。
科学と虚構のギリギリのところで
作られるトリック・・・
それを擬似科学も緩く加えた科学で解明していくガリレオ。
ある意味王道の本格ミステリです。
それは第2もまったく健在なのですが・・・
休んでる間に世の中が少し変質したのかもしれませんねえ。
キッドは基本的に吉高ちゃんも吉高ちゃんの演ずる
オカルトちゃんも割と好みのタイプなので
第2シリーズも凄く楽しんでますぞ~。
今回のバスタブでオカルトちゃんが誘惑。
ガリレオがしかと・・・なんて楽しかったなあ。
まあ・・・同窓会で初恋の人によろめく妻が
夫が女房と畳は新しい方がいいと思っていることは
絶対に許さない・・・というアレがありますな。
裏番組「月曜ゴールデン 家庭教師が解く!~殺人方程式の推理ドリル~」に吉田里琴ちゃん(エリ・マツオ役)登場でしたな。
今回はダンスあり、美少女モードありでお得でしたぞ。
カテゴリ的には中学生はもはや子役ではなく
女優あつかいとしているキッドです。
もちろん・・・小学生でも女優あつかいする場合もあります。
吉田里琴は一種の天才なので・・・さらに扱いが難しいのですなあ。
なにしろ・・・「役」によって顔つきが変わってしまうのですから・・・まるで漫画でございます。
おそろしい子なのです。
年齢的には女優の初期段階・・・
キッドはできるだけ長く見守りたいとせつに願っています。
投稿: キッド | 2013年5月21日 (火) 20時27分