せつない恋心をパトリオットで迎撃された私(新垣結衣)
パトリオット・ミサイルのパトリオットとは愛国者の意味である。
米国製で日米を始めとして韓国、台湾、ドイツ、イスラエルなど世界各国で運用されている。
地対空ミサイルとして形式名は「MIM-104」で愛称がパトリオットである。
日本のマスメディア各社はこの愛称を呼称しているが、航空自衛隊では英語の発音に近い、ペトリオット表記を採用している。
パトリオットはミサイル発射システムの総称でもある。
弾道ミサイルの迎撃システムはPAC-3形態となる。基本的にはレーダー車が目標をとらえ、射撃管制車が情報を処理し、発射機車両からミサイルを発射するという流れである。
パトリオット部隊が展開するということはこれらの車両が迎撃のために発射地点に移動することを指す。
いつ、飛来してくるかわからない弾道ミサイルに対して、そんな悠長なことでいいのかと思われるが、弾道ミサイルの発射の兆候は衛星により監視されているので・・・ある程度の余裕はあるとされる。
日本はPAC-3に更新中であるが、前世代のPAC-2は迎撃率が40~70%程度とされており、撃たれれば完全に迎撃できるというものではない。
完璧な兵器などないのである。
しかし、東京、大阪、名古屋、福岡の目標に対して50%の迎撃が成功すれば・・・半分の都市は無傷ですむのである。何もしないよりましなことは確実なのだな。
ちなみに韓国は予算不足のためにPAC-2が配備中なのである。必死なのである。
だが、2009年の北朝鮮のミサイル危機では日本もほとんど実弾が配備されていない実態が明らかになった。
その後、配備は進み、一応の配置が完了されたとされるが・・・その後、北朝鮮のミサイル性能が向上していることは言うまでもない。
攻撃されなければ無用の長物だが・・・攻撃された時、「あったらよかったのに」では困ると考える。
自然災害対策と同様に備えあれば憂いが少し減るにすぎないが・・・「もったいない精神」を発揮してばかりいるといつか痛い目を見ると思う。
で、『日曜劇場 空飛ぶ広報室・第5回』(TBSテレビ20130516PM9~)原作・有川浩、脚本・野木亜紀子、演出・土井裕泰を見た。ドラマの中でチーフディレクターの阿久津(生瀬勝久)が「高射隊と言われてもお茶の間にはピンとこない・・・わかりやすく説明しないとな・・・」と語るのであるが・・・その後、一切説明のないまま、ドラマは進行していく。なんだろう・・・この空虚感は・・・。もちろん・・・スカイ(綾野剛)とリカ(新垣結衣)のお互いに片思いのじれったさと・・・次々に邪魔に入るAD・佐藤珠輝(大川藍)や局アナの藤枝敏生(桐山漣)の活躍は丁寧に描かれるわけで・・・脚本家かっ・・・と思う他ないわけである。もう少し、がんばろうね。
せめて・・・今回のメインイベントである高射隊の訓練が何から何を守るための訓練かぐらいは伝えようよ。
誰かに配慮が必要なら・・・この企画、やらなくても良かったんじゃないか?
とにかく・・・目的もわからないまま・・・防衛省航空幕僚監部総務部広報室・報道班の柚木典子3等空佐(水野美紀)が窓口となる「パトリオット高射部隊の公開訓練」が展開していくのだった。
防衛大学校での先輩・後輩であり、同僚の柚木と槙博巳3等空佐(高橋努)は気持ちがすれ違い、険悪なムードになっている。
このストーリーが微妙なのは・・・柚木の問題が、セクシャル・ハラスメントによるトラウマであるのに対し、槙博巳3等空佐(高橋努)は単なる片思いに過ぎないということであろう。
過去の部下の男性下士官との確執から女として自然に振る舞えなくなってしまった柚木に対して男性隊員たちが痛々しく感じるのは勝手だが・・・槙は単純に告白して玉砕することを恐れる単なる腰抜け野郎なのである。
その間をとりもとうとする・・・スカイと・・・ドキドキしながらプライベートに駆り出されるリカ。
ある意味、ちょっと気持ち悪いぞ。
なにしろ・・・槙はゴリライモなのである。時々、二枚目のようなセリフがあって・・・ひょっとしたら笑いをとりにきているのかもしれないが・・・あまりにも不明瞭で・・・本当に気持ち悪いのである。
単純に恋愛ものとしてみせたいなら・・・槙は要潤が演じるべきだよな。
水野美紀に要潤が思いを伝えられないならわかる・・・水野美紀がその気になってもおかしくないからだ。
しかし・・・高橋努では出口が見えないのである。
まあ・・・「電車男」だって成立したんだから・・・あったっていいけどさ。だけど・・・映画版はともかく、伊藤淳史と伊東美咲の恋なんて本当は完全な妄想だからな。
まだ・・・市川海老蔵(35歳)に恋する大谷直子(63歳)の方が笑えると思う。・・・そこかよっ。
とにかく・・・二組の片思いカップルの描写に時間を使っているので肝心の柚木典子3等空佐の「過去を乗り越えて行く姿」はかなり抽象的なものになっている。
単なるテレビ局の一員に過ぎないリカがいつの間にか、広報室の人間のようになっているのはご愛敬である。なにしろ・・・他局の記者たちが一同に集められているのに、リカだけは公開訓練の報道担当官に同行しているのだ。どんな特権階級なんだよ。
やがて・・・神の配剤によるアクシデントが発生する。
集合地点に移動中の高射隊の車両が、道を間違え、ユーターンしようとして部隊同志の接触事故を起こすのである。
事故は軽度だったが、車両点検のためにスケジュールに支障がでる。
ここで・・・勇み足の記者が「ミサイルの発射機が事故を起こして・・・もしも爆発したらどうするんです」と説明にあたる柚木に迫る。
そこで・・・リカが割ってはいる。「まさか・・・配布された資料に目を通していない方がいると思いませんが・・・今回の訓練では実弾は使用していませんよね」
「もちろん・・・ダミーです・・・なんなら・・・私が後でぶんなげてみせましょうか」
和む記者一同だった。
まあ、ドラマだからお茶の間的にはそれでいいが・・・この訓練は弾道ミサイルの迎撃のための展開訓練なのである。
30分展開が遅れたらミサイルが着弾してしまいます。
だから・・・ここで記者が質問すべきは・・・「これが本番だったら・・・東京全滅していますよね」なのである。
そして・・・航空自衛隊としてはある意味、大失態なのだな。
ま・・・脚本家・・・だからな。
さて・・・そういう点には目をつぶって・・・いよいよ、クライマックスである。
ほとんど・・・情感だけで持って行くわけだが・・・柚木と確執があった古賀義正空曹長→准空尉(的場浩司)があまりにも適役であり、見事に押し切っていくのである。
現場責任者の柚木に若い女性士官の中島和美2等空尉(小泉麻耶)が生き生きと事故の経過について報告する。
その態度に・・・かっての部下だった古賀准空尉の変貌を感じる柚木。
女性士官に対し下士官の古賀は今度は上手く接しているようだった。
そういう思いを抱きながら古賀に上官として声をかける柚木。
「昇進なされたのですね・・・あの頃の私は右も左も知らない小娘で苦労をかけました」
「つまらないプライドで部隊の任務を停滞させることがあってはならないと・・・自分なりに考えました」
古賀の表情に浮かぶ謝罪の気持ち。
しかし、現在の上官である若い女性士官の態度で古賀の気持ちは柚木に充分伝わったのである。
「柚木三佐・・・お疲れ様でした」
「古賀准尉・・・御苦労様でした」
敬礼を交わす二人は・・・お互いの呪縛から脱したのである。
すべての成り行きを理解したリカは感動するのだった。
そんなリカの気持ちを知ってか知らずか・・・夜明けの空を見上げるスカイ。
「きれいな朝やけですね」
「あの雲の上の空はもっときれいなんでしょうね」
「高度を上げれば上げるほど青が濃くなっていくんです。宇宙の高みを感じます」
「いいなあ」
「いえ・・・地上だって素敵じゃないですか・・・たくさんの人がいて・・・そして、この空を・・・見たい人と二人でみることができる」
「え・・・」
これを口説き文句と言わず何を言うである。
すでにスカイに恋しているリカだが・・・さらに・・・深い所まで落下である。
そのために・・・勇気を出して告白するのだった。
「あの・・・今度・・・二人で・・・お酒飲みませんか」
「それは・・・プライベートでということですか」
「はい」
「それは・・・やめておきます」
なにしろ・・・すでにリカには恋人がいて・・・とてもかなわないと思いこんでいるスカイなのであった。
専守防衛どころではなく、交戦権の放棄まるだしなのだった。
リカとスカイの恋の成就のためにも憲法九条は改正すべきなのである。
関連するキッドのブログ→第4話のレビュー
まこちゃんランド防空大演習会場。まこ「ス、スカイのあほたこまんじゅう~。メロメロにしておいて完全拒否とはいけずがすぎるのだじょ~。おそろいのF-15Jボールペンをマンガ家(矢作兼)から取り戻す根性があるくせに・・・なんでイケメン・アナウンサーに決闘を申し込まないのでしゅか~。しょしたらリカも♪ケンカをやめて~私のために争わないで~と女王様気分を味わえるのに~」
くう「だよね~・・・いくら、ガッキーが月9女優だからって・・・ここは日9だもんねえ。まあ、演出がビューティフルライフとかGOOD LUCK!!の人だから・・・ある程度はしょうがないけど・・・ほどほどにねえ~」
| 固定リンク
コメント