スポーツマン・ガリレオ~野球篇~曲解された私(中田有紀)
さて、ゴールデン・ウイークも終了である。
最後の日には都内では積乱雲が発達して、昼間から雷鳴が轟いていた。
見上げた雲から紫電が迸るのも見えた。
気分が浮き立ってくるのである。痺れるのだな。恐怖なのである。
どっちなんだよ・・・多重人格なので気にしないでください。
そういう気持ちと野球少年の気持ちは似ていると思う。
もちろん、サッカー少年やバスケットボール少年や、なんでもガンダムでたとえる少年にも似ている。
しかし、かって国民的スポーツといえば、相撲か野球という時代があり、それは見て楽しむスポーツとやって楽しむスポーツが一体となって巨人・大鵬・卵焼きの時代を形成したのである。
だから、雷光を見て楽しむ気持ちと野球少年の気持ちが相似しているというたとえは有効だと考える。
それは・・・どうかな。
国技というジャンルがあるのだから・・・家技というのがあってもいいだろう。なんとなく、一族が愛好するスポーツと言っても良い。そういう意味では我が家の国技は卓球であった。何人か国体選手も出している。しかし、キッドはあのピンポンが球からして苦手である。そして何とも言えない競技フィールドの狭さも嫌だ。卓球と聞いただけでなんだか体がムズムズと痒くなってくる。しかし、卓球の愛ちゃんは好きだ・・・だからなんなんだよ。
それに対して・・・野球はボールからして好きである。野球場も広々していて素晴らしい。キッドは野球場で迷子になったことがあるが・・・あのたとえようもない不安感。それだけでも野球は魅力的だと思う。
まあ・・・とにかく、野球の魅力を伝えるのに説明の必要な時代になったことは間違いないと考える。
説明は成功してないと思うぞ。
プロ野球選手の妻といえば女子アナが定番だが・・・「サラリーマンNEO」の慇懃無礼なサービス・カウンター嬢でおなじみ、「おはよん」のフリー・アナウンサー中田有紀様登場である。もう少し、冷たい視線をいただきたいところだったな。
で、『ガリレオ(第2シーズン)・第4回』(フジテレビ20130506PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、演出・西坂瑞城を見た。野球の投手が投げる球種には直球と変化球がある。直球が正しいボールなら変化球は邪なボールである。性格にたとえるなら曲がってるわけだし、気分なら落ち込んだりするわけである。しかし、打者にとっては変化球があることによって直球も魔球となっていく。つまり、選択肢が広がることによって予想がしにくくなるのである。・・・説明すればするほど難解になっていく話はもういいんじゃないか・・・。
とにかく・・・今回の話はスライダーなのである。
街を走行する車の群れ。そのうちの一台の車が電波を受信してメッセージを受け取る。運転手は「忘れ物がないか、もう一度確認して」とラジオ番組のパーソナリティーに言われて・・・なんとなく忘れ物をしたような気になっていく。しかし、それは本題ではないのだった。
ホテルの地下駐車場に車を停車させた運転手は突然、火災警報がなり、消火用スプリンクラーが散布する泡消火薬剤に視界を奪われる。しかし、彼は重要な人物ではない。
ホテルのラウンジで火災警報に驚き、席を立った一人の女性が今回の被害者だった。
しかし、ホテルの火災は警報機の誤作動で・・・実際には発生していなかった。
火災は・・・その女性が帰宅後に・・・起こった。一人暮らしの柳沢妙子(中田有紀)がソファでうたた寝をしている間に物置のストーブから出火。発生した一酸化炭素により・・・妙子は死亡したのであった。
別居中の妙子の夫・柳沢忠正(田辺誠一)から事情聴取をしたオカルトちゃんこと岸谷美砂警部補(吉高由里子)はアリバイを証明する人物の名を聴いて驚くのだった。
ガリレオこと湯川学帝都大学理工学部物理学科准教授(福山雅治)だったのである。
柳沢は戦力外通告をされたプロ野球選手で、トレーニング・パートナーの宗田祐輔(古田敦也)とともに・・・復活を目指してガリレオによる「科学的な投球フォームの解析に基づく指導」を受けていたのだ。
オカルトちゃんにはまったくピンとこないことだったが、部下・・・もうそう言っていいよな。要するに研修中のキャリア警部補であるオカルトちゃんは「ケイゾク」の柴田純と同じくすぐに警部になってさらにどこぞの署長になる身分なのである。そう描かないのは類似品になるのを避けるためなのだ・・・であり、エリート警部補のお守役である太田川稔刑事(澤部佑)は野球少年だったために・・・柳沢がかってはスター・プレイヤーであり、今は引退の瀬戸際にあることを察するのだった。
「どうして・・・別居してたんですか・・・」
「妻が・・・浮気したからだ・・・」
オカルトちゃんは・・・三角関係のもつれから何者かが放火殺人を行った可能性を視野に入れて捜査を開始する。
問題は誰が物置のストーブに点火したのか・・・だった。しかし、屋内には侵入者の存在を示す証拠はなかったのである。
アリバイの裏付けをとるためにオカルトちゃんは・・・今回、オカルト要素はないじゃないか・・・いや、幽霊による放火の線があるだろう・・・ガリレオの研究室を訪ねる。
自分の研究対象である柳沢が関わった事件であるために・・・ガリレオはいつになく積極的に真相解明に乗り出すのである。
問題のストーブを点検したガリレオは電子着火装置に注目する。
そして・・・火災現場に赴くのである。
そこで・・・付近の自動ドアが誰もいないのに開閉している現象に注目する。
ここで・・・本来なら受信機による測定がおこなわれる手順となるが・・・そこは省略して・・・早速、実証実験を行うガリレオだった。
違法な出力の電波による着火装置の起動実験だった。
「火災現場と幽霊自動ドアは同じ幹線道路の周辺に位置している。幹線道路を定期的に利用する車のドライバーが不法無線局あるいは違法無線局を運用し、通信距離を向上させるため、大出力の送信機用増幅器を使用した可能性がある」
「つまり、トラック野郎の違法電波が火災の原因ということですか」
「そうだ・・・彼らの違法行為が・・・彼女を死にいたらしめたのだ」
もちろん・・・犯人の特定は困難だ。しかし、すべての運送用車両の走行ルートを確認し、違法な装置を摘発できれば・・・過失致死罪は無理でもなんらかの罪には問えるかもしれない。
いずれにせよ・・・火災の原因が解明できればガリレオは満足なのであった。
ここまではストレートなのだが・・・ここから話は横道に曲がって行くのである。
ガリレオの解析の結果、投球フォームの欠陥が分かり、修正をほどこした柳沢が・・・精神的な不調に陥ってしまったのだった。
妻の浮気が原因で別居し、そのために妻は火災に遭遇して死亡した・・・それなのに浮気相手はぬくぬくと生きている・・・それが許せない柳沢なのである。
仕方なく、ガリレオは柳沢の妻の浮気の実態を追及することなり、いつもの捜査協力の返礼としてオカルトちゃんにお手伝いを強制するのだった。っていうか、もう飼育過程の段階なのか。
キャリア警察官僚の上司である草薙俊平(北村一輝)からガリレオ係として指名されているオカルトちゃんは従う他はないのだった。
ガリレオは柳沢の妻の愛車のボディが腐食していることに気がつく。
そして・・・周辺での化学薬品に関連した事故の有無を確認するのだった。
それは・・・あのホテルでの事件一件だった。駐車場に置かれていた車は消火薬剤を浴びて腐食されるに至ったのである。
やがて・・・ホテルのラウンジで柳沢の妻が会っていた人物が浮上する。
「結局、あいつは美人で高慢ちきな女でしたよ・・・全盛期の俺と結婚することをステータスと考えていたんだ・・・落ち目になった俺を見捨てて・・・浮気するなんて・・・最低でしょ・・・しかも高級な置時計なんか貢いで・・・しかも、それを突っ返されてたなんて」
「落ち目になった人間は物事を悪く考える・・・それこそが最低だと思う」
「なんだって・・・」
「あなたの奥さんが・・・コンタクトを取っていたのは台湾のプロ野球関係者ですよ」
「え・・・」
「彼女はあなたのために・・・台湾でのプロ野球選手としての再起というルートを作っていたのです・・・その日は・・・その交渉相手の誕生日だった。彼女は置き時計を贈り物として用意した。台湾では置時計を送るのは『送鐘』と言って人の最後を看取る『送終』と発音が同じになるためにタブーだということを知らなかったのです。彼女が贈り物を渡せなかったのはそのためです・・・」
説明しよう。プロ野球のストレートとは。日本のプロ野球↗大リーグのベースボールである。(例)松井秀喜。これに対してスライダーは。日本のプロ野球↗大リーグのベースボール↘日本のプロ野球である。(例)松井稼頭央。これに対して。日本のプロ野球↘野球賭博と八百長問題で揺れ続ける中華職業棒球大聯盟(台湾)。(例)中込伸。これはかなり凄いフォークボールと言えるのではないか。何の説明してんだよ。
「・・・そんな」
「あなたは・・・彼女を曲解してしまった・・・彼女は最後まであなたを愛していたのです」
「彼女は一言も・・・」
「精神的に追い込まれたあなたを・・・ぬかよろこびさせたくなかったのでは・・・確実な話になるまで伏せておきたかった・・・まあ、これはあくまで・・・可能性の一つですが・・・そういう女性だったかどうかは夫のあなたがご存じではないのかな」
「・・・」
「奥さまの愛は直球勝負、あなたはそれを曲球(くせだま)と読んで空振り三振したのです」
妻の愛を知り、その妻を失ったことを知り、号泣する柳沢だった。
柳沢はスワローズの入団テストを受けた。彼は青空を見上げ、妻が見守っていることを信じる。
そして、全盛期を思わせるスライダーを投げ込むのだった。
オカルトちゃんと一緒に成果を見届けるガリレオ。
「あれって・・・すごいんですか」
「実験は成功した」
キャッチャーミットに吸い込まれる白球。
まるで女を抱いてるみたい
匂いとぎれて 人群れに
紛れ溶けてもまだ分からない
いつか忘れてしまうこと
(「I can`t judge myself」)
・・・ガリレオは女性には優しい。
死者といえども知的な女王様の名誉を守るためには騎士道精神を発揮する。
前シリーズのお約束にもあったスポーツに親しむモードのガリレオも復活し、ヒロインも従者となってガリレオ・シリーズらしくなってきたが、ストーリーは「きらきらひかる」みたいだった。
関連するキッドのブログ→第3話のレビュー
天使による流体力学などの数式的アプローチ→テンメイ様のガリレオ2
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コメント
確かに。
「きらきら光ってました!」
スチル写真が口絵として入っているというだけでノベライズまで買ってしまいました、当時。
しかし、川が増水したはずなのに翌朝雪が残っていたのだけは残念でした。
違法電波イクナイ。
逢沢りな、『ぼくの夏休み』のときは病的な面持ちだったけれど今はイイ。
「じゃあ、メンタルは…」
いいセリフ区切りでした。テクノロジーばんざい。
投稿: 幻灯機 | 2013年5月11日 (土) 08時20分
なんかガリレオらしくない話でしたね。
2期になってからトリックも電波使ったものばかりになってしまった気がします。
2話のはトリックとは言えないから湯川さんの解くような話じゃない気がしたし。
それでも数字20パーセント超えてるのは凄いんですけど…
なんかガリレオを除くと今期はみなさんに酷評されてる作品のほうが数字取ってる気がします。
ラストシンデレラとか35歳とか(^_^;)
やはり篠原さんと米倉さんは数字を持ってるのかしら。
そういえばこの二人は下の名前が一緒でしたね。 芸能界では涼子という名前は縁起がいいのかも。
来期の火10に出る広末さんも名前が涼子ですしね。
投稿: 出雲 | 2013年5月11日 (土) 16時38分
ふふふ・・・雪はいつでも曲者ですな。
今年も「ビブリア古書店」でありましたし・・・。
きらきらひかるたまにはSPやればいいのに。
まあ・・・メンバー集まらないか。
無法者はいつでもテロリストですからな。
逢沢りな・・・しかし、「ぼく夏」では
アップがありましたが・・・こちらでは・・・
いるな・・・レベルですからねえ。
上の世代に蓮佛美沙子や大政絢がいて
下の世代に本田翼、忽那汐里、桜庭ななみがいるという
1991年度組。
パンチラ・ダブルスの
夏帆と真野恵里菜とか
瀧本美織に朝倉あき
波瑠やら松井玲奈やら高橋みなみやら
ひしめいてますからなーーーっ。
ものすごいサバイバル状態ですな。
朝ドラでヒロインの親友役やってるのに
ハイティーンでフライデーされてる若手には
「ちっ」と舌打ちしたい気分でございましょうなあ。
まあ、面白いですけどねえ。
「メンタル」は「フィジカル」のうちですからな・・・
今回のガリレオはまさに・・・
ハードボイルドの探偵さんでございました。
まあ、体の変化にどう応じて行くかが
根本的な問題なのでございます。
わかっているけどやめられないのが
人間だもの・・・。
みつおかっ。
投稿: キッド | 2013年5月11日 (土) 16時43分
ふふふ・・・ガリレオ2はある意味、
すごくルーズな作りでございますよね。
物理学者としての説明は
サラッと流して
ガリレオが博学にものを言わせたりしてますし。
もちろん、新ヒロインの存在感作りにも
時間を使ってますからな。
それでも・・・惰性で見るにはちょうどいい感じなのでございましょう。
なんといってもガリレオを中心に見ていれば
見やすいのが人気の秘密なのでしょうな。
W涼子の視聴率がそこそこいいのも
同様の理由かと思われます。
篠原は「ハケン」とか「アンフェア」とか
米倉は「黒革」とか「ドクターX」とか
いつものキャラでふてぶてしくやってますからな。
「内容」はきっと二の次なんですねえ。
もちろん・・・キッドが「時間の無駄」とか「苦行」とか感じるドラマもないとバランスがとれませんからな。
なにしろ、人の好みは十人十色でこそ
世の中は面白くなるのでございますから。
「ラスシン」なんか一話しかレビューしてませんが
アクセス数では連日ぶっちぎりトップ。
苦笑がとまりません。
まあ、毎日「あまちゃん」があって
週末に「みんエス」がある・・・。
キッドとしては春ドラマはそれだけで大満足なのでございます。
広末涼子・・・「リーハイ」にレギュラーじゃないのかな・・・。
投稿: キッド | 2013年5月11日 (土) 17時12分