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2013年5月13日 (月)

向かうところを定めし後は修羅か極楽かにお供申し奉るべく存じ候でごぜえやす(綾瀬はるか)

「時代の変化に従い、大政を奉還いたします」と徳川慶喜が朝廷に奏上した日。

徳川慶喜、松平容保、松平定敬の三名の誅戮の密勅が下されていた。

虚々実々のフィクションである歴史というものの不可解さの一つの極みであろう。

幕末の司令塔の一人、坂本龍馬の死もまた謎に包まれている。

そもそも・・・龍馬は「大政奉還」の仕掛け人の一人である。

龍馬から後藤象二朗へ。後藤象二朗から山内容堂へ。山内容堂から徳川慶喜へとその「施策」は伝播した。

一方で、テロリストとして指名手配されている坂本龍馬を実質、保護しているのは薩摩藩であった。

大政奉還と討幕挙兵の間で旗色不鮮明な坂本龍馬の命は風前の灯に見える。

死の数日前に・・・幕府の大目付・永井玄蕃と会談したことを薩摩の軍事顧問・安保清康(林謙三)への手紙に認めた坂本龍馬は・・・龍馬との面会に訪れた安保の到着を待たずに凶刃に倒れる。

誰が殺してもおかしくない状況で殺された男。

龍馬がこの物語に不在なのは・・・もちろん、定説とされる下手人が会津藩出身の旗本・佐々木只三郎と見廻組によるものだということなのだろう。

主人公グループが英雄殺しに絡んでいることをあえて避けた作劇なのである。

とにかく・・・名のある佐久間象山の門下生の死亡率は高いのである。

そして・・・内戦の幕はきっておとされたのだった。

で、『八重の桜・第19回』(NHK総合20130512PM8~)作・山本むつみ、演出・末永創を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は死亡直前の会津藩大砲奉行・林権助とやがて洋式牧場経営の第一人者として名を残す会津藩士・広沢富次郎の二大イラスト描き下ろしでお得でございます。間に合いましたな~・・・小田嬢も待ち遠しい今日この頃、しかし、あくまでマイペースでお願いします。

Yaeden019 慶応三年(1867年)十月十三日日、徳川慶喜は諸藩重臣に大政奉還の意向を伝え、十四日に明治天皇に奏上。その夜に明治天皇は討幕の密勅を下し、十五日日に大政奉還の勅許も下す。明治天皇の朝廷はもちろん、一枚岩ではない。しかし、将軍位継承問題に発した朝廷の派閥争いは長州派に属する中山家の娘を母とする明治天皇の即位により、反一橋によって決着しようとしていたのである。篤姫の養家であり、薩摩派である近衛家も復権し、朝廷は薩摩・長州連合の支配するところとなっていく。水戸徳川派の摂政・二条家は排除され、幕府の実権を剥奪するための工作が朝廷内部で進行する。薩摩藩兵は大坂から京都へ進出。旧幕府側に圧力をかける。慶応三年十二月九日(1868年1月3日)ついに薩長は牙をむき、尾張徳川家、土佐山内家、越前松平家を従えて、朝廷クーデターを実行する、この政変によって、旧幕府の政治は終焉し、実質的に新政府が誕生したと言える。江戸幕府は廃止され、京都守護職、京都所司代も同様に廃された。薩摩藩主・島津忠義は議定となり、還俗した岩倉具視は参与となった。慶応三年十二月十四日、「王政復古の大号令」が発せられる。慶喜の目論んだ態勢立て直しのための時間稼ぎの目論見はわずか二ヶ月で潰えたのだった。京都の旧幕府軍に残された道は大坂への一時撤退である。

フランスの闇の一族の血を浄化された徳川慶喜が幼児に退行していた頃、密命を受けた吸血鬼部隊は龍馬暗殺の実行を継続していた。

実行部隊は旗本師弟を中心に構成された見廻組員である。慶喜から闇の血を受けた佐々木只三郎は感染期を克服し、半人半妖の特質を獲得している。

只三郎と六人の吸血鬼は科学忍者隊の張った結界を突破し、龍馬の根拠地である近江屋に突入する。

異変に気がついた龍馬は長州との連絡役である中岡慎太郎に声をかける。

「何かが殺しにきよるぜよ」

慎太郎が太刀を取り上げた際にはすでに侵入者が部屋に突入していた。

抜刀し一撃を受け止めた慎太郎は叫びながら、敵を切り裂く。

しかし、切り裂かれた敵はひるまずに慎太郎の右腕を切り飛ばす。

「お」と呻いた慎太郎は左手で突きを入れ、敵を壁に縫い付ける。

龍馬はS&W32口径5連発を抜き放ち、侵入した敵に発砲する。しかし、敵は銃弾を受けてもそのまま突進し、龍馬の胸に赤い薔薇の花を開かせた。

「なんじゃ・・・こいつら」

無言で殺到する敵が妖異であることに気がついた龍馬は胸に剣を突き刺したまま、篤姫から贈られた聖短剣を懐からとりだした。

すでに戦闘力を奪われた慎太郎は横たわり、標的は龍馬だけとなっていた。

超人的な戦闘力で二人の敵を塵と変えた龍馬だったが、背後から佐々木只三郎が首筋に噛みつくのを許してしまうのだった。

その瞬間、前方の敵が龍馬の頭部を切り裂いた。

龍馬の手から聖なるナイフが滑り落ちる。

刺客たちは周囲から殺気が迫るのを感じ、瀕死の龍馬と慎太郎を残し、近江屋からの脱出にかかる。

大奥忍びの仲野が現場に到着した時、龍馬にはすでに変化の兆候が見られた。

「龍馬・・・」

「しくじった・・・かまれたきに・・・」

蒼ざめた龍馬は不死の旅人へと変貌しつつあった。

その頃、視力をほとんど失った山本覚馬の京都洋学所に一人のくのいちが訪れていた。

「兄・小田勝太郎の使いのものでごさいます」

「小田殿の・・・」

小田家は丹波の宮仕えの一族であり、もちろん、天皇のしのびであった。

会津藩主・容保が先帝の寵愛を受けていた頃、山本覚馬は知遇を得ていたのである。

「このたびは・・・お気の毒なことになられまして・・・」

お気の毒なことが・・・眼病のことなのか・・・幕府と会津藩の尋常ならざる窮地のことなのか・・・覚馬は一瞬迷う。

「お身の回りの世話をせよ・・・と申しつかりましたんどす」

それでは・・・目のことか。いや・・・このご時世、やってきたのは目付けとしてであろうと覚馬は考える。

「なにかとご不自由でございましょう」

無言のままの覚馬を残し、台所に立った女は膳の支度を始めたようだった。

「そなた・・・名を何と申す・・・」

「時榮と申します」

その声を頼りに間を詰めた覚馬はくのいち小田時榮の背後に立つ。

「下の世話も」やくのかと言いかけた覚馬は言葉を飲み込んだ。

後ろ手にまわしたくのいちの右手は袴ごしに覚馬の陽根を攫んでいた。

急所からもたらされた快感に覚馬は一瞬で痺れてしまう。

「兄からは覚馬様のお気の召すままにお仕えせよと申しつかっておりまする」

覚馬は息を飲み、ふりかえったくのいちが屹立したものを取りだすままにして立ちすくんだ。

時世が変わろうとしていた。

関連するキッドのブログ→第18話のレビュー

篤姫→慶応三年十二月の頃

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