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2013年5月 6日 (月)

都をば霞とともにたちしかど秋風ぞ吹く白河の関でごぜえやす(綾瀬はるか)

八重が引用したのは平安時代中期の僧侶・能因(橘永愷)の和歌である。

都をば霞とともにたちしかど秋風ぞふく白河の関

(霞が立つ春の都を旅立ったのに白河の関に着いたら秋風が吹いていたよ)

つまり、遠いので半年も旅をしたという感慨を歌ったわけである。

基本的には交換日記で松田聖子の歌詞を引用する朝ドラマのヒロインの母と同じ感性なのである。

しかし、うろ覚えなので後半しか出てこないのが乙なのである。

千年に近い時を経て白河の関と京都との距離は縮まったが、江戸と京が半月の旅程であり、当然、みちのくはさらに遠い。

しかし、それから百年を待たずに旅は一日で終るものになる。

長州征討が失敗しても・・・会津が攻められる予測を立てたものは多くはなかっただろう。しかし、史実を知るものは朝廷が権力を握れば陸奥を征伐せずにはいられないのだと予感しただろう。

心ある会津の武士たちは来るべき攻防戦に備えて戦争準備を開始したことは言うまでもない。

しかし、会津が戦場になるにはまだ長い距離の壁があるとも考えたはずである。

だが・・・近代戦の速度や・・・幕府崩壊のインパクトは津波のように急速に迫ってくるのだった。

で、『八重の桜・第18回』(NHK総合20130505PM8~)作・山本むつみ、演出・一木正恵を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに登場、第15代将軍、逃げ足だけは誰よりも速かった徳川慶喜とヨーロッパ帰りの会津藩家老・山川大蔵重栄の二大イラスト描き下ろし展開でお得でございます。開戦前に一呼吸でなかなかにじらしますな。将軍と守護職・幕府側の二枚看板が揃って一安心でございました。大蔵はなんか成長した感じが伝わってきますねえ。まさに役者がそろってきた感じがいたしましたな。しかし、あくまでマイペースでお願いします。

Yaeden018 慶応三年(1867年)の夏、江戸から四国までの広範な地域でお陰参りを模したええじゃないか踊りが流行した。開港による諸物価の上昇や黒船来航以来の攘夷騒ぎ、さらに都や長州における合戦、一揆や打ちこわしの騒乱が発生し、社会不安は高まり、庶民はその抑圧に耐えかねて踊り狂ったのである。六月、薩摩の西郷吉之助は長州の山縣有朋と意見を交換し、武力討幕の意向を示した。さらに西郷は土佐の後藤象二郎と薩土同盟に従っての出兵を要請する。しかし、土佐藩主・山内容堂は武力討伐には二の足を踏み、方策を探るうちに坂本龍馬による大政奉還論に希望を見出す。言わば尊皇的佐幕派という微妙な立場に到達してしまったのである。交渉を重ねた薩摩は土佐の消極的態度に嫌気がさし、九月に薩土同盟を解消する。同時に薩摩藩主・久光の三男・珍彦が兵一千名を率いて大坂に布陣。挙兵準備を整えた薩摩に対し、後藤象二朗が徳川慶喜に対する「大政奉還建白書」を提出するまで挙兵延期を求める。薩摩はこれに応じながら、倒幕についての朝廷工作を勧めるのだった。戦争による敗北を極度に恐れる徳川慶喜は薩摩の圧力を感じ十月に大政奉還の意向を固める。薩摩・長州による武力討幕の密勅工作と幕府による大政奉還の上奏は先を争うように繰り広げられる。慶喜は大政奉還によって一息つけば徳川家を中心とした新政権の樹立は充分に可能だと読んだのである。しかし、そのような希望的観測は圧倒的な武力の前には成立しないのが普通なのだ。運命の十月十四日は目前に迫っていた。

京で会津忍びが殲滅されたように、江戸でも公儀隠密は薩摩忍びとの戦いに敗れつつあった。何よりも本来は味方である大奥くのいちが裏で敵対していることが響いていた。大奥を支配しているのは薩摩出身の篤姫であり、これに前将軍の紀州しのび、皇女和宮のおつきしのびが追従している。公儀隠密組織は至るところで寸断され、諜報組織としての力を失いつつあった。

当代服部半蔵が将軍警護のために京都にいるために留守をまかされた七蔵は次々と配下を葬られ、追い詰められていた。

七蔵は村垣淡路守を名乗る旗本を表の顔とする。先祖代々のお庭番であるが陽忍であり、当代半蔵である三蔵の配下であっても・・・江戸の闇を仕切る棟梁としては貫禄が不足していた。なにしろ、万延元年の遣米使節団の副使まで務めた官吏なのである。官僚としては一線を退いたために・・・忍びとしての大役を任された男だった。

薩摩の忍びに暗躍され、各所で騒動が起こる度に配下を失い、すでに孤立無援に等しい状態に追い込まれている。

そんな七蔵の屋敷を軍艦奉行兼海軍伝習掛という役職にありながら・・・何もしていないと評判の勝海舟が訪れた。

江戸は晩秋の季節である。

勝は七蔵より一回り若い。旗本としての身分は同程度だが・・・一応は長幼の序をわきまえている。

「めっきり冷え込んでまいりましたな・・・」

「さよう・・・」訪問の意図を測りかねて七蔵の口は重い。

「本日は・・・村垣淡路守様を訪ねてきたわけではありませぬ・・・」

「なんと・・・」

「やんごとなき方から谷中の七蔵への伝言を伝えにまいったってえ次第でさ」

「・・・」

「これ以上のお働きは無用・・・今後はお指図に従えとおおせでござる」

「・・・そなた・・・」

「拙者は大奥しのびの外使いでござる・・・」

「・・・しかと承った」

「では・・・御免・・・」

大政奉還を前にして江戸幕府の公儀隠密は活動を停止したのだった。

もはや・・・幕府に属する忍びは陸奥にしか存在しない状態である。

会津では留守を預かるくのいちたちの活躍で漸く、潜入したしのびの駆除をほぼ終えていた。

山本家に八重が帰還する。

留守を守っていた夫の大砲方頭取・川崎尚之助は妻をねぎらう。

「無事でなによりじゃ・・・」

「兄上よりいただいたスペンサー銃が威力を発揮いたしてごぜえやす」

「いよいよ・・・本格的に守りの手立てを考えねばならぬ・・・しかし・・・今宵は休め・・・」

「八重は・・・お情けをいただきたく存じやす・・・」

「八重殿・・・」

次の瞬間、尚之助は八重に組敷かれていた。

鉄砲しのびとしては名人の域に達した八重だが、尚之助と夫婦となってからはくのいちとして褥の腕も磨いている。

尚之助の下半身に伸びた手指は細やかにうごめき男の快感を引き出していく。

尚之助も負けじと八重の胸に吸いつくのだった。

「・・・」

「・・・」

かくて会津の夜は更けていくのだった。

関連するキッドのブログ→第17話のレビュー

篤姫→慶応三年の頃

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