家族ゲーム~それぞれに一つのそれぞれのキングダム~(櫻井翔)
牧伸二が丸子橋から多摩川に転落死する時代である。
チンチン電車は交通の邪魔だ
チンチン電車を廃止しろ
幼稚園の子供が大反対
チンチン獲られちゃ大変だ
あ~あ やんなっちゃった
あんがあんがあんが 驚いた
(昭和40年代の都電撤去計画の頃のやんなっちゃった節~荒川線を残し都電は消滅)
謹んでご冥福をお祈りします。
で、『家族ゲーム・第3回』(フジテレビ20130501PM10~)原作・本間洋平、脚本・武藤将吾、演出・岩田和行を見た。仮想空間のような街をゲームのキャラクターのように移動する主人公。すでにゲーム化された世界で人間もまたゲームの登場人物に過ぎなくなっていることを暗示している。そんなことはないと思うあなたほど実はゲームのサブ・キャラクターと化しているのです。まあ、悪魔がそう思うだけですけれども。
悪魔である家庭教師・吉本荒野(櫻井翔)は虚飾に満ち、崩壊寸前のごく普通の家庭・沼田家にもぐりこみ、さまざまな暗躍を開始する。
クラスメートに虐待されて登校拒否になっていた次男の沼田茂之(浦上晟周)に対しては虐待現場の証拠を抑え、クラスメート全員の将来性を人質にして脅迫することで虐待停止の合意を得るという強硬手段を行い、信任を勝ち取るのだった。
もちろん・・・その過程で茂之が虐待死してもそれはそれで仕方がないという料簡であるらしい。なにしろ、悪魔に人倫を求めても無意味なのだ。
悪魔によって生きながらえることを許されたと感じた茂之は自ら服従して悪魔の飼い犬となることを誓うのだった。
人はそれぞれの王国の王である・・・というのが個人主義の基本だが、そうした魂の在り方を悪魔が認めないことは言うまでもない。
王国の王たるものの魂を隷属させることこそ悪魔の本分なのである。
支配欲が強く、自らが擬似悪魔的である長男の沼田慎一(神木隆之介)は吉本の恐ろしさを肌で感じ、立場を逆転させるためにリサーチ活動を実行。吉本の過去を暴き、悪魔を支配下に置こうと逆襲する。
「あんたは吉本荒野じゃない」
別人(忍成修吾)である吉本荒野の写真を突きつけ、吉本に迫る慎一。しかし・・・。
「それは・・・俺の弟だよ・・・俺は荒野の兄の雄大だ」
あっさりと慎一の追及をかわす吉本だった。
吉本は慎一を昏睡状態の男が眠る病院に案内する。
「弟は東大を卒業して・・・子供の頃からの夢だった教師になった。もちろん、両親は反対したさ。教師は東大を卒業してまでなる職業じゃないってね。しかし、弟は教師になった・・・ところが事故でその夢が断たれてしまったのだ。だから、俺は弟のために、弟になり代わって教師をやっている」
「なんで・・・家庭教師なんだよ」
「俺には教員免許がないからだよ」
慎一はカードの切り方をしくじったのだった。そして、吉本もカードを切る。
「余計な詮索はお互いのためにならないと思うよ」
慎一は自分が万引きをしている証拠写真を突きつけられ蒼ざめるのだった。
「優等生の仮面を維持するのはストレスがかかることだけど・・・万引きは犯罪だからね」
吉本は悪魔の微笑みを浮かべる。
登校拒否状態を脱し、束の間の安らぎを得たような沼田家・・・。
しかし、悪魔の計画はそのような平安を許すものではない。
「今度の茂之くんの誕生日にはお誕生日会を開催したいと思います」
「た・・・誕生日会・・・」
「中学三年生にもなって・・・」
「それはないんじゃないか・・・」
「いいえ・・・これは茂之くんの将来のために絶対に有意義なことなのです」
さらに・・・吉本は家族それぞれに余興の披露をもちかける。
「御主人に聴きましたよ・・・フラダンスを習っているそうですね」
「奥さまに聴きましたよ・・・ギターの弾き語りをなさるそうですね」
夫婦は乗せられて、フラダンス仲間の主婦に協力を依頼したり、キャロルの名曲をおさらいしたりし始める。
慎一には「弟のおいたちの写真を使ったスライド・ショー編集」が命じられるのだった。
茂之は吉本の脅迫的行為によって遠巻きに茂之を見つめ、腫れもの扱いしているクラスメートに「お誕生会」の招待状を配布する。
クラスメートたちがいつわりの好意を寄せるのに気をよくして「幸せな気分」を感じるのだった。
一方、夫・沼田一茂(板尾創路)の浮気の気配に気付きながら、それを見て見ぬふりをする妻・佳代子(鈴木保奈美)・・・しかし、自宅に浮気相手である浅海舞香(忽那汐里)が夫の忘れものを届けにやってくる。
吉本の誘導で夕食を共にする沼田夫妻と愛人。
夫の挙動に不審なものを感じながらワインを飲み干す佳代子である。
一茂は怯えつつ、火遊びの快感に酔うのだった。
舞香はなんとなく悪魔に使われる魔女の様相を呈するのである。
一方、なんとか、吉本の弱みを発見しようとあがく慎一。
セックスフレンドの最上飛鳥(北原里英)とともに寝たきりの吉本荒野の病室に張り込む。
そこに吉本兄弟の関係者を名乗る女(佐藤直子)が現れる。
「実は・・・家に吉本雄大さんが・・・」
と事情を話す慎一。
「確かに・・・雄大は荒野の兄です・・・雄大の話は・・・事実です」
と応える女。
仕方なく立ち去る慎一に・・・女は一言だけ付け加える。
「気をつけて・・・あの男は悪魔ですから・・・」
慎一が立ち去った後で女は吉本からの電話を受ける。
「はい・・・来ました・・・言われた通りに応えました・・・あの・・・もう、私たちのことは放っておいてくれませんか・・・」
「それは・・・できません・・・彼は私の共犯者なんですから・・・そのことを忘れたくありません」
謎の言葉を残す吉本だった。
北野雄大で来たのは金八だとあからさまに偽名だからなのだな。
誕生日、当日。
招待客は一人もやってこなかった。
もちろん、吉本がクラスメートたちに「自由参加だから・・・来なくてもかまわない」と周知させたのである。
いつわりの友情という現実を突きつけられる茂之。
一方、慎一を連れて鑑賞室に入った吉本は沼田夫婦の亀裂を子供たちに見せつけるのだった。
再編集されたスライド・ショーには舞香に誘惑される一茂の言動が記録されていたのだった。
「今度はあの日の続きをしましょうね」
「続きって・・・」
「ラブホテルですよ」
「うひひ」
夫のあからさまな不実についに泣きだす妻。
「もしも・・・結婚しなかったら・・・子供たちを生まなかったら・・・私にはもっと幸せな人生があったかもしれません」
「・・・」
「今日だけは・・・言わせてもらいます」
妻はそれでも仮面をかぶり続ける宣言をするのだった。
「いいねえ・・・」と嘯く吉本。
「こんなことして・・・何になるんだ・・・」
「少なくとも・・・弟の危機を救ったのは私だ・・・何もしなかった君に私を責める資格はないだろう・・・」
「ちがう・・・そんなことはない」
「だったら・・・君のやり方でなんとかしてみせたらどうだい・・・この万引き野郎」
「・・・」
無惨な誕生会という現実から逃れて神社の裏の秘密基地に逃げ込む茂之。
そこには吉本が待っている。
「これが・・・お前の現実だ・・・家族からは見放され、友達は一人もいない・・・しかし、そうなったのはみんなお前の責任なのだ・・・」
精神的に追い込まれ、震えが止まらない茂之を泥濘に突き飛ばす吉本。
空虚になった茂之の精神に吉本は楔を打ち込むのだった。
「でも・・・俺は・・・俺だけはお前の味方だよ」
泥だらけの体を抱きしめられて茂之は身も心も吉本に捧げる快感に酔いしれるのだった。
その顔に幸福な微笑みが浮かぶ。
バパンババンバンバン
はあビバビバ
歯を磨けよ
ババンババンバンパン
はあビバノンノン
宿題忘れるなよ
いつまでかな
いつまでこの歌を歌い続ければいいのかな
いつまでなのかな
涙をぬぐいなよ
涙をぬぐうんだ
泣きはらした赤い瞳から流れ落ちる涙を
日曜日だ
明日は日曜日
血まみれの日曜日がやってくるから
ババンババンバンバン・・・
関連するキッドのブログ→第2話のレビュー
| 固定リンク
« 昨日があるから今日があるのです。今日があるから明日があるかもしれないのです(香取慎吾)おへそのサービスあります(杏) | トップページ | 空飛ぶ広報室と地雷を踏んだらさようならの私(新垣結衣) »
コメント